説明

有機廃棄物の炭化方法及び炭化プラント

【課題】有機廃棄物の臭気の拡散を防止しながら、比較的少ない燃料消費により、乾燥及び炭化を行うことができる有機廃棄物の炭化方法及び炭化プラントを提供すること。
【解決手段】
有機廃棄物の炭化プラント1は、微生物が添加された余剰汚泥等の有機廃棄物を減圧環境で加熱して乾燥有機物を形成する減圧発酵乾燥装置3と、乾燥有機物を粒状化するリングダイ式造粒機4と、粒状化された乾燥有機物を炭化する炭化装置5を備える。炭化装置5で乾燥有機物の炭化により生成された可燃性ガスを、炭化装置5の加熱室53に導いて燃焼させると共に、減圧発酵乾燥装置3の蒸気ボイラ33のバーナに導いて燃焼させる。炭化装置5の加熱室53で可燃性ガスが燃焼してなる燃焼ガスを、蒸気ボイラ33の熱交換器に導いて、余剰の熱を用いて蒸気を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば余剰汚泥等の有機廃棄物を炭化する炭化方法と、その炭化プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、下水処理場で曝気工程と沈殿工程を経て生成される余剰汚泥は、産業廃棄物として、埋立てや焼却等の最終処分が行われている。
【0003】
最近、地球環境への配慮が高まりつつあることに伴い、余剰汚泥の埋め立てによる土壌汚染や、余剰汚泥の焼却による大気中への二酸化炭素の排出が問題となっている。これらの問題を解決するため、余剰汚泥を乾燥及び炭化し、土壌改良剤等として使用可能な有用物を形成する技術が提案されている。この種の技術として、余剰汚泥の乾燥及び炭化を行うロータリーキルンが多く用いられており、乾燥室と炭化室とを有する単一の回転炉により、脱水工程を経た後の水分量が80wt%(質量百分率)程度の汚泥を連続的に乾燥し、炭化するロータリーキルンが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このロータリーキルンは、内部に乾燥室と炭化室が設けられた回転炉を外周側のバーナで加熱し、汚泥を水分量が20〜40wt%程度にまで乾燥させ、さらに、乾燥汚泥を炭化させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−355967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記ロータリーキルンを用いた汚泥の乾燥及び炭化方法は、水分量が80wt%程度の汚泥を、単一の回転炉に投入し、バーナで加熱して乾燥と炭化を行うので、燃料効率が比較的低く、燃料費が嵩む問題がある。また、バーナの燃料に化石燃料を用いた場合、二酸化炭素等の温室効果ガスの排出量が多く、また、窒素酸化物等の大気汚染物質が生じるので、環境への影響が比較的大きいという問題がある。
【0006】
また、下水処理場から排出された余剰汚泥は強い臭気を有するので、汚泥を80wt%程度の水分量から20〜40wt%程度の水分量にまで乾燥させるに伴って生じる蒸気には、大量の臭気成分が含まれるが、引用文献1では臭気の処理は考慮されていない。
【0007】
そこで、本発明の課題は、余剰汚泥のような水分量の多い有機廃棄物を、環境への影響を低減しながら比較的高い燃料効率により、臭気の拡散を防止しつつ乾燥及び炭化できる炭化方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の有機廃棄物の炭化方法は、有機廃棄物を、微生物を添加して減圧環境で加熱して乾燥有機物を形成する減圧乾燥工程と、
上記減圧乾燥工程で有機廃棄物から蒸発した水分を凝縮する凝縮工程と、
上記凝縮工程で水分を冷却すると共に微生物が添加された冷却水に、上記凝縮工程で生じた凝縮水と、上記減圧乾燥工程で生じた臭気を含む気体とを混合し、この冷却水を冷却する混合冷却工程と、
上記乾燥有機物を低酸素環境下で加熱して、有機炭化物を形成すると共に可燃性ガスを生成する炭化工程と、
上記炭化工程で乾燥有機物から生成された可燃性ガスを、上記減圧乾燥工程又は炭化工程における加熱用の燃料として燃焼させる燃焼工程と
を備えることを特徴としている。
【0009】
上記構成によれば、減圧乾燥工程で、有機廃棄物を、微生物を添加して減圧環境で加熱して乾燥有機物を形成する。有機廃棄物に微生物を添加して減圧環境で加熱するので、有機廃棄物が、例えば余剰汚泥等のように水分量が98wt%程度を越えるものであっても、微生物の分解作用で臭気を抑えると共に、沸点を降下させて比較的低い加熱温度で乾燥させることができる。このように、減圧による沸点の降下により、乾燥のための加熱温度を比較的低くできるので、加熱のために使用する燃料を比較的少なくできると共に、有機廃棄物に添加される微生物の死滅を防止でき、臭気の削減効果を安定して奏することができる。ここで、有機廃棄物とは、各種産業の生産工程や排水処理、或いは、下水道や下水処理施設から排出されて有機物を含む廃棄物を広くいい、例えば活性汚泥法による汚泥処理に伴って生じた余剰汚泥や、湖沼や海の底に堆積したヘドロや、農水産業で排出される廃棄物や、食品工場から排出される食品残渣や、一般家庭から排出される生ごみ等が該当する。
【0010】
ここで、上記減圧乾燥工程で、有機廃棄物の加熱温度を比較的低くすることにより、上記有機廃棄物からの可燃性ガスの生成量を抑えることができる。この減圧乾燥工程での可燃性ガスの生成量を抑えることにより、減圧乾燥工程の後の炭化工程で、可燃性ガスを多く採取することができる。したがって、有機廃棄物から効率的に可燃性ガスを生成して採取することができ、この可燃性ガスを減圧乾燥工程又は炭化工程の加熱用の燃料として燃焼させる燃焼工程において、有機廃棄物から生成された可燃性ガスを多く用いることができる。すなわち、上記減圧乾燥工程及び炭化工程の加熱に必要な燃料に対して、炭化工程で生成された可燃性ガスを用いる割合を高めることができる。その結果、上記加熱のために新たに使用する化石燃料を削減することができる。その結果、燃料費を削減でき、また、化石燃料の使用に伴う温室効果ガスや大気汚染物質の排出量を削減することができる。また、有機廃棄物から生成された可燃性ガスを燃焼させるので、有機廃棄物の臭気を効果的に低減することができる。
【0011】
また、凝縮工程により、上記減圧乾燥工程で有機廃棄物から蒸発した水分を凝縮する。この凝縮工程で用いられる冷却水であって微生物が添加された冷却水に、混合冷却工程により、上記凝縮工程で生じた凝縮水と、上記減圧乾燥工程で生じた臭気を含む気体とを混合し、この冷却水を冷却する。これにより、冷却水を冷却すると共に、凝縮水や気体に含まれる臭気を、冷却水の微生物で分解して脱臭することができる。したがって、減圧乾燥工程における有機廃棄物の乾燥を促進すると共に、有機廃棄物の乾燥に伴って生じる臭気の拡散を効果的に防止できる。
【0012】
