説明

有機半導体の溶液

本発明は、少なくとも3つの異なる有機溶媒A、BおよびCの溶媒混合物中の、少なくとも1種の高分子成分を含有する少なくとも1種の有機半導体の溶液に関する。本発明は、溶媒AとBが、有機半導体の良溶媒であり、溶媒Cが、有機半導体の貧溶媒であり、および溶媒の沸点(Sdp.)について、Sdp.(A)<Sdp.(C)<Sdp.(B)が当てはまることを特徴とする。また、本発明は、とりわけ電子産業において、基板上に有機半導体の層を製造するための、印刷方法における上記溶液の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、有機半導体の溶液、および電子産業におけるその使用に関する。
【0002】
機能性材料としての有機半導体の使用は、最も広い意味において電子産業とされ得る数多くの様々なアプリケーションにおいて、かねてから実現しており、または近い将来に予想される。中でも、有機電荷輸送材料(一般的にトリアリールアミンに基づく正孔輸送体)は、既に、コピー機において何年にも渡って用いられている。有機トランジスタ(O−TFT、O−FET)、有機集積回路(O−IC)、有機太陽電池(O−SC)の開発は、既に、研究段階において確実に前進しており、従って、市場への導入が、ここ数年内に期待され得る。有機エレクトロルミネセンスデバイス(OLED)の場合においては、例えば、「有機ディスプレイ」を有する、パイオニア社製のカーラジオまたはコダック社製のデジタルカメラにより確認されるように、市場への導入が既に行われている。ポリマー発光ダイオード(PLED)の場合においては、フィリップスN.V.社製のシェーバーの小さなディスプレイの形態で、第1の製品を市場で入手することができる。このようなPLEDの一般的な構造は、WO 90/13148 に示されている。あらゆる進歩にも関わらず、これらのディスプレイを、現在市場を支配する液晶ディスプレイ(LCD)の真の競合物とするために、またはこれらを凌ぐためには、かなりの改善が未だに必要である。
【0003】
フルカラーディスプレイデバイスを得るためには、空間的に分離された様式で、三原色(赤、緑、青)を適用することができるコーティング方法を開発することが必要である。ポリマーは溶液から一般的に塗布されるため、印刷方法が一般に好まれる手段である。良好な制御性、達成可能な解像度、および大きな可変性のために、現在のところ取り組まれているのは、主に、インクジェット印刷(IJP)法である。しかしながら、原則としては、例えば、オフセット印刷法、転写法、またはグラビア印刷法のような他の印刷方法も適している。
【0004】
PLEDの製造のためのインクジェット印刷法、および対応するディスプレイは、既に多数記載されている。
【0005】
EP 0880303 は、PLEDの製造のためのIJPの使用を初めて記載している。この出願によれば、有機ルミネセンス材料の溶液は、フォトリソグラフィーにより調製される区分化された基板および陽極に、IJPにより塗布される。異なる溶液の使用は、異なる着色画素(画像素子)を生成することを可能にする。この出願は、殆ど原理を記載することに向けられており、実際の手法およびプロセスにおいて解決すべき問題を示す技術的な教示を与えることには殆ど向けられていない。つまり、3つのかなり対象に向けられた配合は別として、対応する溶液の濃度および調製に関する教示はない。溶液は、1Jプリントヘッドのノズルプレートの材料に対して30〜170°の接触角を有する必要があったということのみが明確に述べられている。さらに、溶液の粘度は、1〜20mPa・s(cps)である必要があり、および表面張力は、20〜70dyn/cmである必要があった。
【0006】
この広い接触角は、ノズルプレートが相当するように調製されるという条件でのみ、実質的に全ての溶液または溶媒について実際には存在するために、これらの詳細は、適切な補足または教示を技術的に示していない。示される粘度範囲も、同様に、実質的に純粋な溶媒で既に始まっており(ちなみに、純トルエンは、約0.6mPa・sを有し、それに比べてテトラリンは、既に、約2mPa・sを有している)、用いられる有機化合物の分子量次第で、非常に高濃度の範囲にまで拡張する。最後に、示される表面張力範囲も、真の限定を与えない。用いることができる殆どの有機溶媒は、定まった範囲における値を有し、これらの値は、ポリマーの溶解のために大きく変化しない。
【0007】
しかしながら、IJPによる有機フィルムまたは画素の製造は、未だに満足に解決されておらず、上記の出願においても考慮されないままである多くの問題を示す。
【0008】
問題1:過度に高い蒸気圧、すなわち、かなりの低沸点を有する溶媒は、IJ溶液が、ノズル上の、またはノズルプレート上のプリントヘッド中で乾燥するという結果をもたらす。このことは、ノズルが詰まり始め、および印刷プロセスが再生されることが困難となるという結果をもたらす。このタイプのシステムは、工業的製造に不適切である。
【0009】
問題2:IJ溶液が種々の原料を含む(配合物)である場合に、溶液の乾燥の間に、これらの物質のうちの1種が最初に析出するということが起こり得る。このことは、形成された画素における種々の材料の不均一な分布をもたらす。このように不均一である画素は、OLEDにおけるデバイス性質のかなりの障害を示す。
【0010】
問題3:基板上のIJ溶液の個々の液滴の乾燥の間、形成された画素の層の厚さが、大いに変化するということが起こり得る。概して、画素の端は、画素の中央よりもかなり高い。このことは、PLEDにおける画素内の不均一な光度、および画素の種々の領域の異なる劣化をもたらす。
【0011】
問題4:溶液が、印刷された画素において非常にゆっくりと乾燥する場合、または乾燥工程中、粘度が比較的に殆ど変化しない場合には、基板の移動中(工業IJPにおいて、基板は、一般的に一方向に運ばれ、プリントヘッドは、これに垂直に動く)、溶液が、画素の境界(画素は、一般的に、フォトリソグラフィー法により生成された壁により境界を定められる)を越えて流れるということが起こり得る。とりわけ、異なる色の溶液が混ざることを引き起こす場合に、インクの混合は有害である。望ましくない層の厚さのばらつきと、これに伴う不均一性は、常に、再生できない発光挙動をもたらす。
【0012】
問題5:最適なデバイス性質を得るために、堆積したフィルムから出来る限り完全に溶媒を除去することが必要である。溶媒が、過度に低い蒸気圧(すなわち、かなり高い沸点)を有する場合に、このことは、仮に可能であるとしても、かなりの技術的な複雑さをもってのみ可能である。
【0013】
問題6:印刷された画素における溶液が非常に速く乾燥する場合に、有機半導体が、溶液から析出し得るという危険が存在する。このことは、形成されたフィルムの不均一性をもたらし、従って、エレクトロルミネセンスにおける不均一性をもたらす。
【0014】
上記の問題1を解決するために、WO 00/59267 において、溶媒として、置換基中少なくとも3つのC原子を有する置換ベンゼン誘導体を用いることが提案されている。ここでは、沸点が少なくとも200℃である溶媒が好ましい。しかしながら、特に好ましいものとして教示される溶媒のドデシルベンゼンは、約300℃の沸点を有する。さらに、少なくとも2種の溶媒の混合物が提案されており、ここで、第1のものは、上記の性質を有しており、および第2のものは、より低い沸点を有し得るが、この場合も、少なくとも140℃である。しかしながら、例えば、トルエン(b.p.111℃)、クロロホルム(b.p.61℃)および四塩化炭素(b.p.76℃)のようなかなり低めの沸点を有する溶媒もまた、ここで述べられているために、この側面は不明瞭である。
【0015】
