説明

有機電子素子

正孔注入または正孔抽出用電極の一部としてn−型有機物層を含む電子素子が開示される。前記電子素子は、導電層および前記導電層上に位置するn−型有機物層を含む第1電極;第2電極;および前記第1電極のn−型有機物層と前記第2電極との間に位置し、前記第1電極のn−型有機物層とNP接合をなすp−型有機物層を含み、前記層のエネルギー準位が式(1)2eV<EnL−EF1≦4eVと式(2)EpH−EnL≦1eVを満足することを特徴とする(前記式(1)および(2)において、EF1は前記第1電極の導電層のフェルミエネルギー準位であり、EnLは前記第1電極のn−型有機物層のLUMOエネルギー準位であり、EpHは前記第1電極のn−型有機物層とNP接合をなすp−型有機物層のHOMOエネルギー準位である)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は正孔注入または正孔抽出用電極にn−型有機物層を有する電子素子に関するものである。より詳しくは、本発明は正孔注入または正孔抽出のためのエネルギー障壁を低くすることができる電子素子に関するものである。
【0002】
本出願は2005年11月1日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2005−0103664号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0003】
太陽電池、有機発光素子、または有機トランジスタのような電子素子は、通常2つの電極とこれらの電極の間に介在された有機物層とを含む。例えば、太陽電池は、太陽エネルギーによって有機物層にて発生したエキシトン(励起子;exciton)から分離された電子と正孔を用いて電気を発生させる。有機発光素子は、2つの電極から有機物層に電子および正孔を注入して電流を可視光に変換させる。有機トランジスタは、ゲートに印加された電圧によって有機物層に形成された正孔または電子をソース電極とドレイン電極との間で輸送させる。また、電子素子は、性能を向上させるために電子/正孔注入層、電子/正孔抽出層、または電子/正孔輸送層をさらに含むことができる。
【0004】
しかし、金属、金属酸化物または導電性ポリマーを有する電極と有機物層との間の界面は不安定であり、外部から加えられる熱、内部発生熱、または電子素子に加えられる電界は電子素子の性能に悪影響を及ぼし得る。また、電子/正孔注入層、電子/正孔抽出層または電子/正孔輸送層と有機物層との間の伝導エネルギー準位(conductive energy level)の差のために素子動作のための駆動電圧が大きくなり得る。よって、電極に又は電極から電子/正孔を注入/抽出するエネルギー障壁を最小化するだけでなく、電子/正孔注入層、電子/正孔抽出層、または電子/正孔輸送層と有機物層との間、もしくは有機物層と電極との間の界面を安定化させることが重要である。
【0005】
電子素子は、電極とこの電極の間に位置する有機物層の間のエネルギー準位差を調節できるように開発されてきた。有機発光素子の場合、アノード電極は、正孔を円滑に注入するために、正孔注入層のHOMO(highest occupied molecular orbital)エネルギー準位と類似するフェルミエネルギー準位(Fermi energy level)を有するように調節されるか、またはアノード電極のフェルミエネルギー準位と類似するHOMOエネルギー準位を有する物質を正孔注入層用の物質として選択する。しかし、正孔注入層は、アノード電極のフェルミエネルギー準位だけでなく正孔輸送層または発光層のHOMOエネルギー準位を考慮して選択されるべきであるため、正孔注入層用の物質を選択するのに制限がある。
【0006】
したがって、有機発光素子を製造するにおいて、一般にアノード電極のフェルミエネルギーを調節する方法が採択されるが、アノード電極用物質は制限される。また、有機トランジスタもソース/ドレイン電極として金または他の貴金属を用いるが、金のような貴金属は高価であるだけでなく、加工性も他の金属に比べて落ちるため、素子製造工程が複雑になり、商業的に利用し難いとの問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
よって、本発明は上記問題点を解決するために導き出されたものであり、本発明は、第1電極、第2電極、およびこれらの電極の間に配置された有機物層を含む電子素子であって、第1電極と第2電極を同一物質で形成できる電子素子、例えば、有機発光素子、有機太陽電池および有機トランジスタと、前記有機発光素子を反復単位とするスタック型有機発光素子を提供することをその目的とする。
【0008】
また、本発明は、前記第1電極がn−型有機物層および導電層を含む場合、第1電極のn−型有機物層のLUMOエネルギー準位と第1電極の導電層のフェルミエネルギー準位とのエネルギー差が2eV〜4eVで大きい場合にも、電極と有機物層の界面において正孔注入および/または正孔抽出に対する電気的障壁が低くて、正孔注入および/または正孔抽出能力などが向上することにより、素子性能に優れ、様々な物質で電極を形成できるため、素子製造工程が簡素化できる有機発光素子、有機太陽電池および有機トランジスタのような電子素子を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る電子素子は、導電層および前記導電層上に位置するn−型有機物層を含む第1電極;第2電極;および前記第1電極のn−型有機物層と前記第2電極との間に位置し、前記第1電極のn−型有機物層とNP接合をなすp−型有機物層を含み、前記層らのエネルギー準位が下記式(1)および(2)を満足することを特徴とする。
2eV<EnL−EF1≦4eV (1)
pH−EnL≦1eV (2)
前記式(1)および(2)において、EF1は前記第1電極の導電層のフェルミエネルギー準位であり、EnLは前記第1電極のn−型有機物層のLUMO(lowest unoccupied molecular orbital)エネルギー準位であり、EpHは前記第1電極のn−型有機物層とNP接合をなすp−型有機物層のHOMO(highest occupied molecular orbital)エネルギー準位である。
【0010】
また、本発明は、導電層および前記導電層上に位置するn−型有機物層を含むアノード;カソード;および前記アノードのn−型有機物層と前記カソードとの間に位置し、前記アノードのn−型有機物層とNP接合をなすp−型有機物層を含み、前記層らのエネルギー準位が下記式(3)および(4)を満足することを特徴とする有機発光素子を提供する。
2eV<EnL−EF1≦4eV (3)
pH−EnL≦1eV (4)
前記式(3)および(4)において、EF1は前記アノードの導電層のフェルミエネルギー準位であり、EnLは前記アノードのn−型有機物層のLUMOエネルギー準位であり、EpHは前記アノードのn−型有機物層とNP接合をなすp−型有機物層のHOMOエネルギー準位である。
【0011】
また、本発明は、導電層および前記導電層上に位置するn−型有機物層を含むアノード;カソード;および前記アノードのn−型有機物層と前記カソードとの間に位置し、前記アノードのn−型有機物層とNP接合をなすp−型有機物層からなる電子供与層を含み、前記層らのエネルギー準位が下記式(5)および(6)を満足することを特徴とする有機太陽電池を提供する。
2eV<EnL−EF1≦4eV (5)
pH−EnL≦1eV (6)
前記式(5)および(6)において、EF1は前記アノードの導電層のフェルミエネルギー準位であり、EnLは前記アノードのn−型有機物層のLUMOエネルギー準位であり、EpHは前記アノードのn−型有機物層とNP接合をなすp−型有機物層のHOMOエネルギー準位である。
