説明

有機発光表示装置

【課題】酸化物半導体を利用して光を充電することができる有機発光表示装置を提供する。
【解決手段】基板と、基板上に配され、光によって電流を生成する酸化物半導体を含有する下部活性層と、下部活性層の上部に配され、コンタクトホールを含むエッチング防止層と、エッチング防止層上に形成され、コンタクトホールによって、下部活性層と電気的に連結されるソース電極及びドレイン電極と、下部活性層と重畳するように、エッチング防止層上に形成される上部充電電極と、上部充電電極に接して形成され、光を生成する発光層と、発光層を挟んで上部充電電極と対向配置され、上部充電電極と共に、発光層を駆動するカソード電極と、を含み、該上部充電電極には、発光層を駆動するために駆動電圧が印加され、印加された駆動電圧によって、酸化物半導体で生成された電流を、下部活性層に充電する有機発光表示装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光充電が可能な有機発光表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、ディスプレイ業界は、低電力化を実現するために、研究を繰り返している。低電力化と関連して、ソーラセル技術をディスプレイ技術と組み合わせたり、ディスプレイで生成される光を利用しようとする技術が研究されている。特に、有機発光ディスプレイの場合、それ自身が発光する有機発光素子を具備する。このような有機発光ディスプレイは、外部に発現される光が、実際の有機発光素子で発光する光の20%に過ぎない。すなわち、有機発光素子で発光する光の80%が、有機発光ディスプレイの内部で消耗される。ディスプレイの低電力化を実現するために、このように消耗される光を保存しておいて再び活用する技術の研究が至急である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】大韓民国特許出願公開第2009−0084708号明細書
【特許文献2】大韓民国特許第0875100号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、酸化物半導体を利用して光を充電することができる有機発光表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面によれば、基板と、前記基板上に配され、光によって電流を生成する酸化物半導体を含有する下部活性層と、前記下部活性層の上部に配され、コンタクトホールを含むエッチング防止層と、前記エッチング防止層上に形成され、前記コンタクトホールによって、前記下部活性層と電気的に連結されるソース電極及びドレイン電極と、前記下部活性層と重畳するように、前記エッチング防止層上に形成される上部充電電極と、前記上部充電電極に接して形成され、光を生成する発光層と、前記発光層を挟んで前記上部充電電極と対向配置され、前記上部充電電極と共に、前記発光層を駆動するカソード電極と、を含み、前記上部充電電極には、前記発光層を駆動するために駆動電圧が印加され、印加された前記駆動電圧によって、前記酸化物半導体で生成された電流を、前記下部活性層に充電する有機発光表示装置が提供される。
【0006】
ここで、前記有機発光表示装置は、前記エッチング防止層と、前記ソース電極及びドレイン電極上に形成された平坦化層と、をさらに含み、前記上部充電電極は、前記平坦化層上に形成され、前記下部活性層と重畳する領域を有していてもよい。
【0007】
ここで、前記有機発光表示装置は、前記上部充電電極上に配され、前記上部充電電極の一部領域を露出させるように形成された開口部を具備する画素定義膜をさらに含んでいてもよい。
【0008】
ここで、前記下部活性層は、前記発光層によって生成される光と、外部から入射される光とによって電流を生成してもよい。
【0009】
ここで、前記酸化物半導体は、In、Ga及びZnを含む群から選択された少なくとも一つ以上の物質を含んでいてもよい。
【0010】
ここで、前記下部活性層の面積は、前記発光層の面積より大きいことが好ましい。
【0011】
ここで、前記上部充電電極は、ITOを含有していてもよい。
【0012】
ここで、一端が前記ソース電極またはドレイン電極に電気的に連結されたスイッチング素子と、前記スイッチング素子の他端に連結され、前記スイッチング素子がオンにされた場合に、前記下部活性層に充電された電流を伝達されて保存する保存部と、をさらに含んでいてもよい。
【0013】
本発明の他の側面によれば、基板と、前記基板のエッジを取り囲んで配された下部充電電極と、前記下部充電電極上に形成された平坦化層と、前記下部充電電極と重畳するように、前記平坦化層上に形成され、光によって電流を生成する酸化物半導体を含有する上部活性層と、前記上部活性層上に形成されたソース電極及びドレイン電極と、前記上部活性層と同一層に配され、前記上部活性層と離隔され、前記基板の中心部に対応する部分に配され、前記発光層を駆動するアノード電極と、前記アノード電極上に配されて光を生成する発光層と、前記発光層挟んで前記アノード電極と対向して配され、前記アノード電極と共に、前記発光層を駆動するカソード電極と、を含み、前記下部充電電極には、前記発光層を駆動するとき、充電電圧が印加され、印加された前記充電電圧によって、前記酸化物半導体で生成された電流を、前記上部活性層に充電する有機発光表示装置が提供される。
【0014】
ここで、前記下部充電電極は、前記基板のエッジを取り囲んで閉ループを形成し、前記上部活性層は、前記基板のエッジを取り囲み、前記平坦化層を挟んで前記充電電極と重畳するように閉ループを形成し、前記ソース電極及びドレイン電極は、前記上部活性層上に形成されて閉ループを形成してもよい。
【0015】
ここで、前記下部充電電極は、前記基板のエッジを取り囲み、電気的に連結された第1充電電極及び第2充電電極を含み、前記上部活性層は、前記基板のエッジを取り囲み、前記平坦化層を挟んで前記第1充電電極と重畳した第1活性層と、前記第2充電電極と重畳した第2活性層とを含み、前記第1活性層及び第2活性層は、互いに離隔され、前記第1活性層上に、第1ソース電極及び第1ドレイン電極が形成され、前記第2活性層上に、第2ソース電極及び第2ドレイン電極が形成され、前記第1ドレイン電極及び第2ドレイン電極、または前記第1ソース電極及び第2ソース電極は、互いに連結されてもよい。
【0016】
ここで、前記ソース電極、ドレイン電極及び前記上部活性層上に配され、前記アノード電極を露出させるように形成された開口部を具備する画素定義膜をさらに含んでいてもよい。
【0017】
ここで、前記上部活性層は、前記発光層によって生成される光と、外部から入射される光とによって電流を生成してもよい。
【0018】
ここで、前記酸化物半導体は、In、Ga及びZnを含む群から選択された少なくとも一つ以上の物質を含んでいてもよい。
【0019】
ここで、前記上部活性層の面積は、前記発光層の面積より大きいことが好ましい。
【0020】
