説明

染毛剤組成物

【課題】染色時の色調が鮮やかであり、かつ染色後の時間経過に伴う色相の変化が少なく、染色直後と同様の色相を長期間保つ染毛剤組成物及びこれを用いた染毛方法の提供。
【解決手段】次の成分(A)〜(C)を含有し、かつ質量比(A)/[(B)+(C)]が0.001〜1000である染毛剤組成物。
(A)一般式(1)で表される解離性直接染料
X−N=N−Y (1)
〔X及びYはアゾ基に炭素原子を介して結合する、カルボキシ基、スルホ基及び四級アンモニウム基を含まない基であって、Xは置換基を有してもよい複素環基又は芳香族基を、Yは置換基を有してもよく解離性プロトンを含む複素環基、芳香族基又はアルキル基を示す〕
(B)プレカーサーとして、パラフェニレンジアミン誘導体
(C)カップラーとして、メタアミノフェノール誘導体又はメタフェニレンジアミン誘導体

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染色時の色調が鮮やかで、かつ染色後の色相の経時変化が少ない染毛剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
染毛剤としては、酸化染料を用いた酸化染毛剤が、染毛力や堅牢性に優れ、毛髪を明るくすることも可能であることから広く用いられている。酸化染毛剤は、酸化染料が毛髪内部まで浸透、酸化重合することによって、毛髪に新たな色調を与えるもので、アルカリ性過酸化水素と併用すればメラニン色素の分解作用も有し、毛髪の脱色と染毛を同時に行うことが可能である。
【0003】
しかしながら、上記の酸化染毛剤には、酸化染料によって得られる色調が「鮮やかさ」に欠けるといった欠点と、更に日常生活において、得られた色調の「色相」が変化するといった欠点があった。「鮮やかさ」とは広く用いられているL***表色系における原点からの距離C*=(a*2+b*2)1/2で表され、「色相」とはa**平面の外周であり変化量(色相変化)はΔH°=tan-1(Δa/Δb)で表される。
【0004】
「鮮やかさ」に欠けるといった問題を解決するために、酸化染料と共に、鮮やかな色調を与える直接染料である酸性染料、塩基性染料、ニトロ染料を併用して鮮やかな色調を得る方法が提案されている(特許文献1〜3参照)。
【0005】
しかし、これら直接染料は、酸化染料に比べて著しく褪色しやすく、そのため染めた毛髪の「色相」が変化する欠点は克服できていない。
【0006】
【特許文献1】特開平11-302138号公報
【特許文献2】特開2000-7541号公報
【特許文献3】特開平8-133935号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、染色時の色調が鮮やかであり、かつ染色後の時間経過に伴う色相の変化が少なく、染色直後と同様の色相を長期間保つ染毛剤組成物及びこれを用いた染毛方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、特定の直接染料と酸化染料を併用する染毛剤組成物が、幅広い各種の色から選択される鮮やかな色を毛髪に付与することができ、日常生活における時間経過と共に起こる色相変化が小さいことを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、次の成分(A)〜(C)を含有し、かつ成分(B)と成分(C)の合計に対する成分(A)の質量比(A)/[(B)+(C)]が0.01〜100である染毛剤組成物を提供するものである。
【0010】
(A)次の一般式(1)で表される解離性直接染料
X−N=N−Y (1)
〔式中、X及びYはアゾ基に炭素原子を介して結合する、カルボキシ基、スルホ基及び四級アンモニウム基を含まない基であって、Xは置換基を有してもよい複素環基又は芳香族基を、Yは置換基を有してもよく解離性プロトンを含む複素環基、芳香族基又はアルキル基を示す。〕
【0011】
(B)プレカーサーとして、次の一般式(2)で表されるフェニレンジアミン誘導体
【0012】
【化1】

【0013】
〔式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数2若しくは3のヒドロキシアルキル基を示し、R1及びR2は水素原子、メチル基又はヒドロキシエチル基を示し、同じでも異なっていてもよい。〕
【0014】
(C)カップラーとして、次の一般式(3)で表されるメタアミノフェノール誘導体又は一般式(4)で表されるメタフェニレンジアミン誘導体
【0015】
【化2】

【0016】
〔式中、R′は水素原子、メチル基又はヒドロキシエチル基を示し、R3は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基を示す。〕
【0017】
【化3】

