時間治療理論に基づく循環器疾患の治療用組合せ製剤
本発明は、アムロジピンなどのジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬およびロサルタンなどのARB(アンジオテンシン-2レセプター遮断薬)を含む機能的組合せ製剤に関する。特に、本発明は、循環器疾患の予防または治療のための制御放出を伴う時間治療的組合せ医薬製剤であって、二の薬物が時間治療的に放出され得、それにより単一丸剤の形態における各薬物の同時投与と比較して治療活性を改善するが、副作用を軽減し、循環器疾患の合併症の危険性が最高となる一日の時間帯にできるだけ高い治療活性を維持するために生体異物および時間治療に従って製剤化される、製剤に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アムロジピンなどのジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬およびロサルタンなどのARB(アンジオテンシン-2レセプター遮断薬)を含む組合せ医薬製剤に関する。特に、本発明は、循環器疾患の予防および治療のために時間治療的に設計された組合せ製剤であって、二の薬物が時間治療的に放出され得、それにより単一錠剤の形態における各薬物の同時投与と比較して治療活性を改善するが、副作用を軽減し、循環器疾患の合併症の危険性が最高となる一日の時間帯にできるだけ高い治療活性を維持するために生体異物および時間治療に基づき製剤化される、製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、優れた有効性を有する多くの降圧剤が開発され、処方されているが、高血圧症の治療に関し50%ルールが未だ残っている。すなわち、高血圧症患者の50%のみがその症状を有していることを認識し、障害を認識している患者の50%のみが医療を受けており、その50%のみが適切な医学的治療を受けている。これは、高血圧症患者の12.5%のみが適切な医学的治療を受けていることを意味する。
【0003】
特に、降圧療法は、血圧を低下させるだけではなく、心筋梗塞、心不全、脳卒中および早期死亡のような合併症を予防し、またはその医学的欠点を制御することによって、その患者の長く健康な人生を確保することをも目的としている。
【0004】
上記の目的を達成するために、降圧剤は、薬物療法指導を促進し、患者の服薬遵守を増加させるために、さらに改良しなければならない。
【0005】
過去30年の大規模な臨床報告(例えば、HOT、UKPOS)によれば、組合せ処方薬は、軽度のまたは中等度の高血圧症に苦しむ患者に処方した際に、合併症を予防し、またはその悪化を抑制しうることが立証されている[米国合同委員会(Joint National Committee)(JNC VIおよびVII)発行の高血圧症管理のためのガイドライン、世界保健機関-国際高血圧学会(WHO-ISH)(1999)]。
【0006】
高血圧症にはさまざまな原因がある。それぞれの原因は、患者の初期の高血圧症の原因たりうるが、複数の原因が末期患者の高血圧症に関係しうる。したがって、高血圧症患者の現状の病態生理学的原因に適した確かな降圧剤を選ぶことは困難である。[Journal of human hypertension 1995: 9: S33-S36]。このため、降圧剤の併用療法は好まれ、増加傾向にあり、特に、ロサルタンのようなARB(アンジオテンシン-2レセプター遮断薬)に基づく薬物が好まれる。
【0007】
併用療法は、以下の理由のため、必要に応じて頻繁に報告されている[J. Hum. Hypertens. 1995: S33-S36]。
1)高血圧症は、1つの原因が引き金となりうるが、最終的には複数の原因および要因によって悪化する。
2)単一有効成分は、高血圧症の複数の病態生理学的な原因には適さない。
3)単一有効成分は、50%未満の患者にしか有効ではない。
4)組合せ処方薬は、80%を超える患者に有効である。
5)特に、単一丸剤のみを処方することによって、糖尿病のような合併症を伴う高血圧症を治療することは困難であり、合併症の悪化を抑制することはさらに困難である。
6)単一丸剤が満足な効果をもたらさないことにより用量を増加させると、副作用が増加しうる。組合せ処方薬は、副作用を減少しうる。
7)組合せ処方薬は、合併症を予防し、副作用を減少させる一方で、疾患のさまざまな原因を取り除きうる。それゆえ、アメリカ心臓協会(American Heart Association)も、高血圧症治療を開始するために、組合せ処方薬は、好ましくは単一丸剤処方に推奨されうると強調している。
8)特に、血圧は、合併症のない患者よりも、合併症のある患者においてより大幅に低下すべきである。この場合、併用療法は不可欠である。それにもかかわらず、単一丸剤は、26%の患者にのみに有効たりうる。組合せ製剤は、適切な血圧を維持することによって合併症を予防する際に、74%もの患者にとって有効たりうる[大規模臨床試験、HOT]。
9)アメリカ食品医薬物局(FDA)は、固定用量併用療法に従って、組合せ製剤の必要性を、30年間認めてきた。この原則に従って、異なった医薬活性を持つ薬物は、各単一丸剤が摂取されるかのように等量を含むように組合せることが要求される。これは固定用量組合せ製剤と呼ばれ、単一丸剤の有効性および安全性が十分に評価されているかどうか、およびそのような併用療法が医師によって広く処方されているかどうかのさらなる実験データもなく承認されてきた。
10)降圧剤の固定用量組合せが、血圧を低下させる際に、優れた効果を有することは、広く公知となっている
11)各成分の用量は増加せず、それゆえ各成分の副作用は大幅に減少する。
12)降圧剤は、おもに循環器に関係する副作用の原因となる。そのような副作用は、各薬物の用量を増加させることのない、二の薬物の併用療法によるよりも、単一薬剤の用量を増加させることによる方がより悪化しうる。
13)組合せ製剤は、薬物療法コンプライアンスを改善し、医師が患者に薬物療法指導をするのに要する時間を半分短縮しうる。
14)併用療法製剤は、循環器合併症の危険性を低下させ、疾患制御のために被る長期にわたる費用を削減しうる。
15)組合せ製剤は、各単一製剤の二を充填する場合と比較して、充填に要する費用と時間を大幅に削減しうる。
【0008】
一般的に、血圧は年齢とともに上昇する。60歳を超える高齢者の約63%が、高血圧症に苦しんでいる。特に、単独収縮期高血圧症は、収縮期血圧が増加し、拡張期血圧が減少する60歳ごろに発症するが、これは老人性高血圧症と呼ばれている。
【0009】
その一方で、高血圧症患者の腎機能は、年齢とともに低下する。このため、血圧上昇因子(アンジオテンシン II)の生産は増加し、それによって血圧はさらに上昇する。この場合、単一丸剤は、満足のいく結果をもたらさないかもしれず、腎臓の保護に有効なアムロジピンとロサルタンの併用療法が、効果的な薬物療法として報告されている[Clin. Ther. 2003 May 25 (5): 1469-69; Nepherol Dial Transplant vol. 18 (2003): p1806-1813; J. American Society of Nephrology, vol. 12 (2001) p. 822-827]。
【0010】
老人性高血圧症においては、一定水準の血圧を24時間維持することが要求される。さらに、睡眠中に起こりうる突然の心臓発作、および日中の早いうちにストレスによって起こる高血圧卒中を予防するためにも必要である。
【0011】
各降圧剤は、特有の24時間周期のバイオリズム活性を示す。ARB薬であるロサルタンは、RAASが強く活性化される深夜から夜明けに、優れた降圧効果を示す。ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬であるアムロジピンは、患者が目覚めているときに、ストレス性血管痙攣によって引き起こされる高血圧症を都合よく抑制する。
それゆえ、これらの薬物の組合せによって、治療活性はさらに増加しうる[Clin. Hypertension 5(1): 17-23, 30, 2003]。
【0012】
各薬物の医薬活性は、下記の表1に示すように異なっているため、併用療法は理想的であろう。
【0013】
アムロジピンおよびロサルタンの薬理学的活性
【表1】
【0014】
すなわち、二の薬物は血圧を低下させるメカニズム、および最大活性の時間が互いに異なるため、二の薬物を一定の間隔をあけて投与する際、二の薬物の併用療法は、一の薬物の有効性が不十分である患者が高血圧症を制御する際に相乗効果を示しうる。さらに、二の薬物は、ロサルタンがアムロジピンによって誘発されるカリウムイオンの減少を相殺するという相補作用を示す。そのうえ、制御放出を伴う時間治療的組合せ医薬製剤はインスリン耐性を減少させうるが、これは2型糖尿病に苦しむ患者にしばしば起こる。
【0015】
アムロジピン、すなわち、3-エチル-5-メチル-2-(2-アミノエトキシメチル)-4-(2-クロロフェニル)-1,4-ジヒドロ-6-メチル-3,5-ピリジンジカルボキシレートは、長時間作用性のカルシウムチャネル遮断薬である。その有効性および安全性は、アムロジピンは高血圧症の治療に最も広く処方されている薬物であるという事実によって証明されうる[欧州特許出願公開番号89,167ならびに米国特許番号4,572,909、4,879,303および5,115,120]。
【0016】
ロサルタン、すなわち、2-ブチル-4-クロロ-1-[p-(o-1H-テトラゾール-5-イルフェニル)ベンジル]イミダゾール-5-メタノールは、アンジオテンシン-II(AII)がAIIレセプター(血管壁レセプター)に結合するのを阻害することによって血圧の上昇を抑制する。アンジオテンシン-IIは、血圧の上昇、左心室または血管の肥大化、アテローム性動脈硬化症、腎不全および脳卒中を誘発する[米国特許番号5,138,069]。
【0017】
血圧を低下させる活性があるため、ロサルタンは、心不全、アテローム性動脈硬化症を伴う不整脈もしくは心不全、糖尿病関連合併症、脳卒中、アテローム性動脈硬化症、および循環器疾患のようなさまざまな疾患の予防もしくは治療のために、抗血小板活性のために、またはアルドステロンの有害な活性もしくはメタボリックシンドロームの影響を阻害するために広く使用されている[Clin. Exp. Hypertens., vol. 20 (1998), p. 205-221; J. Hypertens., vol. 13 (8) (1995), p. 891-899; Kidney Lnt., vol. 57 (2) (2000), p. 601-606; Am. J. Hypertens., vol. 10 (12PT2) Suppl. (1997), p. 325-331; Circulation, vol. 101 (14) (2000), p. 1653-1659; J. Hypertension., vol. 17 (7) (1999), p. 907-716; Circulation, vol. 101 (2000), p. 2349]。
【0018】
表1に示したように、アムロジピンおよびロサルタンは、広く、相補的に作用し、それゆえ組合せ処方薬または併用療法の標的であると考えられる。アムロジピンおよびロサルタンの組合せ処方薬または併用療法は、さまざまな疾患にも有効である。これらの理由によって、併用療法(二の薬物の各単一丸剤の同時投与)は、広く試みられてきた。
【0019】
しかしながら、二の薬物は、異なった24時間周期のバイオリズムパターンで作用し、二の薬物は肝臓に同時に放出および吸収される際、ある種の酵素に反対の様式で影響を受け、または作用しうるということが、生体異物によって公知となっている[シトクロムP450薬物相互作用表、インディアナ大学内科学教室、2004年3月11日更新]。
いわゆる生体異物は、適切な薬物療法期間を決定するために、薬物の吸収時間を区別することによって薬物の拮抗作用を抑制するために、および各個人の酵素代謝を調査するために、体内の薬物の代謝過程を検査することによって、各個人の薬効を開発するための科学的研究である。
【0020】
この点において、アムロジピンおよびロサルタンを二の異なった剤形で同時投与する際、以下の問題が生じうる。
ロサルタンは吸収され、肝臓に輸送される。ロサルタン自身の活性型の若干量は、直ちに肝臓から血液に放出され、1時間以内にその型は、最大水準に達する。しかしながら、残りのすべてのロサルタン化合物は、おもに肝臓内の二の酵素によって代謝され(シトクロムP450 2C7および3A4)、活性型(ロサルタンカルボキシレート)に変換される。変換後、3〜4時間以内に最大血漿濃度に達しうる。すなわち、ロサルタンおよびロサルタンカルボキシレートの混合物は、ロサルタンの全医薬活性を示す。
【0021】
一方、アムロジピンは、肝臓中でシトクロムP450 3A4の発生を阻害する。アムロジピン自身は活性型で、シトクロムP450 3A4の存在下、肝臓中のアムロジピンの一部は代謝されるが、アムロジピンの大部分はシトクロムP450 3A4のさらなる発生を阻害している。それゆえ、60〜90%の活性型アムロジピンは、6〜12時間で最大血漿濃度を示しうる。
【0022】
それゆえ、アムロジピンがロサルタンと同時またはロサルタンが吸収される前3〜4時間以内に肝臓に吸収される際、ロサルタンの活性型代謝物(ロサルタンカルボキシレート)への変換は阻害されうる。特に、高齢者における収縮期血圧は、そのような収縮期血圧がわずかに上昇するときでさえ脳卒中の原因となり得る。それゆえ、合併症を予防するために、血圧は24時間厳密に標準的水準に維持されなければならない。しかしながら、上記の臨床的欠陥を克服しうる組合せ製剤は、報告されていない。
【0023】
オズワルド・コールマン(Osvaldo Kohlmann)らは、併用療法の必要性、ならびにアムロジピンまたはロサルタンの単独療法と、アムロジピンおよびロサルタンの同時投与処方を比較した結果に基づく実験結果を報告している。しかしながら、これは機能的差異を伴って作用する、技術的に予測される組合せ製剤である本発明と異なる。[本質的な高血圧症の治療におけるアムロジピンおよびロサルタンの固定併用の有効性および忍容性の評価、J. Cardiol. 2006]。
【0024】
米国特許出願公開2005-0209288では、(S)型アムロジピンおよびテルミサルタン(すなわち、ロサルタンのようなARB薬、米国特許番号5,591,762)の併用投与療法は、各薬物の分離投与と比較してさらに少ない用量で同様の有効性を実現しうる、と記載されている。しかしながら、この公開では、テルミサルタンの物理的性質のため、製剤は効果的な血漿濃度および治療活性のための基本的な薬剤を含まなければならないという事実を考慮していない[韓国特許公開番号2005-0053690]。さらに、この公開では、単一丸剤の同時投与(すなわち、同時投与処方法)の必要性のみを考慮し、循環器疾患の効果的な治療法の組合せ製剤の調製を試みていない。
【0025】
米国特許出願公開番号2003-0158244では、経口投与後胃に留まり、徐々に放出されるロサルタン、この製剤を含む調製、およびさらに降圧剤を含む組合せ製剤を含む製剤を開示している。この公開では、製剤またはその調製は、薬物の適切な吸収を誘発し、最大血漿濃度の時間を遅延させ、最大血漿濃度を低下させることによって、過剰投与によって引き起こされる副作用を軽減しうる、と記載されている。しかしながら、この技術の原理は、本発明(生体異物および時間治療)の原理と反対であるため、この技術は本明細書の治療上の有効性を実現しない可能性がある。
【0026】
韓国特許公開番号2004-0078140では、バルサルタン(ARB薬)およびカルシウムチャネル遮断薬を含む降圧組合せ製剤を開示している。しかしながら、二の薬物が一定の間隔をあけて放出される効果は、この発明では実現されない可能性がある。
【0027】
WO 06/048208では、テルミサルタンおよびアムロジピンを含む二層錠剤を開示している。この公開では、有効成分の安定性を改善するための製剤として二層錠剤を選択し、製剤は二の成分の両方が迅速に分解しうるように設計されている。この技術は、アムロジピンのようなカルシウムチャネル遮断薬の放出が、生体異物および時間治療に従って遅延する本発明と全く異なっている。さらに、薬物の特性を考慮していないため、上記の技術には、進歩性がないことは明らかである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
上記の問題を克服するために、本発明の発明者は、広範な研究を行い、最終的にアムロジピンのようなジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬が、投与後3〜4時間で小腸から吸収される一方で、ロサルタンのようなARB薬が、投与後直ちに小腸から吸収される機能的組合せ製剤を開発し、その結果、一日一回、夜に投与することによって、24時間一定の血圧を維持し、合併症および他の副作用を抑制することが可能になった。本発明の機能的組合せ製剤は、表2に示すような利点がある。
【0029】
従来の同時投与処方に対する本発明の機能的組合せ製剤の利点
【表2】
【0030】
それゆえ、本発明は、ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬単一丸剤およびARB単一丸剤の同時投与と比較して、高血圧症の治療、およびその合併症または他の副作用の予防において、医薬的および臨床的有効性を最大化しうる組合せ薬物システムならびに機能的に設計された組合せ製剤を提供することを目的とする。
【0031】
本発明は、従来の固定用量組合せ製剤において生体異物および時間治療の理論を適用するDDS技術によって製剤化される、機能的組合せ製剤の新時代を開くことも目的とする。
【0032】
さらに、本発明は、二のまたはそれ以上の薬物の全体的な治療上の有効性を最大化し、一日一回、夜に投与するという方法で薬物療法を簡易化することによって高齢者の薬物療法コンプライアンスを促進することを目的とする。
さらに、本発明は、二のまたはそれ以上の薬物の同時投与に要するよりも2倍またはそれ以上に増加する、個々に単一丸剤を充填するため、または処方薬を調合するために要する費用と時間を削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0033】
本発明は、有効成分としてジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬およびARB(アンジオテンシン-2レセプター遮断薬)を含む、制御放出を伴う時間治療的組合せ医薬製剤に関し、ARB(アンジオテンシン-2レセプター遮断薬)は直ちに放出される一方で、ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬は、ある程度遅れた後、徐々に放出される。
