説明

有機発光表示装置およびその製造方法

【課題】水分および酸素の内部浸透による有機発光素子の性能低下を抑制した有機発光表示装置を提供する。また、パーティクルの発生を抑制する有機発光表示装置の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る有機発光表示装置は、基板、前記基板上に形成された駆動回路および有機発光素子、前記駆動回路および有機発光素子上に形成された封止薄膜、および前記基板上で前記封止薄膜の周囲を囲むように形成されたスペーサを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光表示装置に関し、より詳細には、封止薄膜を有する有機発光表示装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光表示装置(Organic Light Emitting Diode display、OLED)は、自発光特性を有し、別途の光源を必要としないため、軽量で薄型に製作することのできる平板表示装置である。さらに、低い消費電力、高い輝度、および高い反応速度などの高品位特性を示すため、次世代表示装置として注目されている。
【0003】
有機発光表示装置は、有機発光素子が形成された基板を含む。ところが、有機物で構成されている有機発光素子は、水分または酸素と結合するとその性能が低下する。したがって、有機発光表示装置では、水分と酸素の浸透を防ぐために封止技術を用いる。一般的に、メタルカン(metal can)またはガラスを用いて表示基板を封止する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなメタルカンまたはガラスの場合には、全体表示装置の厚さを減らすのに限界が存在する。さらに、最近、フレキシブルディスプレイ(flexible display)がイシューとなっているが、メタルカンまたはガラスはその材料の特性上、有機発光表示装置を柔軟に実現することに適さない。
【0005】
一方、有機発光表示装置を形成する過程において、有機発光素子およびこれを駆動するための駆動回路などをパターニングするためにマスク(mask)が用いられる。このようなマスクはパターニング過程で基板と接触することがあり、このような接触によってパーティクル(particle)が発生することがある。このようなパーティクルは水分および酸素と共に有機発光表示装置の内部に侵入して有機発光素子の性能を低下させ、これによって有機発光表示装置の寿命を減少させるという問題点がある。
【0006】
本発明は、上述した背景技術の問題点を解決するためのものであって、水分および酸素の内部浸透による有機発光素子の性能低下を抑制した有機発光表示装置を提供することを目的とする。また、パーティクルの発生を抑制する有機発光表示装置の製造方法を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る有機発光表示装置は、基板、前記基板上に形成された駆動回路および有機発光素子、前記駆動回路および有機発光素子上に形成された封止薄膜、および前記基板上で前記封止薄膜の周囲を囲むように形成されたスペーサを含む。
【0008】
前記スペーサの高さは、前記駆動回路および前記有機発光素子を積層した高さよりも高く形成されてもよい。
【0009】
前記スペーサの高さは、前記駆動回路、前記有機発光素子、および前記封止薄膜を積層した高さよりも高く形成されてもよい。
【0010】
前記スペーサの高さは3μm以上5μm以下であってもよい。
【0011】
前記スペーサは、アクリル、ウレタン、およびポリイミド(polyimide、PI)のうちのいずれか1つを含んでもよい。
【0012】
前記スペーサは、前記封止薄膜の周辺に沿って前記封止薄膜と直接に接触してもよい。
【0013】
前記封止薄膜は少なくとも1対の無機膜と有機膜を含み、前記無機膜と前記有機膜を交互に積層して形成されてもよい。
【0014】
本発明の一実施形態に係る有機発光表示装置の製造方法は、基板を準備する段階、前記基板の周縁に沿って前記基板上にスペーサを形成する段階、前記基板上で前記スペーサによって区画された内部領域に駆動回路および有機発光素子を形成する段階、および前記駆動回路および前記有機発光素子を覆うように封止薄膜を形成する段階を含む。前記駆動回路および前記有機発光素子を形成するために用いられるマスクは、前記スペーサ上に配置する。
【0015】
前記スペーサの高さは、前記駆動回路および前記有機発光素子を積層した高さよりも高く形成してもよい。
【0016】
