有機EL表示装置
【課題】画素毎に設けた電極の端縁への電界集中に起因する発光能の低下を抑制し、かつ明るい表示画像を得る。
【解決手段】絶縁基板SUBの内面に画素毎に突出形成された断面が正台形をなす第1絶縁膜BNKの上に形成された透明性の第1電極ADと、第1電極ADの上に形成された有機発光層LMLと、有機発光層LMLの上に形成された反射性の第2電極EDとを有する。透明性の第2絶縁膜INSを第1電極ADの端縁を覆い、かつ画素の基準発光領域を規定する如く第1電極ADの周囲に形成した。
【解決手段】絶縁基板SUBの内面に画素毎に突出形成された断面が正台形をなす第1絶縁膜BNKの上に形成された透明性の第1電極ADと、第1電極ADの上に形成された有機発光層LMLと、有機発光層LMLの上に形成された反射性の第2電極EDとを有する。透明性の第2絶縁膜INSを第1電極ADの端縁を覆い、かつ画素の基準発光領域を規定する如く第1電極ADの周囲に形成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL表示装置に係り、特に画素毎に設けた電極の端縁への電界集中に起因する発光能の低下を抑制し、かつ明るい表示画像を得るのに好適な技術である。
【背景技術】
【0002】
フラットパネル型の表示装置として液晶表示装置(LCD)やプラズマ表示装置(PDP)、電界放出型表示装置(FED)、有機EL表示装置(OLED)などが実用化ないしは実用化研究段階にある。中でも、有機EL表示装置は薄型・軽量の自発光型表示装置の典型としてこれからの表示装置として極めて有望な表示装置である。有機EL表示装置には、所謂ボトムエミッション型とトップエミッション型とがある。ここでは、ボトムエミッション型を対象とする。
【0003】
有機EL表示装置は、ガラス基板などの絶縁基板の内面に画素毎に形成した第1電極(一方の電極、下部電極)の上に所定の色光で発光する有機発光層を積層し、その上に第2電極(他方の電極、上部電極)を成膜する。第1電極と第2電極の間に電圧を加えることで、有機発光層にホールとキャリアが注入されて有機発光層の材料に依存した所定の周波数の発光が生じる。この画素を二次元に配置して画像表示を行う。
【0004】
図21は、ボトムエミッション型の有機EL表示装置を構成する1画素の従来の構成例を説明する断面模式図である。この有機EL表示装置はアクティブ・マトリクス方式である。ガラスを好適とする透明基板SUBの内面に薄膜トランジスタTFTが形成されている。薄膜トランジスタTFTは保護絶縁層PASで覆われている。この保護絶縁層PASの上に、第1電極(例えば、陽極)ADとしてITOを好適とする透明性の導電膜が形成され、保護絶縁層PASの開けたスルーホールTHを通して薄膜トランジスタTFTのソース電極(又は、ドレイン電極)に接続され、当該薄膜トランジスタTFTで印加電圧のオン・オフが制御されている。
【0005】
陽極ADの上には1画素の領域を周囲で区画するためのバンクBNKが絶縁材料で形成されている。このバンクBNKで囲まれた凹部を含めて有機発光層LMLが成膜されている。有機発光層LMLは複数層で構成されている。その上に第2電極(例えば、陰極)EDとしてアルミニウムを好適とする反射性の導電膜が形成されている。第2電極EDの上方には素子の保護と有機発光層LMLへの湿気の侵入を阻止するための封止缶(封止板)SEが設置されている。封止缶SEはガラス板、金属板、プラスチックシートなどが用いられる。なお、通常、封止缶SEの内側には吸湿剤又は防湿剤が配置される。
【0006】
図21では、断面が正台形(ここで、正台形とは、下底が上底より長い台形と定義する)のバンクBNKで囲まれた凹部を画素領域としているが、断面が正台形のバンクBNKの凸部(上底部)を画素領域としたものは特許文献1に開示されている。また、断面が正台形のバンクBNKで囲まれた凹部における画素領域内に断面が伏せた椀状の起伏を複数形成したものが特許文献2に開示されている。
【特許文献1】特開2003−332388号公報
【特許文献2】特開2004−235019号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
薄膜トランジスタで制御される第1電極は画素毎に分離され、端縁を持っている。これに対し、第2電極は、複数画素(あるいは、全画素)に対して共通に形成されている。そのため、第1電極の端縁に対し、第2電極との間で電界の集中が起こる。電界の集中はリーク電流の発生をもたらし、有機発光層の発光能を阻害するため、画素の発光量が低下することになる。このことは、特許文献1に開示のようなバンクBNKの凸部を画素領域としたものにおいて顕著である。なお、このような電界の集中による画素の発光量の低下に関して、特許文献1,2では考慮がされていない。
【0008】
本発明の目的は、画素毎に設けた電極の端縁への電界集中に起因する発光能の低下を抑制し、かつ明るい表示画像を得ることのできる有機EL表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の有機EL表示装置は、絶縁基板の内面に画素毎に突出形成された断面が正台形をなす第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜の上に形成された透明性の第1電極と、前記第1電極の上に形成された有機発光層と、前記有機発光層の上に形成された反射性の第2電極とを有する。
【0010】
そして、上記目的を達成するため、本発明は、前記第2絶縁膜を第1電極の端縁を覆い、かつ前記画素の基準発光領域を規定する如く前記第1電極の周囲に形成した。この第2絶縁膜を透明性とすることで、基準発光領域から基板面に沿う方向に出て正台形の第1絶縁膜の側面で反射する光を基板側に取り出すことができる。この第1絶縁膜の側面、すなわち正台形の側壁の内側立ち上がり角度は45度未満とするのが好ましい。
【0011】
また、本発明の有機EL表示装置は、絶縁基板の内面に画素毎に突出形成する第1絶縁膜として、断面が伏せた椀状のものとすることができる。この場合も、この第2絶縁膜を透明性とすることで、基準発光領域から基板面に沿う方向に出て正台形の第1絶縁膜の側面で反射する光を基板側に取り出すことができる。前記基板面と接する位置での前記伏せたお椀状の第1絶縁膜の側壁の内側立ち上がり角度を45度未満とするのが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
前記第2絶縁膜で第1電極の端縁を覆うことで、第1電極の端縁と第2電極の間の距離が拡大され、第1電極の端縁での電界集中が軽減し、電界集中に起因するリーク電流発生が防止され、リークパスによる表示欠陥や有機発光層の発光能低下が抑制される。また、第2絶縁膜を透明性とし、第1絶縁膜の側壁の内側立ち上がり角度を45度未満とすることで基準発光領域から基板面に沿う方向に出て正台形の第1絶縁膜の側面で反射する光が基板側に取り出され、第2絶縁膜で規定される基準発光領域の周囲も画素領域となり、開口率が拡大して明るい画像表示が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態につき、実施例の図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例では、第1電極を陽極、第2電極を陰極として説明するが、これらの極性は逆でもよいことは言うまでもない。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明の有機EL表示装置の実施例1を説明する画素の模式図である。図1(a)は1画素の断面図ある。また、図1(b)はカラー1画素を構成する3色画素の平面図で、有機発光層と第2電極を除去した状態で示す。図1(a)において、ガラスを好適とする透明性の絶縁基板SUBと、絶縁基板SUBの内面に画素毎に突出形成された断面が正台形をなす第1絶縁膜すなわちバンクBNKと、バンクBNKの上に形成された透明性の陽極ADと、陽極ADの上に形成された有機発光層LMLと、有機発光層の上に形成された反射性の陰極EDとを有する。そして、陽極ADの端部を覆って第2絶縁膜INSが形成されている。
【0015】
図1(b)に示したように、カラー1画素は、赤画素PX(R)、緑画素PX(G)、青画素PX(B)の3色の画素で構成される。陽極ADの周囲に形成され第2絶縁膜INSは、画素の基準発光領域を規定する如く陽極ADの端部を覆って、その周囲に形成されている。すなわち、第2絶縁膜INSは各画素の第1方向(水平走査方向)のサイズPZX、第2方向(垂直走査方向)のサイズPXYからなる基準発光領域(基準開口)を規定している。
【0016】
この第2絶縁膜INSは、透明性とする。この第2絶縁膜INSを透明性とすることで、後述するように、基準発光領域から基板面に沿う方向に出て正台形の第1絶縁膜BNKの側面で反射する光を基板側に取り出すことができる。絶縁基板SUBの面と接する位置での前記正台形のバンクBNKの側壁の内側立ち上がり角度θを45度未満とするのが好ましい。
