説明

木繊維ペレット製造方法

プラスチック製造における供給原料として使用される、リグノセルロース材料を含むペレット又は顆粒を製造するための方法であって、1つまたは複数のポリマー、モノマーまたはオリゴマーを含む液体調合物を乾燥空気ストリームまたは湿潤空気ストリームで輸送し、繊維に塗布し、繊維を固体製品に成形し、固体製品を細分化してペレットまたは顆粒を製造することとを含む方法。典型的には、繊維板製造プラントにおいて、導管が繊維を輸送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック製造における供給原料として使用される、リグノセルロース材料の繊維または天然繊維を含むペレットまたは顆粒を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セルロース系材料のプラスチックへの混合は、押出機メーカーICMA San Giorgio(1)によって25年前に最初に開発され、FIAT車のドアパネルを製造するためにG.O.R.Application Special SpAによって使用された。この方法のための材料は、予め混合され、詰め込み供給された。
【0003】
最近、硬木および軟木粉を使用して窓およびドア形材ならびに甲板を製造するために、専門的な機械が複合材市場で開発された。一般には、この装置は、押出および射出成形を含む従来のプラスチック製造技術に基づく。使用されるプラスチックとしては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)およびポリ塩化ビニル(PVC)が挙げられ、使用される充填材としては、木粉、亜麻、黄麻および他のセルロース系繊維充填材が挙げられる。より多くのセルロース系材料をプラスチックに添加すると、価格がしばしば下がり、木材プラスチック「原」材料の剛性がしばしば高くなる。これらの木材プラスチックから製造される複合材製品を一般には釘付けし、塗装し、あるいは木材として処理することができる一方、カビおよび腐食抵抗の分野におけるプラスチックの利点の多くが潜在的に保持される。
【0004】
場合によっては、木粉の添加には、プラスチックに対する従来のむき充填材と比較して、暈密度が低く、混合の前または最中に大規模な乾燥をしばしば必要とするため、生産率が低く、コストが高くなり得るという欠点がある。当該充填材の軟度は、厄介な作業をもたらすばかりでなく、処理に従事する者に対する潜在的な健康リスクを与えることもある。木粉(および木繊維)は、また、ポートまたはホッパーの閉塞、架橋、または材料を一緒に充填することによる凝集を引き起こす傾向があり、従来のプラスチック充填材と比較して、これらの材料の低暈密度に対してその入口が典型的に小さい押出機に誘導および供給するのがより困難であり得る。
【0005】
いくつかの企業は、これらの問題のいくつかを認識し、押出機への従来の供給に向けて予めペレット化された木粉を販売用に開発した(2)。他の企業は、押出のようなさらなる処理に向けて木粉および熱可塑材料を含有するペレットの製造に関する方法または概念の特許を取得した(3)。いくつかの企業は、特性を向上させるための融和剤または添加剤を有し(4)、そのほとんどが木粉に依然集中している。
【0006】
木粉は、細かく粉砕された木材セルロースである。粒径が、20メッシュを超えた場合、または850ミクロンを下回った場合に、該製品は、一般的に木粉と見なされる。直線インチ当たりのスクリーンにおける開口数の測定値である。様々な供給源(鋸屑、平面カンナ屑、研磨屑およびスクラップ)から集められた木粉をハンマー粉砕して、それが通過できる標準メッシュサイズによって分類される非常に細かい粉末を形成する。たいていの木材充填熱可塑材のメーカーは、粉を30〜80メッシュの範囲に規定している。木粉の暈密度は、木繊維と比較して高い。木材の水分は、処理および最終的な複合材製品の品質に大きく影響する。木粉を予め乾燥して水分を1%未満とすることが通常望ましい。水分が小さい木粉ほど、熱可塑材との混合時に燃えにくい。松葉油、楓、樫、竹屑、黄麻およびコイヤーのような他の天然繊維/充填材の粒径は、10〜80メッシュであってもよい(Thermoplastic Composites-a New Business Avenue, M Suresh Babu, Sangeeta Baksi, G. Srikant & Soumitra Biswas (www.tifac.org.in/news/acthermocomp.htm)より)。
【0007】
商業用木粉は、しばしば20から100のメッシュサイズであるが、たいていの熱可塑材用途は、30または40から80メッシュの範囲である。木「繊維」は、厳密に言うと、木粉と同じではないが、曖昧にも、「繊維」という用語は、粉と区別なく用いられている。木繊維は、木粉とは異なり、粒状(粉)ではなく、典型的にはより長い繊維状であり、典型的には、長さが0.85mmより長く、より一般的には1mmより長く、恐らくは2〜3mmの範囲であってもよい。粉(微粉)が繊維製品に存在することがあるかも知れないが、それらは、通常少数成分であり、平均の長さは、粉より繊維の方が大きい。また、繊維はもつれまたはけばがより強く、暈密度がより低く、扱いにくいことが多い。例えば木繊維のアスペクト比(長さ÷直径)は、10:1より大きく、典型的には、例えば20:1、25:1または40:1、50:1、70:1以上であってもよいのに対して、「粉」は、一般には、1:1から4:1または5:1、典型的には8:1から10:1のアスペクト比を有していてもよい。ある木粉は、200メッシュ程度の細かい粉砕粉である。例外もあり得るが、粉は、一般には、粉状製品であり、繊維は、より長い繊維状材料である。木粉は、プラスチックに対してある程度の剛性を付加するが、強度および/または衝撃強度を低下させ得る。しかし、より長く、アスペクト比がより大きい木繊維は、木粉と比較して、剛性および強度のいずれか、または双方により大きく貢献する一方、多くの合成繊維より軽い。しかし、木繊維は、プラスチック複合材への混入および結着がより困難である。木粉の代わりに木繊維を使用する性能の利点は、認識されているが(5)、木繊維をプラスチックと混合させるように処理するための特殊な装置を製造する試みは、その成功度が限定されている。特殊な繊維フィーダーまたは「スタファー」または「クラマー」が入手可能であるが、しばしば高価であり、例えば、いくつかの用途では10重量%未満の繊維が必要とされ得るのに対して、他の用途ではこれより多い量、実際50重量%を超える量の繊維が必要とされ得るため、最終組成物に対する広範囲の計量に対して不確実である。耐クリープ性を含む機械特性は、粉または粉末充填材と比較してより長い繊維を使用することによって改善される可能性がある。
【0008】
低暈密度の天然または木繊維を押出機または射出成形機または他のプラスチック処理機に導入することには、特に、組成物における所望の繊維容量部を達成するのに重要である、計量または測定的にいくつかの困難がある。したがって、当該繊維の固有の高容量/低質量特性、当該繊維における自由流動性の欠如、および繊維の結束またはもつれにより、プラスチック処理機のポート穴またはオリフィスへの直接的な制御供給を達成することは簡単なことではない。いくつかの繊維フィーダーが存在するが、それらは、高価であり、かつ/または木および他の天然繊維による広範な繊維供給比にわたって均一に計量する上で不確実または不正確である。また、当該繊維は、吸湿性であり、通常は好ましくなく、プラスチック処理の前に実質的に除去されることが必要とされる多量の水を保持または再吸収するため、当該供給/使用前に高容量−低質量の繊維を予め乾燥させることが必要である(繊維フィーダーのレビューについては、John Winski、「木材プラスチック用途の供給液(Feeding Solutions for Wood Plastics Applications)」、The 6th International Conference on Woodfiber - Plastic Composites、l37〜148頁参照)。したがって、木粉に関連して以上に述べた処理および操作上の問題は、木繊維の使用を検討したい場合に悪化する。したがって、木繊維ペレットの製造のための便利で、コストの小さい方法が存在すれば、これは、プラスチックにおける木繊維利用にとって画期的なものとなるであろう。好適な性能を有する当該製品および/またはそれらの製造のための便利で、コスト効率の高い方法は、良く知られていないか、または確立されていない。押出機等へのペレットの供給または計量添加がはるかに便利になる。
【0009】
中密度繊維板(MDF)は、家具または内部成形物等の様々な用途の大型パネルを製造するための高温熱機械パルプ繊維を使用する。これらの処理が商業規模で、繊維を軟化させるために熱を利用するため、MDF繊維は、低コスト型の木繊維である。また、それは、複合材の補強を可能にするアスペクト比を有する(例えば、放射線相称松は約2.5mm×30μm)。MDF法では、熱硬化性樹脂、典型的には尿素−ホルムアルデヒド(UF)または他の関連架橋樹脂、またはイソシアネート樹脂のような他の樹脂を湿潤状態の繊維に添加しながら、ブローラインで精製装置から排出させる。これにより、小さい樹脂充填量で繊維の表面被覆率が極端に高くなる(6)。MDF法は、押出または他の熱可塑材処理におけるさらなる処理のための熱可塑性前駆体の製造に通常関連づけられることはない。普通は、繊維リッチであり、容易に熱可塑材処理または再処理可能でない、あるいは熱可塑材処理に容易に使用可能、または有用ではない硬質の硬化された熱硬化性樹脂に富むシート製品を製造する。
【0010】
プラスチックと木材、またはプラスチックと天然繊維は、容易に混合しないが、いくつかのポリマーは、他のポリマーより相溶性がある。木材のように極性を有するPVCは、特殊な合金化またはカップリング剤を使用することなく充填材または繊維と結合、または十分に相互作用するのに対して、ポリオレフィン(ポリプロピレンおよびポリエチレン)は、PVCほど十分に木材に接着しないため、当該木材プラスチックには、プラスチックにおける充填剤または繊維から最良の性能レベルを得るための改質が必要である。現行の状態の技術の一例は、カップリング剤、ポリオレフィン系複合材についてはしばしばマレイン酸化ポリオレフィンを押出機に加え、押出機内で混合することである。先行技術は、ポリマー繊維複合材に関して多くの示唆を含んでいる。Gaylordの米国特許第3,765,934号、同3,869,432号、同3,894,975号、同3,900,685号、同3,958,069号およびCasperらの米国特許第4,051,214号には、スチレンと木繊維が混合された無水マレイン酸との間にインサイツで生じる塊重合でポリマー繊維複合材を調製することが教示されている。Segaudの米国特許第4,528,303号には、ポリマー、補強鉱物充填材、および充填材とポリマーの相溶性を高めるカップリング剤を含有する複合組成物が教示されている。先行技術は、また、複合材の繊維成分を改質することを認識している。Hamedの米国特許第3,943,079号には、非再生不連続セルロース繊維に剪断混合機で剪断力を加えることにより、ポリマーおよび潤滑材料を繊維と混合させることが教示されている。当該処理は、繊維分離を向上させ、凝集を防止する。同様に、Coranらの米国特許第4,414,267号には、塩化ビニルポリマーと可塑剤の水性分散液による繊維の処理が教示されており、得られた繊維は、ポリ塩化ビニルおよび可塑材のコーティングを含み、小さい混合エネルギーでポリマーマトリックスに混入され得る。Beshayの米国特許第4,717,742号および同4,820,749号には、グラフトシラン基を有するセルロースを含有する複合材料が教示されている。Rajらの米国特許第5,120,776号には、ポリマーマトリックスにおける繊維の結合および分散性を向上させるためにマレイン酸またはフタル酸無水物で予め処理されたセルロース繊維が教示されている。Rajらは、高密度ポリエチレン化学処理パルプ複合材を教示している。Honの米国特許第5,288,772号には、リグニン分を有する廃棄新聞紙のような予め湿気処理されたセルロース材料で製造された繊維強化熱可塑材が開示されている。Koktaら、「ポリ(塩化ビニル)と木繊維の複合材。第2部.化学処理の効果(Composites of Poly(Vinyl Chloride) and Wood Fibres. Part II. Effect of Chemical Treatment)」、Polymer Composites、1990年4月、Volume 11, No. 2には、様々なセルロース処理が教示されている。該処理としては、ラテックスコーティング、ビニルモノマーによるグラフト、酸または無水物によるグラフト、無水マレイン酸、アビエチン酸等のカップリング剤によるグラフトが挙げられる(Koktaの英国出願第2,192,397号も参照のこと)。Beshayの米国特許第5,153,241号には、改質セルロースを含む複合材料が教示されている。セルロースが、ポリマー相と反応し、それを補強する有機チタンカップリング剤で改質される。MaldasおよびKokta、「コーティング成分として無水マレイン酸およびイソシアネートを使用した木繊維の表面改質およびポリスチレン複合材におけるそれらの性能(Surface modification of wood fibres using maleic anhydride and isocyanate as coating components and their performance in polystyrene composites)」、Journal Adhesion Science Technology、1991、1〜14頁には、無水マレイン酸改質木粉を含有するポリスチレン粉複合材が示されている。Koktaら、「ポリ塩化ビニル−木繊維の複合材。第III部:カップリング剤としてのシランの効果(Composites of Polyvinyl Chloride - Wood Fibres. Ill: Effect of Silane as Coupling Agent)、Journal of Vinyl Technology、Vol. 12、No. 3, 1990年9月、142〜153頁を含むいくつかの出版物には、高度に可塑化された熱可塑性複合材における改質ポリマー(他の参考文献には、改質繊維が開示された)が開示されている。また、Chahyadiら、「木粉/ポリプロピレン複合材:マレイン化ポリプロピレンならびに方法および組成変動の機械特性に対する影響(Wood Flour/Polypropylene Composites: Influence of Maleated Polypropylene and Process and Composition Variables on Mechanical Properties)」、International Journal Polymeric Materials、Volume 15、1991、21〜44頁には、無水マレイン酸で改質されたポリマー骨格を有するポリプロピレン複合材が記載されている。
