説明

有機電子素子のための化合物

本発明は、式(1)の化合物が発光層のドーパントとして使用される有機エレクトロルミネセンス素子、特に青色発光素子の改良に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は新規な化合物並びにそれの有機電子素子への使用を記載する。
【0002】
有機エレクトロルミネセンス素子(OLED)において、可視スペクトル領域で光を放射することができる半導体有機化合物の使用が公知である。このような素子の一般構造は、例えば、US 4539507、US 5151629、EP 0676461及びWO 98/27136に記載されている。しかしながら、これらの素子は、早急な改善を要するかなりの問題を未だ常に示している:
1.効率は、特に蛍光OLEDの場合、未だあまりにも低く改善される必要がある。
【0003】
2.駆動寿命は未だ常に短く、特に青色発光の場合、これは、これまでは、簡単なアプリケーションを商業的に得ることができるのみであることを示している。
【0004】
3.駆動電圧は特に蛍光OLEDの場合、極めて高く、それ故パワー効率を改善するために更に低減されねばならない。このことは、とりわけ携帯アプリケーションにおいて非常に重要である。特に、OLEDは、先行技術によれば、駆動電圧の正孔輸送層の層厚に対する強い依存性を示している。
【0005】
4.芳香族アミンと共に2重結合構造を含む青色発光エミッターは、熱的に不安定で、昇華時若しくは蒸着時に分解する。従って、これら構造の使用は、そうするとしても、多大な損失と高度な技術的複雑性を伴ってのみ可能であるにすぎない。
【0006】
最も近い先行技術は、イデミツによる、ある種のアリールビニルアミンの使用(例えば、WO 04/013073、WO 04/016575、WO 04/018587)が言及され得る。暗青色発光での非常に良好な寿命がそこでは挙げられている。しかしながら、これらの結果は、使用される母体材料に高度に依存しており、挙げられた寿命は、絶対値として比較できないことを示し、これらの結果は、その代わり常に最適システムにおける使用にのみ依存している。更に、これらの化合物は、熱的に不安定で、分解せずに蒸発されることはできず、それ故OLED製造のためには高度の技術的複雑性を必要とし、よって、顕著な技術的不利益を示すことになる。更なる不利益は、これらの化合物の発光色である。イデミツは、暗青色発光(0.15〜0.18範囲のCIE y座標)を挙げるが、他方、先行技術による単純な素子ではこれらの色座標は再現することができなかった。逆に、緑色発光がここでは得られる。これらの化合物を使用して、どうやって青色発光が現実に生み出されることができるか明確ではない。
【0007】
このように、有機エレクトロルミネセンス素子に良好な効率をもたらすと同時に長い使用寿命をもたらし、技術的問題なく加工されることのできる青色発光化合物に対する需要が引き続き存在する。驚くべきことに、以下に言及するある化合物を母体材料中に青色発光ドーパントとして含む有機エレクトロルミネセンス素子が、先行技術に対する顕著な改善を有することが今や見出された。これらの材料により、より長い使用寿命と同時により高い効率を得ることが可能となる。加えて、これらの化合物は、先行技術による材料とは対照的に、特に分解せずに、比較的大量にさえ昇華されることができ、したがって、先行技術による材料より顕著に取り扱い易い。
【0008】
更に、これらの化合物は、正孔輸送材料として、電子輸送材料層として若しくは燐光発光母体材料としての使用に適するものである。
【0009】
したがって、本発明は、これら化合物及びそれらのOLEDへの使用に関する。
【0010】
本発明は、下記式(1)の化合物に関する。
【化4】

【0011】
ここで、使用される記号及び添字には、下記が適用される;
Yは、出現毎に、N、P、P=O、PF、P=S、As、As=O、As=S、Sb、Sb=O、Sb=S、C=O、O、S、Se、Te、S=O、SO、Se=O、SeO、Te=O若しくはTeO2;
Ar、Ar、Arは、出現毎に同一であるか異なり、5〜24個の芳香族環原子を有し、1以上のR基により置換されていてもよい、アリール若しくはヘテロアリール基であり;
Arは、出現毎に同一であるか異なり、5〜40個の芳香族環原子を有し、1以上のR基により置換されていてもよい、芳香族若しくは複素環式芳香族環構造であり;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、F、Cl、Br、I、CN、NO、Si(R、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシ若しくはチオアルコキシ基又は3〜40個のC原子を有する分岐又は環状アルキル、アルコキシ若しくはチオアルコキシ基(ここで、各鎖は1以上のRにより置換されていてもよく、1以上の隣接しないCH基は、-RC=CR-、-C≡C-、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、-O-、-S-若しくはCONR-により置き換えられていてもよい)、1以上のH原子は、F、Cl、Br、I、CN若しくはNOで置換されていてもよく、又は、1以上のR基により置換されていてもよい5〜40個の芳香族環原子を有する芳香族若しくは複素環式芳香族環構造、又は、1以上のR基により置換されていてもよい、5〜40個の芳香族環原子を有するアリール若しくはヘテロアリール基で、又は、これらの構造の組み合わせであり;2以上の置換基Rは、ここでまた互いにモノ-若しくはポリ環状脂肪族環構造を形成してもよいものであり;
は、出現毎に同一であるか異なり、H若しくは1〜20個のC原子を有する脂肪族若しくは芳香族炭化水素基であり;
、Xは、出現毎に同一であるか異なり、Ar及びArと共に環状構造を規定する、B(R)、C(R、Si(R、C=O、C=NR、C=C(R、O、S、S=O、SO、N(R)、P(R)、P(=O)R、P(=S)R、若しくはこれら基の2、3又は4個の組み合わせから選択されるブリッジであり;
、Xは、出現毎に同一であるか異なり、XとAr及びArと共に環状構造を規定し、
n、o、pは、出現毎に同一であるか異なり、0か1であり、但し、第5主族からのYに対して、もしもqが3であるときにだけ、n、p及びoが同時に0であり得、ここで、nが0若しくはoが0若しくはpが0は、2個のH原子若しくはR基が、ブリッジの代わりに存在することを意味し、
qは、Yが第5主族元素により結合するならば、1,2若しくは3であり、YがOを介して結合するならば2であり、Yが第6主族の別の元素により結合するならば、1若しくは2であり、
rは、Yが第5主族元素により結合するならば、(3-q)であり、Yが第6主族の別の元素により結合するならば、(2-q)であり、
以下の化合物は除外される。
【化5】

