説明

染色排水を浄化処理するための凝集剤組成物および凝集方法

【課題】 染色排水に対して、短時間かつ少ない処理工程でCOD値を低下させるとともに脱色することができる凝集剤組成物及び凝集処理方法を提供する。
【解決手段】 アオイ科トロロアオイ属由来成分と無機凝集剤とpH調整剤と活性炭と高分子凝集剤を含む凝集剤組成物とする。その他、必要に応じて、ゼオライト等の無機系の吸着補助剤を調合しても良い。投入する順序は染料排水の状態に応じて適宜変えることができる。例えば、非スレン系の染色排水において、アオイ科トロロアオイ属由来成分、凝集剤成分、pH調整剤、活性炭、高分子凝集剤の順に投入して処理をする工程か、または、アオイ科トロロアオイ属由来成分、pH調整剤、凝集剤成分、活性炭、高分子凝集剤の順に投入して処理する工程が好適である。活性炭投入についても染料排水の状態に応じて適宜変えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染色排水の凝集剤組成物および凝集方法に関し、特に、染色工程で発生する染色排水等を凝集処理するのに適した染色排水の凝集剤組成物および凝集方法に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維工業では、紡績工程、編織工程、染色加工の部門に分けて数多くの製品を生産している。これらの工程中、染色加工の部門では、繊維の種類に応じた最適な染料を用いて種々の色に染色している。従来技術において、大量の排水が出た場合に処理が困難な排水として、繊維の染色工程で発生する染色排水等が挙げられる。
まず、紡織加工において付与された油剤及びのり剤が含有された状態にて、さらに不要な色素などの不純物を除去する漂白の工程が行われ、次いで、大量の水の存在下で染料を用いて染色する工程が行われるため、染色工場で染色排水が大量に発生する上、排水が着色しており、そのまま河川に流すと河川に色が混入してしまい、環境に大きな負荷を掛けることとなる。そこで、染色排水の水質基準を確保するために、染色排水を大量の水で希釈することにより排出している。このため、大量の使用水量の大部分が工場排水として排出されており、水資源の無駄にもつながっていた。
【0003】
染色の方法としては、例えば浸染法があり、一般に、木綿やレーヨンなどのセルロース繊維を染色する場合の染料には、染色の方法が非常に簡単であることから反応染料が用いられることが多い。すなわち、反応染料はセルロース繊維に対して直接染着性を持つ水溶性の染料であり、反応染料の多くは中性又は弱アルカリ性染浴でセルロース繊維に直接染着する。具体的には、例えば、染料水溶液に中性塩を添加して調整した染浴に繊維を入れて加熱することにより、染浴中の染料の大部分が繊維に吸尽され、繊維を簡単に染色することができる。セルロース繊維を染色する場合の染料としてはほかに、例えば、スレン染料がある。代表的なスレン染料にインジゴブルーがあり、青色の染料としてジーンズ等の染色に用いられている。そして、染色後、染浴から取り出した繊維をソーピング工程で余分な染料を洗い流し、フィックス工程で染料を定着させて、染色加工品が完成する。
【0004】
その他には、酸性染料、分散染料等の各種の染料、顔料及び染色助剤を用いて染色を行っている。被染色物の染色や水洗の際に、染料、顔料等を含む多量の染色排水が生じる。染色排水は、主に染料、顔料、糊等の物質で構成されている。
【0005】
染色排水は、生物化学的酸素要求量(以下BODと称す。)、化学的酸素要求量(以下、CODと称す。)等の環境負荷が高く、そのまま河川に放流すると環境汚染となる。そこで、従来はBODやCODを規制値以下に処理して、放流しているのが一般的である。
【0006】
ところが、色度成分については、一部地域を除き放流基準が設定されていないため、従来技術においては、BOD基準、COD基準を満たせばその時点で河川に放流することもあった。しかし、染料が多量に残留した状態で河川に着色水を放流すると、環境保全や環境美化の点から問題となる場合がある。そこで、従来においても染色排水から染料を除去することが試みられている。
従来技術において染色排水における染料の除去方法としては、凝集沈澱法、浮上分離法、活性汚泥法、電解法、オゾン酸化法などが知られている。
【0007】
【特許文献1】特開平7−313804号公報
【特許文献2】特開平10−212187号公報
【特許文献3】特開2004−261688号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、染料が少量含まれていても視覚的には着色して見えるので、染料に起因する排水の着色は、従来の排水処理では除去が困難であるとされており、特にセルロ−ス系繊維に用いられる反応染料は繊維への吸尽率が低く、染料が水溶性であるので、染色排水に染料が残留しやすく、染色排水の脱色は特に困難であることが知られている。
【0009】
凝集沈澱法または浮上分離法としては、凝集槽の原水中に凝集剤を注入する一方、原水を低速撹拌してフロックを形成させてこれをゆっくりと沈降又は浮上させて回収する手段が取られている。しかし、一般にPACなどの無機凝集剤を用いて染色排水、特に反応染料含有排水を処理する場合、極めて沈降性の悪いコロイド状物質を生成する。そのため、凝集剤によって原水中に形成されるフロックをゆっくりと沈降又は浮上させて回収するため、フロックの沈降又は浮上時間に相応の時間がかかり、従って、大量の原水を処理するためには容量の大きい凝集槽を準備しなければならない。そのため、PAC等の無機凝集剤のみでは、水に溶解している水溶性染料を析出、不溶化させる効果は充分とはいいがたい。また、高分子有機凝集剤のみを用いた場合、染料物質を沈殿させることは十分にはできず脱色まではできない。
【0010】
活性汚泥法としては、排水中に含まれる高分子化合物を微生物が補食し得る状態とした後に、微生物処理し、BOD、CODの低減と脱色とを併せ行うことを目指したものである。一般的な活性汚泥法によれば、廃水をpH6〜8付近に調整した上で強制通気(曝気)させて好気性の活性汚泥菌を生育させ、この活性汚泥菌に、直接に、あるいは酸化分解又は加水分解して廃水中の汚濁物を栄養として取り込ませる。栄養を取り込んだ活性汚泥菌は、沈降性の菌塊(フロック)を形成する。この菌塊が活性汚泥であり、自然沈下させた上澄水は、処理水として河川等に流す。一方、活性汚泥は、運搬しやすいように圧搾して水分を抜いてから、埋め立てたり焼却したりしている。このように、堆肥化のために活性汚泥に木屑や大鋸屑等を加え、発酵させる方法が考えられる。
しかし、活性汚泥法では、堆肥化のための管理に手間がかかりすぎて、実用性に乏しいため、染色排水の処理法として微生物処理により染料の高分子化合物を補食し、BOD、CODの低減と脱色を同時に実現せしめる技術はいまだ確立したレベルには達していない状況である。
【0011】
次に、オゾン法としては、たとえば、特開2004−261688号公報に記載された染料含有排水を処理する技術は、染料含有排水をオゾン処理した後、生物処理を行うことにより、有機物を分解させるとともに、排水の脱色を行うことを特徴とする染料含有排水の処理方法である。このように、オゾンは高い脱色作用を持つため、染料をオゾンで分解して脱色するものである。
しかし、オゾン処理は一般にはコストが高く、また、大量の染色排水を処理するためには、時間がかかり、実際には染色工場などでは利用されていない。
