説明

有価金属回収装置

【課題】クリーンな排気ガスを排出することができる有価金属回収装置を提供する。
【解決手段】燃焼空間20を有する燃焼室2と、燃焼室2内に配置され、かつ、有底で上部に開口を有し被処理物を収容する加熱容器11と、燃焼室2内に燃焼ガスを供給する第1の燃焼バーナ3と、燃焼室2の上方に突設され、加熱容器11の上部開口11aを密閉するタワー5と、タワー5とガス導出路6を介して連通し、被処理物を加熱したときに発生する未燃ガスが導出されるガス処理室7と、ガス処理室7に燃焼ガスを供給する第2の燃焼バーナ8と、ガス処理室7で生成される燃焼ガスを燃焼室2内に導入するガス導入路9と、燃焼室2内の燃焼ガスを外部に排出する煙道4と、加熱容器11に設けられ、燃焼室2の上部とタワー5の内部とを連通する連通部13とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物などの被処理物に含まれる有価金属を回収するための有価金属回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の産業廃棄物などの増加に伴い、産業廃棄物に含まれる貴金属、銅、アルミニウムのような有価金属を高品位かつ高歩留まりで回収することが求められている。廃棄物中に含まれる有価金属を効率良く回収することができる装置として、例えば、特許文献1に開示された有価金属回収装置が知られている。
【0003】
この有価金属回収装置100は、図7に示すように、燃焼室101を有する装置本体102と、燃焼室101に加熱気体を供給する燃焼バーナ103と、燃焼室101で生成された燃焼ガスを外部に排出する煙道104と、燃焼室101に収容される廃棄物を収容可能な加熱容器105とを備えている。加熱容器105は、上部の開口が蓋体106により開閉可能に覆われており、加熱容器105には、蓋体106を閉じた状態で燃焼室101の上部と連通する連通部107が備えられている。
【0004】
上記した構成の有価金属回収装置100では、燃焼バーナ103から燃焼室101に高温の燃焼ガスを供給することにより、加熱容器105内の廃棄物が加熱される。これにより、加熱容器105において廃棄物の溶融が開始するとともに、廃棄物に含まれる可燃性物質(油、塗料、プラスチック、ゴム、布、紙、木材など)による未燃ガスが、連通部107から燃焼室101に導出される。この未燃ガスは、燃焼室101において燃焼ガスと混合して燃焼され、煙道104から排出される。
【0005】
この有価金属回収装置100によると、加熱容器105の上部開口が蓋体106により閉じられているために、内部が無酸素状態または低酸素状態となるので、加熱容器105内の廃棄物は還元雰囲気で燃焼される。その結果、溶融する金属の酸化を抑制したうえで、有価金属を効率よく回収することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2006−035570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した廃棄物中の可燃性物質の未燃ガスは、一般に燃えにくく、よって、廃棄物中に可燃性物質が多く含まれている場合には、特許文献1に記載の有価金属回収装置100を使用しても、未燃ガスを完全に燃焼させることは難しく、煙道104から排出される排気ガス中に未燃ガスが混入するおそれがある。また、煙道104において、残留する未燃ガスを完全に燃焼させたうえで排出するのではランニングコストが嵩む。そのため、排気ガスを高効率でクリーンにする点からはさらに改良の余地があった。
【0008】
本発明は、上記した問題に着目してなされたもので、クリーンな排気ガスを高効率で排出することができる有価金属回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の前記目的は、被処理物に含まれる有価金属を回収するための有価金属回収装置であって、耐火材からなる周壁と床面とによって取り囲まれた燃焼空間を有する燃焼室と、前記燃焼室内に配置され、かつ、有底で上部に開口を有し被処理物を収容する加熱容器と、前記燃焼室内に加熱気体を供給する第1の燃焼バーナと、前記燃焼室の上方に突設され、前記加熱容器の上部開口を閉じる筒状のタワーと、前記タワーとガス導出路を介して連通し、被処理物を加熱したときに発生する未燃ガスが導出されるガス処理室と、前記ガス処理室に加熱気体を供給する第2の燃焼バーナと、前記ガス処理室で生成される燃焼ガスを前記燃焼室内に導入するガス導入路と、前記燃焼室内の燃焼ガスを外部に排出する煙道とを備える有価金属回収装置により達成される。
【0010】
本発明の好ましい一実施態様においては、前記加熱容器は、前記燃焼室の上部と前記タワーの内部とを連通する連通部を備えていることを特徴としている。
【0011】
本発明の好ましい他の実施態様においては、前記タワー内に加熱気体を供給する第3の燃焼バーナをさらに備え、前記タワーは、本体部と、前記本体部の下部に設けられ、前記本体部よりも大きな内径を有する下部タワーとを備えており、前記第3の燃焼バーナは、前記下部タワー内に加熱気体を導入するように備えられていることを特徴としている。
【0012】
