説明

梱包用部材および梱包体

【課題】比較的大面積を有し微細な孔を含む薄い金属板が損傷してしまうことを防止することができる梱包用部材を提供することを目的とする。
【解決手段】梱包用部材30は、孔15が形成されている複数の有孔領域13を含む金属板10を梱包するための部材である。梱包用部材は、金属板と対向して金属板の両側に配置されるようになる平板状の一対の平板部32と、一対の平板部の間に設けられ、金属板の板面に沿った外方に配置されるようになるフレーム部36と、金属板の有孔領域以外の領域と各平板部との間に配置されるようになる中間支持部34と、を備える。中間支持部は、金属板の梱包時に金属板の有孔領域以外の領域を押圧する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、孔が形成されている金属板を梱包するための梱包用部材に係り、とりわけ、比較的大面積を有し微細な孔を含む薄い金属板が損傷してしまうことを防止することができる梱包用部材に関する。
【0002】
また、本発明は、孔が形成されている金属板を梱包用部材によって梱包した梱包体に係り、とりわけ、比較的大面積を有し微細な孔を含む薄い金属板が損傷してしまうことを防止することができる梱包用部材を用いて金属板を梱包した梱包体に関する。
【背景技術】
【0003】
これまで、例えば特許文献1に開示されているように、孔が形成されている金属板を梱包するための梱包用部材が開発されてきた。特許文献1には、金属板(アパチャーグリル)の両側にそれぞれ配置された一対の梱包用部材(当て材)により、金属板を狭持する梱包方法が開示されている。このような梱包用部材には、金属板、とりわけ低強度となる金属板の孔の周囲の損傷を防止することが求められている。特許文献1に開示された梱包用部材は、金属板の孔に対面する位置に凹溝または貫通穴を形成されている。このため、特許文献1に開示された梱包用部材を用いて金属板を梱包した場合、金属板の孔が形成された領域(有孔領域)は梱包時にストレスフリーに保たれ得る。
【特許文献1】特開2002−293379号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
孔が形成された有孔領域を含む金属板は、種々の技術の分野において用いられている。そして最近においては、孔の大きさおよびピッチが微細化されるとともに複数の有孔領域を含むことを可能とするため、金属板の面積が大型化する傾向もある。例えば、携帯電話用の有機ELディスプレイを製造するために、有機発光材料を基板に蒸着する際に用いられる蒸着マスク用金属板においては、数十μmの幅の孔が数十μmのピッチで形成された有孔領域が一つの金属板に数十個含まれることもある。
【0005】
つまり、最近においては、特許文献1で想定されている金属板の面積よりも大きく、かつ、孔のピッチや幅についてはワンオーダーも小さくなっている。そして、比較的大面積を有するとともに微細化された孔を含む金属板に対して、特許文献1に開示された梱包用部材を用いた場合、有孔領域を含んだ金属板の中央部が固定されていないため、合い紙や同梱される他の金属板と擦れて有孔領域が損傷してしまう虞がある。
【0006】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、比較的大面積を有し微細な孔を含む薄い金属板が損傷してしまうことをも防止することができる梱包用部材を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、比較的大面積を有し微細な孔を含む薄い金属板が損傷してしまうことをも防止することができる梱包用部材を用いて金属板を梱包した梱包体を提供することを目的とする。
【0008】
なお、金属板の周縁部には、有孔領域が配置されていないものの、種々の機能が付与されることがある。例えば、有孔領域の位置を特定するための基準となるマーク(切り欠き等)が、金属板の周縁部に形成されることがある。そして、最近においては、金属板の板厚が薄くなっていく傾向があり(上述した蒸着マスクよう金属板では、数十μm)、有孔領域を含む中央部だけでなく、中央部を包囲する周縁部も効果的に保護することができれば、さらに好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による第1の梱包用部材は、孔が形成されている複数の有孔領域を含む金属板を梱包するための梱包用部材であって、前記金属板と対向して前記金属板の両側に配置されるようになる平板状の一対の平板部と、前記一対の平板部の間に設けられ、前記金属板の板面に沿った外方に配置されるようになるフレーム部と、前記金属板の前記有孔領域以外の領域と各平板部との間に配置されるようになる中間支持部であって、金属板の梱包時に前記金属板の前記有孔領域以外の領域を押圧する中間支持部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明による第1の梱包用部材において、前記フレーム部は、前記一対の平板部のいずれか一方に取り付けられていてもよい。あるいは、本発明による第1の梱包用部材において、前記フレーム部は、前記一対の平板部のいずれか一方と一体的に形成されていてもよい。
