説明

椅子型マッサージ機

【課題】被施療者の心拍等の生体情報を正確に測定することのできる椅子型マッサージ機を提供する。
【解決手段】座部12と、背凭れ部14と、脚部用ユニット16と、を具え、座部及び/又は背凭れ部には、被施療者の患部にマッサージを施すマッサージ手段20,22、脚部用ユニットには、被施療者の脚部にマッサージを施す脚部用マッサージ手段24を具え、マッサージ手段及び脚部用マッサージ手段を制御する制御手段50を有する椅子型マッサージ機において、制御手段に電気的に接続され、被施療者の生体情報を測定する生体情報検出手段30,30を具え、制御手段は、生体情報検出手段により被施療者の生体情報を測定する際に、マッサージ手段を作動させることなく、脚部用マッサージ手段のみを作動させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被施療者の心拍等の生体情報を正確に測定することのできる椅子型マッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
椅子型マッサージ機において、被施療者の心拍数、皮膚温度などの生体情報を測定することのできる生体情報検出手段を具えたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
生体情報検出手段は、電極等から構成され、椅子の肘掛けの先端近傍に配備されて、生体情報検出手段に被施療者の指腹や手の平を接触させることによって、被施療者の生体情報を検出している。
【0003】
【特許文献1】特開2005−46382号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
生体情報検出手段による生体情報の測定精度を高めるためには、被施療者は、生体情報検出手段に指腹や手の平を安定した状態で押し付けておく必要がある。つまり、測定中に、指腹や手の平が生体情報検出手段から離れたり、動いたりすると、測定が上手く行なえなかったり、測定精度に狂いが生じてしまうことがある。
【0005】
このため、生体情報の測定を、椅子型マッサージ機の背凭れ部や座部に配備された揉みや叩きを行なうマッサージ手段の作動中に実施すると、被施療者の上半身がマッサージ手段によって上下、左右に揺れて、生体情報検出手段から指腹や手の平が浮き上がる等により、正確な測定を行なうことができない。
【0006】
そこで、生体情報を測定する間、すべてのマッサージ手段を停止させることも可能ではあるが、測定に要する時間(約30秒)、被施療者が着座した状態で待機することは、被施療者にとって長い待ち時間と考えられることが多い。
【0007】
本発明の目的は、被施療者の生体情報を測定する際に、被施療者の上半身への動作の影響が小さいマッサージのみ、例えば、脚部へのマッサージを施すことで、生体情報の測定精度を高め、被施療者が待ち時間であると感じにくい椅子型マッサージ機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の椅子型マッサージ機は、
被施療者が腰掛ける座部と、該座部の後端に配備される背凭れ部と、座部の先端に配備され被施療者の脚部を収容する脚部用ユニットと、を具え、
座部及び/又は背凭れ部には、被施療者の患部にマッサージを施すマッサージ手段、脚部用ユニットには、被施療者の脚部にマッサージを施す脚部用マッサージ手段を具え、マッサージ手段及び脚部用マッサージ手段を制御する制御手段を有する椅子型マッサージ機において、
制御手段に電気的に接続され、被施療者の生体情報を測定する生体情報検出手段を具え、
制御手段は、生体情報検出手段により被施療者の生体情報を測定する際に、マッサージ手段を作動させることなく、脚部用マッサージ手段のみを作動させるようにした。
【0009】
また、本発明の椅子型マッサージ機は、
被施療者が腰掛ける座部と、該座部の後端に配備される背凭れ部と、を具え、
背凭れ部には、被施療者の患部にマッサージを施すエアバッグ及び/又は背筋に沿って上下動する揉み玉からなるマッサージ手段を具え、マッサージ手段を制御する制御手段を有する椅子型マッサージ機において、
制御手段に電気的に接続され、被施療者の生体情報を測定する生体情報検出手段を具え、
制御手段は、生体情報検出手段により被施療者の生体情報を測定する際に、エアバッグの膨張によるマッサージ又は揉み玉を背筋に沿って上下動させるマッサージのみを作動させるようにした。
