説明

有機EL素子およびその製造方法、それを用いた有機ELディスプレイ

【課題】 発光の外部取出効率を向上させた有機EL素子およびその製造方法、ならびにそれを用いた有機ELディスプレイの提供。
【解決手段】 円筒状の透明体の側面に1つまたは複数の発光部を有する有機EL素子であって、1つまたは複数の発光部は、透明電極、有機EL層、反射電極および保護層が順次積層された構造を有し、透明電極は発光部の一端に位置する第1端子電極に接続され、反射電極は発光部の他端に位置する第2端子電極に接続され、第2端子電極外周面に絶縁層が設けられており、および第1端子電極および第2端子電極は、1つまたは複数の発光部よりも厚く形成されていることを特徴とする有機EL素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL素子およびそれらの製造方法、ならびに該有機EL素子を用いた有機ELディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は低電圧で高い電流密度が実現できるため、無機EL素子またはLEDと比較して高い発光輝度および発光効率が期待できる。また、表示素子としては、(1)高輝度および高コントラスト、(2)低電圧駆動と高い発光効率、(3)高解像度、(4)広視野角、(5)高応答速度、(6)微細化およびカラー化、(7)軽さおよび薄さ等の優れた特徴を有している。以上の点から、有機EL素子のディスプレイへの応用が期待されている。
【0003】
従来型の有機EL素子は、ガラスなどの透明体からなる透明基板上に透明電極、有機EL層および反射電極をこの順に積層した構造を有している。しかしながら、この構造においては、有機EL層で発生した光の一部が透明基板/空気界面で反射され、全発光量の20%程度が外部に取り出されるのみであることが問題とされている。
【0004】
有機EL素子の発光の外部取出効率を向上させるために、透明体側面に有機EL素子を設けることが提案されてきている(特許文献1および2参照)。また、光通信用光源として、棒状の基材の周囲を取り巻くように有機EL素子を設け、その発光を基材内に導く構成が提案されている(特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2002−367769号公報
【特許文献2】特開2000−242197号公報
【特許文献3】特開平8−315984号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1は、複数の光ファイバの側面に、透明電極層、有機化合物層および金属電極層を順次積層し、それら複数の光ファイバを導電性バインダおよび2枚のコモン電極板で挟持した構造を開示している。この構造は光伝送用の光源に特化したものであり、複数の光ファイバ上に形成された透明電極層に対して別個の配線を必要とし、画像を表示するディスプレイに適した構造ではない。
【0007】
また、特許文献2に記載される構造は、透明体の側面に透明第1電極、発光層(有機層)および反射性第2電極を有し、該透明体の一方の端面に反射性第2電極と電気的に接続される反射性膜(第3リード被膜)を有する有機EL素子を形成すること、および該素子を配列させたディスプレイを開示している。しかしながら、特許文献2の有機EL素子を形成する際には、電極を形成しない領域に対して、マスクテープを巻く、あるいは低沸点被膜を形成しておき、素子形成後にこれを除去する方法が開示されている。これらの方法は、工程数の増加に加えて、発光層(有機層)がダメージを受けて非発光の故障が発生する恐れがある。また、この方法では、大量生産が本質的に困難である。
【0008】
さらに、有機EL素子を配列してディスプレイに組み立てる方法として、基板に差し込み孔を形成し、そこに有機EL素子を差し込む方法が示されている。しかしながら、この方法では有機EL素子を差し込む際に、何らかの方法で有機EL素子を把持する必要があり、かつ各素子の周辺にある程度の余裕が必要である。そのために、素子を把持する際の圧力により発光層が傷ついて寿命が短縮する恐れがあり、かつ高密度化・高精度化が困難になる。さらに、基板の差し込み孔の精度が充分高くなければ、棒状の素子が倒れる/差し込めないなどの障害が発生するおそれがある。
【0009】
したがって、本発明は円筒状の透明体の側面に各構成層を積層した有機EL素子を用いて、高精細・高コントラストのディスプレイを容易に製作する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の有機EL素子は、円筒状の透明体の側面に1つまたは複数の発光部を有し、前記1つまたは複数の発光部は、透明電極、有機EL層、反射電極および保護層が順次積層された構造を有し、前記透明電極は発光部の一端に位置する第1端子電極に接続され、前記反射電極は発光部の他端に位置する第2端子電極に接続され、前記第2端子電極の外周面に絶縁層が設けられており、および前記第1端子電極および第2端子電極は、前記1つまたは複数の発光部よりも厚く形成されていることを特徴とする。ここで、第1端子電極の外周面に第1端子電極絶縁層がさらに設けられていてもよい。また、円筒状の透明体は、光ファイバであってもよい。さらに、前記円筒状の透明体と前記第1端子電極との間、および前記円筒状の透明体と前記第2端子電極との間に吸光層をさらに設けてもよい。
【0011】
本発明の有機EL素子が複数の発光部を有する場合、有機EL素子の複数の発光部がそれぞれ異なる色の光を発してもよく、複数の発光部が異なる発光面積を有していてもよい。
【0012】
本発明の有機EL素子は、円筒状の透明体を提供する工程と、前記透明体の側面に第1および第2端子電極を形成する工程と、前記第1端子電極と接続され、前記第2端子電極と接続されない透明電極を前記透明体の側面に形成する工程と、前記透明電極の上に、有機EL層を形成する工程と、前記第2端子電極と接続され、前記第1端子電極と接続されない反射電極を前記有機EL層上に形成する工程と、前記反射電極を覆う保護層を形成する工程と、前記第2端子電極の外周面に絶縁層を形成する工程とを含む方法によって製造することができる。特に複数の発光部を有する有機EL素子の場合、円筒状の透明体を提供する工程と、前記透明体の側面に、逆テーパー形状断面を有する複数の第1および第2端子電極を形成する工程と、前記逆テーパー形状の角度より浅い角度で透明電極材料を付着させて、前記第1端子電極と接続され、前記第2端子電極と接続されない透明電極を前記透明体の側面に形成する工程と、前記逆テーパー形状の角度より浅い角度で有機EL層材料を付着させて、前記透明電極の上に、有機EL層を形成する工程と、前記逆テーパー形状の角度より浅い角度で反射電極材料を付着させて、前記第2端子電極と接続され、前記第1端子電極と接続されない反射電極を前記有機EL層上に形成する工程と、前記反射電極を覆う保護層を形成する工程と、前記第2端子電極の外周面に絶縁層を形成する工程とを含む方法によって製造することができる。
【0013】
本発明の有機ELディスプレイは、前述の有機EL素子からなる層と、その片面上に導電線を設けた絶縁シートとが交互に積層されており、前記層内の有機EL素子の第1端子電極が前記導電線を介して電気的に接続され、前記絶縁シートの垂直方向に整列した有機EL素子の第2端子電極が電気的に接続されていることを特徴とする。ここで、絶縁シート垂直方向に整列した有機EL素子の第2端子電極の電気的接続が絶縁シートに設けられた貫通接続部を介して達成されていてもよい。さらに、前記有機EL素子の光取り出し面の反対側の面に光電池がさらに配設されていてもよい。あるいはまた、前記複数の有機EL素子の光取り出し面の反対側の面に、複数の有機EL素子のそれぞれに対応して複数の光強度センサがさらに配設されており、前記光強度センサがフィードバック信号線を介して駆動回路に接続されていてもよい。
