説明

時系列データの生成動作および加工処理を制御するためのデータ処理装置およびプログラム

【課題】 楽曲データが予め時系列的な処理指示データを伴わない場合であっても、当該楽曲データにより示される楽曲の演奏に伴い表示される画像等を示すデータの加工処理および生成処理の指示を、適切なタイミングで自動的に行わせることを可能とする。
【解決手段】 特徴検出部2032は、演奏制御データにより示される楽曲の特徴箇所を検出し、特徴箇所の内容およびタイミングを示す特徴シーケンスデータを指示データ選択部2033に送信する。指示データ選択部2033は、特徴シーケンスデータに応じて、画像データの加工処理等の内容およびタイミングを示す指示シーケンスデータを指示データ生成部2034に送信する。指示データ生成部2034は、指示シーケンスデータに含まれるタイミングデータにより示されるタイミングで、指示データを画像データ加工処理部2024等に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時系列データの生成処理および加工処理を制御するためのデータ処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
楽曲の演奏音と演奏時の映像をプロモーションビデオとして記録する際に、視聴者をより楽しませるプロモーションビデオを自動生成するための技術がある。例えば、特許文献1には、カラオケ楽曲に対応して予め準備されたカメラ制御データに従い、歌唱者等を撮影するためのカメラの方向および焦点距離を自動制御するカラオケ装置が開示されている。
【特許文献1】特開2002−318588号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術による場合、楽曲に適したタイミングで自動的にカメラ制御等がなされるためには、予め楽曲データに対応したカメラ制御データ等の時系列的な処理指示データが準備されている必要があった。
【0004】
上記の状況に鑑み、本発明は、楽曲データが予め時系列的な処理指示データを伴わない場合であっても、当該楽曲データにより示される楽曲の演奏に伴い表示される画像等を示すデータの生成動作制御および加工処理の指示を、適切なタイミングで自動的に行わせることを可能とする手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を達成するために、本発明は、楽曲データを記憶する記憶手段と、前記楽曲データに基づいて、前記楽曲データにより再生される楽曲における特徴箇所を検出する検出手段と、前記楽曲データを楽曲として再生する再生手段と、前記再生手段による前記楽曲データの再生中に視聴覚データを受信する視聴覚データ受信手段と、前記楽曲における前記特徴箇所の発生タイミングに合わせて、前記視聴覚データに加工処理を施す加工手段とを備えることを特徴とするデータ処理装置を提供する。
【0006】
かかる構成のデータ処理装置によれば、ユーザは楽曲データにより再生される楽曲に応じた適切なタイミングで、当該楽曲の演奏に伴い受信される視聴覚データの加工処理を自動的に行わせることができる。
【0007】
好ましい態様において、上記データ処理装置の前記記憶手段は、前記視聴覚データに対する加工処理の内容を示す1以上の指示データを記憶し、前記検出手段は、前記特徴箇所の種別を示す特徴データを生成し、前記加工手段は、前記楽曲における前記特徴箇所の発生タイミングに合わせて、前記視聴覚データに、前記1以上の指示データのうち前記特徴データに応じた指示データにより示される内容の加工処理を施す構成としてもよい。
【0008】
かかる構成のデータ処理装置によれば、ユーザは楽曲における特徴箇所の種別に応じて、視聴覚データに対し、適切な内容の加工処理を行わせることができる。
【0009】
また、本発明は、楽曲データと、前記楽曲データにより再生される楽曲における特徴箇所の発生タイミングを示すタイミングデータと、前記特徴箇所の種別を示す特徴データと、視聴覚データに対する加工処理の内容を示す1以上の指示データを記憶する記憶手段と、前記楽曲データを楽曲として再生する再生手段と、前記再生手段による前記楽曲データの再生中に視聴覚データを受信する視聴覚データ受信手段と、前記タイミングデータにより示される前記楽曲におけるタイミングに合わせて、前記視聴覚データに、前記1以上の指示データのうち前記特徴データに応じた指示データにより示される内容の加工処理を施す加工手段とを備えることを特徴とするデータ処理装置を提供する。
【0010】
かかる構成のデータ処理装置によれば、ユーザは楽曲データによる楽曲の再生中において受信される視聴覚データに対し、楽曲データに伴うタイミングデータに応じた適切なタイミングで、楽曲データに伴う特徴データの種別に応じた適切な加工処理を自動的に行わせることができる。
【0011】
好ましい態様において、上記のデータ処理装置の前記記憶手段は、前記1以上の指示データの組を複数組、記憶し、前記加工手段は、前記複数組から選択された1組に含まれる指示データに従って、前記加工処理を行う構成としてもよい。
【0012】
かかる構成のデータ処理装置によれば、楽曲の属性やユーザの指示に応じたグループに属する指示データに従い処理が行われる結果、ユーザは視聴覚データに対するより適切な加工処理を行わせることができる。
【0013】
また、他の好ましい態様において、上記のデータ処理装置の前記加工手段は、前記再生手段による前記楽曲データの再生速度の変化に応じて、前記加工処理のタイミングおよび前記加工処理の速度の少なくとも一方を変化させる構成としてもよい。
【0014】
かかる構成のデータ処理装置によれば、例えばユーザにより楽曲の再生速度に変更が加えられた場合であっても、視聴覚データに対する加工処理のタイミングおよび速度が楽曲の進行とずれることがない。
【0015】
また、本発明は、楽曲データを記憶する記憶手段と、前記楽曲データを楽曲として再生する再生手段と、前記再生手段により再生された楽曲を示すデータに基づいて、前記楽曲における特徴箇所を検出する検出手段と、前記再生手段による前記楽曲データの再生中に視聴覚データを受信する視聴覚データ受信手段と、前記楽曲における前記特徴箇所の発生タイミングに合わせて、前記視聴覚データに加工処理を施す加工手段とを備えることを特徴とするデータ処理装置を提供する。
【0016】
かかる構成のデータ処理装置によっても、ユーザは楽曲データにより再生される楽曲に応じた適切なタイミングで、当該楽曲の演奏に伴い受信される視聴覚データの加工処理を自動的に行わせることができる。
【0017】
また、本発明は、上記のデータ処理装置と同様の効果をもたらすシステムを実現するための、楽曲データを再生するデータ処理装置を提供する。
【0018】
すなわち、本発明は、楽曲データを記憶する記憶手段と、前記楽曲データに基づいて、前記楽曲データにより再生される楽曲における特徴箇所を検出する検出手段と、前記楽曲データを楽曲として再生する再生手段と、前記楽曲における前記特徴箇所の発生タイミングに合わせて、特徴箇所の発生を示す発生データを送信する発生データ送信手段とを備えることを特徴とするデータ処理装置を提供する。
【0019】
また、本発明は、楽曲データと、視聴覚データに対する加工処理もしくは視聴覚データの生成動作制御の内容を示す指示データを記憶する記憶手段と、前記楽曲データに基づいて、前記楽曲データにより再生される楽曲における特徴箇所を検出し、前記特徴箇所の種別を示す特徴データを生成する検出手段と、前記楽曲データを楽曲として再生する再生手段と、前記楽曲における前記特徴箇所の発生タイミングに合わせて、前記1以上の指示データのうち前記特徴データに応じた指示データを送信する指示データ送信手段とを備えることを特徴とするデータ処理装置を提供する。
【0020】
また、本発明は、楽曲データと、前記楽曲データにより再生される楽曲における特徴箇所の発生タイミングを示すタイミングデータと、前記特徴箇所の種別を示す特徴データと、視聴覚データに対する加工処理もしくは視聴覚データの生成動作制御の内容を示す1以上の指示データを記憶する記憶手段と、前記楽曲データを楽曲として再生する再生手段と、前記タイミングデータにより示される前記楽曲におけるタイミングに合わせて、前記1以上の指示データのうち前記特徴データに応じた指示データを送信する指示データ送信手段とを備えることを特徴とするデータ処理装置を提供する。
【0021】
好ましい態様において、上記のデータ処理装置は、前記再生手段による前記楽曲データの再生速度の変化に応じて、前記1以上の指示データの各々により示される加工処理もしくは生成動作制御の速度が変化するように、前記1以上の指示データのうち、少なくとも1の指示データに変更を加える変更手段を備えるように構成してもよい。
【0022】
また、他の好ましい態様において、上記のデータ処理装置は、前記再生手段による前記楽曲データの再生速度の変化に応じて、前記タイミングデータに変更を加える変更手段を備えるように構成してもよい。
【0023】
また、さらに他の好ましい態様において、上記のデータ処理装置の前記記憶手段は、前記1以上の指示データの組を複数組、記憶し、前記指示データ送信手段は、前記複数組から選択された1組に含まれる指示データに従って、前記送信を行う構成としてもよい。
【0024】
また、本発明は、上記のデータ処理装置と同様の効果をもたらすシステムを実現するための、視聴覚データに加工処理を施すデータ処理装置を提供する。
【0025】
すなわち、本発明は、楽曲データを記憶する記憶手段と、前記楽曲データに基づいて、前記楽曲データにより再生される楽曲における特徴箇所を検出し、前記特徴箇所の種別を示す特徴データを生成する検出手段と、前記楽曲データを楽曲として再生する再生手段と、前記楽曲における前記特徴箇所の発生タイミングに合わせて、前記特徴データを送信する特徴データ送信手段とを備えることを特徴とするデータ処理装置を提供する。
【0026】
また、本発明は、視聴覚データに対する加工処理の内容を各々示す1以上の指示データを記憶する記憶手段と、楽曲における特徴箇所の種別を示す特徴データを受信する特徴データ受信手段と、視聴覚データを受信する視聴覚データ受信手段と、前記特徴データを受信したタイミングに合わせて、前記視聴覚データに、前記1以上の指示データのうち受信した特徴データに応じた指示データにより示される内容の加工処理を施す加工手段とを備えることを特徴とするデータ処理装置を提供する。
【0027】
好ましい態様において、上記のデータ処理装置の前記記憶手段は、前記1以上の指示データの組を複数組、記憶し、前記加工手段は、前記複数組から選択された1組に含まれる指示データに従って、前記加工処理を行う構成としてもよい。
【0028】
また、本発明は、上記の楽曲データを再生するデータ処理装置と組み合わせることにより、楽曲の演奏に応じた適切なタイミングで適切な内容の視聴覚データの生成動作制御を行うデータ処理装置を提供する。
【0029】
すなわち、本発明は、視聴覚データの生成動作制御の内容を各々示す1以上の指示データを記憶する記憶手段と、楽曲における特徴箇所の種別を示す特徴データを受信する特徴データ受信手段と、前記特徴データを受信したタイミングに合わせて、前記1以上の指示データのうち受信した特徴データに応じた指示データにより示される内容に従い、視聴覚データ生成装置の動作制御を行う動作制御手段とを備えることを特徴とするデータ処理装置を提供する。
【0030】
