曲げ部材
【課題】中空の曲げ部材の最大荷重を向上させる。
【解決手段】曲げ部材1は、0.55<h/H<0.85(条件α)、及び、0.5<δ/t<4(条件β)の関係を満たす。この構成によると、第1壁部11と第2壁部12とが対向する方向(Y方向)に曲げ部材1が圧縮されたとき、一対の側壁部20のそれぞれの折曲部22、26が断面の内側に入り込む方向に曲げ部材1に力が加わる。この力により、側壁部20が断面の外側に開こうとする力が打ち消され、側壁部20が断面の外側に膨らみにくい。よって、曲げ部材1の最大荷重を向上できる。
【解決手段】曲げ部材1は、0.55<h/H<0.85(条件α)、及び、0.5<δ/t<4(条件β)の関係を満たす。この構成によると、第1壁部11と第2壁部12とが対向する方向(Y方向)に曲げ部材1が圧縮されたとき、一対の側壁部20のそれぞれの折曲部22、26が断面の内側に入り込む方向に曲げ部材1に力が加わる。この力により、側壁部20が断面の外側に開こうとする力が打ち消され、側壁部20が断面の外側に膨らみにくい。よって、曲げ部材1の最大荷重を向上できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空の曲げ部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より中空の曲げ部材が知られている。この曲げ部材は例えば、プレス加工やロールフォーミング等の塑性加工や、アルミニウムの押出し等により製造される。塑性加工により曲げ部材を製造する場合は、断面の角の部分にR部(図4(a)の符号223u及び227uを参照)が形成される。また押出しにより曲げ部材を製造する場合でも、このようなR部を形成する場合が多い。
【0003】
このような中空の曲げ部材では強度向上等のために断面形状に工夫を施したものが知られている。特許文献1には、断面に曲線や凹凸を設けた曲げ部材が開示されている。特許文献2、3には、断面を全体として台形とし、荷重が加わる壁部を断面の内側に凹ませた曲げ部材が開示されている。特許文献4、5には、荷重が加わる方向に垂直な方向に対向する壁部(以下、側壁部という)を断面の内側に凹ませた曲げ部材が開示されている。ただし、特許文献4、5には凹ませた部分の具体的寸法などは記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−240441号公報(図16)
【特許文献2】特開2005−231574号公報(図2)
【特許文献3】特開2006−095539号公報(図9)
【特許文献4】特開2001−171446号公報(図2)
【特許文献5】特許第3938451号公報(図1、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1〜5の曲げ部材用いても、曲げ部材の最大荷重が十分でない場合があった。なお最大荷重とは、荷重−変位曲線における荷重の最大値、すなわち部材が耐えられる最大の荷重である。特許文献1〜3に記載の曲げ部材に荷重が加えられた場合、断面の角のR部の影響により側壁部(図4(a)の曲げ部材201の側壁部220を参照)が断面の外側に開きやすく座屈が生じやすい。また、特許文献4、5に記載の曲げ部材では、側壁部は断面の外側には開き難いが、具体的にどのような寸法で側壁部の凹み部分を形成すれば座屈が生じにくいか、すなわち最大荷重を向上できるかは不明である。
【0006】
本発明の目的は、最大荷重に優れた曲げ部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明に係る曲げ部材は、長手方向に対して垂直な断面において、第1壁部と、前記第1壁部に対向して配置された第2壁部と、前記第1壁部の両端から前記第2壁部の両端に延在し互いに対向して配置された一対の側壁部と、を備え、前記断面において、前記一対の側壁部のそれぞれは内側に折れ曲がる折曲部を有し、前記第1壁部と前記第2壁部とが対向する方向において、前記第1壁部と前記第2壁部との距離をH、前記第1壁部と前記折曲部との距離をhとし、前記側壁部のうち前記第2壁部と前記折曲部との間の部分での、前記第1壁部と前記第2壁部とが対向する方向に垂直な方向における両端部の間の距離をδとし、前記第2壁部の厚さをtとしたとき、0.55<h/H<0.85、及び、0.5<δ/t<4の関係を満たす。
【0008】
この構成、特に0.55<h/H<0.85、及び、0.5<δ/t<4の関係を満たす構成によると、第1壁部と第2壁部とが対向する方向に曲げ部材が圧縮されたとき、一対の側壁部のそれぞれの折曲部が断面の内側に入り込む方向に曲げ部材に力が加わる。この力により、側壁部が断面の外側に開こうとする力が打ち消され、側壁部が断面の外側に膨らみにくい。よって、上記の構成でない場合に比べ、曲げ部材の座屈発生が遅れる。また、側壁部が断面の外側に膨らみにくいので、曲げ部材の最大荷重を向上できる。
また、一対の側壁部のそれぞれの折曲部が断面の内側に入り込んだ場合は、一対の側壁部のうち第1壁部と折曲部との間の部分と、第1壁部と、で略三角形状(トラス構造)が形成される。この場合、第2壁部が第1壁部側に落ち込みにくく、曲げ部材が座屈しにくい。
【0009】
第2の発明に係る曲げ部材は、第1の発明に係る曲げ部材であって、前記一対の側壁部のうち少なくともいずれかについて1.5<δ/t<4の関係を満たす。
【0010】
この構成によると、側壁部が断面の外側により膨らみにくい。よって、曲げ部材の最大荷重をより向上できる。また、側壁部が断面の外側により膨らみにくいので、曲げ部材の座屈発生がより遅れる。したがって、曲げ部材の吸収エネルギーを向上できる。
【0011】
第3の発明に係る曲げ部材は、第1または第2の発明に係る曲げ部材であって、前記第1壁部と前記第2壁部とが対向する方向に圧縮されたとき、前記一対の側壁部のそれぞれの前記折曲部が内側に入り込むことで、前記一対の側壁部のうち前記第1壁部と前記折曲部との間の部分と、前記第1壁部と、で略三角形状が形成される。
【0012】
この構成では、断面に略三角形状が形成されるので、第2壁部が第1壁部側へ落ち込みにくい。したがって、曲げ部材の最大荷重および吸収エネルギーを向上できる。
【発明の効果】
【0013】
以上の説明に述べたように、本発明によれば曲げ部材の最大荷重を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態に係る曲げ部材の断面図である。
【図2】図1に示す曲げ部材の変形後の断面図である。
【図3】曲げ解析に用いる装置の全体図である。
【図4】曲げ解析1に用いる一部の曲げ部材の断面図である。
【図5】図4に示す曲げ部材の変形後の断面図である。
【図6】曲げ解析1における曲げ部材の最大荷重を示す散布図である。
【図7】曲げ解析1における曲げ部材の吸収エネルギーを示す散布図である。
【図8】第2実施形態に係る曲げ部材の断面図である。
【図9】曲げ解析2に用いる曲げ部材の断面図である。
【図10】図9に示す曲げ部材の変形後の断面図である。
【図11】曲げ解析2における曲げ部材の最大荷重を示す散布図である。
【図12】曲げ解析2における曲げ部材の吸収エネルギーを示す散布図である。
【図13】第3実施形態に係る曲げ部材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る曲げ部材の実施形態について図面を参照して説明する。
