説明

棒状に冷凍成型したいくら

【課題】本発明は、いくらを細巻きや太巻きの具として容易に用いられるようにすることを課題とする。
【解決手段】水洗またはタレを混ぜることによっていくら特有の粘着性を弱めた後、棒状にプレス成型した直径0.8cmから2.5cm、長さ7cmから21cmのトレーに流し込み冷凍成型するか、食品用ラップで巻いて直径0.8cmから2.5cm、長さ7cmから21cmに冷凍成型して棒状の形にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は棒状に冷凍成型した、巻き寿司用のいくらに関する。
【背景技術】
【0002】
いくらは、さけの卵であって、商業的には1kg程度を縦30cm横20cm厚さ1.4cm程度の板状に冷凍したものを冷蔵庫などで自然解凍して用いられることが良く知られている。
【0003】
また冷凍せず、任意の容器に詰めて、生の状態で冷蔵流通しているものが良く知られている。
【0004】
しかし、解凍又は生のいずれの場合も、いくらに特有の粘着性があるため、寿司に用いられる場合はもっぱら軍艦巻きやまれに円錐状の手巻き寿司として用いられるのであり、かっぱ巻きや鉄火巻きなどのいわゆる細巻きや、卵やかんぴょう、穴子等を芯にして巻いたいわゆる太巻きの具として用いられるには、技術的に困難なため、細巻きや太巻きの具としては用いられていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
【0006】
そこで本発明は、いくらを細巻きや太巻きの具として容易に用いられるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)概要
本発明者は、上記課題の解決を目指して鋭意研究した結果、いくらをあらかじめ棒状に冷凍成型すれば良いのではないかとの考えに至った。すなわち、本発明の要旨は、いくらを水洗またはタレを混ぜることによりいくら特有の粘着性を弱めた後、棒状にプレス成型したトレーに流し込み冷凍成型するか、食品用ラップ等で巻いた後冷凍成型して棒状の形にし、これを芯にして細巻きや太巻きの具とすることである。
【0008】
また本発明は、直径0.8cmから2.5cm、長さ10cmから40cmに冷凍成型することを特徴とした、いくらである。
【0009】
以下、発明を構成する諸要件につき項分けして説明する。
【0010】
(2)いくら
いくらは冷凍流通しているものを解凍して用いるか生で冷蔵流通しているものを用いればよい。いくらの粒の大きさは特に問わないが、通常直径0.5cmから0.8cmである。また、人工いくらを用いてもよい。
【0011】
(3)いくらの水洗またはタレの混入
いくらの水洗は、いくらを入れるのに十分な容積を持ったざるに入れ、これを水を張ったボウルやシンクタンクに漬けた後、水切りすればよい。水に漬ける代わりに流水で行ってもよい。または、いくらに直接、みりん、酒、しょうゆ等を配合した任意のタレを混入してもよい。タレの量は特に問わない。こうすることにより、いくらに特有の粘着性を弱めておく。
【0012】
(4)冷凍成型
冷凍成型は棒状にプレス成型したトレーに流し込み冷凍成型するか、食品用ラップ等で巻いた後冷凍成型して棒状の形に整えればよい。棒の形状は円柱または角柱にすればよい。棒の大きさは、細巻き寿司や太巻き寿司の具とするのにふさわしい大きさであれば特に問わないが、直径0.8cmから2.5cm、長さ7cmから21cmにするのがより好ましい。直径0.8cmより細いと冷凍後の強度が不足し折れやすくなる。また直径2.5cmより太いと細巻き寿司や太巻き寿司にしたとき、喫食可能な温度まであがるのに時間がかかりすぎるため、電子レンジ解凍などの工夫が必要となる。長さ7cmより短いまたは21cmより長いと細巻き寿司や太巻き寿司の具として使い勝手が悪くなる。これは一般に流通している海苔の大きさ、縦21cm横19cmを考慮してのことである。冷凍温度は特に問わないが、いくらの品質上−30℃以下の急速冷凍するのがより好ましい。冷凍後は−1℃から−18℃で冷凍保存すればよい。