【発明の効果】
【0034】
本発明の機能的組合せ製剤は、生体異物および時間治療を薬物製剤技術に適用し、それによって、アムロジピン単一丸剤およびロサルタン単一丸剤の同時投与によって失われうる医薬的または臨床的な治療上の有効性を十分に実現する。本明細書の機能的組合せ製剤は、血圧の制御、合併症の予防、および副作用の軽減において一定の活性をも示しうる。さらに、本明細書の機能的組合せ製剤は、簡易化した同時投与と比較して高齢者の薬物療法コンプライアンスを改善しうる。
【0035】
さらに、組合せ製剤は、各単一丸剤の場合の約50%と比較して、軽度の高血圧症の治療において、約80%まで有効性の増加をもたらすであろうと予想される。本発明の機能的組合せ製剤は、心疾患、腎疾患、および脳卒中のような主要な合併症において優れた有効性を示すため、高血圧症患者の健康的な長寿に貢献するであろう。特に、機能的組合せ製剤は、糖尿病合併症に苦しむ高血圧症患者にとって最良の処方薬または治療法となるであろう。
さらに、本明細書の機能的組合せ製剤における二の薬物は異なった活性を有し、各薬物の副作用を軽減し、さらに循環器合併症の危険性を低下させる。組合せ処方薬は、従来の同時投与の効果の弱い治療法によって悪化しうる合併症によって被る長期間にわたる費用を削減し、処方薬の充填の費用と時間を削減するであろうという点において、本発明は経済的観点においても効果的である。
【0036】
それゆえ、本発明は、従来の固定用量組合せ製剤において生体異物および時間治療の理論を適用するDDS技術によって製剤化された、機能的組合せ製剤の新時代を開くであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、実験例1の結果、すなわち、ロサルタン単一丸剤(コザール(Cozaar(登録商標))50 mg錠剤-MSD韓国)、アムロジピン単一丸剤(ノルバスク(Norvasc(登録商標))5 mg錠剤-ファイザー)、および実施例4において調製される機能的組合せ製剤におけるロサルタンおよびアムロジピンの溶解比率を示す。
【図2】図2は、実験例1の結果、すなわち、実施例4および8〜10において調製される機能的組合せ製剤におけるアムロジピンの溶解比率を示す。
【図3】図3は、実験例1の結果、すなわち、バルサルタン単一丸剤(ディオバン(Diovan(登録商標))80 mg錠剤-韓国ノバルティス)、アムロジピン単一丸剤(ノルバスク(Norvasc(登録商標))5 mg錠剤-ファイザー)、および実施例11において調製される機能的組合せ製剤におけるバルサルタンおよびアムロジピンの溶解比率を示す。
【図4】図4は、実験例1の結果、すなわち、テルミサルタン単一丸剤(プリトール(Pritor(登録商標))40 mg錠剤-GSK)、アムロジピン単一丸剤(ノルバスク(Norvasc(登録商標))5 mg錠剤-ファイザー)、および実施例12において調製される機能的組合せ製剤におけるテルミサルタンおよびアムロジピンの溶解比率を示す。
【図5】図5は、実験例1の結果、すなわち、レルカニジピン単一丸剤(ザニディップ(Zanidip(登録商標))錠剤-LGライフサイエンス)、ロサルタン単一丸剤(コザール(Cozaar(登録商標))50 mg錠剤-MSD韓国)、および実施例16において調製される機能的組合せ製剤におけるレルカニジピンおよびロサルタンの溶解比率を示す。
【図6】図6は、実験例1の結果、すなわち、ラシジピン単一丸剤(ザニディップ(Zanidip(登録商標))錠剤-LGライフサイエンス)、ロサルタン単一丸剤(コザール(Cozaar(登録商標))50 mg錠剤-MSD韓国)、および実施例27において調製される機能的組合せ製剤におけるラシジピンおよびロサルタンの溶解比率を示す。
【図7】図7は、実験例1の結果、すなわち、アムロジピンベシレート単一丸剤(ノルバスク(Norvasc(登録商標))5 mg錠剤-ファイザー)、ロサルタン単一丸剤(コザール(Cozaar(登録商標))50 mg錠剤-MSD韓国)、および実施例18において調製される機能的組合せ製剤におけるアムロジピンベシレートおよびロサルタンの溶解比率を示す。
【図8】図8は、実験例1の結果、すなわち、実施例2〜4において調製される機能的組合せ製剤におけるアムロジピンの溶解比率を示す。
【図9】図9は、実験例2の薬物投与後、20時間以内の収縮期血圧(SBP)を示す。
【図10】図10は、実験例2の薬物投与後、20時間以内の平均血圧(MBP)を示す。
【図11】図11は、実験例2の薬物投与後、20時間以内の拡張期血圧(DBP)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明は、有効成分としてジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬、およびアンジオテンシン-2レセプター遮断薬(ARB)を含む組合せ製剤に関し、アンジオテンシン-2レセプター遮断薬(ARB)は迅速に放出され、ある程度遅れた後、ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬が徐々に放出される。
【0039】
本発明は、以下を含む循環器疾患の治療用組合せ製剤にも関する:
(1)有効成分としてアンジオテンシン-2レセプター遮断薬(ARB)を含む、即時放出顆粒;および
(2)有効成分としてジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬を含む遅延性中間放出顆粒またはコーティング錠剤、ならびに水溶性ポリマー、水不溶性ポリマー、腸溶性ポリマー、およびその混合物からなる群から選択される放出制御物質。
【0040】
以下で、本発明の詳細な説明を提供する。
ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬(例えば、アムロジピン)の単一丸剤、およびARB(例えば、ロサルタン)の単一丸剤の同時投与と比較して、本発明の循環器疾患の治療用機能的組合せ製剤は、二のまたはそれ以上の薬物の全体的な治療の有効性を最大化し、高血圧症の治療およびその合併症の予防において、二の薬物が一定間隔をあけて放出されることを許容することによって、24時間一定の活性を維持する。
【0041】
本発明は、組合せ薬物システムまたは機能的組合せ製剤に関し、ARB(アンジオテンシン-2レセプター遮断薬)が投与後直ちに放出される一方で、ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬は、ある程度遅れた後に放出される。好ましくは、本明細書の組合せ製剤は、(i)有効成分としてARB(アンジオテンシン-2レセプター遮断薬)を含む即時放出部;ならびに(ii)有効成分としてジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬を含む遅延性中間放出部、ならびに水溶性ポリマー、水不溶性ポリマー、腸溶性ポリマー、およびその混合物からなる群から選択される放出制御物質、を含む。
【0042】
ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬の例は、アムロジピン、レルカニジピン、フェロジピン、ニフェジピン、ニカルジピン、イスラジピン、ニソルジピン、およびその医薬的に許容される塩、を含む。ARB(アンジオテンシン-2レセプター遮断薬)の例は、ロサルタン、バルサルタン、テルミサルタン、イルベサルタン、カンデサルタン、オルメサルタン、およびその医薬的に許容される塩、を含む。
【0043】
本発明は、(i)意図的に有効成分の放出を遅延させるが、放出時に直ちに成分を放出するために、効率的にマトリックスへ圧縮製剤することによって調製される、ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬を含む顆粒またはコーティング錠剤;ならびに(ii)それぞれ圧縮コーティング錠剤、三層錠剤、および多成分マトリックス型錠剤を製造するために、ARB(s)を含む即時放出顆粒を含む、製剤技術を開示する。
【0044】
すなわち、本発明は、循環器疾患の治療用機能的組合せ製剤に関し、(1)有効成分としてARB(アンジオテンシン-2レセプター遮断薬)を含む即時放出顆粒;(2)有効成分としてジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬を含む遅延性即時放出顆粒またはコーティング錠剤、ならびに水溶性ポリマー、水不溶性ポリマー、腸溶性ポリマー、およびその混合物からなる群から選択される放出制御物質、を含む
【0045】
ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬を含む上記の顆粒は、水溶性ポリマー、水不溶性ポリマー、および腸溶性ポリマーからなる群から選択される放出制御物質を含み、従来の方法に従ってコーティングされうる。結果的に得られる顆粒またはコーティング錠剤は、多成分粒子またはARBを含む即時放出顆粒成分の顆粒とともに錠剤に圧縮され、またはカプセルに充填されうる。
【0046】
本明細書の組合せ製剤は、(i)ある程度遅れた後、直ちに放出されるジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬顆粒;および(ii)直ちに放出されるARB顆粒層を含む、多層錠剤に製剤化されうる。
【0047】
本明細書の組合せ製剤は、(i)ある程度遅れた後、直ちに放出されるジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬を含む内部コア層;および(ii)直ちに放出されるARBを含む外層を含む、二重内部コア錠剤へも製剤化されうる。
【0048】
本発明は、充填剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定化剤、およびフィルムコーティング剤のような医薬的に許容される添加剤を用いることによって、経口投与後、迅速に分解され、放出され、消化管に吸収されるために、ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬を含む層から離れて即時放出ARB層を調製する技術を開示する。
【0049】
本発明は、有効成分の遅延性即時放出を可能にする製剤技術を開示する。本技術により、20%未満の有効成分のみが目的の時間までに、典型的には経口投与後1〜6時間以内に放出される一方で、85%またはそれ以上の成分は、目的の時間後に放出される。本発明は、アムロジピンのようなジヒドロピリジンベース薬の遅延性即時放出製剤を開示する。したがって、ロサルタンを含むARB薬の層は最初に放出され、吸収され、アムロジピンを含むジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬は1〜6時間後、好ましくは3〜4時間後に放出され、吸収される。
【0050】
この遅延性即時放出製剤は、有効成分、遅延性即時放出作用を許容するポリマー性物質、ならびに医薬的に許容される充填剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、および安定化剤のような他の添加剤を用いることによって調製されうる。
【0051】
本発明において、ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬の一重量部に対して、ARB(アンジオテンシン-2レセプター遮断薬)は、0.2〜20重量部、より好ましくは2〜12重量部の量にて含まれるのが好ましい。量が0.2重量部未満になると、望ましい高血圧効果が十分ではない可能性がある。量が20重量部を超えると、低血圧のような副作用が生じうる。
【0052】
本発明では、ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬の一重量部に対して、遅延性中間放出部は、0.5〜100重量部、好ましくは1〜50重量部、最も好ましくは2〜30重量部の量の放出制御物質を含んでよい。量が0.5重量部未満になると、保持時間が十分ではない可能性がある。量が100重量部を超えると、薬物が放出されないかまたは保持時間が12時間を越える可能性がある。
【0053】
水溶性ポリマーの例は、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群から選択される水溶性セルロースエステル;ポリビニルピロリドンおよびポリビニルアルコールからなる群から選択される水溶性ポリビニル誘導体;ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールからなる群から選択されるアルキレンオキシドポリマー;ならびにその混合物を含むが、これらに限られない。
【0054】
水不溶性ポリマーの例は、エチルセルロースおよびセルロースアセテートからなる群から選択される水不溶性セルロースエーテル;アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル・メタクリル酸クロロトリメチルアンモニウムエチルコポリマー(例えば、オイドラギット(Eudragit(登録商標))RSまたはRL、デグサ)およびメタクリル酸メチル・アクリル酸エチルコポリマー クロロトリメチルアンモニウムエチルコポリマー(例えば、オイドラギット(Eudragit(登録商標))NE30D、デグサ)からなる群から選択される水不溶性アクリル酸ベースコポリマー;ならびにその混合物を含むが、これらに限られない。
【0055】
腸溶性ポリマーの例は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシメチルエチルセルロースフタレート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートスクシネート、セルロースアセテートマレエート、セルロースベンゾエートフタレート、セルロースプロピオネートフタレート、メチルセルロースフタレート、カルボキシメチルエチルセルロースおよびエチルヒドロキシエチルセルロースフタレートからなる群から選択される腸溶性セルロース誘導体;スチレン・アクリル酸コポリマー、アクリル酸メチル・アクリル酸コポリマー、アクリル酸メチルメタクリル酸コポリマー、アクリル酸ブチル・スチレン・アクリル酸コポリマー、メタクリル酸・メタクリル酸エチルコポリマー(例えば、オイドラギット(Eudragit(登録商標))L 100、オイドラギット(Eudragit(登録商標))S、デグサ)、メタクリル酸・アクリル酸エチルコポリマー(例えば、オイドラギット(Eudragit(登録商標))L 100-55、デグサ)およびアクリル酸メチル・メタクリル酸・アクリル酸オクチルコポリマーからなる群から選択される腸溶性アクリル酸ベースコポリマー;酢酸ビニル・無水マレイン酸コポリマー、スチレン・無水マレイン酸コポリマー、スチレン・マレイン酸モノエステルコポリマー、ビニルメチルエーテル・無水マレイン酸コポリマー、エチレン・無水マレイン酸コポリマー、ビニルブチルエーテル・無水マレイン酸コポリマー、アクリロニトリル・アクリル酸メチル・無水マレイン酸コポリマーおよびアクリル酸ブチル・スチレン・無水マレイン酸コポリマーからなる群から選択される腸溶性マレイン酸ベースコポリマー;ポリビニルアルコールフタレート、ポリビニルアセタールフタレート、ポリビニルブチレートフタレートおよびポリビニルアセトアセタールフタレートからなる群から選択される腸溶性ポリビニル誘導体;ならびにその混合物を含むが、それらに限られない。
【0056】
上記ポリマーおよび有効成分に加えて、本明細書の錠剤層は、本発明の効果を減じ得ない量の、デンプン、微結晶性セルロース、ラクトース、グルコース、マンニトール、アルギン酸塩、アルカリ土類金属の塩、粘土、ポリエチレングリコールおよび第二リン酸カルシウムのような医薬的に許容される充填剤をさらに含んでよい。
【0057】
結合剤の例は、デンプン、微結晶性セルロース、高度に分散したシリカ、マンニトール、ラクトース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、天然ガム、合成ゴム、コポビドンおよびゼラチンを含む。
【0058】
上記添加剤の崩壊剤の例は、ナトリウムデンプングリコレート、トウモロコシデンプン、バレイショデンプンおよびアルファ化デンプンのようなデンプンまたは変性デンプン;ベントナイト、モンモリロナイトおよびビーガムのような粘土;微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースのようなセルロース;アルギン酸ナトリウムまたはアルギン酸のようなアルギン;クロスカルメロースナトリウムのような架橋セルロース;グアーガムおよびキサンタンガムのようなガム;クロスポビドンのような架橋ポリマー;ならびに炭酸水素ナトリウムおよびクエン酸のような発泡性製剤を含む。
【0059】
滑沢剤の例は、タルク、ステアリン酸マグネシウムおよびアルカリ土類金属ステアリン酸型カルシウム、亜鉛、等、ラウリル硫酸ナトリウム、水素化植物油、安息香酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、モノステアリン酸グリセリンおよびポリエチレングリコールを含む。着色剤または香料のような他の医薬的に許容される添加剤が用いられてもよい。
【0060】
本発明で用いられうる添加剤は上記のものに限られず、添加剤の量は従来の方法で決定されうる。
【0061】
本明細書の組合せ製剤は、上記の錠剤層上にコーティング層を含むようにも製剤化されうる。コーティング層は、フィルム形成剤、フィルム形成アジュバントまたはその混合物を含んでよい。
【0062】
以上の物質区分は、さまざまな製剤、例えば錠剤、散剤、顆粒およびカプセルに具体化され得、錠剤においては非コーティング錠剤、コーティング錠剤、多層錠剤または遅延性放出コア錠剤を含む。
【0063】
本明細書の錠剤では、ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬を1〜60 mg、好ましくは2.5〜30 mgの量にて含んでよく、ARBを1〜600 mg、好ましくは2.5〜200 mgの量にて含んでよい。
【0064】
以下で、ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬およびARBを含む本発明の組合せ製剤の製造方法の詳細な説明を提供する。
【0065】
第一段階では、ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬と水溶性ポリマー、水不溶性ポリマー、腸溶性ポリマーおよびその混合物からなる群から選択される放出制御物質を、医薬的に許容される添加剤とともに混合、顆粒化またはコーティングすることによって遅延性即時放出顆粒またはコーティング錠剤を調製し、次いで顆粒化およびコーティングを行う。