【0011】
本発明による第2の梱包用部材は、孔が形成されている複数の有孔領域を含む中央部を有する金属板を梱包するための梱包用部材であって、前記金属板と対向して配置されるようになる平板状の平板部と、前記金属板の前記中央部以外の部分と前記平板部との間に配置されるようになるフレーム部と、前記金属板の前記有孔領域以外の領域と前記平板部との間に配置されるようになる中間支持部であって、金属板の梱包時に前記金属板の前記有孔領域以外の領域を押圧する中間支持部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明による第2の梱包用部材において、前記フレーム部は、前記平板部に取り付けられていてもよい。あるいは、本発明による第2の梱包用部材において、前記フレーム部は、前記平板部一体的に形成されていてもよい。
【0013】
本発明による第1または第2の梱包用部材において、前記中間支持部は、前記平板部に取り付けられていてもよい。あるいは、本発明による第1または第2の梱包用部材において、前記中間支持部は、前記平板部と一体的に形成されていてもよい。
【0014】
また、本発明による第1または第2の梱包用部材において、前記中間支持部は直線状に形成されていてもよい。あるいは、本発明による第1または第2の梱包用部材において、前記中間支持部は格子状に形成されていてもよい。
【0015】
さらに、本発明による第1または第2の梱包用部材において、前記金属板は蒸着マスク用の金属板であって、各有孔領域には、細長く延びるスリット状の孔がその長手方向に直交する方向に並べられて複数形成されていてもよい。
【0016】
本発明による第1の梱包体は、孔が形成されている複数の有孔領域を含む金属板と、前記金属板を取り囲む梱包用部材と、を備える梱包体であって、前記梱包用部材は、前記金属板と対向して前記金属板の両側に配置された平板状の一対の平板部と、前記一対の平板部の間に設けられ、前記金属板の板面に沿った外方に配置されたフレーム部と、前記金属板の前記有孔領域以外の領域と、各平板部と、の間に配置された中間支持部であって、前記金属板の前記有孔領域以外の領域を押圧した状態にある中間支持部と、を有することを特徴とする。
【0017】
本発明による第1の梱包体において、前記フレーム部は、前記一対の平板部のいずれか一方に取り付けられていてもよい。あるいは、本発明による第1の梱包体において、前記フレーム部は、前記一対の平板部のいずれか一方と一体的に形成されていてもよい。
【0018】
本発明による第2の梱包体は、孔が形成されている複数の有孔領域を含む中央部を有する金属板と、前記金属板の両側に配置され、前記金属板を狭持する一対の梱包用部材と、を備える梱包体であって、各梱包用部材は、前記金属板と対向して配置された平板状の平板部と、前記金属板の前記中央部以外の部分と前記平板部との間に配置されたフレーム部と、前記金属板の前記有孔領域以外の領域と前記平板部との間に配置された中間支持部であって、前記金属板の前記有孔領域以外の領域を押圧した状態にある中間支持部と、を有することを特徴とする。
【0019】
本発明による第2の梱包体において、前記フレーム部は、前記平板部に取り付けられていてもよい。あるいは、本発明による第2の梱包体において、前記フレーム部は、前記平板部と一体的に形成されていてもよい。
【0020】
本発明による第1または第2の梱包体において、前記中間支持部は、前記平板部に取り付けられていてもよい。あるいは、本発明による第1または第2の梱包体において、前記中間支持部は、前記平板部と一体的に形成されていてもよい。
【0021】
また、本発明による第1または第2の梱包体において、前記中間支持部は直線状に形成されていてもよい。あるいは、本発明による第1または第2の梱包体において、前記中間支持部は格子状に形成されていてもよい。
【0022】