【0012】
上記のように、従来知られた技術ではいずれも問題があるが、処理すべき染色排水が大量にあることを考えれば、処理時間のかかる方法は現実的には不向きである。そこで、従来技術の中では、比較的、凝集剤を用いたフロック形成による脱色処理の実現を目指すことが有効であると考えられる。
【0013】
しかし、従来の凝集剤は、典型的には、コロイド排水に対して有効であり、特に、疎水コロイドの排水に対しては高い効果を発揮することができる。しかし、一般論として、ターゲット物体がコロイド溶液でない場合、従来技術の凝集剤をそのまま投入したのみでは凝集は難しい。つまり、従来技術の凝集剤は、分子的に大きなコロイド状態で帯電しているものに対して高い凝集効果を発揮するが、ターゲット物体がコロイド粒子よりも小さい染料物質などが大量に混在した染色排水の処理には向いているといえないため、そのままの状態では、従来技術の凝集剤では凝集することはできなかった。
【0014】
さらに、上記工場排水として排出されている染色加工における排水中には、紡織工程において付与された油剤およびのり剤、繊維原料に付着していたろう質、ペクチン質、色素などの不純物、更に、加工工程において使用された染料および薬品助剤などの残基分、繊維くずなど種々な汚濁物が含まれているので、これが公害問題の対象となり、染色加工業にとって排水処理は楽観視できない問題となっている。
【0015】
そこで、本発明は、染色排水を短時間で脱色処理できる凝集剤組成物および凝集処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の第1の凝集剤組成物は、染料を含有する排水などの染色排水を凝集処理対象液として浄化処理するための凝集剤組成物であって、アオイ科トロロアオイ属由来成分と、凝集剤成分と、pH調整剤と、活性炭と、高分子凝集剤を含むものである染色排水を浄化処理するための凝集剤組成物である。染色排水の含有成分や浄化処理の条件に応じて、pH調整剤を省略するバリエーションがある。
【0017】
本発明の第1の凝集剤組成物の各成分の投入順としては、たとえば、前記アオイ科トロロアオイ属由来成分、前記凝集剤成分、前記pH調整剤、前記活性炭、前記高分子凝集剤の順に投入してもよく、投入順序を入れ替えてもよい。また、前記凝集剤組成物を同時に投入してもよく、その場合は作業手順が省略されるため、より処理工程の効率化が図れる。
【0018】
本発明者は、上記のように、本発明の凝集剤組成物としてアオイ科トロロアオイ属由来成分、凝集剤成分、活性炭、pH調整剤、高分子凝集剤などを投入することにより、染色排水に残留するCODを低下させるとともに脱色も実現することができることが実験を通じて確認した。このように、染色排水を凝集剤によりCODの低下と脱色を短時間で同時に行える本発明は、従来の大型設備による工程を大幅に簡略化でき、処理時間も短縮できるため非常に有利である。
【0019】
本発明の第2の凝集剤組成物は、アオイ科トロロアオイ属由来成分と、凝集剤成分と、pH調整剤と、高分子凝集剤を含むものである。この本発明の第2の凝集方法は、第1の凝集方法に比べて活性炭の構成要素がないものとなっている。染色排水の含有成分や浄化処理の条件に応じて、pH調整剤を省略するバリエーションがある。
各成分の投入順としては、たとえば、前記アオイ科トロロアオイ属由来成分、前記凝集剤成分、前記pH調整剤、前記高分子凝集剤の順に投入でもよいし、投入順序を入れ替えてもよいし、また、前記凝集剤組成物を同時に投入してもよい。
【0020】
本発明の第2の凝集剤組成物としてアオイ科トロロアオイ属由来成分を含めるとともに、PACなどの凝集剤成分、または、酸性pH調整剤との併用によりpH値を低下させるよう調整し、その後、中和することにより、活性炭を用いずに染色排水のCOD低下と脱色を同時に可能とし、短時間で染色物質を吸着とともに凝集させるという効果が得られる。pH値を低下させるように調整するとは、必ずしもpH7より小さい酸性側への調整のみを意味するものではない。ここでは、たとえば、pH11のものをpH8に緩和することもpH値を低下させるように調整するものに含まれるものとする。
本発明者は、アオイ科トロロアオイ属由来成分とpH調整の工夫により、染色排水に残留するCODを低下させるとともに脱色も実現することができることが実験を通じて確認した。
【0021】
なお、本発明の第1の凝集剤組成物と本発明の第2の凝集剤組成物におけるpH調整をしやすくするため、凝集剤成分に加えて酸性pH調整剤を併用し、凝集剤成分投入後の溶液のpH値を更に低下させ、その後中和させて凝集反応を促進させるなど、適宜対象排水に合わせたpH調整をすることが好ましい。本発明者は、たとえば、スレン染料を用いた染色排水の場合、前記アオイ科トロロアオイ属由来成分を投入後、溶液のpH値を低下させるよう調整せしめた後、pH調整剤により中和するというpH調整により、活性炭を用いずに、染色排水のCOD低下と脱色が同時に可能であることを明らかにした。
【0022】
また、アオイ科トロロアオイ属由来成分と吸着補助成分を併用する構成も可能である。吸着補助成分を併用することにより凝集分離後のスラッジの沈降性を向上させることができ、また、染色排水中に残存する物質を吸着しやすくすることができる。
たとえば、吸着能を有する吸着補助成分としては、ゼオライトなどがある。このゼオライトの投入順序は、たとえば、アオイ科トロロアオイ属由来成分の投入の前、もしくは後に投入しても良いし、アオイ科トロロアオイ属由来成分と同時に投入しても良い。
【0023】
なお、本発明の第1の凝集剤組成物および第2の凝集剤組成物により排水処理が可能な染色排水としては、下記のものがある。
たとえば、前記染色排水が、セルロース系繊維を染色する反応染料、直接染料、硫化染料、ナフトール染料のいずれかまたはそれらの組み合わせを用いた染色工程により発生した排水である。また、たとえば、前記染色排水が、たんぱく質系繊維を染色する酸性染料、金属錯塩染料、酸性媒染染料、反応染料のいずれかまたはその組み合わせを用いた染色工程により発生した排水である。また、たとえば、前記染色排水が、ポリエステル繊維を染色する分散染料を用いた染色工程により発生した排水である。また、たとえば、前記染色排水が、アクリル繊維を染色するカチオン染料を用いた染色工程により発生した排水である。また、たとえば、前記染色排水が、セルロース系繊維を染色するスレン染料を用いた染色工程により発生した排水である。
また、たとえば、前記染色排水が、顔料を用いた染色工程により発生した排水である。
【0024】
次に、上記のアオイ科トロロアオイ属由来成分について説明する。
アオイ科トロロアオイ属由来成分としては、たとえば、オクラを乾燥及び粉砕したものを用いることができる。また、アオイ科トロロアオイ属由来成分がオクラをすり潰して得た液またはオクラから抽出した抽出液であってもよい。オクラの原料として使用する部位は、オクラの莢および蔕を含む実、種、花、茎、根のいずれかまたはそれらの組み合わせがある。
【0025】
次に、上記の凝集剤組成物としては、たとえば、凝集剤成分に多価金属塩が含まれているものを用いることができる。たとえば、ポリ塩化アルミニウムまたは硫酸バンドであることが好ましい。
【0026】
