説明

有機半導体の溶液

本発明は、少なくとも2種の異なる有機溶媒AおよびBの溶媒混合物中に、少なくとも1種の高分子成分を含む少なくとも1種の有機半導体の溶液に関し、ここで、溶媒Aは、有機半導体の良溶媒であり、溶媒Bは、有機半導体の貧溶媒である。本発明は、溶媒の沸点(BP)について、以下が当てはまる、すなわち、BP(A)>BP(B)ことを特徴とする。本発明は、また、特に電子産業における使用のために、基材上に有機半導体層を製造するための前記溶液の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、有機半導体の溶液、並びに電子産業におけるその使用に関する。
【0002】
機能性材料としての有機半導体の利用は、最も広い意味において電子産業とされる多くの様々なアプリケーションにおいて、かねてから現実のものとなっており、または近い将来に期待されている。有機トランジスタ(O−TFT、O−FET)、有機集積回路(O−IC)、および有機太陽電池(O−SC)の開発は、研究段階において既に非常に十分に前進しており、従って、市場への導入が、数年後に期待されている。有機エレクトロルミネセンスデバイス(OLED)の場合には、例えば、パイオニア社製のカーラジオ、「有機ディスプレイ」を有するコダック社製のデジタルカメラにより確認されるように、市場への導入が既に行われている。最初の製品を、ポリマー発光ダイオード(PLED)の場合に、フィリップスN.V社製のかみそりにおける小さなディスプレイの形態で市場で入手することができる。このようなPLEDの一般構造は、WO 90/13148 に示されている。全ての進歩にも関らず、これらのディスプレイを、現在市場を独占している液晶ディスプレイ(LCD)の真の競合物にするためには、かなりの改善が、なお必要である。
【0003】
フルカラーディスプレイデバイスを得るためには、3原色(赤、緑、青)を、空間的に分離した様式で適用することを可能にするコーティング方法を開発する必要がある。ポリマーは、一般的に、溶液状態から適用されるため、印刷方法が、ここでは選択手段である。良好な制御性、達成可能な解像力、および大きな可変性のために、現在効果を発揮しているのは、主に、インクジェット印刷(IJP)である。しかしながら、原則として、例えば、オフセット印刷法、転写法、またはグラビア印刷法のような他の印刷法も適している。他方では、対応するカラーディスプレイを、フォトリソグラフィー法により製造することができ、この場合には、単一色ディスプレイについて以下に記載する、エリアコーティング(area coating)法を用いることができる。全てのこれらの可能性について、一方で印刷に適しており、他方でPLEDの性質を損なわない適切なポリマー溶液が、必要とされている。適切なポリマー溶液が、例えば、スピンコーティングにより製造することができる単一色のディスプレイデバイスについて必要とされている。溶媒の選択、およびこの溶媒若しくは溶媒混合物におけるポリマーの溶解性が、形成されるフィルムの形態に決定的な影響を有することが一般的に知られているため、エレクトロルミネセンス挙動を、これらにより制御することができる。
【0004】
WO 02/069119 は、比較的高い沸点を有する貧溶媒と、比較的低い沸点を有する良溶媒とを含む溶媒混合物が用いられるインクジェット印刷法における使用のための、有機半導体の溶液を記載している。材料の飽和溶液を乾燥する間、より揮発性の溶媒の蒸発が速やかに起こり、続いて析出する。これは、画素の端部への材料の放射状流を妨げ、比較的均一な材料分配を容易にする。しかしながら、この方法は、材料が均一に乾燥せず、代わりに析出物を形成し、これは、フィルムの明らかな不均一性をもたらすという決定的な不利点を有する。US 2003/0127977 は、例えば、SEM(走査型電子顕微鏡検査)によると、材料が、乾燥中に析出する場合には、フィルムは不十分な性質を示すことが示されている。このことは、画素から均一且つ均質なエレクトロルミネセンスを不可能としている。さらに、フィルムの凹凸は、均一な電流フローが不可能であることを意味する。優先する電流経路がこれらにより形成され、これは最終的に短絡をもたらし、従って、デバイスのかなり低めの安定性をもたらすことが考えられる。これらの実験を再現したいくつかの実験は、さらに、これらの不均質な画素は、発光効率における低下をもたらすことを示した。つまり、これらの溶液は、場合により、インクジェット印刷についての改善された塗布性質を有するけれど、このような溶液を、これらには、エレクトロルミネセンス性質を損なうことが付きものである場合には、広く用いることができない。
【0005】
WO 02/072714 は、2種(または3種)の溶媒の混合物中の溶液を提案しており、ここで、両溶媒とも、200℃以下の沸点を有し、および1種類の溶媒は、140℃〜200℃の沸点を有し、さらに、ベンジルCHおよびCH基を有さず、並びに芳香族溶媒における置換基についてのある種の制限を有する。溶液が即座に濃くなる場合に、特に好ましいと記載されている。これは、有機半導体が、最も高い沸点を有する溶媒中で最も低い溶解性を有するか、または非常に濃いか、あるいはこの溶媒中でゲル状であるところの、2成分または3成分溶媒混合物により達成される。その後、粘度における迅速な上昇が、濃化中に起こる。しかしながら、有機半導体が、このプロセスにおいて析出することなしに迅速に濃化する組成を有する適切な溶媒系を見出すことは、必ずしも可能であるわけではない。
【0006】
EP 1134269 は、少なくとも1種のアリーレン−ビニレン単位を有するポリマー蛍光物質の溶液については、10,000ppmを超えない、好ましくは5000ppmを超えない(ガスクロマトグラフィーにより測定)貧溶媒の含有量(ここで、下限値は規定されない)を有することが特に有利であると記載している。明細書中の他の部分では、好ましい上限は、1000ppmを超えない(これは、約0.1重量%(比較密度における)に対応する)貧溶媒の含有量として示されている。貧溶媒は、特にアルコール、とりわけメタノール、エタノールおよびイソプロパノールとして記載されている。これらの溶液の利点は、高い発光効率であると述べられているが、(ポリ−パラ−フェニレンビニレン誘導体を用いる)1例において確認される。