【0011】
多くの出版物には木繊維が記載されているが、現実には、例えば典型的には平均長さが1mm以上である合理的なアスペクト比(上述のように10:1から20:1等)を有する繊維ではなく、実質的に木粉または粉末、またはフレークまたは鋸屑等である。粉および関連材料は、取り扱いおよび処理、およびプラスチック処理機への供給がより容易であるのに対して、より長い繊維は、もつれ、けば立ち、計量的にプラスチック処理機に供給するのがより困難である傾向がある。
【0012】
よって、例えば、(木粉または粉末またはフレークとは異なり)アスペクト比が10:1または20:1、あるいは平均長さが例えば0.8mmまたは0.9mmまたは1mm以上の木または他の天然繊維をプラスチック処理機に導入するための改善された方法、および熱可塑性ポリマーと木または天然繊維を混合するための調合物または材料に対する実質的な必要性が存在する。
【0013】
他の先行技術において、Searsら(9)は、通常クラフトまたは化学的パルプ化され、普通は入手可能ではなく、MDF型の方法、すなわち本発明に用いられるような機械的または熱機械パルプ法によって製造されないパルプを示す、アルファセルロース分純度が80%を超える繊維の使用について記載している。繊維長さおよびアスペクト比をしばしば小さくし、木粉の使用と類似した製品をもたらすことになる、バインダーが含浸された顆粒化パルプの使用等の他の方法で、または繊維と水性溶解バインダーを水媒体中にて(例えばHobartまたは同様の混合機で)予め混合し、次いで特殊なペレットミル(例えばKahl Pellet Mill)で湿式ペレット化する混合機の使用を介して、湿潤パルプセルロ−ス繊維を有する繊維ペレットを製造することができる。当該方法は、Searsら(9)によって記載されている。これらの手法は、プラスチックへの究極的な導入に先立って、湿潤含浸パルプの大規模な乾燥および緻密化が必要とされ、該方法または製品は、MDF製造手法およびそこで製造される繊維製品よりコスト効率が劣る可能性が高いという点において、本発明より便利ではない。また、ブローラインの使用、または移動空気もしくは蒸気担持繊維ストリームおよびそこに加えられるポリマー溶液もしくは分散液を使用する関連方法は、ポリマーを効率的に使用して極めて効率的に、純分または高度に分散されたポリマー被覆の繊維を繊維表面にコートする。また、MDFの使用および関連方法は、低コストの連続製造プロセスに十分に対応する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、木繊維または他のリグノセルロースまたは天然繊維をプラスチックに導入するための、またプラスチック処理機における後の利用のための改善された、または少なくとも代替的なプロセスまたは方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
広義には、一態様において、本発明は、プラスチック製造における供給原料として使用される、リグノセルロース材料の繊維または天然繊維を含む、本明細書で定義されるペレットまたは顆粒を製造する方法であって:リグノセルロース材料または天然繊維を機械的または熱機械的または化学熱機械的または化学機械的に細分化することによって製造された、バラ繊維または分離した繊維または繊維束を乾燥空気ストリームまたは湿潤空気ストリームで輸送し、繊維を輸送しながら、1つまたは複数のポリマー、モノマーまたはオリゴマーを含む液体調合物を繊維に塗布し;繊維を固体製品に成形し;固体製品を細分化して前記ペレットまたは顆粒を製造することを含む方法である。
【0016】
好ましくは、該方法は、繊維を乾燥ストリームまたは湿潤ストリーム中で導管に沿って輸送し、ポリマー、モノマーまたはオリゴマーの調合物を導管内部に導入して、繊維が導管を移動している間に調合物を繊維に塗布することを含む。
【0017】
好ましくは、該方法は、繊維が導管を移動している間に、調合物を導管内部に吹きつけることによって導管内に導入して繊維を調合物でコーティングまたは部分的にコーティングすることを含む。
【0018】
好ましくは、導管は、繊維板製造プラントにおける精製段階から繊維を輸送する。
【0019】
好ましくは、導管は、繊維を乾燥段階または乾燥機へ、またはそれから輸送する。
【0020】
好ましくは、該方法は、繊維を加圧して平面形の固体製品とすることによって繊維を固体製品に成形することを含む。
【0021】
好ましくは、該方法は、繊維を加熱プラテンの間で加圧することを含む。
【0022】
好ましくは、該方法は、繊維を加圧して、厚さが約2cmまで、より好ましくは約1cmまでのシートとすることを含む。
【0023】
好ましくは、固体製品を切断または鋸引きすることによって、前記固体製品を前記ペレットまたは顆粒まで細分化することを含む。
【0024】
好ましくは、繊維は、少なくとも約0.8mm、より好ましくは少なくとも約1mmの平均繊維長さまたは繊維束長さを有する。
【0025】
好ましくは、繊維の大部分は、少なくとも10:1、より好ましくは少なくとも20:1、最も好ましくは25:1のアスペクト比を有する。
【0026】
好ましくは、該方法は、固体製品を細分化して、ペレット中の繊維の平均繊維長さより長いペレットを製造することを含む。
【0027】
好ましくは、ペレットまたは顆粒は、乾燥重量で繊維100部当たり0.3から25部のポリマーを含む。
【0028】
好ましくは、液体調合物は、水性溶液、分散液またはエマルジョンである。
【0029】
好ましくは、調合物は、230℃未満または200℃未満の融点を有する熱可塑性ポリマーを含む。
【0030】
好ましくは、ポリマーは、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、デンプン系、または1つもしくは複数の酸、無水物、エポキシ、アミン、イソシアネート、シランもしくはシラノール基を有するポリマーまたはコポリマーである。
【0031】
さらなる態様において、本発明は、プラスチック製造における供給原料として使用されるリグノセルロース材料の繊維または天然繊維を含む(本明細書に定められている)ペレットまたは顆粒を製造するための方法であって:リグノセルロース材料または天然繊維を機械的または熱機械的または化学−熱機械的または化学−機械的に細分化することによって製造されるバラ繊維または分離した繊維または繊維束を乾燥空気ストリームまたは湿潤空気ストリームで導管に沿って輸送し;1つまたは複数のポリマー、モノマーまたはオリゴマーを含む液体調合物を繊維に吹きつけて繊維に塗布して、繊維をそれによりコーティングまたは部分的にコーティングし;繊維を固体製品に成形し;固体製品を細分化して、前記ペレットまたは顆粒を製造する;ことを含む方法である。
【0032】
さらなる態様において、本発明は、プラスチック製造における供給原料として使用される、木繊維を含む、本明細書で定義されるペレットまたは顆粒を製造する方法であって、固体木材を機械的または熱機械的または化学熱機械的または化学機械的に細分化することによって製造された木繊維または繊維束に対して、1つまたは複数のポリマー、モノマーまたはオリゴマーを含む液体調合物を塗布して、繊維をそれでコーティングまたは部分的にコーティングし、繊維を加圧して固体製品とし、固体製品を木繊維含有ペレットまたは顆粒に細分化することを含む方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
ペレットまたは顆粒という用語は、粉末を除外し、自由流動する、全繊維を含むより大きい粒子を含むことを意図する。
【0034】
本明細書および請求項に用いられている「含む」という用語は、「少なくとも一部としてそれを含む」ことを意味し、すなわちその用語を含む独立請求項を解釈するときに、各請求項においてその用語から始まる特徴が存在する必要があるが、他の特徴も存在できることを意味する。
【0035】
典型的には、本発明は、セルロース系繊維のような木および他の天然繊維に分散または溶解ポリマー系(「バインダー」)を含浸、コートまたは結合し、次いで含浸繊維を圧力下および好ましくは高温で加圧または凝固させてシートまたはマットとし、繊維を主にバインダーによって互いに結着させ、次いでシートを細断して供給原料ペレットまたは繊維濃縮物にする方法を提供する。
【0036】
概して、本発明は、熱可塑材処理に有用なペレットまたはマスターバッチ配合物のようなプレコートまたは含浸された木または他の天然繊維複合供給原料を製造するためのプロセスまたは方法に関する。特に、本発明は、その最中または後に、ブローラインのような空気または蒸気中で流動または移動する繊維ストリームに対して溶液または分散液または粉末分散物を介して塗布されるコーティングまたはバインダー系で繊維を処理する熱機械パルプ法から得られるような繊維を使用して、木または他の天然繊維配合物またはペレットを製造するための方法を記載する。当該コーティングまたはバインダーは、繊維を成形または加圧または加熱して形材またはシートまたは他の成形物とし、当該加圧物または成形物を細断または粉砕して例えばペレットにするときに繊維を互いに結着させ、該バインダーまたはコーティングは、後のプラスチック処理および機械への便利な供給、およびそれらにおける処理、および他のプラスチック材料との混合または成形をも可能にする。該方法は、木または他の天然繊維をプレコートする、または部分的にプレコートする、または予め相溶化する、あるいはプラスチック処理に使用される便利なペレットまたは供給原料に次いで処理することができる当該繊維上、中または付近に他の機能的材料を導入し、特に押出または射出成形のような熱可塑材処理において、プラスチックおよび他の材料と混合することを含むこともできる。
【0037】
本発明は、押出機または射出成形機のような熱可塑材処理装置への供給に好適な形の木繊維ペレットを製造するための方法を提供する。好ましくは、繊維精製装置に入る前に繊維またはチップの随意の予備温浸を行うことができる熱機械的または熱機械的精製パルプ、または化学機械的または化学熱機械パルプが、繊維として使用される。より好ましくは、中密度繊維板(MDF)のような高温熱機械パルプが使用される。したがって、本発明の一実施形態は、繊維供給、繊維乾燥および繊維−プラスチック相溶性における以上に強調した困難および問題を克服するために、改良型MDF(中密度繊維板)法を用いる。
【0038】
一実施形態において、繊維は、ポリマー分散液または溶液を繊維に噴霧または散布するためのブローラインまたは他の設備において加えられるバインダーを有する。好ましくは、バインダーは、熱可塑性ポリマーであるか、または熱可塑性ポリマーを一成分として含む。しかし、熱効果性または混合ポリマー系も可能である。好ましくは、バインダーは、水溶液、または乳化もしくは水性ポリマー分散液、または分散液、エマルジョンまたは溶液または純水の液体である成分の調合物に存在する。水に溶解または分散させる、または改質または調合して、水中で安定な分散液または重合性樹脂系を形成、またはその一部とすることができる任意のポリマーを使用することができる。アルコールまたは他の有機溶媒のような代替的な溶質または分散媒体を使用することができるが、単独または他の共溶媒と混合した水が好ましい媒体である。ラテックスを使用することができる。乾燥または純粋のポリマー粉末を様々な条件下で使用することができ、高濃度または100%固形物としての低融点ワックスまたはポリマーまたは混合物をスプレーガン/ノズルのような塗布装置の粘度および粘着度要件に応じて使用することもできる。加熱配管および加熱ノズルを使用して、当該材料の導入を容易にすることができる。
【0039】
