説明

有機発光ディスプレイ装置の製造方法

【課題】マスク利用回数が低減してコストダウンができ、かつ製造の容易な有機発光ディスプレイ装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】ゲート電極と、ゲート電極と絶縁されたソース電極及びドレイン電極と、ゲート電極と絶縁されてソース電極及びドレイン電極にそれぞれ接する半導体層と、を備える薄膜トランジスタ;ソース電極及びドレイン電極のうちいずれか一つに電気的に連結された画素電極を備え、ゲート電極は、第1導電層と第1導電層上の第2導電層とを備え、画素電極は、第1導電層と同一物質で同一層に形成されたことを特徴とする有機発光ディスプレイ装置及びその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光ディスプレイ装置及びその製造方法に係り、より詳細には、マスク利用回数が低減して低コストで製造の容易な有機発光ディスプレイ装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に有機発光ディスプレイ装置は、画素電極と、画素電極と対向する対向電極と、画素電極と対向電極との間に介された発光層を備える中間層とを持つ有機発光素子(Organic Light Emitting Diode、以下、OLED)をディスプレイ素子として備える平板ディスプレイ装置である。これらの有機発光ディスプレイ装置は、各OLEDの作動を制御する薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、以下、TFT)を備える。
図1Aないし図1Lは、従来の有機発光ディスプレイ装置の製造工程を概略的に示する断面図である。
【0003】
従来の有機発光ディスプレイ装置の製造方法によれば、図1Aに示したように、基板10上に半導体層21をパターニングして形成した後、この半導体層を覆うようにゲート絶縁膜11を形成し、このゲート絶縁膜11上にゲート電極用導電層23aを形成し、ゲート電極用導電層23a上のゲート電極が形成される部分にゲート電極用フォトレジスト層23bを形成する。したがって、図1Aに示したような工程で半導体層21をパターニングする時に、第1マスク工程を経て、ゲート電極用フォトレジスト層23bを形成する時に第2マスク工程を経る。
次いで、ゲート電極用フォトレジスト層23bを利用してゲート電極用導電層23aをパターニングすることによって、図1Bに示したようにゲート電極23を形成する。そして、このゲート電極23を覆うように層間絶縁膜13を形成した後、第3マスク工程を経て図1Cに示したように、半導体層21の一部を露出させるビアホール13aを形成する。
【0004】
ビアホール13aを形成した後には、図1Dに示したようにソース/ドレイン電極用導電層25aを形成して、このソース/ドレイン電極用導電層25aをビアホール13aを通じて半導体層21に当接させる。そして、第4マスク工程を経て図1Eに示したように、ソース/ドレイン電極用導電層25aのソース/ドレイン電極が形成される部分にソース/ドレイン電極用フォトレジスト層25bを形成する。そして、このソース/ドレイン電極用フォトレジスト層25bを利用してソース/ドレイン電極用導電層25aをパターニングすることによって、図1Fに示したように、ゲート電極23から絶縁されて半導体層21にそれぞれ接するソース/ドレイン電極25を形成してTFT 20を完成する。
【0005】
次いで、図1Gに示したように、ソース/ドレイン電極25を覆うように平坦化膜15を形成し、第5マスク工程を経てコンタクトホールが形成される部分を除いて平坦化膜15上にコンタクトホール用フォトレジスト層15aを形成する。そして、このコンタクトホール用フォトレジスト層15aを利用して平坦化膜15をエッチングすることによって、図1Hに示したように、ソース/ドレイン電極25のうちいずれか一つを、平坦化膜15に形成されたコンタクトホール15cにより露出させる。
【0006】
次いで、図1Iに示したように、平坦化膜15を覆ってコンタクトホール15cを通じてソース/ドレイン電極25のうちいずれか一つに接する画素電極用導電層31aを形成する。そして、第6マスク工程を経て図1Jに示したように、画素電極が形成される部分に対応するように、画素電極用導電層31a上に画素電極用フォトレジスト層31bを形成する。この画素電極用フォトレジスト層31bを利用して画素電極用導電層31aをパターニングすることによって、図1Kに示したようにソース/ドレイン電極25のうちいずれか一つに接する画素電極31を形成する。次いで、画素電極31を覆うように画素定義膜用絶縁層を形成し、第7マスク工程を通じてこの画素定義膜用絶縁層をパターニングすることによって、画素電極31の少なくとも一部を露出させる画素定義膜17を形成し、第8マスク工程を経て画素電極31上に発光層を備える中間層32を形成し、次いで、全ディスプレイ領域に対応するように対向電極33を形成することによって、図1Lに示したように、TFTにより発光如何が制御されるOLED 30を画素に持つ能動駆動型有機発光ディスプレイ装置を製造できる。
【0007】