本発明のさらに好ましい他の実施態様においては、前記タワー内には、前記タワーの本体部の内周面との間に隙間が形成されるように筒状の内筒管が設けられているとともに、前記内筒管の外側を加熱気体が流れるように前記第3の燃焼バーナが配置されており、前記内筒管の外周面には、前記第3の燃焼バーナにより供給される加熱気体を前記内筒管内に導入するスリット状の開口が形成されていることを特徴としている。
【0013】
本発明のさらに好ましい他の実施態様においては、前記下部タワー内には、リング状のしきい部材が設けられているとともに、前記しきい部材の外側を加熱気体が流れるように前記第3の燃焼バーナが配置されており、前記しきい部材には、前記しきい部材の内外を連通する連通部が形成されていることを特徴としている。
【0014】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記第2の燃焼バーナは、前記ガス処理室の内部において、前記ガス導出路のガス導出口の近傍に配置されていることを特徴としている。
【0015】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記燃焼室、前記ガス処理室、および前記タワーの少なくとも何れか一つは、その内部に外部から支燃性ガスを導入可能な給気口を備えることを特徴としている。
【0016】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記ガス導出路には、支燃性ガスを供給する補助給気手段が、ガス吐出口が前記ガス処理室に向けて取り付けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明の有価金属回収装置によれば、クリーンな排気ガスを高効率で排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る有価金属回収装置の概略構成を示す縦断面図である。
【図2】本発明の他の実施形態に係る有価金属回収装置の煙道の内部構成を示す縦断面図である。
【図3】本発明の他の実施形態に係る有価金属回収装置の概略構成を示す縦断面図である。
【図4】図3の有価金属回収装置のタワー内の概略構成を示す横断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係る有価金属回収装置の概略構成を示す縦断面図である。
【図6】図5の有価金属回収装置のタワー内の概略構成を示す横断面図である。
【図7】従来の有価金属回収装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実態形態について添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る有価金属回収装置1の断面図である。図1に示すように、有価金属回収装置1は、内部に燃焼空間20を有する燃焼室2と、燃焼室2に取り付けられた第1の燃焼バーナ3および煙道4と、燃焼室2の上方に突設された筒状のタワー5と、タワー5とガス導出路6を介して連通されるガス処理室7と、ガス処理室7に取り付けられた第2の燃焼バーナ8と、ガス処理室8と燃焼室2とを連通するガス導入路9とを備えている。
【0020】
燃焼室2は、鉄製のケーシング21に耐火材22が内張りされた上部開口の箱状体により構成されており、この耐火材22よりなる周壁23と床面24とによって取り囲まれた空間が燃焼空間20となっている。燃焼室2の床面24には支持台10が設置されており、この支持台10上に加熱容器11が載置されている。燃焼室2の周壁23の上部位置には、ガス排気口25が形成されており、このガス排気口25に煙道4が接続されている。煙道4は、ガス排気口25から水平に延びた配管が屈曲して鉛直上方に延びるように形成されている。
【0021】
また、燃焼室2の周壁23には、外部から燃焼用空気を導入するための給気口26が形成されている。給気口26は、本実施形態においては、平面視円形状の燃焼室2に対し周方向に沿って略等間隔に3カ所形成され、かつ、それぞれの箇所において上下3段に形成されている。各給気口26から導入される空気の流量は、給気口26に接続されるパイプ内に設置されたバルブ26aの開度調整により個別に制御可能である。
【0022】
なお、給気口26の形成方向は、本実施形態においては、燃焼室2の径方向に略一致させているが、燃焼室2の内部で旋回流が生じ易くするために、燃焼室2の接線方向に沿って給気口26を形成してもよい。また、給気口26の形成箇所や個数なども本実施形態に限定されるものではなく、必要な空気導入量などによって適宜設定可能である。さらに、第1の燃焼バーナ3から十分な空気を燃焼室2内に導入することができる場合には、必ずしも給気口26を設ける必要はない。
【0023】
支持台10は、中央部に空洞を有する筒状に形成され、その下面が燃焼室2の床面24と当接し、その上面が加熱容器11の底面と当接することにより、加熱容器11を支持している。支持台10の上面および下面には、それぞれ等角度位置(例えば90度等間隔の位置)に、径方向に沿って延びる溝部10aがそれぞれ凹設されている。各溝部10aは、支持台10内部の空洞と支持台10の外部とを連通する連通部として機能しており、第1の燃焼バーナ3から燃焼室2内に噴射された高温の燃焼ガスが各溝部10aを通って支持台10内部に導入されることにより、加熱容器11は外周からだけでなく、その底部からも加熱されるようになっている。