【発明の効果】
【0010】
本発明の椅子型マッサージ機によれば、生体情報検出の際に、脚部用マッサージ手段のみを動作させるようにしている。又は、背凭れ部に設けたエアバッグの膨張によるマッサージ又は揉み玉を背筋に沿って上下動させるマッサージを施すようにしている。
これらのマッサージは、被施療者の上半身の揺れや振動を与えにくいマッサージであるため、生体情報の検出部位、例えば指腹には振動等の影響が及ばない。従って、生体情報を精度よく検出することができる。
また、生体情報の測定に要する時間に、脚部用マッサージ手段により脚部にマッサージを施すことで、被施療者は、この時間を待ち時間とは感じることもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面に沿って本発明について詳細に説明する。
図1は、本発明を適用することのできる椅子型マッサージ機(10)の斜視図である。椅子型マッサージ機(10)は、床面に載置されるベース部(11)に、被施療者の腰掛ける座部(12)が揺動可能に支持されている。座部(12)の後端側には、被施療者の背中の当たる背凭れ部(14)、座部(12)の前端側には、被施療者の脚部を収容する脚部用ユニット(16)が支持されている。
脚部用ユニット(16)は、図1に示すように、被施療者の脚部(膝より下の部分)を挿入する凹部(17)(17)を有している。
【0012】
座部(12)、背凭れ部(14)及び脚部用ユニット(16)は、夫々、ベース部(11)に対してリクライニング機構(図1には図示せず)により傾動可能となっている。リクライニング機構は、複数のアクチュエータ等により、座部(12)、背凭れ部(14)及び脚部用ユニット(16)を独立して傾動させる構成としたり、1基のアクチュエータとリンク機構を組み合わせることで、座部(12)、背凭れ部(14)及び脚部用ユニット(16)を協調して傾動させるようにすることができる。
【0013】
また、座部(12)の左右両側には、座部(12)と一体に傾動可能な肘置き(18)(18)が設けられている。
【0014】
座部(12)、背凭れ部(14)及び脚部用ユニット(16)には、図1に示すように、夫々被施療者にマッサージを施す座部用マッサージ手段(20)、背凭れ部用マッサージ手段(22)、脚部用マッサージ手段(24)が配備される。
座部用マッサージ手段(20)として、エアバッグタイプやバイブレーションタイプ、ローラタイプのマッサージ手段を例示できる。
また、背凭れ部用マッサージ手段(22)として、エアバッグタイプ、揉み玉タイプ、バイブレーションタイプ、ローラタイプのマッサージ手段を例示することができる。揉み玉タイプ、ローラタイプのマッサージ手段の場合、背凭れ部(14)の長手方向に沿って上下に昇降可能とすることができる。
【0015】
脚部用マッサージ手段(24)として、エアバッグタイプ、バイブレーションタイプ、ローラタイプのものを例示することができる。被施療者の上半身への振動等の影響を抑えるために、エアバッグタイプのものを使用することが望ましい。
脚部用マッサージ手段(24)にエアバッグを採用する場合、図1に示すように、凹部(17)の内側面及び凹部(17)の底面に夫々1又は複数のエアバッグを装備し、エアバッグの膨張、収縮によって、被施療者のふくらはぎや足首、足先をマッサージすることができるようにすることが望ましい。
【0016】
肘置き(18)(18)には、被施療者の生体情報を測定するために、夫々生体情報検出手段(30)が配備される。生体情報検出手段(30)により測定される生体情報として心拍を例示することができる。
生体情報として心拍を測定する場合、生体情報検出手段(30)として、夫々一対の電極を例示することができる。電極は、肘置き(18)(18)の前端側上面に配備される。この位置は、被施療者が座部(12)に腰掛けた状態で、肘置き(18)(18)に被施療者の腕部(肘より先の部分)を載せ、手の平が下向きとなるようにしたときに、人差し指と中指が触れる位置又は手の平と触れる位置とする。
この位置に生体情報検出手段(30)を配備することで、被施療者は、特に意識することなく、自然な状態で生体情報検出手段(30)に触れることができ、測定中に疲れを感じることはない。
生体情報検出手段(30)を用いて、左右の手の電位を夫々検出し、制御手段(50)にて電位差を測定することで、被施療者の心拍を測定することができる。