しかし、これらの従来の有機発光ディスプレイ装置の製造方法によれば、前述したように、TFT 20とOLED 30とを形成するまで総8回のマスク工程を経ねばならず、使用するマスクの数も多くて工程が複雑なため、コストが上昇して歩留まりも低いという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記のような問題点を始めとしていろいろな問題点を解決するためのものであり、マスク利用回数が低減して低コストで製造の容易な有機発光ディスプレイ装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ゲート電極と、前記ゲート電極と絶縁されたソース電極及びドレイン電極と、前記ゲート電極と絶縁されて前記ソース電極及びドレイン電極にそれぞれ接する半導体層と、を備えるTFT;、前記ソース電極及びドレイン電極のうちいずれか一つに電気的に連結された画素電極を備え、前記ゲート電極は、第1導電層と前記第1導電層上の第2導電層とを備え、前記画素電極は、前記第1導電層と同一物質で同一層に形成されたことを特徴とする有機発光ディスプレイ装置を提供する。
本発明の他の特徴によれば、前記第1導電層は、透光性導電物質で形成されている。
本発明のさらに他の特徴によれば、前記ゲート電極に電気的に連結された配線をさらに備え、前記配線は、前記ゲート電極と同じ層状構造を持つ。
本発明のさらに他の特徴によれば、前記配線は、前記ゲート電極と同一物質で形成された層状構造を持つ。
【0010】
本発明はまた、(a)基板上に第1導電層と前記第1導電層上の第2導電層とを形成する工程と、(b)前記第2導電層の一部分上にフォトレジスト層を形成するが、ゲート電極が形成される第1領域での厚さが、画素電極が形成される第2領域での厚さより厚くなるように形成する工程と、(c)前記第1導電層と前記第2導電層との前記フォトレジスト層により覆われていない部分を除去して前記第1導電層と前記第2導電層とをパターニングし、前記第2領域でのフォトレジスト層を除去する工程と、(d)前記第2領域の第2導電層と前記第1領域に残存するフォトレジスト層とを除去する工程と、を含むことを特徴とする有機発光ディスプレイ装置の製造方法を提供する。
【0011】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第1導電層は、透光性導電物質で形成する。
本発明のさらに他の特徴によれば、前記(b)工程で、前記ゲート電極に電気的に連結された配線が形成される部分に対応する第3領域にもフォトレジスト層を形成するが、前記第3領域でのフォトレジスト層の厚さが、前記第2領域でのフォトレジスト層の厚さより厚くなるように形成する。
【0012】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記(b)工程で、前記ゲート電極に電気的に連結された配線が形成される部分に対応する第3領域にもフォトレジスト層を形成するが、前記第3領域でのフォトレジスト層の厚さが、前記第1領域でのフォトレジスト層の厚さと同じくなるように形成する。
本発明のさらに他の特徴によれば、前記(b)工程は、ハーフトーンマスクを利用する工程である。ハーフトーンマスクは一つの領域での透過率と他の領域での透過率が相異なっているマスクである。このようなハーフトーンマスクを利用して一つの層を形成すれば、形成された層において、一つの領域での厚さが他の領域での厚さとは相異なるようにできる。したがって、上記(b)工程はこのようなハーフトーンマスクを利用する工程であることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の有機発光ディスプレイ装置及びその製造方法によれば、マスク利用回数が低減して低コストで製造の容易な有機発光ディスプレイ装置を具現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1A】従来の有機発光ディスプレイ装置の製造工程を概略的に示する断面図である。
【図1B】従来の有機発光ディスプレイ装置の製造工程を概略的に示する断面図である。
【図1C】従来の有機発光ディスプレイ装置の製造工程を概略的に示する断面図である。
【図1D】従来の有機発光ディスプレイ装置の製造工程を概略的に示する断面図である。
【図1E】従来の有機発光ディスプレイ装置の製造工程を概略的に示する断面図である。
【図1F】従来の有機発光ディスプレイ装置の製造工程を概略的に示する断面図である。
【図1G】従来の有機発光ディスプレイ装置の製造工程を概略的に示する断面図である。
【図1H】従来の有機発光ディスプレイ装置の製造工程を概略的に示する断面図である。
【図1I】従来の有機発光ディスプレイ装置の製造工程を概略的に示する断面図である。
【図1J】従来の有機発光ディスプレイ装置の製造工程を概略的に示する断面図である。
【図1K】従来の有機発光ディスプレイ装置の製造工程を概略的に示する断面図である。
【図1L】従来の有機発光ディスプレイ装置の製造工程を概略的に示する断面図である。
【図2A】本発明の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置の製造工程を概略的に示する断面図である。
【図2B】本発明の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置の製造工程を概略的に示する断面図である。
