説明

植物を用いたユビキノン−10の製造方法

【課題】 ユビキノン−10を大量に発現する植物、およびそのような植物を用いるユビキノン−10の生産方法の提供。さらに、そのような植物または方法によって産生されるユビキノン−10を含む栄養補助食品、サプリメント、食品および食物補填剤の提供。
【解決手段】 Gluconobacter suboxydans由来のデカプレニル2リン酸合成酵素をミトコンドリア標的化配列と作動可能に連結した発現カセットで形質転換した植物を作製し、植物を用いたユビキノンー10の製造方法。および、植物由来のユビキノン10を含む食品および化粧品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物を用いたユビキノン−10の製造方法、そのような製造方法において使用される組換え植物、ならびにそのような組換え植物を製造するために使用される発現カセットに関する。
【背景技術】
【0002】
ユビキノンは、電子伝達系の成分の1つであり、キノン骨格にイソプレノイド(炭素数が5のイソペンテニル二リン酸(IPP)を基本単位とする天然の有機化合物)が付加した化合物であって、2,3-dimethoxy-5-methyl-6-polyprenyl-1,4-benzoquinoneの構造を持ち、補酵素Q(コエンザイムQ=CoQ)とも称される重要な役割を果たしている生体成分である。天然には側鎖のイソプレノイド単位の数により主にユビキノン−5からユビキノン−12までの同族体が存在している。
【0003】
ユビキノンは、動植物の組織中、および微生物中に存在し、生理的、生化学的に重要な機能を果たしていることが知られている。ユビキノンは、抗酸化物質としても知られるビタミン様物質であり、さらに、皮膚老化、免疫不全、心疾患、歯周病、慢性疲労症候群、退行性脳、神経運動機能障害、糖尿病、脳卒中、動脈硬化、ガン、高血圧、低血圧、脳硬塞、アレルギー疾患などに対しての薬効が確認されている。また、心臓の能力を高める作用としては、うっ血性心不全の治療に用いられることに加えて、動悸・息切れ、足や顔のむくみ、冷え性などに対する薬効も知られている(ユビキノンについての総説としては、非特許文献1〜3を参照のこと)。
【0004】
しかし、医薬品として効果が認められているのは、ユビキノンの中でユビキノン−10(UQ−10)のみである。ユビキノン−10は、体内で合成されるが、加齢、疲労、ストレスによって減少するため、補給することが必要となる場合が多い。そのため、現在では、医薬品のみならず、化粧品およびスポーツ飲料に含まれ、そして健康食品および栄養補助食品の成分としても販売されている。
【0005】
ユビキノン−10は、現在、ナス科植物、酵母あるいは微生物菌体から抽出精製されているが、その生産は需要に追いつかず、従来の方法に加えて、より効率的な生産方法の開発が求められていた。
【0006】
このユビキノンの側鎖を形成するイソプレノイドは炭素数が5のイソペンテニル二リン酸(IPP)を基本単位とする、天然有機化合物であり、自然界に数多く存在する。ユビキノンの側鎖として利用される他に、カロチノイド、天然ゴム、またプレニル化蛋白質としての姿も知られている。生体内での生合成は、基本となるIPPや、FPP(ファネシル二リン酸)に新たなIPPが結合していき、徐々に長い鎖長のイソプレノイドが合成されていく。
【0007】
細菌Gluconobacter suboxydansからクローニングされたデカプレニル二リン酸合成酵素遺伝子(配列番号5)は、大腸菌内で発現された場合に、ユビキノン−10を産生することが公知である(特許文献1、非特許文献3)。しかし、大腸菌のような細菌内でユビキノン−10を産生させた場合、ユビキノン−10を含む、栄養補助食品、サプリメント、食品、飲料および食物補填剤などを製造する場合に、ユビキノン−10の精製に多大な費用と労力を要する。これに対して、食用に共し得る植物内で発現させる場合には、そのような精製のための費用および労力を低減することが可能である。しかしながら、上記細菌遺伝子を植物内で発現することによるユビキノン−10の産生の報告例はない。
【0008】
一方、真核生物では、組換え分裂酵母を用いるユビキノン−10の産生が試みられている(特許文献2)。特許文献2では、分裂酵母であるS.pombeのデカプレニル合成酵素遺伝子をクローニングおよび配列決定し、ミトコンドリア移行シグナルと連結した融合遺伝子を用いて、出芽酵母であるS.cerevisiaeを形質転換している。しかし、組換え酵母細胞内でのユビキノン−10の産生は確認されていない。さらに、特許文献2に記載される組換え酵母細胞内では、酵素活性が低いことが示唆されている。対照的に、Gluconobacter由来のddsA遺伝子を発現する酵母は、ユビキノン−10を産生した。従って、現在までのところ、大腸菌および酵母以外の組換え細胞を用いてユビキノン−10を産生する方法は確立されていない。
【0009】
従って、植物を形質転換することによって、ユビキノン−10産生を増強する方法、ユビキノン−10産生量を増強した植物を提供することが望まれている。
【特許文献1】特開平10−57072
【特許文献2】特開平9−173076
【非特許文献1】川向 誠、ユビキノンの生合成と新しい生理的機能、化学と生物、40(5);172−178
【非特許文献2】Makoto Kawamukai、J.Biosci.Bioeng.94、511−517(2002)
【非特許文献3】Okadaら(Eur.J.Biochem.255、52−59(1998))
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、組換え植物においてユビキノン−10を産生する方法、およびユビキノン−10を産生するための組換え植物を提供することを課題とする。また、本発明の組換え植物を調製するために使用される発現カセットを提供することもまた、本発明の課題である。さらに、本発明の植物によって産生されたユビキノン−10を含む組成物、食事用補添物、サプリメント、および薬学的組成物を提供することもまた、本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、植物において、デカプレニル二リン酸合成酵素遺伝子をミトコンドリアおよび/またはゴルジ体に標的化して発現することによって、ユビキノン−10を産生する植物を提供するという上記課題を解決した。
【0012】
従って、本発明は以下を提供する。
1.ポリプレニル2リン酸合成酵素を発現する発現カセットで形質転換された植物。
2.前記ポリプレニル2リン酸合成酵素が、デカプレニル2リン酸合成酵素である、項目1に記載の植物。
3.前記デカプレニル2リン酸合成酵素は、細菌由来の酵素である、項目1に記載の植物。
4.前記デカプレニル2リン酸合成酵素は、Gluconobacter suboxydans由来の酵素である、項目3に記載の植物。
5.前記デカプレニル2リン酸合成酵素は、配列番号5に示す核酸とストリンジェントな条件でハイブリダイズする核酸によってコードされる、項目2に記載の植物。
6.前記デカプレニル2リン酸合成酵素は、配列番号5に示す核酸配列に1または数個の欠失、付加、または置換を有する核酸によってコードされる、項目2に記載の植物。
7.前記デカプレニル2リン酸合成酵素は、配列番号5に示す核酸配列と80%より高い配列同一性を有する核酸によってコードされる、項目2に記載の植物。
8.前記デカプレニル2リン酸合成酵素は、配列番号6に示すアミノ酸配列に1または数個の欠失、付加、または置換を有するアミノ酸配列を有する、項目2に記載の植物。
9.前記デカプレニル2リン酸合成酵素は、配列番号6に示すアミノ酸配列と80%より高いアミノ酸配列同一性を有する、項目2に記載の植物。
10.前記デカプレニル2リン酸合成酵素をコードする核酸が、ミトコンドリア標的化配列をコードする核酸と作動可能に連結されている、項目2に記載の植物。
11.前記ミトコンドリア標的化配列をコードする核酸が、イネのRPS10タンパク質(配列番号2)のフラグメントをコードする核酸、RPS14タンパク質(配列番号4)のフラグメントをコードする核酸、RPS11タンパク質のフラグメントをコードする核酸、ATPアーゼβサブユニットタンパク質(配列番号10)のフラグメントをコードする核酸、およびATPアーゼγサブユニットタンパク質(配列番号12)のフラグメントをコードする核酸からなる群から選択される、項目10に記載の植物。
12.前記ミトコンドリア標的化配列は、イネのRPS10タンパク質(配列番号2)の1位〜56位のアミノ酸配列からなるフラグメントである、項目10に記載の植物。
13.前記ミトコンドリア標的化配列は、イネのRPS10タンパク質(配列番号2)の1位〜56位のアミノ酸配列をコードする核酸とストリンジェントな条件でハイブリダイズする核酸によってコードされる、項目10に記載の植物。
14.前記ミトコンドリア標的化配列は、イネのRPS10タンパク質(配列番号2)の1位〜56位のアミノ酸配列をコードする核酸配列に1または数個の欠失、付加、または置換を有する核酸、あるいはイネのRPS10タンパク質(配列番号2)の1位〜56位のアミノ酸配列をコードする核酸配列のフラグメントによってコードされる、項目10に記載の植物。
15.前記ミトコンドリア標的化配列は、イネのRPS10タンパク質(配列番号2)の1位〜56位のアミノ酸配列をコードする核酸配列と80%より高い配列同一性を有する核酸によってコードされる、項目10に記載の植物。
16.前記ミトコンドリア標的化配列は、イネのRPS10タンパク質(配列番号2)の1位〜56位のアミノ酸配列に1または数個の欠失、付加、または置換を有するアミノ酸配列、あるいはイネのRPS10タンパク質(配列番号2)の1位〜56位内にあるフラグメントのアミノ酸配列を有する、項目10に記載の植物。
17.前記ミトコンドリア標的化配列は、イネのRPS10タンパク質(配列番号2)の1位〜56位のアミノ酸配列と80%より高いアミノ酸配列同一性を有する、項目10に記載の植物。
18.前記ミトコンドリア標的化配列は、イネのRPS14タンパク質(配列番号4)の1位〜48位のアミノ酸配列からなるフラグメントである、項目10に記載の植物。
19.前記ミトコンドリア標的化配列は、イネのRPS14タンパク質(配列番号4)の1位〜48位のアミノ酸配列をコードする核酸とストリンジェントな条件でハイブリダイズする核酸によってコードされる、項目10に記載の植物。
20.前記ミトコンドリア標的化配列は、イネのRPS14タンパク質(配列番号4)の1位〜48位のアミノ酸配列をコードする核酸配列に1または数個の欠失、付加、または置換を有する核酸、あるいは、イネのRPS14タンパク質(配列番号4)の1位〜48位のアミノ酸配列をコードする核酸配列のフラグメントによってコードされる、項目10に記載の植物。
21.前記ミトコンドリア標的化配列は、イネのRPS14タンパク質(配列番号4)の1位〜48位のアミノ酸配列をコードする核酸配列と80%より高い配列同一性を有する核酸によってコードされる、項目10に記載の植物。
22.前記ミトコンドリア標的化配列は、イネのRPS14タンパク質(配列番号4)の1位〜48位のアミノ酸配列に1または数個の欠失、付加、または置換を有するアミノ酸配列、あるいは、イネのRPS14タンパク質(配列番号4)の1位〜48位内にあるフラグメントのアミノ酸配列を有する、項目10に記載の植物。
23.前記ミトコンドリア標的化配列は、イネのRPS14タンパク質(配列番号4)の1位〜48位のアミノ酸配列と80%より高いアミノ酸配列同一性を有する、項目10に記載の植物。
24.前記ポリプレニル2リン酸合成酵素が、ゴルジ体標的化配列と作動可能に連結されている、項目2に記載の植物。
25.前記ゴルジ体標的化配列をコードする核酸が、タバコのN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIタンパク質(配列番号8)のフラグメントをコードする核酸である、項目24に記載の植物。
26.前記ゴルジ体標的化配列は、タバコのN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIタンパク質(配列番号8)の1位〜77位のアミノ酸配列からなるフラグメントである、項目24に記載の植物。
27.前記ゴルジ体標的化配列は、タバコのN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIタンパク質(配列番号8)の1位〜77位のアミノ酸配列をコードする核酸とストリンジェントな条件でハイブリダイズする核酸によってコードされる、項目24に記載の植物。
28.前記ゴルジ体標的化配列は、タバコのN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIタンパク質(配列番号8)の1位〜77位のアミノ酸配列をコードする核酸配列に1または数個の欠失、付加、または置換を有する核酸、あるいはタバコのN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIタンパク質(配列番号8)の1位〜77位のアミノ酸配列をコードする核酸配列のフラグメントによってコードされる、項目24に記載の植物。
29.前記ゴルジ体標的化配列は、タバコのN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIタンパク質(配列番号8)の1位〜77位のアミノ酸配列をコードする核酸配列と80%同一の配列を有する核酸によってコードされる、項目24に記載の植物。
30.前記ゴルジ体標的化配列は、タバコのN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIタンパク質(配列番号8)の1位〜77位のアミノ酸配列に1または数個の欠失、付加、または置換を有するアミノ酸配列、あるいはタバコのN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIタンパク質(配列番号8)の1位〜77位内のフラグメントのアミノ酸配列を有する、項目24に記載の植物。
31.前記ゴルジ体標的化配列は、タバコのN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIタンパク質(配列番号8)の1位〜77位のアミノ酸配列と80%同一のアミノ酸配列を有する、項目24に記載の植物。
32.前記ポリプレニル2リン酸合成酵素遺伝子が、種子特異的プロモーターと作動可能に連結されている、項目1に記載の植物。
33.前記植物が、植物細胞、植物培養細胞、植物種子、再生植物体、植物カルス、植物組織、葉、茎、根、花、芽生え、藻類、苔類からなる群から選択される、項目1に記載の植物。
34.単子葉植物である、項目1に記載の植物。
35.双子葉植物である、項目1に記載の植物。
36.項目1、32、34、または35のいずれか一項に記載の、植物の種子。
37.前記双子葉植物が、イネ、トウモロコシ、オート麦、コムギ、オオムギ、ソバ、ジュズダマ、カラスムギ、インドヒエ、バナナ、およびサトウキビからなる群から選択される、項目35に記載の植物。
