説明

有機エレクトロルミネッセンスデバイス用材料

本発明は、特に有機電子デバイスにおける発光分子としての、一般式IからVの金属複合体、一般式IaからVaのリガンド、及び、金属複合体の調製のためのそれらの使用、コーティング、本発明の化合物を含む電子デバイス、及び、本発明の化合物の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般式IからVの遷移金属複合体に関し、特に、有機電子デバイスにおける発光分子として一般式IaからVaのリガンド及び金属複合体の調製のためのそれらの使用、本発明の化合物を含む層及び電子デバイス、及び本発明の化合物の調製方法に関する。
【発明の概要】
【0002】
キレート錯体及び有機金属化合物は、最も広い意味でのエレクトロニクス工業に帰することができる異なる種類の多くの適用において機能的材料として用いられる。有機構成成分に基づく有機エレクトロルミネッセンスデバイス(構造の一般的な記載は、US 4,539,507及びUS 5,151,629を参照)及びそれらの個々の構成成分、有機発光ダイオード(OLED)の場合、既に達成されている成功にもかかわらず、さらなる改善がなおも必要とされている。
【0003】
近年、蛍光の代わりに燐光を示す有機金属複合体がますます検討されている(M. A. Baldo、S. Lamansky、P. E. Burrows、M. E. Thompson、S. R. Forrest、Appl. Phys. Lett.、1999、75、4-6)。理論的なスピン統計学的理由から、有機金属化合物を燐光エミッタとして用いると、エネルギー及びパワー効率の4倍の上昇が可能である。実際的な使用のためにここで述べられるべき主な条件は、特に、長期作動寿命、温度ストレスに対する高い安定性、モバイルへの適用を促進するための低い使用及び作動電圧、及び高い色純度である。
【0004】
それぞれの材料の個々の特異的な弱点以外に、既知の金属複合体の部類は、以下に簡単に記載するような一般的な弱点を有している:
・多くの既知の金属複合体は、熱安定性が低い。真空蒸着では、これは常に有機熱分解産物の遊離をもたらし、少量であってもOLEDの作動寿命を相当に短くする場合がある。
【0005】
・固体中の複合体ユニットの相互作用、特に、白金(II)のようなd金属の平面状の複合体の場合、同様に、ドーピングの程度が約0.1%を超えた場合に、発光層中で複合体ユニットの凝集を引き起こす。これは、現在の従来技術に一致するケースである。この凝集は、励起(光学的又は電気的な)においていわゆるエキシマ又はエキサイプレックスの形成をもたらす。それらの凝集体は、しばしば、統一されていない広い発光バンドを有し、これは、純粋な原色(RGB)の発生を相当に困難にするか、又は完全に不可能にする。一般に、この移行の効率もまた低下する。
【0006】
・さらに、上記のことから発光色がドーピングの程度に高度に依存していることが明らかであり、それは特に大きい製造プラントでは、相当な技術的努力によってのみ正確に制御できるパラメーターである。
【0007】
・現在まで、特に寿命と色座標に関して、品質が高く寿命が長い製品のための要求を満たす青色燐光金属複合体は知られていない。
【0008】
OLED技術において、中心金属が二つの芳香族N原子及び二つのC原子を介して(WO 2004/108857、WO 2005/042550、WO 2005/042444、US 2006/0134461 A1)、又は、二つのフェノールのO原子との組合せにおける二つのイミン様N原子(WO 2004/108857)を介して、又は、二つの芳香族N原子及び二つの塩基性N原子(WO 2004/108857)を介して結合している、10族の遷移金属(Ni、Pd、Pt)の金属複合体が知られている。既知の化合物は、特に、電磁スペクトルの青、赤及び緑の領域におけるエレクトロルミネッセンスを有する。
【0009】
それにもかかわらず、上記の不都合を有さず、好ましくは電磁スペクトルの青、赤及び緑の領域においてエレクトロルミネッセンスを示し、また、必要であれば、発光層として固体の状態で使用可能でもある、さらなる化合物の需要がなお存在する。
【0010】
よって、本発明の目的は、この種の化合物を提供することであった。
【0011】
驚くべきことに、アミン様N原子を含有する下記の複合体が、芳香族C原子と組み合わせても、それらのリガンドを架橋することにより、OLEDにおける燐光エミッタとしての長い作動寿命を達成し、温度ストレスに対する高い安定性と、低い使用及び作動電圧を達成することが見いだされた。
【0012】
上記の目的を達成するため、本発明は、一般式Iの化合物を提供する。
【化1】