好ましい態様において、上記のデータ処理装置の前記記憶手段は、前記1以上の指示データの組を複数組、記憶し、前記動作制御手段は、前記複数組から選択された1組に含まれる指示データに従って、前記動作制御を行う構成としてもよい。
【0031】
また、本発明は、既に記憶されている視聴覚データに対し、当該視聴覚データに伴う楽曲データにより再生される楽曲の内容に応じた適切な箇所に対する加工処理を行うデータ処理装置を提供する。
【0032】
すなわち、本発明は、楽曲データと、前記楽曲データによる楽曲の再生と並行して表示されるべき映像もしくは発音されるべき音を示す視聴覚データを記憶する記憶手段と、前記楽曲データに基づいて、前記楽曲における特徴箇所を検出する検出手段と、前記視聴覚データのうち、前記特徴箇所の発生タイミングに応じた部分に加工処理を施す加工手段とを備えることを特徴とするデータ処理装置を提供する。
【0033】
かかるデータ処理装置によれば、ユーザは過去に記録された楽曲データを伴う視聴覚データのうち、当該楽曲データに応じた適切な箇所に自動的に加工処理を施すことができるため、視聴者をより楽しませることができる視聴覚データを容易に得ることができる。
【0034】
好ましい態様において、上記のデータ処理装置の前記記憶手段は、前記視聴覚データに対する加工処理の内容を示す1以上の指示データを記憶し、前記検出手段は、前記特徴箇所の種別を示す特徴データを生成し、前記加工手段は、前記視聴覚データのうち、前記特徴箇所の発生タイミングに応じた部分に、前記1以上の指示データのうち当該特徴データに応じた指示データにより示される内容の加工処理を施す構成としてもよい。
【0035】
かかる構成のデータ処理装置によれば、楽曲データに応じた適切な内容の加工処理が施されるため、視聴者をさらにより楽しませることができる視聴覚データが得られる。
【0036】
また、さらに好ましい態様において、上記のデータ処理装置の前記記憶手段は、前記1以上の指示データの組を複数組、記憶し、前記加工手段は、前記複数組から選択された1組に含まれる指示データに従って、前記加工処理を行う構成としてもよい。
【0037】
かかる構成のデータ処理装置によれば、楽曲の属性やユーザの指示に応じたグループに属する指示データに従い処理が行われる結果、ユーザはより適切な加工処理の施された視聴覚データを得ることができる。
【0038】
また、本発明は、既に記憶されている楽曲データに対し、当該楽曲データにより再生される楽曲の内容に応じた適切な箇所に対する加工処理を行うデータ処理装置を提供する。
【0039】
すなわち、本発明は、楽曲データを記憶する記憶手段と、前記楽曲データに基づいて、前記楽曲データにより再生される楽曲における特徴箇所を検出する検出手段と、前記楽曲データのうち、前記特徴箇所の発生タイミングに応じた部分に加工処理を施す加工手段とを備えることを特徴とするデータ処理装置を提供する。
【0040】
かかるデータ処理装置によれば、ユーザは過去に記録された楽曲データのうち、当該楽曲データに応じた適切な箇所に自動的に加工処理を施すことができるため、視聴者をより楽しませることができる楽曲データを容易に得ることができる。
【0041】
好ましい態様において、上記のデータ処理装置の前記記憶手段は、前記楽曲データに対する加工処理の内容を示す1以上の指示データを記憶し、前記検出手段は、前記特徴箇所の種別を示す特徴データを生成し、前記加工手段は、前記楽曲データのうち、前記特徴箇所の発生タイミングに応じた部分に、前記1以上の指示データのうち当該特徴データに応じた指示データにより示される内容の加工処理を施す構成としてもよい。
【0042】
かかる構成のデータ処理装置によれば、楽曲データに応じた適切な内容の加工処理が施されるため、視聴者をさらにより楽しませることができる楽曲データを得ることができる。
【0043】
また、さらに好ましい態様において、上記のデータ処理装置の前記記憶手段は、前記1以上の指示データの組を複数組、記憶し、前記加工手段は、前記複数組から選択された1組に含まれる指示データに従って、前記加工処理を行う構成としてもよい。
【0044】
かかる構成のデータ処理装置によれば、楽曲の属性やユーザの指示に応じたグループに属する指示データに従い処理が行われる結果、ユーザはより適切な加工処理の施された楽曲データを得ることができる。
【0045】
また、本発明は、上述した各々のデータ処理装置による処理をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラムを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
[1.第1実施形態]
[1.1.カラオケシステムの構成]
図1は、本発明の第1実施形態にかかるシステム(以下、「カラオケシステム1」と呼ぶ)の構成を示している。カラオケシステム1は、カラオケ装置10、カラオケ装置10に対しユーザが指示を与えるためのコントローラ11、ユーザの声を拾音しその声を示す音信号をカラオケ装置10に出力するマイク12aおよびマイク12b、カラオケ装置10から出力される音信号を増幅するアンプ13、アンプ13から出力される音信号を音に変換し出力するスピーカ14、撮像した映像を示す画像データを順次生成し出力するビデオカメラ15a〜eおよびハンドカメラ16、ビデオカメラ15a〜eの位置および方向をモータ等により各々変化させるカメラ移動装置17a〜e、ビデオカメラ15b〜eの各々から入力される画像データの品質を評価し品質の良好な画像データを選択してカラオケ装置10に出力するセレクタ18、カラオケ装置10から出力される画像データに従い画像表示を行うディスプレイ19aおよびb、そしてカラオケ装置10から出力されるデータをフラッシュメモリ等の記憶媒体に記憶するメディアドライブ20を備えている。また、カラオケ装置10はインターネット21に接続されている。
【0047】
カラオケシステム1は、上記のようにマイク12、ビデオカメラ15、カメラ移動装置17およびディスプレイ19をそれぞれ複数備えているが、以下、複数の同種の構成部を区別する必要がない場合には、単にマイク12のように呼ぶ。また、カラオケシステム1が備えるマイク12等の数は例示であり、自由に変更可能である。さらに、例えばスピーカ14を複数設けるなど、他の構成部の数も自由に変更可能である。
【0048】
図2はカラオケシステム1がカラオケルームに設置された様子を示している。マイク12aおよびマイク12bはそれぞれメインマイクおよびサブマイクであり、歌唱者が1人の場合はメインマイクのみが用いられ、歌唱者が2人の場合にはメインマイクとサブマイクが用いられる。ビデオカメラ15aはメインカメラであり、主として歌唱者を撮像する。一方、ビデオカメラ15b〜eはいずれもサブカメラであり、主として観衆をそれぞれ異なる角度から撮像する。ディスプレイ19aは主として歌唱者に対する表示を行う。一方、ディスプレイ19bは主として観衆に対する表示を行う。
【0049】
図1に戻り、カラオケ装置10の構成を説明する。カラオケ装置10は記憶部101、入出力I/F(Interface)102および制御部103を備えている。記憶部101は、制御部103による各種処理を指示するプログラムを予め記憶し、また制御部103により生成されるデータを一時的に記憶する。さらに、記憶部101は予め、複数のカラオケデータ1011、汎用画像ソースDB(データベース)1012および指示DB1013を記憶している。
【0050】
以下、記憶部101に記憶される各種データを説明する。図3は、カラオケデータ1011の構成を模式的に示している。カラオケデータ1011は、カラオケ楽曲の自動演奏および歌詞表示を指示するデータである。カラオケデータ1011には、含まれるデータの構成により複数の種類があり、図3において、それらの各々をカラオケデータ1011a〜fとして示している。
【0051】
カラオケデータ1011a〜fのいずれも、管理データ、演奏制御データおよび歌詞データを含んでいる。管理データは、カラオケデータを識別するための識別番号、楽曲名および楽曲ジャンル名を示すデータである。
【0052】
演奏制御データは、カラオケ楽曲の自動演奏を指示するデータであり、例えばSMF(Standard MIDI File)形式のデータである。図4は、演奏制御データの内容を例示している。ただし、図4においては、説明のため、SMFの表現形式を簡便化している。演奏制御データは、互いに対応付けられたタイミングデータとイベントデータからなるタイミング付イベントデータを複数、含んでいる。タイミングデータは、楽曲におけるタイミングを示すデータである。演奏制御データに含まれるイベントデータは、楽音の発音に関する指示もしくは楽曲における調子等の付随的な情報を示すデータである。
【0053】
例えば、[0h00m01s250ms]−[ノートオン:1ch:D4:74]は、楽曲の演奏開始から1秒250ミリ秒後に第1のチャンネルに割り当てられた音色の音高D4の楽音を、音強74で発音することを指示している。ここで、チャンネルとは楽曲に含まれる個々の演奏パートのことである。また、例えば[0h00m04s130ms]−[コード:Bm]は、楽曲の演奏開始から4秒130ミリ秒後に楽曲全体に関しコードがBmに変化することを示している。
【0054】
歌詞データは、カラオケ楽曲の歌詞表示を指示するデータである。図5は、歌詞データの内容を例示している。歌詞データは、演奏制御データと同様に複数のタイミング付イベントデータを含んでいる。例えば、[0h00m12s150ms]−[表示:さ:(120,180):赤]は、楽曲の演奏開始から12秒150ミリ秒後に画面上の座標(120,180)の位置に「さ」という文字を赤で表示させることを指示している。
【0055】
カラオケデータ1011bおよびeは、さらに特徴シーケンスデータを含んでいる。特徴シーケンスデータは、楽曲における特徴箇所を示すデータである。楽曲における特徴箇所とは、イントロや第1メロディ等の楽曲に含まれるセクションの区切り箇所、転調箇所、リズムの変化箇所、強拍(ビート)箇所、小節区切り箇所等である。図6は、特徴シーケンスデータの内容を例示している。特徴シーケンスデータは、演奏制御データと同様に複数のタイミング付イベントデータを含んでいる。例えば、[0h01m10s480ms]−[イントロ→第1メロディ]は、楽曲の演奏開始から1分10秒480ミリ秒後にイントロと第1メロディの区切り箇所があることを示している。以下、特徴シーケンスデータに含まれるイベントデータのように、楽曲の特徴箇所の種別を示すイベントデータを特徴データと呼ぶ。
【0056】
一方、カラオケデータ1011cおよびfは、指示シーケンスデータを含んでいる。指示シーケンスデータは、楽曲の演奏に伴い撮像される映像を示す画像データの加工処理、楽曲の演奏に伴う撮像におけるビデオカメラ15およびカメラ移動装置17の動作制御、そして楽曲の演奏に伴い拾音される音を示す音データの加工処理を指示するデータである。図7は、指示シーケンスデータの内容を例示している。指示シーケンスデータは、画像データの加工処理に関する画像加工指示シーケンスデータと、撮像における動作制御に関する動作制御指示シーケンスデータと、音データの加工処理に関する音加工指示シーケンスデータを含んでいる。画像加工指示シーケンスデータ、動作制御指示シーケンスデータおよび音加工指示シーケンスデータの各々は、演奏制御データと同様に複数のタイミング付イベントデータを含んでいる。
【0057】