【0007】
しかしながら、この例の再現において、本発明者等は、これらの結果を再現することができなかった。それどころか、本発明者等は、特に、ポリマー溶液中の貧溶媒のより高い割合が、かなりより急峻な電流/電圧/輝度曲線をもたらし、且つより高い発光効率をもたらすということを見出した。このことは、上記の明細書と矛盾する驚くべき結果である。従って、本発明は、このタイプのポリマー溶液に関する。
【0008】
本発明は、
・少なくとも1種の高分子量成分を含む少なくとも1種の有機半導体、および
・有機半導体の良溶媒である、少なくとも1種の有機溶媒A、および
・有機半導体の貧溶媒である、少なくとも1種の有機溶媒B
を含み、以下、すなわち、b.p.(A)>b.p.(B)が、溶媒AおよびBの沸点(b.p.)に適用されることを特徴とする、単一相の液体組成物(溶液)に関する。
【0009】
本明細書の目的上、溶液は、液体溶媒中での固体物質の液体の、均質な混合物であり、ここで、固体は、分子的に分散した溶解形態にある、すなわち、固体の分子の大多数は、実際に溶解しており、凝集体、またはナノ粒子若しくはミクロ粒子の形態にはない。
【0010】
本発明の目的上、有機溶媒とは、溶解するあるいは溶解される物質を、溶解工程中化学的に変化させることなく、物理的手段によって、他の物質を溶液状態に至らせることができる有機物質を意味するものと解釈されたい。
【0011】
本発明の目的上、良溶媒とは、有機半導体が、室温および大気圧で、透明な流動性を有する溶液の形成を伴って、少なくとも5g/lの濃度で溶解する有機溶媒を意味するものと解釈されたい。
【0012】
本発明の目的上、貧溶媒とは、有機半導体が、透明な溶液を与えない、すなわち、ここでは、室温および大気圧での上記した濃度において、凝集するあるいはゲルを形成する、有機溶媒を意味するものと解釈されたい。室温および大気圧での有機半導体の溶解度は、好ましくは3g/l未満、特に好ましくは1g/l未満、特に0.3g/l未満である。
【0013】
本発明の目的上、室温は、20℃であり、大気圧は、1013mbarを意味する。
【0014】
さらに、本発明は、基材上に有機半導体の層を形成するための、本発明による溶液の使用に関する。
【0015】
有機半導体層の製造について、印刷法の使用が好ましい態様である。インクジェット印刷(IJP)法の使用が、特に好ましい。
【0016】
有機半導体層の製造について、エリアコーティング(area coating)法の使用、特にスピンコーティングの使用が、さらなる好ましい態様である。
【0017】
本発明は、さらに、本発明による溶液を用いて製造される有機半導体の層に関する。
【0018】
本発明は、さらに、本発明による少なくとも1つの層を含む、例えば、有機電界効果トランジスタ(O−FET)、有機薄膜トランジスタ(O−TFT)、有機集積回路(O−IC)、有機太陽電池(O−SC)、または有機レーザダイオード(O−laser)、特には有機およびポリマー発光ダイオード(OLED、PLED)のような電子デバイスに関する。
【0019】
それ自体既知である有機半導体の層は、文献中に既に記載されている。本発明による溶液から製造される層は、今日まで記載されたものと比較して、改善された電子性質を示す(このことは、特に、例1〜4において確認される)。特に、より急峻な電流/電圧/輝度曲線と、より高い発光効率が、本発明による溶液から製造される層により得られる。
【0020】
本明細書の目的上、有機半導体は、低分子量であるか、オリゴマーであるか、樹枝状であるか、低度〜高度に分枝した、特にポリマーの、有機化合物若しくは有機金属化合物、または固体若しくは層として半導体性質を有する、すなわち、伝導帯と価電子帯との間のエネルギギャップが、0.1〜4eV、好ましくは1.0〜3.5eVである化合物の混合物である。
【0021】
ここで用いられる有機半導体は、1種の高分子量成分を含むのみである純粋成分であるか、あるいは少なくとも1種が、半導体性質を有する2種以上の成分の混合物のいずれかである。しかしながら、混合物の使用の場合には、各成分が、半導体性質を有する必要はない。つまり、例えば、不活性な低分子量化合物を、半導体ポリマーと共に用いることができる。同様に、マトリックスまたはバインダとして用いられる非伝導性ポリマーを、半導体性質を有する1種以上の低分子量化合物またはさらなるポリマーと共に用いることもできる。
【0022】
オリゴマー、樹枝状、低度〜高度に分枝しているものであり得る、特にポリマーである高分子量成分は、3000g/モルよりも大きい、好ましくは10,000g/モルよりも大きい、特に好ましくは50,000g/モルよりも大きい分子量Mを有する。
【0023】
本明細書の目的上、潜在的に混合される非伝導性成分は、電気光学的に不活性、反応不活性な、不活性な化合物を意味するものと解釈される。この成分は、従来通り、表面コーティング調合物の場合には、バインダとしてみなされ得る。
【0024】
ポリマー有機半導体(これは、さらなる混合物質を含んでいてもよい)の溶液が好ましい。本明細書の目的上、ポリマー有機半導体とは、特に、
(i)有機溶媒に可溶である、EP 0443861、WO 94/20589、WO 98/27136、EP 1025183、WO 99/24526、DE 19953806 および EP 0964045 中に開示されている、置換ポリ−p−アリーレンビニレン(PAV)、
(ii)有機溶媒に可溶である、EP 0842208、WO 00/22027、WO 00/22026、DE 19846767、WO 00/46321、WO 99/54385 および WO 00/55927 中に開示されている、置換ポリフルオレン(PF)、
(iii)有機溶媒に可溶である、EP 0707020、WO 96/17036、WO 97/20877、WO 97/31048、WO 97/39045 および WO 03/020790 に開示されている、置換ポリスピロビフルオレン(PSF)、