ここで、前記下部充電電極は、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)、金(Au)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)、イリジウム(Ir)、クロム(Cr)、リチウム(Li)、カルシウム(Ca)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タングステン(W)、銅(Cu)のうちから選択された一つ以上の金属を含有していてもよい。
【0021】
ここで、一端が前記ソース電極またはドレイン電極に電気的に連結されたスイッチング素子と、前記スイッチング素子の他端に連結され、前記スイッチング素子がオンにされた場合に、前記上部活性層に充電された電流を伝達されて保存する保存部と、をさらに含んでいてもよい。
【0022】
本発明のさらに他の側面によれば、基板と、基板上に配され、光によって電流を生成する酸化物半導体を含有する下部活性層と、前記下部活性層の上部に配され、コンタクトホールを含むエッチング防止層と、前記エッチング防止層上に形成され、前記コンタクトホールによって、前記下部活性層と電気的に連結される下部充電電極と、前記下部充電電極上に形成された平坦化層と、前記下部充電電極と重畳するように、前記平坦化層上に形成され、光によって電流を生成する酸化物半導体を含有する上部活性層と、前記上部活性層上に形成されたソース電極及びドレイン電極と、前記下部活性層と重畳するように、前記平坦化層上に形成される上部充電電極と、前記上部充電電極に接して形成され、光を生成する発光層と、前記発光層を挟んで前記上部充電電極と対向配置され、前記上部充電電極と共に、前記発光層を駆動するカソード電極と、を含み、前記上部充電電極には、前記発光層を駆動するために駆動電圧が印加され、印加された前記駆動電圧によって、前記酸化物半導体で生成された電流を、前記下部活性層に充電し、前記下部充電電極には、前記駆動電圧が印加されるとき、充電電圧が印加され、印加された前記充電電圧によって、前記酸化物半導体で生成された電流を、前記上部活性層に充電する有機発光表示装置が提供される。
【0023】
ここで、前記下部活性層及び前記上部活性層は、前記発光層によって生成される光と、外部から入射される光とによって電流を生成してもよい。
【0024】
ここで、前記酸化物半導体は、In、Ga及びZnを含む群から選択された少なくとも一つ以上の物質を含んでいてもよい。
【0025】
ここで、前記下部活性層の面積は、前記発光層の面積より大きいことが好ましい。
【0026】
ここで、前記上部充電電極は、ITOを含有していてもよい。
【0027】
ここで、一端が前記ソース電極またはドレイン電極及び前記下部充電電極に電気的に連結されたスイッチング素子と、前記スイッチング素子の他端に連結され、前記スイッチング素子がオンにされた場合に、前記活性層に充電された電流を伝達されて保存する保存部と、をさらに含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明の有機発光表示装置によれば、酸化物半導体を利用して有機発光素子で発光した光を電気エネルギーとして保存することができるので、ディスプレイの低電力化を実現することができる。
【0029】
また、光を充電できる素子を、追加的なマスクなしに形成でき、工程上効率的であって経済的である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態に係わる有機発光表示装置を図示した概略的な断面図である。
【図2】図1の有機発光表示装置の動作を示したタイミング図である。
【図3】本発明の他の実施形態に係わる有機発光表示装置を図示した概略的な断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係わる有機発光表示装置を図示した概略的な断面図である。
【図5】図4の有機発光表示装置をI−I線に沿って切断した平面図である。
【図6】本発明のさらに他の実施形態に係わる有機発光表示装置を図示した概略的な断面図である。
【図7】図6の有機発光表示装置をII−II線に沿って切断した平面図である。
【図8】本発明のさらに他の実施形態に係わる有機発光表示装置を図示した概略的な断面図である。
【図9】光の直接入射時に、活性層の充電時間と放電する電流の量との関係を示したグラフである。
【図10】光の間接入射時に、活性層の充電時間と放電する電流の量との関係を示したグラフである。
【図11】充電電極の電圧強度によって充電される電流の量を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0032】
本発明は、多様な変換を加えることができ、さまざまな実施形態を有することができ、特定の実施形態を図面に例示して詳細な説明で詳細に説明する。しかし、これは、本発明を特定の実施形態について限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変換、均等物ないし代替物を含むものであると知らねばならない。本発明を説明するにおいて、関連した公知技術に係わる具体的な説明が、本発明の要旨を不明確にすると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0033】
第1、第2のような用語は、多様な構成要素を説明するのに使われるが、構成要素は、用語によって限定されるものではない。用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的にのみ使われる。
【0034】
本明細書で使用した用語は、単に特定の実施形態を説明するために使われたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に取り立てて意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書で、「包む」または「有する」というような用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはそれらを組み合わせたものが存在するということを指定するものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはそれらを組み合わせたもの存在または付加可能性をあらかじめ排除するものではないと理解せねばならない。
【0035】
以下、添付された図面に図示された本発明に係わる実施形態を参照しつつ、本発明の構成及び作用について詳細に説明する。
【0036】
図1は、本発明の一実施形態に係わる有機発光表示装置10を図示した概略的な断面図である。
【0037】
図1を参照すれば、本発明の第1実施形態による有機発光表示装置10は、有機発光素子を含み、有機発光素子を駆動すると同時に、有機発光素子から直接的に光を提供されて充電する光充電素子11、光充電素子11に連結されたスイッチング素子200及び保存部300を含むことを特徴とする。第1実施形態による有機発光表示装置10の光充電素子11は、有機発光素子を駆動する駆動トランジスタの機能を含む。