例えば、[0h00m14s150ms]−[窓表示:大:中央:メインカメラ]は、楽曲の演奏開始から14秒150ミリ秒後に、背景となる画面の中央に大きさ「大」の窓を表示させ、その窓にメインカメラから入力される映像を表示させるスーパーインポーズ処理を指示する画像加工に関するタイミング付イベントデータである。また、[0h00m14s150ms]−[メインマイク:ディレイ:0.5秒]は、楽曲の演奏開始から14秒150ミリ秒後に、メインカメラから入力される音を示す音データに対する0.5秒のディレイ処理を指示する音加工に関するタイミング付イベントデータである。
【0058】
また、[0h00m14s150ms]−[サブカメラ:ズームイン:1.2倍:2秒間:終了時点:テンポ固定]は、サブカメラに対し1.2倍のズームイン動作を指示する動作制御に関するタイミング付イベントデータである。また、このイベントデータに含まれる[2秒間:終了時点:テンポ固定]は、ズームイン動作が2秒間で完了する速度で行われ、その処理期間の終了時点がタイミングデータにより指定されるタイミングと一致するように処理の開始タイミングが決定され、さらにその開始タイミングおよび処理速度はユーザによる楽曲の演奏テンポの変更に左右されないことを示している。
【0059】
以下、指示シーケンスデータに含まれるイベントデータのように、画像データの加工処理、撮像における動作制御および音データの加工処理を指示するイベントデータを指示データと呼ぶ。ところで、画像加工に関する指示データには、予め準備された動画データもしくは静止画データの再生もしくは表示の指示を伴うものがある。例えば、[全画面:モザイク:動画データ再生]は、予め準備された動画データを再生し、その結果得られる画像データをモザイク処理した後、全画面に表示することを指示する指示データである。以下、予め準備された動画データもしくは静止画データを、リアルタイムで撮像される画像データを区別するために、それぞれ動画ソースデータおよび静止画ソースデータと呼ぶ。また、動画ソースデータおよび静止画ソースデータを総称して、画像ソースデータと呼ぶ。カラオケデータ1011d〜fは、カラオケ楽曲に適する画像ソースデータを予め含んでいる。以上が、カラオケデータ1011の構成である。
【0060】
図8は、記憶部101に記憶された汎用画像ソースDB1012の内容を例示した図である。汎用画像ソースDB1012は、カラオケデータ1011が必要な画像ソースデータを含まない場合に利用される画像ソースデータ(以下、「汎用画像ソースデータ」と呼ぶ)を複数格納したデータベースである。汎用画像ソースDB1012は、動画を示す汎用画像ソースデータ(以下、「汎用動画ソースデータ」と呼ぶ)を格納する汎用動画ソースDBと、静止画を示す汎用画像ソースデータ(以下、「汎用静止画ソースデータ」と呼ぶ)を格納する汎用静止画ソースDBとを含んでいる。汎用動画ソースDBには、汎用画像ソースデータとともに、それらが用いられるのに適する楽曲のジャンルを示すデータが記憶されている。汎用静止画ソースDBも同様である。
【0061】
図9は、記憶部101に記憶された指示DB1013の内容を例示した図である。指示DB1013は、カラオケデータ1011が指示シーケンスデータを含まない場合に利用される指示データを複数格納したデータベースである。指示DB1013は、画像データの加工処理、撮像における動作制御および音データの加工処理の各々に関する指示データを格納するデータベースとして、画像加工指示DB、動作制御指示DBおよび音加工指示DBを含んでいる。画像加工指示DB、動作制御指示DBおよび音加工指示DBは、各指示データとともに、それらが用いられるのに適する楽曲のジャンルを示す楽曲ジャンル名と、それらが用いられるのに適する楽曲の特徴箇所を示す適用箇所名を各指示データに対応付けて格納している。以下、楽曲ジャンル名および適用箇所名が対応付けられた指示データを属性付指示データと呼ぶ。画像加工指示DB、動作制御指示DBおよび音加工指示DBの各々は、同じ楽曲ジャンル名および適用箇所名を含むが、指示データの内容が異なる属性付指示データを複数、含むことができる。
【0062】
例えば、[ロック]−[短調→長調]−[ディゾルブ:サブカメラ←→メインカメラ:3秒間:中間時点:テンポ調整]は、楽曲のジャンルがロックである楽曲において、短調から長調に転調する箇所で、ディゾルブ処理を行いながらサブカメラとメインカメラの表示位置を入れ替えることを指示している。また、この指示データに含まれる[3秒間:中間時点:テンポ調整]は、ディゾルブ処理が3秒間で完了する速度で行われ、その処理期間の中間時点が特徴箇所のタイミングと一致するように処理の開始タイミングが決定され、さらにその開始タイミングおよび処理速度はユーザによる楽曲の演奏テンポの変更に応じて調整されることを示している。また、図9の画像加工指示DBにおける2行目のデータ例のように、指示DB1013は、同時に行われるべき処理を指示する複数の指示データを含む属性付指示データを格納することもできる。以上が、記憶部101に記憶される各種データである。
【0063】
図1に戻り、カラオケ装置10の構成説明を続ける。入出力I/F102は、カラオケ装置10に含まれる記憶部101および制御部103がコントローラ11、マイク12、アンプ13、ビデオカメラ15a、ハンドカメラ16、カメラ移動装置17、セレクタ18、ディスプレイ19、メディアドライブ20およびインターネット21との間でアナログ信号およびデジタルデータの入出力を行うインタフェースである。また、入出力I/F102はA/D(Analog to Digital)コンバータおよびD/A(Digital to Analog)コンバータを備えており、必要に応じてアナログ信号とデジタルデータとの間の変換を行う。
【0064】
制御部103は、カラオケデータ1011に従いカラオケ楽曲の自動演奏と歌詞表示を行うと同時に、ユーザの映像の撮像を行うためのカメラ移動装置17およびビデオカメラ15の動作制御を行う。また、この間、制御部103は、ビデオカメラ15により得られたユーザの歌唱時の映像を示す画像データおよびマイク12により採取された歌唱音を示す音データに加工処理を施し、それらのデータをビデオデータとして記憶する。
【0065】
制御部103の構成部は、音データの処理に関する音データブロック201、画像データの生成および処理に関する画像データブロック202および指示データの生成に関する指示データブロック203に区分される。また、制御部103は発振器(図示略)を備えており、制御部103の構成部の処理は発振器により生成されるクロック信号に基づき同期がとられている。
【0066】
音データブロック201は、演奏制御データの再生を行うと同時に、マイク12からリアルタイムに取得される視聴覚データの一種である音データに加工処理を施すブロックである。音データブロック201は、カラオケデータ1011に含まれる演奏制御データに従い、演奏制御を行う手段を有する。さらに詳述すると、音データブロック201は、演奏制御データにおけるタイミングデータにより示されるタイミングでイベントデータを音源部2012に送信する演奏制御データ再生部2011と、演奏制御データ再生部2011から受信されるイベントデータに従い様々な楽音を示す音データを出力する音源部2012を備えている。また、音データブロック201は、マイク12から入力される音を示す音データおよび音源部2012から受信される音データの各々に各種エフェクト処理等の加工処理を施した後、それらをミキシング処理して得られる音データをアンプ13に対し出力する音データ加工処理部2013を備えている。
【0067】
画像データブロック202は、音データブロック201による演奏制御データの再生と同期し、ビデオカメラ15等からリアルタイムに取得される視聴覚データの一種である画像データに加工処理を施すブロックである。また、画像データブロック202は、ビデオカメラ15等による画像データの生成動作の制御も行う。画像データブロック202は、カラオケデータ1011もしくは汎用画像ソースDB1012に含まれる動画データを再生することにより映像を示す画像データを順次生成する動画データ再生部2021、カラオケデータ1011に含まれる歌詞データに従い歌詞表示の画面を示す画像データを順次生成する歌詞画面生成部2022、そしてカメラ移動装置17およびビデオカメラ15の各々の動作制御を行う撮像動作制御部2023を備えている。また、画像データブロック202は、動画データ再生部2021、歌詞画面生成部2022、ビデオカメラ15a、ハンドカメラ16およびセレクタ18の各々から受信される画像データと、カラオケデータ1011もしくは汎用画像ソースDB1012に含まれる静止画データに、各種エフェクト処理等の加工処理を施した後、それらを合成処理して得られる画像データをディスプレイ19に送信する画像データ加工処理部2024を備えている。画像の合成処理には、例えば、ある画像に別の画像をスーパーインポーズする処理や、ある画像から別の画像が透けて見えるように両画像を合成する処理が含まれる。
【0068】
指示データブロック203は、必要に応じて演奏制御データから特徴箇所を検出し、特徴箇所に応じた指示データを画像データ加工処理部2024等に送信するブロックである。指示データブロック203は、判定部2031、特徴検出部2032、指示データ選択部2033および指示データ生成部2034を含んでいる。判定部2031は、カラオケデータ1011の構成が次の3種類のいずれであるかを判定する。
構成(a):特徴シーケンスデータおよび指示シーケンスデータのいずれも含んでいない。
構成(b):特徴シーケンスデータを含んでいる。
構成(c):指示シーケンスデータを含んでいる。
【0069】
特徴検出部2032は、カラオケデータ1011の構成が(a)であると判定された場合に、カラオケデータ1011に含まれる演奏制御データに基づきカラオケ楽曲における特徴箇所を検出して特徴シーケンスデータを生成する。特徴検出部2032は生成した特徴シーケンスデータを指示データ選択部2033に送信する。
【0070】
指示データ選択部2033は、カラオケデータ1011の構成が(a)であると判定された場合には、特徴検出部2032から特徴シーケンスデータを受信し、またカラオケデータ1011の構成が(b)であると判定された場合には、カラオケデータ1011に含まれる特徴シーケンスデータを読み出し、特徴シーケンスデータに含まれる特徴データに応じた指示データを指示DB1013から選択することにより、指示シーケンスデータを生成する。指示データ選択部2033は生成した指示シーケンスデータを指示データ生成部2034に送信する。
【0071】
指示データ生成部2034は、カラオケデータ1011の構成が(a)もしくは(b)であると判定された場合には、指示データ選択部2033から指示シーケンスデータを受信し、またカラオケデータ1011の構成が(c)であると判定された場合には、カラオケデータ1011に含まれる指示シーケンスデータを読み出し、指示シーケンスデータに含まれるタイミングデータに応じたタイミングで、指示シーケンスデータに含まれる指示データを、画像データ加工処理部2024、撮像動作制御部2023および音データ加工処理部2013に送信する。画像データ加工処理部2024、撮像動作制御部2023および音データ加工処理部2013は、指示データ生成部2034から送信される指示データに従い、各々、画像データの加工処理、撮像動作の制御処理および音データの加工処理を行うのである。以上が、カラオケシステム1の構成である。
【0072】
[1.2.カラオケシステムの動作]
