説明

有機EL素子およびその製造方法

【課題】封止が確実にでき、また、基板スペースを有効活用することができる有機EL素子およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】制御基板2の上面側に陰極3が設けられ、陰極3上に発光部5が設けられ、発光部5の上側には陽極7が設けられ、また、制御基板2の下面側には、発光部5の発光を制御する制御素子8と、有機EL素子1の外部から電力を受け取る二次コイル9と、二次コイル9からの電流を整流する整流回路20と、陰極3にスルーホール11により接続されるランド10と、陽極端子15にスルーホール16を介して接続されるランド14と、制御素子8と各ランド10とを接続する配線12と、制御素子8と二次コイル9とを接続する配線13等が設けられて素子本体30が形成されている。素子本体30は、第一封止層17及び第二封止層18により完全に封止されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子)およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有機EL素子の長寿命化を目的として、素子全体を封止することが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のフレキシブル有機EL素子では、陽極層、有機発光媒体層、陰極層が形成された透明基板と、封止板を接着剤により貼り合わせて第1の封止を行った後、封止板の外周部を溶融させることにより第2の封止を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−286242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のように、基板上に形成された有機ELを封止板で封止する場合、基板と封止板との隙間を塞ぐ接着剤層が、有機EL素子の周囲に額縁状で形成される。この接着剤層のシール幅(言い換えると、接着剤の糊代)は、水分や酸素の侵入を十分に防ぎ、且つ基板と封止板との接着強度を高めるために、少なくとも2mmであることが望ましい。この場合、平面視で有機EL素子の全周に、有機ELを封止するためのスペースとして、接着剤層による2mm幅以上の非発光部分が形成される。
【0005】
また、特許文献1に記載の有機EL素子では、封止されているのは、有機EL素子のみで、外部の駆動回路や電源回路と接続するための電極が、基板と封止板との隙間を塞ぐ接着剤層から外側に露出していた。従って、有機EL素子の封止が不十分となり、内部に空気や水分等が入る原因になっていた。
【0006】
本発明の目的は、上述した課題を解決するためになされたものであり、封止が確実にでき、また、基板スペースを有効活用することができる有機EL素子およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に係る有機EL素子は、絶縁性の基板と、前記基板の第一の面側に設けられた複数の第一電極と、前記第一電極上に設けられた有機化合物で形成された発光部と、前記発光部において前記第一電極と反対側に設けられ、前記第一電極とは異なる極性を有する第二電極と、前記各第一電極と第二電極との間に印加される電圧を制御して前記発光部の発光を制御する制御素子と、前記制御素子に電力を供給するコイルと、前記コイルからの電流を整流して前記制御素子に供給する整流回路と、前記第二電極において前記発光部側と反対側に設けられ少なくとも絶縁性を有する第一封止層と、前記基板の第一の面と反対側の第二の面側に設けられ、少なくとも絶縁性を有する第二封止層とを備え、前記第一封止層の外周部と前記第二封止層の外周部が封止され、内部に前記基板、前記第一電極、前記第二電極、前記制御素子、前記コイル、前記整流回路が封入され、前記第二電極と第一封止層との組合せか、前記第一電極と前記基板と前記第二封止層との組合せの、少なくとも一方の組合せの部材は、透光性を有していることを特徴とする。
【0008】
第1態様によれば、有機EL素子の本体は、第一封止層及び第二封止層により完全に封止されて外部に露出する部分がない。電力は、コイルにより、電磁誘導等の方式で有機EL素子の外から供給される。従って、有機EL素子の封止が確実にでき、空気や水分の進入による劣化を防止できる。
【0009】
本発明の第2態様に係る有機EL素子は、絶縁性の基板と、前記基板に設けられ、当該基板の厚み方向に貫通する導電性を有する複数の第一スルーホール及び第二スルーホールと、前記基板の第一の面側に設けられ、前記第一スルーホールに電気的に接続される第一電極と、前記第一電極上に設けられた有機化合物で形成された発光部と、前記発光部において前記第一電極と反対側に設けられ、前記第一電極とは異なる極性を有し、且つ、透光性を有し、前記第二スルーホールに電気的に接続される第二電極と、前記第二電極において前記発光部側と反対側に設けられ絶縁性および透光性を有する第一封止層と、前記基板の第一の面と反対側の第二の面側に設けられ、前記第一スルーホールに電気的に接続される第三電極と、前記基板の第二の面側に設けられ、前記第二スルーホールに電気的に接続される第四電極と、前記基板の第二の面側に設けられ、前記第三電極及び前記第四電極に各々接続される配線と、前記基板の第二の面側に設けられ、前記配線に接続され、前記発光部の発光を制御する制御素子と、前記制御素子に電力を供給するコイルと、前記コイルからの電流を整流して前記制御素子に供給する整流回路と、前記配線、前記制御素子、前記コイル及び前記整流回路を覆うように設けられ、少なくとも絶縁性を有する第二封止層とを備え、前記第一封止層の外周部と前記第二封止層の外周部が封止され、内部に前記基板、前記第一電極、前記第二電極、前記配線、前記第三電極、前記第四電極、前記制御素子、前記コイル、前記整流回路が封入されていることを特徴とする。
【0010】
第2態様においては、有機EL素子の本体は、第一封止層及び第二封止層により完全に封止されて外部に露出する部分がない。電力は、コイルにより電磁誘導等の方式で有機EL素子の外から供給される。従って、有機EL素子の封止が確実にでき、空気や水分の進入による劣化を防止できる。さらに、制御素子、コイル、整流回路等を発光部が設けられている面とは反対側の面に設けることにより、表示部を広く取ることができる。