【0017】
図2は、図1(a)の矢印Aで示す部分の拡大図である。図1と同一符号は同一機能部分を示す。バンクBNKの上に形成された陽極ADの端部(エッジ)はバンクBNKの上面の端にあり、この陽極ADの端部を覆って第2絶縁膜INSが形成されている。有機発光層LMLは陽極ADと第2絶縁膜INSを覆って形成され、さらにその上に陰極EDが成膜されている。この構造において、陽極ADの一端と陰極EDとは第2絶縁膜INSと有機発光層LMLの2層で絶縁されており、陽極ADの端部と陰極EDとの間隔(距離)dは有機発光層LMLのみの部分よりも大きい。そのため、当該陽極ADの端部での電界の集中が大幅に緩和される。したがって、この部分での電界の集中による有機発光層LMLのリークパスの発生が防止され、発光能の低下、発光不能が防止される。
【0018】
陰極EDは、バンクBNKの形状に倣って成膜される。したがって、バンクBNKの側壁上での陰極EDの内側立ち上がり角度はバンクBNKの内側立ち上がり角度θに略等しい。有機発光層LMLの発光は、絶縁基板SUB側に直接出射される光LDと、絶縁基板SUB面と並行な方向に出射して角度θをなす陰極EDで反射し、絶縁基板SUB側に出射する光LRとなる。
【0019】
前記したように、第2絶縁膜INSは画素の開口の大きさを規制する如く陽極ADの上に形成されている。この第2絶縁膜INSを透明な材料とすることにより、上記のように陰極EDで反射して絶縁基板SUB側に出射する光LRにより、実質的に開口率が拡大され、明るい画像を得ることができる。
【0020】
図3は、図1に示した有機EL表示装置の製作手順の説明図である。先ず、絶縁基板SUBの内面に薄膜トランジスタTFTを形成し、保護絶縁膜PASで被覆する。保護絶縁膜PASには、薄膜トランジスタTFTのソース電極(又はドレイン電極、以下ソース電極)に達するスルーホールTHは形成される(図3(a))。
【0021】
保護絶縁膜PASの上に有機材料(アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等)または無機材料(SiN、SiO等)でバンクBNKを形成する(図3(b))。バンクBNKは、断面が正台形となるように、かつ絶縁基板SUBに対するバンクBNKの内側壁の立ち上がり角度θが45度未満になるように形成する。
【0022】
バンクBNKの上、かつ保護絶縁膜PASのスルーホールTHを通して薄膜トランジスタTFTのソース電極に接続した陽極ADを成膜する(図3(c))。実施例1では、陽極ADの端部はバンクBNKの周辺で当該バンクBNKの上にある。
【0023】
画素の基準発光領域の開口サイズを規制し、上記陽極ADの端部を含む外周を覆って第2絶縁膜INSを形成する(図3(d))。第2絶縁膜INSはSiNを好適とする透明材料とする。
【0024】
第2絶縁膜INSの上、かつバンクBNKの上面の第2絶縁膜INSの開口部分(基準発光領域)を覆って有機発光層LMLを形成する(図3(e))。ここでは、有機発光層LMLは、垂直走査方向に隣接する同色の画素に共通に形成される。
【0025】
そして、有機発光層LMLを覆って陰極EDを成膜する(図3(f))。陰極EDは全ての画素に対して共通に形成される。
【0026】
こうして製作された実施例1の有機EL表示装置によれば、第2絶縁膜で陽極の端縁を覆うことで、陽極の端縁と陰極の間の距離が拡大され、陽極の端縁での電界集中が軽減し、電界集中に起因するリーク電流発生が防止され、リークパスによる表示欠陥や有機発光層の発光能低下が抑制される。また、第2絶縁膜を透明性とし、第1絶縁膜であるバンクの側壁の内側立ち上がり角度を45度未満とすることで基準発光領域から絶縁基板面に沿う方向に出て正台形のバンクの側面で反射する光が基板側に取り出され、第2絶縁膜で規定される基準発光領域の周囲も画素領域となり、開口率が拡大して明るい画像表示が得られる。
【実施例2】
【0027】
図4は、本発明の有機EL表示装置の実施例2を説明する画素の模式図である。また、図5は、図4の矢印Bで示した部分の拡大図である。実施例2は、絶縁基板SUBに形成した保護絶縁膜PASの上に、実施例1における第1絶縁膜のバンクに代えて、断面が正台形の陽極ADを形成してある。陽極ADは保護絶縁膜PASのスルーホールで薄膜トランジスタTFTに接続される。
【0028】
陽極AD上、かつその上面に基準発光領域を開口させて、当該陽極ADの端部を覆って第2接続膜INSが形成されている。第2絶縁膜INSはSiNを好適とする透明材料とする。第2絶縁膜INSの上、かつ陽極ADの上面の第2絶縁膜INSの開口部分(基準発光領域)を覆って有機発光層LMLを有する。ここでは、有機発光層LMLは、垂直走査方向に隣接する同色の画素に共通に形成されている。そして、有機発光層LMLを覆って陰極EDが成膜されている。陰極EDは全ての画素に対して共通に形成される。
【0029】
保護絶縁膜PASの上に形成された陽極ADの端部(エッジ)を覆って第2絶縁膜INSが形成されているため、陽極ADの一端と陰極EDとは第2絶縁膜INSと有機発光層LMLの2層で絶縁されており、陽極ADの端部と陰極EDとの間隔(距離)dは有機発光層LMLのみの部分よりも大きい。そのため、当該陽極ADの端部での電界の集中が大幅に緩和される。したがって、この部分での電界の集中による有機発光層LMLのリークパスの発生が防止され、発光能の低下、発光不能が防止される。
【0030】
陰極EDの側壁上での陰極EDの内側立ち上がり角度は陽極ADの内側立ち上がり角度θに略等しい。有機発光層LMLの発光は、絶縁基板SUB側に直接出射される光LDと、絶縁基板SUB面と並行な方向に出射して角度θをなす陰極EDで反射し、絶縁基板SUB側に出射する光LRとなる。
【0031】
実施例1と同様に、第2絶縁膜INSは画素の開口の大きさを規制する如く陽極ADの上に形成されている。この第2絶縁膜INSを透明な材料とすることにより、上記のように陰極EDで反射して絶縁基板SUB側に出射する光LRにより、実質的に開口率が拡大され、明るい画像を得ることができる。
【実施例3】
【0032】
図6は、本発明の有機EL表示装置の実施例3を説明する画素の模式図である。また、図7は、図6の矢印Cで示した部分の拡大図である。実施例3は、絶縁基板SUBに形成した保護絶縁膜PASの上に、実施例1と同様の断面が正台形のバンクBNKを形成してある。このバンクBNKの上に陽極ADが形成されている。陽極ADはバンクBNKの全表面を覆っている点で実施例1と異なる。陽極ADの端部は保護絶縁膜PAS上にある。陽極ADは保護絶縁膜PASのスルーホールで薄膜トランジスタTFTに接続される。
【0033】
この陽極AD上、かつ台形の側壁の一部を含めて陽極ADの端部を覆う第2接続膜INSが形成されている。画素の基準発光領域は台形の側壁の残りの部分を含めて開口されている。第2絶縁膜INSはSiNを好適とする透明材料とする。第2絶縁膜INSの上、かつ陽極ADの上面の第2絶縁膜INSの開口部分(基準発光領域)を覆って有機発光層LMLを有する。ここでも、有機発光層LMLは、垂直走査方向に隣接する同色の画素に共通に形成されている。そして、有機発光層LMLを覆って陰極EDが成膜されている。陰極EDは全ての画素に対して共通に形成される。
【0034】
保護絶縁膜PASの上に形成された陽極ADの端部(エッジ)を覆って第2絶縁膜INSが形成されているため、陽極ADの一端と陰極EDとは第2絶縁膜INSと有機発光層LMLの2層で絶縁されており、陽極ADの端部と陰極EDとの間隔(距離)は有機発光層LMLのみの部分よりも大きい。そのため、当該陽極ADの端部での電界の集中が大幅に緩和される。したがって、この部分での電界の集中による有機発光層LMLのリークパスの発生が防止され、発光能の低下、発光不能が防止される。
【0035】
陰極EDの側壁上での陰極EDの内側立ち上がり角度は陽極ADの内側立ち上がり角度θに略等しい。有機発光層LMLの発光は、絶縁基板SUB側に直接出射される光LDと、絶縁基板SUB面と並行な方向に出射して角度θをなす陰極EDで反射し、絶縁基板SUB側に出射する光LRとなる。
【0036】
実施例1と同様に、第2絶縁膜INSは画素の開口の大きさを規制する如く陽極ADの上に形成されている。この第2絶縁膜INSを透明な材料とすることにより、上記のように陰極EDで反射して絶縁基板SUB側に出射する光LRにより、実質的に開口率が拡大され、明るい画像を得ることができる。
【実施例4】
【0037】
図8は、本発明の有機EL表示装置の実施例4を説明する画素の模式図である。また、図9は、図8の矢印Dで示した部分の拡大図である。実施例4は、絶縁基板SUBに形成した保護絶縁膜PASの上に、実施例2と同様に断面が正台形の陽極ADを形成してある。陽極ADは保護絶縁膜PASのスルーホールで薄膜トランジスタTFTに接続される。