【0038】
具体的には、光充電素子11は、基板101、基板101上に配されて酸化物半導体を含有する下部活性層102、下部活性層102の上部に配され、コンタクトホールを含むエッチング防止層103、エッチング防止層103上に形成され、コンタクトホールによって下部活性層102と電気的に連結されるソース電極及びドレイン電極104、下部活性層102と重畳するようにエッチング防止層103上に形成される上部充電電極110、上部充電電極110上に配され、上部充電電極110の一部領域を露出させるように形成された開口部を具備する画素定義膜106、上部充電電極110に接して形成され、光を生成する発光層113、及び発光層113を挟んで上部充電電極110と対向配置されたカソード電極115を含む。
【0039】
基板101は、背面発光(bottom emission)を実現するために透明な材質によって形成される。
【0040】
下部活性層102は、基板101上に配され、光によって電流を生成する酸化物半導体を含む。酸化物半導体は、In、Ga及びZnを含む群から選択された少なくとも一つ以上の物質を含むことができる。例えば、酸化物半導体は、Ga、In及びZnが2:2:1の原子%(atom%)の割合で形成されうる。しかし、これに限定されるものではなく、酸化物半導体は、InGaZnO、SnO、In、ZnO、CdO、CdSnO、TiO及びTiを含む群から選択された一つ以上の物質からなりうる。下部活性層102は、酸化物半導体によって、発光層113によって生成される光から電流を生成する。しかし、これに限定されるものではなく、下部活性層102は、外部から入射される光から電流を生成してもよい。
【0041】
下部活性層102の厚みは、50nm以下に形成することが好ましい。基板101上に酸化物半導体を下部活性層102として形成するとき、PECVD(plasma enhanced chemical vapor deposition)法、APCVD(atmospheric pressure chemical vapor deposition)法、LPCVD(low pressure chemical vapor deposition)法などの多様な蒸着方法によって形成することができる。このとき、蒸着条件として酸素分圧は、約5%〜90%まで調節することができ、望ましくは、約10%〜70%に調節する。
【0042】
下部活性層102の面積は、発光層113の面積より大きいことを特徴とする。下部活性層102は、発光層113で生成された光によって電流を生成するので、下部活性層102の面積が発光層113の面積より小さければ、電流を生成する効率が低下するためである。一方、下部活性層102の面積が大きいほど、外部から入射される光を注入される効率が高いという長所がある。
【0043】
下部活性層102上には、絶縁物質でもってエッチング防止層103を形成し、エッチング防止層103には、ソース電極及びドレイン電極104が、下部活性層102と電気的に接触するためのコンタクトホールを形成する。
【0044】
ソース電極及びドレイン電極104は、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)、金(Au)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)、イリジウム(Ir)、クロム(Cr)、リチウム(Li)、カルシウム(Ca)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タングステン(W)、銅(Cu)のうちから選択された一つ以上の金属を含有し、エッチング防止層103上に形成される。ソース電極及びドレイン電極104は、エッチング防止層103のコンタクトホールを介して下部活性層102と電気的に接触する。
【0045】
上部充電電極110は、酸化インジウムスズ(ITO)を含有し、エッチング防止層103上に形成される。上部充電電極110は、下部活性層102に対応して、下部活性層102の上部に下部活性層102と重畳するように形成する。本発明の一実施形態による上部充電電極110は、発光層113に対して、発光層113を駆動するために駆動電圧を供給するアノード電極端の機能を行う。これと同時に、上部充電電極110は、前記駆動電圧によって電場を形成し、下部活性層102の酸化物半導体で生成された電流を、下部活性層102に充電する充電電極の機能も行う。図面には図示されていないが、上部充電電極110は、アノード電極端の機能を行うので、ソース電極またはドレイン電極104と電気的に連結されている。従って、駆動電圧は、ソース電極またはドレイン電極104を介して外部から伝えられ、上部充電電極110に印加されるのである。上部充電電極110の駆動に係わる詳細な説明は、以下で詳細に説明する。
【0046】
画素定義膜106は、上部充電電極110上に配され、上部充電電極110の一部領域を露出させるように形成された開口部を具備する。
【0047】
発光層113は、画素定義膜106の開口部を介して露出された上部充電電極110に接し、上部充電電極110上に形成される。発光層113は、上部充電電極110及びカソード電極115によって駆動し、光を生成する。発光層113は、有機物を含有することができる。発光層113は、ホール注入層(HIL:hole injection layer)、ホール輸送層(HTL:hole transport layer)、電子輸送層(ETL:electron transport layer)及び電子注入層(EIL:electron injection layer)などをさらに含むことができる。
【0048】
カソード電極115は、発光層113を挟んで上部充電電極110と対向配置される。カソード電極115は、上部充電電極110と共に発光層113を駆動する。
【0049】
図示されていないが、カソード電極115上には、外部の水分や酸素などから発光層113及びその他の層を保護するために、密封部材(図示せず)を形成することができる。
【0050】
スイッチング素子200は、トランジスタなどから具現され、一端が光充電素子11のソース電極またはドレイン電極104に連結され、他端が保存部300に連結される。スイッチング素子200がターンオン(turn−on)される(オンにされている)区間の間、光充電素子11の下部活性層102に保存された電流が、ソース電極またはドレイン電極104を介して抜け出して保存部300に保存される。
【0051】
保存部300は、キャパシタのような容量性素子によって具現されうる。
【0052】
本発明の第1実施形態による有機発光表示装置10の駆動方法について詳細に述べる。まず、上部充電電極110は、アノード電極端として機能するので、発光層113を駆動するための駆動電圧が印加される。例えば、上部充電電極110には、(+)電圧が印加されうる。同時に、カソード電極115にも、発光層113を駆動するために、(−)電圧が印加される。上部充電電極110に駆動電圧が印加されれば、発光層113が光を生成する。本発明の第1実施形態は、背面発光を行うので、発光層113で生成された光は、発光層113の下部にある下部活性層102に注入される。図示されていないが、下部活性層102には、太陽光熱のような外部からの光が注入されることもある。