これらの溶液は、以下の問題解決を提供するということが意図される。先ず第一に、高沸点溶媒は、プリントヘッドにおいて溶液が乾燥することを妨げる(問題1の解決)。画素を均一化するために(問題2の解決)、およびとりわけ、除去が困難である高沸点溶媒を除去するために、後処理が提案される。ここでは、画素は、40〜200℃の温度にまで加熱される。これは、再び均一な溶液を生成するために、2〜100barの過剰の圧力のもとで最初は行われる。全ての溶媒が除去されるまで、状態調節を減圧下でその後も続ける。
【0016】
WO 00/59267 による解決提案は、難しい技術的な問題を有する。溶媒の完全な除去は、良好なデバイス性質について必須であるが、工業プロセスにおいて、とりわけ、好ましい高沸点溶媒(例えば、ドデシルベンゼン b.p.≒300℃)の場合に非常に複雑であり、達成するには非常に困難である。均一化について説明される指標(高圧、状態調節、真空度)は、プラントの技術的および金銭的な問題のために、工業的な大量生産にあまりに適していない。上記の混合溶媒(例えば、クロロホルム、四塩化炭素)のいくつかは、有毒であり、発ガン性を有する疑いさえあり、従って回避すべきである。
【0017】
EP 1103590 は、印刷方法によるエレクトロルミネセンスデバイスの有機層の製造のための溶液を記載しており、ここで、少なくとも1種の溶媒は、塗布温度において500Pa未満の蒸気圧を有する。このことは、層が、より高い蒸気圧を有する溶媒の場合と比べて、より良く印刷されることを可能にする。この明細書中に記載される唯一の印刷方法は、コーティング液を、移動基板に移動させ、そこから基板に移動する方法である。これは、インクジェット印刷方法を除外する。このタイプの溶液を、上記の問題を打開するために、IJPのために用いることができる好ましい態様であるかどうか、またはこの中に好ましい態様があるかということが、明細書から明らかではない。
【0018】
WO 01/16251 は、エレクトロルミネセンスデバイスにおけるポリマー層の製造のための配合を記載しており、ここで、溶媒は、少なくとも、テルペンまたはポリアルキル化された芳香族化合物のいずれかを含む。このような溶液は、実質的には変化しない光ルミネセンス挙動を伴う高い安定性を示すということが利点として記載されている。印刷プロセス中の、またはフィルム形成中のこれらの配合物自体の性質は記載されておらず、従って、上記の問題はこの発明により解決されないということを想定せざるを得ない。
【0019】
WO 02/069119 は、乾燥した液滴内の材料の不均一分布をどのように改善するかということを記載している(問題3の解決)。この目的のために、2種の溶媒の混合物が用いられ、ここで、第1のものは、比較的に高い沸点を有し、且つ材料を比較的不十分に溶解し、および第2のものは、比較的低い沸点を有し、且つ材料を比較的よく溶解する。より揮発性の溶媒の迅速な蒸発は、乾燥中の材料の飽和溶液の形成を引き起こし、これは続いて迅速に析出する。このことは、画素の端に向かう材料の放射状流を防止し、比較的均一な材料分布を促進する。しかしながら、この方法は、材料が均一に乾燥せずに、代わりに、析出物を形成し、これは、フィルムのかなりの不均一性をもたらすという決定的な不利な点を示す。US 2003/0127977 は、例えば、SEM(走査電子顕微鏡検査)により、乾燥中材料が析出する場合に、フィルムが不十分な性質を示すということを示している。結果として、画素からの一定の、および均一なエレクトロルミネセンスは不可能である。さらに、フィルムの不規則さは、一定の電流フローが不可能であることを意味する。このことは、優先される電流伝達経路の形成をもたらし、これは、最終的に、短い回路、従って、デバイスのかなり低い安定性をもたらすということが想定されることとなる。
【0020】
WO 02/072714 は、2種の(または3種の)溶媒の混合物における溶液を提案し、ここで、双方の溶媒は、200℃未満の沸点を有し、および1種の溶媒は、140℃〜200℃の沸点を有しており、これは、さらに、ベンジル型CHおよびCH基を含まず、および芳香族溶媒の置換基についてのある種の制約を有する。つまり、溶媒残さを、ポリマーフィルムから、高沸点溶媒を伴って可能であるものよりも、より容易に除去することができる。溶液が迅速に濃くなる場合に特に有利であるとして記載されている。このことは、有機半導体が、最も高い沸点を有する溶媒において最も低い溶解度を有するか、または、有機半導体がこの溶媒において非常に濃いかゲル状である2成分または3成分溶媒混合物を用いることにより達成される。続いて、材料が析出することなしに濃化する間、粘度の迅速な上昇が起こる。非常に優れた進歩が、その結果既に達成された。しかしながら、さらなる改善が、完全に均一な層を形成するために、および問題3または6を完全に打開するためになお必要であり、乾燥中さらにより迅速に濃化する、利用できる溶液を手に入れることが望まれ得る。
【0021】
US 2003/0127977 は、30dyn/cm未満の表面張力、および200℃よりも高い沸点を有する溶媒における溶液を記載している。三成分溶媒系が記載され、ここで、ポリマーは、1種の溶媒において1%よりも高い溶解度を有し、第2の溶媒は、0.1未満の蒸発速度を有し、および第3の溶媒は、30dyn/cm未満の表面張力を有する。これは、SEM(走査型電子顕微鏡検査法)写真において不均一性をもはや示さない、均一なポリマー表面を与える。比較すると、エレクロトルミネセンスにおける問題をもたらす不均一な表面は、乾燥工程中に、ポリマーが溶液から析出する場合に得られる。しかしながら、この明細書中には、上記した他の問題を、とりわけ、画素中心および端の間の異なる材料分布(問題3)を、この発明によりどのように打開すればよいのかということを記載していない。
【0022】
上記の問題1〜6は、これまで、満足に解決されていないということが、これらの記載から明らかである。従って、本発明の目的は、これについての技術的な改善を提供することである。
【0023】
本発明は、
・少なくとも1種の高分子量成分を含む少なくとも1種の有機半導体、および
・少なくとも1種の有機溶媒A、および
・少なくとも1種の有機溶媒B、および
・少なくとも1種の有機溶媒C
を含む単一相の液体組成物(溶液)であって、
・溶媒Aは、有機半導体の良溶媒であり、
・溶媒Bは、有機半導体の良溶媒であり、
・溶媒Cは、有機半導体の貧溶媒であり、および
・溶媒A、BおよびCの沸点(b.p.)について、b.p.(A)<b.p.(C)<b.p.(B)が当てはまり、および/または溶媒A、BおよびCのコーティング法の温度におけるそれぞれの部分蒸気圧(p)について、p(A)>p(C)>p(B)が当てはまる
ことを特徴とする単一相の液体組成物に関する。
【0024】
工業的なプロセスにおけるコーティング法の温度は、一般的に、10〜80℃、好ましくは15〜50℃、特には20〜40℃の範囲にある。
【0025】
本明細書の目的のために、溶液は、液体溶媒中の固体物質の、液体の、均一な混合物であり、ここで、固体は分子的に分散した溶解形態にあり、すなわち、固体の分子の大部分は実際に溶解しており、凝集またはナノ粒子若しくはミクロ粒子の形態にはない。
【0026】
本発明の目的のために、有機溶媒とは、物理的な手段により他の物質を溶液中に導入することができ、ここで、溶解するまたは溶解される物質が、溶解工程中化学的に変化することのない有機物質を意味するものと意図する。
【0027】
本発明の目的のために、良溶媒とは、有機半導体が、透明な、流動性を有する溶液の形成を伴って、室温および大気圧において、少なくとも5g/lの濃度で可溶である有機溶媒を意味するものと意図する。