【0066】
第二段階では、医薬的に許容される添加剤を伴うARBを含む即時放出粒子または顆粒を、経口固形のための通常の方法、例えば混練、乾燥および篩過のような方法を行うことにより調製する。
【0067】
第三段階では、第一および第二段階で医薬的に許容される賦形剤とともに調製された顆粒またはコーティング錠剤を混合した後、圧縮または充填することによって経口投与のための剤形を調製し、次いで圧縮または充填を行う。
【0068】
以下で、上記各段階の詳細な説明を提供する。
A. 錠剤の製剤:
第一段階で調製した粒子または顆粒は場合によっては放出制御物質でコーティングしてもよく、これと第二段階で調製した顆粒を混合することによって、均一な重さの錠剤を調製し、次いで圧縮を行う。結果的に得られる錠剤は、安定性と形状を改善するためにフィルムコーティングが必要である可能性がある。
【0069】
B. 多層錠剤の製剤:
第一段階で調製した顆粒を、場合によっては放出制御物質でコーティングし、乾燥する。乾燥した顆粒を、多層錠剤圧縮機を用いることにより第二段階で調製した顆粒とともに圧縮し、その結果、二層錠剤が得られる。場合によっては、二層錠剤上に放出アジュバント層をさらに加えることによって、三層またはそれ以上の多層錠剤も調製しうる。コーティング多層錠剤は、多層錠剤をコーティングすることによって調製しうる。
【0070】
C. 内部コア錠剤の製剤:
第一段階で調製したコーティング錠剤または顆粒を、場合によっては放出制御物質でコーティングし、乾燥し、次いで均一な重さに圧縮する。結果的に得られる顆粒は、場合によってはさらにコーティングを行った後内部コアとして用い、内部コア錠剤圧縮機を用いることによって第二段階で調製した顆粒とともに圧縮し、その結果内部コア錠剤を提供する。コーティング内部コア錠剤は、内部コア錠剤をコーティングすることによって調製しうる。
【0071】
D. カプセル(顆粒)の製剤:
第一段階で調製した顆粒を、場合によっては放出制御物質でコーティングし、乾燥しうる。乾燥した顆粒を第二段階で調製した顆粒とともに充填し、各顆粒の量は、各成分の有効量を考慮して決定しうる。
【0072】
E. カプセル(丸薬)の製剤:
ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬および放出制御物質または医薬的に許容される添加剤を、水中、有機溶媒中または混合溶液中で溶解し、または懸濁する。この溶液または懸濁液を、糖球上でコーティングし、乾燥する。これを第二段階で調製した顆粒と混合し、カプセルに充填し、その結果カプセルを提供する。場合によっては、放出制御溶液も、このカプセルに充填してよい。放出制御溶液は、放出制御物質またはその組合せを水中、有機溶媒中または混合溶液中で溶解し、乾燥させることによって調製する。
【0073】
本明細書で調製した組合せ製剤を一日一回、特に夜に投与することで、高血圧症の制御およびその合併症の予防において一定の活性が可能になる。
本明細書の組合せ製剤の適切な投与量は、吸収および排出の割合、不活性化の程度、ならびに患者の年齢、性別、および健康状態を考慮することで決定しうる。好ましくは、成人の適切な一日の投与量は、ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬を6.5〜350 mg、より好ましくは2.5〜40.0 mg、およびARBを2.5〜300 mgである。
【0074】
組合せ製剤は、以下の理由から夜に投与することが好ましい。
他の薬物のように、アムロジピンおよびロサルタンは、24時間にわたる特徴的な活性のバイオリズムを示す。[J. Clin. Hypertens 5 (1): 17-23, 30, 2003]。
すなわち、アムロジピンは、午前1時から午後1時に血圧の上昇を抑制する最も高い活性を示す。これは、血管壁の痙攣現象は、さまざまなストレス要因のために日中深刻となり得、アムロジピンは痙攣性の血圧上昇に直接作用するためである。
したがって、アムロジピンは、午前4時の後に最大血漿濃度に達するため、本明細書の機能的組合せ製剤は午後7時頃の夜早くに投与すると、日中適切な水準の血圧を維持しうる。
【0075】
その一方で、ロサルタンはアムロジピンよりも血圧を低下させる活性が通常は弱い。しかしながら、ロサルタンは通常は夜に発生し作用するアルドステロンの発生およびアンジオテンシン-2の活性を阻害し抑制するため、午後4〜12時の間、ロサルタンはより活性がある。これは、夜の血圧の上昇を効果的に予防しうることを意味する。
【0076】
特に、本明細書の組合せ製剤は、24時間にわたって一定水準の血圧の維持および心臓の交感神経過剰興奮の抑制が必要である高血圧症の合併症に苦しむ患者にとって非常に有用でありうると期待される。
【0077】
表3は、本明細書の機能的組合せ製剤と従来の同時投与処方法との比較を示す。本発明の機能的組合せ製剤は、高血圧症の治療において従来の同時投与法よりも優れていることが確認できた。さらに、本発明の機能的組合せ製剤は、合併症の危険性が比較的高い時間により活発に作用することによって、薬物間の相互作用によって引き起こされる副作用を減少し、合併症の頻度を減少するであろう。さらに、本発明の全ての効果は、簡易な薬物療法、すなわち、一日一回の夜間投与によって実現しうるため、本発明は、医師の処方および薬物療法指導を促進し、薬物療法コンプライアンスを改善し、その結果、医療事故の頻度ならびに医師の処方および薬物療法指導の時間を減少させると期待される。
【0078】
本明細書の機能的組合せ製剤と従来の同時投与法との比較
【表3】
【0079】
上述のように、降圧活性において、本明細書の時間治療投与は同時投与よりも優れ、夜間の投与は昼間の投与よりも優れている。
【0080】
本発明は、以下の実施例によってさらに具体的に説明される。本明細書の実施例は、本発明を例証することのみを意図しているが、特許請求の範囲に記載されている発明を限定することは全く意図していない。
【実施例1】
【0081】
単一丸剤の製剤:
(1)ロサルタンカリウムの顆粒の製剤:
表4に示すように、ロサルタンカリウム、ラクトースおよび微結晶性セルロースの所定量を、35番ふるいで篩過し、ダブルコーンミキサーを用いて5分間混合した。混合物を流動層造粒機(GPCG 1:グラット(Glatt))にセットし、顆粒を調製するために結合剤溶液(ヒドロキシプロピルメチルセルロースの水溶液)を噴霧し、乾燥させた。顆粒にカルボマー71G散剤を加え、ダブルコーンミキサーでステアリン酸マグネシウムと混合した。結果的に得られた混合物を、回転式錠剤圧縮機(MRC-33:セジョン(Sejong))を用いて毎分30回転の速度で圧縮し、硬度7〜9 kp、厚さ3.0 mmおよび直径5.5 mmの錠剤を得た。
【0082】
表4に示すように、ロサルタンカリウム、ラクトースおよび微結晶性セルロースの所定量を、35番ふるいで篩過し、ダブルコーンミキサーで5分間混合した。ヒドロキシプロピルセルロースを純水に溶解することによって結合剤溶液を調製した。混合物を流動層造粒機にセットし、結合剤溶液を加えることによって顆粒化した。顆粒化工程では、高速混合機を用いてもよい。流動層造粒機としてGPCG-1(グラット(Glatt)、ドイツ)を用い、トップスプレー方式を用いて操作した。混合物を加えた後、造粒機を以下の条件下(空気流量80 m3/hおよび流入空気温度40℃)で予熱し、フィルター振動(デルタPフィルターを500 pa未満に維持した)を非同期モードで40秒間行った。噴霧空気の圧力を1.0〜2.0 barに維持する一方で、温度が35℃に達すると、顆粒化のために結合剤溶液を毎分1.0〜10 gの速度で噴霧し、コーティング溶液の噴霧角度を制御した。工程が進行するにしたがって粒子が形成され始め、空気流量が80 m3/hから120 m3/hに増加した。粒子の減少を防ぐために、フィルター振動(デルタPフィルターを4000 pa未満に維持した)を同期モードで1分間中5秒間行った。
【0083】
流動層顆粒乾燥機としてGPCG-1(グラット(Glatt)、ドイツ)を用いて、顆粒化された粒子を以下の条件下(空気流量120 m3/hおよび流入空気温度65℃)、流動層乾燥機中で乾燥した。フィルター振動(デルタPフィルターを4000 pa未満に維持した)を非同期モードで30秒間中5秒間行った。温度が40℃に達すると、試料を測定した。乾燥工程は、乾燥減量(loss of drying(LOD))が2.5%よりも低くなると(乾燥減量(on drying(LOD))が2.5%未満)完結したが、一方で標準条件が十分ではない時、粒子をさらに乾燥させた。乾燥混合物を、20番ふるいを装備したF型グラインダーで篩過した。これをダブルコーンミキサーにセットし、アルファ化デンプンと10分間混合した。ロサルタンを含む即時放出顆粒は、ステアリン酸マグネシウムを加え、次いで4分間混合することによって調製した。
【0084】
(2)アムロジピンの遅延性即時放出顆粒の製剤:
表4に示すように、マレイン酸アムロジピン、微結晶性セルロース、架橋ポリビニルピロリドンおよび塩化ナトリウムの所定量を35番ふるいで篩過し、ダブルコーンミキサーを用いて5分間混合した。結合剤溶液を、ヒドロキシプロピルセルロースを純水に溶解することによって調製した。流動層顆粒化および流動層乾燥は、ロサルタンの中間放出顆粒を調製する工程と同一の条件下で行った。乾燥混合物を流動層顆粒コーティング機にセットし、エタノールおよび塩化メチレンの混合液中で、セルロースアセテート(アセタール基32%)、セルロースアセテート(アセタール基39.8%)およびヒドロキシプロピルメチルセルロースを溶解することによって調製した溶液でコーティングした。
【0085】
コーティング工程は、ボトムスプレー方式を用いてGPCG-1(グラット(Glatt)、ドイツ)で行った。顆粒の大きさに依存してB型またはC型プレートを用いた。パーティションギャップを25 mmの位置にし、1 mmサイズの噴霧ノズルを装備した。装置を以下の条件下(空気流量100 m3/h、流入空気温度45〜60℃および粒子温度40〜50℃)で予熱し、フィルター振動(デルタPフィルターを500 pa未満に維持した)を非同期モードで30秒間中5秒間行った。
噴霧空気の圧力を1.0〜1.5 barに維持する一方で、予熱工程中、粒子温度が35℃に達すると、フィルムコーティング溶液を毎分1〜5 gの速度で噴霧し、コーティング溶液の噴霧角度を制御した。装置の温度を40℃に維持する一方で、工程中、粒子の温度を34〜38℃に維持し、乾燥および表面処理を約1時間行った。アムロジピンの遅延性即時放出顆粒は、粒子をステアリン酸マグネシウムと4分間混合することによって調製した。
【0086】
二種の顆粒を混合し、直径10.0 mmの穿孔機を装備した回転式錠剤圧縮機(MRC-33、セジョンメカニクス(Sejong Mechanics)、韓国)で圧縮した。結果的に得られた錠剤を、従来の条件下でヒドロキシプロピルメチルセルロース2910、ポリエチレングリコール6,000および酸化チタンを、エタノールおよび塩化メチレンの混合液に溶解することによって調製した溶液でコーティングした。
【実施例2】
【0087】
表4に示すように、セルロースアセテート(アセタール基32%)、セルロースアセテート(アセタール基39.8%)およびヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いる代わりにセルロースアセテート(アセタール基32%)のみを用いる以外は、実施例1と同様に錠剤を調製した。
【実施例3】
【0088】
表4に示すように、セルロースアセテート(アセタール基32%)、セルロースアセテート(アセタール基39.8%)およびヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いる以外は、実施例1と同様に錠剤を調製した。
【実施例4】
【0089】
表4に示すように、エチルセルロースをエタノールおよび塩化メチレンの混合液中に溶解することによって溶液を調製し、セルロースアセテートでコーティングした顆粒上にさらに溶液をコーティングし、次いで4分間混合する前にステアリン酸マグネシウムを加える以外は、実施例1と同様に錠剤を調製した。
【実施例5】
【0090】
表4に示すように、エチルセルロースをオイドラギットRL(Eudragit RL)に取り換える以外は、実施例4と同様に錠剤を調製した。
【実施例6】
【0091】
表4に示すように、エチルセルロースをオイドラギットRS(Eudragit RS)に取り換える以外は、実施例4と同様に錠剤を調製した。
【実施例7】
【0092】
表4に示すように、エチルセルロースの代わりにエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートを用いる以外は、実施例4と同様に錠剤を調製した。
【実施例8】
【0093】
多層錠剤の製剤:
実施例4で調製したアムロジピン遅延性即時放出顆粒および実施例1で調製したロサルタン即時放出顆粒を、直径10 mmの穿孔機を装備した多層錠剤圧縮機(MRC-37T:セジョンメカニクス(Sejong Mechanics)、韓国)のそれぞれ異なった注入口に別々に注入した。従来の条件下でヒドロキシプロピルメチルセルロース2910、ポリエチレングリコール6,000および酸化チタンを、エタノールおよび塩化メチレンの混合液中に溶解することによって調製した溶液で圧縮錠剤をコーティングした。
【実施例9】
【0094】
内部コア錠剤の製剤:
実施例4で調製したアムロジピン遅延性即時放出顆粒を、直径8 mmの穿孔機を装備した回転式錠剤圧縮機(RUD-I:キリアン(kilian)、ドイツ)で圧縮し、内部コア錠剤を得た。直径10 mmの穿孔機を装備した内部コア錠剤圧縮機で、内部コア錠剤を実施例1で調製したロサルタン即時放出顆粒とともに圧縮した。結果的に得られた錠剤を、従来の条件下でヒドロキシプロピルメチルセルロース2910、ポリエチレングリコール6,000および酸化チタンを、エタノールおよび塩化メチレンの混合液中に溶解することによって調製した溶液でコーティングした。
【実施例10】
【0095】
カプセルの製剤:
実施例4で調製したアムロジピン遅延性即時放出顆粒を実施例1で調製したロサルタン即時放出顆粒と混合し、カプセル充填剤を用いることによってカプセル(0番または1番)に充填し、その結果カプセルを得た。
【実施例11】
【0096】
アムロジピン-バルサルタン多層錠剤の製剤:
表4に示すように、ロサルタンカリウムおよびラクトースの代わりにバルサルタンおよびリン酸カルシウムを用いる以外は、実施例8と同様に錠剤を調製した。
【実施例12】
【0097】
アムロジピン-テルミサルタン多層錠剤の製剤:
表4に示すように、ロサルタンカリウムおよびラクトースの代わりに水酸化ナトリウムおよびテルミサルタンを用いる以外は、実施例8と同様に錠剤を調製した。
【実施例13】
【0098】
アムロジピン-カンデサルタン多層錠剤の製剤:
表4に示すように、ロサルタンカリウムの代わりにカンデサルタンシレキセチルを用いる以外は、実施例8と同様に錠剤を調製した。
【実施例14】
【0099】
アムロジピン-イルベサルタン多層錠剤の製剤:
表5に示すように、ロサルタンカリウムの代わりにイルベサルタンを用いる以外は、実施例8と同様に錠剤を調製した。
【実施例15】
【0100】
アムロジピン-オルメサルタン多層錠剤の製剤:
表5に示すように、ロサルタンの代わりにオルメサルタンメドキソミルを用いる以外は、実施例8と同様に錠剤を調製した。
【実施例16】
【0101】
レルカニジピン-ロサルタン多層錠剤の製剤:
表5に示すように、アムロジピンの代わりに塩酸レルカニジピンを用いる以外は、実施例8と同様に錠剤を調製した。
【実施例17】
【0102】
ラシジピン-ロサルタン多層錠剤の製剤:
表5に示すように、アムロジピンの代わりにラシジピンを用いる以外は、実施例8と同様に錠剤を調製した。
【実施例18】
【0103】
アムロジピン-ロサルタン内部コア錠剤の製剤:
(1)アムロジピン遅延性即時放出層の製剤:
表5に示すように、アムロジピンベシレートおよび微結晶性セルロースを35番ふるいで篩過し、ダブルコーンミキサーで混合した。この混合物を、流動層造粒機(GPCG 1:グラット(Glatt))に導入した。混合物を、流動層造粒機(GPCG 1:グラット(Glatt))に導入し、結合剤溶液(ヒドロキシプロピルメチルセルロース水溶液)を噴霧することによって顆粒化し、乾燥させた。顆粒にカルボマー71G散剤を10分間混合し、ダブルコーンミキサーでステアリン酸マグネシウムを加えた。結果的に得られた混合物を回転式錠剤圧縮機(MRC-33:セジョン(Sejong))を用いて圧縮し、直径5.5 mmの錠剤を得た。これらの錠剤を、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートでコーティングし、内部コア錠剤として用いた。
【0104】
(2)ロサルタン即時放出層顆粒の製剤:
表5に示すように、ロサルタン、微結晶性セルロース、ラクトースおよびアルファ化デンプンを35番ふるいで篩過し、ダブルコーンミキサーで20分間混合した。ステアリン酸マグネシウムも35番ふるいで篩過し、ダブルコーンミキサーに導入し、4分間混合し、ロサルタン層を有する即時放出顆粒を得た。
【0105】
(3)ポストミキシング、圧縮およびコーティング:
内部コア錠剤圧縮機(RUD-1:キリアン(Kilian))でアムロジピン内部コア錠剤およびロサルタン(外層)を含む成分を圧縮することによって、内部コア錠剤を調製し、次いでハイコーター(SFC-30N、セジョンメカニクス(Sejong Mechanics)、韓国)を用いてフィルムコーティング層を形成した。
【実施例19】
【0106】
アムロジピン-ロサルタン内部コア錠剤の製剤:
(1)アムロジピン遅延性即時放出層の製剤:
表5に示すように、アムロジピンベシレートおよび微結晶性セルロースを35メッシュふるいで篩過し、ダブルコーンミキサーで混合した。混合物を流動層造粒機(GPCG 1:グラット(Glatt))に導入し、結合剤溶液(ヒドロキシプロピルメチルセルロース水溶液)を噴霧することによって顆粒化し、乾燥させた。ダブルコーンミキサーで顆粒にステアリン酸マグネシウムを混合し、回転式錠剤圧縮機(MRC-33:セジョン(Sejong))を用いて圧縮し、直径5.5 mmの錠剤を得た。これらの錠剤をエチルセルロースでコーティングし、内部コア錠剤として用いた。
【0107】
(2)ロサルタン即時放出層顆粒の製剤:
表5に示すように、ロサルタン、微結晶性セルロース、ラクトースおよびアルファ化デンプンを35番ふるいで篩過し、ダブルコーンミキサーで20分間混合した。ステアリン酸マグネシウムも35番ふるいで篩過し、ダブルコーンミキサーに導入し、4分間混合し、ロサルタン層を有する即時放出顆粒を得た。
【0108】