このように、本発明の有機廃棄物の炭化方法によれば、例えば余剰汚泥のように水分量が多くかつ臭気の強い有機廃棄物を、効率よく迅速に、しかも、比較的低廉な燃料費により、温室効果ガスや大気汚染物質の排出量を削減しながら、さらに、臭気の拡散を防止しながら乾燥及び炭化させて、臭気の少ない有機炭化物を製造することができる。この炭化方法により製造された有機炭化物は、肥料、燃料、吸着剤、土壌改良剤、又は、還元剤として用いることができる。
【0013】
上記炭化工程において、低酸素環境とは、乾燥有機物が置かれる雰囲気中の酸素濃度が、容積割合で5%以上12%以下であることをいう。また、上記炭化工程において、乾燥有機物の加熱温度は、350℃以上500℃以下であるのが好ましく、乾燥有機物の加熱時間は、5分以上10分以下であるのが好ましい。これらの酸素濃度と加熱温度と加熱時間の条件により、乾燥有機物を炭化させると共に、乾燥有機物から、例えば水素、一酸化炭素及びメタン等を含む可燃性ガスを生成することができる。
【0014】
一実施形態の有機廃棄物の炭化方法は、上記炭化工程における加熱の余剰の熱を、上記減圧乾燥工程における加熱に利用する。
【0015】
上記実施形態によれば、炭化工程で乾燥有機物から生成された可燃性ガスを、炭化工程の加熱用の燃料として燃焼工程で燃焼させ、この炭化工程における加熱の余剰の熱を、減圧乾燥工程の加熱に利用することにより、炭化工程よりも多くの熱量が必要である減圧乾燥工程に、安定して熱を供給することができる。また、有機廃棄物の炭化方法の全体として、熱の無駄な消費を削減できる。
【0016】
一実施形態の有機廃棄物の炭化方法は、上記減圧乾燥工程で生じた気体を、この減圧乾燥工程における有機廃棄物の加熱用の燃焼空気として供給する燃焼空気供給工程を備える。
【0017】
上記実施形態によれば、減圧乾燥工程で生じた気体を、この減圧乾燥工程において有機廃棄物を加熱するための燃焼空気として、例えばバーナ等の熱源装置に供給することにより、気体の臭気成分を燃料と共に燃焼させて、減圧乾燥工程で生じる臭気を除去することができる。
【0018】
一実施形態の有機廃棄物の炭化方法は、上記炭化工程の前に、上記減圧乾燥工程で形成された乾燥有機物を粒状化する粒状化工程を備え、
上記炭化工程で、粒状化された上記乾燥有機物を加熱する。
【0019】
上記実施形態によれば、粒状化工程により、減圧乾燥工程で形成された乾燥有機物を粒状化するので、乾燥有機物が固形化されて、粉末状の乾燥有機物が少なくなる。したがって、粒状化された乾燥有機物を加熱する炭化工程において、粉末状の乾燥有機物や有機炭化物が排気と共に排出される量が少なくなる。その結果、乾燥有機物から有機炭化物を形成する間に生じる損失を削減でき、有機炭化物の収率を高めることができる。また、炭化工程において排気と共に排出される粉末を少なくできるので、排気から粉末を収集する集塵装置を小型にでき、また、集塵装置の保守等の手間を少なくできる。その結果、炭化工程における集塵に関する費用や手間を少なくできる。
【0020】
なお、乾燥有機物の粒状化とは、減圧乾燥工程で形成された乾燥有機物を、2mm以上8mm以下の固形の粒に形成することをいう。粒状化は、いわゆるペレットミル等の造粒機によって行うことができる。
【0021】
一実施形態の有機廃棄物の炭化方法は、上記減圧乾燥工程で処理する有機廃棄物に、木質材料の粉末を予め添加する。
【0022】
上記実施形態によれば、木質材料の粉末を有機廃棄物に添加することにより、減圧乾燥工程における処理対象の水分の割合を低減でき、乾燥有機物の生成効率を高めることができる。ここで、木質材料の粉末としては、廃木材や間伐材等を粉砕してなるオガ粉を用いることができる。
【0023】
本発明の有機廃棄物の炭化プラントは、微生物が添加された有機廃棄物を、減圧環境で加熱して乾燥有機物を形成する減圧乾燥装置と、
上記乾燥有機物を低酸素環境下で加熱して、有機炭化物を形成すると共に可燃性ガスを生成する炭化装置とを備え、
上記減圧乾燥装置は、有機廃棄物が投入されて内部を減圧するケーシングと、ケーシング内に回転可能に配置されて有機廃棄物を攪拌する攪拌部と、ケーシングの少なくとも一部に設けられて有機廃棄物を加熱する加熱部と、上記有機廃棄物からの蒸気を凝縮する凝縮部と、この凝縮部に供給されて微生物が添加された冷却水と、上記凝縮部で生じた凝縮水と、上記有機廃棄物の乾燥によって生じた臭気を含む気体とをケーシングから吸引する吸引ポンプと、上記冷却水に上記吸引ポンプで吸引された凝縮水と気体とを混合すると共にこの冷却水を冷却する混合冷却器とを有し、
上記減圧乾燥装置及び炭化装置のうちの少なくとも一方の加熱用に、上記炭化装置で乾燥有機物から生成された可燃性ガスを燃料として用いることを特徴としている。
【0024】
上記構成によれば、減圧乾燥装置により、微生物が添加された有機廃棄物が、減圧環境で加熱されて乾燥有機物が形成される。すなわち、内部が減圧されたケーシング内に有機廃棄物が投入され、この有機廃棄物が加熱部で加熱されると共に、攪拌部で攪拌される。有機廃棄物に微生物が添加されて減圧環境で加熱されるので、有機廃棄物が、例えば余剰汚泥等のように水分量が98wt%程度を越えるものであっても、微生物の分解作用で臭気が抑えられると共に、沸点が降下して比較的低い加熱温度で乾燥する。このように、減圧による沸点の降下により、加熱部による加熱温度を比較的低くできるので、加熱部の熱源装置に使用する燃料を比較的少なくできると共に、有機廃棄物に添加される微生物の死滅を防止でき、臭気の削減効果を安定して奏することができる。ここで、有機廃棄物とは、各種産業の生産工程や排水処理、或いは、都市基盤から排出されて有機物を含む廃棄物を広くいい、例えば活性汚泥法による汚泥処理に伴って生じた余剰汚泥や、湖沼や海の底に堆積したヘドロや、農水産業で排出される廃棄物や、食品工場から排出される食品残渣や、一般家庭から排出される生ごみ等が該当する。
【0025】
上記減圧乾燥装置は、加熱部による有機廃棄物の加熱温度を比較的低く設定することにより、上記有機廃棄物からの可燃性ガスの生成量を抑えることができる。この減圧乾燥装置による処理を行う際の可燃性ガスの生成量を抑えることにより、炭化装置で乾燥有機物を処理する際に、可燃性ガスを多く採取することができる。したがって、有機廃棄物から効率的に可燃性ガスを生成して採取することができ、この可燃性ガスを減圧乾燥装置の加熱用の燃料として、又は、炭化装置の加熱用の燃料として燃焼させる際に、有機廃棄物から生成された可燃性ガスを多く用いることができる。すなわち、上記減圧乾燥装置及び炭化装置の加熱に必要な燃料に対して、炭化装置で生成された可燃性ガスを用いる割合を高めることができる。その結果、上記減圧乾燥装置及び炭化装置の加熱のために新たに使用する化石燃料を削減することができる。その結果、燃料費を削減でき、また、温室効果ガスの排出量の削減や、窒素酸化物等の発生の防止ができる。また、有機廃棄物から生成された可燃性ガスを燃焼させるので、有機廃棄物の臭気を効果的に低減することができる。