前記スペーサの高さは、前記駆動回路、前記有機発光素子、および前記封止薄膜を積層した高さよりも高く形成してもよい。
【0017】
前記スペーサの高さは3μm以上5μm以下で形成してもよい。
【0018】
前記スペーサは、アクリル、ウレタン、およびポリイミド(polyimide、PI)のうちのいずれか1つを含んで形成してもよい。
【0019】
前記封止薄膜は、前記内部領域で前記スペーサと接触するように形成してもよい。
前記封止薄膜は、少なくとも1対の有機膜と無機膜を交互に積層して形成してもよい。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明の一実施形態によれば、有機発光表示装置の内部への水分および酸素の浸透を抑制し、有機発光表示装置の性能低下を防ぐことができる。
また、有機発光表示装置の製造過程において、パーティクルの発生を抑制して有機発光表示装置の不良発生を抑制し、寿命を延長させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る有機発光表示装置の平面図である。
【図2】図1のII−II線に沿って切断した本発明の一実施形態に係る有機発光表示装置の断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る有機発光表示装置の画素の平面配置図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿って切断した本発明の一実施形態に係る有機発光表示装置の画素の断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る有機発光表示装置とマスクの接触した形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できる程度に詳しく説明する。
【0023】
本発明を明確に説明するために説明上で不必要な部分は省略し、図面で示す各構成の大きさなどは説明の便宜のために任意に示したため、本発明が必ずしも示されたものに限定されることはない。さらに、層、膜などの構成要素が他の構成要素「の上に」または「上に」あるとするとき、これは他の構成要素の「すぐ上に」ある場合だけではなく、その中間に他の構成要素がある場合も含まれる。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態に係る有機発光表示装置の平面図であり、図2は、図1のII−II線に沿って切断した有機発光表示装置の断面図であって、これらを参照して本発明の一実施形態に係る有機発光表示装置について説明する。
【0025】
本実施形態に係る有機発光表示装置は、表示基板110、封止薄膜210、およびスペーサ300を含む。
【0026】
表示基板110は、映像を表示するためのものであって、表示基板110上には駆動回路DCが形成され、駆動回路DC上には有機発光素子70が形成され、これによって映像を実現する。具体的に、有機発光素子70は、有機物からなる有機発光層を含み、薄膜トランジスタおよび蓄電素子などを含む駆動回路によって駆動されて発光する。
【0027】
有機発光素子70上には封止薄膜210が形成され、有機発光素子70を密封する。具体的に、封止薄膜210は、有機発光素子70上で有機膜と無機膜が交互に積層され、有機発光素子70および駆動回路(CD)を覆うように形成される。
【0028】
有機発光表示装置は、十分な寿命を確保するために低い水蒸気透過率(Water Vapor Transmission Rate、WVTR)を要求する。本実施形態では、封止薄膜210を利用して有機発光素子70を密封することによって有機発光素子70および駆動回路DC内部に水分および酸素が浸透することを抑制し、これにより、約10−6g/m/day以下の低い水蒸気透過率を実現するようになる。
【0029】
一方、本実施形態では、スペーサ300が表示基板110上で封止薄膜210の周囲を囲むように形成される。スペーサ300は駆動回路DCおよび有機発光素子70を形成するためにマスク(mask)を支持するためのものであって、これについては後述して説明する。
【0030】
スペーサ300の平面形状は、有機発光素子70および封止薄膜210の平面形状によって決定されるが、本実施形態では、有機発光素子70および封止薄膜210の平面形状が長方形であるため、封止薄膜210の周囲を囲むスペーサ300は四角帯の平面形状を有する。一方、本実施形態において、封止薄膜210はスペーサ300と接触して形成される。すなわち、封止薄膜210はスペーサ300と接触し、スペーサ300によって区画された表示基板110上の領域に全体的に形成される。
【0031】