【0013】
式Iにおいて用いられている記号及び指数は以下の意味を有する:
Mは、金属又は金属イオンである;
Lは、出現する毎に同じであるか又は異なって、中性の、陽イオン性の、又は陰イオン性のリガンドである;
Xは、出現する毎に同じであるか又は異なって、C又はNである;
Zは、出現する毎に同じであるか又は異なって、N又はPである;
Cyは、出現する毎に同じであるか又は異なって、一以上のラジカルRによって置換され得る、4から60の環原子を有する単環式又は多環式の非芳香環構造であるか、又は、それぞれ一以上のラジカルRによって置換され得る、5から60の環原子を有する単環式又は多環式のアリール又はヘテロアリール基である、但し、Xによって示される原子は、環状の基Cyの構成要素である;
Arは、出現する毎に同じであるか又は異なって、一以上のラジカルRによって置換され得る、5から60の環原子を有する単環式又は多環式のアリール又はヘテロアリール基である、但し、X又はZに結合しているC原子は、基Arの構成要素である;
は、出現する毎に同じであるか又は異なって、以下から成る群から選択される
H、D、F、Cl、Br、I、CN、NO
直鎖のC1−40−アルキル基、C1−40−アルコキシ基又はチオ−C1−40−アルキル基又は分枝の又は環式のC3−40−アルキル基、C3−40−アルコキシ基又はチオ−C3−40−アルコキシ基、
これはそれぞれ、一以上のラジカルRによって置換され得る、
ここで、一以上の隣接しないCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、S又はCONRによって置換され得る、及び、
一以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN又はNOによって置換され得る、
5から60の芳香環原子を有する単環式又は多環式の芳香族の又は複素環式芳香族の環構造、
これは、それぞれ一以上のラジカルRによって置換され得る、
ここで、二つの隣接するRがそれぞれ芳香族の又は複素環式芳香族の環構造を形成する場合、それらの二つの環構造は、単結合又は二価のユニットGによって互いに結合され得る、
5から60の芳香環原子を有するアリールオキシ又はヘテロアリールオキシ基、
これは一以上のラジカルR及びそれらの基の組合せによって置換され得る、
ここで、Rの一つはLに結合して五座配位子又は六座配位子を形成し得る;又は、
ここで、Rの一つはL及び反対のR又はRに結合して、ケージの形の五座配位子又は六座配位子を形成し得る;
又は、
二つの隣接するRは、オキソ基=O、基=NH又は基=NRを共に形成する、又は、
二つの隣接するRは、それらが結合している一つ又は複数の原子と共に、5又は6員の脂肪族又は芳香族の環を形成し、これは一以上のラジカルRによって置換され得る、
ここで、一以上の環CH基は、O、S又はNRによって置換され得る;
は、出現する毎に同じであるか又は異なって、以下から成る群から選択される
非結合電子対、H、D、
直鎖C1−40−アルキル基、C1−40−アルコキシ基又はチオ−C1−40−アルキル基又は分枝の又は環式のC3−40−アルキル基、C3−40−アルコキシ基又はチオ−C3−40−アルコキシ基、
これはそれぞれ、一以上のラジカルRによって置換され得る、
ここで、一以上の隣接しないCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、S又はCONRによって置換され得る、及び、
ここで、一以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN又はNOによって置換され得る、
5から60の環原子を有する単環式又は多環式の芳香族の又は複素環式芳香族の環構造、
これは、それぞれ一以上のラジカルRによって置換され得る、
5から60の芳香環原子を有するアリールオキシ又はヘテロアリールオキシ基、
これは、一以上のラジカルRによって置換され得る、及び、
それらの基の組合せ;又は
ZがNに相当する場合、RはさらにOに相当し得、この場合アミン酸化物が形成される;
は、出現する毎に同じであるか又は異なって、5から30の環原子を有する単環式又は多環式の芳香族の又は複素環式芳香族の環構造であり、一以上のH原子はD、F、Cl、Br、I、CN又はNOによって置換されてよく、ここで、二つの隣接するRがそれぞれ芳香族の又は複素環式芳香族の環構造を形成する場合、それら二つの環構造は、単結合又は二価のユニットGによって互いに結合され得る;
は、出現する毎に同じであるか又は異なって、以下から成る群から選択される
F、Cl、Br、I、CN、
直鎖C1−20−アルキル基又は分枝の又は環式のC3−20−アルキル基、
又は、
二つの隣接するRは、それらが結合している原子と共に、5、6、7又は8員の脂肪族環を形成する、
ここで、一以上の環CH基は、O、S又はNRによって置換され得る;
は、出現する毎に同じであるか又は異なって、以下から成る群から選択される:H、D、それぞれの場合に一以上のH原子がD、F、Cl、Br、I、CN又はNOによって置換され得る、直鎖C1−20−アルキル基又は分枝の又は環式のC3−20−アルキル基、一以上のH原子がD、F、Cl、Br、I、CN又はNOによって置換され得る、5から30の環原子を有する単環式又は多環式の芳香族の又は複素環式芳香族の環構造、ここにおいて、二つの隣接するRがそれぞれ芳香族の又は複素環式芳香族の環構造を形成する場合、それらの二つの環構造は互いに結合され得る、又は、
二つの隣接するRは、それらが結合している原子と共に、5、6、7又は8員の脂肪族環を形成する、
ここにおいて、一以上の環CH基は、O、S又はNHによって置換され得る;
Gは、C(R−、C(R−C(R、C=O、NR、PR、O及びSから成る群から選択される二価のユニットを表す;
nは、出現する毎に同じであるか又は異なって、0又は1である;
mは、複合体の電荷を示し、+4、+3、+2、+1、0、−1、−2、−3又は−4であり得る;
は、任意の望ましい対イオンであり、ここでqはAの電荷を表し、−4、−3、−2、−1、0、+1、+2、+3又は+4であり得る;
pは0、1、2、3又は4である;
sは0又は1であり、ここで、s=0の場合、さらなる基Rも対応するZに結合され、基Rも対応するXに結合される。
【0014】
ここでm、q及びpは、全体の電荷が中性の化合物が形成されるように、即ち、指数pと対イオンの電荷qとの積が、複合体の電荷mに等しくなるように選択される。
【0015】
本発明の範囲内において以下の一般的な定義がさらに用いられる。
【0016】
本発明の目的のために、単環式又は多環式の非芳香環構造は、好ましくは、4から60の環原子を有し、好ましくは5から20の環原子を有し、特に好ましくは5又は6の環原子を有し、3まで、好ましくは2まで、特に好ましくは0、1又は2の、N、O、Sから選択され、好ましくはNであるヘテロ原子を含み得る、脂肪族環構造を意味するように解釈される。本発明に従う例は、1,2−ジアザシクロペンタンであり、及び好ましくは1,3−ジアザシクロペンタンである。
【0017】
本発明の目的のために、アリール基は6から60のC原子を含む;本発明の目的のために、ヘテロアリール基は、1から59のC原子及び少なくとも一つのヘテロ原子を含み、但し、C原子及びヘテロ原子の合計は少なくとも5である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、O及び/又はSから選択される。アリール基又はヘテロアリール基は、ここで、単一の芳香環、即ち、ベンゼン、又は単一の芳香族複素環、例えば、ピリジン、ピリミジン、チオフェンなど、又は縮合したアリール又はヘテロアリール基、例えば、ナフタレン、アントラセン、ピレン、キノリン、イソキノリンなどの何れかを意味するように解釈される。
【0018】
本発明の目的のために、単環式又は多環式の芳香環構造は、好ましくは6から60の炭素原子を有し、好ましくは6から30の炭素原子を有し、特に好ましくは6から12の炭素原子を有する芳香環構造を意味するように解釈される。本発明の目的のために、芳香環構造は、必ずしも芳香族基のみを含むわけではなく、代わりにこれに加えて、複数の芳香族基が例えばC、O、Nなどのような短い非芳香族ユニット(H以外の原子が10%未満)によって連結され得る構造を指すように解釈されるべく意図される。それらの芳香環構造は、単環式又は多環式であってよく、即ち、それらは一つの環(例えばフェニル)又は二つ以上の環を含んでよく、それらは縮合されていてよく(例えばナフチル)、又は共有結合されていてよく(例えばビフェニル)、又は、縮合された環と結合された環の組合せを含んでよい。
【0019】
好ましい芳香環構造は、例えば、ベンゼン、ビフェニル、テルフェニル、ナフタレン、アントラセン、ビナフチル、フェナントレン、ベンズアントラセン、ベンゾフェナントレン、ジヒドロフェナントレン、ピレン、ジヒドロピレン、クリセン、ペリレン(perylene)、テトラセン、ペンタセン、ベンゾピレン、フルオレン及びインデンである。
【0020】
本発明の目的のために、単環式又は多環式の芳香族複素環構造は、好ましくは5から60の環原子を有し、好ましくは5から30の環原子を有し、特に好ましくは5から14の環原子を有する芳香族複素環構造を意味するように解釈される。芳香族複素環構造は、N、O及びSから選択される少なくとも一つのヘテロ原子を含む(残りの原子は炭素である)。芳香族複素環構造は、必ずしも芳香族基又はヘテロ芳香族基のみを含むわけではなく、代わりに加えて、複数の芳香族基又はヘテロ芳香族基が例えばC、O、Nなどのような短い非芳香族ユニット(H以外の原子が10%未満)によって連結され得る構造を指すように解釈されるべく意図される。それらの芳香族複素環構造は、単環式又は多環式であってよく、即ち、それらは、一つの環(例えばピリジル)又は二つ以上の環を含んでよく、それらは、縮合されているか又は共有結合されていてもよく、或いは、縮合された環と結合された環の組合せを含んでよい。
【0021】
好ましい芳香族複素環構造は、例えば、5員環、例えば、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、テトラゾール、フラン、チオフェン、セレノフェン、オキサゾール、イソキサゾール、1,2−チアゾール、1,3−チアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,5−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、6員環、例えば、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,3,5−テトラジン、又は、縮合基、例えば、インドール、イソインドール、インドリジン、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、プリン、ナフチミダゾール(naphthimidazole)、フェナントリミダゾール(phenanthrimidazole)、ピリジミダゾール(pyridimidazole)、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、ベンゾキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロキサゾール、フェナントロキサゾール、イソキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、キノリン、イソキノリン、プテリジン、ベンゾ−5,6−キノリン、ベンゾ−6,7−キノリン、ベンゾ−7,8−キノリン、ベンゾイソキノリン、アクリジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾピリダジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、フェナジン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントリジン、フェナントロリン、チエノ[2,3b]チオフェン、チエノ[3,2b]チオフェン、ジチエノチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ベンゾチアジアゾチオフェン、又はそれらの基の組合せである。特に好ましいものは、イミダゾール、ベンズイミダゾール及びピリジンである。
【0022】
単環式又は多環式の非芳香族の、芳香族の又は複素環式芳香族の環構造、アリール基及びヘテロアリール基は、上記のように一以上の置換基を保有し得る。
【0023】
5から60の芳香環原子を有するアリールオキシ又はヘテロアリールオキシ基は、O原子を介して、上記で定義されたような5から60の環原子を有する単環式又は多環式の芳香族の又は複素環式芳香族の環構造を保有する基を意味するように解釈される。アリールオキシ又はヘテロアリールオキシ基は、同様に、上記で定義されたように、一以上の置換基を保有する。
【0024】
本発明の目的のために、直鎖、分枝の又は環式のC1−20−アルキル基又はC1−40−アルキル基は、それぞれ1から20のC原子又は1から40のC原子を有するアルキル基を意味するように解釈される。環状のアルキル基は、単環式の、二環式の、又は多環式のアルキル基であってよい。個々の−CH−又は−CH−基は、N、NH、O又はSによって置換され得る。好ましいものは、ラジカル メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、2−メチルブチル、n−ペンチル、s−ペンチル、t−ペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、n−へキシル、ネオへキシル、シクロへキシル、n−ヘプチル、シクロヘプチル、n−オクチル、シクロオクチル、2−エチルへキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル及び2,2,2−トリフルオロエチルである。好ましいアルケニル基は、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル及びシクロオクテニルである。好ましいアルキニル基は、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル及びオクチニルである。C−からC40−アルコキシ基又はチオアルコキシ基は、好ましくは、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ又は2−メチルブトキシ,及びそれぞれに対応する硫黄類似体を意味するように解釈される。アルキル基、アルコキシ基及びチオアルキル基は、さらに、上記のような一以上のラジカルRによって置換され得る。
【0025】
5−、6−、7−又は8−員の脂肪族環は、CHユニットのみから成る環であってよいが、一以上のCH基がO、S又はNRによって置換されていてもよい。任意に一以上のH原子が上記で定義されたようなラジカルRにより置換されていてもよい。特に好ましいものは、シクロペンチル又は1,3−ジオキソシクロペンチルである。
【0026】
本発明の好ましい態様において、金属Mは、遷移金属又は遷移金属イオン又は主族金属又は主族金属イオンである。
【0027】
Mが遷移金属又は遷移金属イオンである場合、Mo、W、Ru、Os、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au及びZnから成る群から選択されることが好ましい。Mは、無電荷であってよく、又は電荷を有してよい。MがNi又はPdに相当する場合、酸化状態+2にあることが好ましい。MがPtに相当する場合、酸化状態+2又は+4にあることが好ましい。MがRh、Ir又はAuに相当する場合、酸化状態+3にあることが好ましい。特に好ましいものは、MがRu、Os、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag及びAuに相当する複合体であり、極めて好ましいものは、MがIr及びPtに相当する複合体である。
【0028】
Mが主族金属又は主族金属イオンである場合、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Al、Ga及びInから成る群から選択されることが好ましい。Mが主族金属又は主族金属イオンである場合、環式リガンドの金属への配位は、好ましくは、4つの窒素原子を介して起こる。
【0029】
本発明の好ましい態様において、式(I)の化合物中の記号ZはNを表す。
【0030】
式Iの複合体は、電荷を有していてよく、又は中性であってよい。全電荷数は金属の酸化状態及びリガンドの性質に依存し、ここでは指数mによって示されるように+4、+3、+2、+1、0、−1、−2、−3及び−4が生じ得る。複合体は、好ましくは電荷数+3から−3であり、特に好ましくは+2から−2であり、さらに好ましくは+1から−1であり、特により好ましくは中性である。記号Aは、対応する一つ又は複数の対イオンを示し、これは、電荷数−4、−3、−2、−1、0、+1、+2、+3又は+4に対応して生じる。これは指数qによって表現される。対イオンは、指数pによって表現されるように、二回以上生じ得る。ありうる対イオンは、対応する反対の電荷を有する式Iの化合物の金属複合体である。さらにその上、好ましい対イオンは、アルカリ又はアルカリ土類金属カチオン、ヨージド(iodide)、ブロミド、クロリド、シアニド、ヘキサフルオロフォスフェート及びテトラフルオロボレートである。
【0031】
ユニットCyは、好ましくは、フェニル、ナフチル、アントラシル、フェナントリル、ビフェニル、ピリジル、1,3−ジアゾリル(Mにカルベンとして結合する)、1,3−ジアゾシクロペンチル(Mにカルベンとして結合する)、及びベンゾ−1,3−ジアゾリル(Mにカルベンとして結合する)から成る群から選択されるアリール又はヘテロアリール基又は環式のカルベンである。
【0032】
ユニットArは、好ましくは、フェニル、ナフチル、アントラシル、フェナントリル及びピリジルから成る群から選択されるユニットであり、ここで、それらの基はそれぞれ一以上のラジカルRによって置換され得る。
【0033】
さらなる態様において、Rは、架橋ユニットC(R中で結合しており、好ましくは、出現する毎に同じであるか又は異なって、以下から成る群から選択される:H、D、F、C1−8−アルキル基及び単環式又は多環式の5から20員の芳香族の又は複素環式芳香族の環構造、
ここで、Rの一つは、Lに結合して五座配位子又は六座配位子を形成し得る、
ここで、二つの隣接するRがそれぞれ単環式又は多環式の芳香族の又は複素環式芳香族の環構造を形成する場合、それらの二つの環構造は、単結合又は二価のユニットGによって互いに結合され得る、
ここで、Gは、−O−、−CH−又は−C(CH−ユニットである、
又は、二つの隣接するRは共にオキソ基を形成する、
又は、二つの隣接するRは共に二価のユニット−O−(CH−O−又は−CH−(CH−CH−を形成し、ここでmは1又は2に相当する。
【0034】
本発明に従って、用語「C1−8−アルキル基」は、「C1−40−アルキル基」として上記で定義された語の、原子数の部分集合下に入る全ての化合物を包含するように意図される。それに包含される好ましい基はここでも同様に好ましい。
【0035】
さらなる態様において、Rは、好ましくは、出現する毎に同じであるか又は異なって、非結合電子対、H、C1−6−アルキル基及びベンジル基から成る群から選択される。
【0036】
さらなる態様において、Cy及びArにおける置換基Rは、H、D、F、Cl、Br、I、CN及びC1−10−アルキル基から成る群から選択され、ここで、一以上のH原子は、Fによって置換され得る。置換基は、さらに好ましくは、5から10の芳香環原子を有するアリール又はヘテロアリール基であり、これは、一以上のラジカルRによって置換され得る。
【0037】
本発明に従って、用語「C1−10−アルキル基」は、「C1−40−アルキル基」として上記で定義された語の、原子数の部分集合下に入る全ての化合物を包含するように意図される。それに包含される好ましい基はここでも同様に好ましい。
【0038】
本発明のさらなる態様において、式Iの化合物は、好ましくは下式IIの化合物である。
【化2】