【0026】
また、上記減圧乾燥装置では、有機廃棄物から蒸発した水分が凝縮部で凝縮される。この凝縮部に供給されて微生物が添加された冷却水に、混合冷却器によって、吸引ポンプで吸引された上記凝縮水とケーシング内の気体とが混合され、冷却される。これにより、冷却水を冷却すると共に、凝縮水や気体の臭気を冷却水の微生物で分解して脱臭することができる。したがって、有機廃棄物の乾燥を促進すると共に、有機廃棄物の乾燥に伴って生じる臭気の拡散を効果的に防止できる。
【0027】
このように、本発明の有機廃棄物の炭化プラントによれば、例えば余剰汚泥のように水分量が多くかつ臭気の強い有機廃棄物を、効率よく迅速に乾燥させ、比較的少ない燃料の消費量のもと、二酸化炭素等の温室効果ガスの発生と窒素酸化物等の大気汚染物質の発生を抑制しながら炭化でき、さらに、減圧乾燥装置と炭化装置による処理中の臭気の拡散を防止しながら、臭気の少ない有機炭化物を形成できる。
【0028】
上記炭化装置による炭化工程において、低酸素環境とは、乾燥有機物が置かれる雰囲気中の酸素濃度が、容積割合で5%以上12%以下であることをいう。また、上記炭化装置による炭化工程において、乾燥有機物の加熱温度は、350℃以上500℃以下であるのが好ましく、乾燥有機物の加熱時間は、5分以上10分以下であるのが好ましい。これらの酸素濃度と加熱温度と加熱時間の条件により、乾燥有機物を炭化させると共に、乾燥有機物から、例えば水素、一酸化炭素及びメタン等を含む可燃性ガスを生成することができる。
【0029】
一実施形態の有機廃棄物の炭化プラントは、上記炭化装置で乾燥有機物を加熱する際の余剰の熱を、上記減圧乾燥装置の加熱部に供給して利用する。
【0030】
上記実施形態によれば、炭化装置で乾燥有機物から生成された可燃性ガスを、炭化装置で乾燥有機物を加熱する燃料として燃焼させ、この炭化装置で加熱する際に生じた余剰の熱を、減圧乾燥装置の加熱部に供給して利用することにより、乾燥有機物を炭化するときよりも多くの熱量が必要である有機廃棄物の乾燥のために、減圧乾燥装置に安定して熱を供給することができる。また、有機廃棄物の炭化プラントの全体として、熱の無駄な消費を削減できる。
【0031】
一実施形態の有機廃棄物の炭化プラントは、上記減圧乾燥装置のケーシング内の気体を吸引し、この減圧乾燥装置の加熱用の熱源装置に、上記吸引した気体を燃焼空気として供給する第2の吸引ポンプを備える。
【0032】
上記実施形態によれば、減圧乾燥装置で生じた気体を、第2の吸引ポンプによって、この減圧乾燥装置の加熱用の熱源装置に燃焼空気として供給することにより、気体の臭気成分を燃料と共に燃焼させて、減圧乾燥装置で生じる臭気を除去することができる。
【0033】
一実施形態の有機廃棄物の炭化プラントは、上記減圧乾燥装置で形成され、上記炭化装置に投入される前の乾燥有機物を粒状化する粒状化装置を備える。
【0034】
上記実施形態によれば、粒状化装置により、減圧乾燥装置で形成された乾燥有機物を粒状化するので、乾燥有機物が固形化されて、粉末状の乾燥有機物が少なくなる。したがって、粒状化された乾燥有機物を炭化装置で加熱する際に、粉末状の乾燥有機物や有機炭化物が排気と共に排出される量が少なくなる。その結果、乾燥有機物から有機炭化物を形成する間に生じる損失を削減でき、有機炭化物の収率を高めることができる。また、炭化装置から排気と共に排出される粉末が少ないので、排気から粉末を収集して除去する集塵装置を小型にでき、また、集塵装置の保守等の手間を少なくできる。その結果、炭化装置からの排気の集塵に関する費用や手間を少なくできる。
【0035】
なお、乾燥有機物の粒状化とは、減圧乾燥装置で形成された乾燥有機物を、2mm以上8mm以下の固形の粒に形成することをいう。粒状化装置として、例えばペレットミル等の造粒機を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】有機廃棄物の炭化プラントを示す模式図である。
【図2】減圧発酵乾燥装置の構成を示す模式図である。
【図3】減圧発酵乾燥装置のケーシング内を示す縦断面図である。
【図4】混合冷却器を示す模式図である。
【図5】リングダイ式造粒機の主要部を示す模式図である。
【図6】炭化装置を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の有機廃棄物の炭化プラントの実施形態を、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0038】
本発明の有機廃棄物の炭化プラントは、有機廃棄物を処理して有機炭化物を製造するプラントであり、水分量が80wt%以上の高水分の有機廃棄物に好適な炭化プラントである。図1に示した本実施形態の有機廃棄物の炭化プラント1は、水分量が98wt%を越える余剰汚泥を減圧環境で発酵及び乾燥させて、水分量が概ね30wt%以下の乾燥有機物を生成し、この乾燥有機物を炭化処理して有機炭化物を形成するものである。この有機廃棄物の炭化プラント1は、余剰汚泥の受入ホッパ2と、減圧乾燥装置としての減圧発酵乾燥装置3と、乾燥有機物を粒状化する粒状化装置としてのリングダイ式造粒機4と、乾燥有機物の炭化処理を行う炭化装置5によって大略構成されている。
【0039】
受入ホッパ2は、下水処理場から排出されてタンクローリー等で搬送された余剰汚泥を受け入れる装置であり、受け入れた余剰汚泥の所定量を、下部の切り出し装置から搬送コンベヤ11上に排出するようになっている。
【0040】
搬送コンベヤ11で搬送される余剰汚泥には、搬送コンベヤ11の途中に設置された木屑供給装置12によってオガ粉が添加される。木屑供給装置12には、例えば間伐材や建築廃材等の木質廃棄物を破砕して形成されたオガ粉が供給される。なお、余剰汚泥へのオガ粉の添加は、行わなくてもよい。オガ粉が添加された余剰汚泥は、減圧発酵乾燥装置3に送られる。
【0041】
図2は、減圧発酵乾燥装置3を示す図である。減圧発酵乾燥装置3は、乾燥装置本体31と、混合冷却器としてのクーリングタワー32と、蒸気ボイラ33とで大略構成されている。
【0042】
乾燥装置本体31は、内部に処理室311を有する大略円筒形状のケーシング312と、処理室311の下部の壁面に形成されたジャケット式ヒータ313と、処理室311内に配置された加熱攪拌部314と、処理室311内の上部に設けられた凝縮部315を有する。
【0043】
ケーシング312の一端の上部には、被処理物が投入される投入口312aが形成され、ケーシング312の他端の下部には、被処理物が排出される排出口312bが形成されている。ケーシング312の投入口312aに、搬送コンベヤ11の終端に連なるエアロック機構が接続されている。ケーシング312の排出口312bに、スクリューコンベヤで形成された排出コンベヤ13が接続されている。排出コンベヤ13の終端は、エアロック機構を有する排出装置に接続されている。