(iv)有機溶媒に可溶である、WO 92/18552, WO 95/07955, EP 0690086, EP 0699699 and WO 03/099901 中に開示されている、置換ポリ−パラ−フェニレン(PPP)または置換ポリ−パラ−ビフェニレン、
(v)有機溶媒に可溶である、WO 05/014689 中に開示されている、置換ポリジヒドロフェナントレン(PDHP)、
(vi)有機溶媒に可溶である、WO 04/041901 および WO 04/113412 中に開示されている、置換ポリ−トランス−インデノフルオレン、および置換ポリ−シス−インデノフルオレン、
(vii)有機溶媒に可溶である、未公開特許出願 DE 102004020298.2 中に開示されている、置換ポリフェナントレン、
(viii)有機溶媒に可溶である、EP 1028136 および WO 95/05937 中に開示されている、置換ポリチオフェン(PT)、
(ix)有機溶媒に可溶である、T.ヤマモト等、J. Am. Chem. Soc. 1994, 116, 4832 中に開示されている、ポリピリジン(PPy)、
(x)有機溶媒に可溶である、V.ゲリング(Gelling)等、Polym. Prepr. 2000, 41, 1770 中に開示されているポリピロール、
(xi)例えば、WO 02/077060 中に記載されている、クラス(i)〜(ix)の2以上からの構造単位を有する、置換された、可溶性コポリマー、
(xii)有機溶媒に可溶である、Proc. of ICSM '98, Part I & II(in: Synth. Met. 1999, 101/102)中に開示されている、共役ポリマー、
(xiii)例えば、R.C.ペンウェル(Penwell)等、J. Polym. Sci., Macromol. Rev. 1978, 13, 63-160 中に開示されている、置換および無置換のポリビニルカルバゾール(PVK)、
(xiv)例えば、JP 2000/072722 中に開示されている、置換および無置換のトリアリールアミンポリマー、並びに
(xv)例えば、EP 1245659、WO 03/001616、WO 03/018653、WO 03/022908、WO 03/080687、EP 1311138、WO 03/102109、WO 04/003105、WO 04/015025、および既に上記したいくつかの明細書中に開示されている、リン光を発する単位を含有する可溶性ポリマー
を意味するものと解釈される。
【0025】
さらに、混合される低分子量の、オリゴマーの、樹枝状の、低度〜高度に分枝した、および/またはポリマーの有機半導体および/または有機金属半導体を含む、非伝導性ポリマー(マトリックスポリマー)の溶液が好ましい。
【0026】
本発明による溶液は、有機半導体または対応する配合物を0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜15重量%、特に好ましくは0.2〜10重量%、非常に特に好ましくは0.25〜5重量%含む。パーセントデータは、溶媒の混合物全体で100%をさす。
【0027】
本発明による溶液の粘度は、可変である。しかしながら、ある種のコーティング技術は、ある粘度範囲の使用を必要とする。中でも、約4〜25mPa・sの範囲が、IJPによりコーティングするためには有利である。エリアコーティング(スピンコーティング等)については、約5〜40mPa*sの範囲の粘度が、有利であろう。しかしながら、他の印刷法、例えばグラビア印刷法については、例えば、20〜500mPa・sの範囲のかなり高い粘度が利点をもたらすことがもっぱら見込まれる。粘度を、適切な分子量範囲の有機半導体若しくはマトリックスポリマーの選択を通じて、並びに適切な濃度範囲の選択および溶媒の選択を通じて調節することができる。
【0028】
本発明による溶液の表面張力は、初期は制限されない。しかしながら、対応する溶媒混合物の使用および塗布を通じて、これは、一般的には、20〜60dyn/cmの範囲、好ましくは25〜50dyn/cmの範囲、非常に特に好ましくは25〜40dyn/cmの範囲であり得る。
【0029】
本発明による溶液は、上記したように、少なくとも2種の異なる有機溶媒AおよびBを含み、このうちの溶媒Aは、有機半導体の良溶媒であり、並びに溶媒Bは、有機半導体の貧溶媒であり、またここでさらに、以下が、沸点(b.p.)について適用される、すなわち、b.p.(A)>b.p.(B)である。
【0030】
ここで、溶媒Aの沸点は、80℃を超える、好ましくは100℃を超える、特に好ましくは110℃を超える、インクジェット印刷については、非常に特に好ましくは140℃を超えることが好ましい。この好ましさによって既に達成される他の技術的な制限は、例えばクロロホルム(b.p.61℃)、テトラクロロメタン(b.p.77℃)、およびベンゼン(b.p.80℃)に当てはまるが、有毒であり、発ガン性であることが判明しているいくつかの溶媒を回避することである。この沸点の制限は、インクジェット印刷においてより低い沸点を有する良溶媒を用いた際には、ノズルの乾燥が、印刷操作の完了後に数秒で起こることが判明しているため、技術的には適切である。この値が少なくとも約10秒であれば、完全に乾ききることを、適切な技術的な補助(例えば、プリントヘッドが、待機位置に移動する、ノズルを、キャップを用いて機械的に封じる)により防ぐことができる。スピンコーティングについても、過度に低い沸点を有する溶媒は、形態的により好ましくない層をもたらすために、好ましくない。
【0031】
溶媒Aの沸点は、さらに好ましくは300℃未満、好ましくは270℃未満か270℃、特に好ましくは250℃未満か250℃である。より高い沸点溶媒の場合には、フィルム形成後の残留溶媒を、完全に除去することは困難であり、かなりの技術的な努力を要する。
【0032】
溶媒Bの沸点の目的に適った下限値は、50℃である。より低い沸点は、その溶液成分が、あまりにも揮発しやすいために、溶液または層の再現可能な調製を困難にする。さらに、溶媒Bの沸点は、好ましくは250℃未満、特に好ましくは200℃未満か200℃、非常に特に好ましくは150℃未満か150℃である。