【0039】
ここで、記号M、L、X、Z、A、R及びR及び指数n、m、p、q及びsは、上記態様において定義されたものと同様の意味を有し、他の記号は以下の意味を有する:
Yは、出現する毎に同じであるか又は異なって、CR又はNであり;又は、この環の基Wが結合を表す場合、環あたり正確に一つのYはNR、S又はOである;
Wは、出現する毎に同じであるか又は異なって、Wに結合した二つのYの間で共有結合が形成されるように存在しないか、又は、CR又はNであり、但し、Y=W−Yから形成されるユニットの最大二つの代表は窒素原子であり得る;
は、出現する毎に同じであるか又は異なって、H、D、F、Cl、Br、I、CN、NO、一以上のH原子がFによって置換され得るC1−10−アルキル基、それぞれ一以上のC1−6−アルキル基を置換基として保有し得るC6−18−アリール基又はC1−18−ヘテロアリール基、5から18員のヘテロアリール基、C1−10−アルコキシ基、C6−18−アリールオキシ基及び5から18員のヘテロアリールオキシ基から成る群から選択されるか、又は、隣接する位置の二つのRは互いに二価の基−CR=CR−CR=CR−を形成するか、又は、隣接する位置の二つのRは互いに結合して脂肪族環構造を形成する;
は、出現する毎に同じであるか又は異なって、H、D、F、Cl、Br、I、CN、NO、一以上のH原子がFによって置換され得るC1−10−アルキル基、C1−6−アルキル基を置換基として保有し得るC6−18−アリール基、5から18員のヘテロアリール基、C1−10−アルコキシ基、C6−18−アリールオキシ基及び5から18員のヘテロアリールオキシ基から成る群から選択されるか、又は、隣接する位置における二つのRは、互いに二価の基−CR=CR−CR=CR−を形成する;
は、出現する毎に同じであるか又は異なって、H、D、F、Cl、Br、I、CN、NO、一以上のH原子がFにより置換され得るC1−10−アルキル基、C1−6−アルキル基を置換基として保有し得るC6−18−アリール基、5から18員のヘテロアリール基、C1−10−アルコキシ基、C6−18−アリールオキシ基及び5から18員のヘテロアリールオキシ基から成る群から選択される。
【0040】
式IIにおいて、円はそれぞれ、有機化学において一般的な通常の6π電子系を表す。
【0041】
本発明に従って、用語「一以上のH原子がFによって置換され得るC1−10−アルキル基」は、「C1−40−アルキル基」として上記で定義された語の、原子数の部分集合下に入る全ての化合物を包含するように意図される。加えて、一以上のH原子はFによって置換され得る。ここで好ましい基は、メチル、i−プロピル、i−ブチル、t−ブチル、t−ペンチル、ネオペンチル及びトリフルオロメチルである。
【0042】
1−6−アルキル基を保有し得るC6−18−アリール基は、6から18のC原子を有し、さらに、一以上のC1−6−アルキル基で置換され得る、縮合した環から成る、単環式又は多環式の芳香族ユニットを含む全ての化合物を意味するように解釈される。好ましい例は、フェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、o−、m−又はp−トリル、o−、m−又はp−フルオロフェニル、o−、m−又はp−t−ブチルフェニル及び1−又は2−ナフチルである。
【0043】
5から18員のヘテロアリール基は、上記で定義されたように、5から18の環原子を有する芳香族複素環構造を意味するように解釈される。
【0044】
本発明に従って、用語「C1−10−アルコキシ基」は、「C1−40−アルコキシ基」として上記で定義された語の、原子数の部分集合下に入る全ての化合物を包含するように意図される。それに包含される好ましい基はここでも同様に好ましい。
【0045】
用語C6−10−アリールオキシ基は、O原子を介して結合した、6から10の炭素原子を有する芳香族化合物を包含するように意図される。それらの例は、フェニルオキシ及びナフチルオキシである。
【0046】
脂肪族環構造は上記で定義されたものと同じ意味を有する。
【0047】
本発明のさらなる態様において、式Iの化合物は、好ましくは下式IIIの化合物である。
【化3】

【0048】
ここで、記号M、L、X、Y、Z、A、R及びR及び指数n、m及びqは、上記で定義されたものと同じ意味を有する。
【0049】
さらなる態様において、式IIIの化合物は、Xが炭素原子であり、Yが出現する毎に同じであるか又は異なってCRであり、ここで、Rは上記で定義されたものと同じ意味を有する化合物であることが好ましい。
【0050】
さらなる態様において、式IIIの化合物は、二つのXの少なくとも一つの代表が窒素であり、他方が炭素原子であり、Yが出現する毎に同じであるか又は異なってCRであり、ここで、Rは上記で定義されたものと同じ意味を有する化合物であることが好ましい。
【0051】
さらなる態様において、式IIIの化合物は、Xが炭素原子であり、Yの少なくとも一つの代表が窒素原子であり、他方のYが出現する毎に同じであるか又は異なってCRを表す化合物であることが好ましい。
【0052】
さらなる態様において、環あたり最大一つの基YはNを表す。
【0053】
式IIIにおいて、隣接する位置の二つのRは、二価の基−CR=CR−CR=CR−を形成することができ、ここでRは上記で定義されたものと同じ意味を有し、又は、隣接する位置の二つのRは互いに結合して4から10の炭素原子を有する脂肪族環構造を形成することができ、又は、Rの少なくとも一つの代表はH、D、F、CN、CF、Me、i−プロピル、t−ブチル、フェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、フェニルオキシ及びジフェニルアミンから選択される基を表し、及び他の代表は水素原子又はDを表す。
【0054】
特に好ましい態様において、同じ芳香族ユニットに結合していない二つのラジカルRはH以外であり、特に好ましくは本発明に従うそのような化合物は、二回回転軸(two-fold axis of rotation)を有する。
【0055】
特に好ましいものは、Yがそれぞれ出現する毎に同じであるか又は異なって、N又はCHであり、さらに特に好ましくはCHである、式IIIの化合物である。
【0056】
本発明のさらなる態様において、式Iの化合物は、好ましくは、下式IVの化合物である:
【化4】

【0057】
ここで、記号M、L、Y、Z、A、R及びR及び指数n、m、p及びqは、上記で定義されたものと同じ意味を有し、破線は、一重の共有結合又は二重の共有結合の何れかを表し、ここで、破線が一重の共有結合を表す場合、UはそれぞれCH又はC(Rユニットであり、破線が二重の共有結合を表す場合、UはCRユニットであり、ここでR及びRは上記で定義された通りである。
【0058】
隣接する位置における二つのR又はRは、共に二価の基−CH=CH−CH=CH−を形成し得る。
【0059】
本発明のさらなる態様において、式Iの化合物は、好ましくは、下式Vの化合物である:
【化5−1】

