説明

染毛剤組成物及び脱色剤組成物

【課題】 油性成分を含有するとともに使用時に混合作業を伴う染毛剤組成物又は脱色剤組成物において、染毛剤又は脱色剤の混合性を高めることができる染毛剤組成物又は脱色剤組成物を提供する。
【解決手段】 (A)酸化染料及び(B)アルカリ剤を含有する染毛第1剤、(C)酸化剤及び(D)油性成分から構成され、該(D)油性成分の一部又は全部が粒子として配合される染毛第2剤から構成されている染毛剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染毛剤組成物及び脱色剤組成物中において油性成分の一部又は全部がカプセルにより封入されている染毛剤組成物及び脱色剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、酸化染料と該酸化染料の浸透性を向上させるためのアルカリ剤を配合する染毛第1剤及び酸化染料を発色させるための酸化剤を配合する染毛第2剤から構成される染毛剤組成物が知られている。また、毛髪に含まれるメラニンを脱色させるための酸化剤を配合する脱色第2剤及び該酸化剤の浸透性を向上させるためのアルカリ剤を配合する脱色第1剤から構成される脱色剤組成物が知られている。かかる染毛剤組成物は染毛第1剤及び染毛第2剤が使用直前に混合され、その混合物が塗布されることにより毛髪が染色される。同様に脱色剤組成物は脱色第1剤及び脱色第2剤が使用直前に混合され、その混合物が塗布されることにより毛髪が脱色される。従来より、例えば特許文献1に開示されるように染毛第1剤及び染毛第2剤の少なくとも一方に毛髪の感触・明度等の向上を目的として油脂等の油性成分が配合される染毛剤組成物が知られている。かかる油性成分は配合量を多くすれば感触・明度等の向上に繋がる一方、それに伴い薬剤の粘度も上昇する。したがって、油性成分を多く含有させると染毛剤の性状は液状からクリーム状(ゲル状)へと変化する。部分染め等において使用される刷毛とトレイを使用し染毛第1剤及び染毛第2剤を混合する場合は染毛第1剤及び染毛第2剤が共にクリーム状の性状であっても混合・攪拌することができた。
【特許文献1】特開2003−55174号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、例えば染毛第1剤及び染毛第2剤が収容容器内に別々に充填され、収容容器から吐出させる際一つの吐出口から混合吐出させることができる(同時吐出機構を持つ)エアゾール容器等を用いた場合、粘度の高いクリーム状の液剤を使用すると混合性が悪くなるという問題があった。また、刷毛とトレイを使用する場合であっても、粘度の高いクリーム状液剤の混合処理を短時間のうちに容易に行うことができない問題があった。その一方、油性成分は上述したように配合量を多くすれば感触・明度等の向上に繋がるため、容易に配合量を低く抑えることはできなかった。かかる問題は、油性成分を含有するとともに使用時に混合作業を伴う脱色剤組成物でも同様に生じていた。
【0004】
本発明は、上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、油性成分を含有するとともに使用時に混合作業を伴う染毛剤組成物又は脱色剤組成物において、染毛剤又は脱色剤の混合性を高めることができる染毛剤組成物又は脱色剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、(A)酸化染料、(B)アルカリ剤、(C)酸化剤及び(D)油性成分から構成されるとともに使用時に混合処理を伴う染毛剤組成物において前記(D)油性成分の一部又は全部が粒子として配合されている。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の染毛剤組成物において、粒子の粒径は0.1〜10mmである。
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の染毛剤組成物において、前記(A)酸化染料及び(B)アルカリ剤が配合される染毛第1剤と前記(C)酸化剤が配合される染毛第2剤から構成され、該染毛第1剤及び染毛第2剤の少なくとも一方に粒子状の(D)油性成分が配合される。
【0007】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の染毛剤組成物において、前記粒子はアルギン酸塩の被膜によりカプセルとして構成され、前記染毛第2剤に配合される。
請求項5記載の発明は、(E)アルカリ剤、(F)酸化剤及び(G)油性成分から構成されるとともに使用時に混合処理を伴う脱色剤組成物において、前記(G)油性成分の一部又は全部が粒子として配合されている。
【0008】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の脱色剤組成物において、前記粒子の粒径は0.1〜10mmである。
請求項7記載の発明は、請求項5又は請求項6記載の脱色剤組成物において、前記(E)アルカリ剤が配合される脱色第1剤と前記(F)酸化剤が配合される脱色第2剤から構成され、該脱色第1剤及び脱色第2剤の少なくとも一方に粒子状の(G)油性成分が配合される。
【0009】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の脱色剤組成物において、前記粒子はアルギン酸塩の被膜によりカプセルとして構成され、前記脱色第2剤に配合される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、油性成分を含有するとともに使用時に混合作業を伴う染毛剤組成物又は脱色剤組成物において、染毛剤又は脱色剤の混合性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(第1の実施形態)
以下、本発明の染毛剤組成物を具現化した第1の実施形態について詳細に説明する。
第1の実施形態の染毛剤組成物は、(A)酸化染料、(B)アルカリ剤、(C)酸化剤及び(D)油性成分から構成され、該(D)油性成分の少なくとも一部は粒子として配合されている。例えば、第1の実施形態の染毛剤組成物は第1剤としての酸化染毛剤第1剤(以下、染毛第1剤という。)と第2剤としての酸化染毛剤第2剤(以下、染毛第2剤という。)との2剤式で構成される。この場合染毛第1剤は、(A)酸化染料及び(B)アルカリ剤が含有され、染毛第2剤は、(C)酸化剤、及び粒子として配合される(D)油性成分が含有される。染毛第1剤と染毛第2剤が、使用の際に混合処理されることにより、混合物としての染毛混合物を得ることができる。この染毛混合物が毛髪に塗布されることにより、毛髪を染色することができる。まず、染毛第2剤から説明する。
