説明

架橋セルロース繊維を高いレベルで含有する高コンシステンシースラリーを使用する方法

【課題】架橋セルロース繊維を高いレベルで含有する高コンシステンシースラリーを使用するための方法を提供する。
【解決手段】コンシステンシーの高いスラリー中のセルロース繊維をスクリーン中にローターにより分散させ、これらの繊維を穴径が少なくとも2mmであるスクリーンに通し、小孔のある支持体上で成形することを含む方法。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
分野
本発明は、繊維内架橋セルロース繊維を高いレベルで含有する高コンシステンシーセルロース繊維パルプスラリーを使用する方法に関する。
【0002】
要旨
本発明は、架橋セルロース繊維を高いレベルで含有する高コンシステンシーパルプスラリーを使用するための方法であって、それら繊維をスクリーン中にそのスクリーン中のローターにより分散させ、次いで、それら繊維を穴径が少なくとも2mmであるスクリーンに通し、そして、セルロース繊維を小孔のある支持体上で成形することによる方法に向けられている。
【0003】
図面の簡単な説明
この開示の前述の各側面や付随する多くの利点は、添付する図面と共に、以下の具体的な説明を参照することにより、よく理解され、より容易に認識されるだろう。
【0004】
具体的な説明
架橋セルロース繊維を高いレベルで含有する高コンシステンシースラリーは、スラリー中の高レベルの架橋セルロース繊維によりスクリーンが填塞されるために、板紙製紙機に使用することができない。この問題を克服する、架橋セルロース繊維を高いレベルで含有する高コンシステンシースラリーを使用するための方法が開発された。
【0005】
図1を参照すると、スラリータンク10において、セルロース繊維からなる高コンシステンシースラリーが水などの分散媒中に形成される。得られるスラリーは、次いで、コンシステンシー調節器12にポンプで送られ、そこで希釈水が添加され一定のコンシステンシーが維持される。続いて、スラリーは製紙機のチェスト14へ、次いで、垂直又は水平に取り付けることができるスクリーンバスケット16中にポンプで送られる。スクリーンバスケットには、ニューヨーク州ウォータータウンのGL&V製のローブローター、ホイルローター又はバンプローターのような種々のタイプのローターを据え付けることができる。ローターは、スクリーン中で繊維を分散させ、許容可能な繊維をスクリーンバスケットに通してヘッドボックス18へと押し込む役割をする。排除された繊維はフラットスクリーン16aへと進み、そこで更に、廃棄される排除品と製紙機チェスト14に戻される許容可能な繊維とに分離される。ヘッドボックスは、シングルプライヘッドボックス、マルチプライヘッドボックス、又は、各々のシングルプライヘッドボックスからの1層を組合せることにより形成される2以上の層を形成するように配置された2以上のシングルプライヘッドボックスであってもよい。ヘッドボックスから、パルプをワイヤ20上に形成し、脱水して乾燥させる。
【0006】
本方法の一態様においては、セルロース繊維からなる少なくとも1種の高コンシステンシースラリーを水性分散媒中に形成する。セルロース繊維は、架橋セルロース繊維及び標準セルロース繊維の両方であり、これら繊維をスクリーンにあるローターを使ってスクリーン中に分散させ、次いで、穴径が少なくとも1.5mmであるスクリーンに通過させる。セルロース繊維は小孔のある支持体上で成形する。ローターは、ローブ、ホイル、バンプ及びSのような種々のタイプのものであることができる;これらのリストは、本発明に適しており当業者に既知であるタイプを限定することを意味するものではない。別の態様においては、繊維を穴径が少なくとも2mmであるスクリーンに通過させる。スクリーンの穴径は6mmまで使用することができる。本明細書中で使用するように、“コンシステンシー”の用語は、液体及び固体混合物のうち固体のパーセント含量を意味する。例えば、コンシステンシー2%のセルロース繊維は、繊維及び液体100グラム中にセルロース繊維が2グラム存在することを意味する。別の態様においては、スラリーのコンシステンシーは少なくとも2.5%であり、更に別の態様においては、スラリーのコンシステンシーは少なくとも3%である。高コンシステンシースラリーとは3〜4%の固体含量を意味し、中コンシステンシースラリーとは1〜2%の固体含量を意味し、低コンシステンシースラリーとは1%未満の固体含量を意味する。