38.前記単子葉植物が、ダイズ、トマト、ジャガイモ、サツマイモ、アーモンド、ピスタシオナッツ、ピーナッツ、ヘーゼルナッツ、ウォールナッツ、カシューナッツ、およびゴマからなる群から選択される、項目36に記載の植物。
39.ポリプレニル2リン酸合成酵素を植物で発現するための発現カセット。
40.前記ポリプレニル2リン酸合成酵素が、デカプレニル2リン酸合成酵素である、項目39に記載の発現カセット。
41.前記デカプレニル2リン酸合成酵素は、細菌由来の酵素である、項目39に記載の発現カセット。
42.前記デカプレニル2リン酸合成酵素は、Gluconobactersuboxydans由来の酵素である、項目41に記載の発現カセット。
43.前記デカプレニル2リン酸合成酵素は、配列番号5に示す核酸とストリンジェントな条件でハイブリダイズする核酸によってコードされる、項目40に記載の発現カセット。
44.前記デカプレニル2リン酸合成酵素は、配列番号5に示す核酸配列に1または数個の欠失、付加、または置換を有する核酸、あるいは配列番号5に示す核酸配列のフラグメントによってコードされる、項目40に記載の発現カセット。
45.前記デカプレニル2リン酸合成酵素は、配列番号5に示す核酸配列と80%り高い配列同一性を有する核酸によってコードされる、項目40に記載の発現カセット。
46.前記デカプレニル2リン酸合成酵素は、配列番号6に示すアミノ酸配列に1または数個の欠失、付加、または置換を有するアミノ酸配列、あるいは配列番号6に示す配列内のフラグメントのアミノ酸配列を有する、項目40に記載の発現カセット。
47.前記デカプレニル2リン酸合成酵素は、配列番号6に示すアミノ酸配列と80%より高いアミノ酸配列同一性を有する、項目40に記載の発現カセット。
48.前記デカプレニル2リン酸合成酵素をコードする核酸が、ミトコンドリア標的化配列をコードする核酸と作動可能に連結されている、項目40に記載の発現カセット。
49.前記ミトコンドリア標的化配列をコードする核酸が、イネのRPS10タンパク質(配列番号2)のフラグメントをコードする核酸、RPS14タンパク質(配列番号4)のフラグメントをコードする核酸、RPS11タンパク質、ATPアーゼβサブユニットタンパク質、およびATPアーゼγサブユニットタンパク質、からなる群から選択される、項目48に記載の発現カセット。
50.前記ミトコンドリア標的化配列は、イネのRPS10タンパク質(配列番号2)の1位〜56位のアミノ酸配列からなるフラグメントである、項目48に記載の発現カセット。
51.前記ミトコンドリア標的化配列は、イネのRPS10タンパク質(配列番号2)の1位〜56位のアミノ酸配列をコードする核酸とストリンジェントな条件でハイブリダイズする核酸によってコードされる、項目48に記載の発現カセット。
52.前記ミトコンドリア標的化配列は、イネのRPS10タンパク質(配列番号2)の1位〜56位のアミノ酸配列をコードする核酸配列に1または数個の欠失、付加、または置換を有する核酸、あるいはイネのRPS10タンパク質(配列番号2)の1位〜56位のアミノ酸配列をコードする核酸配列のフラグメントによってコードされる、項目48に記載の発現カセット。
53.前記ミトコンドリア標的化配列は、イネのRPS10タンパク質(配列番号2)の1位〜56位のアミノ酸配列をコードする核酸配列と80%より高い配列同一性を有する核酸によってコードされる、項目48に記載の発現カセット。
54.前記ミトコンドリア標的化配列は、イネのRPS10タンパク質(配列番号2)の1位〜56位のアミノ酸配列に1または数個の欠失、付加、または置換を有するアミノ酸配列、あるいはイネのRPS10タンパク質(配列番号2)の1位〜56位内のフラグメントのアミノ酸配列を有する、項目48に記載の発現カセット。
55.前記ミトコンドリア標的化配列は、イネのRPS10タンパク質(配列番号2)の1位〜56位のアミノ酸配列と80%より高いアミノ酸配列同一性を有する、項目48に記載の発現カセット。
56.前記ミトコンドリア標的化配列は、イネのRPS14タンパク質(配列番号4)の1位〜48位のアミノ酸配列からなるフラグメントである、項目48に記載の発現カセット。
57.前記ミトコンドリア標的化配列は、イネのRPS14タンパク質(配列番号4)の1位〜48位のアミノ酸配列をコードする核酸とストリンジェントな条件でハイブリダイズする核酸によってコードされる、項目48に記載の発現カセット。
58.前記ミトコンドリア標的化配列は、イネのRPS14タンパク質(配列番号4)の1位〜48位のアミノ酸配列をコードする核酸配列に1または数個の欠失、付加、または置換を有する核酸、あるいはイネのRPS14タンパク質(配列番号4)の1位〜48位のアミノ酸配列をコードする核酸配列のフラグメントによってコードされる、項目48に記載の発現カセット。
59.前記ミトコンドリア標的化配列は、イネのRPS14タンパク質(配列番号4)の1位〜48位のアミノ酸配列をコードする核酸配列と80%より高い配列同一性を有する核酸によってコードされる、項目48に記載の発現カセット。
60.前記ミトコンドリア標的化配列は、イネのRPS14タンパク質(配列番号4)の1位〜48位のアミノ酸配列に1または数個の欠失、付加、または置換を有するアミノ酸配列、あるいはイネのRPS14タンパク質(配列番号4)の1位〜48位内のフラグメントのアミノ酸配列を有する、項目48に記載の発現カセット。
61.前記ミトコンドリア標的化配列は、イネのRPS14タンパク質(配列番号4)の1位〜48位のアミノ酸配列と80%より高いアミノ酸配列同一性を有する、項目48に記載の発現カセット。
62.前記ポリプレニル2リン酸合成酵素が、ゴルジ体標的化配列と作動可能に連結されている、項目39に記載の発現カセット。
63.前記ゴルジ体標的化配列をコードする核酸が、タバコのN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIタンパク質(配列番号8)のフラグメントをコードする核酸である、項目62に記載の発現カセット。
64.前記ゴルジ体標的化配列は、タバコのN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIタンパク質(配列番号8)の1位〜77位のアミノ酸配列からなるフラグメントである、項目62に記載の発現カセット。
65.前記ゴルジ体標的化配列は、タバコのN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIタンパク質(配列番号8)の1位〜77位のアミノ酸配列をコードする核酸とストリンジェントな条件でハイブリダイズする核酸によってコードされる、項目62に記載の発現カセット。
66.前記ゴルジ体標的化配列は、タバコのN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIタンパク質(配列番号8)の1位〜77位のアミノ酸配列をコードする核酸配列に1または数個の欠失、付加、または置換を有する核酸、あるいはタバコのN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIタンパク質(配列番号8)の1位〜77位のアミノ酸配列をコードする核酸配列のフラグメントによってコードされる、項目62に記載の発現カセット。
67.前記ゴルジ体標的化配列は、タバコのN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIタンパク質(配列番号8)の1位〜77位のアミノ酸配列をコードする核酸配列と80%同一の配列を有する核酸によってコードされる、項目62に記載の発現カセット。
68.前記ゴルジ体標的化配列は、タバコのN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIタンパク質(配列番号8)の1位〜77位のアミノ酸配列に1または数個の欠失、付加、または置換を有するアミノ酸配列、あるいはタバコのN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIタンパク質(配列番号8)の1位〜77位内のフラグメントのアミノ酸配列を有する、項目62に記載の発現カセット。
69.前記ゴルジ体標的化配列は、タバコのN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIタンパク質(配列番号8)の1位〜77位のアミノ酸配列と80%同一のアミノ酸配列を有する、項目62に記載の発現カセット。
70.前記ポリプレニル2リン酸合成酵素遺伝子が、種子特異的プロモーターと作動可能に連結されている、項目39に記載の発現カセット。
71.項目70に記載の発現カセットを含む植物。
72.項目71に記載の植物の種子。
73.植物を用いたユビキノン−10の製造方法であって、該方法は、以下:
(1)項目1に記載される植物を得る工程;および
(2)該植物を培養する工程;
を、包含する方法。
74.植物を用いたユビキノン−10の製造方法であって、該方法は、以下:
(1)項目37に記載の発現カセットを植物に導入する工程;
(2)該発現カセットを導入した植物を培養する工程;
を、包含する方法。
75.項目1に記載の植物から得られた、ユビキノン−10を含む植物組織。
76.項目1に記載の植物から得られた、ユビキノン−10を含む植物細胞。
77.項目1に記載の植物由来のユビキノン−10を含む、食品。
78.さらに、項目1に記載の植物由来の成分を含む、項目77に記載の食品。
79.前記項目1に記載の植物由来の成分が、タンパク質である、項目78に記載の食品。
80.項目1に記載の植物由来のユビキノン−10を含む、組成物。
81.さらに、項目1に記載の植物由来の成分を含む、項目80に記載の組成物。
82.前記項目1に記載の植物由来の成分が、タンパク質である、項目81に記載の組成物。
83.項目1に記載の植物由来のユビキノン−10を含む、食事用補添物。
84.さらに、項目1に記載の植物由来の成分を含む、項目83に記載の食事用補添物。
85.前記項目1に記載の植物由来の成分が、タンパク質である、項目84に記載の食事用補添物。
86.項目1に記載の植物由来のユビキノン−10を含む、化粧品。
87.さらに、項目1に記載の植物由来の成分を含む、項目86に記載の化粧品。
88.前記項目1に記載の植物由来の成分が、タンパク質である、項目87に記載の化粧品。
89.項目1に記載の植物由来のユビキノン−10を含む、飲料。
90.さらに、項目1に記載の植物由来の成分を含む、項目89に記載の飲料。
91.前記項目1に記載の植物由来の成分が、タンパク質である、項目90に記載の飲料。
92.項目1に記載の植物由来のユビキノン−10を含む、葉。
93.項目1に記載の植物由来のユビキノン−10を含む、胚。
94.項目1に記載の植物由来のユビキノン−10を含む、果実。
95.項目1に記載の植物由来のユビキノン−10を含む、茎。
96.項目1に記載の植物由来のユビキノン−10を含む、根。
97.項目1に記載の植物由来のユビキノン−10を含む、花。
98.項目1に記載の植物由来のユビキノン−10を含む、種子。
99.項目1に記載の植物由来のユビキノン−10を含む、米ぬか。
100.ユビキノン−10を含むイネ細胞または組織。
101.種子である、項目100に記載の細胞または組織。
102.玄米である、項目100に記載の細胞または組織。
【発明の効果】
【0013】
本発明に従って、植物を用いたユビキノン−10の製造方法、そのような製造方法において使用される組換え植物、ならびにそのような組換え植物を製造するために使用される発現カセットが提供される。さらに、本発明の植物によって産生されたユビキノン−10を含む、組成物、食事用補添物、サプリメント、および薬学的組成物もまた提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。
【0015】
以下に本明細書において特に使用される用語の定義を列挙する。
【0016】
本明細書において用いられる「植物」とは、植物界に属する生物の総称であり、クロロフィル、かたい細胞壁、豊富な永続性の胚的組織の存在,および運動する能力がない生物により特徴付けられる。代表的には、植物は、細胞壁の形成・クロロフィルによる同化作用をもつ顕花植物をいう。「植物」は、単子葉植物および双子葉植物のいずれ、ならびに藻類、シダ類、および苔類をも含む。単子葉植物としては、イネ科植物が挙げられる。好ましい単子葉植物としては、トウモロコシ、サトウキビ、コムギ、イネ、エンバク、オオムギ、ソルガム、トウモロコシ、オート麦、ライムギ、インドヒエ、バナナ及びアワが挙げられ、さらに好ましくは、トウモロコシ、コムギ、イネ、サトウキビが挙げられるが、これらに限定されない。双子葉植物としては、アブラナ科植物、マメ科植物、ナス科植物、ウリ科植物、ヒルガオ科植物が挙げられるが、これらに限定されない。双子葉植物の例としては、例えば、ダイズ、トマト、ジャガイモ、サツマイモ、アーモンド、ピスタシオナッツ、ピーナッツ、ヘーゼルナッツ、ウォールナッツ、カシューナッツ、およびゴマが挙げられるが、これらに限定されない。特に他で示さない限り、植物は、植物体、植物器官、植物組織、植物細胞、および種子のいずれをも意味する。植物器官の例としては、果実、種子、根、葉、茎、花、および胚などが挙げられる。植物細胞の例としては、カルスおよび懸濁培養細胞が挙げられる。イネを用いる場合、イネの米ぬか、または胚もまた、組換え産生されたユビキノン−10の供給源として、使用可能である。特定の実施形態では、植物は、植物個体を意味し得る。
【0017】
イネ科の植物の例としては、Oryza、Triticum、Hordeum、Secale、Saccharum、Sorghum、またはZeaに属する植物が挙げられ、例えば、イネ、コムギ、オオムギ、ライムギ、サトウキビ、ソルガム、トウモロコシなどを含む。
【0018】
本明細書において、用語「改変植物」とは、天然に存在する植物と比較して、ゲノム情報の少なくとも一部の構造および/または機能が変更されているものをいう。そのような改変植物は、例えば、野生型植物の形質転換、形質転換によって得られた植物との交雑、ならびにアンチセンス核酸による遺伝子発現の抑制およびRNA干渉による遺伝子発現の抑制などによって作製され得るが、改変植物の作製方法は、これらに限定されない。
【0019】
