説明

有害生物防除剤としてのビニルアミノピラゾール誘導体

式Iの5−(ビニルアミノ)ピラゾール誘導体、又はその有害生物防除剤として許容可能な塩(I)(式中、例えば、Wは、=N−、=CH−、=CR−又は=C(NH)−であり、Rは、ハロゲン又はハロアルキルであり、Rは、シアノ、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル又は−CS−NH2であり、Rは、アルキル又はシクロアルキルであり、Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アラルキル、ヘテロシクリルアルキル、−CO−O−R、−CO−R10、−SO−R11、−SO−R12であり、R、R10、R11及びR12は、例えば有機基であり、Rは、ハロゲン又は−NH2であり、Rは、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロゲン又は−SFであり、nは、0、1又は2から選択された整数である)が開示される。このような化合物は、特に、家畜を処置することにより、有害生物防除に使用することができる。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な5−ビニルアミノピラゾール誘導体、その調製方法、その組成物、及び有害生物(節足動物及び蠕虫を含む)防除のためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
1−アリールピラゾール化合物による昆虫、蛛形類動物及び蠕虫の防除は、いくつかの文献、例えば国際特許出願公開第87/03781号、欧州特許出願公開第295117号及び米国特許出願第4695308号に記載されている。
【0003】
更に、米国特許出願第5629335号には、ピラゾール環の5位に、N−置換又はN,N−2置換アミノ基を有することができる、有害生物防除性の1−アリールピラゾール−3−カルボキシルイミドチオ酸エステルが開示されている。中でも、アルケニル基が置換基として言及されている。ビニル基は、明示的に開示されていない。
【0004】
国際特許出願公開第99/62886号には、ピラゾール環の5位に、選択した置換基によるN−置換アミノ基又はN,N−2置換アミノ基を有することができる、有害生物防除性の置換3−チオカルバモイルピラゾールが開示されている。N,N−2置換基に関して、ビニル基は置換基として除外されている。
【0005】
ドイツ特許出願公開第3606476号には、ピラゾール環の5位に、N,N−2置換アミノ基を有する1−アリールピラゾール化合物が開示されている。中でもアルケニル基が、置換基として言及されている。ビニル基は、明示的に開示されていないが、アリル、ブテニル又はペンテニルは、可能性のあるアルケニル基として開示されている。
【0006】
最後に、国際特許出願公開第96/25401号には、ピラゾール環の5位に、1個又は2個の基で置換されることができるアミノ基を有する、有害生物防除性の1−アリールピラゾール化合物が開示されている。中でもアルケニル基が、置換基として言及されている。しかし、1個の置換基がビニル基であるN,N−2置換アミノ基は、明示的に開示されていない。
【0007】
しかし、最近の有害生物防除剤は、例えば強度、作用持続期間及び範囲、使用スペクトル、毒性、他の作用物質との組合せ、補助製剤との組合せ、又は合成に関する広範囲の需要を満たさなければならず、抵抗性が生じる可能性があるため、このような物質の開発は完結しているもの考えることは決してできず、少なくともいくつかの側面において周知の化合物よりも有益な新規化合物に対する大きな需要が常に存在する。
【0008】
更に、N−ビニル置換基を有する5−アミノピラゾール化合物は、予想外の化学的安定性及び予想外の優れた生物活性も有する化合物であることが見出された。
【特許文献1】国際特許出願公開第87/03781号
【特許文献2】欧州特許出願公開第295117号
【特許文献3】米国特許出願第4695308号
【特許文献4】米国特許出願第5629335号
【特許文献5】国際特許出願公開第99/62886号
【特許文献6】ドイツ特許出願公開第3606476号
【特許文献7】国際特許出願公開第96/25401号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、哺乳動物及び植物の処置、好ましくは動物の処置のための有害生物防除剤配合物中に使用することができる新規な化合物を提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、経口剤の形態で哺乳動物に有益に施用することができる新規な有害生物防除剤配合物を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、既存の有害生物防除剤よりも少ない用量で使用することができる新規な有害生物防除剤を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、実質的に非催吐性の新規な有害生物防除剤を提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、使用者及び環境にとって安全である新規な有害生物防除剤を提供することである。
【0014】
本発明の他の目的は、1回の経口施用で長期間にわたり効果的な有害生物防除を実現する新規な有害生物防除剤を提供することである。
【0015】
このような目的は、本発明により全体的又は部分的に満たされる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、式I
【0017】
【化1】

