説明

有機発光ダイオード及びこれを用いた光源装置

【課題】有機発光ダイオード及びこれを用いた光源装置において光取出し効率を向上させる。
【解決手段】反射電極(102)と、発光ポイント(104)を有する有機層(103)と、透明電極(105)と、出射側基板(108)と前記出射側基板に接する光散乱層(109)と、を有し、前記光散乱層は基材および微粒子(110)で構成され、前記微粒子の屈折率は前記基材の屈折率および前記出射側基板の屈折率より高く、前記発光ポイントは発光ピーク波長λ(nm)で発光し、前記電極と前記有機層との界面から前記発光ポイントまでの高さをa×d(ただし、d(nm)は前記有機層の厚さ、0<a<1)とした場合、(2m−155/180)λ/4/n/cos35°≦a×d≦(2m−155/180)λ/4/n/cos50°(ただし、nは前記有機層の屈折率、mは1以上の整数)である有機発光ダイオード。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光ダイオード及びこれを用いた光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来例として、特許文献1には次のような技術が開示されている。従来技術の目的は、素子内部に導波光として閉じ込められていた損失光を効率よく取り出し、外部取り出し効率にすぐれた有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することである。従来技術は、発光層を含む少なくとも1層の有機層とこれを挟持する反射性電極と透明電極とからなる一対の電極が、光取り出し面から観測者側に放射される発光光の正面輝度値と50度〜70度方向の輝度値が、正面輝度値<50度〜70度方向の輝度値、の関係を満たすように形成されてなる有機エレクトロルミネッセンス素子において、発光光が発光層から透明電極を介して観測者側に出射するまでの間に光の反射・屈折角に乱れを生じさせる領域を設けたことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−296423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
有機発光ダイオードを構成する各層の界面で全反射がおこるため、光取り出し効率が低い、という問題があった。本発明は、有機発光ダイオード及びこれを用いた光源装置において光取出し効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明の特徴は以下の通りである。
【0006】
(1)電極と、発光ポイントを有する有機層と、透明電極と、出射側基板と前記出射側基板に接する光散乱層と、を有し、前記有機層からの光取出し方向に向かって、前記電極,前記有機層,前記透明電極および前記出射側基板の順に配置され、前記光散乱層は基材および微粒子で構成され、前記微粒子の屈折率は前記基材の屈折率および前記出射側基板の屈折率より高く、前記発光ポイントは発光ピーク波長λ(nm)で発光し、前記電極と前記有機層との界面から前記発光ポイントまでの高さをa×d(ただし、d(nm)は前記有機層の厚さ、0<a<1)とした場合、(2m−155/180)λ/4/n/cos35°≦a×d≦(2m−155/180)λ/4/n/cos50°(ただし、nは前記有機層の屈折率、mは1以上の整数)であることを特徴とする有機発光ダイオード。
【0007】
(2)上記(1)において、前記光散乱層は前記出射側基板および前記透明電極の間に形成されることを特徴とする有機発光ダイオード。
【0008】
(3)上記(1)において、前記光散乱層は前記出射側基板に対して前記透明電極が存在する側とは反対側に形成されることを特徴とする有機発光ダイオード。
【0009】
(4)上記(1)乃至(3)のいずれかにおいて、前記出射側基板および前記透明電極の間に第一の透明樹脂層が配置され、前記第一の透明樹脂層の屈折率は前記出射側基板の屈折率と同じであることを特徴とする有機発光ダイオード。
【0010】
(5)上記(1)乃至(4)のいずれかにおいて、前記微粒子には粒径が0.5μm以上6.0μm以下の特定微粒子が含まれ、前記特定微粒子の微粒子平均ピッチが前記特定微粒子の粒径の1.0倍以上6.0倍以下であることを特徴とする有機発光ダイオード。
【0011】
(6)上記(1)乃至(4)のいずれかにおいて、前記微粒子には粒径が0.5μm以上6.0μm以下の特定微粒子が含まれ、前記特定微粒子の微粒子平均ピッチが前記特定微粒子の粒径以上12μm以下であることを特徴とする有機発光ダイオード。
【0012】
(7)上記(1)乃至(4)のいずれかにおいて、前記微粒子には粒径が0.5μm以上2.0μm以下の特別微粒子が含まれ、前記特別微粒子の微粒子平均ピッチが前記特別微粒子の粒径の1.0倍以上3.0倍以下であることを特徴とする有機発光ダイオード。
【0013】
(8)上記(1)乃至(4)のいずれかにおいて、前記微粒子には粒径が0.5μm以上2.0μm以下の特別微粒子が含まれ、前記特別微粒子の微粒子平均ピッチが前記特別微粒子の粒径以上4.0μm以下であることを特徴とする有機発光ダイオード。
【0014】
(9)上記(1)乃至(3),(5)乃至(8)のいずれかにおいて、前記透明電極および出射側基板の間に第一の透明樹脂層が配置され、前記第一の透明樹脂層内に第一の錐状透明樹脂が形成され、前記第一の錐状透明樹脂の底面は前記出射側基板に接着され、前記第一の錐状透明樹脂は、前記出射側基板の法線方向において、前記第一の透明樹脂層から前記出射側基板にむかって広がりを持つことを特徴とする有機発光ダイオード。
【0015】
(10)上記(9)において、(2m−155/180)λ/4/n/cos36°≦a×d≦(2m−155/180)λ/4/n/cos48°である有機発光ダイオード。
【0016】
(11)上記(9)または(10)において、前記第一の透明樹脂層の屈折率が1.7以上2.0以下であり、前記第一の錐状透明樹脂の屈折率が1.5以上1.7未満であることを特徴とする有機発光ダイオード。
【0017】
(12)上記(9)乃至(11)のいずれかにおいて、前記第一の透明樹脂層の屈折率/前記出射側基板の屈折率は1.13以上1.33以下であり、前記第一の錐状透明樹脂の屈折率/前記出射側基板の屈折率は、1以上1.13未満とすることを特徴とする有機発光ダイオード。
【0018】
(13)上記(9)乃至(12)のいずれかにおいて、前記第一の錐状透明樹脂の屈折率が1.50以上1.54以下であり、前記第一の錐状透明樹脂の広がり角度が75°以上85°以下であることを特徴とする有機発光ダイオード。
【0019】
(14)上記(9)乃至(12)のいずれかにおいて、前記第一の錐状透明樹脂の屈折率が1.55以上1.64以下であり、前記第一の錐状透明樹脂の広がり角度が70°以上80°以下であることを特徴とする有機発光ダイオード。
【0020】
(15)上記(9)乃至(14)のいずれかにおいて、前記第一の錐状透明樹脂が前記出射側基板面に対して細密充填配置されていることを特徴とする有機発光ダイオード。
【0021】
(16)電極と、発光ポイントを有する有機層と、明電極と、第一の透明樹脂層と、前記第一の透明樹脂層内に形成された第一の錐状透明樹脂と、出射側基板と、第二の錐状透明樹脂と、を有し、前記有機層からの光取出し方向に向かって、前記電極,前記有機層,前記透明電極,前記第一の透明樹脂層,前記第一の錐状透明樹脂,前記出射側基板および前記第二の錐状透明樹脂の順に配置され、前記第一の錐状透明樹脂および前記第二の錐状透明樹脂の底面は前記出射側基板に接着され、前記第一の錐状透明樹脂は、前記出射側ガラス基板の法線方向において、前記第一の透明樹脂層から前記出射側基板にむかって広がりを持ち、前記第二の錐状透明樹脂の屈折率は前記出射側基板の屈折率と同じであり、前記第二の錐状透明樹脂は、前記出射側基板の法線方向において、前記有機層からの光取出し方向とは反対の方向にむかって広がりを持ち、前記発光ポイントは発光ピーク波長λ(nm)で発光し、前記電極と前記有機層との界面から前記発光ポイントまでの高さをa×d(ただし、d(nm)は前記有機層の厚さ、0<a<1)とした場合、(2m−155/180)λ/4/n/cos35°≦a×d≦(2m−155/180)λ/4/n/cos50°(ただし、nは前記有機層の屈折率、mは1以上の整数)であることを特徴とする有機発光ダイオード。