本明細書において使用される用語「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」および「核酸」は、本明細書において同じ意味で使用され、任意の長さのヌクレオチドのポリマーをいう。この用語はまた、「誘導体オリゴヌクレオチド」または「誘導体ポリヌクレオチド」を含む。「誘導体オリゴヌクレオチド」または「誘導体ポリヌクレオチド」とは、ヌクレオチドの誘導体を含むか、またはヌクレオチド間の結合が通常とは異なるオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドをいい、互換的に使用される。そのようなオリゴヌクレオチドとして具体的には、例えば、2’−O−メチル−リボヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合がホスホロチオエート結合に変換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合がN3’−P5’ホスホロアミデート結合に変換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のリボースとリン酸ジエステル結合とがペプチド核酸結合に変換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のウラシルがC−5プロピニルウラシルで置換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のウラシルがC−5チアゾールウラシルで置換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のシトシンがC−5プロピニルシトシンで置換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のシトシンがフェノキサジン修飾シトシン(phenoxazine−modified cytosine)で置換された誘導体オリゴヌクレオチド、DNA中のリボースが2’−O−プロピルリボースで置換された誘導体オリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチド中のリボースが2’−メトキシエトキシリボースで置換された誘導体オリゴヌクレオチドなどが例示される。他にそうではないと示されなければ、特定の核酸配列はまた、明示的に示された配列と同様に、その保存的に改変された改変体(例えば、縮重コドン置換体)および相補配列を包含することが企図される。具体的には、縮重コドン置換体は、1またはそれ以上の選択された(または、すべての)コドンの3番目の位置が混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換された配列を作成することにより達成され得る(Batzerら、Nucleic Acid Res.19:5081(1991);Ohtsukaら、J.Biol.Chem.260:2605−2608(1985);Rossoliniら、Mol.Cell.Probes 8:91−98(1994))。用語「核酸」はまた、本明細書において、遺伝子、cDNA、mRNA、オリゴヌクレオチド、およびポリヌクレオチドと互換可能に使用される。特定の核酸配列はまた、「スプライス改変体」を包含する。同様に、核酸によりコードされた特定のタンパク質は、その核酸のスプライス改変体によりコードされる任意のタンパク質を暗黙に包含する。その名が示唆するように「スプライス改変体」は、遺伝子のオルタナティブスプライシングの産物である。転写後、最初の核酸転写物は、異なる(別の)核酸スプライス産物が異なるポリペプチドをコードするようにスプライスされ得る。スプライス改変体の産生機構は変化するが、エキソンのオルタナティブスプライシングを含む。読み過し転写により同じ核酸に由来する別のポリペプチドもまた、この定義に包含される。スプライシング反応の任意の産物(組換え形態のスプライス産物を含む)がこの定義に含まれる。
【0020】
本明細書において「遺伝子」とは、遺伝形質を規定する因子をいう。通常染色体上に一定の順序に配列している。タンパク質の一次構造を規定する遺伝子を構造遺伝子といい、その発現を左右する遺伝子を調節遺伝子という。本明細書では、「遺伝子」は、「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」および「核酸」ならびに/あるいは「タンパク質」「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」および「ペプチド」をさすことがある。本明細書において遺伝子の「相同性」とは、2以上の遺伝子配列の、互いに対する同一性の程度をいう。従って、ある2つの遺伝子の相同性が高いほど、それらの配列の同一性または類似性は高い。2種類の遺伝子が相同性を有するか否かは、配列の直接の比較、または核酸の場合ストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーション法によって調べられ得る。2つの遺伝子配列を直接比較する場合、その遺伝子配列間でDNA配列が、代表的には少なくとも50%同一である場合、好ましくは少なくとも70%同一である場合、より好ましくは少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一である場合、それらの遺伝子は相同性を有する。
【0021】
本明細書において使用する場合、用語「高度にストリンジェントな条件」とは、配列が非常に相補的であるDNA鎖のハイブリダイゼーションを許容し、かつ顕著に不一致のDNAのハイブリダイゼーションを排除するように設計された条件をいう。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、温度、イオン強度および変性剤(例えば、ホルムアミド)の濃度によって主に決定される。ハイブリダイゼーションおよび洗浄についての「高度にストリンジェントな条件」の例は、65〜68℃での0.015M塩化ナトリウム、0.0015Mクエン酸ナトリウムまたは42℃での0.015M塩化ナトリウム、0.0015Mクエン酸ナトリウムおよび50%ホルムアミドである。Sambrook,FritschおよびManiatis,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版,Cold Spring Harbor Laboratory,1989);Andersonら,Nucleic Acid Hybridisation:A Practical Approach第4章(IRL Press Limited)を参照のこと。
【0022】
よりストリンジェントな条件(例えば、より高い温度、より低いイオン強度、より高いホルムアミドまたは他の変性剤)もまた用いられ得るが、ハイブリダイゼーションの速度が影響される。他の薬剤は、非特異的および/またはバックグラウンドのハイブリダイゼーションを減少させる目的のために、ハイブリダイゼーションおよび洗浄の緩衝液中に含まれ得る。例は、0.1%ウシ血清アルブミン、0.1%ポリビニルピロリドン、0.1%ピロリン酸ナトリウム、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム、NaDodSO4、(SDS)、ficoll、デンハルト溶液、超音波処理サケ精子DNA(または別の非相補的DNA)およびデキストラン硫酸であるが、他の適切な薬剤もまた用いられ得る。これらの添加剤の濃度および種類は、ハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーに実質的に影響を与えることなく変更され得る。ハイブリダイゼーション実験は通常、pH6.8〜7.4で実施される;しかし、代表的なイオン強度の条件では、ハイブリダイゼーションの速度は、pHからほぼ独立する。Andersonら,Nucleic Acid Hybridisation:A Practical Approach第4章(IRL Press Limited)を参照のこと。
【0023】
DNA二重鎖の安定性に影響を与える因子としては、塩基組成、長さおよび塩基対の不一致程度が挙げられる。ハイブリダイゼーション条件は、これらの変動要因を適応させ、そして異なる配列関連性のDNAがハイブリッドを形成するのを可能にするために当業者によって調整され得る。完全に一致したDNA二重鎖の融解温度は、以下の方程式によって評価され得る:
Tm(℃)=81.5+16.6(log[Na+])+0.41(%G+C)−600/N−0.72(%ホルムアミド)
ここで、Nは、形成される二重鎖の長さであり、[Na+]は、ハイブリダイゼーション溶液または洗浄溶液中でのナトリウムイオンのモル濃度であり、%G+Cは、ハイブリッド中での(グアニン+シトシン)塩基の百分率である。不完全に一致したハイブリッドについては、融解温度は、1%の不一致毎に約1℃下げられる。
【0024】
用語「中程度にストリンジェントな条件」とは、「高度にストリンジェントな条件」下で生じ得るよりも高い程度の塩基対不一致を有するDNA二重鎖が形成され得る条件をいう。代表的な「中程度にストリンジェントな条件」の例は、50〜65℃での0.015M塩化ナトリウム、0.0015Mクエン酸ナトリウムまたは37〜50℃での0.015M塩化ナトリウム、0.0015Mクエン酸ナトリウムおよび20%ホルムアミドである。例示として、0.015Mナトリウムイオン中での50℃という「中程度にストリンジェントな条件」は、約21%の不一致を可能にする。
【0025】
「高度にストリンジェントな条件」と「中程度にストリンジェントな条件」との間に絶対的な区別が存在しないことが当業者によって認識される。例えば、0.015Mナトリウムイオン(ホルムアミドなし)では、完全に一致した長さのDNAの融解温度は、約71℃である。65℃で(同じイオン強度で)の洗浄を用いると、このことは、約6%の不一致を可能にする。より遠く関連した配列を捕獲するために、当業者は、単純に、温度を低くし得るかまたはイオン強度を高くし得る。
【0026】
約20ntまでのオリゴヌクレオチドプローブについての1M NaCl*中での融解温度の良好な評価は、以下によって与えられる:
Tm=A−T塩基対あたり2℃ + G−C塩基対あたり4℃
*6×塩クエン酸ナトリウム(SSC)中でのナトリウムイオン濃度は、1Mである。Suggsら,Developmental Biology Using Purified Genes 683(BrownおよびFox編,1981)を参照のこと。
【0027】
オリゴヌクレオチドについての高度ストリンジェンシー洗浄条件は通常、6×SSC、0.1% SDS中でのそのオリゴヌクレオチドのTmよりも0℃〜5℃低い温度においてである。
【0028】
本明細書では塩基配列の同一性の比較および相同性の算出は、配列分析用ツールであるBLASTプログラムを用いてデフォルトパラメータを用いて算出される。
【0029】
本明細書において遺伝子、ポリヌクレオチド、ポリペプチドなどの「発現」とは、その遺伝子などがインビボで一定の作用を受けて、別の形態になることをいう。好ましくは、遺伝子、ポリヌクレオチドなどが、転写および翻訳されて、ポリペプチドの形態になることをいうが、転写されてmRNAが作製されることもまた発現の一態様であり得る。より好ましくは、そのようなポリペプチドの形態は、翻訳後プロセシングを受けたものであり得る。
【0030】
本明細書において、「アミノ酸」は、天然のものでも非天然のものでもよい。「誘導体アミノ酸」または「アミノ酸アナログ」とは、天然に存在するアミノ酸とは異なるがもとのアミノ酸と同様の機能を有するものをいう。そのような誘導体アミノ酸およびアミノ酸アナログは、当該分野において周知である。用語「天然のアミノ酸」とは、天然のアミノ酸のL−異性体を意味する。天然のアミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、メチオニン、トレオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、システイン、プロリン、ヒスチジン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、γ−カルボキシグルタミン酸、アルギニン、オルニチン、およびリジンである。特に示されない限り、本明細書でいう全てのアミノ酸はL体である。用語「非天然アミノ酸」とは、タンパク質中で通常は天然に見出されないアミノ酸を意味する。非天然アミノ酸の例として、ノルロイシン、パラ−ニトロフェニルアラニン、ホモフェニルアラニン、パラ−フルオロフェニルアラニン、3−アミノ−2−ベンジルプロピオン酸、ホモアルギニンのD体またはL体およびD−フェニルアラニンが挙げられる。「アミノ酸アナログ」とは、アミノ酸ではないが、アミノ酸の物性および/または機能に類似する分子をいう。アミノ酸アナログとしては、例えば、エチオニン、カナバニン、2−メチルグルタミンなどが挙げられる。アミノ酸模倣物とは、アミノ酸の一般的な化学構造とは異なる構造を有するが、天然に存在するアミノ酸と同様な様式で機能する化合物をいう。
【0031】
アミノ酸は、その一般に公知の3文字記号か、またはIUPAC−IUB Biochemical Nomenclature Commissionにより推奨される1文字記号のいずれかにより、本明細書中で言及され得る。ヌクレオチドも同様に、一般に受け入れられた1文字コードにより言及され得る。
【0032】
本明細書中において、「対応する」アミノ酸とは、あるタンパク質分子またはポリペプチド分子において、比較の基準となるタンパク質またはポリペプチドにおける所定のアミノ酸と同様の作用を有するか、または有することが予測されるアミノ酸をいい、特に酵素分子にあっては、活性部位中の同様の位置に存在し触媒活性に同様の寄与をするアミノ酸をいう。
【0033】
本明細書において「ヌクレオチド」は、天然のものでも非天然のものでもよい。「誘導体ヌクレオチド」または「ヌクレオチドアナログ」とは、天然に存在するヌクレオチドとは異なるがもとのヌクレオチドと同様の機能を有するものをいう。そのような誘導体ヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログは、当該分野において周知である。そのような誘導体ヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログの例としては、ホスホロチオエート、ホスホルアミデート、メチルホスホネート、キラルメチルホスホネート、2−O−メチルリボヌクレオチド、ペプチド−核酸(PNA)が含まれるが、これらに限定されない。
【0034】
本明細書において、「フラグメント」とは、全長のポリペプチドまたはポリヌクレオチド(長さがn)に対して、1〜n−1までの配列長さを有するポリペプチドまたはポリヌクレオチドをいう。フラグメントの長さは、その目的に応じて、適宜変更することができ、例えば、その長さの下限としては、ポリペプチドの場合、3、4、5、6、7、8、9、10、15,20、25、30、40、50およびそれ以上のアミノ酸が挙げられ、ここの具体的に列挙していない整数で表される長さ(例えば、11など)もまた、下限として適切であり得る。また、ポリヌクレオチドの場合、5、6、7、8、9、10、15,20、25、30、40、50、75、100およびそれ以上のヌクレオチドが挙げられ、ここの具体的に列挙していない整数で表される長さ(例えば、11など)もまた、下限として適切であり得る。
【0035】