ポリマーまたは添加剤を精製装置またはブローラインまたは乾燥機において、あるいはプロセス中に繊維を連続的に輸送するチューブまたはパイプまたはドラムまたは他の管におけるこれらの段階の時点、前または後に添加することができる。ポリマー/添加剤を、湿った繊維、または乾燥繊維、または平衡もしくは近平衡水分を有する繊維(EMC、典型的には12重量%のオーダの水分を有する繊維)に塗布することができる。ポリマーコーティングは、束または微粉を含むことができ、空気または高湿度空気に混入される流動繊維ストリームに、MDF法または関連する繊維精製−含浸製造法の任意の時点で添加される。
【0040】
バインダーのための好ましいポリマーは、熱可塑性物質またはエラストマーとして処理することができ、本明細書において熱可塑性物質として分類され、プラスチックポリマーの好ましいサブクラスを構成するポリマーである。また、熱硬化性樹脂をバインダーとして使用することができる。本発明の濃縮物の調製に好適なエラストマーの例は、天然ゴム、スチレン−ブタジエンラバー(SBR)、エチレンプロピレンラバー(EPR)、エチレン−プロピレンターポリマー(EPDM)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、シリコーンゴム、ポリブタジエンゴム、シス−ポリブタジエン、トランス−ポリブタジエン、ネオプレン、ポリイソプレンおよびブチルゴム、加硫性ジエンゴムである。ジエンゴムとしては、不飽和がポリマーの側鎖または骨格に存在し、共役または非共役である低および高不飽和のゴムが挙げられる。他の好適なポリマーの例としては、アクリレートポリマー、ウレタンポリマー、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ハロゲン化ポロエチレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アクリロニトリルブタジエン−スチレンターポリマー(ABS)、スチレン−無水マレイン酸コポリマーおよびエステル化誘導体または他の誘導体、ポリアミド、ポリエステル、酢酸ビニルのコポリマー、オレフィン(エチレン、プロピレン)とアクリル酸またはメタクリル酸または無水マレイン酸のような不飽和酸あるいはビニルアルコールまたはビニルエステルとのコポリマー、ポリビニルエーテルおよびビニルエーテルのコポリマー、デンプンおよびデンプン誘導体、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエート、タンパク質、多価酸、多価無水物、ポリイソシアネート、ポリオール/ポリエーテル、当該ポリマーのモノマーを含むコポリマーまたはターポリマー等が挙げられる。上記の1種または複数種を含む混合物も好適である。エポキシ樹脂、アクリル、不飽和ポリエステル、ウレタン/イソシアネート樹脂、尿素−ホルムアルデヒド、メラミン−ホルムアルデヒド等のホルムアルデヒド硬化樹脂、フェノール−レソルシノール樹脂、フェノール樹脂、関連またはハイブリッド系のような他のオリゴマーまたは反応性樹脂系を使用することもできる。本発明の方法において、上記のような樹脂または他の樹脂を調合し、ポリマーおよび/または添加剤として使用することができる。したがって、添加ポリマーまたは添加剤は、水性分散液、エマルジョンとして、または純粋の液体または溶融媒体として塗布される反応性基を有する反応性モノマーまたはオリゴマーを含むことができる。
【0041】
好ましい実施形態において、バインダーは、最終複合材における繊維および塊マトリックスプラスチックのための相溶化剤として作用することもできるため、本発明は、相溶化剤をブローライン中で繊維およびバインダーに添加して、ポリマーと木繊維の結合を強めることを可能にする。相溶化剤は、上記のポリマー、それらの混合物または配合物のいずれかであり、他の添加材料である、またはそれらを含むこともできる。それは、調合または反応性ポリマー系であってもよい。ポリオレフィンマトリックス末端複合材については、好ましくは、マレイン酸化ポリプロピレンのようなマレイン酸化または酸官能性コポリマーである。好ましくは、相溶化剤は、乳化または分散ポリマー、または水に溶解したものである。
【0042】
基本的には、任意の繊維または充填剤を本発明に使用することができるが、個々の形、分離した形、バラの形、正常な形または他の容易に利用可能な形で、プラスチック処理機または他の機械に供給するのが困難である繊維または他の充填剤を使用する場合に有益性が最も明白である。特に、木(全種類)、食物または作物繊維(麻、藁、小麦、亜麻、NZ亜麻、トウモロコシ、ココナッツ、草、ケナフ、黄麻、サイザル麻、ラミー、クズ等)および羊毛/ケラチンのような動物繊維、他のタンパク質繊維のような天然起源のセルロースまたはリグノ−セルロース繊維が好ましい。当該繊維は、暈密度が低く、小さいオリフィスへの流入または供給、ならびに押出機等への計量的輸送が困難なもつれた、またはカールした束であることが多い。
【0043】
したがって、本発明は、添加ポリマーで湿潤された繊維を、例えば、プレスで熱および圧力によって圧縮することによって固体パネル、シートまたは形材を提供する。好ましくは、繊維を固体パネルまたはシートに圧縮するのにホットプレスが使用される。次いで、パネルをペレットに粉砕して、予め相溶化された繊維濃縮物を製造し、次いでそれを通常は予め乾燥させて、押出機または他のプラスチック処理機に計量供給することができる。本発明の一実施例において、例えば、加圧により得られた固化形態を切断またはスライスすることによって、木繊維およびポリマーを含むペレットを調製することができる。
【0044】
本発明は、一般的に、以上に定められている通りであるが、本発明は、それに限定されないこと、および本発明は、以下にその実施例を示す実施形態をも含むことを当業者なら理解するであろう。
【0045】
本発明は、一般的に、木材プラスチック複合材(WPC)および他の天然繊維プラスチック複合材、ならびにプラスチック押出機または射出成形機および関連装置のような処理装置に究極的に使用される原材料の調製に向けられる。
【0046】
よって、一態様において、本発明は、木または天然または植物繊維を製造、圧縮して、押出機のようなプラスチック処理装置への導入に好適な形にする方法を提供する。本発明は、プレス、例えば従来のMDF法または他の精製法を用いて、木または植物からの天然植物繊維から木繊維を製造し、次いでブローラインまたは精製装置または関連処理において添加剤を塗布する。繊維添加混合物を乾燥させ、マットに成形してから、従来のMDFプレスで加圧して、シートを製造する。続いて、シートを、プラスチック処理装置に供給できる濃縮物、凝集物、粒子、テープまたはペレットに変える。例えば、シートを裁断し、細断長さ設定および最初の加圧シート寸法に従って任意の所望の長さのペレット長さでペレット化することができる。好ましくは、ペレット長さは、繊維長さより長くなる。例えば、2mm、3mmまたは4mm、5mmまたは6mm以上の長さを用いることができる。
【0047】
MDF繊維が加圧後に固化状態を維持できるように、繊維が処理において形成されたすぐ後に、バインダーを例えばブローラインに加える。あるいは、繊維を精製処理から回収し、続いてストリーム中で乱流的に再流動させ、次いで吹きつけるか、またはバインダーポリマー溶液または分散液を含浸することができる。バインダーは、ペレット化されるときにシートおよび固体ペレットに繊維を保持するのに十分な強度を有することが必要である。好ましくは、必須ではないが、バインダーは、繊維が押出機の胴体のようなプラスチック処理装置で可動になり、それに混合される熱可塑性材料との均一な混合物を形成できるようなガラス転移温度、溶融分解温度、軟化温度または分解温度を有する必要がある。結着ポリマーを低固体充填量で繊維に添加することができ、それと混合される最終ポリマーとの相溶性の問題を引き起こすことはない。好ましくは、バインダーは、繊維と塊プラスチックマトリックスの相溶性を向上させるように作用する。したがって、本発明のさらなる態様は、木または他の繊維と、繊維が究極的に混合される熱可塑性マトリックスとの相溶性および結合を向上させるように設計された可溶化剤のブローラインにおける添加である。MDFブローラインにおいてポリマーを繊維と混合することは、乾燥繊維を周囲条件でポリマーと混合するより繊維の良好な表面被覆率を与える。ブローラインは、高温および高含水率で動作するため、相溶化剤は、水中エマルジョンまたは分散液の形であることが好ましい。微粒子に噴霧できる場合は、純粋の液体または低融点の固体、例えば蝋を使用することもできる。好ましくは、バインダーがコートされた繊維を加熱下で加圧して、裁断およびペレット化処理に耐える十分な保全性を有するシートを形成する。これにより、バインダー/相溶化剤の繊維との密な混合、接触または結合を付与または保持し、かつ/または水分の一部を除去することもできる。
【0048】
該方法を典型的には多くの従来のMDFまたは削片板粉砕機で実施することができ、繊維をブローラインまたは同様の施設で精製し、含浸させ、加熱下で加圧するが、本発明の方法では、次いで裁断し、ペレットに細断し、好ましくは、バインダー樹脂は、選択される究極的な熱可塑性マトリックスと相溶性があり、押出または射出成形のようなプラスチック処理機で処理可能である樹脂系である。したがって、従来のMDFまたは同様の粉砕機、またはその製品を、繊維−プラスチック複合材を製造するためのプラスチック押出または射出成形または他の成形処理に応じた繊維濃縮物を製造するように構成できることは、実現可能である。バインダーまたは繊維プレコーティング組成物は、1つまたは複数のポリマーの調合物であってもよく、安定剤、可塑剤、処理助剤、難燃剤、接着促進剤、着色剤、潤滑剤、帯電防止剤、生体活性剤、液体添加剤、または押出機への導入が困難であるか、または全体的に低量必要とされる固体を含むこともでき、エポキシ樹脂のような反応性または機能性樹脂を含むこともできる。
【0049】
中間体シートの加圧をシート密度の範囲に応じて実施することができる。当該シートのペレット化を様々な方法によって実施することができ、一連のペレット長さおよび寸法および形状を用いることができる。続くペレット製造を容易にするために、シート製造の最中または後にシートの予備パターン化または刻印を実施することができる。
【0050】
押出機において繊維リッチのペレットをプラスチックペレットおよび/または他の添加剤と混合するときに、混合手法および相対的な導入位置の様々な組合せが実行可能である。
【0051】
繊維ペレットを、添加されるプラスチックペレットとともに、射出成形機に直接添加することができる。
【0052】
以下の実施例は、本発明を例示するものであるが、いかなる場合も限定的なものと見なされるべきではなく、当業者によって、本発明に対して修正を加えることができる。
【実施例1】
【0053】
PVA結合MDF繊維ペレットおよび基準(木粉)ペレット
ポリプロピレン(PP)をラジアタMDF繊維とともに押し出し、次いで射出成形して、試料を形成した。業界で従来使用されており、繊維製品と比較して微粒子製品として供給が合理的に容易である木材由来充填材の例として、木粉および研磨屑を基準として使用する。複合材におけるそれらの性能レベルは、配合または成形木材補強プラスチックに対する工業規格または既存の規格を表し、性能が本発明の繊維材料および方法によって損なわれることがないことを実証するためにここに含められる。緩い低密度の繊維またはもつれた繊維は、押出機および他の機械に制御または測定的に供給するのが困難であるが、繊維製品は、粉製品と少なくとも同等であり、特性によっては優れることが期待される。粉ではなく繊維を導入する本発明の方法を用いることによって特性が損なわれることがないことを確認するために、MDF繊維補強複合材料の引張、曲げおよび耐衝撃特性を繊維含有量の関数として測定し、粉製品と比較した。
【0054】
材料
使用されたMDF繊維は、商業的MDF繊維と類似した処理条件を用いて、ラジアタパインのトップログ(toplog)から、ニュージーランド森林研究所PARROパイロットプラント精製装置で製造された。繊維を空気乾燥させて、水分を約10〜15%としてから、プラスチック袋に保管した。研磨屑(SD)は、地方の製材所から供給された。使用されたPVA(ポリ酢酸ビニル)は、National Starch & Chemical(NZ) Limited Korlok442.3060.05であった。使用されたポリプロピレンペレットは、メルトインデックスが25のHyundai SeetecグレードM1600であった。
【0055】
サンプル製造
空気圧を利用して、ブローラインに大気乱流を再生し、一定の経路の周囲に、またはそれに沿って繊維を送り、ノズルまたはスプレーガンを介して樹脂の塗布を行い、樹脂を流動繊維ストリームに送り込む500F MDF実験用混合機(Maxiblender)を使用して、550グラムの繊維に80〜100グラムのPVA樹脂を吹きつけることによって、PVA結合MDF2mmパネルを製造した。次いで、MDF製造と同様に、100グラムの樹脂化繊維を255mm×280mm×2mm(700kg/m)のパネルまたはシートに成形した。PVA結合パネルを切断して、約5平方mmの片とし、当該濃縮物またはペレットを真空下で乾燥させた。木粉を80℃で24時間乾燥させた。ポリプロピレンペレットをさらに乾燥させることなく受け取った状態で使用した。PVA結合木繊維とポリプロピレンペレットをOMC19/30二軸スクリュー同時回転押出機(19mmスクリュー、L:D30)で混合した。
【0056】
押出機ゾーン温度を表1に示されている通りに設定して、ホッパーを使用してPVA/MDF繊維ペレットを供給し、スクリューフィードを使用してポリプロピレンを供給したが、従来のフィーダーを介してもペレットを供給することが可能であった。
【表1】