【0060】
ここで、記号M、L、Z、X、A、R及びR及び指数n、m及びqは、上記で定義されたものと同じ意味を有し、UはCRに相当し、ここでRは上記で定義された通りである。
【0061】
隣接する位置における二つのRは、好ましくは、共に二価の基−CH=CH−CH=CH−を形成し得る。
【0062】
本発明のさらなる態様において、上記の式IからIII及びVにおいて、金属に配位するXは、Nに相当することが好ましく、ZはNに相当することが好ましく、Rは非結合電子対であることが好ましく、MはPtに、特にPt(II)に相当することが好ましい。
【0063】
本発明のさらなる態様において、上記の式IからIII及びVにおいて、金属に配位するXは、Cに相当することが好ましく、MはPt、特にPt(II)に相当することが好ましい。
【0064】
本発明のすべての態様において、リガンドLは、好ましくは、出現する毎に同じであるか又は異なって、以下からなる群から選択される:
CO、NO、SH、OH、例えばアルデュエンゴ(Arduengo)カルベンのようなカルベン、例えばtert−ブチルイソニトリル、シクロへキシルイソニトリル、アダマンチルイソニトリル、フェニルイソニトリル、メシチルイソニトリル、2,6−ジメチルフェニルイソニトリル、2,6−ジイソプロピルフェニルイソニトリル、2,6−ジ−tert−ブチルフェニルイソニトリルのようなイソニトリル、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミンのようなアミン、モルフォリン、例えばトリフルオロホスフィン、トリメチルホスフィン、トリシクロへキシルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィンのようなホスフィン、例えばトリメチルホスファイト、トリエチルホスファイトのようなホスファイト、例えばトリフルオロアルシン、トリメチルアルシン、トリシクロへキシルアルシン、トリ−tert−ブチルアルシン、トリフェニルアルシン、トリス(ペンタフルオロフェニル)アルシンのようなアルシン、例えばトリフルオロスチビン、トリメチルスチビン、トリシクロへキシルスチビン、トリ−tert−ブチルスチビン、トリフェニルスチビン、トリス(ペンタフルオロフェニル)スチビンのようなスチビン、例えばピリジン、ピリダジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジンのような窒素含有複素環、水素化物、重水素化物、ハライドF、Cl、Br及びI、例えば
【化5−2】

【0065】
のようなアルキルアセチリド、例えば
【化5−3】

【0066】
のようなアリール及びヘテロアリールアセチリド、シアニド、シアナート、イソシアナート、チオシアナート、イソチオシアナート、例えばメタノレート、エタノレート、プロパノレート、イソプロパノレート、tert−ブチレート、フェノレートのような脂肪族又は芳香族アルコラート、例えばメタンチオレート、エタンチオレート、プロパンチオレート、イソプロパンチオレート、tert−ブタンチオレート、チオフェノレートのような脂肪族又は芳香族チオアルコラート、例えばジメチルアミド、ジエチルアミド、ジイソプロピルアミドのようなアミド、モルフォリド、例えばアセテート、トリフルオロアセテート、プロピオネート、ベンゾエートのようなカルボキシレート、及びピロリド、イミダゾリド、ピラゾリドのような陰イオン性の窒素含有複素環。それらの基中のアルキル基は、好ましくはC1−20−アルキル基であり、特に好ましくはC1−10−アルキル基であり、より特に好ましくはC1−4−アルキル基である。アリール基は、好ましくは、C6−18−アリール基を意味するように解釈される。それらの基の上記定義は、ここでも適用されるように意図される。
【0067】
本発明のさらに好ましい態様において、それぞれの場合に、上記の式IからVにおける一つのRはそれぞれ一つのLに結合し、ここで5又は6の歯状の(dentate)リガンドが形成される。−R−Lからの好ましいユニットは、以下から成る群から選択される:
【化6】

【0068】
ここで、* により表される位置は金属に配位する。
【0069】
さらにその上、それぞれの場合において上記の式IからVにおける一つのRがリガンドL及び反対のRに結合するものが好ましい態様である。R及びRの結合は、好ましくは、Lがそれら二つのラジカルに結合するような方法で起こる。この方法において、五座配位子又は六座配位子は、ケージの形状で形成される。六座ケージリガンドを含有する複合体の例は、下式VIによって示される:
【化7】

【0070】
式VIの複合体は、限定された意味を有するようには解釈されない。上記の式IからVについて記載されたものと同じラジカルが、式VIのリガンドの対応する位置に結合し得る。
【0071】
本発明の化合物は、正の電荷を有していてもよく、負の電荷を有していてもよく、又は電荷を有さなくてもよい。それらは、特に好ましくは電荷中性であり、即ち、特に好ましくはm=0であり、対イオンAは存在しない、即ち、p=0である。
【0072】
本発明のさらに好ましい態様において、指数s=1である。リガンドは、従って、好ましくは大環状のリガンドである。
【0073】
式IからVにおける指数及びラジカルは、本発明の化合物が反転の中心又は二回回転軸を有するように選択されることがさらに好ましい。
【0074】
さらに、本発明の化合物の双極子モーメントは、3デバイ以下、好ましくは1デバイ以下、及び特に好ましくは0.1デバイ以下であることが有利である。
【0075】
上記の好ましい化合物以外に、特に好ましいさらなる化合物を下記の表1に示す。
【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【表1−4】

【表1−5】

【表1−6】

【表1−7】

【表1−8】

【表1−9】

【表1−10】

【表1−11】

【表1−12】

【表1−13】

【表1−14】

【0076】
また、本発明は、一般式Iaのリガンドに関する。
【化8】

【0077】
ここで、用いられる記号及び指数は、本発明に従う化合物の記述において上記で定義されたものと同じ意味を有し、Eは、出現する毎に同じであるか又は異なって、CH又はNを表す。
【0078】
さらなる態様において、式Iaのリガンドは、好ましくは下式IIaのリガンドである。
【化9】

【0079】
ここで、用いられる記号及び指数は、本発明に従う化合物の記述において上記で定義されたものと同じ意味を有し、Eは上記で示された意味を有する。
【0080】
本発明のさらなる態様において、式IIaのリガンドは、好ましくは下式IIIaのリガンドである。
【化10】

【0081】
ここで、用いられる記号及び指数は、本発明に従う化合物の記述において上記で定義されたものと同じ意味を有し、Eは上記で示された意味を有する。
【0082】
本発明のさらなる態様において、式IIaのリガンドは、好ましくは下式IVaのリガンドである。
【化11】

【0083】
ここで、用いられる記号及び指数は、本発明に従う化合物の記述において上記で定義されたものと同じ意味を有し、Gは、電荷gを有する任意の望ましいアニオンであり、ここでgは−1又は−2に相当し、jは1又は2に相当する。式IVaの化合物は、外見上は中性である。
【0084】
それらのアニオンの例は、ブロミド、ヨージド、PF、BF、スルフェート及びオキサレートである。
【0085】
本発明のさらなる態様において、式IIaのリガンドは、好ましくは下式Vaのリガンドである。
【化12】

【0086】
ここで、用いられる記号及び指数は、本発明に従う化合物の記述において上記で定義されたものと同じ意味を有し、Qは任意の望ましいアニオンである。
【0087】
好ましいアニオンは、ブロミド、ヨージド、PF及びBFである。
【0088】
また、本発明は、金属複合体の調製のための式IaからVaのリガンドの使用に関する。ここで特に好ましい金属複合体は、本発明の式IからVの化合物である。
【0089】
また、本発明は、一般式IからVの化合物の調製方法に関する。
【0090】
リガンド合成は、例えば、適切な脱離基Yが備えられた二つの同一の又は異なるリガンド前駆体の環縮合(工程1)によるスキーム1に概括的に示したように行うことができる。脱離基Yの例は以下のものである:OH、NH、NH、OTos、OMes、トリフレート、Cl、Br、I、カルボキシレートなど。この目的のために、縮合試薬、例えば、水−又は酸−結合助剤、又は触媒も添加されてよい。異なるリガンド前駆体の使用により生じる異性体は、分別再結晶又はクロマトグラフィーのような通常の方法により分離され得る。次いで、第2工程(工程2)において、ラジカルRが任意にZ上に導入され得る。これは、求核置換(例えばアルキル化を経る)、塩複分解によって、又はカップリング反応(例えば、Hartwig-Buchwald反応)又はその他によって実行され得る。
【化13】

【0091】
一般的な合成スキーム1を説明するため、二つの具体例を下記スキーム2及び3に示す。
【化14】

【化15】

【0092】
式I、II、III、IV又はVの金属複合体の調製のための一般的な合成方法を、方法A及びBにおいて示し、下記スキーム4及び5に示した。環式のリガンドと、通常は適切な金属塩、例えば、KPtCl、KPdCl、Pt(DMSO)Cl、IrCl、Ir(acac)、Na[Ir(acac)Cl]、AuClの溶液として用いられるか、又は、有機金属前駆体又は複合体化合物の形態で、例えば、Pt(CHCl、Pt(PPh、Pt(dmso)Me、Ir(PPh(CO)Cl、[Ir(COD)Cl]又はIr(COD)BFの形態で用いられる、対応する金属化合物との反応は、本発明の金属化合物を生じる。この反応は、酸(ハロゲン化水素酸、リン酸、有機カルボン酸など)又は塩基(有機カルボキシレート、炭酸塩、フォスフェート、アルコラート、アルコキシドなど)の存在下で行われ得る。オルトメタレーションを活性化するために、ルイス酸(ハロゲン化アルミニウム、銀塩など)が任意に添加される。
【化16】

【0093】
スキーム4に示した方法の他に、金属複合体は、金属化合物の存在下でリガンド前駆体から開始する、テンプレート合成における第2の方法Bによって一つの工程で調製されることも可能である。この方法Bは下記スキーム5に示した。テンプレート合成において、まず、一つ又は両方のリガンド前駆体が金属化合物に配位し、次に、第二の工程において、適切な脱離基Yの除去と共に環化が生じる。中間体として形成されたオルトメタレーションされた金属複合体1は、単離され、次いでさらに反応されることが可能であり、或いは、その反応は本発明の金属複合体まで単離されずに行われてよい。
【化17】