さらに、本発明による第1または第2の梱包体において、前記金属板は蒸着マスク用の金属板であって、各有孔領域には、細長く延びるスリット状の孔がその長手方向に直交する方向に並べられて複数形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、金属板の有孔領域以外の領域に対面する中間支持部によって、金属板を狭持することができる。したがって、有孔領域が含まれる金属板の中央部を固定することができる。これにより、金属板、とりわけ、金属板の有孔領域が取り扱い中(例えば、輸送中)に損傷してしまうことを効果的に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図1乃至図12を参照して本発明による梱包用部材および梱包体の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態では、有機ELディスプレイ装置を製造する際に有機発光材料を所望のパターンでガラス基板上に蒸着するために用いられる蒸着マスク(蒸着用のメタルマスク)としての金属板を、梱包用部材で梱包する例を説明する。ただし、このような適用に限定されることなく、種々の用途に用いられる金属板を梱包することに対して、本発明を適用することができる。
【0025】
<第1の実施の形態>
まず、図1乃至図9を参照して本発明の第1の実施の形態について説明する。
【0026】
最初に、梱包用部材による梱包対象となる蒸着マスクとしての金属板の一例について、図6乃至図9を参照して説明する。ここで図6は金属板の一例を示す上面図であり、図7は金属板を蒸着マスクとして使用する方法を説明するための図である。
【0027】
図6乃至図9に示すように、本実施の形態における蒸着マスクとしての金属板10は、平面視において(金属板10の板面に直交する方向からの視野において)、略四角形形状、さらに正確には平面視において略矩形状の輪郭を有している。金属板10は、周縁に位置する周縁部11と、周縁部11に周囲を取り囲まれた中央部12と、を有している。中央部12は、孔15が形成された複数の有孔領域13と、孔15が形成されておらず、複数の有孔領域13の間に位置する無孔領域14と、を含んでいる。また、図6に示されているように、周縁部11には切り欠き16が形成されている。この切り欠き16は、孔15とともに金属板10に形成されたものであり、孔15の位置を特定するために用いられ得る。
【0028】
図7に示すように、通常、蒸着マスクとしての金属板10は、スポット溶接等によってフレーム19に固定された状態で使用される。図7に示すように、フレーム19に固定された蒸着マスクとしての金属板10は、ガラス基板22に対面するようにして蒸着装置20内に支持される。この際、周縁部11に形成された切り欠き16を基準として金属板10が位置決めされ、有孔領域13の孔15(図8参照)がガラス基板22に対して適切な位置に配置されるようになる。蒸着装置20内には、金属板10を挟んだガラス基板22の下方に、蒸着材料(一例として、有機発光材料)28を収容するるつぼ24と、るつぼ24を加熱するヒータ26とが配置されている。るつぼ24内の蒸着材料28は、ヒータ26からの加熱により、気化または昇華してガラス基板22の表面に付着するようになる。上述したように、金属板10には多数の孔15が形成されており、蒸着材料28はこの孔15を介してガラス基板22に付着する。この結果、金属板10の孔15の位置に対応した所望のパターンで、蒸着材料28がガラス基板22の表面に成膜される。
【0029】
図6に示すように、中央部12(図6において、点線で囲まれる領域)は、平面視において略四角形形状、さらに正確には平面視において略矩形状の輪郭を有している。また、各有孔領域13は、平面視において略四角形形状、さらに正確には平面視において略矩形状の輪郭を有している。そして、複数の有孔領域13は、金属板10の一辺と平行な一方向に沿って所定の間隔を空けて配置されるとともに、前記一方向と直交する他方向に沿っても所定の間隔を空けて配置されている。すなわち、金属板10の平面視において、無孔領域14は格子状の領域を占めている。本実施の形態において、一つの有孔領域13が一つの有機ELディスプレイ装置に対応するようになっている。すなわち、図6に示された金属板10(蒸着マスク)によれば、多面付蒸着が可能となっている。
【0030】
また、図6および図8に示すように、各有孔領域13に設けられた複数の孔15は、当該有孔領域13において、一方向に沿って等間隔をあけて並べて配置されている。また、各孔15は、前記一方向に直交する他方向と平行に、有孔領域13の一端から他端まで細長く延びている。また、図9に示すように、平板状からなる金属板10の一方の面10aから他方の面10bに向け、金属板10の板面に沿った断面における各孔15の断面積はしだい小さくなっていく。ここで、図8は、金属板10を一方の面10a側から示す部分平面図であり、図9は、図8のIX−IX線に沿った断面図である。
【0031】
上述したように、本実施の形態では、孔15が各有孔領域13において等間隔に配置されている。一例として、金属板10が携帯電話やデジタルカメラ等のディスプレイ(例えば2〜3インチ程度)を作製するために用いられる場合、孔15の配列ピッチP(図8参照)は、84μm(300ppi)以上254μm(100ppi)以下程度とすることができる。また、金属板10が携帯電話のディスプレイを作製するために用いられる場合、各孔15の配列方向(上述の一方向)に沿った幅(スリット幅)Wは、28μm以上84μm以下程度とすることができる。一方、隣り合う有孔領域13の離間間隔、言い換えると、無孔領域14の幅は、5mm以上10mm以下程度とすることができる。