の5−(ビニルアミノ)ピラゾール誘導体である化合物又はその有害生物防除剤として許容可能な塩を提供するものであり、式中、
Wは、=N−、=CH−、=CR−又は=C(NR)−であり、
は、ハロゲンであり、
及びRは、互いに独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アラルキル又はヘテロシクリルアルキルであるか、或いはR又はRの一方は、−CO−R7a、−CO−O−R8a−SO−R7a又は−SO7aであるか、或いはR及びRは、結合したN原子と共に、環中に追加の酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を含んでもよい5〜7員環のヘテロ環を形成するか、或いはR及びRは、結合したN原子と共に、イミン基−N=CR7b8b又はイミノエーテル基−N=CR7b(OR8b)を形成し、
7a及びR8aは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アラルキル又はヘテロシクリルアルキルであり、
7bは、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アラルキル又はヘテロシクリルアルキルであり、
8bは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アラルキル又はヘテロシクリルアルキルであり、
該基R、R、R7a、R8a、R7b及びR8bは、互いに独立に、1個若しくは複数の、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、オキソ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アラルキル基又はヘテロシクリルアルキル基で置換されてもよいか、或いはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はヘテロアリール基で置換されてもよいアミノで置換されてもよく、
は、シアノ、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル又は−CS−NHであり、
は、アルキル又はシクロアルキルであり、該基Rは、1個若しくは複数の、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、オキソ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アラルキル基又はヘテロシクリルアルキル基で置換されてもよく、
は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アラルキル、ヘテロシクリルアルキル、−CO−O−R、−CO−R10、−SO−R11、−SO−R12であり、
、R10、R11及びR12は、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アラルキル又はヘテロシクリルアルキルであり、
該基R、R、R10、R11及びR12は、1個若しくは複数の、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、オキソ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基又はアラルキル基で置換されてもよく、
は、ハロゲン又は−NR1314であり、
13及びR14は、互いに独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アラルキル又はヘテロシクリルアルキルであるか、或いはR13及びR14は、結合したN原子と共に、環中に追加の酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を含んでもよい5〜7員環のヘテロ環を形成し、該基R13及びR14は、1個若しくは複数の、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、オキソ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アラルキル基又はヘテロシクリルアルキル基で置換されてもよく、
は、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロゲン又は−SFであり、
nは、0、1又は2から選択された整数である。
【0018】
添付の特許請求の範囲を含めて、本明細書において、前述の基は下記の意味を有する。
【0019】
「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を意味するものとする。フッ素が好ましい。
【0020】
基名の前の「ハロ」という用語は、この基が部分的又は完全にハロゲン化、すなわち任意の組合せのF、Cl、Br又はI、好ましくはF又はClで置換されたことを意味するものとする。
【0021】
「アルキル」という用語は、直鎖又は分枝鎖の飽和脂肪族炭化水素基を意味するものとする。一般に、アルキル基は1〜10個の炭素原子、好ましくは1〜8個の炭素原子を有する。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、2−メチルプロピル、1−ブチル、2−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、2−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、2−エチルヘキシル又はオクチルが挙げられる。
【0022】
「(C−C)−アルキル」という用語は、1〜6個の炭素原子を有する、枝分かれしていない又は分枝の炭化水素基を意味するものと理解される。
【0023】
アルキル基は、1〜4個の炭素原子を有することが好ましい。
【0024】
「ハロアルキル」という用語は、1個若しくは複数の水素原子がハロゲン原子、好ましくはフッ素及び/又は塩素で置換されたアルキル基を意味するものとする。ハロアルキル基の例としては、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、モノフルオロメチル、1−又は2−フルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、1,1,2,2−テトラフルオロエチル、モノ、ジ又はトリクロロメチル、1−フルオロ−2−クロロエチル又は2−クロロエチルが挙げられる。
【0025】
ハロアルキル基は、1〜2個の炭素原子を有することが好ましい。
【0026】
「アルコキシ」という用語は、酸素原子を介して他の基に結合する、直鎖又は分枝鎖の飽和脂肪族炭化水素基を意味するものとする。アルコキシ基は一般に、1〜10個の炭素原子、好ましくは1〜8個の炭素原子を有する。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、1−ブチルオキシ、2−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、tert−ブチルオキシ、2−メチルブチルオキシ、1,1−ジメチルプロピルオキシ、n−ペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、n−ヘプチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ又はオクチルオキシが挙げられる。
【0027】
「(C−C)−アルコキシ」という用語は、その炭素鎖が「(C−C)−アルキル」の表現において示した意味を有するアルコキシ基を意味するものとする。
【0028】
「ハロアルコキシ」という用語は、1個若しくは複数の水素原子がハロゲン原子、好ましくはフッ素及び/又は塩素で置換されたアルコキシ基を意味するものとする。ハロアルコキシ基の例としては、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、モノフルオロメトキシ、ペンタフルオロエトキシ、1−又は2−フルオロエトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、クロロメトキシ、2−クロロエトキシ又は1,1,2,2−テトラフルオロエトキシが挙げられる。
【0029】
「アルキルチオ」という用語は、硫黄原子を介して他の基に結合する直鎖又は分枝鎖の飽和脂肪族炭化水素基を意味するものとする。一般に、アルキルチオ基は、1〜10個の炭素原子、好ましくは1〜8個の炭素原子を有する。アルキルチオ基の例としては、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、1−ブチリルチオ、2−ブチルチオ、イソブチルチオ、tert−ブチルチオ、2−メチルブチルチオ、1,1−ジメチルプロピルチオ、n−ペンチルチオ、n−ヘキシルチオ、n−ヘプチルチオ、2−エチルヘキシルチオ又はオクチルチオが挙げられる。
【0030】
「アルケニル」という用語は、1個若しくは複数の非共役二重結合を有する、直鎖又は分枝鎖の不飽和脂肪族炭化水素基を意味するものとする。一般に、アルケニル基は、1〜10個の炭素原子、好ましくは1〜8個の炭素原子を有する。アルケニル基の例としては、ビニル、アリル、2−メチル−2−プロペニル、1−又は2−ブテニル、ペンテニル、2−メチルペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル又はオクテニルが挙げられる。
【0031】
「(C−C)アルケニル」という用語は、この記述された範囲と一致する数の炭素原子を有し、且つ各々の不飽和基の任意の場所に位置することができる、少なくとも1個の二重結合を含む、枝分かれしていない又は分枝の非環式炭素鎖を意味するものとする。
【0032】
「アルキニル」という用語は、1個若しくは複数の非共役三重結合を有する、直鎖又は分枝鎖の不飽和脂肪族炭化水素基を意味するものとする。一般に、アルキニル基は、1〜10個の炭素原子、好ましくは1〜8個の炭素原子を有する。アルキニル基の例としては、エチニル、プロパルギル、2−メチル−2−プロピニル、2−ブチニル、3−ブチニル、ペンチニル−、2−メチルペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル及びオクチニルが挙げられる。
【0033】
「シクロアルキル」という用語は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロデシルなどの、好ましくは3〜7個の環状炭素原子を有する単環式飽和アルキル基、或いはノルボルニル、ビシクロ[2.2.2]オクチルなどの二環式飽和アルキル基、或いはデカヒドロナフタレンなどの縮合飽和系を意味するものとする。5員環又は6員環の単環式シクロアルキル基が好ましい。
【0034】
好ましくは、シクロアルキル基は、ハロゲン又はアルキルで置換されてもよい。
【0035】
「アリール」という用語は、環状炭素原子、好ましくは6〜14個の、特に好ましくは6〜12個の環状炭素原子から形成された炭素環式芳香族基を意味するものとする。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル又はビフェニリルが挙げられ、フェニルが好ましい。
【0036】
「ヘテロシクリル」という用語は、少なくとも1個の環状炭素原子の他に、酸素、硫黄及び窒素の群から選択された1個若しくは複数の環状ヘテロ原子を有する、完全飽和、部分不飽和又は完全不飽和の環式基を意味するものとする。2個の隣接する環状酸素原子を別として、異なる環状ヘテロ原子が可能である。ヘテロシクリル基は、ヘテロ環に1個、2個又は3個のヘテロ原子を含むことが好ましく、N、O及びSからなる群から選択されることが好ましい。ヘテロシクリル基は、3〜7個の環状原子を有する脂肪族ヘテロシクリル基、又は5〜7個の環状原子を有するヘテロ芳香族基が好ましい。ヘテロ芳香族基は、少なくとも1個の環が1個若しくは複数のヘテロ原子を含む、単環式、二環式又は多環式芳香族系の場合がある。
【0037】
ヘテロシクリル基の例としては、チオフェニル、フリル、ピロリル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,3,4−テトラゾリル、ベンゾ[b]チオフェニル、ベンゾ[b]フラニル、インドリル、ベンゾ[c]チオフェニル、ベンゾ[c]フラニル、イソインドリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾイソキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾピラゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、カルバゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、1,3,5−トリアジニル、1,2,4−トリアジニル、1,2,4,5−テトラジニル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、1,8−ナフチリジニル、1,5−ナフチリジニル、1,6−ナフチリジニル、1,7−ナフチリジニル、フタラジニル、ピリドピリミジニル、プリニル、プテリジニル、4H−キノリジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、オキサゾリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、イソオキサゾリジニル、チアゾリジニル、チエニル、オキシラニル、オキセタニル、オキソラニル(=テトラヒドロフリル)、オキサニル、ピロリジル、ピペリジル、ピペラジニル、ジオキソラニル、オキサゾリニル、イソオキサゾリニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル及びモルホリニルが挙げられる。
【0038】
「ヘテロ芳香族基」という用語は、「ヘテロシクリル基」という用語の部分群であり、上記の一覧において記載した完全不飽和な芳香族ヘテロ環化合物を包含する。
【0039】
ヘテロシクリル基は、非置換であっても、又は好ましくは1個若しくは複数の基で置換されてもよく、非常に好ましくはハロゲン、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオ、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、カルボキシル、シアノ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ホルミル、カルバモイル、モノ及びジアルキルアミノカルボニル、アシルアミノ及びモノ、ジアルキルアミノなどの置換アミノ、アルキルスルフィニル、ハロアルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、ハロアルキルスルホニル、アルキル、及びハロアルキル、並びに更にオキソからなる群から選択された1〜3個の基で置換されてもよい。オキソ基は、このようなヘテロ環状原子に存在することも可能であり、例えばN及びSの場合、様々な酸化数が可能である。
【0040】
ヘテロシクリルは、好ましくは、3〜6個の環状炭素原子と、酸素、硫黄及び窒素又はそれらの組合せの群から選択された1〜4個の環状ヘテロ原子とを有する、不飽和、部分飽和又は芳香環系を意味するものとする。
【0041】
2個の基は、結合したN原子と共に、環中に追加の酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を含んでもよい5〜7員環のヘテロ環を形成してもよい。形成される窒素含有環の例は、ヘテロシクリル基の一覧中にある。
【0042】
「アラルキル」という用語は、アルキレン基を介して他の基に結合するアリール基を意味するものとする。アルキレン部分は、一般に1〜6個の炭素原子を有する、飽和の直鎖又は分枝鎖炭化水素部分である。好ましいアラルキル基は、ベンジルである。
【0043】
「ヘテロシクリルアルキル」という用語は、アルキレン基を介して他の基に結合するヘテロシクリル基を意味するものとする。アルキレン部分は、一般に1〜6個の炭素原子を有する、飽和の直鎖又は分枝鎖炭化水素部分である。
【0044】
好ましくはWが=N−、=CR−又は=C(NH)−であり、非常に好ましくは=N−及び=C(ハロゲン)−である、式Iの化合物が好ましい。
【0045】
Wは、=C(ハロゲン)−又は=N−が非常に好ましく、Wは、=C(ハロゲン)−が最も好ましい。
【0046】
が塩素又はフッ素である、式Iの化合物が好ましい。
【0047】
がシアノ、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル又は−CS−NHである、式Iの化合物が好ましい。
【0048】
は、シアノ又は−CS−NHが非常に好ましく、シアノが最も好ましい。
【0049】
がアルキル又はハロアルキルである、式Iの化合物が好ましい。
【0050】
は、(C−C)−ハロアルキルが非常に好ましい。
【0051】
は、−CO−O−(C−C)−アルキル、−CO−O−(C−C)−ハロアルキル、−CO−O−(C−C)−アルケニル、−CO−O−(C−C)−アルキニル、−CO−O−(CH−R21、−(CH−R21、−CO−R22、−(CH−R23又は−SO−R24、或いは(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル又は−CO−(C−C)−アルキル(式中、最後に言及した4個の基は、非置換であるか、又は1個若しくは複数のR25基で置換される)であるか、或いは非置換の、又はハロゲン、(C−C)−アルキル及び(C−C)−ハロアルキルからなる群から選択される1個若しくは複数の基で置換された(C−C)−シクロアルキルであることが好ましい(式中、R21、R22、R23、R24及びR25は下記で定義する通り)。
【0052】
は、フッ素、塩素又は臭素が好ましく、塩素が非常に好ましい。
【0053】
が−CF、−O−CF又は−SFである、式Iの化合物が好ましい。
【0054】
は、−CF又は−OCFが好ましく、Rは、−CFが非常に好ましい。
【0055】
は、水素、(C−C)−アルキル又は(C−C)−ハロアルキルが好ましい。
【0056】
は、下記で定義するように、1個若しくは複数のR25で置換されてもよい、(C−C)−ハロアルキル又は(C−C)−アルキルが好ましい。
【0057】
式Iの5−ビニルアミノピラゾール誘導体であり、
式中、
は、−CN、(C−C)−アルキル、(C−C)−ハロアルキル、ハロゲン又は−CS−NHであり、
は、(C−C)−アルキル又は(C−C)−ハロアルキルであり、
Wは、=N−、=C(ハロゲン)−、=CH−、=C(NR)−であり、
は、−CO−O−(C−C)−アルキル、−CO−O−(C−C)−ハロアルキル、−CO−O−(C−C)−アルケニル、−CO−O−(C−C)−アルキニル、−CO−O−(CH−R21、−(CH−R21、−CO−R22、−(CH−R23又は−SO−R24であるか、或いはRは、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル又は−CO−(C−C)−アルキル(式中、最後に言及した4個の基は、非置換であるか、又は1個若しくは複数のR25基で置換される)であるか、或いはRは、非置換の、又はハロゲン、(C−C)−アルキル及び(C−C)−ハロアルキルからなる群から選択される1個若しくは複数の基で置換された(C−C)−シクロアルキルであり、
は、ハロゲン又は−NR1314であり、
は、−CF、−O−CF又は−SFであり、
は、水素、(C−C)−アルキル、(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル又は−(CH−R21であり、
は、1個若しくは複数のR25で置換されてもよい、(C−C)−ハロアルキル又は(C−C)−アルキルであり、
或いはR及びRは、結合したN原子と共に、環中にO、S及びNから選択される追加のヘテロ原子を含んでもよい5〜7員環の飽和又は不飽和環を形成し、この環は非置換であるか、又はハロゲン、(C−C)−アルキル、(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−アルコキシ及びオキソからなる群から選択される1個若しくは複数の基で置換され、
21は、非置換の、又はハロゲン、(C−C)−アルキル、(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−ハロアルコキシ、−CN、−NO、−OH、−S(O)26及び−NR2728からなる群から選択される1個若しくは複数の基で置換されたフェニルであり、
22は、水素、(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルキル−(C−C)−アルキル、−(CH−R21又は−(CH−R23であり、該基(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキル又は(C−C)−シクロアルキル−(C−C)−アルキルは、1個若しくは複数のR25基で置換されてもよく、
23は、非置換の、又はハロゲン、(C−C)−アルキル、(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−ハロアルコキシ、−NO、−CN、−CO−O−(C−C)−アルキル、−S(O)−R26、−OH及びオキソからなる群から選択される1個若しくは複数の基で置換されたヘテロシクリルであり、
24は、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−ハロアルケニル、(C−C)−アルキニル、(C−C)−ハロアルキニル、−(CH−R21又は−(CH−R23であるか、或いはR24は、非置換の、又はR29からなる群から選択される1個若しくは複数の基で置換された(C−C)−アルキルであり、
25及びR29は、互いに独立に、ハロゲン、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−ハロアルコキシ、(C−C)−アルケニルオキシ、(C−C)−ハロアルケニルオキシ、(C−C)−アルキニルオキシ、(C−C)−ハロアルキニルオキシ、(C−C)−シクロアルキル、−S(O)−R30、−CN、−NO、−OH、−CO−R26、−NR2227、−NR22−COR27、−NR22−SO−R30、−CO−NR2227、−SO−NR2227、−O−(CH−R21、−O−(CH−R23、−O−NR2231又は−CO−O−R26であり、
26は、(C−C)−アルキル又は(C−C)−ハロアルキルであり、
27及びR28は、互いに独立に、1個若しくは複数のR29で置換されてもよい、水素、(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−ハロアルケニル、(C−C)−アルキニル、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルキル−(C−C)−アルキル又は(C−C)−アルキルであるか、或いは
27及びR28は、結合したN原子と共に、環中にO、S及びNから選択される追加のヘテロ原子を含んでもよい5員環又は6員環の飽和又は不飽和環を形成し、前記環は非置換であるか、又はハロゲン、(C−C)−アルキル、(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルキルチオ及びオキソからなる群から選択される1個若しくは複数の基で置換され、
30は、(C−C)−アルキル、(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−ハロアルケニル、(C−C)−アルキニル、(C−C)−シクロアルキル又は(CH−R21であり、
31は、(C−C)−アルキル、(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルキル−(C−C)−アルキル、−(CH−R21又は−(CH−R23であり、
m及びqは、独立に0又は1の場合があり、
n及びpは、独立に0、1又は2の場合があり、
上記の基中、各ヘテロシクリルは独立に、環中に3〜7個の環状原子と、窒素、酸素及び硫黄からなる群から選択される1個、2個又は3個のヘテロ原子とを有するヘテロ環基を有する5−ビニルアミノピラゾール誘導体、
或いはその有害生物防除剤として許容可能な塩が非常に好ましい。
【0058】
式Iの化合物又はその有害生物防除剤として許容可能な塩は、貴重な有害生物防除性を有する。
【0059】
「有害生物防除剤として許容可能な塩」という用語は、そのアニオン又はカチオンが周知であり、有害生物防除に使用する塩形成のために当技術分野で容認された塩を意味する。
【0060】
例えばカルボン酸基などの酸性基を含む式Iの化合物により形成する、塩基との適切な塩には、アルカリ金属(例えば、ナトリウム及びカリウム)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム及びマグネシウム)、アンモニウム、及びアミン(例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、オクチルアミン、モルホリン及びジオクチルメチルアミン)の塩が挙げられる。例えばアミノ基などの塩基性基を含む式Iの化合物により形成する、適切な酸付加塩には、例えば塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩などの無機酸との塩、及び例えば酢酸などの有機酸との塩が挙げられる。
【0061】
「有害生物」という用語は、節足動物有害生物(昆虫及び蛛形類動物を含む)、及び蠕虫(線虫を含む)を意味するものとする。
【0062】
下記の好ましい定義において、記号が特に定義されていないものは、本明細書においてこれまで定義した通りであることを一般に理解すべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0063】
本発明に使用する、式Iの好ましい種類の化合物では、
は、−CNであり、
は、(C−C)−ハロアルキルであり、
Wは、=C(ハロゲン)−であり、
は、1個若しくは複数のR25基で置換されてもよい(C−C)−アルキルであり、
は、ハロゲン又は−NR1314であり、
は、−CFであり、
13は、水素又は(C−C)−アルキルであり、
14は、上記で定義した1個若しくは複数のR25で置換されてもよい、(C−C)−ハロアルキル又は(C−C)−アルキルである。
【0064】
本発明に使用する、式Iの更に好ましい種類の化合物では、
は、−CNであり、
は、−CFであり、
Wは、=C(Cl)−であり、
は、メチルであり、
は、−Clであり、
は、−CFである。
【0065】
一般式Iの化合物は、周知の方法(すなわち、これまでに使用され、又は化学文献において説明されていた方法)を適応又は適合させることにより調製することができる。
【0066】
方法についての以下の説明において、式中の記号が特に定義されていない場合は、それらは本明細書の各記号の最初の定義に従って、「上記の定義による」ものと理解される。
【0067】
本発明の更なる特徴によると、式Iの化合物は、室温又は高温で、ハロゲン化溶媒中で、式II
【化2】

の化合物(式中、R、R、R、R、R、W及び指数nは、上記の定義による)と、酸化クロム/ピリジンとの反応によって調製し得る。
【0068】
他の方法においては、式Iの化合物は、0℃から高温の範囲の温度で、例えば使用する有機溶媒の沸点までの温度で、THF、エーテル、アセトニトリルなどの非プロトン性有機溶媒中で、或いはハロゲン化溶媒中で、式IIIの化合物を、有機又は無機塩基と処理することによっても調製し得る。反応温度は、例えば、0℃〜150℃の範囲である。
【0069】
【化3】

式IIIにおいて、Xはハロゲン原子、或いは他の脱離基、例えばメシレート又はトシレートであり、R、R、R、R、R、W及びnは、上記の定義による。
【0070】
使用する塩基は、一般に、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸塩、或いは第3級アミンなどの有機塩基、例えばトリエチルアミン又はエチルジイソプロピルアミン、或いはピリジン、或いは1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)である。
【0071】
本発明の更なる特徴によると、式Iの化合物(Rは、−CS−NHであり、他の基は、上記の定義による)は、塩基、一般にナトリウムメトキシドなどのアルカリ金属アルコキシドの存在下において、N,N−ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性有機溶媒中で、0℃〜60℃の範囲の温度において、式Iの対応する化合物(Rは、CNである)と、ビス(トリアルキルシリル)スルフィド、好ましくはビス(トリメチルシリル)スルフィドとの反応により調製し得る。この手順は、一般にLin, Ku及びShiaoによりSynthesis 1219 (1992)に記述されている。
【0072】
本発明の更なる特徴によると、式Iの化合物(Rは、−CNであり、nは、1又は2であり、他の基は上記の定義による)は、式Iの対応する化合物(nは、0又は1である)の酸化により調製し得る。酸化は一般に、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどの有機溶媒中で、0℃から溶媒の還流温度までの温度で、3−クロロ過安息香酸などの過酸を使用して行われる。
【0073】
式IIの中間体は、式IV
【化4】