【0033】
溶媒AおよびBの融点は、好ましくは15℃未満か15℃である。溶液を、ある状況下(調製と使用の間)で、数日〜数ヶ月間貯蔵する必要があり、あるいは輸送する必要があるために、このような融点は、実用に適っている。溶液が、このように安定なままであり、貯蔵、輸送および/または比較的小さい温度変化の際に凍結せず、他の不利な貯蔵および/または輸送のダメージを被ることがないことを確実にする必要がある。
【0034】
溶媒Aと溶媒Bとの間の沸点の差が、5Kを超える、好ましくは10Kを超える、特に好ましくは20Kを超える、非常に特に好ましくは30Kを超えることがさらに好ましい。
【0035】
溶媒AおよびBの互いの比は、広い範囲で変動し得る。しかしながら、最良の効果を達成するためには、溶媒Aは、50〜99.9体積%、好ましくは70〜99.8体積%、特に好ましくは85〜99.5体積%、非常に特に好ましくは90〜99体積%の割合で用いられるべきである。これに対して、溶媒Bは、0.1〜50体積%、好ましくは0.2〜30体積%、特に好ましくは0.5〜15体積%、非常に特に好ましくは1〜10体積%の割合で用いられるべきである。個々の溶媒混合物の割合の合計のパーセントは、常に、100%となる。
【0036】
溶媒AおよびBに加えて、さらなる良溶媒および/または貧溶媒を用いることも適している。つまり、いずれの場合にも、タイプAおよび/またはタイプBの2種以上の溶媒を用いることが非常に適切であり、且つ好ましく、何故なら、他の必要なパラメータ(例えば、表面張力および粘度等のマッチング)も、場合によっては、厳密に一種のみのそれぞれのタイプの溶媒を用いる場合と比較して、それらによってより単純に達成することができるためである。溶媒の割合については、全ての溶媒Aまたは全ての溶媒Bの割合が、好ましくは、上記した範囲にあることが適用される。
【0037】
さらに、有機半導体または配合物に加えて、例えば WO 03/019693 中に記載されているさらなる添加物を加えることも適切であろう。
【0038】
例えば、アルデヒド含有溶媒、ニトロ化芳香族、およびリン含有溶媒(溶液の低い安定性)の使用、並びにスチレン誘導体または他の活性オレフィン(溶媒の重合傾向)の使用は、非常に有利なわけではないことが判明した。例えば、ジエチルエーテルまたはテトラヒドロフランのような過酸化物を形成する傾向のある化合物は、同様に、非常に適しているわけではないということが判明した。
【0039】
幅広い範囲の有機半導体または不活性マトリックスポリマーの良溶媒であると判明した好ましい溶媒Aは、単置換または多置換の芳香族溶媒、特に置換されたベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、およびピリジンである。好ましい置換基はアルキル基(これは、フッ素化されていてもよい)、ハロゲン原子(好ましくは塩素およびフッ素)、シアノ基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基(好ましくは、4個を超えないC原子を有するもの)、またはエステル基である。特に好ましい置換基は、フッ素、塩素、シアノ、メトキシ、エトキシ、メチル、トリフルオロメチル、メチルカルボキシラート、および/またはエチルカルボキシラートであり、ここで、複数の異なる置換基が、存在していてもよい。しかしながら、例えば、ギ酸誘導体、N−アルキルピロリドン、または高沸点エーテルのような非芳香族溶媒も、良溶媒として適している。
【0040】
以下の表1に挙げる、100〜300℃の沸点を有する溶媒が、特に好ましい。しかしながら、特に適切な溶媒は、各有機半導体について別個に決定され、従って、本表は、一般的なてがかりを与えるにすぎない。
【0041】
表1:特に好ましい良溶媒A
【表1−1】

【表1−2】

表1に挙げた溶媒は、網羅性のいかなる主張をするものではない。本発明による溶液の調製は、当業者には、発明を必要とすることなく、ここで明示的に述べられない他の溶媒を用いて容易に可能である。
【0042】
中でも、溶媒Aとして、3−フルオロベンゾ三フッ化物、ベンゾ三フッ化物、ジオキサン、トリフルオロメトキシベンゼン、4−フルオロベンゾ三フッ化物、3−フルオロピリジン、トルエン、2−フルオロトルエン、2−フルオロベンゾ三フッ化物、3−フルオロトルエン、ピリジン、4−フルオロトルエン、2,5−ジフルオロトルエン、1−クロロ−2,4−ジフルオロベンゼン、2−フルオロピリジン、3−クロロフルオロベンゼン、1−クロロ−2,5−ジフルオロベンゼン、4−クロロフルオロベンゼン、クロロベンゼン、2−クロロフルオロベンゼン、p−キシレン、m−キシレン、o−キシレン、2,6−ルチジン、2−フルオロ−m−キシレン、3−フルオロ−o−キシレン、2−クロロベンゾ三フッ化物、ジメチルホルムアミド、2−クロロ−6−フルオロトルエン、2−フルオロアニソール、アニソール、2,3−ジメチルピラジン、ブロモベンゼン、4−フルオロアニソール、3−フルオロアニソール、3−トリフルオロメチルアニソール、2−メチルアニソール、フェネトール、ベンゾジオキソール、4−メチルアニソール、3−メチルアニソール、4−フルオロ−3−メチルアニソール、1,2−ジクロロベンゼン、2−フルオロベンゾニトリル、4−フルオロベラトロール、2,6−ジメチルアニソール、アニリン、3−フルオロベンゾニトリル、2,5−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール、ベンゾニトリル、3,5−ジメチルアニソール、N,N−ジメチルアニリン、1−フルオロ−3,5−ジメトキシベンゼン、フェニルアセタート、N−メチルアニリン、メチルベンゾアート、N−メチルピロリドン、3,4−ジメチルアニソール、o−トルニトリル、ベラトロール、エチルベンゾアート、N,N−ジエチルアニリン、プロピルベンゾアート、1−メチルナフタレン、ブチルベンゾアート、2−メチルビフェニル、2−フェニルピリジン、または2,2’−ビトリルから選択される1種以上の溶媒を含む、本発明による溶液が好ましい。
