説明

曇り検出装置および鏡面冷却式露点計

【課題】光学部の構成を簡単にすると共に厳密な光軸調整も不要にする。
【解決手段】鏡面冷却式露点計は、被測定気体に晒される楕円球面反射鏡12と、楕円球面反射鏡12を冷却するペルチェ素子10と、楕円球面反射鏡12に対してレーザ光を照射するレーザダイオード1と、楕円球面反射鏡12からの反射光を受光するフォトダイオード2と、楕円球面反射鏡12の温度を測定する温度センサ9と、反射光の強度に基づいて楕円球面反射鏡12の結露を検出し、結露を検出したときに温度センサ9によって測定された温度を被測定気体の露点温度とする検知手段とを有する。レーザダイオード1は、出射面が楕円球面反射鏡12の一方の焦点に位置するように配設され、フォトダイオード2は、入射面が楕円球面反射鏡12の他方の焦点に位置するように配設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスなどの曇りを検出する曇り検出装置、および気体の露点を検出する鏡面冷却式露点計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、湿度測定法として、被測定気体の温度を低下させ、その被測定気体に含まれる水蒸気の一部を結露させたときの温度を測定することにより露点を検出する露点検出法が知られている。例えば、特許文献1には、電子冷却器などを用いて鏡を冷却し、この冷却した鏡の面上の反射光の強度の変化を検出し、この時の鏡面の温度を測定することによって、被測定気体中の水分の露点を検出する鏡面冷却式露点計が開示されている。この鏡面冷却式露点計には、利用する反射光の種類によって、2つのタイプがある。1つは正反射光を利用する正反射光検出方式、もう1つは散乱光を利用する散乱光検出方式である。
【0003】
図6に正反射光検出方式を採用した従来の鏡面冷却式露点計の要部を示す。この鏡面冷却式露点計は、被測定気体が流入するチャンバ101と、このチャンバ101の内部に設けられた熱電冷却素子(ペルチェ素子)102とを備えている。熱電冷却素子102の冷却面には銅製ブロック103を介してボルト104が取り付けられている。銅製ブロック103に取り付けられたボルト104の上面は鏡面となっている。銅製ブロック103の側部には巻線式測温抵抗体からなる温度センサ105が埋め込まれている。また、チャンバ101の上部には、ボルト104の上面(鏡面)に対して斜めに光を照射する発光素子106と、発光素子106から鏡面に対して照射された光の正反射光を受光する受光素子107とが設けられている。
【0004】
この鏡面冷却式露点計において、ボルト104の鏡面は、チャンバ101内に流入する被測定気体に晒される。ボルト104の鏡面に結露が生じていなければ、発光素子106から照射された光はそのほぼ全量が正反射し、受光素子107で受光される。したがって、鏡面に結露が生じていない場合、受光素子107で受光される反射光の強度は大きい。熱電冷却素子102への電流を増やし、熱電冷却素子102の冷却面の温度を下げて行くと、被測定気体に含まれる水蒸気がボルト104の鏡面に結露し、その結露した水滴に発光素子106から照射された光の一部が吸収されたり、乱反射したりする。これにより、受光素子107で受光される反射光(正反射光)の強度が減少する。このボルト104の鏡面における正反射光の変化を検出することにより、鏡面上の状態の変化、すなわち鏡面上に水分が付着したことを知ることができる。さらに、この時の鏡面の温度を温度センサ105で間接的に測定することにより、被測定気体中の水分の露点を知ることができる。
【0005】
図7に散乱光検出方式を採用した従来の鏡面冷却式露点計の要部を示す。この鏡面冷却式露点計は、図6に示した鏡面冷却式露点計とほぼ同構成であるが、受光素子107の取り付け位置が異なっている。この鏡面冷却式露点計において、受光素子107は、発光素子106からボルト104の鏡面に対して照射された光の正反射光を受光する位置ではなく、散乱光を受光する位置に設けられている。
【0006】