の化合物(式中、R、R、R、R、W及び指数nは、上記の定義により、Lは、脱離基、一般にハロゲンであり、好ましくはBrである)と、式V
【化5】

の化合物(式中、Rは、上記の定義による)との反応によって調製し得る。この反応は一般に、塩基、好ましくはリン酸カリウムなどのアルカリ金属リン酸塩の存在下で、アセトニトリルなどの不活性溶媒中で、20℃〜100℃の温度で行われる。
【0074】
中間体IIIは、有機又は無機塩基の存在下で、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルホルムアミドなどの有機溶媒中で、中間体IIと、対応する置換スルホニルクロリドとの反応により調製し得る。反応温度は、−10℃から溶媒の還流温度まで高めることができる。
【0075】
Xがメシレート又はトシレートである、得られた対応する中間体IIIは、室温から高温で、アセトンなどの溶媒中で、更にハロゲン化金属(例えば、Nal又はNaBr)と反応させることが可能であり、Xがハロゲンである中間体IIIが得られる。
【0076】
前述の方法によって合成することのできる式Iの化合物の収集も、並行的に準備してもよく、これは、手作業或いは半自動又は完全自動で行い得る。この場合、例えば、生成物又は中間体の反応、後処理、又は精製の手順を自動化することが可能である。全体として、これは例えば、S.H. DeWittにより"Annual Reports in Combinatorial Chemistry and Molecular Diversity: Automated Synthesis", Volume 1, Verlag Escom 1997, pages 69 to 77に記載されたような手順を意味すると理解すべきである。
【0077】
例えば、Stem Corporation社製(Woodrolfe Road, Tollesbury, Essex, CM9 8SE, England)、又はH+P Labortechnik GmbH社製(Bruckmannring 28, 85764 Oberschleissheim, Germany)、又はRadleys社製(Shirehill, Saffron Walden, Essex, England)によって提供されているような一連の市販の装置を、反応及び後処理の並行操作のために使用し得る。式Iの化合物又はその調製中に得られる中間体を並行精製するために、とりわけクロマトグラフィー装置、例えばISCO Inc.社(4700 Superior Street, Lincoln, NE 68504, USA)の装置を使用し得る。
【0078】
言及した装置の場合、個々の工程ステップが自動化されたモジュール方式操作となるが、手動操作を工程ステップの間に行わなければならない。これは、問題の自動化モジュールが、例えばロボットにより操作される、半統合又は完全統合された自動化システムを使用することにより回避することができる。このような自動化システムは、例えばZymark Corporation社製(Zymark Center, Hopkinton, MA 01748, USA)から入手することができる。
【0079】
本明細書に記載したものに加えて、式Iの化合物は、固相支持法によって部分的に又は完全に調製することができる。この目的のために、その合成、又は当該手順に適合するようになされた合成の各中間ステップ又は全中間ステップが、合成樹脂に結合される。固相支持合成法は、専門家による文献、例えばBarry A.Buninによる"The Combinatorial Index", Academic Press, 1998に包括的に記載されている。
【0080】
固相支持合成法の使用により、文献から周知であり、手操作又は自動で順に行うことのできる一連の手順が可能となる。例えば、IRORI社(11149 North Torrey Pines Road, La Jolla, CA 92037, USA)の製品が使用される「ティーバッグ法」(Houghtenの米国特許第4631211号、Houghten et al., Proc. Natl. Acad. Sci, 1985, 82, 5131-5135)は、半自動化することができる。固相支持平行合成の自動化は、例えば、Argonaut Technologies, Inc社製(887 Industrial Road, San Carlos, CA 94070, USA)又はMultiSynTech GmbH社製(Wullener Feld 4, 58454 Witten, Germany)の装置によって首尾よく行われる。
【0081】
本明細書に記載する方法の準備により、ライブラリーと称される物質コレクションの形態で式Iの化合物が生成される。本発明はまた、少なくとも2種類の式Iの化合物を含むライブラリーに関する。
【0082】
式IIIの化合物(Xは、ハロゲンである)は新規であり、それ自体で本発明の更なる部分を形成する。このような式IIIの化合物(特に、Rは、−CNであり、Xは、ハロゲンである)は、例えば、ネコノミの全身制御において、非常に有用な有害生物防除作用も有する。
【0083】
式IIIの化合物の好ましい種類は、Xがヨウ素である化合物である。
【0084】
式IIIの化合物の非常に好ましい種類は、
は、−CNであり、
及びRは、各々−CFであり、
は、−Clであり、
Xは、臭素、又は非常に好ましくはヨウ素である化合物である。
【0085】
下記の非限定的実施例は、式Iの化合物の調製を例示する。
【0086】
化学物質例
特に断りのない限り、NMRスペクトルは、重水素化クロロホルム中で測定した。
下記の実施例において、特に断りのない限り、量(また、パーセント)は、重量を基準とする。溶媒の割合は、体積を基準とする。
【実施例1】
【0087】
1−[2,6−ジクロロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−[メチル(ビニル)アミノ]−4−[(トリフルオロメチル)スルホニル]−1H−ピラゾール−3−カルボニトリル
ジクロロメタン(10mL)中のピリジン(0.186g、0.23mmol)溶液に、室温で窒素下で、酸化クロム(VI)(0.119g、0.12mmol)をゆっくりと加えた。得られた混合物を、室温で15分間撹拌した後、1−[2,6−ジクロロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−[(2−ヒドロキシエチル)(メチル)アミノ]−4−[(トリフルオロメチル)スルホニル]−1H−ピラゾール−3−カルボニトリル(0.200g、0.4mmol)を加えた。反応混合物を、室温で更に2時間撹拌した。次いで濃縮乾燥した後、ジエチルエーテルで希釈した。次いで、この混合物をシリカゲルで濾過した後、濃縮し、薄い色のオイル(0.04g、0.1mmol)を得た。19F NMR:−64.37、−80.74。
【0088】
下記の中間体例は、上記の実施例の合成に使用する中間体の調製を例示する。
【0089】
中間体例1
1−[2,6−ジクロロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−[(2−ヒドロキシエチル)(メチル)アミノ]−4−[(トリフルオロメチル)スルホニル]−1H−ピラゾール−3−カルボニトリル
微粉状の炭酸カリウム(7.29g、52.2mmol)を、乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(85ml)中の5−ブロモ−1−(2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−3−シアノ−4−トリフルオロメチルスルホニルピラゾール(10.00g、19.3mmol)溶液に加え、20℃で1時間撹拌した。次いで、2−(メチルアミノ)エタノール(3.11ml、38.7mmol)を加え、20℃で2時間撹拌を続けた。得られた混合物を、飽和塩化アンモニウム溶液に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、有機物層を水及びブラインで洗浄し、乾燥し(硫酸ナトリウム)、濃縮し、ヘキサン及び酢酸エチル(2:1)による溶出を行うカラムクロマトグラフィーで精製し、1−(2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−3−シアノ−5−[N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチルアミノ]−4−トリフルオロメチルスルホニルピラゾールを、白色微粉(5.65g、収率57%)として得た。19F−NMR:−63.7、−78.4。
【0090】
中間体例2
1−[2,6−ジクロロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−[(2−ヨードエチル)(メチル)アミノ]−4−[(トリフルオロメチル)スルホニル]−1H−ピラゾール−3−カルボニトリル
テトラヒドロフラン(15mL)中の1−[2,6−ジクロロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−[(ヒドロキシエチル)(メチル)アミノ]−4−[(トリフルオロメチル)スルホニル]−1H−ピラゾール−3−カルボニトリル(0.206g、0.4mmol)溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.068g、0.5mmol)及び4−ジメチルアミノピリジン(0.012g、0.1mmol)を加えた。得られた溶液を室温で10分間撹拌し、次いで塩化メタンスルホニル(0.052g、0.4mmol)を加えた。45℃で1.5時間撹拌した後、得られた混合物を、1.75時間加熱還流させた。次いで冷却し、フッ化メタンスルホニル(31.2μL、0.5mmol)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.068g、0.5mmol)を加えた。次いで得られた混合物を、再び1時間加熱還流した。次いで冷却し、飽和塩化アンモニウム及び酢酸エチルに注いだ。層を分離し、有機物層を水及びブラインで洗浄し、乾燥(NaSO)、濃縮し、透明オイル(0.25g)を得、それを下記の操作に直接使用した。
【0091】
テトラヒドロフラン(15mL)中の上記の透明オイルに、ヨウ化ナトリウム(0.064g、0.4mmol)を加えた。得られた混合物を、5時間加熱還流した後、冷却した。次いで飽和塩化アンモニウム及び酢酸エチルに注いだ。層を分離し、有機層を水及びブラインで洗浄し、乾燥(NaSO)、濃縮し、オレンジ色のオイルを得た。ヘプタン/酢酸エチル(9/1〜4/1)により溶出を行うシリカゲルカラムによるクロマトフラフィー精製により、オレンジ色のオイル(27.6mg、0.044mmol)を得た。19F NMR:−63.76、−78.52。
【0092】
表1〜5に示す下記の好ましい化合物も、本発明の一部を形成するものであり、前述の実施例1又は前記の一般法に従って、又はそれと類似の方法で調製したか、又は調製し得るものである。下付き数字が省略されている場合、例えばCH2は、CHを意味する。
【0093】
表中、Meはメチル、Etはエチル、Prはn−プロピル、i−Prはイソプロピル、t−Buは第三級ブチル、OMeはメトキシ、OEtはエトキシ、Phはフェニル、CO−(4−ClPh)は4−クロロベンゾイル、COO−CH2−(4−OMePh)は4−メトキシベンジルオキシカルボニルを意味する。
【0094】
19F−NMRスペクトルの変化値は、ppmで表す。
【0095】
化合物番号は、参照するためのみに付与する。
【0096】
表1:式Iの化合物(式中、置換基は以下の意味を有する。Rは、−CN、Rは、−CF、Rは、−Cl、Wは、=C(Cl)−。)
【0097】
【表1】

【0098】
表2:式(I)の化合物(式中、置換基は以下の意味を有する。Rは、−CN、Rは、−CClF、Rは、−Cl、Wは、=C(Cl)−。)
【0099】
【表2】

【0100】
表3:式Iの化合物(式中、置換基は以下の意味を有する。Rは、−CN、Rは、−CF、Rは、−Cl、Wは、=C(NHEt)−。)
【0101】
【表3】

【0102】
表4:式Iの化合物(式中、置換基は以下の意味を有する。Rは、−CN、Rは、−CF、Rは、−Cl、Wは、=N−。)
【0103】
【表4】

【0104】
表5:式Iの化合物(式中、置換基は以下の意味を有する。Rは、−CN、Rは、−CF、Rは、−Cl、Wは、=C(N(Me))−。)
【0105】
【表5】

