説明

核燃料棒における平行度誤差の測定及び修正のための装置

核燃料棒(6)の上部端栓の平行度誤差測定及び修正装置であって、平行度誤差を測定する手段(20)と、前記誤差を修正する手段(22)と、前記装置を燃料棒上へ位置決めする手段と、を備え、燃料棒が載置されるラックと協働し、前記誤差の修正中にも平行度誤差の測定ができるようにするように、前記修正手段(22)は、燃料棒(6)のロケーション(31)に対して測定手段(20)の反対側に配置されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、核燃料棒における平行度誤差、特に上部端栓を備えた端部における平行度誤差を測定及び修正する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
核燃料集合体は、該核燃料集合体が略正方形の横断面を持つように互いに平行に配置された、複数の核燃料棒から成る。
【0003】
燃料棒はそれぞれ、小径で、かつ非常に長尺の管であって、下端が覆われた燃料被覆管を有し、該燃料被覆管には、円形断面を持つ円筒形の核燃料ペレットが重置される。所要数のペレットが燃料被覆管に装填されると、その開放端が上部端栓と呼ばれる端栓で覆われる。燃料被覆管、下部及び上部の端栓、及びペレットから形成されるこの集合体が燃料棒を構成する。
【0004】
この集合体は、各燃料棒の、下部端栓が付いた端部を収容した下端と、上部端栓が付いた端部を収容した上端とを備える。この下端と上端は、それぞれ各棒端を収容したハウジングを備える。上端と下端は、剛体棒により、剛性のフレームを形成するように接続される。
【0005】
燃料棒と、特に上部端栓を備えた燃料棒の端部と、上部キャップとの良好な接続を確保するために、上部端栓の平行度は十分でなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−123283号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上部端栓が、下部端栓を備えた燃料被覆管に対応する下部端栓が溶接された管あるいはLPWT(LowerPlug Welded Tube)に溶接されるときに、上部端栓の端部に平行度誤差が現れる場合がある。また、燃料棒を取り扱う間の上部端栓の端部の偶発的変形によっても、このような誤差は起こり得る。他の要因もこの平行度誤差の原因になり得る。
【0008】
特許文献1では、燃料棒を回転させて燃料棒端部の平行度誤差を測定する、プローブを備えた装置を記載している。
【0009】
この文献はまた、上部端栓の軸を測定するために、燃料棒の軸に直交するリニアプローブを少なくとも2つ備えた、平行度誤差を測定する装置について説明している。少なくとも2つのプローブを使用することにより、燃料棒を回転させることを避けることができる。この測定は、上部端栓の軸と燃料棒の軸との間のずれを測定することを可能にする。
【0010】
これらの測定装置では、平行度誤差の修正はできない。
【0011】
また、平行度誤差の修正は、最初の誤差を過度に修正することにより新たな誤差を生まないように、注意深くコントロールされなければならない。
【0012】
そこで、本発明の1つの目的は、平行度誤差の測定と修正の両方を確実に行える装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
先に述べた目的は、平行度誤差を測定する手段と、平行度誤差を修正する手段とを備えた平行度誤差を測定し及びその誤差を修正する装置によって達成されるが、測定及び修正手段は、誤差のリアルタイムの測定、特に、修正中に生じる誤差の変化の測定が可能となるように配置される。装置はまた、燃料棒上で該装置を位置決めし、燃料棒が載置されるラックと協働する手段を備える。
【発明の効果】
【0014】
したがって、この装置は誤差を過剰に修正し、新たな誤差の出現を招くことを防止する。この装置は持ち運びも取り扱いも容易である。
【0015】
更にこの装置は、測定と修正とを、燃料棒の取扱を防ぐ1つの装置で行うことができ、その品質低下のリスクを軽減することができる。また、これらの2つのステップに要する時間が著しく軽減され、結果的に、燃料棒の生産に掛かる時間が短縮される。