ボルト104の鏡面に結露が生じていなければ、発光素子106から照射された光はそのほぼ全量が正反射し、受光素子107での受光量は極微量である。したがって、ボルト104の鏡面に結露が生じていない場合、受光素子107で受光される反射光の強度は小さい。熱電冷却素子102への電流を増やし、熱電冷却素子102の冷却面の温度を下げて行くと、被測定気体に含まれる水蒸気がボルト104の鏡面に結露し、その結露した水滴に発光素子106から照射された光の一部が吸収されたり、乱反射したりする。これにより、受光素子107で受光される乱反射された光(散乱光)の強度が増大する。このボルト104の鏡面における散乱光の変化を検出することにより、鏡面上に水分が付着したことを知ることができる。さらに、この時の鏡面の温度を温度センサ105で間接的に測定することにより、被測定気体中の水分の露点を知ることができる。
【0007】
【特許文献1】特開2005−283506号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上のように、特許文献1に開示された鏡面冷却式露点計では、結露を検出する鏡面が平面なので、正確で高分解能な測定を行うためには、発光素子から照射するレーザ光を細いビームに絞り、光学部品の光軸調整も厳密に行う必要があり、部品が多い上に光学部品の光軸調整が難しくなるという問題点があった。
なお、このような問題は、鏡面冷却式露点計に限らず、ウィンドウガラスなどの曇りを検出する曇り検出装置においても同様に発生する。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、光学部の構成が簡単で、厳密な光軸調整も不要な曇り検出装置および鏡面冷却式露点計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の曇り検出装置は、鏡面又はこの鏡面の裏面が被測定気体に晒される楕円球面反射鏡と、前記楕円球面反射鏡に対して光を照射する投光手段と、前記楕円球面反射鏡からの反射光を受光して電気信号に変換する受光手段とを有し、前記投光手段は、その出射面が前記楕円球面反射鏡の一方の焦点に位置するように配設されることを特徴とするものである。
また、本発明の曇り検出装置の1構成例において、前記受光手段は、その入射面が前記楕円球面反射鏡の他方の焦点に位置するように配設されることを特徴とするものである。
また、本発明の曇り検出装置の1構成例において、前記受光手段は、その入射面が前記楕円球面反射鏡の他方の焦点の近傍に位置するように配設されることを特徴とするものである。
また、本発明の曇り検出装置の1構成例は、楕円プリズムの楕円球状の内壁面を前記楕円球面反射鏡とすることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の鏡面冷却式露点計は、曇り検出装置と、前記楕円球面反射鏡を冷却する冷却手段と、前記楕円球面反射鏡の温度を測定する温度センサと、前記受光手段が受光する反射光の強度に基づいて前記楕円球面反射鏡又はその裏面に生じた結露を検出し、この結露を検出したときに前記温度センサによって測定された温度を被測定気体の露点温度とする検知手段とを有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、鏡面又はこの鏡面の裏面が被測定気体に晒される楕円球面反射鏡を設け、投光手段をその出射面が楕円球面反射鏡の一方の焦点に位置するように配設することにより、光学部の構成が簡単で、厳密な光軸調整も不要な曇り検出装置および鏡面冷却式露点計を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1(A)は本発明の第1の実施の形態に係る鏡面冷却式露点計の光学部の側断面図、図1(B)は図1(A)のA−A線断面図、図1(C)は図1(A)のB−B線断面図である。
【0014】
本実施の形態の鏡面冷却式露点計は、正反射光検出方式を採用したものである。この鏡面冷却式露点計の光学部は、レーザ光を出射するレーザダイオード1と、レーザ光を受光して電気信号に変換するフォトダイオード2と、被測定気体が流入する容器の底面部を構成する底面部材3と、容器の上面部を構成する上面部材4と、容器の側面部を構成する側面部材5と、レーザダイオード1を上面部材4に固定するホルダ6と、フォトダイオード2を上面部材4に固定するホルダ7と、底面部材3と接するように設けられた熱伝導用の銅製ブロック8と、銅製ブロック8に埋め込まれた例えば白金による薄膜測温抵抗体からなる温度センサ9と、冷却面が銅製ブロック8と接するように設けられた冷却手段となるペルチェ素子10と、ペルチェ素子10の加熱面と接するように設けられた放熱用ヒートシンク11とを有する。レーザダイオード1は投光手段を構成し、フォトダイオード2は受光手段を構成している。