【0022】
(17)上記(16)において、前記第二の錐状透明樹脂における前記有機層からの光取出し方向とは反対の方向の広がり角度が45°以上60°以下であることを特徴とする有機発光ダイオード。
【0023】
(18)上記(16)または(17)において、前記第二の錐状透明樹脂が前記出射側基板面に対して細密充填配置されていることを特徴とする有機発光ダイオード。
【0024】
(19)電極と、発光ポイントを有する有機層と、透明電極と、第一の透明樹脂層と、拡散反射層と、第二の透明樹脂層と、出射側基板と、を有し、前記有機層からの光取出し方向に向かって、前記電極,前記有機層,前記透明電極,前記第一の透明樹脂層,前記拡散反射層,前記第二の透明樹脂層および前記出射側基板の順に配置され、前記透明電極はストライプ状に形成され、前記拡散反射層において、出射側基板の法線方向において前記電極および前記透明電極が重畳する部分が開口しており、前記第一の透明樹脂層の屈折率は前記出射側基板の屈折率と同一であり、前記第二の透明樹脂層の屈折率は前記出射側基板の屈折率と同一であり、前記発光ポイントは発光ピーク波長λ(nm)で発光し、前記電極と前記有機層との界面から前記発光ポイントまでの高さをa×d(ただし、d(nm)は前記有機層の厚さ、0<a<1)とした場合、(2m−155/180)λ/4/n/cos35°≦a×d≦(2m−155/180)λ/4/n/cos50°(ただし、nは前記有機層の屈折率、mは1以上の整数)である有機発光ダイオード。
【0025】
(20)上記(1)乃至(19)のいずれかの有機発光ダイオードと、前記有機発光ダイオードを駆動する駆動装置と、を有することを特徴とする光源装置。
【発明の効果】
【0026】
本発明により、光取出し効率が向上した有機発光ダイオード及びこれを用いた光源装置を提供できる。上記した以外の課題,構成及び効果は以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態の構成を示す斜視図。
【図2】本発明の一実施形態における構成を示す断面図。
【図3】有機発光ダイオードの干渉効果を説明するための断面図。
【図4】本発明の一実施形態における効果を示すグラフ。
【図5】本発明の一実施形態における原理を示す断面図。
【図6】本発明の一実施形態における断面図及び光散乱層の平面図。
【図7】本発明の一実施形態における効果を示すグラフ。
【図8】本発明の一実施形態における効果を示すグラフ。
【図9】本発明の一実施形態における構成を示す斜視図。
【図10】本発明の一実施形態における原理を示す断面図。
【図11】本発明の一実施形態における原理を示す断面図。
【図12】本発明の一実施形態における効果を示すグラフ。
【図13】本発明の一実施形態における効果を示すグラフ。
【図14】本発明の一実施形態における効果を示すグラフ。
【図15】本発明の一実施形態における効果を示すグラフ。
【図16】本発明の一実施形態における効果を示すグラフ。
【図17】本発明の一実施形態における効果を示すグラフ。
【図18】本発明の一実施形態における効果を示すグラフ。
【図19】本発明の一実施形態における効果を示すグラフ。
【図20】本発明の一実施形態における効果を示すグラフ。
【図21】本発明の一実施形態における効果を示すグラフ。
【図22】本発明の一実施形態における効果を示すグラフ。
【図23】本発明の一実施形態における効果を示すグラフ。
【図24】本発明の一実施形態における効果を示すグラフ。
【図25】本発明の一実施形態における効果を示すグラフ。
【図26】本発明の一実施形態における効果を示すグラフ。
【図27】本発明の一実施形態における構成を示す平面図。
【図28】本発明の一実施形態における構成を示す斜視図。
【図29】本発明の一実施形態における構成を示す斜視図。
【図30】本発明の一実施形態における構成を示す斜視図。
【図31】本発明の一実施形態における構成を示す断面図。
【図32】本発明の一実施形態における原理を示す断面図。
【図33】本発明の一実施形態における効果を示すグラフ。
【図34】本発明の一実施形態における構成を示す斜視図。
【図35】本発明の一実施形態における構成を示す断面図。
【図36】本発明の一実施形態における原理を示す断面図。
【図37】従来の有機発光ダイオードの構造。
【図38】従来の有機発光ダイオードの構造。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面等を用いて、本発明の実施形態について説明する。
【0029】
図37に示された有機発光ダイオードの構造は次の通りである。反射側基板上に形成された反射電極の上に、有機分子からなる有機層が形成される。有機層の上に、透明電極としてITO(スズを微量添加した酸化インジウム)やIZO(亜鉛を微量添加した酸化インジウム)が形成される。さらに、透明電極の上に透明樹脂層が配置され、透明樹脂の上に出射側基板が配置されている。このような構成は一般にトップエミッション型と呼ばれている。一方、図38に示された有機発光ダイオードの構造は次の通りである。出射側基板の上に透明電極が配置される。透明電極の上に有機層が形成される。有機層の上に反射電極が形成される。反射電極の上には真空または不活性ガスが充填された層を介して反射側基板としての封止ガラスが配置される。このような構成は一般にボトムエミッション型と呼ばれている。トップエミッション型もボトムエミッション型も、有機層内で発光した光が出射側基板から出射されることにより外部を照明する。
【0030】
反射電極にはアルミニウムが用いられる。例えば反射電極を陰極として用いる場合、反射電極上に電子輸送層と呼ばれる層が形成され、透明電極側に正孔輸送層が形成される。電子輸送層とホール輸送層との間には発光層と呼ばれる層が形成され、発光層と電子輸送層の界面または発光層とホール輸送層の界面付近の10nm程度の領域で電子と正孔が再結合し、有機層は発光する。発光層のホール輸送層側と電子輸送層側のどちらの界面で主に発光するのかは、材料の移動度等によって任意に設計される。本発明では上記のように主な発光が起こる界面を発光ポイントと呼ぶ。
【0031】
有機層の屈折率は通常1.8程度であり、透明電極の屈折率は2.0程度、透明樹脂層の屈折率は1.5程度、出射側基板の屈折率は1.5程度である。
【0032】
発光ポイントで発光した光は、透明電極,透明樹脂層及び出射側基板を透過し、外部に出射される。しかし、トップエミッション型の場合、透明電極と透明樹脂層との界面、透明樹脂層と出射側基板との界面及び出射側基板と空気との界面で反射がおこるため、外部に取り出される光の量は非常に低くなる。ボトムエミッション型の場合、透明電極と出射側基板との界面及び出射側基板と空気との界面で反射がおこるため、外部に取り出される光の量は非常に低くなる。
【0033】
全反射の影響により出射側基板に取り出せない光を薄膜導波モードと呼ぶ。また、発光ポイントで発光した光は、透明電極側に向かう光と、一度反射電極で反射した後透明電極側に向かう光とに分けられる。この場合、二つの光の干渉条件が適切に制御できていなければ薄膜導波モードが上昇してしまう。
【0034】
一方、出射側基板と空気との界面で全反射され空気に取り出せない光を、厚膜導波モードと呼ぶ。なお、空気に取り出された光を、外部取り出しモードと呼ぶ。
【0035】
有機層で発光した光を100%とすると、
薄膜導波モード(%)=100−出射側基板への取り出し効率
厚膜導波モード(%)=出射側基板への取り出し効率−空気への取り出し効率
外部取り出しモード(%)=空気への取り出し効率=光取り出し効率
つまり、
光取り出し効率(%)=100−(薄膜導波モード+厚膜導波モード)
の関係がある。
【0036】
光取り出し効率を大きくするためには、薄膜導波モードと厚膜導波モードの双方を低減して外部取り出しモードを増加させることが必要である。下記実施例は、上記の問題に鑑みなされたものであって、有機発光ダイオードにおいて、薄膜導波モードおよび厚膜導波モードの双方を低減することにより、高い光取り出し効率を得ることのできる技術を提供するものである。