【0057】
一般的な押出混合手法に従って、かつ計量フィーダー等を使用して、繊維ペレットをプラスチックおよび他の添加剤と様々な方法で混合することができる。
【0058】
いくつかの選択肢を例示するが、他の手法の使用を限定しないこの実施例群で実証された変更例は以下の通りであった。
【0059】
PM=予め混合され、押出機の同じポートにおいて導入された繊維ペレット/PPペレット
D=デュアルフィード、第1のポートにおける繊維ペレット/第2のポートにおけるPPペレット
F=デュアルフィード、第1のポートにおけるPP繊維/第2のポートにおける繊維ペレット
SD=予め混合され、押出機の同じポートにおいて導入された木粉(研磨屑)/PPペレット(基準)
U字形ホッパーを使用して、第1の押出機のフィードスロートへの導入の前に、ポリプロピレンと予め混合することによって木粉を配合した。
【0060】
ダイを通じて混合物を押し出し、直径3mmのストランドを形成し、次いでそれをペレット化した。ペレット化の最中にPP/木粉ストランドの切断に問題が生じた場合は、4mmメッシュを通じて木繊維/粉ポリプロピレン混合物をウィリー粉砕した。比較のために、木繊維ペレットに対しても同じ手法を用いた。以下の木繊維(PM、D、F)と木粉(研磨屑−SD)/ポリプロピレン混合物を以下の例のように配合した。
【0061】
20%および40%(重量%)木繊維を有するPM
20%、40%および60%木繊維を有するD
25%、30%、40%および60%木繊維を有するF
20%、40%および60%研磨屑/木粉を有するSD(基準)
配合「ペレット」を60℃で2〜3日間再乾燥させてから射出成形した。スクリュー温度が150rpm、胴温度が190〜230℃の範囲、ツール温度が大気温に設定された処理条件を用いて、Boy15S射出成形機(28mmスクリュー、20:1 L:D)を使用して乾燥ペレットを射出成形した。
【0062】
機械特性試験
測定および試験の前に、サンプルを23℃、50%RHで2週間調整した。
【0063】
ASTM D638−96(I型)(7)に従って引張特性を評価した。試料は、犬骨形で、狭試験部は、公称幅が13mmで、公称厚さが3.2mmであった。10kNロードセルおよび25mm伸縮計が装備されたInstron型式5567試験機を試験に使用した。グリップ間の処理間隔は、100mmであり、試験速度は5mm/分であった。
【0064】
ローディングノーズおよびサポートが7.5mmの半径を有することを除いては、ASTM D790−96a(8)に従って曲げ特性を評価した。試料は、長方形で、公称幅が13mmで、公称厚さが3.2mmであった。10kNロードセルが装備されたInstron型式5567試験機を試験に使用した。曲げ試験では、50mmのスパンおよび1.3mm/分の速度を用いた。
【0065】
ASTM D256−93a(試験法B−Charpy)に従って衝撃特性を評価した。試料は、長方形で、公称幅が13mmで、公称厚さが3.2mmであった。95.3mm間隔でサポートを備えたCEAST6545/000試験装置を試験に使用し、0.5Jハンマーを使用した。
【0066】
引張特性
引張試験結果を以下の表2に示す。
【表2】