植物内における、所望のタンパク質のミトコンドリアへの標的化は、例えば、任意のミトコンドリアタンパク質(例えば、植物のミトコンドリアタンパク質)由来のミトコンドリア標的化配列をコードする核酸を、所望のタンパク質をコードする核酸と作動可能に連結することによって可能である。
【0036】
本明細書において使用する場合、「ミトコンドリア標的化配列」とは、作動可能に連結されたタンパク質をミトコンドリアに輸送する配列をいう。本明細書において使用する場合、「ミトコンドリア標的化能」とは、作動可能に連結されたタンパク質をミトコンドリアに輸送する能力をいう。ミトコンドリア標的化配列としては、例えば、ミトコンドリアリボソームタンパク質、ATP合成酵素サブユニットのミトコンドリア標的化配列が挙げられるが、これらに限定されない。本発明におけるミトコンドリアへ標的化配列の供給源としてのミトコンドリアリボソームタンパク質としては、例えば、イネのRPS10タンパク質(配列番号2)(図1)、RPS14タンパク質(配列番号4)(図2)、ならびに、RPS11タンパク質、ATPアーゼβサブユニットタンパク質、およびATPアーゼγサブユニットタンパク質由来のミトコンドリア標的化配列が挙げられるが、これらに限定されない。RPS10タンパク質のミトコンドリア標的化配列としては、例えば、1位〜56位のアミノ酸配列を含むポリペプチドを用いることができる。これらミトコンドリア標的化配列に1または数個のアミノ酸置換、付加、欠失をした改変体であって、ミトコンドリア標的化能を有するポリペプチドもまた、本発明において使用することが可能である。さらに、これらミトコンドリア標的化配列のフラグメントも使用可能である。また、これらミトコンドリア標的化配列をコードする核酸とストリンジェントな条件でハイブリダイゼーションする核酸もまた使用可能である。さらに、これらアミノ酸配列および/または核酸配列に1または数個の欠失、付加、置換を有する配列もまた、使用可能である。これら配列と相同な配列もまた、使用可能である。RPS14タンパク質のミトコンドリア標的化配列としては、例えば、1位〜48位のアミノ酸配列を含むポリペプチドを用いることができる。これらミトコンドリア標的化配列に1または数個のアミノ酸置換、付加、欠失をした改変体であって、ミトコンドリア標的化能を有するポリペプチドもまた、本発明において使用することが可能である。さらに、これらミトコンドリア標的化配列のフラグメントも使用可能である。また、これらミトコンドリア標的化配列をコードする核酸とストリンジェントな条件でハイブリダイゼーションする核酸もまた使用可能である。さらに、これらアミノ酸配列および/または核酸配列に1または数個の欠失、付加、置換を有する配列もまた、使用可能である。これら配列と相同な配列もまた、使用可能である。
【0037】
植物内における、所望のタンパク質のゴルジ体への標的化は、例えば、植物の任意のゴルジ体タンパク質由来のゴルジ体標的化配列をコードする核酸を、所望のタンパク質をコードする核酸と作動可能にすることによって可能である。
【0038】
本明細書において使用する場合、「ゴルジ体標的化配列」とは、作動可能に連結されたタンパク質をゴルジ体に輸送する配列をいう。本明細書において使用する場合、「ゴルジ体標的化能」とは、作動可能に連結されたタンパク質をゴルジ体に輸送する能力をいう。ゴルジ体標的化配列としては、例えば、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼタンパク質のゴルジ体標的化配列が挙げられるが、これらに限定されない。本発明におけるゴルジ体標的化配列の供給源としてのゴルジ体タンパク質としては、例えば、タバコのN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼタンパク質(配列番号8)(図3)由来のミトコンドリア標的化配列が挙げられるが、これらに限定されない。タバコのN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼのゴルジ体標的化配列としては、例えば、1位〜77位のアミノ酸配列を含むポリペプチドを用いることができる。これらミトコンドリア標的化配列に1または数個のアミノ酸置換、付加、欠失をした改変体であって、ゴルジ体標的化能を有するポリペプチドもまた、本発明において使用することが可能である。さらに、これらゴルジ体標的化配列のフラグメントも使用可能である。また、これらゴルジ体標的化配列をコードする核酸とストリンジェントな条件でハイブリダイゼーションする核酸もまた使用可能である。さらに、これらアミノ酸配列および/または核酸配列に1または数個の欠失、付加、置換を有する配列もまた、使用可能である。これら配列と相同な配列もまた、使用可能である。
【0039】
細菌由来の、ユビキノンの側鎖を10単位合成し得るデカプレニル二リン酸合成酵素としては、Gluconobacter suboxydans由来の遺伝子(配列番号5)にコードされる酵素が挙げられるが、これに限定されない。これらデカプレニル二リン酸合成酵素のアミノ酸配列に1または数個のアミノ酸置換、付加、欠失をした改変体であって、酵素活性能を有するポリペプチドもまた、本発明において使用することが可能である。さらに、これら酵素のアミノ酸配列のフラグメントも使用可能である。また、これら酵素タンパク質をコードする核酸とストリンジェントな条件でハイブリダイゼーションする核酸もまた使用可能である。さらに、これらアミノ酸配列および/または核酸配列に1または数個の欠失、付加、置換を有する配列もまた、使用可能である。これら配列と相同な配列もまた、使用可能である
本明細書において、用語「形質転換」と「遺伝子導入」は互換可能に使用される。「形質転換」とは、植物細胞または植物組織に、遺伝子を含む外来の核酸を導入することによって、植物細胞または植物組織の遺伝子型に変化を生じることを意味する。
【0040】
「形質転換体」とは、宿主細胞を形質転換することによって作製された細胞などの生命体の全部または一部をいう。形質転換体は、その対象に依存して、形質転換細胞、形質転換組織、形質転換宿主、形質転換カルス、および形質転換植物体、などともいわれ、本明細書においてそれらの形態をすべて包含するが、特定の文脈において特定の形態を指し得る。
【0041】
本明細書において、「トランスジェニック植物」および「組換え植物」とは、特定の遺伝子が組み込まれた植物をいう。
【0042】
本明細書では、植物の栽培は当該分野において公知の任意の方法により行うことができる。植物の栽培方法は、例えば、モデル植物の実験プロトコール−イネ・シロイヌナズナ編−」:細胞工学別冊植物細胞工学シリーズ4;イネの栽培法(奥野員敏)pp.28−32、およびアラビドプシスの栽培法(丹羽康夫)pp.33−40(監修 島本功、岡田清孝)に例示されており、当業者であれば容易に実施することができることから本明細書では詳述する必要はない。
【0043】
形質転換体を得るための宿主植物細胞は、外来遺伝子の生理活性を保持するポリペプチド(例えば、デカプレニル二リン酸合成酵素)を発現するものであれば、特に限定されず、従来から遺伝子操作において利用される各種の宿主植物細胞を用いることができる。例えば、イネ、キュウリ、サトウキビ、オート麦、トウモロコシ、コムギ、オオムギ、ソバ、ジュズダマ、カラスムギ、イヌビエ、ダイズ、アーモンド、ピスタシオナッツ、ピーナッツ、ヘーゼルナッツ、ウォールナッツ、カシューナッツ、ゴマ、インドヒエ、バナナ、トマト、ジャガイモ、サツマイモ、らん藻、クロレラおよびサトウキビなどが例示される。好ましい植物細胞は、ユビキノン−9を産生するが、ユビキノン−10を産生しない植物である。そのような植物としては、例えば、コムギ、オオムギ、ソバ、ジュズダマ、カラスムギ、イヌビエが挙げられるが、これらに限定されない。また、主としてユビキノン−9を発現すると同時に比較的少量のユビキノン−10を産生する植物、ならびに主としてユビキノン−10を発現すると同時に比較的少量のユビキノン−9を産生する植物も、本発明の対象とすることができる。なぜなら、外来のデカプレニル二リン酸合成酵素を補充することによって、ユビキノン−10の産生を増強することが可能であるからである。このような植物としては、例えば、ネギ、ピーマン、ダイズ、アーモンド、ピスタシオナッツ、ピーナッツ、ヘーゼルナッツ、ウォールナッツ、カシューナッツ、ゴマが挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
本発明において得られた細胞に由来するポリペプチドは、天然型のポリペプチドと実質的に同一の作用を有する限り、アミノ酸配列中の1以上のアミノ酸が置換、付加および/または欠失していてもよく、糖鎖が置換、付加および/または欠失していてもよい。
【0045】
あるアミノ酸は、相互作用結合能力の明らかな低下または消失なしに、例えば、リガンド分子の結合部位のようなタンパク質構造において他のアミノ酸に置換され得る。あるタンパク質の生物学的機能を規定するのは、タンパク質の相互作用能力および性質である。従って、特定のアミノ酸の置換がアミノ酸配列において、またはそのDNAコード配列のレベルにおいて行われ得、置換後もなお、もとの性質を維持するタンパク質が生じ得る。従って、生物学的有用性の明らかな損失なしに、種々の改変が、本明細書において開示されたペプチドまたはこのペプチドをコードする対応するDNAにおいて行われ得る。
【0046】
上記のような改変を設計する際に、アミノ酸の疎水性指数が考慮され得る。タンパク質における相互作用的な生物学的機能を与える際の疎水性アミノ酸指数の重要性は、一般に当該分野で認められている(Kyte.JおよびDoolittle,R.F.J.Mol.Biol. 157(1):105−132,1982)。アミノ酸の疎水的性質は、生成したタンパク質の二次構造に寄与し、次いでそのタンパク質と他の分子(例えば、酵素、基質、受容体、DNA、抗体、抗原など)との相互作用を規定する。各アミノ酸は、それらの疎水性および電荷の性質に基づく疎水性指数を割り当てられる。それらは:イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(−0.4);スレオニン(−0.7);セリン(−0.8);トリプトファン(−0.9);チロシン(−1.3);プロリン(−1.6);ヒスチジン(−3.2);グルタミン酸(−3.5);グルタミン(−3.5);アスパラギン酸(−3.5);アスパラギン(−3.5);リジン(−3.9);およびアルギニン(−4.5))である。
【0047】
あるアミノ酸を、同様の疎水性指数を有する他のアミノ酸により置換して、そして依然として同様の生物学的機能を有するタンパク質(例えば、リガンド結合能において等価なタンパク質)を生じさせ得ることが当該分野で周知である。このようなアミノ酸置換において、疎水性指数が±2以内であることが好ましく、±1以内であることがより好ましく、および±0.5以内であることがさらにより好ましい。疎水性に基づくこのようなアミノ酸の置換は効率的であることが当該分野において理解される。米国特許第4、554、101号に記載されるように、以下の親水性指数がアミノ酸残基に割り当てられている:アルギニン(+3.0);リジン(+3.0);アスパラギン酸(+3.0±1);グルタミン酸(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);スレオニン(−0.4);プロリン(−0.5±1);アラニン(−0.5);ヒスチジン(−0.5);システイン(−1.0);メチオニン(−1.3);バリン(−1.5);ロイシン(−1.8);イソロイシン(−1.8);チロシン(−2.3);フェニルアラニン(−2.5);およびトリプトファン(−3.4)。アミノ酸が同様の親水性指数を有しかつ依然として生物学的等価体を与え得る別のものに置換され得ることが理解される。このようなアミノ酸置換において、親水性指数が±2以内であることが好ましく、±1以内であることがより好ましく、および±0.5以内であることがさらにより好ましい。
【0048】
本発明において、「保存的置換」とは、アミノ酸置換において、元のアミノ酸と置換されるアミノ酸との親水性指数または/および疎水性指数が上記のように類似している置換をいう。保存的置換の例は、当業者に周知であり、例えば、次の各グループ内での置換:アルギニンおよびリジン;グルタミン酸およびアスパラギン酸;セリンおよびスレオニン;グルタミンおよびアスパラギン;ならびにバリン、ロイシン、およびイソロイシン、などが挙げられるがこれらに限定されない。
【0049】
本明細書において、「改変体」とは、もとのポリペプチドまたはポリヌクレオチドなどの物質に対して、一部が変更されているものをいう。そのような改変体としては、置換改変体、付加改変体、欠失改変体、短縮(truncated)改変体、対立遺伝子変異体などが挙げられる。対立遺伝子(allele)とは、同一遺伝子座に属し、互いに区別される遺伝的改変体のことをいう。従って、「対立遺伝子変異体」とは、ある遺伝子に対して、対立遺伝子の関係にある改変体をいう。「種相同体またはホモログ(homolog)」とは、ある種の中で、ある遺伝子とアミノ酸レベルまたはヌクレオチドレベルで、相同性(好ましくは、60%以上の相同性、より好ましくは、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上の相同性)を有するものをいう。そのような種相同体を取得する方法は、本明細書の記載から明らかである。「オルソログ(ortholog)」とは、オルソロガス遺伝子(orthologous gene)ともいい、二つの遺伝子がある共通祖先からの種分化に由来する遺伝子をいう。例えば、多重遺伝子構造をもつヘモグロビン遺伝子ファミリーを例にとると、ヒトとマウスのαヘモグロビン遺伝子はオルソログであるが,ヒトのαヘモグロビン遺伝子とβヘモグロビン遺伝子はパラログ(遺伝子重複で生じた遺伝子)である。オルソログは、分子系統樹の推定に有用であることから、オルソログやパラログもまた、本発明において有用であり得る。
【0050】
「保存的(に改変された)改変体」は、アミノ酸配列および核酸配列の両方に適用される。特定の核酸配列に関して、保存的に改変された改変体とは、同一のまたは本質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸をいい、核酸がアミノ酸配列をコードしない場合には、本質的に同一な配列をいう。遺伝コードの縮重のため、多数の機能的に同一な核酸が任意の所定のタンパク質をコードする。例えば、コドンGCA、GCC、GCG、およびGCUはすべて、アミノ酸アラニンをコードする。したがって、アラニンがコドンにより特定される全ての位置で、そのコドンは、コードされたポリペプチドを変更することなく、記載された対応するコドンの任意のものに変更され得る。このような核酸の変動は、保存的に改変された変異の1つの種である「サイレント改変(変異)」である。ポリペプチドをコードする本明細書中のすべての核酸配列はまた、その核酸の可能なすべてのサイレント変異を記載する。当該分野において、核酸中の各コドン(通常メチオニンのための唯一のコドンであるAUG、および通常トリプトファンのための唯一のコドンであるTGGを除く)が、機能的に同一な分子を産生するために改変され得ることが理解される。したがって、ポリペプチドをコードする核酸の各サイレント変異は、記載された各配列において暗黙に含まれる。好ましくは、そのような改変は、ポリペプチドの高次構造に多大な影響を与えるアミノ酸であるシステインの置換を回避するようになされ得る。