【0011】
本発明の第3態様に係る有機EL素子は、絶縁性の第一基板と、前記第一基板に設けられ、当該第一基板の厚み方向に貫通する導電性を有する複数の第一スルーホール及び第二スルーホールと、前記第一基板の第一の面側に設けられ、前記第一スルーホールに電気的に接続される導電性のランドと、前記ランドに当接し、電気的に接続される第一電極と、前記第一電極上に当接し有機化合物で形成された発光部と、前記発光部において前記第一電極と反対側に設けられ、前記第一電極とは異なる極性を有し、且つ、透光性を有し、前記第二スルーホールに電気的に接続される第二電極と、前記第二電極が第一の面に形成されている絶縁性で透光性を有する第二基板と、前記第二基板において前記第一の面と反対側の第二の面側に設けられ絶縁性および透光性を有する第一封止層と、前記第一基板の第一の面と反対側の第二の面側に設けられ、前記第一スルーホールに電気的に接続される第三電極と、前記第一基板の第一の面と反対側の第二の面側に設けられ、前記第二スルーホールに電気的に接続される第四電極と、前記第一基板の第二の面側に設けられ、前記第三電極及び前記第四電極に各々接続される配線と、前記第一基板の第二の面側に設けられ、前記配線に接続され、前記発光部の発光を制御する制御素子と、前記制御素子に電力を供給するコイルと、前記コイルからの電流を整流して前記制御素子に供給する整流回路と、前記配線、前記制御素子、前記コイル及び前記整流回路を覆うように設けられ、少なくとも絶縁性を有する第二封止層とを備え、前記第一封止層の外周部と前記第二封止層の外周部が封止され、内部に前記第一基板、前記第二基板、前記第一電極、前記第二電極、前記配線、前記第三電極、前記第四電極、前記制御素子、前記コイル、前記整流回路が封入されていることを特徴とする。
【0012】
第3態様においては、有機EL素子の本体は、第一封止層及び第二封止層により完全に封止されて外部に露出する部分がない。電力は、コイルにより電磁誘導等の方式で有機EL素子の外から供給される。従って、有機EL素子の封止が確実にでき、空気や水分の進入による劣化を防止できる。さらに、整流回路、配線、制御素子及びコイルを備えた第一基板と、発光部を備えた第二基板に機能毎に基板が分かれており、この第一基板に第二基板を積層して有機EL素子を形成するので、基板構造が簡単になり、組み立て作業も容易になり、組み立ての作業効率も上がる。
【0013】
前記第一電極上の一部と前記発光部との間に設けられ、前記発光部が発光するための電荷の注入を阻止する電荷注入阻止部を備えても良い。この場合には、光らせたく無い部分に電荷注入阻止部を設けることで、当該部分の発光をさせないようにできる。
【0014】
また、前記第一電極は、陰極であり、前記第二電極は、陽極であってもよい。この場合、発光面側に陽極、非発光面側に陰極が配置された有機EL素子において、有機EL素子の封止が確実にでき、空気や水分の進入による劣化を防止できる。
【0015】
また、前記第一電極は、陽極であり、前記第二電極は、陰極であってもよい。この場合、発光面側に陰極、非発光面側に陽極が配置された有機EL素子において、有機EL素子の封止が確実にでき、空気や水分の進入による劣化を防止できる。
【0016】
本発明の第4態様に係る有機EL素子の製造方法は、有機化合物で形成された発光部を備える有機EL素子を製造する製造方法であって、絶縁性の基板に、厚み方向に貫通する複数の第一スルーホール及び第二スルーホールを形成するスルーホール形成工程と、前記基板の第一の面側に、前記第一スルーホールに電気的に接続される第一電極を形成し、前記基板の第一の面と反対側の第二の面側に、前記第一スルーホールに電気的に接続される第三電極、当該第三電極に接続される配線及び外部から送電を受けるコイル、及び前記第二スルーホールに電気的に接続される第四電極を形成する電極等形成工程と、前記第一及び第二スルーホールの壁面をメッキして導電性を与えるメッキ工程と、前記基板の第一の面側に前記第一スルーホールに電気的に接続される第一電極を形成する第一電極形成工程と、第一電極形成工程で形成された前記第一電極上に有機化合物で形成された前記発光部を形成する発光部形成工程と、前記発光部上に、前記第一電極とは異なる極性を有し、且つ、透光性を有し、第二スルーホールに電気的に接続される第二電極を形成する第二電極形成工程と、前記コイルから流れる電流を整流する整流回路を前記基板上に形成する整流回路形成工程と、前記基板上に前記発光部の発光を制御する制御素子を搭載する制御素子搭載工程と、前記第二電極において前記発光部側と反対側に、絶縁性および透光性を有する第一封止層を設け、前記基板の第一の面と反対側の第二の面側に少なくとも絶縁性を有する第二封止層を設けて、当該有機EL素子全体を封止する封止工程とを備えたことを特徴とする。
【0017】
第4態様によれば、基板の第一面側に、第一電極、発光部、第二電極、封止層が順に重ね合わされる。また、基板の第二面側に、第三電極、第四電極、コイル、制御素子、整流回路、配線が形成される。その外側を、第一封止層及び第二封止層で、封止することができるので、確実に封止できると共に、従来周知の方法で容易に製造できる。
【0018】
本発明の第5態様に係る有機EL素子の製造方法は、有機化合物で形成された発光部を備える有機EL素子を製造する製造方法であって、当該製造方法は、第一基板形成工程と、第二基板形成工程と、基板積層工程と、封止工程とから構成され、前記第一基板形成工程は、絶縁性の第一基板に、厚み方向に貫通する複数の第一スルーホール及び第二スルーホールを形成するスルーホール形成工程と、前記第一基板の第一の面側に前記第一スルーホールに電気的に接続される導電性のランドを形成し、当該第一の面と反対側の第二の面側に、前記第一スルーホールに電気的に接続される第三電極、当該第三電極に接続される配線、外部から送電を受けるコイル、及び前記第二スルーホールに電気的に接続される第四電極を形成する電極等形成工程と、前記第一及び第二スルーホールの壁面をメッキして導電性を与えるメッキ工程と、前記コイルから流れる電流を整流する整流回路を前記基板上に形成する整流回路形成工程と、前記第一基板上に前