【図2C】本発明の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置の製造工程を概略的に示する断面図である。
【図2D】本発明の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置の製造工程を概略的に示する断面図である。
【図2E】本発明の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置の製造工程を概略的に示する断面図である。
【図2F】本発明の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置の製造工程を概略的に示する断面図である。
【図2G】本発明の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置の製造工程を概略的に示する断面図である。
【図2H】本発明の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置の製造工程を概略的に示する断面図である。
【図2I】本発明の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置の製造工程を概略的に示する断面図である。
【図2J】本発明の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置の製造工程を概略的に示する断面図である。
【図3A】本発明の他の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置の製造工程を概略的に示する断面図である。
【図3B】本発明の他の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置の製造工程を概略的に示する断面図である。
【図3C】本発明の他の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置の製造工程を概略的に示する断面図である。
【図3D】本発明の他の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置の製造工程を概略的に示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明すれば、次の通りである。
図2Aないし図2Jは、本発明の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置の製造工程を概略的に示する断面図である。
まず、図2Aに示したような積層体を形成する。具体的に、基板100上にパターニングされた半導体層210を、第1マスク工程を通じて形成する。基板100としては、ガラス材基板だけではなくアクリルのような多様なプラスチック材基板を使用してもよく、さらに金属板を使用してもよい。この基板100には、半導体層210を形成する前に必要に応じてバッファ層(図示せず)がさらに備えられることもある。
【0016】
半導体層210を形成した後には、酸化シリコンまたは窒化シリコンなどの絶縁性物質でゲート絶縁膜110を形成する。そして基板100上に、正確にはゲート絶縁膜110上に、第1導電層231aと、この第1導電層231a上の第2導電層232aとを形成する。第1導電層231aと第2導電層232aとは多様な導電性物質で形成できるが、第1導電層231aは、ITO、IZO、Inなどの透光性導電物質で形成でき、第2導電層232aは、Mo、W、Al、Cu、Ag及び/またはこれらの合金などを始めとする多様な導電性物質で形成できる。第1導電層231aと第2導電層232aの形成用物質については後述する。
【0017】
第1導電層231aと第2導電層232aとを形成した後、第2マスク工程を通じて第2導電層232aの一部分上にフォトレジスト層230aを形成するが、この時、ゲート電極が形成される第1領域A1での厚さt1が、画素電極が形成される第2領域A2での厚さt2より厚くなるようにフォトレジスト層230aを形成する。これは、一回のマスク工程で可能であるが、例えば、ハーフトーンマスクを利用することによって、同時にフォトレジスト層230aを形成しつつも領域によってその厚さを異ならせて形成させうる。
【0018】
このようにフォトレジスト層230aを形成した後、図2Bに示したように、第1導電層231aと第2導電層232aとのフォトレジスト層230aにより覆われていない部分を除去して第1導電層231aと第2導電層232aとをパターニングし、第2領域A2でのフォトレジスト層230aを除去する。例えば、ドライエッチング工程を経れば、第1導電層231aと第2導電層232aとのフォトレジスト層230aにより覆われていない部分が除去される。この過程で第1領域A1のフォトレジスト層230aと第2領域A2のフォトレジスト層230aもエッチングされるが、第1領域A1のフォトレジスト層230aの厚さt1が第2領域A2のフォトレジスト層230aの厚さt2より厚いので、第2領域A2のフォトレジスト層230aが除去されても第1領域A1のフォトレジスト層230aは完全に除去されず、図2Bに示したように厚さt1’を持つ状態に残存する。
【0019】
