説明

有機EL表示装置

【課題】隣接する外部接続端子間がショートすることを抑制することができると共に、外部接続端子が外気に曝されることを抑制することができる有機EL表示装置を提供する。
【解決手段】絶縁膜100のうち異方性導電接着剤80側に位置する部分の端部であって、隣接する外部接続端子20aの間の部分上に位置する部分に、外部接続端子20aの延設方向と平行な方向に凹まされた凹部102aを形成する。そして、凹部102aに異方性導電接着剤80を配置すると共に、外部接続端子20a上に配置された絶縁膜100における異方性導電接着剤80側の端部上に異方性導電接着剤80のうち接着剤80bを配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の一面に表示画素を有する有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、有機EL表示装置として、例えば、次のようなものが知られている。すなわち、ガラス等で構成される基板の一面には、複数の第1電極がストライプ状となるように所定方向に延設されている。そして、第1電極のストライプパターンの間には絶縁膜が形成されており、隣接する第1電極が絶縁膜により互いに絶縁されている。また、第1電極上には有機層が形成されており、有機層および絶縁膜上には複数の第2電極がストライプ状となるように第1電極の延設方向と垂直方向に延設されている。これにより、基板上には、第1電極と第2電極との交差部において、第1電極、有機層、第2電極を有する表示画素が構成される。
【0003】
そして、基板の一面には、表示画素を被覆する封止部材が接着剤を介して接着されており、表示画素が外気に曝されないようにしている。また、第1電極は、接着剤を貫通して封止部材の外側にまで引き出されており、封止部材の外側の部分で外部接続端子を構成している。そして、基板の一面のうち封止部材の外側において、封止部材の外側まで引き出された第1電極にて構成される外部接続端子の先端部が、フレキシブルプリント基板(FPC)やテープキャリアパッケージ(TCP)等からなる配線部材と異方性導電接着剤(ACF)を介して接続されている。
【0004】
このような表示装置では、外部接続端子が異方性導電接着剤を介して接続されるが、外部接続端子は、シール部材と異方性導電接着剤との間に位置する部分が外気に曝されることになる。このため、第1電極を、例えば、インジウム−スズの酸化物(ITO)等で構成される陽極とした場合には、露出部が外気中の水分等によって分解したり、腐食したりするという問題がある。
【0005】
この問題を解決するため、例えば、特許文献1には、外部接続端子のうちシール部材と異方性導電接着剤との間に位置する部分に絶縁膜を配置した有機EL表示装置が開示されている。このような有機EL表示装置では、外部接続端子は、シール部材と異方性導電接着剤との間に位置する部分が絶縁膜にて被覆されるため、第1電極が外気に曝されることを抑制することができる。
【0006】
このような有機EL表示装置は、例えば、次のように製造される。すなわち、基板上に第1電極を形成すると共に、外部接続端子を構成する部分に絶縁膜を形成する。具体的には、外部接続端子のうち、配線部材と接続される先端部が露出するように、絶縁膜を形成する。その後、スパッタ、フォトリソグラフィ、真空蒸着等を行って有機層および第2電極を形成し、封止部材を基板にシール部材を介して接着する。次に、シール部材の外側に配置された外部接続端子のうち、露出している部分に異方性導電接着剤を介して配線部材を熱圧着する。このとき、異方性導電接着剤は、配置された部分から周囲にはみ出することになり、外部接続端子が絶縁膜および異方性導電接着剤で被覆されると共に、絶縁膜上に異方性導電接着剤の一部が配置された状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−21567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような有機EL表示装置は、外部接続端子を覆う絶縁膜が厚すぎると、異方性導電接着剤に含まれる導電性粒子が絶縁膜における配線部材側の端部を乗り越えることができずに絶縁膜の端部で凝集してしまい、隣接する外部接続端子がショートしてしまうことがあるという問題がある。反対に、絶縁膜を薄くすると、導電性粒子が絶縁膜の端部を乗り越えることができるようになり、絶縁膜の端部に導電性粒子が凝集することを抑制することができるが、絶縁膜を薄くしたためにピンホールが形成されやすくなってしまうことになる。そして、第1電極上に配置された絶縁膜にピンホールが形成されると第1電極が外気に曝されてしまうという問題がある。