【0018】
〔式中、R″は炭素数1〜3のアルキル基、炭素数2若しくは3のヒドロキシアルキル基又は炭素数2若しくは3のヒドロキシアルコキシ基を示す。〕
【発明の効果】
【0019】
本発明の染毛剤組成物は、染色時の色調が鮮やかであり、かつ染色後の時間経過に伴う色相の変化が少なく、染色直後と同様の色相を長期間保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の染毛剤組成物は、成分(A)、(B)、(C)及びアルカリ剤を含有する第1剤と過酸化水素等の酸化剤を含有する第2剤よりなる二剤型等の多剤型の形態をとる。本発明にいう染毛剤組成物とは、使用直前まで別々に保存する第1剤、第2剤等を混合したものをいう。また、「全組成」というときは、この混合した、実際に毛髪に適用する組成物をいう。
【0021】
成分(A)である一般式(1)で表される解離性直接染料(以下、アゾ染料(1)という)において、Aは炭素原子を介してアゾ基に結合する複素環基であり、具体例として(X-1)〜(X-3)が挙げられる。
【0022】
【化4】

【0023】
〔式中、*は式(1)中のアゾ基に結合する位置を示す。
1は硫黄原子、酸素原子又は窒素原子を示し、窒素原子の場合は水素原子又はアリール基を有する。Z2〜Z4は水素原子、シアノ基、アルキル基、アリール基若しくはアルキルチオ基を有する炭素原子又は窒素原子を示す。
21及びR22は、独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、複素環基、シアノ基、アシル基、水酸基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アリールアミノ基、アルキルアミド基、アリールアミド基、ヘテロアリールアミド基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基又はカルバモイル基を示し、R21及びR22のうち隣接する基は互いに結合して飽和又は不飽和のヘテロ原子を含んでもよい5員環又は6員環構造を形成してもよい。
aは0〜4の整数を示し、bは0〜5の整数を示し、同一分子中のR21及びR22で表される二つ以上の基は、同一であっても互いに異なっていてもよい。
21及びR22が更に置換され得る基である場合、これらは更にR21及びR22として列挙したものと同様の置換基を含むことができる。〕
【0024】
一般式(1)において、Xで表される複素環基もしくは炭素環基は、好ましくは(X-1)、(X-3)である。
【0025】
一般式(1)におけるYは、アゾ染料を形成するために必須な原子団を示し、好ましくは、カプラー成分由来である。ここで、カプラー成分とは、ジアゾニウム塩と反応しアゾ染料を得ることの可能なカプラー化合物由来の部分構造を意味する。Y(置換基を含む場合はそれも含め)の炭素数は、好ましくは3〜30、より好ましくは3〜20、最も好ましくは3〜12である。
【0026】
特に、Yは、硫黄原子、窒素原子又は酸素原子から選択されるヘテロ原子を一種以上含む、5員又は6員の複素環又は複素縮合環;5員又は6員の任意に縮合された芳香環;又はα-CO基を任意に含む、C1 〜C6 アルキル基、C2 〜C6 アルケニル基又はC2 〜C6 アルキニル基であり、これら環及び基の各々は一以上の置換基を含むことができる。
【0027】
上記カプラー成分としては、ハロゲン化銀カラー写真感光材料の分野において、カプラーとして知られているものの残基が好ましく、リサーチディスクロージャー37038(1995年2月)の80頁から85頁、及び87頁から89頁に記載されているハロゲン化銀カラー写真用カプラーの骨格部分(p-フェニレンジアミン等の芳香族アミン系現像主薬酸化体とカップリングして色素のクロモフォアになる部分)を使用することができる。
【0028】
ハロゲン化銀カラー写真感光材料の分野でイエロー色画像形成カプラーとして知られているカプラーとしては、例えば、ピバロイルアセトアミド型、ベンゾイルアセトアミド型、マロンジエステル型、マロンジアミド型、ジベンゾイルメタン型、ベンゾチアゾリルアセトアミド型、マロンエステルモノアミド型、ベンゾオキサゾリルアセトアミド型、ベンゾイミダゾリルアセトアミド型、シアノアセトアミド型、シクロアルキルカルボニルアセトアミド型、インドリン-2-イルアセトアミド型、米国特許第5,021,332号明細書に記載されたキナゾリン-4-オン-2-イルアセトアミド型、同第5,021,330号明細書に記載されたベンゾ-1,2,4-チアジアジン-1,1-ジオキシド-3-イルアセトアミド型、欧州特許出願公開第0421221号明細書に記載されたカプラー、米国特許第5,455,149号明細書に記載されたカプラー、欧州特許出願公開第0622673号明細書に記載されたカプラー、欧州特許出願公開第0953871号明細書、同第0953872号明細書、同第0953873号明細書に記載された3-インドロイルアセトアミド型カプラーが、好ましいカプラー骨格として挙げられる。
【0029】
ハロゲン化銀カラー写真感光材料の分野でマゼンタ色画像形成カプラーとして知られているカプラーとしては、例えば5-ピラゾロン型、1H-ピラゾロ[1,5-a]ベンズイミダゾール型、1H-ピラゾロ[5,1-c][1,2,4]トリアゾール型、1H-ピラゾロ[1,5-b][1,2,4]トリアゾール型、1H-イミダゾ[1,2-b]ピラゾール型、シアノアセトフェノン型、WO93/01523に記載された活性プロペン型、WO93/07534に記載されたエナミン型、1H-イミダゾ[1,2-b][1,2,4]トリアゾール型カプラー、及び米国特許第4,871,652号明細書に記載されたカプラーが好ましいカプラー骨格として挙げられる。
【0030】
Yで表される基として、好ましくは、次に記載の構造(Y-1)〜(Y-5)で表される基が挙げられる。
【0031】
【化5】