【0016】
(第1実施形態)
図1は曲げ部材の断面図(長手方向に対して垂直な断面の断面図)である。図2は図1に示す曲げ部材の座屈発生後の断面図である。以下、図1、図2を参照して曲げ部材1の構成について詳細に説明する。
【0017】
曲げ部材1は、例えば自動車のバンパーなどに用いる中空の棒状の部材である。薄鋼板、金属板、または、アルミ押し出し材などから形成される。この曲げ部材1は、図1に示すように、長手方向に対して垂直な断面が四角またはハット型形状である。すなわち曲げ部材1は、第1壁部11と、第1壁部11に対向して配置された第2壁部12と、第1壁部11の両端から第2壁部12の両端に延在し互いに対向して配置された一対の側壁部20を備える。
【0018】
第1壁部11及び第2壁部12は、同断面(図1に示す断面)において直線状に形成される。なお、第1壁部11と第2壁部12とが対向する方向をY方向と言い、Y方向における第1壁部11側をY1側(図1における上側)、第2壁部12側をY2側(図1における下側)などと言う。
【0019】
側壁部20は、側壁部21と側壁部25とで構成される。なお側壁部21と側壁部25とが対向する方向をX方向と言い、X方向における側壁部21側をX1側(図1における右側)、側壁部25側をX2側(図1における左側)などと言う。そして、一対の側壁部20のそれぞれは内側(図1に示す断面の内側)に折れ曲がる折曲部22、26を有する。すなわち側壁部21は折曲部22を有し、側壁部25は折曲部26を有する。また、側壁部21と側壁部25とは、曲げ部材1のX方向における中心を通る線(すなわちY方向に沿う直線。図示なし)に対して線対称である。
【0020】
側壁部21は、第1壁部11のX1側端部から第2壁部12のX1側端部に延在する部分であり、全体として数字の「3」のような形状である。すなわち、この側壁部21は以下のように設ける。曲げ部材1のY方向における中心よりも第2壁部12側(Y1側)で断面の内側に折れ曲がる折曲部22を有する。また、側壁部21と第2壁部12との境界部分に曲線に形成されたR部23uを有する(すなわち図1における断面の右上の角の曲線部分を有する)。このR部23uで第2壁部12と側壁部21とが一体として連結されている。また、側壁部21と第1壁部11との境界部分に曲線に形成されたR部23bを有する(すなわち図1における断面の右下の角の曲線部分を有する)。このR部23bで第1壁部11と側壁部21とが一体として連結されている。折曲部22とR部23uとの間には直線部24uを有する。折曲部22とR部23bとの間には直線部24bを有する。なお、側壁部21に折曲部22がなければ、X方向に曲げ部材1が圧縮されたとき、R部23u、23bの影響により、側壁部21が断面の外側(X1側)に開く方向に力が作用し、曲げ部材1が座屈しやすい。
【0021】
側壁部25は、第1壁部11のX2側端部から第2壁部12のX2側端部に延在する部分である。この側壁部25は上述したように側壁部21とX方向において対称(図1において左右対称)である。すなわち、側壁部25は曲げ部材1のY方向における中央よりも第2壁部12側(Y1側)で断面の内側に折れ曲がる折曲部26を有する。また、側壁部21と同様に、Y1側にR部27u、Y2側にR部27bを有する。また、折曲部26とR部27uとの間には直線部28uを有し、折曲部26とR部27bとの間には直線部28bを有する。なお、側壁部25に折曲部26がなければ、X方向に曲げ部材1が圧縮されたとき、R部27u、27bの影響により、側壁部25が断面の外側(X2側)に開く方向に力が作用し、曲げ部材1が座屈しやすい。
【0022】
ここで、第1壁部11と第2壁部12とが対向する方向(Y方向)において、第1壁部11と第2壁部12との距離をHとする。さらに詳しくは、第1壁部11の外側の面(Y2側の面)と第2壁部12の外側の面(Y1側の面)との距離をHとする。
また、Y方向において、第1壁部11と折曲部22との距離をhとする。さらに詳しくは、第1壁部11の外側の面(Y2側の面)と折曲部22との距離をhとする。なお、第1壁部11と折曲部26との距離もhである。
また、第2壁部12の厚さをtとする。言い換えればY方向における第2壁部12のY1側端部とY2側端部との間の距離をtとする。
また、側壁部21のうち第2壁部12と折曲部22との間の部分21u(言い換えれば、第2壁部12よりY2側、かつ、折曲部22よりY1側の部分)での、第1壁部11と第2壁部12とが対向する方向に垂直な方向(X方向)における両端部の間の距離をδとする。さらに詳しくは、X方向において、折曲部22の外側(X1側)端部と、部分21uのうち最も外側(X1側)の端部と、の距離をδとする。
このとき、0.55<h/H<0.85を満たす(以下、条件αという)。また、0.5<δ/t<4を満たす(以下、条件βという)。さらに、1.5<δ/t<4を満たす(以下、条件γという)ことが好ましい。
【0023】
図2に、曲げ部材1の座屈発生後の断面の一例を示す(なお、曲げ部材1は、座屈発生後に必ずしも図2に示す形状となる必要はない。例えば側壁部20が断面の外側に開く形状となっても良い)。曲げ部材1が第1壁部11と第2壁部12とが対向する方向(Y方向)に圧縮されたとき、一対の側壁部20のそれぞれの折曲部22及び折曲部26が断面の内側に入り込む。そして、側壁部21のうち第1壁部11と折曲部22との間の部分21bと、側壁部25のうち第1壁部11と折曲部26との間の部分25bと、第1壁部11と、で略三角形状T1が形成される。言い換えれば、部分21bと部分25bと第1壁部11とで略トラス形状が形成される。さらに言い換えれば、第1壁部11と第2壁部12の一部と部分21bと部分25bとで、第1壁部11を下底、第2壁部12を上底とする台形が形成される。
また、直線部24uとR部23uと第2壁部12の一部とで略三角形状T2(略トラス形状)が形成される。また、直線部28uとR部27uと第2壁部12とで略三角形状T3(略トラス形状)が形成される。
これらの略三角形状T1、T2、T3が形成されることにより、この曲げ部材1は最大荷重および吸収エネルギーが向上される。なお、最大荷重とは荷重−変位曲線における荷重の最大値、すなわち部材が耐えられる最大の荷重である。また、吸収エネルギーは荷重−変位曲線で形成される面積の値であり、曲げ部材が曲げられて所定量変位したときに曲げ部材が吸収したエネルギーである。
【0024】
(曲げ解析1)
次に、曲げ部材1の3点曲げ解析について説明する。ここでは12種類(比較例を含む)の曲げ部材を用意し、図3に示す装置により3点曲げ解析(シミュレーション)を行った。具体的には、曲げ部材の長手方向両端をY2からY1に向かう向きから支持剛体S1及び支持剛体S2で支持した。そして、曲げ部材の長手方向中央をY1からY2に向かう向きから圧子Pで加圧した。支持剛体S1、支持剛体S2、及び圧子Pの形状は、X方向を軸方向とする半円柱である。
【0025】