【0043】
幅広い範囲の有機若しくは有機金属の、オリゴマーの、分枝した若しくは分枝しない、ポリマーの、または樹枝状の半導体、あるいは不活性マトリックスポリマーの貧溶媒であると判明した好ましい溶媒Bは、直鎖の、分枝の若しくは環状のアルカンであり、好ましくは5個を超えるC原子を有する。対応する工業蒸留分画を、ここでは選択することができる。テルペン、(環式)脂肪族アルコール、エーテル、ケトン、カルボン酸エステル、または単置換若しくは多置換の芳香族溶媒、特に置換されたベンゼン、ナフタレン、およびピリジン(これらは、非常に長いアルキル置換基またはアルコキシ置換基により置換される)も、適している。
【0044】
以下の表2に挙げる、50〜250℃の沸点を有する溶媒Bが特に好ましく、ここでも、各有機半導体に特に適切な溶媒は、別個に決定する必要があり、従って、本表は、一般的なてがかりを与えるにすぎない。
【0045】
表2:特に好ましい貧溶媒B
【表2−1】

【表2−2】

表2に挙げた溶媒は、網羅性のいかなる主張をするものではない。本発明による溶液の調製は、当業者には、発明を必要とすることなく、ここで明示的に述べられない他の溶媒を用いて容易に可能である。
【0046】
中でも、溶媒Bとして、tert−ブチルメチルエーテル、アセトン、メタノール、ヘキサン、エチルアセタート、エタノール、2−ブタノン、シクロヘキサン、2−プロパノール、tert−ブタノール、1−プロパノール、2−ブタノール、ヘプタン、2−ペンタノン、メチルシクロヘキサン、3−ペンタノン、3−ペンタノール、1−ブタノール、1,4−ジメチルシクロヘキサン、1,3−ジメチルシクロヘキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、1,2−ジメチルシクロヘキサン、オクタン、シクロペンタノン、2−ヘキサノール、1−ペンタノール、1,2,4−トリメチルシクロヘキサン、4−ヘプタノン、3−ヘプタノン、2−ヘプタノン、ノナン、3−ヘプタノール、1−ヘキサノール、2−ヘプタノール、ジグリム、ブチルブチラート、tert−ブチルベンゼン、デカン、1−ヘプタノール、2−オクタノール、ブチルシクロヘキサン、2−エチル−1−ヘキサノール、デカリン、プロピレングリコール、ジメチルスルホキシド、グリコール、3,7−ジメチル−1−オクタノール、3,7−ジメチル−3−オクタノール、ジメチルスクシナート、ベンジルアルコール、DBE、ドデカン、ジエチルスクシナート、トリグリム、ジメチルアジパート、1−デカノール、ビシクロヘキシル、または2−ピロリドンから選択される少なくとも1種の溶媒を含む、本発明による溶液が好ましい。
【0047】
今まで以上に詳細に本発明を説明するために、本発明によるいくつかの容易に使用できる溶媒混合物を、表3に示す。これは、手がかりを示しているにすぎない。
【0048】
表3:本発明による溶媒混合物の例
【表3】

【0049】
溶液の調製のために、有機半導体または配合物を、所望の溶媒混合物中に、所望の濃度で溶解させる。有機半導体または配合物を、最初に溶媒の一部、例えば溶媒A中に溶解させ、続いて、残りの溶媒、例えば溶媒Bをこの溶液に加えることが適切であろう。有機半導体およびその溶液は、場合により酸素または他の空気成分に不安定であるため、この操作を不活性雰囲気下、例えば窒素またはアルゴン下で行うことが適切であろう。さらに、溶解プロセスを、例えば加熱することおよび/または撹拌することによって、促進することが適切であろう。有機半導体またはマトリックスポリマーの凝集体を、例えば外部の機械的行為により、例えば、WO 03/019694 中に記載されるように超音波を用いて細かくすることができる。同様に、例えば、WO 03/019693 中に記載されているような、さらなる添加物を加えることも、本出願には適切である。さらに、例えば比較的少量の架橋物質および/または塵埃粒子を溶液から除くために、使用前に溶液をろ過することが適切であると判明した。
【0050】
本発明による溶液から製造するエレクトロルミネセンスデバイスは、より優れたエレクトロルミネセンス結果、特に、より急峻な電流/電圧/輝度曲線並びに高い効率を示すことが見出された。このことは驚くべきことであり、文献における結果と相反する予期せぬ結果である。従って、このような溶液は、効率的なエレクトロルミネセンスデバイスの製造について、従来技術に従う溶液と比較してより適切である。加えて、本発明による溶液から製造されたフィルムまたは画素中のポリマーおよび配合物材料は、エレクトロルミネセンスにおいて全く不均質ではない。
【0051】
有機半導体は、本発明による溶液の乾燥中に、溶液から析出することはない。このことは、有機半導体または他の配合成分が、最も高い沸点溶媒中に最も低い溶解度を有するところの二成分または三成分溶媒系の場合と比較して、かなりより均質なフィルムをもたらす。
【0052】
本明細書並びに以下の例は、特に、ポリマー発光ダイオードおよび対応するディスプレイの製造についての、本発明による溶液に向けられる。この記載の制限に関らず、当業者は、さらなる発明を必要とすることなく、他のデバイス、ほんの数例を挙げると、例えば有機電界効果トランジスタ(O−FET)、有機薄膜トランジスタ(O−TFT)、有機集積回路(O−IC)、有機太陽電池(O−SC)、または有機レーザダイオード(O−laser)の製造に、本発明による対応する溶液を用いることができる。
【0053】
本発明を、以下の例により今まで以上に詳しく説明するが、これらに制限されることを望まない。当業者は、発明を必要とすることなく、この記載および挙げる例から、本発明によるさらなる溶液を調製し、且つこれらから層を製造するために、溶液を用いることができる。
【0054】

例1:トルエン(溶媒A)およびメタノール(溶媒B)の混合物中のポリマーPOLY1の溶液
1.1 用いた材料