【0032】
以上のような構成からなる、金属板10は、以下のようにして形成され得る。まず、金属製シート18aと樹脂製シート18bとが接合された積層体18が準備される(図9参照)。次に、フォトリソグラフィー技術を用いたエッチングを積層体18に施して、樹脂製シート18bまで到達する孔15が、金属製シート18aの樹脂製シート18bに対面しない側の面から金属製シート18aに形成される。また、孔15の形成と並行して、上述した切り欠き16が周縁部11に形成されていく。その後、積層体18から樹脂製シート18bを除去し、金属製シート18aからなる金属板10が得られる。このような方法によって作製された金属板10においては、図8および図9に示すように、金属板10のシート面に沿った断面における各孔15の断面積が、樹脂製シート18bに対面していなかった側の面(一方の面10a)から、樹脂製シート18bに対面していた側の面(他方の面10b)に向け、しだいに小さくなっていく。このような金属板10によれば、高精細なパターンでの蒸着を精度良く行うことができる。
【0033】
次に、主に、図1乃至図5を参照して、以上のような金属板10を梱包する梱包用部材30について説明する。
【0034】
図1乃至図3に示すように、梱包用部材30は、金属板10と対向して金属板10の両側にそれぞれ配置されるようになる一対の平板部32と、一対の平板部32の間に設けられるフレーム部36と、金属板10と各平板部32との間に位置するようになる中間支持部34と、を有する。
【0035】
図1乃至図3に示すように、平板部32は平板状からなっている。本実施の形態において、平板部32は、平面視において(平板部32の板面に直交する方向からの視野において)、略四角形形状、さらに正確には略矩形状の輪郭を有している。図2に示すように、平板部32は、平面視において、梱包されるべき金属板10の外輪郭よりも大きい外輪郭を有している。なお、平板部32は、完全な平板ではなく、例えば、種々の目的に応じて穴や凹部が形成されていてもよい。
【0036】
図2に示すように、本実施の形態において、フレーム部36は平板部32の周縁部に沿って周状に延びている。そして、フレーム部36によって囲まれる領域内に、梱包対象の金属板10を収容することができるようになっている。すなわち、フレーム部36は、金属板10の板面に沿って、金属板10の外方に配置されるようになる。したがって、フレーム部36によって囲まれる領域の平面視における寸法と、梱包対象の金属板10の平面視における寸法と、が略同一である場合には、このフレーム部36を利用することによって、梱包用部材30に対し、梱包されるべき金属板10を極めて容易に位置決めすることができる。
【0037】
このフレーム部36は、取り扱い上の便宜から、一対の平板部32のうちのいずれか一方に、例えば接着剤を用いて貼り合わせる等して、予め取り付けられていてもよい。あるいは、フレーム部36は、一対の平板部32のうちのいずれか一方と一体形成されていてもよい。また、フレーム部36は分割可能であり、例えば、図4に示すように、一方の平板部32にフレーム部36の一部分36aのみが取り付けられていてもよいし、あるいは、一方の平板部32とフレーム部36の一部分36aのみとが一体形成されていてもよい。
【0038】
なお、図2に示す例において、フレーム部36が周状に形成された例を示したが、これに限られない。例えば、平面視において四角形形状を有する平板部32の対向する一対の縁部に沿ってそれぞれ配置された一対のフレーム部を採用することもできる。また、平面視において四角形形状を有する平板部32の四隅にそれぞれ配置された四つのフレーム部を採用することもできる。
【0039】
図2および図3に示すように、中間支持部34は、本実施の形態において、金属板10と各平板部32との間を直線状に延びている。中間支持部34は、包装されるべき金属板10の中央部12の有孔領域13以外の場所に対面するようになっている。図2に示すように、本実施の形態において、中間支持部34は、金属板10の中央部12の無孔領域14に対面するようになる。また、中間支持部34は、本実施の形態において、金属板10の周縁部11の一部分にも対面するようになっているが、周縁部11のうちの位置決め基準となる切り欠き16が形成された領域には対面しないようになっている。
【0040】
この中間支持部34は、取り扱い上の便宜から、対応する平板部32に、例えば接着剤を用いて貼り合わせる等して、予め取り付けられていてもよい。あるいは、中間支持部34は、対応する平板部32と一体形成されていてもよい。
