説明

有機発光装置、及びその製造方法

【課題】 発光素子を複数積層した有機発光装置において、コンタクトホールの傾斜部における電極間でのショート発生を低減することを目的とする。
【解決手段】 第1電極、第2電極、第3電極と、第1電極と第2電極に挟まれた少なくとも発光層を含む第1有機化合物層、第2電極と第3電極に挟まれた少なくとも発光層を含む第2有機化合物層と、第1有機化合物層の一部を除去したコンタクトホールを有する有機発光装置において、コンタクトホールの底部における第2有機化合物層の発光層の膜厚をd(nm)とし、コンタクトホールにおける第1電極と第2電極との間のなす角をθとした時、θ≦cos−1(15/d)を満たす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光装置及びその製造方法に関するものであり、特に、基板上に少なくとも発光層を含む有機化合物層を複数積層した有機発光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された有機発光装置においては、絶縁基板上に、R,G,Bに発光させるための3つの有機EL素子が積層されている。ここで、各有機EL素子間、例えば、青色を発光する有機EL素子の陰極と、緑色に発光する有機EL素子の陽極とでショートするのを防止するために、該陰極と該陽極との間には透明絶縁層が設けられている。
【0003】
また、各有機EL素子の少なくとも一方の電極は、コンタクトホールを介して、基板上のアクティブ素子(TFT回路)のソース領域又はドレイン領域に電気的に接続されている。
【0004】
このような構成にすることによって、従来は1ピクセルを3つのサブピクセルで構成し、それぞれにRGBを割り当てていたものが、特許文献1により1ピクセルをサブピクセルに分けることなく有機EL素子を積層した構成にすることができた。これにより高精細にすることが可能である。
【0005】
なお、有機EL素子とは、一般に、有機材料を上下から電極(陽極および陰極)で挟み込む構造を持つ。そして、有機材料を有する有機化合物層に対して、陽極から正孔が、陰極から電子がそれぞれ注入され、その有機化合物層にて正孔と電子が再結合して発光が生じるようになっている。
【0006】
このように、複数の有機EL素子を積層させる構成の有機発光装置で、各有機EL素子の電極を、コンタクトホールを介してアクティブ素子に電気的に接続させ、有機EL素子間に電圧を印加して所望の発光状態を得る有機発光装置が知られている。
【特許文献1】特開2007−12359号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の特許文献1に記載の有機発光装置には、先述したように有機EL素子の間に透明絶縁膜が別途形成されており、構造が複雑化している。
【0008】
この構成を簡略化するために、透明絶縁層を排除した構成で、各有機ELを積層した積層型の有機発光装置を鋭意検討した。
【0009】
以下に、透明絶縁膜を排除した積層型の有機発光装置を図面に基づいて説明する。
【0010】
図1は、特許文献1から透明絶縁層を排除した有機発光装置で、2つの有機EL素子を積層した場合の断面図である。
【0011】
この積層型の有機発光装置は、絶縁基板122上に、TFT123、絶縁膜である平坦化膜125、バンク121、第1の有機EL素子、第2の有機EL素子が形成されている。なお、第1の有機EL素子は、第4電極104、第1有機化合物層111、第2電極102からなり、第2の有機EL素子は、第2電極102、第2有機化合物層112、第3電極103から構成されている。なお、バンクとは隣り合うピクセル同士を分離するために設けられた隔壁のことである。
【0012】
また、第2電極102は、コンタクトホール124で第1電極101に接続されている。
【0013】
更に、第1電極101は、TFT123に接続され、配線150bを通じて電源手段151に接続されている。
【0014】
また、第3電極103は、配線150cを通じ、第4電極104は配線150aを通じてそれぞれ電源手段151に接続されている。
【0015】
ここで、上記のような積層型の有機発光装置において、第1、及び第2の有機EL素子は、電源手段151より、電流を供給することにより、発光状態を得ることができる。しかし、第2の有機EL素子を発光させる際に、正しく動作しない場合が発生するという課題を見出した。
【0016】
この理由を説明する。まず、コンタクトホール124での傾斜部における第2有機化合物層112を構成する発光層の膜厚が充分に確保できない場合を想定する。この場合、発光層を挟む上下の層(例えば電子輸送層と正孔輸送層)或いは上下の電極(第2電極102と第3電極)が、発光層を介さずに接触する部位を生じ、その結果、所謂ショートが発生してしまうのである。
【0017】
そのため、本発明は、電極間の透明絶縁膜を排除した積層型の有機発光装置において、コンタクトホールの傾斜部における発光層の膜厚を充分に確保する。これにより、発光層を挟む上下の層や、電極などが、発光層を介さずに電気的に接続する所謂ショートの発生を低減し、発光動作をより確実にした積層型の有機発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するために以下の有機発光装置を提供する。
【0019】
基板と、
前記基板の上に形成された第1電極と、
前記第1電極の上に形成された少なくとも発光層を有する第1有機化合物層と、
前記第1有機化合物層の上に形成された第2電極と、
前記第2電極の上に形成された少なくとも発光層を有する第2有機化合物層と、
前記第2有機化合物層の上に形成されたと第3電極と、
