説明

有機系排水処理システム

【課題】 有機系排水に含まれる汚泥を炭化させた炭を再利用して、有機系排水処理設備で分離された処理水を濾過し、このことにより炭化された炭を有効活用することができる有機系排水処理システムを提供すること。
【解決手段】 本発明の有機系排水処理システム100は、有機系排水10を処理水13と汚泥11とに分離して、これら処理水13と汚泥11を排出する有機系排水処理設備1と、有機系排水処理設備1からの汚泥11を受け入れるとともに、当該汚泥11を炭化させて炭15を生成する炭化装置7とを備えている。有機系排水処理設備1の下流には、有機系排水処理設備1からの処理水13を受け入れるとともに、炭化装置7で生成された炭15が充填された炭充填部9が設けられている。炭充填部9は、炭化装置7で生成された炭15を用いて、有機系排水処理設備1から受け入れる処理水13を濾過して高度処理水17を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機系処理水に含まれる汚泥を炭化させた炭を再利用して、高度処理水を生成する有機系排水処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の有機系排水処理システム100は、図3に示すように、有機系排水10を処理水13と汚泥11とに分離して、これら処理水13と汚泥11を排出する有機系排水処理設備1と、有機系排水処理設備1からの汚泥11を受け入れるとともに、当該汚泥11を炭化させて炭15を生成する炭化装置7とを備えている。
【0003】
また、図3に示すように、有機系排水処理設備1と炭化装置7との間には、汚泥脱水設備3と汚泥乾燥設備5とが順次設けられている。
【0004】
図3に示すように、有機系排水処理設備1に送られた有機系排水10は、まず、有機系排水処理設備1によって処理水13と汚泥11とに分離される。次に、有機系排水処理設備1で分離された汚泥11は汚泥脱水設備3へ送られ、他方、処理水13は河川30等に放流される。
【0005】
この間、有機系排水処理設備1から汚泥脱水設備3へ送られた汚泥11は、汚泥脱水設備3で脱水される。次に、脱水された脱水汚泥11aは、汚泥脱水設備3から汚泥乾燥設備5へ送られて、この汚泥乾燥設備5で乾燥される。次に、汚泥乾燥設備5で乾燥された乾燥汚泥11bは、汚泥乾燥設備5から炭化装置7へ送られて、炭化装置7で炭化され炭15になり、この炭15は廃棄場40で廃棄される。
【0006】
ところで、従来より、汚泥と炭化物を攪拌し、攪拌した汚泥と炭化物を炭化炉で炭化させ、炭化させた炭化物を、汚泥とともに攪拌する炭化物として再利用することが知られている(特許文献1参照)。
【0007】
また、高温の炭化品を投入して汚水を加熱することにより水分を蒸発させて汚水から汚濁物質を分離し、その分離した汚濁物質を加熱して高温炭化品を得て、この高温炭化品を汚水を加熱するために再利用することが知られている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平11−253996
【特許文献2】特開2001−104939
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、図3に示す従来技術において、炭化装置7において生成された炭15は、廃棄場40で廃棄されており、有機系排水処理システム100において有効に活用されていない。また、特許文献1及び2における炭の利用方法は特殊なものであり、一般的な手法ではないため、依然として炭化装置で炭化された炭の多くは、廃棄場に捨てられているのが実情である。
【0009】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、有機系処理水に含まれる汚泥を炭化させた炭を再利用して、有機系排水処理設備により分離された処理水を濾過し、このことにより炭化された炭を有効活用することができる有機系排水処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、有機系排水を処理水と汚泥とに分離して、これら処理水と汚泥を排出する有機系排水処理設備と、有機系排水処理設備からの汚泥を受け入れるとともに、当該汚泥を炭化させて炭を生成する炭化装置と、有機系排水処理設備の下流に設けられ、有機系排水処理設備からの処理水を受け入れるとともに、炭化装置で生成された炭が充填された炭充填部とを備え、炭充填部は、有機系排水処理設備から受け入れる処理水を炭により濾過して高度処理水を生成することを特徴とする有機系排水処理システムである