【0012】
本発明の目的のためには、アリール基若しくはヘテロアリール基は、アリール基が、6〜24個のC原子を含み、ヘテロアリール基が2〜24個のCを含み、そして、合計で少なくとも5個の芳香族環原子を含む、夫々共通の芳香族電子構造を有する芳香族基若しくは複素環式芳香族基を意味すると解される。ヘテロ原子は、好ましくは、N、O、及び/又はSから選ばれる。本発明の目的のために、これは、例えば、ベンゼン、ピリジン、チオフェン等のような、単一のホモ-ヘテロ環であり得、又は、例えば、ベンゼン環のような少なくとも一つの芳香族基若しくは複素環式芳香族環が、互いに「縮合」即ち少なくとも一つの共通の辺を有し、それ故共通の芳香族構造を有する、縮合芳香族環構造であり得る。このアリール基若しくはヘテロアリール基は置換されていてもよく、置換されていなくともよく、存在するどの置換基も更なる環構造を同様に形成しても良い。したがって、例えば、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン等のような系が、本発明の目的のためのアリール基とみなされ、キノリン、アクリジン、ベンゾチオフェン、カルバゾール等が、本発明の目的のためのヘテロアリール基とみなされ、例えば、ビフェニル、フルオレン、スピロビフルオレン等は、別々の芳香族電子構造がそこに存在することから、アリール基ではない。
【0013】
本発明の目的のためには、芳香族環構造は、環構造に6〜40個のC原子を含む。本発明の目的のためには、複素環式芳香族環構造は、環構造に2〜40個のC原子と少なくとも一つのヘテロ原子を含むが、但し、C原子とヘテロ原子の合計数が少なくとも5である。ヘテロ原子は、好ましくはN、O及び/又はSから選ばれる。本発明の目的のために、芳香族系又は複素環式芳香族系とは、必ずしも芳香族基または複素環式芳香族基のみを含む系ではなく、2以上の芳香族基又は複素環式芳香族基は、例えば、sp混成のC、N若しくはO原子のような短い非芳香族単位(H以外の原子の10%より少なく、好ましくは、H以外の原子の5%より少ない)により中断されていてもよい系を意味するものと解される。つまり、例えば、9,9’-スピロビフルオレン、9,9-ジアリールフルオレン、トリアリールアミン、ジアリルエーテル等も、本明細書の目的のための芳香族環構造とみなされる。
【0014】
本発明の目的のためには、C〜C40-アルキル基は、その個々のH原子若しくはCH基は、上記した基により置換されていてもよいが、特に好ましくは、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、2-メチルブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、シクロペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、n-ヘプチル、シクロヘプチル、n-オクチル、シクロオクチル、2-エチルヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル若しくはオクチニル基を意味するものと解される。C〜C40−アルコキシ基は、特に好ましくは、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ若しくは2-メチルブトキシを意味するものと解される。C〜C24のアリール若しくはヘテロアリール基は、使用に応じて1価或いは2価であり得、上記R基により置換されていてもよく、如何なる所望の部位でも芳香族若しくは複素環式芳香族環構造に結合されていてもよいが、特に、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、ジヒドロピレン、クリセン、ペリレン、フルオランセン、テトラセン、ペンタセン、ベンゾピレン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナントロイミダゾール、ピリジンイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、ピラジン、フェナジン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジン及びベンゾチアジアゾールから誘導される基を意味するものと解される。
【0015】
本発明の目的のために、芳香族系又は複素環式芳香族環構造は、上記アリール及びヘテロアリール基に加えて、例えば、ビフェニレン、ターフェニレン、フルオレン、スピロフルオレン、ジヒドロフェナントレン、テトラヒドロピレン及びシス−或いはトランス-インデンフルオレンを意味するものと解される。
【0016】
記号Yが、窒素、燐、C=O、P=Oを表す式(1)の化合物が好ましく、特に好ましくは、窒素、C=O若しくはP=O、非常に特に好ましくは窒素を表す式(1)の化合物である。Y単位の選択は、ここでは、式(1)の化合物に望まれる特性に依存する。もしも、式(1)の化合物を、発光層のエミッターとして若しくは正孔輸送材料として、例えば、正孔輸送層若しくは正孔注入層に使用されることが意図されるならば、記号Yは、好ましくは窒素若しくは燐を、特に好ましくは、窒素を表す。もしも、式(1)の化合物を、燐光発光若しくは蛍光発光素子のための、発光層の燐光発光エミッター母体材料として、若しくは電子輸送及び/又は正孔障壁材料として、例えば、電子輸送層若しくは正孔障壁層に使用されることが意図されるならば、記号Yは、好ましくはC=O若しくはP=Oを表す。
【0017】
式(1)の化合物の記号Ar、Ar及びArは、出現毎に同一であるか異なり、1或いは2個のR基で置換されていてもよい、5〜16個の芳香族環原子を有するアリール若しくは複素環式アリール基であり、特に好ましくは、1或いは2個のR基で置換されていてもよい、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピリジン、ピレン、及びチオフェンから選ばれるものであり、特にベンゼンから選ばれるアリール若しくは複素環式アリール基が更に好ましい。
【0018】
特に好ましいものは、それゆえ式(2)の化合物により与えられる。
【化6】

【0019】
ここで、使用される記号及び添字は、上記説明と同様の意味を有し、夫々のフェニル基及びフェニレン基は、1以上のR基で置換されていてもよい。
【0020】
もしも、式(2)のフェニル基若しくはフェニレン基が、R基で置換されているならば、R基は、好ましくは式(2a)に示されるような部位で結合される。
【化7】

【0021】
式(1)の化合物としては、記号Arが、出現毎に同一であるか異なり、5〜16個の芳香族環原子を有する芳香族若しくは複素環式芳香族環構造であるか、スピロビフルオレンであり、夫々は、1以上のR基で置換されていてもよいものが好ましく、特に好ましくは、1或いは2個のR基で置換されていてもよい、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピリジン、ピレン、及びチオフェンから選ばれるものであり、特にベンゼンから選ばれる芳香族若しくは複素環式芳香族環構造が更に好ましい。
【0022】
更に、式(1)の化合物としては、記号Rが、出現毎に同一であるか異なり、H、F、CN、Si(R、1〜5個のC原子を有する直鎖アルキル基又は3〜5個のC原子を有する分岐アルキル基であり、1以上の隣接しないCH基は、Si(R、-RC=CR-、-C≡C-、-O-若しくは-S-で、1以上のH原子は、Fで置換されていてもよいものであり、又は1以上のR基により置換されていてもよい5〜16個の芳香族環原子を有する1価のアリール若しくはヘテロアリール基を表すものが好ましく、特に好ましいのは、H、F、CN、Si(Me)、メチル、tert-ブチル、フェニル基若しくは夫々が1以上のR基により置換されていてもよい、5若しくは6個の芳香族環原子を有する1価のヘテロアリール基を表すものである。R基は、非常に特に好ましくは、もしもAr乃至Ar基の一つに直接結合されるならば、Hである。もしもRが、X、X、X及び/又はXに結合されるならば、Rは、特に好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、1以上のC〜C-アルキル基により置換されていてもよい、メチル、tert-ブチル、フェニル基若しくは1以上のC〜C-アルキル基により置換されていてもよい5若しくは6個の芳香族環原子を有する1価のヘテロアリール基であり、非常に特に好ましくは、1以上のC〜C-アルキル基により置換されていてもよいメチル若しくはフェニル基である。夫々の場合、2以上のR基は、互いに環構造を形成してもよい。
【0023】
更に、式(1)の化合物としては、記号X、X、X及びXが、出現毎に同一であるか異なり、Ar及びAr若しくはAr及びArと共に環状構造を規定する、C(R、C=O、C=NR、O、S、S=O、SO、N(R)、P(R)、P(=O)R、C(R-C(R、C(R-C(R-C(R、C(R-O、C(R-O-C(Rから選択されるブリッジであるものが好ましい。特に好ましい、式(1)の化合物は、記号X、X、X及びXが、出現毎に同一であるか異なり、C(R、N(R)、P(R)及びP(=O)Rのものである。非常に特に好ましいのは、C(Rのものである。
【0024】
更に好ましい化合物は、pが0で、2個の添字n及びoの一つが1であり、2個の添字の他方は0であり、特に好ましくは、p及びnが0であり、oが0であるものである。
【0025】
特に好ましいものは、式(3)若しくは式(4)の化合物により与えられる。
【化8】

【0026】
ここで、使用される記号及び添字は、上記説明と同様の意味を有し、夫々のフェニル基及びフェニレン基は、1以上のR基で置換されていてもよい。
【0027】
更に好ましくは、添字qは、出現毎に同一であるか異なり、Yが第5主族から選ばれるものであれば、2若しくは3を表す化合物である。もし、Yが第6主族から選ばれるものであるならば、好ましくは、2をである。
【0028】
特に、好ましくは式(1)の化合物は対称構造を有し、芳香族基Ar乃至Arのみならず、ブリッジX乃至X及びR及びR基に関連して、Yが第5主族から選ばれるものであれば、3回回転軸を有しもしくはYが第6主族から選ばれるものであれば、2回回転軸を有する。
【0029】
特に好ましいものは、式(1)の化合物の好ましい化合物の例は、以下に示される構造(1)乃至(82)である。
【化9−1】