pH調整剤は、酸性pH調整剤としては、硫酸や炭酸、塩酸、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、塩化第二鉄等を好適に使用することが可能である。アルカリ性pH調整剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム等のいずれかまたはそれらの組み合わせを好適に使用することが可能である。
【0027】
また、活性炭は、特に限定されないが、吸着能が大きな活性炭であることが好ましい。
【0028】
高分子凝集剤としては、カチオン性アクリル系、アニオン性アクリル系、ノニオン性アクリル系の高分子の水溶性有機物にカルボキシル基やアミド基、スルホン基などを配置したポリアクリルアミド系の有機系凝集剤を用いることが好ましい。
【発明の効果】
【0029】
本発明の染色排水の凝集剤組成物によれば、アオイ科トロロアオイ属由来成分と活性炭を含めた凝集剤組成物を用いた凝集処理方法により、染色排水のCOD低下と脱色を同時に可能とし、短時間で染色排水中の残留物を凝集させるという効果が得られる。
また、対象排水の性状にもよるが、アオイ科トロロアオイ属由来成分を含む凝集剤組成物を用い、一旦pH値を低下させるように調整し、その後、中和するという凝集処理方法により、活性炭を用いずに染色排水のCOD低下と脱色を可能とし、染色排水中の残留物を凝集させるという効果が得られる。
従来の凝集剤を用いた凝集処理およびそれを用いた凝集処理方法では、撹拌時間、凝集時間が長くかかるが、本発明の凝集剤組成物およびそれを用いた凝集処理方法では、短時間で凝集処理が完了することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図面を参照しつつ、本発明の凝集剤組成物およびそれを用いた凝集処理方法の実施例を説明する。ただし、本発明の範囲は以下の実施例に示したものに限定されるものではないことは言うまでもない。
【0031】
本発明の凝集剤組成物には、成分として下記の第1の凝集剤組成物と第2の凝集剤組成物のものが可能である。
本発明の第1の凝集剤組成物は、アオイ科トロロアオイ属由来成分と、凝集剤成分と、pH調製剤と、活性炭と、高分子凝集剤を含む凝集剤組成物である。
本発明の第2の凝集剤組成物は、アオイ科トロロアオイ属由来成分と、凝集剤成分と、pH調整剤と、高分子凝集剤を含む凝集剤組成物である。
上記のように、本発明の第1の凝集剤組成物および本発明の第2の凝集剤組成物とも、アオイ科トロロアオイ属由来成分を共通の成分として含んでいる。また、対象排水の性状やpHにもよるが、第1、第2の凝集剤組成物において、両者ともにpH調整剤を省略することもできる。
【0032】
第1の凝集剤組成物の場合は、アオイ科トロロアオイ属由来成分とともに活性炭が含まれている。第2の凝集剤組成物の場合は、アオイ科トロロアオイ属由来成分が含まれている一方、活性炭が含まれていないが、pH調整について工夫が盛り込まれている。
上記第1の凝集剤組成物および第2の凝集剤組成物のいずれにおいても、アオイ科トロロアオイ属由来成分ともにゼオライトなどの吸着補助成分を併用することができるが、以下の構成例では、吸着補助成分を併用したタイプとして説明する。
【0033】
まず、処理対象となる染色排水について分類・整理しておく。
染色排水には様々なものがある。たとえば、セルロース系繊維染色排水としては、セルロース系繊維を染色する反応染料、直接染料、硫化染料、ナフトール染料のいずれかまたはその組み合わせを用いた染色工程により発生した排水がある。セルロース系繊維染色排水としてはほかに、たとえば、セルロース系繊維を染色するスレン染料を用いた染色工程により発生した排水がある。
【0034】
他の繊維としては、たとえば、たんぱく質系繊維染色排水がある。たんぱく質系繊維を染色する酸性染料、金属錯塩染料、酸性媒染染料、反応染料のいずれかまたはその組み合わせを用いた染色工程により発生した排水である。
また、たとえば、ポリエステル繊維染色排水がある。ポリエステル繊維を染色する分散染料を用いた染色工程により発生した排水である。
また、たとえば、アクリル繊維染色排水がある。アクリル繊維を染色するカチオン染料を用いた染色工程により発生した排水である。
【0035】
実際の染色排水には、染色前の紡績工程などで残留している物質、染色工程で用いる染料、染色後の後処理などにより、様々な物質が含まれた状態となっているが、その染色排水の状態に応じて、上記本発明の第1の凝集剤組成物で処理するか、本発明の第2の凝集剤組成物で処理するかを決めて用いれば良い。
たとえば、スレン染料を用いた場合の染色排水に対しては、本発明の第1の凝集剤組成物のみならず、本発明の第2の凝集剤組成物であってもCOD値を低下させるとともに、脱色処理も同時に可能である。スレン染料以外の染料を用いた場合の染色排水に対しては、本発明の第1の凝集剤組成物が効率的であることが多い。
【0036】
以下、本発明の凝集剤組成物に関する各成分について説明する。なお、これらの例にのみ限定されるものではなく、補助的に他の構成成分を添加することも可能である。
【0037】
まず、アオイ科トロロアオイ属由来成分を説明する。
アオイ科トロロアオイ属由来成分は被子植物門、双子葉植物綱、アオイ目、アオイ科、トロロアオイ属(Abelmoschus)に属するオクラやリュウキュウトロロアオイなどの植物に由来する成分である。アオイ科トロロアオイ属由来成分は、アオイ科トロロアオイ属に分類される植物を乾燥させて粉砕した粉状体によって構成され、オクラを乾燥させて粉砕した粉状体(オクラ由来成分)などがこれに含まれる。このアオイ科トロロアオイ属由来成分は、ペクチン、ガラクタン、アラバン及びムチン等の他、ミネラル、カルシウム、カリウム、ビタミンA、B1、B2及びC等のオクラ成分が含まれる。このようにアオイ科トロロアオイ属由来成分を乾燥及び粉砕すればアオイ科トロロアオイ属由来成分の表面積が大きくなる等のため、本発明の凝集剤組成物におけるアオイ科トロロアオイ属由来成分としてアオイ科トロロアオイ属由来成分を乾燥及び粉砕したものを用いれば、本発明の凝集剤組成物による吸着および凝集作用がさらに起こり易い。
【0038】
アオイ科トロロアオイ属由来成分をなす粉状体の粒度としては、18メッシュ以下であることが好ましく、さらに40メッシュ以下であることがより好ましい。このように、アオイ科トロロアオイ属由来成分の粒度は、処理対象となる排水に凝集剤組成物を投入した際の分散度や反応度を考慮し、細かいものであることが好ましい。
また、アオイ科トロロアオイ属由来成分として、アオイ科トロロアオイ属の植物をすり潰して得た液またはアオイ科トロロアオイ属の植物から抽出した抽出液を用いてもよい。
【0039】
なお、アオイ科トロロアオイ属由来成分は、アオイ科トロロアオイ属に属する植物の表皮部分、内部において内壁をなす繊維壁(以下、「内側繊維壁」ともいう。)および種うちの全てを一緒に原材料として用いたものであっても、これらのうちのいずれかを組み合わせて選択して原材料として用いたものであってもよい。例えばオクラであれば、果実、果皮、蔕、種のうちの全てを一緒に原材料として用いたものであっても、これらのうちのいずれかを組み合わせて選択して原材料として用いたものであってもよい。また、オクラの葉、花、茎、根などの部位全てを一緒に原材料として用いたものであっても、これらのうちのいずれかを組み合わせて選択して原材料として用いたものであってもよい。
【0040】