【0067】
すべての充填ポリプロピレンは、有意により高い弾性率を有しており、通常は繊維の方が木粉(SD)基準より高かった。すべての複合材の引張強度は、いずれも純粋のPP(ポリプロピレン)より小さかったが、それは、繊維−ポリマー相溶性が劣ることを示している。しかし、ここでの主な利点は、特殊な供給装置またはフィーダーではなく、従来のフィーダーまたは手法を用いて、低暈密度の繊維を押出機または成形機に導入する便利な方法を提供することであった。バラ繊維またはけばの多い繊維束ではなく、加圧シートから切断されたペレットで供給する方がはるかに容易である。実際、ペレット供給原料の使用は、粉末および微粒子の使用より好ましい。上記実施例は、熱効果性PVA粘着剤を有する加圧結合繊維を押出または射出成形のような熱可塑剤処理に供給原料ペレットとして使用し、粉末基準と同等またはより優れた性能を達成できることを示していた。
【0068】
曲げ特性
曲げ試験結果を以下に示す。ポリプロピレン対照、20%予備混合物および20%研磨屑サンプルは、ASTM試験法の限界である伸度5%に達する前に破断することはなかった。示された応力値は、伸度5%における値である。この点を超えても、これらの試料は、充填量の増加を示した。
【表3】

【0069】
たいていの充填ポリプロピレンは、ポリプロピレン対照より大きい曲げ強度を有しており、加圧PVA繊維シートから切断されたペレットから製造された材料は、木粉または研磨屑(SD)基準より良好な性能を示した。
【0070】
衝撃特性
以下の表は、本発明の方法によって導入された繊維が、同等の充填量で粉末サンプル(SD)より高い衝撃性能を実証することを示している。
【表4】