解析は次の条件で行った。各曲げ部材の長手方向の長さは1000mmである。支持剛体S1と支持剛体S2とによる支持点間の距離は800mmである。支持剛体S1及び支持剛体S2の半径はそれぞれ30mmである。圧子Pの半径は150mmである。ストローク(Y方向における圧子Pの移動距離)は150mmである。なお、R部23u、23b、27u、及び27b(図1参照)の半径はそれぞれ3mmである。また、各曲げ部材の材料として引張強度クラスが1270MPa級の鋼板、または、1470MPa級の鋼板を用いた。引張強度クラスが1270MPa級の鋼板は、降伏点(YP)が1197MPa、引張り強さ(TS)が1309MPa、伸び率(El)が7%の材料を使用した。引張強度クラスが1470MPa級の鋼板は、降伏点(YP)が1260MPa、引張り強さ(TS)が1504MPa、伸び率(El)が6%の材料を使用した。
【0026】
3点曲げ解析を行う12種類の曲げ部材として「BASE」及び「CASE1〜11」を用意した。それぞれの寸法等を表1に示す。また図4(a)〜(d)に、BASE、CASE3、5、及び7の断面を示す。表1中の各記号について説明すると、TSは材料の引張強度クラスであり、Lは曲げ部材の周長であり、Aは曲げ部材の断面積であり、「E150」はストロークが150mmのときの曲げ部材の吸収エネルギーである。Bは、図1に示すように、X方向における側壁部21と側壁部25との両端間の距離(すなわちR部23bとR部27bとの両端間の距離)である。その他の表1中の記号は図1中の符号と対応する。
表1に示すように、CASE2〜4、8、及び11は、条件α及び条件βを満たす(条件を満たすものには○を、満たさないものには×を表1中に記載している)。すなわちこれらの曲げ部材は、本実施形態に係る曲げ部材1である。一方、BASE及びCASE1、5〜7、9、及び10は、条件α及び条件βの少なくともいずれかを満たさない曲げ部材(すなわち比較例)である。なお、BASE及びCASE10は折曲部を有さない曲げ部材(比較例)である。
【0027】
【表1】
【0028】
図5にストロークが30mm、50mm、100mm、及び150mmのときのBASE、CASE3、5、及び7の断面の模式図を示す。図5に示すように、CASE3では側壁部20(図1参照)が断面の内側に倒れた。
各曲げ部材の、最大荷重Fmax、最大荷重Fmaxを断面積Aで割ったFmax/A、吸収エネルギーE150、及び、吸収エネルギーE150を断面積Aで割ったE150/Aの値を表1に示す。なお単位を%として記載している値は、BASEのFmax/A及びE150/Aの値を基準(100%)とした、CASE1〜11のFmax/A及びE150/Aの相対的な大きさである。
また、図6及び7は表1に示す解析結果を散布図として表したものである。この散布図について説明すると、図6(a)及び(b)の縦軸は最大荷重Fmax/Aを示したものである。図6(a)の横軸はh/Hを、図6(b)の横軸はδ/tを示したものである。図7(a)及び(b)の縦軸は吸収エネルギーE150/Aを示したものである。図7(a)の横軸はh/Hを、図7(b)の横軸はδ/tを示したものである。図6及び7中の符号c1〜c11はCASE1〜11に対応する。また、図中の黒丸は曲げ部材1(すなわちCASE2〜4、8、及び11)の結果を示し、白抜きの四角形は比較例(すなわちBASE、CASE1、5〜7、9、及び10)の結果を示す。
【0029】
まず最大荷重Fmax/Aについて説明する。表1、図6(a)及び(b)に示すように、引張強度TS(表1参照)が1270MPaの曲げ部材(BASE、CASE1〜9)については、条件α及び条件βを満たす全ての曲げ部材1(CASE2〜4、及び8)で、比較例(BASE、CASE1、5〜7、及び9)に比べて最大荷重Fmax/Aが向上した。また、引張強度TS(表1参照)が1470MPaの曲げ部材(CASE10及び11)については、条件α及びβを満たす曲げ部材1(CASE11)で、比較例(CASE10)に比べて最大荷重Fmax/Aが向上した。
次に吸収エネルギーE150/Aについて説明する。表1、図7(a)及び(b)に示すように、引張強度TS(表1参照)が1270MPaの曲げ部材(BASE、CASE1〜9)については、条件α及び条件γを満たす全ての曲げ部材1(CASE3、4、及び8)で、比較例(BASE、CASE1、5〜7、及び9)及び条件γを満たさないCASE2に比べて吸収エネルギーE150/Aが向上した。また、引張強度TS(表1参照)が1470MPaの曲げ部材(CASE10及び11)については、条件α及びγを満たす曲げ部材1(CASE11)で、比較例(CASE10)に比べて吸収エネルギーE150/Aが向上した。
【0030】
(第2実施形態)
図8に第2実施形態に係る曲げ部材101の断面図(長手方向に対して垂直な断面の断面図)を示す。この曲げ部材101では次の点で第1実施形態と異なる。第1実施形態に係る曲げ部材1では、図1に示すように、第1壁部11、第2壁部12、および側壁部20は一体として形成された。一方で第2実施形態では、図8に示すように、側壁部120と第1壁部111とが別体に設けられている。なお、その他の部分については第1実施形態と同様であるので同一符号を付して説明を省略する。
【0031】
側壁部121の第1壁部111側(Y2側)の端部は、同断面の外側(X1側)に拡がるように形成される。すなわち次のように形成される。折曲部22から第1壁部111に向かって直線部24bが延びる(第1実施形態と同様)。直線部24bのY2側の端部からX1側に曲がるようにR部123bが形成される。R部123bのX1側の端部から第1壁部111に沿うように直線部124cが形成される。そして、直線部124cのX1側端部と第1壁部111のX1側端部とは揃うように設けられる。
【0032】
側壁部125は、側壁部121とX方向に対象である(X方向における曲げ部材1の中心を通る線に対して線対称である)。すなわち、折曲部26から第1壁部111に向かって伸びる直線部28bのY2側の端部から、X2側に曲がるようにR部127bが形成され、R部123bのX2側の端部から第1壁部111に沿うように直線部128cが形成される。
【0033】
(曲げ解析2)
次に、曲げ部材101の3点曲げ解析について説明する。ここでは5種類(比較例を含む)の曲げ部材を用意し、曲げ解析1と同様の装置(図3参照)により3点曲げ解析を行った。
【0034】
3点曲げ解析を行う5種類の曲げ部材として「BASE」及び「CASE1〜4」を用意した。それぞれの寸法等を表2に示す。また図9(a)〜(e)に各曲げ部材の断面を示す。表2中の各記号について図8を参照しつつ説明すると、TS1及びTS2は材料の引張強度クラスである。TS1は側壁部120及び第2壁部12を構成する材料の引張強度クラスであり、TS2は第1壁部111を構成する材料の引張強度クラスである(表2に示すようにTS1及びTS2のいずれも980MPaである)。B1はX方向におけるR部23uとR部27uとの両端間の距離である。B2はX方向におけるR部123bとR部127bとの距離である。B3はX方向における第1壁部111の両端間の距離である。t2は第1壁部111の厚さ(Y方向における両端間の距離)である。HはY方向における第1壁部111と第2壁部12との距離である。さらに詳しくは、Hは、第1壁部111のY1側端部と、第2壁部のY1側端部と、の距離である。hはY方向における折曲部22と第1壁部111との距離である。さらに詳しくは、hは、第1壁部のY1側端部と、折曲部との距離である。その他の表1中の記号は上述した曲げ解析1と同様である。なお、R部23u、27u、123b、及び127bの半径はそれぞれ4mmとした。また、また、降伏点(YP)が726MPa、引張り強さ(TS)が1002MPa、伸び率(El)が16%の材料を使用した。