【0041】
なお、図2に示す例において、中間支持部34が金属板10と各平板部32との間を直線上に延びている例を示したが、これに限られない。例えば、図5に示すように、格子状に形成された中間支持部35が、金属板10と各平板部32との間に配置されていてもよい。また、すべての無孔領域14に対応して中間支持部34を設ける必要はなく、例えば、図2および図5に示す中間支持部34を一つおきに削除してもよい。さらに、金属板10と各平板部32との間に、点状や線状等の中間支持部が、点在していてもよい。
【0042】
このような梱包用部材30において、一対の平板部32の間に設けられるフレーム部36の厚み、および、平板部32から突出する中間支持部34の厚みは、以下のようにして設計される。すなわち、フレーム部36の厚みが、一方の平板部側の中間支持部34および他方の平板部側の中間支持部34と、これらの中間支持部34の間に配置されるようになる被梱包体40と、の合計厚みと同一、好ましくは、若干薄くなるように設計され得る。なお、ここでいう被梱包体40とは、梱包されるべき一以上の金属板10のことであり、好ましくは、金属板10の両側に配置される保護用の合い紙(例えば、防錆剤を含んだ防錆紙)42を含む。
【0043】
また、梱包用部材30をなす平板部32、フレーム部36および中間支持部34は、同一の材料あるいは異なる材料から形成され得る。具体的には、紙、樹脂、金属、あるいは、これらのいずれかを含む複合材料等から、梱包用部材30の各構成要素を形成することが可能である。なお、複合材料としては、チップボール紙、新聞や雑誌等の屑を圧縮して固めた材料、あるいは、木材の屑を圧縮して固めた材料等があげられる。
【0044】
そして、以上のような梱包用部材30を用いて、金属板10を梱包することにより、金属板10と梱包用部材30とを含む梱包体50が得られる。具体的には、まず、梱包されるべき金属板10を一方の平板部32上に中間支持部34を介して載置する。このとき、平板部32にフレーム部36が取り付けられている、あるいは、フレーム部36が一体的に形成されている場合には、このフレーム部36の側面を利用して、金属板10を位置決めすることができる。すなわち、中間支持部32が金属板10の有孔領域以外の領域に対面するよう、金属板10を梱包用部材30に対して極めて容易に位置決めすることができる。
【0045】
なお、金属板10を保護することを目的として合い紙42を金属板10の両側に配置しておくことが好ましい。図3には、合い紙42と金属板10とが交互に配置されるようにして、二枚の金属板10が三枚の合い紙42とともに梱包されている。この場合、中間支持部34は、合い紙42を介して金属板10の有孔領域13以外の領域に配置されるようになる。
【0046】
次に、梱包されるべき金属板10上に、中間支持部34を介して他方の平板部32を載置する。このとき、一方の平板部32と他方の平板部32との間に、フレーム部36が介在するようにする。また、他方の平板部32と金属板10との間に介在する中間支持部34が、金属板10の有孔領域13以外の領域に対面するようにする。その後、例えば、結束バンド等の結束手段44(図1参照)により、一対の平板部32を締め付けて互いに対して固定する。これにより、被梱包体40(金属板10および合い紙42)と梱包用部材30とを含む梱包体50が得られる。
【0047】
得られた梱包体50において、一方の平板部側の中間支持部34は、結束手段44による締め付けによって金属板10(被梱包体40)を押圧した状態となる。同様に、他方の平板部側の中間支持部34も、結束手段44による締め付けによって金属板10(被梱包体40)を押圧した状態となる。この結果、被梱包体40の金属板10が、その両側に配置された中間支持部34によって狭持される。図2に示すように、複数の中間支持部34が設けられ、各中間支持部34は金属板10の無孔領域14上を直線状に延びている。したがって、金属板10は、中央部12中に複数設けられた直線状の領域において、支持される。これにより、有孔領域13が含まれる中央部12が梱包用部材30内で梱包用部材30に対して固定され、有孔領域13が擦れる等して損傷してしまうことを防止することができる。
【0048】
また、本実施の形態において、被梱包体40(金属板10)が収容される領域は、平板部32およびフレーム部34によって、外部から遮断されている。したがって、梱包体50の取り扱い中(例えば搬送中)に、梱包用部材30内の金属板10を収容している領域へ、粉塵や異物等が入り込んでしまうことを防止することができる。これにより、粉塵が付着したり異物が衝突することによって、金属板10が汚れたり変形したりすることを防止することができる。
【0049】