【化9−2】

【化9−3】

【化9−4】

【化9−5】

【化9−6】

【化9−7】

【化9−8】

本発明による上記化合物は、例えば、構造(8)、(28)乃び(53)は、例えば、対応する共役、一部共役若しくは非共役ポリマー、オリゴマー調製用コポリマーとして、或いはデンドリマーのコアとしても使用され得る。ポリマー化は、ここでは好ましくはハロゲン官能基によりなされる。
【0030】
したがって、それらは、とりわけ、可溶性ポリフルオレン(例えば、EP 842208若しくはWO 00/22026による)、ポリスピロビフルオレン(例えば、EP 707020,EP 894107若しくはEP 04028865.6による)、ポリ-パラ-フェニレン(例えば、WO 92/18552による)、ポリカルバゾール(例えば、WO 04/070772及びWO 04/113468による)、ポリビニルカルバゾール、ポリチオフェン(例えば、EP 1028136による)、ポリジヒドロフェナントレン(例えば、WO 05/014689による)、ポリインデンフルオレン(例えば、WO 04/041901及びWO 04/113412による)、ポリケトン(例えば、WO 05/040302による)若しくは複数のこれら単位を含む共重合体にもポリマー化されることができる。
【0031】
本発明は、したがって、更に、ポリマー或いはデンドリマーへの式(1)の化合物からの1以上の結合が存在する、1以上の式(1)の化合物を含む、共役、一部共役、非共役ポリマー、オリゴマー若しくはデンドリマーに関する。
【0032】
本発明による化合物は、例えば鈴木カップリング、ブッフバルト-ハートウイッグカップリング等のような当業者に公知の合成ステップで調製されることができる。
【0033】
したがって、インデンフルオレン前駆物質は、例えば、合成スキーム1で示されるように調製されることができる:ベンゼンボロン酸と1,4-ジブロモ-2,5-ビス(メチルカルボキシレート)ベンゼンの鈴木カップリングは、強酸及び還元作用により閉環され、非置換トランス-インデンフルオレンを与えるが、これは、アルキル化剤を使用して、アルキル化されることができる。これは、臭素化剤との化学量論的反応により選択的に1臭素化され、或いは窒素化と還元により対応するアミノ化合物に変換されることができる。トリス(インデノフルオレニル)アミンは、合成スキーム2で示されるように、1臭素及びアミノ化合物のブッフバルト-ハートウイッグカップリングにより合成されることができる。非対称ビス(インデノフルオレニル)アリールアミンは、同様に、合成スキーム3で示されるように、ブッフバルト-ハートウイッグカップリングにより調製されることができる。トリス(インデノフルオレニル)ホスフィン或いはホスフィンオキシドは、合成スキーム4で示されるように、モノブロモインデンフルオリンから、リチウム化とPClとの反応により合成されることができる。その後、酸化により対応するホスフィンオキシドが得られる。例えば、AsCl、アリールPCl、SOCl、Ar等のような他の求電子試薬もここで同様に使用されることができる。
【0034】
更に、本発明による化合物は、有機合成分野の当業者に公知のプロセスによるこれら及び類似の合成スキームにより合成されることができる。結果得られた化合物は、更に標準的方法で臭素化されることができ、したがって、ポリマー、オリゴマー乃至はデンドリマー用のモノマーとして使用されることができる。
【化10−1】

【化10−2】

式(1)の化合物は、有機エレクトロルミネッセンス素子に使用されることができ、化合物は好ましくは少なくとも一つの母体材料との混合物として、発光層に使用される。式(1)の化合物は、混合物中の発光化合物(ドーパント)であることが好ましい。好ましい母体材料は、その発光が式(1)の化合物より短い波長であるか、全く発光しない有機化合物である。
【0035】
したがって、本発明は、更に、少なくとも一つ式(1)の化合物と少なくとも一つの母体材料とを含む混合物に関する。
【0036】
式(1)の化合物が発光ドーパントとして使用されるのであれば、適切な母体材料は、種々なクラスの物質である。好ましい母体材料は、オリゴアリーレン(例えば、EP 676461による2.2’,7,7’-テトラフェニルスピロフルオレン若しくはジナフチルアントラセン)、特に、縮合芳香族基を含むオリゴアリーレン、オリゴアリ−レンビニレン(例えば、EP 676461によるDPVBi若しくはスピロ-DPVBi)、ポリポダル金属錯体(例えば、WO 04/081017による)、正孔伝導化合物(例えば、WO 04/058911による)、電子伝導化合物、特に、ケトン、ホスフィンオキシド、スルホキシド等(例えば、WO 05/084081若しくはWO 05/084082による)若しくはアトロプ異性体(例えば、未公開出願EP 04026402.0による)のクラスから選択される。特に好ましい母体材料は、ナフタレン、アントラセン及び/又はピレン若しくはこれら化合物のアトロプ異性体、オリゴアリーレンビニレン、ケトン、ホスフィンオキシド及びスルホキシドを含むオリゴアリーレンのクラスから選択される。非常に特に好ましい母体材料は、アントラセン及び/又はピレン若しくはこれら化合物のアトロプ異性体、ホスフィン酸及びスルホキシドを含むオリゴアリーレンのクラスから選択される。
【0037】
発光層混合物中の式(1)の化合物の割合は、0.1〜99.0重量%、好ましくは、0.5〜50.0重量%、特に好ましくは1.0〜20.0重量%、特に1.0〜10.0重量%である。対応して、層中の母体材料の割合は、1.0〜99.9重量%、好ましくは、50.0〜99.5重量%、特に好ましくは80.0〜99.0重量%、特に90.0〜99.0重量%である。
【0038】
更に、式(1)の化合物が、正孔輸送材料及び/又は正孔注入材料、特に正孔輸送層及び/又は正孔注入層として使用されることが好ましい。これは、特に記号Yが、N若しくはPを表すならば、適用される。化合物は、ここで好ましくは、電子受容性化合物、例えば、F-TCNQ若しくはEP 1476881、EP 1596445に記載された化合物でドープされてもよい。
【0039】
更に、式(1)の化合物が、燐光発光エミッター(トリプレットエミッター)に対する母体材料として使用されることが好ましい。これは、特に記号Yが、C=O、P=O、S=O、若しくSOを表すならば、適用される。
【0040】
更に、式(1)の化合物が、電子輸送材料特に電子輸送層及び/又は正孔障壁材料特に正孔障壁層として、蛍光発光若しくは燐光発光エレクトロルミネッセンス素子に使用されることが好ましい。これは、特に記号Yが、C=O、P=O、S=O、若しくSOを表すならば、適用される。
【0041】
式(1)の化合物は、また、発光ユニット、正孔輸送ユニット、電子輸送ユニット若しくは燐光発光ユニットの母体材料のいずれかとして、ポリマー中に使用されることもできる。
【0042】
式(1)の化合物が、正孔輸送層中の正孔輸送材料若しくは正孔注入層中の正孔注入材料若しくは電子輸送層中の電子輸送材料若しくは正孔障壁層中の正孔障壁材料として使用されるならば、好ましくは、100%割合で使用される、即ちこの化合物を純粋物として使用されてもよい。
【0043】
更に、複数の発光化合物が同一層中若しくは異なる層中に使用され、これら化合物の少なくとも一つが式(1)の構造を持つことを特徴とする有機エレクトロルミネセンス素子
も好ましい。これら化合物は、特に好ましくは、全体で、380nm〜750nm間に複数の最大発光長を有し、全体として、白色発光が生じる、即ち、式(1)の化合物に加えて、蛍光発光若しくは燐光発光性であり得、黄色、オレンジ色若しくは赤色光を発光する少なくとも一つの更なる発光化合物も使用される。特に好ましいものは、3層構造であり、少なくとも一つの層は式(1)の化合物を含み、その層は青色、緑色及びオレンジ色若しくは赤色発光を呈するものである。(基本構造については、例えば、WO 05/011013参照。)
有機エレクトロルミネッセンス素子は、陽極、陰極及び発光層に加えて、更なる層を含んでもよい。これらは、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層及び/又は電子注入層であってもよい。しかしながら、これらの層のそれぞれは、必ずしも存在する必要がないことは、この時点で指摘されるべきである。したがって、特に、式(1)の化合物の電子伝導母体材料への使用において、有機エレクトロルミネッセンス素子が、別の電子輸送層を含まず、発光層が直接電子注入層若しくは陰極に隣接するならば、非常に良好な結果が更に得られる。代替として、母体材料は、電子輸送層における電子輸送材料として同時に役立ってもよい。同様に、有機エレクトロルミネッセンス素子は、別々の正孔注入層を含まず、発光層は正孔注入層若しくは陽極に隣接することが好ましい。更に好ましくは、同一か、異なる式(1)の化合物が、同時に発光層におけるドーパント及び正孔輸送層における正孔伝導化合物として(純粋物質として或いは混合物として)、及び/又は電子輸送層における電子伝導化合物として使用されることが好ましい。
【0044】
1以上の層が、昇華プロセスによって被覆されることを特徴とする有機電子素子が更に好ましい。ここでは、材料は、10−5mbar以下、好ましくは10−6mbar以下、特に好ましくは10−7mbar以下の圧力の真空昇華ユニットで蒸着される。
【0045】
同様に、1以上の層が、OVPD(有機気相堆積)プロセスあるいはキャリアーガス昇華を用いて被覆されることを特徴とする有機電子素子が更に好ましい。ここでは、材料は、一般的には10−5mbar〜1barの圧力で適用される。
【0046】
さらに、1以上の層が、溶液から、例えば、スピンコーティングにより、または例えばスクリーン印刷、フレキソ印刷またはオフセット印刷、特に好ましくはLITI(光誘起熱画像化、熱転写印刷)またはインクジェット印刷のような任意の所望の印刷ピロセスにより製造されることを特徴とする有機電子デバイスが好ましい。溶解性の式(1)の化合物が、この目的のために必要である。高溶解度は、化合物の適切な置換基により達成し得る。
【0047】
本発明による化合物は、有機エレクトロルミネッセンス素子の使用に関して、先行技術を超える以下の驚くべき効果を有する。
【0048】
1.対応する素子の効率は、先行技術によるシステムと比較してより高い。これは、特に、式(1)の化合物を、暗青色で発光するシステムに対するエミッターとして使用するときにあてはまる。
【0049】
2.対応する素子の安定性は、先行技術によるシステムと比較してより高く、特に、それは、顕著により長い寿命により明らかである。
【0050】
3.化合物は、考慮すべき分解もなく充分に昇華されることができ、したがって、より処理されやすく、それゆえ先行技術による材料よりもOLEDにおける使用により適している。より高い温度安定性は、ことによるとオレフィン2重結合がないことに起因するのかもしれない。
【0051】
4.混合物が、正孔注入或いは正孔輸送層に、若しくは電子輸送層に使用されるならば、有機エレクトロルミネッセンス素子は対応する膜の膜厚にはなんら依存性を示さない。特に、膜厚が厚いときでさえも、駆動電圧及びパワー効率は変わらないままである。この特性は、フルカラーディスプレー製造においてメイン要な工業的重要性を有する。
【0052】
本出願明細書およびまた以下の次の例では、目的は、本発明による化合物の、OLED及び対応するディスプレーに関する使用である。記載が限定されているのに関わらず、当業者は、さらなる発明を必要とすることなく、本発明による化合物を、少しだけ言及される他の素子、例えば、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機光発光トランジスタ(O-LET)、有機集積回路(O-IC)、有機太陽電池(O-SC)、有機電場消光素子(O-FQD)、光発光電子化化学電池(LEC)、有機光受容器若しくは有機レーザー(O-laser)にも用いることが容易に可能である。本発明は、同様に本発明による化合物の、対応する素子への使用及びこれら素子自体への使用に関する。
【0053】
本発明は、以下の例により、より詳細に説明されるが、それにより限定されることを望むものではない。
【0054】