また、アオイ科トロロアオイ属由来成分は、表皮部分、内側繊維壁及び種などのいずれについても、その部位選別の手間の省略、オクラなどの原料植物を有効利用する等の観点から、アオイ科トロロアオイ属に属する植物の全部分を原材料として調製したものをアオイ科トロロアオイ属由来成分として用いることが可能である。
【0041】
次に、アオイ科トロロアオイ属由来成分と併用する吸着補助成分について述べる。
この吸着補助成分は、上記のアオイ科トロロアオイ属由来成分と併用するもので染料物質などの吸着を補助する成分となる。
本発明における「吸着補助成分」の一例として、たとえば、染色イオンの吸着を助けるためゼオライトを用いることができる。ゼオライトには、天然ゼオライト、人工ゼオライトがあるが、いずれも、主な成分はシリカ(二酸化ケイ素)とアルミナ(酸化アルミニウム)のアルミノケイ酸塩のなかで結晶構造中に比較的大きな空隙を持つものの総称である。
【0042】
ゼオライトの表面は多孔質構造であり、この多孔質構造によって水溶液中の分子やイオンを吸着する能力がある。
また、ゼオライトは、イオン交換能も持っている。ゼオライトは、シリカ(二酸化ケイ素)とアルミナ(酸化アルミニウム)が酸素を介して結合した構造を持っているが、骨格中に生じる電荷の共有関係からアルミニウム原子の周りで電荷が不足し、陽イオンを補償する必要が生じている。そのため、陽イオンを吸着する機能を有する。
上記のように、ゼオライトも排水中に存在する染料物質の吸着を支援することができ、上記したアオイ科トロロアオイ属由来成分による作用を補償し、染料物質の吸着を促進することができる。
【0043】
なお、排水中に含まれる染色の種類、量、また、排水中に含まれる他の物質の種類、量などに応じて、さまざまな吸着補助成分を組み合わせたり、併用したりすることが可能であり、たとえば、珪酸塩白土や、その他の活性珪酸、アルギン酸ナトリウム、ベントナイト等についても好適に使用可能である。
たとえば、珪酸塩白土は、二酸化珪素(SiO2)を主成分とし、酸化アルミルミニウム(アルミナ)(Al2O3)や、酸化ナトリウム(Na2O)、酸化鉄(Fe2O3)、酸化カルシウム(CaO)、酸化カリウム(K2O)、酸化マグネシウム(MgO)、水分(H2O)等を含むものである。珪酸塩白土としては、上記の成分を種々の配合比で含むものを用いることができるが、例えば、二酸化珪素(SiO2)を72.96%、酸化アルミルミニウム(Al2O3)を9.92%、酸化ナトリウム(Na2O)を4.98%、酸化鉄(Fe2O3)を4.95%、酸化カルシウム(CaO)を3.27%、酸化カリウム(K2O)を0.13%、酸化マグネシウム(MgO)をこん跡程度、水分(H2O)を3.81%含むもの等を好適に使用することができる。具体的には、珪酸塩白土としてソフトシリカ(株)製の製品名「ミリオン」、三井金属資源開発(株)製の製品名「イワミライト」等を好適に使用することができる。
【0044】
次に、本発明の凝集剤組成物の成分のうち凝集剤成分について述べる。
本発明の凝集剤組成物における凝集剤成分としては、多価金属塩を含む凝集剤を好適に使用することが可能である。凝集剤成分として用いることが可能な多価金属塩には、アルミニウム(Al)や鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)などの多価の金属塩を採用することが可能であり、例えば、ポリ塩化アルミニウム(PAC;Al2(OH)mCl6-m)や、硫酸アルミニウム(硫酸バンド;Al2(SO4)3・nH2O)(日本工業規格 規格番号JISK1423)等を好適に使用することが可能である。
【0045】
また、凝集剤成分は、前述したPAC(ポリ塩化アルミニウム)や硫酸バンド(硫酸アルミニウム)等の多価金属塩から選ばれる1種又はそれ以上の物質を組み合わせて構成されたものや、1種又はそれ以上の物質を主成分とし、他の物質を副成分として含むものであってもよい。
【0046】
次に、本発明の凝集剤組成物の成分のうち活性炭成分について述べる。
本発明における「活性炭成分」の一例としては様々な製品があるが、いずれも主成分は多孔質の炭素である。活性炭の表面は多孔質構造であり、この多孔質構造によって水溶液中の分子やイオンを吸着する能力がある。たとえば、株式会社サンテックスの製品名サンプルフM−TC(紛体)などを好適に使用することができる。
【0047】
次に、高分子凝集剤について説明する。
高分子凝集剤としては、カチオン性、アニオン性、ノニオン性のいずれの属性に分類されるものであってもよく、アクリル系の高分子の水溶性有機物にカルボキシル基やアミド基、スルホン基などを配置したものを凝集剤成分として好適に使用することが可能である。
この高分子凝集剤により架橋が促進され、染色排水がより大きな塊状のフロックとして形成される。
【0048】
次に、pH調整およびpH調整剤について述べる。
pH調整剤は、酸性pH調整剤としては、硫酸や炭酸、塩酸、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、塩化第二鉄等を好適に使用することが可能である。アルカリ性pH調整剤としては、水酸化ナトリウムや、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム等のいずれかまたはそれらの組み合わせを好適に使用することが可能である。pH調整剤としては、1種又はそれ以上の物質を主成分とし、他の成分を副成分として含むものであってもよい。
【0049】
本発明の凝集剤組成物ではpH調整が重要である。特に、本発明の第2の凝集剤組成物では、pH調整が重要である。
発明者は、対象となる染色排水によっては、アオイ科トロロアオイ属由来成分および吸着補助成分を加えた後、PACなどの凝集剤成分を投入した状態において、溶液のpH値を一旦低下させた後、中和剤で中和し、その後、高分子凝集剤を投入するという手順で、第1の凝集剤組成物を用いた場合と同様に、短時間で効果的な凝集作用が得られ、又 COD値の低減とともに、排水が脱色され、透明度が高くなるという現象を発見した。そこで、本発明では、PACなどの無機系凝集剤による凝集工程において溶液のpH値を一旦低下させるというpH調整を行うことが好ましい。
【0050】
ここで、PACなどの無機系凝集剤を投入すると溶液はpH値が低下する傾向にあり、もし、PAC投入のみで溶液のpH値が低下した状態が得られた場合、酸性pH調整剤の投入はなくても染色排水の浄化処理が可能な場合がある。しかし、溶液の状態によっては、PACなどの凝集剤成分を投入しても十分に溶液のpH値が低下しないことがある。そこで、硫酸や炭酸、塩酸、硫酸第一鉄等などの酸性のpH調整剤を投入して一旦pH値を低下させるというpH調整を行う工夫を施すのである。
なお、PACなどの凝集剤成分を投入した後に一旦、溶液のpHを低下させて撹拌した後、今度は水酸化ナトリウムなどのアルカリ性pH調整剤を加えてpHを中性に戻す。
【0051】
次に、染色排水の凝集処理および脱色処理の手順などについて説明する。
なお、本発明の凝集剤組成物を用いる凝集処理の処理工程としては、染色排水に対して投入して撹拌する作業のみで良く、特に、加熱したり加圧したりする必要はない。
以下、まず、第1の凝集剤組成物の投入手順をまとめ、その後に第2の凝集剤組成物の投入手順をまとめる。
【0052】
[第1の凝集剤組成物の成分とその投入順]
