説明

有機無機ハイブリッド蛍光体と白色発光体およびカプセル型内視鏡並びに有機無機ハイブリッド蛍光体の製造方法

【課題】発光ダイオードなどの発光素子と組み合わせるのを容易にし、発光素子と組み合わせたときに輝線がなく高い演色性が実現可能な有機無機ハイブリッド蛍光体と白色発光体およびカプセル型内視鏡並びに有機無機ハイブリッド蛍光体の製造方法を提供すること。
【解決手段】末端にホスホニウム基を有するΠ(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物とアルコキシシランとがゾル−ゲル法により調製されて、粒状シリカ中に前記Π(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物が分散された有機無機ハイブリッド蛍光体とする。また、前記Π(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物のうち発光色が白色となる組み合わせのものが樹脂中に分散された蛍光体混合物と紫外発光素子とを組み合わせた白色発光体とする。さらに、この白色発光体を組み込んだカプセル型内視鏡とする。そして、前記Π(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物とアルコキシシランとを乳化重合条件下でゾル−ゲル法により調製する製造方法とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機無機ハイブリッド蛍光体と白色発光体およびカプセル型内視鏡並びに有機無機ハイブリッド蛍光体の製造方法に関し、さらに詳しくは、発光ダイオードなどの発光素子と組み合わせて発光体として用いるのに好適な有機無機ハイブリッド蛍光体と白色発光体およびカプセル型内視鏡並びに有機無機ハイブリッド蛍光体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、白色光を発する発光ダイオードなどの発光素子を用いた白色光源の開発が進んでいる。このような白色光源は、蛍光灯や白熱電球など従来の照明用光源に比べて、熱の発生が少なく低消費電力であり、蛍光灯のように水銀などの有害物質を用いないことや、白熱電球のようにフィラメントの切れる心配がないなどといった利点を有している。
【0003】
発光ダイオードを用いた白色光源の構成例としては、例えばGaN系の青色発光ダイオードとYAG(イットリウムアルミニウムガーネット)黄色蛍光体とを組み合わせたものや、紫外発光ダイオードと無機材料からなるRGB(赤緑青)三色の蛍光体の混合物とを組み合わせたものなどが知られている。
【0004】
しかしながら、これらに示すものは蛍光体が無機材料からなるので、発光ダイオードからの励起光により蛍光体が発する発光スペクトルはブロードではなく輝線となる。一方、太陽からの自然光は複数の色彩の光線からなるブロードな混合光であるので、蛍光体が無機材料からなる場合、演色性が十分でないことがある。
【0005】
これに対し、有機化合物を蛍光体として用いることが考えられる。例えばポリアリレンビニレン化合物などのΠ(パイ)共役高分子化合物は、ブロードな発光特性を示すものであり、置換基の修飾などによって発光色をバリエーション豊富にできる可能性がある。
【0006】
ここで、Π(パイ)共役高分子化合物は、その表面に多数のΠ(パイ)電子が存在しており、このΠ(パイ)電子がEL(エレクトロルミネッセンス:電界発光)特性や蛍光特性の由来となっている。その一方で、Π(パイ)共役高分子化合物は、Π(パイ)電子が関わる反応、例えば酸化反応などが生じやすく、時間の経過に伴いその特性が消滅していくという不安定な性質をも有する。
【0007】
そこで、本発明者らは、Π(パイ)共役高分子化合物の上記特性を損なうことのない有機無機ハイブリッド材料を開発している(特許文献1)。特許文献1に示すものは、ジホスホニウム塩化合物とジアルデヒド化合物とのウィティッヒ反応により生成された末端にホスホニウム基を有するΠ(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物とアルコキシシランとがゾル−ゲル法により調製されて、シラン系ガラスにΠ(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物が混合された有機無機ハイブリッド材料である。
【0008】
このような構成によれば、シラン系ガラス中に混合されたΠ(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物は大気から遮断されるため、酸化反応や加水分解などにより劣化することがない。このため、ポリアリレンビニレンは長期間にわたってΠ共役高分子の特性を維持することができる。また、立体的な網目構造のシラン分岐鎖にポリアリレンビニレンが分散して結合することから、ガラス中にポリアリレンビニレンが均一に分散した有機無機ハイブリッド材料が得られる。
【0009】
【特許文献1】特開2000−12136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に示すものは、EL材料として好適なものではあるが、発光ダイオードと組み合わせる蛍光材料として用いにくいという問題がある。
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、発光ダイオードなどの発光素子と組み合わせるのを容易にし、発光素子と組み合わせたときに輝線がなく高い演色性が実現可能な有機無機ハイブリッド蛍光体と白色発光体およびカプセル型内視鏡並びに有機無機ハイブリッド蛍光体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために本発明に係る有機無機ハイブリッド蛍光体は、末端にホスホニウム基を有するΠ(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物とアルコキシシランとがゾル−ゲル法により調製されて、粒状シリカ中に前記Π(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物が分散されていることを要旨とするものである。
【0013】
前記Π(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物の好適な例として、式(1)〜式(3)に示すものを挙げることができる。式(1)〜式(3)に示す化合物から選択される1種または2種以上にすると良い。
【0014】
【化1】