【0024】
加熱容器11は、有底で上部に開口11aを有しており、その内部に廃棄物を収容可能である。加熱容器11の素材としては、熱伝導性が良好な材料からなることが好ましく、本実施形態においては、その主要部が、黒鉛坩堝からなる容器により構成されている。黒鉛坩堝は、非鉄金属溶解用の坩堝炉に多用されており、鱗状黒鉛および炭化珪素を主成分とし、熱伝導率が高く、かつ、優れた耐酸化性、耐熱性および耐熱衝撃性を有し、低温から高温までの広い温度範囲で優れた耐久性を発揮する。
【0025】
加熱容器11の周囲には、燃焼室2の周壁23との間に周隙27が形成され、周隙27は燃焼室2の周壁23下部に配置された第1の燃焼バーナ3から噴射される燃焼ガスの上昇通路となる。また、加熱容器11の上方には、燃焼室2の上面に着脱可能に固定される上蓋12が備えられている。
【0026】
上蓋12は、上面中央部が上方に突出するリング状の部材であり、上方に突出する部分の上端面が水平面とされている。加熱容器11の上面には、1または複数の溝部が凹設されている。加熱容器11の上面が、セラミックファイバなどのクッション材(図示せず)を介してリング状の上蓋12の下面と当接することにより、前記溝部が連通部13として機能し、燃焼室2の上部と後述するタワー5の内部とを連通させる。
【0027】
連通部13の大きさや数は特に限定されないが、加熱容器11で生成された塵や灰などが排出されないように、なるべく小さいことが好ましく、その数も必要最小限であることが好ましい。また、連通部13にフィルタを設けることによって、塵や灰などの排出を確実に防止してもよい。フィルタとしては、セラミックファイバなどからなるバルク状、フェルト状、シート状、メッシュ状の通気性部材を例示することができる。また、燃焼室2で生じる燃焼ガスの流れによって加熱容器15内の塵灰などが飛散しないように、連通部13の周囲近傍に、必要に応じて邪魔板などを取り付けてもよい。
【0028】
連通部13の形状は、必ずしも本実施形態のように溝部である必要はない。例えば、加熱容器11の側壁に形成した貫通孔を連通部13とすることもできる。また、上蓋12の下面に突部を設け、この突部が加熱容器11の上面と当接することにより形成される隙間を連通部13としてもよい。
【0029】
第1の燃焼バーナ3および第2の燃焼バーナ8は、予備燃焼を行うパイロットバーナと、本燃焼を行うメインバーナとを備える公知の構成であり、燃料パイプ30,80および燃焼用給気パイプ31,81を介してそれぞれ供給する燃料および燃焼用空気の流量(空気比)を適宜調整することにより、燃焼負荷や燃焼温度を制御することができる。
【0030】
第1の燃焼バーナ3は、燃焼室2の周壁23の下方位置に取り付けられており、燃焼ガスが、加熱容器11の周囲を旋回しながらガス排気口25から排出されるように、加熱容器11の接線方向に向けて配置されている。第1の燃焼バーナ3およびガス排気口25の配置は、必ずしも本実施形態のものに限定されないが、第1の燃焼バーナ3から燃焼室2に噴射された燃焼ガスが、燃焼室2内において十分撹拌され、かつ、ガス排気口25から排出されるまでの燃焼時間を十分確保することができるような配置であることが好ましい。なお、第2の燃焼バーナ8の詳細については後述する。
【0031】
燃焼室2の上方には、円筒状の本体部50を有するタワー5が突設されている。本体部50の下端は、上蓋12の上端に固定手段(図示せず)により密着固定することができるようになっており、これにより、タワー5は、燃焼室2の上方に突出する状態で加熱容器11の開口11aを密閉する。
【0032】
本体部50の上部には、軸線が斜め上方に延びる投入部51が設けられている。投入部51は、アルミニウム切粉などの有価金属を含む廃棄物を加熱容器11内に投入するための投入蓋52が先端に設けられており、投入された廃棄物は、投入部51の傾斜した内周面に沿って本体部50に案内されて、加熱容器11内に落下する。
【0033】
本体部50の上部には、ガス排気口53が形成されており、このガス排気口53にガス導出路6が接続されている。ガス導出路6は、ガス排気口53から水平に延びた配管が屈曲して鉛直下方に延びるように形成されており、その先端のガス導出口60がガス処理室7の上面に設けられたガス給気口74に連結されて、タワー5とガス処理室7とを連通している。加熱容器11の加熱により、廃棄物から発生してタワー5内部を上昇する水蒸気や有機系物質などの未燃ガスは、ガス排気口53からガス導出路6を介してガス処理室7内に流入させることができるようになっている。
【0034】
なお、ガス導出路6の途中に、タワー5とガス処理室7との間で未燃ガスを循環させるための循環ファンを設け、その回転に伴う吸引力によって強制的に循環流を生じさせることにより、タワー5内部の未燃ガスをガス処理室7に導出させるように構成してもよい。
【0035】
ガス処理室7は、鉄製のケーシング71に耐火材72が内張りされた箱状体により構成されており、内部に処理空間70を有しているとともに、その上部が平板状の蓋体73により塞がれている。この蓋体73にはガス給気口74が設けられており、ガス給気口74にガス導出路6が接続されている。