【0106】
本発明の更なる特徴によると、式Iの化合物又はその塩の有効量をある場所へ施用することを含む、その場所における有害生物防除のための方法が提供される。この目的のために、前記化合物は通常、例えば以下に記載のように、有害生物防除組成物の形態で(すなわち、有害生物防除組成物中での使用に適切な、相溶性の希釈剤又は担体及び/又は界面活性剤と共に)使用される。
【0107】
以下で使用される「本発明の化合物」という用語は、上記の定義による式Iの5−(1−ビニル)アミノピラゾール及びその有害生物防除剤として許容可能な塩、並びに/又は上記の定義による式IIIの化合物及びその有害生物防除剤として許容可能な塩を含む。
【0108】
上記の定義による本発明の一態様は、ある場所における有害生物防除のための方法である。この場所は、例えば、有害生物そのもの、有害生物が生息し又は摂食する場所(植物、野原、森林、果樹園、水路、土壌、植物製品など)、或いは有害生物による被害を将来受けやすい場所を含む。従って、本発明の化合物は、直接有害生物に、有害生物が生息し又は摂食する場所に、或いは有害生物による被害を将来受けやすい場所に施用し得る。
【0109】
前述の有害生物防除用途から明らかなように、本発明は、節足動物、特に昆虫又はダニ、或いは植物寄生性線虫を含む、いくつかの有害生物種防除のための、有害生物防除作用を有する化合物及び前記化合物の使用法を提供するものである。
【0110】
従って、本発明の化合物は、実用、例えば、農業作物又は園芸作物、林業、獣医学又は家畜飼育、或いは公衆衛生において、有利に使用できる。
【0111】
本発明の化合物は、例えば下記の用途及び下記の有害生物に使用できる。
【0112】
ハムシモドキ幼虫、シロアリ(特に、構造物の保護のため)、ハナバエ幼虫(root maggot)、コメツキムシ幼虫、ネゾウムシ(root weevil)、穿孔性害虫(stalkborer)、ネキリムシ、ネアブラムシ(root aphid)、ウジなどの土壌昆虫防除用途。
【0113】
これらは、ネコブセンチュウ、シストセンチュウ、オオハリセンチュウ、ネグサレセンチュウ、茎若しくは球根センチュウなどの植物病原性線虫に対する活性、或いはダニに対する活性をもたらすためにも使用できる。
【0114】
この化合物は、例えばハムシモドキ幼虫などの土壌有害生物防除のために、効果的な割合で、作物が植えられている若しくはこれから植えられる土壌中、又は種子に、又は成長している植物の根に、有益に施用され、又は混合される。
【0115】
この化合物は特に、公衆衛生の分野では、多くの昆虫、特にイエバエ、サシバエ、ミズアブ、ノサシバエ、メクラアブ、ウマバエ、ミジ、ヌカカ、ブヨ、カなどの、汚物バエ或いは他の双翅類有害生物の防除に有用である。
【0116】
本発明の化合物は、例えば、穀物若しくはコムギ粉を含めた穀類、ピーナッツ、動物飼料、材木、例えばカーペット、繊維製品などの家庭用品などの貯蔵製品の保護において、節足動物、特にゾウムシを含めた甲虫、ガ、又はダニ、例えばコナマダラメイガ属(コナマダラメイガ)、ヒメマルカツオブシムシ属(ヒメマルカツオブシムシ)、コクヌストモドキ属(コクヌストモドキ)、コクゾウムシ属(グラナリアコクゾウムシ)又はコナダニ属(コナダニ)の攻撃に対して有用である。有害生物が発生した家庭内又は産業用施設における、ゴキブリ、アリ、シロアリ、又は同様の節足動物有害生物の防除用、或いは水路、井戸、貯水池、又は他の流水若しくは貯留水におけるボウフラの防除において。例えば、ヤマトシロアリ属、ヘテロテルムス属(Heterotermes spp.)、イエシロアリ属などのシロアリによる建物への攻撃防止における、基礎、構造又は土壌処理のために。
【0117】
農業においては、鱗翅類(チョウ及びガ)、例えば、オオタバコガ、ヘリオシス・アルミゲラ種(Heliothis armigera)、ヘリオシス・ジー種(Heliothis zea)などのヘリオシス(Heliothis)属の成虫、幼虫及び卵に対して。甲虫類(甲虫)、例えば、イチゴハナゾウムシ属、例えば、メキシコワタノミゾウムシ、コロラドハムシ、ハムシモドキ幼虫などの成虫及び幼虫に対して。異翅類(半翅類及び同翅類)用、例えばキジラミ類、ベミシア(Bemisia)属、トリアレウロデス(Trialeurodes)属、ワタアブラムシ属、マイザス(Myzus)属、メゴウラ・ビシー種(Megoura viciae)、ネアブラムシ属、ツマグロヨコバイ属(ツマグロヨコバイ)、ニラパルバータ(Nilaparvata)属などに対して。
【0118】
例えば、イエバエ属などの双翅類に対して。ネギアザミウマなどの総翅類に対して。トノサマバッタ属、シストセルカ(Schistocerca)属などの直翅類(バッタ及びコオロギ)、例えば、カマドコオロギ属及びアチェタ(Acheta)属、例えば、トウヨウゴキブリ、ワモンゴキブリ、チャバネゴキブリ、トノサマバッタ、サバクトビバッタに対して。例えば、ワモンゴキブリ属、ブラテラ(Blatella)属(ゴキブリ)などのトビムシ目に対して。
【0119】
例えば、ナミハダニ属、パノニカス(Panonychus)属など農業において重要であるダニ目(ダニ)などの節足動物に対して。
【0120】
直接的に、或いは植物の細菌性疾患、ウイルス性疾患、マイコプラズマ疾患又は真菌病を蔓延させることによって、農業、林業又は園芸において重要な植物又は木を冒す線虫に対して。例えば、キタネコブセンチュウ属(例えば、サツマイモネコブセンチュウ)などのネコブセンチュウなど。
【0121】
獣医学又は家畜飼育の分野、或いは公衆衛生の維持においては、脊椎動物、特に温血脊椎動物、例えば家畜、例えばウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ブタ、家禽、イヌ、ネコなどの、体内外に寄生する節足動物に対して。その例には、ダニ目、その中のマダニ、例えば、ヒメダニ科、例えば、ヒメダニ属及びオルニソドロス(Ornithodorus)属(例えば、オルニソドロス・モウバタ種(Ornithodorus moubata))を含めたヒメダニ;ロクソディダエ(lxodidae)属を含めたカタダニ、例えばウシマダニ属、例えばオウシマダニ、コイタマダニ属、例えばリピセファルス・アペンディカラタス種(Rhipicephalus appendiculatus)及びクリイロコイタマダニ;ダニ(例えば、ダマリニア属);ノミ(例えば、ネコノミ、イヌノミなどのイヌノミ属);シラミ、例えばニワトリハジラミ属;双翅類(例えば、ヤブカ属、ハマダラカ属、イエバエ属、ヒフバエ属);半翅類;網翅類(例えば、ゴキブリ属、ブラテラ(Blatella)属);膜翅類などが挙げられる。例えば毛様線虫科に属する寄生性線虫によって引き起こされる消化管への侵入に対して。
【0122】
本発明の好ましい態様において、式Iの化合物又はその塩若しくは組成物は、動物寄生生物防除のために用いられる。処置される動物は、イヌ、ネコなどの家庭内のペットである動物が好ましい。
【0123】
本発明の更なる態様において、式Iの化合物又はその塩若しくは組成物は、動物薬の調製のために使用される。
【0124】
従って、本発明の更なる特徴は、有害生物防除のための、式Iの化合物又はその塩又はその組成物の使用に関する。
【0125】
節足動物、特に昆虫若しくはダニ、又は蠕虫、特に植物の線虫有害生物、の防除のための実用における1つの方法は、例えば、植物又は植物が育つ培地に、本発明の化合物の有効量を施用することを含む。このような方法のために、本発明の化合物は一般に、処理する場所1ヘクタール当たり活性化合物を約2g〜約1kgの範囲の効果的な割合で、節足動物又は線虫の発生を防除しようとする場所に施用される。理想的条件下では、防除しようとする有害生物によって、この割合を下げても適切な保護が実現し得る。他方、悪天候、有害生物の耐性、又は他の要因によって、有効成分の割合を高める必要があり得る。最適な割合は、通常いくつかの要因、例えば、防除しようとする有害生物の種類、被害植物の種類、成長段階、条間隔など、或いは施用方法にもよる。活性化合物の効果的な割合の範囲は、約10g/ha〜約400g/haが好ましく、約50g/ha〜約200g/haが更に好ましい。
【0126】
有害生物が土壌介在性である場合、配合組成物中の活性化合物は、一般に任意の都合のよい方法で処理する領域にわたって均等に分布し(すなわち、例えば全面処理又は帯状処理)、約10g ai/ha〜約400g ai/ha、好ましくは約50g ai/ha〜約200g ai/ha(「ai」は、有効成分を意味する)の割合で施用する。苗根浸漬又は植物への点滴潅漑として施用する場合は、溶液又は懸濁液は、約0.075〜約1000mg ai/l、好ましくは約25〜約200mg ai/lを含有する。所望であれば、野原に若しくは作物栽培領域全体に、又は攻撃から保護しようとする種子若しくは植物に近接して、施用し得る。本発明の化合物は、その領域にわたって水と共に散布することによって土壌中に洗い流すことができ、又は降雨という自然作用にまかせることができる。配合化合物は、施用中又は施用後に、所望であれば土壌中に機械的に、例えばすきや円板すきで耕すことにより、或いはドラグチェーンの使用により分布させることができる。植え付け前、植え付け中、植え付け後の発芽前、又は発芽後に、施用を行うことができる。
【0127】
本発明の化合物及びこの化合物を用いて有害生物を防除する方法は、畑作物、飼料作物、プランテーション作物、温室作物、果樹園作物又はブドウ園作物、観葉植物、農園木又は森林の保護において特に価値があり、例えば、穀類(コムギ又はコメなど)、綿、野菜(トウガラシなど)、農作物(テンサイ、ダイズ又はアブラナなど)、牧場用作物又は飼料作物(トウモロコシ又はモロコシなど)、(石果若しくは核果、柑橘類などの)果樹園又は木立、観賞植物、温室、庭園若しくは公園内の花卉又は野菜又は低木、或いは森林、栽培農園若しくは養樹場における森林樹(落葉樹及び常緑樹)が挙げられる。
【0128】
これらは、例えば、ハバチ、甲虫、シロアリなどの攻撃からの材木(立ち木、伐採木、加工用材、貯蔵木材又は構造木材)の保護にも価値がある。これらは、ガ、甲虫、ダニ又はグラナリアコクゾウムシの攻撃からの、丸ごと、粉砕して又は製品に混合した、穀物、果物、木の実、スパイス、タバコなどの貯蔵製品の保護に用いられる。貯蔵した肉、魚又は穀物が、甲虫、ダニ又はハエからの攻撃から保護されるのと同様に、自然状態又は加工形態の皮、毛、羊毛、羽毛などの貯蔵畜産物(例えば、カーペット又は織物として)も、ガ又は甲虫の攻撃から保護される。
【0129】
更に、本発明の化合物及びその使用方法は、例えば前述したような家畜に有害で、又は蔓延し、又は疾患の媒介動物として活動する節足動物又は蠕虫の防除に特に価値があり、特にマダニ、ダニ、シラミ、ノミ、ミジ、又は吸血性、有害若しくはハエ蛆病原性のハエの防除に特に価値がある。本発明の化合物は、宿主の家畜中に存在し、皮膚中若しくは皮膚上で採餌し、又は動物の血液を吸う、節足動物若しくは蠕虫の防除に特に有用であり、この目的のために、これらは経口的、非経口的、経皮的又は局所的に投与できる。
【0130】
育成中の作物、若しくは作物の育成場所に施用するための、又は種子粉衣用として、以下に説明する組成物は一般に、貯蔵製品、家庭用品、所有物又は一般的環境の領域の保護にも使用できる。本発明の化合物の施用の適切な手段としては、下記が挙げられる。
−育成中の作物に対しては、葉面散布(例えば畝間散布)、粉塵、顆粒、霧又は泡として、或いは液体ドレンチ、粉塵、顆粒、煙又は泡による土壌又は根の処理としての微粉化若しくはカプセル化組成物の懸濁液として。作物の種子に対しては、種子粉衣としての施用、例えば液体スラリー又は粉塵として使用。
−節足動物又は蠕虫の寄生を受け、又はその蔓延にさらされている動物に対しては、ある期間にわたって有効成分が節足動物又は蠕虫に対して速効性及び/又は長時間作用性を示す組成物の非経口的、経口的又は局所適用による。そのために、例えば、飼料若しくは適切な経口摂取製剤、食用餌、家畜用岩塩、栄養補助食品、ポアオン(pour−on)製剤、散布液、浴用剤、浸液、シャワー、蒸気噴流、粉塵、グリース、シャンプー、クリーム、ワックス又は家畜自己治療(livestock self−treatment)システムの中に導入される。
−環境一般に対して、又は貯蔵製品、材木、家庭用品或いは家庭又は工業施設を含めた有害生物が潜在する恐れがある特定の場所に対しては、散布液、霧、粉塵、煙、ワックス、ラッカー、顆粒又は餌として、或いは水路、井戸、貯水池又は他の流水又は貯留水へ通ずる細流供給液(tricklefeeds)中に使用。
【0131】
式Iの化合物又はその塩は、経口投与の場合、動物寄生生物防除のために特に有用であり、本発明の更に好ましい態様においては、式Iの化合物又はその塩は、経口適用により動物寄生生物防除用に使用される。
【0132】
式Iの化合物又はその塩は、食前、食中、食後に投与できる。式Iの化合物又はその塩は、担体及び/又は食料と混合できる。
【0133】
式Iの化合物又はその塩は、動物の体重(mg/kg)1キログラム当たり式Iの化合物又はその塩が一般に0.1〜500mg/kgの用量範囲の1用量単位で、動物に経口投与される。
【0134】
式Iの化合物又はその塩で処置される動物、好ましくは家畜の処置頻度は、一般に週約1回〜年約1回、好ましくは約2週間〜3カ月に約1回である。
【0135】
本発明の化合物は、内部寄生虫撲滅剤、及び/又は外部寄生虫撲滅薬、及び/又は内外部寄生虫撲滅薬などの他の殺寄生生物有効物質と共に、有利に投与できる。例えば、このような化合物には、アベルメクチン、ミルベマイシンなどの大環状ラクトン、例えば、イベルメクチン、ピランテル、又はルフェヌロン、メトプレンなどの昆虫成長撹乱剤が挙げられる。
【0136】
本発明の更なる好ましい態様においては、式Iの化合物又はその塩は、1回の経口適用によって動物寄生生物の長期間有効な防除を実現するために使用される。
【0137】
式Iの化合物又はその塩は、周知の遺伝子組換え植物又は今後開発される遺伝子組換え植物の作物中の有害生物を防除するために使用することもできる。一般に、トランスジェニック植物は、特に有利な性質により特徴づけられており、例えば特定の作物保護剤に対する耐性、植物病害に対する耐性、或いは特定の昆虫、又は真菌、細菌、ウイルスなどの微生物などの植物病害の病原体に対する耐性によって特徴づけられている。他の特定の性質は、例えば収穫物質の量、質、貯蔵性、組成及び特定の成分に関する。従って、デンプン含量が増加し、又はデンプンが改質され、又は収穫物質が異なる脂肪酸組成物を有するトランスジェニック植物が知られている。
【0138】
経済的に重要なトランスジェニック作物において、有用な植物及び観葉植物の使用が好ましく、例えば、コムギ、オオムギ、ライムギ、カラスムギ、キビ、コメ、キャッサバ、トウモロコシなどの穀類、或いはテンサイ、綿、ダイズ、アブラナ、ジャガイモ、トマト、エンドウ、他の種類の野菜などの他の作物が挙げられる。
【0139】
トランスジェニック作物、特に昆虫への耐性を有するトランスジェニック作物に使用される場合、他の作物において認められる有害生物に対する効果に加えて、当該トランスジェニック作物への施用に特異的な効果が頻繁に認められており、例えば防除できる有害生物の範囲が変化又は特異的に拡張し、或いは施用に使用し得る施用量が変化する。
【0140】
従って、本発明は、トランスジェニック作物における有害生物防除のための式Iの化合物又はその塩の使用にも関する。
【0141】
本発明の更なる特徴によると、上記の定義による1種類若しくは複数の本発明の化合物を含む有害生物防除組成物が、1種類若しくは複数の相溶性の、有害生物防除剤として許容可能な希釈剤又は担体及び/又は界面活性剤(すなわち、有害生物防除組成物中の使用に適切であり、本発明の化合物と相溶性の、当技術分野で一般に許容される種類の希釈剤又は担体及び/又は界面活性剤)と共に、好ましくは均質に分散して、提供される。
【0142】
実際には、本発明の化合物は、組成物の一部を形成する場合が最も多い。このような組成物は、節足動物、特に昆虫、又は植物寄生性線虫又はダニを防除するために使用することができる。この組成物は、任意の施設又は屋内若しくは屋外の場所における、所望の有害生物への施用に適した、当分野において周知の任意の型であり得る。このような組成物は、1種類若しくは複数の他の相溶性成分と組み合わせて、又は併せて、少なくとも1種類の本発明の化合物を有効成分として含み、このような相溶性成分としては、例えば、使用目的に適合した固体若しくは液体の担体又は希釈剤、補助剤、界面活性剤などがあり、農学的又は医学的に許容されるものである。当分野において周知の任意の方法によって調製し得るこのような組成物も、同様に本発明の一部を形成する。市販の製剤中の本発明の化合物、及びこのような製剤から調製した使用形態における本発明の化合物は、殺虫剤、誘引剤、殺菌剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺真菌剤、成長調節剤、除草剤、毒性緩和剤などの他の作用物質との混合物中に存在し得る。
【0143】
混合物中の副成分としては、下記の化合物が挙げられる。
殺虫剤/殺ダニ剤/殺線虫剤:
1 アセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害剤
1.1 カルバメート(例えばアラニカルブ、アルジカルブ、アルドキシカルブ、アリキシカルブ、アミノカルブ、アザメチホス、ベンダイオカルブ、ベンフラカルブ、ブフェンカルブ、ブタカルブ(butacarb)、ブトカルボキシム、ブトキシカルボキシム、カルバリル、カルボフラン、カルボスルファン、クロエトカルブ、クマホス、シアノフェンホス、シアノホス、ジメチラン、エチオフェンカルブ、フェノブカルブ、フェノチオカルブ、ホルメタネート、フラチオカルブ、イソプロカルブ、メタムソディウム、メチオカルブ、メソミル、メトルカルブ、オキサミル、ピリミカルブ、プロメカルブ、プロポキスル、チオジカルブ、チオファノックス、トリアザメエート、トリメタカルブ、XMC、キシルイルカルブ)
1.2 有機リン酸化合物(例えば、アセフェート、アザメチホス、アジノホス(メチル、エチル)、ブロモホス−エチル、ブロムフェンビンホス(−メチル)、ブタチオホス、カズサホス、カルボヘンチオン、クロロエトキシホス、クロロフェンビンホス、クロロメホス(chloromephos)、クロルピリホス(メチル/エチル)、クマホス、シアノフェンホス、シアノホス、クロロフェンビンホス、デメトン−s−メチル、デメトン−s−メチルスルホン、ジアリホス、ダイアジノン、ジクロフェンチオン、ジクロロボス/DDVP、ジクロトポス、ジメトエート、ジメチルビンホス、ジオキサベンゾホス、ジスルホトン、EPN、エチオン、エトプロホス、エトリムホス、ファンファー、フェナミホス、フェニトロチオン、フェンスルホチオン、フェンチオン、フルピラゾホス、フェノホス、ホルモチオン、ホスメスチラン(fosmethilan)、ホスチアゼート、ヘプテノホス、ヨードフェノホス、イプロベンホス、イサザホス、イソフェンホス、イソプロピルo−サリシレート、イソキサチオン、マラチオン、メカルバム、メタクリホス、メタミドホス、メチダチオン、メビンホス、モノクロトホス、ナレド、オメトエート、オキシデメトンメチル、パラチオン(メチル/エチル)、フェントエート、ホレート、ホサロン、ホスメト、ホスファミドン、ホスホカルブ(phosphocarb)、ホキシム、ピリミホス(メチル/エチル)、プロフェンホス、プロパホス、プルペタンホス、プロチオホス、プロトエート、ピラクロホス、ピリダフェンチオン、ピリダチオン(pyridathion)、キナルホス、セブホス(sebufos)、スルホテップ、スルプロホス、テブピリミホス、テメホス、ターブホス、テトラクロロビンホス、チオメトン、トリアゾホス、トリクロルホン、バミドチオン)
2 電位依存性ナトリウムチャネルのナトリウムチャネルモジュレーター/ブロッカー
2.1 ピレスロイド(例えば、アクリナトリン、アレトリン(d−cis−trans、d−trans)、β−シフルトリン、ビフェントリン、バイオアレスリン、バイオアレスリン−S−シクロペンチル異性体、ビオエタノメトリン(bioethanomethrin)、ビオペルメトリン(biopermethrin)、ビオレスメトリン、クロバポルトリン(chlovaporthrin)、cis−シペルメトリン、cis−レスメトリン、cis−ペルメトリン、クロシトリン(clocythrin)、シクロプロトリン、シフルトリン、シハロトリン、シペルメトリン(α−、β−、θ−、ζ−)、シフェノトリン、DDT、デルタメトリン、エンペントリン(1R異性体)、エスフェンバレレ−ト、エトフェンプロックス、フェンフルトリン、フェンプロパトリン、フェンピリトリン、フェンバレレート、フルブロシトリネート、フルシトリネート、フルフェンプロックス、フルメトリン、フルバリネート、フブフェンプロックス(fubfenprox)、γ−シハロトリン、イミプロトリン、カデトリン、λ−シハロトリン、メトフルトリン、ペルメトリン(cis−、trans−)、フェノトリン(1R−trans異性体)、プラレトリン、プロフルトリン、プロトリフェンブテ(protrifenbute)、ピレスメトリン、レスメトリン、RU15525、シラフルオフェン、タウフルバリネート、テフルトリン、テラレトリン、テトラメトリン(1R異性体)、トラロメトリン、トランスフルトリン、ZXI8901、ピレトリン類(ピレトラム))
2.2 オキサジアジン(例えば、インドキサカルブ)
3 アセチルコリン受容体アゴニスト/アンタゴニスト
3.1 クロロニコチニル/ネオニコチノイド(例えば、アセタミプリド、クロチアニジン、ジノテフラン、イミダクロプリド、ニテンピラム、ニチアジン、チアクロプリド、チアメトキサム)
3.2 ニコチン、ベンスルタップ、カルタップ
4 アセチルコリン受容体モジュレーター
4.1 スピノシン(例えば、スピノサド)
5 GABA制御クロライドチャネルのアンタゴニスト
5.1 有機塩素系シクロジエン(例えば、カンフェクロル、クロルデン、エンドスルファ、γ−HCH、HCH、ヘプタクロル、リンデン、メトキシクロル)
5.2 フィプロール(fiproles)(例えば、アセトプロール、エチプロール、フィプロニル、バニリプロール(vaniliprole))
6 クロライドチャネル活性化剤
6.1 メクチン(例えば、アバメクチン、アベルメクチン、エマメクチン、エマメクチン安息香酸塩、イベルメクチン、ミルベメクチン、ミルベマイシン)
7 幼若ホルモンミミック
(例えば、ジオフェノラン、エポフェノナン、フェノキシカルブ、ヒドロプレン、キノプレン、メトプレン、ピリプロキシフェン、トリプレン)
8 エクジソンアゴニスト/撹乱剤
8.1 ジアシルヒドラジン(例えば、クロマフェノジド、ハロフェノジド、メトキシフェノジド、テブフェノジド)
9 キチン生合成阻害剤
9.1 ベンゾイルウレア(例えば、ビストリフルロン、クロフルアズロン、ジフルベンズロン、フルアズロン、フルシクロクスロン、フルフェノクスロン、ヘキサフルムロン、ルフェヌロン、ノバルロン、ノビフルムロン、ペンフルロン、テフルベンズロン、トリフルムロン)
9.2 ブプロフェジン
9.3 シロマジン
10 酸化的リン酸化阻害剤、ATP撹乱剤
10.1 ジアフェンチウロン
10.2 有機スズ(例えば、アゾシクロチン、シヘキサチン、フェンブタチンオキシド)
11 水素イオン勾配の撹乱による酸化的リン酸化の脱共役剤
11.1 ピロール(例えば、クロルフェナピル(chlorofenapyr))
11.2 ジニトロフェノール(例えば、ビナプアクリル、ジノブトン、ジノカップ、DNOC)
12 サイトI電子伝達阻害剤
12.1 METI(例えば、フェナザキン、フェンピロキシメート、ピリミジフェン、ピリダベン、テブフェンピラド、トルフェンピラド)
12.2 ヒドラメチルノン
12.3 ジコホール
13 サイトII電子伝達阻害剤
13.1 ロテノン
14 サイトIII電子伝達阻害剤
14.1 アセキノシル、フルアクリピリム
15 昆虫消化管膜の微生物撹乱剤
バチルス・チューリンゲンシス株
16 脂肪合成阻害剤
16.1 テトロン酸(例えば、スピロジクロフェン、スピロメシフェン)
16.2 テトラミン酸(例えば、3−(2,5−ジメチルフェニル)−8−メトキシ−2−オキソ−1−アザスピロ[4.5]デカ−3−エン−4−イルエチルカーボネート(別名:カルボン酸、3−(2,5−ジメチルフェニル)−8−メトキシ−2−オキソ−l−アザスピロ[4.5]デカ−3−エン−4−イルエチルエステル、CAS登録番号:382608−10−8)及びカルボン酸、cis−3−(2,5−ジメチルフェニル)−8−メトキシ−2−オキソ−l−アザスピロ[4.5]デカ−3−エン−4−イルエチルエステル(CAS登録番号:203313−25−1))
17 カルボキサミド
(例えば、フロニカミド)
18 オクトパミンアゴニスト
(例えば、アミトラズ)
19 マグネシウム刺激によるATPアーゼ阻害剤
(例えば、プロパルギット)
20 フタルアミド
(例えば、N−[1,1−ジメチル−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−ヨード−N−[2−メチル−4−[1,2,2,2−テトラフルオロ−l−(トリフルオロメチル)エチル]フェニル]−1,2−ベンゼンジカルボキサミド(CAS登録番号:272451−65−7)、フルベンジアミド)
21 ネライストキシン類似物
(例えば、チオシクラムシュウ酸塩、チオスルタップ−ナトリウム)
22 生物学的製剤、ホルモン又はフェロモン
(例えば、アザジラクチン、バチルス属、ボーベリア(Beauveria)属、コドルモン(Codlemone)、メタルヒジウム(Metarrhizium)属、ペシロミセス属、チューリンゲンシン(Thuringiensin)、バーティシリウム(Verticililum)属)
23 不明又は非特異的作用機構の活性化合物
23.1 燻蒸剤(例えば、リン化アルミニウム、臭化メチル、フッ化スルフリル)
23.2 選択的摂食阻害剤(例えば、氷晶石、フロニカミド、ピメトロジン)
23.3 ダニ成長抑制剤(例えば、クロフェンテジン、エトキサゾール、ヘキシチアゾックス)
23.4 アミドフルメト、ベンクロチアズ、ベンゾキシメート、ビフェナゼート、ブロモプロピレート、ブプロフェジン、チノメチオナート、クロルジメホルム、クロロベンジレート、クロロピクリン、クロチアゾベン(clothiazoben)、シクロプレン、シフルメトフェン、ジシクラニル、フェノキサクリム(fenoxacrim)、フェントリファニル(fentrifanil)、フルベンジミン、フルフェネリム、フルテンジン(flutenzin)、ゴシプルアー(gossyplure)、ヒドラメチルノン、ジャポニルアー(japonilure)、メトキアジアゾン、石油、ピペロニルブトキシド、オレイン酸カリウム、ピラフルプロール、ピリダリル、ピリプロール、スルフラミド、テトラジホン、テトラサル、トリアラセン(triarathene)、ベルブチン(verbutin)、
更に、化合物3−メチルフェニルプロピルカーバメート(Tsumacide Z)、化合物3−(5−クロロ−3−ピリジニル)−8−(2,2,2−トリフルオロエチル)−8−アザビシクロ[3.2.1]−オクタン−3−カルボニトリル(CAS登録番号185982−80−3)及び対応する3−endo異性体(CAS登録番号185984−60−5)(参照、国際特許出願公開第96/37494号、国際特許出願公開第98/25923号)、及び有害生物防除作用のある植物抽出エキス、線虫、真菌又はウイルスを含む製剤。
【0144】
殺真菌剤:
1 核酸合成阻害
1.1 ベナラキシル、ベナラキシル−M、ブピリメート、キララキシル(chiralaxyl)、クロジラコン、ジメチリモール、エチリモール、フララキシル、ヒメキサゾール、メタラキシル−M、オフレース、オキサジキシル、オキソリン酸
2 有糸分裂及び細胞分裂阻害:
2.1 ベノミル、カルベンダジム、ジエトフェンカルブ、フベリダゾール、ペンシクロン、チアベンダゾール、チオファネートメチル、ゾキサミド
3 呼吸阻害
3.1 CI:ジフルメトリム
3.2 CII:ボスカリド、カルボキシン、フェンフラム、フルトラニル、フラメトピル、メプロニル、オキシカルボキシン、ペンチオピラド、チフルザミド
3.3 CIII:アゾキシストロビン、シアゾファミド、ジモキシストロビン、エネストロビン(enestrobin)、ファモキサドン、フェナミドン、フルオキサストロビン、クレソキシムメチル、メトミノストロビン、オリサストロビン、ピラクロストロビン、ピコキシストロビン、トリフロキシストロビン
3.4 脱共役剤:ジノカップ、フルアジナム
3.5 ATP生成阻害:フェンチンアセタート、フェンチンクロライド、フェンチンヒドロキシド、シルチオファム
4 AA及び蛋白質生合成阻害
4.1 アンドプリム(andoprim)、ブラストサイジン−S、シプロジニル、カスガマイシン、カスガマイシン塩酸塩一水和物、メパニピリム、ピリメタニル
5 シグナル伝達阻害剤
5.1 フェンピクロニル、フルジオキソニル、キノキシフェン
6 脂質及び膜合成阻害
6.1 クロゾリネート、イプロジオン、プロシミドン、ビンクロゾリン
6.2 ピラゾホス、エディフェンホス、イプロベンホス(IBP)、イソプロチオラン
6.3 トルクロホスメチル、ビフェニル
6.4 アイオドカルブ、プロパモカルブ、プロパモカルブ塩酸塩
7 エルゴステロール生合成阻害
7.1 フェンヘキサミド
7.2 アザコナゾール、ビテルタノール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジクロブトラゾール、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、ジニコナゾール−M、エポキシコナゾール、エタコナゾール、フェンブコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルトリアホール、フルコナゾール、フルコナゾレシス(furconazolecis)、ヘキサコナゾール、イミベンコナゾール、イプコナゾール、メトコナゾール、ミクロブタニル、パクロブトラゾール、ペンコナゾール、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、シメコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリアジメホン、トリアジメノール、トリチコナゾール、ウニコナゾール、ボリコナゾール、イマザリル、硫酸イマザリル、オキスポコナゾール、フェナリモル、フルルプリミドール、ヌアリモール、ピリフェノックス、トリフォリン、ペフラゾエート、プロクロラズ、トリフルミゾール、ビニコナゾール