【0015】
【化2】

【0016】
【化3】

【0017】
ここで、前記アルコキシシランは、テトラアルコキシシランであることが望ましい。
【0018】
そして、前記粒状シリカの粒径は、0.05μm以上5.0μm以下であることが望ましい。
【0019】
一方、本発明に係る白色発光体は、上記有機無機ハイブリッド蛍光体のうち、発光色が白色となる組み合わせのものが樹脂中に分散されてなる蛍光体混合物と紫外発光素子とを組み合わせてなることを要旨とするものである。
【0020】
この場合、前記樹脂は、シリコン樹脂であることが望ましい。
【0021】
そして、本発明に係るカプセル型内視鏡は、上記白色発光体を組み込んでなることを要旨とするものである。
【0022】
さらに、本発明に係る有機無機ハイブリッド蛍光体の製造方法は、末端にホスホニウム基を有するΠ(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物とアルコキシシランとを乳化重合条件下でゾル−ゲル法により調製して、粒状シリカ中に前記Π(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物を分散させることを要旨とするものである。
【0023】
この場合、前記Π(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物は、ジホスホニウム塩化合物とジアルデヒド化合物とのウィティッヒ反応により合成されるものを例示することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る有機無機ハイブリッド蛍光体によれば、末端にホスホニウム基を有するΠ(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物とアルコキシシランとをゾル−ゲル法により調製することにより、Π(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物の末端のホスホニウム基とアルコキシシランのシラノール基とが静電相互作用により緩やかに結合する。そのため、粒状シリカ中のΠ(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物どうしが集合することはなく、粒状シリカ中に前記Π(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物が均一に分散されたものとなる。
【0025】
そして、この有機無機ハイブリッド蛍光体は粒状のものであるので、例えば発光ダイオードなどの発光素子を覆う樹脂などの被覆部材に容易に混合することができるため、発光素子と組み合わせるのが容易となる。
【0026】
さらに、この有機無機ハイブリッド蛍光体において蛍光特性を有するのは有機化合物の部分であり、発光素子と組み合わせたときの発光スペクトルには輝線がなくブロードな発光特性を示すので、高い演色性が実現可能となる。
【0027】
この場合、式(1)〜式(3)に示されるΠ(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物を用いれば、蛍光特性に優れるものとなる。
【0028】
ここで、アルコキシシランにテトラアルコキシシランを用いれば、立体網目構造のシラン分岐鎖にΠ共役ポリアリレンビニレン化合物が分散性よく結合する。このため、粒状シリカ中にΠ共役ポリアリレンビニレンがより均一に分散したものとなる。
【0029】
そして、粒状シリカの粒径を0.05μm以上5.0μm以下とすれば、例えば発光ダイオードなどの発光素子を覆う樹脂などの被覆部材に混合するのがより容易になる。
【0030】
一方、本発明に係る白色発光体によれば、上記有機無機ハイブリッド蛍光体を用いて構成されるので、発光スペクトルには輝線がなくブロードな発光特性を示し、高い演色性を有する。
【0031】
この場合、上記有機無機ハイブリッド蛍光体を混合する樹脂にシリコン樹脂を用いれば、組み合わされる紫外発光素子からの紫外線によって樹脂が劣化するおそれを回避することができる。
【0032】
そして、本発明に係るカプセル型内視鏡によれば、上記白色発光体を組み込むので、演色性の高い白色光源で体内を照射することができる。これにより、体内の様子を正確に表示することができ、診断に必要な正確な情報を確実に提供することができる。
【0033】
さらに、本発明に係る有機無機ハイブリッド蛍光体の製造方法によれば、乳化重合条件下でゾル−ゲル法によりアルコキシシランを加水分解するので、微小な粒径の粒状シリカが調製される。このとき、共存するΠ(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物の末端のホスホニウム基とアルコキシシランのシラノール基とが静電相互作用により緩やかに結合するので、Π(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物どうしが集合することなく、粒状シリカ中にΠ(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物が均一に分散されたものを製造することができる。
【0034】
この場合、ジホスホニウム塩化合物とジアルデヒド化合物とのウィティッヒ反応によりΠ(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物を合成すれば、確実にΠ(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物の末端にホスホニウム基を導入することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
次に、本発明の実施形態について詳細に説明する。本発明に係る有機無機ハイブリッド蛍光体は、末端にホスホニウム基を有するΠ(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物が粒状シリカ中に分散されたものからなる。
【0036】
Π(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物は、芳香族化合物からなる部位と炭素−炭素二重結合部位(−C=C−)とが交互に連なった高分子化合物であり、全体として単結合と二重結合とが交互に繰り返されるΠ(パイ)共役化合物である。
【0037】
芳香族化合物からなる部位としては、Π(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物としたときに蛍光特性を有する芳香族化合物であれば良い。Π(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物中の芳香族化合物からなる部位は、単一の芳香族化合物からなるものであっても良いし、二種以上の異なる芳香族化合物を含むものであっても良い。主にこの芳香族化合物からなる部位の構造により蛍光色が定まる。
【0038】
Π(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物の末端には、ホスホニウム基を有する。例えばジホスホニウム塩化合物とジアルデヒド化合物とをウィティッヒ反応させると、ジホスホニウム塩化合物末端にホスホニウム基が残存するので、Π(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物の末端にホスホニウム基を有するものとすることができる。
【0039】
末端にホスホニウム基を有するΠ(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物としては、式(1)〜式(3)に示すものなどを好適なものとして例示することができる。式(1)に示すものは黄色の蛍光色を、式(2)に示すものは緑色の蛍光色を、式(3)に示すものは青色の蛍光色を、それぞれ発するものである。
【0040】
【化4】