【0007】
架橋セルロースは、高コンシステンシースラリー中の全繊維の重量基準で、少なくとも35%のレベルで高コンシステンシースラリーに存在することができる。一の態様においては、架橋セルロースは、高コンシステンシースラリー中の全繊維の重量基準で、少なくとも40%のレベルで存在する。別の態様においては、架橋セルロースは、高コンシステンシースラリー中の全繊維の重量基準で、少なくとも50%のレベルで存在し、更に別の態様においては、高コンシステンシースラリー中の全繊維の重量基準で、少なくとも60%のレベルで存在する。
【0008】
本発明において使用するのに好ましい架橋セルロース繊維は、架橋セルロース繊維である。必要であれば、数多くの架橋剤及び架橋触媒のうち任意の1種を使用して、架橋繊維を層中に含ませることができる。以下のものは有用な架橋剤及び触媒の代表的なリストである。以下に銘記する特許はそれぞれ参照によりその全体を本明細書中に援用する。
【0009】
尿素を基材とした適する架橋剤としては、メチロール化尿素、メチロール化環状尿素、メチロール化低級アルキル環状尿素、メチロール化ジヒドロキシ環状尿素、ジヒドロキシ環状尿素、及び低級アルキル置換環状尿素などの置換尿素が挙げられる。尿素を基材とした特定の架橋剤としては、ジメチルジヒドロキシ尿素(DMDHU,1,3−ジメチル−4,5−ジヒドロキシ−2−イミダゾリジノン)、ジメチロールジヒドロキシ−エチレン尿素(DMDHEU,1,3−ジヒドロキシメチル−4,5−ジヒドロキシ−2−イミダゾリジノン)、ジメチロール尿素(DMU,ビス[N−ヒドロキシメチル]尿素)、ジヒドロキシエチレン尿素(DHEU,4,5−ジヒドロキシ−2−イミダゾリジノン)、ジメチロールエチレン尿素(DMEU,1,3−ジヒドロキシメチル−2−イミダゾシジノン)、及びジメチルジヒドロキシエチレン尿素(DMeDHEU又はDDI,4,5−ジヒドロキシ−1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン)が挙げられる。
【0010】
適する架橋剤としては、米国特許第4,822,453号;第4,888,093号;第4,889,595号;第4,889,596号;第4,889,597号;及び第4,898,642号に記載されているような、C−Cジアルデヒド類(例えば、グリオキサール)、少なくとも1つのアルデヒド基を有するC−Cジアルデヒド酸類似物、及び、これらのアルデヒド及びジアルデヒド酸類似物のオリゴマーなどのジアルデヒド類が挙げられる。他の適する字アルデヒド架橋剤としては、米国特許第4,853,086号;第4,900,324号;及び第5,843,061号に記載されているものが挙げられる。他の適する架橋剤としては、アルデヒド及び尿素を基材とするホルムアルデヒド付加生成物が挙げられる。例えば、米国特許第3,224,926号;第3,241,533号;第3,932,209号;第4,035,147号;第3,756,913号;第4,689,118号;第4,822,453号;第3,440,135号;第4,935,022号;第3,819,470号;及び第3,658,613号を参照されたい。また、適する架橋剤としては、例えば、米国特許第4,968,774号に記載されている尿素のグリオキサール付加物や、米国特許第4,285,690号;第4,332,586号;第4,396,391号;及び第4,505,712号に記載されているようなグリオキサール/環状尿素付加物も挙げられる。
【0011】