7.3 アルジモルフ、ドデモルフ、酢酸ドデモルフ、フェンプロピモルフ、トリデモルフ、フェンプロピディン、スピロキサミン
7.4ナフチフィン、ピリブチカルブ、テルビナフィン
8 細胞壁合成阻害
8.1 ベンチアバリカルブ、ビアラホス、ジメトモルフ、フルモルフ、イプロバリカルブ、ポリオキシン、ポリオキソリム、バリダマイシンA
9 メラニン生合成阻害
9.1 カルプロパミド、ジクロシメット、フェノキサニル、フタライド、ピロキロン、トリシクラゾール
10 宿主防御誘発剤(Host defence inducer)
10.1 アシベンゾラル−S−メチル、プロベナゾール、チアジニル
11 多部位
11.1 カプタホール、キャプタン、クロロタロニル;水酸化銅、ナフテン酸銅、塩基性塩化銅、硫酸銅、酸化銅、オキシン銅、ボルドー液などの銅製剤;ジクロフルアニド、ジチアノン、ドジン、ドジン遊離塩基、ファーバム、フルオロホルペット、ホルペット、グアザチン、酢酸グアザチン、イミノクタジン、イミノクタジンアルベシル酸塩、イミノクタジン三酢酸塩、マンコッパー、マンコゼブ、マネブ、メチラム、メチラム亜鉛、プロビネブ、硫黄及び多硫化カルシウム、チラム、トリルフルアニド、ジネブ、ジラムを含めた硫黄製剤
12 不明
12.1 アミブロムドール(amibromdole)、ベンチアゾール、ベトキサジン(bethoxazin)、カプシマイシン(capsimycin)、カルボン、チノメチオナート、クロロピクリン、クフラネブ、シフルフェナミド、シモキサニル、ダゾメット、デバカルブ、ジクロメジン、ジクロロフェン、ジクロラン、ジフェンゾコート、ジフェンゾコートメチルサルフェート、ジフェニルアミン、エタボキサム、フェリムゾン、フルメトバー、フルスルファミド、ホセチルアルミニウム、ホセチルカルシウム、ホセチルナトリウム、フルオピコリド、フルオロイミド、ヘキサクロロベンゼン、8−ヒドロキシキノリン硫酸塩、イルママイシン、メタスルホカルブ、メトラフェノン、メチルイソチオシアネート、ミルジオマイシン、ナタマイシン、ジメチルジチオカルバミン酸ニッケル、ニトロタールイソプロピル、オクチリノン、オキサモカルブ(oxamocarb)、オキシフェンチイン(oxyfenthiin)、ペンタクロロフェノール及び塩、2−フェニルフェノール及び塩、亜リン酸及びその塩、ピペラリン、プロパノジン(propanosine)ナトリウム、プロキナジド、ピロールニトリン、キントーゼン、テクロフタラム、テクナゼン、トリアゾキシド、トリクラミド、ザリラミド及び2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、N−(4−クロロ−2−ニトロフェニル)−N−エチル−4−メチルベンゼンスルホンアミド、2−アミノ−4−メチル−N−フェニル−5−チアゾールカルボキサミド、2−クロロ−N−(2,3−ジヒドロ−1,1,3−トリメチル−1H−インデン−4−イル)−3−ピリジンカルボキサミド、3−[5−(4−クロロフェニル)−2,3−ジメチルイソオキサゾリジン−3−イル]ピリジン、cis−1−(4−クロロフェニル)−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−シクロヘプタノール、メチル1−(2,3−ジヒドロ−2,2−ジメチル−1H−インデン−l−イル)−1H−イミダゾール−5−カルボキシレート、3,4,5−トリクロロ−2,6−ピリジンジカルボニトリル、メチル2−[[[シクロプロピル[(4−メトキシフェニル)イミノ]メチル]チオ]メチル]−α−(メトキシメチレン)ベンゼンアセテート、4−クロロ−α−プロピニルオキシ−N−[2−[3−メトキシ−4−(2−プロピニルオキシ)フェニル]エチル]ベンゼンアセトアミド、(2S)−N−[2−[4−[[3−(4−クロロフェニル)−2−プロピニル]オキシ]−3−メトキシフェニル]エチル]−3−メチル−2−[(メチルスルホニル)アミノ]ブタンアミド、5−クロロ−7−(4−メチルピペリジン−l−イル)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、5−クロロ−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−N−[(1R)−1,2,2トリメチルプロピル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、5−クロロ−N−[(1R)−1,2−ジメチルプロピル]−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、N−[1−(5−ブロモ−3−クロロピリジン−2−イル)エチル]−2,4−ジクロロニコチンアミド、N−(5−ブロモ−3−クロロピリジン−2−イル)メチル−2,4−ジクロロニコチンアミド、2−ブトキシ−6−ヨード−3−プロピルベンゾピラン−4−オン、N−{(Z)−[(シクロプロピルメトキシ)イミノ][6−(ジフルオロメトキシ)−2,3−ジフルオロフェニル]メチル}−2−フェニル−アセトアミド、N−(3−エチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシル)−3−ホルミルアミノ−2−ヒドロキシベンズアミド、2−[[[[1−[3(1フルオロ−2−フェニルエチル)オキシ]フェニル]エチリデン]アミノ]オキシ]メチル]−α−(メトキシイミノ)−N−メチル−αE−ベンゼンアセトアミド、N−{2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]エチル}−2−(トリフルオロメチル)ベンズアミド、N−(3',4'−ジクロロ−5−フルオロビフェニル−2−イル)−3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、1−[(4−メトキシフェノキシ)メチル]−2,2−ジメチルプロピル−1H−イミダゾール−l−カルボン酸、O−[1−[(4−メトキシフェノキシ)メチル]−2,2−ジメチルプロピル]−1H−イミダゾール−1−カルボチオ酸、2−(2−{[6−(3−クロロ−2−メチルフェノキシ)−5−フルオロピリミジン−4−イル]オキシ}フェニル)−2−(メトキシイミノ)−N−メチルアセトアミド
【0145】
殺細菌剤:
ブロノポル、ジクロロフェン、ニトラピリン、ニッケルジメチルジチオカーバメート、カスガマイシン、オクチリノン、フランカルボン酸、オキシテトラサイクリン、プロベナゾール、ストレプトマイシン、テクロフタラム、硫酸銅及び他の銅製剤。
【0146】
組み合わせる上記の成分は、周知の作用物質であり、その多くはCh.R Worthing, S.B. Walker, The Pesticide Manual, 13th Edition, British Crop Protection Council, Farnham 2003に記載されている。
【0147】
本発明に使用される化合物の効果的な使用用量は、例えば、特に駆除する有害生物の性質及びこのような有害生物の作物への発生の程度によって、広範囲な限度内で異なり得る。一般に、本発明の組成物は、通常1種類又は複数の本発明による有効成分を約0.05〜約95%(重量%)、1種類又は複数の固体又は液体担体を約1〜約95%、及び場合により1種類又は複数の界面活性剤などの他の相溶性成分を約0.1〜約50%を含有する。
【0148】
本記述において、「担体」という用途は、例えば、植物、種子又は土壌への施用を容易にするために有効成分と混合する天然若しくは合成の有機又は無機成分を意味する。従って、この担体は一般に、不活性であり、許容可能なもの(例えば、特に処理される植物に対して、農学的に許容可能なもの)でなくてはならない。
【0149】
この担体は、固形物であってもよく、例えば、粘土、天然若しくは合成のケイ酸塩、シリカ、樹脂、ワックス、固形肥料(例えば、アンモニウム塩)、土壌天然鉱物、例えば、カオリン、粘土、タルク、チョーク、石英、アタパルジャイト、モンモリロナイト、ベントナイト、珪藻土など、或いは土壌合成鉱物、例えば、シリカ、アルミナ、特にケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムなどのケイ酸塩が挙げられる。顆粒用の固形担体としては、下記が適切である。方解石、大理石、軽石、海泡石、苦灰石などの粉砕若しくは断片化した天然の岩;無機若しくは有機荒粉の合成顆粒;おがくず、ココナツ殻、トウモロコシ穂軸、トウモロコシの皮、タバコの茎などの有機物質の顆粒;多孔質珪藻土、リン酸三カルシウム、コルク粉又は吸収性カーボンブラック;水溶性ポリマー、樹脂、ワックス;或いは固形肥料。所望であれば、このような固形組成物は、固形の場合は希釈剤にもなり得る1種類若しくは複数の相溶性の湿潤剤、分散剤、乳化剤又は着色料を含有し得る。
【0150】
この担体は、液体であってもよく、例えば、水;アルコール類、特にブタノール又はグリコール及びそれらのエーテル又はエステル、特に酢酸メチルグリコール;ケトン類、特にアセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン又はイソホロン;パラフィン系、芳香族炭化水素などの石油留分、特にキシレン又はアルキルナフタレン;鉱油又は野菜油;脂肪族塩素化炭化水素、特にトリクロロエタン又は塩化メチレン;芳香族塩素化炭化水素、特にクロロベンゼン;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンなどの水溶性若しくは強極性溶媒;液化ガスなど、或いはこれらの混合物が挙げられる。
【0151】
界面活性剤は、イオン性若しくは非イオン性タイプである乳化剤、分散剤又は湿潤剤、或いはこのような界面活性剤の混合物であってもよい。これらには、例えば、ポリアクリル酸塩、リグノスルホン酸塩、フェノールスルホン酸若しくはナフタレンスルホン酸の塩、エチレンオキシドと脂肪アルコール又は脂肪酸又は脂肪エステル又は脂肪アミンとの重縮合物、置換フェノール(特に、アルキルフェノール又はアリールフェノール)、スルホコハク酸エステル塩、タウリン誘導体(特に、アルキルタウレート)、アルコールのリン酸エステル又はエチレンオキシドとフェノールとの重縮合物のリン酸エステル、脂肪酸とポリオールとのエステル、或いは上記化合物のサルフェート、スルホネート又はホスフェート機能的誘導体が挙げられる。有効成分及び/又は不活性担体が、水微溶性又は水不溶性である場合、並びに施用のための組成物担体剤が水である場合、少なくとも1種類の界面活性剤が存在することが、一般に必須である。
【0152】
本発明の組成物は、更に、接着剤、着色剤などの他の添加剤を含有してもよい。粉末、顆粒若しくは格子状(lattices)の、カルボキシメチルセルロース又は天然若しくは合成ポリマー、例えば、アラビアゴム、ポリビニルアルコール又はポリ酢酸ビニルなど、天然リン脂質、例えば、ケファリン又はレシチンなど、或いは合成リン脂質などの接着剤を製剤に使用することができる。着色剤、例えば酸化鉄、酸化チタン、プルシアンブルーなどの無機顔料;アリザリン染料、アゾ色素、金属フタロシアニン染料などの有機染料;或いは鉄、マンガン、ホウ素、銅、コバルト、モリブデン、亜鉛の塩などの微量栄養素などを使用することが可能である。
【0153】
従って、本発明の化合物は一般に、農業に利用するために様々な固体又は液体状の組成物の形態をとる。
【0154】
組成物の使用可能な固体形態としては、散布剤(本発明の化合物の含量が80%までの範囲)、水和剤又は顆粒(水分散性顆粒を含む)があり、特に粒状担体の押出、成形、含浸又は粉末からの造粒により得られたものがある(このような水和剤又は顆粒中の本発明の化合物の含量は、約0.5〜約80%)。1種類若しくは複数の本発明の化合物を含有する、均質又は不均質な固形組成物、例えば、顆粒、ペレット、ブリケット又はカプセルは、一定の期間にわたって貯留水又は流水の処理に使用してもよい。本明細書に記載する水分散性濃縮物の少量又は間欠的な供給によって、同様の効果が得られ得る。
【0155】
液体組成物としては、例えば、水溶液若しくは非水溶液、又は懸濁液(乳剤、乳濁液、流動剤、分散液、又は溶液など)、或いはエアゾールが挙げられる。液体組成物としては、例えば、水溶液散布(少量散布及び超少量散布を含む)又は霧若しくはエアゾールとして施用するときに、液体組成物又は液体組成物形成を意図した組成物の形態としての、乳剤、分散液、乳濁液、流動剤、エアゾール、水和剤(すなわち散布用粉末)、乾燥流動剤又はペーストも特に挙げられる。
【0156】
例えば、乳化性若しくは可溶性濃縮物の形態の液体組成物は、約5〜約80重量%の有効成分を含有することが最も多く、一方、施用可能な状態の乳濁液又は溶液の場合は、約0.01〜約20%の有効成分を含有する。乳化性若しくは可溶性濃縮物は、必要な場合は、溶媒の他に、安定剤、界面活性剤、浸透剤、腐食防止剤、着色剤、接着剤などの適切な添加剤約2〜約50%を含有してもよい。例えば、植物への施用に特に適切な、必要な任意濃度の乳濁液は、このような濃縮物から水で希釈することにより得てもよい。このような組成物は、本発明で使用し得る組成物の範囲に含まれる。乳濁液は、油中水型又は水中油型の形態であってもよく、濃い濃度であってもよい。
【0157】
本発明の液体組成物は、通常の農業用途以外に、例えば、施設、屋外若しくは屋内の貯蔵又は加工領域、容器、装置、貯留水若しくは流水を含めた、節足動物(又は本発明の化合物によって防除される他の有害生物)が発生し、或いは節足動物が発生しやすい基層又は場所を処理するために使用し得る。
【0158】
全てのこのような水性分散液又は乳濁液又は散布混合物は、任意の適切な手段、主に散布によって、一般に1ヘクタール当たり散布混合物約100〜約1,200リットル程度の割合で、例えば作物に施用することができるが、この割合は、必要性又は施用技術によってこれより高くても低くても(例えば、少量又は超少量でも)よい。本発明による化合物又は組成物は、好都合なことに、植物、特に、駆除すべき有害生物がいる根又は葉に施用される。本発明の化合物又は組成物の他の施用方法は、化学溶液潅水、すなわち有効成分を含有する製剤の潅漑水への添加である。この潅漑は、葉面有害生物防除剤についてはスプリンクラー潅漑であってもよく、或いは土壌又は浸透有害生物防除剤については地表潅漑又は地下潅漑とすることもできる。
【0159】
散布により施用することができる濃縮懸濁液は、沈殿しない安定的な液体生成物となるように調製(微粉砕)され、通常約10〜約75重量%の有効成分、約0.5〜約30重量%の界面活性剤、約0.1〜約10重量%のチキソトロープ剤、約0〜約30重量%の消泡剤、腐食防止剤、安定剤、浸透剤、接着剤などの適切な添加剤を含有し、及び、担体としては、水又は有機液体を含有し、この中では有効成分は難溶性又は不溶性である。いくつかの有機固体又は無機塩は、担体中で溶解して、沈殿を防止し、又は水の不凍剤として効果がある場合がある。
【0160】
水和剤(すなわち、散布用粉末)は、約10〜約80重量%の有効成分、約20〜約90重量%の固形担体、約0〜約5重量%の湿潤剤、約3〜約10重量%の分散剤、並びに必要な場合は、約0〜約80重量%の1種類若しくは複数の安定剤及び/又は浸透剤、接着剤、固化防止剤、着色剤などの他の添加剤を含有するように、通常調製される。このような水和剤を得るために、有効成分を、多孔質賦形剤に含浸し得る追加の物質と適切なブレンダー中で完全に混合し、粉砕器又は他の適切なグラインダーを使用して粉砕する。これにより、その水和性及び懸濁性が有益である水和剤が生成する。これらは水中で懸濁し、所望の任意の濃度となり得、特に植物葉への施用に、この懸濁液を非常に有益に使用することができる。
【0161】
「水分散性顆粒(WG)」(水に易分散性である顆粒)は、実質的に水和剤の組成と近い組成を有する。これらは、湿潤方法(微粉化した有効成分を、不活性賦形剤及び少量の水(例えば1〜20重量%)、又は分散剤又は結合剤の水溶液と接触させた後、乾燥及び篩分け)、或いは乾燥方法(成形後に、粉砕及び篩分け)によって、水和剤で説明した製剤の造粒により調製し得る。配合組成物の割合及び濃度は、施用方法又は組成物の性質又はその使用によって変化し得る。一般的に言えば、節足動物又は植物寄生性線虫の有害生物を防除するために施用する組成物は、約0.00001重量%〜約95重量%、特には、約0.0005重量%〜約50重量%の1種類又は複数の本発明の化合物、或いは全有効成分(すなわち、本発明の化合物、並びに節足動物又は植物寄生性線虫に対して毒性のある他の物質、共力薬、微量元素、或いは安定剤)を通常含有する。実際に使用される組成及びその施用割合は、所望の効果を達成するために、農業者、家畜生産者、医師若しくは獣医師、有害生物防除作業者、又は他の当業者によって選択されるであろう。動物、材木、貯蔵製品又は家庭用品に局所施用するための固体若しくは液体組成物は、通常約0.00005重量%〜約90重量%、特には、約0.001重量%〜約10重量%の1種類又は複数の本発明の化合物を含有する。固体若しくは液体組成物の経皮的投与を含め、経口的又は非経口的に動物に投与するために、これらは通常約0.1重量%〜約90重量%の1種類又は複数の本発明の化合物を含有する。薬剤添加飼料は、通常約0.001重量%〜約3重量%の1種類又は複数の本発明の化合物を含有する。試料と混合する濃縮物又は補給剤は、通常約5重量%〜約90重量%、好ましくは約5重量%〜約50重量%の1種類又は複数の本発明の化合物を含有する。家畜用岩塩は、通常約0.1重量%〜約10重量%の1種類若しくは複数の式Iの化合物又はその有害生物防除剤として許容可能な塩を含有する。
【0162】
家畜、物品、施設若しくは屋外領域に施用するための粉塵又は液体組成物は、約0.0001重量%〜約15重量%、特には約0.005重量%〜約2.0重量%の1種類又は複数の本発明の化合物を含有し得る。処理する水中における適切な濃度は、1種類又は複数の本発明の化合物が約0.0001ppm〜約20ppm、特には約0.001ppm〜約5.0ppmであり、栽培漁業においては適切な暴露時間で治療的に使用し得る。食用餌は、約0.01重量%〜約5重量%、好ましくは約0.01重量%〜約1.0重量%の1種類又は複数の本発明の化合物を含有し得る。
【0163】
非経口的、経口的、経皮的、又は他の手段により脊椎動物に投与する場合、本発明の化合物の用量は、脊椎動物の種、歳、又は健康状態、及び節足動物又は蠕虫有害生物の実際又は潜在的な発生の内容及び程度によるであろう。動物の体重1kg当たり約0.1〜約100mg、好ましくは約2.0〜約20.0mgの単回用量、或いは、持続的投薬のためには、1日当たり動物の体重1kg当たり約0.01〜約20.0mg、好ましくは約0.1〜約5.0mgの複数用量が、経口又は非経口投与に一般に適切である。徐放性製剤又は装置を使用することによって、数カ月にわたり必要な各1日用量を混合し、動物に1回に投与できる。
【0164】
下記の組成実施例2A−2Mは、有効成分として、調製例で説明した化合物などの本発明の化合物を含有する、節足動物、特にダニ又は昆虫、或いは植物寄生性線虫に対して使用する組成を例示する。実施例2A−2Mで説明する組成は、各々希釈して、野外での使用に適した濃度の散布可能な組成物とすることができる。下記で例示する組成実施例2A−2Mで使用される成分の一般的な化学的記述(下記の割合は全て重量パーセント)は、以下の通りである。
商品名 化学的記述
Ethylan BCP ノニルフェノールエチレンオキシド縮合物
Soprophor BSU トリスチリルフェノールエチレンオキシド縮合物
Arylan CA ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムの70%w/v溶液
Solvesso 150 軽質C10芳香族溶媒
Arylan S ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
Darvan NO2 ナトリウムリグノスルホネート
Celite PF 合成ケイ酸マグネシウム担体
Sopropon T36 ポリカルボン酸のナトリウム塩
Rhodigel 23 多糖類キサンタンガム
Bentone 38 マグネシウムモンモリロナイトの有機誘導体
Aerosil 極微小の二酸化ケイ素
【実施例2】
【0165】
[実施例2A]
【0166】
有効成分 7%
Ethylan BCP 10%
N−メチルピロリドン 83%
水溶性濃縮物を、以下の組成で調製する:
N−メチルピロリドンの一部に溶解したEthylan BCP溶液に、有効成分を加え、溶解するまで加熱、撹拌する。得られた溶液は、溶媒の残りで総量とする。
[実施例2B]
【0167】
乳剤(EC)を、以下の組成で調製する:
有効成分 25%(最高)
Soprophor BSU 10%
Arylan CA 5%
N−メチルピロリドン 50%
Solvesso 150 10%
最初の3種類の成分を、N−メチルピロリドンで溶解し、次いでこれにSolvesso 150を加え、最終量とする。
[実施例2C]
【0168】
水和剤(WP)を、以下の組成で調製する:
有効成分 40%
Arylan S 2%
Darvan NO2 5%
Celite PF 53%
これらの成分を混合し、ハンマーミルで50ミクロン未満の粒径の粉末となるまで粉砕する。
[実施例2D]
【0169】
水性流動製剤を、以下の組成で調製する:
有効成分 40.00%
Ethylan BCP 1.00%
Sopropon T360 0.20%
エチレングリコール 5.00%
Rhodigel 230 0.15%
水 53.65%
これらの成分を、よく混合し、ビーズミルで3ミクロン未満の平均粒径が得られるまで粉砕する。
[実施例2E]
【0170】
懸濁乳剤を、以下の組成で調製する:
有効成分 30.0%
Ethylan BCP 10.0%
Bentone 38 0.5%
Solvesso 150 59.5%
これらの成分を、よく混合し、ビーズミルで3ミクロン未満の平均粒径が得られるまで粉砕する。
[実施例2F]
【0171】
水分散性顆粒を、以下の組成で調製する:
有効成分 30%
Darvan NO2 15%
Aryian S 8%
Celite PF 47%
これらの成分を、混合し、流体エネルギーミルで超微粉砕し、次いで回転ペレット製造機で水(10%まで)を散布することにより造粒する。得られた顆粒を、流動床乾燥機内で乾燥させ、過剰水分を除去する。
[実施例2G]
【0172】
散布剤を、以下の組成で調製する:
有効成分 1〜10%
滑石粉(超微紛) 99〜90%
これらの成分を、よく混合し、更に必要に応じて粉砕し細粉末とする。この粉末は、例えば、節足動物が発生した、若しくは発生の危険がある、廃棄物集積場、貯蔵製品、家庭用品、動物などの節足動物の発生場所に施用し、経口摂取によって節足動物を防除し得る。節足動物の発生場所への散布剤の適切な散布方法には、自動送風器、手撒き用具(handshakers)又は家畜自己治療装置が挙げられる。
[実施例2H]
【0173】
食用餌を、以下の組成で調製する:
有効成分 0.1〜1.0%
コムギ粉 80%
糖蜜 19.9〜19%
これらの成分を、よく混合し、必要に応じて餌の形態に形成する。この食用餌は、例えば、アリ、バッタ、ゴキブリ、ハエなどの節足動物が発生した、例えば、台所、病院、店舗などの家庭内又は産業用施設、或いは屋外領域のある場所に配置し、経口摂取によって節足動物を防除し得る。
[実施例2I]
【0174】
溶液製剤を、以下の組成で調製する:
有効成分 15%
ジメチルスルホキシド 85%
有効成分を、ジメチルスルホキシド中で溶解し、必要に応じて混合及び/又は過熱する。この溶液は、ポアオン(pour−on)施用として節足動物が発生した家畜に経皮的に施用してもよく、或いは、ポリテトラフルオロエチレン膜(孔径0.22マイクロメーター)を通す濾過による滅菌後に、動物体重100kg当たり溶液1.2〜12mlの施用割合で、非経口的注射剤により施用してもよい。
[実施例2J]
【0175】
水和剤を、以下の組成で調製する:
有効成分 50%
Ethylan BCP 5%
Aerosil 5%
Celite PF 40%
Ethylan BCPを、Aerosilに吸収させ、次いでそれを他の成分と混合し、ハンマーミルで粉砕し、水和剤とする。この水和剤を水により希釈し、活性化合物濃度を0.001重量%〜2重量%としてもよく、例えば双翅類の幼虫などの節足動物、又は植物寄生性線虫の発生場所に散布により施用し、或いは節足動物が発生し、又は感染の危険性がある家畜に、散布又は薬浴、或いは飲料水による経口投与により施用し、節足動物を防除してもよい。
[実施例2K]
【0176】
徐放性ボーラス組成物を、必要により様々な割合の下記の成分(前の組成物で説明したものと同様)を含有した顆粒より形成する:
有効成分
濃度剤
徐放剤
結合剤
よく混合した成分を、顆粒に形成し、それを圧縮して比重が2以上のボーラスとする。これは、反芻動物の家畜に対して反芻胃内に保持されるように経口投与し、長期間にわたって活性化合物の連続徐放を実現し、反芻動物の家畜への節足動物の発生を防除することができる。
[実施例2L]
【0177】
顆粒、ペレット、ブリケットなどの形態の徐放性組成物を、以下の組成で調製することができる:
有効成分 0.5〜25%
ポリ塩化ビニル 75〜99.5%
フタル酸ジオクチル(可塑剤)
これらの成分をブレンドし、次いで溶融押出又は成型により適切な形に形成する。このような組成物は、例えば、貯留水へ添加し、又は家畜に付ける首輪又は耳標に製作し、持続放出により有害生物を防除するために有用である。
[実施例2M]
【0178】
水分散性顆粒を、以下の組成で調製する:
有効成分 85%(最高)
ポリビニルピロリドン 5%
アタパルジャイト粘土 6%
ラウリル硫酸ナトリウム 2%
グリセリン 2%
これらの成分を、水と混合して45%スラリーとし、湿式粉砕し粒径4ミクロンとし、次いで噴霧乾燥し水分を除去する。
【0179】
有害生物防除用の使用法
本発明の化合物を使用した下記の代表的な試験手順を実施し、本発明の化合物の殺虫力及び殺寄生生物力を決定した。
【0180】
方法A:化合物のネコノミに対する浸透性を試験するための検査法
試験容器に、成虫のネコノミ10匹を入れた。ガラスシリンダーの一端をパラフィルムで塞ぎ、試験容器の頂部に置いた。次いで、試験化合物の溶液をウシ血液にピペットで移し、ガラスシリンダーに加えた。処置したネコノミを、この人工的イヌ試験(血液37℃、相対湿度40〜60%;ネコノミ20〜22℃、相対湿度40〜60%)に保持し、施用後24時間後及び48時間後に評価を行った。
【0181】
化合物番号1−1は、1ppmの試験濃度で、少なくとも50%のネコノミを防除した。
【0182】
式IIIの中間体例2は、1ppmの試験濃度で、少なくとも70%のネコノミを防除した。
【0183】
方法B:南部ハムシモドキの検査
施用の2日前に、トウモロコシの種子を、速い発芽を誘発するために温暖条件下で水に浸した。施用の1日前に、南部ハムシモドキの卵を、プラスチック製ペトリ皿中に置いた日本製濾紙の2分の1に移した。その後、発芽したトウモロコシ種子を、濾紙のそばの湿らせたパッドの上に置いた。試験化合物の溶液200マイクロリットル3滴を、ピペットで注意深く卵に落とした。溶液の残りをトウモロコシの上に落とし、次いでペトリ皿を閉めた。ペトリ皿中の処理卵を、人工気象室中に6日間保持した。この化合物の有効性(未処理の対照と比較した死亡した卵及び/又は幼虫の割合)を、施用6日後に双眼顕微鏡を使用して評価した。化合物番号1−1は、10ppmの濃度で少なくとも60%を防除した。
【0184】
方法C:ツマグロヨコバイ(Rice leafhopper)検査
イネの葉を、試験対象の配合調製物の水溶液中に5秒間浸す。溶液を流した後、イネをペトリ皿に置き、ツマグロヨコバイ(rice leafhopper)トビイロウンカ(Nilaparvata lugens)の幼虫約20匹(L3ステージ)を付着させた。ペトリ皿を閉じ、次いで人工気象室中(1日当たり照明16時間、25℃、相対大気湿度40〜60%)に保存する。6日間の保存の後、ヨコバイ(leafhopper)幼虫の死亡率を決定する。化合物番号1−1は、10ppmの濃度で少なくともトビイロウンカの60%を防除した。
【0185】
方法D:クリイロコイタマダニに対する接触活性を試験するための検査方法
試験化合物の溶液を、濾紙に滴下し、乾燥し、濾紙をクリイロコイタマダニ幼虫(L1)20〜30匹を付着させた試験管内に置き、その管をクリップで閉じた。処理したクリイロコイタマダニを、人工気象室(25℃、90%RH)中に保持し、施用後24時間後に未処理の対照と比較して有効率を評価した。
【0186】
化合物1−1は、試験濃度10ppmで少なくとも50%を防除した。
【0187】
方法E:オオタバコガ検査
底に濾紙を敷いて培地約5mlが入っているペトリ皿を調製する。オオタバコガの24時間齢の卵約30個が付着した濾紙を、試験する配合調製物の水溶液中に約5秒間浸し、次いでペトリ皿に置く。更に水溶液200μlを培地に滴下する。ペトリ皿を閉じ、次いで人工気象室中に約25℃で保持する。6日間の保管の後、試料の卵及びこれらから孵化し得る幼虫への効果を決定する。化合物番号1−1は、100ppmの濃度でオオタバコガを少なくとも50%を防除した。
【0188】
方法F:アザミウマ(ミカンキイロアザミウマ)検査
サヤインゲンを茎の根元で切り、水道水で満たしたビンに移す。次いで、その葉を試験する配合調製物の水溶液に5秒間浸す。溶液を流した後、葉にアザミウマの混合種個体群20〜30匹を付着させ、次いで制御環境キャビネット内に約25℃で保管する。7日間の保管の後、試料のアザミウマに対する効果を決定する。化合物番号1−1は、100ppmの濃度でミカンキイロアザミウマを少なくとも70%を防除した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