【0041】
【化5】

【0042】
【化6】

【0043】
粒状シリカは、乳化重合条件下でゾル−ゲル法によりアルコキシシランを加水分解することで調製することができる。
【0044】
アルコキシシランとしては、ジアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、テトラアルコキシシランであれば良い。より好ましくは、テトラアルコキシシランである。加水分解させたときに立体網目構造を形成し、この立体網目構造のシラン分岐鎖にΠ共役ポリアリレンビニレン化合物を分散性よく結合させることができるからである。
【0045】
アルコキシシランのアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基などを例示することができる。より好ましくは、エトキシ基である。エトキシ基は、特に安全で取り扱いが容易であり、加水分解反応と重合反応が温和な条件で進行するので、反応をコントロールしやすいからである。
【0046】
乳化重合条件は、一般的な乳化重合条件であれば良く、高速撹拌して水系にアルコキシシランを分散させた状態で水溶性の開始剤を用いてガラス化させる。
【0047】
粒状シリカの粒径は、0.05μm以上5.0μm以下、より好ましくは0.05μm以上0.10μm以下にすると良い。ミクロンオーダーの微細粒子とすることで、例えば発光ダイオードなどの発光素子を覆う樹脂などの被覆部材に混合するのがより容易になる。
【0048】
乳化重合条件において、撹拌速度は、撹拌機の回転数を100rpmから5000rpmにすると良い。撹拌速度により水系に分散されるアルコキシシランの粒子径の大きさを調節することができ、撹拌機の回転数を大きくすれば水系に分散されるアルコキシシランの粒子径をより小さくすることができる。
【0049】
反応溶媒としては、水系溶媒を用いる。水単独でも良いが、上記Π(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物の溶液との相溶性が向上する点で、エタノールなどのアルコール類と水との混合溶媒とすることが好ましい。混合比は、適宜定めることができる。
【0050】
反応系には、重合開始剤や乳化剤などを添加することができる。重合開始剤としては、水溶性の酸やアルカリを用いる。酸としては、例えば塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、プロピオン酸などを例示することができる。また、アルカリとしては、例えばアンモニア、トリエタノールアミンなどを例示することができる。乳化剤としては、ポリビニルアルコールや界面活性剤などを用いる。界面活性剤としては、例えば2−アミノ−2−ヒドロメチル−1,3−プロパンジオールドデシル硫酸塩、Dow Chemical社製のTriton X−45(オクチルフェニルエトキシレート(ノニオン))などを例示することができる。
【0051】
末端にホスホニウム基を有するΠ(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物とアルコキシシランとがゾル−ゲル法により調製されると、例えば式(4)〜式(6)に示すように、Π(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物の末端ホスホニウム基とアルコキシシランのシラノール基とが静電相互作用により緩やかに結合するので、Π(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物どうしが集合して析出することはなく、粒状シリカ中に均一に分散されている。
【0052】
【化7】