以下の合成は、他に断らない限り、保護ガス雰囲気下で行われる。出発物質は、ALDRICHから購入された。(パラジウム(II)アセテート、トリ-tert-ブチルホスフィン、無機化合物、溶媒)、6,12-ジヒドロ[1,2b]インデンフルオレンは、Hadizad et al., Org.Lett.2005,7(5),795-797,の方法により調製され得、[1,2b]インデンフルオレン-6,12-ジオンは、Deuschei et al.,Helv.Chimica Acta 1951,34,2403の方法により調製され得、2-ブロモ-4,4’-ジ-tert-ブチルビフェニルは、Tashiro et al.,J.Org.Chem.1979,44(17),3037の方法により調製され得る。
【0055】
例1:トリス-2-(8-エチル-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ-[1,2b]フルオレン-2-イル)アミン
a)6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ-[1,2b]フルオレン
【化11】

【0056】
調製は、JP 08113542により、6,12-ジヒドロインデノ-[1,2b]フルオレン、ジメチル硫酸及び水酸化ナトリウム溶液から9,9-ジメチルフルオレンの調製と同じようになされる。収量:理論値の86.0%、H-NMRによる純度98%。
【0057】
b)2-アセチル-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ-[1,2b]フルオレン
【化12】

【0058】
7.8ml(110ミリモル)の塩化アセチルが、500mlの1,2-ジクロロエタン中の16.0g(120ミリモル)の塩化アルミニウム懸濁液に、滴下される。500mlの1,2-ジクロロエタン中の31.1g(100ミリモル)の6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ-[1,2b]フルオレン溶液が、この混合物に滴下される。混合物は、引き続き、室温で更に4時間撹拌され、1000gの氷と200mlの2N塩酸の混合物に、激しく撹拌されながら、注入され、沈殿した固形物は、吸引ろ過される。固形物は、500mlの水で3度洗浄され、その後200mlのエタノールで3度洗浄され、減圧下乾燥される。収量:31.1g(88ミリモル)、理論値の88.3%、H-NMRによる純度98%。
【0059】
c)2-エチル-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ-[1,2b]フルオレン
【化13】

【0060】
23.3ml(480ミリモル)のヒドラジン水和物が、300mlのジエチレングリコール中の28.2g(80ミリモル)の2-アセチル-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ-[1,2b]フルオレン懸濁液に添加され、混合物は、24時間還流される。冷却後、300mlの5%過酸化水素が、滴下され、混合物は、室温で16時間撹拌される。無色の固形物は、吸引ろ過され、300mlの水で3度洗浄され、200mlのエタノールで3度洗浄され、減圧下乾燥される。収量:25.9g(76ミリモル)、理論値の95.7%、H-NMRによる純度97%。
【0061】
d)2-ブロモ-8-エチル-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ-[1,2b]フルオレン
【化14】

【0062】
1.7ml(32ミリモル)の臭素と20mlのジクロロメタンが、300mlのジクロロメタン中の10.2g(30ミリモル)の2-エチル-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ-[1,2b]フルオレン溶液に、遮光下滴下される。混合物は、室温で16時間撹拌された後、200mlのエタノールと50mlの飽和硫酸ナトリウム溶液が添加される。無色の固形物は、吸引ろ過され、200mlの水で3度洗浄され、100mlのエタノールで3度洗浄され、減圧下乾燥され、その後DMFから2度再結晶化される。収量:10.4g(25ミリモル)、理論値の83.0%、H-NMRによる純度97%。
【0063】
e)2-エチル-8-ニトロ-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ-[1,2b]フルオレン
【化15】

【0064】
4mlの100%硝酸と、5mlの濃硫酸が、100mlジクロロメタン中の10.2g(30ミリモル)の2-エチル-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ-[1,2b]フルオレンに遮光下滴下され、激しく撹拌され懸濁液とされ、0℃まで冷却される。混合物は、室温で3時間撹拌された後、200mlの水が加えられる。黄色の固形物が、吸引ろ過され、200mlの水で3度洗浄され、100mlのエタノールで3度洗浄され、減圧下乾燥され、その後o-ジクロロベンゼンから2度再結晶化される。収量:10.8g(28ミリモル)、理論値の93.7%、H-NMRによる純度98%。
【0065】
f)2-アミノ-8-エチル-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ-[1,2b]フルオレン
【化16】

【0066】
4.9ml(100ミリモル)のヒドラジン水和物と、それから300mgの新たに調製されたラネーニッケルが、激しく撹拌されながら、100mlのトルエンと200mlのエタノールとの混合物中の、9.6g(25ミリモル)の2-エチル-8-ニトロ-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ-[1,2b]フルオレン還流懸濁液に添加される。混合物は、還流下に2時間おかれ冷却され、溶媒は減圧下除去され、残留物は、1000mlの暖クロロホルムに吸収され、溶液はシリカゲルでろ過され、透明な溶液は、100mlに濃縮され、300mlのエタノールが添加される。混合物は、12時間静置された後、無色の結晶が、吸引ろ過され、引き続きクロロホルム/エタノールから2度再結晶化される。収量:8.38g(23.5ミリモル)、理論値の93.9%、H-NMRによる純度98%。
【0067】
g)ビス-2-[8-エチル-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ-[1,2b]フルオレン-8-イル]アミン
【化17】