【実施例2】
【0071】
予めペレット化されたMDF供給原料におけるカップリング剤およびバインダーの使用
二軸スクリュー押出機で配合し、続いてサンプルを射出成形することによって、天然繊維/充填剤を含有するポリペプチド複合材を製造した。繊維(MDF)および木粉を3つの異なるカップリング剤(ポリ酢酸ビニル、無水マレイン酸改質ポリプロピレンエマルジョンおよび固体無水マレイン酸改質ポリプロピレン)とともに使用した。
【0072】
材料
使用されたMDF繊維は、商業的MDF繊維と類似した処理条件を用いて、パイナスラジアタトプログから、ニュージーランド森林研究所PAPROパイロットプラント精製装置で製造された。繊維を空気乾燥させて、水分を約10〜15%としてから、プラスチック袋に保管した。使用された木粉は、Kingsland Seedsによって供給された標準グレードのパイナスラジアタであった。
【0073】
使用されたポリプロプレン樹脂は、ペレットとして供給されたHyundai Seetec M1600であった。ステアリン酸亜鉛粉末は、BDHから得たARグレードであった。使用された無水マレイン酸改質ポリプロピレンエマルジョンは、Michelman Inc.から供給されたMichem43040であった。使用されたPVA樹脂は、National Starch&Chemical(NZ) Limited Korlokグレード442.3060.05であった。エポレンG3015(Eastman Chemical Co)も固体MAPPとして使用し、押出機に加えた。
【0074】
サンプル製造
500F MDF Maxiblenderを使用して、流動ストリームにおいて、樹脂エマルジョン/分散液を550グラムの繊維に吹きつけて、4%または8%の樹脂固体充填率を得ることによって、PVAおよびMAPP(Michemエマルジョン)結合MDF2mmパネルを製造した。100グラムの樹脂コート繊維を255mm×280mm×2mm(700kg/m)のMDFパネルに成形した。MDFパネルを切断して、約5平方mmの片とした。真空下でシリカゲルを使用して乾燥されたPVA結合MDFを除いては、配合前にすべての天然繊維および充填剤を60℃で48時間乾燥させた。
【0075】
150〜200rpmのスクリュー速度および160〜210℃の温度範囲で、配合のためにOMC19/30二軸スクリュー同時回転押出機(19mmスクリュー、L:D30)を使用した。天然繊維/充填材およびポリプロピレンペレットを2つの個別のストリームで供給した。ポリプロピレンを最初に供給した後に、天然繊維/充填材を押出機胴体に沿って途中まで供給した。ダイを通じて混合物を押し出して、直径3mmのストランドを形成した。水分の吸収を最小限にするために、押し出されたストランドを水浴で冷却し、規格通りペレット化せず、空冷し、ウィリー粉砕機を使用して4mmメッシュを通して粉砕した。製造されたサンプルを以下に示す。
【表5】

【0076】
サンプル集合体は、繊維の種類(M=MDF、WF=木粉)に続くハイフンの後にあらゆる添加剤(E=エポレン固体MAPP、M=ミケムMAPPエマルジョン、PVA=ポリ(酢酸ビニル))を記したラベルで標示されている。
【0077】
配合材料を射出成形の前に60℃で48〜72時間再乾燥させた。100〜200rpmのスクリュー速度および200〜230℃の温度範囲を用いて、Boy15S射出成形機(28mmスクリュー、20:1 L:D)を使用して、乾燥ペレットを射出成形した。
【0078】
いずれの場合も、ペレットまたは細断シートの押出機への供給は、計量的に均一に導入することが困難であったバラ繊維(粉)を使用するよりはるかに便利であり、木粉または研磨屑の処理より容易であった。
【0079】
機械特性試験
実施例1に記載されているように、サンプルをその引張、曲げおよび衝撃特性に関して評価した。
【0080】
引張特性
引張特性結果を以下の表6に示す。
【表6】

【0081】
MDF繊維で調製された複合サンプルを本発明の実施例とした。PVA結合実施例は、繊維ペレット処理を介して繊維導入を容易にするために他の樹脂を使用でき、良好な弾性率データが得られることを示した。このPVAの事例において、繊維−PP(マトリックス)相互作用は、最適化されていない。代替的なより極性の強いマトリックスおよび/またはマトリックスにおける添加カップリングを使用して、PVAまたは他の接着結合MDFの使用における全体性能を向上させることが可能である。シートからのペレット製造に先立ってMDFをシートに結合させるためのPVAおよびミケム接着剤の使用を、本発明の方法の実施例を介して、MDF繊維複合材に適用すると、引張弾性率が向上した。複合材のSEM顕微鏡写真は、異なる種類の繊維が、繊維濃縮物または加圧シートに本来存在しているように繊維束に存在するのではなく、分離していることを示している。
【0082】
天然繊維を添加すると、いずれの場合も、未結合ポリプロピレン複合材の最大引張応力が低下した。添加剤を使用しなかった場合は、異なる繊維複合材の引張強度に有意な差はなかった。
【0083】
(プレコーティング、シート製造、および押出および射出成形前の繊維濃縮物への細断を介して)ミケムを添加すると、最大引張応力が増加して、未充填のポリプロピレンの引張応力を上回った。実施例M−MおよびM−MEは、好ましい形態の本発明の実施例を表し、塗布されたバインダーは、相溶化剤として作用することもできる。優れた特性が認められる。
【0084】
したがって、本発明は、実質的にMDF型方法に続いてMDF様シートの切断によって調製されたプレコートペレットの使用を介して、繊維および相溶化剤をプラスチックに導入する便利な手段を提供した。
【0085】
曲げ特性
曲げ試験結果を表7に示す。示された応力(強度)値は、伸度5%の値である。この点を超えても、これらの試料は、充填量の増加を示した。
【表7】

【0086】
天然繊維を添加すると、未充填ポリプロピレンと比較して、すべてのサンプルの曲げ弾性率が高められた。ミケムまたはPVAを添加するとMDF複合材の曲げ弾性率が向上した。天然繊維を添加すると、未充填ポリプロピレンと比較して、すべての複合材の最大曲げ応力が高められた。また、ミケムを添加すると、曲げ強度が向上した。
【0087】
衝撃特性
天然繊維充填ポリプロピレンについての衝撃強度試験結果を以下の表8に示す。
【表8】

【0088】
MDF(M)繊維サンプルは、木粉(WF)サンプルより高い衝撃強度を示した。
【0089】
したがって、要約すると、相溶化剤を有するペレットとして製造され、本発明の方法を介して製造、導入されたより大きいアスペクト比の繊維(例えばMDF繊維)を使用すると、木粉または類似製品と比較して、強度、剛性および衝撃特性における優れた性能が得られる。未充填(PPマトリックスについて:PVA結合/コート繊維)ペレットでも木この使用と比べて同等または優れた性能を有し、計量添加においてより容易に操作、処理される。
【0090】
実施例2A
異なる繊維充填率(20〜60重量%)で実施例2に記載されているように製造された複合材のさらなる集合体において、非最適化繊維ペレットは、プラスチック処理機により容易に導入されることに加えて木粉より良好な性能を有することを示す以下のデータが得られた。
【表9】

【0091】
尿素−ホルムアルデヒド(UF)樹脂、メラミン、イソシアネート等ならびにPVAのようなMDFに対して一般的に使用される樹脂、および他の一般的な樹脂を使用して、押出機または射出成形機への後の導入のための繊維ペレットの製造を容易にする良好な効果を得ることができる。
【実施例3】
【0092】
木繊維バイオポリマー複合材
材料およびサンプル製造
実験用マキシブレンダーを使用して、水中分散液または溶液としてポリマー添加剤を吹きつけ、または注入することによって、3つの樹脂、デンプン、ポリビニルアルコール(PVAl)およびメラミン−尿素−ホルムアルデヒド(MUF)をそれぞれ個別の実験においてMDF繊維(NZ森林研究所Run128のMDF精製装置ブローラインによる熱機械パルプ)に添加した。マキシブレンダーは、高乱気流の空気または蒸気またはガスで繊維ストリームを送り、樹脂または添加剤を流動繊維ストリームに吹きつけるための射出ポートを有する。次いで、含浸MDF繊維を回収し、熱および圧力を利用して加圧して厚さ2ミリメートルの300×300mmパネルとし、続いて5mm平方のペレットに加工した。MDF方形ペレットをシートから製造し、180〜200℃でバイオポリマーPLA(ポリ酢酸)およびポリヒドロキシブチレート(バイオポール)と押出混合した。かくして繊維含有率40%(w/w)の繊維補強バイオポリマーの様々な複合材を製造し、ペレット化し、次いで射出成形して、以下の表10に示される試料とした。
【表10】

【0093】
使用された添加剤は、2パーセントで添加されたメラミン−尿素−ホルムアルデヒド(MUF)、アルドリッチ90%加水分解ポリビニルアルコール(PVAl)およびペンフォードの可塑化ゲロースデンプン173であった。
【0094】
温度を90℃に維持するために温度制御スターラ−ホットプレートを使用して、ポリビニルアルコール(PVAl)を固形分10%で溶液に溶解させた。次いで、溶液を冷却し、溶液を繊維に吹きつけた。固形分が少ないため、繊維を2時間乾燥させてから、第2の量(MDF繊維固形分に対して固形分2%)を再度吹きつけて、添加剤をこの比較のために必要な4%固形分まで増加させなければならなかった。より低いレベルまたは異なるレベルを適用してもよい。本発明は、最初に繊維にプレコートし、次いでMDF型方法および加圧法を介してペレット化することによって、(溶液または膜として通常入手可能な)ポリビニルアルコールのような扱いにくい材料を補強プラスチックに導入する便利な手段を提供する。
【0095】
ペンフォードのゲロースデンプン173を水とグリセロールの混合物(20:80)に溶解させて、MDF繊維に吹きつけるための可塑化デンプン(分散液/溶液中デンプン含有率27.31%)を調製した。
【0096】
木粉を40重量%でバイオポリマーに添加した基準サンプルも製造した(PLA−WFおよびBP−WF)。使用された木粉(WF)は、Kingsland Seedsによって供給された標準グレードの放射相称松であった。粉の篩分析により、250ミクロン未満が77%の粒子分布が示された。
【表11】