上記組成の凝集剤組成物を用いた処理として、まず、アオイ科トロロアオイ属由来成分を投入し、次に、凝集剤成分を投入した後、pH調整剤を投入してpHを調整し、次に、活性炭を投入し、最後に高分子凝集剤を投入するという順序で投入・撹拌を繰り返しつつ工程を進めてゆくという簡単な処理工程のみで染色排水を凝集させることが可能である。また、投入順序においては入れ替えてもよく、前記凝集剤組成物を同時に投入してもよい。なお、アオイ科トロロアオイ属由来成分とともに吸着補助成分を併用する形であっても良い。
本発明の凝集剤組成物を用いる凝集処理の処理時間については、もっとも、凝集物が沈降するまで凝集処理対象液を静置したり、凝集処理対象液から凝集した凝集物を回収したりする工程は必要であるが、後述するように、実験レベルでは、各工程の撹拌が長くても5分から10分程度と短い時間で工程が終了する。
【0053】
以下、本発明の第1の凝集剤組成物を用いた凝集処理の各工程について説明する。
[アオイ科トロロアオイ属由来成分および吸着補助成分による吸着工程]
アオイ科トロロアオイ属由来成分を投入し、染色排水中に残留している成分を吸着する工程である。たとえばアオイ科トロロアオイ属由来成分と、ゼオライト等の吸着能を有する吸着補助成分を投入し、染色排水に残留している成分を吸着する工程である。たとえば5分間程度撹拌する。
なお、アオイ科トロロアオイ属由来成分による吸着工程と吸着補助成分による吸着工程は同時でもよいし、先にアオイ科トロロアオイ属由来成分を投入して1分程度撹拌し、次いで吸着補助成分を投入して撹拌する工程であってもよい。
【0054】
[無機系凝集剤による凝集工程]
無機系凝集剤を投入し、アオイ科トロロアオイ属由来成分や吸着補助成分により吸着した成分を凝集する工程である。たとえば、PACを投入し、1分間撹拌する。
【0055】
[pH調整剤によるpH調整工程]
本発明の第1の凝集剤組成物を用いた凝集処理については、この無機系凝集剤の投入後のpH調整は、染色排水の種類や状態などによりケースバイケースで行うか否か決めればよい。たとえば、直接染料を用いた染色排水の場合、このpH調整工程を行わなくても染色排水のCOD値をある程度低下させ、脱色することが可能であることが多い。ただし、このpH調整工程を行うと、pH調整工程を行わない場合に比べて、より一層、COD値を低下させたり、溶液を透明化したりという効果が得られる場合が多い。
ここでいう、pH調整工程とは、たとえば、前述した無機系凝集剤の投入により溶液のpH値が十分低下していない場合、酸性pH調整剤を投入し、pH値を一旦低下させ、その後に、アルカリ性pH調整剤を投入して溶液を中和し、凝集を促進する工程である。pH値を一旦低下させ、再度中性に戻して中和することにより、アオイ科トロロアオイ属由来成分による吸着工程、吸着補助成分による吸着工程で吸着できない分子の凝集を促進する。たとえば水酸化ナトリウム溶液を投入し、1分間撹拌する。
【0056】
[活性炭投入工程]
活性炭を投入し、溶液中に残っている未吸着物質を吸着する工程である。
前工程のpH調整工程によって、先立つ工程であるアオイ科トロロアオイ属由来成分による吸着工程や、吸着補助成分による吸着工程では吸着できなかった分子の凝集を促進するが、その他の未吸着物質などを吸着することができる。たとえば5分間撹拌する。
【0057】
[高分子凝集剤による凝集工程]
高分子凝集剤を投入し、前工程までに凝集されつつある成分を架橋して大きなフロックを形成する工程である。たとえば、高分子凝集剤として、カチオン性、アニオン性、ノニオン性アクリル系の高分子の水溶性有機物にカルボキシル基やアミド基、スルホン基などを配置したポリアクリルアミド系の有機凝集剤を投入し、撹拌する。たとえば5分間撹拌する。
以上の各処理工程を経て、染料を含有する排水を凝集分離する。
【0058】
[第2の凝集剤組成物の成分とその投入順]
次に、本発明の第2の凝集剤組成物を用いた凝集処理の各工程について説明する。
アオイ科トロロアオイ属由来成分および吸着補助成分による吸着工程、無機系凝集剤による凝集工程については、前述した本発明の第1の凝集剤組成物を用いた凝集処理における工程と同様で良い。
【0059】
[pH調整剤によるpH調整工程]
第2の凝集剤組成物を用いた凝集処理については、pH調整が重要となってくる。特に、スレン染料を用いた染色排水の場合、この無機系凝集剤の投入後のpH調整工程により、効果的にCOD値が低下し、脱色することが可能であることが多い。特に、前述した無機系凝集剤の投入により溶液のpH値が十分低下していない場合、酸性pH調整剤を投入し、pH値を調整して一旦低下させ、その後に、アルカリ性pH調整剤を投入して溶液を中和し、凝集を促進する工程である。pH値を一旦低下させ、再度中性に戻して中和することにより、アオイ科トロロアオイ属由来成分による吸着工程、吸着補助成分による吸着工程で吸着できない分子の凝集を促進する。ここでは、たとえば水酸化ナトリウム溶液を投入し、1分間撹拌する。
【0060】
[高分子凝集剤による凝集工程]
高分子凝集剤を投入し、前工程までに凝集されつつある成分を架橋して大きなフロックを形成する工程である。前述した本発明の第1の凝集剤組成物を用いた凝集処理における工程と同様で良い。たとえば5分間撹拌する。
【0061】
各成分の投入量については、排水の種類や性状などにより異なるため、適宜調整することが可能である。
【0062】
以上の各処理工程を経て、染料を含有する排水を凝集分離する。
なお、上記の基本処理工程に対して、様々な補助工程、予備工程を付加することができる。たとえば、上記の第1の凝集剤組成物、第2の凝集剤組成物のいずれも、最初の処理工程がアオイ科トロロアオイ属由来成分の投入であったが、染色排液が大きくアルカリ性に傾いた状態の場合、アオイ科トロロアオイ属由来成分の投入に先立って、アルカリ性の強さを緩和するため、硫酸などの酸性pH調整剤を投入しておく処理工程も有効である場合がある。強酸性の染色排液の場合も同様に、アルカリ性pH調整剤を投入してあらかじめ中和しておくことも有効である。pHを中和する工程においては、先に行ってもよいし、処理工程内で行ってもよい。
【実施例】
【0063】
以下、本発明の凝集剤組成物を用いて染色排水に対する凝集処理の実施例及び比較例を含む実験例を示す。なお、本発明はこれらの例にのみ限定されるものではない。
凝集剤組成物の実施例として、アオイ科トロロアオイ属由来成分、吸着補助成分、凝集剤成分、pH調整剤、活性炭、高分子凝集剤としては、特に断りのない限り、以下のものを用いた。
【0064】
[アオイ科トロロアオイ属由来成分]
以下のいずれかのうち、特に明示がない限り、(1)のオクラ果実および実を粉砕、乾燥して得られた粉状体を用いた。
(1)オクラ果実および実を粉砕、乾燥して得られた粉状体
(2)オクラ果実および実を粉砕、乾燥して得られた粉状体を水に溶かしたもの
(3)オクラ果実および実をすり潰して得た液分
(4)オクラ果実および実から抽出した抽出液
(5)オクラの茎と根を粉砕、乾燥して得られた粉状体
(6)オクラの茎と根を粉砕、乾燥して得られた粉状体を水に溶かしたもの
(7)オクラの茎と根をすり潰して得た液分
(8)オクラの茎と根から抽出した抽出液
[吸着補助成分]
吸着補助成分としては、ゼオライト(三井金属資源開発(株)製の製品名「イワミライト」)を用いた。
[凝集剤成分(多価金属塩)]
凝集剤成分としては、PAC(巽合成化学(株)製PAC Al2O3として10%含有)を用いた。