【0028】
本発明の目的のために、貧溶媒とは、有機半導体が、透明な溶液を与えない、すなわち、室温および大気圧で、上記した濃度において凝集するかゲルを形成する有機溶媒を意味するものと意図する。室温および大気圧での貧溶媒における有機半導体の溶解度は、好ましくは3g/l未満、特に好ましくは1g/l未満、とりわけ0.3g/l未満である。
【0029】
本発明の目的のために、室温は20℃であり、および大気圧は、1013mbarを意味する。
【0030】
本発明は、さらに、基板上に有機半導体の層を生成するための、本発明による溶液の使用に関する。
【0031】
ここでの好ましい態様は、有機半導体の層の生成のために印刷法を用いることである。インクジェット印刷(IJP)法を用いることが、ここでは特に好ましい。
【0032】
本発明は、さらに、本発明による溶液を用いて製造された有機半導体の層に関する。
【0033】
それ自体知られる有機半導体の層は、文献に既に記載されている。本発明による溶液から製造される層は、今日まで記載されたものと比べて、改善された形態的な性質を示す(このことは、とりわけ、例1.4において確認される)。とりわけ、コーティング領域(例えば、個々の画素)に渡る層の厚さの不変さ、有機半導体の配合物または混合物の使用においても、層および表面の均一性、並びにいわゆるピンホール(致命的なデバイス損傷をもたらし得る、半導体層における微視的に小さい穴)が存在しないことは、本発明による溶液の改善された塗布性質により、かなりより一層高まる。
【0034】
本明細書の目的のために、有機半導体とは、固体若しくは層として、半導体性質を有する、すなわち、伝導帯と価電子帯との間のエネルギーギャップが、0.1〜4eVである
低分子量、オリゴマー、樹枝状またはポリマーの有機化合物若しくは有機金属化合物、または化合物の混合物を意味するものと解釈される。
【0035】
ここで用いられる有機半導体は、1種の高分子量成分を含むのみである純粋な成分であるか、2種以上の成分の混合物であり、このうちの少なくとも1種は、半導体性質を有する必要がある。しかしながら、混合物を使用する場合には、それぞれの成分が半導体性質を有する必要はない。つまり、例えば、不活性な低分子量化合物を、半導体ポリマーと組み合わせて用いることができる。半導体性質を有する1種以上の低分子量化合物と共に、不活性なマトリックスまたはバインダとして働く非伝導性ポリマーを用いることも、同様に可能である。
【0036】
オリゴマー、ポリマーまたは樹枝状であり得る高分子量成分は、3000g/モルを超える、好ましくは10,000g/モルを超える、特に好ましくは50,000g/モルを超える分子量Mを有する。
【0037】
本明細書の目的のために、潜在的に混合された非伝導性成分を、電気光学的に不活性な(inactive)、不活性な(inert)パッシブ化合物(passive compound)を意味すると解釈する。
【0038】
ポリマーの有機半導体(これは、さらなる混合物質を含み得る)の溶液が好ましい。本記載の目的のために、ポリマーの有機半導体とは、とりわけ、
(i)EP 0443861、WO 94/20589、WO 98/27136、EP 1025183、WO 99/24526、DE 19953806、および EP 0964045 に開示される、有機溶媒に可溶である置換されたポリ−p−アリーレンビニレン(PAV)、
(ii)EP 0842208、WO 00/22027、WO 00/22026、DE 19981010、WO 00/46321、WO 99/54385 および WO 00/55927 に開示される、有機溶媒に可溶である置換されたポリフルオレン(PF)、
(iii)EP 0707020、WO 96/17036、WO 97/20877、WO 97/31048、WO 97/39045、および WO 03/020790 に開示される、有機溶媒に可溶である置換されたポリスピロビフルオレン(PSF)、
(iv)WO 92/18552、WO 95/07955、EP 0690086、EP 0699699 および WO 03/099901 に開示される、有機溶媒に可溶である置換されたポリ−パラ−フェニレン(PPP)またはポリ−パラ−ビフェニレン、
(v)DE 10337346.2 に開示される、有機溶媒に可溶である置換されたポリジヒドロフェナントレン(PDHP)、
(vi)WO 04/041901 および EP 03014042.0 に開示される、有機溶媒に可溶である置換されたポリ−トランス−インデノフルオレンおよびポリ−シス−インデノフルオレン(PIF)、
(vii)EP 1028136 および WO 95/05937 に開示される、有機溶媒に可溶である置換されたポリチオフェン(PT)、
(viii)T.ヤマモト等、J. Am. Chem. Soc. 1994, 116, 4832 に開示される、有機溶媒に可溶であるポリピリジン(PPy)、
(ix)ゲリング(Gelling)等、Polym. Prepr. 2000, 41, 1770 に開示される、有機溶媒に可溶であるポリピロール、
(x)例えば、WO 02/077060 に記載される、クラス(i)〜(ix)の2以上からの構造単位を含む、置換された可溶なコポリマー、
(xi)Proc. of ICSM'98, Part I & II(in:Synth. Met. 1999, 101/102)に開示される、有機溶媒に可溶である共役ポリマー、
(xii)R.C.ペンウェル(Penwell)等、J. Polym. Sci., Macromol. Rev. 1978, 13, 63-160 に開示される、置換されたおよび無置換のポリビニルカルバゾール(PVK),および
(xiii)例えば、JP 2000-072722 に開示される、置換されたおよび無置換のトリアリールアミンポリマー、
(xiv)例えば、EP 1245659、WO 03/001616、WO 03/018653、WO 03/022908、WO 03/080687、EP 1311138、WO 03/102109、WO 04/003105、WO 04/015025、および既に上に挙げた明細書のいくつかに開示される、リン光を発する単位を含む可溶性ポリマー
を意味すると解釈する。
【0039】
これらのポリマー有機半導体を、本明細書の一部として本願に援用する。
【0040】
さらに、低分子量、オリゴマー、樹枝状若しくはポリマーの有機半導体および/または有機金属半導体を含む非伝導性ポリマー(マトリックスポリマー)の溶液も好ましい。
【0041】
本発明による溶液は、0.01〜20重量%の、好ましくは0.1〜15重量%の、特に好ましくは0.2〜10重量%の、非常に特に好ましくは0.25〜5重量%の有機半導体または対応する配合物を含む。
【0042】
本発明による溶液の粘度は可変である。しかしながら、ある種のコーティング技術は、ある粘度範囲の使用を必要とする。中でも、約4〜25mPa・sの範囲が、IJPによるコーティングに必要に応じて与えられる必要がある。しかしながら、他の印刷法、例えば、グラビア印刷法については、例えば、20〜500mPa・sの範囲におけるかなりより高い粘度が、利点を生じさせることがもっぱら見込まれる。粘度を、有機半導体またはマトリックスポリマーの適切な分子量範囲の選択を通じて、並びに適切な濃度範囲の選択および溶媒の選択を通じて調整することができる。
【0043】
本発明による溶液の表面張力は、初期は制限されない。しかしながら、対応する溶媒混合物の使用および塗布を通じて、これは、一般的に、20〜60dyn/cmの範囲に、好ましくは25〜50の範囲に、非常に特に好ましくは25〜40dyn/cmの範囲にあるであろう。