スペーサ300は、その高さが駆動回路DCと有機発光素子70を積層した高さよりも高く形成され、駆動回路DC、有機発光素子70、および封止薄膜210を積層した高さよりも高く形成されてもよい。具体的に、スペーサの高さは約3μm以上約5μm以下で形成してもよいが、封止薄膜210の高さが約3μmよりも低く形成される場合には、スペーサの高さも約3μmよりも低く形成することが可能である。
【0032】
一方、スペーサ300は、後述する画素定義膜と同じ材質で形成されてもよく、具体的に、アクリル、ウレタン、ポリイミド(polyimide、PI)などの有機物のうちのいずれかを含む材質で形成されてもよい。このようにスペーサ300を画素定義膜と同じ材質で形成する場合、画素定義膜を形成するときにスペーサ300を共に形成できるようになり、全体的な工程を単純化できるようになる。しかしながら、上述したスペーサの材質は例示的なものに過ぎず、本発明がこれに限定されるものではなく、当業者によって多様な変更が可能であろう。
【0033】
このように、スペーサ300を封止薄膜210の周囲を囲むように形成することにより、水分および酸素が有機発光装置の内部に浸透することをより効果的に抑制することができる。さらに、製造工程においてパーティクルの発生を抑制して不良の発生を減らし、有機発光表示装置の寿命を延長させることもできるが、これについては後述して再び説明する。
【0034】
図3は、本発明の一実施形態に係る有機発光表示装置の画素の平面配置図であり、図4は図3のIV−IV線に沿って切断した有機発光表示装置の画素の断面図であって、以下ではこれらを参照しながら、本実施形態に係る有機発光表示装置の内部構造について詳細に説明する。
【0035】
一方、図3および図4では、1つの画素に2つの薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、TFT)と1つの蓄電素子(capacitor)を備える2Tr−1Cap構造の能動駆動(Active Matrix、AM)有機発光表示装置を示しているが、本発明がこれに限定されるものではない。したがって、有機発光表示装置は、1つの画素に3つ以上の薄膜トランジスタと2つ以上の蓄電素子を備えてもよく、配線の配置を変更して多様な構造を有するように形成してもよい。ここで、画素は画像を表示する最小単位を意味し、有機発光表示装置は複数の画素を通じて画像を表示する。
【0036】
表示基板110は、1つの画素ごとにそれぞれ形成されたスイッチング薄膜トランジスタ10、駆動薄膜トランジスタ20、蓄電素子80、および有機発光素子70を含む。また、表示基板110は、一方向に沿って配置されるゲートライン151、ゲートライン151と絶縁交差するデータライン171、および共通電源ライン172をさらに含む。
【0037】
有機発光素子70は、画素電極710、画素電極710上に形成された有機発光層720、および有機発光層720上に形成された共通電極730を含む。本実施形態において、画素電極710は正孔注入電極である正極であり、共通電極730は電子注入電極である負極であるが、本発明がこれに限定されるものではない。画素電極710および共通電極730からそれぞれ正孔と電子が有機発光層720の内部に注入され、注入された正孔と電子が結合した励起子(exciton)が励起状態から基底状態に落ちるときに発光が起こる。
【0038】
蓄電素子80は、誘電体の役割を行うゲート絶縁膜140を間において配置された第1蓄電板158および第2蓄電板178を含む。蓄電素子80で蓄電された電荷と両蓄電板158、178の間の電圧によって蓄電容量が決定される。
【0039】
スイッチング薄膜トランジスタ10は、スイッチング半導体層131、スイッチングゲート電極152、スイッチングソース電極173、およびスイッチングドレイン電極174を含み、駆動薄膜トランジスタ20は、駆動半導体層132、駆動ゲート電極155、駆動ソース電極176、および駆動ドレイン電極177を含む。スイッチング薄膜トランジスタ10は、発光させようとする画素を選択するスイッチング素子として用いられる。スイッチングゲート電極152はゲートライン151に連結し、スイッチングソース電極173はデータライン171に連結し、スイッチングドレイン電極174はスイッチングソース電極173から離隔配置されて第1蓄電板158と連結する。
【0040】
駆動薄膜トランジスタ20は、選択された画素内の有機発光素子70の有機発光層720を発光させるための駆動電源を画素電極710に印加する。駆動ゲート電極155は第1蓄電板158と連結し、駆動ソース電極176および第2蓄電板178はそれぞれ共通電源ライン172と連結し、駆動ドレイン電極177はコンタクトホール(contact hole)182を通じて有機発光素子70の画素電極710と連結する。