【0036】
蓋体73には、ガス給気口74の近傍位置に、蓋体73の内外を連通するガス導入口73aが形成されている。このガス導入口73aに、第2の燃焼バーナ8が取り付けられており、ガス処理室7の内部には、処理空間70に臨ませて配置された第2の燃焼バーナ8から燃焼ガスが噴射される。ここで、ガス導入口73aとガス給気口74とは連通空間75を介して連通しており、第2の燃焼バーナ8から燃焼ガスがガス処理室7に噴射されると、噴射されるガス流によるエゼクタ効果で、タワー5からガス導出路6を介して連通空間75に導出された未燃ガスが、燃焼ガスとともにガス処理室7に吸引されて、ガス処理室7内で燃焼ガスと混合される結果、未燃ガスは、ガス処理室7において燃焼される。
【0037】
このように、本実施形態では、第2の燃焼バーナ8により燃焼ガスが噴射されると、連通空間75の内部は、燃焼ガスの噴射によるエゼクタ効果により負圧状態になるため、ガス導出路6の未燃ガスがガス給気口74から連通空間75に吸引されて、燃焼ガスとともにガス処理室7に噴射される。よって、ガス導出路6において、上流側から下流側への未燃ガスの循環流が生じる結果、タワー5内部の未燃ガスは、ガス導出路6からガス処理室7にスムーズに導出されるようになっている。
【0038】
上記した本実施形態の構成によれば、タワー5内部の未燃ガスをガス処理室7に導出させるための動力源が特別不要であるため、ガス処理室7の小型化が可能であるとともに、ランニングコストの低減化を図ることができる。なお、ガス処理室7における第2の燃焼バーナ8の配置は、必ずしも上記した実施形態に限られるものではなく、ガス処理室7の内部において、ガス給気口74(ガス導出路6のガス導出口60)の近傍に配置されていれば、適宜変更可能である。
【0039】
ガス処理室7の周壁75には、外部から燃焼用空気を導入するための給気口76が形成されている。給気口76は、本実施形態においては、平面視円形状のガス処理室7に対し周方向に沿って略等間隔に3カ所形成され、かつ、それぞれの箇所において上下3段に形成されている。各給気口76から導入される空気の流量は、給気口76に接続されるパイプ内に設置されたバルブ76aの開度調整により個別に制御可能である。なお、給気口76の形成方向は、本実施形態においては、ガス処理室7の径方向に略一致させているが、ガス処理室7の内部で旋回流が生じ易くするために、ガス処理室7の接線方向に沿って給気口76を形成してもよい。また、給気口76の形成箇所や個数なども本実施形態に限定されるものではなく、必要な空気導入量やガス処理室7の形状などによって適宜設定可能である。さらに、第2の燃焼バーナ8から十分な空気をガス処理室7内に導入することができる場合には、必ずしも給気口76を設ける必要はない。
【0040】
ガス処理室7の下部には、ガス排気口77が形成されており、このガス排気口77にガス導入路9が接続されている。ガス導入路9は、その先端が燃焼室2の下部に設けられたガス給気口28に連結されており、ガス処理室7と燃焼室2とを連通して、ガス処理室7で発生した燃焼ガスを、燃焼室2内に導入させることができるようになっている。なお、ガス導入路9の途中に、燃焼室2とガス処理室7との間で燃焼ガスを循環させるために、例えば循環ファンなどの循環流を生じさせる循環装置を設け、強制的に循環流を生じさせることにより、ガス処理室7内部の燃焼ガスを燃焼室2に導入させるように構成してもよい。
【0041】
次に、以上のように構成された有価金属回収装置1を用いて、廃棄物を加熱処理する方法を具体的に説明する。例えば、アルミ、銅、亜鉛などの非鉄金属を含む廃棄物に、油、有機塗料、プラスチック、ゴム、布、紙、木材などの可燃性廃棄物を伴う廃棄物を加熱処理する場合、本実施形態の加熱処理装置1を用いて、以下に示すように廃棄物に含まれる非鉄金属を溶融させて有価金属として回収することができる。
【0042】
まず、タワー5の投入蓋52を開放し、開口11aから加熱容器11内に、上述したような可燃性廃棄物を伴う廃棄物を投入する。次に、投入蓋52を閉じた後、第1の燃焼バーナ3を作動させて、第1の燃焼バーナ3から燃焼室2内に高温の燃焼ガスを供給する。燃焼室2内部に供給された燃焼ガスは、加熱容器11を加熱しつつ、周隙27内を上昇し、加熱容器11上端の連通部13からタワー5内に入る。第1の燃焼バーナ3によって加温される燃焼室2の内部温度は、回収する有価金属の溶融温度を考慮して適宜設定すればよく、例えば、廃棄物がアルミ飲料缶やアルミ切粉などのようなアルミニウム材を含む場合、約900℃に設定することができる。燃焼室2の内部温度は、温度センサ(図示せず)などでモニタリングしながら第1の燃焼バーナ3におけるメインバーナおよびパイロットバーナのオン/オフ制御や、給気口26のバルブ26aの開度調整などにより、燃焼量や空気比を調節して所望の温度に設定可能である。
【0043】