【0016】
この装置は持ち運び自由であり、測定及び修正装置が移動されるので、燃料棒を動かす必要がないという点で有利である。
【0017】
本発明は、主として、平行度誤差を測定する手段と該誤差を修正する手段とを備えた、核燃料棒の上部端栓部の平行度誤差の測定及び修正装置に関し、修正手段は、誤差の修正をしている間にも平行度誤差の測定ができるように、燃料棒のロケーションに対して測定手段の反対側に配置される。
【0018】
この測定手段は、例えば、燃料棒の上部端栓の周囲に接触するようにされたプローブを備え、該プローブは、燃料棒のロケーション軸を横断する軸に沿って動くことができる。
【0019】
この修正手段は、燃料棒の上部端栓の周囲に接触するようにされたプッシュピースを備えることができ、該プッシュピースは、燃料棒のロケーション軸を横断する軸に沿って動くことができる。プッシュピースの動作軸とプローブの動作軸は、燃料棒の動作軸を含んだ平面上にある。
【0020】
本発明に係る装置はまた、燃料棒を、それ自身の長軸の周りに回転可能にしつつ、該燃料棒を保持する手段を備えることができる。保持手段は、燃料棒を把持するための下部顎と上部顎で構成され、下部顎は平行度誤差を測定するための基準を形成する。
【0021】
有利なことに、これらの顎は摩擦の少ない材料、例えばエルタライト(Ertalyte 登録商標)から成り、燃料棒の回転を妨げることなく燃料棒の保持を確実にすることができる。
【0022】
有利なことに、上部顎は燃料棒のロケーション軸と平行な軸線の周りに蝶着されており、また、上部及び下部の顎を保持位置でロックする手段が備えられ、燃料棒の配置を容易にする。
【0023】
このプッシュピースは、例えば、アーム端部に設けられたねじ孔に取り付けられたねじ棒の一端に取り付けられ、ねじ棒は、プッシュピースが固定された端部と反対の端部にハンドルを備え、プッシュピースを手動で動かすことを可能にしている。
【0024】
有利なことに、プローブ方向へのプッシュピースの動きを制限するように、プッシュピースが固定されている棒にはストッパが固定されていて、上部端栓の過度の変形を防止している。
【0025】
本発明に係る装置はまた、保持手段と修正手段との間の、燃料棒のロケーション軸に平行する軸を有するリングを備えることができる。前記リングは、燃料棒を貫通させて、燃料棒に加えられた変形力に対応することを目的としている。
【0026】
本発明に係る装置はまた、燃料棒のための軸上ストッパを備えることができる。このストッパは、燃料棒挿入の方向では測定手段の下流側に、燃料棒のロケーション軸を横断して配置される。その結果、燃料棒の位置決めは容易になる。
【0027】
この装置はまた、燃料棒に対して該装置を位置決めする手段を備えることができる。該位置決め手段は、燃料棒及びその燃料棒が載置されたラックと協働するようにされている。該位置決め手段は、2つの馬蹄型部品を備え、その内側底部が燃料棒の表面上部に載置されるようになっている。その2つの部品は、燃料棒の上部端栓が載置されたラックに重なるように、互いに所定の距離をおいて配置されている。その支持具は、2つの馬蹄型部品間の距離と略等しい厚みを持つ。これらの手段は、ラックと燃料棒を支持具として使用することにより、他の支持具を使用せずに済む。
【0028】
例えば、測定手段と修正手段は、燃料棒に隣接するようにされた2本の平行する梁によって位置決め手段に接続されたプラットフォームによって運ばれる。
【0029】
上部及び下部顎のロック手段は、例えば、上部顎が蝶着された箇所の反対側に、燃料棒のロケーション軸に平行する軸周りに蝶着されたねじ棒と、ねじ棒に螺入されたボタンと、から形成される。顎は、ねじ棒を収容する切り欠きを備える。ボタンは、棒が切り欠きの中にあるときに、下部及び上部顎のロックを確実にするために、上部顎に対して下部顎の反対側に配置されている。これらのロック手段は容易に作ることができ、迅速かつ有効なロックを提供する。
【0030】
本発明はまた、本発明に係る平行度誤差の測定及び修正装置を使用することによる平行度誤差の測定及び修正方法に関し、後述するステップを有する。
a)この装置を燃料棒の上部端栓上に載置し、
b)燃料棒を測定手段と修正手段との間で位置決めするために、その軸に沿って動かし、