記発光部の発光を制御する制御素子を搭載する制御素子搭載工程とを備え、前記第二基板形成工程は、絶縁性及び透光性を有する第二基板に、前記第二スルーホールに電気的に接続される第二電極及び、当該第二電極上に有機化合物で形成された発光部を形成する第二電極及び発光部形成工程と、前記第二電極の端部で有機化合物の層を剥離して、前記第二電極へのコンタクト部を形成する第二電極コンタクト部形成工程と、前記発光部への電荷の注入を阻止する電荷注入阻止部を形成する電荷注入阻止部形成工程と、前記電荷注入阻止部及び前記発光部に当接する第一電極を形成する第一電極形成工程とを備え、前記基板積層工程は、前記第一基板形成工程で形成された第一基板上に、前記前記第二基板形成工程で形成された第二基板を積層して固定し、前記封止工程は、前記第二基板の前記第二電極において前記発光部側と反対側に、絶縁性および透光性を有する第一封止層を設け、前記第一基板の前記第二の面側に少なくとも絶縁性を有する第二封止層を設けて、当該有機EL素子全体を封止することを特徴とする。
【0019】
第5態様によれば、整流回路、配線、制御素子及びコイルを備えた第一基板を第一基板形成工程で形成し、発光部を備えた第二基板を第二基板形成工程で作成して、積層工程でこれらの基板を積層して固定し、封止工程で基板全体を封止するので、有機EL素子の製造が容易になり、組み立ての効率化が図られる。また、封止も確実にできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第一実施形態の有機EL素子1の平面図である。
【図2】図1に於けるX−X線に於ける、有機EL素子1の屈曲断面図である。
【図3】制御基板2の平面図である。
【図4】有機EL素子1に電力を与える一次コイル100の平面図である。
【図5】第一実施形態における有機EL素子1の製造工程を示すフローチャートである。
【図6】第一実施形態の変形例の制御基板2の平面図である。
【図7】第二実施形態の有機EL素子101の平面図である。
【図8】図7に於けるXI−XI線に於ける、有機EL素子101の屈曲断面図である。
【図9】第二実施形態における有機EL素子101の製造工程を示すフローチャートである。
【図10】第一基板形成工程のフローチャートである。
【図11】第二基板形成工程のフローチャートである。
【図12】第一基板42の縦断面図である。
【図13】第二基板31の縦断面図である。
【図14】第三実施形態の有機EL素子130の平面図である。
【図15】第三実施形態の制御基板2の平面図である。
【図16】第四実施形態の有機EL素子150の平面図である。
【図17】第四実施形態の有機EL素子150の図16のXII-XII線に於ける矢視方向断面図である。
【図18】第四実施形態の有機EL素子150の図16のXIII-XIII線に於ける矢視方向断面図である。
【図19】第四実施形態の有機EL素子150の図16のXIV-XIV線に於ける矢視方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具現化した実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載されている装置構成や製造方法などは、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0022】
以下、本発明の第一実施形態である有機EL素子1について、図1〜図5を参照して説明する。本実施形態の有機EL素子1では、一枚の制御基板2の上面側(図2に於ける上側)に、発光部5を設け、制御基板2の下面側(図2に於ける下側)に、制御素子や整流回路を設けている。片面発光タイプの有機EL素子である。
【0023】
第一実施形態の有機EL素子1の物理的構造について、図1〜図3を参照して説明する。以下では、図2の左側が、有機EL素子1の発光する上面側とする。図2の右側が、有機EL素子1の下面側とする。図1に示すように、本実施形態の有機EL素子1は、平面視で略長方形形状に形成されたテープ状の構造となっている。
【0024】
図1から図3に示すように、有機EL素子1は、骨格となる制御基板2の上面側に陰極3が設けられ、陰極3上に発光部5が設けられている。また、発光部5の上側(図2に参照)には、層状に形成された陽極7が設けられている。また、制御基板2の上面側には、陽極7に接続される陽極端子15が設けられている。また、制御基板2の下面側には、発光部5の発光を制御する制御素子8と、有機EL素子1の外部から電力を供給する一次コイル100(図4参照)からの電力を受け取る二次コイル9と、二次コイル9からの電流を整流する整流回路20と、陰極3にスルーホール11により接続されるランド10と、陽極端子15にスルーホール16を介して接続されるランド14と、制御素子8と各ランド10とを接続する配線12と、制御素子8と二次コイル9とランド14とを接続する配線13等が設けられている。これらの構成により素子本体30が形成される。
【0025】
また、陽極7の上面側には、制御基板2より一回り大きい、平面視、長方形形状の第一封止層17が設けられている。第一封止層17は、絶縁性および透光性を有する合成樹脂のフィルムから構成されている。また、制御基板2の下面側には、第一封止層17と同一形状の絶縁性有する第二封止層18が設けられている。尚、第二封止層18は、第一封止層17と同一の材料から構成して、絶縁性および透光性を持つようにしても良い。また、第一封止層17及び第二封止層18の外周部は、図示外の接着剤で接着されて封止された封止部19となっている。第一封止層17及び第二封止層18の材質の一例としては、例えば、PETなどで形成された、透明な樹脂フィルムを用いることができる。素子本体30は、第一封止層17及び第二封止層18の外周部が全周接着されて封止されることになる。尚、第一封止層17及び第二封止層18の外周部を接着する接着剤としては、UV硬化型エポキシ接着剤、もしくは熱硬化型エポキシ接着剤を用いることができる。
【0026】
以下、上記の各構成を詳細に説明する。制御基板2は、有機EL素子1の骨格を構成する絶縁性の基板である。例えば、制御基板2は、PET、PEN、PS、PES、PC、ポリイミド、シクロオレフィンなどで形成された合成樹脂フィルムである。制御基板2は、その表面に無機材料で構成されるガスバリア膜が形成されていても良い。本実施形態の制御基板2は、PETで形成されている。