【0037】
以下に具体的な実施例を示して、本願発明の内容をさらに詳細に説明する。以下の実施例は本願発明の内容の具体例を示すものであり、本願発明がこれらの実施例に限定されるものではなく、本明細書に開示される技術的思想の範囲内において当業者による様々な変更および修正が可能である。また、実施例を説明するための全図において、同一の機能を有するものは、同一の符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【実施例1】
【0038】
図1は、本実施形態の有機発光ダイオードの分解斜視図である。また、図2は本実施形態の有機発光ダイオードの断面構成を示す図である。本実施形態の有機発光ダイオードは、反射側基板101,アルミニウム反射電極102,有機層103,ITOまたはIZOで作製される透明電極105,第一の透明樹脂層106,出射側基板108及び光散乱層109を有する。反射側基板101から出射側基板108へ光が向かう方向を有機層103からの光取出し方向とする。反射側基板101および出射側基板108としてガラスやプラスチック基板材料(ポリクロロピレン,ポリエチレンテレフタレート等)が挙げられる。有機層の汚染を防止する観点で、反射側基板101および出射側基板108はガラスで構成されることが望ましい。反射側基板101上に反射電極102が形成される。反射電極102の上に、有機分子からなる有機層103が形成される。有機層103の屈折率は1.8程度であり、具体的には1.7以上1.9以下である。有機層103は発光ポイント104を含む。発光ポイント104からは、ピーク波長460nmを持った青色の発光が起こる。有機層103の上に透明電極105が形成される。透明電極105の屈折率は2.0程度であり、具体的には1.95以上2.05以下である。さらに、透明電極105の上に第一の透明樹脂層106が配置される。反射電極102は有機層103で発光した光を反射する。反射電極102の代わりに反射性を有する反射板および透明電極105を用いてもよい。この場合、反射側基板101上に反射板が形成され、反射板上に透明電極105が形成される。反射板としてAg基板などが考えられる。
【0039】
第一の透明樹脂層106は、透明電極105と出射側基板108とを接合する。第一の透明樹脂層106はアクリル樹脂を用いている。アクリル樹脂を基材として酸化チタンの微粒子110を分散させることにより、第一の透明樹脂層106の屈折率を制御できる。第一の透明樹脂層106の屈折率は1.5から2.2まで任意に設定できる。第一の透明樹脂層106の基材として、PET(ポリエチレンテレフタラート),シリコーン系,アクリル系,ポリイミド,エポキシ等接着性を有する透明樹脂が挙げられる。第一の透明樹脂層106の上に出射側基板108が配置されている。出射側基板108の屈折率は1.5程度であり、具体的には1.50以上1.56以下である。また、出射側基板108の上に光散乱層109が配置されている。図1のように、光散乱層109は出射側基板108の上に全面に形成しなくてもよい。例えば、出射側基板108の面内方向において光散乱層109の面積を出射側基板108の面積より小さくすることで、生産性を向上できる。光散乱層109は、アクリル樹脂を基材として、酸化ジルコンの微粒子110が分散されている。基材は、透明であり、接着性を有していることが望ましい。また、光散乱層109の基材の屈折率はガラスの屈折率と近い方が望ましく、同じであることがさらに望ましい。「屈折率が同じ」とは本実施例の効果を達成できる程度の同じを意味しており、厳密な一致を要求するものではない。具体的には、両者の屈折率差が0.1以内であればよく、0.05以内であれば望ましい。光散乱層109の基材として、アクリル樹脂の他にエポキシ樹脂,PETなどを用いることができる。微粒子110の材料には酸化ジルコンの他チタン酸バリウムや酸化アルミニウムなどを用いることができる。微粒子110として上記の材料を一種類含めてもよく、二種類以上含めてもよい。アクリル樹脂の屈折率は1.5程度で出射側基板108の屈折率と同じである。なお、各層の屈折率は室温下で、例えば光学式薄膜測定システムFilmTek3000(ヤーマン株式会社製)によって計測される。図1における有機発光ダイオードに有機発光ダイオードを駆動する駆動装置等が備えられることで光源装置となる。
【0040】
図1に示した構成では、透明電極105の屈折率は第一の透明樹脂層106の屈折率より大きい。第一の透明樹脂層106の屈折率は出射側基板108の屈折率と同じである。出射側基板108の屈折率は空気の屈折率より高い。光散乱層109に含まれる微粒子110の屈折率は散乱層に含まれる基材の屈折率および出射側基板108より高い。
【0041】
なお、第一の透明樹脂層106の屈折率は出射側基板108の屈折率にほぼ等しいため、実質的に第一の透明樹脂層106と出射側基板108の光学的な界面はないものに等しい。すなわち、図1に示した構成は、第一の透明樹脂層106がなく、透明電極105と出射側基板108が直接接合された構成と等価である。
【0042】
図1において、光散乱層109は出射側基板108に対して、透明電極105が存在する側とは反対側に配置されているが、光散乱層109を出射側基板108および透明電極105の間に配置してもよい。光散乱層109を出射側基板108および透明電極105の間に配置することにより、劣化に強い出射側基板108によって光散乱層109を保護できる。
【0043】
一方、光散乱層109を形成した際、光散乱層109の表面には凹凸が形成されることがある。したがって、光散乱層109を出射側基板108に対して透明電極105が存在する側とは反対側に配置することにより、光散乱層109の凹凸が存在する側の表面が出射側ガラス基板108に接しないので生産性が向上する。いずれにせよ、光散乱層109が出射側基板108と接している。
【0044】
ボトムエミッション型の場合、基本的に図1に記載の第一の透明樹脂層106は不要なので部材を低減できる。一方、トップエミッション型の場合、出射側基板108および透明電極105の間に第一の透明樹脂層106が配置されるので、後述する第一の錐状透明樹脂107を設けることができ、より薄膜導波モードを低減できる。なお、トップエミッション型であっても、光散乱層109により出射側基板108および透明電極105を接合する場合、第一の透明樹脂層106は不要である。また、ボトムエミッション型であっても、第一の透明樹脂層106を設けてもよい。
【0045】
図2のように、反射電極102と有機層103との界面から発光ポイント104の中心までの距離を、0<a<1なる値及び有機層103の膜厚d(nm)を用いて、a×dで表す。つまり、反射電極102と有機層103との界面でa=0となり、有機層103と透明電極105との界面でa=1となる。
【0046】
ここで、干渉条件について説明する。図3は干渉条件を説明するための図である。発光ポイント104の中心は0<a<1の任意の数を用い、反射電極102と有機層103との界面からの高さa×dで起こるものとし、この発光ポイント104のある点を点光源と仮定する。図中の矢印は、光の伝搬方向を示している。
【0047】
光源で発光した光は、図3におけるAで示した光のように、直接透明電極105に向かう光と、Bで示した光のように一度反射電極102で反射した後透明電極105に向かう光とがある。干渉効果によりAの光とBの光の位相差が2πの整数倍である配光角θ(°)が最も光強度が強められる角度である。なお、配光角とは、各層の界面の法線方向を角度の基準(0°)とした光の方向を表す角度である。
【0048】
最も強め合う配光角度をθcof(°)と表記すると、
θcof(°)=cos-1((2×b−φm/180)×λ/(4×n×a×d))×180
/π (式1)