他の適する架橋剤としては、ポリカルボン酸などのカルボン酸架橋剤が挙げられる。ポリカルボン酸架橋剤(例えば、クエン酸、プロパントリカルボン酸、及びブタンテトラカルボン酸)及び触媒は、米国特許第3,526,048号;第4,820,307号;第4,936,865号;第4,975,209号;及び第5,221,285号に記載されている。少なくとも3つのカルボキシル基を含有するC−Cポリカルボン酸(例えば、クエン酸及びオキシジコハク酸)の架橋剤としての使用は、米国特許第5,137,537号;第5,183,707号;第5,190,563号;第5,562,740号;及び第5,873,979号に記載されている。
【0012】
高分子量ポリカルボン酸も適する架橋剤である。適する高分子量ポリカルボン酸は、米国特許第4,391,878号;第4,420,368号;第4,431,481号;第5,049,235号;第5,160,789号;第5,442,899号;第5,698,074号;第5,496,476号;第5,496,477号;第5,728,771号;第5,705,475号;及び第5,981,739号に記載されている。架橋剤としてのポリアクリル酸及び関連するコポリマーは米国特許第5,549,791号及び第5,998,511号に記載されている。ポリマレイン酸架橋剤は米国特許第5,998,511号及び米国特許出願番号09/886,821に記載されている。
【0013】
特定の適するポリカルボン酸架橋剤としては、クエン酸、酒石酸、コハク酸、グルタル酸、シトラコン酸、イタコン酸、タルトラートモノコハク酸(tartrate monosuccinic acid)、マレイン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸、ポリメチルビニルエーテル−コ−マレエートコポリマー、ポリメチルビニルエーテル−コ−イタコネートコポリマー、アクリル酸のコポリマー、及びマレイン酸のコポリマーが挙げられる。他の適する架橋剤は米国特許第5,225,047号;第5,366,591号;第5,556,976号;及び第5,536,369号に記載されている。
【0014】
適する架橋触媒としては、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化アルミニウム、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、及びリン(III)含有酸のアルカリ金属塩などの酸を生ずる塩を挙げることができる。一の態様においては、架橋触媒は次亜リン酸ナトリウムである。
【0015】
架橋剤は、セルロース繊維に対して、それらを製造するときに繊維内架橋させるのに充分な量で適用される。セルロース繊維に対して適用される量は、繊維の全重量基準で約1%〜約25%であることができる。一の態様においては、架橋剤は繊維の全重量基準で約4%〜約6%の量である。架橋剤の混合物又はブレンドを使用してもよい。
【0016】
他の供給源から入手可能であるが、本発明において使用できる非架橋セルロース繊維は、主として木材パルプから誘導される。本発明に関して使用するのに適する木材パルプ繊維は、その後の漂白の有無に関わらず、クラフト法及び亜硫酸法などの周知の化学プロセスから得ることができる。また、パルプ繊維は、サーモメカニカル法、ケミサーモメカニカル法、又はこれらの組合せにより処理することができる。好ましいパルプ繊維は、化学的方法により製造される。砕木パルプ繊維、再利用又は二次木材パルプ繊維、漂白及び未漂白木材パルプ繊維を使用することができる。軟材及び硬材を使用することができる。木材パルプ繊維の選択の詳細は、当業者に周知である。これらの繊維は、本発明の譲受人であるWeyerhaeuser Companyを含む数多くの会社から商業的に入手可能である。例えば、本発明に関して使用可能な、サザンパインから製造される適するセルロース繊維は、CF416、CF405、NF405、PL416、FR416、FR516及びNB416の名称でWeyerhaeuser Companyから入手可能である。北方針葉樹からの溶解パルプとしては、MAC11 Sulfite、M919、WEYCELL及びTR978(これらはすべてアルファ含量が95%である)、ならびにPH(アルファ含量が91%である)が挙げられる。Buckeyeから入手可能なHPZ、HPZ111、HPZ4及びHPZ-XSや、Rayonierから入手可能なPorosonier-Jなどの高純度マーセル化パルプも適している。
