説明

有料道路自動料金所の車両監視装置

【課題】ETCレーンを通過する車両がETC車両か否かを区別して挙動を監視して異常車両を判定する。
【解決手段】ETCレーンを通過するETC車両か否かを判別して車両1に対して注意情報等を表示する路側表示機4とを備えてなる有料道路料金所の車両監視装置11において、路側表示機の表示内容及び車両の背面を撮像可能に撮像装置12を設け、撮像された画像に基づいて速度検出部22により車両の速度を求め、表示内容認識部23により路側表示機の表示の変化を認識してETC車両と非ETC車両を判別し、車両挙動判定部25により非ETC車両の場合に当該車両の速度が設定値以上のときに異常車両と判定し、データ蓄積部24により異常車両のナンバープレート情報を当該車両の画像とともに記憶装置26に格納することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有料道路自動料金所の車両監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有料道路の料金所には、自動料金収受(Electronic Toll Collection:ETC)システムが設置され、専用のETCレーンを車両が通過する際に、料金所に設置されたアンテナと車両に搭載された車載器との間で必要な情報を無線によって交信し、ノンストップで通行料金の課金処理を自動的に行うようになっている。このETCシステムの導入により、有料道路の料金所での渋滞を軽減することができる。
【0003】
しかし、ETCカードを車載器に挿入しないでETCレーンを通過する不正車両、あるいはETCレーンを高速で通過する危険車両が増加しつつあるという問題がある。このような問題を解決するため、ETCレーンの2地点にカメラを設置し、それらのカメラによって撮像した通行車両の画像に基づいて、車両の速度及び車両の前進、後進を判定し、速度オーバーの場合及び車両の走行方向が異なるとき、路側表示器に警告を表示する車両挙動把握システムが提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2007−47875号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、車両を撮像するカメラを少なくともETCレーンの2箇所に設置する必要があり設置コストがかかる。特に、ETCレーンを通過する車両がETC車両か、あるいは非ETC車両かを区別して挙動を監視することについては、考慮されていない。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、ETCレーンを通過する車両がETC車両か否かを区別して挙動を監視して異常車両を判定することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、有料道路料金所のETCレーンを通過する車両の車載器と交信してETC車両と非ETC車両を判別する路側装置と、該路側装置の判別結果に応じて前記車両に対して注意情報を含む情報を表示する路側表示機とを備えてなる有料道路料金所の車両監視装置を対象とする。
【0008】
特に、上記の課題を解決するため、本発明は、前記路側表示機の表示内容及び前記車両の背面を撮像可能に前記ETCレーンの車両進入口側に設けられた撮像装置と、前記撮像装置により異なる時間に撮像された複数の画像に基づいて前記車両の速度を求める速度演算手段と、前記撮像装置により撮像された画像の前記路側表示機の表示の変化に基づいてETC車両と非ETC車両を判別する車両判別手段と、該車両判別手段の判別結果が非ETC車両で、かつ、前記速度演算手段により求めた当該車両の速度が設定値以上のときに当該車両を異常車両と判定する車両挙動判定手段と、該車両挙動判定手段により異常車両と判定されたとき、前記画像に基づいて読み取った当該車両のナンバープレート情報を、当該車両の画像とともに記憶装置に格納するデータ蓄積手段とを備えてなることを特徴とする。
【0009】