となる。ここで、bは1以上の整数、λは光の波長(nm)、nは有機層103の屈折率、dは有機層103の膜厚(nm)、aは0<a<1なる値、πは円周率、φmは反射電極102での反射による位相変化であり、光の波長や入射角や偏光方向、反射電極102の材料により変動する。発光層,正孔輸送層,電子輸送層などの積層により有機層103が形成される場合は、有機層103を構成する各層の屈折率の平均値をnとする。反射電極102にアルミニウムを用いた場合、入射角が0°以上50°以下程度まではφmの値は約140°以上160°以下となる。本実施例では、簡単のため代表値としてφmを155°とする。式1より、θcofはaにより変動する。つまり、θcofは、反射電極102と有機層103との界面から発光ポイント104までの距離で制御される。
【0049】
なお、発光ポイント104は有機層103中で、電子とホールとが再結合して発光する位置であり、ホール輸送層等の移動度の高い有機材料の膜厚設定により、比較的自由度が高い状態での設定が可能である。ホール輸送層の材料としては、N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−N,N′−ジフェニル−[1,1′−ビフェニル]−4,4′ジアミン(TPD)、4,4′−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)などが挙げられる。また、有機層103に赤色発光層,緑色発光層および青色発光層が含まれる場合、少なくとも1つの発光ポイント104が式1を満たせば薄膜導波モードを低減できる。ただし、すべての発光ポイント104において式1を満たすことで薄膜導波モードをより低減できる。なお、すべての発光ポイント104において式1を満たす必要がなければ膜厚を小さくできる。
【0050】
θcofを、どの方向の配光角に設定するかによって、第一の透明樹脂層106へ取り出す光の量を制御することができる。このように、θcofの設定を干渉条件の設定と呼ぶ。
【0051】
図4は、図1の構成における、出射側基板108への取り出し効率及び外部取り出し効率とθcof(°)の関係を示すグラフである。θcofを35°以上50°以下程度に設定することにより出射側基板108への取り出し効率を向上させることができる。つまり薄膜導波モードを低減できることがわかる。好ましくはθcofを41°以上46°以下に設定することにより薄膜導波モードをより低減できる。以上のように、干渉条件の適切な設定によって薄膜導波モードを低減できる。しかし、θcofを35°以上50°以下程度に設定した場合、薄膜導波モードは低減できるものの、厚膜導波モードが増大しており、外部取り出し効率が向上していない。よって、θcofの設定により薄膜導波モードを低減することに加え、厚膜導波モードを低減させる必要がある。以下に本実施例における厚膜導波モード低減手段について述べる。
【0052】
図5は光散乱層109による厚膜導波モード低減の原理図である。光散乱層109がない場合は、図5中の光線経路aで示すように、出射側基板108の屈折率と空気の屈折率とで規定される全反射臨界角よりも大きな入射角をもつ光は、出射側基板108と空気との界面で全反射する。これにより、厚膜導波モードが大きくなっていた。
【0053】
そこで、光散乱層109に微粒子110を分散させる。微粒子110に光が入射すると、光線経路bで示すように散乱により光が様々な方向に分離分割される。よって、出射側基板108と空気との界面における全反射臨界角よりも小さな入射角をもった光が生成されるため、外部に光を取り出せ、厚膜導波モードを低減できる。
【0054】
光散乱層109による光散乱によって効率よく外部に光を取り出すためには、好適な微粒子110の粒径(微粒子110の直径)及び微粒子110の配置密度を選ぶ必要がある。そこで、図6に示すように、有機層103の厚さ150nm、発光ポイント104の反射電極102からの高さ98nm、第一の透明樹脂層106の屈折率1.5において、微粒子110の粒径,微粒子平均ピッチおよび厚膜導波モードとの関係をシミュレーションした。ここで、微粒子ピッチとは、図6に示すように、隣接する微粒子110同士の面方向における距離である。また、微粒子平均ピッチは、光散乱層109のある20μm□内の全微粒子110の微粒子ピッチの平均値である。なお、発光ポイント104の反射電極102からの高さ98nmは、θcofを42°に設定した場合の値である。また、光散乱層109の中に粒径が異なる粒子が含まれている場合は、微粒子110の粒径を平均粒子径として考えてもよい。
【0055】
図7及び図8は、微粒子110の屈折率が2.4および1.8の場合のシミュレーション結果である。なお、光散乱層109がない場合の厚膜導波モードを便宜上微粒子平均ピッチが0μmとして示した。また、屈折率2.4,粒径0.57μmおよび粒径1.0μmにおける屈折率2.4の酸化ジルコンの微粒子110をそれぞれ光散乱層109の微粒子110として用いて作製した有機発光ダイオードの光量測定から見積もった厚膜導波モードも同図に示した。
【0056】
図7に示すように、微粒子の屈折率が2.4の場合には、微粒子粒径が0.5μm以上6.0μm以下、微粒子平均ピッチが0.5μm以上12μm以下の範囲で厚膜導波モードが低減されている。さらに好ましくは、微粒子粒径が0.5μm以上4.0μm以下、微粒子平均ピッチが0.5μm以上7.0μm以下の範囲で厚膜導波モードがよりよく低減されている。
【0057】
さらに詳しく見ると、各粒径で好適な微粒子平均ピッチが存在する。
【0058】
微粒子110の粒径が0.5μmの場合、微粒子平均ピッチが0.5μm以上3.0μm以下が好適であり、微粒子平均ピッチの最適値は1.0μmである。微粒子110の粒径と微粒子平均ピッチの関係としては、微粒子平均ピッチが、微粒子110の粒径に対して1.0倍以上6.0倍以下が好適であり、特に2.0倍が最もよい。
【0059】
微粒子110の粒径が1μmの場合、微粒子平均ピッチが1.0μm以上3.5μm以下が好適であり、微粒子平均ピッチの最適値は3.0μmである。微粒子110の粒径と微粒子平均ピッチの関係としては、微粒子平均ピッチが、微粒子110の粒径に対して1.0倍以上3.5倍以下が好適であり、特に3.0倍が最もよい。
【0060】
微粒子110の粒径が2μmの場合、微粒子平均ピッチが2.0μm以上4.75μm以下が好適であり、微粒子平均ピッチの最適値は4.0μmである。微粒子110の粒径と微粒子平均ピッチの関係としては、微粒子平均ピッチが、微粒子110の粒径に対して1.0倍以上2.4倍以下が好適であり、特に2.0倍が最もよい。
【0061】
微粒子110の粒径が4μmの場合、微粒子平均ピッチが4.0μm以上7.0μm以下が好適であり、微粒子平均ピッチの最適値は6μmである。微粒子110の粒径と微粒子平均ピッチの関係としては、微粒子平均ピッチが、微粒子110の粒径に対して1.0倍以上1.8倍以下が好適であり、特に1.50倍が最もよい。
【0062】
図8に示すように、微粒子110の屈折率が1.8の場合には、微粒子粒径が0.5μm以上6.0μm以下、微粒子平均ピッチが0.5μm以上12μm以下の範囲で厚膜導波モードが低減されている。さらに好ましくは、微粒子粒径が0.5μm以上2.0μm以下、微粒子平均ピッチが0.5μm以上4.0μm以下の範囲で厚膜導波モードがよりよく低減されている。
【0063】
さらに詳しく見ると、各粒径で好適な微粒子平均ピッチが存在する。
【0064】
微粒子110の粒径が0.5μmの場合、微粒子平均ピッチが0.5μm以上2.75μm以下が好適であり、微粒子平均ピッチの最適値は1.50μmである。微粒子110の粒径と微粒子平均ピッチの関係としては、微粒子平均ピッチが、微粒子110の粒径に対して1.0倍以上5.5倍以下が好適であり、特に3.0倍が最もよい。
【0065】
微粒子110の粒径が1μmの場合、微粒子平均ピッチが1.0μm以上3.25μm以下が好適であり、微粒子平均ピッチの最適値は1.5μmである。微粒子110の粒径と微粒子平均ピッチの関係としては、微粒子平均ピッチが、微粒子110の粒径に対して1.0倍以上3.3倍以下が好適であり、特に1.5倍が最もよい。
【0066】
微粒子110の粒径が2μmの場合、微粒子平均ピッチが2.0μm以上4.0μm以下が好適であり、微粒子平均ピッチの最適値は2.0μmである。微粒子110の粒径と微粒子平均ピッチの関係としては、微粒子平均ピッチが、微粒子110の粒径に対して1.0倍以上2.0倍以下が好適であり、特に1.0倍が最もよい。