【0017】
スクリーンの穴径は変更することができる。一の態様においては、穴径は少なくとも2mmであり、別の態様においては、穴径は少なくとも3mmである。繊維を分散させ、スクリーンを通過させるために使用するスクリーン中のローターは、ローブローター、バンプローター又はホイルローターであることができる。ホイルローターは4〜10のホイルを有することができる。
【0018】
温かい食品、特に温かい液体は、使い捨て容器において広く供給され、消費されている。これらの容器は、板紙及び発泡ポリマーシート材料を含む種々の材料から製造されている。板紙材料のうち最も費用のかからない供給源のひとつはセルロース繊維である。セルロース繊維を使用して、ホット用カップ、ペーパープレート及び他の食品・飲料容器を製造するためにすぐれた板紙がつくられる。しかし、セルロース繊維から製造される慣用的な板紙は、比較的稠密であるので、例えば発泡ポリマーシート材料よりも容易に熱を伝える。したがって、温かい液体は、典型的には、二重カップ又は慣用的な板紙を多プライ含有するカップ中に供給される。
【0019】
使用者が容器中の食品が温かい又は熱いことを感知すると同時に、その容器中の食品又は飲料の消費者が過度な温度を感知することなく長い時間容器を保持することができる、良好な断熱特徴を有するセルロース材料製の板紙を製造することが望ましい。種々の断熱特徴を提供するように調整することができる板紙を提供することが更に望ましい。
【0020】
図5を参照すると、本発明の断熱性板紙52のための基体50が、セルロース繊維などの容易に入手可能な繊維から慣用的な様式で製造される。本発明の板紙は、所望であれば、シングルプライ、2プライ構造、又はマルチプライ構造で製造することができる。本発明の板紙は、これまでに示した合成繊維を使用してもよいが、最も好ましいのは、板紙がすべて又は実質的にすべてセルロース繊維から構成されることである。
【0021】
本発明の顕著な特徴は、シングルプライであるか又はマルチプライ構造であるかに関わらず、板紙の少なくとも1つのプライが、架橋セルロース繊維を含有することである。架橋セルロース繊維は、板紙のバルク密度を増加させ、これにより断熱特徴が向上される。本明細書中で使用するように、架橋セルロース繊維は、よれた、ねじれた、縮れた、セルロース繊維である。しかし、繊維は、前述のように、セルロース繊維を繊維内架橋させることにより製造することが好ましい。
【0022】
本発明の板紙は、広い範囲の特徴を有することができる。例えば、その坪量は、200gsm〜500gsmであることができ、より好ましくは、250gsm〜400gsmであることができる。最も好ましくは、本発明の板紙の坪量は、250gsmに等しいかそれより大きい。本発明の断熱特徴を達成するためには、板紙は0.5g/cc未満の密度を有することが好ましく、より好ましくは、0.3g/cc〜0.45g/ccであり、もっとも好ましくは、0.35g/cc〜0.40g/ccである。
【0023】
本発明にしたがって、板紙の少なくとも1つのプライが架橋セルロース繊維を含有する場合は、有利な温度降下特徴が達成され得る。この温度降下特徴は、板紙中に導入される架橋セルロース繊維の量を変更する、板紙の坪量を調節する、製造した後で例えばニップロールを通過させることにより板紙の厚さを調節する、そしてもちろん、板紙構造中に組み込まれる追加のプライの数や厚さを変更することにより、達成することができる。この板紙は、以下に定義するように、厚さが0.5mmより大きいかこれに等しく、坪量が250gsmに等しいかこれより大きく、密度が0.5g/cc未満であることが好ましい。
【0024】