一般に、有料道路料金所のETCレーンには、車両の車載器と交信して車載器に装着されたETCカードの識別情報を確認し、必要な料金情報等を読み書きする路側装置が設置されている。したがって、路側装置は、車載器との交信ができないときは、進入車両が非ETC車両(ETCカード未装着のETC車両を含む)であると判別し、交信ができ、かつ必要な料金情報等に問題がないときはETC車両であると判別できる。一方、ETCレーンの路側等には、進入車両に対して情報を表示する路側表示機が設けられ、車両がETCレーンに進入したことを路側装置が検知したとき、路側表示機に「徐行」等の注意情報が表示される。さらに、車両種別の判別の結果、ETC車両であれば例えば「ETC」などの表示に切り替える。また、非ETC車両であれば、改札口において一旦停止させるため、「停止」に表示を切り替えるようになっている。
【0010】
そこで、本発明は、1箇所に設置した撮像装置により、路側表示機の表示内容及び車両の背面を同時に撮像し、路側表示機の表示内容の変化を認識して、ETC車両か非ETC車両かを判別する。また、撮像時間が異なる2つの画像に基づいて当該車両の速度を演算により求めることができるから、非ETC車両で、かつETCレーン内で停止できないと思われる設定値以上の速度で走行する車両を異常車両として判定する。そして、後日、異常車両としての証拠とするために、異常車両と判定されたとき、画像に基づいて読み取った当該車両のナンバープレート情報を、当該車両の画像とともに記憶装置に蓄積する。
【0011】
また、ETC車両であっても、規定の速度以上で走行する車両を異常車両と判定し、出口ゲート損傷などの証拠とするために、画像に基づいて当該車両のナンバープレート情報を読み取って、当該車両の画像とともに記憶装置に蓄積することができる。このようにして、ETCレーンを走行する車両の正常走行と異常走行を自動判別することができる。
【0012】
上記の本発明において、車両判別手段は、撮像装置により撮像された画像の路側表示機の表示内容を識別する表示内容識別手段と、この表示内容識別手段により識別された表示内容の変化に基づいてETC車両と非ETC車両を判別するように構成することができる。
【0013】
この場合において、撮像装置にカラーTVカメラを適用し、表示内容識別手段は、カラー画像から路側表示機の表示部分を切り出し、該切り出した領域の色を判別し、予め設定された色と表示内容との関係に基づいて表示内容を識別する構成とすることができる。すなわち、路側装置は、例えば、車両がETCレーンに進入したのを検知したとき路側表示機の表示内容を「徐行(オレンジの点滅)」にし、進入車両がETC車両のとき表示内容を「徐行(オレンジの常灯)」に切り替えることが行われている。また、進入車両が非ETC車両のときは、例えば、表示内容を「停止(赤)」に切り替えることが行われている。このように、表示内容によって色又は表示態様が異なる場合は、路側表示機の表示部の色を識別するだけで表示内容を識別できるから、複雑な画像処理を行う文字認識等に比べて識別時間を短縮できる。
【0014】
また、色による判別に代えて、表示内容識別手段は、路側表示機に表示される文字の特徴パターンに対応させて形成された特徴点テンプレートを有し、撮像装置により撮像された画像から路側表示機の表示部分を切り出し、その切り出した領域に対して特徴点テンプレートを用いてパターンマッチング処理を行い、パターンマッチング処理の結果に基づいて路側表示機に表示される文字を識別する構成とすることができる。これによれば、路側表示機の表示色が似ている場合においても、複雑な画像処理を行うことなく、路側表示機の表示文字を判別できる。
【0015】
また、データ蓄積手段は、異常車両の画像を静止画又は動画により記憶装置に格納することができる。
【0016】
また、撮像装置は、路側表示機の表示情報及び車両の背面を撮像する第1のTVカメラと、車両のナンバープレートを拡大して撮像する第2のTVカメラとを備えて構成することができる。これによれば、ナンバープレート情報の識別能力を向上させることができる。
【0017】
また、データ蓄積手段は、表示内容識別手段による路側表示機の表示内容の変化を検出した時点を基準として、撮像装置により当該車両の画像を撮像させ、該撮像した画像に基づいて当該車両のナンバープレート情報を読み取って、当該車両の画像とともに記憶装置に格納する構成とすることが好ましい。これによれば、ETCレーンを走行する車両に対して、安定した位置で車両の証拠写真を撮像することができる。また、安定した位置で車両のナンバープレート認識ができるため、ナンバープレート認識正解率を向上することができる。
【0018】