c)燃料棒の保持手段をロックし
d)燃料棒を回転させて、平行度誤差を検出し、
e)どのような修正を行うかを決定し、
f)誤差を修正手段の方向へ向け、
g)誤差を、修正手段によって加えられた変形力を加えることにより修正し、また同時に、測定手段から供給される情報を使ってチェックし、
h) 平行度誤差が、所定の閾値より低いことをチェックすることにより確認し、
i) もし平行度誤差の値が、所定の閾値より高ければ、d)からh)のステップを繰り返す。
【0031】
燃料棒を手動で回転させることは有利であり、方法をシンプルにし、装置を、かさばらず、より堅牢なものにすることができる。
【0032】
本発明は下記の説明及び図面を用いてより良く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明による測定及び修正装置の具体例の3/4斜視図である。
【図2】図2A〜図2I’は、図1の装置が行う、核燃料棒の平行度誤差測定及び修正の各ステップである。
【図3A】平行度誤差測定中の測定装置のダイヤルの概略図である。
【図3B】平行度誤差測定中の測定装置のダイヤルの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0034】
図1と図2A〜2I’は、核燃料棒の測定及び修正装置2の具体例であり、次の記載において選択された装置を示す。
【0035】
図2Aに見られるように、この装置2は、燃料棒6が置かれたラック4に配置されるようになっている。
【0036】
このラック4は、互いに間隔をあけて配置され、それぞれ燃料棒の長手方向の端部を支えている、2つの平行な支持具から成る。各支持具は、燃料棒の長手方向の端部用のハウジングを形成する切り欠き10を備える。図2は、燃料棒6の上部端栓6.1の支持具8.1を示している。
【0037】
燃料棒6は、上部端栓12の十分上流で、切り欠き10に収容されるので、その端栓と燃料被覆管の一部は支持具に支えられ突出している。
【0038】
この装置2は、ラック4上、特に支持具8.1上に装置を位置決めする手段14を備える。
【0039】
図示された例では、位置決め手段14は、棒18によって平行に堅く保持された、2つの馬蹄型部品16.1,16.2を備える。
【0040】
部品16.1,16.2を燃料棒に重ね合わせるために、部品16.1、16.2の隙間の幅は、燃料棒の燃料被覆管の直径に略等しい。
【0041】
有利なことに、隙間の底は燃料棒の燃料被覆管と略等しい曲率半径を有する。したがって、部品16.1,16.2と燃料棒との間の接触面は最適化され、燃料棒が変形するリスクを軽減する。
【0042】
更に、2つの部品16.1,16.2の間を隔てている距離は、支持具8.1の厚みと略等しいので、これらを支持具の両側に配置することが出来、また、装置は、支持具表面と部品表面の間のわずかな遊びによって、燃料棒に対して固定配置されている。
【0043】
この装置は、平行度誤差を測定する手段20と平行度誤差を修正する手段22から成る。これらの手段20,22は、マスト26の長手方向第1の端部24.1に配置され、該マスト26は、長手方向第2の端部24.2で位置決め手段14に固定されている。
【0044】
図示された例では、マスト26は、位置決め手段14の側面の長手方向第2の端部で、馬蹄型の部品28により互いに接続されている、2本の平行な梁26によって形成されている。
【0045】
2本の梁26の間隔は、部品16.1と16.2の隙間と同一である。装置が定位置にあるとき、梁26は燃料棒の両側で延びる。
【0046】
測定手段20及び修正手段22は、燃料棒を保持するために手段32がまた設けられているプラットフォーム30に配置される。この保持手段32は、位置決め手段14と測定及び修正手段との間に配置される。
【0047】
燃料棒のX軸(図2E参照)を有する長手方向のロケーション31は、梁の間に囲まれ、また保持手段32とストッパを形成する底部33との間のプラットフォーム30において囲まれ、測定手段20及び修正手段22はそのロケーション31と隣接する。
【0048】
次に、保持手段32について詳細な説明をする。
【0049】
保持手段32は、燃料棒にその軸の周りを回転させている間、燃料棒を十分に把持するようにされ、測定の基準として機能する。