【0032】
〔式中、**は式(1)中のアゾ基に結合する位置を示す。
31はアルキル基、水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、アルコキシ基、カルバモイル基、アシル基、アルキルアミド基、アリールアミド基又はヘテロアリールアミド基を示し、R31のうち隣接する基は互いに接合して飽和又は不飽和の5員環又は6員環構造を形成してもよく、cは1〜5の整数を示し、c個のR31は同一であっても異なっていてもよいが、少なくとも一つは水酸基である。Z5及びZ6はそれぞれ独立して窒素原子又は水素原子を有する若しくは式中のR31が置換した炭素原子を示す。
32はハロゲン原子、アルキル基、アリール基、複素環基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アリールアミノ基、アルキルアミド基、アリールアミド基、ヘテロアリールアミド基、モルホリノカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルキルアミノスルホニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、アルコキシカルボニル基又はカルバモイル基を示し、dは0〜6の整数を示し、d個のR32は同一であっても異なっていてもよい。
33は水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アリールアミノ基、アルキルアミド基、アリールアミド基、ヘテロアリールアミド基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基又はカルバモイル基を示す。Z7及びZ8は水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基又はカルバモイル基を有する炭素原子若しくは窒素原子を示し、同一でも異なっていてもよく、同時に炭素原子である場合、上記に挙げた置換基同士が結合して飽和環、芳香環又は複素芳香環を形成してもよく、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、複素環基、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アリールアミノ基、アルキルアミド基、アリールアミド基、ヘテロアリールアミド基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基又はカルバモイル基で置換されていてもよい。
34及びR36はハロゲン原子、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、アシル基、ニトロ基、アルキルアミノスルホニル基、カルバモイル基又はアルキルカルバモイル基を示す。R35はスルファモイル基又はアルキル基が置換してもよいアリール基を示す。R37はハロゲン原子、アルキルスルホニルアミノ基、アルキルアミド基、シアノ基、アルコキシ基若しくはアルコキシカルボニル基が置換してもよいアリール基又は複素環基を示す。〕
【0033】
式(Y-1)〜(Y-5)中のR31〜R37は更に置換基を有することができ、この場合、この置換基は、Xで表される複素環基又は芳香族基の置換基として列挙したものと同じである。
【0034】
一般式(1)で表されるアゾ染料の具体的化合物例としては、次の化合物が挙げられる。
【0035】
【化6】

【0036】
【化7】

【0037】
【化8】

【0038】
【化9】

【0039】
【化10】

【0040】
【化11】

【0041】
【化12】

【0042】
【化13】

【0043】
成分(A)は、いずれかを単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0044】
アゾ染料(1)は、染料の染色力を決定する一因子である解離性について、好ましくはpKa値1.5〜9、より好ましくは2〜8、最も好ましくは2〜7.5の範囲を有するものである。また、アゾ染料(1)により得られる色は、主に、鮮明な黄色から赤色の暖色の範囲であることが好ましい。
【0045】
成分(B)のプレカーサーとしては、フェニレンジアミン誘導体が使用され、例えばトルエン-2,5-ジアミン、パラフェニレンジアミン、N, N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-パラフェニレンジアミン、2-ヒドロキシエチルパラフェニレンジアミン、及びその塩が挙げられる。
【0046】
成分(C)のカップラーとしては、メタアミノフェノール誘導体又はメタフェニレンジアミン誘導体が使用され、例えばメタアミノフェノール、4-アミノ-2-ヒドロキシトルエン、2-メチル-5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)フェノール、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、及びその塩が挙げられる。
【0047】
成分(B)及び(C)は、それぞれいずれかを単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0048】
本発明の染毛剤組成物には、更に他の直接染料を配合して色調を変化させることもできる。
【0049】
他の直接染料としては、塩基性(カチオン)染料、酸性(アニオン)染料、ニトロ染料、分散染料等の公知に直接染料も加えることができる。好ましい塩基性(カチオン)染料としては、例えばベーシックブラウン16(C.I.12550)、ベーシックブラウン17(C.I.12251)、ベーシックレッド76(C.I.12245)、ベーシックイエロー57(C.I.12719);特開昭58-2204号公報、特開平9-118832号公報、特表平8-501322号公報及び特表平8-507545号公報に記載されている塩基性染料;下記式で表されるシアニン構造を有するメチン型塩基性染料などが挙げられる。
【0050】
【化14】