さらに、車両挙動判定手段は、車両判別手段が路側表示機の表示内容が停止を表す表示に変化したときに当該車両が非ETC車両であることを判別し、かつ、速度演算手段により求めた当該車両の速度が設定値以上のときに、撮像装置に指令を送って当該車両がETCレーンを通過完了するまでの証拠動画像を撮像させ、当該車両がETCレーン内で一旦停止しないとき、異常車両と判定する構成とすることが好ましい。これによれば、非ETC車両が料金収受をしないでETCレーンを退出する車両に絞って証拠動画像を残すことができる。
【0019】
また、車両挙動判定手段により異常車両と判定されたとき、記憶装置に格納された当該車両の画像とナンバープレート情報を、通信ネットワークを介して監視室に送信する通信制御手段を有する構成とすることができる。これによれば、異常走行が発生したことを、すばやく監視室に伝達することができる。
【0020】
なお、車両挙動判定手段が、当該車両がETC車両であることを判別したときであっても、速度演算手段により求めた当該車両の速度が設定値以上のときに、撮像装置に指令を送って当該車両がETCレーンを通過完了するまでの証拠動画像を撮像させ、当該車両がETCレーンの出口ゲートを突破したとき、異常車両と判定する構成とすることができる。この場合、記憶装置に格納された当該車両の画像とナンバープレート情報を、通信ネットワークを介して監視室に送信する通信制御手段を有する構成とすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ETCレーンを通過する車両がETC車両か、あるいは非ETC車両かを区別して挙動を監視して、挙動が異常な車両を判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の車両監視装置の一実施形態のブロック構成図である。図2は、有料道路料金所のETCレーンの模式構成図である。
【0023】
図2に示すように、有料道路料金所の路側装置には、ETCレーンに進入する車両1を検出する第1の車両検知器2と、車両検知器2から進行方向に一定の距離離して設けられた第2の車両検知器3と、第2の車両検知器3から進行方向に一定の距離離して設けられた路側表示機4と、ETCアンテナ5とが備えられている。この路側装置は、ETCレーンに進入する車両1の先端が車両検知器2を横切ったタイミングにおいて、車載器6と交信を開始し、車載器6に装着されたETCカードの識別情報を確認し、必要な料金情報等を読み書きするように構成されている。
【0024】
したがって、路側装置は、車載器6と交信ができ、かつ必要な料金情報等に問題がないときはETC車両であると判別する。逆に、路側装置は、車載器6との交信ができないときは、車両1が非ETC車両、もしくはETCカード未装着のETC車両であると判別する。以下、非ETC車両とETCカード未装着のETC車両を総称して非ETC車両という。
【0025】
また、路側装置は、ETCか否かの車両判別結果に応じて、路側表示機4に表示情報を送り、車両1に対して注意情報等の情報を表示するようになっている。例えば、車両1が第1の車両検知器2の位置に達するまでは、図3に例示するように、路側表示機4にオレンジ色の「徐行」を表示して、かつ点滅させる。そして、車両1が第1の車両検知器2の位置に達したときは、路側表示機4にオレンジ色の「徐行」を常時表示に切り替える。そして、このタイミングで、路側装置は、車載器6と交信して、車両1が適正なETC車両か、非ETC車両かを判別する。判別結果が適正なETC車両の場合は、路側表示機4の表示を緑色の「ETC」に切り替えるように構成されている。逆に、判別結果が非ETC車両の場合は、改札口において一旦停止させるため、路側表示機4の表示を赤色の「停止」に切り替えるように構成されている。また、車両1が第2の車両検知器3の位置から退出すると、路側表示機4の表示文字はオレンジ色の「徐行」の点滅に切り替えて、初期状態に戻る。
【0026】
なお、路側表示機4の形状、表示文字(内容)、表示色は、全てのETCレーンにおいて共通となっているわけではないが、本明細書では、路側表示機4の文字、色が変化する場合を例に説明を行う。
【0027】
本実施形態に係る車両監視装置11は、例えば、ETCレーンの路側又は近傍の任意の位置に設置され、撮像装置12により撮像された画像データが入力されるようになっている。撮像装置12は、図1に示すように、第1の車両検知器2と第2の車両検知器3の間に位置させて、路側表示機4の表示内容及び車両1の背面を撮像可能に設置されている。
【0028】