【0094】
方法Bは、二つの異なるリガンド前駆体から成る本発明の非対称的な金属複合体が、上記の分離方法を使用する必要なしで特異的に得られることを可能にする。
【0095】
また、本発明は、電子デバイスにおける、特に発光化合物としての、本発明の化合物の使用に関する。本発明に従って使用される電子デバイスは、有機エレクトロルミネッセンスデバイス(OLED)又は高分子エレクトロルミネッセンスデバイス(PLED)、有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスター(O-FET)、有機薄膜トランジスター(O-TFT)、有機発光トランジスター(O-LET)、有機太陽電池(O-SC)、有機光検出器、有機光レセプター、有機フィールドクエンチ(field-quench)デバイス(O-FQD)、発光電気化学セル(LEC)又は有機レーザーダイオード(O-レーザー)、特に有機エレクトロルミネッセンスデバイス(OLED、PLED)であってよい。
【0096】
また、本発明は、本発明の化合物の、電荷輸送材料及び/又は電荷注入材料としての、好ましくは対応する層における使用に関する。これは、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層又は電子注入層の何れかであってよい。電荷遮断材料(charge-blocking material)としての使用も可能である。
【0097】
本発明は同様に、上記で定義されたような、式I、II、III、IV又はVの一以上の化合物を含む電子デバイス、例えば、有機エレクトロルミネッセンスデバイス又は高分子エレクトロルミネッセンスデバイス(OLED、PLED)、有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスター(O-FET)、有機薄膜トランジスター(O-TFT)、有機発光トランジスター(O-LET)、有機太陽電池(O-SC)、有機光検出器、有機光レセプター、有機フィールドクエンチデバイス(O-FQD)、発光電気化学セル(LEC)又は有機レーザーダイオード(O-レーザー)のような電子デバイスに関し、特に、有機エレクトロルミネッセンスデバイス(=有機発光ダイオード、OLED、PLED)に関する。有機電子デバイスは、ここで、アノード、カソード及び少なくとも一つの有機化合物又は有機金属化合物を含む少なくとも一つの層を含む。しかしながら、該デバイスは、有機物質を含んでもよい。
【0098】
式I、II、III、IV又はVの化合物は、好ましくは、電子デバイスの一つの層内にある。
【0099】
従って、本発明は、上記で定義されたような、式I、II、III、IV又はVの化合物を含む層にも関する。
【0100】
有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、カソード、アノード及び少なくとも一つの発光層を含む。それらの層の他に、さらなる層、例えば、それぞれ、一以上の正孔注入層、正孔輸送層、正孔遮断層、電子輸送層、電子注入層、励起子遮断層、電荷発生層及び/又は有機又は無機p/n接合部なども含み得る。例えば励起子遮断機能を有する、層と層との間の層が、二つの発光層の間に導入されることも同様に可能である。しかしながら、それらの各層は、必ずしも存在しなければならないわけではないことは指摘されるべきである。それらの層は、上記で定義されたような一般式I、II、III、IV又はVの化合物を含み得る。
【0101】
本発明の好ましい態様において、式I、II、III、IV又はVの化合物は、発光層中の発光化合物として、又は、電荷輸送層中の電荷輸送化合物として用いられる。ここで、有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、一つの発光層又は複数の発光層を含んでよく、ここで、少なくとも一つの発光層は、上記で定義されたような式I、II、III、IV又はVの化合物の少なくとも一つを含む。複数の発光層が存在している場合、それらは、好ましくは、全体で380nm〜750nmの複数の発光極大を有し、全体で白色発光をもたらす。ここで白色発光は0.28/0.29から0.45/0.41の範囲のCIE色座標により特徴づけられる。即ち、蛍光又は燐光を発することができる種々の発光化合物が発光層中で用いられる。
【0102】
特に好ましいものは三層系であり、ここで、三層は、青、緑及びオレンジ又は赤の発光を示す(基本的な構造は、例えば、WO 05/011013を参照)。このデバイスは、蛍光及び燐光エミッターの両方を含むハイブリッド白色OLEDであってもよい。
【0103】
式I、II、III、IV又はVの化合物が発光層において発光化合物として用いられる場合、一以上のマトリクス材料と組み合わせて用いられることが好ましい。式I、II、III、IV又はVの化合物とマトリクス材料との混合物は、エミッター及びマトリクス材料を含む全混合物を基準として、1〜99体積%、好ましくは2〜90体積%、特に好ましくは3〜40体積%、特により好ましくは5〜15体積%の、式I、II、III、IV又はVの化合物を含む。相応して、該混合物は、エミッター及びマトリクス材料を含む全混合物を基準として、99〜1体積%、好ましくは98〜10体積%、特に好ましくは97〜60体積%、特により好ましくは95〜85体積%のマトリクス材料を含む。
【0104】
好ましいマトリクス材料は、カルバゾール誘導体(例えば、CBP(N,N−ビスカルバゾリルビフェニル)、mCBP又はWO 05/039246、US 2005/0069729、JP 2004/288381、EP 1205527又はWO 08/086851のとおりの化合物)、トリアリールアミン、アザカルバゾール(例えば、EP 1617710、EP 1617711、EP 1731584、JP 2005/347160のとおりのもの)、インドールカルバゾール誘導体、例えば、WO 07/063754又はWO 08/056746のとおりのもの、ケトン(例えば、WO 04/093207のとおりのもの又は非公開出願DE 102008033943.1のとおりのもの)、ホスフィンオキシド、スルホキシド及びスルホン(例えば、WO 05/003253のとおりのもの)、オリゴフェニレン、芳香族アミン(例えば、US 2005/0069729のとおりのもの)、双極性マトリクス材料(例えば、WO 07/137725のとおりのもの)、シラン(例えば、WO 05/111172のとおりのもの)、アザボロール(azaboroles)又はホウ酸エステル、例えば、WO 06/117052のとおりのもの、トリアジン誘導体、例えば、非公開出願DE 102008036982.9、WO 07/063754又はWO 08/056746のとおりのもの、亜鉛複合体(例えば、WO 09/062578のとおりのもの)、アルミニウム複合体(例えば、BAlq)又はジアザシロール(diazasilole)及びテトラアザシロール(tetraazasilole)誘導体、例えば、非公開出DE 102008056688.8のとおりのものである。
【0105】
さらに好ましいものは、一以上の層が昇華プロセスによって塗布され、その材料が10−5mbar以下、好ましくは10−6mbar以下の初期圧力で減圧昇華ユニットにおいて蒸着された有機エレクトロルミネッセンスデバイスである。しかしながら、初期圧力はさらに低くても可能であり、例えば10−7mbar以下でもよい。
【0106】
同様に好ましいものは、OVPD(有機気相堆積)方法によって塗布されたか、又は、キャリアガス昇華の補助により塗布され、その材料が10−5mbar〜1barの圧力で塗布された、一以上の層によって特徴づけられる有機エレクトロルミネッセンスデバイスである。このプロセスの特殊な場合がOVJP(有機気相ジェットプリンティング)プロセスであり、その材料はノズルを通して直接的に塗布され、これにより組み立てられる(例えば、M. S. Arnold et al.、Appl. Phys. Lett. 2008、92、053301)。
【0107】
さらに好ましいものは、一以上の層が、例えば、スピンコーティングによって、又は、例えば、スクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、LITI(光誘導熱イメージング(light induced thermal imaging)、熱伝達プリンティング(thermal transfer printing)、インクジェットプリンティング又はノズルプリンティングのような、任意の望ましい印刷方法によるように、溶液から製造されることを特徴とする、有機エレクトロルミネッセンスデバイスである。例えば適切な置換によって得られる可溶性化合物がこの目的のために必要である。それらの方法は、ポリマーの処理にも特に適している。
【0108】
それらの方法は、当業者に一般に知られており、上記で定義されたような式I、II、III、IV又はVの化合物を含む有機エレクトロルミネッセンスデバイスに、当業者によって問題なく適用されることができる。
【0109】
一以上の層が溶液から塗布され、一以上の他の層が蒸着により塗布される、混成方法も可能である。
【0110】
上記の本発明による化合物、特に、反応基によって置換されたか又は機能付与された化合物は、対応するオリゴマー、デンドリマー又はポリマーの調製のためのモノマーとして使用可能である。それ故、本発明は、さらに、上記で定義されたような式I、II、III、IV又はVの一以上の化合物を含むオリゴマー、ポリマー又はデンドリマーに関し、ここで、一以上の結合が、式I、II、III、IV又はVの化合物からポリマー、オリゴマー又はデンドリマーに存在する。式I、II、III、IV又はVの化合物の結鎖に依存して、複合体はそれ故、オリゴマー又はポリマーの側鎖を形成し、又は、主鎖において結合される。ポリマー、オリゴマー又はデンドリマーは、接合されるか、部分的に接合されるか、接合されなくてよい。オリゴマー又はポリマーは、直鎖状、分枝状、又は樹状であってよい。
【0111】
オリゴマー又はポリマーの調製のために、機能付与された式I、II、III、IV又はVの化合物は、同種重合されるか又はさらなるモノマーと共重合される。好ましいものは、コポリマーであり、ここで、式I、II、III、IV又はVの化合物は、好ましくは、0.01〜50mol%の範囲で、特に好ましくは0.1〜20mol%の範囲で存在する。ポリマー主鎖を形成する適切で好ましいコモノマーは、フルオレン(例えば、EP 842208又はWO 00/22026のとおりのもの)、スピロビフルオレン(例えば、EP 707020、EP 894107又はWO 06/061181のとおりのもの)、パラ−フェニレン(例えば、WO 92/18552のとおりのもの)、カルバゾール(例えば、WO 04/070772又はWO 04/113468のとおりのもの)、チオフェン(例えば、EP 1028136のとおりのもの)、ジヒドロフェナントレン(例えば、WO 05/014689のとおりのもの)、cis−及びtrans−インデノフルオレン(例えば、WO 04/041901又はWO 04/113412のとおりのもの)、ケトン(例えば、WO 05/040302のとおりのもの)、フェナントレン(例えば、WO 05/104264又はWO 07/017066のとおりのもの)又はそれらの複数のユニットから選択される。総量中のそれらのユニットの割合は、好ましくは少なくとも50mol%の範囲である。ポリマー、オリゴマー及びデンドリマーは、また、さらなるユニット、例えば、正孔輸送ユニット、特に、トリアリールアミンに基づくもの、及び/又は電子輸送ユニットを含み得る。
【0112】
一般式I、II、III、IV又はVの化合物を含むこの種のポリマーは、PLEDの製造のために、特にPLED中の発光層として使用され得る。高分子発光層は、例えば、溶液からのコーティング(スピンコーティング又は印刷方法)によって製造され得る。
【0113】
それ故、本発明は、さらに、本発明による少なくとも一つの金属複合体及び少なくとも一つの溶媒、好ましくは有機溶媒を含む溶液又は調合物(Formulation)に関する。
【0114】
本発明の化合物及びそれらを用いて製造される有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、以下の驚くべき利点によって従来技術とは区別される:
・部分的に又は完全に昇華において熱分解を起こす、従来技術による多くの金属複合体と対照的に、本発明の化合物は、高い熱安定性を有する。
【0115】
・式I、II、III、IV又はVの化合物を発光材料として含む有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、優れた寿命を有する。
【0116】
・濃紺、効率的な赤又は緑の発光色をも有する、青、赤及び緑の燐光複合体が達成可能である。特に、青色燐光デバイスの場合、特に色座標と寿命に関して従来技術の改良がなお必要である。
【0117】
・本発明の化合物は、有機エレクトロルミネッセンスデバイスにおいて用いられて、低い使用電圧と同時に高い効率と急勾配の電流-電圧曲線をもたらす。
【0118】
それら上記の利点は、他の電子特質の障害を伴わない。
【0119】
本発明は、以下の実施例によってより詳細に説明されるが、それらによって限定されない。当業者は、進歩性なしに、本発明のさらなる化合物を合成可能であり、有機エレクトロルミネッセンスデバイスにおいてそれらを使用することが可能である。
【実施例】
【0120】
以下の合成は、他に指示されない限り、乾燥溶媒中、保護ガス雰囲気下で行われる。溶媒及び試薬は、ALDRICH又はABCRから購入可能である。
【0121】
実施例1:リガンド1
【化18】