【0053】
【化8】

【0054】
【化9】

【0055】
粒状シリカ中には、1種類のΠ(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物が分散されていても良いし、複数種類のものが分散されていても良い。1種類のΠ(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物が分散されたものを製造するには、乳化重合条件下でゾル−ゲル法によりアルコキシシランを加水分解するとき、反応系に1種類のΠ(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物を存在させれば良い。一方、複数種類のΠ(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物が分散されたものを製造するには、反応系に複数種類のΠ(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物を存在させれば良い。このとき、所望の発光色を得るために、複数種類のΠ(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物の混合比を適宜調整する。
【0056】
Π(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物は、末端ホスホニウム基が粒状シリカのシラノール基と静電相互作用により結合して、それぞれが溶液状態の主鎖構造を保持したまま、互いに接触することなく孤立分散した状態で粒状シリカ中に固定化されるので、上記するように粒状シリカ中に複数種類のΠ(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物が分散されたものにおいても、複数種類のΠ(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物は互いに接触することによる分子間での電子移動やエネルギー移動が起きずにそれぞれ独立に固有の発光を行なう。
【0057】
このようにして得られた有機無機ハイブリッド蛍光体は、Π(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物が粒状シリカ中に固定されて大気から遮断されるため、酸化や加水分解などにより劣化することがない。このため、Π(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物は、長期間にわたってΠ共役高分子の特性を維持することができる。
【0058】
次に、本発明の一実施形態に係る白色発光体について説明する。
【0059】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る白色発光体10は、粒状の有機無機ハイブリッド蛍光体12a〜12cが樹脂14中に分散されてなる蛍光体混合物16と紫外発光素子18とが組み合わされたもので構成されている。有機無機ハイブリッド蛍光体12a〜12cは、ミクロンオーダーの微細粒子なので、樹脂14と混合したときの外観に粒状感はない。
【0060】
樹脂14中に分散されている有機無機ハイブリッド蛍光体12aは、式(1)に示すΠ(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物を含有するものであり、有機無機ハイブリッド蛍光体12bは式(2)に示すものを、有機無機ハイブリッド蛍光体12cは式(3)に示すものを、それぞれ含有するものである。有機無機ハイブリッド蛍光体12a〜12cを組み合わせたものは、黄色の蛍光体と緑色の蛍光体と青色の蛍光体とを組み合わせたものであるので、紫外線の照射により発光したときに、組み合わされる発光色は白色となる。
【0061】
樹脂14に添加する有機無機ハイブリッド蛍光体の量としては、蛍光体混合物16全体量に対して5〜30wt%とするのが好ましい。添加量が少ないと発光量が小さくなり、一方、添加量が多いと透光性が悪くなるからである。より好ましくは、蛍光体混合物16全体量に対して10〜20wt%である。これにより、発光量と透光性とのバランスが非常に良くなって、高輝度の白色発光体となる。
【0062】
蛍光体混合物16を構成する樹脂14は、例えばエポキシ樹脂やシリコン樹脂などの透光性を有する樹脂であれば良い。シリコン樹脂は、紫外発光素子からの紫外線による劣化がしにくい点で特に好ましい。蛍光体混合物16は、紫外発光素子18上にポッティングされている。先端は凸状のレンズ部をなしている。
【0063】
紫外発光素子18は、発光ダイオード素子(LEDチップ)からなり、発光ダイオード(LED)20のリードフレーム22aの一端に形成されている凹部24に接着固定されている。紫外発光素子18の一方の電極は、ワイヤ26aによりリードフレーム22aとワイヤボンディングされ、他方の電極は、ワイヤ26bによりリードフレーム22bとワイヤボンディングされている。
【0064】
本実施形態に係る白色発光体10は、例えば内視鏡の白色光源などに用いることができる。内視鏡は、白色発光体10と、白色発光体10から放出される光を被写体に照射して反射された光による像を撮像する撮像部材とを有するもので構成される。本実施形態に係る白色発光体10は、特にカプセル型内視鏡に好適に用いることができる。
【0065】
図2に示すように、一実施形態に係るカプセル型内視鏡30は、不透明樹脂からなる円筒状カバー32の一端に不透明樹脂からなる半球状カバー34が延設され他端に透明樹脂からなる半球状の透明カバー36が取付けられた密閉カプセル38で覆われており、密閉カプセル38の円筒状カバー32内には、図示しない電源ユニット、回路基板、送信ユニット等が設けられている。電源ユニットは電池などで構成され、白色発光体10に電源を供給する。回路基板には図示しない画像処理回路や撮像素子40などが設けられている。透明カバー36の内部にはCCD等の撮像素子40が設けられており、撮像素子40の視野方向となる透明カバー36との間には透明カバー36に対向させて対物レンズ42が配設されている。さらに、この撮像素子40に隣接して白色発光体10が設けられている。
【0066】
白色発光体10から発せられた照明光は体内を照射し、その反射光は対物レンズ42を介して撮像素子40に受光される。撮像素子40において受光した光により体内の像が形成され、画像処理回路で画像処理された後、送信ユニットから図示しない体外の受信装置に送信される。受信装置に送信された送信信号はディスプレイ上に映像化され、医師による観察が行なわれる。
【0067】
そして、カプセル型内視鏡30によれば、演色性の高い白色発光体10で体内を照射することができるので、体内の様子を正確に表示することができ、診断に必要な正確な情報を確実に提供することができる。
【実施例】
【0068】
次に、実施例について説明する。
【0069】
<1>有機無機ハイブリッド蛍光体(式(4)の化合物)の合成
下記反応式(4)に沿って、ジアルデヒド化合物(式(8)の化合物)とジホスホニウム塩化合物(式(9)の化合物)とのウィティッヒ反応によりポリアリレンビニレン化合物(式(1)の化合物)を合成し、ポリアリレンビニレン化合物(式(1)の化合物)とテトラアルコキシシランとを乳化重合条件下でゾル−ゲル法により調製して、粒状の有機無機ハイブリッド蛍光体(式(4)の化合物)を合成した。
【0070】
ジアルデヒド化合物(式(8)の化合物)は、下記反応式(2)に沿って、ジクロロ化合物(式(7)の化合物)から合成し、ジホスホニウム塩化合物(式(9)の化合物)は、下記反応式(3)に沿って、ジクロロ化合物(式(7)の化合物)から合成した。ジクロロ化合物(式(7)の化合物)は、下記反応式(1)に沿って、4−メトキシフェノールから合成した。
【0071】
【化10】