前記第2電極を前記第1電極と電気的に接続するために、前記第1有機化合物層に形成されたコンタクトホールと、を有する有機発光装置において、
前記コンタクトホールの底部における前記第2有機化合物層の発光層の膜厚をdとし、
前記コンタクトホールの傾斜部における前記第1電極と前記第2電極との間のなす角をθした時、θ≦cos−1(15/d)を満たすことを特徴とする有機発光装置。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、電極間の透明絶縁膜を排除した積層型の有機発光装置において、コンタクトホールの傾斜部における発光層の膜厚を充分に確保する。
【0021】
これにより、発光層を挟む上下の層(例えば電子輸送層と正孔輸送層)や、上下の電極などが電気的に接続するといった所謂ショートの発生を低減し、発光動作をより確実にすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、最良の形態を図面に基づいて説明するが、本発明は、本発明の主旨に応じた範囲で適宜、変更することが可能であり、本実施形態に限るものではない。
【0023】
(有機発光装置)
図1において、有機発光装置の実施の形態を説明する。
【0024】
本件における、有機EL素子が積層された積層型の有機発光装置は、絶縁基板122、絶縁基板上に形成されたTFT(トランジスタ)123、絶縁基板122及びTFT123上に平坦性を確保するための絶縁性の平坦化膜125が形成されている。そして、平坦化膜125上には第1電極101、第1電極101上に形成された少なくとも発光層を含む第1有機化合物層111が形成されている。
【0025】
更に、第1電極101上の第1有機化合物層111の一部を除去したコンタクトホール124、第1有機化合物層111及びコンタクトホール124を覆う第2電極102が形成されている。
【0026】
更に、この第2電極102上に形成された少なくとも発光層を含む第2有機化合物層112、第2有機化合物層112上に形成された第3電極103、が形成されている。
【0027】
なお、有機化合物層の形成方法としては、蒸着法が好適だが、公知の方法であれば特には限定しない。
【0028】
また、第2電極102は、コンタクトホール124で第1電極101に接続されており、更に、第1電極101は、TFT123に接続され、配線150bを通じて電源手段151に接続されている。
【0029】
また、第3電極103は、配線150cを通じ、第4電極104は配線150aを通じてそれぞれ電源手段151に接続されている。
【0030】
上記構成の有機発光装置において、第1有機化合物層111、第2有機化合物層112を、電源手段151より、電流を供給することにより、所望の発光状態を得ることができる。
【0031】
これまで説明をしたのは、TFT123を用いたアクティブ駆動の有機発光装置であるが、TFT123を用いず、パッシブ駆動の有機発光装置であってもよい。パッシブ駆動の場合も同様にして、第1有機化合物層111、第2有機化合物層112を、電源手段151より、電流を供給することにより、所望の発光状態を得ることができる。
【0032】
ここで、コンタクトホール124の底部における第2有機化合物層112の発光層の膜厚をd(nm)とする。この時、コンタクトホール124の傾斜部において、第1電極101と第2電極102との間のなす角θは、θ≦cos−1(15/d)を満たす。
【0033】
このような構成によれば、コンタクトホール124の傾斜部で、第2有機化合物層112における発光層における上下の層或いは電極(第2電極102と第3電極103)のショートの発生率を低減することができる。
【0034】
なお、ここで有機化合物層とは、少なくとも発光層を含み、単層型(発光層)、2層型(発光層/正孔注入層)、3層型(電子輸送層/発光層/正孔輸送層)がある。また、4層型(電子注入層/発光層/正孔輸送層/正孔注入層)、5層型(電子注入層/電子輸送層/発光層/正孔輸送層/正孔注入層)もあり、上記のいずれを使用することにしてもよい。
【0035】
ここで発光層におけるショートについて更に説明する。原理的には、発光層が薄い状態とは、所謂発光層を構成する分子がクラスタの状態として存在する場合に、クラスタとクラスタの隙間に発光層を挟む層や電極が入りこみ、発光層を挟む層や電極などが直接接触することによりショートが発生すると考えられる。例えば単層型の場合には、先述したように第2電極102と第3電極103とが直接接触し、電気的に接続する箇所が発生する。
【0036】
また、2層型の場合には、正孔注入層と第3電極とが直接接触し、電気的に接続する箇所が発生する。
【0037】
3層型、4層型、5層型の場合には、電子輸送層と正孔輸送層とが直接接触し、電気的に通電する場合があるのである。
【0038】
なお、上記は例であり、各層の膜厚次第では、電気的に接続する層は上記の例によらない場合もある。例えば、2層型の場合に、正孔注入層が薄い場合にも、クラスタ状態となり、第2電極と第3電極とが直接接触する場合も考えられる。
【0039】
以上により、発光層を介さずに、発光層を挟む層や電極が、電気的に接続することが本明細書でいうショートである。
【0040】
このショートについて、更に以下で説明する。
【0041】
図2は、先に説明した図1のコンタクトホール124を中心に拡大した図である。
【0042】
コンタクトホール124の底部における、第2有機化合物層112を構成する発光層115の膜厚をdとし、コンタクトホール124における第1電極101と第2電極102とのなす角をθとする。そして、傾斜部での第2電極102、第3電極103間の発光層の膜厚をdとすると、d=d×cosθという関係が成り立つ。