【0038】
陽極AD上、かつその側壁の一部にかけて基準発光領域を開口させ、当該陽極ADの端部を覆って第2接続膜INSが形成されている。第2絶縁膜INSはSiNを好適とする透明材料とする。第2絶縁膜INSの上、かつ陽極ADの上面の第2絶縁膜INSの開口部分(基準発光領域)を覆って有機発光層LMLを有する。ここでも、有機発光層LMLは、垂直走査方向に隣接する同色の画素に共通に形成されている。そして、有機発光層LMLを覆って陰極EDが成膜されている。陰極EDは全ての画素に対して共通に形成される。
【0039】
保護絶縁膜PASの上に形成された陽極ADの端部(エッジ)を覆って第2絶縁膜INSが形成されているため、陽極ADの一端と陰極EDとは第2絶縁膜INSと有機発光層LMLの2層で絶縁されており、陽極ADの端部と陰極EDとの間隔(距離)は有機発光層LMLのみの部分よりも大きい。そのため、当該陽極ADの端部での電界の集中が大幅に緩和される。したがって、この部分での電界の集中による有機発光層LMLのリークパスの発生が防止され、発光能の低下、発光不能が防止される。
【0040】
陰極EDの側壁上での陰極EDの内側立ち上がり角度は陽極ADの内側立ち上がり角度θに略等しい。有機発光層LMLの発光は、絶縁基板SUB側に直接出射される光LDと、絶縁基板SUB面と並行な方向に出射して角度θをなす陰極EDで反射し、絶縁基板SUB側に出射する光LRとなる。
【0041】
実施例2と同様に、第2絶縁膜INSは画素の開口の大きさを規制する如く陽極ADの上に形成されている。この第2絶縁膜INSを透明な材料とすることにより、上記のように陰極EDで反射して絶縁基板SUB側に出射する光LRにより、実質的に開口率が拡大され、明るい画像を得ることができる。
【実施例5】
【0042】
図10は、本発明の有機EL表示装置の実施例5を説明する画素の断面模式図である。図11は、図10の矢印Eで示す部分の拡大図である。図10において、ガラスを好適とする透明性の絶縁基板SUBと、絶縁基板SUBの内面に画素毎に突出形成された断面が伏せたお椀状をなす第1絶縁膜すなわちバンクBNKと、バアンクBNKの上に形成された透明性の陽極ADと、陽極ADの上に形成された有機発光層LMLと、有機発光層の上に形成された反射性の陰極EDとを有する。そして、陽極ADの端部を覆って第2絶縁膜INSが形成されている。
【0043】
この第2絶縁膜INSは、透明性とする。この第2絶縁膜INSを透明性とすることで、後述するように、基準発光領域から基板面に沿う方向に出て伏せたお椀状の第1絶縁膜BNKの側面における陰極EDで反射する光を絶縁基板SUB側に取り出すことができる。絶縁基板SUBの面と接する位置での前記伏せたお椀状のバンクBNKの側壁の内側立ち上がり角度θを45度未満とするのが好ましい。
【0044】
バンクBNKの上に形成された陽極ADの端部(エッジ)はバンクBNKの上面の端にあり、この陽極ADの端部を覆って第2絶縁膜INSが形成されている。有機発光層LMLは陽極ADと第2絶縁膜INSを覆って形成され、さらにその上に陰極EDが成膜されている。この構造において、陽極ADの一端と陰極EDとは第2絶縁膜INSと有機発光層LMLの2層で絶縁されており、陽極ADの端部と陰極EDとの間隔(距離)は有機発光層LMLのみの部分よりも大きい。そのため、当該陽極ADの端部での電界の集中が大幅に緩和される。したがって、この部分での電界の集中による有機発光層LMLのリークパスの発生が防止され、発光能の低下、発光不能が防止される。
【0045】
陰極EDは、バンクBNKの形状に倣って成膜される。したがって、バンクBNKの側壁上での陰極EDの内側立ち上がり角度はバンクBNKの内側立ち上がり角度θに略等しい。有機発光層LMLの発光は、絶縁基板SUB側に直接出射される光LDと、絶縁基板SUB面と並行な方向に出射して角度θをなす陰極EDで反射し、絶縁基板SUB側に出射する光LRとなる。
【0046】
前記したように、第2絶縁膜INSは画素の開口の大きさを規制する如く陽極ADの上に形成されている。この第2絶縁膜INSをSiN等の透明な材料とすることにより、上記のように陰極EDで反射して絶縁基板SUB側に出射する光LRにより、実質的に開口率が拡大され、明るい画像を得ることができる。
【実施例6】
【0047】
図12は、本発明の有機EL表示装置の実施例6を説明する画素の模式図である。また、図13は、図12の矢印Fで示した部分の拡大図である。実施例6は、絶縁基板SUBに形成した保護絶縁膜PASの上に、実施例1における第1絶縁膜のバンクに代えて、断面が伏せたお椀状の陽極ADを形成してある。陽極ADは保護絶縁膜PASのスルーホールで薄膜トランジスタTFTに接続される。
【0048】
陽極AD上、かつその上面に基準発光領域を開口させて、当該陽極ADの端部を覆って第2接続膜INSが形成されている。第2絶縁膜INSはSiNを好適とする透明材料とする。第2絶縁膜INSの上、かつ陽極ADの上面の第2絶縁膜INSの開口部分(基準発光領域)を覆って有機発光層LMLを有する。ここでは、有機発光層LMLは、垂直走査方向に隣接する同色の画素に共通に形成されている。そして、有機発光層LMLを覆って陰極EDが成膜されている。陰極EDは全ての画素に対して共通に形成される。
【0049】
保護絶縁膜PASの上に形成された陽極ADの端部(エッジ)を覆って第2絶縁膜INSが形成されているため、陽極ADの一端と陰極EDとは第2絶縁膜INSと有機発光層LMLの2層で絶縁されており、陽極ADの端部と陰極EDとの間隔(距離)dは有機発光層LMLのみの部分よりも大きい。そのため、当該陽極ADの端部での電界の集中が大幅に緩和される。したがって、この部分での電界の集中による有機発光層LMLのリークパスの発生が防止され、発光能の低下、発光不能が防止される。
【0050】
陰極EDの側壁上での陰極EDの内側立ち上がり角度は陽極ADの内側立ち上がり角度θに略等しい。有機発光層LMLの発光は、絶縁基板SUB側に直接出射される光LDと、絶縁基板SUB面と並行な方向に出射して角度θをなす陰極EDで反射し、絶縁基板SUB側に出射する光LRとなる。
【0051】
実施例1と同様に、第2絶縁膜INSは画素の開口の大きさを規制する如く陽極ADの上に形成されている。この第2絶縁膜INSを透明な材料とすることにより、上記のように陰極EDで反射して絶縁基板SUB側に出射する光LRにより、実質的に開口率が拡大され、明るい画像を得ることができる。
【実施例7】
【0052】
図14は、本発明の有機EL表示装置の実施例7を説明する1画素の断面模式図ある。また、図15は、図14の矢印Gで示す部分の拡大図である。図14において、ガラスを好適とする透明性の絶縁基板SUBと、絶縁基板SUBの内面に画素毎に突出形成された断面が正台形をなす如くカラーフィルタCFを形成して第1絶縁膜すなわちバンクとする。このカラーフィルタCFの上に形成された透明性の陽極ADと、陽極ADの上に形成された有機発光層LMLと、有機発光層の上に形成された反射性の陰極EDとを有する。そして、陽極ADの端部を覆って第2絶縁膜INSが形成されている。
【0053】
この第2絶縁膜INSを透明性とすることで、後述するように、基準発光領域から基板面に沿う方向に出て正台形のカラーフィルタCFの側面で反射する光を絶縁基板側に取り出すことができる。絶縁基板SUBの面と接する位置での前記正台形のカラーフィルタCFの側壁の内側立ち上がり角度θを45度未満とするのが好ましい。
【0054】
カラーフィルタCFの上に形成された陽極ADの端部(エッジ)はバンクBNKの上面の端にあり、この陽極ADの端部を覆って第2絶縁膜INSが形成されている。有機発光層LMLは陽極ADと第2絶縁膜INSを覆って形成され、さらにその上に陰極EDが成膜されている。この構造において、陽極ADの一端と陰極EDとは第2絶縁膜INSと有機発光層LMLの2層で絶縁されており、陽極ADの端部と陰極EDとの間隔(距離)は有機発光層LMLのみの部分よりも大きい。そのため、当該陽極ADの端部での電界の集中が大幅に緩和される。したがって、この部分での電界の集中による有機発光層LMLのリークパスの発生が防止され、発光能の低下、発光不能が防止される。
【0055】
陰極EDは、カラーフィルタCFの形状に倣って成膜される。したがって、カラーフィルタCFの側壁上での陰極EDの内側立ち上がり角度はカラーフィルタCFの内側立ち上がり角度θに略等しい。有機発光層LMLの発光は、絶縁基板SUB側に直接出射される光LDと、絶縁基板SUB面と並行な方向に出射して角度θをなす陰極EDで反射し、絶縁基板SUB側に出射する光LRとなる。
【0056】