加熱容器11は、上部開口11aがタワー5により閉じられているために、内部が無酸素状態または低酸素状態となっている。よって、加熱容器11が加熱されることにより、加熱容器11内の廃棄物に含まれる有価金属は、還元雰囲気で溶融される。本実施形態においては、加熱容器11を支持する支持台10に通気部10aが形成されているので、燃焼ガスは、加熱容器11の側壁だけでなく底部とも接触し、加熱容器11の全体を効率よく加熱することができる。このような加熱容器11の伝熱を利用した間接加熱により廃棄物を還元雰囲気で加熱することで、廃棄物に含まれる有価金属の酸化を抑制した状態で、有価金属を容易に回収することができる。なお、加熱容器11に、必要に応じてヤシの実やプラスチックなどの炭化を促進する材料を投入し、還元雰囲気を強化するようにしてもよい。
【0044】
有価金属以外の油、塗料、プラスチックなどの可燃性廃棄物については、加熱容器11の加熱により熱分解し、ガス状となって加熱容器11内に放出され、その一部は、連通部13からタワー5内部に流入する燃焼ガスと混合されて、タワー5内において燃焼する。一方、加熱容器11の加熱により廃棄物から発生したガスの大部分は、未燃ガスとして、タワー5上部のガス排気口53からガス導出路6を介してガス処理室7に導出される。
【0045】
この未燃ガスは、ガス処理室7内で、第2の燃焼バーナ8からの燃焼ガス、および、必要に応じて導入される給気口76からの燃焼用空気と混合されることにより燃焼されて、燃焼ガスとなる。この際、第2の燃焼バーナ8の燃焼ガスの噴射に伴ってガス処理室7に未燃ガスが吸引されること(エゼクタ効果)によって、連通空間75、すなわち、ガス導出路6の下流側が負圧となるために、タワー5から導出される未燃ガスは、ガス導出路6を通ってガス処理室7にスムーズに導出されるようになっている。
【0046】
第2の燃焼バーナ8から供給される燃焼ガスの温度は、未燃ガスやダイオキシン類などの完全燃焼を促す観点から800℃以上であることが好ましく、850℃以上であることがより好ましい。また、給気口76からガス処理室7内に導入する気体は、空気以外に、酸素など他の支燃性ガスであってもよく、これによって、ガス処理室7内における未燃ガスの完全燃焼を促すことができる。
【0047】
ガス処理室7にて燃焼された燃焼ガスは、第2の燃焼バーナ8の燃焼ガスとともにガス排気口77からガス導入路9を経て、燃焼室2に供給される。ガス処理室7から燃焼室2に導入された燃焼ガスは、第1の燃焼バーナ3から供給される燃焼ガスと合流し、加熱容器11を加熱する熱源として有効利用された後、煙道4から排出される。また、上記燃焼ガスの一部は、加熱容器11を加熱しつつ、周隙27内を上昇し、加熱容器11上端の連通部13からタワー5内に入って、廃棄物から発生した未燃ガスを燃焼させるための熱源として有効利用される。
【0048】
なお、ガス処理室7から燃焼室2に導入されるガスの中に、ガス処理室7において燃焼し切れなかった未燃ガスが一部含まれている場合には、この未燃ガスは、第1の燃焼バーナ3によって燃焼室2に供給された燃焼ガスにより燃焼される。このように、ガス処理室7から燃焼室2に導入されるガス中に未燃ガスが万一含まれていたとしても、燃焼室2内にて燃焼を完結させることができ、廃棄物から発生する未燃ガスの完全燃焼を促すことができる。
【0049】
本実施形態の有価金属回収装置1によれば、廃棄物の燃焼により廃棄物から発生する未燃ガスは、タワー5において、連通部13を介して導入された燃焼ガスと混合して燃焼され(一次燃焼)、さらに、ガス処理室7において第2の燃焼バーナ8により供給された燃焼ガスと混合して燃焼され(二次燃焼)、加えて、燃焼室2において第1の燃焼バーナ3により供給された燃焼ガスと混合して燃焼された後(三次燃焼)に、煙道4から排出される。よって、本実施形態においては、装置全体において、未燃ガスの燃焼時間を十分確保することができ、この結果、未燃ガスの完全燃焼を促すことができるので、煙道4から排出される排気ガスをクリーンな状態に確実に維持することができ、煙、臭気、塵灰などの排出を防止することができる。
【0050】
さらに、未燃ガスの燃焼により発生する高温の燃焼ガスを、燃焼室2に循環させて加熱容器11の加熱などに有効利用しているので、サーマルリサイクルにより、第1の燃焼バーナ3の消費燃料などを低減することができ、廃棄物から有価金属を効率よく回収できるだけでなく、可燃性廃棄物の燃焼熱も資源として有効回収できる。
【0051】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明の具体的な態様は上記実施形態に限定されない。例えば、タワー5の周壁54に、外部から支燃性ガスとして燃焼用空気を導入するための給気口55を形成してもよい。図2において、給気口55は、平面視円形状のタワー5に対し周方向に沿って略等間隔に3カ所形成され、かつ、それぞれの箇所において上下3段に形成されている。各給気口55から導入される空気の流量は、給気口55に接続されるパイプ内に設置されたバルブ55aの開度調整により個別に制御可能である。
【0052】
なお、給気口55の形成方向は、タワー5の径方向に略一致させてもよいし、タワー5の内部で旋回流が生じ易くするために、タワー5の接線方向に沿って形成してもよい。また、給気口55の形成箇所や個数なども本実施形態に限定されるものではなく、必要な空気導入量などによって適宜設定可能である。
【0053】