【0009】
本発明は上記点に鑑みて、隣接する外部接続端子間がショートすることを抑制することができると共に、外部接続端子が外気に曝されることを抑制することができる有機EL表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、絶縁膜(100)は、異方性導電接着剤(80)側に位置する部分の端部であって、隣接する外部接続端子(20a)の間の部分上に位置する部分に、外部接続端子(20a)の延設方向と平行な方向に凹まされた凹部(102a)が形成され、凹部(102a)には異方性導電接着剤(80)が配置されていると共に、外部接続端子(20a)上に配置された絶縁膜(100)における異方性導電接着剤(80)側の端部上には異方性導電接着剤(80)のうち接着剤(80b)が配置されていることを特徴としている。
【0011】
このような有機EL表示装置では、絶縁膜(100)のうち、異方性導電接着剤(80)側に位置する部分の端部であって、隣接する第1電極(20)の間の部分上に位置する部分に凹部(102a)を形成しており、凹部(102a)に異方性導電接着剤(80)が配置されている。具体的には、凹部(102a)に導電性粒子(80a)および接着剤(80b)が配置されている。このため、絶縁膜(100)のうち異方性導電接着剤(80)側の端部で導電性粒子(80a)が凝集することを抑制することができ、隣接する第1電極(20)間がショートすることを抑制することができる。
【0012】
また、外部接続端子(20a)上に配置された絶縁膜(100)の異方性導電接着剤(80)側の端部上には異方性導電接着剤(80)のうち接着剤(80b)が配置されている。言い換えると、外部接続端子(20a)上に配置された絶縁膜(100)は十分に厚くされており、導電性粒子(80a)が配置されていない。このため、外部接続端子(20a)上に配置された絶縁膜(100)にピンホールが形成されることを抑制することができ、外部接続端子(20a)が外気に曝されることを抑制することができる。
【0013】
つまり、このような有機EL表示装置では、絶縁膜(100)に凹部(102a)を形成しているために絶縁膜(100)の端部に導電性粒子(80a)が凝集することを抑制することができつつ、外部接続端子(20a)上に配置された絶縁膜(100)にピンホールが形成されて外部接続端子(20a)が外気に曝されることを抑制することができる。
【0014】
例えば、請求項2に記載の発明のように、請求項1に記載の発明において、絶縁膜(100)を、外部接続端子(20a)のうちシール部材(70)と異方性導電接着剤(80)との間に位置する部分を被覆する第1絶縁膜(101)と、第1絶縁膜(101)の表面を覆い、異方性導電接着剤(80)側に位置する部分の端部であって、隣接する第1電極(20)の間の部分上に位置する部分に凹部(102a)が形成された第2絶縁膜(102)と、を有して構成し、第2絶縁膜(102)のうち異方性導電接着剤(80)側の端部上に異方性導電接着剤(80)のうち接着剤(80b)が配置されるようにすることができる。
【0015】
また、請求項3に記載の発明のように、請求項2に記載の発明において、第1絶縁膜(101)を導電性粒子(80a)における平均粒径以下の厚さとし、第2絶縁膜(102)を第1絶縁膜(101)との厚さの和が導電性粒子(80a)の平均粒径より大きくなる厚さとすることができる。
【0016】
そして、請求項4に記載の発明のように、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の発明において、凹部(102a)の途中部分まで異方性導電接着剤(80)を配置し、凹部(102a)の底部(102c)と異方性導電接着剤(80)との間に隙間を形成することができる。
【0017】
また、請求項5に記載の発明のように、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の発明において、絶縁膜(100)のうち異方性導電接着剤(80)側に位置する部分の端部に凹部(102a)が形成されることにより構成さる凸部(102b)を、外部接続端子(20a)の延設方向に向かって、延設方向と垂直方向であって、かつ基板(10)の平面方向と平行な方向の長さが短くなるテーパ形状とすることができる。
