説明

検体センサに用いる陽イオンポリマー系ワイアード酵素組成物

本願発明の実施形態は、検体に反応する酵素及び陽イオンポリマーを含む検知層を有する検体に反応する組成および電気化学検体センサを含む。検知層は、有利に、酵素と電極との間で電子を転送する際に補助するレドックスメディエータ材料を更に備えることができる。メディエータは陽イオンポリマーと共有結合的又は非共有結合的に結合することができ、その結果、電極表面に近接して配設される。様々な有機配位子/遷移金属錯体が、レドックスメディエータの役割に有益であることが見出された。また、センサを作成し、検体監視に電気化学検体センサを使用するシステム及び方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年9月15日に出願された米国特許出願番号第12/211,014号の利益を主張するものであり、当該出願は参照によりその全体が組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
酵素系バイオセンサは、検体濃度従属生化学反応信号が光学的若しくは電気的信号の如き測定可能な物理的信号に変換されるデバイスである。この種のバイオセンサは、臨床的、環境的、農業的及び生体技術的応用での検体の検出において広く利用されている。人体の流体の臨床的分析において測定できる検体は、例えば、グルコース、乳酸、コレステロール、ビリルビン及びアミノ酸を含む。血液の如き生体液における検体の検出は、多数の疾患の診断及び監視において重要である。
【0003】
電流(電流測定バイオセンサ)又は電荷(電量的バイオセンサ)の如き電気信号を介して検体を検出するバイオセンサは電子伝達が多くの重要な生体検体の生化学反応に関係しているので、特別な関心事である。これらのシステムには、生体外使用(例えば、テストストリップ)目的のものも、生体内使用(例えば、センサの少なくとも一部が利用者体内に置かれる)目的のものも含まれる。
【0004】
一般的に、これらのシステムは、少なくとも一つの作用電極と、検体反応酵素をその付近に含む検知層とを採用する。検体監視システムは、特定の技術(例えば電流測定、電量分析、光学、等)及び検知材料のような様々な因子に従い変化してもよい。例えば、検知層は、対象検体がグルコースである場合にはグルコースオキシダーゼ又はグルコースデヒドロゲナーゼであるように、対象検体に従って変化し、メディエータ及び/又は他の成分を使用してもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
検体監視デバイス及び検体監視方法として、特にグルコース監視は疾患管理にとって益々重要になってきており、高度に安定し、様々に異なった酵素に採用され得る多用途な、多様な新しい検知層が含まれる、新規な検体監視システムの開発に対する継続的な関心がある。製造工程を単純化するこの種の検知層もまた、望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明の実施形態は、検体と反応する酵素(以下、検体反応酵素)を含む検知層と陽イオンポリマーとを有する電気化学検体センサを含み、上記の検知層はセンサの作用電極付近に配置される。例えば遷移金属錯体を含むメディエータが使用されてもよい。特定の実施形態において、上記のメディエータは非共有結合で結合し、即ち、陽イオンポリマーには物理的に付着しない。電気化学検体センサを製造し使用するシステム及び方法も提供される。
【発明の効果】
【0007】
本願発明の上記の並びに他の目的、効果及び特徴は、より完全に後述した本願発明の詳細を精読すれば、当業者にとっては明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本願発明の実施形態によるデータ監視並びに管理システムの実施形態のブロック図である。
【図2】図1のデータ監視並びに管理システムにおける送信器ユニットの実施形態のブロック図である。
【図3】図1のデータ監視並びに管理システムにおける受信器/監視ユニットの実施形態のブロック図である。
【図4】本願発明の実施形態による検体センサの実施形態の模式的回路図である。
【図5A】別の実施形態の検体センサの斜視図である。
【図5B】別の実施形態の検体センサの断面図である。
【図6】陽イオンポリマー系GOx検知層(三角形)対レドックスポリマー及び架橋剤系検知層(菱型)の直線性の比較である。
【図7】陽イオンポリマー系GOx検知層(縦ハッチング)対レドックスポリマー及び架橋剤系層(白地)の応答時間の比較である。
【図8】陽イオンポリマー系GOx検知層(実線)対レドックスポリマー及び架橋剤系検知層(破線)の37℃での安定性の比較である。
【図9】陽イオンポリマー系GOx検知層(実線)対レドックスポリマー及び架橋剤系検知層(破線)の65℃での安定性の比較である。
【図10】陽イオンポリマー系FADGDH検知層(四角)対レドックスポリマー及び架橋剤系検知層(菱型)の直線性の比較である。
【図11】陽イオンポリマー系FADGDH検知層対レドックスポリマー及び架橋剤系検知層の応答時間の比較である。
【図12】陽イオンポリマー系FADGDH検知層対レドックスポリマー及び架橋剤系検知層の37℃での安定性の比較である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本願発明は、添付の図面を参照しつつ以下の発明を実施するための形態を読むことによって最適に理解できる。通常の慣例に従い、図面の様々な特徴は実寸に比例していないことが強調される。逆に、様々な特徴の尺度は明確化のために恣意的に拡大若しくは縮小されている。図面には以下の図が含まれる。
【0010】
本願明細書において示される図は、明確化の為に一部の構成要素及び特徴が誇張されており、必ずしも原寸に比例してはいない。
【0011】
本願発明の実施形態を記載するに先立ち、本願発明は記載されている特定の実施形態に限定されるものでなく、当然のことながら、変化してもよいことが理解されるべきである。本願発明の実施形態の範囲は添付の特許請求の範囲のみによって限定されるので、本願明細書において用いられる専門用語は特定の実施形態を説明する為だけのものであり、限定する意図はないことも理解されるべきである。
【0012】
数値範囲が提供される箇所では、文脈が明らかに別段の記述をしていない限りにおいては、各介在する数値は、当該範囲の上限値と下限値との間で、下限値の単位の10分の1まで、具体的に開示されることが理解されよう。ある記載された範囲内の任意の規定値若しくは介在値と、その記載された範囲内の任意の別の規定値若しくは介在値との間の各小さな範囲は本願発明中に包含される。これらの小さな範囲の上限及び下限は独立して上記の記載された範囲に含まれても若しくは逸脱してもよく、前記上限及び下限の一方が小さな範囲に包含されるか、いずれも包含されないか、またはいずれも包含される各範囲もまた本願発明に包含され、上記の記載された範囲におけるあらゆる具体的な除外限界の対象となる。記載された範囲が限界値の一方又は両方を含む箇所では、それらの含まれた限界値の一方又は両方を除く範囲もまた、本願発明に含まれる。
【0013】
別段の定義がなされない限り、本願明細書において用いられる全ての技術的、科学的な用語は本願発明が帰属する技術の当業者によって通常理解されるのと、同一の意味を有す
る。本願明細書における記載と類似もしくは同等の任意の方法及び材料も、本願発明の実施形態の実践又は試行に利用することができ、ここで幾つかの潜在的かつ例示的な方法及び材料について説明する。本願明細書において言及する全ての公表は、公表が引用されるものに関連して、開示および記載される方法及び/又は材料を参照することにより本願明細書に組み込まれる。前記開示の実施形態は、組み込まれた公表のいかなる開示にも矛盾となる程度まで取って代わることが理解される。
【0014】
本願明細書並びに添付した特許請求の範囲において使用する場合、数詞を限定しない名詞は文脈が明白にこれに反することを記述しない限り複数の指示対象を含むことに留意しなければならない。
【0015】
本願明細書において議論されている刊行物は、本願の出願日に先立って開示する目的でのみ提供されている。本願明細書における記述は、本願発明の実施形態が先行発明の効力によるこの種の刊行物より先行する権利を待たないことを認めるものとと解釈されるべきではない。更に、提供された公表日は、独立して確認する必要があり得る実際の公表日とは異なる場合がある。
検知層酵素組成物
【0016】
検体監視システム、例えばグルコース監視システムの検知層は、生体外系用及び生体内系用に記載されている。Wired Enzyme(登録商標)システムは例えば米国特許番号5,262,035号、5,543,326号に記載され、この開示は参照により
組み込まれる(“A Continuous Glucose Sensor Based on Wired Enzyme(登録商標)Technology ‐ Results from a 3‐Day Trial in Patients with Type 1 Diabetes”, Feldman et al., Diabetes Technol Ther. 2003;5(5):769−79も参照のこと)。例
えば、Wired Enzyme(登録商標)検知層は、検体反応酵素、レドックスポリマー及び架橋剤を含み、電子がWired Enzyme(登録商標)複合体により対象検体(例えばグルコース)から上記のセンサの作用電極へ効果的に移送される、即ち、酵素が電気的に配線される検体反応酵素。
【0017】
本願発明の実施形態は、検体反応酵素、陽イオンポリマー及びレドックスメディエータ(酸化還元媒介物質)を含む検知層を有する電気化学検体組成物及びセンサを含む。特定の実施形態において、レドックスメディエータは、例えばレドックスメディエータを陽イオンポリマーに結合させる共有結合により、陽イオンポリマーと共有結合で結合する。他の実施形態では、レドックスメディエータは、例えばイオン相互作用、疎水的相互作用、水素結合、ファンデルワールス力、すなわち「ロンドン分散力」、双極子−双極子結合、並びにセンサ上のメディエータの安定及び不動化をもたらす分子間の物理的相互作用により、陽イオンポリマーと非共有結合で結合する。更に他の実施形態において、レドックス上記のメディエータは上記の陽イオンポリマー及び検体反応酵素と非拡散的に結合する。有利なことに、この種の検知層は架橋剤を必要としない。従って、メディエータは、このように自由に移動可能な、即ち、拡散性メディエータまたは非固定メディエータであってもよい。
【0018】
使用可能なメディエータには、オスミウムやルテニウムの如き遷移金属錯体を含むものが含まれる。電気化学検体センサを検体監視に使用するシステム及び方法も提供される。本願明細書において記載されている検知層は、特にWired Enzyme(登録商標)システムを含まないシステムと比較した場合に高安定性を提供し、、様々な異なる酵素と共に使用することが可能である。その上、上記の検知層は、例えば電気化学検体センサに使用される従来の検知層と比較して、多数の合成段階を避けることによって製造コストが
低くなる。
【0019】
ある範囲の濃度における検体の感度の直線性、様々な検体濃度と様々な温度における安定性等を含むが、限定される、最適な望ましい特性を提供する、いかなる比の陽イオンポリマーとメディエータと酵素も、使用できる。かかる上記の比が、組成物に使用する特定の陽イオンポリマー、任意選択のレドックスメディエータ、及び検体反応酵素によって異なるであろうことは当業者に理解されるであろう。例を挙げると、メディエータと酵素に対する陽イオンポリマーの重量比は約1:20〜約32:1に及び、メディエータと酵素との比は約1:10〜20:1に及んでもよい。例えば、この範囲は約1:20〜約25:1であり、約1:15〜約15:1、約1:10〜約10:1、約1:4〜約1:10等を含む。特定の実施形態において、陽イオンポリマーとメディエータと酵素の比は、約1:1:2とすることができる。
【0020】
検知層酵素の組成物は、様々なバイオセンサと共に使われてもよい。この種のバイオセンサの例にはグルコースセンサおよび乳酸センサが含まれるが、これらに限定されるものではない。(例えば、米国特許番号第6,175,752号及び第6,134,461号参照)。コーティングプロセスは任意の一般的に使用される技術、例えばスピンコーティング、浸漬コーティング、又は検知層水溶液の液滴噴射などから成り、引き続き周囲条件の下で例えば、約1日から2日間硬化する。コーティングプロセスの特定の細目(例えば浸漬持続時間、浸漬周期、浸漬回数、等)は、例えば陽イオンポリマー、検体反応酵素及び溶剤、緩衝材等、任意の他の任意選択の成分の性質(即ち粘度、濃度、組成、等)に従い変化し得る。従来の設備、例えば英国NTMA Technology社のDSG D1L−160浸漬コーティング又はキャスティングシステムを、コーティングプロセスに使用してもよい。
【0021】
検知層酵素組成物の成分について以下で更に詳細に説明する。
検体反応酵素
【0022】
生体分子の電解酸化又は電解還元に触媒作用の能力を持つ任意の検体反応酵素は、検知層酵素の組成物に好適である。例示的な検体反応酵素には、検体反応オキシダーゼ及び検体反応デヒドロゲナーゼが含まれる。一般に、検体反応酵素の選択は検出される検体に依存する。例えば、上記の検体がグルコースである場合、グルコースオキシダーゼ(GOx)又はグルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)、例えばピロロキノリンキノングルコースデヒドロゲナーゼ(PQQGDH)又はフラビンアデニンジヌクレオチドグルコースデヒドロゲナーゼ(FADGDH)が使用されてもよい。上記の検体が乳酸である場合、乳酸オキシダーゼはこの役割を満たすことができる。他の酵素が、他の検体のために使用できる。これらの酵素は、レドックスメディエータを経て検体と電極との間に電子を転送することによる検体の電解に触媒作用を及ぼす。
【0023】
特定の実施形態において、組成物は検体に反応するグルコースオキシダーゼを含む。他の実施形態において、上記の組成物は検体反応デヒドロゲナーゼを含む。デヒドロゲナーゼは、1つ以上のプロトン及び1対の電子をアクセプタへ移送することによって基質を酸化する酵素である。通常、例えばグルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)を含む、任意のデヒドロゲナーゼをも本願発明の実施形態において使用してもよい。デヒドロゲナーゼの例には、アルデヒドデヒドロゲナーゼ、アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ、アルファケトグルタル酸デヒドロゲナーゼ、コハク酸デヒドロゲナーゼ及びリンゴ酸デヒドロゲナーゼが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
幾つかの実施形態において、例えばグルコースデヒドロゲナーゼ、検体反応デヒドロゲナーゼの如き検体反応デヒドロゲナーゼが、レドックスメディエータへ電子移送を提供する補因子で更に錯体化されてもよい。適切な補因子には、レドックスメディエータへの電子移送を提供するフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、ピロロキノリンキノン(PQQ)などが含まれるが、これらに限定されるものではない。
陽イオンポリマー
【0025】
検知層の組成物に使用する適切な陽イオンポリマーは、望ましい性質を提供し、検体反応酵素、任意選択のレドックスメディエータ及び遷移金属錯体の用途に互換性を持つ任意の線形又は分岐陽イオンポリマーでもあってもよい。例示的な陽イオンポリマーには、ポリアリルアミン(PAH)、ポリエチレンイミン(PEI),ポリ(L−リジン)(PLL)、ポリ(L−アルギニン)(PLA)、ポリビニルアミンホモポリマー又はコポリマー、ポリ(ビニルベンジル−トリ−C1−C4−アルキルアンモニウム塩)、脂肪族又は芳香脂肪族ジハライド及び脂肪族N,N,N’,N’−テトラC1−C4アルキル−アルキレンジアミンのポリマー、ポリ(ビニピリジン)又はポリ(ビニルピリジニウム塩)、ポリ(N,N−ジアリルN,N−ジ−C1−C4−アルキルアンモニウムハライド)、四級化ジ−C1−C4−アルキル−アミノエチルアクリル酸又はメタクリル酸エステルのホモポリマー又はコポリマー、POLYQUAD(登録商標)、ポリアミノアミド等が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
例示的な陽イオンポリマーには、ヒドロキシエチルセルロースとジアリルジメチルアンモニウムクロライドのコポリマー、アクリルアミドとジアリルジメチルアンモニウムクロライドのコポリマー、ビニルピロリドンとジメチルアミノエチルメタアクリレートメトサルフェートのコポリマー、アクリルアミドとベータメタクリリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドのコポリマー、ポリビニルピロリドンとイミダゾールイミンメトクロライドのコポリマー、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドとアクリル酸のコポリマー、ビニルピロリドンとメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライドのコポリマー、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムとメタクリロイルオキシエチルジメチルアセチルアンモニウムコポリマーのメトサルフェート、四級化ヒドロキシエチルセルロース、ジメチルシロキサン3−(3−((3−ココアミドプロピル)ジメチルアンモニオ)−2−ヒドロキシプロポキシ)プロピル基終端化アセテート、アミノエチルアミノプロピルシロキサン及びジメチルシロキサンのコポリマー、アミノエチルアミノプロピルシロキサン/ジメチルシロキサン−コポリマーのポリエチレングリコール誘導体、及び陽イオンシリコーンポリマーなどが含まれる。
【0027】
他の例示的な陽イオンポリマーには、陽イオンの改質タンパク質誘導体または陽イオンの改質タンパク質加水分解物が含まれ、これらは例えばINCI名のラウリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コムギタンパク、ラウリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解カゼイン、ラウリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン、ラウリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ケラチン、ラウリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解シルクシルク、ラウリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解大豆タンパク、又はヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解コムギ、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解カゼイン、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解コラーゲン、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解ケラチン、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解米糠タンパク、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解シルク、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解大豆タンパク、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解野菜タンパク等である。
【0028】
例示的な陽イオン誘導タンパク質加水分解産物は物質混合物であり、例えば、アルカリ性、酸性又は酵素−加水分解タンパク転化を介してグリシジルトリアルキルアンモニウム塩または3−ハロ−2−ヒドロキシプロピルトリアルキルアンモニウム塩を受容する。タンパク加水分解用出発物質として使われるタンパクは、植物又は動物由来とすることができる。出発物質には例えば、ケラチン、コラーゲン、エラスチン、大豆タンパク、米タンパク、ミルクタンパク、コムギタンパク、シルクタンパク、アーモンドタンパクなどが含まれる。加水分解は、約100〜約50,000の範囲のモル質量を有する材料混合物に帰結し得る。一部の平均モル質量は、約500〜約1,000の範囲内であり得る。従って、陽イオン誘導タンパク質加水分解産物がそれぞれ1つ又は2つの炭素原子数8〜22長鎖アルキル鎖及び2つ又は1つの炭素原子数1〜4短鎖アルキル鎖を有する場合、有益である。
【0029】
他の例示的な陽イオンポリマーは、陽イオンケイ素ポリマーを含む。陽イオンケイ素ポリマーは、少なくとも1つの最少1つのアンモニウム基を有し、これらの例は、POLYSILICONE−9(ジ四級ポリシロキサン及びジメチルシロキサンの化学名を有するものを含む)、QUATERNIUM−80としてCTFAが定義しドイツのTh.Goldschmidt AGによって商品名Abil Quat(登録商標)3270、A
bil(登録商標) Quat3272、及びAbil(登録商標) Quat3274の下で販売される3−(3−(3−ココアミドプロピル)ジメチルアンモニオ)−2−ヒドロキシプロポキシ)プロピル基終端化アセテート(CAS 134737−05−6)であり、別の例示的な陽イオン珪素コポリマーは、例えば、登録商標名GEToshiba
Silicone(登録商標)及びDow Corning 2−8566(登録商標)(CTFA:AMODIMETHICONE)として販売されているアミノエチルアミノプロピルポリシロキサン/ジメチルシロキサン−コポリマーエマルションであり、別の例示的な陽イオン珪素コポリマーは、アミノエチルアミノプロピルポリシロキサン/ジメチルシロキサン−コポリマーのポリエチレングリコール誘導体(CTFA:PEG−7 AMODIMETHICONE)である。他の例示的なシリコーンポリマー(CTFA第10版にて定義)には、SILICONE QUATERNIUM−1、SILICON
E QUATERNIUM−2、SILICONE QUATERNIUM−2 PANTHENOL、SILICONE QUATERNIUM−3、SILICONE QUATERNIUM−4、SILICONE QUATERNIUM−5、SILICONE QUATERNIUM−6、SILICONE QUATERNIUM−7、SILICONE QUATERNIUM−8、SILICONE QUATERNIUM−9、SILI
CONE QUATERNIUM−10、SILICONE QUATERNIUM−11及びSILICONE QUATERNIUM−12が含まれる。
遷移金属錯体を含むレドックスメディエータ
【0030】
特定の実施形態において、上記の検知層は、メディエータを含んでもよい。任意の適切なメディエータが、採用され得る。実施形態には、それらが陽イオンポリマー(または酵素)に束縛されない、拡散しているメディエータ、非固定のメディエータが含まれる。メディエータは、1,10−フェナントロリンキノン(米国特許番号第6,736,957号、参照により本願明細書に組み込まれる、参照)、フェロセンおよび遷移金属錯体の如きフェリシアニド、フェナントロリンキニーネを含む。例えば、化学式1を有する化合物は、本願発明の実施形態である遷移金属錯体の例である:
【化1】