【0015】
底面部材3には、レーザダイオード1及びフォトダイオード2が配置される容器上面に対して凹状の楕円球面反射鏡12が形成されている。底面部材3及び楕円球面反射鏡12は、熱伝導性の良好な材料、例えば金属であることが好ましい。
側面部材5は、底面部材3上に所定の距離を隔てて上面部材4を固定する。また、側面部材5には、容器の入口となる通気孔13と、容器の出口となる通気孔14とが形成されている。
【0016】
レーザダイオード1は、ホルダ6によって上面部材4に固定され、フォトダイオード2は、ホルダ7によって上面部材4に固定される。このとき、レーザダイオード1は、その出射面が楕円球面反射鏡12の一方の焦点f1に位置するように固定され、フォトダイオード2は、その入射面が楕円球面反射鏡12の他方の焦点f2に位置するように固定される。レーザダイオード1は、電線11を介して後述するレーザドライバと接続され、フォトダイオード2は、電線12を介して後述する反射光強度検出部と接続される。
【0017】
図2は本実施の形態の鏡面冷却式露点計の検知部の構成を示すブロック図である。鏡面冷却式露点計の検知部20は、レーザドライバ21と、反射光強度検出部22と、冷却制御部23と、露点検出部24と、表示部25とを有する。
次に、図1、図2を用いて本実施の形態の鏡面冷却式露点計の動作を説明する。被測定気体は、通気孔13から容器内に流入し、図1(A)の矢印15の方向に流れ、通気孔14から容器外に流出する。
【0018】
レーザドライバ21は、レーザ光をレーザダイオード1から出射させる。レーザダイオード1から出射したレーザ光は、容器内の被測定気体雰囲気中を通過して楕円球面反射鏡12によって反射され、再び被測定気体雰囲気中を通過してフォトダイオード2に入射する。
フォトダイオード2は、受光した反射光を電気信号に変換する。
【0019】
反射光強度検出部22は、フォトダイオード2の出力電流を電圧に変換して増幅し、増幅後の信号から反射光の強度を求め、この反射光の強度を所定の閾値と比較する。
楕円球面反射鏡12は被測定気体に晒されており、楕円球面反射鏡12に結露が生じていなければ、レーザダイオード1から照射された光はそのほぼ全量が正反射し、フォトダイオード2で受光される。したがって、楕円球面反射鏡12に結露が生じていない場合、フォトダイオード2で受光される反射光の強度は大きく、予め定められた閾値以下となることはない。
【0020】
冷却制御部23は、反射光強度検出部22による反射光強度と閾値との比較の結果、反射光の強度が閾値を上回っている場合、ペルチェ素子10に供給する電流を増大させる。これにより、ペルチェ素子10の冷却面の温度が下がっていく。
ペルチェ素子10の冷却面の温度、すなわち楕円球面反射鏡12の温度が下がっていくと、被測定気体に含まれる水蒸気が楕円球面反射鏡12に結露し、レーザダイオード1から照射された光の一部が乱反射する。これにより、フォトダイオード2に入射する反射光の強度が低下し、閾値以下となる。このように反射光の強度を閾値と比較することで、楕円球面反射鏡12に生じた結露を検出することができる。
【0021】
冷却制御部23は、反射光の強度が閾値以下となった場合、ペルチェ素子10に供給する電流を減少させる。これにより、ペルチェ素子10の冷却面の温度の低下が抑えられ、結露の発生が抑制される。この結露の抑制により、フォトダイオード2に入射する反射光の強度が大きくなり、閾値を上回ると、冷却制御部23は、ペルチェ素子10に供給する電流を増大させる。このように、ペルチェ素子10に供給する電流の増減を繰り返すことによって、フォトダイオード2に入射する反射光の強度が閾値とほぼ等しくなるように、ペルチェ素子10の冷却面の温度が調整される。
【0022】
露点検出部24は、この調整された温度、すなわち反射光の強度が閾値を中心とする所定の範囲内にあるときに温度センサ9によって測定された温度を、楕円球面反射鏡12に生じた結露が平衡状態に達した温度(露点温度)とする。この露点温度の値は、表示部25に表される。
【0023】