【0012】
<染毛第2剤>
この染毛第2剤には(C)酸化剤、及び粒子として配合されている(D)油性成分が含有される。また、この染毛第2剤にはその他の成分として酸化染毛剤の染毛第2剤に通常用いられる成分が含有される。
【0013】
(C)酸化剤は、下記染毛第1剤に配合される(A)酸化染料を酸化重合させるとともに、毛髪に含まれるメラニンを脱色させるために配合される。(C)酸化剤の具体例としては、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、硫酸塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、ピロリン酸塩の過酸化水素付加物等が挙げられる。これらの(C)酸化剤は単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。これらの(C)酸化剤の中でも、メラニンの脱色力に優れることから、好ましくは過酸化水素である。(C)酸化剤として過酸化水素を配合した場合、過酸化水素の分解を抑制するために、安定化剤を配合することが好ましい。安定化剤の具体例としては、尿素、フェナセチン、スズ酸ナトリウム、エチレングリコールフェニルエーテル、8−オキシキノリン、リン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸及びその塩、ジブチルヒドロキシトルエン等が挙げられる。また「医薬部外品原料規格」(1991年6月発行、薬事日報社)に収載されるものから選ばれる少なくとも一種を配合してもよい。
【0014】
染毛混合物中における(C)酸化剤の含有量は、好ましくは0.1〜10.0質量%、更に好ましくは0.5〜8.0質量%、最も好ましくは1.0〜6.0質量%である。この含有量が0.1質量%未満であると、メラニンを十分に脱色することができないおそれがあり、また(A)酸化染料を十分に酸化発色することができない。一方、10.0質量%を超えて配合すると、毛髪に損傷等の不具合が発生するおそれがある。
【0015】
(D)油性成分は、染毛剤組成物を毛髪に塗布しやすくすると共に、毛髪に軟らかさと潤いを与えることにより毛髪の感触と明度を向上させるために配合される。(D)油性成分としては、油脂類、ロウ類、高級アルコール、炭化水素類、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル、エステル類、シリコーン類等が用いられる。
【0016】
油脂としては、オリーブ油、ツバキ油、シア脂、アーモンド油、茶実油、サザンカ油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、牛脂、カカオ脂、トウモロコシ油、落花生油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、小麦胚芽油、ハトムギ油、ブドウ種子油、アボカド油、カロット油、マカデミアナッツ油、ヒマシ油、アマニ油、ヤシ油、ミンク油、卵黄油等が挙げられる。ロウ類としては、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油、ラノリン等が挙げられる。
【0017】
高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール(セタノール)、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、2−ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、ラノリンアルコール等が挙げられる。
【0018】
炭化水素としては、α−オレフィンオリゴマー、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、合成スクワラン、植物性スクワラン、スクワラン、ポリブテン、流動イソパラフィン、流動パラフィン、オゾケライト、セレシン、パラフィン、ポリエチレン末、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等が挙げられる。
【0019】
高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、リノール酸、リシノール酸、ラノリン脂肪酸等が挙げられる。アルキルグリセリルエーテルとしては、バチルアルコール(モノステアリルグリセリルエーテル)、キミルアルコール(モノセチルグリセリルエーテル)、セラキルアルコール(モノオレイルグリセリルエーテル)、イソステアリルグリセリルエーテル等が挙げられる。
【0020】
エステル類としては、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸−2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、イソオクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、セバシン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ステアリル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ミリスチン酸トリイソデシル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸2−エチルへキシル、リシノール酸オクチルドデシル、脂肪酸(C10-30)(コレステリル/ラノステリル)、乳酸ラウリル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、乳酸オクチルドデシル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、カプリン酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ラノリン誘導体等が挙げられる。