【0044】
本発明による溶液は、上記したように、少なくとも3つの異なる有機溶媒A、BおよびCを含み、この溶媒AおよびBは、有機半導体の良溶媒であり、溶媒Cは、有機半導体の貧溶媒であり、ここで、さらに、以下が溶媒の沸点(b.p)について適用され、すなわち、b.p(A)<b.p.(C)<b.p.(B)であり、また以下が、溶媒A、BおよびCのコーティング法の温度における個々の蒸気圧(p)について適用され、すなわち、p(A)>p(C)>p(B)である。
【0045】
全ての溶媒A、BおよびCの沸点が、80℃よりも高い、好ましくは100℃よりも高い、特に好ましくは120℃よりも高いことが、ここでは好ましい。この好ましさを伴って既に達成されているさらなる技術的な制限は、例えば、クロロホルム(b.p.61℃)、四塩化炭素(b.p.77℃)、およびベンゼン(b.p.80℃)に相当する、有毒で、発ガン性であることが示されているいくつかの溶媒の回避である。
【0046】
140℃よりも高い沸点を有する少なくとも1種の溶媒Bが、好ましくは存在する。この制限は、より低い沸点を有する溶媒を使用すると、ノズルの乾燥が、印刷操作の完了後数秒内に起こるということが示されているために、技術的に適切である。この値が、少なくとも約10秒であれば、乾ききることを、適切な技術的な手段により回避することができる(例えば、プリントヘッドは、待機場所に移動し、ノズルは、キャップを用いて機械的に封じられる)。
【0047】
さらに、全ての溶媒A、BおよびCの沸点は、好ましくは、300℃未満、好ましくは270℃未満若しくは270℃、特に好ましくは250℃未満若しくは250℃である。高沸点溶媒の場合には、フィルム形成後の残留溶媒を、困難さ、およびかなりの技術的な複雑さをもってしか、完全に除去することができない。
【0048】
この明細書において、沸点とは、大気圧(1013mbar)下での沸点を言う。
【0049】
全ての溶媒A、BおよびCの融点は、好ましくは、15℃未満若しくは15℃である。ある状況下(調製および使用の間)での溶液は、何日〜何ヶ月に渡って貯蔵されるか、または場合により輸送される必要があるために、このような融点は適切である。溶液が、このように安定なままであり、および貯蔵、輸送および/または比較的小さな温度変化の間、凍結することがなく、または他の不都合な貯蔵および/または輸送ダメージを被ることがないということを、確実にする必要がある。
【0050】
溶媒Aと溶媒Cの沸点の差が、5Kよりも大きい、好ましくは10Kよりも大きい、特に好ましくは20Kよりも大きいことが、さらに、好ましい。さらに、溶媒Cと溶媒Bの沸点の差が、5Kよりも大きい、好ましくは10Kよりも大きいことが好ましい。
【0051】
互いに対する溶媒A、BおよびCの比は、広い範囲に渡って変化し得る。しかしながら、最良の結果を達成するために、溶媒Aを、10〜80体積%、好ましくは20〜70体積%、特に好ましくは25〜60体積%、とりわけ25〜50体積%の割合で用いるべきである。さらに、溶媒Bを、0.5〜40体積%、好ましくは1〜30体積%、特に好ましくは2〜20体積%、とりわけ3〜15体積%の割合で用いるべきである。さらに、溶媒Cを、10〜90体積%、好ましくは20〜80体積%、とりわけ30〜70体積%の割合で用いるべきである。個々の溶媒混合物の割合の全部のパーセントは、ここでは、常に、合計100%になる。
【0052】
溶媒A、BおよびCに加えて、他の良溶媒および/または貧溶媒を用いることも、また、適切であろう。従って、それぞれのケースにおいて、タイプAおよび/またはタイプBおよび/またはタイプCの2以上の溶媒を用いることが、非常に適切であり且つ好ましく、何故なら、それによって、さらなる必須パラメータに対する最適化(例えば、表面張力、粘度等の適合)が、いくつかの場合には、各タイプのただ1種のみを用いる場合と比べて、達成されるのにより簡単であり得るためである。
【0053】
さらに、有機半導体または配合物に加えて、例えば、WO 03/019693 に記載されるような、さらなる添加物を加えることも適切であり得る。
【0054】
例えば、アルデヒド含有溶媒、ニトロ化芳香族、ニトロ化芳香族、およびリン含有溶媒(溶液の乏しい安定性)の使用、並びにスチレン誘導体または他の反応性オレフィン(溶媒の重合傾向)の使用は、不利であることが判明した。
【0055】
幅広い範囲の有機半導体の良溶媒であることが判明した好ましい溶媒AおよびBは、一置換または多置換の芳香族溶媒、とりわけ、置換されたベンゼン、ナフタレン、ビフェニルおよびピリジンである。好ましい置換基は、アルキル基(これは、フッ素化されていてもよい)、ハロゲン原子(好ましくは、塩素およびフッ素)、シアノ基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基(好ましくは4を超えないC原子を有するもの)、またはエステル基である。特に好ましい置換基は、フッ素、塩素、シアノ、メトキシ、エトキシ、メチル、トリフルオロメチル、炭酸メチル、炭酸エチルおよび/または炭酸プロピルであり、ここで、複数の異なる置換基が、存在していてもよい。しかしながら、例えば、ギ酸誘導体、N−アルキルピロリドン、または高沸点エーテルのような非芳香族溶媒もまた、良溶媒として適切である。
【0056】
特に好ましい溶媒Aおよび/またはBは、以下の表1に示される100〜300℃の沸点を有する溶媒である。
【0057】
加えて、コーティング法の特に好ましい温度範囲における蒸気圧が、述べられるいくつかの溶媒について含まれる。しかしながら、特に適切な溶媒を、各有機半導体について別個に決定する必要があり、従って、この表は、一般的な評価の基準を与えるのみであり得る。
【0058】
表1:特に好ましい良溶媒AおよびB
【表1−1】

【表1−2】

表1に挙げた溶媒は、網羅性のいかなる主張をするものであってはならない。本発明による溶液の調製は、当業者には、さらなる発明を必要とせずに、ここに明示的に述べない他の溶媒を伴って容易に可能である。
【0059】
溶媒AおよびBとして、3−フルオロベンゾトリフルオリド、ベンゾトリフルオリド、ジオキサン、トリフルオロメトキシベンゼン、4−フルオロベンゾトリフルオリド、3−フルオロピリジン、トルエン、2−フルオロトルエン、2−フルオロベンゾトリフルオリド、3−フルオロトルエン、ピリジン、4−フルオロトルエン、2,5−ジフルオロトルエン、1−クロロ−2,4−ジフルオロベンゼン、2−フルオロピリジン、3−クロロフルオロベンゼン、1−クロロ−2,5−ジフルオロベンゼン、4−クロロフルオロベンゼン、クロロベンゼン、2−クロロフルオロベンゼン、p−キシレン、m−キシレン、o−キシレン、2,6−ルチジン、2−フルオロ−m−キシレン、3−フルオロ−o−キシレン、2−クロロベンゾトリフルオリド、ジメチルホルムアミド、2−クロロ−6−フルオロトルエン、2−フルオロアニソール、アニソール、2,3−ジメチルピラジン、ブロモベンゼン、4−フルオロアニソール、3−フルオロアニソール、3−トリフルオロメチルアニソール、2−メチルアニソール、フェネトール、ベンゾジオキソール、4−メチルアニソール、3−メチルアニソール、4−フルオロ−3−メチルアニソール、1,2−ジクロロベンゼン、2−フルオロベンゾニトリル、4−フルオロベラトロール、2,6−ジメチルアニソール、アニリン、3−フルオロベンゾニトリル、2,5−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール、ベンゾニトリル、3,5−ジメチルアニソール、N,N−ジメチルアニリン、1−フルオロ−3,5−ジメトキシベンゼン、酢酸フェニル、n−メチルアニリン、安息香酸メチル、N−メチルピロリドン、3,4−ジメチルアニソール、o−トルニトリル、4−tert−ブチルアニソール、ベラトロール、安息香酸エチル、N,N−ジエチルアニリン、安息香酸プロピル、1−メチルナフタレン、3,5−ジメトキシトルエン、安息香酸ブチル、2−メチルビフェニル、ジメチルナフタレン、2−フェニルピリジン、または2,2’−ビトリルから選択される1種以上の溶媒を含む本発明による溶液が好ましい。