【0044】
図3は、乾燥装置本体31の内部の詳細を示した断面図である。図3に示すように、加熱攪拌部314は、ケーシング312の両端面に設けられた軸受装置121,122に両端が支持された回転軸141と、回転軸141に固定されたコイル状管体142と、コイル状管体142の外周側に配置されて一辺が5〜10cmの矩形の複数のブレード143を有する。回転軸141とコイル状管体142は内部が互いに連通しており、熱媒体としての蒸気が、軸受装置121,122を介して回転軸141とコイル状管体142内に供給される。加熱攪拌部314は、モータMで回転駆動され、回転軸141とコイル状管体142で被処理物を加熱すると共に、ケーシング312内の被処理物を投入口312aから排出口312bに向かって送りをかけながら攪拌するように形成されている。ブレード143は、表面が、加熱攪拌部314の径方向の先端縁が回転方向に傾斜すると共に、軸方向の排出口312b側の側縁が反回転方向に傾斜している。これにより、加熱攪拌部314が回転するに伴い、ブレード143が、ケーシング312の内側面近傍の被処理物をすき取るようになっている。加熱攪拌部314の回転速度は、処理室311に投入される有機廃棄物の水分量に応じて、1rpm〜60rpmの間に設定することができる。
【0045】
ケーシング312の軸受装置121,122は、加熱攪拌部314の回転軸141を支持すると共に、熱媒体としての蒸気の供給と排出を行っている。供給側軸受装置121は、蒸気供給管123に接続された回転継手124と、回転継手124を介して接続された蒸気管141aを内包する回転軸141の端部を支持するスリーブ軸受125を有する。排出側軸受装置122は、蒸気排出管126に接続された回転継手127と、回転継手127を介して接続された蒸気管141bを内包する回転軸141の端部を支持するスリーブ軸受128を有する。蒸気ボイラ33から蒸気供給管123を通して供給側軸受装置121の側に供給された蒸気が、回転継手124を介して回転軸141に供給される。回転軸141に供給された蒸気は、一部がコイル状管体142に供給される。回転軸141とコイル状管体142に供給された蒸気は、回転軸141とコイル状管体142が接触する被処理物と熱交換を行った後、蒸気管141bと回転継手127を通して排出側軸受装置122の側に戻る。排出側軸受装置122の側に戻った蒸気は、蒸気排出管126を通して蒸気ボイラ33に戻される。一方、加熱攪拌部314へ供給される蒸気よりも圧力及び温度の低い蒸気が、供給口143aを通してジャケット式ヒータ313に供給され、排出口143bを通して蒸気ボイラ33に戻される。すなわち、ジャケット式ヒータ313よりも接触面積の大きい加熱攪拌部314に、ジャケット式ヒータ313に供給する蒸気と比較して圧力及び温度の高い蒸気を供給することにより、水分量の多い汚泥等の被処理物を、効率的に乾燥させるようにしている。このように、ジャケット式ヒータ313と加熱攪拌部314は、減圧発酵乾燥装置3の加熱部として機能する。
【0046】
加熱攪拌部314のコイル状管体142は、上流側コイル144と下流側コイル145で形成されている。回転軸141の内部は、上流側コイル144の上流端144a及び下流端144bと、下流側コイル145の上流端145a及び下流端145bとに、順次連通している。これにより、供給側軸受装置121の側に供給された蒸気が、矢印G1で示すように上流側コイル144に流入し、この後、矢印G2で示すように回転軸141の内部に戻り、さらに、矢印G3で示すように下流側コイル145に流入し、この後、矢印G4で示すように回転軸141の内部に戻る。回転軸141内の蒸気は、矢印G5で示すように、蒸気管141bを通って回転軸141から排出されるようになっている。
【0047】
上記加熱攪拌部314は、コイル状管体142の外周側に設けられたブレード143により、ケーシング312の内側面の近傍の被処理物をすき取ることができる。したがって、ケーシング312のジャケット式ヒータ313が形成された位置の内側面に、被処理物が固着する不都合を効果的に防止できる。
【0048】
ケーシング312内の上部に設けられた凝縮部315は、ケーシング312の他端面に形成された冷却水供給室151と、ケーシング312の一端面に形成された冷却水排出室152を有する。冷却水供給室151には、クーリングタワー32から冷却水が供給される冷却水供給管153が接続されている。冷却水排出室152には、冷却水を排出してクーリングタワー40に戻す冷却水排出管154が接続されている。冷却水供給室151と、冷却水排出室152との間には、ケーシング312の軸方向に延在して供給室151と排出室152とに両端が連通する複数の冷却水管155,155,・・・が設けられている。複数の冷却水管155,155,・・・は、ケーシング312内の上部の幅方向の両側に振り分けて配置されている。複数の冷却水管155,155,・・・の側方と下方には、凝縮水を収集する集水樋156が設けられている。集水樋156の内側に、凝縮水と共に処理室311内の空気を吸引する吸引管157が連通している。
【0049】
乾燥装置本体31のケーシング312内に投下される有機廃棄物には、微生物が添加される。微生物としては、海、山及び陸等の自然界に生息する土着菌や発酵菌等が採取され、培養されたものが用いられる。特に、余剰汚泥等の有機汚泥を発酵させて脱臭を行うには、各種の動植物や土壌に生息する菌が有効であることが見出されている。菌が生息する動植物や土壌としては、よもぎ、野草、薬草、海辺の草、笹、竹やぶの土、山林の土、魚、海草、果実、パイナップル、リンゴ、ミカン、ビワ及びブドウ等がある。これらに生息する菌を、米ぬか又はオガ屑で培養して用いるのが好ましい。本実施形態では、減圧値0.03〜0.07MPaの減圧環境のもと、70〜90℃の温度で、30分から2〜3時間にわたり、被処理物を攪拌しながら発酵菌を混合して脱臭を行うので、かかる条件下で発酵生育する微生物が好ましい。処理室311内に添加する微生物は、次の酵素のうちの少なくとも1つを生産するものが好ましい。なお、各酵素に続く括弧内に、各酵素が作用する物質を記している。