【0021】
シリコーン類としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、平均重合度が650〜10000の高重合シリコーン、アミノ変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン等が挙げられる。
【0022】
これらの(D)油性成分は単独で配合してもよく、2種以上を組み合わせて配合してもよい。(D)油性成分の含有量は染毛第2剤中に好ましくは0.01〜50.0質量%、より好ましくは0.1〜30.0質量%である。この配合量が0.01質量%未満の場合には、毛髪に軟らかさと潤い等の感触を向上させる効果を十分に発揮することができなくなる。一方、50.0質量%を超える場合には、それ以上効果は向上せず、また感触が低下する。
【0023】
(D)油性成分は、少なくとも一部が粒子形状で染毛第2剤に配合される。染毛第2剤中においてすべての(D)油性成分が粒子状に配合されてもよいし、一部が粒子状に配合されてもよい。染毛剤中に配合される(D)油性成分のうち大部分が粒子外に存在する場合、液剤の粘度上昇を招くため、好ましくは染毛剤中に配合される(D)油性成分のうち半分以上、より好ましくは80%以上、最も好ましくは全部が粒子として配合される。粒子は皮膜を形成するカプセル型粒子、及び粉体の造粒物、ゲル粒子等の非カプセル粒子のいずれであってもよい。また、粒子の形状は特に限定されるものではないが、混合性の観点から球形が好ましい。カプセル型の粒子として、高分子有機材料としての水溶性アルギン酸塩と水溶性カルシウム塩を反応させて水不溶性のアルギン酸カルシウムを生成させることによりカプセル膜を形成される方法が挙げられる。水溶性アルギン酸塩としては、例えばアルギン酸カリウム、アルギン酸ナトリウムなどのアルカリ金属塩、及びアルギン酸トリエタノールアミン、アルギン酸アンモニウムなどのアミン塩などが用いられる。水溶性カルシウム塩としては、例えば塩化カルシウム、硫酸カルシウム、クエン酸カルシウム、リン酸カルシウムなどが挙げられる。その他の有機材料として、寒天、ゼラチン、コラーゲン等が挙げられる。カプセル型の粒子の製造方法は、滴下法等の公知の方法を用いることができる。また、非カプセル型の粒子は、ゼオライト、アルミナ、活性炭、セラミック、ガラス等の無機材料からなる粉体の造粒物を形成することにより作成することができる。これらの粒子形成材料のうち製造の容易性及びアルカリ溶液中において容易に溶解・破裂することからアルギン酸塩を使用したカプセル型の粒子が好ましい。
【0024】
染毛剤中の粒子の大きさは、0.1〜10mmが好ましく、0.2〜8mmがより好ましく、0.3〜6mmがさらに好ましい。粒子の大きさが10mm以上であると染毛組成物中での浮遊性、分散性及び安定性が悪くなるとともに、生産性が悪くなる。また、粒子の大きさが0.1mm以下であると染毛組成物中において浮遊性及び分散性が悪くなるとともに、また粒子を目視により確認することが困難となるため視覚上好ましくない。
【0025】
この染毛第2剤には、その他の成分として水、界面活性剤、多価アルコール等が配合される。水は各成分の溶媒又は分散媒として適量配合される。界面活性剤は、乳化剤又は可溶化剤として染毛第1剤の安定性を保持するために配合される。界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤が挙げられる。
【0026】
非イオン性界面活性剤の具体例としては、エーテル型非イオン性界面活性剤、エステル型非イオン性界面活性剤等が挙げられる。エーテル型非イオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレン(以下、POEという。)セチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POEオレイルエーテル、POEラウリルエーテル、POEオクチルドデシルエーテル、POEヘキシルデシルエーテル、POEイソステアリルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEオクチルフェニルエーテル等が挙げられる。
【0027】
エステル型非イオン性界面活性剤の具体例としては、モノオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノパルミチン酸POEソルビタン、モノラウリン酸POEソルビタン、トリオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEグリセリン、モノミリスチン酸POEグリセリン、テトラオレイン酸POEソルビット、ヘキサステアリン酸POEソルビット、モノラウリン酸POEソルビット、POEソルビットミツロウ、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、親油型モノオレイン酸グリセリン、親油型モノステアリン酸グリセリン、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ショ糖脂肪酸エステル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル等が挙げられる。
【0028】
カチオン性界面活性剤は上記の作用に加えて毛髪の感触を良好にするために配合される。カチオン性界面活性剤の具体例としては、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム等の第4級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0029】