このように第1導電層231aと第2導電層232aとをパターニングすれば、図2Bに示したように、第1領域A1には第1導電層231と第1導電層231上の第2導電層232とを備えるゲート電極230が形成され、第2領域A2には、ゲート電極230の第1導電層231と同一物質で同一層に形成された画素電極310と、画素電極310上の第2導電層物質層311とが形成される。
【0020】
次いで、第2領域A2の第2導電層物質層311と第1領域A1に残存するフォトレジスト層230aとを除去することによって、図2Cに示したように第1領域A1には、第1導電層231と第1導電層231上の第2導電層232とを備えるゲート電極230が配され、第2領域A2には、ゲート電極230の第1導電層231と同一物質で同一層に形成された画素電極310が配された積層体を得ることができる。
第2領域A2の第2導電層物質層311と第1領域A1に残存するフォトレジスト層230aとを除去するためには、例えば、ドライエッチングを利用できる。この場合、前述したように図2Aで、第1導電層231aをITO、IZO、Inなどの透光性導電物質で形成し、第2導電層232aをMo、W、Al、Cu、Ag及び/またはこれらの合金などの導電性物質で形成すれば、透光性導電物質で形成された第1導電層231aの強度が第2導電層232aの強度より相対的に大きい。したがって、図2Bに示したような積層体でドライエッチングを実施すれば、第2領域A2において強度の相対的に弱い第2導電層物質層311はエッチングされるが、画素電極310はエッチングされないか、または過エッチングされずに残存して図2Cに示したような積層体を得る。
【0021】
このように説明した本実施形態による有機発光ディスプレイ装置の製造方法によれば、2回のマスク工程を経るだけでもゲート電極230と画素電極310とをいずれも形成できる。しかし、図1Aないし図1Lを参照して前述した従来の有機発光ディスプレイ装置の製造方法によれば、ゲート電極23を形成するまでは2回のマスク工程を経るだけであるが、その後、画素電極31を形成するために別途のマスク工程を経ねばならないので、本実施形態による有機発光ディスプレイ装置の製造方法よりさらに多くのマスク工程を経ねばならない。したがって、本実施形態による有機発光ディスプレイ装置の製造方法によれば、製造工程を単純化してコストダウン及び歩留まりの向上を図ることができる。
【0022】
一方、このように説明した本実施形態による有機発光ディスプレイ装置の製造方法を利用して以後の有機発光ディスプレイ装置を完成するまでの工程を説明すれば、次の通りである。
図2Cに示したようにゲート電極230と画素電極310とを形成した後、ゲート電極230と画素電極310とを覆うように層間絶縁膜130を形成した後、第3マスク工程を経て図2Dに示したように、半導体層210の一部を露出させるビアホール130aと、画素電極310の少なくとも一部を露出させる開口部130bとを形成する。第3マスク工程もフォトレジストを利用する工程であって、開口部130bの形成時にドライエッチングまたはウェットエッチングなどを利用しても、画素電極310の強度が大きくて画素電極310が露出されるだけで、画素電極310が過度にエッチングされたりしない。
【0023】
ビアホール130a及び開口部130bを形成した後には、図2Eに示したようにソース/ドレイン電極用導電層250aを形成して、このソース/ドレイン電極用導電層250aをビアホール130aを通じて半導体層210に当接させる。もちろん、ソース/ドレイン電極用導電層250aは、開口部130bを通じて画素電極310にも当接する。ソース/ドレイン電極用導電層250aは、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr及び/またはこれらの化合物のような多様な導電性物質で形成できる。
【0024】
以後、第4マスク工程を経て図2Fに示したように、ソース/ドレイン電極用導電層250aのソース/ドレイン電極が形成される部分にソース/ドレイン電極用フォトレジスト層250bを形成する。そして、このソース/ドレイン電極用フォトレジスト層250bを利用してソース/ドレイン電極用導電層250aをパターニングすることによって、図2Gに示したように、ゲート電極230から絶縁されて半導体層210にそれぞれ接するソース/ドレイン電極250を形成し、TFT 200を完成する。前述したように、図2Aで第1導電層231aをITO、IZO、Inなどの透光性導電物質で形成すれば、透光性導電物質で形成された画素電極310の強度が、ソース/ドレイン電極用導電層250aの強度より相対的に大きい。したがって、図2Fに示したような積層体でドライエッチングまたはウェットエッチングなどを実施すれば、強度の相対的に強い画素電極310はエッチングされないか、または過エッチングされずに残存して、図2Gに示したような積層体を得る。
【0025】
この時、図2Fに示したようにソース/ドレイン電極用導電層250a上にソース/ドレイン電極用フォトレジスト層250bを形成する時、ソース/ドレイン電極用導電層250aがパターニングされた後、ソース/ドレイン電極250のうちいずれか一つが図2Gに示したように画素電極310に接触できるように、ソース/ドレイン電極用フォトレジスト層250bを形成する。
【0026】