【0060】
幅広い範囲の有機または有機金属オリゴマー、ポリマーまたは樹枝状半導体の貧溶媒であることが判明した好ましい溶媒Cは、好ましくは7個以上のC原子を有する、直鎖の、分岐の若しくは環状の高級アルカンである。対応する工業的な蒸留分画もまた、ここでは選択され得る。テルペン、(シクロ)脂肪族アルコール、ケトン、カルボン酸エステル、または4個以上のC原子を有する長いアルキル置換基またはアルコキシ置換基により置換された一置換若しくは多置換の芳香族溶媒、とりわけ、置換されたベンゼン、ナフタレンおよびピリジンもまた、適している。4個を超えるC原子を有する高級アルコール、グリコールまたは、例えば、ジグリム若しくトリグリムのような、これらのエーテルも、さらに、適している。
【0061】
表2に挙げられる100〜250℃の沸点を有する溶媒が特に好ましく、ここでも、各有機半導体に特に適切な溶媒を、個別に決定する必要があり、従って、この表は、一般的な評価の基準としてのみ解釈され得る。表1と同じように、コーティング法の特に好ましい温度範囲における蒸気圧が、挙げられるいくつかの溶媒について含まれる。
【0062】
表2:特に好ましい貧溶媒C
【表2】

【0063】
表2に挙げた溶媒は、網羅性に対するいかなる主張もしない。本発明による溶液の調製は、当業者には、発明を必要とせずに、ここに明示的に述べられない他の溶媒を伴って容易に可能である。
【0064】
溶媒Cとして、メチルシクロヘキサン、3−ペンタノール、1,4−ジメチルシクロへキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、1,2−ジメチルシクロヘキサン、オクタン、2−ヘキサノール、1−ペンタノール、1,2,4−トリメチルシクロヘキサン、4−ヘプタノン、3−ヘプタノン、2−ヘプタノン、ノナン、シクロヘキサノン、3−ヘプタノール、1−ヘキサノール、2−ヘプタノール、ジグリム、酪酸ブチル、tert−ブチルベンゼン、デカン、1−ヘプタノール、2−オクタノール、ブチルシクロへキサン、2−エチル−1−ヘキサノール、デカリン、プロピレングリコール、ジメチルスルホキシド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、グリコール、3,7−ジメチル−1−オクタノール、3,7−ジメチル−3−オクタノール、コハク酸ジメチル、tert−ブチル−m−キシレン、ベンジルアルコール、DBE、ドデカン、コハク酸ジエチル、トリグリム、ビシクロヘキシル、アジピン酸ジメチル、1−デカノール、または2−ピロリドンから選択される少なくとも1種の溶媒を含む、本発明による溶液が、中でも好ましい。
【0065】
本発明をより極めて詳細に説明するために、本発明によるいくつかの直ちに使用できる溶媒混合物を、表3に与える。これは、評価の基準を示すのみである。
【0066】
表3:本発明による溶媒混合物の例
【表3】

【0067】
本発明による溶液の特に有利な性質は、これらは、乾燥(濃縮)時に非常に迅速に濃化し、およびゲル化することである。この性質は、上記したように、溶媒の適切な選択、および適切な関連する沸点または蒸気圧を通じて実現される。
【0068】
ゲルとは、通常、長いまたは高度に分岐した粒子(branched-particle)を有する固体物質と分散媒体としての液体から成る、少なくとも2成分を含む、形状安定な、容易に変形可能な、液体リッチな分散系を意味すると解釈される。この文脈における非常に迅速な濃化とは、濃化およびゲル化が、簡単な物理法則に従うよりも迅速に起こることを意味する。以下の相互関係が、ポリマー溶液についての粘度ηおよび濃度cの間に存在する。
【0069】
η〜c3.4
このことは、濃度が倍である場合には、粘度は、およそ10倍増加することを明らかに意味する。しかしながら、これは理論値であり、実際には常には起こらない。実際のポリマー溶液は、濃度の倍増に対して約5〜10倍の範囲だけ、その粘度を変化させる。ある地点から、溶液はゲル化し、すなわち、これは、形状安定であり、もはや完全に流動性を有さないようになる。
【0070】
つまり、印刷されたフィルムまたは画素の乾燥中のように濃度が倍増する場合に、粘度が、10倍を超えて増加するということを、非常に迅速な濃化またはゲル化は意味する。
【0071】
この効果を、驚くべきことに、本発明による溶液における好ましい態様において、特に顕著な様式で見出すことができる(例えば、例1.2における溶液4〜6、例2.2における溶液7〜9、例2.3における溶液10〜12)。まさにこの効果は、冒頭に記載した問題2、3、4および6を打開することにおいて特に重要であると考えられる。
【0072】
溶液の調製のために、有機半導体または配合物を、所望の溶媒混合物中に所望の濃度で溶解させる。有機半導体または配合物をいくつかの溶媒、例えば、溶媒AおよびBの混合物にまず溶解させ、その後、この溶液に、残る溶媒、例えば溶媒Cを加えることが適切であり得る。有機半導体およびその溶液は、時として、酸素または他の空気成分に対して安定ではないために、この操作を、不活性雰囲気下、例えば、窒素またはアルゴン下で行うことも適切であり得る。例えば、加熱および/または攪拌により、溶解工程を速めることもまた、適切であり得る。有機半導体またはマトリックスポリマーの凝集体は、例えば、外部の機械的行為により、例えば、WO 03/019694 に記載されるように、超音波により細かく砕かれ得る。例えば WO 03/019693 に記載されるような、さらなる添加物の添加は、同様に、この出願についても有利になり得る。さらに、比較的少量の架橋された成分、またはこれらからの塵埃粒子を除去するために、使用前に溶液をろ過することも有利となった。
【0073】
ここに記載される溶液は、上記の問題点における驚くべき改善を示す。
【0074】
つまり、好ましい沸点範囲における溶媒の使用は、溶液が、プリントヘッド中で、またはノズル上であまりに速く乾燥しないという結果をもたらす(問題1)。さらにより高い沸点溶媒は、ここでのさらなる改善を提供するが、これらは、とりわけ問題3〜5の場合における、不釣合いに大きな不都合を有する。述べた沸点範囲における溶媒を使用することが、ここでは、非常に有利であると判明した。
【0075】
また、かなりの改善が、問題2の場合においても達成される。つまり、本発明による溶液から形成されるフィルムまたは画素における配合材料は、エレクトロルミネセンスにおける不均一さを全く示さない。特定の理論に拘束されることを望まないが、本発明者等は、乾燥中の溶液の迅速な濃化は、配合物の分離を実質的に防止し、フィルムにおける、より均一な材料分布を促進すると推測する。
【0076】
記載した溶解度性質および関連する沸点または蒸気圧を有する、三成分溶媒混合物を用いることにより、問題3について、かなりの進展が達成された。上記したように、非常に高い粘度が、蒸発中、画素またはフィルムにおいて非常に迅速に獲得され、不均一な材料分布の形成に対抗する。
【0077】
問題4および問題5は、より高沸点の溶媒よりも有意により良く解決される。特に問題4の場合において、溶液の非常に迅速な濃化は、特に明瞭な効果を達成することを可能にした。
【0078】