【0011】
本発明は、有機系排水処理設備と炭化装置との間に汚泥脱水設備が設けられ、汚泥脱水設備は、有機系排水処理設備から排出された汚泥を脱水し、脱水させた汚泥を炭化装置へ送ることを特徴とする有機系排水処理システムである。
【0012】
本発明は、汚泥脱水設備と炭化装置との間に汚泥乾燥設備が設けられ、汚泥乾燥設備は、汚泥脱水設備から排出された汚泥を乾燥し、乾燥させた汚泥を炭化装置へ送ることを特徴とする有機系排水処理システムである。
【0013】
本発明は、炭充填部は、内部に充填された炭を取出口から外部へ取り出し可能としたことを特徴とする有機系排水処理システムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、有機系排水に含まれる汚泥を炭化させた炭を再利用することにより、有機系排水処理設備で分離された処理水を濾過し、このことにより炭化された炭を有効活用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
第1の実施の形態
以下、本発明に係る有機系排水処理システム100の第1の実施の形態について、図面を参照して説明する。ここで、図1は本発明の第1の実施の形態を示す図である。なお、以下の実施の形態においては、炭充填部として水槽9を用いて説明するが、炭充填部は炭を充填できれば良く、例えば排水溝といった水槽9以外の場所であっても良い。
【0016】
また、本実施の形態に係わる有機系排水処理システム100は、有機系排水10に後述する処理を施すことにより高度処理水17を生成し、最終的には、この高度処理水17を河川30などに放流するものである。
【0017】
図1に示すように、本発明による有機系排水処理システム100は、有機系排水10を処理水13と汚泥11とに分離して、これら処理水13と汚泥11を排出する有機系排水処理設備1と、有機系排水処理設備1からの汚泥11を受け入れるとともに、当該汚泥11を炭化させて炭15を生成する炭化装置7と、有機系排水処理設備1の下流に設けられ、有機系排水処理設備1からの処理水13を受け入れるとともに、炭化装置7で生成された炭15が充填された水槽9とを備えている。このうち、水槽9は、有機系排水処理設備1から受け入れる処理水13を充填された炭により濾過して高度処理水17を生成するものである。
【0018】
また、図1に示すように、有機系排水処理設備1と炭化装置7との間には汚泥脱水設備3と汚泥乾燥設備5とが順次設けられている。このうち、汚泥脱水設備3は、有機系排水処理設備1からの汚泥11を受け入れるとともに、汚泥11を脱水して脱水汚泥11aを生成するものである。また、汚泥乾燥設備5は、汚泥脱水設備3により脱水された脱水汚泥11aを受け入れるとともに、脱水汚泥11aを乾燥して乾燥汚泥11bを生成するものである。
【0019】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について述べる。
【0020】
図1に示すように、まず、有機系排水処理設備1に送られた有機系排水10は、有機系排水処理設備1によって処理水13と汚泥11とに分離される。次に、有機系排水処理設備1で分離された処理水13は、後述するように炭化装置7で生成された炭15が充填された水槽9に送られる。そして、水槽9に送られた処理水13は、水槽9内に充填された炭15により濾過されて脱色、浄化される。最後に、処理水13を濾過することにより生成された高度処理水17は、河川30へ放流される。
【0021】
次に、本実施の形態に係わる有機系排水処理システム100において、汚泥11から生成される炭15を水槽9へ充填する手順について説明する。
【0022】
すなわち、この間、有機系排水処理設備1で分離された汚泥11は、汚泥脱水設備3へ送られて、汚泥脱水設備3で脱水される。次に、脱水された脱水汚泥11aは、汚泥脱水設備3から汚泥乾燥設備5へ送られて、汚泥乾燥設備5で乾燥される。次に、乾燥された乾燥汚泥11bは、汚泥乾燥設備5から炭化装置7へ送られて、炭化装置7で炭化され炭15となる。最後に、炭化装置7で得られた炭15は、水槽9に充填される。
【0023】
上述したように、本実施の形態によれば、有機系処理水13に含まれる汚泥11を汚泥脱水設備3及び汚泥乾燥設備5を順次経て、炭化装置7において最終的に炭15を生成することができる。次に、この炭15を水槽9において再利用して、水槽9において有機系処理水13から汚泥11を取り除いた処理水13を炭15により濾過することができる。このため、有機系処理水13に含まれる汚泥11から最終的に炭化装置7において生成される大量の炭15を水槽9において有効に活用することができる。また、この水槽9において、処理水13を脱色、浄化した高度処理水17を得ることができる。