次いで、図2Hに示したように、ソース/ドレイン電極250及び画素電極310を覆うように画素定義膜用絶縁層150aを形成し、第5マスク工程を経て画素電極310の少なくとも一部を露出させる開口部が形成される部分を除いて、画素定義膜用絶縁層150a上に画素定義膜用フォトレジスト層150bを形成する。画素定義膜用絶縁層150aは多様な絶縁性物質を利用できるが、例えば、酸化シリコンまたは窒化シリコンなどを利用できる。次いで、この画素定義膜用フォトレジスト層150bを利用して画素定義膜用絶縁層150aをエッチングすることによって、図2Iに示したように、画素電極310の少なくとも一部を露出させる画素定義膜150を形成する。次いで、第6マスク工程を経て画素電極310上に発光層を備える中間層320を形成した後、全ディスプレイ領域に対応するように対向電極330を形成することによって、図2Jに示したように、TFT 200により発光如何が制御されるOLED 300を画素に持つ能動駆動型有機発光ディスプレイ装置を製造する。
【0027】
OLED 300の中間層320は低分子または高分子物質で形成できる。低分子物質で形成する場合、ホール注入層(HIL:Hole Injection Layer)、ホール輸送層(HTL:Hole Transport Layer)、発光層(EML:Emission Layer)、電子輸送層(ETL:Electron Transport Layer)、電子注入層(EIL:Electron Injection Layer)などが単一あるいは複合の構造で積層して形成され、使用可能な有機材料も銅フタロシアニン(CuPc:copper phthalocyanine)、N,N−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(NPB)、トリス−8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3)などを始めとして多様な物質が使われうる。これらの層は、真空蒸着の方法で形成できる。高分子物質で形成する場合には、概ねホール輸送層(HTL)及び発光層(EML)で備えられた構造を持つことができ、この時、ホール輸送層としてPEDOTを使用し、発光層としてPPV(Poly−Phenylenevinylene)系及びポリフルオレン系などの高分子物質を使用し、これをスクリーン印刷やインクジェット印刷方法などで形成できる。もちろん、中間層320は必ずしもこれに限定されるものではなく、多様な構造を持つこともできるということは言うまでもない。
【0028】
対向電極330は、透光性電極または反射型電極として備えられるが、透光性電極として使われる時には、仕事関数の小さな金属、すなわち、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Ag、Mg及びこれらの化合物で形成された層と、ITO、IZO、ZnOまたはInなどの透光性導電層とを持つことができる。反射型電極として使われる時には、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Ag、Mg及びこれらの化合物で形成された層でありうる。もちろん、対向電極330の構成及び材料がこれに限定されるものではなく、多様な変形ができるということは言うまでもない。
【0029】
図1Aないし図1Lに示したような従来の能動駆動型有機発光ディスプレイ装置の製造方法によれば、総8回のマスク工程を経るが、本実施形態による有機発光ディスプレイ装置の製造方法を利用すれば、能動駆動型有機発光ディスプレイ装置の製造時に総6回のマスク工程を経る。したがって、本実施形態による有機発光ディスプレイ装置の製造方法によれば、製造工程を単純化してコストダウン及び歩留まりの向上を図ることができる。
【0030】
本発明の他の実施形態として、図2Jに示したような有機発光ディスプレイ装置を挙げることができる。これは、前述した実施形態による有機発光ディスプレイ装置の製造方法によって製造されたものであって、TFT 200及びこのTFT 200のソース/ドレイン電極250のうちいずれか一つに電気的に連結された画素電極310を備える。この時、ゲート電極230は、第1導電層231とこの第1導電層231上の第2導電層232とを備え、画素電極310は、第1導電層231と同一物質で同一層に形成されたものである。これらの第1導電層231は、ITO、IZOまたはInのような透光性導電物質で形成できる。これらの本実施形態による有機発光ディスプレイ装置は、図1Lに示したような従来の有機発光ディスプレイ装置に比べてその構造が単純で製造過程で利用するマスク工程回数が低減するため、歩留まりを高めてコストダウンできる。
【0031】
さらに、従来の製造方法によって完成された、図1Lに示したような従来の有機発光ディスプレイ装置は、画素電極31がTFT 20の上部に配されて、基板10と画素電極31との間にゲート絶縁膜11、層間絶縁膜13及び平坦化膜15が介されるが、図2Jに示したような(前述した実施形態による製造方法により製造された)本実施形態による有機発光ディスプレイ装置の場合には、画素電極310がゲート電極230の第1導電層231と同一層に配されて、画素電極310と基板100との間にゲート絶縁膜110のみ介される。したがって、本実施形態による有機発光ディスプレイ装置の場合、中間層320から放出された光が画素電極310と基板100とを通じて外部に取り出される背面発光型有機発光ディスプレイ装置において、中間層320から放出された光が外部に取り出されるまで経る層の数が、従来の有機発光ディスプレイ装置において光が外部に取り出されるまで経る層の数に比べて顕著に低減し、これにより、光効率を画期的に高めることができる。