【0051】
本明細書中において、機能的に等価なポリペプチドを作製するために、アミノ酸の置換のほかに、アミノ酸の付加、欠失、または修飾もまた行うことができる。アミノ酸の置換とは、もとのペプチドを1つ以上、例えば、1〜10個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個のアミノ酸で置換することをいう。アミノ酸の付加とは、もとのペプチド鎖に1つ以上、例えば、1〜10個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個のアミノ酸を付加することをいう。アミノ酸の欠失とは、もとのペプチドから1つ以上、例えば、1〜10個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個のアミノ酸を欠失させることをいう。アミノ酸修飾は、アミド化、カルボキシル化、硫酸化、ハロゲン化、アルキル化、グリコシル化、リン酸化、水酸化、アシル化(例えば、アセチル化)などを含むが、これらに限定されない。置換、または付加されるアミノ酸は、天然のアミノ酸であってもよく、非天然のアミノ酸、またはアミノ酸アナログでもよい。天然のアミノ酸が好ましい。
【0052】
このようなタンパク質をコードする核酸は、周知のPCR法により得ることができ、化学的に合成することもできる。これらの方法に、例えば、部位特異的変位誘発法、ハイブリダイゼーション法などを組み合わせてもよい。
【0053】
本明細書において、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの「置換、付加または欠失」とは、もとのポリペプチドまたはポリヌクレオチドに対して、それぞれアミノ酸もしくはその代替物、またはヌクレオチドもしくはその代替物が、置き換わること、付け加わることまたは取り除かれることをいう。このような置換、付加または欠失の技術は、当該分野において周知であり、そのような技術の例としては、部位特異的変異誘発技術などが挙げられる。置換、付加または欠失は、1つ以上であれば任意の数でよく、そのような数は、その置換、付加または欠失を有する改変体において目的とする機能(例えば、癌マーカー、神経疾患マーカーなど)が保持される限り、多くすることができる。例えば、そのような数は、1または数個であり得、そして好ましくは、全体の長さの20%以内、10%以内、または100個以下、50個以下、25個以下などであり得る。
【0054】
本発明において利用され得る一般的な分子生物学的手法としては、Ausubel F.A.ら編(1988)、Current Protocols in Molecular Biology、 Wiley、 New York、 NY;Sambrook Jら (1987) Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NYなどを参酌して当業者であれば容易に実施をすることができる。
【0055】
本明細書において遺伝子について言及する場合、「ベクター」とは、目的のポリヌクレオチド配列を目的の細胞へと移入させることができるものをいう。そのようなベクターとしては、宿主細胞において自律複製が可能である、本発明のポリヌクレオチドの転写に適した位置にプロモーターを含有しているものが例示される。
【0056】
「発現ベクター」は、構造遺伝子およびその発現を調節するプロモーターに加えて種々の調節エレメントが宿主の細胞中で作動し得る状態で連結されている核酸配列をいう。調節エレメントは、好ましくは、ターミネーターおよび、選択マーカーを含み得る。発現ベクターのタイプおよび使用される調節エレメントの種類が、宿主植物細胞に応じて変わり得ることは、当業者に周知の事項である。
【0057】
「発現ベクター」は、構造遺伝子およびその発現を調節するプロモーターに加えて種々の調節エレメントが宿主の細胞中で作動し得る状態で連結されている核酸配列をいう。調節エレメントは、好ましくは、ターミネーターを含み得る。発現カセットにおいて使用される調節エレメントの種類が、宿主植物細胞に応じて変わり得ることは、当業者に周知の事項である。
【0058】
「組換えベクター」とは、目的のポリヌクレオチド配列を目的の細胞へと移入させることができるベクターをいう。そのようなベクターとしては、原核宿主細胞において自立複製が可能で、本発明のポリヌクレオチドの転写に適した位置にプロモーターを含有しているものが例示される。
【0059】
植物細胞に対する「組換えベクター」としては、例えば、Tiプラスミド、Riプラスミド、タバコモザイクウイルスベクター、ジェミニウイルスベクターなどのベクター由来するベクターなどが例示される。なお、パーティクルガン法や、エレクトロポーレーションなどの直接的導入法を用いる限りは、これらベクターを用いなくてもよい。
【0060】
本明細書において用いられる「プロモーター」とは、遺伝子の転写の開始部位を決定し、またその頻度を直接的に調節するDNA上の領域をいい、RNAポリメラーゼが結合して転写を始める塩基配列である。推定プロモーター領域は、構造遺伝子ごとに変動するが、通常構造遺伝子の上流にあるが、これらに限定されず、構造遺伝子の下流にもあり得る。
【0061】
「ターミネーター」は、遺伝子のタンパク質をコードする領域の下流に位置し、DNAがmRNAに転写される際の転写の終結、ポリA配列の付加に関与する配列である。ターミネーターは、mRNAの安定性に関与して遺伝子の発現量に影響を及ぼすことが知られている。ターミネーターとしては、CaMV35Sターミネーター、ノパリン合成酵素遺伝子のターミネーター(Tnos)、タバコPR1a遺伝子のターミネーターが挙げられるが、これに限定されない。本明細書において用いられる「プロモーター」とは、遺伝子の転写の開始部位を決定し、またその頻度を直接的に調節するDNA上の領域をいい、RNAポリメラーゼが結合して転写を始める塩基配列である。プロモーターの領域は、通常、推定タンパク質コード領域の第1エキソンの上流約2kbp以内の領域であることが多いので、DNA解析用ソフトウエアを用いてゲノム塩基配列中のタンパク質コード領域を予測すれば、プロモータ領域を推定することはできる。推定プロモーター領域は、通常構造遺伝子の上流にあるが、好ましくは、推定プロモーター領域は、第1エキソン翻訳開始点から上流約2kbp以内に存在する。
【0062】
本明細書において、遺伝子の発現について用いられる場合、一般に、「部位特異性」とは、生物(例えば、植物)の部位(例えば、植物の場合、根、茎、幹、葉、花、種子、胚芽、胚、果実など)におけるその遺伝子の発現の特異性をいう。「時期特異性」とは、生物(たとえば、植物)の発達段階(例えば、植物であれば生長段階、および、発芽後の芽生えの日数)に応じたその遺伝子の発現の特異性をいう。そのような特異性は、適切なプロモーターを選択することによって、所望の生物に導入することができる。
【0063】
本明細書において、本発明のプロモーターの発現が「構成的」であるとは、生物のほぼすべての組織において、その生物の生長の幼若期または成熟期のいずれにあってもほぼ一定の量で発現される性質をいう。具体的には、本明細書の実施例と同様の条件でノーザンブロット分析したとき、例えば、任意の時点で(例えば、2点以上(例えば、5日目および15日目))の同一または対応する部位のいずれにおいても、ほぼ同程度の発現量がみられるとき、本発明の定義上、発現が構成的であるという。構成的プロモーターは、通常の生育環境にある生物の恒常性維持に役割を果たしていると考えられる。本発明のプロモーターの発現が「ストレス応答性」であるとは、少なくとも1つのストレスが生物体に与えられたとき、その発現量が変化する性質をいう。特に、発現量が増加する性質を「ストレス誘導性」といい、発現量が減少する性質を「ストレス抑制性」という。「ストレス抑制性」の発現は、正常時において、発現が見られることを前提としているので、「構成的」な発現と重複する概念である。これらの性質は、生物の任意の部分からRNAを抽出してノーザンブロット分析で発現量を分析することまたは発現されたタンパク質をウェスタンブロットにより定量することにより決定することができる。ストレス誘導性のプロモーターを本発明のポリペプチドをコードする核酸とともに組み込んだベクターで形質転換された植物または植物の部分(特定の細胞、組織など)は、そのプロモーターの誘導活性をもつ刺激因子を用いることにより、ある条件下での特定の遺伝子の発現を行うことができる。
【0064】
「エンハンサー」は、目的遺伝子の発現効率を高めるために用いられ得る。植物において使用する場合、エンハンサーとしては、CaMV35Sプロモーター内の上流側の配列を含むエンハンサー領域はその一例である。エンハンサーは複数個用いられ得るが1個用いられてもよいし、用いなくともよい。
【0065】
本明細書において「作動可能に連結された(る)」とは、所望の配列の発現(作動)がある転写翻訳調節配列(例えば、プロモーター、エンハンサーなど)または翻訳調節配列の制御下に配置されることをいう。プロモーターが遺伝子に作動可能に連結されるためには、通常、その遺伝子のすぐ上流にプロモーターが配置されるが、プロモーターと構造遺伝子との間に介在する配列が存在してもよいため、プロモーターと構造遺伝子とは必ずしも隣接して配置される必要はない。なお、オルガネラに対する標的化配列は、タンパク質をコードする遺伝子の読み枠がインフレーム(in frame)で配置される。
【0066】
導入した遺伝子の存在は、PCR法およびサザンブロット法などによって確認し得る。導入した遺伝子の発現は、ノーザンブロット法またはRT−PCR法により、検出し得る。必要に応じて、遺伝子産物であるタンパク質の発現を、例えば、ウェスタンブロット法により確認し得る。
【0067】
(本明細書において用いられる一般的技術)
本明細書において使用される技術は、そうではないと具体的に指示しない限り、当該分野の技術範囲内にある、糖鎖科学、マイクロフルイディクス、微細加工、有機化学、生化学、遺伝子工学、分子生物学、微生物学、遺伝学および関連する分野における周知慣用技術を使用する。そのような技術は、例えば、以下に列挙した文献および本明細書において他の場所おいて引用した文献においても十分に説明されている。
【0068】
本明細書において用いられる分子生物学的手法、生化学的手法、微生物学的手法、糖鎖科学的手法は、当該分野において周知であり慣用されるものであり、例えば、Maniatis,T.et al.(1989).Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harborおよびその3rd Ed.(2001);Ausubel,F.M.,et al. eds,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons Inc.,NY,10158(2000);Innis,M.A.(1990).PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications,Academic Press;Innis,M.A.et al.(1995).PCR Strategies,Academic Press;Sninsky,J.J.et al.(1999).PCR Applications:Protocols for Functional Genomics,Academic Press;Gait,M.J.(1985).Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach,IRL Press;Gait,M.J.(1990).Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach,IRL Press;Eckstein,F.(1991).Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approac ,IRL Press;Adams,R.L.et al.(1992).The Biochemistry of the Nucleic Acids,Chapman & Hall;Shabarova,Z.et al.(1994).Advanced Organic Chemistry of Nucleic Acids,Weinheim;Blackburn,G.M.et al.(1996).Nucleic Acids in Chemistry and Biology,Oxford University Press;Hermanson,G.T.(1996).Bioconjugate Techniques,Academic Press;Method in Enzymology 230、242、247、Academic Press、1994;別冊実験医学「遺伝子導入&発現解析実験法」羊土社、1997などに記載されており、これらは本明細書において関連する部分(全部であり得る)が参考として援用される。
【0069】
(食事用補添物)
本発明のユビキノン−10は、食事用補添物(ダイエット食品)として用いることができる。食事補添物としてのユビキノン−10は、抗酸化物質、皮膚老化、免疫不全、心疾患、歯周病、慢性疲労症候群、退行性脳、神経運動機能障害、糖尿病、脳卒中、動脈硬化、ガン、高血圧、低血圧、脳硬塞、アレルギー疾患などに対しての効果を有することが予想される。また、心臓の能力を高める作用としての、うっ血性心不全の改善、動悸・息切れ、足や顔のむくみ、冷え性などに対する効果も予測される。
【0070】
健常人に対して食事用補添物として用いる場合、標準的には約30mg/日程度を用いる。また、心疾患患者に用いる場合は、通常約100mg/日以上を用いる。しかし、その量は、食事用補添物を摂取する個人の状態に合わせて、変更し得る。
【0071】
ユビキノン−10を食事用補添物として用いる場合、精製したユビキノン−10は脂溶性であるため、例えば、ダイズ油などに溶解して用いてもよい。あるいは、粉末状にしたユビキノン−10をカプセルに封入してもよい。さらに、ドリンク剤に添加して用いてもよい。本発明のユビキノン−10を食事用補添物として用いる場合は、必要に応じて、ビタミンEのようなビタミンを添加してもよい。
【0072】
例えば、ユビキノン−10食事用補添物は、例えば、以下の処方によって調製することが可能であるが、これに限定されない:例えば、DHA含有精製魚油、大豆レシチン、ミツロウ、ビタミンE(栄養所要量に対する割合として、302%)を配合し、被包剤としてゼラチン、グリセリン、カラメル色素を用いて錠剤を調製して、食事用補添物として用いることができる。
【0073】