(3)ポストミキシング、圧縮およびコーティング:
アムロジピン内部コア錠剤およびロサルタン(外層)を含む成分を、内部コア錠剤圧縮機(RUD-1:キリアン(Kilian))で圧縮することによって内部コア錠剤を調製し、次いでハイコーター(SFC-30N、セジョンメカニクス(Sejong Mechanics)、韓国)を用いてフィルムコーティング層を形成した。
【実施例20】
【0109】
アムロジピン-バルサルタン内部コア錠剤の製剤:
表5に示すように、ロサルタンカリウムおよびリン酸カルシウムの代わりにバルサルタンおよびラクトースを用いる以外は、実施例18と同様に錠剤を調製した。
【実施例21】
【0110】
アムロジピン-テルミサルタン内部コア錠剤の製剤:
表5に示すように、ロサルタンカリウムおよびラクトースの代わりにテルミサルタンおよび水酸化ナトリウムを用いる以外は、実施例18と同様に錠剤を調製した。
【実施例22】
【0111】
アムロジピン-カンデサルタン内部コア錠剤の製剤:
表5に示すように、ロサルタンカリウムの代わりにカンデサルタンシレキセチルを用いる以外は、実施例18と同様に錠剤を調製した。
【実施例23】
【0112】
アムロジピン-イルベサルタン内部コア錠剤の製剤:
表5に示すように、ロサルタンカリウムの代わりにイルベサルタンを用いる以外は、実施例18と同様に錠剤を調製した。
【実施例24】
【0113】
アムロジピン-オルメサルタン内部コア錠剤の製剤:
表5に示すように、ロサルタンの代わりにオルメサルタンメドキソミルを用いる以外は、実施例18と同様に錠剤を調製した。
【実施例25】
【0114】
レルカニジピン-ロサルタン内部コア錠剤の製剤:
表5に示すように、アムロジピンの代わりに塩酸レルカニジピンを用いる以外は、実施例18と同様に錠剤を調製した。
【実施例26】
【0115】
ラシジピン-ロサルタン内部コア錠剤の製剤:
表5に示すように、アムロジピンの代わりにラシジピンを用いる以外は、実施例18と同様に錠剤を調製した。
【0116】
【表4】
【0117】
【0118】
【0119】
【0120】
【表5】
【0121】
【0122】
【0123】
【0124】
比較例1:ARB単一丸剤
本発明の製剤の比較研究のため、コザール(Cozaar(登録商標))50 mg錠剤(MSD韓国、ロサルタン単一丸剤)、ディオバン(Diovan(登録商標))80 mg錠剤(韓国ノバルティス、バルサルタン単一丸剤)およびプリトール(Pritor(登録商標))40 mg錠剤(GSK、テルミサルタン単一丸剤)のような市販のARB薬を用いた。
【0125】
比較例2:アムロジピン単一丸剤
本発明の製剤の比較研究のために、アニジピン(Anydipine(登録商標))5 mg錠剤(CKD、マレイン酸アムロジピン単一丸剤)、ノルバスク(Norvasc(登録商標))5 mg錠剤(ファイザー、アムロジピンベシレート単一丸剤)、ザニディップ(Zanidip(登録商標))錠剤(LGライフサイエンス、塩酸レルカニジピン)およびバクサール(Vaxar(登録商標))4 mg錠剤(GSK、ラシジピン単一丸剤)のような市販のジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬を用いた。
【0126】
実験例1:溶解試験
韓国薬局方(改訂第8版)に記載された一般的な溶解試験法に基づいて、比較溶解試験を行った。
酵素非存在下の腸液の存在下、溶解試験を37±0.5℃に加熱して行い(韓国薬局方改訂第8版;崩壊試験法における第二流体)、50 rpmの回転でパドル法を用いた。塩酸レルカニジピン製剤の試験は、溶解試験の界面活性剤として1%のポリソルベート80を加えることによって行った。放出後、一定量の溶解液を所定時間間隔で分離し、溶解比率を分析し、図1〜8に示す結果を得た(各試験薬の数は12)。
【0127】
図1に示すように、アムロジピン-ロサルタンの機能的組合せ製剤におけるロサルタンは、市販の薬物のように試験の開始から分解し、溶解比率は、pH 6.8の溶液中、30分以内に85%を超える増加を示した。
市販の薬物と異なり、アムロジピンの遅延性即時放出製剤は、本発明の発明者が期待したように、試験の開始後3〜5時間後に放出され始め、溶解比率は、アムロジピンが放出され始めた後1時間以内に85%を越える増加を示した。
【0128】
図2に示すように、アムロジピンは投与する製剤に依存して溶解比率において小さな差異を示す。それゆえ、実施例に記載された投与のための全ての製剤は、本発明の目的-ロサルタンが最初に放出され、夜間に血圧を制御する一方で、アムロジピンは数時間後に放出され、日中に血圧を制御する、という目的を達成しうることが確認できた。
【0129】
図3および図4に示すように、溶解度に依存して少しの差異はあるが、他のARBベース薬(バルサルタンおよびテルミサルタン)も本発明で製剤化され得、その結果、本発明の目的を達成しうることが確認できた。
【0130】
図5〜7に示すように、他のカルシウムチャネル遮断薬ベース薬(塩酸レルカニジピンおよびラシジピン)ならびに他の塩(アムロジピンベシレート)は、本発明でロサルタンとともに製剤化され得、その結果、本発明の目的を達成しうることが確認できた。
【0131】
図8に示すように、本発明のアムロジピンの遅延性即時放出顆粒も、セルロースアセテートのポリマー1分子のみを用いたとしても調製しうることが確認できた。
【0132】
実験例2:有効性試験(動物試験)
アムロジピンのようなカルシウムチャネル遮断薬とロサルタンのようなARB薬の夜間投与と、時間間隔を伴う錠剤での時間治療投与との有効性を比較するために、表6に記載するような動物試験を行った。
【0133】
【表6】
【0134】
【0135】
【0136】
表7および図9〜11を参照し、動物試験の結果についての詳細な説明を以下に提供する。
1. 時間治療投与群においてのみ、投与の日に血圧が著しく低下した(表7および図9)。
2. 明条件下での投与(人間にとって夜の投与と同様)は、暗条件下での投与(人間にとって朝の投与と同様)よりも約15%を超える血圧の低下を示した。
3. 全ての試験群で、投与の2日目および5日目に血圧の著しい低下を示した(表7、図10および図11)。
4. 本発明の時間治療投与群(夜の投与)は、血圧を低下させる効果が最も高く、次いで時間治療投与群(朝の投与)、同時投与群(夜の投与)、同時投与群(朝の投与)と続く。
【0137】
上記のように、血圧上昇の抑制において時間治療投与群は同時投与群よりも優れているが、これは本発明に開示されているように生体異物および時間治療によって説明されうる。すなわち、同時投与群においてアムロジピンは肝代謝酵素(シトクロムP450 3A4)の活性を阻害し、その結果、ロサルタンの活性型への変換に拮抗する。しかしながら、時間治療投与群において、ロサルタンが活性型に変換された後にアムロジピンは放出されまたは吸収され、その結果、血圧の上昇を抑制する比較的高い活性を示す。
【0138】
アムロジピンおよびロサルタンの併用療法では、夜の投与は朝の投与よりも治療活性がより高いことが確認できた。これは、高血圧症誘導物質であるレニンの生産が睡眠中に増加するため、ロサルタンは夜の投与が好まれるからである。さらに、時間治療投与群は、投与の初めに血圧を制御する活性が優れていることが確認できた。それゆえ、アムロジピンおよびロサルタンの組合せ製剤が高血圧症の治療に使用される際、夜の時間治療投与(ロサルタン投与後のアムロジピン投与)は、血圧を低下させるための最適な治療法であると確認できた。
【0139】
【表7】
【産業上の利用可能性】
【0140】
上記のように、本明細書の機能的組合せ製剤は、生体異物および時間治療理論を薬物製剤設計に適用することによって、アムロジピン単一丸剤およびロサルタン単一丸剤の同時投与によっては達成し得ない医薬的および臨床的効果を十分に達成する。さらに、本明細書の機能的組合せ製剤は、夜に投与してもよいため、血圧の上昇を抑制し、合併症を予防する一定の活性を示しうる。簡易な薬物療法指導は、特に高齢者のための服薬遵守を増加しうる。
【0141】
さらに、機能的組合せ製剤は、単一丸剤における約50%から約80%まで、軽度の高血圧症の予防的または治療的活性を増加させるであろうと予想される。そのような機能的組合せ製剤は、三の主要な合併症、すなわち心疾患、腎疾患および脳卒中に優れた効果を示すため、高血圧症患者の長寿に貢献する。
特に、機能的組合せ製剤は、糖尿病合併症に苦しむ高血圧症患者にとって最良の処方薬または治療法となるであろう。
【0142】
さらに、本明細書の機能的組合せ製剤における二の薬物は、異なった活性を有し、各薬物の副作用を軽減し、循環器合併症の危険性を低下させもする。組合せ処方薬は、疾患の予防のために被る長期にわたる費用、各単一丸剤の充填費用および処方期間を削減するであろうという点において、本発明は経済的観点においても効果的である。
【0143】
それゆえ、本発明は、生体異物および時間治療理論を薬物製剤技術に適用することによって、機能的組合せ製剤の新時代を開くであろう。
【技術分野】
【0001】
本発明は、アムロジピンなどのジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬およびロサルタンなどのARB(アンジオテンシン-2レセプター遮断薬)を含む組合せ医薬製剤に関する。特に、本発明は、循環器疾患の予防および治療のために時間治療的に設計された組合せ製剤であって、二の薬物が時間治療的に放出され得、それにより単一錠剤の形態における各薬物の同時投与と比較して治療活性を改善するが、副作用を軽減し、循環器疾患の合併症の危険性が最高となる一日の時間帯にできるだけ高い治療活性を維持するために生体異物および時間治療に基づき製剤化される、製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、優れた有効性を有する多くの降圧剤が開発され、処方されているが、高血圧症の治療に関し50%ルールが未だ残っている。すなわち、高血圧症患者の50%のみがその症状を有していることを認識し、障害を認識している患者の50%のみが医療を受けており、その50%のみが適切な医学的治療を受けている。これは、高血圧症患者の12.5%のみが適切な医学的治療を受けていることを意味する。
【0003】
特に、降圧療法は、血圧を低下させるだけではなく、心筋梗塞、心不全、脳卒中および早期死亡のような合併症を予防し、またはその医学的欠点を制御することによって、その患者の長く健康な人生を確保することをも目的としている。
【0004】
上記の目的を達成するために、降圧剤は、薬物療法指導を促進し、患者の服薬遵守を増加させるために、さらに改良しなければならない。
【0005】
過去30年の大規模な臨床報告(例えば、HOT、UKPOS)によれば、組合せ処方薬は、軽度のまたは中等度の高血圧症に苦しむ患者に処方した際に、合併症を予防し、またはその悪化を抑制しうることが立証されている[米国合同委員会(Joint National Committee)(JNC VIおよびVII)発行の高血圧症管理のためのガイドライン、世界保健機関-国際高血圧学会(WHO-ISH)(1999)]。
【0006】
高血圧症にはさまざまな原因がある。それぞれの原因は、患者の初期の高血圧症の原因たりうるが、複数の原因が末期患者の高血圧症に関係しうる。したがって、高血圧症患者の現状の病態生理学的原因に適した確かな降圧剤を選ぶことは困難である。[Journal of human hypertension 1995: 9: S33-S36]。このため、降圧剤の併用療法は好まれ、増加傾向にあり、特に、ロサルタンのようなARB(アンジオテンシン-2レセプター遮断薬)に基づく薬物が好まれる。
【0007】
併用療法は、以下の理由のため、必要に応じて頻繁に報告されている[J. Hum. Hypertens. 1995: S33-S36]。
1)高血圧症は、1つの原因が引き金となりうるが、最終的には複数の原因および要因によって悪化する。
2)単一有効成分は、高血圧症の複数の病態生理学的な原因には適さない。
3)単一有効成分は、50%未満の患者にしか有効ではない。
4)組合せ処方薬は、80%を超える患者に有効である。
5)特に、単一丸剤のみを処方することによって、糖尿病のような合併症を伴う高血圧症を治療することは困難であり、合併症の悪化を抑制することはさらに困難である。
6)単一丸剤が満足な効果をもたらさないことにより用量を増加させると、副作用が増加しうる。組合せ処方薬は、副作用を減少しうる。
7)組合せ処方薬は、合併症を予防し、副作用を減少させる一方で、疾患のさまざまな原因を取り除きうる。それゆえ、アメリカ心臓協会(American Heart Association)も、高血圧症治療を開始するために、組合せ処方薬は、好ましくは単一丸剤処方に推奨されうると強調している。
8)特に、血圧は、合併症のない患者よりも、合併症のある患者においてより大幅に低下すべきである。この場合、併用療法は不可欠である。それにもかかわらず、単一丸剤は、26%の患者にのみに有効たりうる。組合せ製剤は、適切な血圧を維持することによって合併症を予防する際に、74%もの患者にとって有効たりうる[大規模臨床試験、HOT]。
9)アメリカ食品医薬物局(FDA)は、固定用量併用療法に従って、組合せ製剤の必要性を、30年間認めてきた。この原則に従って、異なった医薬活性を持つ薬物は、各単一丸剤が摂取されるかのように等量を含むように組合せることが要求される。これは固定用量組合せ製剤と呼ばれ、単一丸剤の有効性および安全性が十分に評価されているかどうか、およびそのような併用療法が医師によって広く処方されているかどうかのさらなる実験データもなく承認されてきた。
10)降圧剤の固定用量組合せが、血圧を低下させる際に、優れた効果を有することは、広く公知となっている
11)各成分の用量は増加せず、それゆえ各成分の副作用は大幅に減少する。
12)降圧剤は、おもに循環器に関係する副作用の原因となる。そのような副作用は、各薬物の用量を増加させることのない、二の薬物の併用療法によるよりも、単一薬剤の用量を増加させることによる方がより悪化しうる。
13)組合せ製剤は、薬物療法コンプライアンスを改善し、医師が患者に薬物療法指導をするのに要する時間を半分短縮しうる。
14)併用療法製剤は、循環器合併症の危険性を低下させ、疾患制御のために被る長期にわたる費用を削減しうる。
15)組合せ製剤は、各単一製剤の二を充填する場合と比較して、充填に要する費用と時間を大幅に削減しうる。
【0008】
一般的に、血圧は年齢とともに上昇する。60歳を超える高齢者の約63%が、高血圧症に苦しんでいる。特に、単独収縮期高血圧症は、収縮期血圧が増加し、拡張期血圧が減少する60歳ごろに発症するが、これは老人性高血圧症と呼ばれている。
【0009】
その一方で、高血圧症患者の腎機能は、年齢とともに低下する。このため、血圧上昇因子(アンジオテンシン II)の生産は増加し、それによって血圧はさらに上昇する。この場合、単一丸剤は、満足のいく結果をもたらさないかもしれず、腎臓の保護に有効なアムロジピンとロサルタンの併用療法が、効果的な薬物療法として報告されている[Clin. Ther. 2003 May 25 (5): 1469-69; Nepherol Dial Transplant vol. 18 (2003): p1806-1813; J. American Society of Nephrology, vol. 12 (2001) p. 822-827]。
【0010】
老人性高血圧症においては、一定水準の血圧を24時間維持することが要求される。さらに、睡眠中に起こりうる突然の心臓発作、および日中の早いうちにストレスによって起こる高血圧卒中を予防するためにも必要である。
【0011】
各降圧剤は、特有の24時間周期のバイオリズム活性を示す。ARB薬であるロサルタンは、RAASが強く活性化される深夜から夜明けに、優れた降圧効果を示す。ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬であるアムロジピンは、患者が目覚めているときに、ストレス性血管痙攣によって引き起こされる高血圧症を都合よく抑制する。
それゆえ、これらの薬物の組合せによって、治療活性はさらに増加しうる[Clin. Hypertension 5(1): 17-23, 30, 2003]。
【0012】
各薬物の医薬活性は、下記の表1に示すように異なっているため、併用療法は理想的であろう。
【0013】
アムロジピンおよびロサルタンの薬理学的活性
【表1】
【0014】
すなわち、二の薬物は血圧を低下させるメカニズム、および最大活性の時間が互いに異なるため、二の薬物を一定の間隔をあけて投与する際、二の薬物の併用療法は、一の薬物の有効性が不十分である患者が高血圧症を制御する際に相乗効果を示しうる。さらに、二の薬物は、ロサルタンがアムロジピンによって誘発されるカリウムイオンの減少を相殺するという相補作用を示す。そのうえ、制御放出を伴う時間治療的組合せ医薬製剤はインスリン耐性を減少させうるが、これは2型糖尿病に苦しむ患者にしばしば起こる。
【0015】
アムロジピン、すなわち、3-エチル-5-メチル-2-(2-アミノエトキシメチル)-4-(2-クロロフェニル)-1,4-ジヒドロ-6-メチル-3,5-ピリジンジカルボキシレートは、長時間作用性のカルシウムチャネル遮断薬である。その有効性および安全性は、アムロジピンは高血圧症の治療に最も広く処方されている薬物であるという事実によって証明されうる[欧州特許出願公開番号89,167ならびに米国特許番号4,572,909、4,879,303および5,115,120]。
【0016】
ロサルタン、すなわち、2-ブチル-4-クロロ-1-[p-(o-1H-テトラゾール-5-イルフェニル)ベンジル]イミダゾール-5-メタノールは、アンジオテンシン-II(AII)がAIIレセプター(血管壁レセプター)に結合するのを阻害することによって血圧の上昇を抑制する。アンジオテンシン-IIは、血圧の上昇、左心室または血管の肥大化、アテローム性動脈硬化症、腎不全および脳卒中を誘発する[米国特許番号5,138,069]。
【0017】
血圧を低下させる活性があるため、ロサルタンは、心不全、アテローム性動脈硬化症を伴う不整脈もしくは心不全、糖尿病関連合併症、脳卒中、アテローム性動脈硬化症、および循環器疾患のようなさまざまな疾患の予防もしくは治療のために、抗血小板活性のために、またはアルドステロンの有害な活性もしくはメタボリックシンドロームの影響を阻害するために広く使用されている[Clin. Exp. Hypertens., vol. 20 (1998), p. 205-221; J. Hypertens., vol. 13 (8) (1995), p. 891-899; Kidney Lnt., vol. 57 (2) (2000), p. 601-606; Am. J. Hypertens., vol. 10 (12PT2) Suppl. (1997), p. 325-331; Circulation, vol. 101 (14) (2000), p. 1653-1659; J. Hypertension., vol. 17 (7) (1999), p. 907-716; Circulation, vol. 101 (2000), p. 2349]。