【0068】
2.1g(22ミリモルの)のソジウムtert-ブトキシド、55mg(0.1ミリモル)の1,1’-ジフェニルホスフィノフェロセン及び22mg(0.1ミリモル)のパラジウム(II)アセテートが、250mlのトルエン中の7.1g(20ミリモル)の2-アミノ-8-エチル-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ-[1,2b]フルオレン及び8.3g(20ミリモル)の2-ブロモ-8-エチル-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ-[1,2b]フルオレンとの懸濁液に添加され、混合物は、引き続き16時間還流される。混合物が冷却された後、250mlの水が加えられ、有機層が単離され、シリカゲルでろ過され、その後30mlに濃縮される。200mlのエタノールの添加後、16時間静置され、結晶は吸引ろ過され、引き続きクロロホルム/エタノールから2度再結晶化される。収量:9.99g(14ミリモル)、理論値の71.8%、H-NMRによる純度99%。
【0069】
h)トリス-2-[8-エチル-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ-[1,2b]フルオレン-8-イル]アミン
【化18】

【0070】
1.2g(12ミリモルの)のソジウムtert-ブトキシド、23.5mg(0.13ミリモル)のジ-tert-ブチルクロロホスフィン及び22.4mg(0.1ミリモル)のパラジウム(II)アセテートが、200mlのトルエン中の6.9g(10ミリモル)のビス[2-エチル-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ[1,2b]フルオレン-8-イル]アミン及び4.2g(10ミリモル)の2-ブロモ-8-エチル-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ[1,2b]フルオレンとの懸濁液に添加され、混合物は、引き続き16時間還流される。混合物が冷却された後、300mlの水が加えられ、有機層が単離され、シリカゲルでろ過され、その後30mlに濃縮される。200mlのエタノールの添加後、16時間静置され、結晶は吸引ろ過され、引き続きDMFから7度再結晶化され、その後減圧下昇華される。(p=1×10−5mbar、T=390℃)収量:5.3g(5ミリモル)、理論値の51.6%、H-NMRによる純度99.8%。
【0071】
例2:ビス-2-[8-エチル-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ-[1,2b]フルオレン-2-イル]ケトン
【化19】

【0072】
27.3ml(41ミリモル)のtert-BuLi(1.5Mヘキサン中)が、300mlのTHF中の8.4g(20ミリモル)の2-ブロモ-8-エチル-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ[1,2b]フルオレンの−78℃に冷却された懸濁液に添加され、混合物は、8時間撹拌される。0.9ml(10ミリモル)のN,N-ジメチルカルバモイルクロリドが引き続き添加され、混合物は、室温まで暖めておかれ、更に16時間撹拌され、10mlの酢酸と20mlの水がその後添加される。反応後、混合物は減圧下蒸発され、残留物は、200mlのNMPに吸収され、還流され、100℃に冷却しておかれ、50mlの水が加えられ、混合物は冷却しておかれ、固形物は吸引ろ過され、100mlエタノールで、その度毎に、3度すすがれる。産物は、引き続きNMPから5度再結晶化され、その後減圧下昇華される。(p=1×10−5mbar、T=365℃)収量:4.8g(7ミリモル)、理論値の68.8%、H-NMRによる純度99.0%。
【0073】
例3:トリス-2-[8-エチル-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ[1,2b]フルオレン-2-イル]ホスフィンオキシド
【化20】

【0074】
1.5Mヘキサン中の28.7ml(43ミリモル)のtert-BuLiが、300mlのTHF中の8.8g(21ミリモル)の2-ブロモ-8-エチル-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ[1,2b]フルオレンの−78℃に冷却された懸濁液に添加され、混合物は、8時間撹拌される。0.6ml(7ミリモル)の3塩化燐が引き続き添加され、混合物は室温まで暖めおかれ、更に16時間撹拌され、20mlの水がその後添加される。反応後、混合物は減圧下蒸発され、残留物は、200mlのクロロホルムに吸収され、0.9ml(10ミリモル)の過酸化水素と20mlの水が加えられる。混合物は、60℃で5時間加熱され、冷却しておかれ、固形物は吸引ろ過され、100mlの水で、3度、100mlのエタノールで2度その度毎にすすがれる。産物は、引き続きDMFから5度再結晶化され、その後減圧下昇華される。(p=1×10−5mbar、T=395℃)収量:5.4g(5ミリモル)、理論値の72.9%、H-NMRによる純度99.9%。
【0075】
例4:2-(ジ-(4-メチルフェニル)アミノ)-8-エチルジスピロ-[2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9,6’-インデノフルオレン[1,2b]フルオレン-12’,9”-フルオレン]
a)ジスピロ-[2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9,6’-インデノフルオレン[1,2b]フルオレン-12’,9”-フルオレン]
【化21】

【0076】
対応するグリニャール試薬が、6.2g(255ミリモル)のマグネシウムと500mlのTHF中の86.3g(250ミリモル)の2-ブロモ-4,4’-ジ-tert-ブチルビフェニルから調製される。更に500mlのTHFと28.8g(100ミリモル)の[1,2b]-インデノフルオレン-6,12-ジオンがこのグリニャール試薬に添加される。反応混合物は、10時間還流され、冷却され、50mlのエタノールが添加され、混合物は減圧下蒸発乾燥される。残留物は、25mlの濃塩酸と1000ml酢酸との混合物中で3時間還流される。冷却後、無色結晶が吸引ろ過され、100mlの酢酸で洗浄され、その後、100mlのエタノールで3度その度毎に洗浄され、減圧下乾燥される。産物は、引き続きクロロベンゼンから2度再結晶化される。収量:56.9g(73ミリモル)、理論値の73.0%、H-NMRによる純度99%。
【0077】
b)2-アセチルジスピロ[2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9,6’-インデノフルオレン[1,2b]フルオレン-12’,9”-フルオレン]
【化22】

【0078】
手順は例1bと類似。6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ[1,2b]フルオレンに代えて、77.9g(100ミリモル)のジスピロ[2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9,6’-インデンフルオレン[1,2b]フルオレン-12’,9”-フルオレン]が使用される。
【0079】
仕上げ:混合物は、激しく撹拌されながら1000gの氷と200mlの2N塩酸の混合物に注入され、有機層は分離され、500mlの水で3度洗浄され、減圧下蒸発される。固形物は、500mlの高温エタノールで撹拌により洗浄され、吸引ろ過され、100mlのエタノールで洗浄され、減圧下乾燥される。収量:65.0g(79ミリモル)、理論値の79.2%、H-NMRによる純度98%。
【0080】
c)2-エチルジスピロ[2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9,6’-インデノフルオレン[1,2b]フルオレン-12’,9”-フルオレン]
【化23】

【0081】
手順は例1cと類似。2-アセチル-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ[1,2b]フルオレンに代えて、65.8g(80ミリモル)の2-アセチル-ジスピロ[2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9,6’-インデノフルオレン[1,2b]フルオレン-12’,9”-フルオレン]が使用される。収量:62.2g(77ミリモル)、理論値の96.3%、H-NMRによる純度98%。
【0082】
d)2-ブロモ-8-エチルジスピロ[2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9,6’-インデノフルオレン[1,2b]フルオレン-12’,9”-フルオレン]
【化24】

【0083】
手順は例1cと類似。2-エチル-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ[1,2b]フルオレンに代えて、24.2g(30ミリモル)の2-エチル-ジスピロ[2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9,6’-インデノフルオレン[1,2b]フルオレン-12’,9”-フルオレン]が使用される。再結晶化は、クロロベンゼンからなされる。収量:23.3g(26ミリモル)、理論値の87.88%、H-NMRによる純度98%。
【0084】
e)2-(ジ(4-メチルフェニル)アミノ)-8-エチルジスピロ[2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9,6’-インデノフルオレン[1,2b]フルオレン-12’,9”-フルオレン]
【化25】

【0085】
手順は例1gと類似。2-ブロモ-8-エチル-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ[1,2b]フルオレンに代えて、8.7g(10ミリモル)の2-ブロモ-8-エチルジスピロ[2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9,6’-インデノフルオレン[1,2b]フルオレン-12’,9”-フルオレン]が使用され、ビス[2-エチル-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ[1,2b]フルオレン-8-イル]アミンに代えて、2.0g(10ミリモル)のビス(4-メチルフェニル)アミンが使用される。再結晶化は、クロロベンゼンからなされ、産物は引き続き減圧下昇華される。(p=1×10−5mbar、T=410℃)収量:6.0g(6ミリモル)、理論値の59.7%、H-NMRによる純度99.9%。
【0086】
例5:トリス-2-(8-エチル-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロ-シス-インデノフルオレン-2-イル)アミン
【化26】