【0041】
このような構造により、スイッチング薄膜トランジスタ10は、ゲートライン151に印加されるゲート電圧によって作動し、データライン171に印加されるデータ電圧を駆動薄膜トランジスタ20に伝達する役割を行う。共通電源ライン172から駆動薄膜トランジスタ20に印加される共通電圧とスイッチング薄膜トランジスタ10から伝達されたデータ電圧の差に相当する電圧が蓄電素子80に格納され、蓄電素子80に格納された電圧に対応する電流が駆動薄膜トランジスタ20を通じて有機発光素子70に流れて有機発光素子70が発光するようになる。
【0042】
以下、本実施形態に係る有機発光表示装置を積層順にしたがって説明する。
【0043】
表示基板110の基板部材111は、ガラスなどの絶縁性基板で形成され、第1基板部材111上にはバッファ層120が形成される。バッファ層120は、窒化ケイ素(SiNx)、酸化ケイ素(SiOx)、窒酸化ケイ素(SiOxNy)などで形成されるが、バッファ層120は基板部材111の種類および工程条件に応じて省略されてもよい。バッファ層120上には駆動半導体層132が形成される。駆動半導体層132は、不純物がドーピングされないチャンネル領域135、およびチャンネル領域135の両側にp+ドーピングされて形成されたソース領域136とドレイン領域137を含む。このとき、ドーピングされるイオン物質はホウ素(B)のようなP型不純物である。
【0044】
本実施形態では、駆動薄膜トランジスタ20としてP型不純物を用いるPMOS構造の薄膜トランジスタが用いられたが、本発明がこれに限定されるものではなく、NMOS構造またはCMOS構造の薄膜トランジスタを用いてもよい。さらに、本実施形態において、駆動薄膜トランジスタ20は、多結晶シリコン膜を含む多結晶薄膜トランジスタであるが、図4に示されていないスイッチング薄膜トランジスタ10は、多結晶薄膜トランジスタであったり非晶質シリコン膜を含む非晶質薄膜トランジスタであってもよい。
【0045】
駆動半導体層132上には窒化ケイ素または酸化ケイ素などで形成されたゲート絶縁膜140が形成される。ゲート絶縁膜140上には駆動ゲート電極155を含むゲート配線が形成されるが、ゲート配線は、ゲートライン151、第1蓄電板158、およびその他の配線をさらに含む。また、駆動ゲート電極155は、駆動半導体層132の少なくとも一部、特にチャンネル領域135と重なるように形成される。ゲート絶縁膜140上には駆動ゲート電極155を覆う層間絶縁膜160が形成される。ゲート絶縁膜140と層間絶縁膜160には同半導体層132のソース領域136およびドレイン領域137を露出するホール(hole)が形成される。層間絶縁膜160は、ゲート絶縁膜140と同様に窒化ケイ素、酸化ケイ素などで形成される。層間絶縁膜160上には駆動ソース電極176および駆動ドレイン電極177を含むデータ配線が形成され、データ配線はデータライン171、共通電源ライン172、第2蓄電板178、およびその他の配線をさらに含む。駆動ソース電極176および駆動ドレイン電極177はそれぞれ、層間絶縁膜160およびゲート絶縁膜140に形成されたホールを通じて駆動半導体層132のソース領域136およびドレイン領域137と連結する。
【0046】
このように、駆動半導体層132、駆動ゲート電極155、駆動ソース電極176、および駆動ドレイン電極177を含む駆動薄膜トランジスタ20が形成されるが、駆動薄膜トランジスタ20の構成は上述した例に限定されるものではなく、当業者によって多様な変形が可能であろう。
【0047】
層間絶縁膜160上にはデータ配線を覆う平坦化膜180が形成され、平坦化膜180にはドレイン電極177の一部を露出させるコンタクトホール182が形成される。一方、層間絶縁膜160および平坦化膜180は、いずれか1つを省略してもよい。
【0048】
平坦化膜180上には有機発光素子70の画素電極710が形成され、画素電極710はコンタクトホール182を通じてドレイン電極177と連結する。また、平坦化膜180上に各画素電極710を露出する複数の開口部199を有する画素定義膜190が形成される。画素定義膜190が形成された部分は実質的に非発光領域となり、画素定義膜190の開口部199が形成された部分は実質的に発光領域となる。画素電極710上には有機発光層720が形成され、有機発光層720上には共通電極730が形成されて有機発光素子70を構成する。有機発光層720は低分子有機物または高分子有機物からなり、有機発光層720は正孔注入層(Hole Injection Later、HIL)、正孔輸送層(Hole Transporting Layer、HTL)、電子輸送層(Electron Transporting Layer、ETL)、および電子注入層(Electron Injection Layer、EIL)のうちの1つ以上を含む多重膜で形成されてもよい。