【0032】
また、図1Lに示したような従来の有機発光ディスプレイ装置に備えられた層の数に比べて、図2Jに示したような本実施形態による有機発光ディスプレイ装置に備えられた層の数が低減し、これにより、有機発光ディスプレイ装置の構成を単純化することによって歩留まりを高めてコストダウンすることができる。
図3Aないし図3Dは、本発明の他の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置の製造工程を概略的に示する断面図である。
まず、図3Aに示したような積層体を形成する。具体的に、基板100上にパターニングされた半導体層210を、第1マスク工程を通じて形成する。基板100には、半導体層210の形成前に必要に応じてバッファ層(図示せず)がさらに備えられることもある。
【0033】
半導体層210を形成した後には、絶縁性物質でゲート絶縁膜110を形成する。そして基板100上に、正確にはゲート絶縁膜110上に第1導電層231aとこの第1導電層231a上の第2導電層232aとを形成する。第1導電層231aと第2導電層232aとは多様な導電性物質で形成できるが、第1導電層231aはITO、IZO、Inなどの透光性導電物質で形成でき、第2導電層232aはMo、W、Al、Cu、Ag及び/またはこれらの合金などを始めとする多様な導電性物質で形成できる。
【0034】
第1導電層231aと第2導電層232aとを形成した後、第2マスク工程を通じて第2導電層232aの一部分上にフォトレジスト層230aを形成するが、ゲート電極が形成される第1領域A1の厚さt1が、画素電極が形成される第2領域A2の厚さt2より厚くなるようにフォトレジスト層230aを形成する。この時、ゲート電極に電気的に連結された配線が形成される部分に対応する第3領域A3にもフォトレジスト層230aを形成するが、第3領域A3でのフォトレジスト層230aの厚さt3が第2領域A2でのフォトレジスト層230aの厚さt2より厚くなるように形成する。例えば、第3領域A3でのフォトレジスト層230aの厚さt3が、第1領域A1でのフォトレジスト層230aの厚さt1と同じくなるように形成してもよい。これらのフォトレジスト層230aの形成工程は一回のマスク工程で行えるが、例えば、ハーフトーンマスクを利用することによって同時にフォトレジスト層230aを形成しながらも、領域によってその厚さを異ならせて形成させることができる。
【0035】
このようにフォトレジスト層230aを形成した後、図3Bに示したように、第1導電層231aと第2導電層232aとのフォトレジスト層230aにより覆われていない部分を除去して第1導電層231aと第2導電層232aとをパターニングし、第2領域A2でのフォトレジスト層230aを除去する。例えば、ドライエッチング工程を経れば、第1導電層231aと第2導電層232aとのフォトレジスト層230aにより覆われていない部分が除去される。この過程で第1領域A1のフォトレジスト層230a、第2領域A2のフォトレジスト層230a及び第3領域A3のフォトレジスト層230aもエッチングされるが、第1領域A1のフォトレジスト層230aの厚さt1と、第3領域A3のフォトレジスト層230aの厚さt3とが第2領域A2のフォトレジスト層230aの厚さt2より厚いので、第2領域A2のフォトレジスト層230aが除去されても、第1領域A1のフォトレジスト層230aと第3領域A3のフォトレジスト層230aとは完全に除去されず、図3Bに示したように厚さt1’、t3’を持つ状態に残存する。
【0036】
このように第1導電層231aと第2導電層232aとをパターニングすれば、図3Bに示したように、第1領域A1には、第1導電層231と第1導電層231上の第2導電層232とを備えるゲート電極230が形成され、第2領域A2には、ゲート電極230の第1導電層231と同一物質で同一層に形成された画素電極310と画素電極310上の第2導電層物質層311とが形成され、第3領域A3には、第1導電層411と第1導電層411上の第2導電層412とを備える配線410が形成される。
【0037】
次いで、第2領域A2の第2導電層物質層311と、第1領域A1に残存するフォトレジスト層230aと、第3領域A3に残存するフォトレジスト層230aとを除去することによって、図3Cに示したように、第1領域A1には、第1導電層231と第1導電層231上の第2導電層232とを備えるゲート電極230が配され、第2領域A2には、ゲート電極230の第1導電層231と同一物質で同一層に形成された画素電極310が配され、第3領域A3には、第1導電層411と第1導電層411上の第2導電層412とを備える配線410が配された積層体を得ることができる。第2領域A2の第2導電層物質層311と、第1領域A1に残存するフォトレジスト層230aと、第3領域A3に残存するフォトレジスト層230aとを除去するには、例えば、ドライエッチングを利用できる。
【0038】