【0051】
好ましい酸性(アニオン)直接染料としては、青色1号(C.I.42090)、紫色401号(C.I.60730)、黒色401号(C.I.20470)、だいだい色205号(C.I.15510)、赤色227号(C.I.17200)、赤色106号(C.I.45100)、黄色203号(C.I.47005)、アシッドオレンジ3(C.I.10385)が挙げられる。
【0052】
好ましいニトロ染料としては、2-ニトロ-p-フェニレンジアミン、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール、3-ニトロ-p-ヒドロキシエチルアミノフェノール、4-ニトロ-o-フェニレンジアミン、4-アミノ-3-ニトロフェノール、4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノール、HCブルーNo.2、HCオレンジNo.1、HCレッドNo.1、HCイエローNo.2、HCイエローNo.4、HCイエローNo.5、HCレッドNo.3、N,N-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-2-ニトロ-p-フェニレンジアミンが挙げられる。
【0053】
好ましい分散染料としては、ディスパーズバイオレット1、ディスパーズブルー1、ディスパーズブラック9が挙げられる。
【0054】
本発明の染毛剤組成物には、更にインドール類、インドリン類等に代表される自動酸化型染料を加えることもできる。
【0055】
成分(A)、(B)及び(C)の総含有量は、全組成中に好ましくは0.001〜20質量%、より好ましくは0.01〜20質量%、更に好ましくは0.05〜10質量%、特に好ましくは0.1〜5質量%である。また他の染料を併用する場合には、成分(A)、(B)及び(C)と合計したときの含有量が、全組成中に好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.05〜20質量%、更に好ましくは0.05〜10質量%、特に好ましくは0.1〜5質量%である。ここで、「全組成中」とは、二剤型などの多剤型の染毛剤組成物の場合、第1剤と第2剤等を混合した使用直前の染毛剤組成物中を意味する。
【0056】
更に、成分(B)と成分(C)の合計に対する成分(A)の質量比(A)/[(B)+(C)]は、色相変化抑制効果の点から0.01〜100の範囲であり、好ましくは0.1〜100、より好ましくは0.5〜50、特に好ましくは0.5〜20である。
【0057】
アゾ染料は、pH2〜11の広い範囲で保存安定性に優れるため、本発明の染毛剤組成物は、上記範囲内のpHで使用することができる。特に、pH5以上の範囲で使用するのが、染色性の点から好ましい。更には、アルカリ剤に対するアゾ染料の高い安定性から、本発明の染毛剤組成物は、pH8以上、特にpH8〜11で使用することが好ましく、この範囲であれば長期間の保存後においてもアゾ染料が分解することなく、高い染色性が維持される。
【0058】
本発明の染毛剤組成物に用いられるアルカリ剤としては、例えばアンモニア;モノエタノールアミン、イソプロパノールアミン又はこれらの塩等のアルカノールアミン;グアニジン炭酸塩等のグアニジウム塩;水酸化ナトリウム等の水酸化物などが挙げられる。アルカリ剤の含有量は、全組成中の0.01〜20質量%が好ましく、更には0.1〜10質量%、特に0.5〜5質量%が好ましい。
【0059】
酸化剤としては、例えば過酸化水素;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩;過ホウ酸ナトリウム等の過ホウ酸塩;過炭酸ナトリウム等の過炭酸塩;臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウム等の臭素酸塩などが挙げられる。なかでも、毛髪に対する脱色性、アゾ染料(1)の安定性及び有効性の点から、過酸化水素が特に好ましい。また、過酸化水素を他の酸化剤と組み合わせて用いることもできる。酸化剤の含有量は、全組成中の0.5〜10質量%、特に1〜8質量%が好ましい。
【0060】
成分(A)〜(C)を含有する第1剤と、酸化剤を含有する第2剤の混合割合は、容積比で2:1〜1:3の範囲であるのが好ましい。
【0061】
本発明の染毛剤組成物は、更にコンディショニング成分を含むことができる。コンディショニング成分としては、化粧料用として使用可能なものであればよく、組成物中に溶解又は分散可能なポリマー又はオイル類が含まれる。これらコンディショニング成分は、リンス時又は水やシャンプーで希釈された時に毛髪へ付着することで、染毛後の毛髪ダメージを抑制できる。具体的には、シリコーン類、有機コンディショニングオイル類(例えば、炭化水素オイル、ポリオレフィン、脂肪族エステル類、脂肪族アミド類)、及びコンディショニングポリマー等が含まれる。
【0062】
シリコーン類としては、例えば以下に示すものが挙げられる。
(シリコーン類-1) ジメチコン、ジメチコノール、シクロメチコン
各種のジメチコン、ジメチコノール、シクロメチコンが使用できるが、以下の一般式(5)で表されるものが好ましい。
【0063】
【化15】