【0053】
下部活性層102は、注入された光によって電流を生成する。具体的には、下部活性層102に含まれた酸化物半導体が有しているバンド構造によって光を吸収し、これに対応する電子を発生する。このとき、上部充電電極110に印加された電圧は、酸化物半導体が電子をさらに多く発生するように、酸化物半導体のバンド構造に良好にバンド曲がりを生じさせる役割も行う。本発明の一実施形態によれば、下部活性層102は、電流を生成すると同時に、生成された電流を充電する。具体的には、発光層113を駆動するために、上部充電電極110に印加された(+)電圧が電場を形成し、上部充電電極110の電場が、下部活性層102で生成された電子を、ドレイン電極またはソース電極104を介して抜け出させないように、下部活性層102とエッチング防止層103との界面を狭める役割を行う。従って、上部充電電極110によって、下部活性層102に電流が充電されるのである。
【0054】
充電された電流は、ソース電極またはドレイン電極104に電気的に連結されたスイッチング素子200がターンオンされるときに抜け出し、保存部300に保存される。
【0055】
図2は、図1の有機発光表示装置10の動作を示したタイミング図である。
【0056】
図2を参照すれば、(a)は、上部充電電極110に駆動電圧が印加される区間を示したものであり、(b)は、発光層113が発光する区間を示したものである。(c)は、下部活性層102に電流が充電される区間を示したものである。(d)は、スイッチング素子200がターンオンされる区間を示し、(e)は、保存部300に電流が保存される区間を示したものである。
【0057】
(a)から(c)を参照すれば、上部充電電極110に駆動電圧が印加されると同時に、発光層113が発光する。発光層113が発光すると同時に、下部活性層102が電流を生成する。やはりこれと同時に、上部充電電極110に印加された駆動電圧によって、下部活性層102で生成された電流は、下部活性層102に充電される。また、(d)及び(e)を参照すれば、スイッチング素子200がターンオンされる区間で、下部活性層102に充電された電流が抜け出し、保存部300に保存されるということが分かる。
【0058】
図3は、本発明の他の実施形態に係わる有機発光表示装置20を図示した概略的な断面図である。
【0059】
図3に図示された本発明の第2実施形態による有機発光表示装置20は、図1に図示された本発明の第1実施形態による有機発光表示装置10と比較して、エッチング防止層103とソース電極及びドレイン電極104との上に形成された平坦化層105をさらに含むところに違いがある。それ以外の構成要素は、第1実施形態に対応する構成要素とその機能が同一であるので、それらに係わる具体的な説明は省略する。また第2実施形態による有機発光表示装置20の駆動方法及び動作を示したタイミングもまた、第1実施形態と同一であるので、これに係わる反復的な説明は省略する。図3で、本発明の第2実施形態による光充電素子の図面符号は、12とする。
【0060】
図3を参照すれば、平坦化層105は、絶縁物質を含み、層を平滑にし、かつ絶縁するために形成する。このとき、上部充電電極110は、平坦化層105上に形成され、下部活性層102と対応するように重畳する領域を有するように形成される。図1では、図3と比較し、平坦化層105が除去されているが、エッチング防止層103が、層を平滑にし、かつ絶縁する役割まで行う。
【0061】
図4は、本発明のさらに他の実施形態に係わる有機発光表示装置30を図示した概略的な断面図である。図5は、図4の有機発光表示装置30をI−I線に沿って切断した平面図である。
【0062】
図4及び図5を参照すれば、本発明の第3実施形態による有機発光表示装置30は、有機発光素子を含み、有機発光素子から間接的に光を提供されて充電する光充電素子13、光充電素子13に連結されたスイッチング素子200及び保存部300を含むことを特徴とする。第3実施形態による有機発光表示装置30は、有機発光素子を駆動する駆動トランジスタと別個に、光充電素子13を含む。
【0063】
具体的には、光充電素子13は、基板101;基板101のエッジを取り囲んで配された下部充電電極134;下部充電電極134上に形成された平坦化層105;下部充電電極134と重畳するように平坦化層105上に形成され、光によって電流を生成する酸化物半導体を含有する上部活性層132;上部活性層132上に形成されたソース電極及びドレイン電極104;ソース電極104s、ドレイン電極104d及び上部活性層132上に形成され、アノード電極111を露出させる開口部を含む画素定義膜106;上部活性層132と同一層に配され、上部活性層132と離隔され、前記基板101の中心部に対応する部分に配され、発光層113を駆動するアノード電極111;アノード電極111上に配され、光を生成する発光層113;発光層113を挟んでアノード電極111と対向して配され、アノード電極111と共に発光層113を駆動するカソード電極115;を含む。
【0064】
基板101は、背面発光を実現するために透明な材質によって形成される。
【0065】
下部充電電極134は、基板101のエッジを取り囲んで形成される。特に、図4を参照すれば、下部充電電極134は、基板101のエッジを取り囲み、閉ループ(closed−loop)を形成して配される。下部充電電極134は、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)、金(Au)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)、イリジウム(Ir)、クロム(Cr)、リチウム(Li)、カルシウム(Ca)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タングステン(W)、銅(Cu)のうちから選択された一つ以上の金属を含有する。
【0066】
下部充電電極134は、外部から印加される充電電圧によって電場を形成し、上部活性層132の酸化物半導体で生成された電流を、上部活性層132に充電する機能を行う。充電電圧は、発光層113を駆動するときに印加される電圧である。充電電圧は、例えば、発光層113を駆動するために、カソード電極115に印加される駆動電圧と同一でありうる。下部充電電極134の駆動に係わる詳細な説明は、以下で詳細に説明する。
【0067】
下部充電電極134上に、絶縁物質を含有する平坦化層105が形成される。平坦化層105は、層を平滑にして絶縁する役割を行う。
【0068】
上部活性層132は、平坦化層105上に形成され、下部充電電極134に対応して、下部充電電極134と重畳するように形成される。図5を参照すれば、上部活性層132は、基板101のエッジを取り囲み、平坦化層105を挟んで下部充電電極134と重畳するように閉ループを形成する。
【0069】