アルコールデハイドロゲナーゼ(アルコール)、ラクテートデハイドロゲナーゼ(乳糖)、グルコース6リン酸デハイドロゲナーゼ(糖質)、アルデヒドデハイドロゲナーゼ(アルデヒド)、L・アスパルテイト・ベーターセミアルデヒド・NADPオキシドレクターゼ(アルデヒド)、グルタミン酸デハイドロゲナーゼ(アミノ酸)、アスパラギン酸セミアルデヒド・デハイドロゲナーゼ(アミノ酸)、NADPH2チクトクロームC・リアクターゼ(NADP)、グルタチオン・デハイドロゲナーゼ(グルタチオン)、トレハローズリン酸シンテクターゼ(糖質)、ポリフォスヘエードキナーゼ(ATP)、エタノールアミンフォスヘエードサイチジル・トランスフェラーゼ(CTP)、トレハローズフォスファターゼ(糖質)、メタルチオ・フォスフォ・グリセレート・フォスファターゼ(グリセリン)、イヌラーゼ(イヌリン)、β−マンノシターゼ(糖質)、ウリジン・ヌクレオシターゼ(アミノ酸)、シトシン・ジアミナーゼ(シトシン)、メチルシステインシンテターゼ(アミノ酸)、アスパラギン酸シンテターゼ(ATP)、コハク酸デハイドロゲナーゼ(コハク酸)、アコニチン酸ハイドロゲナーゼ(クエン酸)、フマレイトハイドロゲナーゼ(マロン酸)、マレイトデハイドロゲナーゼ(マロン酸)、クエン酸シンテターゼ(アセチルCouA)、イソクエン酸デハイドロゲナーゼ(クエン酸)、LSNADPオキシダクターゼ(クエン酸)、モノアミンオキシダクターゼ(アミン)、ヒスタミナーゼ(アミン)、ピルビン酸デカルボキシラーゼ(オキソ酸)、ATPアーゼ(ATP)、ヌクレオチドピロフォスファターゼ(核酸)、エンドポリフォスファターゼ(ATP)、ATPフォスフォハイドロラーゼ(ATP)、オロチジン5リン酸デカルボキシラーゼ(オロチジン)。これらのうちの少なくとも1つの酵素を生産する微生物を、被処理物に含ませることにより、多種類の有機物成分からなる有機廃棄物に対して効果的に分解処理を行うことができる。
【0050】
クーリングタワー32は、乾燥装置本体31の凝縮部315に供給される冷却水を冷却すると共に、乾燥装置本体31の凝縮部315で生成された凝縮水と、乾燥装置本体31内の気体とを上記冷却水に混合して脱臭を行うものである。冷却水は、乾燥装置本体31内の冷却水排出室152から、図2の矢印W1で示すようにクーリングタワー32に導かれ、冷却された後に、冷却水ポンプPにより、図2の矢印W2で示すように、乾燥装置本体31の冷却水供給室151に戻される。また、乾燥装置本体31の凝縮部315で生成された凝縮水と、有機廃棄物の乾燥に伴って処理室311内で生じた臭気を有する気体が、真空ポンプVPで吸引され、図2の矢印Vで示すようにクーリングタワー32に導かれる。
【0051】
上記クーリングタワー32は、図4に示すように、大気の流通口を上部と下部に有するケーシング321と、ケーシング321の下端に設置された水槽322と、水槽322の水をケーシング321内の上部に導く散水管323と、散水管323に介設された散水ポンプSPと、散水管323の分岐した先端部に設けられた複数の散水ノズル323a,323a,・・・と、散水ノズル323aから散布された水が流下して接触する接触体325と、ケーシング321内の上端部に設けられたファン326を備える。ケーシング321には、乾燥装置本体31から排出された凝縮水及び空気を、図2の矢印Vで示すように導く導管324が配管されている。導管324の分岐した先端部には、導管324で導かれた凝縮水及び気体を、上記散水ノズル323aから吐出された水の流れに向かって吐出するように、複数の吐出ノズル324a,324a,・・・が設けられている。上記接触体325は、樹脂で形成された多孔性の充填材が配置され、微生物の担体となっている。水槽322には、水槽322内の冷却水を乾燥装置本体31に戻すための冷却水配管327が接続され、この冷却水配管327に、冷却水をクーリングタワー32と凝縮部315との間に循環させる冷却水ポンプPが介設されている。
【0052】
上記クーリングタワー32と凝縮部315との間を循環する冷却水には、微生物が添加されている。この微生物は、処理室311内に投入された微生物と同様に、海、山及び陸等の自然界に生息する土着菌や発酵菌等が採取され、培養されたものである。冷却水に添加される微生物は、上述の処理室311に添加される微生物が生産する複数の酵素のうち、少なくとも1つの酵素を生産する微生物であればよい。冷却水中に微生物を添加することにより、凝縮水中に含まれる臭気成分や、処理室311内から吸引された気体に含まれる臭気成分を分解して除去することができる。微生物による臭気成分の分解は、クーリングタワー32及び凝縮部315の間に形成される循環路を冷却水が循環する間に行われる。また、冷却水が接触体325に接触し、流下する際に、接触体325に担持された微生物によって臭気が分解される。
【0053】
この減圧発酵乾燥装置3は、凝縮水及び気体を冷却水に混ぜることにより、臭気成分の濃度を全体として低減させるので、凝縮水や気体の臭気成分が増大しても微生物の処理能力を越える虞が少なくて、臭気の安定した分解処理を行うことができる。また、処理室311内が減圧されていることから、凝縮部315で冷却水が室内空気と熱交換する際の冷却水の温度上昇が比較的小さくて、冷却水の温度が概ね40〜45℃になる。これにより、冷却水中の微生物が高温によって死滅する不都合が防止され、微生物が安定して活性化され、凝縮水及び気体を安定して微生物で脱臭することができる。
【0054】
また、クーリングタワー32では、冷却水の蒸発が促進されるのでオーバーフローが殆ど生じない。しかも、凝縮水や気体の臭気成分は、冷却水で薄められるので、高度に分解除去される。したがって、減圧発酵乾燥装置3の外部に臭気が拡散する不都合を効果的に防止できる。
【0055】
乾燥装置本体31に供給する蒸気を生成する蒸気ボイラ33は、バーナと蒸気ボイラ本体で大略構成される。バーナは、燃料として、廃紙及び廃プラスチックを用いて形成されたRPFや木質チップを主に用いると共に、炭化装置5から供給された可燃性ガスを用いる。このバーナで燃料を燃焼してなる燃焼ガスを、ボイラ本体の熱交換器に供給し、熱交換器に供給される水を燃焼ガスの熱で気化させて蒸気を生成するように構成されている。
【0056】
また、この蒸気ボイラ33は、減圧発酵乾燥装置3の処理室311から、室内の空気が燃焼空気として供給されるように構成されている。処理室311内の空気は、図示しない送風機によって蒸気ボイラ33のバーナへ供給される。なお、減圧発酵乾燥装置3の真空ポンプVPで吸引された凝縮水及び室内空気から、室内空気のみを分離して蒸気ボイラ33のバーナへ供給してもよい。これにより、処理室311内の臭気を有する空気をバーナで燃焼させて、臭気を除去することができる。したがって、周辺環境へ臭気が拡散することなく、減圧発酵乾燥装置3の処理室311の減圧を行うことができる。
【0057】
この減圧発酵乾燥装置3で有機廃棄物を乾燥する場合、処理室311の内部の空気を真空ポンプVPで吸引して、大気圧よりも低い圧力に減圧する。ここで、処理室311の減圧値を0.03〜0.07MPaとすることにより、水の沸点を約90〜68℃に低下させることができる。なお、減圧値とは、大気圧から低減させる圧力の差分をいう。
【0058】