【0012】
また、本発明は、ソース電極;ドレイン電極;ゲート電極;および前記ゲート電極上に位置する絶縁層;および前記絶縁層上に位置するp−型有機物層を含み、前記ソース電極およびドレイン電極のうちの少なくとも1つは前記p−型有機物層とNP接合をなすn−型有機物層および導電層を含み、前記層らのエネルギー準位が下記式(7)および(8)を満足することを特徴とする有機トランジスタを提供する。
2eV<EnL−EF1≦4eV (7)
pH−EnL≦1eV (8)
前記式(7)および8において、EF1は前記ソース電極またはドレイン電極の導電層のフェルミエネルギー準位であり、EnLは前記ソース電極またはドレイン電極のn−型有機物層のLUMOエネルギー準位であり、EpHは前記ソース電極またはドレイン電極のn−型有機物層とNP接合をなすp−型有機物層のHOMOエネルギー準位である。
【発明の効果】
【0013】
上記のように、本発明に係る有機発光素子、スタック型有機発光素子、有機トランジスタおよび有機太陽電池のような電子素子は、第1電極の導電層と第2電極を同一物質で形成することができる。これにより、高輝度の積層構造の有機発光素子を得ることができ、単位電子素子を積層したスタック型電子素子などの様々な素子を具現することができる。また、正孔注入および正孔抽出層を必要とする有機発光素子および有機トランジスタおよび有機太陽電池のような電子素子において、様々な電極材料を用いることができ、製造工程上の単純性を確保できる長所がある。
【0014】
また、本発明に係る有機電子素子は、正孔注入または正孔抽出に対する電気的障壁を低くし、n−型有機物層とp−型有機物層との間にNP接合をなすために、素子効率が高く且つ電極物質として様々な物質を用いることができるので素子製造工程を簡素化できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下では、本発明を実施するために発明者によって案出された条件を説明することにより、本発明の好ましい具現例だけを図示し説明する。しかし、本発明は本発明の範囲を脱しない範囲内で多様に変化させることができる。よって、添付図面および以下の詳細な説明は、その性質上、例示的であって、本発明の範囲を制限するためのものでない。
【0016】
本発明に係る電子素子は、導電層および導電層上に配置されたn−型半導体特性を有する有機物層(以下、「n−型有機物層」という)を含む第1電極、第2電極、前記第1電極のn−型有機物層とNP接合をなすp−型半導体特性を有する有機物層(以下、「p−型有機物層」という)を含むことを特徴とする。前記p−型有機物層と第2電極との間には、電子/正孔注入層、電子/正孔抽出層、電子/正孔輸送層、発光層から選択された1つ以上の層を含むことができる。
【0017】
前記第1電極の導電層は金属、金属酸化物、または導電性ポリマーからなり得る。前記導電性ポリマーは電気伝導性ポリマーを含むことができる。前記第1電極の導電層上に形成されるn−型有機物層は、前記導電層のフェルミエネルギー準位と前記p−型有機物層のHOMOエネルギー準位に対して所定のLUMOエネルギー準位を有する。前記第1電極のn−型有機物層は、前記第1電極のn−型有機物層のLUMOエネルギー準位と前記第1電極の導電層のフェルミエネルギー準位とのエネルギー差、および前記第1電極のn−型有機物層のLUMOエネルギー準位と前記p−型有機物層のHOMOエネルギー準位とのエネルギー差が減少するように選択される。よって、正孔が前記第1電極のn−型有機物層のLUMOエネルギー準位を介して前記p−型有機物層のHOMOエネルギー準位に容易に注入され、また、正孔が前記第1電極のn−型有機物層のLUMOエネルギー準位を介して前記p−型有機物層のHOMOエネルギー準位から容易に抽出される。但し、本発明では、前記第1電極のn−型有機物層のLUMOエネルギー準位と前記第1電極の導電層のフェルミエネルギー準位とのエネルギー差が一定以上出るようにすることにより、低い仕事関数を有する材料を用いて第1電極の導電層を形成することもできる。つまり、本発明では電極材料としてより様々な材料を用いることができる。具体的に説明すれば次の通りである。
【0018】
本発明者らは、導電層および前記導電層上に位置するn−型有機物層を含む第1電極、第2電極、および前記第1電極のn−型有機物層と前記第2電極との間に位置し、前記n−型有機物層とNP接合をなすp−型有機物層を含み、前記第1電極のn−型有機物層のLUMOエネルギー準位と前記第1電極の導電層のフェルミエネルギー準位との差が2eV以下であり、前記第1電極のn−型有機物層のLUMOエネルギー準位と前記p−型有機物層のHOMOエネルギー準位との差が1eV以下である電子素子を国際出願PCT/KR2005/001381号として出願したことがある。前記出願発明に係る電子素子は、第1電極と有機物層の界面において正孔注入および/または正孔抽出に対するエネルギー障壁が低くて、正孔注入および/または正孔抽出能力などが向上することにより、素子性能に優れ、様々な物質で電極を形成することができるために素子の製造工程が簡素化できる長所がある。
【0019】
しかし、上記の電子素子において、第1電極の導電層と第2電極として同一物質を用いる場合には単位電子素子を積層したスタック型電子素子などの様々な素子を具現することができ、製造工程上の単純性を確保できるにもかかわらず、第2電極の場合第1電極とは逆に電子がよく注入され得るように低い仕事関数を有する材料を用いることが有利であって、第2電極の材料としてLiF−Al、Li−Al、Ca、Ca−Ag、Ca−IZOなどを用いている。よって、前述した前記第1電極のn−型有機物層のLUMOエネルギー準位と前記第1電極の導電層のフェルミエネルギー準位とのエネルギー差が2eV以下の条件を有する第1電極の場合、第2電極として用いる物質中、Ca、Ca−AgまたはCa−IZOを第1電極の導電層として適用するには限界がある問題点がある。
【0020】
本発明によれば、前記第1電極のn−型有機物層のLUMOエネルギー準位と前記第1電極の導電層のフェルミエネルギー準位とのエネルギー差は2eV超過4eV以下である。また、前記第1電極のn−型有機物層のLUMOエネルギー準位と前記p−型有機物層のHOMOエネルギー準位とのエネルギー差は1eV以下であり、好ましくは約0.5eV以下である。このエネルギー差は、物質選択の観点からは約0.01〜1eVであることが好ましい。
【0021】
前記第1電極のn−型有機物層のLUMOエネルギー準位と前記第1電極の導電層のフェルミエネルギー準位とのエネルギー差が4eVより大きければ、正孔注入または正孔抽出のエネルギー障壁に対する表面双極子(surface dipole)またはギャップステート(gap state)の効果が減少する。前記第1電極のn−型有機物層のLUMOエネルギー準位と前記第1電極の導電層のフェルミエネルギー準位とのエネルギー差が2eV以下であれば、第1電極の導電層物質の選択に制限がある。また、前記第1電極のn−型有機物層のLUMOエネルギー準位と前記p−型有機物層のHOMOエネルギー準位とのエネルギー差が約1eVより大きければ、前記p−型有機物層と前記第1電極のn−型有機物層との間のNP接合が容易になされなくて、正孔注入または正孔抽出のための駆動電圧が上昇する。
【0022】