【0018】
表1に示したように、アムロジピンおよびロサルタンは、広く、相補的に作用し、それゆえ組合せ処方薬または併用療法の標的であると考えられる。アムロジピンおよびロサルタンの組合せ処方薬または併用療法は、さまざまな疾患にも有効である。これらの理由によって、併用療法(二の薬物の各単一丸剤の同時投与)は、広く試みられてきた。
【0019】
しかしながら、二の薬物は、異なった24時間周期のバイオリズムパターンで作用し、二の薬物は肝臓に同時に放出および吸収される際、ある種の酵素に反対の様式で影響を受け、または作用しうるということが、生体異物によって公知となっている[シトクロムP450薬物相互作用表、インディアナ大学内科学教室、2004年3月11日更新]。
いわゆる生体異物は、適切な薬物療法期間を決定するために、薬物の吸収時間を区別することによって薬物の拮抗作用を抑制するために、および各個人の酵素代謝を調査するために、体内の薬物の代謝過程を検査することによって、各個人の薬効を開発するための科学的研究である。
【0020】
この点において、アムロジピンおよびロサルタンを二の異なった剤形で同時投与する際、以下の問題が生じうる。
ロサルタンは吸収され、肝臓に輸送される。ロサルタン自身の活性型の若干量は、直ちに肝臓から血液に放出され、1時間以内にその型は、最大水準に達する。しかしながら、残りのすべてのロサルタン化合物は、おもに肝臓内の二の酵素によって代謝され(シトクロムP450 2C7および3A4)、活性型(ロサルタンカルボキシレート)に変換される。変換後、3〜4時間以内に最大血漿濃度に達しうる。すなわち、ロサルタンおよびロサルタンカルボキシレートの混合物は、ロサルタンの全医薬活性を示す。
【0021】
一方、アムロジピンは、肝臓中でシトクロムP450 3A4の発生を阻害する。アムロジピン自身は活性型で、シトクロムP450 3A4の存在下、肝臓中のアムロジピンの一部は代謝されるが、アムロジピンの大部分はシトクロムP450 3A4のさらなる発生を阻害している。それゆえ、60〜90%の活性型アムロジピンは、6〜12時間で最大血漿濃度を示しうる。
【0022】
それゆえ、アムロジピンがロサルタンと同時またはロサルタンが吸収される前3〜4時間以内に肝臓に吸収される際、ロサルタンの活性型代謝物(ロサルタンカルボキシレート)への変換は阻害されうる。特に、高齢者における収縮期血圧は、そのような収縮期血圧がわずかに上昇するときでさえ脳卒中の原因となり得る。それゆえ、合併症を予防するために、血圧は24時間厳密に標準的水準に維持されなければならない。しかしながら、上記の臨床的欠陥を克服しうる組合せ製剤は、報告されていない。
【0023】
オズワルド・コールマン(Osvaldo Kohlmann)らは、併用療法の必要性、ならびにアムロジピンまたはロサルタンの単独療法と、アムロジピンおよびロサルタンの同時投与処方を比較した結果に基づく実験結果を報告している。しかしながら、これは機能的差異を伴って作用する、技術的に予測される組合せ製剤である本発明と異なる。[本質的な高血圧症の治療におけるアムロジピンおよびロサルタンの固定併用の有効性および忍容性の評価、J. Cardiol. 2006]。
【0024】
米国特許出願公開2005-0209288では、(S)型アムロジピンおよびテルミサルタン(すなわち、ロサルタンのようなARB薬、米国特許番号5,591,762)の併用投与療法は、各薬物の分離投与と比較してさらに少ない用量で同様の有効性を実現しうる、と記載されている。しかしながら、この公開では、テルミサルタンの物理的性質のため、製剤は効果的な血漿濃度および治療活性のための基本的な薬剤を含まなければならないという事実を考慮していない[韓国特許公開番号2005-0053690]。さらに、この公開では、単一丸剤の同時投与(すなわち、同時投与処方法)の必要性のみを考慮し、循環器疾患の効果的な治療法の組合せ製剤の調製を試みていない。
【0025】
米国特許出願公開番号2003-0158244では、経口投与後胃に留まり、徐々に放出されるロサルタン、この製剤を含む調製、およびさらに降圧剤を含む組合せ製剤を含む製剤を開示している。この公開では、製剤またはその調製は、薬物の適切な吸収を誘発し、最大血漿濃度の時間を遅延させ、最大血漿濃度を低下させることによって、過剰投与によって引き起こされる副作用を軽減しうる、と記載されている。しかしながら、この技術の原理は、本発明(生体異物および時間治療)の原理と反対であるため、この技術は本明細書の治療上の有効性を実現しない可能性がある。
【0026】
韓国特許公開番号2004-0078140では、バルサルタン(ARB薬)およびカルシウムチャネル遮断薬を含む降圧組合せ製剤を開示している。しかしながら、二の薬物が一定の間隔をあけて放出される効果は、この発明では実現されない可能性がある。
【0027】
WO 06/048208では、テルミサルタンおよびアムロジピンを含む二層錠剤を開示している。この公開では、有効成分の安定性を改善するための製剤として二層錠剤を選択し、製剤は二の成分の両方が迅速に分解しうるように設計されている。この技術は、アムロジピンのようなカルシウムチャネル遮断薬の放出が、生体異物および時間治療に従って遅延する本発明と全く異なっている。さらに、薬物の特性を考慮していないため、上記の技術には、進歩性がないことは明らかである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
上記の問題を克服するために、本発明の発明者は、広範な研究を行い、最終的にアムロジピンのようなジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬が、投与後3〜4時間で小腸から吸収される一方で、ロサルタンのようなARB薬が、投与後直ちに小腸から吸収される機能的組合せ製剤を開発し、その結果、一日一回、夜に投与することによって、24時間一定の血圧を維持し、合併症および他の副作用を抑制することが可能になった。本発明の機能的組合せ製剤は、表2に示すような利点がある。
【0029】
従来の同時投与処方に対する本発明の機能的組合せ製剤の利点
【表2】
【0030】
それゆえ、本発明は、ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬単一丸剤およびARB単一丸剤の同時投与と比較して、高血圧症の治療、およびその合併症または他の副作用の予防において、医薬的および臨床的有効性を最大化しうる組合せ薬物システムならびに機能的に設計された組合せ製剤を提供することを目的とする。
【0031】
本発明は、従来の固定用量組合せ製剤において生体異物および時間治療の理論を適用するDDS技術によって製剤化される、機能的組合せ製剤の新時代を開くことも目的とする。
【0032】
さらに、本発明は、二のまたはそれ以上の薬物の全体的な治療上の有効性を最大化し、一日一回、夜に投与するという方法で薬物療法を簡易化することによって高齢者の薬物療法コンプライアンスを促進することを目的とする。
さらに、本発明は、二のまたはそれ以上の薬物の同時投与に要するよりも2倍またはそれ以上に増加する、個々に単一丸剤を充填するため、または処方薬を調合するために要する費用と時間を削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0033】
本発明は、有効成分としてジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬およびARB(アンジオテンシン-2レセプター遮断薬)を含む、制御放出を伴う時間治療的組合せ医薬製剤に関し、ARB(アンジオテンシン-2レセプター遮断薬)は直ちに放出される一方で、ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬は、ある程度遅れた後、徐々に放出される。
【発明の効果】
【0034】
本発明の機能的組合せ製剤は、生体異物および時間治療を薬物製剤技術に適用し、それによって、アムロジピン単一丸剤およびロサルタン単一丸剤の同時投与によって失われうる医薬的または臨床的な治療上の有効性を十分に実現する。本明細書の機能的組合せ製剤は、血圧の制御、合併症の予防、および副作用の軽減において一定の活性をも示しうる。さらに、本明細書の機能的組合せ製剤は、簡易化した同時投与と比較して高齢者の薬物療法コンプライアンスを改善しうる。
【0035】
さらに、組合せ製剤は、各単一丸剤の場合の約50%と比較して、軽度の高血圧症の治療において、約80%まで有効性の増加をもたらすであろうと予想される。本発明の機能的組合せ製剤は、心疾患、腎疾患、および脳卒中のような主要な合併症において優れた有効性を示すため、高血圧症患者の健康的な長寿に貢献するであろう。特に、機能的組合せ製剤は、糖尿病合併症に苦しむ高血圧症患者にとって最良の処方薬または治療法となるであろう。
さらに、本明細書の機能的組合せ製剤における二の薬物は異なった活性を有し、各薬物の副作用を軽減し、さらに循環器合併症の危険性を低下させる。組合せ処方薬は、従来の同時投与の効果の弱い治療法によって悪化しうる合併症によって被る長期間にわたる費用を削減し、処方薬の充填の費用と時間を削減するであろうという点において、本発明は経済的観点においても効果的である。
【0036】
それゆえ、本発明は、従来の固定用量組合せ製剤において生体異物および時間治療の理論を適用するDDS技術によって製剤化された、機能的組合せ製剤の新時代を開くであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、実験例1の結果、すなわち、ロサルタン単一丸剤(コザール(Cozaar(登録商標))50 mg錠剤-MSD韓国)、アムロジピン単一丸剤(ノルバスク(Norvasc(登録商標))5 mg錠剤-ファイザー)、および実施例4において調製される機能的組合せ製剤におけるロサルタンおよびアムロジピンの溶解比率を示す。
【図2】図2は、実験例1の結果、すなわち、実施例4および8〜10において調製される機能的組合せ製剤におけるアムロジピンの溶解比率を示す。
【図3】図3は、実験例1の結果、すなわち、バルサルタン単一丸剤(ディオバン(Diovan(登録商標))80 mg錠剤-韓国ノバルティス)、アムロジピン単一丸剤(ノルバスク(Norvasc(登録商標))5 mg錠剤-ファイザー)、および実施例11において調製される機能的組合せ製剤におけるバルサルタンおよびアムロジピンの溶解比率を示す。
【図4】図4は、実験例1の結果、すなわち、テルミサルタン単一丸剤(プリトール(Pritor(登録商標))40 mg錠剤-GSK)、アムロジピン単一丸剤(ノルバスク(Norvasc(登録商標))5 mg錠剤-ファイザー)、および実施例12において調製される機能的組合せ製剤におけるテルミサルタンおよびアムロジピンの溶解比率を示す。
【図5】図5は、実験例1の結果、すなわち、レルカニジピン単一丸剤(ザニディップ(Zanidip(登録商標))錠剤-LGライフサイエンス)、ロサルタン単一丸剤(コザール(Cozaar(登録商標))50 mg錠剤-MSD韓国)、および実施例16において調製される機能的組合せ製剤におけるレルカニジピンおよびロサルタンの溶解比率を示す。
【図6】図6は、実験例1の結果、すなわち、ラシジピン単一丸剤(ザニディップ(Zanidip(登録商標))錠剤-LGライフサイエンス)、ロサルタン単一丸剤(コザール(Cozaar(登録商標))50 mg錠剤-MSD韓国)、および実施例27において調製される機能的組合せ製剤におけるラシジピンおよびロサルタンの溶解比率を示す。
【図7】図7は、実験例1の結果、すなわち、アムロジピンベシレート単一丸剤(ノルバスク(Norvasc(登録商標))5 mg錠剤-ファイザー)、ロサルタン単一丸剤(コザール(Cozaar(登録商標))50 mg錠剤-MSD韓国)、および実施例18において調製される機能的組合せ製剤におけるアムロジピンベシレートおよびロサルタンの溶解比率を示す。
【図8】図8は、実験例1の結果、すなわち、実施例2〜4において調製される機能的組合せ製剤におけるアムロジピンの溶解比率を示す。
【図9】図9は、実験例2の薬物投与後、20時間以内の収縮期血圧(SBP)を示す。
【図10】図10は、実験例2の薬物投与後、20時間以内の平均血圧(MBP)を示す。
【図11】図11は、実験例2の薬物投与後、20時間以内の拡張期血圧(DBP)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明は、有効成分としてジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬、およびアンジオテンシン-2レセプター遮断薬(ARB)を含む組合せ製剤に関し、アンジオテンシン-2レセプター遮断薬(ARB)は迅速に放出され、ある程度遅れた後、ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬が徐々に放出される。
【0039】
本発明は、以下を含む循環器疾患の治療用組合せ製剤にも関する:
(1)有効成分としてアンジオテンシン-2レセプター遮断薬(ARB)を含む、即時放出顆粒;および
(2)有効成分としてジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬を含む遅延性中間放出顆粒またはコーティング錠剤、ならびに水溶性ポリマー、水不溶性ポリマー、腸溶性ポリマー、およびその混合物からなる群から選択される放出制御物質。
【0040】
以下で、本発明の詳細な説明を提供する。
ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬(例えば、アムロジピン)の単一丸剤、およびARB(例えば、ロサルタン)の単一丸剤の同時投与と比較して、本発明の循環器疾患の治療用機能的組合せ製剤は、二のまたはそれ以上の薬物の全体的な治療の有効性を最大化し、高血圧症の治療およびその合併症の予防において、二の薬物が一定間隔をあけて放出されることを許容することによって、24時間一定の活性を維持する。
【0041】
本発明は、組合せ薬物システムまたは機能的組合せ製剤に関し、ARB(アンジオテンシン-2レセプター遮断薬)が投与後直ちに放出される一方で、ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬は、ある程度遅れた後に放出される。好ましくは、本明細書の組合せ製剤は、(i)有効成分としてARB(アンジオテンシン-2レセプター遮断薬)を含む即時放出部;ならびに(ii)有効成分としてジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬を含む遅延性中間放出部、ならびに水溶性ポリマー、水不溶性ポリマー、腸溶性ポリマー、およびその混合物からなる群から選択される放出制御物質、を含む。
【0042】
ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬の例は、アムロジピン、レルカニジピン、フェロジピン、ニフェジピン、ニカルジピン、イスラジピン、ニソルジピン、およびその医薬的に許容される塩、を含む。ARB(アンジオテンシン-2レセプター遮断薬)の例は、ロサルタン、バルサルタン、テルミサルタン、イルベサルタン、カンデサルタン、オルメサルタン、およびその医薬的に許容される塩、を含む。
【0043】
本発明は、(i)意図的に有効成分の放出を遅延させるが、放出時に直ちに成分を放出するために、効率的にマトリックスへ圧縮製剤することによって調製される、ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬を含む顆粒またはコーティング錠剤;ならびに(ii)それぞれ圧縮コーティング錠剤、三層錠剤、および多成分マトリックス型錠剤を製造するために、ARB(s)を含む即時放出顆粒を含む、製剤技術を開示する。
【0044】
すなわち、本発明は、循環器疾患の治療用機能的組合せ製剤に関し、(1)有効成分としてARB(アンジオテンシン-2レセプター遮断薬)を含む即時放出顆粒;(2)有効成分としてジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬を含む遅延性即時放出顆粒またはコーティング錠剤、ならびに水溶性ポリマー、水不溶性ポリマー、腸溶性ポリマー、およびその混合物からなる群から選択される放出制御物質、を含む
【0045】
ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬を含む上記の顆粒は、水溶性ポリマー、水不溶性ポリマー、および腸溶性ポリマーからなる群から選択される放出制御物質を含み、従来の方法に従ってコーティングされうる。結果的に得られる顆粒またはコーティング錠剤は、多成分粒子またはARBを含む即時放出顆粒成分の顆粒とともに錠剤に圧縮され、またはカプセルに充填されうる。
【0046】
本明細書の組合せ製剤は、(i)ある程度遅れた後、直ちに放出されるジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬顆粒;および(ii)直ちに放出されるARB顆粒層を含む、多層錠剤に製剤化されうる。
【0047】
本明細書の組合せ製剤は、(i)ある程度遅れた後、直ちに放出されるジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬を含む内部コア層;および(ii)直ちに放出されるARBを含む外層を含む、二重内部コア錠剤へも製剤化されうる。
【0048】
本発明は、充填剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定化剤、およびフィルムコーティング剤のような医薬的に許容される添加剤を用いることによって、経口投与後、迅速に分解され、放出され、消化管に吸収されるために、ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬を含む層から離れて即時放出ARB層を調製する技術を開示する。
【0049】
本発明は、有効成分の遅延性即時放出を可能にする製剤技術を開示する。本技術により、20%未満の有効成分のみが目的の時間までに、典型的には経口投与後1〜6時間以内に放出される一方で、85%またはそれ以上の成分は、目的の時間後に放出される。本発明は、アムロジピンのようなジヒドロピリジンベース薬の遅延性即時放出製剤を開示する。したがって、ロサルタンを含むARB薬の層は最初に放出され、吸収され、アムロジピンを含むジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬は1〜6時間後、好ましくは3〜4時間後に放出され、吸収される。