【0014】
本発明の有機ELディスプレイは、前述の方法を用いて複数の有機EL素子を製造する工程と;複数の前記有機EL素子からなる複数の層と、その片面上に導電線を設けた複数の絶縁シートとを交互に積層する工程とを含み、前記複数の層内の複数の有機EL素子の第1端子電極が前記導電線を介して電気的に接続され、前記絶縁シートの垂直方向に整列した有機EL素子の第2端子電極が電気的に接続される方法によって製造することができる。ここで、前記絶縁シート垂直方向に整列した有機EL素子の第2端子電極の電気的接続は、絶縁シートに設けられた貫通接続部を介して達成してもよい。この方法において、前記有機EL素子の光取り出し面の反対側の面に光電池を配設する工程をさらに含んでもよい。あるいはまた、前記複数の有機EL素子の光取り出し面の反対側の面に、複数の有機EL素子のそれぞれに対応して複数の光強度センサを配設し、前記光強度センサをフィードバック信号線を介して駆動回路に接続する工程をさらに含んでもよい。
【発明の効果】
【0015】
以上のような構成を採ることによって、本発明の有機EL素子は透明体端面から光を取り出すので、発光の外部取出効率を向上させることが可能となる。また、本発明の有機EL素子においては、1つの透明体上に複数種の発光部を形成することができるので、ディスプレイの高精細化に有利である。さらに、複数種の発光部の発光面積を自由に設定することが可能であり、発光効率の低いまたは寿命の短い発光部の発光面積を大きくすることによって、単位面積当たりの発光量を低減させても同程度の輝度およびより長い寿命を得ることが可能となる。また、本発明の有機EL素子の端子電極は、外部接続のための端子としてのみならず、発光部保護のためのスペーサとして、および複数の発光部を形成する場合の透明電極および反射電極のマスクとしても機能することが可能である。
【0016】
本発明の有機ELディスプレイは、前述の有機EL素子の層と、必要な要素を作成した絶縁シートとを交互に積層し、加熱しながら積層方向に圧力を印加するという簡便な方法で作製することができる。本発明の有機EL素子は1つの透明体上に複数種の発光部を形成することができるので、ディスプレイの高精細化に有利である。さらに、パッシブマトリクス駆動型において、発光部のそれぞれに対してマトリクスを形成することができるので、デューティ比の向上および輝度の増大に関しても有利である。
【0017】
さらに、本発明の有機ELディスプレイにおいては、表示面の反対側に光強度センサを配置することによって、経時による発光部の性能変化に対応するフィードバック制御を容易に行うことができる。さらに、本発明の有機ELディスプレイの表示面の反対側に光電池を配置することによって、低消費電力化を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の有機EL素子の基本的構造を図1に示す。図1において、円筒状の透明体1の側面に、第1端子電極2および第2端子電極3が形成され、それら2つの電極の間に、透明電極4、有機EL層5、反射電極6、および保護層7が形成され、さらに第2端子電極3の外周面に絶縁膜8が形成されている。
【0019】
円筒状の透明体1は、可視光(波長400〜700nm)に対して透明であり、積層される層の形成に用いられる条件(溶媒、温度等)に耐えるものであるべきであり、および寸法安定性に優れていることが好ましい。好ましい透明体1は、ガラス、およびポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂(ポリメチルメタクリレートを含む)、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレートを含む)、ポリカーボネート樹脂、またはポリイミド樹脂などの樹脂でを用いて形成される。あるいはまた、高屈折率のコアと低屈折率のクラッドとを有する光ファイバーを透明体1として用いてもよい。
【0020】
第1端子電極2および第2端子電極3は、高い導電率を有し、透明体1と高い密着力を有する金属または合金を用いて形成することができる。用いることができる材料は、Al、Ag、Cu、Fe、Zn、Niおよびそれら金属を含む合金を含む。これら端子電極は、完成した素子を配列する際に、素子間のスペーサとしても機能するので、端子電極間に積層される層の総厚よりも大きな厚さを有することが必要であり、好ましくは1μm〜100μmの厚さとすることができる。
【0021】
任意選択的に、第1端子電極2および第2端子電極3と透明体1との間に吸光層(不図示)を設けてもよい。このような吸光層を設けて金属による光反射を防止することによって、完成した素子のコントラスト比を向上させること、および入射した外光の素子の光取り出し側と反対側の端面への到達を防止することができる。さらに、吸光層は、透明体1ならびに第1および第2端子電極2,3と良好な密着性を有することが求められる。吸光層は、Crおよびその酸化物または黒色レジストのような材料を用いて形成することができる。
【0022】
透明電極4は、第1端子電極2と電気的に接続され、かつ第2端子電極3とは電気的に接続されない電極である。透明電極4は、第1端子電極2の側面と接触しており、また、必要に応じて電気的接続を確実にするために、第1端子電極2の上面に至るように形成されていてもよい(図1参照)。透明電極4は、波長400〜800nmの光に対して好ましくは50%以上、より好ましくは85%以上の透過率を有することが好ましい。透明電極4は、ITO(In−Sn酸化物)、Sn酸化物、In酸化物、IZO(In−Zn酸化物)、Zn酸化物、Zn−Al酸化物、Zn−Ga酸化物、またはこれらの酸化物に対してF、Sbなどのドーパントを添加した導電性透明金属酸化物を用いて形成することができる。透明電極4は、通常50nm以上、好ましくは50nm〜1μm、より好ましくは100〜300nmの範囲内の厚さを有することが望ましい。
【0023】
上記のような材料を用いて形成される透明電極4は、通常の場合、陽極(正孔注入電極)として用いられる。透明電極4を陰極(電子注入電極)として用いる場合には、透明電極4と有機EL層5との界面にバッファ層(不図示)を設けて、電子注入効率を向上させることが望ましい。バッファ層の材料としては、Li、Na、K、またはCsなどのアルカリ金属、Ba、Srなどのアルカリ土類金属またはそれらを含む合金、希土類金属、あるいはそれら金属のフッ化物などの用いることができるが、それらに限定されるものではない。バッファ層の膜厚は、駆動電圧および透明性等を考慮して適宜選択することができるが、通常の場合には10nm以下であることが好ましい。
【0024】
有機EL層5は、有機発光層を少なくとも含み、必要に応じて正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層および/または電子注入層を含む。これらの各層は、それぞれにおいて所望される特性を実現するのに充分な膜厚を有して形成される。たとえば、下記のような層構成からなるものが採用される。
(1)有機発光層