図1(a)および図1(b)は、各々本発明の例示的な一具現例に係る電子素子において、正孔注入または正孔抽出用第1電極内にn−型有機物層を適用する前と後の前記第1電極のエネルギー準位を示すものである。図1(a)において、前記第1電極の導電層はn−型有機物層のフェルミエネルギー準位(EF2)よりは低いフェルミエネルギー準位(EF1)を有する。真空準位(VL)は導電層およびn−型有機物層において電子が自由に移動できるエネルギー準位を示す。
【0023】
電子素子が第1電極の一部分としてn−型有機物層を用いる場合、導電層はn−型有機物層と接触するようになる。図1(b)において、電子は導電層からn−型有機物層に移動するため、前記2層のフェルミエネルギー準位(EF1,EF2)は等しくなる。その結果、表面双極子が導電層とn−型有機物層との間の界面に形成され、真空準位、フェルミエネルギー準位、HOMOエネルギー準位、およびLUMOエネルギー準位は図1(b)に示されているように変わる。
【0024】
よって、第1電極の導電層のフェルミエネルギー準位と第1電極のn−型有機物層のLUMOエネルギー準位との差が大きくても、正孔注入または正孔抽出のためのエネルギー障壁は前記導電層とn−型有機物層を接触させることによって減少させることができる。また、前記導電層のフェルミエネルギー準位が前記n−型有機物層のLUMOエネルギー準位より低い場合、電子は導電層からn−型有機物層に移動し、前記導電層とn−型有機物層との間の界面にギャップステートを形成する。よって、電子輸送のためのエネルギー障壁は最小化する。
【0025】
前記第1電極の導電層上に形成されるn−型有機物層は下記化学式1の化合物を含むことができる。
【化1】

前記化学式1において、R〜Rは各々水素、ハロゲン原子、ニトリル(−CN)、ニトロ(−NO)、スルホニル(−SOR)、スルホキシド(−SOR)、スルホンアミド(−SONR)、スルホネート(−SOR)、トリフルオロメチル(−CF)、エステル(−COOR)、アミド(−CONHRまたは−CONRR’)、置換または非置換された直鎖または分枝鎖のC−C12アルコキシ、置換または非置換された直鎖または分枝鎖C−C12のアルキル、置換または非置換された芳香族または非芳香族の複素環、置換または非置換されたアリール、置換または非置換されたモノ−またはジ−アリールアミン、および置換または非置換されたアラルキルアミンからなる群から選択され、前記RおよびR’は各々置換または非置換されたC−C60のアルキル、置換または非置換されたアリール、および置換または非置換された5−7員複素環からなる群から選択される。
【0026】
前記化学式1の化合物は下記化学式1−1〜1−6の化合物で例示することができる。
【化2】


【0027】
前記化学式1の他の例や合成方法および様々な特徴は、米国特許出願第2002−0158242号、米国特許第6,436,559号、および米国特許第4,780,536号に記載されており、これらの文献の内容は全て本明細書に含まれる。
【0028】
また、前記n−型有機物層は、2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(F4TCNQ)、フッ素−置換された3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(PTCDA)、シアノ−置換された3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(PTCDA)、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTCDA)、フッ素−置換されたナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTCDA)、およびシアノ−置換されたナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTCDA)のうちから選択される1以上の化合物を含むことができる。
【0029】
本発明に係る電子素子は正孔を注入または抽出する第1電極のn−型有機物層に接触するp−型有機物層を含む。よって、前記第1電極のn−型有機物層とp−型有機物層との間にNP接合が形成される。図2は前記第1電極のn−型有機物層とp−型有機物層との間に形成されたNP接合を示すものである。
【0030】
NP接合が形成された場合、第1電極のn−型有機物層のLUMO準位とp−型有機物層のHOMO準位との間のエネルギー準位差は減少する。よって、外部電圧や光源によって正孔または電子が容易に形成される。p−型有機物層内において正孔または第1電極のn−型有機物層内において電子はNP接合によって容易に形成される。前記NP接合で正孔と電子が同時に発生するため、電子は第1電極のn−型有機物層を通して第1電極の導電層に輸送され、正孔はp−型有機物層に輸送される。
【0031】
本発明の例示的な一具現例の電子素子はこれに限定されるものではないが、有機発光素子、有機太陽電池、および有機トランジスタを含む。
【0032】
有機発光素子
有機発光素子は、導電層およびこの導電層上に位置するn−型有機物層を含むアノード電極、カソード電極、および前記n−型有機物層とカソードとの間に位置し、前記n−型有機物層とNP接合をなすp−型有機物層を含む。前記アノードのn−型有機物層とカソードとの間には、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、および電子注入層から選択される1つ以上の層を含むことができる。
【0033】
図3〜図5は本発明の例示的な具現例に係る有機発光素子を示すものである。図3〜図5を参照すれば、本発明に係る有機発光素子の第1具現例〜第3具現例は下記の順で形成することができる。
第1具現例
−基板31
−アノード32:導電層32a/n−型有機物層32b
−p−型正孔注入層33
−正孔輸送層34
−発光層35
−電子輸送層36
−カソード37
第2具現例
−基板31
−アノード32:導電層32a/n−型有機物層32b
−p−型正孔輸送層34
−発光層35
−電子輸送層36
−カソード37
第3具現例
−基板31
−アノード32:導電層32a/n−型有機物層32b
−p−型発光層35
−電子輸送層36
−カソード37
【0034】
前記第1具現例〜第3具現例において、正孔輸送層34、発光層35、および電子輸送層36は同一の有機物質で、または他の有機物質で形成することができる。前記第2具現例の場合にはn−型有機物層32bが正孔注入層の役割を同時にする。前記第3具現例の場合にはn−型有機物層32bが正孔注入層と正孔輸送層の役割をする。
【0035】
前記第1具現例〜第3具現例において、n−型有機物層32bのLUMOエネルギー準位と導電層32aのフェルミエネルギー準位とのエネルギー差は2eV超過4eV以下である。第1具現例、第2具現例、および第3具現例において、n−型有機物層32bとNP接合をなすp−型有機物層は、各々p−型正孔注入層33、p−型正孔輸送層34、およびp−型発光層35になり、前記NP接合をなすn−型有機物層32bのLUMOエネルギー準位とp−型有機物層のHOMOエネルギー準位とのエネルギー差は約1eV以下であり、好ましくは約0.5eV以下である。
【0036】
n−型有機物層32bのLUMOエネルギー準位と導電層32aのフェルミエネルギー準位とのエネルギー差が4eVより大きければ、p−型有機物層への正孔注入のためのエネルギー障壁に対する表面双極子またはギャップステートの効果が減少する。前記n−型有機物層32bのLUMOエネルギー準位と前記p−型有機物層のHOMOエネルギー準位とのエネルギー差が約1eVより大きければ、p−型有機物層またはn−型有機物層32bにおいて各々正孔または電子が容易に発生しない。正孔注入のための駆動電圧が上昇する。
【0037】