この給気口55からタワー5内に燃焼用空気を供給することにより、廃棄物から発生した未燃ガスを、ガス処理室7内や燃焼室2内の他、タワー5内部でも積極的に燃焼させることができるので、装置全体として、未燃ガスの完全燃焼化を確実に図ることが可能になり、煙道4からの排気ガスをクリーンな状態に維持し、煙、臭気、塵灰などの排出を防止することができる。
【0054】
また、ガス導出路6に、図2に示すように、空気、予熱空気、酸素などの支燃性ガスを導入するための補助給気手段90を設けてもよい。この補助給気手段90は、ブロワなどの加圧空気供給源(図示せず)に接続された補助給気管91を備えており、補助給気管91の先端のガス吐出口92は、ガス処理室7の方に向けられている。補助給気管91の途中には、制御弁93が介在されており、この制御弁93の開度調整により、支燃性ガスをガス導出路6内に所望の流量で供給することができる。
【0055】
この実施形態においては、補助給気菅91からガス導出路6に支燃性ガスを供給することで、ガス処理室7に向けてガス導出路6を通過する未燃ガスを積極的に燃焼させることができる。加えて、ガス吐出口92がガス処理室7の方に向けられており、補助給気菅91の支燃性ガスの供給により、ガス導出路6において、上流側から下流側へガスの流れが生じる結果、ガス導出路6内の未燃ガスがガス処理室7に向けてスムーズに導出される。
【0056】
図3は、本発明の他の実施形態に係る有価金属回収装置1´の断面図である。本実施形態の有価金属回収装置1´も、図3に示すように、内部に燃焼空間20を有する燃焼室2と、燃焼室2に取り付けられた第1の燃焼バーナ3および煙道4と、燃焼室2の上方に突設された筒状のタワー5と、タワー5とガス導出路6を介して連通されるガス処理室7と、ガス処理室7に取り付けられた第2の燃焼バーナ8と、ガス処理室8と燃焼室2とを連通するガス導入路9とを備えている。なお、本実施形態の有価金属回収装置1´において、上記した実施形態の有価金属回収装置1の構成と同一の部位については、同一の符号を付することで説明を省略する。
【0057】
本実施形態では、タワー5は、円筒状の本体部50と、本体部50よりも大きい内径(断面積)を有する下部タワー56とにより構成されている。本体部50の下端は、下部タワー56の上端に固定手段(図示せず)により固定されているとともに、下部タワー56の下端は、燃焼室2の上面に固定手段(図示せず)により固定されている。加熱容器11の上面は、本実施形態では、水平面とされており、セラミックファイバなどのクッション材(図示せず)を介して下部タワー56の下面と隙間なく当接している。
【0058】
下部タワー56の内部には、第3の燃焼バーナ57が設けられている。第3の燃焼バーナ57は、予備燃焼を行うパイロットバーナと、本燃焼を行うメインバーナとを備える公知の構成であり、燃料パイプおよび燃焼用給気パイプを介してそれぞれ供給される燃料および燃焼用空気の流量(空気比)を適宜調整することにより、燃焼負荷や燃焼温度を制御することができる。この第3の燃焼バーナ57は、下部タワー56内の本体部50よりも外側の内径が拡径した拡径空間58に設けられており、燃焼ガスが円状の下部タワー56の接線方向に排出されて、下部タワー56の内壁の側周面に沿って旋回するように、そのガス排出口68の向きが決められている。
【0059】
また、下部タワー56の内部には、第3の燃焼バーナ57が設けられている拡径空間58と、本体部50の内部空間と連続する内部空間59との間の境目部分に、リング状のしきい部材61が設けられている。このしきい部材61の上面および下面には、径方向に沿って延びる複数の溝部62がそれぞれ凹設されている。しきい部材61は、その上面および下面が、下部タワー56の内壁の上面および下面とそれぞれ当接するように配置されているが、各溝部62は、このとき、しきい部材61内部の内部空間59としきい部材61外部の拡径空間59とを連通する連通部として機能し、第3の燃焼バーナ57から拡径空間59内に噴射された高温の燃焼ガスが各溝部62を通って下部タワー56の内部空間59に導入されるようになっている。
【0060】
なお、図3では、しきい部材61の上面および下面に溝部62を設け、この溝部62を介して下部タワー56の内部空間59と拡径空間59とを連通させているが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、しきい部材61の側壁に貫通孔を形成し、この貫通孔を介して下部タワー56の内部空間59と拡径空間59とを連通させることもできる。
【0061】
本実施形態の有価金属回収装置1´では、加熱容器11が第1の燃焼バーナ3によって加熱されることにより、加熱容器11内の廃棄物に含まれる有価金属は溶融される一方、有価金属以外の油、塗料、プラスチックなどの可燃性廃棄物は熱分解し、ガス状となって加熱容器11内に放出され、未燃ガスとしてタワー5内に入る。タワー内5に放出された未燃ガスは、まず、下部タワー56の拡径空間59から各溝部62を介して下部タワー56の内部空間59および本体部50内部に流入する第3の燃焼バーナ57からの燃焼ガスと混合されて、燃焼する。タワー5で発生する燃焼ガスおよび燃焼し切れなかった未燃ガスの混合ガスは、タワー5上部のガス排気口53からガス導出路6を介してガス処理室7に導出される。