【0050】
保持手段は、燃料棒を支えるためのV字形の下部顎34と、燃料棒の上に来るV字形の上部顎36とを備え、燃料棒の軸に直交する平面における燃料棒の動きを妨げる。
【0051】
下部顎34は、測定の基準を形成する。
【0052】
有利なことに、これらの顎34,36は、燃料棒が滑る材料からなり、この材料は回転を遅らせないことを可能にしている。これらは例えばエルタライトからなる。
【0053】
図示された例では、上部顎36は、燃料棒の軸に平行な軸の周りでプラットフォーム30に蝶着されたプラテン37に取り付けられている。プラテンは保持手段を開くことを可能にし、燃料棒の取り付けを容易にする。システム38はまた、燃料棒保持位置、すなわち下部顎34の反対側に、上部顎36をロックするために設けられる。ロックシステム38は、プラットフォーム30に取り付けられた棒40を備え、該棒40は、プラットフォーム30の上部顎36のヒンジ軸の反対側からX軸に平行な軸の周りにプラットフォーム30上で回転して蝶着される。
【0054】
棒40は、螺刻された端部40.1を有し、その端部には、ボタン44が螺入されている。上部顎36のプラテン37は、そのヒンジ軸の反対側に、ねじ棒40を収容するための切り欠き45を備えている。ボタン44は、図2Cに示された位置に、プラテンに把持力を及ぼすように外側に配置され、下部顎34の反対側で上部顎36をロックする。
【0055】
下部顎34及び上部顎36を間隔をあけて配置させ、あるいは互いにより近接させる他のどのようなシステムも設けられ得る。例えば、上部顎36を2本のねじ棒に取り付けるように設けられることができ、上部顎36は下部顎34と平行に動く。それからロックが2つのナットによって生じる。
【0056】
プラットフォームは、保持手段の下流側に、修正に必要な全ての変形力に対して対応をするためのリング46を具備する。
【0057】
図2Aに示すように、平行度誤差を測定する手段20は、燃料棒の下に位置するように、プラットフォーム30の自由端に配置される。
【0058】
図示された例及び、図2B’並びに2C’で示すように、測定手段20は機械的推進タイプであり、プラットフォーム30に形成された孔48に摺動可能なプローブ47から成る。図示例では、この孔48は垂直である。このプローブ47は、その自由端47.1が上部端栓に接触するようにされている。プローブ47は、機械的な動きに接続され、プローブ47の縦方向の動きを平行度誤差の値に変換する。
【0059】
この値は次に、オペレーターが見られるように、ダイヤル50に表示される。図示例では、これはニードルダイヤルである。
【0060】
この変換を可能にするために、この機械的な動きは、歯車、連結棒、歯状セクターで構成される。
【0061】
それは、この動きの変換のために、例えば、光学手段や圧電膜を使用した電子的手段を用い、デジタル表示板を備えるように設けられてもよい。
【0062】
また、機械的プローブの代わりに容量性プローブを使うこともできる。
【0063】
測定手段は、燃料棒の上部端栓の形状と、下部顎34によって与えられた基準値とを比較し、該基準値に対するその差を表示するためのコンパレータを形成する。
【0064】
プローブ47は、燃料棒との連続的な接触を確実にして連続的な測定を可能にする弾性手段によって上方へ回収される。
【0065】
修正手段22は、誤差をなくし、または少なくとも誤差が許容範囲内になるように該誤差を軽減するように、上部端栓に力を加えるためのものである。
【0066】
測定手段のプローブが、平行度誤差の修正と同時に、誤差の変化を連続的に知ることを可能にするように、修正手段22は、燃料棒に対してプローブと正反対の側に配置される。
【0067】
図示例では、プッシュピース52の動作軸とプローブ47の動作軸は、燃料棒の軸に対して直交する同一平面上にはない。しかし、この構成に限定されないことは理解される。プッシュピースの位置は、燃料棒へ伝えられる力に依存する。さらに、図示例では、それはストッパ33と干渉しないように配置されている。
【0068】
修正手段22は、上部端栓に変形力を加えるためにそこに接触するための、垂直に動くことのできるプッシュピース52を備える。
【0069】