(2)正孔注入層/有機発光層
(3)有機発光層/電子注入層
(4)正孔注入層/有機発光層/電子注入層
(5)正孔輸送層/有機発光層/電子注入層
(6)正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子注入層
(7)正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層
(上記の構成において、陽極として機能する電極が左側に接続され、陰極として機能する電極が右側に接続される)
【0025】
有機発光層の材料としては、任意の公知の材料を用いることができる。たとえば、青色から青緑色の発光を得るためには、例えば縮合芳香環化合物、環集合化合物、金属錯体(Alqのようなアルミニウム錯体など)、スチリルベンゼン系化合物(4,4’−ビス(ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)など)、ポルフィリン系化合物、ベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、べンゾオキサゾール系などの蛍光増白剤、芳香族ジメチリディン系化合物などの材料が好ましく使用される(非特許文献2および非特許文献3参照)。あるいはまた、ホスト化合物にドーパントを添加することによって、種々の波長域の光を発する有機発光層を形成してもよい。ホスト化合物としては、ジスチリルアリーレン系化合物(たとえば出光興産製IDE−120など)、N,N’−ジトリル−N,N’−ジフェニルビフェニルアミン(TPD)、アルミニウムトリス(8−キノリノラート)(Alq)等を用いることができる。ドーパントとしては、ペリレン(青紫色)、クマリン6(青色)、キナクリドン系化合物(青緑色〜緑色)、ルブレン(黄色)、4−ジシアノメチレン−2−(p−ジメチルアミノスチリル)−6−メチル−4H−ピラン(DCM、赤色)、白金オクタエチルポルフィリン錯体(PtOEP、赤色)などを用いることができる。
【0026】
正孔注入層の材料としては、Pc類(CuPcなどを含む)またはインダンスレン系化合物などを用いることができる。正孔輸送層は、トリアリールアミン部分構造、カルバゾール部分構造、オキサジアゾール部分構造を有する材料を用いて形成することができる。用いることができる材料は、好ましくは、TPD、α−NPD、MTDAPB(o−,m−,p−)、m−MTDATAなどを含む。
【0027】
電子輸送層の材料としては、Alqのようなアルミニウム錯体;PBD、TPOBのようなオキサジアゾール誘導体;TAZのようなトリアゾール誘導体;以下に示す構造を有するもののようなトリアジン誘導体;フェニルキノキサリン類;BMB−2Tのようなチオフェン誘導体などを用いることができる。電子注入層の材料としては、Alqのようなアルミニウム錯体、あるいはアルカリ金属ないしアルカリ土類金属をドープしたアルミニウムのキノリノール錯体などを用いることができる。
【0028】
有機EL層5を構成するそれぞれの層は、蒸着(抵抗加熱または電子ビーム加熱)などの当該技術において知られている任意の手段を用いて形成することができる。
【0029】
反射電極6は、第2端子電極3と電気的に接続され、かつ第1端子電極2とは電気的に接続されない電極である。反射電極6は、第2端子電極3の側面と接触しており、また、必要に応じて電気的接続を確実にするために、第2端子電極3上面に至るように形成されていてもよい(図1参照)。反射電極6は、高反射率の金属、アモルファス合金、微結晶性合金を用いて形成されることが好ましい。高反射率の金属は、Al、Ag、Mo、W、Ni、Crなどを含む。高反射率のアモルファス合金は、NiP、NiB、CrPおよびCrBなどを含む。高反射率の微結晶性合金は、NiAlなどを含む。
【0030】
反射電極6は、通常の場合、陰極として用いられる。反射電極6を陰極として用いる場合には、前述の高反射率金属、アモルファス合金または微結晶性合金に対して、仕事関数が小さい材料であるリチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウムなどのアルカリ土類金属を添加して合金化し、電子注入効率を向上させることができる。あるいはまた、反射電極6と有機EL層5との界面に、前述のバッファ層を設けて有機EL層5に対する電子注入の効率を向上させてもよい。反射電極6を陽極として用いる場合には、反射電極6と有機EL層5との界面に、前述の導電性透明金属酸化物の層を設けて有機EL層5に対する正孔注入の効率を向上させてもよい。
【0031】
反射電極6は、通常50nm以上、好ましくは50nm〜1μm、より好ましくは100〜300nmの範囲内の厚さを有して、有機EL層5が発する光を透明体1の方向へと反射させることが望ましい。
【0032】
保護層7は、その下に形成される反射電極6以下の各構成層を物理的に保護するために、第1端子電極2と第2端子電極3との間に形成される層である。第1端子電極2(すなわち透明電極4)と第2端子電極3および反射電極6との間の電気的導通を防止するため、保護層7は電気絶縁性材料を用いて形成される。また、有機EL層5を水分および酸素から保護することが要求される場合、保護層7が水分・酸素遮断性を有することが望ましい。保護層7を形成するのに好ましい材料は、SiO、AlO、TiOのような絶縁性酸化物、SiN,AlN、BNのような絶縁性窒化物、SiO、AlOのような絶縁性酸化窒化物、またはSiCのような絶縁性炭化物を用いて形成することができる。あるいはまた、ポリオレフィン、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂を用いて保護層7を形成してもよい。熱可塑性樹脂を用いて保護層7を形成する場合、後述する絶縁層8と一体として保護層7を形成してもよい。
【0033】
絶縁層8は、本実施形態の有機EL素子を用いてディスプレイを形成する際に、隣接する第2端子電極3間の絶縁を提供し、必要な部分のみに電気的接触を形成するための層である。絶縁層8は、少なくとも第2端子電極3の外周面上に形成され、必要に応じて第2端子電極3の両底面を覆うように形成されてもよい。詳細は後述するが、熱および圧力の印加時に塑性変形して第2端子電極3を露出させるために、絶縁層8を熱可塑性を有する材料を用いて形成することが好ましい。用いることができる熱可塑性樹脂は、ポリオレフィン、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリエステルなどを含む。上記のような絶縁および塑性変形による電極の露出を実現するために、絶縁層8は、第2端子電極3外周面上で0.5〜5μmの膜厚を有することが望ましい。必要に応じて、別途形成される保護層7の上に至る絶縁層8を形成してもよく、前述のように保護層7と絶縁層8とを一体として形成してもよい。
【0034】
本実施形態の変形例を図2に示す。図2の有機EL素子は、第1端子電極2を覆うように第1端子電極絶縁層9が形成されていることを除いて、図1の有機EL素子と同様の構造を有する。第1端子電極絶縁層9は、有機EL素子を用いてパッシブマトリクス駆動型ディスプレイを形成する場合には任意選択的に設けてもよい層である。第1端子電極絶縁層9は、少なくとも第1端子電極2の外周面上に形成され、必要に応じて第1端子電極2の両底面を覆うように形成されてもよい。第1端子電極絶縁層9は、絶縁層8と同様の材料で形成することができる。また、第1端子電極絶縁層9は、第1端子電極2外周面上で0.2〜2μmの膜厚を有することが望ましい。絶縁層8と第1端子電極絶縁層9とを、同一の材料を用いて同時に形成してもよい。