第2絶縁膜INSは画素の開口の大きさを規制する如く陽極ADの上に形成されている。この第2絶縁膜INSを透明な材料とすることにより、上記のように陰極EDで反射して絶縁基板SUB側に出射する光LRにより、実質的に開口率が拡大され、明るい画像を得ることができる。
【実施例8】
【0057】
図16は、本発明の有機EL表示装置の実施例8を説明する1画素の断面模式図ある。また、図17は、図16の矢印Hで示す部分の拡大図である。この実施例は前記した実施例1における第2絶縁膜INSを陰極EDで囲まれる範囲内に形成したものである。他の構成は実施例1と同様である。実施例8によれば、1画素の内部に第2絶縁膜INSの厚み分を取り込むことで、陰極EDの反射光を有効利用でき、明るさが向上する。
【実施例9】
【0058】
図18は、本発明の有機EL表示装置の実施例9を説明する1画素の断面模式図ある。また、図19は、図18の矢印Iで示す部分の拡大図である。この実施例は前記した実施例8における有機発光層LMLも陰極EDで囲まれる範囲内に形成したものである。他の構成は実施例8と同様である。実施例9によれば、1画素の内部に第2絶縁膜INSと有機発光層LMLの厚み分を取り込むことで、陰極EDの反射光を有効利用でき、明るさがさらに向上する。
【0059】
図20は、有機EL表示装置の等価回路の一例を説明する図である。1画素は走査線(ゲート線)GLとデータ線DLに囲まれた領域に形成される。CSLは電流供給線、CSLBは電流供給母線である。1画素は、第1の薄膜トランジスタTFT1(スイッチングトランジスタ)と第2の薄膜トランジスタTFT2(ドライバトランジスタ)、有機EL素子OLED、およびコンデンサCPRで構成される。有機EL素子OLEDは、 前記した陽極―有機発光層―陰極の積層構造で構成される。走査線GLは走査駆動回路GDRで駆動され、データ線DLはとデータ駆動回路DDRで駆動される。電流供給線CSLは、電流供給バスラインCSLBから表示領域ARの外側で分岐している。そして、各画素に対して上記コンデンサCPRに蓄積された画像データの大きさに応じた電流を有機EL素子OLEDに供給し、所定の強さ(光量)で発光させる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の有機EL表示装置の実施例1を説明する画素の模式図である。
【図2】図1(a)の矢印Aで示す部分の拡大図である。
【図3】図1に示した有機EL表示装置の製作手順の説明図である。
【図4】本発明の有機EL表示装置の実施例2を説明する画素の模式図である。
【図5】図4の矢印Bで示した部分の拡大図である。
【図6】本発明の有機EL表示装置の実施例3を説明する画素の模式図である。
【図7】図6の矢印Cで示した部分の拡大図である。
【図8】本発明の有機EL表示装置の実施例4を説明する画素の模式図である。
【図9】図8の矢印Dで示した部分の拡大図である。
【図10】本発明の有機EL表示装置の実施例5を説明する画素の断面模式図である。
【図11】図10の矢印Eで示す部分の拡大図である。
【図12】本発明の有機EL表示装置の実施例6を説明する画素の模式図である。
【図13】図12の矢印Fで示した部分の拡大図である。
【図14】本発明の有機EL表示装置の実施例7を説明する1画素の断面模式図ある。
【図15】図14の矢印Gで示す部分の拡大図である。
【図16】本発明の有機EL表示装置の実施例8を説明する1画素の断面模式図ある。
【図17】図16の矢印Hで示す部分の拡大図である。
【図18】本発明の有機EL表示装置の実施例9を説明する1画素の断面模式図ある。
【図19】図18の矢印Iで示す部分の拡大図である。
【図20】有機EL表示装置の等価回路の一例を説明する図である。
【図21】ボトムエミッション型の有機EL表示装置を構成する1画素の従来の構成例を説明する断面模式図である。
【符号の説明】
【0061】
SUB・・・透明性の絶縁基板、BNK・・・第1の絶縁膜(バンク)、AD・・・透明性の陽極、LML・・・有機発光層、ED・・・反射性の陰極、INS・・・第2絶縁膜。
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL表示装置に係り、特に画素毎に設けた電極の端縁への電界集中に起因する発光能の低下を抑制し、かつ明るい表示画像を得るのに好適な技術である。
【背景技術】
【0002】
フラットパネル型の表示装置として液晶表示装置(LCD)やプラズマ表示装置(PDP)、電界放出型表示装置(FED)、有機EL表示装置(OLED)などが実用化ないしは実用化研究段階にある。中でも、有機EL表示装置は薄型・軽量の自発光型表示装置の典型としてこれからの表示装置として極めて有望な表示装置である。有機EL表示装置には、所謂ボトムエミッション型とトップエミッション型とがある。ここでは、ボトムエミッション型を対象とする。
【0003】
有機EL表示装置は、ガラス基板などの絶縁基板の内面に画素毎に形成した第1電極(一方の電極、下部電極)の上に所定の色光で発光する有機発光層を積層し、その上に第2電極(他方の電極、上部電極)を成膜する。第1電極と第2電極の間に電圧を加えることで、有機発光層にホールとキャリアが注入されて有機発光層の材料に依存した所定の周波数の発光が生じる。この画素を二次元に配置して画像表示を行う。
【0004】
図21は、ボトムエミッション型の有機EL表示装置を構成する1画素の従来の構成例を説明する断面模式図である。この有機EL表示装置はアクティブ・マトリクス方式である。ガラスを好適とする透明基板SUBの内面に薄膜トランジスタTFTが形成されている。薄膜トランジスタTFTは保護絶縁層PASで覆われている。この保護絶縁層PASの上に、第1電極(例えば、陽極)ADとしてITOを好適とする透明性の導電膜が形成され、保護絶縁層PASの開けたスルーホールTHを通して薄膜トランジスタTFTのソース電極(又は、ドレイン電極)に接続され、当該薄膜トランジスタTFTで印加電圧のオン・オフが制御されている。
【0005】
陽極ADの上には1画素の領域を周囲で区画するためのバンクBNKが絶縁材料で形成されている。このバンクBNKで囲まれた凹部を含めて有機発光層LMLが成膜されている。有機発光層LMLは複数層で構成されている。その上に第2電極(例えば、陰極)EDとしてアルミニウムを好適とする反射性の導電膜が形成されている。第2電極EDの上方には素子の保護と有機発光層LMLへの湿気の侵入を阻止するための封止缶(封止板)SEが設置されている。封止缶SEはガラス板、金属板、プラスチックシートなどが用いられる。なお、通常、封止缶SEの内側には吸湿剤又は防湿剤が配置される。
【0006】
図21では、断面が正台形(ここで、正台形とは、下底が上底より長い台形と定義する)のバンクBNKで囲まれた凹部を画素領域としているが、断面が正台形のバンクBNKの凸部(上底部)を画素領域としたものは特許文献1に開示されている。また、断面が正台形のバンクBNKで囲まれた凹部における画素領域内に断面が伏せた椀状の起伏を複数形成したものが特許文献2に開示されている。
【特許文献1】特開2003−332388号公報
【特許文献2】特開2004−235019号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
薄膜トランジスタで制御される第1電極は画素毎に分離され、端縁を持っている。これに対し、第2電極は、複数画素(あるいは、全画素)に対して共通に形成されている。そのため、第1電極の端縁に対し、第2電極との間で電界の集中が起こる。電界の集中はリーク電流の発生をもたらし、有機発光層の発光能を阻害するため、画素の発光量が低下することになる。このことは、特許文献1に開示のようなバンクBNKの凸部を画素領域としたものにおいて顕著である。なお、このような電界の集中による画素の発光量の低下に関して、特許文献1,2では考慮がされていない。
【0008】
本発明の目的は、画素毎に設けた電極の端縁への電界集中に起因する発光能の低下を抑制し、かつ明るい表示画像を得ることのできる有機EL表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の有機EL表示装置は、絶縁基板の内面に画素毎に突出形成された断面が正台形をなす第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜の上に形成された透明性の第1電極と、前記第1電極の上に形成された有機発光層と、前記有機発光層の上に形成された反射性の第2電極とを有する。
【0010】
そして、上記目的を達成するため、本発明は、前記第2絶縁膜を第1電極の端縁を覆い、かつ前記画素の基準発光領域を規定する如く前記第1電極の周囲に形成した。この第2絶縁膜を透明性とすることで、基準発光領域から基板面に沿う方向に出て正台形の第1絶縁膜の側面で反射する光を基板側に取り出すことができる。この第1絶縁膜の側面、すなわち正台形の側壁の内側立ち上がり角度は45度未満とするのが好ましい。