プッシュピース52は、例えば、アーム58の端部に設けられたねじ孔56に取り付けられたねじ棒54の端部に取り付けられる。アーム58は、プローブ52が燃料棒の上部端栓に位置するように配置される。
【0070】
ねじ棒54の回転における設定とプッシュピース52の垂直方向の動きを容易にするために、棒54は、プッシュピース52を支持する端部の反対側の端部に、ハンドル60を備える。このねじ−ナットシステムは、プッシュピース52の垂直方向の動きを容易にする。プッシュピース52は、ねじ棒54に回転自由に取り付けられている。
【0071】
この実施例は、特にシンプルで堅牢であり、また、軽量であまりかさばらず、これは、装置の持ち運びを容易にしている。
【0072】
プッシュピース52を動かす他の手段、例えば、電子式、機械式、油圧式…などが本発明の範囲内であることは理解される。
【0073】
有利には、プッシュピース52は、燃料棒を圧迫するためのV字形の溝を備える。したがってこの力は燃料棒の2つの母線に良く分配される。更に、この溝の存在は、燃料棒の表面が変形するのを防ぐと同時に、変形力を加える間の燃料棒の保持を改善することを可能にする。
【0074】
有利には、プッシュピース52のプローブ方向への過度な垂直運動を妨げるために、ストッパ62が備えられていて、上部端栓の過度な変形を防いでいる。
【0075】
これらの垂直停止手段62は、図示例の中では、棒54上に、アーム58のプッシュピース52とは反対側に固定されたリングによって形成されている。このリング62は、過度な変形を防ぐ所定の位置に固定されている。プッシュピース52のプローブへ向かう動きと、それゆえの燃料棒の更なる変形を止めるため、このリング62はアーム58に当たって止まる。
【0076】
プラットフォーム30の底部33は、プローブ47の下流にあり、燃料棒のための軸上ストッパを形成するためのものである。操作する間、燃料棒の開放端は該ストッパ33に当接している。
【0077】
一例として、本発明に係る装置のサイズは、長さ308mm、高さ175mm、幅71mmであり、これは、オペレーター1人が扱うことを容易にする。
【0078】
次に、本発明に係る測定及び修正装置を使用して核燃料棒の平行度誤差を測定及び修正する異なるステップについて説明する。
【0079】
燃料棒がラック4に載置される。
【0080】
この装置2が垂直に運ばれて、燃料棒6と支持具8を跨ぐように設置される。部品16.1,16.2は支持具8の両側に配置され、梁は燃料棒の両側に設置される(図2A)。装置2は次に、図2Bに示すように、部品16.1,16.2の隙間の底部分で燃料棒の上に載置される。その位置では、上部端栓は2本の梁の間にある(図2B,図2B’) 。
【0081】
次に、燃料棒はその上部端栓をプローブ上に配置するように軸方向に動かされる。そのため、燃料棒は、プローブの端に向かって、下部顎34の上をリング46内へ、その自由端が底部33に当たるまで摺動する。この導入段階の間、プローブ47は、燃料棒とプローブとの干渉を避けるため、低い位置に保たれている。燃料棒が底部33に達すると、プローブは解放され、上部端栓に当たる(図2C,図2C’)。
【0082】
次に上部顎36は燃料棒上へ折り下げられ、棒が切り欠きに差し込まれ、下部顎34と上部顎36がこの相対的位置でロックするためにボタンが回される。図2Dでは、燃料棒はロックされている。ロックされている間、燃料棒とプローブとが確かに当たっているということが確認される。
【0083】
オペレーターはまず誤差を特定する。そのために、オペレーターは燃料棒をその軸の周りに、例えば手動で回転する(図2E)。燃料棒は、オペレーターが平行度誤差を検出するまで、回転させられている。
オペレーターは、その誤差が、図2Fで示すようにDFHの上方に方向付けられているときにコンパレータに表示された値(図3B)を書きとめる。また、誤差がDFBの下降を示しているときも、コンパレータに示された値(図3A)を書き留める。
【0084】
オペレーターは次に、ビートBを計算する。これはDFHとDFBとの差に等しい: B=DFH−DFB
【0085】
次に、平行度Pを計算する。これはビートの半分に等しい: P=B/2=(DFH−DFB)/2 。
【0086】