図6は従来の有機発光素子の理想的なエネルギー準位を示すものである。このエネルギー準位において、アノードおよびカソードから各々正孔および電子を注入するためのエネルギー損失が最小化される。図7は本発明の例示的な一具現例に係る有機発光素子のエネルギー準位を示すものである。
【0038】
図7を参照すれば、本発明の例示的な具現例に係る有機発光素子は導電層およびn−型有機物層(図3参照)を有するアノード、p−型正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、発光層(EML)、電子輸送層(ETL)、およびカソードを含む。前記アノードのn−型有機物層のLUMOエネルギー準位と前記アノードの導電層のフェルミエネルギー準位とのエネルギー差は2eV超過4eV以下であり、また、前記アノードのn−型有機物層のLUMOエネルギー準位とp−型正孔注入層のHOMOエネルギー準位とのエネルギー差は約1eV以下である。正孔/電子注入または抽出のためのエネルギー障壁が前記アノードのn−型有機物層によって低くなったため、前記アノードのn−型有機物層のLUMOエネルギー準位および前記p−型正孔注入層のHOMOエネルギー準位を用いて、正孔はアノードから発光層に容易に輸送される。
【0039】
前記アノードのn−型有機物層がアノードからp−型正孔注入層、p−型正孔輸送層またはp−型発光層への正孔注入のためのエネルギー障壁を低くするため、前記アノードの導電層は様々な導電性物質で形成することができる。例えば、前記導電層はカソードと同じく低い仕事関数を有する物質であるCa、Ca−Ag、Ca−IZO、Mg−Agなどで形成することができる。アノードがカソードと同一物質で形成された場合には、導電性物質が低い仕事関数を有するスタック型有機発光素子を製造することができる。
【0040】
このようにカソードおよびアノードを同一材料で形成することができるため、図10に示すように、アノード71とカソード75との間に介在された有機物層73を含む単位有機発光素子が2つ以上直列に連結された構造と、それと等価構造を有する図11に示された構造を有するスタック型有機発光素子を得ることができる。ここで、アノード71は導電層とn−型有機物層とを含む。
【0041】
図11を参照すれば、本発明に係るスタック型有機発光素子は単位有機発光素子のカソードが隣接する単位有機発光素子のアノードとして積層されたものである。具体的には、アノード81とカソード87との間に、有機物層83と、単位有機発光素子のカソードおよび隣接する単位有機発光素子のアノードとして作用する中間導電層85とを含む反復単位が複数積層された構造を有する。ここで、前記中間導電層85は導電層とn−型有機物層とを含む。前記導電層は仕事関数がカソード87物質のそれと類似する値を有しつつ、可視光線透過率が50%以上である透明な物質からなることが好ましい。不透明金属が導電層として用いられる場合に、導電層の厚さは透明になり得るほど薄く形成されなければならない。不透明金属の具体的な例としては、Al、Ag、Cu、Ca、Ca−Agなどを挙げることができる。低い仕事関数を有するCaを中間導電層85の導電層として形成することができる。特に、Ca−IZOを採用する場合には可視光線透過度を改善することができる。スタック型有機発光素子の場合、同一の駆動電圧下で積層された有機発光素子単位の数に比例して輝度が増加するため、有機発光素子をスタック型にすると高輝度有機発光素子を得ることができる。
【0042】
本発明に係る有機発光素子は、スパッタリング(sputtering)や電子ビーム蒸発(e−beameVaporation)のようなPVD(physical vapor deposition)方法を用いて、基板上に金属または伝導性を有する金属酸化物またはこれらの合金を蒸着させてアノードを形成し、その上に正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層を含む有機物層を形成した後、その上にカソードとして使用できる物質を蒸着して製造することができる。このような方法の他にも、基板上にカソード物質から有機物層、アノード物質を順に蒸着させて有機発光素子を作ることもできる(国際特許出願公開第2003/012890号参照)。
【0043】
前記有機物層は正孔注入層、正孔輸送層、発光層、および電子輸送層などを含む多層構造であり得るが、これに限定されず、単層構造であり得る。また、前記有機物層は様々な高分子素材を用いて蒸着法ではない溶媒処理(solvent process)、例えば、スピンコーティング、ディップコーティング、ドクターブレード、スクリーン印刷、インクジェット印刷、または熱転写法などの方法によってさらに少ない数の層に製造することができる。
【0044】
以下、本発明の例示的な一具現例に係る有機発光素子を構成する各層について具体的に説明する。以下で説明する各層の物質は単一物質または2以上の物質の混合物であり得る。
【0045】
アノード(Anode)
アノードは、正孔注入層、正孔輸送層、または発光層のようなp−型有機物層内に正孔を注入する。前記アノードは導電層とn−型有機物層とを含む。前記導電層は金属、金属酸化物、または導電性ポリマーを含む。前記導電性ポリマーは電気伝導性ポリマーを含むことができる。
【0046】
前記n−型有機物層はp−型有機物層に正孔注入のためのエネルギー障壁を低くするため、前記導電層は様々な導電性物質で形成することができる。例えば、前記導電層は約2.5〜5.5eVのフェルミエネルギー準位を有する。導電性物質の例としては、炭素、アルミニウム、カルシウム、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、銀、金、その他の金属およびこれらの合金;亜鉛酸化物、インジウム酸化物、スズ酸化物、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、およびその他のそれと類似する金属酸化物;Ca−AgおよびCa−IZOのような金属−金属酸化物積層体などがある。アノードを下部電極として含む正構造の有機発光素子が前面発光型(top emission)である場合には、前記導電層として透明物質だけでなく、光反射率に優れた不透明物質も用いることができる。アノードを下部電極として含む正構造の有機発光素子が背面発光型(bottom emission)である場合には、前記導電層としては透明物質でなければならず、不透明物質を用いる場合には透明になり得るほど薄膜に形成しなければならない。アノードを上部電極として含む逆構造の有機発光素子においては上記内容が逆に適用される。
【0047】
n−型有機物層は前記導電層とp−型有機物層との間に位置し、低電界で正孔をp−型有機物層に注入する。n−型有機物層は、前記アノードのn−型有機物層のLUMOエネルギー準位と前記アノードの導電層のフェルミエネルギー準位とのエネルギー差が2eV超過4eV以下であり、前記n−型有機物層のLUMOエネルギー準位と前記p−型有機物層のHOMOエネルギー準位とのエネルギー差が約1eV以下になるように選択される。例えば、前記n−型有機物層は約4〜7eVのLUMOエネルギー準位および約10−8cm/Vs〜1cm/Vs、好ましくは約10−6cm/Vs〜10−2cm/Vsの電子移動度を有する。電子移動度が約10−8cm/Vs未満であればn−型有機物層からp−型有機物層に正孔を注入することが容易ではない。前記n−型有機物層は真空蒸着できる物質または溶解法(solution process)で薄膜成形できる物質で形成することもできる。前記n−型有機物の具体的な例はこれに限定されるものではないが、前述した物質を含む。