【0043】
この場合、第2有機化合物層112を形成する際、コンタクトホールの傾斜部に形成された発光層115の膜厚dは、コンタクトホール124の底部に形成された発光層の膜厚dよりも薄くなる。そのため、コンタクトホール124の傾斜部における発光層の膜厚が充分に確保できない場合は、発光層115において先述したショートが発生しやすくなる。
【0044】
そこで、発光層115のコンタクトホール124の傾斜部における膜厚を、どの程度薄膜化してもショートが発生しないのかを確かめるため、図3に示すような有機EL素子を用いて実験を行った。
【0045】
実験に使用した有機EL素子は、絶縁基板201上に次のように構成されている。金属電極202、バンク203、その上に正孔注入層204、正孔輸送層205、発光層206、電子輸送層207、電子注入層208、透明電極209が順次積層された構成となっている。
【0046】
このように構成された有機EL素子のサンプルで、発光層206の膜厚を5nm、10nm、15nm、20nm、25nm、35nm、40nm、45nm、60nmのものを、それぞれ3サンプルずつ作製した。
【0047】
また、金属電極202、透明電極209は配線210a、210bで電源回路211に接続されており、電源回路211によって所望の電流値で通電、及び電圧値で電圧を印加できる仕組みになっている。
【0048】
サンプルには、4Vの電圧を印加して実験を行った。先述した各発光層膜厚でのショートの発生率を図4に示す。
【0049】
発光層の膜厚が5nmのサンプルでは100%の確率でショートが発生し、10nmのサンプルでは33%の確率でショートが発生し、15nm以上のサンプルではショートが発生しなかった。
【0050】
なお、例として4Vの電圧を印加したが、通常の発光電圧3〜7V程度では、図4に示す発光層膜厚とショートの発生率の関係に大きな変化は見られなかった。
【0051】
以上によりショートの発生を防ぐには、発光層の膜厚を15nm以上の膜厚を確保する必要がある。
【0052】
この結果を踏まえ、図1に示す有機発光装置を作製する場合、図2に示す第1電極101と第2電極102とのなす角傾斜角θとした時、θ≦cos−1(15/d)の式を満足するような傾斜角θと発光層の膜厚d1を選択する。そうすれば、d2の膜厚を15nm以上とすることができる。
【0053】
このようにすることによって、コンタクトホール124の傾斜部で、発光層115の膜厚を確保でき、先述したようなショートの発生率を低減することができる。
【0054】
なお、図1では有機化合物層111と有機化合物層112とで2つの有機化合物層を用いて説明したが、第1電極101よりも下層に、も発光層を有する第3の有機化合物層を形成し、第1電極は第3有機化合物層上に形成された3つの有機化合物層で構成しても良い。
【0055】
(有機発光装置の製造方法)
これまで、積層型の有機発光装置について説明をしたが、ここからは、有機発光装置の製造方法について図1及び図2を用いて説明をする。
【0056】
まず、絶縁基板122上にTFT123を形成し、絶縁基板122とTFT123上に平坦化膜125を形成する。この平坦化膜125上に第1電極101を形成し、第1電極101上に形成された少なくとも発光層を含む第1有機化合物層111を形成し、第1電極101上の第1有機化合物層111の一部を除去してコンタクトホール124を形成する。
【0057】
更に、第1有機化合物層111及びコンタクトホール124を覆う第2電極102を形成し、第2電極102上に形成された少なくとも発光層115を含む第2有機化合物層112を形成し、第2有機化合物層112上に形成された第3電極103を形成する。
【0058】
そして、コンタクトホール124と発光層115を形成する際には、コンタクトホール124の底部における第2有機化合物層112を構成する発光層115の膜厚をd(nm)とする。そして、コンタクトホール124における第1電極101と第2電極102との間のなす角θとした時、θ≦cos−1(15/d)となるように傾斜角θ及び発光層の膜厚d1を満足させるように形成する。
【0059】
このような有機発光装置の製造方法によれば、コンタクトホール124の傾斜部における発光層の膜厚を十分に確保できるため、ショート発生率を低減した有機発光装置を製造できる。
【0060】
また、有機発光装置の製造方法におけるコンタクトホール124の形成には、レーザーアブレーション法を用いる。
【0061】
このレーザーアブレーションのレーザー照射時間は照射パルス幅が1.0E−11sec以上、1.0E−06sec以下が好ましい。
【0062】
これにより、コンタクトホール加工端の盛り上がりを低減でき、かつ傾斜角がゆるやかなコンタクトホールを形成することができる。
【0063】
ここで、レーザーアブレーションのレーザー照射時間は照射パルス幅が1.0E−11sec〜1.0E−06secで加工したときの状態を、以下で説明する。
【0064】
パルス幅が1.0E−06sec以上では、加工部端面で伝熱の影響が大きく、加工部端部の有機化合物層が大きく盛り上がった形状で加工されてしまう。
【0065】
また、パルス幅が1.0E−11sec以下のパルス幅では、多光子吸収によるアブレーションによって加工されるので、照射部のみの有機化合物層が飛散し、端面の傾斜角が大きくなってしまう。
【0066】
すなわち、本発明に好適なコンタクトホール124を形成するには、パルス幅の調整が重要である。
【0067】
そのため、適切なパルス幅域を見出すため、図5に示すようなサンプルを作製し、各パルス幅でレーザー照射を行った。