上記の構成を備えるカラオケシステム1を用いて、ユーザはカラオケにおける歌唱時の音および映像をリアルタイムに加工して発音および表示させることができるとともに、それらの音および映像をビデオデータとして記録することができる。その際、カラオケ装置10は演奏されるカラオケ楽曲に応じて、適切なタイミングで適切な内容の画像データの加工処理、撮像動作の制御処理および音データの加工処理を行うことにより、視聴者をより楽しませることができる音および映像をユーザに提供することができる。以下、カラオケシステム1の動作を説明する。
【0073】
ユーザはディスプレイ19aに表示される指示に従い、コントローラ11を用いてカラオケ楽曲の選択を行う。その際、ユーザは楽曲のテンポ変更や移調の指定も行うことができる。ユーザは、それらの操作後、カラオケ装置10に対し演奏開始の指示を行う。図10は、ユーザによる演奏開始の指示に応じてカラオケ装置10が行う処理を模式的に示した図である。図10において、右方向は演奏制御データにより演奏指示がなされる楽曲における時間軸を示している。
【0074】
ユーザの演奏開始の指示に応じて、判定部2031は記憶部101からユーザにより指定されたカラオケ楽曲に対応するカラオケデータ1011(図3参照)を読み出し、そのカラオケデータ1011に関し、上述した特徴シーケンスデータおよび指示シーケンスデータの有無に関する判定を行う(ステップS100)。判定部2031は、カラオケデータ1011に特徴シーケンスデータおよび指示シーケンスデータのいずれも含まれていないと判定した場合、その判定結果を示すデータを特徴検出部2032に送信する(ステップS100a)。
【0075】
特徴検出部2032は、上記のステップS100aにおいて判定部2031から特徴シーケンスデータおよび指示シーケンスデータのいずれも含まれていない旨の判定結果を受信すると、カラオケデータ1011に含まれる演奏制御データ(図4参照)に基づき、カラオケ楽曲における特徴箇所を検出する。例えば、特徴検出部2032は、演奏制御データに含まれる楽音の発音指示に関するタイミング付イベントデータを抽出し、音強の移動平均値が所定レベルを超える箇所を音量変化の特徴を示す特徴箇所として検出する。同様に、特徴検出部2032は、演奏制御データに含まれるタイミング付イベントデータにより示される楽音の音高から転調の箇所を特徴箇所として検出する。また、特徴検出部2032は、演奏制御データに含まれるドラムパートを示すチャンネルに関するタイミング付イベントデータに基づき、リズムの変化箇所を特徴箇所として検出する。その他、特徴検出部2032は音色の変化箇所、テンポの変化箇所等、楽曲における様々な特徴箇所を演奏制御データから検出する。
【0076】
特徴検出部2032は、上記のように検出した特徴箇所の種別を示すデータを特徴データとして生成し、生成した特徴データに対し、検出した特徴箇所の楽曲におけるタイミングを示すタイミングデータを対応付けることにより、図6に示した形式を備える特徴シーケンスデータを新たに生成する(ステップS101)。特徴検出部2032は、生成した特徴シーケンスデータを記憶部101に記憶させた後、その旨を示すデータを指示データ選択部2033に送信する。
【0077】
判定部2031は、上記のステップS100においてカラオケデータ1011に特徴シーケンスデータが含まれていると判定した場合、その判定結果を示すデータを指示データ選択部2033に送信する(ステップS100b)。
【0078】
指示データ選択部2033は、上記のステップS101において特徴検出部2032から特徴シーケンスデータが記憶された旨のデータを受信した場合、記憶部101から特徴シーケンスデータを読み出す。また、指示データ選択部2033は、上記のステップS100の判定結果として、カラオケデータ1011に特徴シーケンスデータが含まれている旨の判定結果を判定部2031から受信した場合(ステップS100b)、カラオケデータ1011に含まれる特徴シーケンスデータ(図6参照)を読み出す。
【0079】
指示データ選択部2033は、読み出した特徴シーケンスデータに含まれる特徴データの各々に関し、指示DB1013(図9参照)から適する指示データを選択する。より具体的には、指示データ選択部2033は、特徴データの種別に応じて、指示DB1013に含まれる画像加工指示DB、動作制御指示DBおよび音加工指示DBのいずれかを選択する。続いて、指示データ選択部2033は、選択したデータベースに含まれる属性付指示データのうち、楽曲ジャンル名がカラオケデータ1011の管理データに含まれる楽曲ジャンル名と一致し、かつ適用箇所名が特徴データの内容と一致するものを抽出する。指示データ選択部2033は、抽出した属性付指示データが1つである場合にはその属性付指示データに含まれる指示データを取り出す。また、指示データ選択部2033は、抽出した属性付指示データが複数である場合には、擬似乱数を発生させ、その擬似乱数に基づいて抽出した属性付指示データの1つを選択し、選択した属性付指示データに含まれる指示データを取り出す。そのように取り出された指示データは、カラオケ楽曲のジャンルに適し、かつ特徴データにより示される楽曲における特徴の内容に適した加工処理もしくは動作制御を指示する指示データである。
【0080】
指示データ選択部2033は、上記のように選択した指示データに対し、特徴データに対応付けられているタイミングデータを対応付けることにより、図7に示した形式を備える指示シーケンスデータを新たに生成する(ステップS102)。指示データ選択部2033は、生成した指示シーケンスデータを記憶部101に記憶させた後、その旨を示すデータを指示データ生成部2034に送信する。
【0081】
判定部2031は、上記のステップS100においてカラオケデータ1011に指示シーケンスデータが含まれていると判定した場合、その判定結果を示すデータを指示データ生成部2034に送信する(ステップS100c)。
【0082】
指示データ生成部2034は、上記のステップS102において指示データ選択部2033から指示シーケンスデータが記憶された旨のデータを受信した場合、記憶部101から指示シーケンスデータを読み出す。また、指示データ生成部2034は、上記のステップS100cにおいて判定部2031からカラオケデータ1011に指示シーケンスデータが含まれている旨の判定結果を受信した場合、カラオケデータ1011に含まれる指示シーケンスデータ(図7参照)を読み出す。
【0083】
指示データ生成部2034は、指示シーケンスデータの読み出しを完了すると、演奏制御データ再生部2011および歌詞画面生成部2022に対し、演奏制御データおよび歌詞データの再生開始を指示するデータを送信する。演奏制御データ再生部2011および歌詞画面生成部2022は、指示データ生成部2034からの再生開始を指示するデータに応じて、カラオケデータ1011に含まれる演奏制御データ(図4参照)および歌詞データ(図5参照)の再生をそれぞれ開始する(ステップS103、ステップS104)。
【0084】
演奏制御データ再生部2011により演奏制御データの再生、すなわち演奏制御データに含まれるタイミングデータに応じたタイミングにおけるイベントデータの音源部2012への送信が行われると、音源部2012は演奏制御データ再生部2011から受信されるイベントデータに応じた楽音を示す音データの生成処理を行い、生成した音データを音データ加工処理部2013に送信する。一方、マイク12により拾音される音を示す信号は常時、音データ加工処理部2013に入力される。音データ加工処理部2013は、音源部2012から受信される音データと、マイク12から入力される音を示す音データをミキシング処理して得られる音データを順次、アンプ13に出力する(ステップS105)。その際、入出力I/F102によりデジタルデータからアナログ信号への変換が行われる。アンプ13は入出力I/F102を介して音データ加工処理部2013から入力される音信号を増幅する。アンプ13により増幅された音信号はスピーカ14により発音される。そのように発音される音は、カラオケ楽曲の演奏音とユーザの歌唱音がミキシングされた音である。
【0085】
また、演奏制御データ再生部2011により歌詞データの再生、すなわち歌詞データに従った歌詞表示画面を示す画像データの生成および画像データ加工処理部2024への送信が行われると、画像データ加工処理部2024は歌詞画面生成部2022から受信される画像データをディスプレイ19aに送信する。一方、ビデオカメラ15aおよびハンドカメラ16により撮像される映像を示す画像データは常時、画像データ加工処理部2024に送信される。また、サブカメラ、すなわちビデオカメラ15b〜eにより撮像される映像を示す画像データは常時、セレクタ18に送信され、セレクタ18により選択された画像データは常時、セレクタ18から画像データ加工処理部2024に送信される。
【0086】
画像データ加工処理部2024は、メインカメラ、すなわちビデオカメラ15aから受信される画像データに対し歌詞画面生成部2022から受信される画像データをスーパーインポーズ処理し、この結果得られる画像データを順次、ディスプレイ19aに送信する。その結果、歌唱者が歌唱しながら見るディスプレイ19aには、歌唱者自身の現在の映像と歌詞が表示される。また、画像データ加工処理部2024は、ビデオカメラ15a、ハンドカメラ16およびセレクタ18から受信される画像データに対し合成処理を行って得られる画像データを順次、ディスプレイ19bに送信する(ステップS106)。その結果、観衆が見るためのディスプレイ19bには、カラオケルームに設けられた複数のカメラにより撮像された映像が合成された映像が表示される。
【0087】
ところで、上記の演奏制御データ再生部2011による演奏制御データの再生および歌詞画面生成部2022による歌詞データの再生と並行して、指示データ生成部2034は指示シーケンスデータの再生を行う。すなわち、指示データ生成部2034は、指示シーケンスデータに含まれるタイミングデータにより示されるタイミングにおいて、タイミングデータに対応付けられた指示データを、その指示データの種別に応じて、音データ加工処理部2013、撮像動作制御部2023もしくは画像データ加工処理部2024に送信する(ステップS107〜ステップS109)。
【0088】
例えば、図10において、T1で示されるタイミングを示すタイミングデータに対応付けられた指示データが指示シーケンスデータに含まれる場合、指示データ生成部2034は、歌詞データおよび演奏制御データの再生が進行し、T1のタイミングに達した時点で、当該指示データを音データ加工処理部2013(ステップS107)、撮像動作制御部2023(ステップS108)もしくは画像データ加工処理部2024(ステップS109)に送信する。指示シーケンスデータに含まれるタイミングデータにより示されるT2〜Tn(ただし、nは任意の自然数)のタイミングにおいても、指示データ生成部2034はステップS107〜ステップS109の処理を繰り返す。
【0089】
音データ加工処理部2013は、指示データ生成部2034から指示データを受信すると、マイク12から入力される音を示す音データおよび音源部2012から受信される音データに、受信した指示データにより示される加工処理を施した後、それらをミキシング処理して(ステップS110)、アンプ13に対し出力する。その結果、スピーカ14から発音される音は、演奏制御データにより示される楽曲における特徴箇所に応じたタイミングで、特徴箇所の種別に応じた種別の加工処理が施された音であり、視聴者をより楽しませるものとなる。