以上のように本実施の形態によれば、金属板10が、その中央部12において、梱包用部材30によって狭持される。したがって、有孔領域13を含む金属板10の中央部12を梱包用部材30に対して固定することができる。これにより、金属板10が大面積を有するとともに薄い厚みを有し、さらに、金属板10が微細な孔15を形成された有孔領域13を含む場合であっても、取り扱い中に損傷させてしまうことがないように、金属板10を梱包することができる。
【0050】
また、本実施の形態によれば、金属板10がフレーム部36によって外方から覆われ、金属板10の周縁部11は外部に向けて露出していない。したがって、金属板10の周縁部が外部から損傷されてしまうことを防止することができる。これにより、金属板10の周縁部11に形成されたマーク等(例えば、上述した切り欠き16)が損傷(変形等)してしまうことを防止することができる。
【0051】
<第2の実施の形態>
次に、図10乃至図12を参照して、本発明による第2の実施の形態について説明する。
【0052】
なお、以下に説明する第2の実施の形態は、図1乃至図9を参照しながら説明した第1の実施の形態と、梱包用部材のフレーム部の構成が異なり、被梱包体40(金属板10および合い紙42)を含むその他の構成については第1の実施の形態と略同一である。したがって、図10乃至図12において、上述した第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付し、重複する詳細な説明は省略する。
【0053】
図10乃至図12に示すように、第2の実施の形態において、梱包用部材31は、金属板10と対向して配置されるようになる平板状の平板部32と、金属板10の中央部12以外の部分と平板部32との間に配置されるようになるフレーム部37と、金属板10と平板部32との間に位置するようになる中間支持部34と、を有する。図10および図12に示すように、本実施の形態における梱包用部材31は当て材として機能し、二つの梱包用部材31が一組となって、被梱包体40(金属板10)を狭持するようになっている。
【0054】
梱包用部材31の平板部32および中間支持部34は、第1の実施の形態で説明した平板部32および中間支持部34と同様に構成され得る。
【0055】
一方、本実施の形態において、フレーム部37は、金属板10の中央部12以外の部分と平板部32との間に配置されるように構成されている。図11に示す例において、フレーム部37は平板部32の周縁部に沿って周状に延びている。そして、図11に示すように、フレーム部37は、周状の領域において、金属板10の周縁部11に対して対面するようになっている。このフレーム部37は、取り扱い上の便宜から、平板部32に予め取り付けられている、あるいは、平板部32と一体形成されていることが好ましい。
【0056】
なお、図11に示す例において、フレーム部37が周状に形成された例を示したが、これに限られない。例えば、平面視において四角形形状を有する平板部32の対向する一対の縁部に沿ってそれぞれ配置された一対のフレーム部を採用することもできる。また、平面視において四角形形状を有する平板部32の四隅にそれぞれ配置された四つのフレーム部を採用することもできる。
【0057】
また、平板部32から突出するフレーム部37の厚みは、平板部32から突出する中間支持部34の厚みと同一、好ましくは、若干薄くなるように設計され得る。フレーム部37をなす材料は、上述した第1の実施の形態のフレーム部36と同様にすることができる。
【0058】
そして、以上のような梱包用部材31を用いて、金属板10を梱包することにより、金属板10と梱包用部材31とを含む梱包体51が得られる。具体的には、まず、被梱包体40の両側に、それぞれ梱包用部材31を配置する。このとき、梱包用部材31のフレーム部37が金属板10の周縁部11に対面するとともに、中間支持部32が金属板10の有孔領域以外の領域に対面するようにして、梱包用部材31を被梱包体40に対して位置決めする。その後、例えば、結束バンド等の結束手段44(図10参照)により、一対の梱包用部材31を締め付けて互いに対して固定する。これにより、被梱包体40(金属板10および合い紙42)と一対の梱包用部材31とを含む梱包体51が得られる。なお、図10乃至図12に示すように、金属板10を保護することを目的として合い紙42を金属板10の両側に配置しておくことが好ましい。
【0059】
得られた梱包体51において、一方の梱包用部材側の中間支持部34およびフレーム部37は、結束手段44による締め付けによって金属板10(被梱包体40)を押圧した状態となる。同様に、他方の梱包用部材側の中間支持部34およびフレーム部37も、結束手段44による締め付けによって金属板10(被梱包体40)を押圧した状態となる。この結果、被梱包体40の金属板10が、その両側に配置された中間支持部34およびフレーム部37によって狭持される。ここで、梱包用部材31には複数の中間支持部34が設けられ、各中間支持部34は金属板10の無孔領域14上を直線状に延びている(図11参照)。したがって、有孔領域13が含まれる中央部12が、一対の梱包用部材31間において梱包用部材31に対して固定され、有孔領域13が擦れる等して損傷してしまうことを防止することができる。