【0068】
サンプルは、絶縁基板201上に金属電極202、バンク203が形成されており、その上に正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層が順次積層された有機化合物層220を構成している。
【0069】
図6は、レーザー照射後の概略図である。
【0070】
ここで、有機化合物層220の除去された部位の傾斜角度をα、除去の深度をt1、除去端部の盛り上がりをtとする。なお、深度t1は、除去前の有機化合物層の膜厚と等しい。
【0071】
図7では、横軸がパルス幅(sec)、縦軸を傾斜角度α(°)にとり、除去深度に対する盛り上がりの割合t/tの関係を示す実験結果である。
【0072】
図7によると、1.0E−11secよりもパルス幅を短くしていくと、コンタクトホールの傾斜角αが急激に大きくなる。傾斜角αが大きくなると、図2の第2有機化合物層112の傾斜部における発光層の膜厚d2が極端に薄膜化してしまい、前述のショートの可能性が高くなってしまう。
【0073】
通常、発光層の膜厚は20nm〜300nm程度なので、約30°以下の傾斜角で加工できれば、図2における発光層の膜厚d1が20nm程度でも、d2>15nmの膜厚が確保できる。そのためには、1.0E−11secよりも長いパルス幅が必要である。
【0074】
一方、パルス幅が1.0E−06secよりも大きくすると、傾斜角αは小さく出来るが、盛り上がりの割合t/tが急激に増加する。
【0075】
これは、レーザーアブレーションの現象として、パルス幅が短い時は昇華が起こり、パルス幅が長くなるにつれて、溶融から気化の現象が起こる。そのため、パルス幅が長くなると、溶融した材料が加工部端部で冷却され、固化してしまうので、盛り上がったような形状になってしまう。
【0076】
ここで、盛り上がりが大きくなると、後工程に形成される第2電極102、第3電極103の断線の恐れがあるため、盛り上がりを大きくしない方が良い。そのため、レーザー照射の好ましいパルス幅は、1.0E−11sec以上、かつ1.0E−06sec以下である。
【0077】
なお、図7中の1.0E−03とは1msecであり、1.0E−06とは1μsecであり、1.0E−09とは1nsecであり、1.0E−12とは1psecであり、1.0E−15とは1fsecのことである。
【0078】
(実施例1)
図8に示す図は、有機発光装置の表示領域を上からみた図で、実線で囲まれた部分が1ピクセルに相当している。
【0079】
図9に示す図は、図8のA−A’、B−B’で切断した断面図である。
【0080】
実施例1における有機発光装置の構成は、まず、絶縁基板322上にTFT323a、323b、323cや、平坦化膜325、配線350a、350b、350c、第1電極301a、301b、第4電極304、バンク321を有する。
【0081】
平坦化膜325上には、第1有機化合物層311、第2電極302、第2有機化合物層312、第3電極303、第3有機化合物層313、第5電極305が形成されている。
【0082】
また、第2電極302は、コンタクトホール324aで第1電極301aと接続されており、第3電極303は、コンタクトホール324bで第1電極301bとそれぞれ接続されている。ここで第1電極301a,301bは、TFT323a,323cに電気的に接続されている。
【0083】
ここで有機化合物層とは、少なくとも発光層を含み、単層型(発光層)、2層型(発光層/正孔注入層)、3層型(電子輸送層/発光層/正孔輸送層)がある。そして、4層型(電子注入層/発光層/正孔輸送層/正孔注入層)、5層型(電子注入層/電子輸送層/発光層/正孔輸送層/正孔注入層)がある。上記のいずれを使用することにしてもよい。
【0084】
また、ここで、第1電極301a、301b、第4電極304を金属の反射電極にし、第2電極302、第3電極303を透明電極にすることで、トップエミッション型の有機発光装置とすることができる。
【0085】
金属の反射電極は可視領域の光の反射率が高いほど、光取り出し効率を向上させることができる。例えば、Cr、Al、Ag、Pt等の材料単体、もしくはこれらの合金等がある。
【0086】
透明電極は、可視領域の光の透過率が高いほど、光取り出し効率を向上させることができる。例えば、ITOや、IZOといった材料がある。
【0087】
図10は、本発明の構造を有する有機発光装置の製造方法を表す説明図であり、図9A―A’の断面を元に製造プロセス順に説明した図である。
【0088】
以下、図10に基づいて説明する。
【0089】
(i)図10(a)において、TFT基板を作成する。まず、絶縁基板322上にTFT323a、323bや、絶縁膜からなる平坦化膜325があり、それらの上に第1電極301a、第4電極304、バンク321を形成する。
【0090】
(ii)図10(b)において、TFT基板上に第1有機化合物層を形成する。第1有機化合物層311の形成プロセスは、TFT基板上に、正孔注入層、正孔輸送層、青色発光層、電子輸送層、電子注入層の順で形成する。
【0091】
ちなみに、今回、発光層の膜厚は30〜40nm程度で形成するが、発光層の膜厚に関しては特には限定しない。
【0092】
また、有機化合物層の形成方法としては、蒸着法が好適だが、本発明の主旨に沿う公知の方法であれば特には限定しない。
【0093】
また、膜厚や材料はそれぞれの機能を有していればよく、本発明の構成として限定されるものではない。
【0094】
(iii)図10(c)において、第1電極301a上の第1有機化合物層311にコンタクトホール324aを形成する。
【0095】