【0017】
図2は、生体情報検出手段(30)によって検出された心拍波形の一例を示している。図中、心拍波形の突出した部分(R波)の間隔の振れ幅(CVRR)を検出することにより、被施療者の心拍のゆらぎを判定することができる。振れ幅(CVRR)の検出は、生体情報検出手段(30)と制御手段(50)を介して電気的に接続されたゆらぎ検出回路(32)(図3参照)によって行なわれる。
ゆらぎ検出回路(32)にて検出された振れ幅(CVRR)が小さいほど、被施療者の覚醒度合いが高く、ストレスを受けている状態であり、振れ幅(CVRR)が大きいほど、被施療者がストレスが少なくてリラックスしていることを意味する。
【0018】
生体情報として、被施療者の体温を測定、検出する場合には、生体情報検出手段(30)として、温度センサを用いることができ、また、脈拍を測定、検出する場合には、生体情報検出手段(30)として、フォトセンサを用いればよい。
【0019】
椅子型マッサージ機(10)の操作は、図1に示すように、一方の肘置き(18)に配備されたコントローラ(40)により行なわれる。
コントローラ(40)は、電源スイッチ、マッサージコース、マッサージポイント、マッサージ強さ等を選択する複数の操作ボタンを具える。また、コントローラ(40)には、選択されたマッサージコース、マッサージ手段(20)(22)(24)の動作状態、位置、強さ、経過時間等のマッサージ情報や、生体情報検出手段(30)により検出された生体情報を表示する表示部を具える。
【0020】
マッサージ効果を高めるために、座部(12)、背凭れ部(14)及び/又は脚部用ユニット(16)には、適所にヒータ(60)(後述する)を配備し、患部への温熱作用による加温マッサージを施すようにすることができる。
【0021】
図3は、本発明の椅子型マッサージ機(10)の制御系のブロック図である。椅子型マッサージ機(10)のすべての制御は、制御手段(50)により行なわれる。制御手段(50)は、マイクロプロセッサ等から構成され、種々の制御プログラム、マッサージプログラム等を記憶するメモリ(図示せず)を有する。
【0022】
制御手段(50)には、図3に示すように、コントローラ(40)、生体情報検出手段(30)、ゆらぎ検出回路(32)、マッサージ手段(20)(22)(24)、リクライニング機構(28)及びヒータ(60)が電気的に接続されており、コントローラ(40)からの操作命令や、制御手段(50)に予め記憶されたプログラムに基づいて作動する。
【0023】
座部用マッサージ手段(20)、背凭れ部用マッサージ手段(22)及び脚部用マッサージ手段(24)は、モータ駆動の場合(例えば、ローラタイプ、揉み玉タイプ)、制御手段(50)には、モータ駆動回路を介して接続される。また、マッサージ手段がエアバッグタイプの場合、制御手段(50)には、エアポンプ及びバルブが電気的に接続され、エアバッグの膨張、収縮が制御される。
【0024】
また、リクライニング機構(28)についても、モータ駆動の場合、モータ駆動回路を介して制御手段(50)に接続される。
リクライニング機構(28)は、制御手段(50)からの命令に基づいて、座部(12)、背凭れ部(14)及び脚部用ユニット(16)を所望の角度に傾動させる。
【0025】
ヒータ(60)は、被施療者のコントローラ(40)の操作又はマッサージコースのプログラムに基づいて、オン、オフ制御される。
【0026】
上記構成の椅子型マッサージ機(10)の生体情報検出を含むマッサージコースについて、フローチャート図4を参照しながら説明を行なう。
なお、本発明は、椅子型マッサージ機(10)において、生体情報を検出する際に、被施療者の指腹又は手の平と、生体情報検出手段(30)との接触状態を良好に維持できるように、被施療者の上半身の揺動や振動、移動を極力抑えるマッサージを被施療者に施すようにしたものである。
上半身の揺動等を抑えるマッサージとして、以下の実施例では、生体情報検出中に、脚部用マッサージ手段(24)による脚部へのマッサージを例示している。
また、本実施例では、生体情報として心拍を例示し、マッサージコースの最初と最後に心拍測定を行なうようにしているが、生体情報は心拍に限定されず、また、測定のタイミングも以下に限定されるものではない。
【0027】