本発明による溶液の乾燥中、有機半導体は溶液から析出せず、従って、これにより問題6もまた、解決されたものとみなすことができる。特定の理論の正確さに拘束されることを望まないが、本発明者等は、貧溶媒Cよりも高沸点または(塗布温度における)低い蒸気圧を有する、わずかな割合の良溶媒Bの添加が、乾燥工程中の有機半導体の析出を抑制すると推測する。このことは、これまで、文献においてこのように記載されたことはなく、および有機半導体または他の配合成分が、最も高い沸点溶媒における最も低い溶解度を有するところの二成分溶媒または三成分溶媒の場合よりも、有意により均一なフィルムを驚くべきことにもたらす。
【0079】
問題2〜5は、原則として、実際に低沸点溶媒(または溶媒混合物)の使用により解決されるはずである。しかしながら、これらは、問題1および問題6を技術的に解決できないという問題を引き起こす。つまり、特に、異なる溶解度性質および異なる沸点を有する溶媒混合物は、これらの問題点の最適な解決策である。組み合さった問題1〜6を、単一の溶媒を用いる場合には、適切に解決することができない。かなりの低沸点溶媒を用いる場合には、問題1および6を解決できず、一方で、かなりの高沸点溶媒を用いる場合には、問題3〜5が、常に解決することがより難しい。
【0080】
本明細書、および以下の例は、特に、ポリマー発光ダイオードおよび対応するディスプレイの製造のための本発明による溶液に向けられる。この記載の制限に関わらず、当業者は、さらなる発明を必要とせずに、他の有機電子デバイスの製造のために、ほんの数例のアプリケーションを挙げると、例えば、有機電界効果トランジスタ(O−FET)、有機薄膜トランジスタ(O−TFT)、有機集積回路(O−IC)、有機太陽電池(O−SC)、または有機レーザーダイオード(O−laser)のために、本発明による対応する溶液を用いることが可能である。
【0081】
従って、本発明は、さらに、本発明による溶液および/または本発明による方法を用いて得られる、本発明による少なくとも1つの層を含む、ポリマー発光ダイオード(PLED)、有機電界効果トランジスタ(O−FET)、有機薄膜トランジスタ(O−TFT)、有機集積回路(O−IC)、有機太陽電池(O−SC)、および有機レーザーダイオード(O−laser)の群から好ましくは選択される有機電子デバイスに関する。
【0082】
本発明を、以下の例により極めて詳細に説明するが、これらに限定されることを望まない。当業者は、与えた記載および例から、発明を必要とせずに、本発明によるさらなる溶液を調製し、およびこれらを使用して層を形成することができるであろう。
【0083】

例1:アニソール、4−メチルアニソール(それぞれ溶媒A)、ベラトロール(溶媒B)、およびデカリン(溶媒C)の混合物中のポリマーPOLY1の溶液
1.1 用いた材料
・ポリマーPOLY1は、DE 10337077.3 からの例1に従う規則正しい変形例に従う WO 02/077060 に従う例P17に従うポリマー。ここで用いられるバッチPOLY1−B6は、200kg/モルのM、70kg/モルのM、180kg/モルのMを有する。アニソール/o−キシレン中14g/lを含む溶液は、(500s−1において)約6.6mPasの粘度を有する。
【0084】
・溶媒
・アニソール;沸点154℃;POLY1−B6の溶解度>30g/l
・4−メチルアニソール;沸点174℃;POLY1−B6の溶解度>30g/l
・ベラトロール;沸点207℃;POLY1−B6の溶解度>30g/l
・デカリン(異性体混合物);沸点187℃;POLY1−B6の溶解度<0.05g/l。
【0085】
1.2 溶液調製および基本性質
・種々の混合物を、上記した溶媒および上記ポリマーを用いて調製した。全ての溶液は、約11g/lのポリマーを含んだ。溶液を、より詳細に表4に明記する。
【0086】
表4:種々の溶液の組成
【表4】

【0087】
・続いて、溶液をゆっくりと蒸発させ、濃度/粘度曲線または他の性質に関する溶液の挙動を追った。これらの結果を、表5にまとめる。
【0088】
表5:濃縮中の溶液の挙動
【表5】

【0089】
・従来技術に従う溶液(溶液1と溶液3;いずれの場合にも、最高沸点溶媒は、用いるポリマーの最も低い溶解度を有する)は、塗布について使用に適さない挙動を示す。ポリマーは析出する。従って、適切なフィルム形成を達成できない。
【0090】
・溶液2は、濃化挙動に関して、いかなる特殊な効果をも示さない。
【0091】
・本発明による溶液は、濃化挙動に関する明らかな効果を示す。
【0092】
1.3 印刷適性およびフィルム形成に関する検討
上記溶液6を、IJ印刷におけるその有用性に関してより詳細に検討した。
【0093】
溶液は、約31.5dyn/cmの表面張力を示した。
【0094】
溶液を、Spectra SX−128プリントヘッド(Spectra、米国)を通じて印刷した。印刷条件は、最適化することが比較的容易であった。
【0095】
以下の結果を得た。すなわち、
・液滴質量は、適切な範囲において用いられる電圧に対する線形の依存性を示す(45Vにおいて約7ng、50Vにおいて約10ng、55Vにおいて約13ng)。
【0096】
・液滴速度も、同様に、電圧に対する線形の依存性を示す(45Vにおいて約3m/s、50Vにおいて約4m/s、55Vにおいて約5m/s)。
【0097】
・プリントヘッドを、約1000〜ほぼ10,000ヘルツの範囲において、問題なく操作することができた。
【0098】
・簡単な最適化印刷条件は、以下の通りであった。すなわち、50V;パルス幅5μs;印字周波数 1kHzであった。
【0099】
・液滴は、短い糸引きを示した。しかしながら、これは、非常に速く液滴中に戻った。これは、(平均して)最初の475μm以内で生じた。すなわち、0.5mm離して印刷することは、問題なく可能である。加えて、付随物(satellite)形成に関する問題は、再びは見受けられなかった。
【0100】
続いて、溶液6を、構造化された基板(CF/Oプラズマ処理された区分化)に、最適化された条件をもって印刷し、ここで、非常に良好な(均一な)フィルム形成を達成した。このことを、以下の2つの図1および図2に示す。ここで、個々の画素は、約66μm×175μmのサイズを有した。10滴を、約2mmの距離から、1画素につき施した。
【0101】
以下の点を観察した。
【0102】
・溶液6の印刷適性は、非常に良好である、すなわち、従来技術と比べて有意により有利であることが判明した。
【0103】
・最適化された条件下で、非常に均一なフィルムを得た。
【0104】
1.4 ECにおける使用に関する検討
溶液6を、エレクトロルミネセンスにおける使用に関して検討した。比較のために、トルエン中の溶液を、並行して、参考として測定した。PLEDを、スピンコーティングにより、それぞれ製造した(この目的のための一般的な方法は、例えば、上記した WO 02/072714 に記載されている)。両方の溶液を、スピンコーティング中、NIRドライヤーを用いて処理した。というのも、溶液6は、とりわけ、乾燥に非常に長い時間を必要とするためである(WO 03/038923 も参照されたい)。
【0105】
両方の溶液は、(光学的に)非常に魅力的な均一層を与えた。
【0106】
EC評価を、表6において比較する。
【0107】
表6:EC評価
【表6】

【0108】
2つの溶液からのPLEDは、同じ色を示した(薄い青色;CIE 1931座標:X〜0.18、Y〜0.27)。
【0109】
寿命測定は、溶液6からのデバイスが、同等の輝度において約2倍の寿命を有するということを示した(トルエン溶液からの約1500hと比較して、100cd/mにおいて約3000h)。
【0110】
まとめると、以下の驚くべき利点が得られた。
【0111】