【0031】
Mは、遷移金属であって、一般的には鉄、コバルト、ルテニウム、オスミウム又はバナジウムである。ルテニウム及びオスミウムは、特にレドックスメディエータに好適である。
【0032】
Lは、少なくとも1つのイミダゾール環を含んでいる二座配位子である。Lの一例は、以下の構造2を有する2,2’−ビイミダゾールである:
【化2】

【0033】
1及びR2は、2,2’−ビイミダゾール窒素のうちの2箇所に付加される置換基であって、それぞれ独立に置換又は非置換のアルキル、アルケニルまたはアリール基である。通常、R1及びR2は、非置換の炭素原子数1〜12のアルキルである。一般的に、R1
びR2は、非置換の炭素原子数1〜4のアルキルである。幾つかの実施形態において、R1及びR2は、両方ともメチルである。
【0034】
3、R4、R5及びR6は、2,2’−ビイミダゾールの炭素原子に付加される置換基であって、独立して−H、−F、−Cl、−Br、−I、−NO2、−CN、−CO2H、−SO3H、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボ
ニル、−OH、アルコキシ、−NH2、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルカノイ
ルアミノ、アリールカルボキサミド、ヒドラジノ、アルキルヒドラジノ、ヒドロキシルア
ミノ、アルコキシアミノ、アルキルチオ、アルケニル、アリール又はアルキルである。代替的に、R3とR4との組み合わせ、又はR5とR6との組み合わせは、独立して飽和又は不飽和の5員環又は6員環を形成する。この例は、2,2’−ビベンゾイミダゾール誘導体である。一般的に、上記のアルキル及びアルコキシ部分は、炭素原子数1〜12である。任意の置換基のアルキル又はアリール部分は−F、−Cl、−Br、−I、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニウム(アリール部分上を除く)、アルコキシ、アルキルチオ、アリール又は反応基により任意選択で置換されている。通常、R3
4、R5及びR6は、独立して−H又は非置換のアルキル基である。一般的に、R3、R4
、R5及びR6は、−H又は非置換で炭素原子数1〜12のアルキルである。幾つかの実施形態において、R3、R4、R5及びR6はすべて−Hである。
【0035】
Lの別の例は、以下の構造3を有する2−(2−ピリジル)イミダゾールである。
【化3】

R’1は、置換又は非置換のアリール、アルケニル又はアルキルである。通常、R’1は置換又は非置換の炭素原子数1〜12のアルキルである。R’1は、一般的に任意選択で反
応基で置換されるメチル又は炭素原子数1〜12のアルキルである。
【0036】
R’3 、R’4、Ra、Rb、Rc及びRdは、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I
、NO2、CN、CO2H、SO3H、NHNH2、SH、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカアルボニル、−OH、アルコキシ、−NH2、ア
ルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルカノイルアミノ、アリールカルボキサミド、ヒドラジノ、アルキルヒドラジノ、ヒドロキシルアミノ、アルコキシルアミノ、アルキルチオ、アルケニル、アリールまたはアルキルから選ばれる。代替的に、RcとRdとの組み合わせ、又はR’3とR’4との組み合わせは、それぞれ独立して飽和又は不飽和の5員環又は6員環を形成する。一般的に、上記のアルキル及びアルコキシ部分は、炭素原子数1〜12である。任意の置換基のアルキル又はアリール部分は−F、−Cl、−Br、−I、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニウム(アリール部分上を除く)、アルコキシ、アルキルチオ、アリール又は反応基で任意選択で置換されている。通常、R’ 3、 R’4、 Ra、 Rb、 Rc及びRdは、それぞれ独立して−H又は非置換のアル
キル基である。一般的に、Ra及びRcは−Hで、R’3、R’4、Rb及びRdは−H又はメチルである。
【0037】
cは、錯体の電荷を示す整数である。通常、cは−1〜−5又は+1〜+5から選択される整数で正電荷又は負電荷を示す。多数のオスミウム錯体では、cは+2又は+3である。
【0038】
Xは、対イオンを表す。適切な対イオンの例には、ハロゲン化物(例えばフッ化物、塩化物、臭化物又はヨウ化物)、硫酸塩、リン酸塩、ヘキサフルオロホスフェイト及びテトラフルオロホウ酸塩の如き陰イオンが含まれ、また、リチウム、ナトリウム、カリウム、
テトラアルキルアンモニウム及びアンモニウムの如き陽イオン(好ましくは、単価陽イオン)が含まれる。好ましくは、Xは塩化物などのハロゲン化物である。Xによって表される対イオンは、必ずしも全て同一ではない。
【0039】
dは、対イオンの数を表し、一般的には1〜5である。
【0040】
用語「アルキル」は、線状又は分岐状の、飽和脂肪族炭化水素を含む。アルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチルなどが含まれる。特に明記しない限り、用語「アルキル」は、アルキル及びシクロアルキル基を含む。
【0041】
用語「アルコキシ」は、酸素原子が構造の残部に結合したアルキル基を表わす。アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、tert−ブトキシなどが含まれる。加えて、特に明記しない限り、用語「アルコキシ」は、アルコキシ及びシクロアルコキシ基を含む。
【0042】
用語「アルケニル」は、少なくとも一つの炭素−炭素二重結合を有する不飽和、線状又は分岐状の脂肪族炭化水素を表わす。アルケニル基の例には、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−メチル−l−プロペニルなどが含まれる。
【0043】
「反応基」は、他の化合物と反応してその化合物の少なく一部の分子と結合できる分子の官能基である。反応基にはカルボキシ、活性化エステル、スルホニルハライド、スルホネートエステル、イソシアネート、イソチオシアネート、エポキサイド、アジリジン、ハロゲン化物、アルデヒド、ケトン、アミン、アクリルアミド、チオール、アジ化アシル、ハロゲン化アシル、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、ハロゲン化アルキル、イミダゾール、ピリジン、フェノール、アルキルスルホナート、ハロトリアジン、イミドエステル、マレイミド、ヒドラジド、ヒドロキシ、及び光反応性のアジドアリール基が含まれる。当該技術においてよく理解されている通り、活性エステルは通常、スクシンイミジル、ベンゾトリアゾリル又はスルホ、ニトロ、シアノ又はハロ基の如き電子求引性基によって置換されるアリールのエステルを含み、又は、カルボジイミドによって活性化されたカルボン酸を含む。
【0044】
「置換された」官能基(例えば置換アルキル、アルケニル又はアルコキシ基)は、以下から選ばれる少なくとも一つの置換基を含む:ハロゲン、アルコキシ、メルカプト、アリール、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、-OH、−NH2、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニウム、アルカノイルアミノ、アリールカルボキサミド、ヒドラジノ、アルキルチオ、アルケニル、及び反応基を含む。
【0045】
1、L2、L3及びL4は、配位結合で遷移金属に付加した配位子である。L1、L2、L3及びL4は、単座配位子とすることができ、もしくは組み合わせで二座、三座又は四座配位子とすることができる。例えば、L1、L2、L3及びL4は結合して、例えば置換及び非置換の2,2’−ビイミダゾール、2−(2−ピリジルイミダゾール)及び2,2’−ビピリジン)の群から選択される2配位子の如き2個の二座配位子を形成し得る。
【0046】
遷移金属錯体の他のL1、L2、L3及びL4との組み合わせの例は、以下を含む:
(A)L1は単座配位子であり、そして、L2、L3及びL4の組み合わせは三座配位子を形成する。
(B)L1 とL2との組み合わせは二座配位子であり、L3及びL4は同一若しくは異なる
単座配位子である。
(C)L1 とL2との組み合わせ、及びL3 とL4との組み合わせは、独立した、同一若しくは異なる2つの二座配位子を形成する。
そして、
(D)L1、L2、L3及びL4の組み合わせは、四座配位子を形成する。
【0047】
適切な単座配位子の例は−F、−Cl、−Br、−I、−CN、−SCN、−OH、H2O、NH3、アルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、アルコキシ又は複素環式化合物を含むが、これらに限定されるものではない。任意の配位子のアルキル又はアリール部分は−F、−Cl、−Br、−I、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニウム(アリール部分上を除く)、アルコキシ、アルキルチオ、アリール又は反応基により任意選択で置換されている。単座配位子の任意のアルキル部分は、一般に1〜12の炭素原子を含む。より一般的に、アルキル部分は、1〜6の炭素原子を含む。他の実施形態において、単座配位子は少なくとも一個の窒素、酸素または硫黄原子を含む複素環化合物である。適切な複素環単座配位子の例は、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール、ピリジン、ピラジン及びこれらの誘導体を含む。適切な複素環単座配位子には、それぞれ以下の一般式4及び5を有する置換及び非置換のイミダゾールと、置換及び非置換のピリジンが含まれる:
【化4】