・ポリマーPOLY1は、モノマー( WO 99/24526 中の例における番号。ここに記載される例と同様に重合を実行)Z5、E3、E5、およびZ1の、49%:35%:15%:1%の比での重合により得られるPPVポリマーである。ここで用いたバッチPOLY1−B64は、1200kg/モルのM、370kg/モルのM、および910kg/モルのMを有する。トルエン中の5g/l溶液は、約9.9mPasの粘度(40s−1における)、並びに約9.1mPasの粘度(500−1における)を有する。
【0055】
・溶媒
・トルエン;沸点111℃;POLY1−B64の溶解度>20g/l、
・メタノール;沸点65℃;POLY1−B64の溶解度<0.05g/l。
【0056】
1.2 EL(エレクトロルミネセンス)における使用に関する検討
4つの異なる溶液を調製した。これらは、全て、5g/lのPOLY−B64を含んだ。溶液は、以下の溶媒組成を有した:
・溶液1:100%トルエン、
・溶液2:99.8%トルエン;0.2%メタノール(0.15%)、
・溶液3:99.4%トルエン;0.6%メタノール(0.45%)、
・溶液4:98.0%トルエン;0.2%メタノール(1.71%)
(H−NMRにより決定した溶媒組成は、括弧内に示す。すなわち、実際のメタノール含有量は、検量した量よりもいくぶん低く、おそらく、溶液のN飽和の間の優先的な蒸発のためである)。
【0057】
PLED(ポリマー発光ダイオード)を、溶液を用いて製造した。PLEDを、いずれの場合にも、スピンコーティングにより製造した(これについての一般方法は、例えば、上記した WO 02/072714 中に記載されている)。PLEDは、以下の構造、すなわち、ITO/PEDOT(20nm)/LEP(80nm)/Ba(5nm)、Ag(200nm)を有した。(ITO=インジウムスズ酸化物;PEDOT=ポリチオフェン誘導体(H.C.シュターク(Starck)社から分散体として入手);LEP=発光ポリマー)。
【0058】
全ての溶液は、全く欠陥のない、光学的に均質な層を与えた。PLEDは、黄色光(CIE−1931:X〜0.51、Y〜0.48)を放射した。
【0059】
EL評価を、表4において比較し、および図1に示す。
【0060】
表4 一定の輝度における効率と必要な電圧
【表4】

【0061】
製造したPLEDを、駆動寿命についても検討した。PLEDは、それぞれ、同じ電流密度において(測定精度の限界内で)同じ寿命を与えた。
【0062】
例1からの結果は、以下のことを示す。すなわち、
・0.2〜2%の示した範囲におけるメタノール含有量は、電流/電圧曲線の急峻さ(すなわち、同じ電圧におけるより高い電流)を高め、並びに各PLEDの効率をわずかに高める。
・この利点は、いかなる不利点(例えば寿命)の代償としてもたらされるのではない。このことは、アプリケーションについて重要である。
・特に、上記した EP 1134269 中に挙げられる結果故に、ここに示される結果は、全体として驚くべきことである。
【0063】
例2:アニソール(溶媒A)および1−ブタノール(溶媒B)の混合物中の、ポリマーPOLY1の溶液
2.1 用いた材料
・ポリマーPOLY1:例1において記載したもの、
・溶媒
・アニソール;沸点154℃;POLY1−B64の溶解度>20g/l、
・1−ブタノール;沸点118℃;POLY−B64の溶解度<0.05g/l。
【0064】
2.2 ELにおける使用に関する検討
4つの異なる溶液を調製した。これらは、全て、5g/lのPOLY−B64を含んだ。溶液は、以下の溶媒組成を有した:
・溶液5:100%アニソール、
・溶液6:99.5%アニソール;0.5%1−ブタノール(0.50%)、
・溶液7:98.0%アニソール;2.0%1−ブタノール(1.97%)、
・溶液8:90%アニソール;10%1−ブタノール(9.84%)
(H−NMRにより決定した溶媒組成は、括弧内に示す。この場合には、1−ブタノールの含有量は、検量した量と非常によく合致する)。
【0065】
PLEDを、例1における詳細な記述と同様に、溶液と用いて製造した。EL評価を表5において比較する。
【0066】
表5:一定の輝度における効率と必要な電圧
【表5】

【0067】
例2からの結果は、以下のことを示す:
・例1の結果と同様に、ブタノールの混合も、より急峻なIV(およびLV)曲線をもたらす。所望の効果が、10%ブタノールにおいては、修正されすぎてしまうことが、初期は、溶液8の結果から判断される。高い光束密度(5000cd/m値を参照のこと)においては、本発明による効果を再び生じる。
【0068】
例3:トルエン(溶媒A)、およびシクロヘキサン若しくはn−ヘプタン若しくはブチルメチルエーテル(溶媒B)の混合物中のポリマーPOLY1の溶液
3.1 用いた材料
・ポリマーPOLY1:例1において記載したもの、
・溶媒:
・トルエン;沸点111℃;POLY1−B64の溶解度>20g/l、
・シクロヘキサン;沸点81℃;POLY1−B64の溶解度<0.05g/l、
・n−ヘプタン;沸点98℃;POLY1−B64の溶解度<0.05g/l、
ブチルメチルエーテル;沸点55℃;POLY1−B64の溶解度<0.05g/l。
【0069】
3.2 ELにおける使用に関する検討
4つの異なる溶液を調製した。これらは、全て、5g/lのPOLY−B64を含んだ。溶液は、以下の溶媒組成を有した:
・溶液9:100%トルエン、
・溶液10:98.0%トルエン;2.0%シクロヘキサン(1.79%)、
・溶液11;98.0%トルエン;2.0%n−ヘプタン(1.92%)、
・溶液12;98.0%トルエン;2.0%ブチルメチルエーテル(1.64%)
(H−NMRにより決定した溶媒組成を、括弧内に示す)。
【0070】
PLEDを、例1における詳細な記述と同様に、溶液と用いて製造した。しかしながら、80nmの厚さを有するPEDOTフィルムを、この場合においては用いた(例1および2;いずれの場合にも20nm;上記を参照のこと)。EL評価を表6において比較する。
【0071】
表6:一定の輝度における効率と必要な電圧
【表6】

【0072】
例3からの結果は、以下のことを示す。
【0073】
・例1および2において示される結果と比較して、IV特性線の急峻さが高まらないことが、これらの溶液の場合には明らかである。しかしながら、ここでの効率は、おおむね改善されている。この結果は、驚くべきことである。