【0067】
以上により、粒径が0.5μm以上6.0μm以下の微粒子110を特定微粒子とした場合、特定微粒子の微粒子平均ピッチが特定微粒子の粒径の1.0倍以上6.0倍以下であれば、厚膜導波モードを低減できる。また、特定微粒子の微粒子平均ピッチが特定微粒子の粒径以上12μm以下であれば、厚膜導波モードを低減できる。
【0068】
さらに好ましくは、粒径が0.5μm以上2.0μm以下の微粒子110を特別微粒子とした場合、特別微粒子の微粒子平均ピッチが特別微粒子の粒径の1.0倍以上3.0倍以下であれば、厚膜導波モードをさらに低減できる。また、特別微粒子の微粒子平均ピッチが特別微粒子の粒径以上4.0μm以下であれば、厚膜導波モードをさらに低減できる。
【0069】
なお、本実施例の効果を達成できるのであれば、微粒子110の中に粒径が0.5μmより小さい微粒子110が含まれていてもよいし、粒径が6.0μmより大きい微粒子110が含まれていてもよい。
【0070】
これまで述べたように、発光ポイント104の適切な設定によって、薄膜導波モードを低減できる。また、光散乱層109の微粒子110の粒径及び配置密度を適切に設定することによって厚膜導波モードの低減できる。以上により、高い光取り出し効率を得ることができる。
【0071】
また、以下の構成を採用することで薄膜導波モードはさらに低減できる。薄膜導波モードを低減できる構成を図9の分解斜視図及び図10の断面図に示す。第一の透明樹脂層106に、出射側基板108の表面に底面が接着された第一の錐状透明樹脂107を埋め込む。第一の錐状透明樹脂107の屈折率は1.4から1.8まで任意に設定できる。出射側基板108の法線方向において、第一の錐状透明樹脂107は第一の透明樹脂層106から出射側基板108に向かって広がりを持っている。なお、本実施例においては、第一の錐状透明樹脂107の出射側基板108方向への広がり角度を図10に示すように、θpriと表記する。第一の錐状透明樹脂107の屈折率をnpri、透明樹脂の屈折率をnLPLと表記する。
【0072】
図11は、本実施例における薄膜導波モード低減の原理図である。第一の透明樹脂層106内に第一の錐状透明樹脂107を配置することにより、薄膜導波モードを低減できる。第一の錐状透明樹脂107の屈折率は第一の透明樹脂層106の屈折率よりも小さく、出射側基板108の屈折率以上である。図11におけるaで示した光線経路のように円錐型の第一の錐状透明樹脂107がない場合は、第一の透明樹脂層106と出射側基板108との界面で全反射していた。そこで、第一の錐状透明樹脂107を挿入することにより、図11におけるbで示す光線経路が形成される。つまり、第一の透明樹脂層106から第一の錐状透明樹脂107への入射角が、aで示す第一の透明樹脂層106から出射側基板108への入射角より小さくなるため全反射することなく、出射側基板108へ出射される。これにより、薄膜導波モードを低減できる。なお、図11における光線経路bは、第一の錐状透明樹脂107の屈折率と出射側基板108の屈折率とが同一である場合を例に示した。ただし、図11におけるcで示す光線のように、法線方向に進む光が円錐型の第一の錐状透明樹脂107と第一の透明樹脂層106との界面で全反射してしまう場合がある。また、第一の錐状透明樹脂107の屈折率が出射側基板108の屈折率よりも高い場合は、円錐型の第一の錐状透明樹脂107と出射側基板108の界面で全反射してしまう場合がある。よって、薄膜導波モード最低化のためには以下のパラメータを最適化する必要がある。
【0073】
最適化が必要なパラメータ
・nLPL
・npri
・θpri
・θcof
以下、パラメータの最適化について述べる。
【0074】
図12は、波長460nm、有機層103の膜厚150nm、第一の透明樹脂層106の屈折率1.6、円錐型の第一の錐状透明樹脂107の屈折率1.5で、様々な干渉条件の下、θpriと薄膜導波モードの相対値との関係についてシミュレーションを行った結果である。θpri=90°の場合の薄膜導波モードは、第一の錐状透明樹脂107を用いなかった場合の値に相当し、これより低い値を持つ領域が、第一の錐状透明樹脂107による薄膜導波モード低減に効果がある。
【0075】
薄膜導波モードの相対値は、θcof及びθpriに強い依存を示しており、θcofが、36°以上48°以下、θpriが80°以上87°以下程度で低い値となっており、好ましくは、θcof=42°,θpri=85°で最も低い値となる。
【0076】
なお、式1からθcofが36°から48°までに対応する発光ポイント104の中心までの距離a×dは、(2−155/180)λ/4/n/cos36°≦a×d≦(2−155/180)λ/4/n/cos48°となり、90nm以上109nm以下である。
【0077】
図13は、光の波長460nm、有機層103の膜厚150nm、第一の透明樹脂層106の屈折率1.7、第一の錐状透明樹脂107の屈折率が1.5で、様々な干渉条件の下、θpriと薄膜導波モードの相対値との関係についてシミュレーションを行った結果である。
【0078】
薄膜導波モードは、θcofが36°から48°、θpriが75°以上85°以下程度で低い値となっており、好ましくはθcof=42°,θpri=82°で最も低い値となる。
【0079】
図14は、光の波長460nm、有機層103の膜厚150nm、第一の透明樹脂層106の屈折率1.7、第一の錐状透明樹脂107の屈折率が1.6で、様々な干渉条件の下、θpriと薄膜導波モードの相対値との関係についてシミュレーションを行った結果である。
【0080】
薄膜導波モードは、θcofが36°から48°、θpriが70°以上80°以下程度で低い値となっており、好ましくはθcof=42°,θpri=71°で最も低い値となる。
【0081】
図15は、光の波長460nm、有機層103の膜厚150nm、第一の透明樹脂層106の屈折率1.8、第一の錐状透明樹脂107の屈折率が1.5で、様々な干渉条件の下、θpriと薄膜導波モードの相対値との関係についてシミュレーションを行った結果である。
【0082】
薄膜導波モードは、θcofが36°から48°、θpriが75°以上85°以下程度で低い値となっており、好ましくはθcof=42°,θpri=82°で最も低い値となる。
【0083】
図16は、光の波長460nm、有機層103の膜厚150nm、第一の透明樹脂層106の屈折率1.8、第一の錐状透明樹脂107の屈折率が1.6で、様々な干渉条件の下、θpriと薄膜導波モードの相対値との関係についてシミュレーションを行った結果である。
【0084】
薄膜導波モードは、θcofが36°から48°、θpriが70°以上80°以下程度で低い値となっており、好ましくはθcof=42°,θpri=74°で最も低い値となる。
【0085】
図17は、光の波長460nm、有機層103の膜厚150nm、第一の透明樹脂層106の屈折率1.8、第一の錐状透明樹脂107の屈折率が1.7で、様々な干渉条件の下、θpriと薄膜導波モードの相対値との関係についてシミュレーションを行った結果である。
【0086】
薄膜導波モードは、θcofが36°から48°、θpriが62°以上80°以下程度で低い値となっており、好ましくはθcof=42°,θpri=71°で最も低い値となる。
【0087】
図18は、光の波長460nm、有機層103の膜厚150nm、第一の透明樹脂層106の屈折率1.9、第一の錐状透明樹脂107の屈折率が1.5で、様々な干渉条件の下、θpriと薄膜導波モードの相対値との関係についてシミュレーションを行った結果である。
【0088】
薄膜導波モードは、θcofが36°から48°、θpriが75°以上85°以下程度で低い値となっており、好ましくはθcof=42°,θpri=83°で最も低い値となる。
【0089】
図19は、光の波長460nm、有機層103の膜厚150nm、第一の透明樹脂層106の屈折率1.9、第一の錐状透明樹脂107の屈折率が1.6で、様々な干渉条件の下、θpriと薄膜導波モードの相対値との関係についてシミュレーションを行った結果である。
【0090】