・フィルム形成は、簡単なコーティング方法(スピンコーティング)から、非常に良好である。
【0112】
・製造した層の形態は、従来技術と比較して有意に異なる。それをもって製造されたPLEDは、かなりより急峻な電流/電圧特性線(および、従って、同じ電圧における有意により高い輝度)を示す。
【0113】
・驚くべきことに、駆動寿命も、これによって、前向きに影響を受ける。
【0114】
例2:アニソール、フェネトール、4−メチルアニソール(それぞれ溶媒A)、ベラトロール(溶媒B)およびt−ブチル−m−キシレン(溶媒C)の混合物における、ポリマーPOLY1の溶液
2.1 用いた材料
・ポリマーP1は、例1において既に記載したポリマーである。ここで用いたバッチPOLY1−B7は、325kg/モルのM、100kg/モルのM、および275kg/モルのMを有する。アニソール/o−キシレン中14g/lを含む溶液は、約10.1mPasの(500s−1における)粘度を有する。
【0115】
・溶媒
・アニソール;沸点154℃;POLY1−B7の溶解度>30g/l
・フェネトール;沸点170℃;POLY1−B7の溶解度>30g/l
・4−メチルアニソール;沸点174℃;POLY1−B7の溶解度>30g/l
・ベラトロール;沸点207℃;POLY1−B7の溶解度>30g/l
・t−ブチル−m−キシレン:沸点205℃;POLY1−B7の溶解度<1g/l。
【0116】
2.2 溶液調製および基本性質
・本発明による種々の混合物を、上記の溶媒および上記ポリマーを用いて調製した。全ての溶液は、約10g/lのポリマーを含んだ。溶液を、表7においてより詳細に示す。
【0117】
表7:種々の溶液の組成
【表7】

【0118】
・続いて、溶液をゆっくりと蒸発させ、濃度/粘度曲線または他の性質に関する溶液の挙動を追った。これらの結果を、表8にまとめる。
【0119】
表8:濃縮中の溶液の挙動
【表8】

【0120】
・例1におけるように、本発明による溶液は、濃化挙動に関する明らかな効果を示す。
【0121】
2.3 印刷適性およびフィルム形成に関する検討
溶液7〜9を、印刷性質に関して検討した。
【0122】
・液滴質量および液滴速度は、いずれの場合にも、例1と同様に、用いた電圧に対して線形の依存性を有した。
【0123】
・プリントヘッドを、約1000〜(溶液によって)5000または7000ヘルツの範囲において問題なく操作することができた。
【0124】
・簡単な最適化印刷条件は、以下、すなわち、65V;パルス幅5μs;印字周波数1kHzであった。
【0125】
・液滴は、短い糸引きを示した。しかしながら、これは、非常に速く液滴中に戻った。これは、(平均して)最初の250μm以内で生じた。すなわち、0.5mm離した印刷は、問題なく可能である。
【0126】
基板への印刷(例1における詳細な既述と同じように)は、1mmの印刷距離において均一なフィルムを与えた。
【0127】
例3:アニソール、4−メチルアニソール、2,5−ジメチルアニソール(それぞれ溶媒A)、安息香酸プロピル(溶媒B)、およびビシクロヘキシル(溶媒C)の混合物中のポリマーPOLY1の溶液
3.1 用いた材料
・ポリマーPOLY1は、既に例1において述べたポリマーである。ここで用いたバッチPOLY1−B7は、例2において詳細に記載した。
【0128】
・溶媒:
・アニソール;沸点154℃;POLY1−B7の溶解度>30g/l
・4−メチルアニソール;沸点174℃;POLY1−B7の溶解度>30g/l
・2,5−ジメチルアニソール;沸点190℃;POLY1−B7の溶解度>30g/l
・安息香酸プロピル:沸点231℃;POLY1−B7の溶解度>30g/l
・ビシクロヘキシル:沸点227℃;POLY1−B7の溶解度<0.1g/l。
【0129】
3.2 溶液調製および基本性質
・本発明による種々の混合物を、上記した溶媒および上記ポリマーを用いて調製した。全ての溶液は、約10g/lのポリマーを含んだ。溶液を、表9に極めてより詳細に明記する。
【0130】
表9:種々の溶液の組成
【表9】

【0131】
・続いて溶液をゆっくりと蒸発させ、濃度/粘度曲線または他の性質についての溶液の挙動を追跡した。これらの結果を、表10にまとめる。
【0132】
表10:濃縮中の溶液の挙動
【表10】

【0133】
・例1および2におけるように、本発明による溶液は、濃化挙動についての明らかな効果を示す。
【0134】
3.3 印刷適性およびフィルム形成についての検討:
溶液10を、印刷性質について集中的に検討した。
【0135】
・例1におけるように、それぞれの場合において、液滴量と液滴速度は、用いた電圧に対して線形の依存性を有した。
【0136】
・プリントヘッドを、約1000〜10,000ヘルツの範囲において、問題なく作動させることができた。
【0137】
・簡単な最適化印刷条件は、以下、すなわち、60V;パルス幅5μs;印字周波数1kHzであった。
【0138】
・液滴は、短い糸引きを示したが、これは、非常に速く液滴中に戻った。これは、(平均して)最初の250μm以内で生じた。すなわち、0.5mm離して印刷することは、問題なく可能である。
【0139】
・ノズルプレートは、このインクによっては湿らなかった(すなわち、ポリマー堆積の徴候が全くなかった)。
【0140】
(例1における詳細と同様に)基板への印刷は、0.5mmの印刷距離において、均一なフィルムを与えた。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】印刷された画素。
【図2】画素における高さのプロフィール(PL強度により測定)。X軸はμm。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
・少なくとも1種の高分子量成分を含む少なくとも1種の有機半導体、および
・少なくとも1種の有機溶媒A、および
・少なくとも1種の有機溶媒B、および
・少なくとも1種の有機溶媒C
を含み、
・溶媒Aが、前記有機半導体の良溶媒であり、
・溶媒Bが、前記有機半導体の良溶媒であり、
・溶媒Cが、前記有機半導体の貧溶媒であり、および
・溶媒A、BおよびCの沸点(b.p.)について、b.p.(A)<b.p.(C)<b.p.(B)が当てはまり、および/または溶媒A、BおよびCのコーティング法の温度におけるそれぞれの部分蒸気圧(p)について、p(A)>p(C)>p(B)が当てはまる
ことを特徴とする単一相の液体組成物(溶液)。
【請求項2】
前記有機半導体は、室温において少なくとも5g/lの濃度で、純粋溶媒A中に、または純粋溶媒Bに可溶であることを特徴とする請求項1に記載の溶液。
【請求項3】
室温において、純粋溶媒C中での前記有機半導体の溶解度が、0.3g/l未満であることを特徴とする請求項1および/または2に記載の溶液。
【請求項4】
前記有機半導体を、純粋成分として用いることを特徴とする請求項1〜3の一項以上に記載の溶液。
【請求項5】
前記有機半導体を、2以上の成分の混合物として用いることを特徴とする請求項1〜3の一項以上に記載の溶液。
【請求項6】
1種以上の前記有機半導体を、マトリックスとして用いることを特徴とする請求項5に記載の溶液。
【請求項7】
前記高分子量成分が、50,000g/モルよりも大きい分子量Mを有することを特徴とする請求項1〜6の一項以上に記載の溶液。
【請求項8】