以上のような鏡面冷却式露点計では、レーザダイオード1の位置や角度がばらついても、幾何学的にレーザダイオード1への戻り光は発生せず、レーザダイオード1から発せられた光は全てもう1つの焦点に配置されたフォトダイオード2に集まる。したがって、受光感度を向上させるためにコリメート光を用いる必要がなく、戻り光ノイズを防止するために光学部品に所定角度の傾斜をつける必要もなくなるので、レーザダイオード1及びフォトダイオード2の光軸を厳密に調整する必要がない。
【0024】
つまり、本実施の形態では、レンズなどの光学部品を用いる必要がなく、またレーザダイオード1の光軸の傾き(図1のα,α’)を厳密に調整する必要がなく、フォトダイオード2の光軸の傾き(図1のβ)を厳密に調整する必要もなくなる。また、レーザダイオード1とフォトダイオード2の光軸の精度が一般機械加工精度レベルであれば、レーザダイオード1とフォトダイオード2の光軸方向の位置ずれ(図1のd1,d2)が多少あっても問題がない。
また、本実施の形態では、楕円球面反射鏡12の面積が広いため、楕円球面反射鏡12へのごみの付着などによるノイズに対しての耐性が良い。
【0025】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図3(A)は本発明の第2の実施の形態に係る鏡面冷却式露点計の光学部の側断面図、図3(B)は図3(A)のA−A線断面図、図3(C)は図3(A)のB−B線断面図であり、図1(A)〜図1(C)と同一の構成には同一の符号を付してある。
【0026】
本実施の形態の鏡面冷却式露点計は、散乱光検出方式を採用したものであり、フォトダイオード2aの位置が第1の実施の形態とは異なる。フォトダイオード2aは、その入射面が楕円球面反射鏡12の焦点f2と異なる位置、好ましくは焦点f2の近傍の位置(楕円球面反射鏡12からの散乱光を受光する位置)に固定されている。
【0027】
本実施の形態の鏡面冷却式露点計の検知部20の基本構成は第1の実施の形態と同様であるので、図2の符号を用いて本実施の形態の動作を説明する。
楕円球面反射鏡12に結露が生じていなければ、レーザダイオード1から照射された光はそのほぼ全量が正反射し、フォトダイオード2aでの受光量は極微量である。したがって、楕円球面反射鏡12に結露が生じていない場合、フォトダイオード2aで受光される反射光の強度は小さく、予め定められた閾値以上となることはない。
【0028】
第1の実施の形態と同様に、反射光強度検出部22は、フォトダイオード2の出力から反射光の強度を求め、この反射光の強度を所定の閾値と比較する。なお、本実施の形態における比較用の閾値は、散乱光を検出するためのものであるから、第1の実施の形態のように正反射光の強度低下を検出するための閾値とは異なることは言うまでもない。
【0029】
冷却制御部23は、反射光強度検出部22による反射光強度と閾値との比較の結果、反射光の強度が閾値を下回っている場合、ペルチェ素子10に供給する電流を増大させる。
これにより、楕円球面反射鏡12の温度が下がっていくと、被測定気体に含まれる水蒸気が楕円球面反射鏡12に結露し、レーザダイオード1から照射された光の一部が乱反射し、フォトダイオード2aに入射する反射光の強度が増大して、閾値以上となる。
【0030】
冷却制御部23は、反射光の強度が閾値以上となった場合、ペルチェ素子10に供給する電流を減少させる。これにより、結露の発生が抑制され、フォトダイオード2aに入射する反射光の強度が小さくなる。反射光の強度が閾値を下回ると、冷却制御部23は、ペルチェ素子10に供給する電流を増大させる。このように、ペルチェ素子10に供給する電流の増減を繰り返すことによって、フォトダイオード2に入射する反射光の強度が閾値とほぼ等しくなるように、ペルチェ素子10の冷却面の温度が調整される。
【0031】
露点検出部24は、この調整された温度、すなわち反射光の強度が閾値を中心とする所定の範囲内にあるときに温度センサ9によって測定された温度を、楕円球面反射鏡12に生じた結露が平衡状態に達した温度(露点温度)とする。この露点温度の値は、表示部25に表される。
こうして、本実施の形態によれば、散乱光検出方式の鏡面冷却式露点計において、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0032】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。図4(A)は本発明の第3の実施の形態に係る鏡面冷却式露点計の光学部の側断面図、図4(B)は図4(A)のA−A線断面図、図4(C)は図4(A)のB−B線断面図であり、図1(A)〜図1(C)と同一の構成には同一の符号を付してある。図4(A)〜図4(C)において、30,31は光ファイバ、32,33はホルダである。光ファイバ30と図示しないレーザダイオードとは、投光手段を構成し、光ファイバ31と図示しないフォトダイオードとは、受光手段を構成している。