【0049】
共通電極730上には有機発光素子70を密封するための封止薄膜210が形成される。封止薄膜210は1対以上の有機膜211、213および無機膜212、214を含み、これらの有機膜211、213と無機膜212、214を交互に積層して形成される。本実施形態では、封止薄膜210が2対の有機膜211、213および無機膜212、214を含んでいるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0050】
このように、有機膜211、213と無機膜212、214を交互に積層した封止薄膜210を有機発光素子70上に形成することにより、水分または酸素が有機発光素子70と接触することを抑制して性能低下を防ぐ。
【0051】
一方、スイッチング薄膜トランジスタ10、駆動薄膜トランジスタ20、蓄電素子80、および有機発光素子70はマスクを利用してパターニングされるが、このようなパターニング過程において、マスクが表示基板110と接触してパーティクル(particle)が発生することがある。このようなパーティクルは有機発光表示装置の内部に浸透して有機発光素子の性能を低下させ、有機発光表示装置の不良発生および寿命低下の原因となる。これにより、本実施形態では、上述したように、表示基板110上にスペーサ300を形成して有機発光表示装置の不良発生および寿命低下を抑制する。
【0052】
図5は、本発明の一実施形態に係る有機発光表示装置とマスクが接触した形態を示す図であって、これを参照しながら、本発明の一実施形態に係る有機発光表示装置の製造方法について説明する。
【0053】
本実施形態では、表示基板110を準備し、表示基板110の周縁に沿ってスペーサ300を形成した後、駆動回路DCおよび有機発光素子70を形成し、駆動回路DCおよび有機発光素子70を覆うように封止薄膜210を形成して有機発光表示装置を製造する。図5に示すように、駆動回路DCおよび有機発光素子70は、表示基板110上でスペーサ300によって区画された領域のうちの内側領域に形成し、マスク400を利用した蒸着およびパターニング工程によって形成する。
【0054】
一方、上述したように、マスク400を利用した蒸着およびパターニング工程中にマスク400が表示基板110と接触するようになれば、パーティクルが発生して水分および酸素の浸透が容易になり、有機発光表示装置の性能を低下させて不良を発生させることがある。しかしながら、本実施形態では、表示基板110上にスペーサ300を形成し、蒸着およびパターニング工程中にマスク400をスペーサ300上で支持されるように配置することにより、このような問題を抑制することができる。
【0055】
マスク400を用いて駆動回路DCおよび有機発光素子70を形成するため、マスク400を支持するスペーサ300の高さは、駆動回路DCおよび有機発光素子70を積層する高さよりも高く形成する。
【0056】
また、スペーサ300の高さを駆動回路DC、有機発光素子70、および封止薄膜210を積層する高さよりも高く形成してもよい。スペーサ300が区画する領域内で駆動回路DCおよび有機発光素子70を覆うように封止薄膜210を積層するが、スペーサ300を駆動回路DC、有機発光素子70、および封止薄膜210を積層しようとする高さよりも高く形成するようになると、スペーサ300によって区画される領域内で封止薄膜210を積層する工程がより容易になる。
【0057】
一方、封止薄膜210は、少なくとも1対の有機膜と無機膜を交互に積層して形成する。さらに、封止薄膜210は、上述したようにスペーサ300が区画する領域内で有機発光素子70上に積層するため、スペーサ300と直接に接触するように形成することができる。このような工程により、有機発光素子70が封止薄膜210によって密封され、スペーサ300によって外部境界が形成される。これにより、有機発光表示装置の内部に水分および酸素が侵入することを容易に抑制できるようになり、さらに工程中にパーティクルの発生を抑制できるようになる。
【0058】
以上、本発明を好ましい実施形態によって説明したが、本発明がこの実施形態に限定されるものではない。このように、本発明の範囲は添付する特許請求の範囲の記載によって決定されるものであって、特許請求の範囲の概念と範囲を逸脱しない限り多様な修正および変形が可能であるとうことを、発明が属する技術分野に従事する者は容易に理解できるであろう。