【0035】
本実施形態のさらなる変形例として、透明体1と透明電極4との間に色変換フィルタ層(不図示)をさらに形成してもよい。本発明における色変換フィルタ層は、カラーフィルタ層、色変換層、またはカラーフィルタ層と色変換層との積層構造のいずれであってもよい。カラーフィルタ層は、特定の波長域の光を透過させる層である。一方、色変換層は、入射光の波長分布変換を行い異なる波長域の光を放射する層である。色変換フィルタ層としてカラーフィルタ層と色変換層との積層構造を用いる場合、カラーフィルタ層を透明体1の側に、色変換層を透明電極4の側に配置することが望ましい。このような配置とすることによって、色変換層にて波長分布変換されて放射される光の色純度をカラーフィルタ層を用いて向上させることが可能となる。
【0036】
カラーフィルタ層は、フラットパネルディスプレイ用材料などの当該技術において知られている任意の材料を用いて形成することができる。
【0037】
色変換層は、1種または複数種の色変換色素と、マトリクス樹脂とを含む層である。色変換色素は、入射光を吸収して、異なる波長域の光を放射する色素である。たとえば、青色から青緑色領域の光を吸収して、赤色領域の蛍光を発する蛍光色素としては、ローダミンB、ローダミン6G、ローダミン3B、ローダミン101、ローダミン110、スルホローダミン、ベーシックバイオレット11、ベーシックレッド2などのローダミン系色素、シアニン系色素、1−エチル−2−[4−(p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル]−ピリジニウムパークロレート(ピリジン1)などのピリジン系色素、あるいはオキサジン系色素などを用いることができる。また、青色ないし青緑色領域の光を吸収して、緑色領域の蛍光を発する蛍光色素としては、たとえば3−(2’−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノ−クマリン(クマリン6)、3−(2’−ベンゾイミダゾリル)−7−ジエチルアミノ−クマリン(クマリン7)、3−(2’−N−メチルベンゾイミダゾリル)−7−ジエチルアミノ−クマリン(クマリン30)、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロ−8−トリフルオロメチルキノリジン(9,9a,1−gh)クマリン(クマリン153)などのクマリン系色素、あるいはクマリン色素系染料であるベーシックイエロー51、さらにはソルベントイエロー11、ソルベントイエロー116などのナフタルイミド系色素などを用いることができる。マトリクス樹脂としては、熱可塑性樹脂に加えて、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂(レジスト)の硬化物を用いることができる。
【0038】
本実施形態の有機EL素子は、基板として用いる平面状透明体の上に形成した有機EL層を発した光を透明体を透過させて取り出すのではなく、円筒状の透明体の周囲側面に形成した有機EL層を発した光を円筒状透明体の端面から取り出すため、平面状透明体の際に発生した透明体横方向への光の散逸がなく、光の取り出し効率を向上させることが可能となる。特に、発光部に比べて厚く形成される第1および第2端子電極は、外部接続のための端子としてのみならず、発光部を保護するスペーサとしての機能をも有するものである。
【0039】
次に、図3を参照して、本実施形態の有機EL素子の製造を説明する。最初に、図3(a)に示すように、透明体1の周囲にマスク21aを配設して、複数の部分からなる金属膜10を蒸着などのドライプロセスを用いて形成する。あるいはまた、透明体1の側面全面に金属を積層した後に、フォトリソグラフ法などの方法を用いて所望のパターンを有する金属膜10を得ることも可能である。次いで、図3(b)に示すように、所定の位置にマスク21bを配設して、金属膜10を1つおきにドライプロセスによりエッチングして、第1端子電極に対応するより薄い金属膜10aと、第2端子電極に対応するより厚い金属膜10bとを形成する。
【0040】
次に、図3(c)に示すように、金属膜10の1つおきにマスク21cを配設して、蒸着などのドライプロセスにより透明電極4を形成する。この際に、マスク21cは、その下にある金属膜10よりも大きくして、透明電極4と下にある金属膜10とが導通しないようにする。最終的には、マスク21cを配設した金属膜10が第2端子電極3を構成し、マスク21cが配設されなかった金属膜10が第1端子電極2を構成する。
【0041】
次に、図3(d)に示すように、各金属膜10に相当する位置にマスク21dを配設して、蒸着などのドライプロセスにより有機EL層5を形成する。有機EL層5が複数の層から構成される場合、各構成層を順次的に蒸着することによって形成することができる。
【0042】
次に、図3(e)に示すように、金属膜10の1つおきに相当する位置に、マスク21eを配設する。マスク21eの配設位置は、図3(c)に示したマスク21cとは異なる位置であり、マスク21eを配設した位置の金属膜10が最終的に第1端子電極2を形成する。また、マスク21cと同様に、マスク21eは、その下にある金属膜10よりも大きくして、反射電極6と下にある金属膜10とが導通しないようにする。その後に、蒸着などのドライプロセスにより反射電極6を形成する。
【0043】
次に、図3(f)に示すように、各金属膜10に相当する位置にマスク21fを配設し、蒸着などのドライプロセスによって保護層7を形成する。そして、図3(g)に示すように、図3(c)においてマスク21cを配設しなかった領域を覆うようにマスク21gを配設し、蒸着などのドライプロセスによって絶縁層8を形成する。
【0044】
最後に、図3(h)に示すように、各金属膜10を切断して、複数の有機EL素子100を形成する。なお、図3(h)においては、第1端子電極2から第2端子電極3へ向かう方向を矢印で示した。
【0045】
第1端子電極絶縁層9をさらに含む変形例の素子を形成する場合には、図3(g)の切断工程の前に、図3(e)においてマスク21eを配設しなかった領域を覆うようなマスクを形成し、蒸着などのドライプロセスによって第1端子電極絶縁層9を形成することができる。
【0046】
また、色変換フィルタ層を含む変形例の素子を形成する場合には、図3(c)に示した透明電極4の形成工程の前に、複数の金属膜10の間の領域に色変換フィルタ層を形成する。たとえば、色変換色素と光硬化性または光熱硬化性樹脂との混合物を透明体1の側面に塗布した後に、フォトリソグラフ法などを用いてパターニングして、複数の金属膜10の間の領域に色変換フィルタ層を形成してもよい。あるいはまた、色変換色素とマトリクス樹脂との混合物を複数の金属膜10の間の領域のみに塗布して、色変換フィルタ層を形成してもよい。
【0047】
次に、図4〜図6を参照して、本実施形態の有機EL素子を用いたディスプレイの製造方法を説明する。最初に図4(b)に示すように、走査線を形成するための導電線41を形成した絶縁シート40上に、導電線41と第1端子電極2とが接触するような状態で、有機EL素子を整列させる。導電線41の有機EL素子が配置される位置に窪みを設けて、有機EL素子の整列をより容易にしてもよい。図4(a)に示すように隣接する有機EL素子の第1端子電極2が接触し、図4(c)に示すように隣接する有機EL素子の第2端子電極3がそれらを覆う絶縁層8を介して接触するように密に整列させることが、解像度および精細度の向上のために望ましい。また、絶縁シート40の長さは、有機EL素子の長さより短くして、第2端子電極3の位置に絶縁シートを存在させないようにする。