【0027】
陰極3は、電流の印加によって電子を発光部5に注入する、制御基板2の上面に積層された電極である。例えば、陰極3は、マスク蒸着等で制御基板2の上面に形成されたAlから構成された電極である。陰極3は、一例として、100nm程度の厚みで形成される。
【0028】
発光部5は、発光材料である有機化合物で形成された有機薄膜であり、陰極3の上面に積層されている。本実施例では、図1に示すように、複数の発光部5により、7セグメント表示部が4つ形成される。発光部5を形成するのに使用可能な発光材料として、以下のものが例示される。高分子発光材料(R、G、B各色対応)として、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリチオフェン誘導体などを使用できる。青色発光低分子材料として、TPB(テトラフェニルブタジエン)、ペリレン、ジスチリルビフェニル誘導体、DPTなどを使用できる。緑色発光低分子材料として、PMDFB、クマリン、キナクリドン、アルミニウム錯体(例えば、AlQ)、Beq2、BeMq2、ZnMq2、Mgq2などを使用できる。黄色発光低分子材料として、ルブレン、BTX、ABTX、AlPrq3などを使用できる。赤色発光低分子材料として、ナイルレッド、DCM(4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−ジメチルアミノスチリル−4−ピラン)、DCJTB(4−ジシアノメチレン−6−シーピージュロリジノスチリル−2−ターシャルブチル−4H−ピラン)、スクアリリウムなどを使用できる。本実施形態の発光部5は、ポリフルオレン誘導体で形成されている。尚、発光部5の厚みの一例としては、70nmである。
【0029】
尚、発光部5の上面には、図示外の正孔注入層を積層形成する。この正孔注入層は、発光部5に対する正孔注入のエネルギー障壁を低下させる層である。例えば、正孔注入層は、PEDOTやポリアニリンなどを使用して形成できる。
【0030】
陽極7は、電流の印加によって正孔を発光部5に注入する、発光部5の上面に積層された電極である。陽極7は、例えばITO、IZO、PEDOT、ポリアニリンなどで形成された透明電極である。本実施形態の陽極7は、ITOで形成されている。
【0031】
また、図2に示すように、制御基板2には、当該制御基板2を上下方向に貫通する複数のスルーホール11及びスルーホール16が形成されている。複数のスルーホール11及びスルーホール16の内壁は、メッキにより導電性を有するようになっている。制御基板2の上面側に設けられた陰極3は、スルーホール11の上端部に接続され、制御基板2の下面側に設けられたランド10は、スルーホール11の下端部に接続されて、陰極3とランド10は導通している。各ランド10は、配線12により、制御素子8に接続されている。また、制御基板2の上面側に設けられた陽極端子15は、スルーホール16の上端部に接続され、制御基板2の下面側に設けられたランド14は、スルーホール16の下端部に接続されて、陽極端子15とランド14は導通している。ランド14は、配線13により、制御素子8に接続されている。尚、陽極端子15は、陽極7に接続されている。
【0032】
上記構成の有機EL素子1では、一次コイル100からの電力が二次コイル9で受け取られ、整流回路20により整流されて制御素子8や陽極7及び陰極3に供給される。制御素子8は、発光部5の点灯を制御するICであり、二次コイル9からの電流で起動し、陽極7及び陰極3間の電圧を制御して、有機EL素子1の発光部5の発光を制御する。
【0033】
次に、有機EL素子1の製造方法(第一製造工程)について、図5のフローチャートを参照して説明する。まず、スルーホール形成工程を行う(S11)。この工程では、予め所定の大きさの長方形に切り出された、両面銅貼りの合成樹脂フィルムの基板に陰極3及び陽極7から制御基板2の下面へ配線展開するためのスルーホール11,16をドリル等にて形成する(S11)。また、打ち抜きで形成したり、レーザ加工で形成したりしても良い。
【0034】
次に、電極等形成工程を行う(S12)。この工程では、制御基板2の下面に、スルーホール11に接続されるランド10、スルーホール16に接続されるランド14、制御素子8からの配線12,13、ならびに外部の一次コイル100から送電を受けるための二次コイル9をエッチング法により形成する(S12)。尚、制御基板2の上面の銅箔は陰極3の部分を除いてエッチングで除去する(S12)。次に、メッキ工程を行う(S13)。この工程では、スルーホール11,16の内壁面を増感処理し、無電解メッキをしたのち電気メッキを行って導電性を付与する(S13)。次いで、第一電極形成工程を行う(S14)。この工程では、制御基板2の上面に陰極3として、マスク蒸着等でALの膜を一例として、100nm形成する(S14)。
【0035】
次に、発光部形成工程を行う(S15)。この工程では、陰極3上に、有機ELを一例として、70nm厚で、塗布法等で形成する(S15)。次いで、第二電極形成工程を行う(S16)。この工程では、陽極7として、ITOを一例として、蒸着法やスパッタリング法にて150nm厚で全面に形成する(S16)。この際、陽極7から下面へ配線されるスルーホール16に接触するように陽極端子15を形成する。次に、整流回路形成工程を行う(S17)。この工程では、制御基板2の下面側に、二次コイル9からの電力を直流に変換するための整流回路20を形成する。整流回路20としては、シリコンダイオードチップ等を半田付けする。
【0036】
次に、制御素子搭載工程(S18)を行う。この工程では、制御基板2の下面に、フラットパッケージのICからなる制御素子8を搭載し、整流回路20からの直流出力、ならびに電極等形成工程(S12)にて形成されたセグメント分割された陰極3と陽極7に対応するランド10へ半田により結線する。次いで、封止工程を行う(S19)。素子本体30を第一封止層17と第二封止層18とで鋏み、第一封止層17及び第二封止層18の外周部を接着剤で貼り合わせて封止する(S19)。
【0037】