の5−(ビニルアミノ)ピラゾール誘導体化合物であって、
式中、
Wは、=N−、=CH−、=CR−又は=C(NR)−であり、
は、ハロゲン又はハロアルキルであり、
及びRは、互いに独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アラルキル又はヘテロシクリルアルキルであるか、或いはR又はRの一方は、−CO−R7a、−CO−O−R8a−SO−R7a又は−SO7aであるか、或いはR及びRは、結合したN原子と共に、環中に追加の酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を含んでもよい5〜7員ヘテロ環を形成するか、或いはR及びRは、結合したN原子と共に、イミン基−N=CR7b8b又はイミノエーテル基−N=CR7b(OR8b)を形成し、
7a及びR8aは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アラルキル又はヘテロシクリルアルキルであり、
7bは、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アラルキル又はヘテロシクリルアルキルであり、R8bは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アラルキル又はヘテロシクリルアルキルであり、
該基R、R、R7a、R8a、R7b及びR8bは、互いに独立に、1個若しくは複数の、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、オキソ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アラルキル基又はヘテロシクリルアルキル基で置換されてもよいか、或いはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はヘテロアリール基で置換されてもよいアミノで置換されてもよく、
は、シアノ、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル又は−CS−NHであり、
は、アルキル又はシクロアルキルであり、該基Rは、1個若しくは複数の、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、オキソ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アラルキル基又はヘテロシクリルアルキル基で置換されてもよく、
は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アラルキル、ヘテロシクリルアルキル、−CO−O−R、−CO−R10、−SO−R11、−SO−R12であり、
、R10、R11及びR12は、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アラルキル又はヘテロシクリルアルキルであり、
該基R、R、R10、R11及びR12は、1個若しくは複数の、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、オキソ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基又はアラルキル基で置換されてもよく、
は、ハロゲン又は−NR1314であり、
13及びR14は、互いに独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アラルキル又はヘテロシクリルアルキルであるか、或いはR13及びR14は、結合したN原子と共に、環中に追加の酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を含んでもよい5〜7員ヘテロ環を形成し、該基R13及びR14は、1個若しくは複数の、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、オキソ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アラルキル基又はヘテロシクリルアルキル基で置換されてもよく、
は、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロゲン又は−SFであり、
nは、0、1又は2から選択された整数である
化合物、或いはその有害生物防除剤として許容可能な塩。
【請求項2】
Wが、=N−、=CR−又は=C(NH)−、非常に好ましくは=N−及び=CCl−である、請求項1に記載の式Iの化合物、或いはその有害生物防除剤として許容可能な塩。
【請求項3】
が、塩素又はフッ素である、請求項1に記載の式Iの化合物、或いはその有害生物防除剤として許容可能な塩。
【請求項4】
が、シアノ、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル又は−CS−NHである、請求項1に記載の式Iの化合物、或いはその有害生物防除剤として許容可能な塩。
【請求項5】
が、アルキル又はハロアルキルである、請求項1に記載の式Iの化合物、或いはその有害生物防除剤として許容可能な塩。
【請求項6】
が、−CO−O−(C−C)−アルキル、−CO−O−(C−C)−ハロアルキル、−CO−O−(C−C)−アルケニル、−CO−O−(C−C)−アルキニル、−CO−O−(CH−R21、−(CH−R21、−CO−R22、−(CH−R23又は−SO−R24であるか、或いは(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル又は−CO−(C1−)−アルキル(最後に言及した4個の基は、非置換であるか、又は1個若しくは複数のR25基で置換される)であるか、或いは非置換、又はハロゲン、(C−C)−アルキル及び(C−C)−ハロアルキルからなる群から選択される1個若しくは複数の基で置換された(C−C)−シクロアルキルであり、
21が、非置換の、又はハロゲン、(C−C)−アルキル、(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−ハロアルコキシ、−CN、−NO、−OH、−S(O)26及び−NR2728からなる群から選択される1個若しくは複数の基で置換されたフェニルであり、
22が、水素、(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルキル−(C−C)−アルキル、−(CH−R21又は(CH−R23であり、該基(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキル又は(C−C)−シクロアルキル−(C−C)−アルキルは、1個若しくは複数のR25基で置換されてもよく、
23が、非置換の、又はハロゲン、(C−C)−アルキル、(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−ハロアルコキシ、−NO、−CN、−CO−O−(C−C)−アルキル、−S(O)−R26、−OH及びオキソからなる群から選択される1個若しくは複数の基で置換されたヘテロシクリルであり、
24が、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−ハロアルケニル、(C−C)−アルキニル、(C−C)−ハロアルキニル、−(CH−R21又は−(CH−R23であるか、或いはR24が、非置換の、又はR29からなる群から選択される1個若しくは複数の基で置換された(C−C)−アルキルであり、
25及びR29が、互いに独立に、ハロゲン、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−ハロアルコキシ、(C−C)−アルケニルオキシ、(C−C)−ハロアルケニルオキシ、(C−C)−アルキニルオキシ、(C−C)−ハロアルキニルオキシ、(C−C)−シクロアルキル、−S(O)−R30、−CN、−NO、−OH、−CO−R26、−NR2227、−NR22−COR27、−NR22−SO−R30、−CO−NR2227、−SO−NR2227、−O−(CH−R21、−O−(CH−R23、−O−NR2231又は−CO−O−R26であり、
26が、(C−C)−アルキル又は(C−C)−ハロアルキルであり、
27及びR28が、互いに独立に、1個若しくは複数のR29で置換されてもよい、水素、(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−ハロアルケニル、(C−C)−アルキニル、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルキル−(C−C)−アルキル又は(C−C)−アルキルであるか、或いは
27及びR28が、結合したN原子と共に、環中にO、S及びNから選択される追加のヘテロ原子を含んでもよい5員又は6員の飽和又は不飽和環を形成し、前記環は非置換であるか、又はハロゲン、(C−C)−アルキル、(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルキルチオ及びオキソからなる群から選択される1個若しくは複数の基で置換され、
30が、(C−C)−アルキル、(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−ハロアルケニル、(C−C)−アルキニル、(C−C)−シクロアルキル又は−(CH−R21であり、
31が、(C−C)−アルキル、(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルキル−(C−C)−アルキル、−(CH−R21又は−(CH−R23であり、
m及びqが、互いに独立に、0又は1であり、
n及びpが、互いに独立に、0、1又は2であり、
上記の基中、各ヘテロシクリルが独立に、前記環中に、3〜7個の環状原子と、窒素、酸素及び硫黄からなる群から選択される1個、2個又は3個のヘテロ原子とを有するヘテロ環基である、
請求項1に記載の式Iの化合物、或いはその有害生物防除剤として許容可能な塩。
【請求項7】
が、−NR1314、フッ素又は臭素であり、非常に好ましくは塩素である、請求項1に記載の式Iの化合物、或いはその有害生物防除剤として許容可能な塩。
【請求項8】
が、−CF、−O−CF又は−SFであり、好ましくは−CFである、請求項1に記載の式Iの化合物、或いはその有害生物防除剤として許容可能な塩。
【請求項9】
が、水素、(C−C)−アルキル又は(C−C)−ハロアルキルであり、Rが、請求項6に記載の1個若しくは複数のR25で置換されてもよい、(C−C)−ハロアルキル又は(C−C)−アルキルである、請求項1に記載の式Iの化合物、或いはその有害生物防除剤として許容可能な塩。
【請求項10】
が、CN、(C−C)−アルキル、(C−C)−ハロアルキル、ハロゲン又は−CS−NHであり、
が、(C−C)−アルキル又は(C−C)−ハロアルキルであり、
Wが、=N−、=C(ハロゲン)−、=CH−又は=C(NR)−であり、
が、−CO−O−(C−C)−アルキル、−CO−O−(C−C)−ハロアルキル、−CO−O−(C−C)−アルケニル、−CO−O−(C−C)−アルキニル、−CO−O−(CH−R21、−(CH−R21、−CO−R22、−(CH−R23又は−SO−R24(式中、R21、R22、R23及びR24は請求項6に規定した通り)であるか、或いはRが、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル又は−CO−(C−C)−アルキル(最後に言及した4個の基は、非置換であるか、又は請求項6に規定した1個若しくは複数のR25基で置換される)であるか、或いはRが、非置換の、又はハロゲン、(C−C)−アルキル及び(C−C)−ハロアルキルからなる群から選択される1個若しくは複数の基で置換された(C−C)−シクロアルキルであり、
が、ハロゲンであり、
が、−CF、−O−CF又は−SFであり、
が、水素、(C−C)−アルキル、(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル又は−(CH−R21であり、
が、請求項6に規定した1個若しくは複数のR25で置換されてもよい、(C−C)−ハロアルキル又は(C−C)−アルキルであり、
或いはR及びRが、結合したN原子と共に、環中にO、S及びNから選択される追加のヘテロ原子を含んでもよい5〜7員の飽和又は不飽和環を形成し、前記環は非置換であるか、又はハロゲン、(C−C)−アルキル、(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−アルコキシ及びオキソからなる群から選択される1個若しくは複数の基で置換される、
請求項1に記載の式Iの化合物、或いはその有害生物防除剤として許容可能な塩。
【請求項11】
が、−CNであり、
が、(C−C)−ハロアルキルであり、
Wが、=C(ハロゲン)−であり、
が、1個若しくは複数のR25基で置換されてもよい(C−C)−アルキルであり、
が、ハロゲン又は−NR1314であり、
が、−CFであり、
13が、水素又は(C−C)−アルキルであり、
14が、1個若しくは複数のR25で置換されてもよい、(C−C)−ハロアルキル又は(C−C)−アルキルである、
請求項6に記載の式Iの化合物、或いはその有害生物防除剤として許容可能な塩。
【請求項12】
が、−CNであり、
が、−CFであり、
Wが、=C(Cl)−であり、
が、メチルであり、
が、−Clであり、
が、−CFである、
請求項11に記載の式Iの化合物又は、或いはその有害生物防除剤として許容可能な塩。
【請求項13】
ハロゲン化溶媒中での、式II
【化2】