【0033】
本実施の形態の鏡面冷却式露点計では、レーザダイオードから発せられた光を光ファイバ30によって光学部に導き、楕円球面反射鏡12からの反射光を光ファイバ31によってフォトダイオードに導くようにしている。光ファイバ30は、ホルダ32によって上面部材4に固定され、光ファイバ31は、ホルダ33によって上面部材4に固定される。このとき、光ファイバ30は、その出射面が楕円球面反射鏡12の一方の焦点f1に位置するように固定され、光ファイバ31は、その入射面が楕円球面反射鏡12の他方の焦点f2に位置するように固定される。
【0034】
第1の実施の形態と同様に、被測定気体は、通気孔13から容器内に流入し、図4(A)の矢印15の方向に流れ、通気孔14から容器外に流出する。
レーザダイオードから発せられた光は、光ファイバ30によって光学部に導かれ、光ファイバ30から出射したレーザ光は、容器内の被測定気体雰囲気中を通過して楕円球面反射鏡12によって反射され、再び被測定気体雰囲気中を通過して光ファイバ31に入射する。光ファイバ31は、楕円球面反射鏡12からの反射光をフォトダイオードに導く。
【0035】
レーザダイオードは、図2のレーザドライバ21と接続され、フォトダイオードは、反射光強度検出部22と接続されている。検知部20の構成と動作は、第1の実施の形態と同じである。こうして、本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
なお、本実施の形態を第2の実施の形態に適用してもよいことは言うまでもない。
【0036】
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。図5は本発明の第4の実施の形態に係る鏡面冷却式露点計の光学部の断面図であり、図1(A)〜図1(C)と同様の構成には同一の符号を付してある。図5において、40は楕円プリズム、42,43は光ファイバである。光ファイバ42と図示しないレーザダイオードとは、投光手段を構成し、光ファイバ43と図示しないフォトダイオードとは、受光手段を構成している。
【0037】
本実施の形態の鏡面冷却式露点計では、第1の実施の形態で説明した銅製ブロック8の上に楕円プリズム40を配置している。この楕円プリズム40の楕円球状の内壁面が楕円球面反射鏡41として機能することになる。
すなわち、レーザダイオードから発せられた光を光ファイバ42によって光学部に導き、楕円プリズム40の底面から光を照射し、楕円球面反射鏡41で全反射した光を光ファイバ43で受光してフォトダイオードに導く。光ファイバ42は、その出射面が楕円球面反射鏡41の一方の焦点f1に位置するように固定され、光ファイバ43は、その入射面が楕円球面反射鏡41の他方の焦点f2に位置するように固定される。
【0038】
被測定気体は、楕円プリズム40の上を図5の矢印15の方向に流れる。楕円プリズム40をペルチェ素子10で冷却し、楕円プリズム40の楕円球状の外面に結露が生じると、楕円球面反射鏡41からの反射光の強度が低下する。
レーザダイオードは、図2のレーザドライバ21と接続され、フォトダイオードは、反射光強度検出部22と接続されている。検知部20の構成と動作は、第1の実施の形態と同じである。こうして、本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
なお、光ファイバ43の入射面の位置を楕円球面反射鏡41の焦点f2からずらし、本実施の形態を散乱光検出方式に適用してもよいことは言うまでもない。
【0039】