【0048】
正孔注入層(HIL)または正孔輸送層(HTL)
正孔注入層または正孔輸送層はアノードとカソードとの間に位置し、p−型有機物層であって、アノードの導電層上に形成されたn−型有機物層とNP接合をなす。NP接合で形成された正孔は前記p−型正孔注入層またはp−型正孔輸送層を介して発光層に輸送される。
【0049】
前記NP接合をするp−型正孔注入層またはp−型正孔輸送層のHOMOエネルギー準位は、前記n−型有機物層のLUMOエネルギー準位に対して約1eV以下のエネルギー差、好ましくは約0.5eV以下のエネルギー差を有する。前記p−型正孔注入層またはp−型正孔輸送層は、アリールアミン系化合物、導電性ポリマー、または共役部分と非共役部分が共にあるブロック共重合体などを含むが、これに限定されるものではない。
【0050】
発光層(EML)
発光層では正孔伝達と電子伝達が同時に発生するため、発光層はn−型特性とp−型特性を共に有することができる。便宜上、電子輸送が正孔輸送に比べて速い場合にはn−型発光層、正孔輸送が電子輸送に比べて速い場合にはp−型発光層と定義することができる。
【0051】
n−型発光層では電子輸送が正孔輸送より速いために正孔輸送層と発光層の界面付近で発光がなされるため、正孔輸送層のLUMO準位が発光層のLUMO準位より高ければより良い発光効率を表すことができる。n−型発光層はこれに限定されるものではないが、アルミニウムトリス(8−ヒドロキシキノリン)(Alq);8−ヒドロキシキノリンベリリウム(BAlq);ベンズオキサゾール系化合物、ベンズチアゾール系化合物またはベンズイミダゾール系化合物;ポリフルオレン系化合物;シラシクロペンタジエン(silole)系化合物などを含む。
【0052】
p−型発光層では正孔輸送が電子輸送より速いために電子輸送層と発光層の界面付近で発光がなされるため、電子輸送層のHOMO準位が発光層のHOMO準位より低ければより良い発光効率を表すことができる。p−型発光層を用いる場合には、正孔輸送層のLUMO準位変化による発光効率の増大効果がn−型発光層を用いる場合に比べて小さいため、p−型発光層を用いる場合には、正孔注入層と正孔輸送層を用いずにn−型有機物層とp−型発光層との間のNP接合構造を有する有機発光素子を製造することができる。p−型発光層はこれに限定されるものではないが、カルバゾール系化合物;アントラセン系化合物;ポリフェニレンビニレン(PPV)系ポリマー;またはスピロ(spiro)化合物などを含む。
【0053】
電子輸送層(ETL)
電子輸送層物質としては、カソードから電子が効果的に注入され、発光層によく輸送できるように、電子移動度(electron mobility)の大きい物質が好ましい。前記電子輸送層はこれに限定されるものではないが、アルミニウムトリス(8−ヒドロキシキノリン)(Alq);Alq構造を含む有機化合物;ヒドロキシフラボン−金属錯化合物またはシラシクロペンタジエン(silole)系化合物などを含む。
【0054】
カソード(Cathode)
カソード物質としては、通常、電子輸送層のようなn−型有機物層のLUMO準位で電子注入が容易になされるように仕事関数の小さい物質が好ましい。前記カソードはこれに限定されるものではないが、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタニウム、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、スズおよび鉛のような金属またはこれらの合金;LiF/AlまたはLiO/Alのような多層構造物質などを含む。前記カソードはアノードの導電層と同一物質で形成することができる。カソードまたはアノードの導電層は透明物質を含むことができる。
【0055】
有機太陽電池
有機太陽電池は、アノード、カソード、および前記アノードと前記カソードとの間に介在された有機薄膜を含む。前記有機薄膜は有機太陽電池の効率と安全性を高めるために複数の層を含む。図8を参照すれば、本発明に係る有機太陽電池の例示的な一具現例は次の順で形成することができる。
−基板41
−アノード42:導電層42a/n−型有機物層42b
−電子供与層(electron donor layer;43)
−電子受容層(electron acceptor;44)
−カソード45
【0056】
有機太陽電池が外部光源から光子を受けると、電子供与層43と電子受容層44との間に電子と正孔が発生し、発生した正孔は電子供与層43を介してアノード42に輸送される。前記電子供与層43は前記アノードのn−型有機物層とNP接合をなすp−型有機物として形成され、前記p−型有機物層は2種以上の物質の組み合わせによって形成され得る。本発明の他の例示的な具現例に係る有機太陽電池は付加的な有機薄膜をさらに含むか、製造ステップを簡単にするために特定有機薄膜を省略することができる。前記有機太陽電池は色々な機能を同時に有する有機物を用いて有機物層の数を減少させることができる。
【0057】
従来の有機太陽電池は電子供与層のような有機薄膜のHOMOエネルギー準位に沿って正孔をアノードに輸送するため、アノードのフェルミエネルギー準位と電子供与層のHOMOエネルギー準位とのエネルギー準位差が小さいほど正孔抽出がさらに多く発生する。しかし、本発明の例示的な一具現例に係る有機太陽電池はアノードのn−型有機物層42bと電子供与層43との間にNP接合がなされることによって正孔が効率的に抽出され、抽出された正孔はn−型有機物層42bのLUMOエネルギー準位を介して導電層42aに注入される。
【0058】
前記アノードのn−型有機物層42bのLUMOエネルギー準位と前記アノードの導電層42aのフェルミ準位とのエネルギー差は2eV超過4eV以下であり、n−型有機物層42bのLUMOエネルギー準位と電子供与層43のようなp−型有機物層のHOMO準位との差は約1eV以下である。導電層42aは様々なフェルミエネルギー準位を有する物質で形成することができ、カソード45とアノード42は同一物質で形成することができる。
【0059】
前記有機太陽電池のアノードの導電層42aおよびカソード45は前記有機発光素子のアノードの導電層およびカソード物質として例示された物質を用いて形成することができる。また、前記有機太陽電池のn−型有機物層は前記有機発光素子におけるn−型有機物層物質として例示された物質を用いて形成することができる。前記有機太陽電池において、電子受容層44は前記有機発光素子における電子輸送層物質またはn−型発光層物質として例示された物質またはフラーレン(fullerene)系化合物として開示されたもので形成することができる。前記有機太陽電池において、電子供与層43は前記有機発光素子におけるp−型正孔輸送層物質またはp−型発光層物質として例示された物質またはチオフェン系ポリマーで形成することができる。
【0060】
有機トランジスタ
図9は本発明の例示的な一具現例に係る有機トランジスタを示すものである。
【0061】
図9を参照すれば、有機トランジスタは、基板61、ソース電極65、ドレイン電極66、ゲート電極62、基板61とゲート電極62の上に位置する絶縁層63、絶縁層63の上に位置し正孔を形成するp−型有機物層64を含み、前記ソース電極65および/またはドレイン電極66は前記p−型有機物層64とNP接合をなすn−型有機物層67および導電層(65a,66a)を含む。前記ソース電極65またはドレイン電極66のn−型有機物層67のLUMOエネルギー準位と導電層(65a,66a)のフェルミエネルギー準位とのエネルギー差は2eV超過4eV以下である。前記ソース電極65またはドレイン電極66のn−型有機物層67のLUMOエネルギー準位とp−型有機物層64のHOMOエネルギー準位とのエネルギー差は約1eV以下である。