[pH調整剤]
酸性pH調整剤としては、硫酸を用いた。アルカリ性pH調整剤としては、水酸化ナトリウム(大和薬品工業(株)苛性ソーダ)を用いた。
[活性炭成分]
活性炭成分としては、活性炭((株)サンテックス製の製品名「サンプルフM−TC」)を用いた。
[高分子凝集剤]
高分子凝集剤としては、ポリアクリルアミド系の有機系凝集剤(ダイヤニトリックス(株)製の製品名「ダイヤフロック」)を用いた。
[実験器具]
ビーカー(IWAKI社製のほうけい酸ガラス(JIS R 3503準拠)、外径φ90mm、高さ120mm、容量500ml)に対して、予め調製した本発明にかかる凝集剤組成物を攪拌条件下で投入することにより実験を行った。
[測定方法]
JIS K 0102(100℃における酸素消費量)に基づいてCODMnを測定した。処理前後の色度については、試料を10倍希釈後、分光光度計 UV−200((株)島津製作所製)により測定した。
【0065】
[処理した染色排水]
染色排水のサンプルとして下記の試料を用意した。試料1、2、3、6については、実際に染色工場などから排出される排水を入手して実験した。これは染色工程のみならず、染色工場にて他の工程などで発生した排水も混合された実排水例である。試料4、5においては実際に染色工場などで使用されている各染料の組成を参考にして調整したものを用いた。
試料1.木綿などに反応染料を用いて染色している染色工場の排水(以下、非スレン系染色排水と呼ぶ)
試料2. スレン系染料により染色した場合の染色排水(以下、スレン系染色排水と呼ぶ)
試料3. 分散染料により染色した場合の染色排水(以下、分散染色排水と呼ぶ)
試料4. 酸性染料により染色した場合の染色排水
試料5. カチオン染料により染色した場合の染色排水
試料6. 赤顔料により染色した場合の顔料排水
【0066】
[実施例1]非スレン系染色排水を用いた実験
実施例1として、非スレン系染色排水500mLに対し、本発明の第1の凝集剤組成物を用いて実験を行った。まず、アオイ科トロロアオイ属由来成分25mg、ゼオライト400mgを添加、5分間撹拌した後、PACを1〜2mlを添加して1分程撹拌し、次に6%水酸化ナトリウムを添加してpHを中性域に調整する。次に活性炭1gを添加し、5分間撹拌した後、高分子凝集剤を2.5mg添加し、これを5分間撹拌する。
【0067】
[比較例1〜3]
上記の実施例1において、次の比較実験を行った。
比較例1は、本発明の第1の凝集剤組成物を用いた処理パターンのpH調整剤の投入順序を変えて、実施例1と同量のアルカリ性pH調整剤をPACより先に投入しておくパターンである。つまり、本発明の第1の凝集剤組成物を用いた処理手順として、有効な投入順序を検討した。
比較例2は、本発明の第2の凝集剤組成物を用いたパターンであり、実施例1より活性炭を抜いたものとなる。
比較例3は、比較実験として、活性炭のみを投入して染料物質の吸着を見るパターンである。つまり、本発明のように他の構成要素の作用が有効なのか、活性炭のみで脱色されてしまうものかを実験するものである。なお、比較例3は実施例1と同量の活性炭のみを投入後、10分間撹拌し、遠心分離(3000rpm、5分間)後にCODMnと吸光度を測定した。
【0068】
表1、図1および図9に結果を示す。
まず、表1のCOD値において非スレン系染色排水の原水のCOD値が190.8mg/lであったところ、実施例1の処理水は56mg/lまで低減できたことが確認できた。また、図1を見ると、実施例1の上澄水の色度も顕著に改善されている。これらの結果より、非スレン系の染色排水に対して、本発明の第1の凝集剤組成物を用いることで効果的に凝集処理を行うことができ、且つ、COD値の低減と脱色効果を同時に得られることを確認した。
なお、pH調整剤の投入順序を変えた比較例1においても、COD値と吸光度の低減が確認できたが、実施例1がより効果的な結果を得られたことより、非スレン系染色排水に対する本発明の第1凝集剤組成物を用いた処理手順としては、実施例1の投入順序がもっとも効果的であることが確認できた。
また、実施例1と、比較例2により、活性炭以外の成分を固定し、活性炭の投入をする場合と活性炭の投入をしない場合を比較すると、その結果、活性炭の有無により結果に明らかな違いが生じている。そのため、活性炭の存在が重要であることが分かる。しかし、実施例1および比較例1と、比較例3により、活性炭の成分を固定し、アオイ科トロロアオイ属由来成分などの他の成分が存在する場合としない場合を比較した結果、活性炭のみでは浄化効果が十分には得られていないことが分かる。
【0069】
これらの結果を統合すれば、本発明の凝集剤組成物の構成要素である、アオイ科トロロアオイ属由来成分と、凝集剤成分と、pH調整剤と、活性炭と、高分子凝集剤が有効成分であり、それらを上記の手順で投入することにより、染色排水を有効に凝集させることができ、COD値を低減させるとともに、従来は難しいとされた脱色処理も同時に可能であることが確認できた。
【0070】
[実施例2]非スレン系染色排水を用いた実験(酸性pH調整剤併用の場合)
実施例2として、実施例1で用いた排水と同様の非スレン系染色排水に対し、酸性pH調整剤を用いて、PAC投入後にさらにpHを低下させる実験を行った。手順としては、実施例1と同量のPAC投入後に、pH4〜5となるように酸性pH調整剤として硫酸を投入する部分のみが追加されている。
【0071】
[比較例4]
上記の実施例2に対し、比較例4として、本発明の第2の凝集剤組成物を用いて比較実験を行った。手順としては、実施例2より活性炭を抜いたものとなる。
【0072】
表2、図2および図10に結果を示す。
まず、表2のCOD値において非スレン系染色排水の原水のCOD値が191.6mg/lであったところ、実施例2の処理水は56mg/lまで低減できたことが確認できた。ここで、実施例1の結果と実施例2の結果を比べると、COD値は同様の結果ではあるが、吸光度を見ると、若干ではあるが改善効果が得られている。また、第2の凝集剤組成物を用いた、同様の処理手順である、比較例2と比較例4の結果を比べると、同量のPAC投入後に酸性pH調整剤を投入した比較例4の方がCOD値とともに吸光度も改善されていることが確認できた。つまり、対象となる染色排水の種類にもよるが、当該非スレン系の染色排水においては、PAC投入後にpH値が低下するように調整することは有効であり、それにより吸光度若しくはCOD値のさらなる改善効果が得られることが確認できた。
【0073】
[実施例3]スレン系染色排水を用いた実験
実施例3として、スレン系染色排水500mLに対し、本発明の第1の凝集剤組成物を用いて実験を行った。手順としては、実施例1と同様に実験を行った。
【0074】
[比較例5〜7]
上記の実施例3において、次の比較実験を行った。
比較例5として、本発明の第1の凝集剤組成物を用いた処理パターンのpH調整剤の投入順序を変えて、実施例3と同量のアルカリ性pH調整剤をPACより先に投入した。
比較例6は、本発明の第2の凝集剤組成物を用いたパターンであり、実施例3より活性炭を抜いたものとなる。
比較例7は、比較実験として、活性炭のみを投入して染料物質の吸着を見た。なお、比較例7は実施例3と同量の活性炭のみを投入後、10分間撹拌し、遠心分離(3000rpm、5分間)後にCODMnと吸光度を測定した。
【0075】
表3、図3および図11に結果を示す。