上記構成の有機EL素子1では、素子本体30が第一封止層17と第二封止層18との中に完全に封止され、外部に端子等が引き出されないので、密閉性が高くなる。従って、空気や水分の進入を防止して、劣化を防止できる。尚、図6に示すように、制御素子8、整流回路20、二次コイル9等は、制御基板2の上面側に設けても良い。尚、この場合には、制御基板2には、スルーホール11,16を設けない。制御素子8、整流回路20、二次コイル9が設けられた側と同じ、制御基板2の上面側に発光部5が設けられるからである。尚、図6に示す第一実施形態の変形例では、陽極7と第一封止層17を透光性を有する部材とすれば、第一封止層17側を発光面にできる。また、陰極3、制御基板2、ランド10及び第二封止層18を透光性を有する部材とすれば、第二封止層18側を発光面にできる。また、陽極7、第一封止層17、陰極3、制御基板2、ランド10及び第二封止層18を透光性有する部材とすれば、両面発光にできる。
【0038】
次に、本発明の第二実施形態の有機EL素子101について、図7〜図11を参照して説明する。本実施形態では、発光部5が形成される第二基板31と、制御素子8や配線12,13が形成された第一基板42を別々の工程で作製したのち、これらの基板を重ね合わせて、封止して片面発光の有機EL素子101を製造する。
【0039】
まず、有機EL素子101の物理的構造について、図7および図8を参照して説明する。以下では、図8の左側が、有機EL素子101の上面側とする。図8の右側が有機EL素子101の下面側とする。本実施形態では、有機EL素子101の上面側が発光面として機能する。
【0040】
図7に示すように、有機EL素子101は、平面視で略長方形形状に形成されたテープ状の構造となっている。また、図8に示すように、機能別に構成された複数の薄型基板が上下方向に積層され、全体として薄板状の外観を有する。具体的には、有機EL素子101は、第二基板31が上側に、第一基板42が下側に積層されている。
【0041】
第二基板31は、絶縁性および透光性を有する基板であり、PETなどで形成された、透明な樹脂フィルムである。図8に示すように、第二基板31の下面側には、ITOから形成された透光性を有する陽極37が形成され、当該陽極37の下面側には、発光材料である有機化合物で形成された有機薄膜からなる発光部35が形成されている。陽極37及び発光部35は、第二基板31とほぼ同一の面積に展開されている。また、発光部35の下側には、陰極33が形成され、発光部35と陰極33の間には、有機薄膜からなる発光部35が発光するための電荷の注入を阻止するCr等から構成されたコンタクト部36が形成されている。また、第二基板31の左端部には、陽極37上の有機薄膜を除去して導通出来るようにしたコンタクト部32が形成されている。上記構成が第二基板31側に形成されている。尚、発光部35と陽極37との間には、図示外の正孔注入層が形成されている。正孔注入層は、発光部35に対する正孔注入のエネルギー障壁を低下させる層である。例えば、正孔注入層は、PEDOTやポリアニリンなどを使用して形成できる。
【0042】
また、図8に示すように、第一基板42には、複数のスルーホール11及びスルーホール16が第一基板42の厚み方向に貫通している。また、第一基板42の上面側には、陰極33に当接するランド34と、コンタクト部32に当接する陽極端子15が形成されている。また、第一基板42の下面側には、また、制御基板2の下面側には、発光部35の発光を制御する制御素子8と、有機EL素子101の外部から電力を供給する一次コイル100(図4参照)からの電力を受け取る二次コイル9と、二次コイル9からの電流を整流する整流回路20と、陰極33にランド34を介してスルーホール11により接続されるランド10と、陽極端子15にスルーホール16を介して接続されるランド14と、制御素子8と各ランド10とを接続する配線12と、制御素子8と二次コイル9とを接続する配線13等が設けられている。第一基板42は、第一実施形態の制御基板2と同様の材質から構成されている。また、制御素子8、二次コイル9、整流回路20、ランド10、ランド14、配線12,13は、第一実施形態と同様の材質及び構成である。このような構成の第一基板42上に第二基板31を積層して、固着し、全体を絶縁性及び透光性を有する第一封止層17及び第二封止層18で封止して、第一封止層17及び第二封止層18の外周部は、図示外の接着剤で接着されて封止された封止部19となっている。
【0043】
次に、有機EL素子101の製造方法(以下、「第二製造工程」とも言う。)について、図9〜図11のフローチャートを参照して説明する。図9に示すように、この第二製造工程は、第一基板42を形成する第一基板形成工程(S31)と、第二基板31を形成する第二基板形成工程(S32)と、第一基板形成工程(S31)で形成された第一基板42上に、第二基板形成工程(S32)で形成された第二基板31を積層し、ランド34に陰極33を当接して固定する基板積層工程(S33)と、封止工程(S34)とから構成されている。
【0044】
まず、図10に示すフローチャートを参照して、第一基板形成工程(S31)について説明する。第一基板形成工程(S31)では、まず、スルーホール形成工程を行う(S51)。この工程では、予め所定の大きさの長方形に切り出された、両面銅貼りの合成樹脂フィルムの第一基板42に陰極33及び陽極37から制御基板2の裏面へ配線展開するためのスルーホール11,16をドリル等にて形成する(S51)。また、打ち抜きで形成したり、レーザ加工で形成したりしても良い。
【0045】
次に、電極等形成工程を行う(S52)。この工程では、第一基板42の下面側に、スルーホール11に接続されるランド10、スルーホール16に接続されるランド14、制御素子8からの配線12,13、ならびに外部の一次コイル100から送電を受けるための二次コイル9をエッチング法により形成する(S52)。この時に、第一基板42の上面の銅箔はランド34の部分だけ残してエッチングする(S52)。次に、メッキ工程を行う(S53)。スルーホール11,16の内壁面を増感処理し、無電解メッキをしたのち電気メッキを行って導電性を付与する(S53)。次に、整流回路形成工程を行う(S54)。この工程では、第一基板42の下面側に、二次コイル9からの電力を直流に変換するための整流回路20を形成する。次に、制御素子搭載工程(S55)を行う。この工程では、第一基板42の下面に、フラットパッケージのICからなる制御素子8を搭載し、整流回路20からの直流出力、ならびに電極等形成工程(S52)にて形成されたランド10へ半田により結線する。この状態が、図12に示す断面図の第一基板42である。また、第一基板42を下面側から平面視した場合には、図3の制御基板2と同様の状態になっている。