まず、被施療者が座部(12)に腰掛け、コントローラ(40)を操作して椅子型マッサージ機(10)の電源を入れ(ステップ1)、生体情報の測定を含む所望のマッサージコースの操作ボタンを操作する(ステップ2)。その後、両手を夫々肘置き(18)(18)に置く。被施療者が両手を肘置き(18)(18)に置いた状態で、被施療者の指腹又は手の平が自然と生体情報検出手段(30)に当接することとなる。
【0028】
生体情報検出手段(30)に被施療者の指腹又は手の平が当接したことを制御手段(50)が検出すると、マッサージコースがスタートする(ステップ3、4)。
マッサージコースは、最初に生体情報検出手段(30)による生体情報(心拍)の検出と、脚部用マッサージ手段(24)による被施療者の脚部へのマッサージから開始される(ステップ4)。本ステップによれば、生体情報検出中に、被施療者の脚部のみにマッサージが施されるから、被施療者の上半身は、揺動、移動等はしないから、腕部が安定した状態で維持され、生体情報検出手段(30)と被施療者の指腹又は手の平との良好な接触状態が維持され、正確な生体情報を検出できる。
【0029】
生体情報検出手段(30)により測定された電位は、制御手段(50)に送信されて電位差により心拍が検出されると共に、ゆらぎ検出回路(32)によって振れ幅(CVRR)が検出される。得られた心拍及び振れ幅(CVRR)は、制御手段(50)のメモリに記憶されると共に、コントローラ(40)の表示部に数値及び/又はグラフとして表示される(ステップ5)。
【0030】
所定時間(例えば30秒)、生体情報検出手段(30)により被施療者の心拍を検出した後(ステップ6)、生体情報検出手段(30)による心拍の検出と、脚部用マッサージ手段(24)による脚部へのマッサージを停止し(ステップ7)、座部用マッサージ手段(20)、背凭れ部用マッサージ手段(22)及び脚部用マッサージ手段(24)を用いた全身のマッサージが行なわれる(ステップ8)。マッサージコースにより設定された時間、全身へのマッサージが施されると(ステップ9)、座部用マッサージ手段(20)、背凭れ部用マッサージ手段(22)及び脚部用マッサージ手段(24)を停止し(ステップ10)、再度生体情報の検出を行なう。
【0031】
全身マッサージ後の心拍の検出は、上記全身マッサージ前と同様の要領で行なわれる。
即ち、全身マッサージ終了後、生体情報検出手段(30)に被施療者の指腹又は手の平が当接していることが制御手段(50)により検出されると(ステップ11)、生体情報検出手段(30)による生体情報(心拍)の検出と、脚部用マッサージ手段(24)による被施療者の脚部へのマッサージから開始される(ステップ12)。
本ステップによれば、上記と同様、生体情報検出中に、被施療者の脚部のみにマッサージが施されるから、被施療者の上半身は、揺動、移動等はしないから、腕部が安定した状態で維持され、生体情報検出手段(30)と被施療者の指腹又は手の平との良好な接触状態が維持され、正確な生体情報を検出できる。
【0032】
生体情報検出手段(30)により測定された電位は、制御手段(50)に送信されて電位差により心拍が検出されると共に、ゆらぎ検出回路(32)によって振れ幅(CVRR)が検出される。得られた心拍及び振れ幅(CVRR)は、制御手段(50)のメモリに記憶されると共に、コントローラ(40)の表示部に数値及び/又はグラフとして表示される(ステップ13)。
【0033】
所定時間(約30秒)、生体情報検出手段(30)により被施療者の心拍を検出した後(ステップ14)、生体情報検出手段(30)による心拍の検出と、脚部用マッサージ手段(24)による脚部へのマッサージを停止し(ステップ15)、マッサージコースが終了する。
【0034】
ステップ3〜7にて測定された全身マッサージ前の心拍及び振れ幅(CVRR)と、ステップ11〜ステップ15にて測定された全身マッサージ後の心拍及び振れ幅(CVRR)を比較し、全身マッサージによりどの程度身体がリラックスしたかを判定して、コントローラ(40)に表示してもよい。これにより、被施療者は、体感だけでなく、視覚によりリラックス度合いを認識することができる利点がある。
【0035】
なお、上記では、生体情報を検出する際に、被施療者の上半身の揺動や振動等を抑えるために、脚部用マッサージ手段(24)のみを作動するようにしているが、例えば、背凭れ部用マッサージ手段(22)として揉み玉(ローラ)タイプのものを使用する場合、生体情報検出時に、上半身の揺動等が少ない揉み玉の上下動のみによるマッサージを施すようにしてもよい。この際、揉み玉の上下動の速度を遅くすることにより、一層上半身の揺動等を抑えることができ、好ましい。