Pの値から、オペレーターは、燃料棒の平行度誤差を修正して許容できるものにするために、プッシュピースを使って燃料棒にどれほどの変形を加えるべきかを決定することができる。
【0087】
この変形は、実験的に決定される。
【0088】
一例では、もし P≦0.35mm なら、決定された修正は2.3mm; もし P≧0.35mm なら、決定された修正は2.4mmである。
【0089】
例えば、一端が埋め込まれ、他端が自由な、直径5mm、長さ40mmの円筒形のジルカロイ梁に、その自由端を2.5mm変形させるために加えなければならない力に相当する力を加えることが必要である。
【0090】
オペレーターは次に、なされるべき修正、すなわち、誤差が上方に方向付けられ、プッシュピースによって力がかけられているときにコンパレータで読み取れる値を計算する。
【0091】
この値DFHtoachievedは、決定された修正と測定された誤差DFHの和に等しい。
【0092】
オペレーターは次に燃料棒を修正する段階に進む。
【0093】
オペレーターは誤差が上を向くように燃料棒を位置決めする。
【0094】
次に、オペレーターはプッシュピース52を燃料棒上に押し当てる。燃料棒はV字溝に収容される。図2Gに示すように、まだ上部端栓に力はかかっていない。
【0095】
ハンドルが回されて、誤差を修正するために、プッシュピースが上部端栓にプローブの方向へ変形力を加える。図2Hに示すように、プローブ47が押し込まれるのがわかる。
【0096】
加えられた力は、誤差の値DFと反対向きの針の動きをもたらし、次に、燃料棒の可塑的変形を有効にもたらすように与えられた値による更なる動きをもたらす。オペレーターは燃料棒を、上記決定されたDFHtoacheveの値をコンパレータ上で読み取るまで動かす。
【0097】
誤差の修正の間、オペレーターは、上部端栓の位置を測定し続けているプローブに載せた燃料棒にオペレーターが加えている変形を継続的に目視する。この目視は、燃料棒に過度の力が加わるのを避けることを可能にする。したがってこの修正方法は、よくコントロールされているため、より迅速である。
【0098】
後のステップで、オペレーターはプッシュピース52を上昇させて(図2I,図2I’)、上部端栓のビートを確かめる。
【0099】
その端部へ、プッシュピースが高い位置で戻される。オペレーターは再度燃料棒を回転させて、ビートを決定する。オペレーターは、誤差が上に向いているときの誤差、及び下を向いているときの誤差を、再度測定する。
【0100】
オペレーターはこの測定からビートBと平行度Pを推定する。
【0101】
もしこの差の値が所定の閾値よりも低ければ、燃料棒は標準の平行度を持つ。
【0102】
例えば、この閾値が0.25に等しい場合、ビートは0.5を上回ってはならない。
【0103】
もし、チェック中に平行度誤差が閾値を超えていたら、オペレーターは、上部端栓に変形応力をかけ、平行度誤差を確認することによって、平行度誤差を修正するための先のステップを再スタートする。
【0104】
最後に、平行度の値が標準になったら、燃料棒6は底部33から離れて摺動させることによって取り除かれ、装置2が取り除かれる。
【0105】
機械的手段が燃料棒を回転させるために設けられ得ることは理解される。
【0106】
この装置には、測定手段20が修正段階の間アクティブのままであるゆえに、完了した変形を連続的に数値化することを可能にしながら、燃料棒の上部端栓の平行度の修正を可能にするという利点がある。
【0107】
その上、この装置はコンパクトで、オペレーター1人で扱い易く、誤差の測定と誤差の修正とを一緒にできる。これは、燃料棒のたった数センチメートルの長手方向の動きと、軸周りに回転させる動きだけが必要とされ、最低限の燃料棒の取り扱いで、各燃料棒上に設置することができる。
【0108】
さらに、この装置はラックを支持具として使用することが有利である。したがって、追加的な支持要素を必要としない。
【0109】
この説明の中で、プローブとプッシュピースが垂直方向の動きをするが、プローブとプッシュピースが垂直方向に対して傾斜した軸に沿って動く装置が、本発明の範囲外でないことは理解される。その場合には、プッシュピースと測定手段とは互いに反対側に設置されるだろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