【0064】
〔式中、R10はメチル基又はヒドロキシ基を示し、二つのR10が一緒になって酸素原子となり、環状となってもよく、eは1〜20000の数を示す。〕
【0065】
具体的には、東レ・ダウコーニング社のBY11-026、BY22-19、FZ-3125等が挙げられる。高重合ジメチルポリシロキサンは、液状シリコーン油(例えば、(i)低重合ジメチルポリシロキサン、(ii)シクロメチコン等の液状シリコーン油)のほか、イソパラフィン等の液状炭化水素油に溶解又は分散したものも使用することができる。
【0066】
(シリコーン類-2) アミノ変性シリコーン
各種のアミノ変性シリコーンが使用できるが、一般式(6)のものが好ましい。
【0067】
【化16】

【0068】
〔式中、R11はメチル基又はヒドロキシ基を示し、Wは炭素数2〜6の2価炭化水素基を示し、f及びgは1〜20000の数を示す。〕
【0069】
このうち、特に平均分子量が約3000〜100000の、アモジメチコンのINCI名で知られているものが好ましい。
このアミノ変性シリコーンは水性乳濁液として用いるのが好ましい。市販品としては、SM8704C〔東レ・ダウコーニング社〕、DC 929〔ダウ・コーニング社〕等が挙げられる。
【0070】
その他のアミノ変性シリコーンとしては、例えば次の式(7)で表されるようなビス(C13−15アルコキシ)PGアモジメチコンが挙げられ、市販品としては、8500 Conditioning Agent〔ダウ・コーニング社〕が挙げられる。
【0071】
【化17】

【0072】
〔式中、R12は、炭素数13〜15の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、Zのうち75%は基−CH2CH(OH)CH2OHを、25%は水素原子を示す。〕
【0073】
更に、主鎖にポリオキシアルキレンを含む共重合体となったものも使用可能であり、下記一般式(8)で表されるビスイソブチルPEG-15/アモジメチコンが挙げられる。
【0074】
【化18】

【0075】
〔式中、R13はイソブチレン基を示し、hは2以上、好ましくは2〜1000の数;iは1以上、好ましくは1〜50の数;jは2以上、好ましくは2〜100の数をそれぞれ示す。〕
市販品としては、東レ・ダウコーニング社のFZ-3789、シリコーンSS-3588を挙げることができる。
【0076】
(シリコーン類-3) ポリエーテル変性シリコーン
各種のポリエーテル変性シリコーンが使用できるが、ジメチコンのメチル基の一部をポリエチレングリコールで置換した、平均分子量が約3000〜100000の、PEG-nジメチコン(ここで、nは整数を示し、例えば、PEG-3ジメチコン、PEG-7ジメチコン、PEG-8ジメチコン、PEG-9ジメチコン、PEG-10ジメチコン、PEG-12ジメチコン、PEG-14ジメチコン等)のINCI名で知られている一般式(9)のものやポリシリコーン-13のINCI名で知られている一般式(10)のものが好ましい。
【0077】
【化19】

