説明

有機材料を熱処理するための装置とそのための方法

有機材料を処理するのに必要な温度の熱い空気を通じてその有機材料を間接的に加熱するため、本発明の方法は、その有機材料をバーナーの炎と強制的に接触させることによりその有機材料から発生する蒸気とガスを熱い空気循環回路の中にリサイクルし、その中に含まれる有機ガスを燃焼させることからなる。この方法を実施するための装置は、気密にされた二重壁のタンクを備えており;その二重壁の外壁は断熱性であり、内壁は熱伝導性であり、これら外壁と内壁によって形成されるスペースが熱い空気循環回路を規定している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出願の相互参照
相互参照される出願はない。
【0002】
本発明は、全体として、有機材料を熱処理するための方法と装置に関するものであり、より詳細には、あらゆる種類の有機材料(例えば有機廃棄物(トリの糞、堆肥、屠畜場の廃棄物、培養廃棄物、獣皮廃棄物、死骸など)、汚水処理後のスラッジ、ワクチン生成物(卵の残留物など)、生物で汚染された有機廃棄物、他の同様な材料)の熱処理、および/または脱水、および/または殺菌を行なってそれを価値ある殺菌された生成物(土壌の肥料として利用したり、動物の食品添加物としてさえ利用できる生成物)に変換するための方法と装置に関する。この方法と装置は、野菜や植物性物質の脱水にも適用される。
【背景技術】
【0003】
有機物質を熱処理するため多数の方法とシステムが提供されてきた。特に、脱水、熱処理、殺菌を含む方法によって有機廃棄物を熱変換して好ましくは有用な生成物にする方法とシステムが提供されてきた。
【0004】
例えば都市の汚水を処理して得られるスラッジは一般に脱水され、有機物質をあとで用いる(例えば土壌を肥沃にするのに用いる)のであれば、加熱を含むある種の殺菌処理がなされる。したがって有機材料を加熱処理できるため、さまざまなプラントがこの目的で設置されてきた。
【0005】
同様のシステムが、他の有機廃棄物と有機材料の熱処理に用いられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし従来のシステムの欠点の1つは、悪臭成分を伴った蒸気とガスが発生することであり、その蒸気とガスには毒性物質さえ含まれていることがしばしばある。このような蒸気とガスは、一般に、大気中に直接排出される。従来のシステムは、一般に複雑であり、多くの人力を必要とし、熱が経済的に利用されないという欠点も有する。
【0007】
さらに、これらのシステムは、一般に、細菌および/またはウイルス(すなわちワクチン生成物からの卵残留物)および/または他の病原体で汚染されている有機材料を中和および/または殺菌するのに適していない。
【0008】
したがって上記の問題を解決する装置が必要とされている。
【0009】
本発明の主要な目的は、有機廃棄物を熱処理するための改良されたシステムを提供することによって以前のシステムの欠点を回避できるようにすることである。
【0010】
本発明の別の目的は、有機材料を熱処理するための改良された装置を提供することである。
【0011】
本発明のさらに別の目的は、生物で汚染された有機材料を熱処理するための改良された装置を提供することである。
【0012】
本発明のさらに別の目的は、有機物質、特に有機廃棄物を熱処理するための装置として、あらゆる悪臭を実質的に完全になくし、必要な人力を減らし、エネルギーの観点からして以前のシステムよりも経済的な装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的を実現するため、本発明の方法は、有機材料が、その処理に必要な温度の熱い空気を通じて間接的に加熱されるタイプの方法であり、有機材料から発生する蒸気とガスをリサイクルして熱い空気循環回路に入れてバーナーの炎と強制的に接触させることで、その中に含まれる有機ガスを燃やすことからなる。
【0014】
したがって悪臭が消えるだけでなく、発生した蒸気とガスのリサイクルによって熱消費を顕著に減少させることができる。
【0015】