核燃料棒(6)の上部端栓の平行度誤差を測定及び修正するための装置であって、
平行度誤差を測定する手段(20)及び前記誤差を修正する手段(22)を備え、
平行度誤差の修正をしている間にも前記誤差の測定を行えるようにするために、前記修正手段(22)は、燃料棒(6)のロケーション(31)に対して測定手段(20)の反対側に配置され、
前記装置はまた、前記装置を燃料棒に対して位置決めする手段(14)を備え、
前記位置決め手段(14)は、燃料棒及び燃料棒が載置されたラックと協働するようにされ、
該ラックは、互いに間隔をあけて配置され、それぞれが前記燃料棒の長手方向の端部を支えている、2つの平行する支持具を備え、
前記位置決め手段(14)は2つの馬蹄型部品(16.1,16.2)を備え、それらの内側底部は、燃料棒の周囲の上部に載るようになっており、
燃料棒の上部端栓が載置されたラックと重なるように、この2つの部品(16.1,16.2)は所定の距離で互いに間隔をあけて配置され、
前記支持具は、2つの馬蹄型部品(16.1,16.2)を隔てている間隔と略等しい厚みを持つことを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の、平行度誤差測定及び修正装置であって、
前記測定手段(20)は、燃料棒の上部端栓の周囲に接触させるようにしたプローブ(47)を備え、
前記プローブ(47)は、燃料棒のロケーション(31)の軸を横断する軸に沿って動くことができることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の、平行度誤差測定及び修正装置であって、
前記修正手段(22)は、燃料棒の上部端栓の周囲に接触させるようにしたプッシュピース(52)を備え、
前記プッシュピース(52)は、燃料棒のロケーション軸を横断する軸に沿って可動であり、
プッシュピース(52)の動作軸とプローブ(47)の動作軸とは、燃料棒の動作軸を含む平面に含まれることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1から3のうち1つに記載の平行度誤差測定及び修正装置であって、
前記燃料棒をその長軸の周りに回転させることを可能にしている間、燃料棒を保持する手段(32)を備え、
前記保持手段(32)は、燃料棒を把持するための下部顎(34)及び上部顎(36)とを備え、
前記下部顎(34)は平行度誤差を測定するための基準となることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項4に記載の平行度誤差測定及び修正装置であって、
前記顎(34,36)は摩擦の少ない材料、例えばエルタライト(Ertalyte 登録商標)からなることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の平行度誤差測定及び修正装置であって、
前記上部顎(36)は、燃料棒のロケーション軸に平行な軸の周りに蝶着され、
また、下部顎(34)及び上部顎(36)をロックする手段(38)が保持位置で設けられていることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1から6のうち1つと請求項3とが組み合わされた平行度誤差測定及び修正装置であって、
前記プッシュピース(52)は、アーム(58)の端部に設けられたねじ穴(56)に取り付けられたねじ棒(54)の一端に取り付けられ、
該棒(54)は、プッシュピース(52)が固定されている端部と反対の端部にハンドル(60)を有し、
前記プッシュピース(52)を手動で動かせるようにしていることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項7に記載の、平行度誤差測定及び修正装置であって、
前記プッシュピース(52)が固定されている棒に、プッシュピース(52)のプローブ(47)方向への動きを制限するように、ストッパ(62)が固定されていることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項2に記載の、平行度誤差測定及び修正装置であって、