【化5】

【0048】
化学式4に関して、R7は一般に置換若しくは非置換のアルキル、アルケニル又はアリ
ール基である。一般的に、R7は置換若しくは非置換の炭素原子数1〜12のアルキル又
はアルケニルである。イミダゾールによる内部配位圏の塩素陰イオンの置換は一般的には酸化方向酸化還元電位の大きな移動を起こさず、この点で概して酸化方向酸化還元電位の大きな移動に帰結するピリジンによる置換とは異なる。
【0049】
8、R9及びR10は、それぞれ独立して−H、−F、−Cl、−Br、−I、−NO2
、−CN、−CO2H、−SO3H、−NHNH2、−SH、アリール、アルコキシカルボ
ニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、-OH、アルコキシ、
−NH2、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルカノイルアミノ、アリールカルボキ
サミド、ヒドラジノ、アルキルヒドラジノ、ヒドロキシルアミノ、アルコキシアミノ、アルキルチオ、アルケニル、アリール又はアルキルである。代替的に、R9とR10との組み
合わせによって、飽和若しくは不飽和の縮合5員環又は6員環を形成する。置換基のアルキル部分は、一般に1〜12の炭素を含み、一般的に1〜6の炭素原子を含む。任意の置換基のアルキル又はアリール部分は−F、−Cl、−Br、−I、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニウム(アリール部分上を除く)、アルコキシ、アルキルチオ、アリール又は反応基により任意選択で置換されている。幾つかの実施形態において、R8、R9及びR10は−Hまたは置換若しくは非置換のアルキルである。好ましくは、R8、R9及びR10は−Hである。
【0050】
化学式5に関して、R11、R12、R13、R14及びR15は独立に−H、−F、−Cl、−Br、−I、−NO2、−CN、−CO2H、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカアルボニル、ジアルキルアミノカアルボニル、-OH(アルコキシ)−NH2、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルカノイルアミノ、アリールカルボキサミド、ヒドラジノ、アルキルヒドラジノ、ヒドロキシルアミノ、アルコキシアミノ、アルキルチオ、アルケニル、アリール又はアルキルである。任意の置換基のアルキル又はアリール部分は−F、−Cl、−Br、−I、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニウム(アリール部分を除く)、アルコキシ、アルキルチオ、アリール又は反応基で任意選択で置換されている。通常、R11、R12、R13、R14及びR15は−H、メチル、炭素原子数1〜2のアルコキシ、炭素原子数1〜2のアルキルアミノ、炭素原子数2〜4のジアルキルアミノ又は反応基によって置換した炭素原子数1〜6の低級アルキルである。
【0051】
一例では、R11及びR15として−Hを含み、R12及びR14として同一のもの及び−H又はメチルを含み、R13として−H、炭素原子数1〜12のアルコキシ、−NH2、炭素原
子数1〜12のアルキルアミノ、炭素原子数2〜24ジアルキルアミノ、ヒドラジノ、炭素原子数1〜12のアルキルヒドラジノ、ヒドロキシルアミノ、炭素数1〜12のアルコキシアミノ、炭素原子数1〜12のアルキルチオ又は炭素原子数1〜12のアルキルを含む。任意の置換基のアルキル又はアリール部分は−F、−Cl、−Br、−I、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニウム(アリール部分上を除く)、アルコキシ、アルキルチオ、アリール又は反応基により任意選択で置換されている。
【0052】
適切な二座配位子の例はアミノ酸、シュウ酸、アセチルアセトン、ジアミノアルカン、オルト−ジアミノアレーン、2,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビオクサゾール、2,2’−ビチアゾール、2−(2−ピリジル)イミダゾール、2,2’−ビピリジン、及びこれらの誘導体を含むが、これらに限定されるものではない。特に適切なレドックスメディエータ用の二座配位子は、置換及び非置換の2,2’−ビイミダゾール、2−(2−ピリジル)イミダゾールおよび2,2’−ビピリジンを含む。置換2,2’ビイミダゾール及び2−(2−ピリジル)イミダゾール配位子は、他の2,2’−ビイミダゾール及び2−(2−ピリジル)イミダゾール配位子に対して上記した同一置換パターンを有し得る。
2,2’−ビピリジン配位子は、以下の一般式6を有する:
【化6】

【0053】
16 、R17、R18、R19、R20、R21、R22 及びR23は、独立に−H、−F、−Cl、−Br、−I、−NO2、−CN、−CO2H、−SO3H、−NHNHO2、−SH、アリール、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、-OH、アルコキシ、−NH2、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルカノイルアミノ、アリールカルボキサミド、ヒドラジノ、アルキルヒドラジノ、ヒドロキシルアミノ、アルコキシルアミノ、アルキルチオ、アルケニル、又はアルキルである。一般的に、上記のアルキル及びアルコキシ部分は、炭素原子数1〜12である。任意の置換基のアルキル又はアリール部分は−F、−Cl、−Br、−I、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニウム(アリール部分上を除く)、アルコキシ、アルキルチオ、アリール又は反応基により任意選択で置換されている。
【0054】
16、R17、R18、R19、R20、R21、R22及びR23の適切な組み合わせの具体的な例としては、R16及びR23として、H又はメチルを含み、R17及びR22として、同一のもの及び−H又はメチルを含み、R19及びR20として、同一のもの及び−H又はメチルを含む。代替的な組み合わせでは、一方において、1つ以上の隣接した対の置換基R16とR17が、別の組み合わせは、R22とR23が独立に飽和又は不飽和の5員環又は6員環を形成する。
【0055】
他の組み合わせでは、R16、R17、R19、R20、R22及びR23が同一のもの及び−H、R18とR21として独立に−H、アルコキシ、−NH2、アルキルアミノ、ジアルキルアミ
ノ、アルキルチオ、アルケニルまたはアルキルを含む。任意の置換基のアルキル又はアリール部分は−F、−Cl、−Br、−I、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニウム(アリール部分上を除く)、アルコキシ、アルキルチオ、アリール又は反応基により任意選択で置換されている。一例では、R18とR21が同一又は異なり、−H、炭素原子数1〜6のアルキル、炭素原子数1〜6のアミノ、炭素原子数1〜12のアルキルアミノ、炭素原子数2〜12のジアルキルアミノ、炭素数1〜12のアルキルチオ、又は炭素原子数1〜12のアルコキシであり、任意の置換基のアルキル部分は、−F、−Cl、−Br、−I、アリール、炭素原子数2〜12のジアルキルアミノ、炭素原子数3〜18のトリアルキルアンモニウム、炭素原子数1〜6のアルコキシ、炭素原子数1〜6のアルキルチオ、又は反応基により任意選択で置換される。
【0056】
適切な三座配位子の例にはジエチレントリアミン、2,2’,2”−ターピリジン、2,6−ビス(N−ピラゾリル)ピリジン及びこれらの化合物の誘導体が含まれるが、これに限定されるものではない。2,2’,2”−ターピリジンと2,6−ビス(N−ピラゾリル)ピリジンは、それぞれ以下の一般式7及び一般式8を有する:
【化7】

【化8】

【0057】
化学式7に関して、R24、R25及びR26は独立に−H若しくは置換又は非置換の炭素原子数1〜12のアルキルである。一般的に、R24、R25及びR26は−H又はメチルであり、幾つかの実施形態では、R24とR26は同一で−Hである。化学式7及び化学式8の化合物のこれら又は他の位置には、他の置換基も付加できる。
【0058】
一般式8に関して、R27 、R28 及びR29は、独立に−H、−F、−Cl、−Br、−I、−NO2、−CN、−CO2H、−SO3H、−NHNH2、−SH、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、-OH、アルコキシ、
−NH2、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルカノイルアミノ、アリールカルキサ
ミド、ヒドラジノ、アルキルヒドラジノ、ヒドロキシルアミノ、アルコキシアミノ、アルキルチオ、アルケニル、アリール又はアルキルである。任意の置換基のアルキル又はアリール部分は−F、−Cl、−Br、−I、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニウム(アリール部分上を除く)、アルコキシ、アルキルチオ、アリール又は反応基により任意選択で置換されている。一般的に、アルキルおよびアルコキシ基は炭素原子数1〜12であり、幾つかの実施形態では、R27とR29は同一で−Hである。
【0059】
適切な四座配位子の例には、トリエチレントリアミン、エチレンジアミン二酢酸、テトラアザ大環状化合物、及び同様の化合物、並びにこれらの化合物の誘導体が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0060】
適切な遷移金属錯体の例を、化学式9及び化学式10を用いて説明する:
【化9】

【化10】

【0061】
化学式9の遷移金属錯体に関して、金属オスミウムは錯体化され、2個の置換2,2’−ビイミダゾール配位子及び1個の置換又は非置換の2,2’−ビピリジン配位子となる。R1、R2、R3、R4、R5、R6、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、c、d及びXは、上記と同様である。
【0062】
一実施形態において、R1とR2はメチルであり、R3、R4、R5、R6、R16、R17、R19、R20、R22及びR23は−Hであり、R18とR21は同一であり、−H、メチル又はメトキシである。好ましくは、R18とR21はメチルまたはメトキシである。
【0063】
他の実施形態において、R1とR2はメチルであり、R3、R4、R5、R6、R16、R17、R18、R19、R20、R22及びR23は−Hであり、R21はハロ、炭素原子数1〜12のアルコキシ、炭素原子数1〜12のアルキルアミノ、又は炭素原子数2〜24のジアルキルアミノである。任意の置換基のアルキル又はアリール部分は−F、−Cl、−Br、−I、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニウム(アリール部分上を除く)、アルコキシ、アルキルチオ、アリール又は反応基により任意選択で置換されている。例えば、R21は炭素原子数1〜12のアルキルアミノ、又は炭素原子数2〜24のジア
ルキルアミノであり、これらのアルキル部分はカルボン酸、活性化エステル又はアミンのような反応基で置換される。一般的に、上記のアルキルアミノ基は1〜6の炭素原子を有し、上記のジアルキルアミノ基は2〜8の炭素原子を有する。
【0064】
化学式10の遷移金属錯体に関して、金属オスミウムは錯体化され、2個の置換2,2’−ビイミダゾール配位子及び1個の置換又は非置換の2−(2−ピリジル)イミダゾール配位子となる。R1、R2、R3、R4、R5、R6、R’1、R’3、R’4、Ra、Rb、Rc、Rd、c、d及びXは、上記と同様である。
【0065】
一実施形態において、R1とR2はメチルであり、 R3、R4、R5、R6、R’3、R’4
及びRdは独立に−H又はメチルであり、RaとRcは同一で、−Hであり、Rbは炭素原子数1〜12のアルコキシ、炭素原子数1〜12のアルキルアミノ、又は炭素原子数2〜24のジアルキルアミノである。任意の置換基のアルキル又はアリール部分は−F、−Cl、−Br、−I、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニウム(アリール部分上を除く)、アルコキシ、アルキルチオ、アリール又は反応基により任意選択で置換されている。
【0066】
それぞれの酸化還元電位を有する遷移金属錯体の具体例のリストを表1に示す。
【化11】