これらの目的と以下の記述から明らかになるそれ以外の目的は、本発明により、有機材料、特に有機廃棄物を熱処理し(熱処理には、有機材料の脱水、殺菌、熱処理する操作を含むことができる)、有用な固体を作り出す方法において実現される。この方法は、バーナーにより発生した燃焼ガスによって外側から加熱される熱伝導性壁部と接触している密封された処理室の中で有機廃棄物の塊を撹拌する操作を含んでいる。このバーナーには、その密封された処理室の中で有機材料から放出される蒸気を供給し、バーナーの炎で燃焼させる。
【0016】
固体材料から発生したすべてのガスと蒸気をバーナーの炎に向けて連続的にリサイクルすることにより、例えばその蒸気とガスを燃焼維持用ガス(空気)および燃料と混合することにより、その蒸気を完全に分解することが可能である。さらに、リサイクルされたガスと蒸気は、燃焼プロセスの熱量に寄与するため、装置の燃料効率が改善される。最後に、悪臭を含むガスまたは蒸気が燃焼によって分解するため、環境中に排出されるそのガスは、悪臭物質、および/または有害物質、および/または生物で汚染された物質、および/または毒性物質を含んでいない。
【0017】
本発明の装置は、半円筒形の底部を有する水平方向に細長い二重壁構造のタンクを備えていて、内部には、処理室を規定している内壁にぶつかるようにして有機材料を移動させる混合手段または撹拌手段が設けられていることが好ましい。
【0018】
本発明の1つの特徴によると、内壁と外壁の間のスペースにはバーナーから燃焼ガスが供給される。このバーナーは、処理室の底部の下にあるスペースに通じていることが好ましい。内壁は熱伝導率の大きな材料でできているのに対し、外壁は断熱性材料でできている。
【0019】
本発明の1つの特徴によると、タンクには、有機廃棄物を導入するため、処理室に通じる少なくとも1つの(複数であることが好ましい)密封可能な開口部が好ましくはこのタンクの屋根に設けられている一方で、密封可能な別の開口部が、タンクの底部(軸方向の一端にあることが望ましい)にあって排出用のオリフィスを形成している。
【0020】
この装置には、好ましくは屋根から処理室に通じるとともにバーナーの燃焼室に通じるダクトも設けられている。
【0021】
処理室内の撹拌手段または混合手段は、タンクの軸線と一致するかその軸線と平行な水平方向のシャフトを有するミキサーを備えている。このミキサーは、一方の方向に回転すると熱伝導性壁部に沿った有機材料を単に撹拌するだけだが、反対方向に回転すると、羽根(適切な形状にすることができる)がコンベア部品として機能して有機材料を排出用オリフィスに向けて前進させる。しかしタンクが別の形状だと、撹拌手段の構成もそれに応じて違ってくるであろう。
【0022】
当然、センサー手段を処理室、および/または煙突、および/または他の適切な位置に設けることで、処理室の中を望む温度にしてその温度を維持することができる。
【0023】
バーナーを動作させて吸引力を発生させることで、発生した蒸気とガスの再循環を誘導することが可能だが、放出された蒸気とガスを燃焼室に強制的に供給するため、処理室とバーナーをつなぐダクトの中にブロワーまたはそれと同等なものを設けると望ましいことがわかった。
【0024】
本発明を実施する上で現在わかっている最良の態様によれば、バーナーは先細になった截頭円錐形の出口を備えており、その開口部には内側に向かって細くなる円錐形の加熱された耐熱部材が設けられていて、この開口部またはオリフィスを制限している。この耐熱部材は加熱されて高温発光しており、有機物質が燃焼または熱分解することなくこのオリフィスを通過することはできないようにする機能を持つ。
【0025】
また、2つの壁部に挟まれたスペース内を燃焼ガスが循環して処理室内の内容物を加熱する構成になっているが、好ましい一実施態様によれば、このスペースにバッフルのネットワークを設けることで、熱いガスが壁部に沿って効果的に分布し、壁部を通貨する熱の移動が最適になるようにすることが好ましい。
【0026】