本発明の板紙は、シングルプライ製品であることができる。シングルプライ製品を使用する場合、板紙の低密度特徴により、妥当な坪量でより厚い板紙を製造することが可能となる。通常の板紙により同じ断熱特徴を達成するためには、通常の板紙の厚さを本発明と比較して2倍にしなければならないであろう。本発明の架橋セルロース繊維を使用して、坪量が通常の板紙と同じである断熱性の板紙を製造することができる。これにより、現存する板紙製紙機により、軽微な変更と生産性のわずかな損失を伴うが、断熱性板紙を効率的に製造することが可能となる。そのうえ、1プライの板紙は、全体の構造が低密度であるという利点を有する。
【0025】
別の態様では、本発明の板紙は、マルチプライ製品であることができ、2つ、3つ、又はそれより多いプライを含むことができる。シングルプライより多く含む板紙は、乾燥の前か又は後のいずれかに複数のプライを組み合わせることにより製造することができる。しかし、マルチプライの板紙は、湿式成形プロセスにおいて連続的に配置された多数のヘッドボックスを使用するか、又は、多数のパルプ完成紙料を受容し、次いで水平に配置する設備能力を有するバッフル付ヘッドボックスにより製造することが好ましい。マルチプライ製品の個々のプライは同じであるか又は異なるものであることができる。
【0026】
本発明の板紙は、例えば、ロトフォーマー(Rotoformer)、長網抄紙機(Fourdrinier)シリンダー、傾斜ワイヤデルタフォーマー及びツインワイヤ成形機を含む、慣用的な製紙機械を使用して成形することができる。
【0027】
本発明にしたがってシングルプライの板紙を使用する場合は、組成が均一であることが好ましい。しかし、シングルプライは組成を層状にしてもよく、一の層に架橋セルロース繊維が富化され、別の層に非架橋セルロース繊維が富化されていてもよい。例えば、板紙の一表面に架橋セルロース繊維を富化して、その表面の嵩を向上させ、他の表面に非架橋セルロース繊維を富化して、滑らかで、密度が高く、多孔度の低い表面を提供してもよい。
【0028】
製造するのに最も経済的な板紙は組成が均一のものである。架橋セルロース繊維は、標準的なセルロース繊維と均等に混合される。例えば、ヘッドボックスの完成紙料において、コンシステンシーの高いスラリー中に存在する架橋セルロース繊維は、好ましくは、約25%〜約100%、より好ましくは、約30%〜約70%の料で存在する。一の態様においては、架橋セルロース繊維は、全繊維含量の重量基準で少なくとも35%のレベルで存在する。別の態様においては、架橋繊維は、全繊維含量の重量基準で少なくとも50%のレベルで存在する。更に別の態様においては、架橋繊維は、全繊維含量の重量基準で少なくとも60%のレベルで存在する。2プライの構造においては、例えば、第一のプライが非架橋セルロース繊維を100%含有し、第二のプライが架橋セルロース繊維を25%〜100%又は30%〜70%含有してもよい。3プライ層においては、例えば、底部層と頂部層が非架橋セルロース繊維を100%含有し、中間層が架橋セルロース繊維を約25%〜約100%、好ましくは、約30%〜約70%含有してもよい。
【0029】
本発明にしたがって板紙中に架橋セルロース繊維を使用する場合、製紙機械から出てくる板紙を種々の程度に圧縮して、板紙全体に亘って温度降下特徴を調節できることが判明した。一旦製紙機械を出た板紙は、50%まで、より好ましくは15%〜25%、厚さを圧縮又は低減してもよい。板紙の坪量を低下させることにより同じ結果を達成することができる。
【0030】
本発明の板紙を利用して、断熱特徴を有することが望ましいとされる種々の構造物、特に容器をつくることができる。これらの容器のうち最も一般的なものの一つは、コーヒー、茶などのような温かい飲料用に利用される広く普及しているホット用カップである。また、通常の紙皿のような他の断熱性容器も、本発明の板紙を組み込むことができる。更に、慣用的に板紙又は発泡材料からつくられる持ち帰り用の容器にも本発明の板紙を使用することができる。図6は、ホット用カップタイプの容器の壁断面を示す。ホット用カップタイプの容器は、1つ又はそれより多いプライ62及び64を含んでもよく、このうちの1つ、この例では64が架橋セルロース繊維を含有する。この態様においては、架橋セルロース繊維は内部プライ64中にある。この内部プライに対しては、好ましくは、液体不透性の裏材が押出成形されるか、又は複数枚被覆される。裏材は、例えば、ポリエチレンのような種々の熱可塑性材料を含んでもよい。カップの底部に使用される板紙は嵩高い繊維を含有しないことが好ましい。