電気化学的センサ
【0067】
通常、本願発明の実施形態は、体液中の少なくとも一つのグルコースの如き検体を検出する方法および装置に関する。実施形態は、検体センサを含む連続検体監視システムを使用している1つ以上の検体のレベルの連続及び/又は自動的生体内監視に関し、少なくとも、この装置の一部は一定期間利用者の皮膚下に配置され、及び/又は生体外の血中グルコース(「BG」)計と検体テストストリップを使用した1つ以上の検体の分離監視(生
体外監視)に関する。実施形態は、組み合わせた装置又は組み合わせ可能な装置、システム及び方法並びに/又は生体内連続システムとBG計システムとの間のデータ転送を含む。
【0068】
陽イオンポリマー系検知層を含む電気化学センサは、基板の上に形成できる。センサはまた、少なくとも一つの対極(または対極/基準電極)及び/又は少なくとも一つの基準電極を含んでもよい。「電気化学センサ」とは、センサ上の電気化学的酸化若しくは還元反応を介して、又はその内の少なくとも一つがセンサ上の電気化学的酸化若しくは還元反応である一連の化学反応を介して、標本内の検体の存在を検知し、及び/又はレベルを測定するために構成される器具である。これらの反応は、量、濃度、又は標本内検体のレベルと相関し得る電気信号に変換される。
【0069】
従って、実施形態は、検体センサを含む検体監視装置及びシステムを含み、少なくともその一部を利用者の皮下に位置付け可能であり、生体内検出では、グルコース、乳酸、などの検体が体液中に含まれる。実施形態では、総体的に移植可能な検体センサ、及びセンサの一部だけが皮下に配置され、例えば送信器、受信器、送受信器、プロセッサ、その他と連絡するセンサの一部が皮膚上に存在する検体センサを含む。センサは、例えば、患者の間質液中の検体のレベルを連続的若しくは定期的に監視する目的で患者の皮下に位置付け可能であってもよい。この記載の目的のためには、他に別の記述が無い限り、連続的な監視及び定期的な監視は同じ意味で使われる。センサ応答は、血液又は他体液の検体レベルと相関され、且つ/又は血液又は他体液の検体レベルに変換されてもよい。特定の実施形態において、検体センサはグルコースのレベルを検出する為、間質液と接触して配置されてもよく、検出したグルコースは患者の血流内のグルコースのレベルを推定する為に用いてもよい。検体センサは、静脈、動脈又は流体を含む体の他の部分に挿入可能であってもよい。陽イオンポリマー系検知層を有する主題発明である検体センサの実施形態は、分、時間、日、週、月、又はそれ以上の期間に亘り検体のレベルを監視するために構成されてもよい。
【0070】
興味深いことに、陽イオンポリマー系検知層を有するグルコースセンサの如き検体センサで、検体の生体内検出が約1時間以上、例えば約数時間以上、例えば約数日以上、例えば約三日以上、例えば約5日以上、例えば約7日以上、例えば約数週間以上、若しくは少なくとも1カ月以上可能である。将来の検体レベルは、得られた情報、例えば時間t0
の現行検体レベル、検体の変化率、その他に基づいて予測できる場合がある。予測的警報は、利用者の検体レベルが将来のレベルに近づく前に懸念され得る予測検体レベルについて、利用者に通知できる。これは、利用者に補正処置を施す機会を提供する。
【0071】
図1は、例えば特定の実施形態における検体(例えば、グルコース)監視システム100の如きデータ監視並びに管理システムを示す。主題発明の実施形態は、主にグルコース監視器具及び監視システム、グルコース検出方法に関して便宜上のみのために更に記載すし、この種の記述が本願発明の権利範囲を制限する意図は決して無い。検体モニタリングシステムが様々な検体を同時に、若しくは異なった時間に監視するために構成され得ることを理解すべきである。
【0072】
監視できる検体は、アセチルコリン、アミラーゼ、ビリルビン、コレステロール、コリオゴナドトロピン、クレアチンキナーゼ(例えば、CK−MB)、クレアチン、クレアチニン、DNA、フルクトサミン、グルコース、グルタミン、成長ホルモン、ホルモン、ケトン体、乳酸、パーオキシド、前立腺特異抗原、プロトロンビン、RNA、甲状腺刺激ホルモン及びトロポニンを含むが、これらに限定されるものではない。薬剤の濃度、例えば抗生物質(例えばゲンタマイシン、バンコマイシン、など)、ジギトキシン、ジゴキシン、乱用薬物、テオフィリンおよびワルファリン)の濃度もまた監視できる。複数の検体を
監視するそれらの実施形態において、検体は同時に、又は異なる時間に監視されてもよい。
【0073】
検体監視システム100は、センサ101、センサ101に接続可能なデータ処理ユニット102、及び通信リンク103を通じてデータ処理ユニット102と通信するために構成された第1受信ユニット104を含む。特定の実施形態において、第1受信ユニット104は、評価するためにデータをデータ処理端末105へ送信し、あるいは受信したデータを1受信ユニット104により処理若しくはフォーマットするようにさらに構成されてもよい。データ処理端末105は、双方向通信のために任意選択で構成され得る通信リンクを介してデータ処理ユニット102から直接にデータを受信するように構成されてもよい。更に、データ処理ユニット102は、第1受信ユニット104及び/又はデータ処理端末105及び/又は任意選択の第2受信ユニット106へ送信する及び/又はこれらから受信する送信器または送受信器を含んでもよい。
【0074】
また、図1に示した通り、任意選択の第2受信ユニット106があり、これは通信リンクに結合されて動作され、データ処理ユニット102から送信されるデータを受信するべく構成されている。第2受信ユニット106は、データ処理端末105と同様に第1受信ユニット104と通信するために構成されていてもよい。第2受信ユニット106は、第1受信ユニット104及びデータ処理端末105のそれぞれと双方向無線通信する目的で構成されていてもよい。下記に更に詳細に議論されるように、特定の実施形態において、第2受信ユニット106は主要受信器と比較して、特徴の無い受信器であってもよい。すなわち、第2受信器は、第1受信ユニット104と比較して、限定された若しくは最低減の数の機能と特徴を含んでいてもよい。このように、第2受信ユニット106は、より小さい(全寸法を含む、1つ以上の寸法)小型匡体、若しくは、例えば腕時計、腕環、その他の器具に収容することを含めてもよい。代替的に、第2受信ユニット106は、第1受信ユニット104と同等、又は実質的に類似した機能及び特徴で構成してもよい。第2受信ユニット106は、例えば、夜間監視及び/又は双方向通信装置のためにベッドサイドに配置する格納台ユニットと嵌合される格納部分を含んでもよい。格納台は、電源を再充電してもよい。
【0075】
1個のみのセンサ101、データ処理ユニット102及びデータ処理端末105を、図1にて図示した検体モニタリングシステム100の実施形態に示す。しかしながら、検体モニタリングシステム100が複数のセンサ101及び/又は複数のデータ処理ユニット102及び/又は複数のデータ処理端末105を含んでもよいことを当業者は理解するであろう。同一時間又は異なる時間に検体監視するため、複数のセンサが患者に装着されてもよい。特定の実施形態において、第1の配置したセンサによって得られた検体情報を、第2センサによって得られた検体情報に対して比較として使用してもよい。これは、センサの一方または両方から得られる検体情報を確認若しくは認証するために有用であり得る。検体情報が重大な治療に関連した意思決定において熟慮される場合、この種の重複性は有用であり得る。特定の実施形態において、第1センサは、第2センサを較正するために用いられてもよい。
【0076】
検体監視システム100は、連続的監視システム、準連続的監視システム、又は、分離した監視システムであってもよい。多成分環境において、検体モニタリングシステム100内の様々な成分の間で通信矛盾が直ちに解決できるように、各成分はシステムの1つ以上の他の成分によって、一意に識別できる構成とされ得る。例えば、独特のID、通信路などを使用してもよい。
【0077】
特定の実施形態において、センサ101は検体レベルが監視されている利用者の身体内又は身体上に物理的に配置される。センサ101は、少なくとも周期的に利用者の検体レ
ベルを標本化するために構成されてもよく、標本化された検体レベルをデータ処理ユニット102による送信用の対応する信号に変換できる。データ処理ユニット102は検体センサ101と接続可能で、これにより、検体センサ101の少なくとも一部に経皮的に配置して、両器具を利用者の身体内又は身体上に配置する。データ処理ユニットは、利用者の身体に固定する為に接着剤等の固定エレメントを含んでもよい。利用者に装着可能でユニット102と嵌合可能な装着具(図示せず)を使用してもよい。例えば、装着具は粘着性表面を含んでもよい。データ処理ユニット102はデータ処理諸機能を実行するが、ここで、この種の機能は通信リンク103を経た第1受信ユニット104への送信の為のデータ信号の濾波と符号化とを含むが、これらに限定されるものではなく、これらのそれぞれは利用者の標本化検知レベルに相当する。一実施形態において、センサ101、データ処理ユニット102、又は組み合わせセンサ/データ処理ユニットは、利用者の皮膚層の下に全体的に移植可能であってもよい。
【0078】
特定の実施形態において、第1受信ユニット104は、通信リンク103を経たデータ処理ユニット102との通信のために構成されるアナログインターフェースセクションを含む高周波数受信器及びアンテナを含んでもよく、データ処理ユニット102からの受信データを処理するためのデータ処理セクションを含んでもよく、データ処理はデータ復号化、エラーの検出と修正、データクロック生成、データビット復元、等或いはこれらの任意組み合わせなどである。
【0079】
作動中に、特定の実施形態の第1受信ユニット104は、例えばデータ処理ユニット102の識別情報に基づき、一意にデータ処理ユニット102を識別するためにデータ処理ユニット102と同期するように構成され、その後に、センサ101によって検出された監視検体レベルと関連したデータ処理ユニット102からの送信信号を定期的に受信する。
【0080】
図1を再び参照すると、データ処理端末105は、パーソナルコンピュータ、ラップトップ若しくは携帯器具(例えば、携帯情報端末(PDA)、携帯電話の如き電話(例えばiPhone(登録商標)や同類の電話の如きマルチメディアおよびインターネット対応移動性電話)MP3プレーヤ、ページャ、など)の如き可搬式のコンピュータ、薬物供給器具を含み、これらのそれぞれは、有線もしくは無線接続を通して受信器とデータ通信を行う構成であってもよい。その上、データ処理端末105は、更に利用者の検出された検体レベルに相当するデータを貯蔵、取り出し、更新及び/又は分析するためのデータ網(図示せず)に接続してもよい。
【0081】
データ処理端末105は、インシュリン輸液ポンプ等の如き輸液器具を含んでいてもよく、この器具は患者にインシュリンを投与するために構成してもよく、他のもののうち、測定した検体レベルを受信する第1受信ユニット104と通信するように構成してもよい。代替的に、第1受信ユニット104が患者にインシュリン(または他の適当な薬物)治療を施すために構成するために、第1受信ユニット104は輸液器具を、例えば、基礎のプロフィルを管理、改良する目的で、他の要件のうち、データ処理ユニット102から受信した検出検体レベルに基づいて投与すべき適当なボーラスを決定するためにその中に統合するように構成してもよい。輸液器具は、外部器具であっても、内部器具(利用者に全体的に移植可能な)であってもよい。
【0082】
特定の実施形態において、データ処理端末105は、インシュリンポンプを含んでもよく、データ処理ユニット102から検体信号を受信するように構成されてもよく、そしてこのように、患者のインシュリン治療および検体監視を管理するためのデータ処理を含む第1受信ユニット104の機能を取り入れる。特定の実施形態では、通信リンク103、並びに図1に示した他の通信インターフェースの1つ以上は、高周波数通信プロトコル、
赤外線通信プロトコル、Bluetooth有効化通信プロトコル、802.11X無線交信プロトコル、又は安全で、潜在的なデータ衝突および干渉を避けると共に、無線連絡を許す幾つかのユニット(例えばHIPPA要件について)を有する同等の無線交信プロトコルの1つ以上を利用してもよい。
【0083】
図2は、図1に示したデータ監視並びに検出システムのデータ処理ユニットの実施形態のブロック線図である。利用者入力及び/又はインターフェース成分を含んでもよく、また、データ処理ユニットは利用者入力及び/又はインターフェース成分が無くてもよい。特定の実施例において、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)を、例えば1つ一以上の状態機械とバッファを使用しているデータ処理ユニット(及び/又は受信器ユニット)の操作と関連する1つ以上の機能又はルーチンを実行するために使用してもよい。
【0084】
図2の実施形態で分かるように、センサユニット101(図1)は4つの接点を含み、その内3接点は電極、即ち、作用電極(W)210、基準電極(R) 212、及び対極
(C) 213であり、それぞれがデータ処理ユニット102のアナログインターフェー
ス201に結合されて動作する。この実施形態では又、任意選択の保護接点(G)211も示す。より少ない電極若しくはより多くの電極を使用してもよい。例えば、対極及び基準電極機能が単一の対極/基準電極によって提供され、複数の作用電極及び/又は基準電極及び/又は対極があってもよい。
【0085】
図3は、図1に示したデータ監視並びに管理システムのデータ処理ユニットの第1受信器ユニット104の如き受信器/監視ユニットの実施形態のブロック図である。第1受信器ユニット104は、血中グルコーステストストリップインターフェース301、高周波数受信器302、入力303、温度検出セクション304及び時計305のうちの1つ以上を含み、これらのそれぞれが処理及び貯蔵セクション307に結合されて動作する。第1受信器ユニット104はまた、電力変換及び監視セクション308に結合されて動作する電源装置306を含む。更に、電力変換及び監視セクション308は、受信器プロセッサ307にも接続している。さらにまた、処理及び貯蔵セクション307に各々が結合されて動作する受信器シリアル通信セクション309及び出力310が示されている。受信器は、利用者入力及び/又はインターフェース成分を含んでもよいが、利用者入力及び/又はインターフェース成分が無くてもよい。
【0086】
特定の実施形態において、テストストリップインターフェース301は、血液(又は他の体液標本)グルコーステスト又はこれに関連する情報を受信するグルコースレベル試験部分を含む。例えば、インターフェースは、グルコーステストストリップを受容するテストストリップポートを含んでもよい。上記の器具は、テストストリップのグルコースレベルを決定し得て、第1受信器ユニット104の出力310上のグルコースレベルを任意選択で表示(又は通知)できる。例えば正確なグルコース情報を得るためにごく少量(例えば1マイクロリットル以下、例えば0.5マイクロリットル以下、例えば0.1マイクロリットル以下)の試料のみをテストストリップに付与する必要があるテストストリップ、例えばAbbott Diabetes Care, Inc製のFreeStyle(登録商標)血中グルコーステストストリップなどの、任意の適切なテストストリップを採用してもよい。生体外のグルコース試験装置によって得られたグルコース情報は、様々な目的、計算、その他のために使用できる。例えば、センサ101を較正し、その信頼を増す為にセンサ101の結果を確認する(例えば、センサ101によって得られる情報が治療に関連した意思決定に使用される場合)等にそのような上記の情報を使用できる。
【0087】
更なる実施形態では、データ処理ユニット102、第1受信器ユニット104、第2受信器ユニット105、及びデータ処理端末/輸液セクション105のうちの少なくとも一つを、例えば血中グルコース計である通信リンクを通じて無線で血中グルコース値を受信
するように構成してもよい。更なる実施形態では、検体監視システム100(図1)を操作若しくは使用する利用者は、例えば、データ処理ユニット102、第1受信器ユニット104、第2受信器ユニット105、又はデータ処理終端/輸液セクション105のうちの1つ以上と関連する利用者インターフェース(例えばキーボード、キーパッド、人声コマンド、など)を用いて手動で血中グルコース値を入力してもよい。
【0088】
付加的に、詳細な説明が米国特許番号第5,262,035号、5,264,104号、5,262,305号、5,320,715号、 5,593,852号、6,175
,752号、6,650,471号、6,746,582号、及び2003年12月26日に「Continuous Glucose Monitoring System and Methods of Use」と題して出願された米国特許出願番号第10/
745,878において提供され、これらの各々は参照により本願明細書に組み込まれる。
【0089】
図4は、本願発明の実施形態による検体センサの実施形態を模式的に示している。このセンサ実施形態は、基板404上の電極401、402及び403を含む。電極(及び/又は他の機構)は、任意の適切な技術、例えば、化学蒸着法(CVD)、物理的蒸着法、スパッタリング、反応性スパッタリング、印刷、コーティング、アブレーション(例えばレーザアブレーション)、塗装、浸漬コーティング、エッチングなど、を使用して付与されるか他様に処理される。材料にはアルミニウム、炭素(例えばグラファイト)、コバルト、銅、ガリウム、金、インジウム、イリジウム、鉄、鉛、マグネシウム、水銀(アマルガムとして)、ニッケル、ニオブ、オスミウム、パラジウム、白金、レニウム、ロジウム、セレニウム、珪素(例えば、多結晶珪素に不純物を添加した)、銀、タンタル、錫、チタン、タングステン、ウラニウム、バナジウム、亜鉛、ジルコニウム、これらの混合物、および、合金、酸化物又はこれらの元素の金属性化合物が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0090】
上記のセンサは利用者に全体的に移植可能であってもよく、その一部だけが利用者の体内(内部)に位置し、それ以外の部分が利用者の外側(外部)に位置するような構成としてもよい。たとえば、センサ400は皮膚410の表面上に位置できる部分と、皮下に位置する部分を含んでもよい。この種の実施形態において、外部の部分は、送信器等、利用者の体外部にある他の器具に接続する接点(トレースにより第2部分の電極にそれぞれに接続)を含んでもよい。図4の実施形態は基板404の同一表面上の隣接する3つの電極を示すが、他の構成が意図されてもよく、それは例えば、電極がより少ないか若しくはより多い、基板の別の表面上又は他の基板上に一部の若しくは全ての電極が存在する、一部の若しくは全ての電極が相互に積層される、材料及び寸法が異なる電極などである。