乾燥装置本体31の加熱部に供給する熱媒体としては、ジャケット式ヒータ313には0.2〜0.3MPaかつ130℃の蒸気を用いる一方、加熱攪拌部314には0.7〜0.8MPaかつ170℃の蒸気を用いる。このように、回転駆動された状態で加熱を行う加熱攪拌部314に、静止した状態で加熱を行うジャケット式ヒータ313よりも高い温度の熱媒体を供給することにより、加熱攪拌部314とジャケット式ヒータ313との夫々が、被処理物が付着して焦げ付かない限度の高い温度で、被処理物を効率的に加熱することができる。また、処理室311内が減圧されているので、常圧で乾燥させるよりも熱媒体の温度を低く設定できる。したがって、熱媒体としての蒸気の生成エネルギーを削減できる。また、被処理物の加熱温度が低いので、処理室311内に添加されて脱臭を行う微生物の死滅を防止でき、効果的に脱臭を行うことができる。例えば、乾燥装置本体31で乾燥脱臭処理がなされた乾燥有機物は、60℃前後の温度で排出口312bから排出される。このように、被処理物の有機廃棄物が、比較的低温の温度に加熱されることにより、微生物を効果的に活性化させて脱臭を行うことができ、また、減圧環境の下で十分に乾燥させることができる。
【0059】
この減圧発酵乾燥装置3によれば、水分量が80〜99.5wt%の高水分の有機廃棄物を乾燥処理して、2〜6時間の処理時間で、水分量を10〜25wt%に低減することができる。
【0060】
このように、減圧発酵乾燥装置3は、減圧環境で有機廃棄物の発酵及び乾燥を行うので、減圧に伴う沸点の降下により、少ない熱量で汚泥を乾燥させることができる。また、減圧発酵乾燥装置3で有機廃棄物を微生物で分解し、また、凝縮水と気体を冷却水の微生物で分解するので、有機廃棄物の臭気を効果的に低減できて、周辺環境への臭気の拡散を防止できる。また、処理室311内に公知の塩素分解酵素を添加することにより、有機廃棄物に含まれる塩素含有物を除去して、ダイオキシンの発生を防止することができる。
【0061】
上記減圧発酵乾燥装置3で有機廃棄物が乾燥処理されて水分量が10〜25wt%となった乾燥有機物は、ケーシング312の下部の他端側の排出口312bから排出される。排出口312bから排出された乾燥有機物は、排出コンベヤ13で搬送され、エアロック機構を有する排出装置14を介して、貯蔵サイロと一体に形成された定量供給機15に送られる。定量供給機15に一旦貯蔵された乾燥有機物は、所定量がリングダイ式造粒機4に巻き出される。
【0062】
図5は、粒状化装置としてのリングダイ式造粒機4の主要部を示す図である。このリングダイ式造粒機4は、所謂ペレットミルと呼ばれる造粒機であり、回転駆動される回転筒状体40の内側から、胴部に設けられたダイ孔40aを通して被処理物を押し出すことにより、粒状の乾燥有機物を形成するものである。粒状の乾燥有機物は、2mm以上8mmに形成するのが好ましく、4mm以上6mm以下であるのが更に好ましい。
【0063】
このリングダイ式造粒機4は、ダイ孔40aが設けられた回転筒状体40と、この回転筒状体の内側面に外側面が近接して配置された2つの転動筒体41,41とを備える。2つの転動筒体41は、回転筒状体40の直径上の対向位置に配置され、転動筒体41の表面には、被処理物のスリップを低減して取り込みを容易にする多数の軸方向溝が形成されている。回転筒状体40と、転動筒体41,41とを夫々矢印R1,R2で示す方向に回転駆動した状態で、回転筒状体40内に、材料である乾燥有機物を投入する。投入された材料は、回転筒状体40の内側面と転動筒体41の外側面との間に挟み込まれて圧縮され、回転筒状体40の胴部のダイ孔40aから外側に押し出される。押し出された材料は、回転筒状体40の胴部に対向して配置された固定刃42,42によって所定長さに切り取られて、粒状の乾燥有機物が得られる。リングダイ式造粒機4は、直径が10mm程度までの比較的小径の粒を製造するのに好適であり、また、材料である乾燥有機物の水分量が比較的少ない場合に好適である。
【0064】
なお、造粒機としては、リングダイ式造粒機4以外に、例えばフラットダイ式造粒機等、他の形式の造粒機を用いることもできる。ここで、フラットダイ式造粒機としては、複数のダイ孔が環状の領域にわたって形成された平面状のフラットダイと、このフラットダイのダイ孔が形成された環状領域の中心に設けられた公転軸周りに公転駆動され、周面が上記フラットダイの表面に摺動又は転動する状態で、この周面とフラットダイの表面との間に供給された材料をダイ孔に押し込むローラとを備えるものを用いることができる。
【0065】
上記リングダイ式造粒機4で形成された粒状の乾燥有機物は、搬送コンベヤ16で搬送され、貯蔵サイロと一体に形成された定量供給機17に送られる。定量供給機17に一旦貯蔵された粒状の乾燥有機物は、所定量が炭化装置5に巻き出される。
【0066】
図6は、炭化装置5を示す模式断面図である。炭化装置5は、外熱式ロータリーキルンにより構成されている。この炭化装置5は、熱媒ガスが内部に供給されるケーシング51と、ケーシング51内に収容された回転炉52と、回転炉52の一端に接続されて被処理物の乾燥有機物を回転炉52内に供給する供給コンベヤ56と、回転炉52の他端に連通して処理後の被処理物と可燃性ガスを排出する排出室57を有する。ケーシング51と回転炉52との間には、熱媒体が導入されて回転炉52を外側から加熱する加熱室53が形成されている。回転炉52の内側には、供給コンベヤ56で一端に導入された乾燥有機物を他端に送りながら、加熱室53に供給された熱媒体の熱で乾燥有機物の乾留及び炭化を行う炭化室54が形成されている。炭化室54の内周面には、被処理物を他端に送るための図示しない螺旋ガイドが設けられている。排出室57は、内部が炭化室54に連通しており、炭化室54で炭化された被処理物である有機炭化物を下端に接続された排出コンベヤ18で排出する一方、炭化室54内で乾燥有機物から生成された可燃性ガスを上端に設けられた排気口59から排出するようになっている。排気口59には、可燃性ガスを導出する可燃性ガス管60が接続されており、可燃性ガス管60の下流端は、炭化装置5の加熱室53側に連なる炭化装置配管61と、蒸気ボイラ33のバーナに連なるボイラ配管62とに分岐している。炭化装置配管61は、炭化装置5の加熱室53に炎口が望むように設置されたガスバーナ67に接続されている。炭化装置配管61とボイラ配管62には、電磁駆動の開閉弁63,64が夫々介設されており、これら開閉弁63,64は、後に詳述する制御部65によって開閉が制御される。また、可燃性ガス管60には、図示しないブロワが介設されており、このブロワで炭化室54内の空気を吸引して、可燃性ガスを含む炭化室54の空気を炭化装置配管61及びボイラ配管62に送るようになっている。このブロワで炭化室54内の空気を吸引することにより、炭化室54内を、酸素濃度が容積割合で5%以上12%以下の低酸素環境にしている。これにより、炭化室54内で加熱される乾燥有機物を効果的に乾留し、一酸化炭素等の可燃性ガスを効率的に生成するようになっている。炭化室54内での乾燥有機物の加熱温度は350℃以上500℃以下であり、乾燥有機物の加熱時間は5分以上10分以下であるのが好ましい。
【0067】