【0048】
次に、このように絶縁シート40上に有機EL素子を整列させたものを、図5(b)に示すように複数層積層させる。この際に、積層方向にて隣接する有機EL素子の第2端子電極3が接触するように配置することが必要である。図5(a)および(c)に示すように、加熱と同時に、積層方向に圧力を印加する。図5(a)に示す第1端子電極2の側では、第1端子電極2と導電線41とが融合して、絶縁シート40の表面方向に延びる走査線が形成される。第1端子電極絶縁層9を含む変形例においては、最初に第1端子電極絶縁層9の塑性変形によって第1端子電極2と導電線41とが接触し、その後に融合することによって走査線が形成される。この場合には、塑性変形した第1端子電極絶縁層9が、有機EL素子と絶縁シートとの接着剤としても機能することができる。一方、図5(c)に示す第2端子電極3の側では、絶縁層8の塑性変形によって隣接する第2端子電極3が接触し、その後に融合することによって、絶縁シート40を貫く方向に延びるデータ線が形成される。この場合にも、塑性変形した絶縁層8が有機EL素子同士の接着剤として機能することができる。
【0049】
最後に、図5に示した工程で得られた複数の絶縁シート40上の導電線41を走査線ドライバ220と接続し、および第2端子電極3から形成されるデータ線をデータ線ドライバ210と接続し、最後に封止ケース内に格納することによって、パッシブマトリクス駆動型のディスプレイを形成することができる。
【0050】
図6に示したディスプレイにおいて、全ての有機EL発光素子を同種のもので構成すれば単色表示のディスプレイとなり、複数種の有機EL発光素子、より好ましくは赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の光を発する有機EL発光素子を組み合わせて構成すれば多色表示(フルカラー表示を含む)のディスプレイとなる。
【0051】
なお、図6においては、全ての有機EL発光素子が同一の長さを有する場合を例示したが、積層方向に整列されてデータ線を形成する一連の素子が同じ長さを有することを条件として、複数種の長さ(すなわち発光面積)を有する有機EL発光素子を用いてディスプレイを形成しててもよい。たとえば、他のものと比較して発光効率が低いまたは寿命が短い1種の有機EL発光素子を、他の種類の素子よりも長く(すなわち発光面積を大きく)してもよい。このような構成をとることによって、発光効率が低い有機EL素子あるいは寿命が短い有機EL素子に対して過剰の電圧を印加することなしに所望の輝度を得ることができるので、ディスプレイ全体としての寿命を長くすることが可能となる。
【0052】
本発明の第2の実施形態の多色発光有機EL素子は、1つの透明体1の上に複数の有機EL発光部が形成された素子であり、RGBの3種の発光部を有する有機EL素子の構成例を図7に示す。3種の発光部110(R,G,B)は、透明電極4と透明体1との間に色変換フィルタ層30(R,G,B)が設けられていること、第1端子電極2および第2端子電極3の断面が逆テーパー形状を有すること、ならびに絶縁層8が発光部の側面全面を覆っていることを除いて、第1の実施形態の有機EL素子と同等の構造を有する。
【0053】
図8を参照して、第2の実施形態の多色発光有機EL素子の製造方法を説明する。最初に、図8(a)に示す透明体1の上に、蒸着法などのドライプロセスを用いて、図8(b)に示すように金属膜10を形成する。あるいはまた、第1端子電極2および第2端子電極3と透明体1との間に吸光層(不図示)が必要な場合には、金属膜の形成の前に黒色の材料からなる吸光層を形成してもよい。
【0054】
次に、図8(c)に示すように、第1端子電極2および第2端子電極3を形成する位置にエッチングマスク22を設ける。次に、図8(d)に示すように、酸などのエッチング液を用いて、エッチングマスク22を設けた部分以外の金属膜10(および、存在する場合には吸光層)を除去して、第1端子電極2および第2端子電極3を形成する。この際に、エッチング液を斜め方向から吹き付けることによって第1端子電極2および第2端子電極3の断面を逆テーパー形状にすることができる。なお、図8(d)においては、第1端子電極2の内側面および第2端子電極3の外側面に傾斜を与えるためのエッチング液の吹付方向を示したが、逆方向に吹付を行うことによって第1端子電極2の外側面および第2端子電極3の内側面にも傾斜を与え、全体として第1端子電極2および第2端子電極3を逆テーパー形状にすることができる。この際に、隣接する発光部の一方の第1端子電極2と他方の第2端子電極3との間の導通(発光層を介した導通を含む)を防止するために、隣接する2つのエッチングマスク間の間隔を20μm以下にすることが必要である。
【0055】
次に、図8(e)に示すように、第1端子電極2および第2端子電極3の間の領域に色変換フィルタ層30(R,G,B)を形成する。図8においては、赤色発光部となる部分を長くした構成を示しているが、各発光部の長さは、それぞれの発光効率を考慮して適宜決定することができる。色変換フィルタ層30の形成は、色変換色素と光硬化性または光熱硬化性樹脂との混合物を透明体1の側面に塗布した後に、フォトリソグラフ法などを用いてパターニングすることによって行うことができる。あるいはまた、色変換色素とマトリクス樹脂との混合物を複数の金属膜10の間の領域のみに塗布して、色変換フィルタ層30を形成してもよい。なお、複数の発光部の発光色の変化を複数種の発光層を用いることで達成する場合、色変換フィルタ層30の形成を省略することができる。
【0056】
次に、図8(f)に示すように、蒸着などのドライプロセスを用い、端子電極の逆テーパーの角度よりも浅い角度の方向から透明電極材料を付着させて、透明電極4を形成する。この際に、第2端子電極3がマスクとして機能し、第1−第2端子電極間に形成される透明電極4と第2端子電極3とは電気的に接続されない。また、隣接する発光部の一方の第1端子電極2と他方の第2端子電極3との間の間隔が20μm以下に設定されているので、当該領域の透明体1の上に透明電極4が形成されることがなく、隣接する発光部の一方の第1端子電極2と他方の第2端子電極3とは電気的に接続されない。
【0057】
次に、図8(g)に示すように、蒸着などのドライプロセスを用い、端子電極の逆テーパーの角度よりも深い角度の方向(より好ましくは透明体1の表面に対して垂直方向)から有機EL層材料を付着させて、有機EL層5を形成する。多層構造の有機EL層5を形成する場合には、逆テーパーの角度よりも深いことを条件として、各構成層材料の付着角度を少しずつ変化させることが好ましい。この際、端子電極が逆テーパー形状を有しているため、有機EL層5が第1および第2端子電極と直接接触することはない。また、透明電極4と反射電極6との短絡を防止するため、透明電極4の第2端子電極3側の端面を覆うように有機EL層5を形成することができる。
【0058】