【0060】
以上のように本実施の形態によれば、金属板10が、その周縁部11だけでなくその中央部12においても、梱包用部材31によって狭持される。したがって、有孔領域13を含む金属板10の中央部12を梱包用部材30に対して固定することができる。これにより、金属板10が大面積を有するとともに薄い厚みを有し、さらに、金属板10が微細な孔15を形成された有孔領域13を含む場合であっても、取り扱い中に金属板10を損傷してしまうことがないように、梱包することができる。
【0061】
なお、本実施の形態において、図10乃至図12に二点鎖線で示すように、一対の梱包用部材31間を延びるとともに一対の梱包用部材31に外方から接触する保護板46を設けるようにしてもよい。保護板46は、例えば結束バンド等の結束手段48(図12参照)を用いて、一対の梱包用部材31に対して固定することができる。
【0062】
このような保護板46を設けた場合、上述した第1の実施の形態と同様に、被梱包体40(金属板10)が収容される領域を、外部から遮断することができる。この結果、梱包体51の取り扱い中(例えば搬送中)に、梱包用部材30内の金属板10を収容している領域へ、粉塵や異物等が入り込んでしまうことを防止することができる。これにより、粉塵が付着したり異物が衝突することによって、金属板10が汚れたり変形したりすることを防止することができる。また、金属板10の周縁部11が外部に向けて露出していないので、金属板10の周縁部11が外部から損傷されてしまうことを防止することができる。これにより、金属板10の周縁部11に形成されたマーク等(例えば、上述した切り欠き16)が損傷(変形等)してしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】図1は、本発明による梱包用部材および梱包体の一実施の形態を示す側面図である。
【図2】図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。
【図3】図3は、図2のIII−III線に沿った断面図である。
【図4】図4は、フレーム部の一変形例を説明するための斜視図である。
【図5】図5は、図2に対応する断面図であって、中間支持部の一変形例を説明するための図である。
【図6】図6は、梱包対象となる金属板の一例を示す上面図である。
【図7】図7は、金属板を蒸着マスクとして使用する方法を説明するための図である。
【図8】図8は、図6に示された金属板を一方の面側から示す部分平面図である。
【図9】図9は、図8のIX−IX線に沿った断面図である。
【図10】図10は、図1に対応する図であって、本発明による梱包用部材および梱包体の他の実施の形態を示す側面図である。
【図11】図11は、図2に対応する図であって、図10のXI−XI線に沿った断面図である。
【図12】図12は、図3に対応する図であって、図11のXII−XII線に沿った断面図である。
【符号の説明】
【0064】
10 金属板
11 周縁部
12 中央部
13 有孔領域
14 無孔領域
15 孔
16 マーク(切り欠き)
30,31 梱包用部材
32 平板部
34,35 中間支持部
36,37 フレーム部
40 被梱包体
50,51 梱包体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
孔が形成されている複数の有孔領域を含む金属板を梱包するための梱包用部材であって、
前記金属板と対向して前記金属板の両側に配置されるようになる平板状の一対の平板部と、
前記一対の平板部の間に設けられ、前記金属板の板面に沿った外方に配置されるようになるフレーム部と、
前記金属板の前記有孔領域以外の領域と、各平板部と、の間に配置されるようになる中間支持部であって、金属板の梱包時に前記金属板の前記有孔領域以外の領域を押圧する中間支持部と、を備える
ことを特徴とする梱包用部材。
【請求項2】
前記フレーム部は、前記一対の平板部のいずれか一方に取り付けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の梱包用部材。
【請求項3】
前記フレーム部は、前記一対の平板部のいずれか一方と一体的に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の梱包用部材。
【請求項4】
孔が形成されている複数の有孔領域を含む中央部を有する金属板を梱包するための梱包用部材であって、