このように説明した本実施形態による有機発光ディスプレイ装置の製造方法によれば、2回のマスク工程のみでもゲート電極230、画素電極310及び配線410をいずれも形成できる。しかし、図1Aないし図1Lを参照して前述した従来の有機発光ディスプレイ装置の製造方法によれば、ゲート電極23を形成するまでは2回のマスク工程のみ経るが、今後画素電極31を形成するために別途のマスク工程を経ねばならないので、本実施形態による有機発光ディスプレイ装置の製造方法よりさらに多いの回数のマスク工程を経ねばならない。したがって、本実施形態による有機発光ディスプレイ装置の製造方法によれば、製造工程を単純化してコストダウンすることができ、歩留まりの向上を図ることができる。
【0039】
一方、このように説明した本実施形態による有機発光ディスプレイ装置の製造方法を利用して以後の有機発光ディスプレイ装置を完成するまでの工程を説明すれば、次の通りである。
図3Cに示したように、ゲート電極230、画素電極310及び配線410を形成した後には、図2Dないし図2Jを参照して前述したところと類似した工程を経て、図3Dに示したようなTFT 200により発光如何が制御されるOLED 300を画素に持つ能動駆動型有機発光ディスプレイ装置を製造する。
【0040】
図1Aないし図1Lに示したような従来の能動駆動型有機発光ディスプレイ装置の製造方法によれば、総8回のマスク工程を経るが、本実施形態による有機発光ディスプレイ装置の製造方法を利用すれば、能動駆動型有機発光ディスプレイ装置の製造時に総6回のマスク工程を経る。したがって、本実施形態による有機発光ディスプレイ装置の製造方法によれば、製造工程を単純化してコストダウンすることができ、歩留まりの向上を図ることができる。
【0041】
本発明の他の実施形態として、図3Dに示したような有機発光ディスプレイ装置を挙げることができる。これは、図3Aないし図3Cを参照して前述した実施形態による有機発光ディスプレイ装置の製造方法によって製造されたものであり、TFT 200と、このTFT 200のソース/ドレイン電極250のうちいずれか一つに電気的に連結された画素電極310と、配線410とを備える。この時、ゲート電極230は、第1導電層231とこの第1導電層231上の第2導電層232とを備え、画素電極310は、第1導電層231と同一物質で同一層に形成されたものであり、配線410は、ゲート電極230と同一構造を持って同一層に形成されたものである。これらの第1導電層231は、ITO、IZOまたはInのような透光性導電物質で形成される。このような本実施形態による有機発光ディスプレイ装置は、図1Lに示したような従来の有機発光ディスプレイ装置に比べてその構造が単純であり、製造過程で利用するマスク工程回数が低減するため、歩留まりを高めてコストダウンすることができる。
【0042】
さらに、従来の製造方法によって完成された図1Lに示したような従来の有機発光ディスプレイ装置は、画素電極31がTFT 20の上部に配されて、基板10と画素電極31との間にゲート絶縁膜11、層間絶縁膜13及び平坦化膜15が介されるが、図3Dに示したような(図3Aないし図3Cを参照して前述した実施形態による製造方法により製造された)本実施形態による有機発光ディスプレイ装置の場合には、画素電極310がゲート電極230の第1導電層231と同一層に配されて、画素電極310と基板100との間にゲート絶縁膜110のみ介される。したがって、本実施形態による有機発光ディスプレイ装置の場合、中間層320から放出された光が画素電極310と基板100とを通じて外部に取り出される背面発光型有機発光ディスプレイ装置において、中間層320から放出された光が外部に取り出されるまで経る層の数が、従来の有機発光ディスプレイ装置において光が外部に取り出されるまで経る層の数に比べて顕著に低減し、これにより、光効率を画期的に高めることができる。
【0043】
また、図1Lに示したような従来の有機発光ディスプレイ装置に備えられた層の数に比べて、図3Dに示したような本実施形態による有機発光ディスプレイ装置に備えられた層の数が低減するが、これにより、有機発光ディスプレイ装置の構成を単純化することによって歩留まりを高めてコストダウンすることができる。
本発明は、図面に図示された実施形態を参考に説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これより多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は特許請求の範囲の技術的思想によって定められねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、有機発光ディスプレイ装置関連の技術分野に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0045】
100 基板
110 ゲート絶縁膜
130 層間絶縁膜
150 画素定義膜
200 TFT
210 半導体層
230 ゲート電極
250 ソース/ドレイン電極
300 OLED
310 画素電極
320 中間層
330 対向電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲート電極と、前記ゲート電極と絶縁されたソース電極及びドレイン電極と、前記ゲート電極と絶縁されて前記ソース電極及びドレイン電極にそれぞれ接する半導体層と、を備える薄膜トランジスタと、