次に、図8(h)に示すように、蒸着などのドライプロセスを用い、端子電極の逆テーパーの角度よりも浅い角度の方向から反射電極材料を付着させて、反射電極6を形成する。反射電極材料の付着方向は、透明電極材料の付着方向とは反対の方向から行われる。この際に、第1端子電極2がマスクとして機能し、第1−第2端子電極間に形成される反射電極6と第1端子電極2とは電気的に接続されない。また、隣接する発光部の一方の第1端子電極2と他方の第2端子電極3との間の間隔が20μm以下に設定されているので、当該領域の透明体1の上に反射電極6が形成されることがなく、隣接する発光部の一方の第1端子電極2と他方の第2端子電極3とは電気的に接続されない。また、透明電極4の第2端子電極3側の端面を覆うように有機EL層5を形成されているので、透明電極4と反射電極6との短絡が発生することもない。以上のように、大きな厚さを有する逆テーパー形状の第1および第2端子電極2および3をマスクとして用い、各構成層の付着方向を制御することによって、透明電極4と反射電極6とが短絡しない構造の有機EL素子を形成することが可能となる。
【0059】
次いで、図8(i)に示すように、第1および第2端子電極2および3に相当する位置にマスク23を配設し、蒸着などのドライプロセスを用いて、各発光部の上に保護層7を形成する。そして、図8(j)に示すように、蒸着などのドライプロセスを用いて、有機EL素子側面全体に絶縁層8を形成する。
【0060】
最後に図8(k)に示すように、所定の位置で透明体1を切断して個々の有機EL素子を取り出す。これまでの技術では、有機EL層の各構成層を形成するために、基板としての透明体1または製造中間体に対して工程毎にマスクの配設および除去を必要としたが、本発明の方法では、大きな厚さを有する逆テーパー形状の第1および第2端子電極2および3をマスクとして用いることによって製造することが可能となる。
【0061】
本実施形態の有機EL素子は、基板として用いる平面状透明体の上に形成した有機EL層を発した光を透明体を透過させて取り出すのではなく、円筒状の透明体の周囲側面に形成した有機EL層を発した光を円筒状透明体の端面から取り出すため、平面状透明体の際に発生した透明体横方向への光の散逸がなく、光の取り出し効率を向上させることが可能となる。特に、発光部に比べて厚く形成される第1および第2端子電極は、外部接続のための端子として、および発光部を保護するスペーサとしての機能のみならず、その製造方法において透明電極および反射電極を適所に配置するためのマスクとしての機能をも有するものである。また、本実施形態の有機EL素子は、1つの透明体の上に異なる色を発する複数種の発光部を設けることが可能となることから、画素の高精細化に有利である。
【0062】
なお、図7においては、複数種の発光部が等しい長さ(すなわち発光面積)を有する場合を例示したが、発光部の種類に依存してその長さ(すなわち発光面積)を変化させてもよい。たとえば、他の発光部と比較して発光効率が低いまたは寿命が短い1種の発光部を、他の発光部よりも長く(すなわち発光面積を大きく)してもよい。このような構成をとることによって、発光効率が低い有機EL素子あるいは寿命が短い発光部に対して過剰の電圧を印加することなしに所望の輝度を得ることができるので、ディスプレイ全体としての寿命を長くすることが可能となる。
【0063】
本発明の第2の実施形態の有機EL素子を用いてパッシブマトリクス駆動型ディスプレイの製造方法を、図9を参照して説明する。ここで、図9(a)は1つの層の上面図であり、図9(b)は1つの層の絶縁シート50の断面を示す図である。1つの層を形成する絶縁シート50は、有機EL素子100の第1端子電極2に相当する位置に導電線51(a〜c)を有し、第2端子電極3に相当する位置に絶縁シートを貫通する貫通導電部52(a〜c)を有する。絶縁シート50の上に位置を合わせて有機EL素子100を配設した中間体を形成し、該中間体を積層して、加熱しながら積層方向に圧力を印加することによって、各有機EL素子100の第1端子電極2と導電線51とが融合し、絶縁シート表面方向に延びる走査線を形成する。同時に、各有機EL素子100の第2端子電極3と貫通導電部52とが融合し、絶縁シート貫通方向に延びるデータ線を形成する。このように形成された走査線およびデータ線を駆動回路と接続することによってディスプレイが形成される。得られたディスプレイを、封止ケースに格納してもよい。
【0064】
従来の平面型ディスプレイにおいてRGBの副画素を表示面上に並べなければならなかったのに対して、図9に示した本発明のディスプレイにおいては表示面の奥行方向に複数種の発光部を配置することができるので、ディスプレイの高精細化に有利である。また、従来型のパッシブマトリクス駆動型ディスプレイではRGBの副画素をまとめてマトリクス駆動しなければならなかったのに対して、図9に示したディスプレイにおいては、RGBのそれぞれの発光部に対して独立したマトリクスが形成されるので、デューティ比を高め、ひいてはディスプレイの輝度を向上させることが可能となる。
【0065】
以上のように、適切な構造を有する絶縁シートと有機EL素子とを交互に積層して加熱圧着させることによって、簡便に、パッシブマトリクス駆動型有機ELディスプレイを構成することが可能となる。
【0066】
必要に応じて、上記のようにして得られるディスプレイの光取り出し端と反対側の端面に光電池(太陽電池など)を配設してもよい。光電池を配設することによって、透明体1に入射する光を光電池で吸収して、得られるディスプレイのコントラスト比の向上を図ることが可能となる。また、各発光部で発光し、光取り出し端と反対側に出射する光を光電池で吸収して電力を回収および再利用することによって、ディスプレイの消費電力を低減することが可能となる。
【0067】
さらに、絶縁シートの有機EL素子の光取り出し端と反対側の端面に光強度センサを配設してもよい。それぞれの光強度センサは、単一の受光素子で形成されていてもよいし、または複数種の発光部に対応したフィルタを有する複数種の受光素子を組み合わせて形成してもよい。複数種の発光部の輝度を光強度センサで測定し、その測定結果を駆動回路へとフィードバックして、各発光部が所定の輝度で発光するように電流量を制御することができる。なお、この場合には、各有機EL素子の透明体と端子電極との間に吸光層を形成することが特に好ましい。吸光層の存在によって、光強度センサへの外光の到達を防止することができ、光強度センサが素子の複数種の発光部の輝度を高精度で測定することが可能となり、より容易なフィードバック制御が可能となるからである。
【実施例】
【0068】
(実施例1)
図10に示す方法にしたがって、単色発光の有機EL素子を形成した。最初に、図10(a)に示すように、透明体1として、クラッド径(外径)210μm、コア径200μmの光ファイバーを準備した。
【0069】
次に、図10(b)に示すように、透明体1の側面全体にわたって膜厚35μmのAl膜10を形成した。そして、マスクを設けた後にエッチングし、図10(c)に示すように、2個1対のAl層10aおよび10bを配設した。それぞれのAl層は100μmの幅を有し、対をなす2つのAl層10aおよび10bは10μm間隔で配置され、それぞれの組は500μm間隔で配置された。次いで、対をなす2つの一方のAl層10bの上のみにマスクを設けてエッチングを行い、Al層10aの膜厚を20μmとした。
【0070】
次に、図10(d)に示すように、Al層10aおよび10bに対して、10%水酸化ナトリウム溶液を透明体1の軸に対して60度の方向から吹き付けて、側面をエッチングして、逆テーパ形状とした。なお、図10(d)においては、一方の方向のみを示したが、逆の方向からも水酸化ナトリウム溶液の吹付を行って、Al層10aおよび10bの両方を逆テーパ形状(側面の逆テーパ角60度)とした。