【0122】
33.4g(168mmol)の2−アミノ−3’−ヒドロキシメチルビフェニル(2−アミノビフェニル−3’−カルボン酸をTHF中で水素化アルミニウムリチウムを用いて還元することによって調製されたもの)、1.8g(17mmol)のベンズアルデヒド及び1.9g(34mmol)のKOHを、空冷式蒸留橋を備える装置で、1500mlのジフェニルエーテル中での還流下で加熱し、沸騰したジフェニルエーテルを蒸留して除き、新鮮なジフェニルエーテルで連続的に交換する。ここで、水の生成は、1000mlのジフェニルエーテルが蒸留して除去されたときに完了される。残ったジフェニルエーテルを実質的に蒸留して除き、残留物を1000mlのジクロロメタン中に取り、500mlの水で2回洗浄し、その有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、ジクロロメタンを減圧中で除去する。得られた油をシリカゲルでのクロマトグラフィー(溶出剤 ジクロロメタン)に供し、オリゴマーの成分及び高分子の成分は開始時に残り、産物はRf=0.6で溶出される。ジフェニルエーテル画分は、20mlの酢酸エチル及び100mlのメタノールの添加によって加温により油性産物の再結晶によって分離される。収率:10.5g(29mmol)、34.5%;H−NMRによる純度:約97%。
【0123】
実施例2:リガンド2
【化19】

【0124】
3.6g(10mmol)のリガンド1、5.5g(40mmol)の炭酸カリウム、7.5ml(120mmol)のヨウ化メチル及び60mlのアセトニトリルの混合物を、50℃で24時間撹拌する。アセトニトリルを減圧下で除去し、残留物を200mlのジクロロメタン中に取り、100mlの水で2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥する。減圧下でジクロロメタンをストリッピングにより除去した後に得られる油を、酢酸エチルから再結晶する。収率:3.0g(8mmol)、83.2%;H−NMRによる純度:約99%。
【0125】
実施例3〜6:
表2に示すリガンド3〜6は、実施例3〜6において対応するブロミド又はヨージドを用いて実施例2と同様に得られる。
【表2】

【0126】
実施例7:リガンド7
【化20】

【0127】
457mg(1.5mmol)のトリ−o−トリルホスフィン及び225mg(1.0mmol)のパラジウム(II)アセテートを、9.1g(25mmol)のリガンド1、11.8g(75mmol)のブロモベンゼン、5.8g(60mmol)のtert−ブトキシドナトリウムの、200mlのトルエン中の混合物に加え、該混合物を還流下で5時間加熱する。冷却した後、200mlの水を加え、有機相を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥し、セライトベッドを通して濾過し、トルエンを減圧下でストリッピングにより除去し、油を酢酸エチル/エタノールから再結晶する。収率:7.2g(14mmol)、56.0%;H−NMRによる純度約99%。
【0128】
実施例8及び9:
表3に示すリガンド8及び9は、実施例8及び9において対応するブロミドを用いて実施例7と同様に得られる。
【表3】

【0129】
実施例10:リガンド10
【化21】

【0130】
A:3−(2−アミノナフタレン−1−イル)安息香酸
【化22】

【0131】
50mlの水中の、112mg(0.5mmol)のパラジウム(II)アセテート、106mg(1mmol)の炭酸ナトリウム及び186mg(0.5mmol)のエチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム二水和物の、新たに調製した溶液を、300mlの水中の、22.2g(100mmol)の1−ブロモ−2−アミノナフタレン[20191−75−7]、18.3g(110mmol)の3−カルボキシベンゼンボロン酸[25487−66−5]、27.6g(200mmol)の炭酸カリウム及び645mg(2mmol)のテトラブチルアンモニウムブロミドの、強力に撹拌された混合物に加え、該混合物を、還流下で16時間加熱する。冷却した後、酢酸を添加してpHを3〜4に調整し、固体を吸引濾過し、5重量%の酢酸で多数回洗浄し、減圧下で乾燥し、次いで、トルエンとの共沸乾燥に供する。収率:23.8g(90mmol)、90.4%;H−NMRによる純度:約98%。
【0132】
B:3−(2−アミノナフタレン−1−イル)フェニルメタノール
【化23】

【0133】
300mlのTHF中の13.2g(50mmol)の3−(2−アミノナフタレン−1−イル)安息香酸の溶液を、500mlのTHF中の3.8g(100mmol)の水素化アルミニウムリチウムの溶液中に滴下して加える。添加が完了したとき、該混合物を還流下でさらに2時間撹拌し、冷却を許容し、4mlの水、4mlの15重量%のNAOH溶液及び12mlの水を次いで滴下して加え、この混合物をさらに30分間撹拌し、沈殿した塩を吸引濾過し、各回100mlのTHFで3回洗浄し、THFを減圧下で除去する。収率:11.2g(90mmol)、89.8%;H−NMRによる純度約95%。
【0134】
C:リガンド10:
168mmolの2−アミノ−3’−ヒドロキシメチルビフェニルの代わりに100mmolの3−(2−アミノナフタレン−1−イル)フェニルメタノールを用いて、及び、他の試薬及び溶媒を比例的に適応して、実施例1と同様に調製。収率:6.4g(14mmol)、27.7%;H−NMRによる純度:約99%。
【0135】
実施例11:リガンド11
【化24】

【0136】
A:6−(2−アミノフェニル)ピリジン−2−カルボン酸
【化25】

【0137】
110mmolの3−カルボキシベンゼンボロン酸の代わりに110mmolの2−アミノフェニル−ボロン酸[5570−18−3]を用い、及び、100mmolの1−ブロモ−2−アミノナフタレンの代わりに100mmolの6−ブロモピリジン−2−カルボン酸[21190−87−4]を用いて、実施例10と同様に調製。収率:17.5g(82mmol)、81.7%;H−NMRによる純度:約99%。
【0138】
C:リガンド11:
100mlのDMSO中の10.3g(50mmol)のジシクロへキシルカルボジイミドの溶液を、5.4g(25mmol)の6−(2−アミノフェニル)ピリジン−2−カルボン酸及び12.2g(100mmol)の4−ジメチル−アミノピリジンの溶液に滴下して加え、この混合物を続いて、室温で20時間撹拌する。溶媒を減圧下で除去し、残留物を300mlの酢酸エチルにとり、有機相を各回200mlの水で3回洗浄し、溶媒を減圧下で除去する。残留物を、酢酸エチル:メタノール 3:1を用いたシリカゲルでのクロマトグラフィーに供する。収率:872mg(2mmol)、17.8%;H−NMRによる純度:約99%。
【0139】
実施例12:リガンド12
【化26】

【0140】
100mlのDMSO中の6.2g(30mmol)のジシクロへキシルカルボジイミドの溶液を、5.4g(25mmol)の6−(2−アミノフェニル)ピリジン−2−カルボン酸、17.0g(100mmol)の2−(2−ピリジル)アニリン[29528−30−1]及び12.2g(100mmol)の4−ジメチルアミノピリジンの溶液に滴下して加え、続いてこの混合物を室温で20時間撹拌する。溶媒を減圧下で除去し、残留物を300mlの酢酸エチルにとり、有機相を各回200mlの水で3回洗浄し、溶媒を減圧下で除去する。残留物を酢酸エチル:メタノール 3:1を用いたシリカゲルでのクロマトグラフィーに供する。収率:4.7g(51mmol)、51.3%;H−NMRによる純度:約99%。
【0141】
実施例13:Pt−リガンド2
【化27】