【符号の説明】
【0059】
70 有機発光素子
110 表示基板
210 薄膜封止
300 スペーサ
400 マスク
DC 駆動回路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成された駆動回路および有機発光素子と、
前記駆動回路および有機発光素子上に形成された封止薄膜と、
前記基板上で前記封止薄膜の周囲を囲むように形成されたスペーサと、
を含む有機発光表示装置。
【請求項2】
前記スペーサの高さは、前記駆動回路および前記有機発光素子を積層した高さよりも高く形成される、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項3】
前記スペーサの高さは、前記駆動回路、前記有機発光素子、および前記封止薄膜を積層した高さよりも高く形成される、請求項2に記載の有機発光表示装置。
【請求項4】
前記スペーサの高さは、3μm以上5μm以下である、請求項3に記載の有機発光表示装置。
【請求項5】
前記スペーサは、アクリル、ウレタン、およびポリイミド(polyimide、PI)のうちのいずれか1つを含む材質により形成される、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項6】
前記スペーサは、前記封止薄膜の周辺に沿って前記封止薄膜と直接に接触する、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項7】
前記封止薄膜は、少なくとも1対の無機膜と有機膜を含み、前記無機膜と前記有機膜を交互に積層して形成される、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項8】
基板を準備する段階と、
前記基板の周縁に沿って前記基板上にスペーサを形成する段階と、
前記基板上で前記スペーサによって区画された内部領域に駆動回路および有機発光素子を形成する段階と、
前記駆動回路および前記有機発光素子を覆うように封止薄膜を形成する段階と、
を含み、
前記駆動回路および前記有機発光素子を形成する段階で用いるマスクは、前記スペーサ上で支持して用いる、有機発光表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記スペーサの高さは、前記駆動回路および前記有機発光素子を積層した高さよりも高く形成する、請求項8に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項10】
前記スペーサの高さは、前記駆動回路、前記有機発光素子、および前記封止薄膜を積層した高さよりも高く形成する、請求項9に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項11】
前記スペーサの高さは3μm以上5μm以下で形成する、請求項10に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項12】
前記スペーサは、アクリル、ウレタン、およびポリイミド(polyimide、PI)のうちのいずれか1つを含む材質により形成する、請求項8に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項13】
前記封止薄膜は、前記内部領域で前記スペーサと接触するように形成する、請求項8に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項14】
前記封止薄膜は、少なくとも1対の有機膜と無機膜を交互に積層して形成する、請求項8に記載の有機発光表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−249301(P2011−249301A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−190910(P2010−190910)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Mobile Display Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】San #24 Nongseo−Dong,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do 446−711 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】