まず、表3のCOD値を見ると、スレン系染色排水の原水のCOD値が400mg/lであったところ、実施例3の処理水は70mg/lまで低減できていることが確認できた。また、図3を見ると、上澄水の色度も顕著に改善されている。
なお、非スレン系染色排水を用いた実施例1に係る実験結果と、スレン系染色排水を用いた実施例3に係る実験結果を比べることにより、染色排水の種類により、本発明の第1の凝集剤組成物、第2の凝集剤組成物の各々を用いた場合の凝集効果、脱色効果などが顕著に違うことが明らかになった。
まず、非スレン系染色排水に対しては、前述のように、活性炭の投入がない比較例2が最もCODの除去率が低く、上澄水も脱色できていないことなどから、活性炭の存在が重要であることが確認できている。また、PACよりも先にアルカリ性pH調整剤を投入した場合でも、活性炭があれば有効な結果は得られていることが分かった。
逆に、スレン系染色排水に対しては、活性炭を投入しない、第2の凝集剤組成物を用いた凝集処理法である比較例6が実施例3に次いでCODの除去率が高く、上澄水も脱色出来ている。また、活性炭を投入していても、PACより先にアルカリ性pH調整剤を投入することで脱色効果は得られなくなり、CODの除去率も低いことが分かった。従って、活性炭の存在よりも、PAC投入等によりpH値を一旦低下させる工程が重要であることが明らかになった。
【0076】
これらの結果から、スレン系染色排水に対しては本発明の第1の凝集剤組成物、第2の凝集剤組成物のいずれにおいても、PAC投入等によりpH値を一旦低下させるpH調整工程を伴うものであれば効果的に凝集処理が行うことができ、且つ、COD値低減と脱色効果を同時に得られることが確認できた。また、スレン系染色排水においても活性炭の存在は有効であるといえるが、一方で、比較例6のCOD値と吸光度が明らかに改善されていることより、スレン系染色排水ではpH調整が重要であり、且つ、活性炭がなくても有効な脱色効果は得られることが図3より明らかになった。
【0077】
実施例4から実施例7においては、各々の性質の異なる染色排水に対し、本発明の第1の凝集剤組成物による効果の一般性を確認するため、各成分の投入量など、処理条件は固定して実験を行った。なお、実際は、各染色排水における最適処理条件は異なるため、各々に対する適切な投入量等は検証する必要がある。また、それによりCODの除去率と吸光度はさらに改善できる。実施例8においては、非スレン系染色排水500Lに対して同様の処理条件で実証実験を行い、スケールアップでの処理に対する効果を確認した。
【0078】
[実施例4]分散染色排水を用いた実験
分散染色排水500mLを用いた以外は、実施例1と同様に実験を行った。
結果を表4、図4および図12に示す。
【0079】
[実施例5]酸性染料を用いた実験
酸性染料を用いた場合の染色排水500mLを用いた以外は、実施例1と同様に実験を行った。
結果を表4、図5および図13に示す。
【0080】
[実施例6]カチオン染料を用いた実験
カチオン染料を用いた場合の染色排水500mLを用いた以外は、実施例1と同様に実験を行った。
結果を表4、図6、図14に示す。
【0081】
[実施例7]赤顔料を用いた実験
赤顔料を用いた場合の顔料排水500mLを用いた以外は、実施例1と同様に実験を行った。
結果を表4、図7および図15に示す。
【0082】
[実施例8]スケールアップによる実証実験
非スレン系染色排水500Lに対して、バッチタンクによる実証実験を染色工場で行った。手順としては、実施例1と同様の処理条件でスケールアップして行った。
結果を表5、図8および図16に示す。
【0083】
これらの実験結果を統合すれば、本発明の凝集剤組成物の構成要素である、アオイ科トロロアオイ属由来成分と、凝集剤成分と、活性炭と、高分子凝集剤が有効成分であり、それらを上記の手順で投入することにより、染色排水を有効に凝集させることができ、COD値を低減させるとともに、従来は難しいとされた脱色処理も同時に可能であることが確認できた。そして、スレン系染色排水など、着色成分の種類によっては、活性炭がなくてもPAC等の凝集剤成分によりpH値を低下させるというpH調整を行うことで、有効な脱色作用を得られることが確認できた。また、スケールアップでの処理においても、ビーカーテストによる実験結果を再現することができ、同様の凝集効果、脱色効果を得られることが確認できた。
【0084】
以上、本発明の凝集剤組成物および凝集方法によれば、染色排水を有効に凝集させる効果がり、COD値を低下させるとともに、従来は難しいとされた脱色処理も短時間で同時に可能であることが確認できた。
【0085】
【表1】

【0086】
【表2】

【0087】
【表3】

【0088】
【表4】

【0089】
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明の凝集剤組成物及びこれを用いた凝集処理方法は、染料工場などからの排水で染料物質やその他染色工程で生じる物質が含有されている染色排水に対して好適に用いることができる。
【0091】
以上、本発明の好ましい実施形態を図示して説明してきたが、本発明の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】非スレン系染色排水に対して本発明の凝集剤組成物を用いた「実施例1」、「比較例1〜3」の実験結果を示す写真である。
【図2】非スレン系染色排水に対して本発明の凝集剤組成物を用いた「実施例2」、「比較例4」の実験結果を示す写真である。
【図3】スレン系染色排水に対して本発明の凝集剤組成物を用いた「実施例3」、「比較例5〜7」の実験結果を示す写真である。
【図4】分散染色排水に対して本発明の凝集剤組成物を用いた「実施例4」の実験結果を示す写真である。
【図5】酸性染料により染色した場合の染色排水に対して本発明の凝集剤組成物を用いた「実施例5」の実験結果を示す写真である。
【図6】カチオン染料により染色した場合の染色排水に対して本発明の凝集剤組成物を用いた「実施例6」の実験結果を示す写真である。
【図7】赤顔料により染色した場合の染色排水に対して本発明の凝集剤組成物を用いた「実施例7」の実験結果を示す写真である。
【図8】非スレン系染色排水に対して本発明の凝集剤組成物を用いた「実施例8」の実証実験結果を示す写真である。
【図9】非スレン系染色排水に対して本発明の凝集剤組成物を用いた「実施例1」、「比較例1〜3」における吸光度を示す図である。
【図10】非スレン系染色排水に対して本発明の凝集剤組成物を用いた「実施例2」、「比較例4」における吸光度を示す図である。
【図11】スレン系染色排水に対して本発明の凝集剤組成物を用いた「実施例3」、「比較例5〜7」における吸光度を示す図である。
【図12】分散染色排水に対して本発明の凝集剤組成物を用いた「実施例4」における吸光度を示す図である。
【図13】酸性染料により染色した場合の染色排水に対して本発明の凝集剤組成物を用いた「実施例5」における吸光度を示す図である。
【図14】カチオン染料により染色した場合の染色排水に対して本発明の凝集剤組成物を用いた「実施例6」における吸光度を示す図である。
【図15】赤顔料により染色した場合の染色排水に対して本発明の凝集剤組成物を用いた「実施例7」における吸光度を示す図である。