【0050】
この遅延性即時放出製剤は、有効成分、遅延性即時放出作用を許容するポリマー性物質、ならびに医薬的に許容される充填剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、および安定化剤のような他の添加剤を用いることによって調製されうる。
【0051】
本発明において、ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬の一重量部に対して、ARB(アンジオテンシン-2レセプター遮断薬)は、0.2〜20重量部、より好ましくは2〜12重量部の量にて含まれるのが好ましい。量が0.2重量部未満になると、望ましい高血圧効果が十分ではない可能性がある。量が20重量部を超えると、低血圧のような副作用が生じうる。
【0052】
本発明では、ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬の一重量部に対して、遅延性中間放出部は、0.5〜100重量部、好ましくは1〜50重量部、最も好ましくは2〜30重量部の量の放出制御物質を含んでよい。量が0.5重量部未満になると、保持時間が十分ではない可能性がある。量が100重量部を超えると、薬物が放出されないかまたは保持時間が12時間を越える可能性がある。
【0053】
水溶性ポリマーの例は、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群から選択される水溶性セルロースエステル;ポリビニルピロリドンおよびポリビニルアルコールからなる群から選択される水溶性ポリビニル誘導体;ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールからなる群から選択されるアルキレンオキシドポリマー;ならびにその混合物を含むが、これらに限られない。
【0054】
水不溶性ポリマーの例は、エチルセルロースおよびセルロースアセテートからなる群から選択される水不溶性セルロースエーテル;アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル・メタクリル酸クロロトリメチルアンモニウムエチルコポリマー(例えば、オイドラギット(Eudragit(登録商標))RSまたはRL、デグサ)およびメタクリル酸メチル・アクリル酸エチルコポリマー クロロトリメチルアンモニウムエチルコポリマー(例えば、オイドラギット(Eudragit(登録商標))NE30D、デグサ)からなる群から選択される水不溶性アクリル酸ベースコポリマー;ならびにその混合物を含むが、これらに限られない。
【0055】
腸溶性ポリマーの例は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシメチルエチルセルロースフタレート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートスクシネート、セルロースアセテートマレエート、セルロースベンゾエートフタレート、セルロースプロピオネートフタレート、メチルセルロースフタレート、カルボキシメチルエチルセルロースおよびエチルヒドロキシエチルセルロースフタレートからなる群から選択される腸溶性セルロース誘導体;スチレン・アクリル酸コポリマー、アクリル酸メチル・アクリル酸コポリマー、アクリル酸メチルメタクリル酸コポリマー、アクリル酸ブチル・スチレン・アクリル酸コポリマー、メタクリル酸・メタクリル酸エチルコポリマー(例えば、オイドラギット(Eudragit(登録商標))L 100、オイドラギット(Eudragit(登録商標))S、デグサ)、メタクリル酸・アクリル酸エチルコポリマー(例えば、オイドラギット(Eudragit(登録商標))L 100-55、デグサ)およびアクリル酸メチル・メタクリル酸・アクリル酸オクチルコポリマーからなる群から選択される腸溶性アクリル酸ベースコポリマー;酢酸ビニル・無水マレイン酸コポリマー、スチレン・無水マレイン酸コポリマー、スチレン・マレイン酸モノエステルコポリマー、ビニルメチルエーテル・無水マレイン酸コポリマー、エチレン・無水マレイン酸コポリマー、ビニルブチルエーテル・無水マレイン酸コポリマー、アクリロニトリル・アクリル酸メチル・無水マレイン酸コポリマーおよびアクリル酸ブチル・スチレン・無水マレイン酸コポリマーからなる群から選択される腸溶性マレイン酸ベースコポリマー;ポリビニルアルコールフタレート、ポリビニルアセタールフタレート、ポリビニルブチレートフタレートおよびポリビニルアセトアセタールフタレートからなる群から選択される腸溶性ポリビニル誘導体;ならびにその混合物を含むが、それらに限られない。
【0056】
上記ポリマーおよび有効成分に加えて、本明細書の錠剤層は、本発明の効果を減じ得ない量の、デンプン、微結晶性セルロース、ラクトース、グルコース、マンニトール、アルギン酸塩、アルカリ土類金属の塩、粘土、ポリエチレングリコールおよび第二リン酸カルシウムのような医薬的に許容される充填剤をさらに含んでよい。
【0057】
結合剤の例は、デンプン、微結晶性セルロース、高度に分散したシリカ、マンニトール、ラクトース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、天然ガム、合成ゴム、コポビドンおよびゼラチンを含む。
【0058】
上記添加剤の崩壊剤の例は、ナトリウムデンプングリコレート、トウモロコシデンプン、バレイショデンプンおよびアルファ化デンプンのようなデンプンまたは変性デンプン;ベントナイト、モンモリロナイトおよびビーガムのような粘土;微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースのようなセルロース;アルギン酸ナトリウムまたはアルギン酸のようなアルギン;クロスカルメロースナトリウムのような架橋セルロース;グアーガムおよびキサンタンガムのようなガム;クロスポビドンのような架橋ポリマー;ならびに炭酸水素ナトリウムおよびクエン酸のような発泡性製剤を含む。
【0059】
滑沢剤の例は、タルク、ステアリン酸マグネシウムおよびアルカリ土類金属ステアリン酸型カルシウム、亜鉛、等、ラウリル硫酸ナトリウム、水素化植物油、安息香酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、モノステアリン酸グリセリンおよびポリエチレングリコールを含む。着色剤または香料のような他の医薬的に許容される添加剤が用いられてもよい。
【0060】
本発明で用いられうる添加剤は上記のものに限られず、添加剤の量は従来の方法で決定されうる。
【0061】
本明細書の組合せ製剤は、上記の錠剤層上にコーティング層を含むようにも製剤化されうる。コーティング層は、フィルム形成剤、フィルム形成アジュバントまたはその混合物を含んでよい。
【0062】
以上の物質区分は、さまざまな製剤、例えば錠剤、散剤、顆粒およびカプセルに具体化され得、錠剤においては非コーティング錠剤、コーティング錠剤、多層錠剤または遅延性放出コア錠剤を含む。
【0063】
本明細書の錠剤では、ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬を1〜60 mg、好ましくは2.5〜30 mgの量にて含んでよく、ARBを1〜600 mg、好ましくは2.5〜200 mgの量にて含んでよい。
【0064】
以下で、ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬およびARBを含む本発明の組合せ製剤の製造方法の詳細な説明を提供する。
【0065】
第一段階では、ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬と水溶性ポリマー、水不溶性ポリマー、腸溶性ポリマーおよびその混合物からなる群から選択される放出制御物質を、医薬的に許容される添加剤とともに混合、顆粒化またはコーティングすることによって遅延性即時放出顆粒またはコーティング錠剤を調製し、次いで顆粒化およびコーティングを行う。
【0066】
第二段階では、医薬的に許容される添加剤を伴うARBを含む即時放出粒子または顆粒を、経口固形のための通常の方法、例えば混練、乾燥および篩過のような方法を行うことにより調製する。
【0067】
第三段階では、第一および第二段階で医薬的に許容される賦形剤とともに調製された顆粒またはコーティング錠剤を混合した後、圧縮または充填することによって経口投与のための剤形を調製し、次いで圧縮または充填を行う。
【0068】
以下で、上記各段階の詳細な説明を提供する。
A. 錠剤の製剤:
第一段階で調製した粒子または顆粒は場合によっては放出制御物質でコーティングしてもよく、これと第二段階で調製した顆粒を混合することによって、均一な重さの錠剤を調製し、次いで圧縮を行う。結果的に得られる錠剤は、安定性と形状を改善するためにフィルムコーティングが必要である可能性がある。
【0069】
B. 多層錠剤の製剤:
第一段階で調製した顆粒を、場合によっては放出制御物質でコーティングし、乾燥する。乾燥した顆粒を、多層錠剤圧縮機を用いることにより第二段階で調製した顆粒とともに圧縮し、その結果、二層錠剤が得られる。場合によっては、二層錠剤上に放出アジュバント層をさらに加えることによって、三層またはそれ以上の多層錠剤も調製しうる。コーティング多層錠剤は、多層錠剤をコーティングすることによって調製しうる。
【0070】
C. 内部コア錠剤の製剤:
第一段階で調製したコーティング錠剤または顆粒を、場合によっては放出制御物質でコーティングし、乾燥し、次いで均一な重さに圧縮する。結果的に得られる顆粒は、場合によってはさらにコーティングを行った後内部コアとして用い、内部コア錠剤圧縮機を用いることによって第二段階で調製した顆粒とともに圧縮し、その結果内部コア錠剤を提供する。コーティング内部コア錠剤は、内部コア錠剤をコーティングすることによって調製しうる。
【0071】
D. カプセル(顆粒)の製剤:
第一段階で調製した顆粒を、場合によっては放出制御物質でコーティングし、乾燥しうる。乾燥した顆粒を第二段階で調製した顆粒とともに充填し、各顆粒の量は、各成分の有効量を考慮して決定しうる。
【0072】
E. カプセル(丸薬)の製剤:
ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬および放出制御物質または医薬的に許容される添加剤を、水中、有機溶媒中または混合溶液中で溶解し、または懸濁する。この溶液または懸濁液を、糖球上でコーティングし、乾燥する。これを第二段階で調製した顆粒と混合し、カプセルに充填し、その結果カプセルを提供する。場合によっては、放出制御溶液も、このカプセルに充填してよい。放出制御溶液は、放出制御物質またはその組合せを水中、有機溶媒中または混合溶液中で溶解し、乾燥させることによって調製する。
【0073】
本明細書で調製した組合せ製剤を一日一回、特に夜に投与することで、高血圧症の制御およびその合併症の予防において一定の活性が可能になる。
本明細書の組合せ製剤の適切な投与量は、吸収および排出の割合、不活性化の程度、ならびに患者の年齢、性別、および健康状態を考慮することで決定しうる。好ましくは、成人の適切な一日の投与量は、ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬を6.5〜350 mg、より好ましくは2.5〜40.0 mg、およびARBを2.5〜300 mgである。
【0074】
組合せ製剤は、以下の理由から夜に投与することが好ましい。
他の薬物のように、アムロジピンおよびロサルタンは、24時間にわたる特徴的な活性のバイオリズムを示す。[J. Clin. Hypertens 5 (1): 17-23, 30, 2003]。
すなわち、アムロジピンは、午前1時から午後1時に血圧の上昇を抑制する最も高い活性を示す。これは、血管壁の痙攣現象は、さまざまなストレス要因のために日中深刻となり得、アムロジピンは痙攣性の血圧上昇に直接作用するためである。
したがって、アムロジピンは、午前4時の後に最大血漿濃度に達するため、本明細書の機能的組合せ製剤は午後7時頃の夜早くに投与すると、日中適切な水準の血圧を維持しうる。
【0075】
その一方で、ロサルタンはアムロジピンよりも血圧を低下させる活性が通常は弱い。しかしながら、ロサルタンは通常は夜に発生し作用するアルドステロンの発生およびアンジオテンシン-2の活性を阻害し抑制するため、午後4〜12時の間、ロサルタンはより活性がある。これは、夜の血圧の上昇を効果的に予防しうることを意味する。
【0076】
特に、本明細書の組合せ製剤は、24時間にわたって一定水準の血圧の維持および心臓の交感神経過剰興奮の抑制が必要である高血圧症の合併症に苦しむ患者にとって非常に有用でありうると期待される。
【0077】
表3は、本明細書の機能的組合せ製剤と従来の同時投与処方法との比較を示す。本発明の機能的組合せ製剤は、高血圧症の治療において従来の同時投与法よりも優れていることが確認できた。さらに、本発明の機能的組合せ製剤は、合併症の危険性が比較的高い時間により活発に作用することによって、薬物間の相互作用によって引き起こされる副作用を減少し、合併症の頻度を減少するであろう。さらに、本発明の全ての効果は、簡易な薬物療法、すなわち、一日一回の夜間投与によって実現しうるため、本発明は、医師の処方および薬物療法指導を促進し、薬物療法コンプライアンスを改善し、その結果、医療事故の頻度ならびに医師の処方および薬物療法指導の時間を減少させると期待される。
【0078】
本明細書の機能的組合せ製剤と従来の同時投与法との比較
【表3】
【0079】
上述のように、降圧活性において、本明細書の時間治療投与は同時投与よりも優れ、夜間の投与は昼間の投与よりも優れている。
【0080】
本発明は、以下の実施例によってさらに具体的に説明される。本明細書の実施例は、本発明を例証することのみを意図しているが、特許請求の範囲に記載されている発明を限定することは全く意図していない。
【実施例1】
【0081】
単一丸剤の製剤:
(1)ロサルタンカリウムの顆粒の製剤:
表4に示すように、ロサルタンカリウム、ラクトースおよび微結晶性セルロースの所定量を、35番ふるいで篩過し、ダブルコーンミキサーを用いて5分間混合した。混合物を流動層造粒機(GPCG 1:グラット(Glatt))にセットし、顆粒を調製するために結合剤溶液(ヒドロキシプロピルメチルセルロースの水溶液)を噴霧し、乾燥させた。顆粒にカルボマー71G散剤を加え、ダブルコーンミキサーでステアリン酸マグネシウムと混合した。結果的に得られた混合物を、回転式錠剤圧縮機(MRC-33:セジョン(Sejong))を用いて毎分30回転の速度で圧縮し、硬度7〜9 kp、厚さ3.0 mmおよび直径5.5 mmの錠剤を得た。
【0082】
表4に示すように、ロサルタンカリウム、ラクトースおよび微結晶性セルロースの所定量を、35番ふるいで篩過し、ダブルコーンミキサーで5分間混合した。ヒドロキシプロピルセルロースを純水に溶解することによって結合剤溶液を調製した。混合物を流動層造粒機にセットし、結合剤溶液を加えることによって顆粒化した。顆粒化工程では、高速混合機を用いてもよい。流動層造粒機としてGPCG-1(グラット(Glatt)、ドイツ)を用い、トップスプレー方式を用いて操作した。混合物を加えた後、造粒機を以下の条件下(空気流量80 m3/hおよび流入空気温度40℃)で予熱し、フィルター振動(デルタPフィルターを500 pa未満に維持した)を非同期モードで40秒間行った。噴霧空気の圧力を1.0〜2.0 barに維持する一方で、温度が35℃に達すると、顆粒化のために結合剤溶液を毎分1.0〜10 gの速度で噴霧し、コーティング溶液の噴霧角度を制御した。工程が進行するにしたがって粒子が形成され始め、空気流量が80 m3/hから120 m3/hに増加した。粒子の減少を防ぐために、フィルター振動(デルタPフィルターを4000 pa未満に維持した)を同期モードで1分間中5秒間行った。
【0083】
流動層顆粒乾燥機としてGPCG-1(グラット(Glatt)、ドイツ)を用いて、顆粒化された粒子を以下の条件下(空気流量120 m3/hおよび流入空気温度65℃)、流動層乾燥機中で乾燥した。フィルター振動(デルタPフィルターを4000 pa未満に維持した)を非同期モードで30秒間中5秒間行った。温度が40℃に達すると、試料を測定した。乾燥工程は、乾燥減量(loss of drying(LOD))が2.5%よりも低くなると(乾燥減量(on drying(LOD))が2.5%未満)完結したが、一方で標準条件が十分ではない時、粒子をさらに乾燥させた。乾燥混合物を、20番ふるいを装備したF型グラインダーで篩過した。これをダブルコーンミキサーにセットし、アルファ化デンプンと10分間混合した。ロサルタンを含む即時放出顆粒は、ステアリン酸マグネシウムを加え、次いで4分間混合することによって調製した。
【0084】
(2)アムロジピンの遅延性即時放出顆粒の製剤:
表4に示すように、マレイン酸アムロジピン、微結晶性セルロース、架橋ポリビニルピロリドンおよび塩化ナトリウムの所定量を35番ふるいで篩過し、ダブルコーンミキサーを用いて5分間混合した。結合剤溶液を、ヒドロキシプロピルセルロースを純水に溶解することによって調製した。流動層顆粒化および流動層乾燥は、ロサルタンの中間放出顆粒を調製する工程と同一の条件下で行った。乾燥混合物を流動層顆粒コーティング機にセットし、エタノールおよび塩化メチレンの混合液中で、セルロースアセテート(アセタール基32%)、セルロースアセテート(アセタール基39.8%)およびヒドロキシプロピルメチルセルロースを溶解することによって調製した溶液でコーティングした。
【0085】
コーティング工程は、ボトムスプレー方式を用いてGPCG-1(グラット(Glatt)、ドイツ)で行った。顆粒の大きさに依存してB型またはC型プレートを用いた。パーティションギャップを25 mmの位置にし、1 mmサイズの噴霧ノズルを装備した。装置を以下の条件下(空気流量100 m3/h、流入空気温度45〜60℃および粒子温度40〜50℃)で予熱し、フィルター振動(デルタPフィルターを500 pa未満に維持した)を非同期モードで30秒間中5秒間行った。
噴霧空気の圧力を1.0〜1.5 barに維持する一方で、予熱工程中、粒子温度が35℃に達すると、フィルムコーティング溶液を毎分1〜5 gの速度で噴霧し、コーティング溶液の噴霧角度を制御した。装置の温度を40℃に維持する一方で、工程中、粒子の温度を34〜38℃に維持し、乾燥および表面処理を約1時間行った。アムロジピンの遅延性即時放出顆粒は、粒子をステアリン酸マグネシウムと4分間混合することによって調製した。
【0086】