【0097】
バイオプラスチックをメーカーの推奨に従って、典型的には60〜80℃で2〜4時間乾燥させた。
【0098】
120rpmの回転速度、およびバイオポール押出については140〜170℃、PLAについては170〜190℃の温度範囲で、OMC19/30二軸同時回転押出機(19mmスクリュー、L:D30)を混合に使用した。予め圧縮されたMDF方形ペレットおよびバイオポリマーペレットを個別のストリームで供給した。バイオポリマーを最初に供給し、続いてMDF方形ペレットを出口ダイにより近くで押出機胴体に沿って途中まで供給した。40%MDF/60%バイオポリマーおよび添加剤を、ダイを通じて押し出して、直径3mmのストランドを形成した。ストランドを実験用ペレタイザでペレット化した。
【0099】
バイオポール−MDF配合材料を60℃で24時間再度乾燥させてから、射出成形して試料とした。100〜200rpmのスクリュー速度および150〜190℃の範囲のスクリュー温度を用いて、Boy15S射出成形機(28mmスクリュー、L:D=20:1)を使用して試料を成形した。
【0100】
PLA−MDF配合材料を80℃の温度で24時間再度乾燥させてから、射出成形して試料とした。100〜200rpmのスクリュー速度および165〜210℃の範囲のスクリュー温度を用いて、Boy15S射出成形機(28mmスクリュー、L:D=20:1)を使用して試料を成形した。
【0101】
配合WFペレットを40℃で水分が0.5%を下回るまで、典型的には5から8日間再度乾燥させてからすぐに射出成形した。上記と同様の条件を用いて、Boy15S射出成形機(28mmスクリュー、L:D=20:1)を使用して乾燥ペレットを射出成形した。
【0102】
機械特性試験
測定および試験の前に、サンプルを23℃、50%RHで1週間調整した。
【0103】
ローディングノーズおよびサポートが7.5mmの半径を有することを除いては、ASTM方法D790−96a(8)に従って曲げ特性を評価した。Instron型式5567試験機が3点曲げ試料を試験するのに使用され、10kNロードセル試験機が装備された。曲げ試験では、50mmのスパンおよび1.3mm/分の速度を用いた。
【0104】
MDF充填バイオポリマー複合材の密度および曲げ特性を以下の表11および12に示す。
【表12】

【表13】

【0105】
ニート=繊維が存在しないプラスチック。WF=40%で添加された木粉。その他=本発明による予め含浸されたMDF繊維を有する上記表10における充填率40%の繊維
本発明の方法によって製造されたプレコート繊維ペレットの使用により、木粉基準と比較して、強度のような特性の有意な向上がバイオプラスチックに達成される。繊維コーティングとしてのポリビニルアルコールの仕様から特別な利点が認められる。改質ポリビニルアルコールおよび/またはコポリマーは、繊維コーティングとしても十分に機能することが期待できる。熱効果性樹脂バインダーであるMUFを使用しても、木繊維の押出機または成形機への導入を容易にするのに加えて、基準材料(木粉)に比べて性能上の利点が得られる。
【実施例4】
【0106】
本発明によって製造されるペレットの直接射出成形
ポリ酢酸ビニル(National Starch;繊維に対して4%乾燥重量充填率)を有する木繊維ペレットを既に記載されているように本発明に従って製造し、切断して5mmの方形ペレットとして、乾燥させた。次いで、ペレットを、繊維ペレットを添加(PLA)ペレットと予備混合することにより上記のように添加PLAと射出成形して、射出成形サンプルを製造した。
【0107】
ポリマーが添加された直接射出成形繊維ペレットは、最終プラスチック複合材における約20重量%の繊維充填率で67.9MPaの曲げ強度および6.27GPaの曲げ弾性率を示した。したがって、この高弾性率は、同様の弾性率を達成する実施例3に使用された木粉充填率の約半分である20重量%の充填率で存在する繊維によって達成された。先に記載した添加剤の単純な最適化を通じて、さらなる性能の向上が達成されることになる。これは、ポリマーが添加された繊維ペレットの(中間押出混合を含まない)直接射出成形を達成できることを実証している。
【実施例5】
【0108】
MDF製造パイロットプラント試験
プラスチック処理に使用される繊維−ポリマーペレット供給原料を製造するために、MDFまたは粒子板工業における精製装置−ブローラインポリマー添加を用いて、NZ森林研究所のMDFパイロットプラントでの試験を実施した。
【0109】
MDF工業で用いられている高温/機械パルプに対する典型的な条件下で、森林研究機械式パルピングパイロットプラントにおいて木片からの繊維を製造した。
【0110】
ミケム43040エマルジョンをMDF精製装置−ブローライン中で高温繊維に添加し、12から16%の目標水分含有率までチューブ乾燥機で140℃にて乾燥させた。MDF繊維を加圧して、3種類の密度(500、700および900kg/m)で2ミリメートル厚さの300×300mmパネルとし、続いて5mm平方に処理(細断)した。カップリング剤添加剤を有するシートからMDF方形ペレットを製造し、次いで180〜200℃にて押出機でポリプロピレンと押出混合した。次いで、40%(w/w)の繊維含有率の繊維補強ポリプロピレンの様々な組成物を製造し、ペレット化してから、射出成形して試料とした。
【0111】
結果は、乳化カップリング剤またはバインダーを商業MDFプラントのブローライン、および商業MDFを代表するプロセスにおけるペレットの製造または粒子板製造に加えると、先の実験例と同様の性能および木粉同等物より優れた性能および加工性が得られることを示している。
【0112】
バインダーまたはカップリング剤を精製装置−ブローラインプロセスにおける様々な時点で添加することができ、精製装置、またはブローラインに沿う様々な時点で添加することが可能である。2つ以上の時点を用いて、同一または異なるポリマーまたは添加剤を順次加えることができる。
【0113】
材料
熱機械パルプの試験繊維例−森林研究所のPAPROパイロットプラント(Rotorua)でMDF繊維を製造した。繊維129は、ブローラインで流動する繊維に射出された4%ミケムエマルジョンを有していた。
【0114】
使用されたポリプロピレン樹脂は、ペレットとして供給されたHyundai SeetecグレードM1600であった。使用された無水マレイン酸改質ポリプロピレンエマルジョンは、Michelman Incによって供給されたミケム43040(非イオン性エマルジョン)であった。
【0115】
繊維をプラスチック袋に投入するサイクロンで回収される繊維に高温(140〜160℃)の空気を吹きつけるMDF乾燥チューブを使用して、処理毎に約20kgのコート繊維を乾燥させた。
【0116】
繊維の水分含有率を測定し、水分含有率のばらつきを補正するために調整した。MDF精製装置ブローラインにおいてミケム43040を高温の繊維に添加し、コートされた繊維を12から16%の目標水分含有率まで140℃で乾燥させた。MDF繊維を加圧して、3種類の密度(500、700および900kg/m)で2ミリメートル厚さの300×300mmパネルとし、続いて5mm平方に処理または細断した。ペレットを180〜200℃にて押出機でポリプロピレンと押出混合し、ペレット化してから、射出成形して試料とした。シートまたはペレットの他の寸法も勿論全面的に実現可能である。すべての予め圧縮されたMDF方形ペレットをカップリング剤とともに60℃で48時間乾燥させてから、混合した。
【0117】
製造されたサンプルを以下の表13に列記する。
【表14】

【0118】
500M−900M4:ブローラインにおいて添加された4%ミケムG3015カップリング剤の存在下で加圧された上記MDF繊維。180℃で1分間異なる密度にホットプレスした繊維。
【0119】
180rpmのスクリュー速度および180〜200℃の範囲の温度で、OMC19/30二軸スクリュー同時回転押出機を混合に使用した。予め加圧されたMDF方形ペレットおよびポリプロピレンペレットを2つの個別のストリームで供給した。ポリプロピレンを最初に供給し、続いてMDF方形ペレットを押出機胴体に沿って途中まで供給した。(カップリング剤がプレコート/塗布された)40%MDF/60%ポリプロピレン剤混合物を、ダイを通じて押し出して、直径3mmのストランドを形成し、実験用ペレタイザを使用してそれを長さ5mm以下のペレットにペレット化した。
【0120】
混合材料を60℃で24時間再乾燥させてから、射出成形して試料とした。試料が型穴に完全に充填されるようにした。100〜200rpmのスクリュー速度および200〜245℃の範囲の温度を用いて、Boy15S射出成形機(28mmスクリュー、L:D 20:1)を使用して試料を成形した。
【0121】
機械特性試験
測定および試験の前に、サンプルを23℃、50%RHで1週間調整した。
【0122】
ASTM方法D638−96(I型)(3)に従って引張特性を評価した。10kNロードセルおよび25mm伸縮計が装備されたInstron型式5567試験機を試験に使用した。グリップ間の初期間隔は100mmであり、試験速度は5mm/分であった。
【0123】
ASTM方法D790−96a(8)に従って曲げ特性を評価し、ローディングノーズおよびサポートは、7.5mmの半径を有していた。10kNロードセルが装備されたInstron型式5567試験機を試験に使用した。曲げ試験では、50mmのスパンおよび1.3mm/分の速度を用いた。
【0124】
サンプル密度
MDF充填ポリプロピレン複合材の密度を以下の表14に示す。
【表15】