表2に示すように、CASE1、2は、条件α及び条件βを満たす。すなわちこれらの曲げ部材は本実施形態に係る曲げ部材101である。一方BASE、CASE3及び4は、条件α及び条件βの少なくともいずれかを満たさない曲げ部材(すなわち比較例)である。
【0035】
【表2】
【0036】
図10にストロークが30mm、50mm、100mm、及び150mmのときのBASE、CASE1〜4の断面の模式図を示す。図10に示すように、CASE2では側壁部120(図8参照)が断面の内側に倒れた。
各曲げ部材の、最大荷重Fmax/A及び吸収エネルギーE150/Aの値を表2に示す。また、曲げ解析1の結果の散布図(図6及び7参照)と同様に、図11及び12は表2に示す解析結果を散布図として表したものである。
【0037】
まず最大荷重Fmax/Aについて説明すると、表2、図11(a)及び(b)に示すように、条件α及び条件βを満たす曲げ部材1(CASE1及び2)で、比較例(BASE及びCASE3)に比べて最大荷重Fmax/Aが向上した。
次に吸収エネルギーE150/Aについて説明すると、表2、図12(a)及び(b)に示すように、条件α及び条件γを満たす曲げ部材1(CASE2)で、比較例(BASE、CASE1及び4)及び条件γを満たさないCASE1に比べて吸収エネルギーE150/Aが向上した。
なお、比較例であるCASE4は、表2及び図11に示すように曲げ部材1(CASE1及び2)よりも最大荷重Fmax/Aが大きいが、表2及び図12に示すように曲げ部材1(CASE1及び2)よりも吸収エネルギーE150/Aが小さい。また、比較例であるCASE3は、表2及び図12に示すように曲げ部材1(CASE1及び2)よりも吸収エネルギーE150/Aが大きいが、表2及びず11に示すように曲げ部材1(CASE1及び2)よりも最大荷重Fmax/Aが小さい。
【0038】
(第3実施形態)
図13に第3実施形態に係る曲げ部材201の断面図(長手方向に対して垂直な断面の断面図)を示す。この曲げ部材201では次の点で第1実施形態と異なる。第1実施形態に係る曲げ部材1では、図1に示すように、第1壁部11及び第2壁部12がX方向に沿う直線状に形成された。一方で第3実施形態では、図13に示すように、第1壁部211は第1溝211aを有し、第2壁部212は第2溝212aを有する。なお、その他の部分については第1実施形態と同様であるので同一符号を付して説明を省略する。
【0039】
第1溝211aは、Y2からY1に向かう向きに第1壁部211を凹ませた(ビード形状を加えた)部分である。さらに詳しくは、第1壁部211をY2からY1に向かう向きに折り曲げた2つの折曲部211b、および、2つの折曲部211bをつなぐようにX方向に沿う直線状に形成された直線部211cを有する。
第2溝212aはY1からY2に向かうの向きに第2壁部212を凹ませた(ビード形状を加えた)部分である。さらに詳しくは、第2壁部212をY1からY2に向かう向きに折り曲げた2つの折曲部212b、および、2つの折曲部212bをつなぐようにX方向に沿う直線状に形成された直線部212cを有する。
これら第1溝211a及び第2溝212aにより、曲げ部材201の最大荷重および吸収エネルギーがより向上する。
【0040】
(本発明に係る曲げ部材の特徴)
本発明に係る曲げ部材1(101、201)には以下の特徴がある。
【0041】
曲げ部材1(101、201)は、0.55<h/H<0.85(条件α)、及び、0.5<δ/t<4(条件β)の関係を満たす(図1、8参照)。この構成によると、第1壁部11(111、211)と第2壁部12とが対向する方向(Y方向)に曲げ部材1(101、201)が圧縮されたとき、一対の側壁部20(120)のそれぞれの折曲部22、26が断面の内側に入り込む方向に曲げ部材1(101、201)に力が加わる。この力により、側壁部20(120)が断面の外側に開こうとする力が打ち消され、側壁部20(120)が断面の外側に膨らみにくい。よって、この構成でない場合に比べ、曲げ部材1(101、201)の座屈発生が遅れる。また、側壁部20(120)が断面の外側に膨らみにくいので、曲げ部材1(101、201)の最大荷重Fmax/Aを向上できる。
また、一対の側壁部20(120)のそれぞれの折曲部22、26が断面の内側に入り込んだ場合は、図2に示すように、一対の側壁部20(120)のうち第1壁部11と折曲部22、26との間の部分(直線部24b、28b)と、第1壁部11と、で略三角形状T1(トラス構造)が形成される。この場合、第2壁部12が第1壁部11(111、211)側(Y1からY2に向かう向き)に落ち込みにくく、曲げ部材1(101、201)が座屈しにくい。
【0042】
曲げ部材1(101、201)は、一対の側壁部20(120)のうち少なくともいずれかについて1.5<δ/t<4の関係を満たす(図1、8参照)。この構成によると、側壁部20(120)が断面の外側により膨らみにくい。よって、曲げ部材1(101、201)の最大荷重Fmax/Aをより向上できる。また、側壁部20(120)の外側により膨らみにくいので、曲げ部材1(101、201)の座屈発生がより遅れる。したがって、曲げ部材1(101、201)の吸収エネルギー(詳しくは、断面積及び曲げのストロークを一定としたときの吸収エネルギー。上記曲げ解析1、2ではE150/A)を向上できる。
【0043】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0044】
例えば、第1、2実施形態では断面が四角又はハット型の曲げ部材を示した(図1、図8参照)が、例えばこの四角又はハット型がX方向に2つ以上並ぶように曲げ部材を形成しても本発明を適用できる。この場合、より最大荷重や吸収エネルギーを向上できる。
【0045】
また例えば、第1実施形態に係る第1壁部11及び第2壁部12に第1溝211a及び第2溝212aを形成した第3実施形態を示したが、第2実施形態に係る第1壁部111及び第2壁部12に同様の溝を形成しても本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0046】
1、101、201 曲げ部材
11、111、211 第1壁部
12、212 第2壁部
20、120 側壁部
22、26 折曲部
T1 略三角形状
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空の曲げ部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より中空の曲げ部材が知られている。この曲げ部材は例えば、プレス加工やロールフォーミング等の塑性加工や、アルミニウムの押出し等により製造される。塑性加工により曲げ部材を製造する場合は、断面の角の部分にR部(図4(a)の符号223u及び227uを参照)が形成される。また押出しにより曲げ部材を製造する場合でも、このようなR部を形成する場合が多い。
【0003】
このような中空の曲げ部材では強度向上等のために断面形状に工夫を施したものが知られている。特許文献1には、断面に曲線や凹凸を設けた曲げ部材が開示されている。特許文献2、3には、断面を全体として台形とし、荷重が加わる壁部を断面の内側に凹ませた曲げ部材が開示されている。特許文献4、5には、荷重が加わる方向に垂直な方向に対向する壁部(以下、側壁部という)を断面の内側に凹ませた曲げ部材が開示されている。ただし、特許文献4、5には凹ませた部分の具体的寸法などは記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−240441号公報(図16)