【0062】
前記ソース電極65またはドレイン電極66のn−型有機物層67は、LUMO準位を介して正孔をソース電極65の導電層(65a,66a)から抽出し、これをドレイン電極66に注入することができる。前記ソース電極65またはドレイン電極66のn−型有機物層67とp−型有機物層64との間にNP接合がなされるため、正孔がソース電極65とドレイン電極66との間で円滑に輸送され得る。本発明において、n−型有機物層67はソース電極65またはドレイン電極66の一部分を形成するため、様々なフェルミエネルギー準位を有する物質を用いてソース電極65とドレイン電極66の導電層(65a,66a)を形成することができる。
【0063】
本発明の例示的な一具現例の有機トランジスタにおいて、ソース電極65またはドレイン電極66のn−型有機物層67は前記有機発光素子のn−型有機物層用物質として例示された物質を用いて形成することができる。ゲート電極62としては前記有機発光素子のアノードまたはカソード物質として例示された物質で形成することができる。
【0064】
ソース電極65またはドレイン電極66の導電層(65a,66a)は、前記有機発光素子のアノード物質として例示された物質で形成することができる。p−型有機物層64はこれに限定されるものではないが、ペンタセン(pentacene)系化合物、アントラジチオフェン(antradithiophene)系化合物、ベンゾジチオフェン(benzodithiophene)系化合物、チオフェン系オリゴマー類(thiophene oligomers)、ポリチオフェン類(polythiophenes)、混合されたサブユニットチオフェンオリゴマー類(mixed−subunit thiophene oligomers)、オキシ−官能化されたチオフェンオリゴマー類(oxy−funcionalized thiophene oligomers)などで形成することができる。絶縁層63は酸化シリコン(silicon oxide)、窒化シリコン(silicon nitride);ポリイミド、ポリ(2−ビニルピリジン)、ポリ(4−ビニルフェノール)、またはポリ(メチルメタクリレート)のようなポリマーで形成することができる。
【0065】
以下、実施例によって本発明の様々な態様および特徴をより詳細に説明する。しかし、下記実施例は本発明の様々な態様および特徴を例示するだけのものに過ぎず、本発明の範囲が下記実施例によって限定されるものではない。
【実施例】
【0066】
UPSおよびUV−VIS吸収(absorption)方法によるヘキサニトリルヘキサアザトリフェニレン(化学式1−1、HAT、韓国公開特許第2003−67773号参照)のHOMOとLUMO準位はPCT/KR2005/001381号に記載された方法によって測定し、測定されたHATのHOMO準位は9.78eVであり、HATのLUMOは約6.54eVであった。この値はHAT物質のエキシトン結合エネルギー(exciton binding energy)によって変化し得る。すなわち、6.54eVは前記物質のフェルミ準位(6.02eV)より大きい値であり、LUMO準位がフェルミ準位よりさらに小さい値を有するようにするためにはエキシトン結合エネルギーが0.52eV以上でなければならないことが分かる。有機物のエキシトン結合エネルギーは通常0.5eV〜1eVの値を有するため、前記HATのLUMO準位は5.54〜6.02eVの値を有するものとして予測された。
【0067】
ガラス基板(Corning 7059 glass)は、洗剤(製造社:Fischer Co.,製品番号:15−335−55)が溶解された蒸留水に入れて超音波で30分間洗浄した後、蒸留水に入れて5分間超音波洗浄を2回繰り返し行い、イソプロピルアルコール、アセトン、およびメタノール溶剤で順に各1回ずつ超音波洗浄を行って乾燥させた後に用いた。
【0068】
[実施例1]
IZO−Ca導電層およびHAT n−型有機物層を備えたアノードを含む有機発光素子
洗浄されたガラス基板上にインジウム亜鉛酸化物(IZO)を1000Å厚さでスパッタリング蒸着機を用いて真空蒸着し、その上に100Å厚さでCaを真空熱蒸着し、仕事関数が2.6eVである透明IZO−Ca導電層を形成した。前記形成された導電層上に約500Å厚さのHATを熱真空蒸着し、IZO−Ca導電層およびHAT n−型有機物層を有する透明アノードを形成した。その次、約400Å厚さで4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(NPB)を真空蒸着してp−型正孔輸送層を形成した。前記p−型正孔輸送層上にHOMO準位が約5.7eVであるAlqを約300Å厚さで真空蒸着して発光層を形成させ、前記発光層上に下記化合物(HOMO準位=約5.7eV)を200Å厚さで真空蒸着して電子輸送層を形成させた。
【化3】

【0069】
前記電子輸送層上に12Å厚さのフッ化リチウム(LiF)薄膜と2500Å厚さのアルミニウムを真空蒸着してカソードを形成することによって有機発光素子を完成した。前記過程において、有機物の蒸着速度は約0.4〜0.7Å/secを維持し、LiFは約0.3Å/sec、カルシウムおよびアルミニウムは約2Å/secの蒸着速度を維持した。蒸着時、蒸着チャンバー内の真空度は約2x10−7〜5x10−8torrを維持した。
【0070】
[実施例2]
Ag−Ca導電層およびHAT n−型有機物層を備えたアノードを含む有機発光素子
洗浄されたガラス基板上にIZO−Ca透明導電層の代わりにAgを200Å厚さで真空熱蒸着し、その上に200Å厚さでCaを真空熱蒸着し、仕事関数が2.6eVである半透明Ag−Ca導電層を形成したことを除いては、実施例1と同一の方法で有機発光素子を製作した。
【表1】

【0071】
前記実施例1および実施例2の電流密度および電圧による輝度を表す表1の結果から、n−型有機物層(HAT)のLUMOエネルギー準位(約5.54〜約6.02eV)と導電層のフェルミエネルギー準位(2.6eV)とのエネルギー差が2.9〜3.4程度であるにもかかわらず、正孔輸送層へ正孔が円滑に注入されることが分かり、これは、n−型有機物層のLUMOエネルギー準位と前記導電層のフェルミエネルギー準位とのエネルギー差が2eV超過4eV以下の範囲において、有機発光素子の電流−電圧特性は導電層のフェルミエネルギー準位値に独立的であることを意味する。
【0072】
一方、実施例2に係る有機発光素子の輝度が実施例1に係る有機発光素子の輝度に比べて相対的に低いのは、Ag(200Å)−Ca(200Å)導電層がIZO(1000Å)−Ca(100Å)導電層に比べて可視光線透過度が顕著に落ちることに起因するものであり、実施例2の有機発光素子の輝度は前記可視光透過度を考慮する時に実施例1の導電層を有する素子のそれと同等であると判断される。
【0073】
上記の結果は、カソード電極として用いられる低いフェルミエネルギーを有するカルシウムなどを導電層として含み、前記導電層のフェルミエネルギー準位とのエネルギー差が2〜4eVの範囲であるLUMOエネルギー準位を有するn−型有機物層を含み、前記n−型有機物層とNP接合をなすp−型有機物層を含み、前記p−型有機物層のHOMOエネルギー準位と前記n−型有機物層のLUMOエネルギー準位との差が1eV以下である条件を満足する電極を有機発光素子のアノードとして採用することができるということを示す。これはアノードの導電層とカソードを同一物質で形成できることを意味し、これを用いて図11に示されたスタック型有機発光素子を具現することができることを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1a】本発明の例示的な一具現例に係る電子素子において、正孔注入または正孔抽出用第1電極内にn−型有機物層を適用する前の前記第1電極のエネルギー準位を示すものである。