また、第1〜第4の実施の形態では、鏡面冷却式露点計について説明したが、本発明を曇り検出装置に適用することも可能である。この場合、銅製ブロック8と温度センサ9とペルチェ素子10と放熱用ヒートシンク11は不要であり、楕円球面反射鏡12,41は対象となるウィンドウガラスなどに形成される。被測定気体に相当するものは第1〜第3の実施の形態の場合、例えば内気であり、楕円球面反射鏡12の裏面が外気に晒される。また、第4の実施の形態の場合、楕円プリズム40の楕円球状の外面が外気に晒される。正反射光検出方式の場合、楕円球面反射鏡12,41が曇ると、フォトダイオード2に入射する反射光の強度が低下し、閾値以下となるので、反射光強度検出部22は、楕円球面反射鏡12,41の曇りを検出することができる。また、散乱光検出方式の場合、楕円球面反射鏡12,41が曇ると、フォトダイオード2aに入射する反射光の強度が増大し、閾値以上となるので、反射光強度検出部22は、楕円球面反射鏡12,41の曇りを検出することができる。
【0040】
また、第1〜第4の実施の形態では、光源としてレーザダイオードを使用しているが、通常のLEDを使用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、曇り検出装置や鏡面冷却式露点計に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る鏡面冷却式露点計の光学部の断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る鏡面冷却式露点計の検知部の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る鏡面冷却式露点計の光学部の断面図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係る鏡面冷却式露点計の光学部の断面図である。
【図5】本発明の第4の実施の形態に係る鏡面冷却式露点計の光学部の断面図である。
【図6】正反射光検出方式を採用した従来の鏡面冷却式露点計の要部を示す断面図である。
【図7】散乱光検出方式を採用した従来の鏡面冷却式露点計の要部を示す断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1…レーザダイオード、2,2a…フォトダイオード、3…底面部材、4…上面部材、5…側面部材、6,7,32,33…ホルダ、8…銅製ブロック、9…温度センサ、10…ペルチェ素子、11…放熱用ヒートシンク、12,41…楕円球面反射鏡、13,14…通気孔、20…検知部、21…レーザドライバ、22…反射光強度検出部、23…冷却制御部、24…露点検出部、25…表示部、30,31,42,43…光ファイバ、40…楕円プリズム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鏡面又はこの鏡面の裏面が被測定気体に晒される楕円球面反射鏡と、
前記楕円球面反射鏡に対して光を照射する投光手段と、
前記楕円球面反射鏡からの反射光を受光して電気信号に変換する受光手段とを有し、
前記投光手段は、その出射面が前記楕円球面反射鏡の一方の焦点に位置するように配設されることを特徴とする曇り検出装置。
【請求項2】
請求項1記載の曇り検出装置において、
前記受光手段は、その入射面が前記楕円球面反射鏡の他方の焦点に位置するように配設されることを特徴とする曇り検出装置。
【請求項3】
請求項1記載の曇り検出装置において、
前記受光手段は、その入射面が前記楕円球面反射鏡の他方の焦点の近傍に位置するように配設されることを特徴とする曇り検出装置。
【請求項4】
請求項1記載の曇り検出装置において、
楕円プリズムの楕円球状の内壁面を前記楕円球面反射鏡とすることを特徴とする曇り検出装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の曇り検出装置と、
前記楕円球面反射鏡を冷却する冷却手段と、
前記楕円球面反射鏡の温度を測定する温度センサと、
前記受光手段が受光する反射光の強度に基づいて前記楕円球面反射鏡又はその裏面に生じた結露を検出し、この結露を検出したときに前記温度センサによって測定された温度を被測定気体の露点温度とする検知手段とを有することを特徴とする鏡面冷却式露点計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−150808(P2009−150808A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−329812(P2007−329812)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】