【0062】
ガス処理室7内に導入されると、次に、第2の燃焼バーナ8からの燃焼ガスおよび必要に応じて導入される給気口76からの燃焼用空気と混合されることにより、混合ガス中の未燃ガスは燃焼されて、燃焼ガスとなる。そして、ガス処理室7にて燃焼された燃焼ガスおよび燃焼し切れなかった未燃ガスは、ガス排気口77からガス導入路9を経て、燃焼室2に供給される。燃焼室2に供給された混合ガス中の未燃ガスは、最後に、第1の燃焼バーナ3から供給される燃焼ガスと混合されて燃焼する。これにより、未燃ガスは完全燃焼し、燃焼室2に供給された混合ガス中の燃焼ガスとともに加熱容器11を加熱する熱源として有効利用された後、煙道4から排出される。
【0063】
本実施形態の有価金属回収装置1´によれば、廃棄物の燃焼により廃棄物から発生する未燃ガスは、タワー5において、第3の燃焼バーナ57からの燃焼ガスによって燃焼され(一次燃焼)、さらに、ガス処理室7において第2の燃焼バーナ8からの燃焼ガスによって燃焼され(二次燃焼)、加えて、燃焼室2において第1の燃焼バーナ3からの燃焼ガスによって燃焼された後(三次燃焼)に、煙道4から排出される。よって、本実施形態においても、装置全体において、未燃ガスの燃焼時間を十分確保することができ、この結果、未燃ガスの完全燃焼を促すことができるので、煙道4から排出される排気ガスをクリーンな状態に確実に維持することができ、煙、臭気、塵灰などの排出を防止することができる。
【0064】
さらに、未燃ガスの燃焼により発生する高温の燃焼ガスを、燃焼室2に循環させて加熱容器11の加熱などに有効利用しているので、サーマルリサイクルにより、第1の燃焼バーナ3の消費燃料などを低減することができ、廃棄物から有価金属を効率よく回収できるだけでなく、可燃性廃棄物の燃焼熱も資源として有効回収できる。
【0065】
図5は、図3の有価金属回収装置1´の変形例の断面図を示す。図5に示す有価金属回収装置1´では、タワー5内に、しきい部材61に代わって、両端が開口した円筒状の内筒管63が配備されている。内筒管63は、タワー5の本体部50の内径よりも小さい外径を有しており、内筒管63の周囲には、本体部50の内周壁との間に空隙67が形成されている。この内筒管63は、上部にフランジ部64が形成されており、フランジ部64を介して、タワー5の本体部50内に吊り下げ状態で支持されている。内筒管63の下部は、下部タワー56まで延びている。
【0066】
内筒管63の周面には、スリット状の給気口65が開設されている。図6に示すように第3の燃焼バーナ57から排出される燃焼ガスは、下部タワー56の内壁の側周面に沿って旋回するように流れ、その一部が内筒管63の下部開口66から内筒管63内に流入するとともに、その大部分は、内筒管63と本体部50との間の空隙67内を上昇し、内筒管63の給気口65から内筒管63内に流入するようになっている。
【0067】
この実施形態においては、加熱容器11に加熱により発生する未燃ガスは、内筒管63内に放出される。内筒管63内に放出された未燃ガスは、内筒管63の各給気口65および下部開口66を介して内筒管63内に流入する第3の燃焼バーナ57からの燃焼ガスと混合されて、燃焼する。そして、タワー5で発生する燃焼ガスおよび燃焼し切れなかった未燃ガスの混合ガスは、タワー5上部のガス排気口53からガス導出路6を介してガス処理室7に導出される。
【0068】
なお、その後の未燃ガスの処理については、上記した図3の実施形態と同様であるので、ここでは詳細な説明は省略するが、この実施形態においても、廃棄物の燃焼により廃棄物から発生する未燃ガスは、タワー5において、第3の燃焼バーナ57からの燃焼ガスによって燃焼され(一次燃焼)、さらに、ガス処理室7において第2の燃焼バーナ8からの燃焼ガスによって燃焼され(二次燃焼)、加えて、燃焼室2において第1の燃焼バーナ3からの燃焼ガスによって燃焼された後(三次燃焼)に、煙道4から排出される。よって、未燃ガスの完全燃焼を促すことができる結果、煙道4から排出される排気ガスをクリーンな状態に確実に維持することができ、煙、臭気、塵灰などの排出を防止することが可能である。
【0069】
図1、図2、図3、および図5に示す有価金属回収装置1,1´において、投入部51は、本体部50に対して複数設けてもよい。例えば、複数の投入部51を本体部50の中心から放射状に配置することで、廃棄物を加熱容器11内に均一に分散落下させることが容易になる。また、投入部51を本体部50の側壁に設ける変わりに、本体部50の上部から被処理物が落下するように配置してもよい。
【0070】
また、投入部51は、投入蓋52と、図1、図2、図3および図5において一点鎖線で示すように内蓋40との二重蓋を備え、この二重蓋により、投入部51を開閉するように構成してもよい。投入蓋52と内蓋40との間には、廃棄物を貯留可能な貯留部41が形成されている。内蓋40は、タワー5の本体部50の内方に向かって開閉可能に設けられており、内蓋40が閉じられていると、貯留部41とタワー5の本体部50とが遮断される一方、図1、図3および図5において鎖線で示すように、内蓋40を開くと、貯留部42とタワー5の本体部50とが連通する。
【0071】