【0072】
【化11】

【0073】
【化12】

【0074】
【化13】

【0075】
【化14】

【0076】
(ジクロロ化合物(式(7)の化合物)の合成)
200mlのナス型フラスコに、4−メトキシフェノール8.6g、1−ブロモ−2−エチルヘキサン13.4g、炭酸カリウム23.6g、ジメチルホルムアミド40mlを加え、60℃で24時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈してから蒸留水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下で溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン)で精製して、4−(2−エチルヘキシルオキシ)アニソール16.3gを無色透明液体として得た(収率99%)。
【0077】
次いで、200mlのナス型フラスコに、4−(2−エチルヘキシルオキシ)アニソール7.8g、濃塩酸40ml、37%ホルムアルデヒド水溶液22ml、ジオキサン25mlを加え、78時間加熱還流した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、蒸留水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下で溶媒を留去した。残留物をエタノールから再結晶により精製して、式(7)の化合物4.3gを白色固体として得た(収率39%)。
【0078】
(ジアルデヒド化合物(式(8)の化合物)の合成)
50mlのナス型フラスコに、ジクロロ化合物(式(7)の化合物)2.5g、炭酸水素ナトリウム3.2g、ジメチルスルホキシド60mlを加え、窒素雰囲気下で125℃に加熱しながら3時間撹拌した。その後反応混合物を塩化メチレン200mlで希釈してから蒸留水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下で有機溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:塩化メチレン)で精製し、さらにアセトニトリル溶媒から再結晶により精製して、式(8)の化合物0.74gを黄色針状結晶として得た(収率33%)。
【0079】
(ジホスホニウム塩化合物(式(9)の化合物)の合成)
200mlのナス型フラスコに、ジクロロ化合物(式(7)の化合物)2.1g、トリフェニルホスフィン5.0g、エタノール40ml、クロロホルム40mlを加え、室温で12時間撹拌した。反応混合物をエーテルに注いで沈殿させ、析出した固体をベンゼン溶媒から再結晶により精製して、式(9)の化合物4.6gを白色針状結晶として得た(収率85%)。
【0080】
(ポリアリレンビニレン化合物(式(1)の化合物)の合成)
30mlのナス型フラスコにジホスホニウム塩化合物(式(9)の化合物)0.288g、ジアルデヒド化合物(式(8)の化合物)0.100g、クロロホルムを1mlを加え、金属ナトリウム0.88gとエタノール3mlから調製したナトリウムエトキシド溶液を添加してから、窒素雰囲気下の室温で10時間撹拌した。反応化合物をエタノールに注いで、式(1)の化合物0.15gを赤色粉末固体として得た(収率88%)。
【0081】
(有機無機ハイブリッド蛍光体(式(4)の化合物)の合成)
300mLのガラス製反応容器に、エタノール100mL、水20mL、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオールドデシル硫酸塩100mg、28%アンモニア水10mL、テトラエトキシシラン8gを入れ、さらに、ポリアリレンビニレン化合物(式(1)の化合物)3mgを1,4−ジオキサン3mLに溶解させた溶液を添加した。機械式撹拌羽根を用いて、回転数3000rpmで反応混合物をよく撹拌しながら、−15℃で5時間撹拌を続けた。反応生成物を濾別し、エタノールおよび水でよく洗浄して、式(4)の化合物2.3gを粒状物として得た(収率98%)。
【0082】
図3に、得られた式(4)の化合物の電子顕微鏡写真を示す。図3に示すように、得られた式(4)の化合物は、1μm以下の微細粒子となっていることが分かる。
【0083】
<2>有機無機ハイブリッド蛍光体(式(5)の化合物)の合成
下記反応式(7)に沿って、ジアルデヒド化合物(式(8)の化合物)とジホスホニウム塩化合物(式(11)の化合物)とのウィティッヒ反応によりポリアリレンビニレン化合物(式(2)の化合物)を合成し、ポリアリレンビニレン化合物(式(2)の化合物)とテトラアルコキシシランとを乳化重合条件下でゾル−ゲル法により調製して、粒状の有機無機ハイブリッド蛍光体(式(5)の化合物)を合成した。
【0084】
ジホスホニウム塩化合物(式(11)の化合物)は、下記反応式(6)に沿って、ジブロモ化合物(式(10)の化合物)から合成した。ジブロモ化合物(式(10)の化合物)は、下記反応式(5)に沿って、フルオレンから合成した。
【0085】
【化15】