炭化装置5の加熱室53には、炭化装置5の起動時に、オイルバーナ55から熱媒ガスが供給される。オイルバーナ55は、液体燃料としてのA重油を燃料とし、A重油を供給する重油燃料タンク68に接続されている。オイルバーナ55は、制御部65により制御され、A重油を燃焼して、500〜700℃の燃焼ガスを熱媒ガスとして加熱室53に供給する。オイルバーナ55から加熱室53に供給された熱媒ガスとしての燃焼ガスにより、炭化室54内の温度が十分に上昇すると、炭化室54内の乾燥有機物が加熱され、水素、一酸化炭素及びメタン等を含む可燃性ガスが生成される。炭化室54内で可燃性ガスの生成が開始されると、制御部65により、オイルバーナ55の燃焼が停止されると共に、炭化装置配管61の開閉弁63が制御され、閉じ状態から開き状態に駆動される。これにより、加熱室53内に、オイルバーナ55からの熱媒ガスの供給が停止される一方、炭化装置配管61から可燃性ガスが供給されてガスバーナ67が起動し、ガスバーナ67で可燃性ガスが燃焼して熱媒ガスとしての燃焼ガスが加熱室53に供給される。こうして、炭化室54内の加熱を継続する。加熱室53内で可燃性ガスが燃焼してなる燃焼ガスは、加熱室53から排出され、熱媒ガスとして減圧発酵乾燥装置3の蒸気ボイラ33の熱交換器へ導かれる。加熱室53から排出される燃焼ガスは、250〜500℃の温度であるため、蒸気ボイラ33で乾燥装置本体31に供給する蒸気を生成するために再利用が可能である。このように、炭化装置5の燃焼ガスを熱媒ガスとして蒸気ボイラ33に供給し、炭化装置5で乾燥有機物を加熱する際の余剰の熱を、蒸気ボイラ33で利用するように構成されている。蒸気ボイラ33の熱交換器で蒸気の生成に用いられた燃焼ガスは、集塵機66で粉塵が除去され、排気される。
【0068】
このように、炭化装置5の燃焼ガスを熱媒ガスとして蒸気ボイラ33の熱交換器に供給して、炭化装置5で乾燥有機物を加熱する際の余剰の熱を、蒸気ボイラ33で利用するので、炭化装置5において乾燥有機物の炭化に伴って生じる可燃性ガスを、この炭化装置5の加熱に利用すると共に、有機廃棄物を乾燥させる減圧発酵乾燥装置3の加熱に利用することができる。したがって、有機廃棄物の乾燥処理と炭化処理に用いる化石燃料を効果的に削減でき、その結果、二酸化炭素等の温室効果ガスの排出と、窒素酸化物等の大気汚染物質の排出を効果的に削減できる。
【0069】
また、上記蒸気ボイラ33は、炭化装置5で乾燥有機物から生成された可燃性ガスの一部が、燃料として供給するように構成されている。詳しくは、炭化室54内の乾燥有機物から可燃性ガスが生成されると、制御部65によって開閉弁64が開かれて、可燃性ガスがボイラ配管62を通して蒸気ボイラ33のバーナに供給される。
【0070】
このように、減圧発酵乾燥装置3において有機廃棄物を乾燥させるために、炭化装置5の余剰の熱に加えて、炭化装置5で生じる可燃性ガスを利用することにより、化石燃料の使用量を削減しながら有機廃棄物を効率的に乾燥させることができる。
【0071】
上記炭化装置5で形成された有機炭化物は、排出コンベヤ18で搬送され、エアロック機構を有する排出装置19を介して、貯蔵サイロと一体に形成された定量供給機20に送られる。定量供給機20に貯蔵された有機炭化物は、最終製品の種類に応じて所望の処理が行われる。本実施形態で製造された有機炭化物は、肥料、燃料、吸着剤、土壌改良剤及び還元剤等の材料として用いることができる。
【0072】
特に、上記有機炭化物を用いて燃料を製造する場合、炭化しない有機物廃棄物を用いて製造した燃料と比較して、大きな熱量が得られる。例えば、有機廃棄物としての木屑を炭化せず、成形してなる燃料は、概ね3800kcal/kgの熱量を有する。一方、本実施形態の炭化プラントで木屑を炭化し、この炭化物を成形してなる燃料は、7000〜8000kcal/kgの熱量を有する。また、有機廃棄物としての余剰汚泥を炭化して有機炭化物を形成し、この有機炭化物を成形してなる燃料は、5000〜6000kcal/kgの熱量を有する。さらに、有機炭化物を用いた燃料は、有機炭化物にプラスチックと紙を混合して成形してなる固形燃料とするのが、高い熱量と良好な取扱性が得られる点で好ましい。このような固形燃料は、例えば、有機炭化物を40〜60wt%、廃プラスチックを30〜50wt%、及び、古紙を10〜30wt%の割合で混合し、棒状に成形したものを採用できる。有機炭化物を用いて形成した固形燃料は、図1に示すように、減圧発酵乾燥装置3の蒸気ボイラ33の燃料として用いることができる。この場合、有機炭化物の製造過程で、製品の有機炭化物を用いた燃料を燃焼させるので、炭化処理の対象を再利用することにより、化石燃料の使用量を削減でき、温室効果ガスの排出量を削減できる。
【0073】
以上のように、本実施形態の有機廃棄物の炭化プラント1によれば、減圧発酵乾燥装置3により、有機廃棄物に微生物を添加して減圧環境で加熱するので、余剰汚泥等の高水分の有機廃棄物を、微生物で臭気を削減しながら、少ない燃料の使用量により、効果的に乾燥させることができる。また、減圧発酵乾燥装置3により、100℃以下の比較的低い温度で有機廃棄物を乾燥できるので、有機廃棄物からの可燃性ガスの生成量を抑えることができる。したがって、炭化装置5で乾燥有機物から可燃性ガスを多く採取することができて、有機廃棄物を由来とする燃料を効率良く回収して、減圧発酵乾燥装置3及び炭化装置5における加熱用の燃料に使用することができる。その結果、減圧発酵乾燥装置3及び炭化装置5で使用する燃料に対する化石燃料の割合を削減できて、燃料費を効果的に削減でき、また、二酸化炭素等の温室効果ガスの排出と窒素酸化物等の大気汚染物質の排出を効果的に削減できる。また、有機廃棄物から生成された可燃性ガスを、炭化装置5の加熱室53と蒸気ボイラ33のバーナで燃焼させるので、有機廃棄物から生じる臭気の拡散を効果的に防止することができる。
【0074】
また、減圧発酵乾燥装置3により、有機廃棄物から蒸発した水分を凝縮部315で凝縮し、この凝縮部315で凝縮した凝縮水と、処理室311内の空気とを、微生物が添加されて上記凝縮部315に供給される冷却水に混合するので、有機廃棄物の乾燥工程で生じる臭気の拡散を防止することができる。また、クーリングタワー32に消臭機能を持たせるので、少ない装置構成により、水分量の多い有機廃棄物を効果的に乾燥させることができると共に、有機廃棄物の臭気の拡散を防止することができる。さらに、処理室311内の空気を、燃焼空気として蒸気ボイラ33のバーナに供給するので、処理室311内の臭気をバーナで燃焼させて、臭気の拡散を防止することができる。
【0075】
また、減圧発酵乾燥装置3により、減圧環境で加熱して水分を蒸発させると共に、有機廃棄物から蒸発した水分を凝縮部315で凝縮して回収するので、水分量が98wt%を越える余剰汚泥等の有機廃棄物を、脱水機による脱水を行わなくても、比較的少ない燃料消費量により、迅速に乾燥させることができる。したがって、余剰汚泥を脱水機で脱水する工程を削除できるので、固形燃料の製造プラント1の装置構成を簡易にでき、また、固形燃料の製造工程の手間を少なくできる。