この実施形態において、廃棄物を投入するには、内蓋40を閉じた状態で投入蓋52を開放することで、貯留部41に廃棄物を貯留可能となる。そして、投入蓋52を密閉し、内蓋40を開放すると、貯留部41に貯留されていた廃棄物が、加熱容器11内に落下する。このように、この実施形態においては、廃棄物を投入する際には、常に内蓋40を閉じた状態にすることで、投入蓋52の開放によって、炉内の未燃ガスが外部に放出されることを防止することができる。なお、内蓋40の開閉を、投入蓋52の開閉に機械的に連動するように構成することで、未燃ガスの放出を確実に防止することが可能である。
【0072】
また、上記した各実施形態においては、加熱容器11が黒鉛坩堝により構成されているが、亜鉛や低融点アルミニウム合金材などのように溶融温度が低い廃棄物を溶融させる場合には、安価で熱伝導性が良好な鉄製の容器からなる加熱容器11を使用することもできる。なお、加熱容器11としては、その他に、耐火セラミック製や鉄以外の金属製の容器などを使用することもできる。
【符号の説明】
【0073】
1 有価金属回収装置
2 燃焼室
3 第1の燃焼バーナ
4 煙道
5 タワー
6 ガス導出路
7 ガス処理室
8 第2の燃焼バーナ
9 ガス導入路
11 加熱容器
13 連通部
20 燃焼空間
23 周壁
24 床面
26 給気口
51 投入部
52 投入蓋
55 給気口
56 下部タワー
57 第3の燃焼バーナ
61 しきい部材
63 内筒管
65 スリット
68 ガス排出口
76 給気口
60 ガス導出口
90 補助給気手段
92 ガス吐出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物に含まれる有価金属を回収するための有価金属回収装置であって、
耐火材からなる周壁と床面とによって取り囲まれた燃焼空間を有する燃焼室と、
前記燃焼室内に配置され、かつ、有底で上部に開口を有し被処理物を収容する加熱容器と、
前記燃焼室内に加熱気体を供給する第1の燃焼バーナと、
前記燃焼室の上方に突設され、前記加熱容器の上部開口を閉じる筒状のタワーと、
前記タワーとガス導出路を介して連通し、被処理物を加熱したときに発生する未燃ガスが導出されるガス処理室と、
前記ガス処理室に加熱気体を供給する第2の燃焼バーナと、
前記ガス処理室で生成される燃焼ガスを前記燃焼室内に導入するガス導入路と、
前記燃焼室内の燃焼ガスを外部に排出する煙道とを備える有価金属回収装置。
【請求項2】
請求項1に記載の有価金属回収装置であって、
前記加熱容器は、前記燃焼室の上部と前記タワーの内部とを連通する連通部を備えていることを特徴とする有価金属回収装置。
【請求項3】
請求項1に記載の有価金属回収装置であって、
前記タワー内に加熱気体を供給する第3の燃焼バーナをさらに備え、
前記タワーは、本体部と、前記本体部の下部に設けられ、前記本体部よりも大きな内径を有する下部タワーとを備えており、
前記第3の燃焼バーナは、前記下部タワー内に加熱気体を導入するように備えられていることを特徴とする有価金属回収装置。
【請求項4】
前記タワー内には、前記タワーの本体部の内周面との間に隙間が形成されるように筒状の内筒管が設けられているとともに、前記内筒管の外側を加熱気体が流れるように前記第3の燃焼バーナが配置されており、前記内筒管の外周面には、前記第3の燃焼バーナにより供給される加熱気体を前記内筒管内に導入するスリット状の開口が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の有価金属回収装置。
【請求項5】
前記下部タワー内には、リング状のしきい部材が設けられているとともに、前記しきい部材の外側を加熱気体が流れるように前記第3の燃焼バーナが配置されており、前記しきい部材には、前記しきい部材の内外を連通する連通部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の有価金属回収装置。
【請求項6】
前記第2の燃焼バーナは、前記ガス処理室の内部において、前記ガス導出路のガス導出口の近傍に配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の有価金属回収装置。
【請求項7】
前記燃焼室、前記ガス処理室、および前記タワーの少なくとも何れか一つは、その内部に外部から支燃性ガスを導入可能な給気口を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の有価金属回収装置。
【請求項8】
前記ガス導出路には、支燃性ガスを供給する補助給気手段が、ガス吐出口が前記ガス処理室に向けて取り付けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の有価金属回収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−2492(P2012−2492A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258013(P2010−258013)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(592134871)日本坩堝株式会社 (31)
【Fターム(参考)】