【0086】
【化16】

【0087】
【化17】

【0088】
【化18】

【0089】
(ジブロモ化合物(式(10)の化合物)の合成)
500mlの三口フラスコに、フルオレン6.4g、テトラヒドロフラン90mlを加え、−78℃まで冷却してから、1.6規定ブチルリチウムヘキサン溶液51mlをゆっくりと加え、添加終了後、さらに45分撹拌した。1−ブロモオクタン17.1gのテトラヒドロフラン溶液20mlを添加してから、冷却バスをはずし、反応混合物を室温まで戻した。反応混合物をエーテルで希釈してから蒸留水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥してから、減圧下で揮発成分を留去して、9,9‘−ジオクチルフルオレン16gを黄色油状物質として得た(収率99%)。
【0090】
次いで、300mlのナス型フラスコに、9,9‘−ジオクチルフルオレン10.8g、パラホルムアルデヒド8.3g、25%臭化水素酢酸溶液98gを加え、60℃で24時間撹拌した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、続いて、蒸留水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下で溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン)で精製して、式(10)の化合物12gを黄色油状物質として得た(収率76%)。
【0091】
(ジホスホニウム塩化合物(式(11)の化合物)の合成)
500mlのナス型フラスコに、ジブロモ化合物(式(10)の化合物)12.0g、トリフェニルホスフィン16.5g、ジメチルホルムアミド200mlを加え、150℃に加熱しながら12時間撹拌した。反応混合物をエーテルに注いで沈殿させ、析出した固体をエタノールとヘキサンの1:1混合溶媒から再結晶により精製して、式(11)の化合物12.8gを白色板状結晶として得た(収率64%)。
【0092】
(ポリアリレンビニレン化合物(式(2)の化合物)の合成)
50mlのナス型フラスコにジアルデヒド化合物(式(8)の化合物)0.093g、ジホスホニウム塩化合物(式(11)の化合物)0.300g、テトラヒドロフラン2ml、ジメチルスルホキシド2mlを加え、1.6規定ブチルリチウムヘキサン溶液0.4mlをシリンジで添加してから、窒素雰囲気下室温で12時間撹拌した。反応混合物をエタノールに注いで、式(2)の化合物0.15gを黄色粉末固体として得た(収率71%)。
【0093】
(有機無機ハイブリッド蛍光体(式(5)の化合物)の合成)
有機無機ハイブリッド蛍光体(式(4)の化合物)の合成手順と同様にして、式(5)の化合物2.3gを粒状物として得た(収率98%)。
【0094】
<3>有機無機ハイブリッド蛍光体(式(6)の化合物)の合成
下記反応式(10)に沿って、ジアルデヒド化合物(式(14)の化合物)とジホスホニウム塩化合物(式(13)の化合物)とのウィティッヒ反応によりポリアリレンビニレン化合物(式(3)の化合物)を合成し、ポリアリレンビニレン化合物(式(3)の化合物)とテトラアルコキシシランとを乳化重合条件下でゾル−ゲル法により調製して、粒状の有機無機ハイブリッド蛍光体(式(6)の化合物)を合成した。
【0095】
ジホスホニウム塩化合物(式(13)の化合物)は、下記反応式(9)に沿って、ジブロモ化合物(式(12)の化合物)から合成した。ジブロモ化合物(式(12)の化合物)は、下記反応式(8)に沿って、2,5−ジブロモ−p−キシレンから合成した。
【0096】
【化19】