図1を参照して、本実施形態の車両監視装置11及び撮像装置12の構成を説明する。撮像装置12は、図1に示すように、カラーカメラ13とナンバープレート読取カメラ14を備えて構成されている。車両監視装置11は、ナンバープレート読取部21と、速度演算手段である速度検出部22と、車両判別手段として機能する表示内容認識部23と、車両挙動判定部25と、データ蓄積部24と、記憶装置26を有して構成されている。
【0029】
ここで、車両監視装置11の各部の構成を動作とともに説明する。図4に、車両監視装置11における処理手順のフローチャートを示す。
(ステップS1)
表示内容認識部23は、カラーカメラ13により撮像された画像を周期的(例えば、33msec間隔)に取り込み、画像に写っている路側表示機4の表示内容を常時識別する。なお、表示文字認識の開始タイミングは、ナンバープレート読取部21において車両1のナンバープレートを検出したタイミングに合わせることができる。なお、表示内容認識部23が画像に基づいて路側表示機4の表示文字を認識するために、カラーカメラ13の視野内に路側表示機4の表示部が入るように、カラーカメラ13の視野中心を調整する。一方、ナンバープレート読取部21が車両1のナンバープレートを検出するタイミングでは、ナンバープレートは路側表示機4よりも手前に位置するから、ナンバープレート読取カメラ14の視野中心は、カラーカメラ13よりも手前に調整する。
【0030】
路側表示機4の表示文字(内容)は、車両1がETCレーンを走行する過程で、路側装置により「徐行」から「ETC」もしくは「STOP/停止」に切り替えられる。表示内容認識部23における文字認識は、テンプレートを用いた文字認識により行うことができる。すなわち、図6に示すように、路側表示機4の各表示文字28に対して、N×Mに正規化したテンプレート29を作成し、このテンプレート29を用いて証拠画像に撮像されている路側表示機4の表示文字とのパターンマッチング処理を行い、その相関値の高い文字を表示文字と判定する。
【0031】
具体的には、路側表示機4の表示が「徐行」から、「ETC」もしくは「STOP/停止」に変わったことを識別し、前者の場合はETC車両、後者の場合は非ETC車両と判別する。つまり、表示内容認識部23は、ETC車両又は非ETC車両を判別する車両判別手段の機能を有している。
(ステップS2)
ステップS1の認識結果に基づいて、表示内容の変化が検出されたか否か判断し、表示内容が変化していない場合は、ステップS1に戻って処理を繰り返す。
(ステップS3)
ステップS2で、路側表示機4の表示内容の変化が検出された場合は、カラーカメラ13とナンバープレート読取カメラ14により周期的に撮像される画像を蓄積する。
(ステップS4)
ナンバープレート読取部21は、ナンバープレート読取カメラ14により撮像された画像を周期的(例えば、33msec間隔)に取り込み、これに基づいて車両1のナンバープレート情報を読み取る。つまり、ナンバープレート読取カメラ14から取り込んだ画像から車両1の背面を検出して、ナンバープレート情報をテンプレートマッチング法などの文字認識法により読み取る。
【0032】
また、その検出タイミングで、ナンバープレート読取カメラ14の画像を複数枚取り込み、ナンバープレートが撮像されている画像の中から、少なくとも2枚以上の画像を抽出して速度検出部22に送る。
【0033】
速度検出部22は、ナンバープレート読取カメラ14から転送される異なる時間に撮像された複数の画像のナンバープレート座標の変化に基づいて、次式(1)により車両1の速度Vを求めるようになっている。
【0034】
V=K×{(X2−X1)+(Y2−Y1)}0.5/(T2−T1)・・・(1)
式(1)における記号の意味は次のとおりである。
【0035】
K:カメラ座標をワールド座標に変換する補正係数
X1,X2:2つの画像のナンバープレートのX方向の座標
Y1,Y2:2つの画像のナンバープレートのY方向の座標
T1,T2:2つの画像のナンバープレート撮像時刻
T2−T1:対象ナンバープレートの移動時間
(ステップS5)
ステップS2の車両判別結果、車両1が非ETC車両の場合はステップS6に進み、ETC車両の場合はステップS21に進む。
(ステップS6)
車両1が非ETC車両の場合、車両挙動判定部25は、画像上で車両1の挙動を追跡する。
(ステップS7)
車両挙動判定部25は、「STOP/停止」の表示によって、非ETC車両が停止したか否かを判断し、停止した場合はステップS23に進んで、ステップS3で蓄積した画像を破棄して終了する。