【0024】
第2の実施の形態
次に図2により本発明の第2の実施の形態について説明する。図2に示す第2の実施の形態は、水槽9の構成が異なるのみであり、他は図1に示す第1の実施の形態と略同一である。
【0025】
図2に示す第2の実施の形態において、図1に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0026】
図2に示すように、水槽9は内部に充填された炭15を外部に取り出す取出口8を有し、この取出口8から水槽9内の炭15が外部へ取り出される。
【0027】
図2において、水槽9内に充填された炭15は、処理水13を濾過するために用いられる。このため、水槽9内に充填された炭15には処理水13に含まれる有機養分が十分に吸着している。
【0028】
ここで、図2に示すように、水槽9は内部に充填された炭15を外部へ取り出す取出口8を有し、水槽9内の炭15は、取出口8から水槽9内の炭15が外部へ取り出すことができる。このため所望に応じて自由に取り出すことができ、例えば炭15の充填された水槽9内に処理水13を一定時間流して処理水13を濾過し、この一定時間経過後に水槽9内の炭15を水槽9から取り出すことができる。この一定時間は、実機により運転した後、炭15が有機養分を十分に吸着する適切な時間に定めることができる。
【0029】
このように、図2に示すように、有機養分を十分に吸着した炭15を水槽9内から取り出して農地20に散布することができ、炭15を農作物の肥料となる土地改良剤19として利用することができる。また、有機系排水10に含まれる汚泥11から最終的に生成される炭15を土地改良剤19として用いるので、有機系排水処理システム100から排出される大量の炭15を廃棄場で処理する必要が無くなる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明による有機系排水処理システムの第1の実施の形態を示す構成図。
【図2】本発明による有機系排水処理システムの第2の実施の形態を示す構成図。
【図3】従来の有機系排水処理システムを示す構成図。
【符号の説明】
【0031】
1 有機系排水処理設備
3 汚泥脱水設備
5 汚泥乾燥設備
7 炭化装置
8 取出口
9 水槽
10 有機系排水
11 汚泥
11a 脱水汚泥
11b 乾燥汚泥
13 処理水
15 炭
17 高度処理水
19 土地改良剤
20 農地
30 河川
40 廃棄場
100 有機系排水処理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機系排水を処理水と汚泥とに分離して、これら処理水と汚泥を排出する有機系排水処理設備と、
有機系排水処理設備からの汚泥を受け入れるとともに、当該汚泥を炭化させて炭を生成する炭化装置と、
有機系排水処理設備の下流に設けられ、有機系排水処理設備からの処理水を受け入れるとともに、炭化装置で生成された炭が充填された炭充填部とを備え、
炭充填部は、有機系排水処理設備から受け入れる処理水を炭により濾過して高度処理水を生成することを特徴とする有機系排水処理システム。
【請求項2】
有機系排水処理設備と炭化装置との間に汚泥脱水設備が設けられ、
汚泥脱水設備は、有機系排水処理設備から排出された汚泥を脱水し、脱水させた汚泥を炭化装置へ送ることを特徴とする請求項1記載の有機系排水処理システム。
【請求項3】
汚泥脱水設備と炭化装置との間に汚泥乾燥設備が設けられ、
汚泥乾燥設備は、汚泥脱水設備から排出された汚泥を乾燥し、乾燥させた汚泥を炭化装置へ送ることを特徴とする請求項2記載の有機系排水処理システム。
【請求項4】
炭充填部は、内部に充填された炭を取出口から外部へ取り出し可能としたことを特徴とする請求項1記載の有機系排水処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−29787(P2007−29787A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−212982(P2005−212982)
【出願日】平成17年7月22日(2005.7.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】