【0090】
撮像動作制御部2023は、指示データ生成部2034から指示データを受信すると、受信した指示データの内容に応じて、カメラ移動装置17に対するビデオカメラ15の旋回や移動の動作指示、もしくはビデオカメラ15に対するズームイン・ズームアウト等の動作指示を示すデータを送信する。カメラ移動装置17およびビデオカメラ15は、撮像動作制御部2023から受信される動作指示のデータに従った動作を行う。このため、動作指示のデータに従い、撮像の位置、角度、大きさ等が変化する。ビデオカメラ15aから画像データ加工処理部2024に送信される画像データおよびビデオカメラ15b〜eからセレクタ18を介して画像データ加工処理部2024に送信される画像データは、このような撮像の位置、角度、大きさ等の変化を反映したものとなる(ステップS111)。
【0091】
画像データ加工処理部2024は、指示データ生成部2034から指示データを受信すると、受信した指示データが動画の再生指示を伴うか否かを判定する。指示データが動画の再生指示を伴う場合、画像データ加工処理部2024は続いて、カラオケデータ1011(図3参照)に動画ソースデータが含まれているか否かを判定する。カラオケデータ1011が動画ソースデータを含んでいる場合、画像データ加工処理部2024はカラオケデータ1011に含まれる動画ソースデータの再生を指示するデータを動画データ再生部2021に対し送信する。また、カラオケデータ1011に動画ソースデータが含まれていない場合、画像データ加工処理部2024は、汎用画像ソースDB1012(図8参照)に含まれる汎用動画ソースDBから、カラオケデータ1011の管理データにより示される楽曲ジャンル名に対応付けられた汎用動画ソースデータを選択する。その際、汎用動画ソースDBが選択候補となる汎用動画ソースデータを複数含んでいる場合、画像データ加工処理部2024は、例えば擬似乱数を発生させ、その擬似乱数に基づいてそれらの候補の1つを選択する。
【0092】
画像データ加工処理部2024は選択した汎用動画ソースデータの再生を指示するデータを動画データ再生部2021に対し送信する。動画データ再生部2021は、画像データ加工処理部2024からの再生指示に従い、指定されたデータの再生を行い、生成した画像データを順次、画像データ加工処理部2024に送信する。
【0093】
続いて、画像データ加工処理部2024は、指示データが静止画の表示指示を伴うか否かを判定する。指示データが静止画の表示指示を伴う場合、画像データ加工処理部2024は続いて、カラオケデータ1011(図3参照)に静止画ソースデータが含まれているか否かを判定する。カラオケデータ1011が静止画ソースデータを含んでいる場合には、画像データ加工処理部2024はカラオケデータ1011に含まれる静止画ソースデータを読み出す。また、カラオケデータ1011に静止画ソースデータが含まれていない場合、画像データ加工処理部2024は、汎用画像ソースDB1012(図8参照)に含まれる汎用静止画ソースDBから、カラオケデータ1011の管理データにより示される楽曲ジャンル名に対応付けられた汎用静止画ソースデータを選択する。その際、汎用静止画ソースDBが選択候補となる汎用静止画ソースデータを複数含んでいる場合、画像データ加工処理部2024は、例えば擬似乱数を発生させ、その擬似乱数に基づいてそれらの候補の1つを選択する。そして、画像データ加工処理部2024は選択した汎用静止画ソースデータを読み出す。
【0094】
続いて、画像データ加工処理部2024は、ビデオカメラ15a、ハンドカメラ16、セレクタ18および動画データ再生部2021の各々から受信される画像データと、読み出した静止画ソースデータもしくは汎用静止画ソースデータに、指示データにより示される加工処理を施した後、さらに合成処理を施す(ステップS112)。画像データ加工処理部2024は、ステップS112の処理により得られる画像データをディスプレイ19bに送信する。上記のステップS111およびステップS112における処理の結果、ディスプレイ19bにより表示される映像は、演奏制御データにより示される楽曲における特徴箇所に応じたタイミングで、特徴箇所の種別に応じた種別の加工処理が施された映像であり、視聴者をより楽しませるものとなる。
【0095】
上記のステップS110において音データ加工処理部2013により加工処理およびミキシング処理の施された音データと、上記のステップS112において画像データ加工処理部2024により加工処理および合成処理の施された画像データは、1つのビデオデータとして記憶部101に記憶される。ユーザは、カラオケ楽曲の演奏が終了すると、ディスプレイ19aに表示される指示に従い、記憶されたビデオデータの受け取り方法をカラオケ装置10に対し指示する。ビデオデータの受け取り方法としては、例えば「メールアドレスに送信」、「フラッシュメモリに記録」等が考えられる。
【0096】
ユーザが「メールアドレスに送信」を選択した場合、カラオケ装置10はユーザの指定したメールアドレスや電話番号宛の電子メールを生成し、生成した電子メールにビデオデータを添付した後、インターネット21に対し送信する。また、ユーザが「フラッシュメモリに記録」を選択した場合、カラオケ装置10はユーザによりメディアドライブ20に装填されたフラッシュメモリに対し、ビデオデータを記録する。その結果、ユーザは自宅のコンピュータや携帯電話等により、カラオケシステム1により生成されたビデオデータを再生して楽しんだり、知人に送信等することができる。以上がカラオケシステム1の動作である。
【0097】
ところで、カラオケ装置10は、専用のハードウェアにより実現されてもよいし、汎用コンピュータにアプリケーションプログラムに従った処理を実行させることにより実現されてもよい。カラオケ装置10が汎用コンピュータにより実現される場合、制御部103の各構成部は、汎用コンピュータが備えるCPU(Central Processing Unit)およびCPUの制御下で動作するDSP(Digital Signal Processor)が、アプリケーションプログラムに含まれる各モジュールに従った処理を同時並行して行うことにより、汎用コンピュータの機能として実現される。
【0098】
また、上記においては、カラオケシステム1をカラオケ装置10と、カラオケ装置10に接続されるマイク12等の各種装置の組合せとして説明した。しかしながら、カラオケシステム1の構成部のいずれを組み合わせて同じ筐体に配置するかは自由に変更可能である。
【0099】
また、上記においては、カラオケデータ1011はカラオケ楽曲の伴奏を示す楽曲データとして演奏制御データを含むものとして説明した。しかしながら、カラオケデータ1011は、演奏制御データの代わりに、カラオケ楽曲の伴奏音を示す音データを含むようにしてもよい。その場合、カラオケ装置10は演奏制御データ再生部2011および音源部2012の代わりに、カラオケデータ1011に含まれる音データを再生する音データ再生部を備える。また、特徴検出部2032は、カラオケデータ1011に含まれる音データのレベル変化やピッチ変化等の検出を行うことにより、カラオケ楽曲における特徴箇所の検出を行う。
【0100】
また、上記においては、指示データ生成部2034は音加工に関する指示データを音データ加工処理部2013に送信するものとして説明した。しかしながら、音源部2012がエフェクト処理を行う機能を備えている場合等には、指示データ生成部2034は音加工に関する指示データを音源部2012に送信するようにしてもよい。例えば、指示データ生成部2034は音源部2012に対し、指示データ[ディレイ:0.5秒]を送信する。この場合、音源部2012は指示データに従い、その後に生成する音データに対し0.5秒のディレイ処理を施したものを音データ加工処理部2013に送信する。
【0101】
また、指示データ生成部2034は音加工に関する指示データを演奏制御データ再生部2011に送信するようにしてもよい。例えば、指示データ生成部2034は演奏制御データ再生部2011に対し、指示データ[ボリュームアップ:1.2倍]を送信する。この場合、演奏制御データ再生部2011は指示データに従い、その後に再生する楽音の発音指示に関するイベントデータの音強値を1.2倍に変更して音源部2012に送信する。
【0102】
また、上記においては、指示データ選択部2033は、楽曲ジャンル名を属性データとして含む属性付指示データを格納した指示DB1013から、カラオケデータ1011の管理データにより示される楽曲ジャンル名を検索キーとして、カラオケ楽曲に適する指示データの選択を行うものとして説明した。しかしながら、指示DB1013の構成、属性付指示データに含まれる属性の種類、指示データ選択部2033が指示データを選択する際に用いる検索キーの取得方法等は様々に変更可能である。例えば、指示DB1013は、「軽快なロック」、「明るいイメージ」等の属性を伴う一群の指示データを異なるデータ群として格納しておき、指示データ選択部2033は、ユーザに選択された「軽快なロック」等の属性を備えるデータ群の中から、特徴データに応じた指示データを選択するようにしてもよい。
【0103】
また、上記においては、演奏制御データ再生部2011による演奏制御データの再生、歌詞画面生成部2022による歌詞データの再生、指示データ生成部2034による指示シーケンスデータの再生およびそれらの再生に伴う処理(ステップS103〜ステップS112)は、指示データ生成部2034によりカラオケ楽曲の全体に関する指示シーケンスデータの読み込みが完了した後に開始されるものとして説明した。しかしながら、特徴シーケンスデータの生成処理および指示シーケンスデータの生成処理(ステップS101およびステップS102)は、ステップS103以降の処理と同時並行して行われてもよい。
【0104】
すなわち、特徴検出部2032および指示データ選択部2033によりカラオケ楽曲の先頭から特徴データおよび指示データの生成が行われる一方、それらの処理にやや遅れて、既に指示シーケンスデータの生成が行われたカラオケ楽曲の部分に関し、演奏制御データ再生部2011による演奏制御データの再生、歌詞画面生成部2022による歌詞データの再生、指示データ生成部2034による指示シーケンスデータの再生等が行われるようにしてもよい。その場合、カラオケ楽曲の再生開始指示から演奏開始までの待ち時間が短縮される。
【0105】
また、上記においては、特徴検出部2032は演奏制御データに基づいて、楽曲における特徴箇所の検出を行うものとして説明した。しかしながら、特徴検出部2032は、演奏制御データに従って音源部2012により生成される音データに基づいて、楽曲における特徴箇所の検出を行うようにしてもよい。その場合、特徴検出部2032は、カラオケデータ1011に含まれる音データのレベル変化やピッチ変化等の検出を行うことにより、カラオケ楽曲における特徴箇所の検出を行う。
【0106】
また、上記においては、特徴検出部2032は指示データ選択部2033に対し、タイミングデータと特徴データの組合せが時系列的に並んだ特徴シーケンスデータを送信し、指示データ選択部2033は指示データ生成部2034に対し、タイミングデータと指示データの組合せが時系列的に並んだ指示シーケンスデータを送信するものとして説明した。しかしながら、特徴検出部2032から指示データ選択部2033および指示データ選択部2033から指示データ生成部2034に送信されるデータの形式には様々なバリエーションがあり得る。図11および図12はそれらのバリエーションを示した図である。上記において説明した態様は図11(a)に示されている。図11(a)の場合、各々の指示データが画像データ加工処理部2024等に送信されるタイミングは、指示シーケンスデータに含まれるタイミングデータに基づき、指示データ生成部2034により決定される。