【0091】
図5Aは、皮膚510表面上に配置可能な第1部分(本実施形態において主要な部分として特徴付けられ得る)、及び皮下に、例えば皮膚を通して皮膚内、例えば皮下スペース520、に侵入して、間質液の如き利用者のバイオ流体と接触するよう位置決め可能な挿入チップ530を含む第2部分(本実施形態において軽微な部分として特徴付けられ得る)を有する電気化学検体センサ500の実施形態の斜視図である。作用電極501、基準電極502及び対極503の接触部分が、皮膚表面510上にあるセンサ500の一部に位置付けられる。作用電極501、基準電極502及び対極503は、第2セクションにおいて示され、特に挿入チップ530において示されている。図5Aに示す様に、先端の電極から接点にトレースが提供されている。より多くの又はより少ない電極がセンサ上に提供されてもよいことが理解されよう。例えば、センサは複数の作用電極及び/又は対極を含んでもよく、且つ基準電極は単一の対極/基準電極等であってもよい。
【0092】
図5Bは、図5Aのセンサ500の一部分の断面図である。センサ500の電極501
、502及び503は基板及び誘電層と同様に、階層化された構成または構造で提供される。例えば、図5Bに示すように、一つの態様では、センサ500(例えば図1のセンサユニット101)は基板層504を含み、炭素、金、その他の如き第1導電層501が基板層504の少なくとも一部に配備され、作用電極を提供してもよい。また、第1導電層501の少なくとも一部に配備された検知層508が示される。
【0093】
第1誘電層505の如き第1絶縁層は、第1導電層501の少なくとも一部分上に配備されるか積層化され、更に、第2導電層509は、第1絶縁層(または誘電層)505の少なくとも一部の上に配備されるか階層化されてもよい。図5Bに示すように、第2導電層509は、本願明細書において記載されているように拡張寿命を有し、本願明細書において記載するレドックスポリマー層を含む、基準電極502を提供してもよい。
【0094】
一実施形態における誘電層の如き第2絶縁層506は、第2導電層509の少なくとも一部分の上に配備されるか又は積層されてもよい。更に、第3導電層503は対極503を提供してもよい。第3導電層は、第2絶縁層506の少なくとも一部分の上に配備してもよい。最後に、第3絶縁層は、第3導電層503の一部の上に配置されるか又は層にされてもよい。このように、センサ500は各導電層の少なくとも一部分が絶縁層(たとえば誘電層)それぞれによって分離されるように、積層化されてもよい。図5A及び図5Bの実施形態では、異なった長さを有する層を示す。層の幾つか又は全部は、同一若しくは異なる長さ及び/又は幅を有してもよい。
【0095】
特定の実施形態において、電極501、502、503のうちの幾つか若しくは全部は、上記の通りに基板504の同じ側に積層化された構造で提供されてもよく、又は代替的に、2つ以上の電極が基板504上の同一平面上に(例えば隣接して(例えば、平行に)、又は相互に傾斜して)配備され得るように、共平面状に提供されてもよい。例えば、共平面電極は適切な間隔をそれらの間で含んでもよく、及び/又は導電層/電極の間に配備した誘電材料若しくは絶縁材料を含んでもよい。さらに、特定の実施形態において電極501、502、503のうちの1つ以上は基板504の対向する面上に配備されてもよい。この種の実施形態において、接触パッドが基板の同一若しくは異なる側にあってもよい。例えば、電極は第1側面にあってもよく、それぞれの接点は第2側面に在って、例えば電極及び接点を接続するトレースが基板を横切ってもよい。
【0096】
上記したように、検体センサは、検知成分又は検知層を提供するための検体反応酵素を含んでもよい。酸素の如き幾つかの検体は、センサ上で、より具体的には少なくともセンサの作用電極上で直接電解酸化、若しくは電解還元可能である。グルコース及び乳酸の如き他の検体は、検体の電解酸化若しくは電解還元を促進する為に少なくとも1つの電子移動剤及び/又は少なくとも1つの触媒の存在を必要とする。検体が作用電極上で直接電解酸化若しくは電解還元できる、酸素の如きそれらの検体に対しても触媒が使用されてもよい。これらの検体のために、各作用電極は、作用電極のすぐ近く又は表面上の検知層(たとえば図5Bの検知層408参照)を含む。多くの実施形態において、検知層が少なくとも作用電極の小部分のみの近く若しくは上に形成される。
【0097】
上記の検知層は、検体の電気化学的酸化若しくは還元を促進するように設計された1つ以上の成分を含む。上記の検知層は、例えば、検体の反応に触媒作用を及ぼし作用電極で反応を起こす触媒、検体と作用電極(又は他の成分)との間で電子を移動する電子移動剤、又は触媒と電子移動剤の両者を含んでもよい。
【0098】
様々な異なる検知層構成を使用してもよい。特定の実施形態において、上記の検知層は作用電極の導電材料上に配置される。上記の検知層は、作用電極の導電材料を越えて延び得る。場合によっては、上記の検知層はまた他の電極を超えて延びてよく、、例えば、対
極及び/又は基準電極(または、対極/基準電極が提供される)を超えて延びてよい。
【0099】
作用電極と直接接触している検知層は、電子を直接的又は間接的に検体と作用電極との間で移動する電子移動剤、及び/又は検体の反応を促進する触媒を含んでもよい。例えば、グルコース、乳酸または酸素電極は、グルコースオキシダーゼ、乳酸オキシダーゼ又はラッカーゼの如き触媒をそれぞれ含む検知層と、グルコース、乳酸又は酸素それぞれの電解酸化を促進する電子移動剤とを有するように形成されてもよい。
【0100】
他の実施形態においては、上記の検知層は、作用電極上に直接配置されない。その代わり、検知層64は、作用電極から離間されていてもよく、例えば分離層によって、作用電極から離間されていてもよい。分離層は、1つ以上の膜、フィルム又は物理的な距離を含んでもよい。作用電極を検知層から分離することに加えて、分離層はまた、質量輸送制限層及び/又は干渉除去層及び/又は生体適合層として作用してもよい。
【0101】
複数の作用電極を含む特定の実施形態において、作用電極のうちの1つ以上は、対応する検知層を持たず、又は、検体を電解するために必要な1つ以上の成分(例えば電子移動剤及び/又は触媒)を含まない検知層を有してもよい。このように、この作業電極での信号は、例えば、信号を差し引くことによって完全に機能している検知層と関連する1つ以上の他の作業電極から得た検体信号から除去され得る背景信号に相当してもよい。
【0102】
特定の実施形態において、検知層は1つ以上の電子移動剤を含む。使用できる電子移動剤は、標準カロメル電極(SCE)の酸化還元電位の上下に、数百ミリボルトである酸化還元電位を有する電解還元可能で電解酸化可能なイオン又は分子である。電子移動剤は、有機、有機金属若しくは無機であってもよい。有機レドックス種の例は、酸化状態でナイルブルー及びインドフェノールの如きキノイド構造を有するキノン類及び種である。有機金属レドックス種の例は、フェロセンの如きメタロセン類である。無機レドックス種の例は、ヘキサシアノ鉄酸(III)、ルテニウムヘキサミン等である。
【0103】
特定の実施形態において、電子移動剤は試料が分析されている期間に電子移動剤の拡散損失を防ぐか実質的に減らす構造または電荷を有する。例えば、電子移動剤は、例えばポリマーに結合され、代わりに作用電極上又はその近くに配置され得るレドックス種を含むがこれに限定されるものではない。上記のレドックス種とポリマーとの結合は、共有結合、配位結合、又はイオン結合であってもよい。有機、有機金属、又は無機のレドックス種のいずれもがポリマーに結合され得て、電子移動剤として使用され得るにも拘わらず、特定の実施形態では、レドックス種は遷移金属化合物または錯体、例えばオスミウム、ルテニウム、鉄、及びコバルト化合物または錯体である。ポリマー成分を伴っての使用を記載している多くのレドックス種は、ポリマー成分が無くとも使用できることが認識されるであろう。
【0104】
ポリマー電子移動剤の1つのタイプは、ポリマー組成物内で共有的に結合したレドックス種を含む。この種のメディエータの一例は、ポリ(ビニルフェロセン)である。別の種類の電子移動剤は、イオン的に結合したレドックス種を含む。この種のメディエータは、逆電位に荷電したドックス種に結合する荷電ポリマーを含んでもよい。この種のメディエータの例は、オスミウム又はルテニウムポリピリジル陽イオンの如き正荷電のレドックス種と結合した負荷電のポリマーを含む。イオン結合メディエータの別の例は、4級化ポリ(4−ビニルピリジン)の如き正荷電ポリマー、若しくはフェリシアニド又はフェロシアニドの如き負荷電レドックス種に結合したポリ(1−ビニルイミダゾール)である。他の実施形態において、電子移動剤はポリマーに配位的に結合されるレドックス種を含む。たとえば、上記のメディエータはポリ(1−ビニルイミダゾール)又はポリ(4−ビニルピリジン)にオスミウム又はコバルト2,2’−ビピリジル錯体を配位結合して形成しても
よい。
【0105】
適切な電子移動剤は、1つ以上の配位子を有するオスミウム遷移金属錯体であり、各配位子は2,2’−ビピリジン、1,10−フェナントロリン、1−メチル、2−ピリジルビイミダゾール又はこれらの誘導体の如き窒素含有ヘテロ環を有する。電子移動剤はまた、一以上の配位子共有結合をポリマー内に有し、各配位子は、少なくとも1つの、ピリジン、イミダゾール又はこれらの誘導体などのような窒素含有ヘテロ環を有する。電子移動剤の一例は、(a)ピリジン又はイミダゾール官能基を有するポリマー又はコポリマー、及び(b)2個の配位子で錯体化したオスミウム陽イオンを含み、各配位子は2,2’−ビピリジン、1,10−フェナントロリン又はこれらの誘導体を含み、2個の配位子は必
ずしも同一ではない。オスミウム陽イオンとの錯体化用の幾つかの2,2’−ビピリジン誘導体は、4,4’−ジメトキシ−2,2’−ビピリジンの如き4,4’−ジメチル−2,2’−ビピリジン及びモノ−、ジ−、及びポリアルコキシ−2,2’−ビピリジンを含む
がこれらに限定されるものではない。オスミウム陽イオンとの錯体化用の1,10−フェナントロリンの誘導体は、4,7−ジメトキシ−1,10−フェナントロリンの如き4,7−ジメチル−1,10−フェナントロリン及びモノ−、ジ−、及びポリアルコキシ−1
,10−フェナントロリンを含むがこれらに限定されるものではない。オスミウム陽イオンとの錯体化用ポリマーは、ポリ(1−ビニルイミダゾール)(「PVI」と云う)とポリ(4−ビニルピリジン)(「PVP」と云う)とのポリマー及びコポリマーを含むが、これに限定されるものではない。ポリ(1−ビニルイミダゾール)の適切なコポリマー置換基は)、アクリロニトリル、アクリルアミド、及び置換又は4級化したN−ビニルイミダゾール、例えばポリ(1−ビニルイミダゾール)のポリマー及びコポリマーへ錯体化されたオスミウムを伴う電子移動剤を含む。
【0106】
実施形態は、標準カロメル電極(SCE)に対して、約−200mV〜約+200mVの酸化還元電位範囲を有する電子移動剤を使用してもよい。検知層はまた、検体反応に触媒作用を及ぼすことができる触媒を含んでもよい。触媒はまた、幾つかの実施形態において、電子移動剤として作用し得る。適切な触媒の一例は、検体の反応に触媒作用を及ぼす酵素である。例えば、対象検体がグルコースであるときに、グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ(例えばピロロキノリンキノン(PQQ)依存性グルコースデヒドロゲナーゼ、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)依存性グルコースデヒドロゲナーゼ又はニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)依存性グルコースデヒドロゲナーゼの如き触媒を使用してもよい。対象検体が乳酸であるときに、乳酸オキシダーゼ又は乳酸デヒドロゲナーゼを使用してもよい。対象検体が酸素であるときに、若しくは、検体の反応に応答して酸素が生成されるかまたは消費されるときに、ラッカーゼを使用してもよい。
【0107】
検知層はまた、検体反応に触媒作用を及ぼすことができる触媒を含んでもよい。触媒は幾つかの実施形態において、電子移動剤としても作用し得る。適切な触媒の一例は、検体の反応に触媒作用を及ぼす酵素である。例えば、対象検体がグルコースであるときに、グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ(例えばピロロキノリンキノン(PQQ)依存性グルコースデヒドロゲナーゼ、若しくはオリゴサッカライドデヒドロゲナーゼ、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)依存性グルコースデヒドロゲナーゼ、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド’(NAD)依存性グルコースデヒドロゲナーゼ)の如き触媒を使用してもよい。対象検体が乳酸であるときに、乳酸オキシダーゼ又は乳酸デヒドロゲナーゼを使用してもよい。対象検体が酸素であるときに、若しくは、検体の反応に応答して酸素が生成されるかまたは消費されるときに、ラッカーゼを使用してもよい。
【0108】
特定の実施形態では、触媒をポリマーに付加してもよく、触媒と他の電子移動剤との架
橋は上記の通り重合的である。特定の実施形態において、第2触媒も使ってもよい。この第2触媒は、検体の触媒反応から生じる生成化合物の反応に触媒反応を起こすために用いてもよい。第2触媒は、電子移動剤と作用して生成化合物を電解し、作用電極で信号を生成する。代替的に、第2触媒は、干渉消去層内に提供して干渉を除去する反応に触媒作用を及ぼし得る。
【0109】
特定の実施例において、センサは陽イオンポリマー系検知層を含み、弱い酸化電位、例えば銀/塩化銀に対して約+40mVの電位で作用する。この検知層は、例えば低電位作業用に設計されたオスミウム(Os)系メディエータを使用し、陽イオンポリマーによって安定化される。従って、特定の実施形態において、検出素子は、(1)(二座)配位子を含むオスミウム系メディエータ分子、及び(2)グルコースオキシダーゼ酵素分子、を含むレドックス活性成分である。これらの2つの成分は、陽イオンポリマーと互いに組み合わせられる。
【0110】
質量輸送制限層(図示せず)、例えば、検体フラックス調節層を、拡散制限障壁として検体、例えばグルコース又は乳酸、の作用電極の周りの領域への質量輸送速度を減らすように作用させるように、センサと共に含めてもよい。質量輸送制限層は電気化学センサの作用電極への検体のフラックスを限定するために有用で、これにより広範囲の検体濃度に亘ってセンサが線形に応答して、容易に較正される。質量輸送制限層は、ポリマーを含んでもよく、生体適合性であってもよい。質量輸送制限層は、多くの機能を提供し、例えば、生体適合性及び/又は干渉消去機能等を提供し得る。
【0111】
特定の実施形態において、質量輸送制限層はポリビニルピリジン及びポリビニルイミダゾールポリマーの如き複素環窒素基を含む架橋ポリマーから成る膜である。実施形態はまた、ポリウレタン、ポリエーテルウレタン、又は化学的関連材料で出来ている膜、若しくはシリコーンなどで出来ている膜を含む。
【0112】
膜は、双性イオン性部分、非ピリジンコポリマー成分、及び任意選択で親水性若しくは疎水性であり、且つ/又はアルコール緩衝液にてその他の望ましい性質を有する別の部分によって改質されるポリマーとその場で(in situ)架橋することによって形成されても
よい。改質ポリマーは、複素環窒素基を含む先駆物質ポリマーから作ってもよい。たとえば、先駆物質ポリマーはポリビニルピリジンまたはポリビニルイミダゾールであってもよい。任意選択的には、帰結する膜の浸透性を対象検体に対して「微調整する」為に、親水性又は疎水性の改質剤を使ってもよい。ポリ(エチレングリコール)の如き任意選択の親水性改質剤、ヒドロキシル又はポリヒドロキシル改質剤を、ポリマー又は生成膜の生体適合性強化の為に使用してもよい。
【0113】
膜は、酵素含有検知層上に架橋剤及び改質ポリマーのアルコール緩衝液溶液をコーティングし、この溶液を約1日又は2日間、若しくは他の適当な期間硬化することによってその場でその場で形成され得る。上記の架橋剤−ポリマー溶液は、この液の液滴をセンサ上に付与したり、センサをこの液に浸漬したりすること等によって検知層上にコーティングしてもよい。通常、膜の厚さは、前記溶液の濃度、前記溶液の付与液滴の数、センサが前記溶液内に浸漬される回数、又はこれらの要因の組み合わせによって制御される。このような手段でコーティングされる膜は、以下の機能の任意の組み合わせも有し得る:(1)質量輸送制限、即ち、検知層に着く検体のフラックスの削減、(2)生体適合性強化、又は(3)干渉軽減。
【0114】
特定の実施形態において、上記の検知システムはグルコースレベルを推定するために過酸化水素を検出する。例えば、過酸化水素検出センサは、検知層がグルコースオキシド、グルコースデヒドロゲナーゼ、等の如き酵素を含み、作用電極にすぐ近くに位置するとこ
ろに構成してもよい。検知層は、1つ以上の層、例えばグルコースが選択的に浸透可能な膜によって被覆されてもよい。グルコースが一旦膜を通過すると、それは酵素によって酸化され、還元したグルコースオキシダーゼは分子酸素と化学反応して酸化され、過酸化水素を生成する。
【0115】
特定の実施形態は、一緒に組み合わせて調製される検知層から構成される過酸化水素検出センサを含み、たとえば、(1)約+200mV対SCEの酸化電位のオスミウムポリピリジル錯体の如き遷移金属錯体を有するレドックスメディエータ、(2)陽イオンポリマー、及び、(3)過ヨウ素酸塩で酸化した西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)である。この種のセンサは、還元モードで機能し、作用電極は、オスミウム錯体のそれに対して負の電位で制御され、その結果、HRP触媒による過酸化水素を媒介還元した。
【0116】
他の例において、電位差センサは、次のように構成される。グルコース検知層は、以下を一緒に組み合わせて構成される。すなわち、(1)約−200mV〜+200mV対SCEの酸化電位のオスミウムポリピリジル錯体の如き遷移金属錯体を有するレドックスメディエータ、(2)陽イオンポリマー及び、(3)グルコースオキシダーゼである。上記のセンサを、零電流条件下でグルコース含有水溶液に曝し、還元/酸化オスミウム比を平衡値に到達させることによって、このセンサを電位差計的なモードにおいて使用できる。還元/酸化オスミウム比は再生可能な方法でグルコース濃度と共に変化し、類似の状況での電極電位の変化を起こす。