の化合物(式中、R、R、R、R、R、W及び指数nは、請求項1に規定した通り)と、酸化クロム/ピリジンとの反応を含む、請求項1に記載の式Iの化合物の調製方法。
【請求項14】
非プロトン性有機溶媒中での、式III
【化3】

の化合物(式中、R、R、R、R、R、W及び指数nは、請求項1に規定した通りであり、Xは脱離基、好ましくはハロゲン、メシレート又はトシレートである)と、有機又は無機塩基との反応を含む、請求項1に記載の式Iの化合物の調製方法。
【請求項15】
塩基存在下での、式Iの化合物(Rは、−CNである)と、ビス(トリアルキルシリル)スルフィド、好ましくはビス(トリメチルシリル)スルフィドとの反応を含む、請求項1に記載の式Iの化合物(Rは、−CS−NHであり、R、R、R、R、W及び指数nは、請求項1に規定した通り)の調製方法。
【請求項16】
式Iの化合物(Rは、−CNであり、R、R、R、R及びWは、請求項1に規定した通りであり、指数nは、0又は1である)と、酸化剤との反応を含む、請求項1に記載の式Iの化合物(Rは、−CNであり、R、R、R、R及びWは、請求項1に規定した通りであり、指数nは、1又は2)の調製方法。
【請求項17】
式III
【化4】