【0142】
50mlの氷酢酸中の3.9g(10mmol)のリガンド2、4.2g(10mmol)のテトラクロロ白金(II)二カリウム及び3.3g(50mmol)の酢酸リチウムの懸濁液を、還流下で60時間加熱する。冷却後、氷酢酸を減圧下で除去し、残留物をジクロロメタンに溶解し、ジクロロメタンを用いたシリカゲルでのクロマトグラフィーに供する。結果として生じる固体を、続いて、ジクロロメタン/ヘキサンから再結晶化し、次いで、減圧下で昇華する(p=1×10−5mbar、T=330℃)。収率:675mg(1.1mmol)、11.5%;HPLCによる純度99.9%。
【0143】
実施例14〜19:
以下の白金複合体を、対応するリガンドから同様に得る。
【表4−1】

【表4−2】

【0144】
実施例20:Pt−リガンド11
【化28】

【0145】
12.5ml(20mmol)のn−ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M)を、100mlのTHF中の3.9g(10mmol)のリガンド11の、−10℃に冷却された溶液に滴下して加え、この混合物を−10℃でさらに30分間撹拌する。次いで、50mlのTHF中の4.7g(10mmol)の塩化ビスベンゾニトリル白金(II)の溶液を滴下して加え、この混合物が室温まで温まることを許容し、さらに24時間撹拌する。THFを減圧下で除去し、残留物を、アセトンを用いたシリカゲルでのクロマトグラフィーに供する。続いて、結果として生じる固体を、アセトン/ヘキサンから再結晶化し、次いで、減圧下で昇華する(p=1×10−5mbar、T=340℃)。収率:920mg(1.6mmol)、15.7%;HPLCによる純度99.9%。
【0146】
実施例21:Pt−リガンド12
【化29】

【0147】
12.5ml(20mmol)のn−ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M)を、200mlのTHF中の3.7g(10mmol)のリガンド12の、−10℃に冷却された溶液に滴下して加え、この混合物を−10℃でさらに30分間撹拌する。次いで、50mlのTHF中の4.7g(10mmol)の塩化ビスベンゾニトリル白金(II)の溶液を滴下して加え、この混合物が室温まで温まることを許容し、さらに24時間撹拌する。THFを減圧下で除去し、残留物を、アセトンを用いたシリカゲルでのクロマトグラフィーに供する。続いて、結果として生じた固体をアセトン/ヘキサンから再結晶化し、次いで、減圧下で昇華する(p=1×10−5mbar、T=340℃)。収率:1.4g(2.5mmol)、25.0%;HPLCによる純度99.9%。
【0148】
実施例22:Pt−リガンド2(CN)
【化30】

【0149】
ジクロロメタン中の臭素の0.1M溶液10mlを、50mlのジクロロメタン中の584mg(1.0mmol)のPt−リガンド2の溶液に滴下して加え、次いで、該混合物を室温で2時間撹拌する。ジクロロメタンを減圧下で除去し、残留物を5mlのDMSOに取り、293mg(6mmol)のシアン化ナトリウムを加え、この混合物を80℃で24時間撹拌し、冷却を許容し、次いで、50mlのメタノールを撹拌しながら加える。沈殿した固体を吸引濾過し、各回5mlのメタノールで3回洗浄し、高真空中で乾燥する(p=1×10−5mbar、T=200℃)。収率:473mg(0.7mmol)、74.4%;HPLCによる純度99.5%。
【0150】
本発明の化合物を含む有機エレクトロルミネッセンスデバイスの生産及び性質決定
本発明に従うエレクトロルミネッセンスデバイスは、例えば、WO 05/003253に概括的に記載されているように生産され得る。種々のOLEDの結果をここで比較する。基本構造、使用した材料、ドーピングの程度及びそれらの層厚さは、より良い比較性のために同一である。
【0151】
デバイス例23は、従来技術に従った比較標準を記載する。この発光層は、ホスト材料(又はマトリクス)3,6−bis−N−カルバゾリルジベンゾフランM及び青色発光ゲスト材料(ドーパント)10%のfac−トリス[2−(2−ピリジニル)(5−シアノフェニル)]イリジウム(III)TEB1のからなる。
【0152】
さらにその上、同一の構造を有し上記の実施例から本発明に従うドーパントを含むOLEDが記載されている(デバイス例24〜33)。以下のデバイス構造がここで用いられる:
正孔注入層(HIL) 20nmの2,2’,7,7’−テトラキス(ジ−パラ−トリルアミノ)スピロ−9,9‘−ビフルオレン;
正孔輸送層(HTL) 5nmのNPB(N−ナフチル−N−フェニル−4,4’−ジアミノビフェニル);
電子遮断層(EBL) 15nmのEBL(9,9−ビス−(3,5−ジフェニルアミノフェニル)フルオレン);
発光層(EML) 40nmのホスト材料:3,6−ビス−N−カルバゾリルジベンゾフランM;
ドーパント 10体積%ドーピング;化合物は表5を参照;
電子導体(ETL) 20nmのBAlq;
カソード 1nmのLiF、トップに100nmのAl。
【0153】
EBL、M及びTEBの構造を以下に明示する。
【化31】

【0154】
それらのOLEDの性質決定のために、エレクトロルミネッセンススペクトル、輝度の関数として外部量子効率(%で測定)、電流−電圧−輝度特性線(IUL特性線)から算出される、を決定する。
【0155】
表5から分かるように、本発明のエレクトロルミネッセンスデバイスは、外部素子効率(EQE)、電圧及び色座標において、従来技術に従うドーパントTEB1を含む比較デバイスに匹敵するか又は優れた挙動を示す。
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式Iの化合物
【化1】

ここで、記号及び指数は以下の意味を有する:
Mは、金属又は金属イオンである;
Lは、出現する毎に同じであるか又は異なって、中性の、陽イオン性の、又は陰イオン性のリガンドである;
Xは、出現する毎に同じであるか又は異なって、C又はNである;
Zは、出現する毎に同じであるか又は異なって、N又はPである;
Cyは、出現する毎に同じであるか又は異なって、一以上のラジカルRによって置換され得る、4から60の環原子を有する単環式又は多環式の非芳香環構造であるか、又は、それぞれ一以上のラジカルRによって置換され得る、5から60の環原子を有する単環式又は多環式のアリール又はヘテロアリール基である、但し、Xによって示される原子は、環状の基Cyの構成要素である;
Arは、出現する毎に同じであるか又は異なって、一以上のラジカルRによって置換され得る、5から60の環原子を有する単環式又は多環式のアリール又はヘテロアリール基である、但し、X又はZに結合しているC原子は、基Arの構成要素である;
は、出現する毎に同じであるか又は異なって、以下から成る群から選択される
H、D、F、Cl、Br、I、CN、NO
直鎖のC1−40−アルキル基、C1−40−アルコキシ基又はチオ−C1−40−アルキル基又は分枝の又は環式のC3−40−アルキル基、C3−40−アルコキシ基又はチオ−C3−40−アルコキシ基、
これはそれぞれ、一以上のラジカルRによって置換され得る、
ここで、一以上の隣接しないCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、S又はCONRによって置換され得る、及び、
一以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN又はNOによって置換され得る、
5から60の芳香環原子を有する単環式又は多環式の芳香族の又は複素環式芳香族の環構造、
これは、それぞれ一以上のラジカルRによって置換され得る、
ここで、二つの隣接するRがそれぞれ芳香族の又は複素環式芳香族の環構造を形成する場合、それらの二つの環構造は、単結合又は二価のユニットGによって互いに結合され得る、
5から60の芳香環原子を有するアリールオキシ又はヘテロアリールオキシ基、
これは一以上のラジカルR及びそれらの基の組合せによって置換され得る、
ここで、Rの一つはLに結合して五座配位子又は六座配位子を形成し得る;又は、
ここで、Rの一つはL及び反対のR又はRに結合して、ケージの形の五座配位子又は六座配位子を形成し得る;
又は、
二つの隣接するRは、オキソ基=O、基=NH又は基=NRを共に形成する、又は、
二つの隣接するRは、それらが結合している一つ又は複数の原子と共に、5又は6員の脂肪族又は芳香族の環を形成し、これは一以上のラジカルRによって置換され得る、
ここで、一以上の環CH基は、O、S又はNRによって置換され得る;
は、出現する毎に同じであるか又は異なって、以下から成る群から選択される
非結合電子対、H、D、
直鎖C1−40−アルキル基、C1−40−アルコキシ基又はチオ−C1−40−アルキル基又は分枝の又は環式のC3−40−アルキル基、C3−40−アルコキシ基又はチオ−C3−40−アルコキシ基、
これはそれぞれ、一以上のラジカルRによって置換され得る、
ここで、一以上の隣接しないCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、S又はCONRによって置換され得る、及び、
ここで、一以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN又はNOによって置換され得る、
5から60の環原子を有する単環式又は多環式の芳香族の又は複素環式芳香族の環構造、
これは、それぞれ一以上のラジカルRによって置換され得る、
5から60の芳香環原子を有するアリールオキシ又はヘテロアリールオキシ基、
これは、一以上のラジカルRによって置換され得る、及び、
それらの基の組合せ;又は
ZがNに相当する場合、RはさらにOに相当し得、この場合アミン酸化物が形成される;
は、出現する毎に同じであるか又は異なって、5から30の環原子を有する単環式又は多環式の芳香族の又は複素環式芳香族の環構造であり、一以上のH原子はD、F、Cl、Br、I、CN又はNOによって置換されてよく、ここで、二つの隣接するRがそれぞれ芳香族の又は複素環式芳香族の環構造を形成する場合、それら二つの環構造は、単結合又は二価のユニットGによって互いに結合され得る;
は、出現する毎に同じであるか又は異なって、以下から成る群から選択される
直鎖C1−20−アルキル基又は分枝の又は環式のC3−20−アルキル基、
又は、
二つの隣接するRは、それらが結合している原子と共に、5、6、7又は8員の脂肪族環を形成する、
ここで、一以上の環CH基は、O、S又はNRによって置換され得る;
は、出現する毎に同じであるか又は異なって、以下から成る群から選択される:H、D、それぞれの場合に一以上のH原子がD、F、Cl、Br、I、CN又はNOによって置換され得る、直鎖C1−20−アルキル基又は分枝の又は環式のC3−20−アルキル基、一以上のH原子がD、F、Cl、Br、I、CN又はNOによって置換され得る、5から30の環原子を有する単環式又は多環式の芳香族の又は複素環式芳香族の環構造、ここにおいて、二つの隣接するRがそれぞれ芳香族の又は複素環式芳香族の環構造を形成する場合、それらの二つの環構造は互いに結合され得る、又は、二つの隣接するRは、それらが結合している原子と共に、5、6、7又は8員の脂肪族環を形成する、
ここにおいて、一以上の環CH基は、O、S又はNHによって置換され得る;
Gは、C(R−、C(R−C(R、C=O、NR、PR、O及びSから成る群から選択される二価のユニットを表す;
nは、出現する毎に同じであるか又は異なって、0又は1である;
mは、複合体の電荷を示し、+4、+3、+2、+1、0、−1、−2、−3又は−4であり得る;
は、任意の望ましい対イオンであり、ここでqはAの電荷を表し、−4、−3、−2、−1、0、+1、+2、+3又は+4であり得る;
pは0、1、2、3又は4である;
sは0又は1であり、ここで、s=0の場合、さらなる基Rも対応するZに結合され、基Rも対応するXに結合される。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物であって、前記金属Mは遷移金属又は遷移金属イオンであり、特に、Mo、W、Ru、Os、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au及びZnから成る群から選択されることを特徴とするか、又は、金属Mは、主族金属又は主族金属イオンであり、特に、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Al、Ga及びInから成る群から選択されることを特徴とする化合物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の化合物であって、ユニットCyは、それぞれ5から16の環原子を有するアリール又はヘテロアリール基又は環式のカルベンであり、好ましくは、それぞれ一以上のラジカルRによって置換され得る、フェニル、ナフチル、アントラシル、フェナントリル、ビフェニル、ピリジル、1,3−ジアゾリル、1,3−ジアゾシクロペンチル及びベンゾ−1,3−ジアゾリルから成る群から選択されることを特徴とする化合物。
【請求項4】
請求項1〜3の一以上に記載の化合物であって、ユニットArは、それぞれ一以上のラジカルRによって置換され得る、フェニル、ナフチル、アントラシル、フェナントリル及びピリジルから成る群から選択されるユニットであることを特徴とする化合物。
【請求項5】
請求項1〜4の一以上に記載の化合物であって、式Iの化合物は下式IIの化合物である:
【化2】