【0117】
上記の基板は、例えば重合性又は塑性材料及びセラミック材料を含む様々な非電導性材料を使用して形成できる。特定のセンサ用の適切な材料は、少なくとも部分的にはセンサの所望の使用及び材料の性質に基づいて決定できる。
【0118】
幾つかの実施形態において、基板は可撓性である。例えば、センサが患者内への移植のために構成される場合、患者への痛覚、及びセンサの移植及び/又は着用によって生じる組織に対する損傷を減らすように、センサは可撓性(移植可能なセンサ用には剛性センサも使用できるものの)にされてもよい。可撓性の基板は、しばしば患者の心地よさを増し、より広い範囲の活動を可能にする。可撓性基板用の適切な材料は、例えば、非電導性の可塑性又は重合性材料及び他の非電導性、可撓性、変形可能な材料を含む。有用な可塑性又は重合性材料の例にはポリカーボネート、ポリエステル(例えばMylar(登録商標)、ポリエチレンテレフタレート(PET))、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリアミド、ポリイミドの如き熱可塑性樹脂、又はPETG(グリコール改質ポリエチレンテレフタレート)の如きこれらの熱可塑性樹脂のコポリマーを含む。
【0119】
他の実施形態において、センサは、例えば屈曲又は破断に耐える構造的支持を提供する、比較的剛性の基板を使用して作られる。基板として使い得る剛性材料の例には、酸化アルミニウム及び二酸化珪素の如き導電性が乏しいセラミックが含まれる。剛性基体を有する移植可能なセンサの利点の1つは、付加的挿入器具のないセンサの移植を補助する為に、センサが尖った点及び/又は尖った端部を有し得ることである。
【0120】
多数のセンサおよびセンサ応用に対し、剛性センサ及び可撓性センサの両方が適切に作動することが理解されるであろう。センサの可撓性は、例えば基体の組成及び/又は厚さを変更することにより制御され、かつ連続性に沿って変化し得る。
【0121】
可撓性に関する考察に加えて、移植可能なセンサが、生理的に無害な基板、例えば、体内使用の為に監督官庁又は民間機関によって承認された基板を有するべきことが、しばしば望ましい。
【0122】
センサは、移植可能なセンサの挿入を容易にするために任意選択の特徴を含むことができる。例えば、上記のセンサは挿入を容易にする為に先端部を尖らせてもよい。加えて、センサは、センサの操作の間、患者の組織内にセンサを定着させる際に補助するとげを含んでもよい。しかしながら、センサが交換のために除去される時に損傷が皮下組織に殆ど生じないように、とげは一般的に十分に小さい。
【0123】
移植可能なセンサはまた、患者の内部に移植した基板の一部分に配置される抗凝固剤を任意選択で有してもよい。この抗凝固剤は、特にセンサの挿入後のセンサの周りの血液又は他の体液の凝固を減少若しくは消滅し得る。血液凝固は、センサを汚したり、センサ内に拡散する検体の量を再生不可能に減らしたりし得る。有用な抗凝固剤の例は、他の周知の抗凝固剤と同様にヘパリン及び組織プラスミノーゲンアクチベータ(TPA)を含む。
【0124】
抗凝固剤は、移植されるセンサの少なくとも一部分に付与してもよい。抗凝固剤は例えば、水浴、噴霧、はけ塗り又は浸漬によって付与してもよい。抗凝固剤は、センサ上で乾燥してもよい。抗凝固剤はセンサの表面上で不動化してもよく、又は、センサ表面から離れて拡散できるようにしてもよい。一般的に、センサに配置されている抗凝固剤の量は、血液凝固を含む医療状態の処置のために、一般的に使用される量よりも遥かに少ないので、限られた局所的な効果だけを有する。
挿入器具
【0125】
挿入器具は、患者の皮下にセンサを嵌入するために使用される。挿入器具は、一般的には、金属または硬質熱可塑性樹脂の如き構造的に剛性の材料を使用して形成される。例示的な材料は、ステンレス鋼及びABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)熱可塑性樹脂を含む。幾つかの実施形態において、挿入器具は患者の皮膚への貫通を容易にするために先端部が尖っており、且つ/又は鋭くなっている。鋭く、薄い挿入器具は、センサの挿入に際して患者が感じる痛みを減らし得る。他の実施形態において、挿入器具の先端は鈍い形又は扁平な形を含む他の形状を有する。これらの実施形態は、挿入器具が皮膚を通さずに、むしろセンサが皮膚に押し込まれるように、センサのため構造上の支持体として機能する場合、特に有用であり得る。
センサ制御ユニット
【0126】
センサ制御ユニットは、センサ内に一体化することができ、その一部または全体は皮下に移植され、又は、患者の皮膚に位置付けるように構成できる。センサ制御ユニットは、患者に快適な形状で任意選択で形成され、例えば、患者の衣類の下に隠せる形状とされてもよい。上腿、脚、上腕、肩部または腹部は、隠した状態を維持するセンサ制御装置の配置にとって患者の身体に便利な部分である。しかしながら、センサ制御ユニットは、患者の身体の他の部分に配置されてもよい。センサ制御ユニットの一実施形態は、隠した状態を強化するために薄い、楕円形の形状を有する。しかしながら、他の形状及び寸法を使用してもよい。
【0127】
センサ制御ユニットの高さ、幅、長さ、重量及び体積と同様に、特定の輪郭も変更してもよく、少なくとも部分的にはセンサ制御ユニットに含まれる構成要素及び関連機能に従ってもよい。一般に、センサ制御ユニットは、患者の皮膚に留まる単一の一体型ユニットとして形成される匡体を含む。匡体は、一般的にセンサ制御ユニットの電子部品の殆ど又は全てを含む。
【0128】
センサ制御ユニットの匡体は、例えば、可塑性材料及び重合性材料、特に剛性の熱可塑性樹脂及びエンジニアリング熱可塑性樹脂を含む様々な材料を使用して形成されてもよい。適切な材料は、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレ
ン、ABSポリマー及びこれらのコポリマーを含む。センサ制御ユニットの匡体は、たとえば押出成型、圧縮成型、キャスティング及び他の成型方法を含む様々な技術を使用して形成されてもよい。センサ制御ユニットの匡体内には空洞若しくは窪んだ領域を形成してもよい。センサ制御ユニット及び/又は他の要素の、音声警報の為の電池又はスピーカの如き電子部品は、前記空洞又は窪んだ領域に置かれてもよい。
【0129】
センサ制御ユニットは、一般的に患者の皮膚に取り付けられる、例えば、皮膚に接触するセンサ制御ユニット匡体の少なくとも一部分に提供された接着剤によってセンサを患者の皮膚に直接接着することによって、若しくはセンサ制御ユニット内縫合開口を通してセンサ制御ユニットを皮膚に縫合することによって患者の皮膚に取り付けられる。
【0130】
患者の皮膚に配置される時に、センサ制御ユニット内のセンサ及び電子構成要素は導電接触によって結合されている。1つ以上の作用電極、対極(又は対極/基準電極)、任意選択の基準電極、及び任意選択の温度プローブは、個々の導電接触接点に取り付けられる。例えば、導電接触は、センサ制御ユニットの内部に提供される。センサ制御ユニットの他の実施形態は、匡体の外部に配置される導電接触を有する。センサがセンサ制御ユニット内で適切に配置される時に、導電接触の配置はそれらがセンサ上の接続パッドと接触しているようにされる。
センサ制御ユニット電子部品
【0131】
センサ制御ユニットはまた、センサ及び検体監視装置システムを作動する電子構成要素の少なくとも一部を一般的に含む。センサ制御ユニットの電子部品は、一般的に、センサ制御ユニット及びセンサを作動するための電源装置、センサから信号を得るため及びセンサを作動する為のセンサ回路、センサ信号を所望の形式に変換する計測回路、及び、最小限、センサ回路及び/又は計測回路から信号を得て、任意選択の送信器に信号を提供する処理回路を含む。幾つかの実施形態において、かかる処理回路はまた、部分的にまたは完全にセンサからの信号を評価してもよく、結果のデータを任意選択の送信器へ伝達し、及び/又は検体レベルが閾値を上回る場合、任意選択の警報システムを起動してもよい。処理回路は、しばしばデジタル論理回路を含む。
【0132】
センサ制御ユニットは、センサ信号又は処理データを処理回路から受信器/表示ユニットへ送信するための送信器、一時的に又は永久的に処理回路からのデータを格納するためのデータ記憶装置、温度プローブから信号を受信し、温度プローブを作動する温度プローブ回路、センサ生成信号と比較するために基準電圧を用意する基準電圧発生器、及び/又はセンサ制御ユニットの電子部品の作動を監視する番犬回路を任意選択で含んでもよい。
【0133】
さらに、センサ制御ユニットはまた、トランジスタの如き半導体素子を利用しているデジタル及び/又はアナログ構成要素を含んでもよい。これらの半導体素子を作動するために、センサ制御ユニットは他の構成要素、例えば、アナログ及びデジタル半導体素子を正しくバイアスするためのバイアス制御発生器、時計信号を提供する発振器、及び、タイミング信号と電気回路のデジタル成分のための論理演算を提供するデジタル論理及びタイミング構成要素を含んでもよい。
【0134】
これらの成分の操作の一例として、センサ回路及び任意選択の温度プローブ回路は、センサから計測回路へ生の信号を提供する。計測回路は、例えば、電流−電圧変換器、電流−周波数変換器、及び/又は生の信号の絶対値に比例した信号を生成する二進計数器または他の指示器を用いて生の信号を所望の形式に変換する。例えば、この計測回路は生の信号をデジタル論理回路によって使用できる形式に変換するために使ってもよい。処理回路は、データを任意選択で、評価してもよく、電子部品を作動するための命令を提供してもよい。
較正
【0135】
センサは、システム較正又は利用者較正を要求しない構成されてもよい。例えば、センサは工場で較正され、更なる較正を必要としなくてよい。特定の実施形態において、較正を要求してもよいが、利用者の介入無しで行われてもよく、即ち自動的較正であってもよい。利用者による較正が必要である実施形態において、較正は、予め定められたスケジュールに従ってもよく、または動的、即ち、グルコース濃度及び/又は温度及び/又はグルコース、その他の変化率等、しかしこれに限定されない様々な要因に従うリアルタイム基準のシステムによって決定されてもよい。
【0136】
送信器に加えて、任意選択の受信器をセンサ制御ユニットに含んでもよい。場合によっては、送信器は送受信器であり、送信器および受信器として作動する。受信器は、センサ用の較正データを受信するために用いてもよい。較正データは、センサからの信号を訂正する為に処理回路によって使用されてもよい。この較正データは、受信器/表示ユニットによって送信されてもよく、または診療室の制御ユニットその他の幾つかの送信元から送信されてもよい。加えて、任意選択の受信器は、送信器へ向けた受信器/表示ユニットから信号を受け取るために用いられてもよく、例えば、周波数又は周波数帯域を変えて、任意選択の警報システムを活性化又は不活性化して、及び/又は送信器をより高い速度送信できるように向ける為に用いてもよい。
【0137】
較正データは、様々な方式で得られる。たとえば、較正データは受信器を用いた単にセンサ制御ユニット内への入力できる工場決定較正計測であってもよく、又は、センサ制御ユニット内の較正データ記憶ユニットに代替的に記憶できる(その場合には、受信器は必要でないかもしれない)。たとえば、較正データ記憶ユニットは、読み込み可能な、又は読み込み可能/書き込み可能な記憶回路であってもよい。
【0138】
較正は、生体外テストストリップ(または他の基準)、例えば、約1マイクロリットル未満の試料を必要とするテスト片のような小標本テストストリップ(例えば、Abbott Diabetes Care社製のFreeStyle(登録商標)血中グルコース監視テストストリップ)を用いて達成されてもよい。例えば、約1ナノリットル未満の標本を必要とするテストストリップを使ってもよい。特定の実施形態において、センサは1回の較正行為につき体液の1標本だけを使用して較正してもよい。例えば、利用者は較正行為(例えば、1テストストリップ用)のための標本を得る為に1回だけ身体を突く必要があり、又は、標本の不十分な量しか最初に得られなかった場合には、短い時間内に複数回突くこともあり得る。実施形態は所与の較正行為のための体液の複数の標本を取得し、且つ使用することを含み、ここで、各標本のグルコース値は実質的に同様である。所与の較正行為から得られるデータは、較正するために独立して使ってもよく、前の較正行為から得たデータと組み合わせて較正してもよく、例えば、重み付け平均化を含む平均化等で較正してもよい。特定の実施形態において、システムは利用者によって一度較正されなければならないだけであり、システムの再較正は必要でない。
【0139】
代替的または付加的較正データは、医師または他のいずれかの専門家によって又は患者によって実行される検査に基づいて提供されてもよい。例えば、糖尿病患者個人が市販の検定キットを使用して、彼ら自身の血中グルコース濃度を判断することは、常識的である。この検査の結果は、もし適当な入力装置(例えばキーパッド、光信号受信器、若しくはキーパッド又はコンピュータへの接続用ポート)がセンサ制御ユニットに組み込まれている場合直接センサ制御ユニットに入力し、または間接的に受信器/表示ユニットへ較正データを入力して、較正データをセンサ制御ユニットに送ることのいずれかによって、センサ制御ユニットに入力する。
【0140】
独立して検体レベルを決定する他の方法を、較正データを得るために用いてもよい。この種の較正データは、工場決定の較正値に代えてもよく、又は補充してもよい。
【0141】
本願発明の幾つかの実施形態において、正確な検体レベルが報告されていることを確かめるために、較正データは定期的間隔、例えば、8時間毎に、日に一度、又は週に一度の周期で要求される。新規なセンサが移植されるたびに、又は、センサが最小値又は最大値の閾値を超える場合、又は、センサ信号における変化率が閾値を上回る場合にもまた較正は求められる。場合によっては、センサが平衡を達成する為に、センサの移植後、較正前に一定期間待つことが必要であり得る。幾つかの実施形態において、センサは挿入された後にのみ較正される。他の実施形態においては、センサの較正が不必要である。
検体監視器具
【0142】
本願発明の幾つかの実施形態において、検体監視器具はセンサ制御ユニット及びセンサを含む。これらの実施形態において、検体レベルが閾値を上回る場合、センサ制御ユニットの処理回路が検体のレベルを決定して、警報システムを活性化することが可能である。これらの実施形態において、センサ制御ユニットは警報システムを有し、また、LCD又はLED表示装置の如き表示装置も有する。
【0143】
データポイントが特定の条件を示す方向で閾値より高い値を有する場合、閾値が超えられる。例えば、200mg/dLのグルコースレベルに相関するデータポイントは、この
データポイントは、患者が高血糖性状態に入ったことを示すので、180mg/dLの高
血糖症に対する閾値を超える。他の例として、65mg/dLのグルコースレベルが相関
するデータポイントは、このデータポイントは患者が閾値により定義された低血糖性であることを示すので、70mg/dLの低血糖症に対する閾値を超える。しかしながら、7
5mg/dLのグルコースレベルが相関するデータポイントは、データポイントが選ばれ
た閾値に定義した特定の条件を示さないので、低血糖用の同一の閾値を超えない。
【0144】
センサの読み取り値がセンサの測定範囲を越えたある値を示す場合、警報もまた、起動されてもよい。グルコースの場合、生理的に関連した測定範囲は、間質液中のグルコースで約50〜250mg/dL、好ましくは40〜300mg/dL、そして理想的には30〜400mg/dLである。
【0145】
上記の警報システムは、上記の場合に加えてまたは上記の場合とは別に、検体レベルの変化率又は変化率の加速度の増加や減少が閾値割合又は加速度に到達するか上回るときに起動されてもよい。例えば、皮下のグルコース監視において、グルコース濃度の変化率が高血糖性又は低血糖性の条件が起こりそうなことを示す閾値を超える場合に、警報システムが起動され得る。
【0146】
システムはまた、利用者に電池状態、較正、センサ脱落、センサ故障、その他のシステム情報を通知するシステム警報を含んでもよい。警報は、例えば、聴覚警報でもよく、及び/又は視覚警報でもよい。他の官能刺激的警報システムが、起動の際に加熱したり、冷やしたり、振動したり、又は穏やかな電気ショックを起こす警報システムを含んで使用されてもよい。
薬剤送達システム
【0147】
主題発明はまた、センサ系薬剤送達システムにおいて使用されるセンサも含む。システムは、1つ以上のセンサからの信号に応答して高レベル又は低レベルの検体に対抗する薬剤を提供してもよい。代替的に、システムは薬剤が所望の治療範囲内に確実に残ること保証するために薬剤濃度を監視してもよい。薬剤送達システムは、1つ以上(例えば2以上)のセンサ、送信器のような処理ユニット、受信器/表示ユニット、および薬剤投与シス
テムを含んでもよい。場合によっては、幾つか又は全ての構成要素は、単一のユニットに一体化できる。センサ系薬剤送達システムは、薬剤の投与を例えば自動的に又は半自動的に調節するために必要な入力を制御アルゴリズム/メカニズム用に提供する目的で1つ以上のセンサからデータを使用してもよい。例えば、外部又は移植したインシュリンポンプからのインシュリンの投与を制御し、調節するためにグルコースセンサを用いてもよい。
【実施例】
【0148】
以下の実施例は、当業者に完全な開示と本願発明の実施形態を製造し使用する方法の説明を提供するために提示され、発明者が自身の発明とみなす権利範囲を制限することを意図せず、また、下記の実験が実行された全部又は唯一の実験であることを表す意図も無い。使用された数値(例えば量、温度、等)に関して、正確さを確実にするために努力が払われたが、若干の実験誤差及び偏差は考慮されるべきである。別段に示されない限り、部は重量部であって、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏の度であり、そして、圧力はある大気圧若しくは大気圧付近である。
実施例1
グルコースオキシダーゼを用いた陽イオンポリマー系検知層組成物
【0149】
メディエータが固定されたレドックスポリマー、架橋剤及び酸化グルコースを含む対照Wired Enzyme(登録商標)検知層システムか、または陽イオンポリマー系検知層かのいずれかを含む検知層を調製した(表1)。ビーカー較正およびビーカー安定性実験を、陽イオンポリマー系検知層を対照検知層と比較するために実行した。
【表1】