【0107】
図11(b)は、特徴検出部2032による特徴データの生成処理および指示データ選択部2033による指示データの選択処理に要する時間が十分に短い場合の態様を示している。図11(b)の態様においては、カラオケデータ1011が特徴シーケンスデータおよび指示シーケンスデータを含んでいない場合、特徴検出部2032は演奏制御データのうち、演奏制御データ再生部2011により現在再生されている部分に関し特徴箇所の検出処理を行い、特徴データを生成すると、生成した特徴データを即時に指示データ選択部2033に送信する。この特徴データにはタイミングデータは伴っていない。指示データ選択部2033は、特徴検出部2032から特徴データを受信すると、受信した特徴データに応じた指示データの選択処理を行い、選択した指示データを即時に画像データ加工処理部2024等に送信する。この場合、指示データが画像データ加工処理部2024に送信されるタイミングは、主として、演奏制御データの再生時における特徴検出部2032による特徴箇所の検出タイミングにより決定される。
【0108】
また、カラオケデータ1011が特徴シーケンスデータを含んでいる場合、指示データ選択部2033は特徴シーケンスデータに含まれるタイミングデータに従い、演奏制御データの再生における適したタイミングで特徴シーケンスデータに含まれる特徴データの各々に応じた指示データの選択処理を行い、選択した指示データを即時に画像データ加工処理部2024等に送信する。この場合、指示データが画像データ加工処理部2024に送信されるタイミングは、特徴シーケンスデータに含まれるタイミングデータに基づき、指示データ選択部2033により決定される。
【0109】
図12(a)は、図11(a)の態様における特徴シーケンスデータの代わりに、特徴箇所のタイミングを示すタイミングデータのみが時系列的に並んだシーケンスデータ(以下、「タイミングシーケンスデータ」と呼ぶ)が用いられる場合の態様を示している。特徴検出部2032は、演奏制御データにおける特徴箇所の検出結果として、検出した各々の特徴箇所の演奏制御データにおけるタイミングを示すタイミングシーケンスデータを生成し、指示データ選択部2033に送信する。また、カラオケデータ1011が、特徴シーケンスデータの代わりにタイミングシーケンスデータを含んでいる場合、指示データ選択部2033はカラオケデータ1011からタイミングシーケンスデータを読み出す。指示データ選択部2033は、タイミングシーケンスデータに含まれるタイミングデータの各々に対し、指示DB1013から任意の指示データを選択して対応付けることにより、指示シーケンスデータを生成し、指示データ生成部2034に送信する。その後、指示データ生成部2034が指示シーケンスデータに基づき画像データ加工処理部2024等に指示データを送信する処理は図11(a)の場合と同様である。
【0110】
図12(b)は、特徴検出部2032および指示データ選択部2033の処理速度が十分に速い場合であって、図11(b)における特徴データの代わりに発生データ、特徴シーケンスデータの代わりにタイミングシーケンスデータが用いられる場合の態様を示している。図12(b)の態様においては、カラオケデータ1011がタイミングシーケンスデータおよび指示シーケンスデータを含んでいない場合、特徴検出部2032は演奏制御データのうち、演奏制御データ再生部2011により現在再生されている部分に関し特徴箇所の検出処理を行い、特徴箇所が検出されたことを示す発生データを生成すると、生成した発生データを即時に指示データ選択部2033に送信する。この発生データにはタイミングデータおよび特徴データは伴っていない。指示データ選択部2033は、特徴検出部2032から発生データを受信すると、例えば擬似乱数を発生させ、その擬似乱数に基づいて指示DB1013に含まれる指示データの1つを選択し、選択した指示データを即時に画像データ加工処理部2024等に送信する。
【0111】
また、カラオケデータ1011がタイミングシーケンスデータを含んでいる場合、指示データ選択部2033はタイミングシーケンスデータに含まれるタイミングデータに従い、演奏制御データの再生における適したタイミングで指示DB1013から任意の指示データを選択し、選択した指示データを即時に画像データ加工処理部2024等に送信する。図12(a)および(b)の態様においては、特徴箇所の種別に応じた加工処理の指示は行われないが、特徴箇所のタイミングに応じた加工処理が行われる。
【0112】
[2.第2実施形態]
第1実施形態においては、本願発明をカラオケシステムに用いる場合の態様を説明したが、本願発明は楽曲データの再生に伴い撮影や拾音が行われる様々な場合に利用可能である。また、本願発明を実施するにあたり、例えば、楽曲データの再生および楽曲における特徴検出を行う装置と、データの加工処理等を行う装置を相互に接続したシステムを構築する方が便利な場合もある。以下、そのような本願発明の態様を第2実施形態として説明する。
【0113】
[2.1.ビデオ生成システムの構成]
図13は、本発明の第2実施形態にかかるシステム(以下、「ビデオ生成システム3」と呼ぶ)の構成を示している。ビデオ生成システム3は、演奏制御データの再生に伴い生成される音データおよび画像データをビデオデータとして生成し記憶するシステムである。ビデオ生成システム3の構成および動作の多くは、上述したカラオケシステム1と共通しているため、以下、それらの相違点のみ説明する。また、図13において、図1に示したカラオケシステム1の構成部と共通もしくは対応する構成部に対しては、同じ符号が付されている。
【0114】
ビデオ生成システム3は、演奏制御データの再生を行うと同時に、演奏制御データにおける特徴箇所を検出し、検出した特徴箇所に応じた指示データを送信する楽曲再生装置30と、リアルタイムに入力される映像および音を示すデータの各々に楽曲再生装置30から受信する指示データに従って加工処理を施した後、ビデオデータとして記憶するビデオ生成装置31を備えている。楽曲再生装置30には、コントローラ11a、スピーカ14の接続されたアンプ13、マイク12、ビデオカメラ15、カメラ移動装置17およびビデオ生成装置31が接続されている。また、ビデオ生成装置31には、コントローラ11b、スピーカ14の接続されたアンプ13、ビデオカメラ15、ディスプレイ19および楽曲再生装置30が接続されている。さらに、楽曲再生装置30およびビデオ生成装置31には、メディアドライブ20およびインターネット21が接続されているが、それらは図13において省略されている。
【0115】
楽曲再生装置30は、演奏制御データを再生し、楽曲の演奏音を示す音データを生成する演奏制御データ再生部2011および音源部2012と、演奏制御データから特徴箇所を検出し、検出した特徴箇所の内容に応じた指示データを特徴箇所の楽曲におけるタイミングで生成する特徴検出部2032、指示データ選択部2033および指示データ生成部2034を備えている。また、楽曲再生装置30は、楽曲再生装置30の制御を行うための各種プログラムおよび各種データに加え、演奏制御データ、汎用画像ソースDB1012および指示DB1013を記憶する記憶部101aと、楽曲再生装置30がビデオ生成装置31等の外部装置との間でデータの送受信を行うための入出力I/F102aを備えている。
【0116】
ビデオ生成装置31は、マイク12から入力される音を示すデータに楽曲再生装置30より受信される音加工指示データに従った各種加工処理を施す音データ加工処理部2013と、ビデオカメラ15から受信される映像を示すデータに楽曲再生装置30より受信される画像加工指示データに従った各種加工処理を施す画像データ加工処理部2024を備えている。また、ビデオ生成装置31は、ビデオ生成装置31の制御を行うための各種プログラムおよび各種データに加え、音データ加工処理部2013および画像データ加工処理部2024により生成された音データおよび映像データをビデオデータとして記憶する記憶部101aと、ビデオ生成装置31が楽曲再生装置30等の外部装置との間でデータの送受信を行うための入出力I/F102bを備えている。
【0117】
ビデオカメラ15は、ビデオカメラ15のズームイン・アウト、フォーカス等の動作制御を行う撮像動作制御部2023aを備えている。また、カメラ移動装置17は、ビデオカメラ15の位置および方向の変更動作を制御するための撮像動作制御部2023bを備えている。
【0118】
ビデオ生成システム3は、図13に示されるように、マイク12、ビデオカメラ15、カメラ移動装置17およびディスプレイ19を各々1つずつ示しているが、それらの数は複数であってもよい。また、カラオケシステム1と同様に、ビデオ生成システム3がハンドカメラ16やセレクタ18を備えるようにしてもよい。また、ビデオ生成装置31が、予め記憶された動画データを再生し、再生した動画データを画像データ加工処理部2024に送信するための動画データ再生部2021を備えていてもよい。
【0119】
[2.2.ビデオ生成システムの動作]
以下、例として、ビデオ生成システム3を用いて、ユーザが演奏制御データの再生による楽曲の演奏に応じてダンスを行い、その映像を音と共にビデオデータとして記憶する際のビデオ生成システム3の動作を説明する。まず、ユーザは楽曲再生装置30に、インターネット21等からダンスの伴奏となる演奏を示す演奏制御データを取得させ、取得した演奏制御データを記憶部101aに記憶させる。続いて、ユーザは演奏制御データの再生を楽曲再生装置30に指示する。
【0120】
演奏制御データの再生指示に従い、まず、楽曲再生装置30の特徴検出部2032は記憶部101に記憶されている演奏制御データから、カラオケシステム1における場合と同様の特徴箇所の検出処理を行い特徴シーケンスデータを生成し、生成した特徴シーケンスデータを指示データ選択部2033に送信する。指示データ選択部2033は、受信した特徴シーケンスデータおよび指示DB1013を用いてカラオケシステム1における場合と同様の指示データの選択処理を行い指示シーケンスデータを生成し、生成した指示シーケンスデータを指示データ生成部2034に送信する。
【0121】
続いて、演奏制御データ再生部2011は演奏制御データの再生を開始する。演奏制御データ再生部2011による演奏制御データの再生により、音源部2012は演奏制御データ再生部2011から楽音の発音を示すイベントデータを順次受信し、受信したイベントデータにより指定された楽音を示す音データを生成する。音源部2012により生成された音データはアンプ13を介してスピーカ14により音に変換され、発音される。ユーザは、スピーカ14から発せされる伴奏に応じてダンスを行う。ユーザがダンスを行っている際に発せられる音はマイク12により伴奏と共に拾音され、ビデオ生成装置31の音データ加工処理部2013に入力される。また、ビデオカメラ15はユーザのダンスの様子を示す映像データを生成し、生成した映像データを画像データ加工処理部2024に送信する。
【0122】