【0046】
次に、図11に示すフローチャートを参照して、第二基板形成工程(S32)について説明する。第二基板形成工程(S32)では、まず、第二電極及び発光部形成工程を行う(S41)。この工程では、PETなどの絶縁性及び透光性を有する平面視、略長方形に形成されたフィルム基板から成る第二基板31の下面側に、ITO膜から成る陽極37を形成する。その後、陽極37の下面側に、図示外のPEDOT層を形成し、その下側に、発光材料である有機化合物で形成された有機薄膜(有機EL膜)から成る発光部35を全面に形成する。次に、第二電極コンタクト部形成工程(S42)を行う。この工程では、第二基板31の左端部(図13参照)の有機薄膜を除去して第一基板42からの給電を受けるためのコンタクト部32を形成する(S42)。
【0047】
次に、電荷注入阻止部形成工程を行う(S43)。この工程では、セグメント分割された陰極33のコンタクト部36をマスク蒸着にてCrの層で形成する。一例として、100nmの厚みである。もしくは発光部35の、コンタクト部36に相当する部分をマスク露光してホトブリーチする。これは、コンタクト部36に対向する発光部35を発光させないようにするためである。有機ELでは発光させるためには陰極33から電子、陽極37からはホールが注入される必要がある。コンタクト部36をCr蒸着で形成すると、Crの仕事関数が大きいので、発光部35のLUMOレベルとのエネルギーギャップが広がり、陰極33からの電子注入が阻害される。従ってこの部分は発光しなくなる。また、コンタクト部36の発光部35(有機層)をホトブリーチすると、有機層の電気伝導性が低下し、ホール、電子のどちらかもしくは両方が注入されなくなる。従ってこの部分は発光しなくなる。上記2つの手法で共通しているところは、ホール、電子のどちらかもしくは両方が注入されにくくするものである。即ち、コンタクト部36は、電荷注入阻止部として機能する。
【0048】
次いで、第一電極形成工程を行う(S44)。この工程では、コンタクト部36と、発光部35に当接するように、セグメント分割された陰極33をマスク蒸着する。一例として、ALの100nmの電極層を形成する(S44)。以上のS41からS44の工程で形成された基板を第二基板31とする。この状態が、図13に示す断面図の第二基板31である。
【0049】
次に、図12に示す第一基板42上に、図13に示す第二基板31を積層して、固定する基板積層工程を行う(図9:S33)。このとき、第一基板42のランド34と第二基板31の陰極33とが当接して電気的に接続される。この際、図8に示すように、ランド34が、コンタクト部36の下面側に延出している部分の陰極33と当接するように第一基板42と第二基板31とを積層する。その後、封止工程(図9:S34)を行う。この工程では、図8に示すように、積層した素子本体30全体を第一封止層17及び第二封止層18で封止して、第一封止層17及び第二封止層18の外周部は、図示外の接着剤で接着されて封止された封止部19となる。
【0050】
この第二製造工程で形成された有機EL素子101では、予め形成した第一基板42上に第二基板31を積層するだけであるので、素子構造を簡素化でき、製造が容易かつ効率化できる。また、積層した素子本体30全体を第一封止層17及び第二封止層18で封止して、第一封止層17及び第二封止層18の外周部は、図示外の接着剤で接着されて封止された封止部19となっているので、密閉性が高く、空気や水分の進入を防止できる。
【0051】
次に、図14及び図15を参照して、第三実施の形態の有機EL素子130について説明する。以下では、第二実施の形態の有機EL素子101と異なる点についてのみ説明する。図7に示すように、第二実施の形態の有機EL素子101では、コンタクト部36が、発光するセグメント(陰極33)の内側に形成されていたが、この第三実施の形態の有機EL素子130では、コンタクト部36が、発光するセグメント(陰極33)の外側に形成されている。また、図15に示すように、ランド10及びスルーホール11も図14に示す陰極33及びコンタクト部36に対応した位置に設けられている。このようにすることにより、7セグメントの文字を大きく表示することができ、面積を有効活用することができる。
【0052】
次に、図16〜図19を参照して、第四実施の形態の有機EL素子150について説明する。図17は、有機EL素子150の図16のXII-XII線に於ける矢視方向断面図であり、図18は、有機EL素子150の図16のXIII-XIII線に於ける矢視方向断面図であり、図19は、有機EL素子150の図16のXIV-XIV線に於ける矢視方向断面図である。第四実施の形態の有機EL素子150では、図16及び図17に示すように、制御基板2を廃止し、発光部が形成された透光性を有するフィルム基板152に、透明電極である陽極7を形成している。また、図17に示すように、陽極7上に発光部5を形成し、発光部5上にコンタクト部36と、陰極33とを形成している。そして、その上をレジストシート151で覆っている。また、レジストシート151上に、二次コイル9と、配線13が形成されている。また、図18に示すように、レジストシート151上に制御素子8が設けられている。また、図19に示すように、フィルム基板152上に電極115が設けられ、陽極7上に電極116が設けられている。また、これらの電極115,116は、二次コイル9や配線113に接続されている。さらに、図16に示すように、レジストシート151上に整流回路20も設けられている。尚、有機EL素子150は、図示外の絶縁性を有する封止層で全体が封止され、発光面側の封止層はさらに、透光性を有している。この第四実施の形態の有機EL素子150では、制御基板2を廃止したので、基板がフレキシブルになり、また、薄くできる。尚、本実施の形態では、二次コイル9は、有機EL素子150の縁部に設けているので、波長の長い電波を使用する一次コイル100に対応できる。尚、上記の第四実施の形態の有機EL素子150では、陰極33、フィルム基板152、封止層に透光性を与えさえすればどちらの面からも光を取り出すことができる。