【0150】
図6は、陽イオンポリマー系検知層(三角形)が対照検知層(菱型)に相似したグルコース濃度を増加する線形感度を維持することを示す。図7は、陽イオンポリマー系検知層が対照検知層のグルコースに対する応答時間と少なくとも同等若しくは幾つかの例ではより短い、対グルコース応答時間を有することを示す。
【0151】
図8及び図9は、37℃(図8)か65℃かのいずれかでの30mMグルコースのビーカー安定性を示している。結果は、陽イオンポリマー系検知層が表2に示すように、対照検知層よりも非常に安定しており、低い減衰率を有することを示している。
【表2】

【0152】
要約すると、レドックスポリマーと架橋剤とを含む対照検知層に比較して、陽イオンポ
リマー系GOx検知層はグルコースの濃度の変化に対する線形応答を提供して、より短い
応答時間を有して、より安定で、より低い減衰率を呈する。
実施例2
グルコースデヒドロゲナーゼを用いた陽イオンポリマー系検知層組成物
【0153】
対照のWired Enzyme(登録商標)検知層システムか、または陽イオンポリマー検知層かのいずれかを含む検知層を調製した(表3)。対照システムは、レドックスポリマー、架橋剤及びFADGDHを含んでいた。ビーカー較正およびビーカー安定性実験を、陽イオンポリマー系検知層を対照検知層と比較するために実行しれた。
【表3】