【0078】
〔式中、k及びlは10〜2000の数を示し、mは1〜100の数を示す。〕
【0079】
【化20】

【0080】
〔式中、n、p及びqは1〜1000の数を示し、rは1〜2000の数を示す。〕
【0081】
(シリコーン類-4) その他のシリコーン類
上記以外に、メチルフェニルポリシロキサン、脂肪酸変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アルキル変性シリコーン等が挙げられる。
【0082】
また、このようなシリコーン類は、揮発性シリコーン、不揮発性シリコーン等により希釈や分散されたもの、また水性界面活性剤中に分散液体粒子を形成しているものも使用できる。
【0083】
また、有機コンディショニングオイル類としては、好ましくは低粘度、水不溶性の液体であって、炭化水素オイル、ポリオレフィン、脂肪族エステル類、脂肪族アミド類及びこれらの混合物が含まれる。有機コンディショニングオイル類の粘度は、40℃における測定において、好ましくは1〜200mPa・s、より好ましくは1〜100mPa・s、更に好ましくは2〜50mPa・sである。
【0084】
脂肪族エステル類としては、例えば、脂肪酸とアルコールから誘導される炭化水素鎖を有するエステル(例えば、モノエステル、多価アルコールエステル、ジ−及びトリカルボン酸エステル)が挙げられる。これら脂肪族エステル類の炭化水素基は、更にアミドやアルコキシ基(例えばエトキシ又は他の結合等)等の他の相溶性官能部を有していてもよく、またそれらに共有結合していてもよい。具体例としては、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルデシル等が挙げられる。
【0085】
脂肪族アミド類としては、例えば、脂肪酸とアルキルアミンあるいはアルカノールアミンから誘導される炭化水素鎖を有するアミドが含まれる。これら脂肪族アミドの炭化水素基は、さらにアミドやアルコキシ基(例えばエトキシ又は他の結合等)等の他の相溶性官能部を有していてもよく、またそれらに共有結合していてもよい。具体例としては、オレイン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ヤシ脂肪酸アミド、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド等が挙げられる。
【0086】
コンディショニングポリマーとしては、カチオン性ポリマーが好ましいが、更に、アニオン性、ノニオン性及び/又は両性ポリマーを含むこともできる。カチオン性ポリマーのアニオン性対イオンは、カチオン性ポリマーが組成物中で溶解状態にあり且つ該対イオンが染毛剤組成物の必須成分と物理的にも化学的にも相溶であるか、若しくは製品の性能、安定性又は美観を著しく損ねない限り、どのような対イオンを用いてもよい。このような対イオンの例としては、ハロゲン化物イオン(例えば、塩化物イオン、フッ化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン)、硫酸イオン、メチル硫酸イオン及びこれらの混合物が挙げられる。カチオン性ポリマーとしては、例えばカチオン性多糖類(例えば、カチオン性セルロース誘導体、カチオン性グアー等)、プロトン化アミン置換基又は四級アンモニウム置換基を有するビニルモノマーの水溶性モノマーとのコポリマー、ビニルピロリドンコポリマー、カチオン性タンパク質等が挙げられる。
【0087】
コンディショニング成分を含有する場合、その含有量は、全組成中の0.01〜30質量%、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは0.1〜10質量%である。コンディショニング成分は、通常、染毛剤組成物に溶解又は分散可能なポリマー又はオイル類であり、リンス時又は水やシャンプーで希釈された時に毛髪へ付着する。
【0088】
本発明の染毛剤組成物は、ポリアルキレングリコールを更に含むことができ、その場合、その含有量は、該組成物中0.005〜1.5質量%、好ましくは0.025〜1.2質量%、より好ましくは0.05〜1質量%、より好ましくは0.1〜0.5質量%である。このようなポリアルキレングリコールは、本発明の成分(A)〜(C)に対し相溶であり、かつ製品の安定性、美観又は性能を著しく損ねないことが必要である。具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールを挙げることができ、両者の混合物であっても、酸化エチレンと酸化プロピレンとの共重合体であってもよい。
【0089】
本発明の組成物には、上記成分のほかに、通常化粧品原料として用いられる他の成分を加えることができる。このような任意成分としては、炭化水素類、動植物油脂、高級脂肪酸類、浸透促進剤、カチオン界面活性剤、天然又は合成の高分子、高級アルコール類、エーテル類、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、蛋白誘導体、アミノ酸類、防腐剤、キレート剤、安定化剤、酸化防止剤、植物性抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、色素、香料、紫外線吸収剤が挙げられる。
【0090】
本発明の染毛剤組成物は、二剤型、三剤型などの多剤型として提供されるが、現在広く利用されている酸化型染毛剤と同様に、アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤よりなる二剤型として提供されるのが好ましい。これらの第1剤及び第2剤の剤形は、例えば、液状、乳液状、クリーム状、ゲル状、ペースト状、ムース状等とすることができ、エアゾール形態とすることもできる。
【0091】
また、本発明の染毛剤組成物には、カラーブースターを含めた三剤型とすることも好ましい。カラーブースター、すなわち直接染料のアルカリ性溶液を第3剤として使用直前に第1剤と第2剤の混合物に添加することで、成分(A)、成分(B)及び成分(C)により得られる色に変化を与え、より広い色調に染毛することができる。
【0092】
二剤式の場合、第1剤と第2剤の混合割合は、容積比で2:1〜1:3の範囲とするのが好ましい。カラーブースターを用いる場合、第1剤とカラーブースターの混合割合は、例えば、100:1〜10:1とすることができる。
【0093】
本発明の染毛剤組成物を毛髪に適用する段階における粘度は、1,000〜100,000mPa・sが好ましく、更には5,000〜50,000mPa・s、特に10,000〜40,000mPa・sが好ましい。ここで、粘度は、ブルックフィールド回転粘度計(No.5スピンドル、5rpm)を用いて20℃で測定した値である。
【0094】
本発明の染毛剤組成物は、ヒト又は動物の毛の染色に使用することができる。このような染色方法は、染毛剤組成物の毛への適用、染色終了後の毛の洗浄、及び洗浄後の毛の乾燥からなる。
【実施例】
【0095】
実施例1
常法に従い、表1に示すクリーム状二剤式染毛剤第1剤を調製した。
【0096】
【表1】