【図16】非スレン系染色排水に対して本発明の凝集剤組成物を用いた「実施例8」における吸光度を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アオイ科トロロアオイ属由来成分と、凝集剤成分と、高分子凝集剤を含むものである染色排水を浄化処理するための凝集剤組成物。
【請求項2】
前記アオイ科トロロアオイ属由来成分、前記凝集剤成分、前記高分子凝集剤の順に投入するものである請求項1に記載の染色排水を浄化処理するための凝集剤組成物。
【請求項3】
アオイ科トロロアオイ属由来成分と、凝集剤成分と、活性炭と、高分子凝集剤を含むものである染色排水を浄化処理するための凝集剤組成物。
【請求項4】
前記アオイ科トロロアオイ属由来成分、前記凝集剤成分、前記活性炭、前記高分子凝集剤の順に投入するものである請求項3に記載の染色排水を浄化処理するための凝集剤組成物。
【請求項5】
pH調整剤を含み、前記凝集剤成分の投入後に前記pH調整剤を投入し、pH調整を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の染色排水を浄化処理するための凝集剤組成物。
【請求項6】
pH調整剤を含み、前記凝集剤成分の投入前に前記pH調整剤を投入し、pH調整を行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の染色排水を浄化処理するための凝集剤組成物。
【請求項7】
前記凝集剤成分に加えて酸性pH調整成分を併用し、前記凝集剤成分を投入した溶液のpH値を低下させるように調整せしめることを支援する請求項1乃至6のいずれか1項に記載の染色排水を浄化処理するための凝集剤組成物。
【請求項8】
前記アオイ科トロロアオイ属由来成分と吸着補助成分を併用することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の染色排水を浄化処理するための凝集剤組成物。
【請求項9】
前記染色排水が、セルロース系繊維を染色する、反応染料、直接染料、硫化染料、ナフトール染料のいずれかまたはその組み合わせを用いた染色工程により発生した排水である請求項1乃至8のいずれか1項に記載の染色排水を浄化処理するための凝集剤組成物。
【請求項10】
前記染色排水が、たんぱく質系繊維を染色する、酸性染料、金属錯塩染料、酸性媒染染料、反応染料のいずれかまたはその組み合わせを用いた染色工程により発生した排水である請求項1乃至8のいずれか1項に記載の染色排水を浄化処理するための凝集剤組成物。
【請求項11】
前記染色排水が、ポリエステル繊維を染色する、分散染料を用いた染色工程により発生した排水である請求項1乃至8のいずれか1項に記載の染色排水を浄化処理するための凝集剤組成物。
【請求項12】
前記染色排水が、アクリル繊維を染色する、カチオン染料を用いた染色工程により発生した排水である請求項1乃至8のいずれか1項に記載の染色排水を浄化処理するための凝集剤組成物。
【請求項13】
前記染色排水が、セルロース系繊維を染色するスレン染料を用いた染色工程により発生した排水である請求項1乃至8のいずれか1項に記載の染色排水を浄化処理するための凝集剤組成物。
【請求項14】
前記染色排水が、顔料を用いた染色工程により発生した排水である請求項1乃至8のいずれか1項に記載の染色排水を浄化処理するための凝集剤組成物。
【請求項15】
前記アオイ科トロロアオイ属由来成分がオクラを乾燥及び粉砕したものであることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の染色排水を浄化処理するための凝集剤組成物。
【請求項16】
前記アオイ科トロロアオイ属由来成分がオクラをすり潰して得た液であることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の染色排水を浄化処理するための凝集剤組成物。
【請求項17】
前記アオイ科トロロアオイ属由来成分がオクラから抽出した抽出液であることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の染色排水を浄化処理するための凝集剤組成物。
【請求項18】
前記オクラにおいて原料として使用する部分がオクラの莢および蔕を含む実、種、花、茎、根のいずれかまたはそれらの組み合わせである請求項15乃至17のいずれか1項に記載の染色排水を浄化処理するための凝集剤組成物。
【請求項19】
前記凝集剤成分が多価金属塩を含むことを特徴とする請求項1乃至18のいずれか1項に記載の染色排水を浄化処理するための凝集剤組成物。
【請求項20】
前記凝集剤成分がポリ塩化アルミニウム又は硫酸バンドのいずれかまたはそれらの組み合わせであることを特徴とする請求項19に記載の染色排水を浄化処理するための凝集剤組成物。
【請求項21】
前記pH調整剤がアルカリ性pH調整剤であり、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウムのいずれかまたはそれらの組み合わせを含むものであることを特徴とする請求項1乃至20のいずれか1項に記載の染色排水を浄化処理するための凝集剤組成物。
【請求項22】
前記高分子凝集剤がカチオン性アクリル系、アニオン性アクリル系、ノニオン性アクリル系のいずれかのポリアクリルアミド系の有機系凝集剤であることを特徴とする請求項1乃至21のいずれか1項に記載の染色排水を浄化処理するための凝集剤組成物。
【請求項23】
前記吸着補助成分がゼオライトである請求項8に記載の染色排水を浄化処理するための凝集剤組成物。
【請求項24】
アオイ科トロロアオイ属由来成分と、凝集剤成分と、高分子凝集剤を含み、前記アオイ科トロロアオイ属由来成分、前記凝集剤成分、前記高分子凝集剤の順に投入するものである染色排水を浄化処理するための凝集方法。
【請求項25】
活性炭を含み、前記アオイ科トロロアオイ属由来成分、前記凝集剤成分、前記活性炭、前記高分子凝集剤の順に投入するものである請求項24に記載の染色排水を浄化処理するための凝集方法。
【請求項26】
pH調整剤を含み、前記凝集剤成分の投入後に前記pH調整剤を投入し、pH調整を行うことを特徴とする請求項24または25に記載の染色排水を浄化処理するための凝集方法。
【請求項27】
pH調整剤を含み、前記凝集剤成分の投入前に前記pH調整剤を投入し、pH調整を行うことを特徴とする請求項24乃至26のいずれか1項に記載の染色排水を浄化処理するための凝集方法。
【請求項28】
前記凝集剤成分に加えて酸性pH調整成分を併用し、前記凝集剤成分を投入した溶液のpH値を低下させるように調整せしめることを支援する請求項24乃至27のいずれか1項に記載の染色排水を浄化処理するための凝集方法。
【請求項29】
前記アオイ科トロロアオイ属由来成分と吸着補助成分を併用することを特徴とする請求項24乃至28のいずれか1項に記載の染色排水を浄化処理するための凝集方法。

【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−6174(P2013−6174A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−117785(P2012−117785)
【出願日】平成24年5月23日(2012.5.23)
【出願人】(510116808)八紀産業株式会社 (1)
【出願人】(592216384)兵庫県 (258)
【Fターム(参考)】