薄膜導波モードは、θcofが36°から48°、θpriが70°以上80°以下程度で低い値となっており、好ましくはθcof=42°,θpri=76°で最も低い値となる。
【0091】
図20は、光の波長460nm、有機層103の膜厚150nm、第一の透明樹脂層106の屈折率1.9、第一の錐状透明樹脂107の屈折率が1.7で、様々な干渉条件の下、θpriと薄膜導波モードの相対値との関係についてシミュレーションを行った結果である。
【0092】
薄膜導波モードは、θcofが36°から48°、θpriが63°以上80°以下程度で低い値となっており、好ましくはθcof=42°,θpri=74°で最も低い値となる。
【0093】
図21は、光の波長460nm、有機層103の膜厚150nm、第一の透明樹脂層106の屈折率1.9、第一の錐状透明樹脂107の屈折率が1.8で、様々な干渉条件の下、θpriと薄膜導波モードの相対値との関係についてシミュレーションを行った結果である。
【0094】
薄膜導波モードは、θcofが36°から48°、θpriが57°以上80°以下程度で低い値となっており、好ましくはθcof=42°,θpri=74°で最も低い値となる。
【0095】
図22は、光の波長460nm、有機層103の膜厚150nm、第一の透明樹脂層106の屈折率2.0、第一の錐状透明樹脂107の屈折率が1.5で、様々な干渉条件の下、θpriと薄膜導波モードの相対値との関係についてシミュレーションを行った結果である。
【0096】
薄膜導波モードは、θcofが36°から48°、θpriが75°以上85°以下程度で低い値となっており、好ましくはθcof=42,θpri=82°で最も低い値となる。
【0097】
図23は、光の波長460nm、有機層103の膜厚150nm、第一の透明樹脂層106の屈折率2.0、第一の錐状透明樹脂107の屈折率が1.6で、様々な干渉条件の下、θpriと薄膜導波モードの相対値との関係についてシミュレーションを行った結果である。
【0098】
薄膜導波モードは、θcofが36°から48°、θpriが70°以上80°以下程度で低い値となっており、好ましくはθcof=48°,θpri=75°で最も低い値となる。
【0099】
図24は、光の波長460nm、有機層103の膜厚150nm、第一の透明樹脂層106の屈折率2.0、第一の錐状透明樹脂107の屈折率が1.7で、様々な干渉条件の下、θpriと薄膜導波モードの相対値との関係についてシミュレーションを行った結果である。
【0100】
薄膜導波モードは、θcofが36°から48°、θpriが70°以上85°以下程度で低い値となっており、好ましくはθcof=42°,θpri=78°で最も低い値となる。
【0101】
図25は、光の波長460nm、有機層103の膜厚150nm、第一の透明樹脂層106の屈折率2.0、第一の錐状透明樹脂107の屈折率が1.8で、様々な干渉条件の下、θpriと薄膜導波モードの相対値との関係についてシミュレーションを行った結果である。
【0102】
薄膜導波モードは、θcofが36°から48°、θpriが70°以上85°以下程度で低い値となっており、好ましくはθcof=42°,θpri=78°で最も低い値となる。
【0103】
図12乃至図25のグラフの縦軸はすべて同一の範囲である。
【0104】
次に、薄膜導波モードを最低化する屈折率の関係について述べる。
【0105】
図26は、θcof,θpriを最適化(薄膜導波モードが最低値になる条件にした)した際の、第一の錐状透明樹脂107の各屈折率npri(1.4,1.5,1.6,1.7,1.8)をパラメータとして、縦軸に薄膜導波モード、横軸に、第一の透明樹脂層106の屈折率nLPLをとったグラフである。
【0106】
薄膜導波モードをよりよく低減するには、第一の透明樹脂層106の屈折率nLPLを1.7以上2.0以下にするのがよい。第一の錐状透明樹脂107の屈折率は、1.5以上1.7未満にするのが好ましい。
【0107】
これらの屈折率と薄膜導波モードの関係は、第一の透明樹脂層106,第一の錐状透明樹脂107、および出射側基板108のそれぞれの屈折率比が関わっている。例えば、第一の錐状透明樹脂107の屈折率は高いほど第一の透明樹脂層106から第一の錐状透明樹脂107に光が入りやすくなるが、逆に第一の錐状透明樹脂107から出射側基板108に入りづらくなる。そこで、第一の透明樹脂層106の屈折率をnLPL、出射側基板108の屈折率をnglassで表すと、出射側基板108の屈折率に対する第一の透明樹脂層106の屈折率比nLPL/nglassは1.13以上1.33以下にするのがよい。また、出射側基板108の屈折率に対する第一の錐状透明樹脂107の屈折率比npri/nglassは、1以上1.13未満とするのがよい。
【0108】
なお、屈折率を0.1の分解能で離散的に述べてきたが実際の部材の屈折率は連続的な値であるので、上記した屈折率の値は実際の部材の屈折率を小数点第二位で四捨五入した値とする。屈折率を四捨五入しても、これまで述べてきた薄膜導波モードを低減するθpriの角度範囲等の好適な構成要件に殆ど変動はない。
【0109】
以上のように、第一の錐状透明樹脂107を挿入し、第一の透明樹脂層106の屈折率と第一の錐状透明樹脂107の屈折率との関係を適切に制御することにより、薄膜導波モードを低減できる。また、第一の錐状透明樹脂107の頂角角度及び有機層103における発光ポイント104の位置を適切に制御することにより、薄膜導波モードを低減できる。
【0110】
図27は、第一の透明樹脂層106の出射側基板108側表面の平面図である。第一の錐状透明樹脂107は、図27に示すとおり、細密充填配置とした。これにより、第一の錐状透明樹脂107間の隙間が小さくなり、より薄膜導波モードを低減できる。
【0111】
第一の錐状透明樹脂107は図9のような円錐型に限らず、図28に示すように、四角錐状や、図29に示すように6角錐状であってもよい。ただし、第一の錐状透明樹脂107の形状は円錐型のほうが望ましい。有機発光ダイオードの面内全方位にわたって薄膜導波モードを低減できるからである。
【0112】
本実施例で示したように、光散乱層109の微粒子110の粒径及び配置密度を適切に設定することによって厚膜導波モードの低減ができる。また、発光ポイント104の適切な設定、または、発光ポイント104の適切な設定に加え、第一の透明樹脂層106の屈折率設定ならびに第一の錐状透明樹脂107の屈折率設定及び広がり角度の設定、を適切に行うことによって、薄膜導波モードを低減できる。以上により、本実施例の有機発光ダイオードでは高い光取り出し効率が得られる。また、上記構成により、異なる色を有する発光層を積層した場合の混色が促進される。
【実施例2】
【0113】
本発明の他の実施例について詳細に説明する。
【0114】
図30は、本実施形態の有機発光ダイオードの分解斜視図である。また、図31は本実施形態の有機発光ダイオードの断面構成を示す図である。本実施形態の有機発光ダイオードは、反射側基板101,アルミニウム反射電極102,有機層103,透明電極105,第一の透明樹脂層106,第一の錐状透明樹脂107,出射側基板108及び第二の錐状透明樹脂111を有する。図30および図31はトップエミッション型についての説明図であるが、ボトムエミッション型でもよい。反射側基板101上に形成されたアルミニウム反射電極102の上に、有機分子からなる有機層103が形成される。有機層103は発光ポイント104を含む。発光ポイント104からは、ピーク波長460nmを持った青色の発光が起こる。有機層103の上に透明電極105が形成される。さらに、透明電極105の上に第一の透明樹脂層106が配置される。また、第一の透明樹脂層106には、出射側基板108の表面に底面が接着された第一の錐状透明樹脂107が埋め込まれている。円錐型の第一の錐状透明樹脂107の屈折率は1.5程度である。第一の透明樹脂層106の上に出射側基板108が配置されている。出射側基板108の法線方向において、第一の錐状透明樹脂107は第一の透明樹脂層106から出射側基板108に向かって広がりを持っている。また、出射側基板108の上に第二の錐状透明樹脂111を備える。図30において、直方体の樹脂の上に複数の円錐型の樹脂が配置されて第二の錐状透明樹脂111が形成されているが、直方体の樹脂は必ずしも必要ない。ただし、直方体の樹脂のような平らな樹脂を作製することにより、平らな樹脂に円錐型の樹脂の金型を押し当てて第二の錐状透明樹脂111を成型することができる。第二の錐状透明樹脂111の底面は出射側基板108の空気側表面に接着している。第二の錐状透明樹脂111は、アクリル樹脂を成型することにより作製する。アクリル樹脂の屈折率は1.5程度であり、出射側基板108の屈折率と同じである。出射側基板108の法線方向において、第二の錐状透明樹脂111は空気から出射側基板108(有機層103からの光取出し方向とは反対の方向)に向かって広がりを持っている。なお、本明細書中においては、第二の錐状透明樹脂111の出射側基板108方向への広がり角度を図31に示すように、θpri2と表記する。