【0018】
このような有機EL表示装置では、凸部(102b)がテーパ形状とされていない場合と比較して、異方性導電接着剤(80)を凹部(102a)に流し込みやすくすることができる。
【0019】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(a)は本発明の第1実施形態における有機EL表示装置の概略平面図であり、(b)は図1に示すA領域の断面構成を示す図である。
【図2】図1(b)中のB矢視図である。
【図3】(a)は図2中のC−C断面図であり、(b)は図2中のD−D断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について説明する。図1(a)は本実施形態における有機EL表示装置の概略平面図、図1(b)は図1(a)に示すA領域の断面構成を示す図である。
【0022】
図1および図2に示されるように、本実施形態の表示装置は、ガラスや樹脂等の可視光に対して透明な材料からなる基板10を有しており、この基板10の一面には本発明の第1電極に相当する陽極20、有機層30、本発明の第2電極に相当する陰極40が順次積層されて表示画素が形成されている。
【0023】
具体的には、基板10の一面には、所定方向に延びるストライプ状となるように、複数の陽極20が形成されている。そして、隣接する陽極20の間には、ポリイミド樹脂等で構成される図示しない陽極間絶縁膜が形成されており、各陽極20が当該陽極間絶縁膜により絶縁されている。なお、この陽極間絶縁膜は、陽極20のうち延設方向に延びる端部を被覆した状態で形成されている。また、基板10の一面には、隔壁50が陽極20の延設方向と垂直な方向にストライプ状に複数延設されている。
【0024】
そして、陽極20のうち隔壁50および陽極間絶縁膜が形成されていない部分には有機層30が形成されている。さらに、有機層30および陽極間絶縁膜上に、陽極20の延設方向と垂直方向、つまり、隔壁50の延設方向と平行な方向にストライプ状に複数の陰極40が形成されている。すなわち、本実施形態では、陽極20および陰極40は、互いに直交するストライプ形状にパターニングされている。そして、これら陽極20と陰極40との交差部において、陽極20、陰極40、有機層30が積層されて表示画素が形成されている。
【0025】
なお、陽極20は、例えば、インジウム−スズの酸化物(ITO)やインジウム−亜鉛の酸化物等の透明導電膜を用いて構成される。また、有機層30は、通常の有機EL素子における有機層30の構成を採用でき、例えば、陽極20から正孔輸送性層、発光層、電子輸送層等が順次積層されて構成される。そして、陰極40はAL等の金属等を用いて構成される。
【0026】
また、隔壁50は、隣接する陰極40間を隔離して互いにショートするのを抑制するものであるため、隣接する陰極40間をできるだけ隔離させる形状とされていることが好ましい。このため、本実施形態では、この隔壁50は、延設方向と垂直となる断面が、基板10から基板10と反対側に向かって、延設方向と垂直方向であって、かつ基板10の平面方向と平行な方向の長さが長くなる逆テ−パ形状とされており、本実施形態では、逆台形形状とされている。なお、隔壁50は、例えば、レジスト等を用いて構成されている。
【0027】
そして、基板10の一面には、封止部材60が本発明のシール部材に相当する電気絶縁性接着剤70を介して接着されている。具体的には、封止部材60は、基板10の一面と対向するように配置され、外縁部にて電気絶縁性接着剤70を介して基板10の一面に接着されている。そして、基板10との間に空間を形成し、基板10の一面に形成された表示画素を当該空間内に収容して外気から保護している。
【0028】
このような封止部材60は、外気を遮断できるものが用いられ、例えば、ステンレス、ガラス等を用いて構成される。また、電気絶縁性接着剤70は、例えば、塗布して硬化させることで接着性能を発揮するエポキシ樹脂等からなるものが用いられる。
【0029】
また、陽極20は、それぞれ電気絶縁性接着剤70で囲まれる領域の外側まで延設されている。言い換えると、陽極20は、電気絶縁性接着剤70を貫通して封止部材60と基板10との間に形成された空間の外側まで引き出されて形成されている。そして、陽極20のうち電気絶縁性接着剤70の外側に配置された部分にて外部接続端子20aが構成されており、外部接続端子20aのうち延設方向の先端部には異方性導電接着剤80を介して配線部材90が接続されている。