前記保持手段(32)と修正手段(22)との間に、燃料棒のロケーション軸に対して平行な軸を有するリング(46)を備え、
前記リング(46)は、燃料棒に貫通されるようになっていて、
燃料棒に加えられた変形力に対応するようになっていることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項1から9のうち1つに記載の平行度誤差測定及び修正装置であって、
燃料棒のための軸上ストッパ(33)を有し、
該ストッパ(64)は、装置の中での燃料棒の挿入の方向で測定手段(20)の下流側に、燃料棒のロケーション軸に対して横断して配置されていることを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項1から10のうち1つに記載の、平行度誤差測定及び修正装置であって、
前記測定手段(20)及び修正手段(22)は、燃料棒に隣接する2本の平行な梁(26)によって位置決め手段に接続されたプラットフォーム(30)により運ばれることを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項1から11のうち1つと請求項6とが組み合わされた平行度誤差測定及び修正装置であって、
前記ロック手段は、上部顎(36)が蝶着されているのと反対側に、燃料棒のロケーション軸に平行な軸の周りに蝶着されたねじ棒(40)と、該ねじ棒(40)に螺入されたボタン(44)と、を備え、上部顎(36)はねじ棒(40)を収容する切り欠き(45)を有し、
棒(40)が切り欠き(45)の中にあるときに、下部顎(34)及び上部顎(36)のロックを確実にするために、前記ボタン(44)は、上部顎(34)に対して下部顎(34)の反対側に配置されることを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項1から12のうち1つに記載の装置を使用した、平行度誤差測定及び修正方法であって、以下のステップを有する方法。;
a) 装置を燃料棒(6)の上部端栓上に載置し、
b) 燃料棒を測定手段(20)と修正手段(22)との間で位置決めするために、その軸に沿って動かし、
c) 保持手段(32)をロックし、
d) 燃料棒(6)を回転させて、平行度誤差を検出し、
e) どのような修正を行うかを決定し、
f) 誤差を修正手段(22)の方へ向け、
g) 誤差を、修正手段(22)によって変形力を加えることにより修正し、また同時に、測定手段(24)から供給される情報を使ってチェックし、
h) 平行度誤差が所定の閾値より低いことをチェックすることにより確認し、
i) もし平行度誤差の値が所定の閾値より高ければ、d)からg)のステップを繰り返す。



【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図2H】
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【図2I】
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【図3A】
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【図3B】
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【公表番号】特表2012−503173(P2012−503173A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526501(P2011−526501)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【国際出願番号】PCT/EP2009/061839
【国際公開番号】WO2010/029166
【国際公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(508313895)アレヴァ・エヌセー (32)
【氏名又は名称原語表記】AREVA NC
【住所又は居所原語表記】33, rue La Fayette, 75009 Paris, France
【Fターム(参考)】