【0125】
引張特性
引張試験結果を以下の表15に示す。
【表16】

【0126】
曲げ試験特性
曲げ試験結果を以下の表16に示す。
【表17】

【0127】
ミケム43040バインダーを添加すると、MDF繊維/ポリプロピレンの引張および曲げ強度が劇的に向上した。ミケム43040の量が4%から増加しても性能の有意な向上はなかったが、より低い充填率を含む他の量は、全体的に実現可能である。パイロットプラントブローラインにおけるMDF繊維へのミケム43040の添加は、同様のレベルの性能が実験用混合機試験で達成されたことを示す。
【0128】
様々な密度のMDFシートをペレットの供給原料として使用することが可能であった。
【0129】
明細書中に記載された参考文献
1. Schut Jan. H. Wood is Good for Compounding, Sheet & Profile. Online article from http:/www.plasticstechnology.com/articles/199903fal.html (1999).
2. North Wood Plastics Inc., 3220 Crocker Avenue, Sheboygan, WI. 53081 USA. http://www.northwoodplastics.com
3. Brooke, J. G., Goforth, B. D., Goforth, C. L., US Pat. No. 5,082,605, 1992.
4. Deaner, M. J., Puppin, G. , Heikkila. , US Pat. No. 5,827,607, 1998.
5. Stark, N. M., Rowlands, E. R. (2003). Effects of wood fiber charcateristics on mechanical properties of wood/polyproplyene composites. Wood and Fiber Science, 35 (2), 167-174.
6. Loxton, C. , Thumm, A., Grigsby, W. J., Adams, T. and Ede, R. (2000). Resin Distribution in Medium Density Fiberboard: Quantification of UF Resin Distribution on Blowline
Blended MDF Fiber and Panels. In Proc. 5th Pacific Rim Biobased Composites
Symposium, Canberra, December 10-13, pp 234-242.
7. ASTM D638 - 96: Standard Test Method for Tensile Properties of Plastics.
8. ASTM D790 - 96a: Standard Test Method for Flexural Properties of Unreinforced and Reinforced Plastics and Electrical Insulating Materials.
9. Sears K.D et al (2001). Proc. 6th International Conference on Woodfibre Plastics composites, Forest Products Society, 2001, P27-34 and US Patent 6,270,883

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック製造における供給原料として使用される、リグノセルロース材料の繊維または天然繊維を含む、本明細書により定義されるペレットまたは顆粒を製造するための方法であって、
リグノセルロース材料または天然繊維を機械的または熱機械的または化学熱機械的または化学機械的に細分化することによって製造された、バラ繊維または分離した繊維または繊維束を乾燥空気ストリームまたは湿潤空気ストリームで輸送し、繊維を輸送しながら、1つ以上のポリマー、モノマーまたはオリゴマーを含む液体調合物を前記繊維に塗布し;
前記繊維を固体製品に成形し;
前記固体製品を細分化して前記ペレットまたは顆粒を製造する;
ことを含む方法。
【請求項2】
前記繊維を乾燥ストリームまたは湿潤ストリーム中で導管に沿って輸送し、ポリマー、モノマーまたはオリゴマーの調合物を前記導管の内部に導入し、前記繊維が前記導管を移動している間に前記調合物を前記繊維に塗布することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記繊維が前記導管を移動している間に、前記調合物を前記導管の内部に吹きつけて該導管内に導入して前記調合物で前記繊維をコーティングまたは部分的にコーティングすることを含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記導管は、繊維板の製造のためのプラントにおける精製段階から前記繊維を輸送する請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
導管が、繊維を乾燥段階または乾燥機へ、またはそれから輸送する、請求項2から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記繊維を加圧して平面形の固体製品とすることによって前記繊維を固体製品に成形することを含む請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記繊維を加熱プラテンの間で加圧することを含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記繊維を加圧して厚さが約2cmまでのシートとすることを含む請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記繊維を加圧して厚さが約1cmまでのシートとすることを含む請求項6または7に記載の方法。
【請求項10】
前記固体製品を切断または鋸引きすることによって前記固体製品を前記ペレットまたは顆粒まで細分化することを含む請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記繊維は、少なくとも約0.8mmの平均繊維長さまたは繊維束長さを有する請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記繊維は、少なくとも約1mmのバラ繊維または繊維束の平均繊維長さを有する請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記繊維の大部分は、少なくとも10:1のアスペクト比を有する請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記繊維の大部分は、少なくとも20:1のアスペクト比を有する請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記繊維の大部分は、少なくとも25:1のアスペクト比を有する請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記固体製品を細分化して、前記ペレット中の繊維の平均繊維長さより長いペレットを製造することを含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記繊維は木繊維である請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
細断により前記固体製品を細分化してペレットまたは顆粒を製造することを含み、かつ、該細断によるペレット化または顆粒化に耐えるように繊維を互いに結合させるのに十分なポリマー、モノマーまたはオリゴマーの調合物を前記繊維に塗布することを含む請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記ペレットまたは顆粒は、乾燥重量で繊維100部当たり0.3から25部のポリマーを含む請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記液体調合物は、水性溶液、分散液またはエマルジョンである請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記調合物が熱可塑性ポリマーを含む請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記熱可塑性ポリマーは230℃未満の融点を有する請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記熱可塑性ポリマーは200℃未満の融点を有する請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記ポリマーは、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、デンプン系、または、1つもしくは複数の酸、無水物、エポキシ、アミン、イソシアネート、シランもしくはシラノール基を有するポリマーもしくはコポリマーである請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記液体調合物の前記繊維への塗布に続いて、1つ以上の第2のポリマー、モノマーもしくはオリゴマー、または、パラフィンもしくは蝋を繊維に塗布することを含む請求項1から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
請求項6に記載の方法であって、前記加圧は、第1および第2の加圧処理を含み、前記第2の加圧処理は、前記第1の加圧処理より高温で実施される方法。
【請求項27】
プラスチック製造における供給原料として使用される、リグノセルロース材料の繊維または天然繊維を含む、本明細書で定義されるペレットまたは顆粒を製造するための方法であって、
リグノセルロース材料または天然繊維を機械的または熱機械的または化学熱機械的または化学機械的に細分化することによって製造された、バラ繊維または分離した繊維または繊維束を乾燥空気ストリームまたは湿潤空気ストリームで導管に沿って輸送し;
1つ以上のポリマー、モノマーまたはオリゴマーを含む液体調合物を繊維に吹きつけ塗布してコーティングまたは部分的にコーティングし;
前記繊維を固体製品に成形し;
前記固体製品を細分化して前記ペレットまたは顆粒を製造する;
ことを含む方法。
【請求項28】
前記導管が繊維板の製造のためのプラントにおける精製段階から繊維を輸送し、方法は、繊維を平面形の固体製品に加圧することによって前記繊維を固体製品に成形することを含む請求項27に記載の方法。
【請求項29】
プラスチック製造における供給原料として使用される、木繊維を含む、本明細書により定義されるペレットまたは顆粒を製造するための方法であって、固体木材を機械的または熱機械的または化学熱機械的または化学機械的に細分化することによって製造された木繊維または繊維束に対して、1つ以上のポリマー、モノマーまたはオリゴマーを含む液体調合物を繊維に塗布してコーティングまたは部分的にコーティングし、前記繊維を加圧して固体製品とし、該固体製品を木繊維含有ペレットまたは顆粒に細分化することを含む方法。
【請求項30】
請求項1から29のいずれか一項に記載の方法によって製造されたペレットまたは顆粒。
【請求項31】
請求項1から29のいずれか一項に記載の方法により、ペレットまたは顆粒を供給原料としてプラスチック押出機または成形機に導入することを含むプラスチック製品または中間体を製造する方法。

【公表番号】特表2009−508708(P2009−508708A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−518059(P2008−518059)
【出願日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【国際出願番号】PCT/NZ2005/000140
【国際公開番号】WO2006/001717
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(500554759)ニュージーランド フォレスト リサーチ インスティテュート リミテッド (4)
【Fターム(参考)】