最後に、本発明の1つの重要な特徴は、タンクの屋根の近くに位置する熱交換器の存在である。内壁と外壁の間のスペースを循環した燃焼ガスはさらに熱交換器に運ばれる。脱水に用いるとともに、燃料と発生したガスおよび蒸気をして燃焼させるのに用いる新鮮な空気も、燃料熱交換器に送られる。すると燃焼ガスの余った熱は一部が新鮮な空気に移される。加熱された新鮮な空気はその後タンクの中に導入されるため、脱水プロセスの効率が大きくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図面からわかるように、本発明の装置1は、水平方向に細長い構造2として構成され、半円筒形の底部と、この半円筒形の底部から長さ方向に沿って真上に延びるとともに軸方向の両端部が閉じている一対の壁部とで形成されている。樋形のタンク2も上部が水平な壁部6で閉じられている。したがってこのタンクは、このタンクの水平軸を横断する面が全体として馬蹄形の断面を有する。
【0028】
タンク2は、二重壁構造である。すなわち、優れた熱伝導体である材料(例えば銅、鋼、ステンレス鋼、アルミニウムなどの金属または合金)からなる内壁3を備える一方で、外壁4は、断熱材料(例えば耐熱性物質、セラミックなど)で構成されている。
【0029】
スペース5が、タンク2の底部に沿った内壁3と外壁4と長さ方向の両端部との間に設けられていて、加熱された空気が循環するスペースまたは通路5を構成している。この加熱された空気は、タンク2内に受け入れた有機材料を脱水して最終的に熱処理するのに用いられる。
【0030】
タンク2の屋根6はこのタンク内のスペースを気密にする壁であり、やはり断熱材料からなる。
【0031】
ミキサーがタンク2の中に設置されていて、参照番号7で示してある。このミキサー7は、タンク2の底部の軸線と平行に走るかこの軸線と一致するシャフト7aを備えている。このシャフト7aは一般にタンク2の端部壁に取り付けられる。シャフト7aは、一方の端部壁の位置で、参照番号10で表わした電動モータと減速ギアボックスを通じてギアまたはベルト・ドライブによって駆動される。シャフト7aに過剰な応力が加わらないようにするため、流体トルク制限装置(図示せず)もシャフト7aに取り付けることができる。シャフト7aの他端にはジャーナル軸受が設けられていて、タンク2の反対側の端部と接している。シャフトは径方向に延びる複数のアーム7bを備えている。これらのアーム7bはシャフト7aに沿って軸方向に互いに離れており、内壁3に沿った物質の塊を回転させて加熱操作中にその物質の塊を混合する機能を有する。
【0032】
第1の充填用開口部8が屋根6に設けられており、取外し可能なカバー9によって気密に閉じられる。この第1の充填用開口部8は、一般に、固体または半固体の廃棄材料のために使用される。液体廃棄材料または少なくともポンピング可能な廃棄材料のため、バルブ38の形態の第2の充填用開口部38が屋根6に設けられている。バルブ38により、廃棄材料をタンク2の外部に直接接触させることなくタンク2に直接充填することもできる。これは、廃棄材料が細菌および/またはウイルスで汚染されているときに特に重要である。廃棄材料がタンク2の外部と接触するようなことがあると、廃棄材料からのミストまたはダストが装置1の周辺領域に広がってその領域が実際に汚染される可能性がある。
【0033】
第2の充填用開口部38は、装置1が事前加熱モードにあるときにタンク2に水を充填するのにも使用できる。事前加熱モードについてはあとで説明する。
【0034】
タンク2には排出用オリフィス11も設けられている。排出用オリフィスはシュート23に通じている。排出用オリフィス11は、取外し可能な栓12によって気密に閉じることができる。
【0035】
装置1には、燃焼室13を有するバーナー14も取り付けられている。燃焼室13は、先細の出口を通じ、処理室の底部の下にあって内壁3と外壁4によって区画された循環室または循環スペース5とつながっている。バーナー14には、適切なノズル、噴霧スプレー、注入装置によって燃料(例えば天然ガス、合成ガス、燃料オイル、または他の何らかの可燃性物質)が供給される。燃焼プロセスは、燃焼室13内の点線によって表わされている。燃焼の結果は燃焼ガスの混合物であり、そのガスが、内壁3と外壁4によって区画されたスペース5の中を循環し、このプロセスの間に熱伝導性のある内壁3を通じて有機材料を加熱する。この熱いガスは、ミキサー7によって材料が混合されているとき、開口部8または38を通じてタンク2に導入された有機材料を加熱し、脱水し、最終的に熱処理してガスと蒸気を発生させる。