前記ソース電極及びドレイン電極のうちいずれか一つに電気的に連結された画素電極と、を備え、
前記ゲート電極は、第1導電層と前記第1導電層上の第2導電層とを備え、前記画素電極は、前記第1導電層と同一物質で同一層に形成されたことを特徴とする有機発光ディスプレイ装置。
【請求項2】
前記第1導電層は、透光性導電物質で形成されたことを特徴とする請求項1に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項3】
前記ゲート電極に電気的に連結された配線をさらに備え、前記配線は、前記ゲート電極と同じ層状構造を持つことを特徴とする請求項1に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項4】
前記配線は、前記ゲート電極と同一物質で形成された層状構造を持つことを特徴とする請求項3に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項5】
(a)基板上に第1導電層と前記第1導電層上の第2導電層とを形成する工程と、
(b)前記第2導電層の一部分上にフォトレジスト層を形成するが、ゲート電極が形成される第1領域での厚さが、画素電極が形成される第2領域での厚さより厚くなるように形成する工程と、
(c)前記第1導電層と前記第2導電層との前記フォトレジスト層により覆われていない部分を除去して前記第1導電層と前記第2導電層とをパターニングし、前記第2領域でのフォトレジスト層を除去する工程と、
(d)前記第2領域の第2導電層と前記第1領域に残存するフォトレジスト層とを除去する工程と、を含むことを特徴とする有機発光ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1導電層は、透光性導電物質で形成することを特徴とする請求項5に記載の有機発光ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項7】
前記(b)工程で、前記ゲート電極に電気的に連結された配線が形成される部分に対応する第3領域にもフォトレジスト層を形成するが、前記第3領域でのフォトレジスト層の厚さが、前記第2領域でのフォトレジスト層の厚さより厚くなるように形成することを特徴とする請求項5に記載の有機発光ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項8】
前記(b)工程で、前記ゲート電極に電気的に連結された配線が形成される部分に対応する第3領域にもフォトレジスト層を形成するが、前記第3領域でのフォトレジスト層の厚さが、前記第1領域でのフォトレジスト層の厚さと同じくなるように形成することを特徴とする請求項5に記載の有機発光ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項9】
前記(b)工程は、ハーフトーンマスクを利用する工程であることを特徴とする請求項5に記載の有機発光ディスプレイ装置の製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図1G】
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【図1H】
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【図1I】
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【図1J】
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【図1K】
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【図1L】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図2H】
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【図2I】
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【図2J】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【公開番号】特開2012−73649(P2012−73649A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−286057(P2011−286057)
【出願日】平成23年12月27日(2011.12.27)
【分割の表示】特願2009−102352(P2009−102352)の分割
【原出願日】平成21年4月20日(2009.4.20)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Mobile Display Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】San #24 Nongseo−Dong,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do 446−711 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】