ここで、記号M、L、X、Z、A、R及びR及び指数n、m、p、q及びsは、上記請求項において定義されたものと同じ意味を有し、他の記号は以下の意味を有する:
Yは、出現する毎に同じであるか又は異なって、CR又はNである;又は、この環において基Wが結合を表す場合、環あたり正確に一つのYはNR、S又はOである;
Wは、出現する毎に同じであるか又は異なって、Wに結合した二つのYの間に共有結合が形成されるように存在しないか、又は、CR又はNである、但し、Y=W−Yから形成されるユニットからの最大二つの代表は、窒素原子であってよい;
は、出現する毎に同じであるか又は異なって、H、D、F、Cl、Br、I、CN、NO、一以上のH原子がFによって交換され得るC1−10−アルキル基、それぞれが一以上のC1−6−アルキル基を置換基として保有し得るC6−18−アリール基又はC1−18−ヘテロアリール基、5から18員のヘテロアリール基、C1−10−アルコキシ基、C6−18−アリールオキシ基及び5から18員のヘテロアリールオキシ基から成る群から選択されるか、又は、隣接する位置における二つのRは互いに二価の基−CR=CR−CR=CR−を形成するか、又は、隣接する位置における二つのRは、互いに結合して脂肪族環構造を形成する;
は、出現する毎に同じであるか又は異なって、H、D、F、Cl、Br、I、CN、NO、一以上のH原子がFによって置換され得るC1−10−アルキル基、置換基としてC1−6−アルキル基を保有し得るC6−18−アリール基、5から18員のヘテロアリール基、C1−10−アルコキシ基、C6−18−アリールオキシ基及び5から18員のヘテロアリールオキシ基から成る群から選択されるか、又は、隣接する位置における二つのRは互いに二価の基−CR=CR−CR=CR−を形成する;
は、出現する毎に同じであるか又は異なって、H、D、F、Cl、Br、I、CN、NO、一以上のH原子がFによって置換され得るC1−10−アルキル基、置換基としてC1−6−アルキル基を保有し得るC6−18−アリール基、5から18員のヘテロアリール基、C1−10−アルコキシ基、C6−18−アリールオキシ基及び5から18員のヘテロアリールオキシ基から成る群から選択される。
【請求項6】
請求項1〜5の一以上に記載の化合物であって、式Iの化合物は下式III、IV又はVの化合物である:
【化3】

ここで、記号M、L、X、Y、Z、A、R及びR及び指数n、m、p、q及びsは、上記請求項において定義されたものと同じ意味を有し、Yは、好ましくは、出現する毎に同じであるか又は異なって、CRである;
【化4】

ここで、記号M、L、Y、Z、A、R及びR及び指数n、m、p、q及びsは、上記請求項において定義されたものと同じ意味を有し、破線は、一重の共有結合又は二重の共有結合の何れかを表し、ここで、破線が一重の共有結合を表す場合、UはそれぞれCH又はC(Rユニットであり、破線が二重の共有結合を表す場合、UはCRユニットであり、ここで、R及びRは上記請求項において定義された通りである;
【化5】

ここで、記号M、L、Z、X、A、R及びR及び指数n、m、p、q及びsは、上記請求項において定義されたものと同じ意味を有し、UはCRに相当し、ここでRは上記請求項で定義された通りである。
【請求項7】
請求項1〜6の一以上に記載の化合物であって、金属に配位する記号XはNに相当し、ZはNに相当し、Rは非結合電子対であり、及びMはPtに相当することを特徴とするか、又は、金属に配位する記号XはCに相当し、MはPtに相当することを特徴とする化合物。
【請求項8】
請求項1〜9の一以上に記載の化合物であって、リガンドLは、出現する毎に同じであるか又は異なって、以下からなる群から選択されることを特徴とするか:
CO、NO、SH、OH、カルベン、イソニトリル、アミン、ホスフィン、ホスファイト、アルシン、スチビン、窒素含有複素環、水素化物、重水素化物、F、Cl、Br、I、アルキルアセチリド、アリールアセチリド、ヘテロアリールアセチリド、シアニド、シアナート、イソシアナート、チオシアナート、イソチオシアナート、脂肪族又は芳香族アルコラート、脂肪族又は芳香族チオアルコラート、アミド、カルボキシレート、陰イオン性の窒素含有複素環及び陰イオン性の芳香族化合物;
又は、R及びLは、以下から成る群から選択されるユニットを共に形成することを特徴とする化合物:
【化6】

ここで、* によって示される位置は金属Mに配位する。
【請求項9】
請求項1〜8の一以上に記載の一以上の化合物を含むオリゴマー、ポリマー又はデンドリマーであって、式I、II、III、IV又はVの化合物から前記ポリマー、オリゴマー又はデンドリマーに一以上の結合が存在する、オリゴマー、ポリマー又はデンドリマー。
【請求項10】
一般式Iaの化合物:
【化7】

ここで、用いられた記号及び指数は、上記請求項において定義されたものと同じ意味を有し、Eは、出現する毎に同じであるか又は異なって、CH又はNである。
【請求項11】
請求項1〜10の一以上に記載の化合物の調製方法であって、遊離のリガンドを対応する金属塩と反応させて前記複合体を得ることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1〜10の一以上に記載の化合物の使用であって、電子デバイス、特に、有機エレクトロルミネッセンスデバイス(OLED)又は高分子エレクトロルミネッセンスデバイス(PLED)、有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスター(O-FET)、有機薄膜トランジスター(O-TFT)、有機発光トランジスター(O-LET)、有機太陽電池(O-SC)、有機光検出器、有機光レセプター、有機フィールドクエンチデバイス(O-FQD)、発光電気化学セル(LEC)又は有機レーザーダイオード(O-lasers)における使用、さらに特には、有機エレクトロルミネッセンスデバイス(OLED、PLED)における使用。
【請求項13】
請求項1〜10の一以上に記載の化合物の少なくとも一つを含む層。
【請求項14】
請求項1〜10の一以上に記載の化合物の一以上を含む、電子デバイス、特に、有機エレクトロルミネッセンスデバイス又は高分子エレクトロルミネッセンスデバイス(OLED、PLED)、有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスター(O-FET)、有機薄膜トランジスター(O-TFT)、有機発光トランジスター(O-LET)、有機太陽電池(O-SC)、有機光検出器、有機光レセプター、有機フィールドクエンチデバイス(O-FQD)、発光電気化学セル(LEC)又は有機レーザーダイオード(O-lasers)、さらに特には、有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項15】
請求項14に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイスであって、請求項1〜10の一以上に記載の化合物を、発光層における発光化合物として又は電荷輸送層又は電荷注入層における電荷輸送化合物として使用することを特徴とするデバイス。
【請求項16】
請求項1〜10の一以上に記載の化合物の一以上及び少なくとも一つの溶媒を含む調合物。

【公表番号】特表2012−520241(P2012−520241A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−553306(P2011−553306)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【国際出願番号】PCT/EP2010/000913
【国際公開番号】WO2010/102709
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(597035528)メルク パテント ゲーエムベーハー (209)
【Fターム(参考)】