二種の顆粒を混合し、直径10.0 mmの穿孔機を装備した回転式錠剤圧縮機(MRC-33、セジョンメカニクス(Sejong Mechanics)、韓国)で圧縮した。結果的に得られた錠剤を、従来の条件下でヒドロキシプロピルメチルセルロース2910、ポリエチレングリコール6,000および酸化チタンを、エタノールおよび塩化メチレンの混合液に溶解することによって調製した溶液でコーティングした。
【実施例2】
【0087】
表4に示すように、セルロースアセテート(アセタール基32%)、セルロースアセテート(アセタール基39.8%)およびヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いる代わりにセルロースアセテート(アセタール基32%)のみを用いる以外は、実施例1と同様に錠剤を調製した。
【実施例3】
【0088】
表4に示すように、セルロースアセテート(アセタール基32%)、セルロースアセテート(アセタール基39.8%)およびヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いる以外は、実施例1と同様に錠剤を調製した。
【実施例4】
【0089】
表4に示すように、エチルセルロースをエタノールおよび塩化メチレンの混合液中に溶解することによって溶液を調製し、セルロースアセテートでコーティングした顆粒上にさらに溶液をコーティングし、次いで4分間混合する前にステアリン酸マグネシウムを加える以外は、実施例1と同様に錠剤を調製した。
【実施例5】
【0090】
表4に示すように、エチルセルロースをオイドラギットRL(Eudragit RL)に取り換える以外は、実施例4と同様に錠剤を調製した。
【実施例6】
【0091】
表4に示すように、エチルセルロースをオイドラギットRS(Eudragit RS)に取り換える以外は、実施例4と同様に錠剤を調製した。
【実施例7】
【0092】
表4に示すように、エチルセルロースの代わりにエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートを用いる以外は、実施例4と同様に錠剤を調製した。
【実施例8】
【0093】
多層錠剤の製剤:
実施例4で調製したアムロジピン遅延性即時放出顆粒および実施例1で調製したロサルタン即時放出顆粒を、直径10 mmの穿孔機を装備した多層錠剤圧縮機(MRC-37T:セジョンメカニクス(Sejong Mechanics)、韓国)のそれぞれ異なった注入口に別々に注入した。従来の条件下でヒドロキシプロピルメチルセルロース2910、ポリエチレングリコール6,000および酸化チタンを、エタノールおよび塩化メチレンの混合液中に溶解することによって調製した溶液で圧縮錠剤をコーティングした。
【実施例9】
【0094】
内部コア錠剤の製剤:
実施例4で調製したアムロジピン遅延性即時放出顆粒を、直径8 mmの穿孔機を装備した回転式錠剤圧縮機(RUD-I:キリアン(kilian)、ドイツ)で圧縮し、内部コア錠剤を得た。直径10 mmの穿孔機を装備した内部コア錠剤圧縮機で、内部コア錠剤を実施例1で調製したロサルタン即時放出顆粒とともに圧縮した。結果的に得られた錠剤を、従来の条件下でヒドロキシプロピルメチルセルロース2910、ポリエチレングリコール6,000および酸化チタンを、エタノールおよび塩化メチレンの混合液中に溶解することによって調製した溶液でコーティングした。
【実施例10】
【0095】
カプセルの製剤:
実施例4で調製したアムロジピン遅延性即時放出顆粒を実施例1で調製したロサルタン即時放出顆粒と混合し、カプセル充填剤を用いることによってカプセル(0番または1番)に充填し、その結果カプセルを得た。
【実施例11】
【0096】
アムロジピン-バルサルタン多層錠剤の製剤:
表4に示すように、ロサルタンカリウムおよびラクトースの代わりにバルサルタンおよびリン酸カルシウムを用いる以外は、実施例8と同様に錠剤を調製した。
【実施例12】
【0097】
アムロジピン-テルミサルタン多層錠剤の製剤:
表4に示すように、ロサルタンカリウムおよびラクトースの代わりに水酸化ナトリウムおよびテルミサルタンを用いる以外は、実施例8と同様に錠剤を調製した。
【実施例13】
【0098】
アムロジピン-カンデサルタン多層錠剤の製剤:
表4に示すように、ロサルタンカリウムの代わりにカンデサルタンシレキセチルを用いる以外は、実施例8と同様に錠剤を調製した。
【実施例14】
【0099】
アムロジピン-イルベサルタン多層錠剤の製剤:
表5に示すように、ロサルタンカリウムの代わりにイルベサルタンを用いる以外は、実施例8と同様に錠剤を調製した。
【実施例15】
【0100】
アムロジピン-オルメサルタン多層錠剤の製剤:
表5に示すように、ロサルタンの代わりにオルメサルタンメドキソミルを用いる以外は、実施例8と同様に錠剤を調製した。
【実施例16】
【0101】
レルカニジピン-ロサルタン多層錠剤の製剤:
表5に示すように、アムロジピンの代わりに塩酸レルカニジピンを用いる以外は、実施例8と同様に錠剤を調製した。
【実施例17】
【0102】
ラシジピン-ロサルタン多層錠剤の製剤:
表5に示すように、アムロジピンの代わりにラシジピンを用いる以外は、実施例8と同様に錠剤を調製した。
【実施例18】
【0103】
アムロジピン-ロサルタン内部コア錠剤の製剤:
(1)アムロジピン遅延性即時放出層の製剤:
表5に示すように、アムロジピンベシレートおよび微結晶性セルロースを35番ふるいで篩過し、ダブルコーンミキサーで混合した。この混合物を、流動層造粒機(GPCG 1:グラット(Glatt))に導入した。混合物を、流動層造粒機(GPCG 1:グラット(Glatt))に導入し、結合剤溶液(ヒドロキシプロピルメチルセルロース水溶液)を噴霧することによって顆粒化し、乾燥させた。顆粒にカルボマー71G散剤を10分間混合し、ダブルコーンミキサーでステアリン酸マグネシウムを加えた。結果的に得られた混合物を回転式錠剤圧縮機(MRC-33:セジョン(Sejong))を用いて圧縮し、直径5.5 mmの錠剤を得た。これらの錠剤を、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートでコーティングし、内部コア錠剤として用いた。
【0104】
(2)ロサルタン即時放出層顆粒の製剤:
表5に示すように、ロサルタン、微結晶性セルロース、ラクトースおよびアルファ化デンプンを35番ふるいで篩過し、ダブルコーンミキサーで20分間混合した。ステアリン酸マグネシウムも35番ふるいで篩過し、ダブルコーンミキサーに導入し、4分間混合し、ロサルタン層を有する即時放出顆粒を得た。
【0105】
(3)ポストミキシング、圧縮およびコーティング:
内部コア錠剤圧縮機(RUD-1:キリアン(Kilian))でアムロジピン内部コア錠剤およびロサルタン(外層)を含む成分を圧縮することによって、内部コア錠剤を調製し、次いでハイコーター(SFC-30N、セジョンメカニクス(Sejong Mechanics)、韓国)を用いてフィルムコーティング層を形成した。
【実施例19】
【0106】
アムロジピン-ロサルタン内部コア錠剤の製剤:
(1)アムロジピン遅延性即時放出層の製剤:
表5に示すように、アムロジピンベシレートおよび微結晶性セルロースを35メッシュふるいで篩過し、ダブルコーンミキサーで混合した。混合物を流動層造粒機(GPCG 1:グラット(Glatt))に導入し、結合剤溶液(ヒドロキシプロピルメチルセルロース水溶液)を噴霧することによって顆粒化し、乾燥させた。ダブルコーンミキサーで顆粒にステアリン酸マグネシウムを混合し、回転式錠剤圧縮機(MRC-33:セジョン(Sejong))を用いて圧縮し、直径5.5 mmの錠剤を得た。これらの錠剤をエチルセルロースでコーティングし、内部コア錠剤として用いた。
【0107】
(2)ロサルタン即時放出層顆粒の製剤:
表5に示すように、ロサルタン、微結晶性セルロース、ラクトースおよびアルファ化デンプンを35番ふるいで篩過し、ダブルコーンミキサーで20分間混合した。ステアリン酸マグネシウムも35番ふるいで篩過し、ダブルコーンミキサーに導入し、4分間混合し、ロサルタン層を有する即時放出顆粒を得た。
【0108】
(3)ポストミキシング、圧縮およびコーティング:
アムロジピン内部コア錠剤およびロサルタン(外層)を含む成分を、内部コア錠剤圧縮機(RUD-1:キリアン(Kilian))で圧縮することによって内部コア錠剤を調製し、次いでハイコーター(SFC-30N、セジョンメカニクス(Sejong Mechanics)、韓国)を用いてフィルムコーティング層を形成した。
【実施例20】
【0109】
アムロジピン-バルサルタン内部コア錠剤の製剤:
表5に示すように、ロサルタンカリウムおよびリン酸カルシウムの代わりにバルサルタンおよびラクトースを用いる以外は、実施例18と同様に錠剤を調製した。
【実施例21】
【0110】
アムロジピン-テルミサルタン内部コア錠剤の製剤:
表5に示すように、ロサルタンカリウムおよびラクトースの代わりにテルミサルタンおよび水酸化ナトリウムを用いる以外は、実施例18と同様に錠剤を調製した。
【実施例22】
【0111】
アムロジピン-カンデサルタン内部コア錠剤の製剤:
表5に示すように、ロサルタンカリウムの代わりにカンデサルタンシレキセチルを用いる以外は、実施例18と同様に錠剤を調製した。
【実施例23】
【0112】
アムロジピン-イルベサルタン内部コア錠剤の製剤:
表5に示すように、ロサルタンカリウムの代わりにイルベサルタンを用いる以外は、実施例18と同様に錠剤を調製した。
【実施例24】
【0113】
アムロジピン-オルメサルタン内部コア錠剤の製剤:
表5に示すように、ロサルタンの代わりにオルメサルタンメドキソミルを用いる以外は、実施例18と同様に錠剤を調製した。
【実施例25】
【0114】
レルカニジピン-ロサルタン内部コア錠剤の製剤:
表5に示すように、アムロジピンの代わりに塩酸レルカニジピンを用いる以外は、実施例18と同様に錠剤を調製した。
【実施例26】
【0115】
ラシジピン-ロサルタン内部コア錠剤の製剤:
表5に示すように、アムロジピンの代わりにラシジピンを用いる以外は、実施例18と同様に錠剤を調製した。
【0116】
【表4】
【0117】
【0118】
【0119】
【0120】
【表5】
【0121】
【0122】
【0123】
【0124】
比較例1:ARB単一丸剤
本発明の製剤の比較研究のため、コザール(Cozaar(登録商標))50 mg錠剤(MSD韓国、ロサルタン単一丸剤)、ディオバン(Diovan(登録商標))80 mg錠剤(韓国ノバルティス、バルサルタン単一丸剤)およびプリトール(Pritor(登録商標))40 mg錠剤(GSK、テルミサルタン単一丸剤)のような市販のARB薬を用いた。
【0125】
比較例2:アムロジピン単一丸剤
本発明の製剤の比較研究のために、アニジピン(Anydipine(登録商標))5 mg錠剤(CKD、マレイン酸アムロジピン単一丸剤)、ノルバスク(Norvasc(登録商標))5 mg錠剤(ファイザー、アムロジピンベシレート単一丸剤)、ザニディップ(Zanidip(登録商標))錠剤(LGライフサイエンス、塩酸レルカニジピン)およびバクサール(Vaxar(登録商標))4 mg錠剤(GSK、ラシジピン単一丸剤)のような市販のジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬を用いた。
【0126】
実験例1:溶解試験
韓国薬局方(改訂第8版)に記載された一般的な溶解試験法に基づいて、比較溶解試験を行った。
酵素非存在下の腸液の存在下、溶解試験を37±0.5℃に加熱して行い(韓国薬局方改訂第8版;崩壊試験法における第二流体)、50 rpmの回転でパドル法を用いた。塩酸レルカニジピン製剤の試験は、溶解試験の界面活性剤として1%のポリソルベート80を加えることによって行った。放出後、一定量の溶解液を所定時間間隔で分離し、溶解比率を分析し、図1〜8に示す結果を得た(各試験薬の数は12)。
【0127】
図1に示すように、アムロジピン-ロサルタンの機能的組合せ製剤におけるロサルタンは、市販の薬物のように試験の開始から分解し、溶解比率は、pH 6.8の溶液中、30分以内に85%を超える増加を示した。
市販の薬物と異なり、アムロジピンの遅延性即時放出製剤は、本発明の発明者が期待したように、試験の開始後3〜5時間後に放出され始め、溶解比率は、アムロジピンが放出され始めた後1時間以内に85%を越える増加を示した。
【0128】
図2に示すように、アムロジピンは投与する製剤に依存して溶解比率において小さな差異を示す。それゆえ、実施例に記載された投与のための全ての製剤は、本発明の目的-ロサルタンが最初に放出され、夜間に血圧を制御する一方で、アムロジピンは数時間後に放出され、日中に血圧を制御する、という目的を達成しうることが確認できた。
【0129】
図3および図4に示すように、溶解度に依存して少しの差異はあるが、他のARBベース薬(バルサルタンおよびテルミサルタン)も本発明で製剤化され得、その結果、本発明の目的を達成しうることが確認できた。
【0130】
図5〜7に示すように、他のカルシウムチャネル遮断薬ベース薬(塩酸レルカニジピンおよびラシジピン)ならびに他の塩(アムロジピンベシレート)は、本発明でロサルタンとともに製剤化され得、その結果、本発明の目的を達成しうることが確認できた。
【0131】
図8に示すように、本発明のアムロジピンの遅延性即時放出顆粒も、セルロースアセテートのポリマー1分子のみを用いたとしても調製しうることが確認できた。
【0132】
実験例2:有効性試験(動物試験)
アムロジピンのようなカルシウムチャネル遮断薬とロサルタンのようなARB薬の夜間投与と、時間間隔を伴う錠剤での時間治療投与との有効性を比較するために、表6に記載するような動物試験を行った。
【0133】
【表6】
【0134】
【0135】
【0136】
表7および図9〜11を参照し、動物試験の結果についての詳細な説明を以下に提供する。
1. 時間治療投与群においてのみ、投与の日に血圧が著しく低下した(表7および図9)。
2. 明条件下での投与(人間にとって夜の投与と同様)は、暗条件下での投与(人間にとって朝の投与と同様)よりも約15%を超える血圧の低下を示した。
3. 全ての試験群で、投与の2日目および5日目に血圧の著しい低下を示した(表7、図10および図11)。
4. 本発明の時間治療投与群(夜の投与)は、血圧を低下させる効果が最も高く、次いで時間治療投与群(朝の投与)、同時投与群(夜の投与)、同時投与群(朝の投与)と続く。
【0137】
上記のように、血圧上昇の抑制において時間治療投与群は同時投与群よりも優れているが、これは本発明に開示されているように生体異物および時間治療によって説明されうる。すなわち、同時投与群においてアムロジピンは肝代謝酵素(シトクロムP450 3A4)の活性を阻害し、その結果、ロサルタンの活性型への変換に拮抗する。しかしながら、時間治療投与群において、ロサルタンが活性型に変換された後にアムロジピンは放出されまたは吸収され、その結果、血圧の上昇を抑制する比較的高い活性を示す。
【0138】
アムロジピンおよびロサルタンの併用療法では、夜の投与は朝の投与よりも治療活性がより高いことが確認できた。これは、高血圧症誘導物質であるレニンの生産が睡眠中に増加するため、ロサルタンは夜の投与が好まれるからである。さらに、時間治療投与群は、投与の初めに血圧を制御する活性が優れていることが確認できた。それゆえ、アムロジピンおよびロサルタンの組合せ製剤が高血圧症の治療に使用される際、夜の時間治療投与(ロサルタン投与後のアムロジピン投与)は、血圧を低下させるための最適な治療法であると確認できた。
【0139】
【表7】
【産業上の利用可能性】
【0140】
上記のように、本明細書の機能的組合せ製剤は、生体異物および時間治療理論を薬物製剤設計に適用することによって、アムロジピン単一丸剤およびロサルタン単一丸剤の同時投与によっては達成し得ない医薬的および臨床的効果を十分に達成する。さらに、本明細書の機能的組合せ製剤は、夜に投与してもよいため、血圧の上昇を抑制し、合併症を予防する一定の活性を示しうる。簡易な薬物療法指導は、特に高齢者のための服薬遵守を増加しうる。
【0141】
さらに、機能的組合せ製剤は、単一丸剤における約50%から約80%まで、軽度の高血圧症の予防的または治療的活性を増加させるであろうと予想される。そのような機能的組合せ製剤は、三の主要な合併症、すなわち心疾患、腎疾患および脳卒中に優れた効果を示すため、高血圧症患者の長寿に貢献する。
特に、機能的組合せ製剤は、糖尿病合併症に苦しむ高血圧症患者にとって最良の処方薬または治療法となるであろう。
【0142】
さらに、本明細書の機能的組合せ製剤における二の薬物は、異なった活性を有し、各薬物の副作用を軽減し、循環器合併症の危険性を低下させもする。組合せ処方薬は、疾患の予防のために被る長期にわたる費用、各単一丸剤の充填費用および処方期間を削減するであろうという点において、本発明は経済的観点においても効果的である。
【0143】
それゆえ、本発明は、生体異物および時間治療理論を薬物製剤技術に適用することによって、機能的組合せ製剤の新時代を開くであろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分としてジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬およびアンジオテンシン-2レセプター遮断薬(ARB)を含む機能的組合せ製剤であって、アンジオテンシン-2レセプター遮断薬(ARB)が急速に放出されるが、ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬がある程度遅れた後に放出される、製剤。
【請求項2】
ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬をアンジオテンシン-2レセプター遮断薬(ARB)の代謝後に吸収することができるように、ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬の放出が1〜6時間遅れる、請求項1記載の機能的組合せ製剤。
【請求項3】
有効成分としてアンジオテンシン-2レセプター遮断薬(ARB)を含む即時放出部;ならびに
有効成分としてのジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬、ならびに水溶性ポリマー、水不溶性ポリマー、腸溶性ポリマーおよびその混合物からなる群から選択される放出制御物質を含む遅延性即時放出部
を含む、請求項1記載の機能的組合せ製剤。
【請求項4】
ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬が、アムロジピン、レルカニジピン、フェロジピン、ニフェジピン、ニカルジピン、イスラジピン、ニソルジピンまたはその医薬的に許容される塩からなる群から選択される、請求項1記載の機能的組合せ製剤。