上部活性層132は、光によって電流を生成する酸化物半導体を含む。酸化物半導体は、In、Ga及びZnを含む群から選択された少なくとも一つ以上の物質を含むことができる。例えば酸化物半導体は、Ga、In及びZnが2:2:1の原子%(atom%)の割合で形成されうる。しかし、これに限定されるものではなく、酸化物半導体は、InGaZnO、SnO、In、ZnO、CdO、CdSnO、TiO及びTiを含む群から選択された一つ以上の物質からなりうる。上部活性層132は、酸化物半導体によって、発光層113によって生成される光から電流を生成する。しかし、これに限定されるものではなく、上部活性層132は、外部から入射される光から電流を生成してもよい。
【0070】
上部活性層132の面積は、発光層113の面積より大きいことを特徴とする。上部活性層132は、発光層113で生成された光によって電流を生成するので、上部活性層132の面積が発光層113の面積より小さければ、電流を生成する効率が低下するためである。一方、上部活性層132の面積が大きいほど、外部から入射される光を注入される効率が上昇するという長所がある。
【0071】
図1に図示された本発明の第1実施形態では、発光層113で生成された光が下部活性層102を透過する過程で、光の吸収及び反射によって、外部に放出される光の効率が低下するという問題が発生しうる。しかし、本発明の図4に図示された第3実施形態によれば、上部活性層132が発光層113を取り囲むように形成され、発光層113で生成された光が発光層113を透過せずに、直接外部に放出されるので、光の効率が低下しない。結果的に、第3実施形態では、発光層113で生成された光のうち、有機発光装置の内部に反射または伝播される光を利用して電流を生成するという特徴がある。
【0072】
ソース電極104s及びドレイン電極104dは、ITOを含有し、上部活性層132上に形成される。図5を参照すれば、ソース電極104s及びドレイン電極104dは、上部活性層132上に形成されるとき、閉ループを形成する。
【0073】
画素定義膜106は、ソース電極104s、ドレイン電極104d及び上部活性層132上に形成され、アノード電極111を露出させるための開口部を具備する。
【0074】
アノード電極111は、上部活性層132と同一層に配される。図4を参照すれば、アノード電極111は、基板101の中心部に対応する部分に、上部活性層132と離隔されて配される。アノード電極111は、駆動電圧を印加され、カソード電極115と共に発光層113を駆動する。図示されていないが、アノード電極111は、別個の駆動トランジスタ(図示せず)のソース端またはドレイン端と電気的に連結されている。従って、駆動トランジスタ(図示せず)のソース端またはドレイン端を介して駆動電圧が伝えられ、アノード電極111に印加される。
【0075】
発光層113は、アノード電極111上に形成される。発光層113は、アノード電極111及びカソード電極115によって駆動して光を生成する。発光層113は、有機物を含有することができる。発光層113は、ホール注入層(HIL)、ホール輸送層(HTL)、電子輸送層(ETL)及び電子注入層(EIL)などをさらに含むことができる。
【0076】
カソード電極115は、発光層113を挟んでアノード電極111と対向配置される。カソード電極115は、アノード電極111と共に発光層113を駆動する。例えば、カソード電極115には、駆動電圧として(−)電圧が印加されうる。
【0077】
図示されていないが、カソード電極115上には、外部の水分や酸素などから発光層113及びその他の層を保護するために、密封部材(図示せず)を形成することができる。
【0078】
スイッチング素子200は、トランジスタなどによって具現され、一端が光充電素子13のソース電極またはドレイン電極104に連結され、他端が保存部300に連結される。スイッチング素子200がターンオンされる区間の間、光充電素子13の上部活性層132に保存された電流が、ソース電極またはドレイン電極104を介して抜け出し、保存部300に保存される。
【0079】
保存部300は、キャパシタのような容量性素子によって具現されうる。
【0080】
本発明の第3実施形態による有機発光表示装置30の駆動方法について詳細に述べる。まず、アノード電極111に発光層113を駆動するための駆動電圧が印加される。例えば、アノード電極111には、(+)電圧が印加されうる。同時に、カソード電極115にも、発光層113を駆動するために、(−)電圧が印加される。駆動電圧が印加されれば、発光層113が光を生成する。発光層113で生成された光は、有機発光装置30の内部に広がるので、上部活性層132に光が注入される。これと同時に、下部充電電極134には、充電電圧が印加される。充電電圧は外部から印加され、例えば、カソード電極115に印加される駆動電圧と同一に、(−)電圧でありうる。
【0081】
上部活性層132は、注入された光によって電流を生成する。具体的には、上部活性層132に含まれた酸化物半導体が有しているバンド構造によって光を吸収し、これに対応する電子を発生する。このとき、充電電圧が印加された下部充電電極134は、酸化物半導体が電子をさらに多く発生するように、酸化物半導体のバンド構造に好ましくバンド曲がりを生じさせる役割も行う。本発明の一実施形態によれば、上部活性層132は、電流を生成すると同時に、生成された電流を充電する。具体的には、下部充電電極134に印加された(−)電圧が電場を形成し、下部充電電極134の電場が上部活性層132で生成された電子をドレイン電極またはソース電極104を介して抜け出ないように、上部活性層132と平坦化層105との界面を狭める役割を行う。従って、下部充電電極134によって、上部活性層132に電流が充電されるのである。
【0082】
充電された電流は、ソース電極またはドレイン電極104に電気的に連結されたスイッチング素子200がターンオンされるときに抜け出て、保存部300に保存される。
【0083】
本発明の第3実施形態による有機発光表示装置30の駆動タイミング図は、図2に図示された本発明の第1実施形態による駆動タイミング図と同一であるので、これに係わる反復的な説明は省略する。
【0084】
図6は、本発明のさらに他の実施形態に係わる有機発光表示装置40を図示した概略的な断面図である。図7は、図6の有機発光表示装置40をII−II線に沿って切断した平面図である。
【0085】
図6に図示された本発明の第4実施形態による有機発光表示装置40は、図4に図示された本発明の第3実施形態による有機発光表示装置30と比較して、平面図上で、上部活性層132a,132b、ソース電極104s及びドレイン電極104dの構造に違いがある。それ以外の構成要素は、第3実施形態に対応する構成要素とその機能が同一であるので、それらに係わる具体的な説明は省略する。また、第4実施形態による有機発光表示装置40の駆動方法及び動作を示したタイミングもまた、第3実施形態と同一であるので、それらに係わる反復的な説明は省略する。
【0086】