前記金属板と対向して配置されるようになる平板状の平板部と、
前記金属板の前記中央部以外の部分と、前記平板部と、の間に配置されるようになるフレーム部と、
前記金属板の前記有孔領域以外の領域と、前記平板部と、の間に配置されるようになる中間支持部であって、金属板の梱包時に前記金属板の前記有孔領域以外の領域を押圧する中間支持部と、を備える
ことを特徴とする梱包用部材。
【請求項5】
前記フレーム部は、前記平板部に取り付けられている
ことを特徴とする請求項4に記載の梱包用部材。
【請求項6】
前記フレーム部は、前記平板部一体的に形成されている
ことを特徴とする請求項4に記載の梱包用部材。
【請求項7】
前記中間支持部は、前記平板部に取り付けられている
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の梱包用部材。
【請求項8】
前記中間支持部は、前記平板部と一体的に形成されている
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の梱包用部材。
【請求項9】
前記中間支持部は直線状に形成されている
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の梱包用部材。
【請求項10】
前記中間支持部は格子状に形成されている
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の梱包用部材。
【請求項11】
前記金属板は蒸着マスク用の金属板であって、
各有孔領域には、細長く延びるスリット状の孔がその長手方向に直交する方向に並べられて複数形成されている
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の梱包用部材。
【請求項12】
孔が形成されている複数の有孔領域を含む金属板と、
前記金属板を取り囲む梱包用部材と、を備える梱包体であって、
前記梱包用部材は、
前記金属板と対向して前記金属板の両側に配置された平板状の一対の平板部と、
前記一対の平板部の間に設けられ、前記金属板の板面に沿った外方に配置されたフレーム部と、
前記金属板の前記有孔領域以外の領域と、各平板部と、の間に配置された中間支持部であって、前記金属板の前記有孔領域以外の領域を押圧した状態にある中間支持部と、を有する
ことを特徴とする梱包体。
【請求項13】
前記フレーム部は、前記一対の平板部のいずれか一方に取り付けられている
ことを特徴とする請求項12に記載の梱包体。
【請求項14】
前記フレーム部は、前記一対の平板部のいずれか一方と一体的に形成されている
ことを特徴とする請求項12に記載の梱包体。
【請求項15】
孔が形成されている複数の有孔領域を含む中央部を有する金属板と、
前記金属板の両側に配置され、前記金属板を狭持する一対の梱包用部材と、を備える梱包体であって、
各梱包用部材は、
前記金属板と対向して配置された平板状の平板部と、
前記金属板の前記中央部以外の部分と、前記平板部と、の間に配置されたフレーム部と、
前記金属板の前記有孔領域以外の領域と、前記平板部と、の間に配置された中間支持部であって、前記金属板の前記有孔領域以外の領域を押圧した状態にある中間支持部と、を有する
ことを特徴とする梱包体。
【請求項16】
前記フレーム部は、前記平板部に取り付けられている
ことを特徴とする請求項15に記載の梱包体。
【請求項17】
前記フレーム部は、前記平板部と一体的に形成されている
ことを特徴とする請求項15に記載の梱包体。
【請求項18】
前記中間支持部は、前記平板部に取り付けられている
ことを特徴とする請求項12乃至17のいずれか一項に記載の梱包体。
【請求項19】
前記中間支持部は、前記平板部と一体的に形成されている
ことを特徴とする請求項12乃至17のいずれか一項に記載の梱包体。
【請求項20】
前記中間支持部は直線状に形成されている
ことを特徴とする請求項12乃至19のいずれか一項に記載の梱包体。
【請求項21】
前記中間支持部は格子状に形成されている
ことを特徴とする請求項12乃至19のいずれか一項に記載の梱包体。
【請求項22】
前記金属板は蒸着マスク用の金属板であって、
各有孔領域には、細長く延びるスリット状の孔がその長手方向に直交する方向に並べられて複数形成されている
ことを特徴とする請求項12乃至21のいずれか一項に記載の梱包体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−78836(P2009−78836A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−249051(P2007−249051)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】