また、別の例としては、ユビキノン−10食事用補添物は、例えば、以下の処方によって調製することが可能であるが、これらに限定されない:乳糖、乳化剤、大豆抽出物、西洋サンザシエキス、糊料、微粒二酸化ケイ素、ナイアシンアミド、ビタミンE、グリセリン、着色料(二酸化チタン)、ビタミンB6、ビタミンB2、カロチン色素およびゼラチン。
【0074】
(処方)
本発明はまた、有効量の治療剤の被験体への投与による、疾患または障害(例えば、心臓疾患)の処置および/または予防の方法を提供する。治療剤は、薬学的に受容可能なキャリア型(例えば、滅菌キャリア)と組み合せた、本発明の組成物を意味する。
【0075】
治療剤を、個々の患者の臨床状態(特に、治療剤単独処置の副作用)、送達部位、投与方法、投与計画および当業者に公知の他の因子を考慮に入れ、医療実施基準(GMP=good medical practice)を遵守する方式で処方および投薬する。従って、本明細書において目的とする「有効量」は、このような考慮を行って決定される。
【0076】
治療剤を、経口的に投与し得る。「薬学的に受容可能なキャリア」とは、非毒性の固体、半固体または液体の充填剤、希釈剤、被包材または任意の型の処方補助剤をいう。
【0077】
一般に、治療剤を液体キャリアまたは微細分割固体キャリアあるいはその両方と均一および緊密に接触させて処方物を調製する。次に、必要であれば、生成物を所望の処方物に成形する。このようなキャリアビヒクルの例としては、ダイズ油およびオレイン酸エチルのような非水性ビヒクルが、本明細書において有用である。
【0078】
本発明はまた、本発明の治療剤の1つ以上の成分を満たした一つ以上の容器を備える薬学的パックまたはキットを提供する。医薬品または生物学的製品の製造、使用または販売を規制する政府機関が定めた形式の通知が、このような容器に付属し得、この通知は、ヒトへの投与に対する製造、使用または販売に関する政府機関による承認を表す。さらに、治療剤を他の治療用化合物と組み合わせて使用し得る。
【0079】
本発明の治療剤は、単独または他の治療剤と組合わせて投与され得る。組合わせは、例えば、混合物として同時に;同時にまたは並行してだが別々に;あるいは経時的のいずれかで投与され得る。これは、組み合わされた薬剤が、治療用混合物として共に投与されるという提示、およびまた、組み合わされた薬剤が、別々にしかし同時に、例えば、同じ個体に別々の静脈ラインを通じて投与される手順を含む。「組み合わせて」の投与は、一番目、続いて二番目に与えられる化合物または薬剤のうち1つの別々の投与をさらに含む。
【0080】
(ユビキノン−10の摂取)
本発明のユビキノン−10は、種々の疾患・状態の、予防、処置および予後において使用することが可能である。
【0081】
本発明のユビキノン−10を用いることができる疾患・状態としては、アルツハイマー・パーキンソン病・ハンチントン病の予防・改善が挙げられる。なぜなら、脳と関連した疾患の多くは、活性酸素が神経組織にダメージを与えることが原因と考えられているところ、ユビキノン−10は脳細胞内のミトコンドリアを保護する役割を担っていることから、脳疾患を予防する働きがあると考えられているからである。
【0082】
本発明のユビキノン−10は、ガンの予防・改善に使用することができる。ガン患者のユビキノン−10レベルは、非常に低いことが公知である。そのため、ガンの治療にユビキノン−10を応用した試験結果は数多い。ユビキノン−10投与によりガンの進行が止まり、症状が緩和されたという報告がある。中には、ユビキノン−10を1日390mgに増やして投与した患者の場合、2ヶ月後には腫瘍がすっかり消えた例もある。また、実際に医療現場で用いられてもいる。
【0083】
本発明のユビキノン−10は、抗加齢剤としても使用することができる。なぜなら、ユビキノン−10は強力な抗酸化物質であることから、細胞の酸化を防ぐことによる抗加齢効果が予想されている。実際に、ユビキノン−10を投与したマウスの30%が、投与しなかったマウスよりも2ヶ月ほど長く生存したという実験結果がある。
【0084】
本発明のユビキノン−10はまた、シワの緩和にも用いることができる。実際に、皮膚に塗ることによるシワの改善効果が確認されている。
【0085】
本発明のユビキノン−10は、肥満の改善に用いることができる。ユビキノン−10は代謝速度をあげ、体重の減少に寄与することが公知である。一部の肥満患者では、体内のユビキノン−10が欠乏しており、その補給によりカロリーの燃焼速度が増加することが分かっている。肥満患者を対象に、100mgのユビキノン−10を8〜9週間摂取した実験では、ユビキノン−10欠乏者の体重減少量は、ユビキノン−10レベル正常者の体重減少量の2倍以上であったことが報告されている。
【0086】
また、本発明のユビキノン−10は、慢性疲労症候群の改善にも用いることができる。慢性疲労症候群は、疲れが取れず、不眠、微熱、片頭痛などの症状が起こる。これらの症状は、ミトコンドリア内のエネルギーを作り出すシステムに何らかの障害が起こることが原因ではないかと考えられている。実際に、ユビキノン−10投与により、運動耐性や回復時間の向上が報告されている。
【0087】
さらに、本発明のユビキノン−10は、免疫系の強化、歯肉炎・歯周病の改善、エイズ発症の延期、動脈硬化予防、糖尿病改善につい有用であると考えられている。
【0088】
種々の疾患および状態において、以下の指標を参考にして、ユビキノン−10食事用補添物を摂取することができる。
【0089】
ユビキノン−10が欠乏しているかどうかは、採血をすれば判明する。一般に、健常人の平均血漿中ユビキノン−10レベルは0.8μg/mlである。この値より低い場合は、ユビキノン−10の補給の必要を検討してもよい。適切な摂取用量は、健康食品として摂取する場合、その形態(カプセル、油をベースにしたソフトカプセルなど)によって異なる。また摂取者の欠乏レベル、食事習慣、種々の他の要因や、症状・目的によっても異なる。食事用補添物としての1日あたりの摂取量として、約30〜300mg/日が一般的にい用いられる。例えば、一般的な健康維持、老化防止として用いる場合約30〜約60mg/日、持久力向上や体力向上のためには約60〜約90mg、特定の疾患・症状の兆候がある場合は約60〜約150mg、過激な運動をする場合は約90mg以上が目安であるが、これらに限定されない。
【0090】
また、特定の疾患・症状を有する個人の場合、以下の投与量が目安となる:気管支喘息 30mg/日;肝硬変 100mg/日;糖尿病 100mg/日;歯周病 100mg/日;疲労 300mg/日;高コレステロール 300mg/日;高血圧 75〜360mg/日;肺ガン 90〜390mg/日;心疾患 75〜600mg/日;および、パーキンソン病 400〜800mg/日。なお、変化を観察するために必要な処置期間および応答が生じる処置後の間隔は、所望の効果に応じて変化し得る。
【0091】
(形質転換)
形質転換を行うためには、一般に、植物に対して直接的に遺伝子導入を行う方法(直接的遺伝子導入法)、または植物に対して間接的に遺伝子導入を行う方法(間接的遺伝子導入法)が行われる。
【0092】
現在までに、間接的な遺伝子導入法として、アグロバクテリウムを利用した方法が広く利用されている。例えばイネの完熟種子を培養して3週間後に得られたカルスに対してアグロバクテリウムを感染させる方法(Hieiら、Plant Journal、6:271−282,1994を参照)あるいは、発芽後4−5日の種子に対してアグロバクテリウムを感染させて形質転換体を迅速に得ることができる方法(田中ら、特許第3141084号を参照)を挙げることができる。
【0093】
一方、直接的遺伝子導入方法として、パーティクルガン法(Christou,P.ら、Bio/Technology、9:957−962,1991を参照)、ポリエチレングリコール法(Datta,S.K.ら、Bio/Technology、8:736−740,1990を参照)、およびエレクトロポーレーション法(Shimamoto,K.らNature、338:274−276,1989を参照)などが形質転換体の作出に利用されている。エレクトロポーレーションとは、直流の高電圧パルスを用いて物理的に植物細胞に小孔をあけ、そこから遺伝子を細胞内に導入する方法をいう。また、コムギへ遺伝子導入する場合には、未熟胚が用いられている(J.T.Weeksら、Plant.Physiol.102:1077−1084,1993を参照)。
【0094】
(ユビキノン−10の部位特異的産生)
以下に、実施例に基づいて本発明を説明するが、以下の実施例は、例示の目的のみに提供される。従って、本発明の範囲は、上記発明の詳細な説明にも下記実施例にも限定されるものではなく、請求の範囲によってのみ限定される。
【実施例】
【0095】
(実施例1:ミトコンドリア標的化配列またはゴルジ体標的化配列と連結したデカプレニル2リン酸合成酵素遺伝子(ddsA)の構築)
配列番号5の核酸配列を有するddsA遺伝子を、ミトコンドリア標的化配列、またはゴルジ体標的化配列と連結したプラスミドを構築した。ミトコンドリア標的化配列としては、配列番号4のRPS14由来のミトコンドリア標的化配列であるS14(Kuboら、Plant Science 164(2003)1047−1055;配列番号4のアミノ酸残基1位〜48位に対応)を用いた。ゴルジ体標的化配列としては、配列番号8のタバコのN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼI(GnT1)のN末端にあるゴルジ体標的化シグナルであるCTS(Esslら、FEBS letters、453(1999)169〜173;配列番号8の1〜77)を用いた。これら標的化配列を、Gluconobacter suboxydans由来のデカプレニル二リン酸合成酵素遺伝子(ddsA)(Okadaら(Eur.J.Biochem.255、52−59(1998)))と作動可能に連結し、構成的プロモーターであるCaMV35Sプロモーターと、NOSターミネーターとの間に連結し、pUS14ddsAプラスミドおよびpUCTddsAプラスミドを、それぞれ構築した。各プラスミドのHindIII/EcoRIフラグメントを、バイナリーベクターであるpCAMBIA1301のマルチプルクローニング部位に連結した。構築した各種プラスミドの模式図を図1に示した。
(実施例2:ddsA遺伝子の発現の確認)
実施例1において作製した種々のプラスミドを用いて、イネを形質転換した。具体的には、アグロバクテリウム(Agrobacterium tumefaciens)EHA105株をエレクトロポーレーションによって、形質転換し、そのアグロバクテリウムを、WO01/06844に記載の形質転換方法に従って用い、植物を形質転換した。形質転換したイネを、ハイグロマイシン(50mg/L)を含む培地にて選抜した。ddsA遺伝子が植物細胞に導入されたことは、以下に示すPCR増幅実験またはサザンハイブリダイゼーションによって確認した(データ示さず)。
【0096】
イネゲノムDNA(4μg)をHindIIIで消化し、0.9%アガロース電気泳動に供して、Hybond−Nメンブレン(Amarsham Pharmacia)にキャピラリーの原理でブロットした(Sambrook,FritschおよびManiatis,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版,Cold Spring Harbor Laboratory,1989))。ddsA遺伝子の0.3kbフラグメント(コード領域の5’部分)をプローブとして使用した。プローブの標識は、製造業者であるRoshe社のマニュアルに従って、行った。ハイブリダイゼーションおよび洗浄は、Sambrook(前出)に記載されるように行い、そしてその後の反応を、Roche社の指示に従って、行った。最終的な洗浄は、0.1×SSCおよび0.1% SDSを用いて、68℃で行った。その結果、目的のプラスミドが染色体DNAに組み込まれているクローンが見出されたので、そのクローンを以後の実験に用いた。
(実施例3:抗G.saboxydans DDSA抗体の調製)
ddsA遺伝子のコード領域全体を、PCRで増幅し、pGEX4T−3ベクター(Amersham Pharmacia)に連結し、E.coli JM109を形質転換した。GST/DDSA融合タンパク質の発現を、1mM IPTGの添加によって誘導し、そしてAsanoら(Plant Cell (2002)14、619−628)の方法に従って、精製した。精製した融合タンパク質を、6回、2週間の間隔でウサギに注射した。その結果、ウサギ血清中に抗G.saboxydans DDSA抗体が確認された。
(実施例4:DDSAタンパク質発現の確認)
組換え植物の葉に、葉の重量の8倍容量の抽出緩衝液(50mM Tris−HCl、pH6.8、2% SDS、6% 2−メルカプトエタノール、10% グリセロール)を添加して、微細粉末に砕いた。懸濁液を12,000rpmで5分間4℃で遠心し、そして上清を回収した。各形質転換体由来の10μgの総タンパク質を12.5%ポリアクリルアミドゲルで分離して、ImmobillonPVDFメンブレン(Millopore社)にトランスファーした。
【0097】
実施例3の方法で調製された抗DDSA抗体を用いて、ウェスタンブロットを行った。図7のレーン1は、形質転換していない植物由来のタンパク質であり、レーン2〜4は、S14を融合したDDSAを発現するプラスミドで形質転換した植物由来のタンパク質であり、レーン5〜7は、CTSを融合したDDSAを発現するプラスミドで形質転換した植物由来のタンパク質である。図7に示されるように、各融合タンパク質の発現が確認された。
【0098】
タンパク質の発現量によって、S14−DDSA融合タンパク質を発現する形質転換植物体を4つの群(±;非常に少ない発現量、L;少ない発現量、M;中程度の発現量、H;高い発現量)に分類した。±は、15個体、Lは、8個体、Mは、9個体、そしてHは、9個体得られた。
(実施例5:ユビキノンの抽出および測定)
ユビキノンを、Okadaら(前出)の方法を若干修正した方法に従って抽出した。乳鉢でイネの葉を液体窒素を加えながら砕き、1.0gを15ml容量のチューブに量り取った。3% HSO 2mlを添加して、数秒間ボルテックスミキサーで攪拌した後、キャップを外して、アルミ箔で蓋をした。オートクレーブ120℃、30分後を行った。14% NaOHを4ml添加した。次に、オートクレーブ120℃、15分後を行った。すぐに氷水中で冷却した。ヘキサン:イソプロパノール(5:1)を3ml添加し、ボルテックスミキサーで、1分間攪拌した。2000rpm、室温で2分間遠心した。上清1.5mlを2mlチューブに分取した。加熱しながら、真空乾燥を10分間行った。乾燥物を、20μlのクロロホルム:メタノール(2:1)に懸濁して、TLCプレートにスポットした。ユビキノン−10の標準(1mg/ml)5μlもまた、別のプレートにスポットした。
【0099】