食品用ラップ等とは、サランラップやクレラップの他、単なるビニルシートや不織布、樹脂コーティングした紙などを指す。また、成型後の強度を増すために、グアガム、キサンタンガム、アラビアガム、メチルセルロース等の増粘剤を加えてもよい。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明によれば、いくらを細巻きや太巻きの具として容易に用いられるようにすることができるため、民生に対し大きな効果がもたらされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
水洗またはタレを混ぜることによっていくら特有の粘着性を弱めた後、棒状にプレス成型した直径0.8cmから2.5cm、長さ7cmから21cmのトレーに流し込み冷凍成型するか、食品用ラップで巻いて直径0.8cmから2.5cm、長さ7cmから21cmに冷凍成型して棒状の形にすることを特徴とした、細巻き寿司や太巻き寿司用のいくら。
【実施例】
【0015】
以下実施例を掲げ発明実施の態様を説明するが、例示は単に説明用のものであって、発明の技術的範囲とは関係ないものである。
【0016】
実施例1
市販の冷凍いくら1kgをざるに入れ流水解凍後、煮切ったみりん1重量部、煮切った酒1重量部、しょうゆ1重量部からなるタレ0.1kgを加え、いくら特有の粘着性を弱めた後、直径1.5cm、長さ21cmにプレス成型したプラスチック製のトレーに流し込み、−35℃のエアブラスト式のフリーザーで冷凍した。冷凍後これをトレーから取り出し、−18℃で保存した。1ヶ月後、全形焼き海苔を半分に切った海苔の上に約70℃の寿司飯を薄く敷き詰め、棒状に冷凍成型されたいくらを−5℃まで半解凍したものを芯にしてすのこを用いて細巻き寿司を容易に作ることができた。約3分後にはいくらが解け、喫食可能な状態になった。
【0017】
実施例2
生の冷蔵いくら0.5kgをざるに入れ、水を張ったボウルで洗っていくら特有の粘着性を弱めた後、サランラップの上に幅7cm、長さ10cmになるようにいくらを敷き詰め、これを巻いて直径2cm長さ7cmの円筒状に成型し、−35℃のエアブラスト式のフリーザーで冷凍した。冷凍後これをトレーから取り出し、−18℃で保存した。1ヶ月後、縦9.5cm、横7cmの焼き海苔の上に約70℃の寿司飯を薄く敷き詰め、この上に棒状に冷凍成型された冷凍いくらのサランラップをはがし−5℃まで半解凍したものを芯にして、すのこを用いて細巻き寿司を容易につくることができた。
【0018】
実施例3
市販の冷凍いくら1kgをざるに入れ流水解凍後、煮切ったみりん1重量部、煮切った酒1重量部、しょうゆ1重量部からなるタレ0.1kgを加え、いくら特有の粘着性を弱めた後、直径0.8cm、長さ21cmにプレス成型したプラスチック製のトレーに流し込み、−35℃のエアブラスト式のフリーザーで冷凍した。冷凍後これをトレーから取り出し、−18℃で保存した。1ヶ月後、全形焼き海苔の上に約70℃の寿司飯を薄く敷き詰め、棒状に冷凍成型されたいくらを−5℃まで半解凍したものと棒状に切ったきゅうり、玉子焼き、まぐろを芯にして、すのこを用いて海鮮太巻き寿司を容易に作ることができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水洗またはタレを混ぜることによっていくら特有の粘着性を弱めた後、棒状にプレス成型したトレーに流し込み冷凍成型するか、食品用ラップで巻いた後冷凍成型して棒状の形にすることを特徴とした、細巻き寿司や太巻き寿司用のいくら。
【請求項2】
直径0.8cmから2.5cm、長さ7cmから21cmに冷凍成型することを特徴とした、請求項1のいくら。

【公開番号】特開2006−136305(P2006−136305A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−359073(P2004−359073)
【出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【出願人】(504454668)
【Fターム(参考)】