【特許文献2】特開2005−231574号公報(図2)
【特許文献3】特開2006−095539号公報(図9)
【特許文献4】特開2001−171446号公報(図2)
【特許文献5】特許第3938451号公報(図1、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1〜5の曲げ部材用いても、曲げ部材の最大荷重が十分でない場合があった。なお最大荷重とは、荷重−変位曲線における荷重の最大値、すなわち部材が耐えられる最大の荷重である。特許文献1〜3に記載の曲げ部材に荷重が加えられた場合、断面の角のR部の影響により側壁部(図4(a)の曲げ部材201の側壁部220を参照)が断面の外側に開きやすく座屈が生じやすい。また、特許文献4、5に記載の曲げ部材では、側壁部は断面の外側には開き難いが、具体的にどのような寸法で側壁部の凹み部分を形成すれば座屈が生じにくいか、すなわち最大荷重を向上できるかは不明である。
【0006】
本発明の目的は、最大荷重に優れた曲げ部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明に係る曲げ部材は、長手方向に対して垂直な断面において、第1壁部と、前記第1壁部に対向して配置された第2壁部と、前記第1壁部の両端から前記第2壁部の両端に延在し互いに対向して配置された一対の側壁部と、を備え、前記断面において、前記一対の側壁部のそれぞれは内側に折れ曲がる折曲部を有し、前記第1壁部と前記第2壁部とが対向する方向において、前記第1壁部と前記第2壁部との距離をH、前記第1壁部と前記折曲部との距離をhとし、前記側壁部のうち前記第2壁部と前記折曲部との間の部分での、前記第1壁部と前記第2壁部とが対向する方向に垂直な方向における両端部の間の距離をδとし、前記第2壁部の厚さをtとしたとき、0.55<h/H<0.85、及び、0.5<δ/t<4の関係を満たす。
【0008】
この構成、特に0.55<h/H<0.85、及び、0.5<δ/t<4の関係を満たす構成によると、第1壁部と第2壁部とが対向する方向に曲げ部材が圧縮されたとき、一対の側壁部のそれぞれの折曲部が断面の内側に入り込む方向に曲げ部材に力が加わる。この力により、側壁部が断面の外側に開こうとする力が打ち消され、側壁部が断面の外側に膨らみにくい。よって、上記の構成でない場合に比べ、曲げ部材の座屈発生が遅れる。また、側壁部が断面の外側に膨らみにくいので、曲げ部材の最大荷重を向上できる。
また、一対の側壁部のそれぞれの折曲部が断面の内側に入り込んだ場合は、一対の側壁部のうち第1壁部と折曲部との間の部分と、第1壁部と、で略三角形状(トラス構造)が形成される。この場合、第2壁部が第1壁部側に落ち込みにくく、曲げ部材が座屈しにくい。
【0009】
第2の発明に係る曲げ部材は、第1の発明に係る曲げ部材であって、前記一対の側壁部のうち少なくともいずれかについて1.5<δ/t<4の関係を満たす。
【0010】
この構成によると、側壁部が断面の外側により膨らみにくい。よって、曲げ部材の最大荷重をより向上できる。また、側壁部が断面の外側により膨らみにくいので、曲げ部材の座屈発生がより遅れる。したがって、曲げ部材の吸収エネルギーを向上できる。
【0011】
第3の発明に係る曲げ部材は、第1または第2の発明に係る曲げ部材であって、前記第1壁部と前記第2壁部とが対向する方向に圧縮されたとき、前記一対の側壁部のそれぞれの前記折曲部が内側に入り込むことで、前記一対の側壁部のうち前記第1壁部と前記折曲部との間の部分と、前記第1壁部と、で略三角形状が形成される。
【0012】
この構成では、断面に略三角形状が形成されるので、第2壁部が第1壁部側へ落ち込みにくい。したがって、曲げ部材の最大荷重および吸収エネルギーを向上できる。
【発明の効果】
【0013】
以上の説明に述べたように、本発明によれば曲げ部材の最大荷重を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態に係る曲げ部材の断面図である。
【図2】図1に示す曲げ部材の変形後の断面図である。
【図3】曲げ解析に用いる装置の全体図である。
【図4】曲げ解析1に用いる一部の曲げ部材の断面図である。
【図5】図4に示す曲げ部材の変形後の断面図である。
【図6】曲げ解析1における曲げ部材の最大荷重を示す散布図である。
【図7】曲げ解析1における曲げ部材の吸収エネルギーを示す散布図である。
【図8】第2実施形態に係る曲げ部材の断面図である。
【図9】曲げ解析2に用いる曲げ部材の断面図である。
【図10】図9に示す曲げ部材の変形後の断面図である。
【図11】曲げ解析2における曲げ部材の最大荷重を示す散布図である。
【図12】曲げ解析2における曲げ部材の吸収エネルギーを示す散布図である。
【図13】第3実施形態に係る曲げ部材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る曲げ部材の実施形態について図面を参照して説明する。
【0016】
(第1実施形態)
図1は曲げ部材の断面図(長手方向に対して垂直な断面の断面図)である。図2は図1に示す曲げ部材の座屈発生後の断面図である。以下、図1、図2を参照して曲げ部材1の構成について詳細に説明する。
【0017】
曲げ部材1は、例えば自動車のバンパーなどに用いる中空の棒状の部材である。薄鋼板、金属板、または、アルミ押し出し材などから形成される。この曲げ部材1は、図1に示すように、長手方向に対して垂直な断面が四角またはハット型形状である。すなわち曲げ部材1は、第1壁部11と、第1壁部11に対向して配置された第2壁部12と、第1壁部11の両端から第2壁部12の両端に延在し互いに対向して配置された一対の側壁部20を備える。
【0018】
第1壁部11及び第2壁部12は、同断面(図1に示す断面)において直線状に形成される。なお、第1壁部11と第2壁部12とが対向する方向をY方向と言い、Y方向における第1壁部11側をY1側(図1における上側)、第2壁部12側をY2側(図1における下側)などと言う。
【0019】
側壁部20は、側壁部21と側壁部25とで構成される。なお側壁部21と側壁部25とが対向する方向をX方向と言い、X方向における側壁部21側をX1側(図1における右側)、側壁部25側をX2側(図1における左側)などと言う。そして、一対の側壁部20のそれぞれは内側(図1に示す断面の内側)に折れ曲がる折曲部22、26を有する。すなわち側壁部21は折曲部22を有し、側壁部25は折曲部26を有する。また、側壁部21と側壁部25とは、曲げ部材1のX方向における中心を通る線(すなわちY方向に沿う直線。図示なし)に対して線対称である。
【0020】