【0011】
また、本発明の有機EL表示装置は、絶縁基板の内面に画素毎に突出形成する第1絶縁膜として、断面が伏せた椀状のものとすることができる。この場合も、この第2絶縁膜を透明性とすることで、基準発光領域から基板面に沿う方向に出て正台形の第1絶縁膜の側面で反射する光を基板側に取り出すことができる。前記基板面と接する位置での前記伏せたお椀状の第1絶縁膜の側壁の内側立ち上がり角度を45度未満とするのが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
前記第2絶縁膜で第1電極の端縁を覆うことで、第1電極の端縁と第2電極の間の距離が拡大され、第1電極の端縁での電界集中が軽減し、電界集中に起因するリーク電流発生が防止され、リークパスによる表示欠陥や有機発光層の発光能低下が抑制される。また、第2絶縁膜を透明性とし、第1絶縁膜の側壁の内側立ち上がり角度を45度未満とすることで基準発光領域から基板面に沿う方向に出て正台形の第1絶縁膜の側面で反射する光が基板側に取り出され、第2絶縁膜で規定される基準発光領域の周囲も画素領域となり、開口率が拡大して明るい画像表示が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態につき、実施例の図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例では、第1電極を陽極、第2電極を陰極として説明するが、これらの極性は逆でもよいことは言うまでもない。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明の有機EL表示装置の実施例1を説明する画素の模式図である。図1(a)は1画素の断面図ある。また、図1(b)はカラー1画素を構成する3色画素の平面図で、有機発光層と第2電極を除去した状態で示す。図1(a)において、ガラスを好適とする透明性の絶縁基板SUBと、絶縁基板SUBの内面に画素毎に突出形成された断面が正台形をなす第1絶縁膜すなわちバンクBNKと、バンクBNKの上に形成された透明性の陽極ADと、陽極ADの上に形成された有機発光層LMLと、有機発光層の上に形成された反射性の陰極EDとを有する。そして、陽極ADの端部を覆って第2絶縁膜INSが形成されている。
【0015】
図1(b)に示したように、カラー1画素は、赤画素PX(R)、緑画素PX(G)、青画素PX(B)の3色の画素で構成される。陽極ADの周囲に形成され第2絶縁膜INSは、画素の基準発光領域を規定する如く陽極ADの端部を覆って、その周囲に形成されている。すなわち、第2絶縁膜INSは各画素の第1方向(水平走査方向)のサイズPZX、第2方向(垂直走査方向)のサイズPXYからなる基準発光領域(基準開口)を規定している。
【0016】
この第2絶縁膜INSは、透明性とする。この第2絶縁膜INSを透明性とすることで、後述するように、基準発光領域から基板面に沿う方向に出て正台形の第1絶縁膜BNKの側面で反射する光を基板側に取り出すことができる。絶縁基板SUBの面と接する位置での前記正台形のバンクBNKの側壁の内側立ち上がり角度θを45度未満とするのが好ましい。
【0017】
図2は、図1(a)の矢印Aで示す部分の拡大図である。図1と同一符号は同一機能部分を示す。バンクBNKの上に形成された陽極ADの端部(エッジ)はバンクBNKの上面の端にあり、この陽極ADの端部を覆って第2絶縁膜INSが形成されている。有機発光層LMLは陽極ADと第2絶縁膜INSを覆って形成され、さらにその上に陰極EDが成膜されている。この構造において、陽極ADの一端と陰極EDとは第2絶縁膜INSと有機発光層LMLの2層で絶縁されており、陽極ADの端部と陰極EDとの間隔(距離)dは有機発光層LMLのみの部分よりも大きい。そのため、当該陽極ADの端部での電界の集中が大幅に緩和される。したがって、この部分での電界の集中による有機発光層LMLのリークパスの発生が防止され、発光能の低下、発光不能が防止される。
【0018】
陰極EDは、バンクBNKの形状に倣って成膜される。したがって、バンクBNKの側壁上での陰極EDの内側立ち上がり角度はバンクBNKの内側立ち上がり角度θに略等しい。有機発光層LMLの発光は、絶縁基板SUB側に直接出射される光LDと、絶縁基板SUB面と並行な方向に出射して角度θをなす陰極EDで反射し、絶縁基板SUB側に出射する光LRとなる。
【0019】
前記したように、第2絶縁膜INSは画素の開口の大きさを規制する如く陽極ADの上に形成されている。この第2絶縁膜INSを透明な材料とすることにより、上記のように陰極EDで反射して絶縁基板SUB側に出射する光LRにより、実質的に開口率が拡大され、明るい画像を得ることができる。
【0020】
図3は、図1に示した有機EL表示装置の製作手順の説明図である。先ず、絶縁基板SUBの内面に薄膜トランジスタTFTを形成し、保護絶縁膜PASで被覆する。保護絶縁膜PASには、薄膜トランジスタTFTのソース電極(又はドレイン電極、以下ソース電極)に達するスルーホールTHは形成される(図3(a))。
【0021】
保護絶縁膜PASの上に有機材料(アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等)または無機材料(SiN、SiO等)でバンクBNKを形成する(図3(b))。バンクBNKは、断面が正台形となるように、かつ絶縁基板SUBに対するバンクBNKの内側壁の立ち上がり角度θが45度未満になるように形成する。
【0022】
バンクBNKの上、かつ保護絶縁膜PASのスルーホールTHを通して薄膜トランジスタTFTのソース電極に接続した陽極ADを成膜する(図3(c))。実施例1では、陽極ADの端部はバンクBNKの周辺で当該バンクBNKの上にある。
【0023】
画素の基準発光領域の開口サイズを規制し、上記陽極ADの端部を含む外周を覆って第2絶縁膜INSを形成する(図3(d))。第2絶縁膜INSはSiNを好適とする透明材料とする。
【0024】
第2絶縁膜INSの上、かつバンクBNKの上面の第2絶縁膜INSの開口部分(基準発光領域)を覆って有機発光層LMLを形成する(図3(e))。ここでは、有機発光層LMLは、垂直走査方向に隣接する同色の画素に共通に形成される。
【0025】
そして、有機発光層LMLを覆って陰極EDを成膜する(図3(f))。陰極EDは全ての画素に対して共通に形成される。
【0026】
こうして製作された実施例1の有機EL表示装置によれば、第2絶縁膜で陽極の端縁を覆うことで、陽極の端縁と陰極の間の距離が拡大され、陽極の端縁での電界集中が軽減し、電界集中に起因するリーク電流発生が防止され、リークパスによる表示欠陥や有機発光層の発光能低下が抑制される。また、第2絶縁膜を透明性とし、第1絶縁膜であるバンクの側壁の内側立ち上がり角度を45度未満とすることで基準発光領域から絶縁基板面に沿う方向に出て正台形のバンクの側面で反射する光が基板側に取り出され、第2絶縁膜で規定される基準発光領域の周囲も画素領域となり、開口率が拡大して明るい画像表示が得られる。
【実施例2】
【0027】
図4は、本発明の有機EL表示装置の実施例2を説明する画素の模式図である。また、図5は、図4の矢印Bで示した部分の拡大図である。実施例2は、絶縁基板SUBに形成した保護絶縁膜PASの上に、実施例1における第1絶縁膜のバンクに代えて、断面が正台形の陽極ADを形成してある。陽極ADは保護絶縁膜PASのスルーホールで薄膜トランジスタTFTに接続される。
【0028】
陽極AD上、かつその上面に基準発光領域を開口させて、当該陽極ADの端部を覆って第2接続膜INSが形成されている。第2絶縁膜INSはSiNを好適とする透明材料とする。第2絶縁膜INSの上、かつ陽極ADの上面の第2絶縁膜INSの開口部分(基準発光領域)を覆って有機発光層LMLを有する。ここでは、有機発光層LMLは、垂直走査方向に隣接する同色の画素に共通に形成されている。そして、有機発光層LMLを覆って陰極EDが成膜されている。陰極EDは全ての画素に対して共通に形成される。
【0029】
保護絶縁膜PASの上に形成された陽極ADの端部(エッジ)を覆って第2絶縁膜INSが形成されているため、陽極ADの一端と陰極EDとは第2絶縁膜INSと有機発光層LMLの2層で絶縁されており、陽極ADの端部と陰極EDとの間隔(距離)dは有機発光層LMLのみの部分よりも大きい。そのため、当該陽極ADの端部での電界の集中が大幅に緩和される。したがって、この部分での電界の集中による有機発光層LMLのリークパスの発生が防止され、発光能の低下、発光不能が防止される。
【0030】
陰極EDの側壁上での陰極EDの内側立ち上がり角度は陽極ADの内側立ち上がり角度θに略等しい。有機発光層LMLの発光は、絶縁基板SUB側に直接出射される光LDと、絶縁基板SUB面と並行な方向に出射して角度θをなす陰極EDで反射し、絶縁基板SUB側に出射する光LRとなる。