【0053】
本発明の「基板」の一例が、第一実施形態の「制御基板2」である。また、「第一電極」の一例が、「陰極3及び陰極33」である。また、「第二電極」の一例が、「陽極7及び陽極37」である。また、「第三電極」の一例が、「ランド10」である。また、「第四電極」の一例が、「ランド14」である。また、電荷注入阻止層の一例が、「コンタクト部36」である。また、「第一スルーホール」の一例が、「スルーホール11」であり、「第二スルーホール」の一例が、「スルーホール16」である。
【0054】
なお、本発明は、前述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0055】
例えば、図示しないが、第一実施形態において、陰極3と陽極7との形成位置を入れ替えてもよい。また、第二実施形態において、陰極33と陽極37との形成位置を入れ替えてもよい。また、第一電極は陰極とし、第二電極を陽極としても良いし、逆に、第一電極は陽極とし、第二電極を陰極としても良い。
【0056】
また、上記の実施形態において、複数のスルーホール11の位置、数量、孔径、ピッチなどは適宜変更可能である。例えば、制御基板2や第一基板42の強度を高めることを目的として、スルーホール11の孔径を小さくしたり、ピッチを大きくしたりしてもよい。有機EL素子1の発光輝度を高めることを目的として、スルーホール11の孔径を大きくしたり、ピッチを小さくしたりしてもよい。また、第一基板形成工程と第二基板形成工程は、何れを先に行っても、同時に行っても良い。また、電荷注入阻止部は第二電極と発光部との間にあっても良い。
【0057】
上記実施形態では、片面発光する有機EL素子1,101,130,150を例示したが、両面発光するようにしてもよい。この場合、陰極3や制御基板2などを透明材料で形成すればよい。その他、有機EL素子1,101,130,150の厚み、形状、大きさや、有機EL素子1,101,130,150に含まれる各層の厚み、材料、形成方法や、各種電極の位置、数量、形状などは、適宜変更可能であることはいうまでもない。また、第一実施形態では、スルーホール11を使用せずに、図示外の配線で陰極3とランド10を接続し、図示外の配線で陽極端子15とランド14を接続してもよい。第二〜第四実施形態でも同様である。
【符号の説明】
【0058】
1 有機EL素子
2 制御基板
3 陰極
5 発光部
7 陽極
8 制御素子
9 二次コイル
10 ランド
11 スルーホール
12 配線
13 配線
14 ランド
15 陽極端子
16 スルーホール
17 第一封止層
18 第二封止層
20 整流回路
30 素子本体
31 第二基板
32 コンタクト部
33 陰極
34 ランド
35 発光部
36 コンタクト部
37 陽極
42 第一基板
100 一次コイル
101 有機EL素子
130 有機EL素子
150 有機EL素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性の基板と、
前記基板の第一の面側に設けられた複数の第一電極と、
前記第一電極上に設けられた有機化合物で形成された発光部と、
前記発光部において前記第一電極と反対側に設けられ、前記第一電極とは異なる極性を有する第二電極と、
前記各第一電極と第二電極との間に印加される電圧を制御して前記発光部の発光を制御する制御素子と、
前記制御素子に電力を供給するコイルと、
前記コイルからの電流を整流して前記制御素子に供給する整流回路と、
前記第二電極において前記発光部側と反対側に設けられ少なくとも絶縁性を有する第一封止層と、
前記基板の第一の面と反対側の第二の面側に設けられ、少なくとも絶縁性を有する第二封止層と
を備え、
前記第一封止層の外周部と前記第二封止層の外周部が封止され、内部に前記基板、前記第一電極、前記第二電極、前記制御素子、前記コイル、前記整流回路が封入され、
前記第二電極と第一封止層との組合せか、前記第一電極と前記基板と前記第二封止層との組合せの、少なくとも一方の組合せの部材は、透光性を有していることを特徴とする有機EL素子。
【請求項2】
絶縁性の基板と、
前記基板に設けられ、当該基板の厚み方向に貫通する導電性を有する複数の第一スルーホール及び第二スルーホールと、
前記基板の第一の面側に設けられ、前記第一スルーホールに電気的に接続される第一電極と、
前記第一電極上に設けられた有機化合物で形成された発光部と、
前記発光部において前記第一電極と反対側に設けられ、前記第一電極とは異なる極性を有し、且つ、透光性を有し、前記第二スルーホールに電気的に接続される第二電極と、
前記第二電極において前記発光部側と反対側に設けられ絶縁性および透光性を有する第一封止層と、
前記基板の第一の面と反対側の第二の面側に設けられ、前記第一スルーホールに電気的に接続される第三電極と、
前記基板の第二の面側に設けられ、前記第二スルーホールに電気的に接続される第四電極と、
前記基板の第二の面側に設けられ、前記第三電極及び前記第四電極に各々接続される配線と、
前記基板の第二の面側に設けられ、前記配線に接続され、前記発光部の発光を制御する制御素子と、
前記制御素子に電力を供給するコイルと、
前記コイルからの電流を整流して前記制御素子に供給する整流回路と、
前記配線、前記制御素子、前記コイル及び前記整流回路を覆うように設けられ、少なくとも絶縁性を有する第二封止層と
を備え、
前記第一封止層の外周部と前記第二封止層の外周部が封止され、内部に前記基板、前記第一電極、前記第二電極、前記配線、前記第三電極、前記第四電極、前記制御素子、前記コイル、前記整流回路が封入されていることを特徴とする有機EL素子。
【請求項3】
絶縁性の第一基板と、
前記第一基板に設けられ、当該第一基板の厚み方向に貫通する導電性を有する複数の第一スルーホール及び第二スルーホールと、
前記第一基板の第一の面側に設けられ、前記第一スルーホールに電気的に接続される導電性のランドと、