アニオン性界面活性剤の具体例としては、脂肪酸塩、金属セッケン、アシルグルタミン酸塩、アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、POEラウリルエーテルリン酸及びその塩類、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム等が挙げられる。脂肪酸塩としては、ヤシ油脂肪酸カリウム、ヤシ油脂肪酸トリエタノールアミン、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、ミリスチン酸イソプロパノールアミン、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸トリエタノールアミン、オレイン酸カリウム、オレイン酸ナトリウム等が挙げられる。金属セッケンとしては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ミリスチン酸マグネシウム等が挙げられる。アシルグルタミン酸塩としては、ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸カリウム、ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸トリエタノールアミン、ラウロイルグルタミン酸トリエタノールアミン、ミリストイルグルタミン酸カリウム、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム等が挙げられる。アシルメチルタウリン塩としては、ラウロイルメチルタウリンカリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、パルミトイルメチルタウリンナトリウム、ステアロイルメチルタウリンナトリウム等が挙げられる。アルキル硫酸エステル塩としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン等が挙げられる。アルキルエーテル硫酸エステル塩としては、POEラウリルエーテル硫酸ナトリウム、POEラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン等が挙げられる。
【0030】
両性界面活性剤の具体例としては、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ウンデシルカルボキシメトキシエチルカルボキシメチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、ウンデシルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、ウンデシル−N−ヒドロキシエチル−N−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン液、ステアリルジヒドロキシエチルベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルベタインナトリウム液、ビス(ステアリル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリン)クロル酢酸錯体、ヤシ油アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、ヤシ油アルキル−N−カルボキシエトキシエチル−N−カルボキシエチルイミダゾリニウムジナトリウムヒドロキシド、ヤシ油アルキル−N−カルボキシメトキシエチル−N−カルボキシエチルイミダゾリニウムジナトリウムヒドロキシド、ヤシ油アルキル−N−カルボキシメトキシエチル−N−カルボキシエチルイミダゾリニウムジナトリウムラウリル硫酸、ヤシ油アルキルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸−N−カルボキシメトキシエチル−N−カルボキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸トリエタノールアミン、β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルN−カルボキシメトキシエチル−N−カルボキシメチルイミダゾリニウムジナトリウムドデカノイルサルコシン、ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム、ラウリン酸アミドプロピルベタイン液、ラウリルスルホベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン等が挙げられる。
【0031】
多価アルコールとしては、グリコール類、グリセリン類等が挙げられる。グリコール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール等が挙げられる。グリセリン類としては、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等が挙げられる。
【0032】
さらに、その他の成分としてソルビトール、マルトース等の糖類、アラビアガム、カラヤガム、トラガントガム、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、セルロース誘導体、架橋ポリアクリル酸、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジウム等の水溶性高分子化合物、パラベン等の防腐剤、EDTA−2Na等のキレート剤、フェナセチン、8−ヒドロキシキノリン、アセトアニリド、ピロリン酸ナトリウム、バルビツール酸、尿酸、タンニン酸等の安定剤、リン酸、クエン酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸等のpH調整剤、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、香料、紫外線吸収剤等が挙げられる。また「医薬部外品原料規格」(1991年6月発行、薬事日報社)に収載されるものから選ばれる少なくとも一種を配合してもよい。また、(D)油性成分が含有される粒子内にも(D)油性成分とともに上述した水、界面活性剤、多価アルコール及びその他の成分が配合されてもよい。
【0033】
この染毛第2剤の剤型は、水溶液、分散液、乳化液等の液状、ゲル状、フォーム状、クリーム状等特に限定されない。(D)油性成分を含有する粒子を染毛混合液中に分散・混合させる観点より、粘度の低い液状の方が好ましい。
【0034】
<染毛第1剤>
第1の実施形態における染毛第1剤には、(A)酸化染料、(B)アルカリ剤が含有される。また、この染毛第1剤にはその他の成分として酸化染毛剤の染毛第1剤に通常用いられる成分が含有される。
【0035】