上半身の揺動の少ないマッサージとしては、この他に腰や背中にゆっくりとしたエアバッグによる押圧マッサージを挙げることができ、このマッサージを生体情報検出時に施してもよい。
【0036】
また、全身マッサージ前に測定された生体情報に基づいて、被施療者の身体のストレス度合いを判定し、全身マッサージ時に、マッサージの強さ、時間、種類等を変えるようにすることもできる。
具体的には、ストレスが大きい場合には、身体への刺激が強すぎると、マッサージ効果が低下する虞れがあるため、弱めのマッサージとし、逆に、ストレスが小さい場合には、マッサージ効果を高めるために、強めのマッサージを施すようにすることができる。
例えば、背凭れ部用マッサージ手段(22)に揉み玉を用いたタイプのものであれば、揉み玉の突出量や移動速度を変えることで、マッサージの強弱を調整することができる。
【0037】
さらに、全身マッサージ前に測定された生体情報に基づいて、座部(12)、背凭れ部(14)及び脚部用ユニット(16)の傾動角度を変えるようにしてもよい。
例えば、図5(a)及び(b)に模式的に示すように、ストレスが大きい場合には、背凭れ部(14)を大きく後傾し(図5(a))、被施療者が寝転んだ状態となるようにして、リラックスしてマッサージを施すようにすることができる。逆に、ストレスが小さい場合には、背凭れ部(14)の後傾を小さくすればよい(図5(b))。
【0038】
また、座部(12)、背凭れ部(14)及び/又は脚部用ユニット(16)にヒータ(60)を配備した椅子型マッサージ機(10)では、ストレス度合いに応じて、ヒータ(60)のオン、オフや、温度を制御するようにしてもよい。例えば、ストレスが大きい場合には、ヒータ(60)をオンにして、患部を加温し、温熱効果を加えたマッサージとすることで、マッサージ効果を高め、被施療者をリラックスした状態に移行させることができる。
【0039】
マッサージ手段(20)(22)(24)としてエアバッグを用いる場合、エアバッグの表面(被施療者側の表面が望ましい)にヒータ(60)を配備し、エアバッグとエアポンプとの間に配備された電磁バルブ又は配管中に圧力センサを設けて、フローチャート図6に示すように、エアバッグを膨張させる際、即ち、電磁バルブが開状態又は圧力センサが所定値以上の圧力を検知したときに(ステップ1)、ヒータ(60)をオンとし(ステップ4)、エアバッグを収縮させる際(ステップ1)、即ち、電磁バルブが閉状態又は圧力センサの検知値が所定値未満となったときに、ヒータ(60)をオフとすることで(ステップ3)、効率よく且つ省エネルギーでヒータ(60)を活用することができる。なぜなら、エアバッグの膨張により、ヒータ(60)が被施療者側へ押し当てられるので、効率よく温めることができるからである。
なお、ヒータ(60)の温度が所定の温度以上(例えば43℃)であれば、それ以上の加熱を防止するために、エアバッグを膨張させる場合でもヒータ(60)をオフにしておくようにすることもできる(ステップ2)。
ヒータ(60)のオン、オフを繰り返すことにより、長時間に亘って同じ部位にヒータ(60)の熱が加わることを防止できる利点がある。
【0040】
以上の実施例では、生体情報を検出するために、左右の肘置きに生体情報検出手段を設け、肘置き上に載せた指腹や手の平を生体情報検出手段に押し付けて測定するタイプのものについて説明したが、生体情報検出手段を手で握って測定するタイプのものについても、生体情報を検出する際に、脚部用マッサージ手段(24)のみを動作させるマッサージ、あるいは、ローラタイプ(揉み玉タイプ)を使用する場合、揉み玉を背筋に沿ってゆっくり上下動させるマッサージ、あるいは、腰や背中にエアバッグによる押圧マッサージなど、上半身の揺動等が少ないマッサージを施すことにより、測定精度を上げることができる。手で握って測定するタイプの方が、姿勢が拘束されず楽である。
【0041】
また、生体情報検出手段として、心拍を測定するため、左右2つの検出手段を具えたものについて説明したが、測定する生体情報によっては、1つでも構わない。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、被施療者の心拍等の生体情報を正確に測定することのできる椅子型マッサージ機として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明を適用することのできる椅子型マッサージ機の斜視図である。