演奏制御データ再生部2011による演奏制御データの再生と同時並行して、指示データ生成部2034は指示シーケンスデータの再生を行う。すなわち、指示シーケンスデータに含まれるタイミングデータに応じた楽曲におけるタイミングにおいて、当該タイミングデータに対応付けられた画像加工指示データおよび音加工指示データをそれぞれ、画像データ加工処理部2024および音データ加工処理部2013に送信し、また動作制御指示データに対応付けられた動作制御指示データをビデオカメラ15およびカメラ移動装置17に送信する。画像データ加工処理部2024、音データ加工処理部2013、ビデオカメラ15の撮像動作制御部2023aおよびカメラ移動装置17の撮像動作制御部2023bは、楽曲再生装置30から受信した指示データに従い、データの加工処理もしくはデータ生成における動作制御処理を行う。
【0123】
上記の処理の結果、画像データ加工処理部2024により生成される画像データは、演奏制御データにより示される伴奏の特徴箇所のタイミングにおいて、当該特徴箇所の種別に応じた内容の動作制御により生成された映像データに対し、当該特徴箇所の種別に応じた内容の加工処理が施されたものとなる。また、音データ加工処理部2013により生成される音データは、演奏制御データにより示される伴奏の特徴箇所のタイミングにおいて、当該特徴箇所の種別に応じた内容の加工処理が施されたものとなる。画像データ加工処理部2024および音データ加工処理部2013は、各々生成したデータを1つのビデオデータに統合して記憶部101bに記憶する。ユーザは、記憶部101bに記憶されたビデオデータを、メディアドライブ20やインターネット21等を介して取得し、自ら再生して楽しんだり、知人等に配布したりすることができる。
【0124】
ところで、楽曲再生装置30が、演奏制御データ再生部2011および音源部2012の代わりに、音楽CD(Compact Disc)等に記憶された音データの再生を行う音データ再生部を備えるようにしてもよい。その場合、特徴検出部2032は、音楽CD等に記憶された音データに対し、ピッチ検出処理、テンポ検出処理等を行い、特徴箇所の検出を行う。
【0125】
また、特徴検出部2032および指示データ選択部2033の処理速度が十分に速い場合、特徴検出部2032による特徴シーケンスデータの生成処理および指示データ選択部2033による指示シーケンスデータの生成処理が、演奏制御データ再生部2011による演奏制御データの再生と同時並行して行われるようにしてもよい。さらに、第1実施形態において図13に示したように、特徴検出部2032から指示データ選択部2033に対し送信されるデータおよび指示データ選択部2033から指示データ生成部2034もしくは画像データ加工処理部2024等に対し送られるデータの形式は様々に変更可能である。
【0126】
また、楽曲再生装置30およびビデオ生成装置31は、第1実施形態のカラオケ装置10と同様に、専用のハードウェアにより実現されてもよいし、汎用コンピュータにアプリケーションプログラムに従った処理を実行させることにより実現されてもよい。
【0127】
また、第1実施形態のカラオケシステム1と同様に、楽曲再生装置30およびビデオ生成装置31の構成部のいずれを組み合わせて同じ筐体に配置するかは自由に変更可能である。図14は、楽曲再生装置30およびビデオ生成装置31の備える構成部の配置に変更を加えた場合のビデオ生成システム4を例示している。ビデオ生成システム4においては、指示データ選択部2033および指示データ生成部2034がビデオ生成装置31に配置されている。この場合、楽曲再生装置30は、特徴検出部2032により生成した特徴シーケンスデータ、特徴データもしくは発生データをビデオ生成装置31に送信する。ビデオ生成装置31は、楽曲再生装置30から受信した特徴シーケンスデータ、特徴データもしくは発生データに従い、指示データの選択および生成を行い、生成した指示データを画像データ加工処理部2024等に送信する。この場合も、図13に示した構成部の配置を備えるビデオ生成システム3と同様の結果が得られる。
【0128】
[3.第3実施形態]
第1実施形態および第2実施形態において説明したように、本願発明によれば、楽曲データに従った楽曲の再生と同時に生成される映像や音を示すデータに対し、当該楽曲に応じた適切なタイミングで適切な内容の加工処理等を容易に施すことが可能となる。本願発明を応用すれば、過去に行われた楽曲演奏の記録ビデオを用いて、鑑賞者をより楽しませることができる記録ビデオを自動生成することも可能となる。
【0129】
例えば、バンド演奏を行う者の多くは、自分たちの演奏の様子をビデオに記録し、そのビデオを知人等に配布することを望む。しかしながら、バンド演奏を行う者は必ずしもビデオ編集が得意とは限らない。従って、何らの工夫なく演奏の様子を記録したビデオを、鑑賞者をより楽しませることができるビデオに自動編集してくれる手段があれば、ビデオ編集が苦手な者にとって便利である。以下、かかる課題を本願発明により達成する場合の好適な態様を、第3実施形態として説明する。
【0130】
[3.1.ビデオ編集システムの構成]
図15は、本発明の第3実施形態にかかるシステム(以下、「ビデオ編集システム5」と呼ぶ)の構成を示している。ビデオ編集システム5は、既に記録されているバンド演奏等のビデオデータを用いて、ビデオデータに含まれる演奏音を示す音データに応じて、ビデオデータに含まれる映像データに加工処理を施すことにより、ビデオデータの自動編集を行うシステムである。
【0131】
ビデオ編集システム5の構成および動作の多くは、上述したカラオケシステム1と共通しているため、以下、それらの相違点のみ説明する。また、図14において、図1に示したカラオケシステム1の構成部と共通もしくは対応する構成部に対しては、同じ符号が付されている。
【0132】
ビデオ編集システム5は、ビデオデータの編集を行うビデオ編集装置50と、ビデオ編集装置50に接続されたコントローラ11、スピーカ14の接続されたアンプ13およびディスプレイ19を備えている。さらに、ビデオ編集装置50にはメディアドライブ20およびインターネット21が接続されているが、それらは図15において省略されている。
【0133】
ビデオ編集装置50は、ビデオデータに含まれる音データに基づき演奏の特徴箇所を検出し、特徴シーケンスデータを生成する特徴検出部2032と、特徴シーケンスデータおよび指示DB1013に含まれるデータに基づき指示シーケンスデータを生成する指示データ選択部2033と、指示シーケンスデータに基づきビデオデータに含まれる映像データに加工処理を施す画像データ加工処理部2024と、ビデオデータの再生を行うビデオデータ再生部501を備えている。また、ビデオ編集装置50は、ビデオ編集装置50の制御を行うための各種プログラムおよび各種データに加え、ビデオデータ、汎用画像ソースDB1012および指示DB1013を記憶する記憶部101と、ビデオ編集装置50がコントローラ11等の外部装置との間でデータの送受信を行うための入出力I/F102を備えている。ただし、ビデオ編集装置50の記憶部101に記憶される指示DB1013には、画像加工指示DBのみが含まれている。
【0134】
[3.2.ビデオ編集システムの動作]
以下、例として、ビデオ編集システム5を用いて、ユーザがバンド演奏のビデオデータ(以下、「編集前ビデオデータ」と呼ぶ)に対し編集処理を行わせる際のビデオ編集システム5の動作を説明する。まず、ユーザはビデオ編集装置50に、メディアドライブ20等から編集前ビデオデータを読み込ませ、読み込んだ演奏制御データを記憶部101に記憶させる。続いて、ユーザはビデオデータの編集をビデオ編集装置50に指示する。
【0135】
ビデオデータの編集指示に従い、まず、ビデオ編集装置50の特徴検出部2032は、記憶部101に記憶されている編集前ビデオデータに含まれる音データにおける特徴箇所の検出処理を行う。例えば、特徴検出部2032は、音データにより示される音量の移動平均値を算出し、算出した移動平均値の変化が所定値を超える箇所を音量変化に関する特徴箇所として検出する。また、特徴検出部2032は、音データにより示される波形に対し周波数分析等を行うことにより演奏音に含まれるドラム音を抽出し、隣り合うドラム音の時間間隔の移動平均値の変化が所定値を超える箇所をリズム変化に関する特徴箇所として検出する。また、特徴検出部2032は、音データにより示される波形に対し周波数分析等を行うことにより、演奏音に含まれる各楽音の音高を特定し、特定した音高に基づき演奏の各部分における調子を特定する。そして、特徴検出部2032は特定した調子の変化する箇所を、転調に関する特徴箇所として検出する。これらの特徴箇所の検出方法については既存の技術が利用可能であるため、その説明を省略する。
【0136】
特徴検出部2032は、上記のように検出した特徴箇所のビデオデータにおけるタイミングを示すタイミングデータを、特徴箇所の種別を示す特徴データを対応付けることにより特徴シーケンスデータを生成し、生成した特徴シーケンスデータを指示データ選択部2033に送信する。
【0137】
指示データ選択部2033は、特徴検出部2032から特徴シーケンスデータを受信すると、特徴シーケンスデータおよび指示DB1013を用いて、カラオケシステム1における場合と同様の指示データの選択処理を行い指示シーケンスデータを生成し、生成した指示シーケンスデータを画像データ加工処理部2024に送信する。
【0138】
画像データ加工処理部2024は、指示データ選択部2033から指示シーケンスデータを受信すると、指示シーケンスデータに従い、編集前ビデオデータに含まれる映像データの加工処理を行う。すなわち、画像データ加工処理部2024は、編集前ビデオデータに含まれる映像データのうち、指示シーケンスデータに含まれるタイミングデータにより示される部分に対し、当該タイミングデータに対応付けられている指示データにより指示される加工処理を行う。その際、指示データが動画ソースデータもしくは静止画ソースデータの利用を指示している場合、画像データ加工処理部2024は汎用画像ソースDB1012から、ユーザにより選択された楽曲ジャンル名に対応付けられた汎用動画ソースデータもしくは汎用静止画ソースデータを選択し、選択したデータを用いて加工処理を行う。画像データ加工処理部2024は、加工処理を施して得られる映像データと編集前ビデオデータに含まれる音データとを1つのビデオデータとして統合し、編集後ビデオデータとして記憶部101に記憶する。
【0139】
ビデオ編集装置50による編集後ビデオデータの記憶が完了すると、ユーザはビデオ編集装置50に対し、編集後ビデオデータの再生の指示を行うことができる。ユーザが編集後ビデオデータの再生指示をビデオ編集装置50に与えると、ビデオ編集装置50のビデオデータ再生部501は記憶部101から編集後ビデオデータを読み出し、編集後ビデオデータに含まれる音データの再生および映像データの再生を行う。ここで、編集後ビデオデータにより表示される映像は、音データにより示される演奏における特徴箇所に応じたタイミングで、特徴箇所の種別に応じた内容の加工処理が施された映像であり、視聴者をより楽しませるものとなる。ユーザは、記憶部101に記憶された編集後ビデオデータを、メディアドライブ20やインターネット21等を介して取得し、自ら再生して楽しんだり、知人等に配布したりすることができる。
【0140】
ところで、ビデオ編集装置50は、第1実施形態のカラオケ装置10と同様に、専用のハードウェアにより実現されてもよいし、汎用コンピュータにアプリケーションプログラムに従った処理を実行させることにより実現されてもよい。また、第1実施形態のカラオケシステム1と同様に、ビデオ編集装置50の構成部のいずれを組み合わせて同じ筐体に配置するかは自由に変更可能である。