形成方法としてはレーザー加工が好ましく、また、用いるレーザーとしては、赤外〜X線を発振できるものであればよい。例えば、炭酸ガスレーザー、一酸化炭素レーザー、HFレーザー、要素レーザー、ガラスレーザー、YAGレーザーがある。更に、YLFレーザー、アレクサンドライトレーザー、半導体レーザー、色素レーザー、窒素レーザー、エキシマレーザー、X線レーザー、自由電子レーザーなどが挙げられる。
【0096】
なお、この中でも、産業用としてもすでに用いられているエキシマレーザー、YAGレーザーといったものが、安定性、操作性といった点でもより好ましい。
【0097】
所望の箇所にレーザー照射する方法としては、レーザー光を所望のスポット面積に絞って、固定した基板にレーザー光を走査したり、レーザー光を固定し、基板を動作させたりする方法がある。その他にも、基板と照射光の相対位置を変化させて所望の箇所にレーザー光を照射する方法や、レーザー光を面状にして、所望の加工部のみに光が照射されるようフォトマスクを介して照射させる方法等がある。
【0098】
図11は、使用したエキシマレーザーの光学系を示した図である。
【0099】
エキシマレーザー401は、波長248nm、パルス幅25nsec、出力500mJで、5ショットで使用した。
【0100】
このエキシマレーザー401から照射された光は、レーザー光の光路400に沿って、まず、アッテネータ402で強度を調節し、次にホモジナイザー光学系403で光強度を均一化する。
【0101】
その後、フォトマスク404を介して、所望の加工部のみに光が照射されるように光の照射部を限定する。そして、全反射ミラー405で光路を曲げ、投影レンズ406で縮小、あるいは拡大して水平に設置されたサンプル408に照射する。
【0102】
サンプル408は、減圧されたチャンバー409内にとじこめられており、このチャンバー409は、チャンバー409内に光が透過するよう光路上には石英窓407が設置されている。
【0103】
上記条件で、有機化合物層311を除去した結果、傾斜角15°程度にする事ができた。
【0104】
また、加工面の端部での盛り上がりの割合(図6でいうところt/t)は0.3程度のコンタクトホール324aを形成することができた。
【0105】
(iv)図10(d)では、第2電極302を形成し、パターニングする。
【0106】
形成方法はスパッタ法が好適だが、本発明に沿う公知の方法であれば特には限定しない。
【0107】
第2電極302のパターニングする手法としては、コンタクトホール324aの形成時と同様に、レーザーアブレーション法により不要な部分を除去しても良いし、所望の箇所のみに電極膜が堆積されるようマスクを介して電極を形成してもよい。
【0108】
(v)図10(e)では、第2有機化合物層312を形成する。
【0109】
第2有機化合物層312を形成させる手段としては、第1有機化合物層311を形成する手段と同様なので、説明を省略する。
【0110】
次に、図10には不図示であるが、図9の断面B−B’に記載のコンタクトホール324bを形成した。(図10はA−A’の断面に基づいて工程を説明しているので、図9の断面B−B’は不図示となっている。)
コンタクトホール324bを形成させる方法は、コンタクトホール324aを形成した際の工程と同様にして行った。
【0111】
その結果、コンタクトホール324bにおいても、傾斜角15°程度の盛り上がりの割合(図6でいうところのt/t)は0.3程度で、第1有機化合物層311、第2有機化合物層312を除去することができた。
【0112】
(vi)図10(f)では、第3電極303を形成、及びパターニングした。
【0113】
第3電極303を形成する手段は、第2電極302を形成する手段と同様にして行った。
【0114】
(vii)図10(g)では、第3機層313を第2有機化合物層312、第1有機化合物層311と同様の手段で形成した。
【0115】
(viii)図10(h)では、第5電極305を第2電極302、第3電極303と同様の手段で形成した。最後に不図示のキャップガラスにて封止を行い、有機発光装置を得た。
【0116】
ここで、第1有機化合物層311、第2有機化合物層312、第3有機化合物層313の発光色をそれぞれ、BGRにして形成したが、これらの順は、BRG、RGB、RBG、GRB、GBRであってもよい。
【0117】
このようにして図9に記載の有機発光装置を作製することができる。
【0118】
そして、各有機化合物層に電圧を印加して所望の発光状態を得るが、その方法を、図9を用いて説明する。
【0119】
図9の第1有機化合物層311においては、第4電極304と第2電極302に電圧を印加させて発光を得る。ここで、第4電極304はTFT323a、配線350aを介して電源回路351aと接続されている。第2電極302は、コンタクトホール324aで第1電極301aに接続されている。第1電極301aは、TFT323b、配線350bを介して電源回路351aに接続され、電流が供給されている。
【0120】
第2有機化合物層312においては、第2電極302と第3電極303によって電圧を印加されている。第2電極302は、先に述べた方法で電源回路351bと接続されている。第3電極303は、コンタクトホール324bで第1電極301bに接続されている。第1電極301bは、TFT323c、配線350cを介して電源回路351bに接続され、電流が供給されている。
【0121】
第3有機化合物層313においては、第3電極303と第5電極305によって電圧を印加されている。第3電極303は、先に述べた方法で電源回路351cと接続され、第5電極305は、配線350dを介して電源回路351cに接続され、電流が供給されている。
【0122】