【0115】
本実施例の薄膜導波モードの低減手法は、実施例1に示した手法と同様である。
【0116】
図32は本実施例による厚膜導波モード低減の原理図である。第二の錐状透明樹脂111がない場合は、図32中の光線経路aで示すように、出射側基板108と空気との界面において全反射臨界角よりも大きな入射角をもつ光は、出射側基板108と空気との界面で全反射する。これにより、厚膜導波モードが大きくなっていた。第二の錐状透明樹脂111に光が入射すると、光線経路bで示すように第二の錐状透明樹脂111の傾斜により入射角が小さくなり、外部に光を取り出せ、厚膜導波モードを低減できる。
【0117】
図33は、本実施例による厚膜導波モード低減の効果を示すグラフである。θcof=42°、第一の錐状透明樹脂107の屈折率を1.5の前提条件において、第一の透明樹脂層106の屈折率nLPL及び第一の錐状透明樹脂107のθpri1をパラメータとして、図33では縦軸に厚膜導波モード、横軸にθpri2(°)をとった。第一の透明樹脂層106の屈折率nLPLは1.6,1.7,1.8,1.9,2.0を用い、第一の錐状透明樹脂107のθpri1はそれぞれ、80°,80°,75°,79°,76°である。
【0118】
θpri2=90°の場合の薄膜導波モードは、第二の錐状透明樹脂111を用いなかった場合の値に相当し、これより低い値を持つ領域が、第二の錐状透明樹脂111による薄膜導波モード低減に効果がある。より好ましくは、θpri2が45°以上60°以下程度にするのが好適であることがわかる。
【0119】
第二の錐状透明樹脂111は円錐型や四角錐状や、六角錐状であってもよい。また、実施例1で第一の透明樹脂層106の配置について述べた理由と同様、細密充填することにより効率を高めることができる。
【実施例3】
【0120】
本発明の他の実施例について詳細に説明する。
【0121】
図34は、本実施形態の有機発光ダイオードの分解斜視図である。また、図35は本実施形態の有機発光ダイオードの断面構成を示す図である。本実施形態の有機発光ダイオードは、反射側基板101,アルミニウム反射電極102,有機層103,透明電極105,第一の透明樹脂層106,拡散反射層112,第二の透明樹脂層113,出射側基板108を有する。図34および図35はトップエミッション型についての説明図であるが、ボトムエミッション型でもよい。反射側基板101上に形成されたアルミニウム反射電極102の上に、有機分子からなる有機層103が形成される。有機層103は発光ポイント104を含む。有機層103の上に透明電極105が形成される。さらに、透明電極105の上に第一の透明樹脂層106が配置される。拡散反射層112は、第一の透明樹脂層106により接着されている。
【0122】
拡散反射層112について、拡散反射層112の法線方向において反射電極102および透明電極105の重畳する領域が開口している。つまり、反射電極102および透明電極105の一方がベタ状であり他方がストライプ状であれば、拡散反射層112の開口部はストライプ状となる。また、反射電極102および透明電極105の両方がストライプ状であり両者の延伸方向が直行している場合は、拡散反射層112の開口部は図34のようにドット状となる。拡散反射層112の開口部はドット状の方が望ましい。また、拡散反射層112の開口部は反射電極102および透明電極105の重畳する領域より大きいほうが望ましい。これにより、配光角の大きな光を出射側基板108に入射させることができるからである。
【0123】
拡散反射層112は、高反射率の白色シートを用いている。白色シートとしては例えば、発砲させることにより微細な気泡を多数含んだPETフィルムが使用できる。具体的には、東レ株式会社製発砲ポリエステルフィルム,ルミラーE60L,E6SL,E60Vなどを用いることができる。白色シートの材料はこれに限ったものではなく、例えば側鎖の炭素数が4以上のアクリル樹脂、または、側鎖の炭素数が1以上3以下のアクリル樹脂にフタル酸ジブチルなどの可塑剤を添加したものに、酸化マグネシウム,酸化チタン,チタン酸バリウム等の白色粉末を含有させた白色の樹脂・粉末混合物等が挙げられる。また、クロロプレンゴム,シリコーンゴム、もしくはフッ素系ゴムに、酸化マグネシウム,酸化チタン,チタン酸バリウム等の白色粉末を含有させた白色のゴム・粉末混合物等が挙げられる。さらに、反射型液晶表示装置の拡散反射層112として用いられているような表面に微細な凹凸を持った金属反射膜であってもよい。この場合、第二の透明樹脂層113の出射側基板108側の表面を凹凸形状とし、その上に、反射率の高いアルミニウムまたは銀などの金属をスパッタリング法により成膜すればよい。第二の透明樹脂層113は拡散反射層112を覆っており、拡散反射層112の開口部に第二の透明樹脂層113が含まれる。出射側基板108は第二の透明樹脂層113により接着されている。なお、第二の透明樹脂層113は第一の透明樹脂層106と同様のアクリル樹脂を用いている。なお、第二の透明樹脂層113は第一の透明樹脂層106と同様でなくてもよい。しかし、第二の透明樹脂層113の材料を第一の透明樹脂層106の材料と同じにすることにより、両者の屈折率が同じになり、第一の透明樹脂層106および第二の透明樹脂層113の界面は光学的に連続となる。つまり、第一の透明樹脂層106および第二の透明樹脂層113の界面が存在しない場合と光学的に等価になる。
【0124】
図36は本実施例における、厚膜導波モード低減の原理図である。出射側基板108と空気との界面で全反射した光は、拡散反射層112で拡散反射する。拡散反射層112で拡散反射した光の一部の出射側基板108と空気界面の入射角は、全反射臨界角より小さくなるため空気側に取り出される。拡散反射層112がない場合には、出射側基板108と空気との界面及び反射電極102である程度同一の入射角で光が全反射を繰り返すため、空気側への光の取り出しが難しかった。
【0125】
本実施例における薄膜導波モードの低減は、干渉条件を適切に設定することによりなされる。実施例1の図4で示したのと同様θcofを35°以上50°以下程度に設定することにより薄膜導波モードを低減できる。
【0126】
また、さらに好ましい構成としては、第一の透明樹脂層106に実施例1で示した第一の錐状透明樹脂107を埋め込んでもよい。この場合の第一の透明樹脂層106の屈折率や、θcof,θpri及び第一の錐状透明樹脂107の屈折率の好ましい関係性については、実施例1で述べたものと同様な構成が適用できる。ただし、本実施例では第一の錐状透明樹脂107の底面は、拡散反射層112で第二の透明樹脂層113に接着されている。
【0127】
なお、本明細書で述べた薄膜導波モードの低減手法及び厚膜導波モードの低減手法は様々な組み合わせが可能である。
【符号の説明】
【0128】
101 反射側基板
102 反射電極
103 有機層
104 発光ポイント
105 透明電極
106 第一の透明樹脂層
107 第一の錐状透明樹脂
108 出射側基板
109 光散乱層
110 微粒子
111 第二の錐状透明樹脂
112 拡散反射層
113 第二の透明樹脂層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極と、
発光ポイントを有する有機層と、
透明電極と、
出射側基板と
前記出射側基板に接する光散乱層と、を有し、