【0031】
実施例1〜9
クエン酸架橋セルロース繊維を50〜65重量%含有し、コンシステンシーが3.2%である、高コンシステンシースラリーを調製した。架橋セルロース繊維は、標準的なベロイトジョーンズ(Beloit Jones)リファイナーにより無負荷で脱フレーク処理した。この高コンシステンシースラリー中の他の構成要素としてダグラスファーセルロース繊維を使用した。数例では、ダグラスファーを650CSFまで精製した。すべての例において、穴径2mmのスクリーンを使用した。異なる試験について、スクリーン中では、6つのホイルが付いたローター、バンプローター及びローブローターを使用した。これらはすべて当業者に周知であり、ニューヨーク州ウォータータウンのGL&V製である。ニューヨーク州ウォータータウンのGL&Vにて、製紙原料をユニットに通してスクリーンタンクポンプへと再循環させることができるパイロットスクリーン機により複数の試験を行った。流速は、およそ3785l/m(1000gpm)〜5678l/m(1500gpm)に変化した。繊維排除品率は10〜13%で推移した。
【0032】
【表1】

【0033】
条件2は、排除品率10%、供給速度3255l/m(860gpm)〜5300l/m(1400gsm)で良好に推移した。条件1は排除品率17%で推移したが、排除品率を低減させる場合は、製紙原料が濃いスクリーンバスケットの中心に排除品ラインを接続した。
【0034】
条件3は、ランダムパターンのGL&Vのバラクーダローター、すなわちバンプローターを用いて行った。試験は排除品ラインを全開にして開始したが、許容品ラインを開けると同時に製紙原料の濃化により流れは減少し始めた。このローターは繊維を分別する傾向があることを意味する。
【0035】
残りの試験は以下のように良好に推移した:
条件4の試験は、排除品率11%、スクリーンに対する差圧0.14kPa(3lb)、ローター速度900RPMであった。ローター速度を1000RPMまで増加させてもまったく影響はなかった。
【0036】
条件5では、ローター速度を800RPMまで降下させ、この時点で拒絶品流れは次第に減少し始め、ローター速度を900に戻した。
【0037】
条件6は条件4と同じであった。
【0038】
条件7では、入口圧力を0.48kPa(10lb)増加させ、供給流れを900GPMから4164l/m(1100GPM)まで増加させ、差圧を0.17(3.5lb)まで増加させた。この条件は良好に推移した。
【0039】
条件8は、供給流れ速度3123l/m(825GPM)で拒絶品率15%で推移した。
【0040】
条件9は、供給流れ速度3785l/m(1000GPM)で拒絶品率13%で推移した。
【0041】
これらの結果は、コンシステンシー3.2%、HBA50〜65%でのスクリーン処理がローブ型ローター設計によりうまく行えたことを示している。
【0042】
繊維試料は、供給製紙原料、許容品ライン及び排除品ラインから得て、繊維含量を顕微鏡で分析した。表2に示す結果は、種々のローターと穴径2mmのスクリーンを用いると、架橋繊維の選択的な分別はまったく存在しなかったことを示している。
【0043】
【表2】

【0044】
実施例10
架橋セルロース繊維を40重量%含有する3〜3.2%の高コンシステンシースラリーを調製した;ダグラスファーの湿潤ラップを通常の繊維として使用した。穴径が4mmであるスクリーンと6ホイルローターを中間プライ用ヘッドボックスの上流で使用した。ダグラスファー又はパイン繊維のみを含有する個々のスラリーを500CSFまで精製し、コンシステンシー0.5%まで希釈し、その後にこのスラリーを外側のヘッドボックスにポンプで送った。500cm板紙製造機により板紙を成形した。
【0045】
実施例11