【0036】
タンク2の内部は、有機材料から発生するガスと蒸気をバーナー14に輸送するダクト15によってバーナー14の燃焼室13に通じている。
【0037】
バーナーの燃焼室13の中で燃焼して生じる膨張しているガスのわずかに上流において例えばベンチュリー効果によって大気圧よりも低い圧力が発生する可能性があるため、処理中の有機材料から放出されるガスと蒸気を矢印16で示したようにダクト15から引き付けてバーナー14の中に入れるのに十分な吸引力となるであろう。有機材料から放出されたガスと蒸気はしたがってバーナー14の炎に供給されて燃焼し、加熱装置1を動作させるのに必要な熱量の少なくともかなりの部分を発生させる。しかし発生したガスと蒸気がタンク2からバーナー14へと循環する状態を改善するため、ブロワー19をダクト15の中に設けることもできる(タンク2の屋根6に近いことが好ましい)。
【0038】
したがってこのシステムは、有機材料から発生して悪臭を持つ蒸気またはガスが燃焼によって完全に分解されることに加え、ガスがそのガスの気化温度でバーナー14に供給されるために熱量を大量に回収できるという二重の利点を有する。
【0039】
タンク2の内壁3に沿って熱をよりよく分布させることは、バッフル18を互い違いに設けることによって実現される。バッフル18は、図2にだけ、略図として描いてある。これらバッフル18によってスペース5内の燃焼ガスの流れが減少するため、ガスと有機材料の間で熱がよりよく移動できるようになる。
【0040】
脱水プロセスを促進するため、新鮮な空気をポンプ40によってタンク2の外部から取り込んでタンク2の中に導入する。しかし脱水プロセスをより効率的に、そして好ましくはより迅速にするため、新鮮な空気は、タンク2の屋根6の近くに位置する熱交換器42に送った後、タンク2の中に送り込むことが好ましい。より熱くなった新鮮な空気は、有機材料から発生する蒸気その他のガスを吸収する能力がより大きい。さらに、加熱された空気によって有機材料の加熱が促進されるため、脱水が加速される。
【0041】
熱交換器42からの熱は燃焼ガスから来る。実際、内壁3と外壁4に挟まれたスペース5を循環していた燃焼ガスに残っている熱の一部を新鮮な空気に移動させるのに熱交換器42が用いられる。
【0042】
例えば新鮮な空気が外部からポンプを用いて取り込まれると、コイル状のパイプ45に送られる。その隣には別のコイル状のパイプ47があり、その中を燃焼ガスが循環する。これらコイル状のパイプ45と47は、銅などの熱伝導性材料でできていることが好ましい。新鮮な空気がパイプ45の中を循環し、燃焼ガスがパイプ47の中を循環すると、熱の一部が燃焼ガスから新鮮な空気に移動する。パイプ45の端部から加熱された新鮮な空気がタンク2の中に送られて発生したガスおよび蒸気と混合されるため、脱水プロセスが促進される。この新鮮な空気は、燃料と、発生したガスおよび蒸気とを燃焼室13の中で燃やすのにも使われる。
【0043】
さらに、コイル状のパイプ47はタンク2の内部に位置するため、このパイプから燃焼ガスの熱の一部を、タンク2の中にすでに存在している周囲の空気に移動させることになる。そのため脱水プロセスがさらに加速することになる。
【0044】
したがって本発明の装置1は、極めてエネルギー効率がよいという直接的な利点を有する。燃焼ガスからの熱をできるだけ多くリサイクルすることにより、脱水プロセスを迅速化したり、燃料の消費を減らしたりすることができる。
【0045】
最後に、コイル状のパイプ47の端部は煙突17に接続されている。この煙突17を通じてガスが大気中へと追い出される。
【0046】
ブロワー49を煙突17の内部に取り付けて内壁3と外壁4の間に位置するスペース5に存在するガスの流れを調節し、装置にダメージを与える可能性のある過剰な圧力を防止したり脱水プロセスを遅らせたりすることができる。