【0074】
例4:トルエン(溶媒A)とメタノール(溶媒B)の混合物中のポリマーPOLY2の溶液
4.1 用いた材料
・ポリマーPOLY2は、WO 03/020790 中の例P27と同様のスピロポリマーであり、これを、同様に、ここに記載されるスズキ重合により得た。ここで用いたバッチPOLY2−B10は、380kg/モルのM、100kg/モルのM、および320kg/モルのMを有する。アニソール/o−キシレン(1:1)中の14g/l溶液は、約6.3mPasの粘度(40s−1における)、および約6.4mPasの粘度(500s−1における)を有する。
・溶媒:
・トルエン;沸点111℃;POLY2−B10の溶解度>35g/l、
・メタノール;沸点65℃;POLY2−B10の溶解度<0.05g/l。
【0075】
4.2 ELにおける使用に関する検討
4つの異なる溶液を調製した。これらは、全て、11g/lのPOLY2−B10を含んだ。溶液は、以下の溶媒組成を有した:
・溶液13:100%トルエン、
・溶液14:99.8%トルエン;0.2%メタノール(0.17%)、
・溶液15:99.4%トルエン;0.6%メタノール(0.52%)、
・溶液16:98.0%トルエン;2.0%メタノール(1.77%)
(H−NMRにより決定された溶媒組成を括弧内に示す。すなわち、実際のメタノール含有量は、検量した量よりもいくぶん低く、おそらく、溶液のN飽和の間の優先的な蒸発のためである)。
【0076】
PLEDを、例1における詳細な記述と同様に、溶液を用いて製造した(すなわち、ここでは、再び20nmのPEDOTを用いた)。
【0077】
全ての溶液は、全く欠陥のない、光学的に均質な層を与えた。PLEDは、赤色光(CIE−1931:X〜0.67、Y〜0.33)を放射した。EL評価を表7において比較する。
【0078】
表7:一定の輝度における効率と必要な電圧
【表7】

【0079】
この場合においても駆動寿命の検討は、全ての4つの溶液から作成したPLEDが、測定精度の限界内で、同様の値を有したということを示した。
【0080】
例4からの結果は、以下のことを示す:
・例1と同様に、LV(およびIV)曲線の急峻さは、メタノール含有量を増加させた際に高まることが、全く異なるポリマーについても示される。効率は、(測定精度の限界内では)実質的には変化しない。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】記載なし。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
・少なくとも1種の高分子量成分を含む、少なくとも1種の有機半導体、および
・前記有機半導体の良溶媒である、少なくとも1種の有機溶媒A、および
・前記有機半導体の貧溶媒である、少なくとも1種の有機溶媒B
を含み、以下が、前記溶媒AおよびBの沸点(b.p.)に当てはまる、すなわちb.p,(A)>b.p.(B)であることを特徴とする単一相の液体組成物(溶液)。
【請求項2】
前記有機半導体が、少なくとも5g/lの濃度で、室温において純粋溶媒Aに可溶であることを特徴とする請求項1に記載の溶液。
【請求項3】
室温における前記純粋溶媒B中での前記有機半導体の溶解度が、0.3g/l未満であることを特徴とする請求項1および/または2に記載の溶液。
【請求項4】
前記有機半導体が、純粋成分として用いられることを特徴とする請求項1〜3の一項以上に記載の溶液。
【請求項5】
前記有機半導体が、2種以上の成分の混合物であり、このうちの少なくとも1種が、半導体性質を有することを特徴とする請求項1〜3の一項以上に記載の溶液。
【請求項6】
前記高分子量成分が、50,000g/モルを超える分子量Mを有することを特徴とする請求項1〜5の一項以上に記載の溶液。
【請求項7】
ポリマー有機半導体が、置換されたポリ−p−アリーレンビニレン(PAV)、ポリフルオレン(PF)、ポリスピロビフルオレン(PSF)、ポリ−パラ−フェニレン(PPP)若しくはポリ−パラ−ビフェニレン、ポリジヒドロフェナントレン(PDHP)、トランス−ポリインデノフルオレン若しくはシス−ポリインデノフルオレン(PIF)、ポリフェナントレン、ポリチオフェン(PT)、ポリピリジン(PPy)、ポリピロールのクラス、これらのクラスの2種以上からの構造単位を有するコポリマー、ポリビニルカルバゾール(PVK)、トリアリールアミンポリマー、および/またはリン光を発する単位を有するポリマー(これらは、いずれの場合も、有機溶媒に可溶である)から選択されることを特徴とする請求項1〜6の一項以上に記載の溶液。
【請求項8】
混合される低分子量の、オリゴマーの、樹枝状の、低度〜高度に分枝した、および/若しくはポリマーの有機半導体並びに/または有機金属半導体を含む非伝導性ポリマー(マトリックスポリマー)が用いられることを特徴とする請求項1〜7の一項以上に記載の溶液。
【請求項9】
前記有機半導体を0.01〜20重量%含むことを特徴とする請求項1〜8の一項以上に記載の溶液。
【請求項10】
前記溶媒Aの沸点が、110℃を超えることを特徴とする請求項1〜9の一項以上に記載の溶液。
【請求項11】
前記溶媒Aの沸点が、300℃未満であることを特徴とする請求項1〜10の一項以上に記載の溶液。
【請求項12】
前記溶媒Bの沸点が、50℃を超えることを特徴とする請求項1〜11の一項以上に記載の溶液。
【請求項13】
前記溶媒Bの沸点が、250℃未満であることを特徴とする請求項1〜12の一項以上に記載の溶液。
【請求項14】
前記溶媒Aと前記溶媒Bの沸点の差が、10Kを超えることを特徴とする請求項1〜13の一項以上に記載の溶液。
【請求項15】
前記溶媒Aが、70〜99.8体積%の割合で用いられ、並びに前記溶媒Bが、0.2〜30体積%の割合で用いられることを特徴とする請求項1〜14の一項以上に記載の溶液。
【請求項16】
さらなる良溶媒および/または貧溶媒が、前記溶媒AおよびBに加えて用いられることを特徴とする請求項1〜15の一項以上に記載の溶液。
【請求項17】