(A)酸化染料は、(D)酸化剤による酸化重合によって発色可能な化合物を示し、具体的には、主要中間体及びカプラーに分類される。ここで、(A)酸化染料が酸化重合することによって生成する化合物を多核化合物といい、多核化合物の具体例としては単一種の(A)酸化染料による単独重合体及び複数種の(A)酸化染料による共重合体である。毛髪はこれらの多核化合物によって染色される。
【0036】
主要中間体としては、フェニレンジアミン類とその塩類、アミノフェノール類とその塩類、ジアミノピリジン類とその塩類等が挙げられる。塩類としては塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩等が挙げられる。これらの主要中間体は単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。具体的には、p−フェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−エチル−p−フェニレンジアミン、2−(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、p−アミノフェノール及びそれらの塩類等が挙げられる。
【0037】
カプラーとしては、レゾルシン、ピロガロール、カテコール、m−アミノフェノール、m−フェニレンジアミン、o−アミノフェノール、2,4−ジアミノフェノール、1,2,4−ベンゼントリオール、トルエン−3,4−ジアミン、トルエン−2,4−ジアミン、ハイドロキノン、α−ナフトール、2,6−ジアミノピリジン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、5−アミノ−o−クレゾール、ジフェニルアミン、p−メチルアミノフェノール、フロログルシン、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、没食子酸、タンニン酸、没食子酸エチル、没食子酸メチル、没食子酸プロピル、五倍子、1−メトキシ−2−アミノ−4−(2−ヒドロキシエチル)アミノベンゼン、5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール、それらの塩類等が挙げられる。これらのカプラーは単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0038】
この(A)酸化染料は、様々な色調に変化させることができることから、主要中間体から選ばれる少なくとも一種及びカプラーから選ばれる少なくとも一種から構成されることが好ましい。
【0039】
染毛混合物中における(A)酸化染料の含有量は、好ましくは0.02〜30質量%、より好ましくは0.2〜20質量%である。この含有量が0.02質量%未満であると、十分な染色性が得られないおそれがある。一方、30質量%を超えて配合しても、染色性は向上せず経済的ではない。
【0040】
染毛混合物中における主要中間体の含有量は、好ましくは0.01〜15質量%、より好ましくは0.1〜10質量%である。この含有量が0.01質量%未満であると、十分な染色性が得られないおそれがある。一方、15質量%を超えて配合しても、染色性は向上せず経済的ではない。
【0041】
染毛混合物中におけるカプラーの含有量は、好ましくは0.01〜15質量%、より好ましくは0.1〜10質量%である。この含有量が0.01質量%未満であると、十分な染色性が得られないおそれがある。一方、15質量%を超えて配合しても、染色性は向上せず経済的ではない。
【0042】
その他、「医薬部外品原料規格」(1991年6月発行、薬事日報社)に収載された酸化染料及び酸化染料以外の染料として直接染料等を適宜、配合することもできる。
(B)アルカリ剤は、毛髪を膨潤させることにより、毛髪に対する(A)酸化染料の浸透性を向上させ、染色性を向上させるために配合される。(B)アルカリ剤の具体例としては、アンモニア、アルカノールアミン類、有機アミン類、無機アルカリ、塩基性アミノ酸、それらの塩類等が挙げられる。これらの(B)アルカリ剤は単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。また、二種以上の(B)アルカリ剤を適当に組み合わせて配合することによって第1剤に緩衝作用をもたせてもよい。これらの(B)アルカリ剤の中でも、毛髪に対する(A)酸化染料の浸透性を向上させ易いことから、好ましくはアンモニア及びアルカノールアミン類から選ばれる少なくとも一種である。
【0043】
この(B)アルカリ剤の配合量は、染毛第1剤のpHが8〜12の範囲となる量に設定することが好ましい。染毛第1剤のpHが8未満では、染毛第1剤を染毛第2剤と混合したときに過酸化水素(酸化剤)の作用を十分に促進することができない場合がある。一方、pHが12を超えると、染毛剤組成物を毛髪に施したとき毛髪に損傷等の不具合が発生しやすい。染毛第2剤において(D)油性成分をアルギン酸カルシウム被膜で被覆することにより粒子を作成する場合は、アルギン酸カルシウムがアルカリ性で溶解するため、(B)アルカリ剤は染毛第1剤と染毛第2剤を混合した際、染毛混合液のpHが高く維持されるように添加されることが好ましい。
【0044】
染毛第1剤にはその他の成分として上述した染毛第2剤に記載の水、油性成分、界面活性剤、その他の成分等を含有することができる。また「医薬部外品原料規格」(1991年6月発行、薬事日報社)に収載されるものから選ばれる少なくとも一種を配合してもよい。この第1剤の剤型は、水溶液状、分散液状、乳化物状、ゲル状、フォーム状、クリーム状等が挙げられる。(D)油性成分を含有する粒子を染毛混合液中に分散・混合させる観点より、粘度の低い液状の方が好ましい。
【0045】
<染毛混合物>
酸化染毛剤を使用する際に、上記の染毛第1剤及び染毛第2剤を所定の割合で混合調製することによって染毛混合物を得ることができる。この染毛混合物の剤型は、液状、クリーム状、ゲル状、フォーム状等特に限定されない。(D)油性成分を含有する粒子を染毛混合液中に分散・混合させる観点より、粘度の低い液状の方が好ましい。
【0046】