【0097】
第2剤としてはKPSS GmbH製のTopchic ローション6%(過酸化水素6質量%クリーム)を用いた。
【0098】
第1剤及び第2剤を質量比1:1の割合で混合し、浴比(剤:毛束)=1:1(w/w)でブロンド毛毛束に塗布する。30℃にて30分間放置した後、毛束を流水で濯ぐ。次いで通常シャンプーで洗浄、水洗、乾燥し、目視及び測色により、染色結果を確認した。続いて、各毛束を洗浄による褪色プロトコルに付し、続いて露光による褪色プロトコルに付し、シャンプー洗浄と光に対する耐性を測定した。
【0099】
洗浄による腿色プロトコルは、毛1gあたり3gのシャンプーを適用し、15秒かけて毛へ摺りこみ、続いてその毛束を40℃の水で15秒洗浄する工程から成る。この工程を7回繰返した。
【0100】
露光による腿色プロトコルはソーラーシミュレーターにて72時間全波長の光を当てることから成る。
【0101】
その後、ミノルタ色計測器を用いてL***値を測定した。染色直後と洗浄及び露光による腿色プロトコル施術後のL***値を用いて色相の変化ΔH°を算出した。
【0102】
比較例としては酸化染料と直接染料であるニトロ染料とを併用した二剤式のKPSS GmbH製のTopchic第1剤(色番;6RK)とKPSS GmbH製のTopchic ローション6%(過酸化水素6質量%クリーム)とを質量比1:1で混合したものを用いた。結果を表2に示す。
【0103】
【表2】

【0104】
表2に示すように、染色直後は実施例1、比較例共にほぼ同様のL***値を示し色調が非常に近いが、洗浄及び露光による腿色プロトコル施術後はL***値に差が生じていることから実施例1と比較例とに色調の差があることが分かる。
【0105】
表2のL***値を用いて洗浄及び露光による腿色プロトコル施術による染色直後からの色相の変化ΔH°を算出した。結果を表3に示す。
【0106】
【表3】

【0107】
表3に示すように実施例1は、比較例と比較して、ΔH°が小さく色相変化が小さいことが認められた。
【0108】
実施例2〜8
実施例1と同様に、常法を用いて表4に示すクリーム状二剤式染毛剤第1剤を調製した。使用時、この第1剤とKPSS GmbH製のTopchic ローション6%(過酸化水素6質量%クリーム)とを質量比1:1の割合で混合し、染毛剤組成物を得た。
【0109】
【表4】

【0110】
実施例9
常法に従い、表5に示すカラーブースターを調製した。表4に示した実施例2第1剤、KPSS GmbH製のTopchic ローション6%(過酸化水素6質量%クリーム)、このカラーブースターを質量比1:1:0.1で混合した後、30℃で山羊毛に適用し30分間の作用時間を置いて毛髪を通常シャンプーで洗浄し、乾燥した。得られた染色毛のシャンプー堅牢性は良好で、色相の変化はきわめて少なかった。
【0111】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(C)を含有し、かつ成分(B)と成分(C)の合計に対する成分(A)の質量比(A)/[(B)+(C)]が0.01〜100である染毛剤組成物。
(A)次の一般式(1)で表される解離性直接染料
X−N=N−Y (1)
〔式中、X及びYはアゾ基に炭素原子を介して結合する、カルボキシ基、スルホ基及び四級アンモニウム基を含まない基であって、Xは置換基を有してもよい複素環基又は芳香族基を、Yは置換基を有してもよく解離性プロトンを含む複素環基、芳香族基又はアルキル基を示す。〕
(B)プレカーサーとして、次の一般式(2)で表されるパラフェニレンジアミン誘導体
【化1】