【0071】
次に、図10(e)に示すように、ITOを透明体1の軸に対して45度の方向から斜め蒸着して、膜厚220nmの透明電極4を形成した。Al層10aおよび10bの逆テーパ形状の効果により、透明電極4はAl層10aと導通し、Al層10bとは電気的に分離された。
【0072】
次に、図10(f)に示すように、透明電極4の上に有機EL層5を形成した。有機EL層5は、真空を破ることなしに、正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層および電子注入層を、垂直方向からの蒸着によって順次製膜することによって形成した。本実施例においては、正孔注入層は膜厚100nmの銅フタロシアニン(CuPc)であり、正孔輸送層は膜厚20nmの4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)であり、有機発光層は膜厚30nmの4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)であり、電子注入層は膜厚20nmのアルミニウムトリス(8−キノリノラート)であった。
【0073】
この後に、図10(g)に示すように、有機EL層5の上にアルミニウムを斜め蒸着して膜厚200nmの反射電極6を形成した。ここで、アルミニウムの蒸着方向は、ITOの蒸着方向とは反対方向であり、透明体1の軸に対して45度の方向とした。
【0074】
そして、図10(h)に示すように、Al層10aおよび10bをマスク21gを用いてマスクし、CVD法を用いて窒化ケイ素を堆積させて、保護層7を形成した。次いで、図10(i)に示すように、Al層10bの全面に、膜厚5μmのエチレン−酢酸ビニルを蒸着させて、絶縁層8を形成した。
【0075】
最後に、図10(j)に示すように1対のAl層10aおよび10bの間で透明体を切断して、棒状の有機EL素子を得た。ここで、Al層10aが第1端子電極2となり、Al層10bが第2端子電極3となる。
【0076】
次に、得られた棒状有機EL素子を用いてディスプレイパネルを形成した。幅200μm、厚さ30μmのポリイミドフィルムシート上に、幅50μm、厚さ200nmのAl配線を形成した。このポリイミドフィルムシート上に、第1端子電極2がAl配線に接触するようにして、120個の棒状有機EL素子を配置した。これを60段重ねて治具により保持し、80℃に加熱しながら積層方向に圧力を印加して圧着した。この圧着工程により、第2端子電極3の上に形成された絶縁膜8(エチレン−酢酸ビニル)が一部溶融して、第2端子電極3の電気的接触が実現され、積層方向に導通された。以上の方法によって、棒状有機EL素子を用いて、パッシブマトリクス駆動型ディスプレイ構造が得られた。
【0077】
上記の工程において、透明電極4を形成する前にファイバーを3つの群に分割し、それぞれの群のファイバーのAl層10aおよび10bの間の領域に赤色、緑色または青色のカラーフィルター層を配設することによって、赤色、緑色および青色の棒状発光素子を形成した。そして、得られた3種の棒状発光素子を組み合わせて前述のようにディスプレイパネルを形成することによって、40×20ピクセルのフルカラー表示が可能なディスプレイパネルを得ることができた。
【0078】
(実施例2)
実施例1におけるAl層の逆テーパ形成(図10(a)〜(d)に相当)までを繰り返した。ここで、透明体1の側面全体にわたって形成されたAl膜のエッチングの際に、連続する3つの発光部となる部分の長さ(すなわち、対をなさないAl層10aとAl層10bとの間の距離)を、6(赤色発光部):2(緑色発光部):3(青色発光部)になるようにAl層をエッチングした。最初に、青色発光部となる透明体1の側面に、青色フィルタ材料(富士フイルムエレクトロニックマテリアルズ製:カラーモザイクCB−7001)を塗布した。
【0079】
次に、蛍光色素であるクマリン6(0.7重量部)をプロピレングリコールモノエチルアセテート(120重量部)中に溶解させ、光重合性樹脂(新日鐵化成工業株式会社製、VPA100/P5)を添加して塗布液を得た。この塗布液を、緑色発光部となる透明体1の側面に塗布した。
【0080】
さらに、蛍光色素であるクマリン6(0.6重量部)、ローダミン6G(0.3重量部)、ベーシックバイオレット(0.3重量部)をプロピレングリコールモノエチルアセテート(120重量部)中に溶解させ、光重合性樹脂(新日鐵化成工業株式会社製、VPA100/P5)を添加して塗布液を得た。この塗布液を、赤色発光部となる透明体1の側面に塗布した。
【0081】
そして、端子電極となるAl層10aおよび10bをマスクした後に、上述のように形成した色変換フィルタ層の上に、膜厚0.3μmのSiOをCVD法によって堆積させて、パッシベーション層とした。
【0082】
次いで、実施例1と同様にして、透明電極4、有機EL層5、反射電極6、保護層7および絶縁膜8の形成を行い、最後に、それぞれの素子が赤色、緑色および青色発光部を含むように、所定の位置のAl層10a、10bの対の間で透明体1を切断して、棒状有機EL素子を形成した。
【0083】
さらに、実施例1と同様にして、得られた棒状有機EL素子を配列・積層した。ここで、使用したポリイミドフィルムシートは、各色発光部の第1端子電極2に相当する位置に導電線51(Al線)を有し、および各色発光部の第2端子電極3に相当する位置にシートを貫通する貫通導電部52を有した。得られた積層体を熱圧着することによって、多色表示が可能なパッシブマトリクス駆動型ディスプレイが得られた。得られたディスプレイは、赤色、緑色および青色のそれぞれを独立的にパッシブマトリクス駆動して、通常の平面型ディスプレイに比較してデューティ比を3倍にすることができた。
【0084】
(実施例3)
実施例1にて形成したディスプレイにおいて、光出射側とは反対側の端部に光電池をさらに配設した。それぞれの棒状有機EL素子において、光出射側とは反対の端から出射する光のエネルギーを光電池により回収・再利用した。この構成をとることによって、ディスプレイの電力消費率が15%減少した。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の第1の実施形態の有機EL素子を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の有機EL素子の変形例を示す断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の有機EL素子の製造方法を説明する図であり、(a)〜(h)は各工程を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の有機EL素子を用いたディスプレイの製造の1工程を示す図であり、(b)は斜視図であり、(a)および(c)は各端面の断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態の有機EL素子を用いたディスプレイの製造の1工程を示す図であり、(b)は斜視図であり、(a)および(c)は各端面の断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態の有機EL素子を用いたディスプレイの構成例を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態の有機EL素子を示す断面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態の有機EL素子の製造方法を説明する図であり、(a)〜(k)はそれぞれの工程を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施形態の有機EL素子を用いたパッシブマトリクス駆動型ディスプレイの構成例を示す図であり、(a)は1つの層の上面図であり、(b)は絶縁シートの断面図である。