前記ランドに当接し、電気的に接続される第一電極と、
前記第一電極上に当接し有機化合物で形成された発光部と、
前記発光部において前記第一電極と反対側に設けられ、前記第一電極とは異なる極性を有し、且つ、透光性を有し、前記第二スルーホールに電気的に接続される第二電極と、
前記第二電極が第一の面に形成されている絶縁性で透光性を有する第二基板と、
前記第二基板において前記第一の面と反対側の第二の面側に設けられ絶縁性および透光性を有する第一封止層と、
前記第一基板の第一の面と反対側の第二の面側に設けられ、前記第一スルーホールに電気的に接続される第三電極と、
前記第一基板の第一の面と反対側の第二の面側に設けられ、前記第二スルーホールに電気的に接続される第四電極と、
前記第一基板の第二の面側に設けられ、前記第三電極及び前記第四電極に各々接続される配線と、
前記第一基板の第二の面側に設けられ、前記配線に接続され、前記発光部の発光を制御する制御素子と、
前記制御素子に電力を供給するコイルと、
前記コイルからの電流を整流して前記制御素子に供給する整流回路と、
前記配線、前記制御素子、前記コイル及び前記整流回路を覆うように設けられ、少なくとも絶縁性を有する第二封止層と
を備え、
前記第一封止層の外周部と前記第二封止層の外周部が封止され、内部に前記第一基板、前記第二基板、前記第一電極、前記第二電極、前記配線、前記第三電極、前記第四電極、前記制御素子、前記コイル、前記整流回路が封入されていることを特徴とする有機EL素子。
【請求項4】
前記第一電極上の一部と前記発光部との間に設けられ、前記発光部が発光するための電荷の注入を阻止する電荷注入阻止部を備えたことを特徴とする請求項3に記載の有機EL素子。
【請求項5】
前記第一電極は、陰極であり、
前記第二電極は、陽極であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の有機EL素子。
【請求項6】
前記第一電極は、陽極であり、
前記第二電極は、陰極であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の有機EL素子。
【請求項7】
有機化合物で形成された発光部を備える有機EL素子を製造する製造方法であって、
絶縁性の基板に、厚み方向に貫通する複数の第一スルーホール及び第二スルーホールを形成するスルーホール形成工程と、
前記基板の第一の面側に、前記第一スルーホールに電気的に接続される第一電極を形成し、前記基板の第一の面と反対側の第二の面側に、前記第一スルーホールに電気的に接続される第三電極、当該第三電極に接続される配線及び外部から送電を受けるコイル、及び前記第二スルーホールに電気的に接続される第四電極を形成する電極等形成工程と、
前記第一及び第二スルーホールの壁面をメッキして導電性を与えるメッキ工程と、
前記基板の第一の面側に前記第一スルーホールに電気的に接続される第一電極を形成する第一電極形成工程と、
第一電極形成工程で形成された前記第一電極上に有機化合物で形成された前記発光部を形成する発光部形成工程と、
前記発光部上に、前記第一電極とは異なる極性を有し、且つ、透光性を有し、第二スルーホールに電気的に接続される第二電極を形成する第二電極形成工程と、
前記コイルから流れる電流を整流する整流回路を前記基板上に形成する整流回路形成工程と、
前記基板上に前記発光部の発光を制御する制御素子を搭載する制御素子搭載工程と、
前記第二電極において前記発光部側と反対側に、絶縁性および透光性を有する第一封止層を設け、前記基板の第一の面と反対側の第二の面側に少なくとも絶縁性を有する第二封止層を設けて、当該有機EL素子全体を封止する封止工程と
を備えたことを特徴とする有機EL素子を製造する製造方法。
【請求項8】
有機化合物で形成された発光部を備える有機EL素子を製造する製造方法であって、
当該製造方法は、第一基板形成工程と、第二基板形成工程と、基板積層工程と、封止工程とから構成され、
前記第一基板形成工程は、
絶縁性の第一基板に、厚み方向に貫通する複数の第一スルーホール及び第二スルーホールを形成するスルーホール形成工程と、
前記第一基板の第一の面側に前記第一スルーホールに電気的に接続される導電性のランドを形成し、当該第一の面と反対側の第二の面側に、前記第一スルーホールに電気的に接続される第三電極、当該第三電極に接続される配線、外部から送電を受けるコイル、及び前記第二スルーホールに電気的に接続される第四電極を形成する電極等形成工程と、
前記第一及び第二スルーホールの壁面をメッキして導電性を与えるメッキ工程と、
前記コイルから流れる電流を整流する整流回路を前記基板上に形成する整流回路形成工程と、
前記第一基板上に前記発光部の発光を制御する制御素子を搭載する制御素子搭載工程とを備え、
前記第二基板形成工程は、
絶縁性及び透光性を有する第二基板に、前記第二スルーホールに電気的に接続される第二電極及び、当該第二電極上に有機化合物で形成された発光部を形成する第二電極及び発光部形成工程と、
前記第二電極の端部で有機化合物の層を剥離して、前記第二電極へのコンタクト部を形成する第二電極コンタクト部形成工程と、
前記発光部への電荷の注入を阻止する電荷注入阻止部を形成する電荷注入阻止部形成工程と、
前記電荷注入阻止部及び前記発光部に当接する第一電極を形成する第一電極形成工程とを備え、
前記基板積層工程は、前記第一基板形成工程で形成された第一基板上に、前記前記第二基板形成工程で形成された第二基板を積層して固定し、
前記封止工程は、前記第二基板の前記第二電極において前記発光部側と反対側に、絶縁性および透光性を有する第一封止層を設け、前記第一基板の前記第二の面側に少なくとも絶縁性を有する第二封止層を設けて、当該有機EL素子全体を封止することを特徴とする有機EL素子を製造する製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−79469(P2012−79469A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221655(P2010−221655)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】