【0031】
実施例1と同様に、第2絶縁膜INSは画素の開口の大きさを規制する如く陽極ADの上に形成されている。この第2絶縁膜INSを透明な材料とすることにより、上記のように陰極EDで反射して絶縁基板SUB側に出射する光LRにより、実質的に開口率が拡大され、明るい画像を得ることができる。
【実施例3】
【0032】
図6は、本発明の有機EL表示装置の実施例3を説明する画素の模式図である。また、図7は、図6の矢印Cで示した部分の拡大図である。実施例3は、絶縁基板SUBに形成した保護絶縁膜PASの上に、実施例1と同様の断面が正台形のバンクBNKを形成してある。このバンクBNKの上に陽極ADが形成されている。陽極ADはバンクBNKの全表面を覆っている点で実施例1と異なる。陽極ADの端部は保護絶縁膜PAS上にある。陽極ADは保護絶縁膜PASのスルーホールで薄膜トランジスタTFTに接続される。
【0033】
この陽極AD上、かつ台形の側壁の一部を含めて陽極ADの端部を覆う第2接続膜INSが形成されている。画素の基準発光領域は台形の側壁の残りの部分を含めて開口されている。第2絶縁膜INSはSiNを好適とする透明材料とする。第2絶縁膜INSの上、かつ陽極ADの上面の第2絶縁膜INSの開口部分(基準発光領域)を覆って有機発光層LMLを有する。ここでも、有機発光層LMLは、垂直走査方向に隣接する同色の画素に共通に形成されている。そして、有機発光層LMLを覆って陰極EDが成膜されている。陰極EDは全ての画素に対して共通に形成される。
【0034】
保護絶縁膜PASの上に形成された陽極ADの端部(エッジ)を覆って第2絶縁膜INSが形成されているため、陽極ADの一端と陰極EDとは第2絶縁膜INSと有機発光層LMLの2層で絶縁されており、陽極ADの端部と陰極EDとの間隔(距離)は有機発光層LMLのみの部分よりも大きい。そのため、当該陽極ADの端部での電界の集中が大幅に緩和される。したがって、この部分での電界の集中による有機発光層LMLのリークパスの発生が防止され、発光能の低下、発光不能が防止される。
【0035】
陰極EDの側壁上での陰極EDの内側立ち上がり角度は陽極ADの内側立ち上がり角度θに略等しい。有機発光層LMLの発光は、絶縁基板SUB側に直接出射される光LDと、絶縁基板SUB面と並行な方向に出射して角度θをなす陰極EDで反射し、絶縁基板SUB側に出射する光LRとなる。
【0036】
実施例1と同様に、第2絶縁膜INSは画素の開口の大きさを規制する如く陽極ADの上に形成されている。この第2絶縁膜INSを透明な材料とすることにより、上記のように陰極EDで反射して絶縁基板SUB側に出射する光LRにより、実質的に開口率が拡大され、明るい画像を得ることができる。
【実施例4】
【0037】
図8は、本発明の有機EL表示装置の実施例4を説明する画素の模式図である。また、図9は、図8の矢印Dで示した部分の拡大図である。実施例4は、絶縁基板SUBに形成した保護絶縁膜PASの上に、実施例2と同様に断面が正台形の陽極ADを形成してある。陽極ADは保護絶縁膜PASのスルーホールで薄膜トランジスタTFTに接続される。
【0038】
陽極AD上、かつその側壁の一部にかけて基準発光領域を開口させ、当該陽極ADの端部を覆って第2接続膜INSが形成されている。第2絶縁膜INSはSiNを好適とする透明材料とする。第2絶縁膜INSの上、かつ陽極ADの上面の第2絶縁膜INSの開口部分(基準発光領域)を覆って有機発光層LMLを有する。ここでも、有機発光層LMLは、垂直走査方向に隣接する同色の画素に共通に形成されている。そして、有機発光層LMLを覆って陰極EDが成膜されている。陰極EDは全ての画素に対して共通に形成される。
【0039】
保護絶縁膜PASの上に形成された陽極ADの端部(エッジ)を覆って第2絶縁膜INSが形成されているため、陽極ADの一端と陰極EDとは第2絶縁膜INSと有機発光層LMLの2層で絶縁されており、陽極ADの端部と陰極EDとの間隔(距離)は有機発光層LMLのみの部分よりも大きい。そのため、当該陽極ADの端部での電界の集中が大幅に緩和される。したがって、この部分での電界の集中による有機発光層LMLのリークパスの発生が防止され、発光能の低下、発光不能が防止される。
【0040】
陰極EDの側壁上での陰極EDの内側立ち上がり角度は陽極ADの内側立ち上がり角度θに略等しい。有機発光層LMLの発光は、絶縁基板SUB側に直接出射される光LDと、絶縁基板SUB面と並行な方向に出射して角度θをなす陰極EDで反射し、絶縁基板SUB側に出射する光LRとなる。
【0041】
実施例2と同様に、第2絶縁膜INSは画素の開口の大きさを規制する如く陽極ADの上に形成されている。この第2絶縁膜INSを透明な材料とすることにより、上記のように陰極EDで反射して絶縁基板SUB側に出射する光LRにより、実質的に開口率が拡大され、明るい画像を得ることができる。
【実施例5】
【0042】
図10は、本発明の有機EL表示装置の実施例5を説明する画素の断面模式図である。図11は、図10の矢印Eで示す部分の拡大図である。図10において、ガラスを好適とする透明性の絶縁基板SUBと、絶縁基板SUBの内面に画素毎に突出形成された断面が伏せたお椀状をなす第1絶縁膜すなわちバンクBNKと、バアンクBNKの上に形成された透明性の陽極ADと、陽極ADの上に形成された有機発光層LMLと、有機発光層の上に形成された反射性の陰極EDとを有する。そして、陽極ADの端部を覆って第2絶縁膜INSが形成されている。
【0043】
この第2絶縁膜INSは、透明性とする。この第2絶縁膜INSを透明性とすることで、後述するように、基準発光領域から基板面に沿う方向に出て伏せたお椀状の第1絶縁膜BNKの側面における陰極EDで反射する光を絶縁基板SUB側に取り出すことができる。絶縁基板SUBの面と接する位置での前記伏せたお椀状のバンクBNKの側壁の内側立ち上がり角度θを45度未満とするのが好ましい。
【0044】
バンクBNKの上に形成された陽極ADの端部(エッジ)はバンクBNKの上面の端にあり、この陽極ADの端部を覆って第2絶縁膜INSが形成されている。有機発光層LMLは陽極ADと第2絶縁膜INSを覆って形成され、さらにその上に陰極EDが成膜されている。この構造において、陽極ADの一端と陰極EDとは第2絶縁膜INSと有機発光層LMLの2層で絶縁されており、陽極ADの端部と陰極EDとの間隔(距離)は有機発光層LMLのみの部分よりも大きい。そのため、当該陽極ADの端部での電界の集中が大幅に緩和される。したがって、この部分での電界の集中による有機発光層LMLのリークパスの発生が防止され、発光能の低下、発光不能が防止される。
【0045】
陰極EDは、バンクBNKの形状に倣って成膜される。したがって、バンクBNKの側壁上での陰極EDの内側立ち上がり角度はバンクBNKの内側立ち上がり角度θに略等しい。有機発光層LMLの発光は、絶縁基板SUB側に直接出射される光LDと、絶縁基板SUB面と並行な方向に出射して角度θをなす陰極EDで反射し、絶縁基板SUB側に出射する光LRとなる。
【0046】
前記したように、第2絶縁膜INSは画素の開口の大きさを規制する如く陽極ADの上に形成されている。この第2絶縁膜INSをSiN等の透明な材料とすることにより、上記のように陰極EDで反射して絶縁基板SUB側に出射する光LRにより、実質的に開口率が拡大され、明るい画像を得ることができる。
【実施例6】
【0047】
図12は、本発明の有機EL表示装置の実施例6を説明する画素の模式図である。また、図13は、図12の矢印Fで示した部分の拡大図である。実施例6は、絶縁基板SUBに形成した保護絶縁膜PASの上に、実施例1における第1絶縁膜のバンクに代えて、断面が伏せたお椀状の陽極ADを形成してある。陽極ADは保護絶縁膜PASのスルーホールで薄膜トランジスタTFTに接続される。
【0048】
陽極AD上、かつその上面に基準発光領域を開口させて、当該陽極ADの端部を覆って第2接続膜INSが形成されている。第2絶縁膜INSはSiNを好適とする透明材料とする。第2絶縁膜INSの上、かつ陽極ADの上面の第2絶縁膜INSの開口部分(基準発光領域)を覆って有機発光層LMLを有する。ここでは、有機発光層LMLは、垂直走査方向に隣接する同色の画素に共通に形成されている。そして、有機発光層LMLを覆って陰極EDが成膜されている。陰極EDは全ての画素に対して共通に形成される。
【0049】
保護絶縁膜PASの上に形成された陽極ADの端部(エッジ)を覆って第2絶縁膜INSが形成されているため、陽極ADの一端と陰極EDとは第2絶縁膜INSと有機発光層LMLの2層で絶縁されており、陽極ADの端部と陰極EDとの間隔(距離)dは有機発光層LMLのみの部分よりも大きい。そのため、当該陽極ADの端部での電界の集中が大幅に緩和される。したがって、この部分での電界の集中による有機発光層LMLのリークパスの発生が防止され、発光能の低下、発光不能が防止される。