このような有機発光装置の等価回路図は図12のようになっている。各有機化合物層の電流供給の方法は上述した通りである。
【0123】
以上のような工程で作製された有機発光装置において、各コンタクトホールの傾斜部においてショートの発生率を低減することができる。
【0124】
(実施例2)
実施例2では、1ピクセルを2サブピクセルで構成している。これを以下に説明する。
【0125】
図13に示す図は、有機発光装置の表示領域を上からみた拡大図で、太い実線で囲まれた部分が1ピクセルに相当し、点線で区切られた部分がサブピクセルに相当している。すなわち、1ピクセルは、2つのサブピクセルP、Pから構成されている。
【0126】
図14に示す図は、図13のA―A’、B―B’で切断した断面図である。
【0127】
実施例2における有機発光装置の構成は、まず、絶縁基板522上にTFT523a、523bや、平坦化膜525、第4電極504a、504b、第5電極505a、505b、バンク521を有するTFT基板がある。
【0128】
その上に、第3有機化合物層513、第1電極501、第1有機化合物層511、第2電極502、第2有機化合物層512、第3電極503が形成されている。
【0129】
ここで、サブピクセルPにおいては、第2電極502は、コンタクトホール524aで第1電極501と接続され、第1電極501は、コンタクトホール524bで第5電極505aと接続されている。
【0130】
そして、第5電極505aはTFT523a、配線551bを通じて、電源回路552に接続されている。
【0131】
また、第4電極504aは配線551aを通じて電源回路552に接続されている。
【0132】
また、第3電極503は配線551dを通じて電源回路552に接続されている。
【0133】
一方、サブピクセルPにおいては、第2電極502は、コンタクトホール524cで第1電極501と接続され、第1電極501は、コンタクトホール524dで第5電極505bと接続されている。
【0134】
また、第1電極501はコンタクトホール524eで、第4電極504bと接続されている。
【0135】
そして、第5電極505bは、TFT523b、配線551cを通じて、電源回路552に接続されている。
【0136】
また、第4電極504bは配線551aを通じて電源回路552に接続され、第3電極503は配線551dを通じて電源回路552に接続されている。
【0137】
ここで各有機化合物層の発光色は、実施例1と同様のものを用いたので説明を省略する。
【0138】
また、本実施例の有機発光装置は、第1電極501、第2電極502、第3電極503に透明電極を使用し、第4電極504a、504b、第5電極505a、505bには金属の反射電極を使用したトップエミッション型の有機発光装置である。
【0139】
次に、図15は、本発明の構造を有する有機発光装置の製造方法を表す説明図であり、図14A−A’の断面図をもとに製造プロセス順に説明された図である。
【0140】
(i)図15(a)において、TFT基板を作成する。まず、絶縁基板522上にTFT523aや、平坦化膜525があり、それらの上に第4電極504a、第5電極505a、バンク521が形成する。
【0141】
(ii)図15(b)において、第3有機化合物層513を形成する。第3有機化合物層513の形成方法は実施例1と同様にして行う。
【0142】
(iii)図15(c)において、第3有機化合物層513の一部を除去し、コンタクトホール524bを形成する。
【0143】
尚、図14の断面B−B’に記載のコンタクトホール524d、524eも同時に形成する。なお、図15は図14A−A’の断面に基づいて工程を説明しているので、コンタクトホール524d、524eを形成するための加工の様子は不図示としている。
【0144】
また、実施例2では有機化合物層を除去するのにレーザーアブレーション法にて行う。YAGレーザーを用いて、Nd:YAGレーザーの4倍高調波(波長266nm、パルス幅20psec、出力3mJ)のレーザーを用い、1ショットの照射を行った。
【0145】
その結果、傾斜角が30°程度で、盛り上がりの割合(図6でいうところのt/t)は0.1程度の加工断面で有機化合物層の除去が可能である。
【0146】
また、他にもNd:YAGレーザーで、3倍高調波(波長335nm、パルス幅7nsec、出力200mJ)等を用いてもよく、その場合は、傾斜角が15°程度、盛り上がりの割合が0.3程度の加工断面で、有機化合物層の除去が可能である。
【0147】
ここでは照射を1ショットで行ったが、照射を複数回行っても同様の結果が得られる。
【0148】
(iv)図15(d)において、第1電極501を形成する。なお、電極の形成方法は、第1の実施例と同様にして行う。
【0149】
(v)図15(e)において、第1有機化合物層511を、第3有機化合物層513と同様の手法で形成する。
【0150】
(vi)図15(f)において、第1有機化合物層511の一部を除去しコンタクトホール524aを形成する。除去方法としては、前述の方法と同様にして行う。
【0151】
尚、図14の断面B−B’に記載のコンタクトホール524cも同時に形成する。ここで、図15は図14A−A’の断面に基づいて工程を説明しているので、コンタクトホール524cを形成するための加工の様子は不図示となっている。
【0152】
(vii)図15(g)において、第2電極502を第1電極501と同様の手法で形成する。
【0153】
(viii)図15(h)において、第2有機化合物層512を、第3有機化合物層513と同様の手法で形成する。
【0154】