【0030】
配線部材90は、例えば、フレキシブルプリント基板(FPC)やテープキャリアパッケージ(TCP)等が用いられ、本実施形態では、樹脂基材90aに銅線90bが設けられたFPCが用いられている。また、異方性導電接着剤80は、複数の導電性粒子80aが接着剤80bに含有された一般的なものが用いられる。例えば、導電性粒子80aとしては、Niに金メッキがされたものや、樹脂粒子にニッケル金メッキがされたもの等が用いられ、平均粒径が約2〜5μmとされている。接着剤80bとしては、例えば、エポキシ樹脂等が用いられる。
【0031】
また、基板10の一面には、外部接続端子20aのうち電気絶縁性接着剤70と異方性導電接着剤80との間に位置する部分を被覆する絶縁膜100が形成されている。そして、絶縁膜100上には、異方性導電接着剤80の一部が配置された状態になっている。言い換えると、絶縁膜100上に異方性導電接着剤80の一部が重なった状態とされている。すなわち、外部接続端子20aは、絶縁膜100および異方性導電接着剤80で被覆されており、外気に曝されないようになっている。なお、図1(a)では、理解をし易くするために、異方性導電接着剤80および絶縁膜100を省略して示してある。
【0032】
図2は、図1(b)中のB矢視図であり、基板10のうち封止部材60と配線部材90との間に位置する部分を上方から視た概略模式図である。なお、図2では、外部接続端子20aを点線で示しており、断面図ではないが理解をし易くするために異方性導電接着剤80にハッチングを施してある。また。図3(a)は、図2中のC−C断面図であり、図3(b)は、図2中のD−D断面図である。
【0033】
図2および図3に示されるように、本実施形態では、絶縁膜100は、第1絶縁膜101と第2絶縁膜102とが積層されて構成されている。具体的には、第1絶縁膜101は、外部接続端子20aのうち電気絶縁性接着剤70と異方性導電接着剤80との間に位置する部分を被覆するように配置されている。そして、この第1絶縁膜101は、異方性導電接着剤80が広がったときに導電性粒子80aが端部を乗り越えることができる厚さ(薄さ)とされており、導電性粒子80aの平均粒径以下の厚さとされている。特に限定されるものではないが、本実施形態では、第1絶縁膜101の厚さが0.7〜1.0μmとされている。なお、この第1絶縁膜101は例えば、ポリイミド樹脂を用いて構成されており、陽極間絶縁膜と同時に形成される。
【0034】
第2絶縁膜102は、第1絶縁膜101の表面を覆うように配置されており、異方性導電接着剤80側に位置する端部であって、隣接する外部接続端子20aの間の部分上に位置する部分に外部接続端子20aの延設方向と平行な方向に凹まされた凹部102aが形成されている。言い換えると、第2絶縁膜102は、異方性導電接着剤80側に位置する端部に凹部102aにより構成される凸部102bが形成されている。そして、当該端部が凹凸形状とされている。
【0035】
また、凸部102bは、外部接続端子20aの延設方向に向かって、つまり、外部接続端子20aの先端部に向かって、当該延設方向と垂直方向であって、かつ基板10の平面方向と平行な方向の長さが短くなるテーパ形状とされており、本実施形態では、凸部102bの先端が円弧形状とされている。
【0036】
さらに、この第2絶縁膜102は、第1絶縁膜101との厚さの和が導電性粒子80aの平均粒径より大きくなる厚さとされており、例えば、2〜5μmとされている。なお、この第2絶縁膜102は、例えば、レジスト等を用いて構成されており、隔壁50と同時に形成される。そして、上記隔壁50と同様に、基板10から基板10と反対側に向かって平面方向の長さが長くなる逆テーパ形状とされている。
【0037】
そして、上記のように、絶縁膜100上には異方性導電接着剤80の一部が配置された状態とされているが、具体的には、凹部102aに異方性導電接着剤80が配置されており、第2絶縁膜102上に異方性導電接着剤80のうち接着剤80bが配置されている。言い換えると、凹部102aには導電性粒子80aおよび接着剤80bが配置されており、第2絶縁膜102上には導電性粒子80aが配置されていない。つまり、第1、第2絶縁膜101、102が配置されている部分では、導電性粒子80aが端部を乗り越えることができないほど十分に厚くされている。
【0038】