【0087】
トリス-2-(8-エチル-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロ-シス-インデノフルオレン-2-イル)アミンが例1と同様にして合成されることができ、出発化合物であるシスインデノフルオレンは、WO 04/113412により合成されることができる。
【0088】
例6:ビス-2-(8-エチル-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロ-シス-インデノフルオレン-2-イル)ケトン
【化27】

【0089】
ビス-2-(8-エチル-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロ-シス-インデノフルオレン-2-イル)ケトンが例2と同様にして合成されることができ、出発化合物であるシス-インデノフルオレンは、WO 04/113412により合成されることができる。
【0090】
例7:トリス-2-(8-エチル-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロ-シス-インデノ-フルオレン-2-イル)ホスフィンオキシド
【化28】

【0091】
トリス-2-(8-エチル-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロ-シス-インデフルオレン-2-イル)ホスフィンオキシドが例3と同様にして合成されることができ、出発化合物であるシス-インデノフルオレンは、WO 04/113412により合成されることができる。
【0092】
例8:トリス-2-(8-エチル-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ[1,2b]フルオレン-2-イル)アミンによるOLEDの製造
OLEDは、WO 04/058911に記載される一般的プロセスにより製造されるが、これは、特別な状況(例えば、最適の効率と色を達成するための層の厚さの変化)に対する個々の場合において適合させる必要がある。
【0093】
種々のOLEDの結果が、以下の例9乃至15に示される。使用された基本構造と材料は(正孔輸送層を除いて)、より良い比較のために同一である。以下の構造を有するOLEDは、上記の一般的プロセスと同様に製造される。
【0094】
正孔注入層(HIL):20nmのPEDOT(水からスピンコーティング;H.C.シュターク、ゴスラー、独国(H.C.Starck,Goslar)社から購入;ポリ(3,4-エチレンジオキシ-2,5-チオフェン))
正孔輸送層(HTL):種々な層厚は、表1参照。トリス-2-(8-エチル-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ[1,2b]フルオレン-2-イル)アミン(HTM-1と略称する、蒸着、例1により合成);
若しくは:比較例として、4,4’,4”-トリス(N-1-ナフチル-N-フェニルアミノ)トリフェニルアミン(NaphDATAと略称、SynTecから購入)
正孔輸送層(HTL):30nmのNPB(N-ナフチル-N-フェニル-4,4’-ジアミノビフェニル)
発光層(EML):30nm、母体材料として9,10-ビス(1-ナフチルアントラセン)(Hと略称)、5%のトリス[4-(2,2-ジフェニルビニル)フェニルアミンをドーパントとしてドープ(Dと略称、蒸着、WO 06/000388により合成)
電子伝導体(ETC):20nmAlQ(SynTec社から購入したトリス(キノリナート)アルミニウム(III))
陰極:150nmのAl上の1nmLiF。
【0095】
これらのOLEDは、標準方法により特性決定される。この目的のために、エレクトロルミネセンススペクトル、効率(cd/Aで測定)及びパワー効率(Im/Wで測定)が、電流-電圧-輝度特性線(IUL特性線)から計算された輝度の関数として測定される。
【0096】
表1は、トリス-2-(8-エチル-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ[1,2b]フルオレン-2-イル)アミンを含む正孔輸送層(HTL)の層厚を変化させた、いくつかのOLED(例9乃至15)の結果を示す。比較例として使用された比較材料はNaphDATAである。
【0097】
母体材料Hは、9,10-ビス(1-ナフチル)アントラセンであり、使用されたドーパントは、Dである。両者は、以下に示される。
【化29】

【0098】
表1における本発明による実施例11乃至15から見て取れるように、本発明による正孔輸送材料トリス-2-(8-エチル-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ[1,2b]フルオレン-2-イル)アミンを含むOLEDは、先行技術による正孔輸送材料としてのNaphDATAと比較して、顕著により低い駆動電圧を呈する。更に、駆動電圧は、正孔輸送層の層厚には依存していない。この特性は、青、緑及び赤の基本色の画素の厚さが、正孔輸送層の層厚の変化と同様になされることができることから、フルカラーディスプレー構築に重要な利点を有する。本発明による正孔輸送材料は、このように、素子の電子光学特性が逆に作用されることなく、厚さ補償材料として役立つ。比較例から見て取れるように、先行技術による正孔輸送材料(NaphDATA)の場合はそうではなく、ここでは、正孔輸層層の厚さがより大である時には、顕著により高い駆動電圧が必要とされる。
【表1】

【0099】
例16:ビス-2-(8-エチル-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ[1,2b]フルオレン-2-イル)ケトン及びトリス-2-(8-エチル-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ[1,2b]フルオレン-2-イル)ホスフィンオキシドによる燐光OLEDの製造
OLEDは、WO 04/093027に記載される一般的プロセスにより製造されるが、これは、夫々の状況(例えば、最適の効率と色を達成するための層の厚さの変化)に対する個々の場合において適合させられる。
【0100】
種々のOLEDの結果が、ここで比較される。使用される材料、ドープの程度、層厚のような基本構造は、より良い比較のために実験例では同一である。発光層の母体材料だけが変えられ、全ての例は、異なるトリプレットエミッターで実施される。
【0101】
例17及び18は先行技術による比較標準を説明しており、発光層は、母体材料として、CBP若しくはケトン(ケトン-1と略称)を含む。更に、本発明による発光材料ビス-2-(8-エチル-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ[1,2b]フルオレン-2-イル)ケトン及びトリス-2-(8-エチル-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ[1,2b]フルオレン-2-イル)ホスフィンオキシドから成る発光層を有するOLEDが説明される。
【0102】
次の構造を有するOELDsが、上記一般プロセスと同様にして製造される。
【0103】
PEDOT:60nm(水からスピンコーティング;H.C.シュターク社から購入されたPEDOT;ポリ(3,4-エチレンジオキシ-2,5-チオフェン))
NaphDATA:20nm(蒸着、SynTecから購入されたNaphDATA;4,4’,4”-トリス(N-1-ナフチル-N-フェニルアミノ)トリフェニルアミン)
S-TAD:20nm(蒸着、WO 99/12888の記載により調製されたS-TAD;2,2’,7,7’-テトラキス(ジフェニルアミノ)-スピロビフルオレン)
発光層:CBP(蒸着、ALDRICHから購入され、更に純化され、最後に2度昇華されたCBP;4,4’-ビス(N-カルバゾリル)ビフェニル)(比較例)
若しくは:ケトン-1(ビス(9,9’-スピロビフルオレン-2-イル)ケトン)(蒸着、WO 04/093027により合成)(比較例)
若しくは:ビス-2-(8-エチル-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ[1,2b]フルオレン-2-イル)ケトン(M1と略称、蒸着、例2により合成)
若しくは:トリス-2-(8-エチル-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ[1,2b]フルオレン-2-イル)ホスフィンオキシド(M2と略称、蒸着、例3により合成)
何れの場合も、10%のトリプレットエミッターE1(WO 05/033244により合成)、E2(US 2003/0068526により合成)若しくはE3(US 2003/0068526により合成)でドープされた。
【0104】
バソクプロイン(BCP):10nm(蒸着、ABCRから購入されたBCP、供給品を使用;2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントリン)、全ての例に使われているわけではない。
【0105】
AlQ:10nm(蒸着、SynTecから購入されたAlQ、トリス(キノリノラート)アルミニウム(III))、全ての例に使われているわけではない。
【0106】
Ba/Al:陰極として、150nmのAl上の3nmのBa
これらのOLEDは、標準方法により特性決定される。この目的のために、エレクトロルミネセンススペクトル、効率(cd/Aで測定)及びパワー効率(Im/Wで測定)が、電流-電圧-輝度特性線(IUL特性線)から計算された輝度及び寿命の関数として測定される。寿命は、当初輝度1000cd/m2が半分に低下した時間で定義される。俯瞰するために、比較材料として使用されたトリプレットエミッター、CBP及びケトン-1が、以下に示される。
【化30】