図6及び図7を参照すれば、本発明の第4実施形態による有機発光装置40は、基板101のエッジを取り囲み、電気的に連結された第1充電電極134a及び第2充電電極134bを含む。すなわち、図6の断面図で、右側の第1充電電極134a及び左側の第2充電電極134bが電気的に直列に連結される。第1充電電極134aと第2充電電極134bとが直列に連結されることによって、保存部300に出力される電圧が増大しうる。図6で、本発明の第4実施形態による光充電素子の図面符号は、14とする。
【0087】
また、図7を参照すれば、本発明の第4実施形態による有機発光装置40は、互いに離隔された第1活性層132a及び第2活性層132bを含む。第1活性層132aは、基板101のエッジを取り囲み、平坦化層105を挟んで第1充電電極134aと重畳する。第2活性層132bは、基板101のエッジを取り囲み、平坦化層105を挟んで第2充電電極134bと重畳する。
【0088】
図7を参照すれば、第1活性層132a上には、第1ソース電極104sa及び第1ドレイン電極104daが形成される。同様に、第2活性層132b上には、第2ソース電極104sb及び第2ドレイン電極104dbが形成される。ここで、第1ソース電極104saと第2ソース電極104sbとが互いに連結される。しかし、図示されたところに限定されるものではなく、第1ソース電極104saと第2ソース電極104sbが互いに連結される代わりに、第1ドレイン電極104daと第2ドレイン電極104dbとが互いに連結されうる。
【0089】
図8は、本発明のさらに他の実施形態に係わる有機発光表示装置50を図示した概略的な断面図である。
【0090】
図8に図示された本発明の第5実施形態による有機発光表示装置50は、図3に図示された本発明の第2実施形態による有機発光表示装置20の構造と、図4に図示された本発明の第3実施形態による有機発光表示装置30の構造とを結合したものである。従って、図3及び図4で説明した構成要素と対応する構成要素は、その機能が同一であるので、それらに係わる具体的な説明は省略する。また、駆動方法及び動作を示すタイミングもまた、図3及び図4で説明した本発明の他の実施形態による有機発光表示装置の駆動方法及び動作を示したタイミングと同一であるので、それらに係わる反復的な説明は省略する。
【0091】
図8に図示された本発明の第5実施形態による有機発光表示装置50は、光充電効果が極大化されうるという長所がある。なぜならば、第2実施形態によって、発光層113で生成された光を直接的に注入されて電流を生成する下部活性層102、及び第3実施形態によって、発光層113で生成された後で内部に伝播及び反射される光を注入されて電流を生成する上部活性層132がいずれも存在するためである。
【0092】
図8を参照すれば、基板101、基板101上に配され、光によって電流を生成する酸化物半導体を含有する下部活性層102、下部活性層102の上部に配され、コンタクトホールを含むエッチング防止層103、エッチング防止層103上に形成され、前記コンタクトホールによって、前記下部活性層102と電気的に連結される下部充電電極134、下部充電電極134上に形成された平坦化層105、下部充電電極134と重畳するように平坦化層105上に形成され、光によって電流を生成する酸化物半導体を含有する上部活性層132、上部活性層132上に形成されたソース電極及びドレイン電極104、下部活性層102と重畳するように平坦化層105上に形成される上部充電電極110、上部充電電極110に接して形成され、光を生成する発光層113、発光層113を挟んで上部充電電極110と対向配置されて上部充電電極110と共に発光層113を駆動するカソード電極115を含む。
【0093】
下部活性層102及び上部活性層132は、発光層113によって生成される光によって電流を生成し、これに限定されるものではなく、外部から入射される光によって電流を生成することも可能である。上部活性層132及び下部活性層102は、酸化物半導体を含有するが、酸化物半導体は、In、Ga及びZnを含む群から選択された少なくとも一つ以上の物質を含む。一方、下部活性層102の面積は、発光層113の面積より大きいことを特徴とする。また、上部充電電極110は、ITOを含有し、下部充電電極134は、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)、金(Au)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)、イリジウム(Ir)、クロム(Cr)、リチウム(Li)、カルシウム(Ca)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タングステン(W)、銅(Cu)のうちから選択された一つ以上の金属を含有することができる。
【0094】
スイッチング素子200は、トランジスタなどから具現され、一端が光充電素子15のソース電極またはドレイン電極104及び下部充電電極134に連結され、他端が保存部300に連結される。スイッチング素子200がターンオンされる区間の間、光充電素子15の上部活性層132及び下部活性層102に保存された電流が、ソース電極またはドレイン電極104を介して抜け出し、保存部300に保存される。
【0095】
本発明の第5実施形態による有機発光装置50の駆動方法について説明する。
【0096】
まず、上部充電電極110は、アノード電極端として機能するので、発光層113を駆動するための駆動電圧が印加される。例えば、上部充電電極110には、(+)電圧が印加されうる。同時に、カソード電極115にも、発光層113を駆動するために、(−)電圧が印加される。上部充電電極110に駆動電圧が印加されれば、発光層113が光を生成する。発光層113で生成された光は、発光層113の下部にある下部活性層102に注入される。図示されていないが、下部活性層102には、太陽光熱のような外部からの光が注入されもする。
【0097】
下部活性層102は、注入された光によって電流を生成する。具体的には、下部活性層102に含まれた酸化物半導体が有しているバンド構造によって光を吸収し、これに対応する電子を発生する。このとき、上部充電電極110に印加された電圧は、酸化物半導体が電子をさらに多く発生するように、酸化物半導体のバンド構造に好ましくバンド曲がりを生じさせる役割も行う。本発明の一実施形態によれば、下部活性層102は、電流を生成すると同時に、生成された電流を充電する。具体的には、発光層113を駆動するために、上部充電電極110に印加された(+)電圧が電場を形成し、上部充電電極110の電場が、下部活性層102で生成された電子が、下部充電電極134を介して抜け出ないように、下部活性層102とエッチング防止層103との界面を狭める役割を行う。従って、上部充電電極110によって、下部活性層102に電流が充電されるのである。
【0098】
一方、これと同時に、下部充電電極134によって、上部活性層132に電流が充電される。具体的には、上部充電電極110に駆動電圧が印加されるとき、同時に、下部充電電極134に充電電圧が印加される。充電電圧は、外部から印加され、例えば、カソード電極115に印加される駆動電圧と同一に、(−)電圧でありうる。