【0076】
このように、本実施形態の炭化プラント1によれば、乾燥有機物を炭化装置5で炭化することにより、有機廃棄物に由来する臭気を削減して、臭気の少ない有機炭化物を製造することができる。さらに、本実施形態の減圧発酵乾燥装置3で乾燥を行った後に炭化装置5で炭化することにより、有機炭化物の製造過程においても、有機廃棄物に由来する臭気が周辺環境へ拡散する不都合を効果的に防止することができる。
【0077】
また、リングダイ式造粒機4で粒状化した乾燥有機物を炭化装置5で炭化するので、炭化装置5の炭化室54では、固形化されて微粒子の少ない乾燥有機物が加熱される。これにより、排気口59から排出される可燃性ガスに混入する乾燥有機物や炭化物の微粒子を少なくできる。したがって、可燃性ガスを加熱室53や蒸気ボイラ33に供給する可燃性ガス管60、炭化装置配管61及びボイラ配管62内や、加熱室53から蒸気ボイラ33の熱交換器を通って集塵機66に至る燃焼ガスの経路内に蓄積する粉塵を少なくできる。すなわち、炭化装置5で炭化する乾燥有機物を粒状に固形化することにより、炭化装置5で回収する可燃性ガスの粉塵を少なくでき、その結果、可燃性ガスの加熱室53での燃焼や、加熱室53で燃焼した余剰の熱を蒸気ボイラ33で再利用することや、可燃性ガスの蒸気ボイラ33での燃焼といった複数の用途に、上記可燃性ガスを用いることができる。また、炭化装置5で炭化する乾燥有機物を粒状に固形化することにより、乾燥有機物や有機炭化物の粉塵の生成による損失を削減でき、有機炭化物の収率を高めることができる。
【0078】
上記実施形態において、炭化装置5で生成された可燃性ガスの一部を減圧発酵乾燥装置3の蒸気ボイラ33の燃料として用いたが、炭化装置5で生成された可燃性ガスは蒸気ボイラ33の燃料に用いなくてもよい。
【0079】
また、上記実施形態において、減圧発酵乾燥装置3で有機廃棄物が乾燥処理されてなる乾燥有機物を、リングダイ式造粒機4で粒状化して炭化装置5で炭化したが、乾燥有機物は必ずしも粒状化しなくてもよい。すなわち、減圧発酵乾燥装置3で処理された乾燥有機物は、粉状のまま炭化装置5で炭化してもよい。
【0080】
また、上記実施形態において、有機廃棄物として余剰汚泥を用いたが、有機廃棄物として、湖沼や海の底に堆積したヘドロや、農水産業で排出される廃棄物や、食品工場から排出される食品残渣や、一般家庭から排出される生ごみ等、各種産業の生産工程や排水処理に伴って生じる高水分の有機物を用いてもよい。なお、高水分とは、廃棄物の全体の質量に対する水分の割合が80wt%以上であることをいう。
【符号の説明】
【0081】
1 有機廃棄物の炭化プラント
3 減圧発酵乾燥装置
4 リングダイ式造粒機
5 炭化装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機廃棄物を、微生物を添加して減圧環境で加熱して乾燥有機物を形成する減圧乾燥工程と、
上記減圧乾燥工程で有機廃棄物から蒸発した水分を凝縮する凝縮工程と、
上記凝縮工程で水分を冷却すると共に微生物が添加された冷却水に、上記凝縮工程で生じた凝縮水と、上記減圧乾燥工程で生じた臭気を含む気体とを混合し、この冷却水を冷却する混合冷却工程と、
上記乾燥有機物を低酸素環境下で加熱して、有機炭化物を形成すると共に可燃性ガスを生成する炭化工程と、
上記炭化工程で乾燥有機物から生成された可燃性ガスを、上記減圧乾燥工程又は炭化工程における加熱用の燃料として燃焼させる燃焼工程と
を備えることを特徴とする有機廃棄物の炭化方法。
【請求項2】
請求項1に記載の有機廃棄物の炭化方法において、
上記炭化工程における加熱の余剰の熱を、上記減圧乾燥工程における加熱に利用することを特徴とする有機廃棄物の炭化方法。
【請求項3】
請求項1に記載の有機廃棄物の炭化方法において、
上記減圧乾燥工程で生じた気体を、この減圧乾燥工程における有機廃棄物の加熱用の燃焼空気として供給する燃焼空気供給工程を備えることを特徴とする有機廃棄物の炭化方法。
【請求項4】
請求項1に記載の有機廃棄物の炭化方法において、
上記炭化工程の前に、上記減圧乾燥工程で形成された乾燥有機物を粒状化する粒状化工程を備え、
上記炭化工程で、粒状化された上記乾燥有機物を加熱することを特徴とする有機廃棄物の炭化方法。
【請求項5】
請求項1に記載の有機廃棄物の炭化方法において、
上記減圧乾燥工程で処理する有機廃棄物に、木質材料の粉末を予め添加することを特徴とする有機廃棄物の炭化方法。
【請求項6】
微生物が添加された有機廃棄物を、減圧環境で加熱して乾燥有機物を形成する減圧乾燥装置と、
上記乾燥有機物を低酸素環境下で加熱して、有機炭化物を形成すると共に可燃性ガスを生成する炭化装置とを備え、
上記減圧乾燥装置は、有機廃棄物が投入されて内部を減圧するケーシングと、ケーシング内に回転可能に配置されて有機廃棄物を攪拌する攪拌部と、ケーシングの少なくとも一部に設けられて有機廃棄物を加熱する加熱部と、上記有機廃棄物からの蒸気を凝縮する凝縮部と、この凝縮部に供給されて微生物が添加された冷却水と、上記凝縮部で生じた凝縮水と、上記有機廃棄物の乾燥によって生じた臭気を含む気体とをケーシングから吸引する吸引ポンプと、上記冷却水に上記吸引ポンプで吸引された凝縮水と気体とを混合すると共にこの冷却水を冷却する混合冷却器とを有し、
上記減圧乾燥装置及び炭化装置のうちの少なくとも一方の加熱用に、上記炭化装置で乾燥有機物から生成された可燃性ガスを燃料として用いることを特徴とする有機廃棄物の炭化プラント。
【請求項7】
請求項6に記載の有機廃棄物の炭化プラントにおいて、
上記炭化装置で乾燥有機物を加熱する際の余剰の熱を、上記減圧乾燥装置の加熱部に供給して利用することを特徴とする有機廃棄物の炭化プラント。
【請求項8】
請求項6に記載の有機廃棄物の炭化プラントにおいて、
上記減圧乾燥装置のケーシング内の気体を吸引し、この減圧乾燥装置の加熱用の熱源装置に、上記吸引した気体を燃焼空気として供給する第2の吸引ポンプを備えることを特徴とする有機廃棄物の炭化プラント。
【請求項9】
請求項6に記載の有機廃棄物の炭化プラントにおいて、
上記減圧乾燥装置で形成され、上記炭化装置に投入される前の乾燥有機物を粒状化する粒状化装置を備えることを特徴とする有機廃棄物の炭化プラント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−50956(P2012−50956A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−197508(P2010−197508)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(591119624)株式会社御池鐵工所 (86)
【Fターム(参考)】