側壁部21は、第1壁部11のX1側端部から第2壁部12のX1側端部に延在する部分であり、全体として数字の「3」のような形状である。すなわち、この側壁部21は以下のように設ける。曲げ部材1のY方向における中心よりも第2壁部12側(Y1側)で断面の内側に折れ曲がる折曲部22を有する。また、側壁部21と第2壁部12との境界部分に曲線に形成されたR部23uを有する(すなわち図1における断面の右上の角の曲線部分を有する)。このR部23uで第2壁部12と側壁部21とが一体として連結されている。また、側壁部21と第1壁部11との境界部分に曲線に形成されたR部23bを有する(すなわち図1における断面の右下の角の曲線部分を有する)。このR部23bで第1壁部11と側壁部21とが一体として連結されている。折曲部22とR部23uとの間には直線部24uを有する。折曲部22とR部23bとの間には直線部24bを有する。なお、側壁部21に折曲部22がなければ、X方向に曲げ部材1が圧縮されたとき、R部23u、23bの影響により、側壁部21が断面の外側(X1側)に開く方向に力が作用し、曲げ部材1が座屈しやすい。
【0021】
側壁部25は、第1壁部11のX2側端部から第2壁部12のX2側端部に延在する部分である。この側壁部25は上述したように側壁部21とX方向において対称(図1において左右対称)である。すなわち、側壁部25は曲げ部材1のY方向における中央よりも第2壁部12側(Y1側)で断面の内側に折れ曲がる折曲部26を有する。また、側壁部21と同様に、Y1側にR部27u、Y2側にR部27bを有する。また、折曲部26とR部27uとの間には直線部28uを有し、折曲部26とR部27bとの間には直線部28bを有する。なお、側壁部25に折曲部26がなければ、X方向に曲げ部材1が圧縮されたとき、R部27u、27bの影響により、側壁部25が断面の外側(X2側)に開く方向に力が作用し、曲げ部材1が座屈しやすい。
【0022】
ここで、第1壁部11と第2壁部12とが対向する方向(Y方向)において、第1壁部11と第2壁部12との距離をHとする。さらに詳しくは、第1壁部11の外側の面(Y2側の面)と第2壁部12の外側の面(Y1側の面)との距離をHとする。
また、Y方向において、第1壁部11と折曲部22との距離をhとする。さらに詳しくは、第1壁部11の外側の面(Y2側の面)と折曲部22との距離をhとする。なお、第1壁部11と折曲部26との距離もhである。
また、第2壁部12の厚さをtとする。言い換えればY方向における第2壁部12のY1側端部とY2側端部との間の距離をtとする。
また、側壁部21のうち第2壁部12と折曲部22との間の部分21u(言い換えれば、第2壁部12よりY2側、かつ、折曲部22よりY1側の部分)での、第1壁部11と第2壁部12とが対向する方向に垂直な方向(X方向)における両端部の間の距離をδとする。さらに詳しくは、X方向において、折曲部22の外側(X1側)端部と、部分21uのうち最も外側(X1側)の端部と、の距離をδとする。
このとき、0.55<h/H<0.85を満たす(以下、条件αという)。また、0.5<δ/t<4を満たす(以下、条件βという)。さらに、1.5<δ/t<4を満たす(以下、条件γという)ことが好ましい。
【0023】
図2に、曲げ部材1の座屈発生後の断面の一例を示す(なお、曲げ部材1は、座屈発生後に必ずしも図2に示す形状となる必要はない。例えば側壁部20が断面の外側に開く形状となっても良い)。曲げ部材1が第1壁部11と第2壁部12とが対向する方向(Y方向)に圧縮されたとき、一対の側壁部20のそれぞれの折曲部22及び折曲部26が断面の内側に入り込む。そして、側壁部21のうち第1壁部11と折曲部22との間の部分21bと、側壁部25のうち第1壁部11と折曲部26との間の部分25bと、第1壁部11と、で略三角形状T1が形成される。言い換えれば、部分21bと部分25bと第1壁部11とで略トラス形状が形成される。さらに言い換えれば、第1壁部11と第2壁部12の一部と部分21bと部分25bとで、第1壁部11を下底、第2壁部12を上底とする台形が形成される。
また、直線部24uとR部23uと第2壁部12の一部とで略三角形状T2(略トラス形状)が形成される。また、直線部28uとR部27uと第2壁部12とで略三角形状T3(略トラス形状)が形成される。
これらの略三角形状T1、T2、T3が形成されることにより、この曲げ部材1は最大荷重および吸収エネルギーが向上される。なお、最大荷重とは荷重−変位曲線における荷重の最大値、すなわち部材が耐えられる最大の荷重である。また、吸収エネルギーは荷重−変位曲線で形成される面積の値であり、曲げ部材が曲げられて所定量変位したときに曲げ部材が吸収したエネルギーである。
【0024】
(曲げ解析1)
次に、曲げ部材1の3点曲げ解析について説明する。ここでは12種類(比較例を含む)の曲げ部材を用意し、図3に示す装置により3点曲げ解析(シミュレーション)を行った。具体的には、曲げ部材の長手方向両端をY2からY1に向かう向きから支持剛体S1及び支持剛体S2で支持した。そして、曲げ部材の長手方向中央をY1からY2に向かう向きから圧子Pで加圧した。支持剛体S1、支持剛体S2、及び圧子Pの形状は、X方向を軸方向とする半円柱である。
【0025】
解析は次の条件で行った。各曲げ部材の長手方向の長さは1000mmである。支持剛体S1と支持剛体S2とによる支持点間の距離は800mmである。支持剛体S1及び支持剛体S2の半径はそれぞれ30mmである。圧子Pの半径は150mmである。ストローク(Y方向における圧子Pの移動距離)は150mmである。なお、R部23u、23b、27u、及び27b(図1参照)の半径はそれぞれ3mmである。また、各曲げ部材の材料として引張強度クラスが1270MPa級の鋼板、または、1470MPa級の鋼板を用いた。引張強度クラスが1270MPa級の鋼板は、降伏点(YP)が1197MPa、引張り強さ(TS)が1309MPa、伸び率(El)が7%の材料を使用した。引張強度クラスが1470MPa級の鋼板は、降伏点(YP)が1260MPa、引張り強さ(TS)が1504MPa、伸び率(El)が6%の材料を使用した。
【0026】
3点曲げ解析を行う12種類の曲げ部材として「BASE」及び「CASE1〜11」を用意した。それぞれの寸法等を表1に示す。また図4(a)〜(d)に、BASE、CASE3、5、及び7の断面を示す。表1中の各記号について説明すると、TSは材料の引張強度クラスであり、Lは曲げ部材の周長であり、Aは曲げ部材の断面積であり、「E150」はストロークが150mmのときの曲げ部材の吸収エネルギーである。Bは、図1に示すように、X方向における側壁部21と側壁部25との両端間の距離(すなわちR部23bとR部27bとの両端間の距離)である。その他の表1中の記号は図1中の符号と対応する。
表1に示すように、CASE2〜4、8、及び11は、条件α及び条件βを満たす(条件を満たすものには○を、満たさないものには×を表1中に記載している)。すなわちこれらの曲げ部材は、本実施形態に係る曲げ部材1である。一方、BASE及びCASE1、5〜7、9、及び10は、条件α及び条件βの少なくともいずれかを満たさない曲げ部材(すなわち比較例)である。なお、BASE及びCASE10は折曲部を有さない曲げ部材(比較例)である。
【0027】
【表1】
【0028】
図5にストロークが30mm、50mm、100mm、及び150mmのときのBASE、CASE3、5、及び7の断面の模式図を示す。図5に示すように、CASE3では側壁部20(図1参照)が断面の内側に倒れた。
各曲げ部材の、最大荷重Fmax、最大荷重Fmaxを断面積Aで割ったFmax/A、吸収エネルギーE150、及び、吸収エネルギーE150を断面積Aで割ったE150/Aの値を表1に示す。なお単位を%として記載している値は、BASEのFmax/A及びE150/Aの値を基準(100%)とした、CASE1〜11のFmax/A及びE150/Aの相対的な大きさである。