上述した染毛第1剤及び染毛第2剤の保存形態及び混合方法は特に限定されない。例えば、染毛第1剤及び染毛第2剤は収容容器内に別々に充填され、収容容器から吐出させる際一つの吐出口から混合吐出させることができる同時吐出機構を持つエアゾール容器に充填してもよい。また、専用のトレイを使用し、トレイ上で染毛第1剤及び染毛第2剤を刷毛を用いて混合・撹拌してもよい。また、一つの収容容器内に染毛第1剤及び染毛第2剤を充填して、収容容器を上下に振盪させることにより混合してもよい。それにより、(D)油性成分を含有する粒子は、混合・攪拌処理により染毛混合物中に分散し、崩壊する。また、アルギン酸カルシウム被膜で粒子が作成される場合は、(B)アルカリ剤の作用により染毛混合物がアルカリ性を示すことによりアルギン酸カルシウム膜が溶解、崩壊する。そして、粒子が染毛混合物中に分散されると同時に粒子中の(D)油性成分が拡散する。
【0047】
以上の第1の実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
(1)第1の実施形態では、染毛第1剤及び染毛第2剤からなる染毛剤組成物において、(D)油性成分の一部又は全部を粒子として配合した。したがって、(D)油性成分を粒子として配合しない場合と比較して、液剤の粘度を低く抑えることができる。つまり、油性成分を含有する染毛剤組成物において染毛剤の混合性を高めることができる。例えば、染毛第1剤及び染毛第2剤が収容容器内に別々に充填され、収容容器から吐出させる際一つの吐出口から混合吐出させることができる同時吐出機構を持つエアゾール容器等を用いた場合であっても、液剤の粘度を抑えることができるため混合性を良くすることができる。染毛剤組成物の混合性が良くなることにより、染色性の向上、及び油性成分等の有効成分の添加によって生ずる明度、感触等の効果が十分に発揮され得る。
【0048】
(2)また、(D)油性成分が粒子として添加されることにより、液剤の粘度上昇を抑制しながら、(D)油性成分の配合量を増加させることができる。したがって、毛髪の感触・明度を向上させることができる。
【0049】
(3)また、染毛混合物の毛髪への塗布に刷毛とトレイを使用する場合であっても、混合時液剤の粘度を低く抑えることができるためトレイ上での混合処理を容易に行うことができる。
【0050】
(4)また、保存時にカプセルとして配合される(D)油性成分の一部又は全部が他の配合成分と直接反応しないため(D)油性成分を長期的に安定に染毛第2剤に配合することができる。
【0051】
(5)第1の実施形態では、粒子の粒径を0.1〜10mmとした。したがって、粒子は効率よく液剤中に浮遊・分散するため、染毛剤の混合性をより高めることができる。
また、かかる大きさの粒子は目視により確認することができるため、粒子が配合される液剤の収容容器を透明又は半透明にすることにより、染毛剤組成物が充填される収容容器に美観を付与することができる。また、粒子形成材料としてアルギン酸塩、寒天、ゼラチンを使用する場合は、粒子が透明又は半透明となるため粒子中に着色料を添加等することにより、染毛剤組成物により一層美観を付与することができる。
【0052】
(6)第1の実施形態では、(A)酸化染料と(B)アルカリ剤を含有する染毛第1剤及び(C)酸化剤を含有する染毛第2剤からなる染毛剤組成物の少なくとも一方に(D)油性成分を含有する粒子を配合した。したがって、通常の染毛第1剤と染毛第2剤の混合処理において、粒子が容易に崩壊する。
【0053】
(7)第1の実施形態では、(A)酸化染料と(B)アルカリ剤を含有する染毛第1剤及び(C)酸化剤を含有する染毛第2剤からなる染毛剤組成物において、例えば(D)油性成分をアルギン酸カルシウム被膜を有するカプセルに充填して染毛第2剤に配合した。それにより、染毛第1剤と染毛第2剤を混合した際、染毛混合物がアルカリ性に変化することにより、アルギン酸カルシウム被膜が染毛混合物中において溶解・崩壊する。したがって、染毛混合物中におけるカプセルの崩壊作業を容易に行うことができる。
【0054】
(第2の実施形態)
以下、本発明の脱色剤組成物を具現化した第2の実施形態について詳細に説明する。
第2の実施形態の脱色剤組成物は、(E)アルカリ剤、(F)酸化剤及び(G)油性成分から構成され、該(G)油性成分の少なくとも一部は粒子として配合されている。例えば、第2の実施形態の脱色剤組成物は第1剤としての脱色剤第1剤(以下、脱色第1剤という。)と第2剤としての脱色剤第2剤(以下、脱色第2剤という。)との2剤式で構成される。この場合脱色第1剤は、(E)アルカリ剤が含有され、脱色第2剤は、(F)酸化剤、及び粒子として配合される(G)油性成分が含有される。脱色第1剤と脱色第2剤が、使用の際に混合処理されることにより、混合物としての脱色混合物を得ることができる。この脱色混合物が毛髪に塗布されることにより、毛髪を脱色することができる。まず、脱色第2剤から説明する。
【0055】
<脱色第2剤>
この脱色第2剤には(F)酸化剤、及び粒子として配合されている(G)油性成分が含有される。また、この脱色第2剤にはその他の成分として脱色第2剤に通常用いられる成分が含有される。
【0056】
(F)酸化剤は、毛髪に含まれるメラニンを脱色させるために配合される。(F)酸化剤として、上述した染毛剤組成物に配合される(C)酸化剤が適用され得る。脱色混合物中における(F)酸化剤の含有量は、好ましくは0.1〜10.0質量%、更に好ましくは0.5〜8.0質量%、最も好ましくは1.0〜6.0質量%である。この含有量が0.1質量%未満であると、メラニンを十分に脱色することができないおそれがある。一方、10.0質量%を超えて配合すると、毛髪に損傷等の不具合が発生するおそれがある。
【0057】
(G)油性成分は、脱色剤組成物を毛髪に塗布しやすくすると共に、毛髪に軟らかさと潤いを与えることにより毛髪の感触と明度を向上させるために配合される。(G)油性成分として、上述した染毛剤組成物に配合される(D)油性成分が適用され得る。(G)油性成分の含有量は脱色第2剤中に好ましくは0.01〜50.0質量%、より好ましくは0.1〜30.0質量%である。この配合量が0.01質量%未満の場合には、毛髪に軟らかさと潤い等の感触を向上させる効果を十分に発揮することができなくなる。一方、50.0質量%を超える場合には、それ以上効果は向上せず、また感触が低下する。
【0058】
(G)油性成分が配合される粒子の性状も上述した染毛剤組成物に配合される粒子組成が適用され得る。
この脱色第2剤には、その他の成分として上述した水、界面活性剤、多価アルコール等が配合され得る。
【0059】
<脱色第1剤>