【図1b】本発明の例示的な一具現例に係る電子素子において、正孔注入または正孔抽出用第1電極内にn−型有機物層を適用した後の前記第1電極のエネルギー準位を示すものである。
【図2】本発明の例示的な一具現例に係る電子素子において、正孔注入または正孔抽出用第1電極のn−型有機物層とp−型有機物層との間に形成されたNP接合を示すものである。
【図3】本発明の例示的な具現例に係る有機発光素子を示す模式的な断面図である。
【図4】本発明の例示的な具現例に係る有機発光素子を示す模式的な断面図である。
【図5】本発明の例示的な具現例に係る有機発光素子を示す模式的な断面図である。
【図6】従来の有機発光素子の理想的なエネルギー準位を示すものである。
【図7】本発明の例示的な一具現例に係る有機発光素子のエネルギー準位を示すものである。
【図8】本発明の例示的な一具現例に係る有機太陽電池を示す模式的な断面図である。
【図9】本発明の例示的な一具現例に係る有機トランジスタを示す模式的な断面図である。
【図10】本発明の例示的な一具現例に係るスタック型有機発光素子を示す模式的な断面図である。
【図11】本発明の例示的な一具現例に係るスタック型有機発光素子を示す模式的な断面図である。
【符号の説明】
【0075】
31、41、61:基板 32、42:アノード
37、45:カソード 33:正孔注入層
34:正孔輸送層 35:発光層
36:電子輸送層 43:電子供与層
44:電子受容層 62:ゲート電極
63:絶縁層 64:p−型有機物層
65:ソース電極 66:ドレイン電極
32a、42a、65a,66a:導電層
32b、42b、67:n−型有機物層
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電層および前記導電層上に位置するn−型有機物層を含む第1電極と、
第2電極と、および
前記第1電極のn−型有機物層と前記第2電極との間に位置し、前記第1電極のn−型有機物層とNP接合をなすp−型有機物層とを備えてなり、
前記層のエネルギー準位が下記式(1)および(2):
2eV<EnL−EF1≦4eV (1)
pH−EnL≦1eV (2)
[前記式(1)および(2)において、
F1は前記第1電極の導電層のフェルミエネルギー準位であり、
nLは前記第1電極のn−型有機物層のLUMOエネルギー準位であり、
pHは前記第1電極のn−型有機物層とNP接合をなすp−型有機物層のHOMOエネルギー準位である。]
を満足することを特徴とする、電子素子。
【請求項2】
前記p−型有機物層と第2電極との間に備えられた少なくとも1層の有機物層をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の電子素子。
【請求項3】
前記第1電極のn−型有機物層は下記の化学式1の化合物を含むことを特徴とする、請求項1に記載の電子素子。
【化1】

[上記化学式1において、
〜Rは各々水素、ハロゲン原子、ニトリル(−CN)、ニトロ(−NO)、スルホニル(−SOR)、スルホキシド(−SOR)、スルホンアミド(−SONR)、スルホネート(−SOR)、トリフルオロメチル(−CF)、エステル(−COOR)、アミド(−CONHRまたは−CONRR’)、置換または非置換された直鎖または分枝鎖のC−C12アルコキシ、置換または非置換された直鎖または分枝鎖C−C12のアルキル、置換または非置換された芳香族または非芳香族の複素環、置換または非置換されたアリール、置換または非置換されたモノ−またはジ−アリールアミン、および置換または非置換されたアラルキルアミンからなる群から選択されてなり、
前記RおよびR’は各々置換または非置換されたC−C60のアルキル、置換または非置換されたアリール、および置換または非置換された5−7員複素環からなる群から選択されてなるものである。]
【請求項4】
化学式1の化合物が、下記化学式1−1〜1−6の化合物から選択されてなることを特徴とする、請求項3に記載の電子素子。
【化2】


【請求項5】
前記第1電極のn−型有機物層が、2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(F4TCNQ)、フッ素−置換された3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(PTCDA)、シアノ−置換された3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(PTCDA)、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTCDA)、フッ素−置換されたナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTCDA)、またはシアノ−置換されたナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTCDA)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の電子素子。
【請求項6】
前記第1電極の導電層が、金属、金属酸化物、および導電性ポリマーからなる群から選択される物質からなることを特徴とする、請求項1に記載の電子素子。
【請求項7】
前記第1電極の導電層と前記第2電極は同一物質からなることを特徴とする、請求項1に記載の電子素子。
【請求項8】
前記第1電極の導電層と前記第2電極は、Ca、Ca−Ag、Ca−IZO、およびMg−Agからなる群から選択される材料からなることを特徴とする、請求項1に記載の電子素子。
【請求項9】
前記電子素子が、
導電層および前記導電層上に位置するn−型有機物層を含むアノードと、
カソードと、および
前記アノードのn−型有機物層と前記カソードとの間に位置し、前記アノードのn−型有機物層とNP接合をなすp−型有機物層とを備えてなり、
前記層のエネルギー準位が下記式(3)および(4):
2eV<EnL−EF1≦4eV (3)
pH−EnL≦1eV (4)
[上記前記式(3)および(4)において、
F1は前記アノードの導電層のフェルミエネルギー準位であり、
nLは前記アノードのn−型有機物層のLUMOエネルギー準位であり、
pHは前記アノードのn−型有機物層とNP接合をなすp−型有機物層のHOMOエネルギー準位である。]
を満足する有機発光素子であることを特徴とする、請求項1に記載の電子素子
【請求項10】
前記p−型有機物層とカソードとの間に備えられた正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、および電子注入層から選択された少なくとも1つの層を備えてなることを特徴とする、請求項9に記載の電子素子。
【請求項11】
前記アノードの導電層と前記カソードは同一物質からなることを特徴とする、請求項9に記載の電子素子。
【請求項12】
前記アノードの導電層と前記カソードが、Ca、Ca−Ag、Ag−IZO、およびMa−Agからなる群から選択される材料からなることを特徴とする、請求項9に記載の電子素子。
【請求項13】
前記アノードのn−型有機物層が、4〜7eVのLUMOエネルギー準位および10−8cm/Vs〜1cm/Vsの電子移動度を有することを特徴とする、請求項9に記載の電子素子。
【請求項14】