前記溶媒Aとして、単置換若しくは多置換の芳香族溶媒、ギ酸誘導体、N−アルキルピロリドン、または高沸点エーテルが用いられることを特徴とする請求項1〜16の一項以上に記載の溶液。
【請求項18】
前記溶媒Aとして、3−フルオロベンゾ三フッ化物、ベンゾ三フッ化物、ジオキサン、トリフルオロメトキシベンゼン、4−フルオロベンゾ三フッ化物、3−フルオロピリジン、トルエン、2−フルオロトルエン、2−フルオロベンゾ三フッ化物、3−フルオロトルエン、ピリジン、4−フルオロトルエン、2,5−ジフルオロトルエン、1−クロロ−2,4−ジフルオロベンゼン、2−フルオロピリジン、3−クロロフルオロベンゼン、1−クロロ−2,5−ジフルオロベンゼン、4−クロロフルオロベンゼン、クロロベンゼン、2−クロロフルオロベンゼン、p−キシレン、m−キシレン、o−キシレン、2,6−ルチジン、2−フルオロ−m−キシレン、3−フルオロ−o−キシレン、2−クロロベンゾ三フッ化物、ジメチルホルムアミド、2−クロロ−6−フルオロトルエン、2−フルオロアニソール、アニソール、2,3−ジメチルピラジン、ブロモベンゼン、4−フルオロアニソール、3−フルオロアニソール、3−トリフルオロメチルアニソール、2−メチルアニソール、フェネトール、ベンゾジオキソール、4−メチルアニソール、3−メチルアニソール、4−フルオロ−3−メチルアニソール、1,2−ジクロロベンゼン、2−フルオロベンゾニトリル、4−フルオロベラトロール、2,6−ジメチルアニソール、アニリン、3−フルオロベンゾニトリル、2,5−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール、ベンゾニトリル、3,5−ジメチルアニソール、N,N−ジメチルアニリン、1−フルオロ−3,5−ジメトキシベンゼン、フェニルアセタート、N−メチルアニリン、メチルベンゾアート、N−メチルピロリドン、3,4−ジメチルアニソール、o−トルニトリル、ベラトロール、エチルベンゾアート、N,N−ジエチルアニリン、プロピルベンゾアート、1−メチルナフタレン、ブチルベンゾアート、2−メチルビフェニル、2−フェニルピリジン、または2,2’−ビトリルから1種以上の溶媒が選択されることを特徴とする請求項17に記載の溶液。
【請求項19】
前記溶媒Bとして、直鎖の、分枝の若しくは環状のアルカン、テルペン、(環式)脂肪族アルコール、エーテル、ケトン、カルボン酸エステル、または単置換若しくは多置換の芳香族溶媒(これは、非常に長いアルキル置換基またはアルコキシ置換基により置換される)が用いられることを特徴とする請求項1〜18の一項以上に記載の溶液。
【請求項20】
前記溶媒Bとして、tert−ブチルメチルエーテル、アセトン、メタノール、ヘキサン、エチルアセタート、エタノール、2−ブタノン、シクロヘキサン、2−プロパノール、tert−ブタノール、1−プロパノール、2−ブタノール、ヘプタン、2−ペンタノン、メチルシクロヘキサン、3−ペンタノン、3−ペンタノール、1−ブタノール、1,4−ジメチルシクロヘキサン、1,3−ジメチルシクロヘキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、1,2−ジメチルシクロヘキサン、オクタン、シクロペンタノン、2−ヘキサノール、1−ペンタノール、1,2,4−トリメチルシクロヘキサン、4−ヘプタノン、3−ヘプタノン、2−ヘプタノン、ノナン、3−ヘプタノール、1−ヘキサノール、2−ヘプタノール、ジグリム、ブチルブチラート、tert−ブチルベンゼン、デカン、1−ヘプタノール、2−オクタノール、ブチルシクロヘキサン、2−エチル−1−ヘキサノール、デカリン、プロピレングリコール、ジメチルスルホキシド、グリコール、3,7−ジメチル−1−オクタノール、3,7−ジメチル−3−オクタノール、ジメチルスクシナート、ベンジルアルコール、DBE、ドデカン、ジエチルスクシナート、トリグリム、ビシクロヘキシル、ジメチルアジパート、1−デカノール、または2−ピロリドンから1種以上の溶媒が選択されることを特徴とする請求項19に記載の溶液。
【請求項21】
基材上に前記有機半導体の層を製造するための、請求項1〜20の一項以上に記載の溶液の使用。
【請求項22】
請求項1〜20の一項以上に記載の溶液を、印刷法を用いて処理することを特徴とする、基材上に有機半導体の層を製造するための方法。
【請求項23】
前記印刷法が、インクジェット印刷(IJP)であることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
請求項1〜20の一項以上に記載の溶液を、エリアコーティング(area coating)法を用いて処理することを特徴とする、基材上に有機半導体の層を製造するための方法。
【請求項25】
請求項1〜20の一項以上に記載の溶液を用いて、または請求項22および/若しくは23に記載の印刷法を用いて、または請求項24に記載のエリアコーティング法を用いて製造されることを特徴とする有機半導体の層。
【請求項26】
少なくとも1つの、請求項25に記載の層を含む、有機若しくはポリマー発光ダイオード(OLED、PLED)、有機電界効果トランジスタ(O−FET)、有機薄膜トランジスタ(O−TFT)、有機集積回路(O−IC)、有機太陽電池(O−SC)、または有機レーザダイオード(O−laser)。

【図1】
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【公表番号】特表2008−503870(P2008−503870A)
【公表日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−512062(P2007−512062)
【出願日】平成17年5月10日(2005.5.10)
【国際出願番号】PCT/EP2005/005022
【国際公開番号】WO2005/112145
【国際公開日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(597035528)メルク パテント ゲーエムベーハー (209)
【Fターム(参考)】