【0141】
[4.第4実施形態]
本願発明を応用すれば、過去に記録された楽曲データのリメイク作業を自動化することも可能となる。以下、そのような本願発明の態様を第4実施形態として説明する。
【0142】
[4.1.楽曲編集システムの構成]
図16は、本発明の第4実施形態にかかるシステム(以下、「楽曲編集システム7」と呼ぶ)の構成を示している。楽曲編集システム7は、既に記録されている音データに当該音データに応じた加工処理を施すことにより、音データの自動編集を行うシステムである。楽曲編集システム7の構成および動作の多くは、上述したカラオケシステム1およびビデオ編集システム5と共通しているため、以下、それらの相違点のみ説明する。また、図16において、図1に示したカラオケシステム1の構成部と共通もしくは対応する構成部に対しては、同じ符号が付されている。
【0143】
楽曲編集システム7は、ビデオ編集システム5におけるビデオ編集装置50の代わりに、楽曲編集装置70を備えている。楽曲編集装置70は、ビデオ編集装置50における画像データ加工処理部2024の代わりに音データ加工処理部2013を、またビデオデータ再生部501の代わりに音データ再生部701を備えている。また、楽曲編集装置70にはディスプレイ19は接続されていない。楽曲編集システム7は音データのみを扱うためである。さらに、楽曲編集装置70の記憶部101に記憶される指示DB1013は、音加工指示DBのみを含んでいる。
【0144】
[4.2.楽曲編集システムの動作]
以下、例として、楽曲編集システム7を用いて、ユーザがエフェクト処理の施されていない楽曲の演奏を示す音データ(以下、「編集前音データ」と呼ぶ)に対し、エフェクト処理を施す編集処理を行わせる際の楽曲編集システム7の動作を説明する。まず、ユーザは楽曲編集装置70に、メディアドライブ20等から編集前音データを読み込ませ、読み込んだ音データを記憶部101に記憶させる。続いて、ユーザは音データの編集を楽曲編集装置70に指示する。
【0145】
音データの編集指示に従い、まず、楽曲編集装置70の特徴検出部2032は記憶部101に記憶されている編集前音データにおける特徴箇所の検出処理を行う。その方法は、ビデオ編集システム5における場合と同様である。特徴検出部2032は、検出した特徴箇所の音データにおけるタイミングを示すタイミングデータを、特徴箇所の種別を示す特徴データを対応付けることにより特徴シーケンスデータを生成し、生成した特徴シーケンスデータを指示データ選択部2033に送信する。
【0146】
指示データ選択部2033は、特徴検出部2032から特徴シーケンスデータを受信すると、特徴シーケンスデータおよび指示DB1013を用いて、カラオケシステム1における場合と同様の指示データの選択処理を行い指示シーケンスデータを生成し、生成した指示シーケンスデータを音データ加工処理部2013に送信する。
【0147】
音データ加工処理部2013は、指示データ選択部2033から指示シーケンスデータを受信すると、指示シーケンスデータに従い、編集前音データに対する加工処理を行う。すなわち、音データ加工処理部2013は、編集前音データのうち、指示シーケンスデータに含まれるタイミングデータにより示される部分に対し、当該タイミングデータに対応付けられている指示データにより指示される加工処理を行う。音データ加工処理部2013は、加工処理を施して得られる音データを編集後音データとして記憶部101に記憶する。
【0148】
楽曲編集装置70による編集後音データの記憶が完了すると、ユーザは楽曲編集装置70に対し、編集後音データの再生の指示を行うことができる。ユーザが編集後音データの再生指示を楽曲編集装置70に与えると、楽曲編集装置70の音データ再生部701は記憶部101から編集後音データを読み出し、編集後音データの再生を行う。ここで、編集後音データにより発音される音は、編集前音データに対し、編集前音データにより示される演奏における特徴箇所に応じたタイミングで、特徴箇所の種別に応じた内容の加工処理が施された音である。ユーザは、記憶部101に記憶された編集後音データを、メディアドライブ20やインターネット21等を介して取得し、自ら再生して楽しんだり、知人等に配布したりすることができる。
【0149】
ところで、楽曲編集装置70は、第1実施形態のカラオケ装置10と同様に、専用のハードウェアにより実現されてもよいし、汎用コンピュータにアプリケーションプログラムに従った処理を実行させることにより実現されてもよい。また、第1実施形態のカラオケシステム1と同様に、楽曲編集装置70の構成部のいずれを組み合わせて同じ筐体に配置するかは自由に変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】本発明の第1実施形態にかかるカラオケシステムの構成を示したブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかるカラオケシステムをカラオケルームに配置した様子を示した図である。
【図3】本発明の第1実施形態にかかるカラオケデータの構成を模式的に示した図である。
【図4】本発明の第1実施形態にかかる演奏制御データの内容を例示した図である。
【図5】本発明の第1実施形態にかかる歌詞データの内容を例示した図である。
【図6】本発明の第1実施形態にかかる特徴シーケンスデータの内容を例示した図である。
【図7】本発明の第1実施形態にかかる指示シーケンスデータの内容を例示した図である。
【図8】本発明の第1実施形態にかかる汎用画像ソースDBの内容を例示した図である。
【図9】本発明の第1実施形態にかかる指示DBの内容を例示した図である。
【図10】本発明の第1実施形態にかかるカラオケ装置の処理を模式的に示した図である。
【図11】本発明の第1実施形態にかかるカラオケシステムにおいて送受信されるデータ形式の態様を示した図である。
【図12】本発明の第1実施形態にかかるカラオケシステムにおいて送受信されるデータ形式の態様を示した図である。
【図13】本発明の第2実施形態にかかるビデオ生成システムの構成を示したブロック図である。
【図14】本発明の第2実施形態にかかるビデオ生成システムの構成を示したブロック図である。
【図15】本発明の第3実施形態にかかるビデオ編集システムの構成を示したブロック図である。
【図16】本発明の第4実施形態にかかる楽曲編集システムの構成を示したブロック図である。
【符号の説明】
【0151】
1…カラオケシステム、3・4…ビデオ生成システム、5…ビデオ編集システム、7…楽曲編集システム、10…カラオケ装置、11…コントローラ、12…マイク、13…アンプ、14…スピーカ、15…ビデオカメラ、16…ハンドカメラ、17…カメラ移動装置、18…セレクタ、19…ディスプレイ、20…メディアドライブ、21…インターネット、30…楽曲再生装置、31…ビデオ生成装置、50…ビデオ編集装置、70…楽曲編集装置、101…記憶部、102…入出力I/F、103…制御部、201…音データブロック、202…画像データブロック、203…指示データブロック、501…ビデオデータ再生部、701…音データ再生部、1011…カラオケデータ、1012…汎用画像ソースDB、1013…指示DB、2011…演奏制御データ再生部、2012…音源部、2013…音データ加工処理部、2021…動画データ再生部、2022…歌詞画面生成部、2023…撮像動作制御部、2024…画像データ加工処理部、2031…判定部、2032…特徴検出部、2033…指示データ選択部、2034…指示データ生成部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
楽曲データを記憶する記憶手段と、
前記楽曲データに基づいて、前記楽曲データにより再生される楽曲における特徴箇所を検出する検出手段と、
前記楽曲データを楽曲として再生する再生手段と、
前記再生手段による前記楽曲データの再生中に視聴覚データを受信する視聴覚データ受信手段と、
前記楽曲における前記特徴箇所の発生タイミングに合わせて、前記視聴覚データに加工処理を施す加工手段と
を備えることを特徴とするデータ処理装置。
【請求項2】
楽曲データを記憶する記憶手段と、
前記楽曲データに基づいて、前記楽曲データにより再生される楽曲における特徴箇所を検出する検出手段と、
前記楽曲データを楽曲として再生する再生手段と、
前記楽曲における前記特徴箇所の発生タイミングに合わせて、特徴箇所の発生を示す発生データを送信する発生データ送信手段と
を備えることを特徴とするデータ処理装置。
【請求項3】
楽曲データと、前記楽曲データによる楽曲の再生と並行して表示されるべき映像もしくは発音されるべき音を示す視聴覚データを記憶する記憶手段と、
前記楽曲データに基づいて、前記楽曲における特徴箇所を検出する検出手段と、
前記視聴覚データのうち、前記特徴箇所の発生タイミングに応じた部分に加工処理を施す加工手段と
を備えることを特徴とするデータ処理装置。
【請求項4】
楽曲データを記憶する記憶手段と、
前記楽曲データに基づいて、前記楽曲データにより再生される楽曲における特徴箇所を検出する検出手段と、
前記楽曲データのうち、前記特徴箇所の発生タイミングに応じた部分に加工処理を施す加工手段と
を備えることを特徴とするデータ処理装置。
【請求項5】
楽曲データを記憶する処理と、
前記楽曲データに基づいて、前記楽曲データにより再生される楽曲における特徴箇所を検出する処理と、
前記楽曲データを楽曲として再生する処理と、
前記楽曲データの再生中に視聴覚データを受信する処理と、
前記楽曲における前記特徴箇所の発生タイミングに合わせて、前記視聴覚データに加工処理を施す処理と
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項6】
楽曲データを記憶する処理と、
前記楽曲データに基づいて、前記楽曲データにより再生される楽曲における特徴箇所を検出する処理と、
前記楽曲データを楽曲として再生する処理と、
前記楽曲における前記特徴箇所の発生タイミングに合わせて、特徴箇所の発生を示す発生データを送信する処理と
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項7】
楽曲データと、前記楽曲データによる楽曲の再生と並行して表示されるべき映像もしくは発音されるべき音を示す視聴覚データを記憶する処理と、
前記楽曲データに基づいて、前記楽曲における特徴箇所を検出する処理と、
前記視聴覚データのうち、前記特徴箇所の発生タイミングに応じた部分に加工処理を施す処理と
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項8】
楽曲データを記憶する処理と、
前記楽曲データに基づいて、前記楽曲データにより再生される楽曲における特徴箇所を検出する処理と、
前記楽曲データのうち、前記特徴箇所の発生タイミングに応じた部分に加工処理を施す処理と
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2006−79027(P2006−79027A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−266123(P2004−266123)
【出願日】平成16年9月13日(2004.9.13)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】