(ix)図15(i)において、第3電極503を第1電極501と同様の手法で形成する。最後に不図示キャップガラスにて封止を行い、図14に記載の有機発光装置を得た。
【0155】
また、このようにして形成された有機発光装置の等価回路図を図16に示す。
【0156】
各サブピクセルP、Pはスイッチング用TFT601a、601bと駆動用TFT602a、602bと電極、有機化合物層、電極からなる有機素子と、コンデンサ603a、603bで構成されている。
【0157】
ここでスイッチング用TFT601a、601bのゲート電極はゲート信号線605に接続されている。
【0158】
また、スイッチング用TFT601a、601bのソース領域は、ソース信号線606a、606bにドレイン領域は駆動用TFT602a、602bのゲート電極に接続されている。
【0159】
また、駆動用TFT602a、602bのソース領域は電源回路552に、ドレイン領域は有機EL素子の一方の電極に接続されている。
【0160】
また、コンデンサ603a、603bは電極のそれぞれが、駆動用TFT602a、602bのゲート電極とGNDとに接続されるように形成されている。
【0161】
このように、駆動用TFT602a、602bと有機EL素子が直列に接続されており、有機EL素子に流れる電流を駆動用TFT602a、602bで制御する。
【0162】
次に、上記構造の有機発光装置の駆動方法について図17を参照して説明する。
【0163】
図17は電源回路552により有機発光装置の駆動波形の一例を示す図である。
【0164】
時間t1において、ゲート信号線605の電位をVgに設定すると、スイッチングTFT601a,601bがON状態となる。そして、ソース信号線606a,606bの電位Vsig1がスイッチングTFT601a,601bを介してコンデンサ603a,603b及び駆動TFT602a,602bのゲート容量に充電される。
【0165】
時間t2において、ゲート信号線605の電位が0[V]に設定され、スイッチングTFT601a,601bがOFF状態となり、コンデンサ603a,603bに充電された電圧が保持される。
【0166】
時間t3において、第2電極502及び第3電極503の電位がVcに設定される。
【0167】
このとき、電源供給線607は0[V]の状態ので、有機化合物層及び駆動TFT602a,602bのソースドレイン間に電位差が生じる。
【0168】
これにより、第3有機化合物層513及び第1有機化合物層511に第1電極501と第2電極502から電子が注入されるとともに、第4電極504a、504b及び第1電極501からホールが注入される。これにより、電子とホールの再結合により励起された有機分子が基底状態に緩和するときに発光が得られ、この発光光が第3電極503側から射出される。
【0169】
なお、第2有機化合物層512には逆方向電圧が印加されるため発光しない。
【0170】
有機化合物層に流れる電流は駆動用TFT602a,602bで制御され、コンデンサ603a,603bに充電された電圧に応じて、駆動用TFT602a,602bのソースドレイン間に電流I1が流れる。この状態は、時間t4まで維持される。
【0171】
時間t4において、第4電極504a、504b及び第3電極503の電位が0[V]に設定される。すると、有機化合物層及び駆動TFT602a,602bのソースドレイン間に電位差が無くなるので、第3有機化合物層513及び第1有機化合物層511は発光しなくなる。
【0172】
続いて、第3有機化合物層513を発光させるための信号Vsig2がソース信号線606a,606bに設定される。
【0173】
時間t5において、ゲート信号線605の電位をVgに設定される。スイッチングTFT601a,601bがON状態となり、ソース信号線606a,606bの電位Vsig2がスイッチングTFT601a,601bを介してコンデンサ603a,603b及び駆動TFT602a,602bのゲート容量に充電される。
【0174】
時間t6において、ゲート信号線605の電位が0[V]に設定され、スイッチングTFT601a,601bがOFF状態となり、コンデンサ603a,603bに充電された電圧が保持される。
【0175】
時間t7において、電源供給線607の電位がVcに設定される。このとき、第4電極504a、504b及び第3電極503の電位が0[V]なので、有機化合物層及び駆動TFT602a,602bのソースドレイン間に電位差が生じる。
【0176】
これにより、第2有機化合物層512に第3電極503から電子が注入されると共に、第2電極502からホールが注入され、電子とホールの再結合により励起された有機分子が基底状態に緩和する時に発光が得られ、この発光光が第3電極503側から放射される。
【0177】
なお、第3有機化合物層513及び第1有機化合物層511には逆方向電圧が印加されるため発光しない。有機化合物層に流れる電流は駆動用TFT602a,602bで制御され、コンデンサ603a,603bに充電された電圧に応じて、駆動用TFT602a,602bのソースドレイン間に電流I2が流れる。この状態は、時間t8まで状態が維持される。
【0178】
時間t8において、電源供給線552の電位が0[V]に設定される。
すると、有機化合物層及び駆動TFT602a,602bのソースドレイン間に電位差が無くなるので、第2有機化合物層512は発光しなくなる。
【0179】
上述の動作を繰り返すことで、有機化合物層511、512、513を時分割で発光させることができる。なお、図16では説明されていないが、図14で説明したように505a、505bは第5電極であり、551a〜551dは配線である。
【0180】