100%ベンゼンを溶媒として、TLC展開を約1時間20分行った。紫外線照射によって、標準であるユビキノン−10のスポットと同じ位置の部分をカッターで切り取り、1.5mlチューブに入れた。ヘキサン200μl、イソプロパノール200μlを添加して、ボルテックスミキサーで1分間攪拌した。13,000rpm、室温で1分間遠心し、上清を1.5mlチューブに移した。真空乾燥を10分間行い、脱気した100%エタノール200μlに懸濁し、フィルターでろ過することによって固形物を取り除いた。懸濁液をHPLCで解析した。HPLCの解析は、エタノールを溶媒として用い、C18逆相カラム(YMC−Pack ODS−A;150mm×60mm)を用いることによって行った(流速=1ml/分、275nmでの検出)。
【0100】
その結果、図8に示されるように、形質転換していないイネ(図8A)では、ユビキノン−9が多く、ユビキノン−10が少ないのに対して、S14:ddsAを発現した形質転換植物(図8B)では、ユビキノン−9がほとんど観察されず、大量のユビキノン−10が観察された。このことは、ミトコンドリア標的化配列にデカプレニル2リン酸合成酵素遺伝子を連結して、植物内で発現させることによって、植物内で大量にユビキノン−10を産生できることが明らかとなった。なお、測定のための内部標準として、ユビキノン−6を添加した。
【0101】
各ユビキノンの分子量を確認するために、大気圧化学イオン化(APCI)供給源を備えるLCT LC−MSシステム(Micromass)を用いる、液体クロマトグラフィー−MS(LC−MS)を、1.0ml/分の流速で行った[Inertsil ODS3カラム(GL Sciences);3μm;4.6mm×150mm]。移動相(メタノール/イソプロパノール(3:1、v/v))で平衡化したカラムに注入した後、カラムを、定組成の移動相を用いて、30分間溶出した。図8Aの8.5分から溶出したコエンザイムQの分子量、および図8Bの10.2分から溶出したユビキノンの分子量を、LC−MSで測定して、それぞれ、図9Aおよび図9Bに示した。これらのチャートは、8.5分のピークがユビキノン9[m/z818(M+Na)]であり、10.2分のピークがユビキノン10[m/z886(M+Na)]であることを実証する。
【0102】
ddsAを発現する組換え植物は、ユビキノン10を産生した(図10)。ユビキノン(酸化型)を還元すると、ユビキノール(還元型)に変換し、その結果、275nmの紫外線吸収が消失する。そのため、還元することによって消失する275nmの紫外線吸収ピークは、ユビキノンの存在を示す。
(実施例6:イネ玄米からのユビキノン−10の抽出および測定)
実施例2において作製したイネの後代を調製し、その後代から、玄米を得た。
【0103】
そのイネ玄米を用いて、実施例5に記載の方法に従って、ユビキノンの抽出および測定を行った。その結果を、図11に示す。
【0104】
図11は、形質転換していない植物、及びS14−DDSAを発現する組換え植物の玄米における、ユビキノン−9とユビキノン−10の生産量を示す結果である。なおユビキノン−6は内部標準として測定の際に添加したものである。
【0105】
この結果から明らかなように、形質転換していないイネの玄米中では、ユビキノン−10の産生が確認されなかったが、S14−DDSAを発現するイネの玄米中には、ユビキノン−9よりも多量のユビキノン−10の蓄積が確認された。
【0106】
本実施例によって、本発明によって提供されるイネ玄米は、良好なユビキノン−10の供給源であることが実証された。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】図1は、イネRPS10のミトコンドリア標的化配列の核酸配列およびアミノ酸配列を示す。
【図2】図2は、イネRPS14のミトコンドリア標的化配列の核酸配列およびアミノ酸配列を示す。
【図3】図3は、タバコN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIのゴルジ体標的化配列の核酸配列およびアミノ酸配列を示す。
【図4】図4は、イネATPアーゼβサブユニットタンパク質のミトコンドリア標的化配列の核酸配列およびアミノ酸配列を示す。
【図5】図5は、アラビドプシスATPアーゼγサブユニットタンパク質のミトコンドリア標的化配列の核酸配列およびアミノ酸配列を示す。
【図6】図6は、本発明の組換え植物を作成するために使用する発現カセットである。図中のT35Sは、CaMV35S遺伝子のターミネーター;HygRは、ハイグロマイシン耐性遺伝子;P35Sは、CaMV35Sプロモーター;Tnosは、ノパリンシンターゼのターミネーター;ddsAは、Gluconobacter suboxydans由来のデカプレニル2リン酸合成酵素遺伝子;S14は、RPS14タンパク質のミトコンドリア標的化配列(1位〜48位のアミノ酸);CTSは、タバコのN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼI(GnT1)のN末端にあるゴルジ体標的化シグナル(1位〜77位のアミノ酸);Promoterは、CaMV35Sプロモーター;Intron−GUSは、イントロンを含むGUS遺伝子;LBは、左側のボーダー配列;RBは、右側のボーダー配列を示す。
【図7】図7は、実施例4に示す、融合タンパク質発現の検出の結果である。
【図8】図8は、形質転換していない植物(A)、およびS14−DDSA(S14とDDSAとの融合タンパク質)を発現する植物(B)における、ユビキノン−9とユビキノン−10の産生量を示す結果である。
【図9】図9は、野生型植物において産生されたユビキノン−9(A)と、S14:ddsA植物において産生されたユビキノン−10(B)の分子量を示す。
【図10】図10は、種々の発現レベルでS14−DDSAを発現する組換え植物における、ユビキノンの産生量の比較である。
【図11】図11は、形質転換していないイネの玄米(上部左)からはユビキノン−10はほとんど検出されないが、S14−DDSAを発現するイネの玄米(下部左、下部中央はその拡大図)から、ユビキノン−10が検出され、ユビキノン10が産生されたことを示す結果である。
【配列表フリーテキスト】
【0108】
配列番号1:イネRPS10遺伝子の核酸配列(ゲノム配列)。
配列番号2:イネRPS10のアミノ酸配列。1位〜56位のアミノ酸配列はミトコンドリア標的化配列である。
配列番号3:イネRPS14遺伝子の核酸配列(cDNA配列)。
配列番号4:イネRPS14のアミノ酸配列。1位〜48位のアミノ酸配列はミトコンドリア標的化配列である。
配列番号5:Gluconobacter suboxydans ddsA遺伝子の核酸配列(cDNA配列)。
配列番号6:Gluconobacter suboxydans由来のデカプレニル二リン酸合成酵素のアミノ酸配列
配列番号7:タバコのN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIタンパク質をコードする核酸配列(cDNA配列)。
配列番号8:タバコのN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIタンパク質のアミノ酸配列。1位〜77位のアミノ酸配列はゴルジ体標的化配列である。
配列番号9:イネATPアーゼβサブユニットタンパク質をコードする核酸配列(cDNA配列)。
配列番号10:イネATPアーゼβサブユニットタンパク質のアミノ酸配列。1位〜85位のアミノ酸配列はミトコンドリア標的化配列である。
配列番号11:アラビドプシスATPアーゼγサブユニットタンパク質をコードする核酸配列(cDNA配列)。
配列番号12:アラビドプシスATPアーゼγサブユニットタンパク質のアミノ酸配列。1位〜42位のアミノ酸配列はミトコンドリア標的化配列である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリプレニル2リン酸合成酵素を発現する発現カセットで形質転換された植物。
【請求項2】
前記ポリプレニル2リン酸合成酵素が、デカプレニル2リン酸合成酵素である、請求項1に記載の植物。
【請求項3】
前記デカプレニル2リン酸合成酵素は、細菌由来の酵素である、請求項1に記載の植物。
【請求項4】
前記デカプレニル2リン酸合成酵素は、Gluconobacter suboxydans由来の酵素である、請求項3に記載の植物。
【請求項5】
前記デカプレニル2リン酸合成酵素は、配列番号5に示す核酸とストリンジェントな条件でハイブリダイズする核酸によってコードされる、請求項2に記載の植物。
【請求項6】
前記デカプレニル2リン酸合成酵素は、配列番号5に示す核酸配列に1または数個の欠失、付加、または置換を有する核酸によってコードされる、請求項2に記載の植物。
【請求項7】
前記デカプレニル2リン酸合成酵素は、配列番号5に示す核酸配列と80%より高い配列同一性を有する核酸によってコードされる、請求項2に記載の植物。
【請求項8】
前記デカプレニル2リン酸合成酵素は、配列番号6に示すアミノ酸配列に1または数個の欠失、付加、または置換を有するアミノ酸配列を有する、請求項2に記載の植物。
【請求項9】
前記デカプレニル2リン酸合成酵素は、配列番号6に示すアミノ酸配列と80%より高いアミノ酸配列同一性を有する、請求項2に記載の植物。
【請求項10】
前記デカプレニル2リン酸合成酵素をコードする核酸が、ミトコンドリア標的化配列をコードする核酸と作動可能に連結されている、請求項2に記載の植物。
【請求項11】
前記ミトコンドリア標的化配列をコードする核酸が、イネのRPS10タンパク質(配列番号2)のフラグメントをコードする核酸、RPS14タンパク質(配列番号4)のフラグメントをコードする核酸、RPS11タンパク質のフラグメントをコードする核酸、ATPアーゼβサブユニットタンパク質(配列番号10)のフラグメントをコードする核酸、およびATPアーゼγサブユニットタンパク質(配列番号12)のフラグメントをコードする核酸からなる群から選択される、請求項10に記載の植物。
【請求項12】
前記ミトコンドリア標的化配列は、イネのRPS10タンパク質(配列番号2)の1位〜56位のアミノ酸配列からなるフラグメントである、請求項10に記載の植物。
【請求項13】
前記ミトコンドリア標的化配列は、イネのRPS10タンパク質(配列番号2)の1位〜56位のアミノ酸配列をコードする核酸とストリンジェントな条件でハイブリダイズする核酸によってコードされる、請求項10に記載の植物。
【請求項14】
前記ミトコンドリア標的化配列は、イネのRPS10タンパク質(配列番号2)の1位〜56位のアミノ酸配列をコードする核酸配列に1または数個の欠失、付加、または置換を有する核酸、あるいはイネのRPS10タンパク質(配列番号2)の1位〜56位のアミノ酸配列をコードする核酸配列のフラグメントによってコードされる、請求項10に記載の植物。
【請求項15】
前記ミトコンドリア標的化配列は、イネのRPS10タンパク質(配列番号2)の1位〜56位のアミノ酸配列をコードする核酸配列と80%より高い配列同一性を有する核酸によってコードされる、請求項10に記載の植物。
【請求項16】
前記ミトコンドリア標的化配列は、イネのRPS10タンパク質(配列番号2)の1位〜56位のアミノ酸配列に1または数個の欠失、付加、または置換を有するアミノ酸配列、あるいはイネのRPS10タンパク質(配列番号2)の1位〜56位内にあるフラグメントのアミノ酸配列を有する、請求項10に記載の植物。
【請求項17】
前記ミトコンドリア標的化配列は、イネのRPS10タンパク質(配列番号2)の1位〜56位のアミノ酸配列と80%より高いアミノ酸配列同一性を有する、請求項10に記載の植物。
【請求項18】
前記ミトコンドリア標的化配列は、イネのRPS14タンパク質(配列番号4)の1位〜48位のアミノ酸配列からなるフラグメントである、請求項10に記載の植物。
【請求項19】
前記ミトコンドリア標的化配列は、イネのRPS14タンパク質(配列番号4)の1位〜48位のアミノ酸配列をコードする核酸とストリンジェントな条件でハイブリダイズする核酸によってコードされる、請求項10に記載の植物。
【請求項20】
前記ミトコンドリア標的化配列は、イネのRPS14タンパク質(配列番号4)の1位〜48位のアミノ酸配列をコードする核酸配列に1または数個の欠失、付加、または置換を有する核酸、あるいは、イネのRPS14タンパク質(配列番号4)の1位〜48位のアミノ酸配列をコードする核酸配列のフラグメントによってコードされる、請求項10に記載の植物。
【請求項21】
前記ミトコンドリア標的化配列は、イネのRPS14タンパク質(配列番号4)の1位〜48位のアミノ酸配列をコードする核酸配列と80%より高い配列同一性を有する核酸によってコードされる、請求項10に記載の植物。
【請求項22】
前記ミトコンドリア標的化配列は、イネのRPS14タンパク質(配列番号4)の1位〜48位のアミノ酸配列に1または数個の欠失、付加、または置換を有するアミノ酸配列、あるいは、イネのRPS14タンパク質(配列番号4)の1位〜48位内にあるフラグメントのアミノ酸配列を有する、請求項10に記載の植物。
【請求項23】
前記ミトコンドリア標的化配列は、イネのRPS14タンパク質(配列番号4)の1位〜48位のアミノ酸配列と80%より高いアミノ酸配列同一性を有する、請求項10に記載の植物。
【請求項24】
前記ポリプレニル2リン酸合成酵素が、ゴルジ体標的化配列と作動可能に連結されている、請求項2に記載の植物。
【請求項25】
前記ゴルジ体標的化配列をコードする核酸が、タバコのN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIタンパク質(配列番号8)のフラグメントをコードする核酸である、請求項24に記載の植物。
【請求項26】
前記ゴルジ体標的化配列は、タバコのN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIタンパク質(配列番号8)の1位〜77位のアミノ酸配列からなるフラグメントである、請求項24に記載の植物。
【請求項27】
前記ゴルジ体標的化配列は、タバコのN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIタンパク質(配列番号8)の1位〜77位のアミノ酸配列をコードする核酸とストリンジェントな条件でハイブリダイズする核酸によってコードされる、請求項24に記載の植物。
【請求項28】
前記ゴルジ体標的化配列は、タバコのN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIタンパク質(配列番号8)の1位〜77位のアミノ酸配列をコードする核酸配列に1または数個の欠失、付加、または置換を有する核酸、あるいはタバコのN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIタンパク質(配列番号8)の1位〜77位のアミノ酸配列をコードする核酸配列のフラグメントによってコードされる、請求項24に記載の植物。
【請求項29】