【図10】本発明の実施例1の有機EL素子の製造方法を説明する図であり、(a)〜(j)はそれぞれの工程を示す図である。
【符号の説明】
【0086】
1 透明体
2 第1端子電極
3 第2端子電極
4 透明電極
5 有機EL層
6 反射電極
7 保護層
8 絶縁層
9 第1端子電極絶縁層
10 金属膜
21(a〜g) マスク
30(R,G,B) 色変換フィルタ層
40、50 絶縁シート
41、51(a〜c) 導電線
52(a〜c) 貫通導電部
100 有機EL素子
110(R,G,B) 発光部
210 データ線ドライバ
220 走査線ドライバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の透明体の側面に1つまたは複数の発光部を有する有機EL素子であって、前記1つまたは複数の発光部は、透明電極、有機EL層、反射電極および保護層が順次積層された構造を有し、前記透明電極は発光部の一端に位置する第1端子電極に接続され、前記反射電極は発光部の他端に位置する第2端子電極に接続され、前記第2端子電極の外周面に絶縁層が設けられており、および前記第1端子電極および第2端子電極は、前記1つまたは複数の発光部よりも厚く形成されていることを特徴とする有機EL素子。
【請求項2】
前記第1端子電極の外周面に第1端子電極絶縁層がさらに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
【請求項3】
複数の発光部を有することを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
【請求項4】
前記複数の発光部が、それぞれ異なる色の光を発することを特徴とする請求項3に記載の有機EL素子。
【請求項5】
前記複数の発光部が、異なる発光面積を有することを特徴とする請求項3または4に記載の有機EL素子。
【請求項6】
前記円筒状の透明体が光ファイバであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の有機EL素子。
【請求項7】
前記円筒状の透明体と前記第1端子電極との間、および前記円筒状の透明体と前記第2端子電極との間に吸光層をさらに設けたことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の有機EL素子。
【請求項8】
複数の請求項1から7のいずれかに記載の有機EL素子からなる層と、その片面上に導電線を設けた絶縁シートとが交互に積層されており、前記層内の有機EL素子の第1端子電極が前記導電線を介して電気的に接続され、前記絶縁シートの垂直方向に整列した有機EL素子の第2端子電極が電気的に接続されていることを特徴とする有機ELディスプレイ。
【請求項9】
前記絶縁シート垂直方向に整列した有機EL素子の第2端子電極の電気的接続が絶縁シートに設けられた貫通接続部を介して達成されていることを特徴とする請求項8に記載の有機ELディスプレイ。
【請求項10】
前記有機EL素子の光取り出し面の反対側の面に光電池がさらに配設されていることを特徴とする請求項8または9に記載の有機ELディスプレイ。
【請求項11】
前記複数の有機EL素子の光取り出し面の反対側の面に、複数の有機EL素子のそれぞれに対応して複数の光強度センサがさらに配設されており、前記光強度センサがフィードバック信号線を介して駆動回路に接続されていることを特徴とする請求項9に記載の有機ELディスプレイ。
【請求項12】
円筒状の透明体を提供する工程と
前記透明体の側面に第1および第2端子電極を形成する工程と、
前記第1端子電極と接続され、前記第2端子電極と接続されない透明電極を前記透明体の側面に形成する工程と、
前記透明電極の上に、有機EL層を形成する工程と、
前記第2端子電極と接続され、前記第1端子電極と接続されない反射電極を前記有機EL層上に形成する工程と、
前記反射電極を覆う保護層を形成する工程と、
前記第2端子電極の外周面に絶縁層を形成する工程と
を含むことを特徴とする有機EL素子の製造方法。
【請求項13】
複数の発光部を有する有機EL素子を製造する方法であって、
円筒状の透明体を提供する工程と
前記透明体の側面に、逆テーパー形状断面を有する複数の第1および第2端子電極を形成する工程と、
前記逆テーパー形状の角度より浅い角度で透明電極材料を付着させて、前記第1端子電極と接続され、前記第2端子電極と接続されない透明電極を前記透明体の側面に形成する工程と、
前記逆テーパー形状の角度より浅い角度で有機EL層材料を付着させて、前記透明電極の上に、有機EL層を形成する工程と、
前記逆テーパー形状の角度より浅い角度で反射電極材料を付着させて、前記第2端子電極と接続され、前記第1端子電極と接続されない反射電極を前記有機EL層上に形成する工程と、
前記反射電極を覆う保護層を形成する工程と、
前記第2端子電極の外周面に絶縁層を形成する工程と
を含むことを特徴とする有機EL素子の製造方法。
【請求項14】
請求項12または13に記載の方法を用いて複数の有機EL素子を製造する工程と、
複数の前記有機EL素子からなる複数の層と、その片面上に導電線を設けた複数の絶縁シートとを交互に積層する工程と
を含み、前記複数の層内の複数の有機EL素子の第1端子電極が前記導電線を介して電気的に接続され、前記絶縁シートの垂直方向に整列した有機EL素子の第2端子電極が電気的に接続されることを特徴とする有機ELディスプレイの製造方法。
【請求項15】
前記絶縁シート垂直方向に整列した有機EL素子の第2端子電極の電気的接続が絶縁シートに設けられた貫通接続部を介して達成されることを特徴とする請求項14に記載の有機ELディスプレイの製造方法。
【請求項16】
前記有機EL素子の光取り出し面の反対側の面に光電池を配設する工程をさらに含むことを特徴とする請求項14または15に記載の有機ELディスプレイの製造方法。
【請求項17】
前記複数の有機EL素子の光取り出し面の反対側の面に、複数の有機EL素子のそれぞれに対応して複数の光強度センサを配設する工程であって、前記光強度センサがフィードバック信号線を介して駆動回路に接続される工程をさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の有機ELディスプレイの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−16497(P2008−16497A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−183599(P2006−183599)
【出願日】平成18年7月3日(2006.7.3)
【出願人】(000005234)富士電機ホールディングス株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】