〔式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数2若しくは3のヒドロキシアルキル基を示し、R1及びR2は水素原子、メチル基又はヒドロキシエチル基を示し、同じでも異なっていてもよい。〕
(C)カップラーとして、次の一般式(3)で表されるメタアミノフェノール誘導体又は一般式(4)で表されるメタフェニレンジアミン誘導体
【化2】

〔式中、R′は水素原子、メチル基又はヒドロキシエチル基を示し、R3は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基を示す。〕
【化3】

〔式中、R″は炭素数1〜3のアルキル基、炭素数2若しくは3のヒドロキシアルキル基又は炭素数2若しくは3のヒドロキシアルコキシ基を示す。〕
【請求項2】
Xが下記式(X-1)〜(X-3)のいずれかで表されるものである請求項1記載の染毛剤組成物
【化4】

〔式中、*は式(1)中のアゾ基に結合する位置を示す。
1は硫黄原子、酸素原子又は窒素原子を示し、窒素原子の場合は水素原子又はアリール基を有する。Z2〜Z4は水素原子、シアノ基、アルキル基、アリール基若しくはアルキルチオ基を有する炭素原子又は窒素原子を示す。
21及びR22は、独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、複素環基、シアノ基、アシル基、水酸基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アリールアミノ基、アルキルアミド基、アリールアミド基、ヘテロアリールアミド基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基又はカルバモイル基を示し、R21及びR22のうち隣接する基は互いに結合して飽和又は不飽和のヘテロ原子を含んでもよい5員環又は6員環構造を形成してもよい。
aは0〜4の整数を示し、bは0〜5の整数を示し、同一分子中のR21及びR22で表される二つ以上の基は、同一であっても互いに異なっていてもよい。
21及びR22が更に置換され得る基である場合、これらは更にR21及びR22として列挙したものと同様の置換基を含むことができる。〕
【請求項3】
Yが(Y-1)〜(Y-5)のいずれかで表されるものである請求項1又は2記載の染毛剤組成物。
【化5】

〔式中、**は式(1)中のアゾ基に結合する位置を示す。
31はアルキル基、水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、アルコキシ基、カルバモイル基、アシル基、アルキルアミド基、アリールアミド基又はヘテロアリールアミド基を示し、R31のうち隣接する基は互いに結合して飽和又は不飽和の5員環又は6員環構造を形成してもよく、cは1〜5の整数を示し、c個のR31は同一であっても異なっていてもよいが、少なくとも一つは水酸基である。Z5及びZ6はそれぞれ独立して窒素原子又は水素原子を有する若しくは式中のR31が置換した炭素原子を示す。
32はハロゲン原子、アルキル基、アリール基、複素環基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アリールアミノ基、アルキルアミド基、アリールアミド基、ヘテロアリールアミド基、モルホリノカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルキルアミノスルホニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、アルコキシカルボニル基又はカルバモイル基を示し、dは0〜6の整数を示し、d個のR32は同一であっても異なっていてもよい。
32が更に置換され得る基である場合、これらは更にR32として列挙したものと同様の置換基を含むことができる。
33は水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アリールアミノ基、アルキルアミド基、アリールアミド基、ヘテロアリールアミド基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基又はカルバモイル基を示す。Z7及びZ8は水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基又はカルバモイル基を有する炭素原子若しくは窒素原子を示し、同一でも異なっていてもよく、同時に炭素原子である場合、上記に挙げた置換基同士が結合して飽和環、芳香環又は複素芳香環を形成してもよく、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、複素環基、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アリールアミノ基、アルキルアミド基、アリールアミド基、ヘテロアリールアミド基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基又はカルバモイル基で置換されていてもよい。
34及びR36はハロゲン原子、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、アシル基、ニトロ基、アルキルアミノスルホニル基、カルバモイル基又はアルキルカルバモイル基を示す。R35はスルファモイル基又はアルキル基が置換してもよいアリール基を示す。R37はハロゲン原子、アルキルスルホニルアミノ基、アルキルアミド基、シアノ基、アルコキシ基若しくはアルコキシカルボニル基が置換してもよいアリール基又は複素環基を示す。〕
【請求項4】
成分(A)の解離性直接染料のpKa値が1.5〜9の範囲にある請求項1〜3のいずれかに記載の染毛剤組成物。
【請求項5】
成分(A)、(B)及び(C)の総含有量が、全組成中の0.01〜20質量%である請求項1〜4のいずれかに記載の染毛剤組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の染毛剤組成物を毛髪に適用する染毛方法。

【公開番号】特開2007−326818(P2007−326818A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−159797(P2006−159797)
【出願日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】