(ステップS8)
ステップS7の判断で、車両1が停止しない場合は、速度検出部22で検出された車両1の速度が第1の設定値以上か否か判断する。設定値未満であれば、ステップS23に進んで、ステップS3で蓄積した画像を破棄して終了する。
【0036】
ここで、第1の設定値は、例えば、車両挙動判定部25に車両1の走行速度と路側表示機4の表示内容の認識結果に対応して、図5に示すように、異常判定基準が設けられ、判定基準以上の車両について異常車両と判定する。図5の例は、表示内容認識部23の認識結果が「STOP/停止」の場合、つまり非ETC車両の場合は、速度が第1の設定値である「30km」以上のときに異常車両と判定する。
(ステップS9)
ステップS8の判断で、車両1の速度が第1の設定値以上であれば、当該車両が、出口ゲートから退出したか否かを画像上で判断する。出口ゲートから退出しなかった場合は、ステップS23に進んで、ステップS3で蓄積した画像を破棄して終了する。
(ステップS10)
ステップS9の判断で、非ETC車両である車両1が出口ゲートから退出した場合は、挙動が異常な異常車両であると判定する。
(ステップS11)
ステップS10の判断で異常車両であると判定した場合は、データ蓄積部24は、ナンバープレート読取部21により読み取ったナンバープレート情報、速度検出部22で検出された速度、表示内容認識部23の認識結果、及び車両挙動判定部25の判定結果を、当該車両の画像とともに記憶装置26に格納して、処理を終了する。
(ステップS21)
スッテップS5の判断で、車両1がETC車両の場合であっても、車両挙動判定部25は、画像上で車両1の挙動を追跡する。
(ステップS22)
画像上でETC車両である車両1の挙動を追跡し、速度検出部22で検出された車両1の速度が第2の設定値以上か否か判断する。設定値未満であれば、ステップS23に進んで、ステップS3で蓄積した画像を破棄して終了する。
【0037】
ここで、第2の設定値は、図5に示すように、表示内容認識部23の認識結果が「ETC」の場合、速度が第2の設定値である「60km」以上のときに異常車両と判定する。これは、出口ゲートが開く前に、出口ゲートを突破して破損させるようなETC車両を監視するためである。
【0038】
なお、図4において、ステップS6〜S10の処理、ステップS21〜S23の処理は、車両挙動判定部25により実行される。
【0039】
以上説明したように、本実施形態によれば、1箇所に設置した撮像装置12により、路側表示機4の表示内容及び車両の背面を同時に撮像し、路側表示機4の表示内容の変化に基づいて、ETC車両か非ETC車両かを判別することができる。つまり、路側装置には、何らかの方式でETC車両か非ETC車両かを判別し、路側表示機4に注意情報等を表示しているから、本実施形態の車両監視装置11によれば、路側装置から情報をもらわなくても、ETC車両か非ETC車両かを判別できる。これにより、システムが異なる路側装置にたいして、本実施形態の車両監視装置11を容易に適用することができる。
【0040】
また、ETCレーン内で停止できないと思われる第1の設定値以上の速度で走行する非ETC車両を異常車両として、あるいは、ETC車両であっても第2の設定値以上の速度で走行する場合は、出口ゲートを破損するおそれがあるから、異常車両として判定することができる。つまり、ETCレーンを走行する車両の正常走行と異常走行を自動判別することができる。
【0041】
さらに、異常車両と判定されたとき、画像に基づいて読み取った当該車両のナンバープレート情報を、当該車両の画像とともに記憶装置26に蓄積するようにしているから、後日、異常車両として証拠画像又は動画像とすることができる。
(実施形態2)
実施形態1の表示内容認識部23は、テンプレートを用いた文字認識により路側表示機4の表示文字を認識するものであったが、これによれば、文字認識に時間がかかり、短いETCレーンの走行時間内で車両監視を行えないことが考えられる。
【0042】