そして電源回路552を人間が識別できない程度、例えば60Hz程度、或いはそれ以上の高い周期で駆動する。これにより、第3有機化合物層513、第1有機化合物層511の発光色と、第2有機化合物層512の発光色との任意の混合色の光を表現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0181】
【図1】本発明における有機EL装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】図1におけるコンタクトホール124付近の拡大図である。
【図3】発光層のサンプリングを取得するための有機発光装置の概略構成を示す模式図である。
【図4】発光層の膜厚とショート発生率を示すグラフである。
【図5】コンタクトホールを形成するための有機素子ELの概略構成を示す模式図である。
【図6】コンタクトホールを形成する際に生じる盛上がりを説明するための模式図である。
【図7】レーザーパルス幅とコンタクトホールの傾斜角度、及び盛り上がりの割合を示すグラフである。
【図8】実施例1にかかる有機発光装置の概略構成を示す模式図である。
【図9】図8における有機発光装置の断面図である。
【図10】実施例1にかかる有機発光装置の製造工程を示す模式図である。
【図11】実施例1で用いるエキシマレーザー光学系の概略構成を示す模式図である。
【図12】実施例1にかかる有機発光装置の等価回路図である。
【図13】実施例2にかかる有機発光装置の概略構成を示す模式図である。
【図14】図13における有機発光装置の断面図である。
【図15】実施例2にかかる有機発光装置の製造工程を示す模式図である。
【図16】実施例2にかかる等価回路図を示す模式図である。
【図17】実施例2にかかる有機発光装置において電源回路の波形を示す図である。
【符号の説明】
【0182】
101 第1電極
102 第2電極
103 第3電極
104 第4電極
111 第1有機化合物層
112 第2有機化合物層
115 発光層
150a、150b、105c 配線
151 電源手段
121 バンク
122 絶縁基板
123 TFT
124 コンタクトホール
125 平坦化膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の上に形成された第1電極と、
前記第1電極の上に形成された少なくとも発光層を有する第1有機化合物層と、
前記第1有機化合物層の上に形成された第2電極と、
前記第2電極の上に形成された少なくとも発光層を有する第2有機化合物層と、
前記第2有機化合物層の上に形成されたと第3電極と、
前記第2電極を前記第1電極と電気的に接続するために、前記第1有機化合物層に形成されたコンタクトホールと、を有する有機発光装置において、
前記コンタクトホールの底部における前記第2有機化合物層の発光層の膜厚をdとし、
前記コンタクトホールの傾斜部における前記第1電極と前記第2電極との間のなす角をθした時、θ≦cos−1(15/d)を満たすことを特徴とする有機発光装置。
【請求項2】
前記第1電極と前記第1有機化合物層の間には、該第1有機化合物層とは異なる第3有機化合物層が設けられており、
前記コンタクトホールは、前記第1有機化合物層及び第3有機化合物層に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の有機発光装置。
【請求項3】
前記基板にはトランジスタが形成されており、前記第2電極は前記第1電極を介して前記トランジスタと電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の有機発光装置。
【請求項4】
基板の上に第1電極を形成する工程と、
前記第1電極の上に少なくとも発光層を含む第1有機化合物層を形成する工程と、
前記第1有機化合物層にコンタクトホールを形成する工程と、
前記第1有機化合物層及び前記コンタクトホールを覆うように第2電極を形成する工程と、
前記第2電極の上に少なくとも発光層を含む第2有機化合物層を形成する工程と、
前記第2有機化合物層の上に第3電極を形成する工程とを有する有機発光装置の製造方法において、
前記コンタクトホールの底部における前記第2有機化合物層の発光層の膜厚をdとし、前記コンタクトホールの傾斜部における前記第1電極と前記第2電極との間のなす角をθとしたとき、θ≦cos−1(15/d)を満たすように、
前記コンタクトホール及び前記第2有機化合物層を形成することを特徴とする有機発光装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1有機化合物層の形成の後に、前記第1有機化合物層の上に第4電極を形成する工程と、
前記第4電極の上に第3有機化合物層を形成する工程とを有し、
前記コンタクトホールを形成する際には、第1有機化合物層及び第3有機化合物層に形成することを特徴とする請求項4に記載の有機発光装置の製造方法。
【請求項6】
前記コンタクトホールを形成する工程では、レーザーアブレーション法を用い、レーザーの照射パルス幅が1.0E−11sec以上で1.0E−06sec以下であることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の有機発光装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−123498(P2010−123498A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−298176(P2008−298176)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】