【0099】
上部充電電極110に駆動電圧が印加され、発光層113を駆動することによって、光が生成され、上部活性層132は、注入された光によって電流を生成する。このとき、(−)電圧が印加された下部充電電極134は、酸化物半導体が電子をさらに多く発生するように、酸化物半導体のバンド構造に好ましくバンド曲がりを生じさせる役割も行う。また、下部充電電極134に印加された(−)電圧が電場を形成し、下部充電電極134の電場が、上部活性層132で生成された電子が、ドレイン電極またはソース電極104を介して抜け出ないように、上部活性層132と平坦化層105との界面を狭める役割を行う。従って、下部充電電極134によって、上部活性層132に電流が充電されるのである。
【0100】
以上のような本発明の一実施形態による有機発光表示装置10,20,30,40,50によれば、酸化物半導体を利用し、有機発光素子で発光した光を電気エネルギーとして保存することができるので、ディスプレイの低電力化を実現することができる。また、光を充電することができる素子を、さらなるマスクなしに形成することができ、工程上、効率的であって経済的である。
【0101】
参考までに、本発明の図1などに示された図面符号Vは、充電用電源を示す。
【0102】
以下では、酸化物半導体による光充電効率に係わる実験結果について説明する。実験のために、光充電素子は、本発明の第1実施形態と同様に、活性層及び充電電極を含むように、薄膜トランジスタ形態に製造する。このとき、活性層は、Ga、In及びZnが、2:2:1の原子%(atom%)の割合で形成された酸化物半導体を含む。まず、直接入射実験では、青い光を生成するLED(light emitting diode)で生成される光を直接酸化物半導体に入射させて光充電効率を評価する。
【0103】
図9は、外部光の直接入射時に、活性層の充電時間と、放電する電流の量との関係を示したグラフである。図9を参照すれば、活性層の充電時間によって、充電された光電荷の放電量が増加するということを確認することができる。このとき、横軸は、充電時間を示し、縦軸は、光電荷の放電量を示す。また、Vgは、充電電極の電圧である。
【0104】
次に、内部光を利用した間接入射実験では、青い光を生成する有機発光素子を、光充電素子から水平面上で一定距離離隔して位置させた後、有機発光素子で生成される光を酸化物半導体に入射する。
【0105】
図10は、光の間接入射時に、活性層の充電時間と、放電する電流の量との関係を示したグラフである。図10を参照すれば、図9と同様に、活性層の充電時間によって、充電された光電荷の放電量が増加するということを確認することができる。図11は、充電電極の電圧強度によって充電される電流の量を示したものである。図11を参照すれば、充電電極に印加された充電電圧が高いほど、光電荷が多く充電されるということを確認することができる。このとき、横軸は、充電電極の電圧強度(|Accumulating Vg|)を示し、縦軸は、光電荷の充電量を示す。
【0106】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0107】
10,20,30,40,50 有機発光表示装置
11,12,13,14,15 光充電素子
101 基板
102 下部活性層
103 エッチング防止層
104 ソース電極及び/またはドレイン電極
104d ドレイン電極
104da 第1ドレイン電極
104db 第2ドレイン電極
104s ソース電極
104sa 第1ソース電極
104sb 第2ソース電極
105 平坦化層
106 画素定義膜
110 上部充電電極
111 アノード電極
113 発光層
115 カソード電極
132 上部活性層
132a 第1活性層
132b 第2活性層
134 下部充電電極
134a 第1充電電極
134b 第2充電電極
200 スイッチング素子
300 保存部
V 充電用電源



【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に配され、光によって電流を生成する酸化物半導体を含有する下部活性層と、
前記下部活性層の上部に配され、コンタクトホールを含むエッチング防止層と、
前記エッチング防止層上に形成され、前記コンタクトホールによって、前記下部活性層と電気的に連結されるソース電極及びドレイン電極と、
前記下部活性層と重畳するように、前記エッチング防止層上に形成される上部充電電極と、
前記上部充電電極に接して形成され、光を生成する発光層と、
前記発光層を挟んで前記上部充電電極と対向配置され、前記上部充電電極と共に、前記発光層を駆動するカソード電極と、
を含み、
前記上部充電電極には、前記発光層を駆動するために駆動電圧が印加され、印加された前記駆動電圧によって、前記酸化物半導体で生成された電流を前記下部活性層に充電する、有機発光表示装置。
【請求項2】
前記エッチング防止層と、
前記ソース電極及びドレイン電極上に形成された平坦化層と、
をさらに含み、
前記上部充電電極は、前記平坦化層上に形成され、前記下部活性層と重畳する領域を有することを特徴とする、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項3】
前記上部充電電極上に配され、前記上部充電電極の一部領域を露出させるように形成された開口部を具備する画素定義膜をさらに含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の有機発光表示装置。
【請求項4】
前記下部活性層は、前記発光層によって生成される光と、外部から入射される光とによって電流を生成することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機発光表示装置。
【請求項5】
前記酸化物半導体は、In、Ga及びZnを含む群から選択された少なくとも一つ以上の物質を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機発光表示装置。
【請求項6】
前記下部活性層の面積は、前記発光層の面積より大きいことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機発光表示装置。
【請求項7】
前記上部充電電極は、酸化インジウムスズ(ITO)を含有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機発光表示装置。
【請求項8】
一端が前記ソース電極または前記ドレイン電極に電気的に連結されたスイッチング素子と、
前記スイッチング素子の他端に連結され、前記スイッチング素子がオンにされた場合に、前記下部活性層に充電された電流を伝達して保存する保存部と、
をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機発光表示装置。
【請求項9】
基板と、
前記基板のエッジを取り囲んで配された下部充電電極と、
前記下部充電電極上に形成された平坦化層と、