前記有機層からの光取出し方向に向かって、前記電極,前記有機層,前記透明電極および前記出射側基板の順に配置され、
前記光散乱層は基材および微粒子で構成され、
前記微粒子の屈折率は前記基材の屈折率および前記出射側基板の屈折率より高く、
前記発光ポイントは発光ピーク波長λ(nm)で発光し、
前記電極と前記有機層との界面から前記発光ポイントまでの高さをa×d(ただし、d(nm)は前記有機層の厚さ、0<a<1)とした場合、(2m−155/180)λ/4/n/cos35°≦a×d≦(2m−155/180)λ/4/n/cos50°(ただし、nは前記有機層の屈折率、mは1以上の整数)であることを特徴とする有機発光ダイオード。
【請求項2】
請求項1において、
前記光散乱層は前記出射側基板および前記透明電極の間に形成されることを特徴とする有機発光ダイオード。
【請求項3】
請求項1において、
前記光散乱層は前記出射側基板に対して前記透明電極が存在する側とは反対側に形成されることを特徴とする有機発光ダイオード。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記出射側基板および前記透明電極の間に第一の透明樹脂層が配置され、
前記第一の透明樹脂層の屈折率は前記出射側基板の屈折率と同じであることを特徴とする有機発光ダイオード。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、
前記微粒子には粒径が0.5μm以上6.0μm以下の特定微粒子が含まれ、
前記特定微粒子の微粒子平均ピッチが前記特定微粒子の粒径の1.0倍以上6.0倍以下であることを特徴とする有機発光ダイオード。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、
前記微粒子には粒径が0.5μm以上6.0μm以下の特定微粒子が含まれ、
前記特定微粒子の微粒子平均ピッチが前記特定微粒子の粒径以上12μm以下であることを特徴とする有機発光ダイオード。
【請求項7】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、
前記微粒子には粒径が0.5μm以上2.0μm以下の特別微粒子が含まれ、
前記特別微粒子の微粒子平均ピッチが前記特別微粒子の粒径の1.0倍以上3.0倍以下であることを特徴とする有機発光ダイオード。
【請求項8】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、
前記微粒子には粒径が0.5μm以上2.0μm以下の特別微粒子が含まれ、
前記特別微粒子の微粒子平均ピッチが前記特別微粒子の粒径以上4.0μm以下であることを特徴とする有機発光ダイオード。
【請求項9】
請求項1乃至3、5乃至8のいずれかにおいて、
前記透明電極および出射側基板の間に第一の透明樹脂層が配置され、
前記第一の透明樹脂層内に第一の錐状透明樹脂が形成され、
前記第一の錐状透明樹脂の底面は前記出射側基板に接着され、
前記第一の錐状透明樹脂は、前記出射側基板の法線方向において、前記第一の透明樹脂層から前記出射側基板にむかって広がりを持つことを特徴とする有機発光ダイオード。
【請求項10】
請求項9において、
(2m−155/180)λ/4/n/cos36°≦a×d≦(2m−155/180)λ/4/n/cos48°である有機発光ダイオード。
【請求項11】
請求項9または10において、
前記第一の透明樹脂層の屈折率が1.7以上2.0以下であり、
前記第一の錐状透明樹脂の屈折率が1.5以上1.7未満であることを特徴とする有機発光ダイオード。
【請求項12】
請求項9乃至11のいずれかにおいて、
前記第一の透明樹脂層の屈折率/前記出射側基板の屈折率は1.13以上1.33以下であり、
前記第一の錐状透明樹脂の屈折率/前記出射側基板の屈折率は、1以上1.13未満とすることを特徴とする有機発光ダイオード。
【請求項13】
請求項9乃至12のいずれかにおいて、
前記第一の錐状透明樹脂の屈折率が1.50以上1.54以下であり、
前記第一の錐状透明樹脂の広がり角度が75°以上85°以下であることを特徴とする有機発光ダイオード。
【請求項14】
請求項9乃至12のいずれかにおいて、
前記第一の錐状透明樹脂の屈折率が1.55以上1.64以下であり、
前記第一の錐状透明樹脂の広がり角度が70°以上80°以下であることを特徴とする有機発光ダイオード。
【請求項15】
請求項9乃至14のいずれかにおいて、
前記第一の錐状透明樹脂が前記出射側基板面に対して細密充填配置されていることを特徴とする有機発光ダイオード。
【請求項16】
電極と、
発光ポイントを有する有機層と、
明電極と、
第一の透明樹脂層と、
前記第一の透明樹脂層内に形成された第一の錐状透明樹脂と、
出射側基板と、
第二の錐状透明樹脂と、を有し、
前記有機層からの光取出し方向に向かって、前記電極,前記有機層,前記透明電極,前記第一の透明樹脂層,前記第一の錐状透明樹脂,前記出射側基板および前記第二の錐状透明樹脂の順に配置され、
前記第一の錐状透明樹脂および前記第二の錐状透明樹脂の底面は前記出射側基板に接着され、
前記第一の錐状透明樹脂は、前記出射側ガラス基板の法線方向において、前記第一の透明樹脂層から前記出射側基板にむかって広がりを持ち、
前記第二の錐状透明樹脂の屈折率は前記出射側基板の屈折率と同じであり、
前記第二の錐状透明樹脂は、前記出射側基板の法線方向において、前記有機層からの光取出し方向とは反対の方向にむかって広がりを持ち、
前記発光ポイントは発光ピーク波長λ(nm)で発光し、
前記電極と前記有機層との界面から前記発光ポイントまでの高さをa×d(ただし、d(nm)は前記有機層の厚さ、0<a<1)とした場合、(2m−155/180)λ/4/n/cos35°≦a×d≦(2m−155/180)λ/4/n/cos50°(ただし、nは前記有機層の屈折率、mは1以上の整数)であることを特徴とする有機発光ダイオード。
【請求項17】
請求項16において、
前記第二の錐状透明樹脂における前記有機層からの光取出し方向とは反対の方向の広がり角度が45°以上60°以下であることを特徴とする有機発光ダイオード。
【請求項18】
請求項16または17において、
前記第二の錐状透明樹脂が前記出射側基板面に対して細密充填配置されていることを特徴とする有機発光ダイオード。
【請求項19】
電極と、
発光ポイントを有する有機層と、
透明電極と、
第一の透明樹脂層と、
拡散反射層と、
第二の透明樹脂層と、
出射側基板と、を有し、
前記有機層からの光取出し方向に向かって、前記電極,前記有機層,前記透明電極,前記第一の透明樹脂層,前記拡散反射層,前記第二の透明樹脂層および前記出射側基板の順に配置され、
前記透明電極はストライプ状に形成され、
前記拡散反射層において、出射側基板の法線方向において前記電極および前記透明電極が重畳する部分が開口しており、
前記第一の透明樹脂層の屈折率は前記出射側基板の屈折率と同一であり、
前記第二の透明樹脂層の屈折率は前記出射側基板の屈折率と同一であり、
前記発光ポイントは発光ピーク波長λ(nm)で発光し、
前記電極と前記有機層との界面から前記発光ポイントまでの高さをa×d(ただし、d(nm)は前記有機層の厚さ、0<a<1)とした場合、(2m−155/180)λ/4/n/cos35°≦a×d≦(2m−155/180)λ/4/n/cos50°(ただし、nは前記有機層の屈折率、mは1以上の整数)である有機発光ダイオード。
【請求項20】
請求項1乃至19のいずれかの有機発光ダイオードと、
前記有機発光ダイオードを駆動する駆動装置と、を有することを特徴とする光源装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate

【図37】
image rotate

【図38】
image rotate


【公開番号】特開2011−243290(P2011−243290A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−111609(P2010−111609)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】