【表2】

【0107】
エレクトロルミネセンススペクトル
OLEDは、比較例も、母体材料としてM1若しくはM2を含むOLEDも、双方共に、同等の色座標を有する赤色発光を示す。
【0108】
効率
本発明による母体材料M1若しくはM2を使用して生産されるOLEDは、先行技術による母体材料と比較して、顕著なより良好な測光効率と共にパワー効率を示す。これは、母体材料M1若しくはM2の使用時のより低い駆動電圧に基づいて、技術的観点から重要なパワー効率に特に適用される。
【0109】
寿命
本発明による母体材料M1若しくはM2の使用により達成される寿命は、母体材料CBPを持つ比較例の寿命をかなり上回り、また母体材料ケトン-1を持つ比較例の寿命を上回る。
【0110】
層の単純化
例20乃至23から見て取れるように、本発明による母体材料M1若しくはM2を使用すて、全体の電子光学特性プロフィルを損なわずに、正孔障壁層も電子伝導層をも含まないOLEDを製造することが可能である。これは、先行技術による母体材料の使用では達成することのできない製造におけるかなりの利点である。
【0111】
例32:ビス-2-(8-エチル-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ[1,2b]フルオレン-2-イル)ケトン及びトリス-2-(8-エチル-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ[1,2b]フルオレン-2-イル)ホスフィンオキシドによる蛍光OLEDの製造
OLEDは、WO 04/058911に記載される一般的プロセスにより製造されるが、これは、特定の状況(例えば、最適の効率及び/又は色を達成するための層の厚さの変化)に対する個々の場合において適合させられる。
【0112】
以下の例33乃至38において、種々のOLEDの結果が示される。基本構造及び使用される材料(電子輸送層は除く)は、より良い比較のために例では同一である。次の構造を有するOELDsが、上記一般プロセスと同様にして製造される。
【0113】
正孔注入層(HIL):20nmのPEDOT(水からスピンコーティング;H.C.シュターク、ゴスラー、独国(H.C.Starck,Goslar)社から購入;ポリ(3,4-エチレンジオキシ-2,5-チオフェン))
正孔輸送層(HTL):50nm、トリス-2-(8-エチル-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ[1,2b]フルオレン-2-イル)アミン(HTM-1と略称する、蒸着、例1により合成)
正孔輸送層(HTL):30nmのNPB(N-ナフチル-N-フェニル-4,4’-ジアミノビフェニル)
発光層(EML):30nm、母体材料として9,10-ビス(1-ナフチルアントラセン)(Hと略称)、5%のトリス[4-(2,2-ジフェニルビニル)フェニル]アミンをドーパントとしてドープ(Dと略称、蒸着、WO 06/000388により合成)
電子伝導層(ETL):ビス-2-(8-エチル-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ[1,2b]フルオレン-2-イル)ケトン(EL1と略称する、蒸着、例2により合成)
若しくは:ビス-2-(8-エチル-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ[1,2b]フルオレン-2-イル)ホスフィンオキシド(EL2と略称する、蒸着、例3により合成)
若しくは:10nm(蒸着;SynTec社から購入したAlQ:トリス(キノリノラート)アルミニウム(III))
陰極:150nmのAl上の1nmLiF。
【0114】
これらのOLEDは、標準方法により特性決定される。この目的のために、エレクトロルミネセンススペクトル、効率(cd/Aで測定)及びパワー効率(Im/Wで測定)が、電流-電圧-輝度特性線(IUL特性線)から計算された輝度の関数として測定される。
【0115】
表3は、ビス-2-(8-エチル-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ[1,2b]フルオレン-2-イル)ケトン若しくはトリス-2-(8-エチル-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ[1,2b]フルオレン-2-イル)ホスフィンオキシドから成る電子輸送層(ETL)における、いくつかのOLED(例35乃至38)の結果を示す。比較例として使用された比較材料は、先行技術によるAlQである。
【0116】
表3における例33乃至38から見て取れるように、本発明による電子輸送材料ビス-2-(8-エチル-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ[1,2b]フルオレン-2-イル)ケトン若しくはビス-2-(8-エチル-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ[1,2b]フルオレン-2-イル)ホスフィンオキシドを含むOLED素子は、層厚には依存しない駆動電圧を示す。この特性は、青、緑及び赤の基本色の画素の厚さが、電子輸送層の層厚の変化と同様になされることができることから、フルカラーディスプレー構築に重要な利点を有する。本発明による電子輸送材料は、このように、素子の電子光学特性が逆に作用されることなく、層厚補償材料として役立つ。比較例から見て取れるように、先行技術による電子輸送材料AlQの場合はそうではない。
【表3】

【0117】
例39:2-(ジ(4-メトキシフェニル)アミノ)-8-エチルジスピロ[2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-6’-インデノフルオレン-[1,2b]フルオレン-12’,9”-フルオレン]によるOLEDの製造
OLEDは、WO 04/058911に記載される一般的プロセスにより製造されるが、これは、特定の状況(例えば、最適の効率及び/又は色を達成するための層の厚さの変化)に対する個々の場合において適合させられ。
【0118】
以下の例40乃至42において、種々のOLEDの結果が示される。基本構造及び使用される材料(発光層は除く)は、より良い比較のために例では同一である。次の構造を有するOELDが、上記一般プロセスと同様にして製造される。
【0119】
正孔注入層(HIL):20nmのPEDOT(水からスピンコーティング;H.C.シュターク、ゴスラー、独国(H.C.Starck,Goslar)社から購入;ポリ(3,4-エチレンジオキシ-2,5-チオフェン))
正孔輸送層(HTL):50nm、トリス-2-(8-エチル-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ[1,2b]フルオレン-2-イル)アミン(HTM-1と略称する、蒸着、例1により合成)
正孔輸送層(HTL):30nmのNPB(N-ナフチル-N-フェニル-4,4’-ジアミノビフェニル)
発光層(EML):30nm、母体材料として9,10-ビス(1-ナフチルアントラセン)(Hと略称)、x%(表参照)の2-(ジ(4-メトキシフェニル)アミノ)-8-エチルジスピロ[2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-6’-インデノフルオレン-[1,2b]フルオレン-12’,9”-フルオレン]をドーパントとしてドープ(Dと略称、蒸着、例4により合成)、
電子伝導層(ETL):20nm、ビス-2-(8-エチル-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ[1,2b]フルオレン-2-イル)ケトン(EL1と略称する、蒸着、例2により合成)
陰極:150nmのAl上の1nmLiF。
【0120】
これらのOLEDは、標準方法により特性決定される。この目的のために、エレクトロルミネセンススペクトル、効率(cd/Aで測定)及びパワー効率(Im/Wで測定)が、電流-電圧-輝度特性線(IUL特性線)から計算された輝度の関数として測定される。
【0121】
表4は、2-(ジ(4-メトキシフェニル)アミノ)-8-エチルジスピロ[2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-6’-インデノフルオレン-[1,2b]フルオレン-12’,9”-フルオレン]が、暗青色エミッターとして使用され、そのドープ度が変化さ0せられる、いくつかのOLED(例40乃至42)の結果を示す。
【0122】
母体材料Hは、9,10-ビス(1-ナフチル)アントラセンであり、以下に示す。
【化31】

【0123】
表1における例40乃至42から見て取れるように、本発明によるドーパント2-(ジ(4-メトキシフェニル)アミノ)-8-エチルジスピロ[2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-6’-インデノフルオレン-[1,2b]フルオレン-12’,9”-フルオレン]を含むOLEDは、効率的な暗青色発光を示す。
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)の化合物。
【化1】