【請求項5】
アンジオテンシン-2レセプター遮断薬(ARB)が、ロサルタン、バルサルタン、テルミサルタン、イルベサルタン、カンデサルタン、オルメサルタンまたは医薬的に許容される塩からなる群から選択される、請求項1記載の機能的組合せ製剤。
【請求項6】
1)有効成分としてアンジオテンシン-2レセプター遮断薬(ARB)を含む即時放出顆粒;ならびに
2)有効成分としてのジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬、ならびに水溶性ポリマー、水不溶性ポリマー、腸溶性ポリマーおよびその混合物からなる群から選択される放出制御物質を含む遅延性即時放出顆粒またはコーティング錠剤
を含む、循環器疾患の治療用機能的組合せ製剤。
【請求項7】
ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬をアンジオテンシン-2レセプター遮断薬(ARB)の代謝後に吸収することができるように、ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬の放出が1〜6時間遅れる、請求項6記載の機能的組合せ製剤。
【請求項8】
ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬が、アムロジピン、レルカニジピン、フェロジピン、ニフェジピン、ニカルジピン、イスラジピン、ニソルジピンまたはその医薬的に許容される塩からなる群から選択される、請求項6記載の機能的組合せ製剤。
【請求項9】
ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬が、アムロジピンまたはその医薬的に許容される塩である、請求項6記載の機能的組合せ製剤。
【請求項10】
アンジオテンシン-2レセプター遮断薬(ARB)が、ロサルタン、バルサルタン、テルミサルタン、イルベサルタン、カンデサルタン、オルメサルタンまたはその医薬的に許容される塩からなる群から選択される、請求項6記載の機能的組合せ製剤。
【請求項11】
アンジオテンシン-2レセプター遮断薬(ARB)が、ロサルタンまたはその医薬的に許容される塩である、請求項6記載の機能的組合せ製剤。
【請求項12】
アンジオテンシン-2レセプター遮断薬(ARB)が、ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬の一重量部に対して0.2〜20重量部の量にて含まれる、請求項6記載の機能的組合せ製剤。
【請求項13】
放出制御物質が、ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬の一重量部に対して0.5〜100重量部の量にて含まれる、請求項6記載の機能的組合せ製剤。
【請求項14】
水溶性ポリマーが、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群から選択される水溶性セルロースエーテル;ポリビニルピロリドンおよびポリビニルアルコールからなる群から選択される水溶性ポリビニル誘導体;ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールからなる群から選択されるアルキレンオキシドポリマー;ならびにその混合物からなる群から選択される、請求項6記載の機能的組合せ製剤。
【請求項15】
水不溶性ポリマーが、エチルセルロースおよびセルロースアセテートからなる群から選択される水不溶性セルロースエーテル;水不溶性アクリル酸ベースコポリマー アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル・メタクリル酸クロロトリメチルアンモニウムエチルコポリマーおよびメタクリル酸メチル・アクリル酸エチルコポリマー クロロトリメチルアンモニウムエチルコポリマー;ならびにその混合物である、請求項6記載の機能的組合せ製剤。
【請求項16】
腸溶性ポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシメチルエチルセルロースフタレート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートスクシネート、セルロースアセテートマレエート、セルロースベンゾエートフタレート、セルロースプロピオネートフタレート、メチルセルロースフタレート、カルボキシメチルエチルセルロースおよびエチルヒドロキシエチルセルロースフタレートからなる群から選択される腸溶性セルロース誘導体;スチレン・アクリル酸コポリマー、アクリル酸メチル・アクリル酸コポリマー、アクリル酸メチルメタクリル酸コポリマー、アクリル酸ブチル・スチレン・アクリル酸コポリマー、メタクリル酸・メタクリル酸エチルコポリマー、メタクリル酸・アクリル酸エチルコポリマーおよびアクリル酸メチル・メタクリル酸・アクリル酸オクチルコポリマーからなる群から選択される腸溶性アクリル酸ベースコポリマー;酢酸ビニル・無水マレイン酸コポリマー、スチレン・無水マレイン酸コポリマー、スチレン・マレイン酸モノエステルコポリマー、ビニルメチルエーテル・無水マレイン酸コポリマー、エチレン・無水マレイン酸コポリマー、ビニルブチルエーテル・無水マレイン酸コポリマー、アクリロニトリル・アクリル酸メチル・無水マレイン酸コポリマーおよびアクリル酸ブチル・スチレン・無水マレイン酸コポリマーからなる群から選択される腸溶性マレイン酸ベースコポリマー;ポリビニルアルコールフタレート、ポリビニルアセタールフタレート、ポリビニルブチレートフタレートおよびポリビニルアセトアセタールフタレートからなる群から選択される腸溶性ポリビニル誘導体;ならびにその混合物からなる群から選択される、請求項6記載の機能的組合せ製剤。
【請求項17】
機能的組合せ製剤が、非コーティング錠剤、フィルムコーティング層を有するコーティング錠剤、多層錠剤、内部コア錠剤、散剤、顆粒およびカプセルからなる群から選択される形態に製剤化される、請求項6記載の機能的組合せ製剤。
【請求項18】
多層錠剤が、ある程度遅れた後即時放出されるジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬層;および即時放出されるアンジオテンシン-2レセプター遮断薬(ARB)層を含む、請求項17記載の機能的組合せ製剤。
【請求項19】
ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬をアンジオテンシン-2レセプター遮断薬(ARB)の代謝後に吸収することができるように、ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬の放出が1〜6時間遅れる、請求項18記載の機能的組合せ製剤。
【請求項20】
内部コア錠剤が、ある程度遅れた後即時放出されるジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬のコア錠剤;および即時放出されるアンジオテンシン-2レセプター遮断薬(ARB)の外層を含む、請求項17記載の機能的組合せ製剤。
【請求項21】
カプセルが、ある程度遅れた後即時放出されるジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬の顆粒;および即時放出されるアンジオテンシン-2レセプター遮断薬(ARB)の顆粒を含む、請求項17記載の機能的組合せ製剤。
【請求項22】
コーティング層が、フィルム形成剤、フィルム形成アジュバントまたはその混合物を含む、請求項17記載の機能的組合せ製剤。
【請求項23】
ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬およびARB(アンジオテンシン-2レセプター遮断薬)が、それぞれ2.5〜30 mgおよび12.5〜300 mgの量にて調製される、請求項17記載の機能的組合せ製剤。
【請求項1】
有効成分としてジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬およびアンジオテンシン-2レセプター遮断薬(ARB)を含む機能的組合せ製剤であって、アンジオテンシン-2レセプター遮断薬(ARB)が急速に放出されるが、ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬がある程度遅れた後に放出される、製剤。
【請求項2】
ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬をアンジオテンシン-2レセプター遮断薬(ARB)の代謝後に吸収することができるように、ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬の放出が1〜6時間遅れる、請求項1記載の機能的組合せ製剤。
【請求項3】
有効成分としてアンジオテンシン-2レセプター遮断薬(ARB)を含む即時放出部;ならびに
有効成分としてのジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬、ならびに水溶性ポリマー、水不溶性ポリマー、腸溶性ポリマーおよびその混合物からなる群から選択される放出制御物質を含む遅延性即時放出部
を含む、請求項1記載の機能的組合せ製剤。
【請求項4】
ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬が、アムロジピン、レルカニジピン、フェロジピン、ニフェジピン、ニカルジピン、イスラジピン、ニソルジピンまたはその医薬的に許容される塩からなる群から選択される、請求項1記載の機能的組合せ製剤。
【請求項5】
アンジオテンシン-2レセプター遮断薬(ARB)が、ロサルタン、バルサルタン、テルミサルタン、イルベサルタン、カンデサルタン、オルメサルタンまたは医薬的に許容される塩からなる群から選択される、請求項1記載の機能的組合せ製剤。
【請求項6】
1)有効成分としてアンジオテンシン-2レセプター遮断薬(ARB)を含む即時放出顆粒;ならびに
2)有効成分としてのジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬、ならびに水溶性ポリマー、水不溶性ポリマー、腸溶性ポリマーおよびその混合物からなる群から選択される放出制御物質を含む遅延性即時放出顆粒またはコーティング錠剤
を含む、循環器疾患の治療用機能的組合せ製剤。
【請求項7】
ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬をアンジオテンシン-2レセプター遮断薬(ARB)の代謝後に吸収することができるように、ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬の放出が1〜6時間遅れる、請求項6記載の機能的組合せ製剤。
【請求項8】
ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬が、アムロジピン、レルカニジピン、フェロジピン、ニフェジピン、ニカルジピン、イスラジピン、ニソルジピンまたはその医薬的に許容される塩からなる群から選択される、請求項6記載の機能的組合せ製剤。
【請求項9】
ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬が、アムロジピンまたはその医薬的に許容される塩である、請求項6記載の機能的組合せ製剤。
【請求項10】
アンジオテンシン-2レセプター遮断薬(ARB)が、ロサルタン、バルサルタン、テルミサルタン、イルベサルタン、カンデサルタン、オルメサルタンまたはその医薬的に許容される塩からなる群から選択される、請求項6記載の機能的組合せ製剤。
【請求項11】
アンジオテンシン-2レセプター遮断薬(ARB)が、ロサルタンまたはその医薬的に許容される塩である、請求項6記載の機能的組合せ製剤。
【請求項12】
アンジオテンシン-2レセプター遮断薬(ARB)が、ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬の一重量部に対して0.2〜20重量部の量にて含まれる、請求項6記載の機能的組合せ製剤。
【請求項13】
放出制御物質が、ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬の一重量部に対して0.5〜100重量部の量にて含まれる、請求項6記載の機能的組合せ製剤。
【請求項14】
水溶性ポリマーが、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群から選択される水溶性セルロースエーテル;ポリビニルピロリドンおよびポリビニルアルコールからなる群から選択される水溶性ポリビニル誘導体;ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールからなる群から選択されるアルキレンオキシドポリマー;ならびにその混合物からなる群から選択される、請求項6記載の機能的組合せ製剤。
【請求項15】
水不溶性ポリマーが、エチルセルロースおよびセルロースアセテートからなる群から選択される水不溶性セルロースエーテル;水不溶性アクリル酸ベースコポリマー アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル・メタクリル酸クロロトリメチルアンモニウムエチルコポリマーおよびメタクリル酸メチル・アクリル酸エチルコポリマー クロロトリメチルアンモニウムエチルコポリマー;ならびにその混合物である、請求項6記載の機能的組合せ製剤。
【請求項16】
腸溶性ポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシメチルエチルセルロースフタレート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートスクシネート、セルロースアセテートマレエート、セルロースベンゾエートフタレート、セルロースプロピオネートフタレート、メチルセルロースフタレート、カルボキシメチルエチルセルロースおよびエチルヒドロキシエチルセルロースフタレートからなる群から選択される腸溶性セルロース誘導体;スチレン・アクリル酸コポリマー、アクリル酸メチル・アクリル酸コポリマー、アクリル酸メチルメタクリル酸コポリマー、アクリル酸ブチル・スチレン・アクリル酸コポリマー、メタクリル酸・メタクリル酸エチルコポリマー、メタクリル酸・アクリル酸エチルコポリマーおよびアクリル酸メチル・メタクリル酸・アクリル酸オクチルコポリマーからなる群から選択される腸溶性アクリル酸ベースコポリマー;酢酸ビニル・無水マレイン酸コポリマー、スチレン・無水マレイン酸コポリマー、スチレン・マレイン酸モノエステルコポリマー、ビニルメチルエーテル・無水マレイン酸コポリマー、エチレン・無水マレイン酸コポリマー、ビニルブチルエーテル・無水マレイン酸コポリマー、アクリロニトリル・アクリル酸メチル・無水マレイン酸コポリマーおよびアクリル酸ブチル・スチレン・無水マレイン酸コポリマーからなる群から選択される腸溶性マレイン酸ベースコポリマー;ポリビニルアルコールフタレート、ポリビニルアセタールフタレート、ポリビニルブチレートフタレートおよびポリビニルアセトアセタールフタレートからなる群から選択される腸溶性ポリビニル誘導体;ならびにその混合物からなる群から選択される、請求項6記載の機能的組合せ製剤。
【請求項17】
機能的組合せ製剤が、非コーティング錠剤、フィルムコーティング層を有するコーティング錠剤、多層錠剤、内部コア錠剤、散剤、顆粒およびカプセルからなる群から選択される形態に製剤化される、請求項6記載の機能的組合せ製剤。
【請求項18】
多層錠剤が、ある程度遅れた後即時放出されるジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬層;および即時放出されるアンジオテンシン-2レセプター遮断薬(ARB)層を含む、請求項17記載の機能的組合せ製剤。
【請求項19】
ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬をアンジオテンシン-2レセプター遮断薬(ARB)の代謝後に吸収することができるように、ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬の放出が1〜6時間遅れる、請求項18記載の機能的組合せ製剤。
【請求項20】
内部コア錠剤が、ある程度遅れた後即時放出されるジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬のコア錠剤;および即時放出されるアンジオテンシン-2レセプター遮断薬(ARB)の外層を含む、請求項17記載の機能的組合せ製剤。
【請求項21】
カプセルが、ある程度遅れた後即時放出されるジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬の顆粒;および即時放出されるアンジオテンシン-2レセプター遮断薬(ARB)の顆粒を含む、請求項17記載の機能的組合せ製剤。
【請求項22】
コーティング層が、フィルム形成剤、フィルム形成アジュバントまたはその混合物を含む、請求項17記載の機能的組合せ製剤。
【請求項23】
ジヒドロピリジンベースカルシウムチャネル遮断薬およびARB(アンジオテンシン-2レセプター遮断薬)が、それぞれ2.5〜30 mgおよび12.5〜300 mgの量にて調製される、請求項17記載の機能的組合せ製剤。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2010−505943(P2010−505943A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−532293(P2009−532293)
【出願日】平成19年10月10日(2007.10.10)
【国際出願番号】PCT/KR2007/004929
【国際公開番号】WO2008/044862
【国際公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(508048953)ハナル ファーマシューティカル カンパニーリミテッド (6)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月10日(2007.10.10)
【国際出願番号】PCT/KR2007/004929
【国際公開番号】WO2008/044862
【国際公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(508048953)ハナル ファーマシューティカル カンパニーリミテッド (6)
【Fターム(参考)】
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