また、本実施形態では、凹部102aには、異方性導電接着剤80が途中部分まで配置されている。つまり、凹部102aには異方性導電接着剤80が底部102cに達するまで配置されていない。そして、凹部102aの底部102cと異方性導電接着剤80との間には隙間が形成されている。すなわち、本実施形態では、凹部102aの底部102cから凸部102bの先端までの長さは、異方性導電接着剤80が底部102cまで達しない長さとされている。
【0039】
例えば、厚さが18μmである異方性導電接着剤80を配置して配線部材90を熱圧着した場合には、異方性導電接着剤80は、配置された部分から外部接続端子20aの延設方向に約0.1〜0.2mm程度はみ出すことになる。このため、本実施形態では、異方性導電接着剤80が配置される部分と絶縁膜100のうち異方性導電接着剤80側の端部との間の長さにも依存するが、位置ズレや寸法公差等を考慮し、凹部102aの底部102cから凸部102bの先端までの長さを0.3mmとしている。
【0040】
次に、本実施形態における有機EL表示装置の製造方法について簡単に説明する。
【0041】
まず、基板10の一面に、スパッタやフォトリソグラフィ等により、ITO等で構成される陽極20および外部接続端子20aを形成する。その後、例えば、ポリイミド樹脂を基板10の一面全域上に配置し、露光、現像等を行って、陽極間絶縁膜および第1絶縁膜101を同時に形成する。なお、第1絶縁膜101は、上記のように、外部接続端子20aのうち延設方向の先端部が露出するように形成する。次に、例えば、レジストを基板10の一面全域上に配置し、露光、現像等をおこなって上記構成の隔壁50および第2絶縁膜102を同時に形成する。
【0042】
続いて、基板10の一面に、真空蒸着法等を用いて有機層30、陰極40を順次形成する。次に、基板10の一面に、電気絶縁性接着剤70を介して封止部材60を接着する。その後、外部接続端子20aの先端部、言い換えると外部接続端子20aのうち絶縁膜100が配置されていない部分に異方性導電接着剤80を配置し、異方性導電接着剤80を介して配線部材90を外部接続端子20aに熱圧着して接続する。
【0043】
このとき、異方性導電接着剤80は基板10と配線部材90との間からはみ出すため、絶縁膜100上に異方性導電接着剤80の一部が配置された状態になる。具体的には、本実施形態では、絶縁膜100は、第1、第2絶縁膜101、102が積層されて構成されている。そして、第1絶縁膜101は導電性粒子80aの平均粒径以下の厚さとされていると共に、第2絶縁膜102は第1絶縁膜101との厚さの和が導電性粒子80aの平均粒径より大きくなる厚さとされている。また、第2絶縁膜102は、異方性導電接着剤80側に位置する部分の端部であって、隣接する外部接続端子20aの間の部分上に位置する部分に外部接続端子20aの延設方向と平行な方向に凹まされた凹部102aが形成されている。このため、絶縁膜100のうち第2絶縁膜102が配置されていない部分の端部、つまり、凹部102aが形成されている部分の端部を導電性粒子80aが乗り越え、凹部102aに異方性導電接着剤80が流れ込んで配置される。つまり、絶縁膜100のうち異方性導電接着剤80側の端部に導電性粒子80aが凝集することを抑制することができる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態の有機EL表示装置では、絶縁膜100を第1、第2絶縁膜101、102を積層して構成している。そして、第1絶縁膜101を導電性粒子80aの平均粒径以下の厚さとし、第2絶縁膜102を第1絶縁膜101との厚さの和が導電性粒子80aの平均粒径より大きくなる厚さとしている。このため、外部接続端子20aに配線部材90を接続したとき、凹部102aに異方性導電接着剤80が配置されることになる。このため、絶縁膜100のうち異方性導電接着剤80の端部側において、導電性粒子80aが凝集することを抑制することができ、隣接する外部接続端子20aがショートすることを抑制することができる。
【0045】
また、凹部102aは、隣接する外部接続端子20aの間の部分に形成されているため、外部接続端子20a上には第1絶縁膜101と第2絶縁膜102とが配置されている。このため、外部接続端子20a上に導電性粒子80aが端部を乗り越えることができる厚さとされた絶縁膜のみを配置している場合と比較して、外部接続端子20a上に配置された絶縁膜100にピンホールが形成されることを抑制することができ、外部接続端子20aが外気に曝されることを抑制することができる。
【0046】