第2の実施形態における脱色第1剤には、(E)アルカリ剤が含有される。また、この脱色第1剤にはその他の成分として脱色第1剤に通常用いられる成分が含有される。
【0060】
(E)アルカリ剤は、毛髪を膨潤させることにより、毛髪に対する(F)酸化剤の浸透性を向上させ、脱色性を向上させるために配合される。(E)アルカリ剤として、上述した染毛剤組成物に配合される(B)アルカリ剤が適用され得る。脱色第1剤のpHが8〜12の範囲となる量に設定することが好ましい。脱色第1剤のpHが8未満では、脱色第1剤を脱色第2剤と混合したときに過酸化水素(酸化剤)の作用を十分に促進することができない場合がある。一方、pHが12を超えると、脱色剤組成物を毛髪に施したとき毛髪に損傷等の不具合が発生しやすい。この脱色第1剤には、その他の成分として上述した水、界面活性剤、多価アルコール等が配合され得る。
【0061】
<脱色混合物>
脱色剤組成物を使用する際に、上記の脱色第1剤及び脱色第2剤を所定の割合で混合調製することによって脱色混合物を得ることができる。この脱色混合物の剤型は、液状、クリーム状、ゲル状、フォーム状等特に限定されない。(G)油性成分を含有する粒子を脱色混合液中に分散・混合させる観点より、粘度の低い液状の方が好ましい。
【0062】
上述した脱色第1剤及び脱色第2剤の保存形態及び混合方法は特に限定されない。例えば、脱色第1剤及び脱色第2剤は収容容器内に別々に充填され、収容容器から吐出させる際一つの吐出口から混合吐出させることができる同時吐出機構を持つエアゾール容器に充填してもよい。また、専用のトレイを使用し、トレイ上で脱色第1剤及び脱色第2剤を刷毛を用いて混合・撹拌してもよい。また、一つの収容容器内に脱色第1剤及び脱色第2剤を充填して、収容容器を上下に振盪させることにより混合してもよい。それにより、(G)油性成分を含有する粒子は、混合・攪拌処理により脱色混合物中に分散し、崩壊する。また、アルギン酸カルシウム被膜で粒子が作成される場合は、(E)アルカリ剤の作用により脱色混合物がアルカリ性を示すことによりアルギン酸カルシウム膜が溶解、崩壊する。そして、粒子が脱色混合物中に分散されると同時に粒子中の(G)油性成分が拡散する。
【0063】
以上の第2の実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
(1)第2の実施形態では、脱色第1剤及び脱色第2剤からなる脱色剤組成物において、(G)油性成分の一部又は全部を粒子として配合した。したがって、(G)油性成分を粒子として配合しない場合と比較して、液剤の粘度を低く抑えることができる。つまり、油性成分を含有する脱色剤組成物において脱色剤の混合性を高めることができる。例えば、脱色第1剤及び脱色第2剤が収容容器内に別々に充填され、収容容器から吐出させる際一つの吐出口から混合吐出させることができる同時吐出機構を持つエアゾール容器等を用いた場合であっても、液剤の粘度を抑えることができるため混合性を良くすることができる。脱色剤組成物の混合性が良くなることにより、脱色性の向上、及び油性成分等の有効成分の添加によって生ずる明度、感触等の効果が十分に発揮され得る。
【0064】
(2)また、(G)油性成分が粒子として添加されることにより、液剤の粘度上昇を抑制しながら、(G)油性成分の配合量を増加させることができる。したがって、毛髪の感触・明度を向上させることができる。
【0065】
(3)また、脱色混合物の毛髪への塗布に刷毛とトレイを使用する場合であっても、混合時液剤の粘度を低く抑えることができるためトレイ上での混合処理を容易に行うことができる。
【0066】
(4)また、保存時にカプセルとして配合される(G)油性成分の一部又は全部が他の配合成分と直接反応しないため(G)油性成分を長期的に安定に脱色第2剤に配合することができる。
【0067】
尚、上記実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・上記実施形態において、染毛剤又は脱色剤に添加する油性成分を含有する粒子の数は特に限定されない。
【0068】
・上記第1の実施形態において、油性成分を含有する粒子は染毛第1剤と染毛第2剤のいずれに配合してもよく、また両方に配合してもよい。染毛第1剤にアルカリ剤が配合される構成においては、染毛第1剤に配合される粒子はアルカリ剤に対して安定なものが好ましい。同様に上記第2の実施形態において、油性成分を含有する粒子は脱色第1剤と脱色第2剤のいずれに配合してもよく、また両方に配合してもよい。脱色第1剤にアルカリ剤が配合される構成においては、脱色第1剤に配合される粒子はアルカリ剤に対して安定なものが好ましい。
【0069】
・上記実施形態において、油性成分を含有する粒子が崩壊する強さは、粒子の被膜の厚さ及び粒子形成材料等を変えることにより調節することができる。それにより、染毛又は脱色混合物を毛髪に塗布する際に粒子が崩壊するよう構成してもよい。
【0070】
・上記第1の実施形態において、染毛剤組成物を染毛第1剤及び染毛第2剤として構成し、使用直前に混合する構成とした。しかしながら、さらに染毛第1剤及び染毛第2剤を構成する各成分を分離して3剤式以上に構成してもよい。例えば、酸化染料を配合する染毛第1剤、アルカリ剤を配合する染毛第2剤及び酸化剤を配合する染毛第3剤からなる染毛剤組成物が挙げられる。かかる構成においても、いずれの液剤に粒子を配合してもよい。また、染毛剤組成物を構成する各成分を使用直前にすべて混合して作成する1剤式として構成してもよい。
【0071】
・上記第2の実施形態において、脱色剤組成物を脱色第1剤及び脱色第2剤として構成し、使用直前に混合する構成とした。しかしながら、さらに脱色第1剤及び脱色第2剤を構成する各成分を分離して3剤式以上に構成してもよい。また、脱色剤組成物を構成する各成分を使用直前にすべて混合して作成する1剤式として構成してもよい。
【実施例】
【0072】
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態を更に具体的に説明する。
(実施例1〜6、比較例1〜6)