【0050】
陰極EDの側壁上での陰極EDの内側立ち上がり角度は陽極ADの内側立ち上がり角度θに略等しい。有機発光層LMLの発光は、絶縁基板SUB側に直接出射される光LDと、絶縁基板SUB面と並行な方向に出射して角度θをなす陰極EDで反射し、絶縁基板SUB側に出射する光LRとなる。
【0051】
実施例1と同様に、第2絶縁膜INSは画素の開口の大きさを規制する如く陽極ADの上に形成されている。この第2絶縁膜INSを透明な材料とすることにより、上記のように陰極EDで反射して絶縁基板SUB側に出射する光LRにより、実質的に開口率が拡大され、明るい画像を得ることができる。
【実施例7】
【0052】
図14は、本発明の有機EL表示装置の実施例7を説明する1画素の断面模式図ある。また、図15は、図14の矢印Gで示す部分の拡大図である。図14において、ガラスを好適とする透明性の絶縁基板SUBと、絶縁基板SUBの内面に画素毎に突出形成された断面が正台形をなす如くカラーフィルタCFを形成して第1絶縁膜すなわちバンクとする。このカラーフィルタCFの上に形成された透明性の陽極ADと、陽極ADの上に形成された有機発光層LMLと、有機発光層の上に形成された反射性の陰極EDとを有する。そして、陽極ADの端部を覆って第2絶縁膜INSが形成されている。
【0053】
この第2絶縁膜INSを透明性とすることで、後述するように、基準発光領域から基板面に沿う方向に出て正台形のカラーフィルタCFの側面で反射する光を絶縁基板側に取り出すことができる。絶縁基板SUBの面と接する位置での前記正台形のカラーフィルタCFの側壁の内側立ち上がり角度θを45度未満とするのが好ましい。
【0054】
カラーフィルタCFの上に形成された陽極ADの端部(エッジ)はバンクBNKの上面の端にあり、この陽極ADの端部を覆って第2絶縁膜INSが形成されている。有機発光層LMLは陽極ADと第2絶縁膜INSを覆って形成され、さらにその上に陰極EDが成膜されている。この構造において、陽極ADの一端と陰極EDとは第2絶縁膜INSと有機発光層LMLの2層で絶縁されており、陽極ADの端部と陰極EDとの間隔(距離)は有機発光層LMLのみの部分よりも大きい。そのため、当該陽極ADの端部での電界の集中が大幅に緩和される。したがって、この部分での電界の集中による有機発光層LMLのリークパスの発生が防止され、発光能の低下、発光不能が防止される。
【0055】
陰極EDは、カラーフィルタCFの形状に倣って成膜される。したがって、カラーフィルタCFの側壁上での陰極EDの内側立ち上がり角度はカラーフィルタCFの内側立ち上がり角度θに略等しい。有機発光層LMLの発光は、絶縁基板SUB側に直接出射される光LDと、絶縁基板SUB面と並行な方向に出射して角度θをなす陰極EDで反射し、絶縁基板SUB側に出射する光LRとなる。
【0056】
第2絶縁膜INSは画素の開口の大きさを規制する如く陽極ADの上に形成されている。この第2絶縁膜INSを透明な材料とすることにより、上記のように陰極EDで反射して絶縁基板SUB側に出射する光LRにより、実質的に開口率が拡大され、明るい画像を得ることができる。
【実施例8】
【0057】
図16は、本発明の有機EL表示装置の実施例8を説明する1画素の断面模式図ある。また、図17は、図16の矢印Hで示す部分の拡大図である。この実施例は前記した実施例1における第2絶縁膜INSを陰極EDで囲まれる範囲内に形成したものである。他の構成は実施例1と同様である。実施例8によれば、1画素の内部に第2絶縁膜INSの厚み分を取り込むことで、陰極EDの反射光を有効利用でき、明るさが向上する。
【実施例9】
【0058】
図18は、本発明の有機EL表示装置の実施例9を説明する1画素の断面模式図ある。また、図19は、図18の矢印Iで示す部分の拡大図である。この実施例は前記した実施例8における有機発光層LMLも陰極EDで囲まれる範囲内に形成したものである。他の構成は実施例8と同様である。実施例9によれば、1画素の内部に第2絶縁膜INSと有機発光層LMLの厚み分を取り込むことで、陰極EDの反射光を有効利用でき、明るさがさらに向上する。
【0059】
図20は、有機EL表示装置の等価回路の一例を説明する図である。1画素は走査線(ゲート線)GLとデータ線DLに囲まれた領域に形成される。CSLは電流供給線、CSLBは電流供給母線である。1画素は、第1の薄膜トランジスタTFT1(スイッチングトランジスタ)と第2の薄膜トランジスタTFT2(ドライバトランジスタ)、有機EL素子OLED、およびコンデンサCPRで構成される。有機EL素子OLEDは、 前記した陽極―有機発光層―陰極の積層構造で構成される。走査線GLは走査駆動回路GDRで駆動され、データ線DLはとデータ駆動回路DDRで駆動される。電流供給線CSLは、電流供給バスラインCSLBから表示領域ARの外側で分岐している。そして、各画素に対して上記コンデンサCPRに蓄積された画像データの大きさに応じた電流を有機EL素子OLEDに供給し、所定の強さ(光量)で発光させる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の有機EL表示装置の実施例1を説明する画素の模式図である。
【図2】図1(a)の矢印Aで示す部分の拡大図である。
【図3】図1に示した有機EL表示装置の製作手順の説明図である。
【図4】本発明の有機EL表示装置の実施例2を説明する画素の模式図である。
【図5】図4の矢印Bで示した部分の拡大図である。
【図6】本発明の有機EL表示装置の実施例3を説明する画素の模式図である。
【図7】図6の矢印Cで示した部分の拡大図である。
【図8】本発明の有機EL表示装置の実施例4を説明する画素の模式図である。
【図9】図8の矢印Dで示した部分の拡大図である。
【図10】本発明の有機EL表示装置の実施例5を説明する画素の断面模式図である。
【図11】図10の矢印Eで示す部分の拡大図である。
【図12】本発明の有機EL表示装置の実施例6を説明する画素の模式図である。
【図13】図12の矢印Fで示した部分の拡大図である。
【図14】本発明の有機EL表示装置の実施例7を説明する1画素の断面模式図ある。
【図15】図14の矢印Gで示す部分の拡大図である。
【図16】本発明の有機EL表示装置の実施例8を説明する1画素の断面模式図ある。
【図17】図16の矢印Hで示す部分の拡大図である。
【図18】本発明の有機EL表示装置の実施例9を説明する1画素の断面模式図ある。
【図19】図18の矢印Iで示す部分の拡大図である。
【図20】有機EL表示装置の等価回路の一例を説明する図である。
【図21】ボトムエミッション型の有機EL表示装置を構成する1画素の従来の構成例を説明する断面模式図である。
【符号の説明】
【0061】
SUB・・・透明性の絶縁基板、BNK・・・第1の絶縁膜(バンク)、AD・・・透明性の陽極、LML・・・有機発光層、ED・・・反射性の陰極、INS・・・第2絶縁膜。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板と、前記絶縁基板の内面に画素毎に突出形成された第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜の上に形成された透明性の第1電極と、前記第1電極の上に形成された有機発光層と、前記有機発光層の上に形成された反射性の第2電極とを有する有機EL表示装置であって、
前記第1電極の端部を覆って第2絶縁膜が形成されていることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第2絶縁膜は、前記第1電極の周囲に形成されていることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記第2絶縁膜は、透明性であることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記基板面に対する前記第1絶縁膜の立ち上がり角度が45度未満であることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記第1電極は前記第1絶縁膜の前記側壁に回り込んで形成されており、
前記第2絶縁膜が前記側壁において前記第1電極の端部を覆って形成されていることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項6】
絶縁基板と、前記絶縁基板の内面に画素毎に突出形成された第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜の上に形成された透明性の第1電極と、前記第1電極の上に形成された有機発光層と、前記有機発光層の上に形成された反射性の第2電極とを有する有機EL表示装置であって、