また、図6及び7は表1に示す解析結果を散布図として表したものである。この散布図について説明すると、図6(a)及び(b)の縦軸は最大荷重Fmax/Aを示したものである。図6(a)の横軸はh/Hを、図6(b)の横軸はδ/tを示したものである。図7(a)及び(b)の縦軸は吸収エネルギーE150/Aを示したものである。図7(a)の横軸はh/Hを、図7(b)の横軸はδ/tを示したものである。図6及び7中の符号c1〜c11はCASE1〜11に対応する。また、図中の黒丸は曲げ部材1(すなわちCASE2〜4、8、及び11)の結果を示し、白抜きの四角形は比較例(すなわちBASE、CASE1、5〜7、9、及び10)の結果を示す。
【0029】
まず最大荷重Fmax/Aについて説明する。表1、図6(a)及び(b)に示すように、引張強度TS(表1参照)が1270MPaの曲げ部材(BASE、CASE1〜9)については、条件α及び条件βを満たす全ての曲げ部材1(CASE2〜4、及び8)で、比較例(BASE、CASE1、5〜7、及び9)に比べて最大荷重Fmax/Aが向上した。また、引張強度TS(表1参照)が1470MPaの曲げ部材(CASE10及び11)については、条件α及びβを満たす曲げ部材1(CASE11)で、比較例(CASE10)に比べて最大荷重Fmax/Aが向上した。
次に吸収エネルギーE150/Aについて説明する。表1、図7(a)及び(b)に示すように、引張強度TS(表1参照)が1270MPaの曲げ部材(BASE、CASE1〜9)については、条件α及び条件γを満たす全ての曲げ部材1(CASE3、4、及び8)で、比較例(BASE、CASE1、5〜7、及び9)及び条件γを満たさないCASE2に比べて吸収エネルギーE150/Aが向上した。また、引張強度TS(表1参照)が1470MPaの曲げ部材(CASE10及び11)については、条件α及びγを満たす曲げ部材1(CASE11)で、比較例(CASE10)に比べて吸収エネルギーE150/Aが向上した。
【0030】
(第2実施形態)
図8に第2実施形態に係る曲げ部材101の断面図(長手方向に対して垂直な断面の断面図)を示す。この曲げ部材101では次の点で第1実施形態と異なる。第1実施形態に係る曲げ部材1では、図1に示すように、第1壁部11、第2壁部12、および側壁部20は一体として形成された。一方で第2実施形態では、図8に示すように、側壁部120と第1壁部111とが別体に設けられている。なお、その他の部分については第1実施形態と同様であるので同一符号を付して説明を省略する。
【0031】
側壁部121の第1壁部111側(Y2側)の端部は、同断面の外側(X1側)に拡がるように形成される。すなわち次のように形成される。折曲部22から第1壁部111に向かって直線部24bが延びる(第1実施形態と同様)。直線部24bのY2側の端部からX1側に曲がるようにR部123bが形成される。R部123bのX1側の端部から第1壁部111に沿うように直線部124cが形成される。そして、直線部124cのX1側端部と第1壁部111のX1側端部とは揃うように設けられる。
【0032】
側壁部125は、側壁部121とX方向に対象である(X方向における曲げ部材1の中心を通る線に対して線対称である)。すなわち、折曲部26から第1壁部111に向かって伸びる直線部28bのY2側の端部から、X2側に曲がるようにR部127bが形成され、R部123bのX2側の端部から第1壁部111に沿うように直線部128cが形成される。
【0033】
(曲げ解析2)
次に、曲げ部材101の3点曲げ解析について説明する。ここでは5種類(比較例を含む)の曲げ部材を用意し、曲げ解析1と同様の装置(図3参照)により3点曲げ解析を行った。
【0034】
3点曲げ解析を行う5種類の曲げ部材として「BASE」及び「CASE1〜4」を用意した。それぞれの寸法等を表2に示す。また図9(a)〜(e)に各曲げ部材の断面を示す。表2中の各記号について図8を参照しつつ説明すると、TS1及びTS2は材料の引張強度クラスである。TS1は側壁部120及び第2壁部12を構成する材料の引張強度クラスであり、TS2は第1壁部111を構成する材料の引張強度クラスである(表2に示すようにTS1及びTS2のいずれも980MPaである)。B1はX方向におけるR部23uとR部27uとの両端間の距離である。B2はX方向におけるR部123bとR部127bとの距離である。B3はX方向における第1壁部111の両端間の距離である。t2は第1壁部111の厚さ(Y方向における両端間の距離)である。HはY方向における第1壁部111と第2壁部12との距離である。さらに詳しくは、Hは、第1壁部111のY1側端部と、第2壁部のY1側端部と、の距離である。hはY方向における折曲部22と第1壁部111との距離である。さらに詳しくは、hは、第1壁部のY1側端部と、折曲部との距離である。その他の表1中の記号は上述した曲げ解析1と同様である。なお、R部23u、27u、123b、及び127bの半径はそれぞれ4mmとした。また、また、降伏点(YP)が726MPa、引張り強さ(TS)が1002MPa、伸び率(El)が16%の材料を使用した。
表2に示すように、CASE1、2は、条件α及び条件βを満たす。すなわちこれらの曲げ部材は本実施形態に係る曲げ部材101である。一方BASE、CASE3及び4は、条件α及び条件βの少なくともいずれかを満たさない曲げ部材(すなわち比較例)である。
【0035】
【表2】
【0036】
図10にストロークが30mm、50mm、100mm、及び150mmのときのBASE、CASE1〜4の断面の模式図を示す。図10に示すように、CASE2では側壁部120(図8参照)が断面の内側に倒れた。
各曲げ部材の、最大荷重Fmax/A及び吸収エネルギーE150/Aの値を表2に示す。また、曲げ解析1の結果の散布図(図6及び7参照)と同様に、図11及び12は表2に示す解析結果を散布図として表したものである。
【0037】
まず最大荷重Fmax/Aについて説明すると、表2、図11(a)及び(b)に示すように、条件α及び条件βを満たす曲げ部材1(CASE1及び2)で、比較例(BASE及びCASE3)に比べて最大荷重Fmax/Aが向上した。
次に吸収エネルギーE150/Aについて説明すると、表2、図12(a)及び(b)に示すように、条件α及び条件γを満たす曲げ部材1(CASE2)で、比較例(BASE、CASE1及び4)及び条件γを満たさないCASE1に比べて吸収エネルギーE150/Aが向上した。
なお、比較例であるCASE4は、表2及び図11に示すように曲げ部材1(CASE1及び2)よりも最大荷重Fmax/Aが大きいが、表2及び図12に示すように曲げ部材1(CASE1及び2)よりも吸収エネルギーE150/Aが小さい。また、比較例であるCASE3は、表2及び図12に示すように曲げ部材1(CASE1及び2)よりも吸収エネルギーE150/Aが大きいが、表2及びず11に示すように曲げ部材1(CASE1及び2)よりも最大荷重Fmax/Aが小さい。
【0038】
(第3実施形態)