そこで、本発明の実施形態2では、路側表示機4に表示される表示文字の色が表示内容に応じて異なることに着目し、表示内容の色変化に基づいて、ETC車両と非ETC車両を短時間で判別するようにしたことを特徴とする。すなわち、図7に示す画像例のように、証拠画像31に写された路側表示機4に重ねて、色認識のための矩形の判定領域32を設ける。そして、判定領域32内の各画素について、3原色のRGB成分をそれぞれ求め、予め設定されている表示内容の色と対比して、最も近い色の設定表示内容を路側表示機4の表示内容として認識する。例えば、前述したように、「徐行」が「オレンジ」で表示され、非ETC車両を表す「STOP/停止」が「赤」で表示され、ETC車両を表す「ETC」が「緑」で表示される。そこで、それらの色の代表値から判定領域32内の各画素のRGB成分の異同の相違度合を算出して、算出値を比較して最も近い判定色を決めることができる。
【0043】
本実施形態によれば、表示内容の色変化は短時間で判定できるから、ETC車両と非ETC車両の判別を短時間(例えば、10msec)でおこなうことができ、短いETCレーンの走行時間内で判別できる。
(実施形態3)
図4のステップS6又はS21の画像上での車両の挙動追跡方法の具体的な実施形態について、図8を参照して説明する。図4のステップS5でETC車両と非ETC車両の判別をした後、車両挙動判定部25は、画像上の車両1の背面にテンプレート33を設定して登録する。そして、図4のステップS6〜S9又はステップS21〜22において、登録したテンプレート33が停止もしくは退出するまで、テンプレート33の動きを追跡する。
(実施形態4)
図9に、本発明の車両監視装置11の他の実施形態のブロック構成図を示す。
【0044】
本実施形態は、図1に記載の車両監視装置11に通信制御部27を設け、その通信制御部27は広域の通信ネットワーク41を介して監視室42に設けられた総合監視装置に通信可能に形成されている。また、通信ネットワーク41には、他のETCレーンに設けられた車両監視装置11が監視室42に設けられた総合監視装置に通信可能になっている。
【0045】
そして、各車両監視装置11の通信制御部27は、車両挙動判定部25により異常車両と判定されて、データ蓄積部24により記憶装置26に格納された異常車両の画像と、ナンバープレート情報を監視室42に送信する。
【0046】
本実施形態によれば、異常走行が発生したことを、すばやく監視室に伝達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の車両監視装置の一実施形態のブロック構成図である。
【図2】本発明の車両監視装置を適用してなるETCレーンの模式構成図である。
【図3】路側表示機の表示内容の一例を示す図である。
【図4】図1実施形態の車両監視装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】異常判定基準の一例を説明する図である。
【図6】テンプレートマッチングによる文字認識の実施形態を説明する図である。
【図7】表示文字の色の変化による文字認識の実施形態を説明する図である。
【図8】テンプレートによる車両追跡法を説明する図である。
【図9】本発明の車両監視装置の他の実施形態のブロック構成図である。
【符号の説明】
【0048】
1 車両
2,3 車両検知器
4 路側表示機
5 アンテナ
11 車両監視装置
12 撮像装置
13 カラーカメラ
14 ナンバープレート読取カメラ
21 ナンバープレート読取部
22 速度検出部
23 表示内容認識部
24 データ蓄積部
25 車両挙動判定部
26 記憶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有料道路料金所のETCレーンを通過する車両の車載器と交信してETC車両と非ETC車両を判別する路側装置と、該路側装置の判別結果に応じて前記車両に対して注意情報を含む情報を表示する路側表示機とを備えてなる有料道路料金所の車両監視装置において、
前記路側表示機の表示内容及び前記車両の背面を撮像可能に前記ETCレーンの車両進入口側に設けられた撮像装置と、前記撮像装置により異なる時間に撮像された複数の画像に基づいて前記車両の速度を求める速度演算手段と、前記撮像装置により撮像された画像の前記路側表示機の表示の変化に基づいてETC車両と非ETC車両を判別する車両判別手段と、該車両判別手段の判別結果が非ETC車両で、かつ、前記速度演算手段により求めた当該車両の速度が設定値以上のときに当該車両を異常車両と判定する車両挙動判定手段と、該車両挙動判定手段により異常車両と判定されたとき、前記画像に基づいて読み取った当該車両のナンバープレート情報を、当該車両の画像とともに記憶装置に格納するデータ蓄積手段とを備えてなることを特徴とする車両監視装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両監視装置において、