前記下部充電電極と重畳するように、前記平坦化層上に形成され、光によって電流を生成する酸化物半導体を含有する上部活性層と、
前記上部活性層上に形成されたソース電極及びドレイン電極と、
前記上部活性層と同一層に配され、前記上部活性層と離隔され、前記基板の中心部に対応する部分に配され、前記発光層を駆動するアノード電極と、
前記アノード電極上に配されて光を生成する発光層と、
前記発光層を挟んで前記アノード電極と対向して配され、前記アノード電極と共に、前記発光層を駆動するカソード電極と、
を含み、
前記下部充電電極には、前記発光層を駆動するとき、充電電圧が印加され、印加された前記充電電圧によって、前記酸化物半導体で生成された電流を、前記上部活性層に充電する、有機発光表示装置。
【請求項10】
前記下部充電電極は、前記基板のエッジを取り囲んで閉ループを形成し、
前記上部活性層は、前記基板のエッジを取り囲み、前記平坦化層を挟んで前記充電電極と重畳するように閉ループを形成し、
前記ソース電極及びドレイン電極は、前記上部活性層上に形成されて閉ループを形成することを特徴とする、請求項9に記載の有機発光表示装置。
【請求項11】
前記下部充電電極は、前記基板のエッジを取り囲み、電気的に連結された第1充電電極及び第2充電電極を含み、
前記上部活性層は、前記基板のエッジを取り囲み、前記平坦化層を挟んで前記第1充電電極と重畳した第1活性層と、前記第2充電電極と重畳した第2活性層とを含み、
前記第1活性層及び第2活性層は、互いに離隔され、
前記第1活性層上に、第1ソース電極及び第1ドレイン電極が形成され、前記第2活性層上に、第2ソース電極及び第2ドレイン電極が形成され、
前記第1ドレイン電極と第2ドレイン電極とが互いに連結されるか、または、前記第1ソース電極と第2ソース電極とが互いに連結されることを特徴とする、請求項9または10に記載の有機発光表示装置。
【請求項12】
前記ソース電極、ドレイン電極及び前記上部活性層上に配され、前記アノード電極を露出させるように形成された開口部を具備する画素定義膜をさらに含むことを特徴とする、請求項9〜11のいずれか1項に記載の有機発光表示装置。
【請求項13】
前記上部活性層は、前記発光層によって生成される光と、外部から入射される光とによって電流を生成することを特徴とする、請求項9〜12のいずれか1項に記載の有機発光表示装置。
【請求項14】
前記酸化物半導体は、In、Ga及びZnを含む群から選択された少なくとも一つ以上の物質を含むことを特徴とする、請求項9〜13のいずれか1項に記載の有機発光表示装置。
【請求項15】
前記上部活性層の面積は、前記発光層の面積より大きいことを特徴とする、請求項9〜14のいずれか1項に記載の有機発光表示装置。
【請求項16】
前記下部充電電極は、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)、金(Au)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)、イリジウム(Ir)、クロム(Cr)、リチウム(Li)、カルシウム(Ca)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タングステン(W)、銅(Cu)のうちから選択された一つ以上の金属を含有することを特徴とする、請求項9〜15のいずれか1項に記載の有機発光表示装置。
【請求項17】
一端が前記ソース電極またはドレイン電極に電気的に連結されたスイッチング素子と、
前記スイッチング素子の他端に連結され、前記スイッチング素子がオンにされた場合に、前記上部活性層に充電された電流を伝達されて保存する保存部と、
をさらに含むことを特徴とする、請求項9〜16のいずれか1項に記載の有機発光表示装置。
【請求項18】
基板と、
基板上に配され、光によって電流を生成する酸化物半導体を含有する下部活性層と、
前記下部活性層の上部に配され、コンタクトホールを含むエッチング防止層と、
前記エッチング防止層上に形成され、前記コンタクトホールによって、前記下部活性層と電気的に連結される下部充電電極と、
前記下部充電電極上に形成された平坦化層と、
前記下部充電電極と重畳するように、前記平坦化層上に形成され、光によって電流を生成する酸化物半導体を含有する上部活性層と、
前記上部活性層上に形成されたソース電極及びドレイン電極と、
前記下部活性層と重畳するように、前記平坦化層上に形成される上部充電電極と、
前記上部充電電極に接して形成され、光を生成する発光層と、
前記発光層を挟んで前記上部充電電極と対向配置され、前記上部充電電極と共に、前記発光層を駆動するカソード電極と、
を含み、
前記上部充電電極には、前記発光層を駆動するために駆動電圧が印加され、印加された前記駆動電圧によって、前記酸化物半導体で生成された電流を、前記下部活性層に充電し、
前記下部充電電極には、前記駆動電圧が印加されるとき、充電電圧が印加され、印加された前記充電電圧によって、前記酸化物半導体で生成された電流を、前記上部活性層に充電する、有機発光表示装置。
【請求項19】
前記下部活性層及び前記上部活性層は、前記発光層によって生成される光と、外部から入射される光とによって電流を生成することを特徴とする、請求項18に記載の有機発光表示装置。
【請求項20】
前記酸化物半導体は、In、Ga及びZnを含む群から選択された少なくとも一つ以上の物質を含むことを特徴とする請求項18または19に記載の有機発光表示装置。
【請求項21】
前記下部活性層の面積は、前記発光層の面積より大きいことを特徴とする、請求項18〜20のいずれか1項に記載の有機発光表示装置。
【請求項22】
前記上部充電電極は、酸化インジウムスズ(ITO)を含有することを特徴とする、請求項18〜21のいずれか1項に記載の有機発光表示装置。
【請求項23】
一端が前記ソース電極またはドレイン電極及び前記下部充電電極に電気的に連結されたスイッチング素子と、
前記スイッチング素子の他端に連結され、前記スイッチング素子がオンにされた場合に、前記活性層に充電された電流を伝達されて保存する保存部と、
をさらに含むことを特徴とする、請求項18〜22のいずれか1項に記載の有機発光表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−60124(P2012−60124A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193642(P2011−193642)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Mobile Display Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】San #24 Nongseo−Dong,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do 446−711 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】