【0047】
リサイクルされたガスがバーナー14の燃焼室13で燃焼しないリスクを回避するため、燃焼室13の出口の中心に、すなわち燃焼している炎の直前に耐熱部材21を配置する(図3参照)。したがってこの耐熱部材は、炎によって連続的に高温発光状態に維持される。さらに、バーナーの出口はオリフィスに向かって細くなる円錐台の形態にされているため、ガスがすべて強制的に耐熱部材21に向かう。ガスが耐熱部材と接触することで、ほぼ完全な燃焼、または燃えなかった可能性のあるガスの熱分解が保証される。
【0048】
さらに、燃焼室13が先細の円錐台形の出口になっていることで逆圧が発生し、リサイクルされた蒸気とバーナー14の炎の混合がより促進される。
【0049】
図3には、バーナー14の燃焼室13に偏向板22を取り付けうることも示してある。偏向板は、燃焼ガスが特にダクト15を通って逆流するのを妨げるのに有効である。
【0050】
耐熱部材21があるにもかかわらず、いくらかの有機材料(特にウイルスやそれ以外の病原体)が燃焼室13の中で完全に分解されないままになる可能性がある。ウイルスやそれ以外の病原体が大気中に逃げ出すことを防止するため、装置1は事前加熱モードを備えている。事前加熱モードでは、清潔な水、または中性で一般に非毒性の他の液体が、タンク2の中に導入され、装置1の運転が開始される。装置1が、より詳細にはタンク2の内部と煙突17が所定の温度(すなわち生物を殺す温度であることが好ましい)に到達したことが検出されたとき、有機廃棄物がタンク2の中に導入される。タンク2と煙突17の熱により、いかなるウイルスもそれ以外の病原体も分解されずに装置の外に出てはいかないことが保証される。温度は、タンク2と煙突17の内部にそれぞれ配置した温度センサー25と51によって検出することが好ましい。
【0051】
生物で汚染された廃棄物が冷たい状態の装置1の中に導入されると、装置1の熱は生物を殺すのに不十分であろうため、ウイルスや他の病原体の一部が完全には分解されない可能性がある。したがってそのようなウイルスや他の病原体は大気中に放出され、装置1のまわりの領域を実際に汚染することになろう。
【0052】
本発明のさらに別の特徴によると、ミキサー7のそれぞれの羽根またはブレード7bは、図面で見ることはできないが、排出用オリフィス11の方を向いた横方向の傾斜部を有するため、ミキサー7が第1の方向に回転すると有機材料はオリフィス11に向かう。しかし羽根7bは、ミキサーが反対方向に回転するときには軸方向の力を発生させない。有機材料は、オリフィス11から出ると、シュートまたはホッパー23の中に受け止められる。
【0053】
図1からわかるように、ミキサーの自由端には掻き取るための可撓性部材(鎖24など)を取り付けることができる。したがって有機材料がタンク2の内壁3に付着することが制限される。
【0054】
最後に、図1に示した装置1には、制御装置26に接続された少なくとも2つの温度センサー25と51を取り付けることが好ましい。制御装置26は、バーナーのノズル30の燃料バルブ28を通じ、タンク2の処理室および/または煙突17の中を望む温度に維持することができる。必要な場合には、他のセンサー(すなわち温度センサー、圧力センサー、湿度センサー)と検出器(特に化学反応による生成物と病原体の検出器)も装置1に取り付けることができる。
【0055】
本発明が好ましい実施態様に関して上に説明した特徴に実際上制限されると考えてはならないことは明らかである。実際、タンクの形状、ミキサーの構成、いくつかの要素の配置は変えることができる。したがって本発明の実際の範囲は、添付の請求項に記載されたものである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】有機材料を加熱するための本発明による装置を長さ方向に沿って鉛直に切断した断面図であり、この図は実質的に図2の線I-Iに沿った位置で得られた。
【図2】図1の装置を線II-IIに沿って切断した横断面図である。
【図3】図1の装置のバーナーの詳細を示す拡大スケールで描いた断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機材料を熱処理するための装置であって、
