説明

柔軟性のある断熱性導管

【課題】 公知の導管の曲げ性を改善した導管の提供。
【解決手段】 この課題は、少なくとも1種類の媒体搬送用内部管、少なくとも1つの該内部管を取り囲む外部管並びに少なくとも1つの内部管と外部管との間に存在する、ポリウレタン又はポリイソシアヌレート発泡体をベースとする断熱層で構成される柔軟性のある断熱性導管において、発泡体に0.1〜7.5重量%の中空球状物が混入されており、そのとき該中空球状物が熱可塑性合成樹脂よりなる外被を有しそして高めた温度において該外被を膨張させる媒体が充填されていることを特徴とする、上記断熱性導管によって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は請求項1の上位概念に従う柔軟性のある断熱性導管並びに請求項4の断熱性導管製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヨーロッパ特許第0,897,788 B1号明細書から、一つ又は複数の内部管、一つ又は複数の該内部管を囲む断熱層並びに合成樹脂製外部管を有する断熱性導管が公知である。外部管は柔軟性を向上するために軽く波打った形状を有している。断熱層は、一つ又は複数の内部管と外部管との間の隙間に導入されそしてそこで発泡されているポリオールとイソシアネートとの混合物よりなるポリウレタン発泡体で構成されている。
【0003】
ポリウレタン発泡体の製造はヨーロッパ特許第1,371,469 B1号明細書の対象である。隙間に導入される混合物は、ポリオール、発泡剤及び空気をスタテックミキサーに供給し、そこで混合しそしてこの混合物をイソシアネートと動的ミキサー中で混合することによって製造される。このようにして製造された混合物は内部管同志の間の隙間に導入され、そこで発泡される。
【0004】
使用される全ての材料、例えば内部管及び外部管のための合成樹脂、並びに外部管の波打ち形状が導管を比較的に柔軟にするにもかかわらず、この導管は幾つかの用途では使用できない。
【0005】
上記の特許文献に従って製造された断熱性導管は外部からの熱の供給に対して住宅用配管として特に良好に使用される。例えば建物、保護するに値する樹木等を迂回するために、該導管を短い半径で曲げなければならないことがしばしばある。
【0006】
更に、該導管を小さい円筒直径の円筒状物に巻き付けそしてそれを取り付け場所に搬送することが望まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それ故に本発明は公知の導管をそれの曲げ性に関して改善することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は請求項1の特徴部分並びに請求項4の特徴部分によって解決される。
【0009】
本発明の本質的な長所は、発泡工程のときに生じる熱によって膨張する中空球状物によって、完成発泡体が弾力性を持ちそしてそれにもかかわらず導管が柔軟性を獲得することにある。ポリウレタン発泡体中に細かく分散分布する中空球状物はポリウレタン構造において柔軟性のある緩衝域として機能し、その結果生じるポリウレタン発泡体は余り硬くなくそして外部から負荷がかかったときに撓み得る。導管のこうして生じる横方向剛性の低下は、住宅用配管域での高い通行負荷は予想できないので、甘受することができる。
【0010】
柔軟性のあるポリウレタン発泡体は力が作用した場合に僅かな圧縮を許容する。このことは該導管を曲げたときに、合成樹脂製内部管、ポリウレタン発泡体及び合成樹脂製外部管が複合体を形成する導管の曲げ剛性を低減するというプラスの効果となる。これは、短い半径で導管を曲げたときに発泡体中での破断がないか或いは低減されることを予想させる。これによって潜在的熱破壊が低減され、それによって断熱性が全体的に改善される。
【0011】
中空球状物の割合は1〜5重量%であるのが有利である。
【0012】
中空球状物は完成発泡体中に膨張した状態で存在している。発泡工程の間に熱が放出され、これによって中空球状物の合成樹脂外被が軟化されそして中空球状物の内部で生じる圧力上昇に屈してそしてそれの直径を増大させる。
【0013】
中空球状物はポリオール、イソシアネート、膨張剤に又はポリオール、イソシアネート及び膨張剤の混合物に添加することができる。その際にしかしながら、発泡性混合物が内部管と外部管との間隙に到達したときに、中空球状物の外被の軟化温度以上への温度上昇が初めて達せられることが重要である。
【0014】
中空球状物の内部に存在する媒体はその時点まで液状又は気体状で添加物中に存在していてもよい。これは媒体の沸点だけに依存している。発泡工程の間に間隙に発泡体が入り込む直前又は後に中空球状物を膨張させることができることが重要である。
【0015】
本発明を以下の実施例によって更に詳細に説明する。
【実施例1】
【0016】
36gのポリオール、70gのイソシアネート及び2.2gの中空球状物を互いに混合しそしてビーカー中で自由に発泡させる。発泡剤としてはCOを使用する。
【実施例2】
【0017】
実施例2においては、50gのポリオール、65.5gのイソシアネート、2.3gのシクロペンタン(発泡剤)及び2.4gの中空球状物を互いに混合しそしてビーカー中で自由に発泡させる。
【0018】
指押し試験によって、中空球状物を含まない同じ原料を使用して製造された発泡体よりなる対照試験体と比較して、本発明の発泡体ほうが実質的に弾力性がありそして従来公知の該発泡体よりも曲げ易いことがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種類の媒体搬送用内部管、少なくとも1つの該内部管を取り囲む外部管並びに少なくとも1つの内部管と外部管との間に存在する、ポリウレタン又はポリイソシアヌレート発泡体をベースとする断熱層で構成される柔軟性のある断熱性導管において、発泡体に0.1〜7.5重量%の中空球状物が混入されており、そのとき該中空球状物が熱可塑性合成樹脂よりなる外被を有しそして高めた温度において該外被を膨張させる媒体が充填されていることを特徴とする、上記柔軟性のある断熱性導管。
【請求項2】
中空球状物の割合が1〜5重量%である、請求項1に記載の柔軟性のある断熱性導管。
【請求項3】
柔軟性のある導管の断熱層中の中空球状物が膨張した状態で存在する、請求項1又は2に記載の柔軟性のある断熱性導管。
【請求項4】
ポリウレタン発泡体の成分のポリオール及びイソシアネートを混合室で混合しそしてその混合物を内部管と外部管との間の環状空隙に導入する、請求項1〜3のいずれか一つに記載の柔軟性のある断熱性導管の製造方法において、中空球状物をポリオール、イソシアネート、発泡剤又はポリオール、イソシアネート及び発泡剤の混合物に混合室中で添加することを特徴とする、上記方法。

【公開番号】特開2008−256209(P2008−256209A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−85155(P2008−85155)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(504085749)ブルック・ロール・アクチェンゲゼルシャフト・ホールディング (3)
【Fターム(参考)】