用いる前記ポリマー有機半導体が、有機溶媒に可溶である、置換された、ポリ−p−アリーレンビニレン(PAV)、ポリフルオレン(PF)、ポリスピロビフルオレン(PSF)、ポリ−パラ−フェニレン(PPP)若しくはポリ−パラ−ビフェニレン、ポリジヒドロフェナントレン(PDHP)、シス−ポリインデノフルオレンおよびトランス−ポリインデノフルオレン(PIF)、ポリチオフェン(PT)、ポリピリジン(PPy)、2以上の上記したクラスからの構造単位を含むコポリマー、一般に共役したポリマー、ポリビニルカルバゾール(PVK)、ポリトリアリールアミン、並びに/またはリン光を発する単位を含む可溶性ポリマーであることを特徴とする請求項1〜7の一項以上に記載の溶液。
【請求項9】
低分子量、オリゴマー、樹枝状若しくはポリマーの有機半導体および/または有機金属半導体を含む、非伝導性ポリマー(マトリックスポリマー)を用いることを特徴とする請求項1〜8の一項以上に記載の溶液。
【請求項10】
全ての3種の溶媒A、BおよびCの沸点が、120℃よりも高いことを特徴とする請求項1〜9の一項以上に記載の溶液。
【請求項11】
全ての3種の溶媒A、BおよびCの沸点が、300℃未満であることを特徴とする請求項1〜10の一項以上に記載の溶液。
【請求項12】
溶媒Aと溶媒Cの沸点の差が、10Kよりも大きいことを特徴とする請求項1〜11の一項以上に記載の溶液。
【請求項13】
溶媒Cと溶媒Bの沸点の差が、10Kよりも大きいことを特徴とする請求項1〜12の一項以上に記載の溶液。
【請求項14】
溶媒Aの割合が、10〜80体積%であり、溶媒Bの割合が、0.5〜40体積%であり、および溶媒Cの割合が、10〜90体積%であることを特徴とする請求項1〜13の一項以上に記載の溶液。
【請求項15】
溶媒Aの割合が、25〜60体積%であり、溶媒Bの割合が、2〜20体積%であり、および溶媒Cの割合が、30〜70体積%であることを特徴とする請求項14に記載の溶液。
【請求項16】
溶媒A、BおよびCに加えて、他の良溶媒および/または貧溶媒を用いることを特徴とする請求項1〜15の一項以上に記載の溶液。
【請求項17】
用いる溶媒Aおよび/またはBが、一置換または多置換の芳香族溶媒、ギ酸誘導体、N−アルキルピロリドン、または高沸点エーテルであることを特徴とする請求項1〜16の一項以上に記載の溶液。
【請求項18】
溶媒Aおよび/またはBが、3−フルオロベンゾトリフルオリド、ベンゾトリフルオリド、ジオキサン、トリフルオロメトキシベンゼン、4−フルオロベンゾトリフルオリド、3−フルオロピリジン、トルエン、2−フルオロトルエン、2−フルオロベンゾトリフルオリド、3−フルオロトルエン、ピリジン、4−フルオロトルエン、2,5−ジフルオロトルエン、1−クロロ−2,4−ジフルオロベンゼン、2−フルオロピリジン、3−クロロフルオロベンゼン、1−クロロ−2,5−ジフルオロベンゼン、4−クロロフルオロベンゼン、クロロベンゼン、2−クロロフルオロベンゼン、p−キシレン、m−キシレン、o−キシレン、2,6−ルチジン、2−フルオロ−m−キシレン、3−フルオロ−o−キシレン、2−クロロベンゾトリフルオリド、ジメチルホルムアミド、2−クロロ−6−フルオロトルエン、2−フルオロアニソール、アニソール、2,3−ジメチルピラジン、ブロモベンゼン、4−フルオロアニソール、3−フルオロアニソール、3−トリフルオロメチルアニソール、2−メチルアニソール、フェネトール、ベンゾジオキソール、4−メチルアニソール、3−メチルアニソール、4−フルオロ−3−メチルアニソール、1,2−ジクロロベンゼン、2−フルオロベンゾニトリル、4−フルオロベラトロール、2,6−ジメチルアニソール、アニリン、3−フルオロベンゾニトリル、2,5−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール、ベンゾニトリル、3,5−ジメチルアニソール、N,N−ジメチルアニリン、1−フルオロ−3,5−ジメトキシベンゼン、酢酸フェニル、N−メチルアニリン、安息香酸メチル、N−メチルピロリドン、3,4−ジメチルアニソール、アセトフェノン、o−トルニトリル、4−tert−ブチルアニソール、ベラトロール、安息香酸エチル、N,N−ジエチルアニリン、安息香酸プロピル、1−メチルナフタレン、3,5−ジメトキシトルエン、安息香酸ブチル、2−メチルビフェニル、ジメチルナフタレン、2−フェニルピリジン、または2,2’−ビトリルから選択される1種以上の溶媒であることを特徴とする請求項17に記載の溶液。
【請求項19】
用いる溶媒Cが、好ましくは7個以上のC原子を有する、直鎖の、分岐の若しくは環状の高級アルカン、テルペン、(シクロ)脂肪族アルコール、ケトン、カルボン酸エステル、または4個以上のC原子を有する長いアルキル置換基またはアルコキシ置換基により置換された一置換若しくは多置換の芳香族溶媒、4個を超えるC原子を有する高級アルコール、グリコールまたはそれらのエーテルであることを特徴とする請求項1〜18の一項以上に記載の溶液。
【請求項20】
少なくとも1種の溶媒Cが、メチルシクロヘキサン、3−ペンタノール、1,4−ジメチルシクロへキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、1,2−ジメチルシクロヘキサン、オクタン、2−ヘキサノール、1−ペンタノール、1,2,4−トリメチルシクロヘキサン、4−ヘプタノン、3−ヘプタノン、2−ヘプタノン、ノナン、シクロヘキサノン、3−ヘプタノール、1−ヘキサノール、2−ヘプタノール、ジグリム、酪酸ブチル、tert−ブチルベンゼン、デカン、1−ヘプタノール、2−オクタノール、ブチルシクロへキサン、2−エチル−1−ヘキサノール、デカリン、プロピレングリコール、ジメチルスルホキシド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、グリコール、3,7−ジメチル−1−オクタノール、3,7−ジメチル−3−オクタノール、コハク酸ジメチル、tert−ブチル−m−キシレン、ベンジルアルコール、DBE、ドデカン、コハク酸ジエチル、トリグリム、ビシクロヘキシル、アジピン酸ジメチル、1−デカノール、または2−ピロリドンから選択されることを特徴とする請求項19に記載の溶液。
【請求項21】
基板上に前記有機半導体の層を生成するための請求項1〜20の一項以上に記載の溶液の使用。
【請求項22】
請求項1〜20の一項以上に記載の溶液が、印刷方法を用いて処理されることを特徴とする、基板上に有機半導体の層を生成するための方法。
【請求項23】
前記印刷方法が、インクジェット印刷(IJP)方法であることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
請求項1〜20の一項以上に記載の溶液を用いて、または請求項22および/または23に記載の印刷方法を用いて製造されることを特徴とする有機半導体の層。
【請求項25】
請求項24に記載の層を少なくとも1つ含む、ポリマー発光ダイオード(PLED)、有機電界効果トランジスタ(O−FET)、有機薄膜トランジスタ(O−TFT)、有機集積回路(O−IC)、有機太陽電池(O−SC)、または有機レーザーダイオード(O−laser)。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−527624(P2007−527624A)
【公表日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553530(P2006−553530)
【出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【国際出願番号】PCT/EP2005/001596
【国際公開番号】WO2005/083814
【国際公開日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(597035528)メルク パテント ゲーエムベーハー (209)
【Fターム(参考)】