つまり、本実施形態の有機EL表示装置では、絶縁膜100の端部に導電性粒子80aが凝集することを抑制することができつつ、外部接続端子20a上に配置された絶縁膜100にピンホールが形成されて外部接続端子20aが露出することを抑制することができる。
【0047】
また、本実施形態では、凸部102bが、外部接続端子20aの延設方向に向かって、当該延設方向と垂直方向であって、かつ基板10の平面方向と平行な方向の長さが短くなるテーパ形状とされている。このため、凸部102bが、外部接続端子20aの延設方向に向かって、当該延設方向と垂直方向であって、かつ基板10の平面方向と平行な方向の長さが一定とされている場合と比較して、凹部102aに異方性導電接着剤80を流れ込みやすくすることができる。
【0048】
さらに、本実施形態では、凹部102aには、異方性導電接着剤80が途中部分まで配置されており、凹部102aの底部102cと異方性導電接着剤80との間には隙間が形成されている。このため、凹部102aで導電性粒子80aが凝集することを抑制することができる。すなわち、異方性導電接着剤80が凹部102aの底部102cまで配置されている場合には、異方性導電接着剤80の流れが凹部102aの底部102cで止められるために、導電性粒子80aが凹部102aの底部102cで凝集してしまうことがある。しかしながら、本実施形態のように、凹部102aの底部102cと異方性導電接着剤80との間に隙間を形成することにより、凹部102aで導電性粒子80aが凝集することを抑制することができる。
【0049】
このため、第1絶縁膜101のうち凹部102aの底部102cに対応する部分にピンホールが形成されたとしても、ピンホールおよび導電性粒子80aを介して隣接する外部接続端子20aがショートすることを抑制することができる。また、もちろん、第1絶縁膜101のうち凹部102aの底部102cに対応する部分以外の部分にピンホールが形成されたとしても、凹部102a内では導電性粒子80aが凝集しないため、ピンホールおよび導電性粒子80aを介して隣接する外部接続端子20aがショートすることを抑制することができる。
【0050】
(他の実施形態)
上記第1実施形態では、陽極20を、例えば、インジウム−スズの酸化物(ITO)やインジウム−亜鉛の酸化物等の透明導電膜を用いて構成する例について説明したが、例えば、ITO上にCrやAl等のメタル電極を積層して陽極20を構成することができる。この陽極20では、ITOのみで構成する場合と比較して、配線抵抗を下げることができる。
【0051】
上記第1実施形態では、第2絶縁膜102が逆テーパ形状とされている例について説明したが、もちろん逆テ−パ形状とされていなくてもよい。例えば、第2絶縁膜102の端部が基板10と垂直となる壁面を有する形状とすることもできる。
【0052】
また、上記第1施形態では、凹部102aには異方性導電接着剤80が途中部分まで配置されている例について説明したが、例えば、異方性導電接着剤80が凹部102aの底部102cまで配置されていてもよい。
【0053】
さらに、上記第1実施系形態では、凸部102bは先端が円弧形状とされている例について説明したが、例えば、凸部102bは先端が頂角を有する形状とされていてもよい。さらに、凸部102bは、外部接続端子20aの延設方向に向かって、当該延設方向と垂直方向であって、かつ基板10の平面方向と平行な方向の長さが一定とされているものであってもよい。
【0054】
そして、上記第1実施形態では、絶縁膜100を第1、第2絶縁膜101、102を積層して構成した例について説明したが、例えば、次のようにすることもできる。すなわち、絶縁膜100を第2絶縁膜102のみで構成すると共に、導電性粒子80aの平均粒径より大きい厚さとし、外部接続端子20aを絶縁膜100および異方性導電接着剤80で被覆するようにすればよい。このような有機EL表示装置としても、絶縁膜100のうち異方性導電接着剤80側の端部が凹凸形状とされており、異方性導電接着剤80が凹部102aに流れ込んで配置されるため、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0055】
10 基板
20 陽極
20a 外部接続端子
30 有機層
40 陰極
50 隔壁
60 封止部材
70 電気絶縁性接着剤
80 異方性導電接着剤
90 配線部材
100 絶縁膜
100a 凹部
100b 凸部
101 第1絶縁膜
102 第2絶縁膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面を有する基板(10)と、