前記ゴルジ体標的化配列は、タバコのN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIタンパク質(配列番号8)の1位〜77位のアミノ酸配列をコードする核酸配列と80%同一の配列を有する核酸によってコードされる、請求項24に記載の植物。
【請求項30】
前記ゴルジ体標的化配列は、タバコのN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIタンパク質(配列番号8)の1位〜77位のアミノ酸配列に1または数個の欠失、付加、または置換を有するアミノ酸配列、あるいはタバコのN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIタンパク質(配列番号8)の1位〜77位内のフラグメントのアミノ酸配列を有する、請求項24に記載の植物。
【請求項31】
前記ゴルジ体標的化配列は、タバコのN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIタンパク質(配列番号8)の1位〜77位のアミノ酸配列と80%同一のアミノ酸配列を有する、請求項24に記載の植物。
【請求項32】
前記ポリプレニル2リン酸合成酵素遺伝子が、種子特異的プロモーターと作動可能に連結されている、請求項1に記載の植物。
【請求項33】
前記植物が、植物細胞、植物培養細胞、植物種子、再生植物体、植物カルス、植物組織、葉、茎、根、花、芽生え、藻類、苔類からなる群から選択される、請求項1に記載の植物。
【請求項34】
単子葉植物である、請求項1に記載の植物。
【請求項35】
双子葉植物である、請求項1に記載の植物。
【請求項36】
請求項1、32、34、または35のいずれか一項に記載の、植物の種子。
【請求項37】
前記双子葉植物が、イネ、トウモロコシ、オート麦、コムギ、オオムギ、ソバ、ジュズダマ、カラスムギ、インドヒエ、バナナ、およびサトウキビからなる群から選択される、請求項35に記載の植物。
【請求項38】
前記単子葉植物が、ダイズ、トマト、ジャガイモ、サツマイモ、アーモンド、ピスタシオナッツ、ピーナッツ、ヘーゼルナッツ、ウォールナッツ、カシューナッツ、およびゴマからなる群から選択される、請求項36に記載の植物。
【請求項39】
ポリプレニル2リン酸合成酵素を植物で発現するための発現カセット。
【請求項40】
前記ポリプレニル2リン酸合成酵素が、デカプレニル2リン酸合成酵素である、請求項39に記載の発現カセット。
【請求項41】
前記デカプレニル2リン酸合成酵素は、細菌由来の酵素である、請求項39に記載の発現カセット。
【請求項42】
前記デカプレニル2リン酸合成酵素は、Gluconobactersuboxydans由来の酵素である、請求項41に記載の発現カセット。
【請求項43】
前記デカプレニル2リン酸合成酵素は、配列番号5に示す核酸とストリンジェントな条件でハイブリダイズする核酸によってコードされる、請求項40に記載の発現カセット。
【請求項44】
前記デカプレニル2リン酸合成酵素は、配列番号5に示す核酸配列に1または数個の欠失、付加、または置換を有する核酸、あるいは配列番号5に示す核酸配列のフラグメントによってコードされる、請求項40に記載の発現カセット。
【請求項45】
前記デカプレニル2リン酸合成酵素は、配列番号5に示す核酸配列と80%り高い配列同一性を有する核酸によってコードされる、請求項40に記載の発現カセット。
【請求項46】
前記デカプレニル2リン酸合成酵素は、配列番号6に示すアミノ酸配列に1または数個の欠失、付加、または置換を有するアミノ酸配列、あるいは配列番号6に示す配列内のフラグメントのアミノ酸配列を有する、請求項40に記載の発現カセット。
【請求項47】
前記デカプレニル2リン酸合成酵素は、配列番号6に示すアミノ酸配列と80%より高いアミノ酸配列同一性を有する、請求項40に記載の発現カセット。
【請求項48】
前記デカプレニル2リン酸合成酵素をコードする核酸が、ミトコンドリア標的化配列をコードする核酸と作動可能に連結されている、請求項40に記載の発現カセット。
【請求項49】
前記ミトコンドリア標的化配列をコードする核酸が、イネのRPS10タンパク質(配列番号2)のフラグメントをコードする核酸、RPS14タンパク質(配列番号4)のフラグメントをコードする核酸、RPS11タンパク質、ATPアーゼβサブユニットタンパク質、およびATPアーゼγサブユニットタンパク質、からなる群から選択される、請求項48に記載の発現カセット。
【請求項50】
前記ミトコンドリア標的化配列は、イネのRPS10タンパク質(配列番号2)の1位〜56位のアミノ酸配列からなるフラグメントである、請求項48に記載の発現カセット。
【請求項51】
前記ミトコンドリア標的化配列は、イネのRPS10タンパク質(配列番号2)の1位〜56位のアミノ酸配列をコードする核酸とストリンジェントな条件でハイブリダイズする核酸によってコードされる、請求項48に記載の発現カセット。
【請求項52】
前記ミトコンドリア標的化配列は、イネのRPS10タンパク質(配列番号2)の1位〜56位のアミノ酸配列をコードする核酸配列に1または数個の欠失、付加、または置換を有する核酸、あるいはイネのRPS10タンパク質(配列番号2)の1位〜56位のアミノ酸配列をコードする核酸配列のフラグメントによってコードされる、請求項48に記載の発現カセット。
【請求項53】
前記ミトコンドリア標的化配列は、イネのRPS10タンパク質(配列番号2)の1位〜56位のアミノ酸配列をコードする核酸配列と80%より高い配列同一性を有する核酸によってコードされる、請求項48に記載の発現カセット。
【請求項54】
前記ミトコンドリア標的化配列は、イネのRPS10タンパク質(配列番号2)の1位〜56位のアミノ酸配列に1または数個の欠失、付加、または置換を有するアミノ酸配列、あるいはイネのRPS10タンパク質(配列番号2)の1位〜56位内のフラグメントのアミノ酸配列を有する、請求項48に記載の発現カセット。
【請求項55】
前記ミトコンドリア標的化配列は、イネのRPS10タンパク質(配列番号2)の1位〜56位のアミノ酸配列と80%より高いアミノ酸配列同一性を有する、請求項48に記載の発現カセット。
【請求項56】
前記ミトコンドリア標的化配列は、イネのRPS14タンパク質(配列番号4)の1位〜48位のアミノ酸配列からなるフラグメントである、請求項48に記載の発現カセット。
【請求項57】
前記ミトコンドリア標的化配列は、イネのRPS14タンパク質(配列番号4)の1位〜48位のアミノ酸配列をコードする核酸とストリンジェントな条件でハイブリダイズする核酸によってコードされる、請求項48に記載の発現カセット。
【請求項58】
前記ミトコンドリア標的化配列は、イネのRPS14タンパク質(配列番号4)の1位〜48位のアミノ酸配列をコードする核酸配列に1または数個の欠失、付加、または置換を有する核酸、あるいはイネのRPS14タンパク質(配列番号4)の1位〜48位のアミノ酸配列をコードする核酸配列のフラグメントによってコードされる、請求項48に記載の発現カセット。
【請求項59】
前記ミトコンドリア標的化配列は、イネのRPS14タンパク質(配列番号4)の1位〜48位のアミノ酸配列をコードする核酸配列と80%より高い配列同一性を有する核酸によってコードされる、請求項48に記載の発現カセット。
【請求項60】
前記ミトコンドリア標的化配列は、イネのRPS14タンパク質(配列番号4)の1位〜48位のアミノ酸配列に1または数個の欠失、付加、または置換を有するアミノ酸配列、あるいはイネのRPS14タンパク質(配列番号4)の1位〜48位内のフラグメントのアミノ酸配列を有する、請求項48に記載の発現カセット。
【請求項61】
前記ミトコンドリア標的化配列は、イネのRPS14タンパク質(配列番号4)の1位〜48位のアミノ酸配列と80%より高いアミノ酸配列同一性を有する、請求項48に記載の発現カセット。
【請求項62】
前記ポリプレニル2リン酸合成酵素が、ゴルジ体標的化配列と作動可能に連結されている、請求項39に記載の発現カセット。
【請求項63】
前記ゴルジ体標的化配列をコードする核酸が、タバコのN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIタンパク質(配列番号8)のフラグメントをコードする核酸である、請求項62に記載の発現カセット。
【請求項64】
前記ゴルジ体標的化配列は、タバコのN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIタンパク質(配列番号8)の1位〜77位のアミノ酸配列からなるフラグメントである、請求項62に記載の発現カセット。
【請求項65】
前記ゴルジ体標的化配列は、タバコのN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIタンパク質(配列番号8)の1位〜77位のアミノ酸配列をコードする核酸とストリンジェントな条件でハイブリダイズする核酸によってコードされる、請求項62に記載の発現カセット。
【請求項66】
前記ゴルジ体標的化配列は、タバコのN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIタンパク質(配列番号8)の1位〜77位のアミノ酸配列をコードする核酸配列に1または数個の欠失、付加、または置換を有する核酸、あるいはタバコのN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIタンパク質(配列番号8)の1位〜77位のアミノ酸配列をコードする核酸配列のフラグメントによってコードされる、請求項62に記載の発現カセット。
【請求項67】
前記ゴルジ体標的化配列は、タバコのN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIタンパク質(配列番号8)の1位〜77位のアミノ酸配列をコードする核酸配列と80%同一の配列を有する核酸によってコードされる、請求項62に記載の発現カセット。
【請求項68】
前記ゴルジ体標的化配列は、タバコのN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIタンパク質(配列番号8)の1位〜77位のアミノ酸配列に1または数個の欠失、付加、または置換を有するアミノ酸配列、あるいはタバコのN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIタンパク質(配列番号8)の1位〜77位内のフラグメントのアミノ酸配列を有する、請求項62に記載の発現カセット。
【請求項69】
前記ゴルジ体標的化配列は、タバコのN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIタンパク質(配列番号8)の1位〜77位のアミノ酸配列と80%同一のアミノ酸配列を有する、請求項62に記載の発現カセット。
【請求項70】
前記ポリプレニル2リン酸合成酵素遺伝子が、種子特異的プロモーターと作動可能に連結されている、請求項39に記載の発現カセット。
【請求項71】
請求項70に記載の発現カセットを含む植物。
【請求項72】
請求項71に記載の植物の種子。
【請求項73】
植物を用いたユビキノン−10の製造方法であって、該方法は、以下:
(1)請求項1に記載される植物を得る工程;および
(2)該植物を培養する工程;
を、包含する方法。
【請求項74】
植物を用いたユビキノン−10の製造方法であって、該方法は、以下:
(1)請求項37に記載の発現カセットを植物に導入する工程;
(2)該発現カセットを導入した植物を培養する工程;
を、包含する方法。
【請求項75】
請求項1に記載の植物から得られた、ユビキノン−10を含む植物組織。
【請求項76】
請求項1に記載の植物から得られた、ユビキノン−10を含む植物細胞。
【請求項77】
請求項1に記載の植物由来のユビキノン−10を含む、食品。
【請求項78】
さらに、請求項1に記載の植物由来の成分を含む、請求項77に記載の食品。
【請求項79】
前記請求項1に記載の植物由来の成分が、タンパク質である、請求項78に記載の食品。
【請求項80】
請求項1に記載の植物由来のユビキノン−10を含む、組成物。
【請求項81】
さらに、請求項1に記載の植物由来の成分を含む、請求項80に記載の組成物。
【請求項82】
前記請求項1に記載の植物由来の成分が、タンパク質である、請求項81に記載の組成物。
【請求項83】
請求項1に記載の植物由来のユビキノン−10を含む、食事用補添物。
【請求項84】
さらに、請求項1に記載の植物由来の成分を含む、請求項83に記載の食事用補添物。
【請求項85】
前記請求項1に記載の植物由来の成分が、タンパク質である、請求項84に記載の食事用補添物。
【請求項86】
請求項1に記載の植物由来のユビキノン−10を含む、化粧品。
【請求項87】
さらに、請求項1に記載の植物由来の成分を含む、請求項86に記載の化粧品。
【請求項88】
前記請求項1に記載の植物由来の成分が、タンパク質である、請求項87に記載の化粧品。
【請求項89】
請求項1に記載の植物由来のユビキノン−10を含む、飲料。
【請求項90】
さらに、請求項1に記載の植物由来の成分を含む、請求項89に記載の飲料。
【請求項91】
前記請求項1に記載の植物由来の成分が、タンパク質である、請求項90に記載の飲料。
【請求項92】
請求項1に記載の植物由来のユビキノン−10を含む、葉。
【請求項93】
請求項1に記載の植物由来のユビキノン−10を含む、胚。
【請求項94】
請求項1に記載の植物由来のユビキノン−10を含む、果実。
【請求項95】
請求項1に記載の植物由来のユビキノン−10を含む、茎。
【請求項96】
請求項1に記載の植物由来のユビキノン−10を含む、根。
【請求項97】
請求項1に記載の植物由来のユビキノン−10を含む、花。
【請求項98】
請求項1に記載の植物由来のユビキノン−10を含む、種子。
【請求項99】
請求項1に記載の植物由来のユビキノン−10を含む、米ぬか。
【請求項100】
ユビキノン−10を含むイネ細胞または組織。
【請求項101】
種子である、請求項100に記載の細胞または組織。
【請求項102】
玄米である、請求項100に記載の細胞または組織。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図10】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−212019(P2006−212019A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−133329(P2005−133329)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(501167644)独立行政法人農業生物資源研究所 (200)
【出願人】(000125370)学校法人東京理科大学 (27)
【出願人】(504155293)国立大学法人島根大学 (113)
【Fターム(参考)】