図13に第3実施形態に係る曲げ部材201の断面図(長手方向に対して垂直な断面の断面図)を示す。この曲げ部材201では次の点で第1実施形態と異なる。第1実施形態に係る曲げ部材1では、図1に示すように、第1壁部11及び第2壁部12がX方向に沿う直線状に形成された。一方で第3実施形態では、図13に示すように、第1壁部211は第1溝211aを有し、第2壁部212は第2溝212aを有する。なお、その他の部分については第1実施形態と同様であるので同一符号を付して説明を省略する。
【0039】
第1溝211aは、Y2からY1に向かう向きに第1壁部211を凹ませた(ビード形状を加えた)部分である。さらに詳しくは、第1壁部211をY2からY1に向かう向きに折り曲げた2つの折曲部211b、および、2つの折曲部211bをつなぐようにX方向に沿う直線状に形成された直線部211cを有する。
第2溝212aはY1からY2に向かうの向きに第2壁部212を凹ませた(ビード形状を加えた)部分である。さらに詳しくは、第2壁部212をY1からY2に向かう向きに折り曲げた2つの折曲部212b、および、2つの折曲部212bをつなぐようにX方向に沿う直線状に形成された直線部212cを有する。
これら第1溝211a及び第2溝212aにより、曲げ部材201の最大荷重および吸収エネルギーがより向上する。
【0040】
(本発明に係る曲げ部材の特徴)
本発明に係る曲げ部材1(101、201)には以下の特徴がある。
【0041】
曲げ部材1(101、201)は、0.55<h/H<0.85(条件α)、及び、0.5<δ/t<4(条件β)の関係を満たす(図1、8参照)。この構成によると、第1壁部11(111、211)と第2壁部12とが対向する方向(Y方向)に曲げ部材1(101、201)が圧縮されたとき、一対の側壁部20(120)のそれぞれの折曲部22、26が断面の内側に入り込む方向に曲げ部材1(101、201)に力が加わる。この力により、側壁部20(120)が断面の外側に開こうとする力が打ち消され、側壁部20(120)が断面の外側に膨らみにくい。よって、この構成でない場合に比べ、曲げ部材1(101、201)の座屈発生が遅れる。また、側壁部20(120)が断面の外側に膨らみにくいので、曲げ部材1(101、201)の最大荷重Fmax/Aを向上できる。
また、一対の側壁部20(120)のそれぞれの折曲部22、26が断面の内側に入り込んだ場合は、図2に示すように、一対の側壁部20(120)のうち第1壁部11と折曲部22、26との間の部分(直線部24b、28b)と、第1壁部11と、で略三角形状T1(トラス構造)が形成される。この場合、第2壁部12が第1壁部11(111、211)側(Y1からY2に向かう向き)に落ち込みにくく、曲げ部材1(101、201)が座屈しにくい。
【0042】
曲げ部材1(101、201)は、一対の側壁部20(120)のうち少なくともいずれかについて1.5<δ/t<4の関係を満たす(図1、8参照)。この構成によると、側壁部20(120)が断面の外側により膨らみにくい。よって、曲げ部材1(101、201)の最大荷重Fmax/Aをより向上できる。また、側壁部20(120)の外側により膨らみにくいので、曲げ部材1(101、201)の座屈発生がより遅れる。したがって、曲げ部材1(101、201)の吸収エネルギー(詳しくは、断面積及び曲げのストロークを一定としたときの吸収エネルギー。上記曲げ解析1、2ではE150/A)を向上できる。
【0043】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0044】
例えば、第1、2実施形態では断面が四角又はハット型の曲げ部材を示した(図1、図8参照)が、例えばこの四角又はハット型がX方向に2つ以上並ぶように曲げ部材を形成しても本発明を適用できる。この場合、より最大荷重や吸収エネルギーを向上できる。
【0045】
また例えば、第1実施形態に係る第1壁部11及び第2壁部12に第1溝211a及び第2溝212aを形成した第3実施形態を示したが、第2実施形態に係る第1壁部111及び第2壁部12に同様の溝を形成しても本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0046】
1、101、201 曲げ部材
11、111、211 第1壁部
12、212 第2壁部
20、120 側壁部
22、26 折曲部
T1 略三角形状
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に対して垂直な断面において、第1壁部と、前記第1壁部に対向して配置された第2壁部と、前記第1壁部の両端から前記第2壁部の両端に延在し互いに対向して配置された一対の側壁部と、を備え、
前記断面において、前記一対の側壁部のそれぞれは内側に折れ曲がる折曲部を有し、
前記第1壁部と前記第2壁部とが対向する方向において、前記第1壁部と前記第2壁部との距離をH、前記第1壁部と前記折曲部との距離をhとし、
前記側壁部のうち前記第2壁部と前記折曲部との間の部分での、前記第1壁部と前記第2壁部とが対向する方向に垂直な方向における両端部の間の距離をδとし、
前記第2壁部の厚さをtとしたとき、
下記の関係を満たす曲げ部材。
0.55<h/H<0.85
0.5<δ/t<4
【請求項2】
前記一対の側壁部のうち少なくともいずれかについて下記の関係を満たす請求項1に記載の曲げ部材。
1.5<δ/t<4
【請求項3】
前記第1壁部と前記第2壁部とが対向する方向に圧縮されたとき、前記一対の側壁部のそれぞれの前記折曲部が内側に入り込むことで、前記一対の側壁部のうち前記第1壁部と前記折曲部との間の部分と、前記第1壁部と、で略三角形状が形成される請求項1または2に記載の曲げ部材。
【請求項1】
長手方向に対して垂直な断面において、第1壁部と、前記第1壁部に対向して配置された第2壁部と、前記第1壁部の両端から前記第2壁部の両端に延在し互いに対向して配置された一対の側壁部と、を備え、
前記断面において、前記一対の側壁部のそれぞれは内側に折れ曲がる折曲部を有し、
前記第1壁部と前記第2壁部とが対向する方向において、前記第1壁部と前記第2壁部との距離をH、前記第1壁部と前記折曲部との距離をhとし、
前記側壁部のうち前記第2壁部と前記折曲部との間の部分での、前記第1壁部と前記第2壁部とが対向する方向に垂直な方向における両端部の間の距離をδとし、
前記第2壁部の厚さをtとしたとき、
下記の関係を満たす曲げ部材。
0.55<h/H<0.85
0.5<δ/t<4
【請求項2】
前記一対の側壁部のうち少なくともいずれかについて下記の関係を満たす請求項1に記載の曲げ部材。
1.5<δ/t<4
【請求項3】
前記第1壁部と前記第2壁部とが対向する方向に圧縮されたとき、前記一対の側壁部のそれぞれの前記折曲部が内側に入り込むことで、前記一対の側壁部のうち前記第1壁部と前記折曲部との間の部分と、前記第1壁部と、で略三角形状が形成される請求項1または2に記載の曲げ部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−45902(P2011−45902A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−195597(P2009−195597)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】
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