【0097】
【化20】

【0098】
【化21】

【0099】
【化22】

【0100】
(ジブロモ化合物(式(12)の化合物)の合成)
500mlの三口フラスコに、マグネシウム2.8g、テトラヒドロフラン100ml、ヨウ素20mgを入れ、撹拌しながら2,5−ジブロモ−p−キシレン10.0gのテトラヒドロフラン溶液40mlをゆっくり滴下し、窒素雰囲気下で4時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却してから、クロロトリメチルシラン15mlを滴下し、さらに3時間加熱還流した。反応混合物を希塩酸に注ぎ、エーテルで抽出した。抽出したエーテル層を蒸留水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下でエーテルを留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン)で精製して、2,5−ビス(トリメチルシリル)−p−キシレン6.2gを白色固体として得た(収率65%)。
【0101】
次いで、200mlのナス型フラスコに、2,5−ビス(トリメチルシリル)−p−キシレン6.2g、N−ブロモスクシンイミド8.9g、四塩化炭素50ml、過酸化ベンゾイル10mgを加え、窒素雰囲気下で3時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却して、析出したスクシンイミドを濾過によって取り除いた。得られた濾液から減圧下で揮発成分を留去した後、残留物をメタノールに注いで、式(12)の化合物6.0gを白色固体として得た(収率59%)。
【0102】
(ジホスホニウム塩化合物(式(13)の化合物)の合成)
300mlのナス型フラスコに、ジブロモ化合物(式(12)の化合物)4.1g、トリフェニルホスフィン7.9g、エタノール60ml、クロロホルム60mlを加え、室温で3時間撹拌した。反応混合物をエーテルに注いで沈殿させ、析出した固体をエタノールとヘキサンの1:1混合溶媒から再結晶により精製して、式(13)の化合物4.7gを白色針状結晶として得た(収率50%)。
【0103】
(ポリアリレンビニレン化合物(式(3)の化合物)の合成)
200mlのナス型フラスコに、ジアルデヒド化合物(式(14)の化合物)0.70g、ジホスホニウム塩化合物(式(13)の化合物)4.70g、エタノール50ml、クロロホルム60ml、カリウムt−ブトキシド2.6gを加え、室温で48時間撹拌した。反応混合物をエタノールに注いで、式(3)の化合物0.85gをレモン色粉末固体として得た(収率49%)。
【0104】
(有機無機ハイブリッド蛍光体(式(6)の化合物)の合成)
有機無機ハイブリッド蛍光体(式(4)の化合物)の合成手順と同様にして、式(6)の化合物2.4gを粒状物として得た(収率99%)。
【0105】
<4>白色発光体(白色発光ダイオード)の作製
有機無機ハイブリッド蛍光体(式(4)〜式(6)の化合物)をそれぞれ4mg、1mg、16mg計りとり、100mgの信越シリコーン製KER−2667Aに混合した。さらに、信越シリコーン製KER−2667Bを5mg加え、よく混合した。京セミ製紫外発光ダイオードKED378UHのチップ上にポッティングしてから、150℃で60分硬化させた。
【0106】
このようにして得られた白色発光体(白色発光ダイオード)の発光スペクトルについて説明する。図4に示すように、白色発光体(白色発光ダイオード)の発光スペクトルは、紫外発光ダイオードからの紫外光のピークが373nmに現れ、400nmから700nmまで幅広い範囲で輝線がない全体的にブロードなスペクトルが得られている。
【0107】
すなわち、式(1)〜式(3)に示すポリアリレンビニレン化合物の最大発光波長がそれぞれ550nm(黄色)、515nm(緑色)、470nm(青色)であり、式(1)〜式(3)に示すポリアリレンビニレン化合物の各々の発光スペクトルの線形和として観測されている。
【0108】
このように、種々の発光色を有するポリアリレンビニレン化合物が独立に発光することによって、400nmから700nmまで幅の広い全体的にブロードなスペクトルとなっている。そして、蛍光特性を有する部分が有機化合物で構成されているので、輝線のない発光スペクトルとなっている。これにより、自然光に近い演色性に優れる光であることが確認できた。
【0109】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0110】
例えば上記実施形態において、白色発光体10は、有機無機ハイブリッド蛍光体12a〜12cを樹脂14中に分散したものが示されているが、有機無機ハイブリッド蛍光体の組み合わせはこの組み合わせに限定されるものではなく、他の有機無機ハイブリッド蛍光体を組み合わせて白色としたものでも良い。また、有機無機ハイブリッド蛍光体12a〜12cの組み合わせにさらに他の有機無機ハイブリッド蛍光体を加えても良い。このとき、白色発光体から発せられる発光色にはより多くの色が含まれるので、発光色は自然光の色に近くなって演色性がさらに向上する。なお、複数の蛍光体を混合するときには、発光色が白色となるように混合比を調整すれば良い。
【0111】
また、蛍光体を組み合わせるときには、粒状シリカ中に1種類のΠ(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物を含む有機無機ハイブリッド蛍光体を複数種類組み合わせて白色を構成するようにして樹脂14中に分散したものであっても良いし、粒状シリカ中に複数種類のΠ(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物を含ませて白色を構成するようにした有機無機ハイブリッド蛍光体を樹脂14中に分散したものであっても良い。前者の場合、樹脂14に混合する複数種類の有機無機ハイブリッド蛍光体の混合比を変えることで発光色の調整ができるので、発光色を微調整しやすい点においてより好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明に係る有機無機ハイブリッド蛍光体は、例えば発光ダイオードなどの発光素子と組み合わせて、カプセル型内視鏡などに組み込まれる白色発光光源に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の一実施形態に係る白色発光体を表す概略図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るカプセル型内視鏡を表す概略図である。
【図3】有機無機ハイブリッド蛍光体(式(4)の化合物)の電子顕微鏡写真である。
【図4】白色発光体(白色発光ダイオード)の発光スペクトルを表すグラフである。
【符号の説明】
【0114】
10 白色発光体
12a〜12c 有機無機ハイブリッド蛍光体
14 樹脂
16 蛍光体混合物
18 紫外発光素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
末端にホスホニウム基を有するΠ(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物とアルコキシシランとがゾル−ゲル法により調製されて、粒状シリカ中に前記Π(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物が分散されていることを特徴とする有機無機ハイブリッド蛍光体。
【請求項2】
前記Π(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物は、式(1)〜式(3)に示す化合物から選択される1種または2種以上であることを特徴とする請求項1に記載の有機無機ハイブリッド蛍光体。
【化1】