【図2】心拍波形の一例を示すグラフである。
【図3】制御ブロック図である。
【図4】生体情報を測定するマッサージコースの一例を示すフローチャート図である。
【図5】(a)は、背凭れ部を大きく後傾した状態、(b)は、背凭れ部の後傾を小さくした状態を示す椅子型マッサージ機の模式図である。
【図6】ヒータのオン、オフ制御のフローチャート図である。
【符号の説明】
【0044】
(10) 椅子型マッサージ機
(12) 座部
(14) 背凭れ部
(16) 脚部用ユニット
(18) 肘置き
(24) 脚部用マッサージ手段
(30) 生体情報検出手段
(32) ゆらぎ検出回路
(50) 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者が腰掛ける座部と、該座部の後端に配備される背凭れ部と、座部の先端に配備され被施療者の脚部を収容する脚部用ユニットと、を具え、
座部及び/又は背凭れ部には、被施療者の患部にマッサージを施すマッサージ手段、脚部用ユニットには、被施療者の脚部にマッサージを施す脚部用マッサージ手段を具え、マッサージ手段及び脚部用マッサージ手段を制御する制御手段を有する椅子型マッサージ機において、
制御手段に電気的に接続され、被施療者の生体情報を測定する生体情報検出手段を具え、
制御手段は、生体情報検出手段により被施療者の生体情報を測定する際に、マッサージ手段を作動させることなく、脚部用マッサージ手段のみを作動させるようにしたことを特徴とする椅子型マッサージ機。
【請求項2】
被施療者が腰掛ける座部と、該座部の後端に配備される背凭れ部と、を具え、
背凭れ部には、被施療者の患部にマッサージを施すエアバッグ及び/又は背筋に沿って上下動する揉み玉からなるマッサージ手段を具え、マッサージ手段を制御する制御手段を有する椅子型マッサージ機において、
制御手段に電気的に接続され、被施療者の生体情報を測定する生体情報検出手段を具え、
制御手段は、生体情報検出手段により被施療者の生体情報を測定する際に、エアバッグの膨張によるマッサージ又は揉み玉を背筋に沿って上下動させるマッサージのみを作動させるようにしたことを特徴とする椅子型マッサージ機。
【請求項3】
前記座部の左右に肘置きを具え、
左右の肘置きには、夫々被施療者の生体情報を測定する前記生体情報検出手段を具えてなる請求項1又は請求項2に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項4】
生体情報検出手段は、被施療者の心拍を測定する請求項1乃至請求項3の何れかに記載の椅子型マッサージ機。
【請求項5】
生体情報検出手段は、電極を有しており、該電極は、肘置きに配備され、被施療者の指を当接させることによって心拍を測定する請求項3に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項6】
制御手段には、心拍ゆらぎを検出するゆらぎ検出回路が配備され、該ゆらぎ検出回路により、心拍検出手段により測定された心拍のゆらぎを検出する請求項4又は請求項5に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項7】
脚部用マッサージ手段は、エアバッグを膨張、収縮させることにより被施療者の脚部にマッサージを施す請求項1に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項8】
座部、背凭れ部及び/又は脚部用ユニットは、リクライニング機構により傾動可能に配備され、制御手段は、生体情報検出手段からの生体情報に基づき、リクライニング機構を作動させる請求項1に記載の椅子型マッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−148561(P2010−148561A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−327322(P2008−327322)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】