前記基板(10)の前記一面にシール部材(70)を介して接着され、前記基板(10)との間に空間を形成する封止部材(60)と、
前記基板(10)における前記一面のうち、前記シール部材(70)で囲まれる領域にストライプ状に形成されると共に前記シール部材(70)で囲まれる領域の外側まで延設され、前記シール部材(70)の外側に配置された部分で外部接続端子(20a)を構成する複数の第1電極(20)と、
前記第1電極(20)のうち前記シール部材(70)で囲まれる部分上に形成された有機層(30)と、
前記有機層(30)上を含む領域に形成された第2電極(40)と、
前記基板(10)の一面のうち前記シール部材(70)で囲まれる領域の外側の部分において、前記外部接続端子(20a)のうち延設方向の先端部に、複数の導電性粒子(80a)が接着剤(80b)に含有されて構成される異方性導電接着剤(80)を介して接続される配線部材(90)と、
前記基板(10)の一面のうち前記シール部材(70)で囲まれる領域の外側の部分に配置され、前記外部接続端子(20a)のうち前記シール部材(70)と前記異方性導電接着剤(80)との間に位置する部分を被覆する絶縁膜(100)と、を有し、
前記外部接続端子(20a)は前記絶縁膜(100)および前記異方性導電接着剤(80)で被覆され、前記異方性導電接着剤(80)の一部が前記絶縁膜(100)上に配置されている表示装置において、
前記絶縁膜(100)は、前記異方性導電接着剤(80)側に位置する部分の端部であって、隣接する前記外部接続端子(20a)の間の部分上に位置する部分に、前記外部接続端子(20a)の延設方向と平行な方向に凹まされた凹部(102a)が形成されており、
前記凹部(102a)には前記異方性導電接着剤(80)が配置されていると共に、前記外部接続端子(20a)上に配置された前記絶縁膜(100)における前記異方性導電接着剤(80)側の端部上には前記異方性導電接着剤(80)のうち前記接着剤(80b)が配置されていることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項2】
前記絶縁膜(100)は、前記外部接続端子(20a)のうち前記シール部材(70)と前記異方性導電接着剤(80)との間に位置する部分を被覆する第1絶縁膜(101)と、前記第1絶縁膜(101)の表面を覆い、前記異方性導電接着剤(80)側に位置する部分の端部であって、隣接する前記第1電極(20)の間の部分上に位置する部分に前記凹部(102a)が形成された第2絶縁膜(102)と、を有して構成されており、
前記第2絶縁膜(102)のうち前記異方性導電接着剤(80)側の端部上には前記異方性導電接着剤(80)のうち前記接着剤(80b)が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の有機EL表示装置。
【請求項3】
前記第1絶縁膜(101)は前記導電性粒子(80a)における平均粒径以下の厚さとされており、前記第2絶縁膜(102)は、前記第1絶縁膜(101)との厚さの和が前記導電性粒子(80a)の平均粒径より大きくなる厚さとされていることを特徴とする請求項2に記載の有機EL表示装置。
【請求項4】
前記凹部(102a)には前記異方性導電接着剤(80)が途中部分まで配置されており、前記凹部(102a)の底部(102c)と前記異方性導電接着剤(80)との間に隙間が形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の有機EL表示装置。
【請求項5】
前記絶縁膜(100)のうち前記異方性導電接着剤(80)側に位置する部分の端部に前記凹部(102a)が形成されることにより構成さる凸部(102b)は、前記外部接続端子(20a)の延設方向に向かって、前記延設方向と垂直方向であって、かつ前記基板(10)の平面方向と平行な方向の長さが短くなるテーパ形状とされていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の有機EL表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−42662(P2012−42662A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183080(P2010−183080)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】