【化2】

【化3】

【請求項3】
前記アルコキシシランは、テトラアルコキシシランであることを特徴とする請求項1または2に記載の有機無機ハイブリッド蛍光体。
【請求項4】
前記粒状シリカの粒径は、0.05μm以上5.0μm以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の有機無機ハイブリッド蛍光体。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の有機無機ハイブリッド蛍光体のうち、発光色が白色となる組み合わせのものが樹脂中に分散されてなる蛍光体混合物と紫外発光素子とを組み合わせてなることを特徴とする白色発光体。
【請求項6】
前記樹脂は、シリコン樹脂であることを特徴とする請求項5に記載の白色発光体。
【請求項7】
請求項5または6に記載の白色発光体を組み込んでなることを特徴とするカプセル型内視鏡。
【請求項8】
末端にホスホニウム基を有するΠ(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物とアルコキシシランとを乳化重合条件下でゾル−ゲル法により調製して、粒状シリカ中に前記Π(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物を分散させることを特徴とする有機無機ハイブリッド蛍光体の製造方法。
【請求項9】
前記Π(パイ)共役ポリアリレンビニレン化合物は、ジホスホニウム塩化合物とジアルデヒド化合物とのウィティッヒ反応により合成されることを特徴とする請求項8に記載の有機無機ハイブリッド蛍光体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−106162(P2008−106162A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−290626(P2006−290626)
【出願日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成18年9月5日 社団法人高分子学会発行の「高分子学会予稿集55巻2号」に発表、平成18年9月20日〜22日 社団法人高分子学会主催の「第55回高分子討論会」において文書をもって発表
【出願人】(304026696)国立大学法人三重大学 (270)
【出願人】(594156880)三重県 (58)
【Fターム(参考)】