架橋セルロース繊維を40重量%含有する3〜3.2%の高コンシステンシースラリーを調製する;ダグラスファーの湿潤ラップを通常の繊維として使用する。ローブローターを備え、穴径が2mmであるスクリーンを中間プライ用ヘッドボックスの上流で使用する。ダグラスファー又はパイン繊維のみを含有する個々のスラリーを500CSFまで精製し、コンシステンシー0.5%まで希釈し、その後にこのスラリーを外側のヘッドボックスにポンプで送る。500cm板紙製造機により板紙を成形する。
【0046】
実施例12
架橋セルロース繊維を50重量%含有する3〜3.2%の高コンシステンシースラリーを調製する;ダグラスファーの湿潤ラップを通常の繊維として使用する。ローブローターを備え、穴径が2mmであるスクリーンを中間プライ用ヘッドボックスの上流で使用する。ダグラスファー又はパイン繊維のみを含有する個々のスラリーを500CSFまで精製し、コンシステンシー0.5%まで希釈し、その後にこのスラリーを外側のヘッドボックスにポンプで送る。500cm板紙製造機により板紙を成形する。
【0047】
実施例13
架橋セルロース繊維を55重量%含有する3〜3.2%の高コンシステンシースラリーを調製する;ダグラスファーの湿潤ラップを通常の繊維として使用する。ローブローターを備え、穴径が2mmであるスクリーンを中間プライ用ヘッドボックスの上流で使用する。ダグラスファー又はパイン繊維のみを含有する個々のスラリーを500CSFまで精製し、コンシステンシー0.5%まで希釈し、その後にこのスラリーを外側のヘッドボックスにポンプで送る。500cm板紙製造機により板紙を成形する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図1は、本発明において利用される装置構成の概略図である。
【図2】図2は、ローブローターである。
【図3】図3は、ホイルローターである。
【図4】図4は、バンプローターである。
【図5】図5は、2プライ板紙の概略断面図である。
【図6】図6は、ホット用カップ容器の壁断面を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンシステンシーの高いパルプを使用するための方法であって、次の工程:
セルロース繊維からなる少なくとも1種の高コンシステンシースラリーを水性分散媒中に形成し、その際、前記セルロース繊維が架橋繊維を含み、
前記繊維をスクリーン中に前記スクリーン中のローターにより分散させ、
前記繊維を穴径が少なくとも2mmである前記スクリーンに通し、
前記セルロース繊維を小孔のある支持体上で成形すること
を含む前記方法。
【請求項2】
スラリーのコンシステンシーが、乾燥繊維重量基準で少なくとも2.5%である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
高コンシステンシースラリーが、該繊維の乾燥重量基準で少なくとも40%のレベルで、架橋セルロース繊維を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
架橋セルロース繊維が、重量基準で少なくとも50%のレベルでスラリー中に存在する、請求項3記載の方法。
【請求項5】
架橋セルロース繊維が、重量基準で少なくとも60%のレベルでスラリー中に存在する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
スクリーンの穴径が少なくとも2mmである、請求項1記載の方法。
【請求項7】
スクリーンの穴径が少なくとも3mmである、請求項1記載の方法。
【請求項8】
ローターがローブローターである、請求項1記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−188807(P2006−188807A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−35(P2006−35)
【出願日】平成18年1月4日(2006.1.4)
【出願人】(302009279)ウェヤーハウザー・カンパニー (36)
【Fターム(参考)】