の化合物であって、
式中、
Wは、=N−、=CH−、=CR−又は=C(NR)−であり、
は、ハロゲンであり、
及びRは、互いに独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アラルキル又はヘテロシクリルアルキルであるか、或いはR又はRの一方は、−CO−R7a、−CO−O−R8a−SO−R7a又は−SO7aであるか、或いはR及びRは、結合したN原子と共に、環中に追加の酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を含んでもよい5〜7員ヘテロ環を形成するか、或いはR及びRは、結合したN原子と共に、イミン基−N=CR7b8b又はイミノエーテル基−N=CR7b(OR8b)を形成し、
7a及びR8aは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アラルキル又はヘテロシクリルアルキルであり、
7bは、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アラルキル又はヘテロシクリルアルキルであり、R8bは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アラルキル又はヘテロシクリルアルキルであり、
該基R、R、R7a、R8a、R7b及びR8bは、互いに独立に、1個若しくは複数の、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、オキソ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アラルキル基又はヘテロシクリルアルキル基で置換されてもよいか、或いはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はヘテロアリール基で置換されてもよいアミノで置換されてもよく、
は、シアノ、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル又は−CS−NHであり、
は、アルキル又はシクロアルキルであり、該基Rは、1個若しくは複数の、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、オキソ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アラルキル基又はヘテロシクリルアルキル基で置換されてもよく、
は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アラルキル、ヘテロシクリルアルキルであり、
該基Rは、1個若しくは複数の、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、オキソ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基又はアラルキル基で置換されてもよく、
は、ハロゲン又は−NR1314であり、
13及びR14は、互いに独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アラルキル又はヘテロシクリルアルキルであるか、或いはR13及びR14は、結合したN原子と共に、環中に追加の酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を含んでもよい5〜7員ヘテロ環を形成し、該基R13及びR14は、1個若しくは複数の、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、オキソ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アラルキル基又はヘテロシクリルアルキル基で置換されてもよく、
は、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロゲン又は−SFであり、
Xは、ハロゲン原子であり、
nは、0、1又は2から選択された整数である
化合物、或いはその有害生物防除剤として許容可能な塩。
【請求項18】
は、−CNであり、
及びRは、各々−CFであり、
は、−Clであり、
Xは、臭素又はヨウ素である、
請求項17に記載の式IIIの化合物、或いはその有害生物防除剤として許容可能な塩。
【請求項19】
Xがヨウ素である、請求項17に記載の式IIIの化合物、又はその有害生物防除剤として許容可能な塩。
【請求項20】
有効成分として、少なくとも1種類の請求項1に記載の式Iの化合物、又はその有害生物防除剤として許容可能な塩を含む、有害生物防除組成物。
【請求項21】
有効成分と相溶性である、希釈剤及び/又は担体及び/又は界面活性剤を含む、請求項20に記載の有害生物防除組成物。
【請求項22】
動物薬であり、経口投与に適合させた、請求項20に記載の有害生物防除組成物。
【請求項23】
有効成分として、少なくとも1種類の請求項17に記載の式IIIの化合物、又はその有害生物防除剤として許容可能な塩を含む、有害生物防除組成物。
【請求項24】
有効成分と相溶性である、希釈剤及び/又は担体及び/又は界面活性剤を含む、請求項23に記載の有害生物防除組成物。
【請求項25】
動物薬であり、経口投与に適合させた、請求項24に記載の有害生物防除組成物。
【請求項26】
節足動物、特に昆虫若しくはダニ、又は植物寄生性線虫の個体数を制御するための、請求項1に記載の式Iの化合物或いはその有害生物防除剤として許容可能な塩の使用。
【請求項27】
節足動物、特に昆虫若しくはダニ、又は植物寄生性線虫の個体数を制御するための、請求項17に記載の式IIIの化合物或いはその有害生物防除剤として許容可能な塩の使用。
【請求項28】
有害生物防除剤、好ましくは殺虫剤及び/又は殺ダニ剤の調製のための、請求項1に記載の式Iの化合物或いはその有害生物防除剤として許容可能な塩の使用。
【請求項29】
有害生物防除剤、好ましくは殺虫剤及び/又は殺ダニ剤の調製のための、請求項17に記載の式IIIの化合物或いはその有害生物防除剤として許容可能な塩の使用。
【請求項30】
有害生物に対するトランスジェニック植物保護のための、請求項1に記載の式Iの化合物又はその有害生物防除剤として許容可能な塩の使用。
【請求項31】
有害生物に対するトランスジェニック植物保護のための、請求項17に記載の式IIIの化合物又はその有害生物防除剤として許容可能な塩の使用。
【請求項32】
節足動物及び/又は蠕虫防除のための、脊椎動物、好ましくは家畜の処置における、請求項1に記載の式Iの化合物又はその有害生物防除剤として許容可能な塩の使用。
【請求項33】
節足動物及び/又は蠕虫防除のための、脊椎動物、好ましくは家畜の処置における、請求項17に記載の式IIIの化合物又はその有害生物防除剤として許容可能な塩の使用。
【請求項34】
ある場所での有害生物の防除方法であって、請求項1〜12及び17〜19のいずれかに記載の式I並びに/又は式IIIの化合物、或いはその有害生物防除剤として許容可能な塩の有効量をその場所へ施用することを含む方法。


【公表番号】特表2008−519777(P2008−519777A)
【公表日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−540510(P2007−540510)
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【国際出願番号】PCT/EP2005/010403
【国際公開番号】WO2006/050772
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(506429260)バイエルクロップサイエンス エス.エイ. (1)
【Fターム(参考)】