a.底部を有し、熱伝導性材料でできた内壁と、断熱性材料でできた外壁とを備えていて、その内壁と外壁が通路を規定しているタンクと;
b.このタンクを閉鎖するとともに、上記内壁とで、有機材料を受け入れることのできる処理室を形成する屋根と;
c.上記処理室に通じていて、その処理室に上記有機材料を導入することのできる少なくとも1つのアクセス用開口部と;
d.上記通路に通じていて、上記内壁を通じて上記有機材料を加熱するため上記通路の中を循環することになる燃焼ガスを発生させることのできる炎を維持するバーナーと;
e.上記処理室と上記バーナーの間を延びていて、上記有機材料から発生するガスを上記炎へと運ぶための第1のダクトと;
f.上記処理室と本装置の外部の間を延びていて、新鮮な空気をその処理室に導入するための第2のダクトと;
g.上記処理室の内部に位置するミキサーと;
h.上記通路と上記第2のダクトに接続されていて、上記処理室の内部に位置する熱交換器とを備える装置。
【請求項2】
少なくとも1つの温度センサーをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
上記タンクが、気密状態で閉じることのできる廃棄用開口部をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
上記熱交換器が第3のダクトと第4のダクトをさらに備えていて、第3のダクトが、上記燃焼ガスを運ぶ上記通路に接続され、第4のダクトが上記新鮮な空気を輸送する上記第2のダクトに接続され、その第3のダクトと第4のダクトは隣り合っていて、上記燃焼ガスの熱の一部を上記新鮮な空気に伝える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置において、上記第3のダクトがさらに、上記燃焼ガスを本装置の外部に運ぶための煙突に接続されており、上記第4のダクトがさらに上記処理室に接続されていて、その処理室の内部に上記加熱された新鮮な空気を運ぶことを特徴とする装置。
【請求項6】
生物で汚染された有機材料を熱処理する方法であって、
a.少なくとも一つの、タンクと、加熱手段と、温度センサーとを備えていて有機材料を熱処理できる装置を用意するステップと;
b.上記タンクの中に実質的に中性の液体を導入するステップと;
c.上記装置を上記加熱手段であらかじめ加熱するステップと;
d.上記タンクの内部が生物を殺す温度になるまで待つステップと;
e.生物で汚染された有機材料を上記タンクの中に導入するステップと;
f.上記タンクの中にある生物で汚染された上記有機材料を上記加熱手段で熱処理するステップを含む方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、上記加熱手段がバーナーであり、この方法が、
a.生物で汚染された処理中の上記有機材料から発生するガスと蒸気を回収するステップと;
b.そのガスと蒸気を上記バーナーに運んで燃焼させるステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
生物で汚染された上記有機材料が、ワクチン生成物に由来する廃棄物である、請求項6に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−522081(P2009−522081A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547814(P2008−547814)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【国際出願番号】PCT/CA2006/002128
【国際公開番号】WO2007/076594
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(508196472)
【出願人】(508196829)
【出願人】(508196830)
【出願人】(508196324)
【Fターム(参考)】