前記第1電極の端部を覆って第2絶縁膜が形成されていることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記第2絶縁膜は、前記第1電極の周囲に形成されていることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項8】
請求項6において、
前記第2絶縁膜は、透明性であることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項9】
請求項6において、
前記基板面と接する位置での前記第1絶縁膜の立ち上がり角度が45度未満であることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項10】
絶縁基板と、前記絶縁基板の内面に画素毎に突出形成された透明性の第1電極と、前記第1電極の上に形成された有機発光層と、前記有機発光層の上に形成された反射性の第2電極とを有する有機EL表示装置であって、
前記第1電極の端部を覆って形成された絶縁膜を有することを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項11】
請求項10において、
前記絶縁膜は、前記第1電極の周囲に形成されていることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項12】
請求項10において、
前記絶縁膜は、透明性であることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項13】
請求項10において、
前記基板面と前記第1電極の立ち上がり角度が45度未満であることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項14】
請求項10において、
前記第2絶縁膜が前記第1電極の側壁において当該第1電極の端部を覆って形成されていることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項15】
絶縁基板と、前記絶縁基板の内面に画素毎に突出形成された断面が正台形をなすカラーフィルタ層と、前記カラーフィルタ層の上に形成された透明性の第1電極と、前記第1電極の上に形成された有機発光層と、前記有機発光層の上に形成された反射性の第2電極とを有する有機EL表示装置であって、
前記第1電極の端部を覆って絶縁膜が形成されていることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項16】
請求項15において、
前記絶縁膜は、前記画素の基準発光領域を規定する如く前記第1電極の周囲に形成されていることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項17】
請求項15において、
前記絶縁膜は、透明性であることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項18】
請求項15において、
前記基板面と前記カラーフィルタ層の前記正台形の側壁の内側立ち上がり角度が45度未満であることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項1】
絶縁基板と、前記絶縁基板の内面に画素毎に突出形成された第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜の上に形成された透明性の第1電極と、前記第1電極の上に形成された有機発光層と、前記有機発光層の上に形成された反射性の第2電極とを有する有機EL表示装置であって、
前記第1電極の端部を覆って第2絶縁膜が形成されていることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第2絶縁膜は、前記第1電極の周囲に形成されていることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記第2絶縁膜は、透明性であることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記基板面に対する前記第1絶縁膜の立ち上がり角度が45度未満であることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記第1電極は前記第1絶縁膜の前記側壁に回り込んで形成されており、
前記第2絶縁膜が前記側壁において前記第1電極の端部を覆って形成されていることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項6】
絶縁基板と、前記絶縁基板の内面に画素毎に突出形成された第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜の上に形成された透明性の第1電極と、前記第1電極の上に形成された有機発光層と、前記有機発光層の上に形成された反射性の第2電極とを有する有機EL表示装置であって、
前記第1電極の端部を覆って第2絶縁膜が形成されていることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記第2絶縁膜は、前記第1電極の周囲に形成されていることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項8】
請求項6において、
前記第2絶縁膜は、透明性であることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項9】
請求項6において、
前記基板面と接する位置での前記第1絶縁膜の立ち上がり角度が45度未満であることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項10】
絶縁基板と、前記絶縁基板の内面に画素毎に突出形成された透明性の第1電極と、前記第1電極の上に形成された有機発光層と、前記有機発光層の上に形成された反射性の第2電極とを有する有機EL表示装置であって、
前記第1電極の端部を覆って形成された絶縁膜を有することを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項11】
請求項10において、
前記絶縁膜は、前記第1電極の周囲に形成されていることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項12】
請求項10において、
前記絶縁膜は、透明性であることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項13】
請求項10において、
前記基板面と前記第1電極の立ち上がり角度が45度未満であることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項14】
請求項10において、
前記第2絶縁膜が前記第1電極の側壁において当該第1電極の端部を覆って形成されていることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項15】
絶縁基板と、前記絶縁基板の内面に画素毎に突出形成された断面が正台形をなすカラーフィルタ層と、前記カラーフィルタ層の上に形成された透明性の第1電極と、前記第1電極の上に形成された有機発光層と、前記有機発光層の上に形成された反射性の第2電極とを有する有機EL表示装置であって、
前記第1電極の端部を覆って絶縁膜が形成されていることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項16】
請求項15において、
前記絶縁膜は、前記画素の基準発光領域を規定する如く前記第1電極の周囲に形成されていることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項17】
請求項15において、
前記絶縁膜は、透明性であることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項18】
請求項15において、
前記基板面と前記カラーフィルタ層の前記正台形の側壁の内側立ち上がり角度が45度未満であることを特徴とする有機EL表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2008−77953(P2008−77953A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−255343(P2006−255343)
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】
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