表1,2に示される染毛剤組成物について、実施例1〜6、比較例1〜6の染毛第1剤と染毛第2剤を1:1の質量比でトレイ上で混合調製し、染毛混合物を得た。尚、トレイ上での各実施例、各比較例の混合調製時間は同一とする。得られた染毛混合物を黒色人毛毛束(以下、単に毛束という。)に刷毛を用いて塗布し、室温にて30分間放置した。次に、毛束に付着した染毛混合物を水で洗い流した後、シャンプーを2回、リンスを1回施した。タオルで水分を拭き取り、ドライヤーにて乾燥したものを染毛処理毛束とした。各染毛剤組成物について、混合性、経過時安定性の評価を行なった。また、染毛処理毛束について、染毛力、感触、明度の評価を行った。それらの評価結果を表1,3に示す。なお、表1,2における各成分の配合を示す数値の単位は質量%である。染毛剤1剤又は染毛第2剤に配合されるカプセル1〜4は下記に示されるように調製した。
【0073】
<カプセル1> 質量%
(1)アルギン酸ナトリウム 0.5
(2)スクワラン 3
(3)ジメチルポリシロキサン 2
(4)ホホバ油 2
(5)流動パラフィン 2
(6)パラオキシ安息香酸メチル 0.3
(7)精製水 残量
まず、(1)〜(6)の成分を混合し、精製水によって全量が100質量%となるようにした。次に、この水溶液を塩化バリウム(又は塩化カルシウム)の1%水溶液からなる多量の受液に向けてノズルから噴射させた。これを攪拌することによりカプセルを形成させ、そのカプセルを掬い上げた後、水中に投入して洗浄し水中に保存した。
【0074】
<カプセル2> 質量%
(1)アルギン酸ナトリウム 0.5
(2)イソオクタン酸セチル 2
(3)イソステアリルアルコール 2
(4)オレイルアルコール 2
(5)グリセリン 2
(6)α−オレフィンオリゴマー 2
(7)精製水 残量
上記カプセル1と同様に作成した。
【0075】
<カプセル3> 質量%
(1)ジメチルポリシロキサン 2
(2)軽質流動イソパラフィン 2
(3)オレイン酸 2
(4)寒天 1
(5)ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジウム 1
(6)POEラウリルエーテル 0.5
(7)精製水 残量
まず、水溶性成分(4)〜(7)を混合し、90度に加熱させた。次にこの混合成分を80度まで冷却し、同温度であらかじめ加熱溶解させておいた油性成分(1)〜(3)の混合液を添加し、乳化させた。得られた乳液を80度に保ちながらノズルから冷却オイル中に吐出させカプセルを作成した。得られたカプセルを濾別し水洗した後水中に保存した。
【0076】
<カプセル4> 質量%
(1)ジメチルポリシロキサン 2
(2)軽質流動イソパラフィン 2
(3)ゼラチン 2
(4)ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジウム 1
(5)ラウリル硫酸ナトリウム 1
(6)精製水 残量
上記カプセル3と同様に作成した。
【0077】
<混合性>
各実施例及び比較例において、染毛第1剤と染毛第2剤をトレイ上で混合する際に、混合性に優れる:◎、混合性にやや優れる:○、混合性がやや悪い:△、混合性が悪い:×の4段階で判断した。
【0078】
<染毛力>
各実施例及び比較例の毛髪処理剤で処理した毛髪について、目視にて観察することにより、優れた染毛力:◎、良好な染毛力:○、染毛力がやや劣る:△、染毛力が劣る:×とし、染毛力の評価結果とした。
【0079】
<感触>
各実施例及び比較例の毛髪処理剤で処理した毛髪について、パネラーが手で触れることにより、感触が優れる:◎、感触が良好:○、感触がやや悪い:△、感触が悪い:×とし、感触の評価結果とした。
【0080】
<明度>
各実施例及び比較例の毛髪処理剤で処理した毛髪について、目視にて観察することにより、優れた明度:◎、良好な明度:○、明度がやや不十分:△、明度が不十分:×とし、明度の評価結果とした。
【0081】
<経時安定性>
各染毛剤組成物を40℃1ヶ月放置した際の液剤の分離状態を目視にて観察することにより、変化が全くない:◎、やや変化が認められる:○、やや分離している:△、分離している:×とし、経時安定性の評価結果とした。
【0082】
【表1】

【0083】
【表2】

【0084】
【表3】

実施例1〜6における染毛第1剤及び染毛第2剤から構成される染毛剤組成物について、油性成分がカプセルとして配合されることにより薬剤の混合性が向上することが確認される。また、同一組成である各比較例のそれぞれと比較しても、薬剤の混合性が向上することにより染毛力及び油性成分等の有効成分の添加によって生ずる感触・明度等の効果が向上することが確認される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)酸化染料、(B)アルカリ剤、(C)酸化剤及び(D)油性成分から構成されるとともに使用時に混合処理を伴う染毛剤組成物において、
前記(D)油性成分の一部又は全部が粒子として配合されている染毛剤組成物。
【請求項2】
前記粒子の粒径は0.1〜10mmである請求項1記載の染毛剤組成物。
【請求項3】
前記(A)酸化染料及び(B)アルカリ剤が配合される染毛第1剤と前記(C)酸化剤が配合される染毛第2剤から構成され、該染毛第1剤及び染毛第2剤の少なくとも一方に粒子状の(D)油性成分が配合される請求項1又は請求項2記載の染毛剤組成物。
【請求項4】
前記粒子はアルギン酸塩の被膜によりカプセルとして構成され、前記染毛第2剤に配合される請求項3記載の染毛剤組成物。
【請求項5】
(E)アルカリ剤、(F)酸化剤及び(G)油性成分から構成されるとともに使用時に混合処理を伴う脱色剤組成物において、
前記(G)油性成分の一部又は全部が粒子として配合されている脱色剤組成物。
【請求項6】
前記粒子の粒径は0.1〜10mmである請求項5記載の脱色剤組成物。
【請求項7】
前記(E)アルカリ剤が配合される脱色第1剤と前記(F)酸化剤が配合される脱色第2剤から構成され、該脱色第1剤及び脱色第2剤の少なくとも一方に粒子状の(G)油性成分が配合される請求項5又は請求項6記載の脱色剤組成物。
【請求項8】
前記粒子はアルギン酸塩の被膜によりカプセルとして構成され、前記脱色第2剤に配合される請求項7記載の脱色剤組成物。

【公開番号】特開2007−77114(P2007−77114A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−270208(P2005−270208)
【出願日】平成17年9月16日(2005.9.16)
【出願人】(000113274)ホーユー株式会社 (278)
【Fターム(参考)】