前記車両判別手段は、前記撮像装置により撮像された画像の前記路側表示機の表示内容を識別する表示内容識別手段と、該表示内容識別手段により識別された表示内容の変化に基づいてETC車両と非ETC車両を判別することを特徴とする車両監視装置。
【請求項3】
請求項1に記載の車両監視装置において、
前記撮像装置は、前記路側表示機の表示情報及び前記車両の背面を撮像する第1のTVカメラと、前記車両のナンバープレートを拡大して撮像する第2のTVカメラとを備えてなることを特徴とする車両監視装置。
【請求項4】
請求項1に記載の車両監視装置において、
前記データ蓄積手段は、前記異常車両の画像を静止画又は動画により前記記憶装置に格納することを特徴とする車両監視装置。
【請求項5】
請求項2に記載の車両監視装置において、
前記撮像装置は、カラーTVカメラであり、
前記表示内容識別手段は、前記カラーTVカメラにより撮像されたカラー画像から前記路側表示機の表示部分を切り出し、該切り出した領域の色を判別し、予め設定された色と表示内容との関係に基づいて表示内容を識別することを特徴とする車両監視装置。
【請求項6】
請求項2に記載の車両監視装置において、
前記路側表示機は、前記表示内容を文字で表示するものであり、
前記表示内容識別手段は、前記路側表示機に表示される文字の特徴パターンに対応させて形成された特徴点テンプレートを有し、前記撮像装置により撮像された画像から前記路側表示機の表示部分を切り出し、該切り出した領域に対して前記特徴点テンプレートを用いてパターンマッチング処理を行い、該パターンマッチング処理の結果に基づいて前記路側表示機に表示される文字を識別することを特徴とする車両監視装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の車両監視装置において、
前記データ蓄積手段は、前記表示内容識別手段による前記路側表示機の表示内容の変化を検出した時点を基準として、前記撮像装置により当該車両の画像を撮像し、該撮像した画像に基づいて当該車両のナンバープレート情報を読み取って、当該車両の画像とともに前記記憶装置に格納することを特徴とする車両監視装置。
【請求項8】
請求項1に記載の車両監視装置において、
前記車両挙動判定手段は、前記車両判別手段が前記路側表示機の表示内容が停止を表す表示に変化したときに当該車両が非ETC車両であることを判別し、かつ、前記速度演算手段により求めた当該車両の速度が設定値以上のときに、前記撮像装置に指令を送って当該車両がETCレーンを通過完了するまでの証拠動画像を撮像させ、当該車両がETCレーン内で一旦停止しないとき、異常車両と判定することを特徴とする車両監視装置。
【請求項9】
請求項1又は8に記載の車両監視装置において、
前記車両挙動判定手段により異常車両と判定されたとき、前記記憶装置に格納された当該車両の画像と前記ナンバープレート情報を、通信ネットワークを介して監視室に送信する通信制御手段を有することを特徴とする車両監視装置。
【請求項10】
請求項1に記載の車両監視装置において、
前記車両挙動判定手段は、前記車両判別手段が前記路側表示機の表示内容がETC車両であることを表示に変化したときに当該車両がETC車両であることを判別し、かつ、前記速度演算手段により求めた当該車両の速度が設定値以上のときに、前記撮像装置に指令を送って当該車両がETCレーンを通過完了するまでの証拠動画像を撮像させ、当該車両がETCレーンの出口ゲートを突破したとき、異常車両と判定することを特徴とする車両監視装置。
【請求項11】
請求項10に記載の車両監視装置において、
前記車両挙動判定手段により異常車両と判定されたとき、前記記憶装置に格納された当該車両の画像と前記ナンバープレート情報を、通信ネットワークを介して監視室に送信する通信制御手段を有することを特徴とする車両監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−59313(P2009−59313A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−228371(P2007−228371)
【出願日】平成19年9月3日(2007.9.3)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】