ここで、使用される記号及び添字には、下記が適用される;
Yは、出現毎に、N、P、P=O、PF、P=S、As、As=O、As=S、Sb、Sb=O、Sb=S、C=O、O、S、Se、Te、S=O、SO、Se=O、SeO、Te=O若しくはTeO
Ar、Ar、Arは、出現毎に同一であるか異なり、5〜24個の芳香族環原子を有し、1以上のR基により置換されていてもよいアリール若しくはヘテロアリール基であり;
Arは、出現毎に同一であるか異なり、5〜40個の芳香族環原子を有し、1以上のR基により置換されていてもよい芳香族若しくは複素環式芳香族環構造であり;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、F、Cl、Br、I、CN、NO、Si(R、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシ若しくはチオアルコキシ基又は3〜40個のC原子を有する分岐又は環状アルキル、アルコキシ若しくはチオアルコキシ基(ここで、各鎖は1以上のRにより置換されていてもよく、1以上の隣接しないCH基は、-RC=CR-、-C≡C-、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、-O-、-S-若しくはCONR-により置き換えられていてもよく、1以上のH原子は、F、Cl、Br、I、CN若しくはNOで置換されていてもよい)、又は、1以上のR基により置換されていてもよい5〜40個の芳香族環原子を有する芳香族若しくは複素環式芳香族環構造、又は、1以上のR基により置換されていてもよい5〜40個の芳香族環原子を有するアリール若しくはヘテロアリール基、又は、これらの構造の組み合わせであり;ここで、2以上の置換基Rはまた、互いにモノ-若しくはポリ環状脂肪族環構造を形成してもよいものであり;
は、出現毎に同一であるか異なり、H若しくは1〜20個のC原子を有する脂肪族若しくは芳香族炭化水素基であり;
、Xは、出現毎に同一であるか異なり、Ar及びArと共に環状構造を規定する、C(R、Si(R、C=O、C=NR、C=C(R、O、S、S=O、SO、N(R)、P(R)、P(=O)R、P(=S)R、B(R)若しくはこれら基の2、3又は4個の組み合わせから選択されるブリッジであり;
、Xは、出現毎に同一であるか異なり、XとAr及びArと共に環状構造を規定し、
n、o、pは、出現毎に同一であるか異なり、0か1であり、但し、第5主族からのYに対して、もしもqが3であるときにだけ、n、p及びoが同時に0であり得、ここで、nが0若しくはoが0若しくはpが0は、2個のH原子若しくはR基が、ブリッジの代わりに存在することを意味し、
qは、Yが第5主族元素により結合するならば、1,2若しくは3であり、YがOを介して結合するならば2であり、Yが第6主族の別の元素により結合するならば、1若しくは2であり、
rは、Yが第5主族元素により結合するならば、(3-q)であり、Yが第6主族の別の元素により結合するならば、(2-q)であり、
以下の化合物は除外される。
【化2】

【請求項2】
記号Yは、窒素、C=O、燐若しくはP=Oを表すことを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項3】
記号Ar、Ar、Arは、出現毎に同一であるか異なり、5〜16個の芳香族環原子を有し、1若しくは2個のR基により置換されていてもよいアリール若しくはヘテロアリール基を表すことを特徴とする請求項1又は2記載の化合物。
【請求項4】
式(2)の請求項1乃至3の1項以上に記載の化合物。
【化3】

ここで、記号と添字は、請求項1の記載と同じ意味を有し、ここで、夫々のフェニル及びフェニレン基も、1以上のR基により置換されていてもよい。
【請求項5】
記号Arは、出現毎に同一であるか異なり、夫々1以上のR基により置換されていてもよい、5〜16個の芳香族環原子を有する芳香族若しくは複素環式芳香族環構造又はスピロビフルオレンを表すことを特徴とする請求項1乃至4何れか1項記載の化合物。
【請求項6】
記号Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、F、CN、Si(R、1〜5個のC原子を有する直鎖アルキル基或いは3〜5個のC原子を有する分岐アルキル基(ここで、夫々の場合、1以上の隣接しないCH基は、Si(R、-RC=CR-、-C≡C-、-O-若しくは-S-でにより置き換えられていてもよく、そして、1以上のH原子は、Fで置換されていてもよい)、又は、1以上のRにより置換されていてもよい2〜16個のC原子を有する1価のアリール若しくはヘテロアリール基を表すことを特徴とする請求項1乃至5何れか1項記載の化合物。
【請求項7】
、X、X及びXは、出現毎に同一であるか異なり、Ar及びArと或いはAr及びArと共に環状構造を規定する、C(R、C=O、C=NR、O、S、S=O、SO、N(R)、P(R)、P(=O)R、C(R-C(R、C(R-C(R-C(R、C(R-O、C(R-O-C(Rから選択されるブリッジを表すことを特徴とする請求項1乃至6何れか1項記載の化合物。
【請求項8】
添字pが0で、2つの添字n及びoの内の1つは1であるが、2つの添字の他方は0であることを特徴とする請求項1乃至7何れか1項記載の化合物。
【請求項9】
添字qは、出現毎に、Yが第5主族からのものであれば、2若しくは3を表し、Yが第6主族からのものであるならば、出現毎に、2を表すことを特徴とする請求項1乃至8何れか1項記載の化合物。
【請求項10】
化合物は対称構造を有し、Yが第5主族からのものであれば、3回回転軸を有し、Yが第6主族からのものであるならば、2回回転軸を有することを特徴とする請求項1乃至9何れか1項記載の化合物。
【請求項11】
1以上の式(1)の化合物を含み、ポリマー、オリゴマー若しくはデンドリマーに対する式(1)の化合物の1以上の結合が存在する、共役、一部共役若しくは非共役ポリマー、オリゴマー若しくはデンドリマー。
【請求項12】
ポリマー骨格が、ポリフルオレン、ポリスピロビフルオレン、ポリ-パラ-フェニレン、ポリカルバゾール、ポリビニルカルバゾール、ポリチオフェン、ポリジヒドロフェナントレン、ポリインデンフルオレン、ポリケトン、若しくは複数のこれら単位を含む共重合体からなる群より選択される請求項11記載のポリマー、オリゴマー若しくはデンドリマー。
【請求項13】
請求項1乃至10何れか1項記載の少なくとも1つの化合物及び少なくとも1つの母体材料を含む混合物。
【請求項14】
請求項1乃至13何れか1項記載の化合物若しくは混合物の有機電子素子への使用。
【請求項15】
請求項1乃至13何れか1項記載の少なくとも1つの化合物若しくは混合物を含む有機電子素子。
【請求項16】
有機エレクトロルミネセンス素子(OLED)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機光放出トランジスタ(O-LET)、有機集積回路(O-IC)、有機太陽電池(O-SC)、有機電場消光素子(O-FQD)、光放出電子化学電池(LEC)、有機光受容器及び有機レーザーダイオード(O-laser)の群より選択されることを特徴とする請求項15記載の有機電子素子。
【請求項17】
陽極、陰極及び少なくとも1つの発光層を含み、発光層が、請求項1乃至13項の何れか1項記載の少なくとも1つの化合物若しくは混合物を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネセンス素子。
【請求項18】
母体材料が、オリゴアリーレン、縮合芳香族基を含むオリゴアリーレン、オリゴアリーレンビニレン、ポリポダル金属錯体、正孔伝導化合物、電子伝導化合物、ケトン、ホスフィン酸、スルホキシド、若しくはアトロプ異性体のクラスから選択されることを特徴とする請求項17記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
【請求項19】
請求項1乃至12の何れか1項記載の化合物の発光層の混合物中の割合は、0.5〜50重量%であり、母体材料の割合は、対応して、50.0〜99.5重量%であることを特徴とする請求項17又は18記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
【請求項20】
正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層及び/又は電子注入層より選択される更なる層が存在することを特徴とする請求項14乃至19項の何れか1項記載の有機電子素子。
【請求項21】
請求項1乃至12項の何れか1項記載の少なくとも1つの化合物を含む少なくとも1つの正孔輸送層及び/又は少なくとも1つの正孔注入層が存在することを特徴とする、陽極、陰極及び少なくとも一つの発光層を含む、有機エレクトロルミネセンス素子。
【請求項22】
陽極、陰極及び少なくとも1つの燐光発光エミッターを含む少なくとも一つの発光層を含む、有機エレクトロルミネセンス素子であって、前記発光層が、請求項1乃至12項の何れか1項記載の少なくとも1つの化合物をマトリックス材料として含むことを特徴とする、有機エレクトロルミネセンス素子。
【請求項23】
陽極、陰極及び少なくとも一つの発光層を含む、有機エレクトロルミネセンス素子であって、請求項1乃至12項の何れか1項記載の少なくとも1つの化合物を含む、有機エレクトロルミネセンス素子。

【公表番号】特表2008−537948(P2008−537948A)
【公表日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−505759(P2008−505759)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【国際出願番号】PCT/EP2006/002531
【国際公開番号】WO2006/108497
【国際公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(597035528)メルク パテント ゲーエムベーハー (209)
【Fターム(参考)】