前記アノードのn−型有機物層が下記化学式1の化合物を含むことを特徴とする、請求項9に記載の電子素子。
【化3】

[前記化学式1において、
〜Rは各々水素、ハロゲン原子、ニトリル(−CN)、ニトロ(−NO)、スルホニル(−SOR)、スルホキシド(−SOR)、スルホンアミド(−SONR)、スルホネート(−SOR)、トリフルオロメチル(−CF)、エステル(−COOR)、アミド(−CONHRまたは−CONRR’)、置換または非置換された直鎖または分枝鎖のC−C12アルコキシ、置換または非置換された直鎖または分枝鎖C−C12のアルキル、置換または非置換された芳香族または非芳香族の複素環、置換または非置換されたアリール、置換または非置換されたモノ−またはジ−アリールアミン、および置換または非置換されたアラルキルアミンからなる群から選択されてなり、
前記RおよびR’は各々置換または非置換されたC−C60のアルキル、置換または非置換されたアリール、および置換または非置換された5−7員複素環からなる群から選択されてなる。]
【請求項15】
前記化学式1の化合物は下記化学式1−1〜1−6の化合物から選択されることを特徴とする、請求項14に記載の電子素子。
【化4】


【請求項16】
前記アノードのn−型有機物層が、2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(F4TCNQ)、フッ素−置換された3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(PTCDA)、シアノ−置換された3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(PTCDA)、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTCDA)、フッ素−置換されたナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTCDA)、またはシアノ−置換されたナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTCDA)を含むことを特徴とする、請求項9に記載の電子素子。
【請求項17】
前記電子素子が、
導電層および前記導電層上に位置するn−型有機物層を含むアノードと、
カソードと、および
前記アノードのn−型有機物層と前記カソードとの間に位置し、前記アノードのn−型有機物層とNP接合をなすp−型有機物層からなる電子供与層とを備えてなり、
前記層のエネルギー準位が下記式(5)および(6):
2eV<EnL−EF1≦4eV (5)
pH−EnL≦1eV (6)
[前記式(5)および(6)において、
F1は前記アノードの導電層のフェルミエネルギー準位であり、
nLは前記アノードのn−型有機物層のLUMOエネルギー準位であり、
pHは前記アノードのn−型有機物層とNP接合をなすp−型有機物層のHOMOエネルギー準位である。]
を満足することを特徴とする有機太陽電池であることを特徴とする、請求項1に記載の電子素子。
【請求項18】
前記カソードと前記電子供与層との間に電子受容層をさらに含むことを特徴とする、請求項17に記載の電子素子。
【請求項19】
前記アノードの導電層と前記カソードは同一物質からなることを特徴とする、請求項17に記載の電子素子。
【請求項20】
前記アノードのn−型有機物層が、2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(F4TCNQ)、フッ素−置換された3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(PTCDA)、シアノ−置換された3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(PTCDA)、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTCDA)、フッ素−置換されたナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTCDA)、シアノ−置換されたナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTCDA)、またはヘキサニトリルヘキサアザトリフェニレン(HAT)を含むことを特徴とする、請求項17に記載の電子素子。
【請求項21】
ソース電極と
ドレイン電極と、
ゲート電極と、および
前記ゲート電極上に位置する絶縁層と、および
前記絶縁層上に位置するp−型有機物層を備えてなり、
前記ソース電極および前記ドレイン電極のうちの少なくとも1つは前記p−型有機物層とNP接合をなすn−型有機物層および導電層を備えてなり、
前記層のエネルギー準位が下記式(7)および(8):
2eV<EnL−EF1≦4eV (7)
pH−EnL≦1eV (8)
[前記式(7)および(8)において、
F1は前記ソース電極またはドレイン電極の導電層のフェルミエネルギー準位であり、
nLは前記ソース電極またはドレイン電極のn−型有機物層のLUMOエネルギー準位であり、
pHは前記ソース電極またはドレイン電極のn−型有機物層とNP接合をなすp−型有機物層のHOMOエネルギー準位である。]
を満足する有機トランジスタであることを特徴とする、請求項1に記載の電子素子。
【請求項22】
前記n−型有機物層が、2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(F4TCNQ)、フッ素−置換された3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(PTCDA)、シアノ−置換された3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(PTCDA)、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTCDA)、フッ素−置換されたナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTCDA)、シアノ−置換されたナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTCDA)、またはヘキサニトリルヘキサアザトリフェニレン(HAT)を含むことを特徴とする、請求項21に記載の電子素子。
【請求項23】
請求項第9項による電子素子を少なくとも2つ含み、1つの電子素子のアノードが隣接する電子素子のカソードと直列に連結されることを特徴とするスタック型有機発光素子。
【請求項24】
前記電子素子のアノードの導電層とカソードが同一物質からなることを特徴とする、請求項23に記載のスタック型有機発光素子。
【請求項25】
直列に連結された単位電子素子の界面に存在するアノードとカソードにおいて、アノードと導電層とカソードが単一導電層を形成することを特徴とする、請求項24に記載のスタック型有機発光素子。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2009−514243(P2009−514243A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−538815(P2008−538815)
【出願日】平成18年11月1日(2006.11.1)
【国際出願番号】PCT/KR2006/004504
【国際公開番号】WO2007/066898
【国際公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】