【0154】
図10は、陽イオンポリマー系検知層(四角形)が対照検知層(菱型)に相似したグルコース濃度を増加する線形感度を維持することを示している。図11は、陽イオンポリマー系検知層が対照レドックスポリマー及び架橋剤系検知層のグルコースに対する応答時間より短い、対グルコース応答時間を有することを示す。
【0155】
図11は、15mMグルコースにおける対照レドックスポリマー及び架橋剤系検知層に対する、及び20mMグルコースにおける65℃での陽イオンポリマー系検知層に対する、ビーカー安定性を示す。結果は、陽イオンポリマー系検知層が表4に示す対照レドックスポリマー及び架橋剤系検知層より非常に安定であり、かつ低い減衰率を有することを示す。
【表4】

【0156】
要約すると、レドックスポリマーと架橋剤とを含む対照検知層に比較して、陽イオンポリマー系FADGDH検知層はグルコースの濃度の変化への線形応答を提供し、より短い応答時間を有し、より安定で、より低い減衰率を呈する。
【0157】
前述は、単に本願発明の原理を例示するだけである。本願明細書において明示的に記載されていないかまたは示されないにもかかわらず、当業者は本願発明の原理を具体化して、その趣旨及び範囲内に含まれる様々変更を考案することが可能なことはいうまでもない。さらに、本願明細書において詳述される全ての実施例および条件的言語は主に読者が本願発明の原理を理解するのを補助することを目的とし、かつ技術を進めることへの発明者により与えられた概念は、この種の具体的に述べられた実施例及び条件に限定が無いことが解釈されるべきである。更に、それの具体例と同様に原理を本願明細書において詳述し
ている全ての陳述、態様及び本願発明の実施形態は、それらの構造上及び機能上両方の均等物を包含することを意図している。その上、この種の均等物は、現在周知の均等物、及び将来開発される均等物、即ち、構造に関係なく、同一機能を実行するべく開発された如何なる要素、の両方を含む。本願発明の実施形態の権利範囲は、従って、本願明細書において記載されている例示的な実施形態に限定されることを意図していない。むしろ、本願発明の実施形態の権利範囲及び精神は、添付の特許請求の範囲によって例証される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学検体センサであって、
少なくとも一つの作用電極と、
対極電極又は対極/基準電極と、
作用電極付近に配置され、前記作用電極のうちの少なくとも一つへの自由電子の移送を補助する検知層とを備え、
前記検知層が、対象検体と反応して自由電子、陽イオンポリマー及びレドックスメディエータの発生をもたらす検体反応酵素から成る、電気化学検体センサ。
【請求項2】
前記センサの少なくとも一部が患者内の皮下に配置されるように適合される、請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記検体反応酵素がグルコースオキシダーゼ(GOx)である、請求項1に記載のセン
サ。
【請求項4】
前記検体反応酵素がデヒドロゲナーゼである、請求項1に記載のセンサ。
【請求項5】
前記デヒドロゲナーゼがグルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)である、請求項4に記載のセンサ。
【請求項6】
前記グルコースデヒドロゲナーゼが補因子と結合されている、請求項5に記載のセンサ。
【請求項7】
前記補因子がフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、またはピロロキノリンキノン(PQQ)である、請求項6に記載のセンサ。
【請求項8】
前記デヒドロゲナーゼが、グルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)とフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)の複合体から成る、請求項7に記載のセンサ。
【請求項9】
前記作用電極の少なくとも一部の上方に配置されるフラックス制限層をさらに備える、請求項1に記載のセンサ。
【請求項10】
前記レドックスメディエータがフェリシアニド、フェナントロリンキノン又はフェロセンから成る、請求項1に記載のセンサ。
【請求項11】
前記レドックスメディエータが遷移金属錯体から成る、請求項1に記載のセンサ。
【請求項12】
前記遷移金属錯体がオスミウムから成る、請求項11に記載のセンサ。
【請求項13】
前記遷移金属錯体が以下の化学式から成り、
【化1】

式中、
(i)Mはルテニウム、オスミウム又はバナジウムであり、
(ii)Lは以下からなる群から選択され、
【化2】

及び

式中、
1、R2及びR’1独立に、置換又は非置換のアルキル、アルケニル又はアリール基であ
り、
3、R4、R5、R6、R3’、R4’、Ra、Rb、Rc及びRdは、独立に、−H、−F、−Cl、−Br、−I、−NO2、−CN、−CO2H、−SO3H、−NHNH2、−SH、アリール、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、−OH、アルコキシ、−NH2、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルカノ
イルアミノ、アリールカルボキサミド、ヒドラジノ、アルキルヒドラジノ、ヒドロキシルアミノ、アルコキシアミノ、アルキルチオ、アルケニル、アリールまたはアルキルであり、cは−1〜−5又は+1〜+5から選ばれる整数で、正電荷若しくは負電荷を示し、
Xは、少なくとも一つの対イオンを表し、
dは、1〜5の整数で、対イオンの数を表し、
1、L2、L3及びL4は配位子であり、L1はポリマー骨格と結合した複素環式化合物
から成り、
1とL2との組み合わせは、第1の二座配位子を形成する、請求項11に記載のセンサ。
【請求項14】
前記遷移金属錯体が以下の化学式から成り、
【化3】

式中、R3、R4、R5、R6、Ra、Rb、Rc、Rd、R3’及びR4’は−Hであり、
1及びR2は、独立に炭素原子数1〜12の置換又は非置換のアルキルであり、
1、R2およびR1’は、独立に−H又は置換若しくは非置換の炭素原子数1〜12の
アルコキシ、炭素原子数1〜12のアルキルチオ、炭素原子数1〜12のアルキルアミノ、炭素原子数2〜24のジアルキルアミノ又は炭素原子数1〜12のアルキルである、請求項13に記載のセンサ。
【請求項15】
1、R2、及びR1’のうちの少なくとも一つがカルボキシ、活性化エステル、スルホ
ニルハライド、スルホナートエステル、イソシアネート、イソチオシアネート、エポキサイド、アジリジン、ハロゲン化物、アルデヒド、ケトン、アミン、アクリルアミド、チオール、アシルアジ化物、ハロゲン化アシル、ヒドラジン、ヒドロキシアミン、ハロゲン化アルキル、イミダゾール、ピリジン、フェノール、アルキルスルホナート、ハロトリアジン、イミドエステル、マレイミド、ヒドラジド、ヒドロキシ及び光反応性アジドアリール基からなる群から選択される反応基から成る、請求項14に記載のセンサ。
【請求項16】
前記陽イオンポリマーがポリアリルアミン(PAH)、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリ(L−リジン)(PLL)又はポリ(L−アルギニン)(PLA)である、請求項1に記載のセンサ。
【請求項17】
前記レドックスメディエータが前記陽イオンポリマーと共有結合で結合している、請求項1に記載のセンサ。
【請求項18】
前記レドックスメディエータが前記陽イオンポリマーと非共有結合で結合している、請求項1に記載のセンサ。
【請求項19】
検体センサアセンブリであって、
電気化学センサと、
前記電気化学センサに動作可能に結合し、患者の検体レベルに対応する1つ以上の信号
を上記の電気化学センサから受け取るように構成された送信器ユニットと、
を備え、前記電気化学センサが、
少なくとも一つの作用電極と、対極又は対極/基準電極とを備える少なくとも一つの基板と、
前記作用電極付近に配置され、前記作用電極への自由電子の移送を補助する検知層であって、対象検体と反応して自由電子、陽イオンポリマー及びレドックスメディエータの発生をもたらす検体反応酵素から成る検知層と、
を備える、検体センサアセンブリ。
【請求項20】
前記センサの少なくとも一部が患者内の皮下に適応するように配置される、請求項19に記載の検体センサ。
【請求項21】
前記検体反応酵素がグルコースオキシダーゼ(GOx)である、請求項19に記載の検
体センサ。
【請求項22】
前記検体反応酵素がデヒドロゲナーゼである、請求項19に記載の検体センサ。
【請求項23】
前記デヒドロゲナーゼがグルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)である、請求項22に記載の検体センサ。
【請求項24】
前記グルコースデヒドロゲナーゼが補因子と結合されている、請求項23に記載の検体センサ。
【請求項25】
前記補因子がフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、またはピロロキノリンキノン(PQQ)である、請求項24に記載の検体センサ。
【請求項26】
前記デヒドロゲナーゼがグルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)及びフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)の複合体から成る、請求項22に記載の検体センサ。
【請求項27】
前記作用電極の少なくとも一部の上方に配置されたフラックス制限層をさらに備える、請求項19に記載の検体センサ。
【請求項28】
前記レドックスメディエータがフェリシアニド、フェナントロリンキノン又はフェロセンから成る、請求項19に記載の検体センサ。
【請求項29】
前記レドックスメディエータが遷移金属錯体から成る、請求項19に記載の検体センサ。
【請求項30】
前記遷移金属錯体がオスミウムから成る、請求項29に記載の検体センサ。
【請求項31】
前記遷移金属錯体が以下の化学式から成り、
【化4】

式中、(i)Mは、ルテニウム、オスミウム又はバナジウムであり、
(ii)Lは以下からなる群から選択され、
【化5】

及び

式中、R1、R2及びR1’は独立に、置換又は非置換のアルキル、アルケニル又はアリ
ール基であり、
3、R4、R5、R6、R3’、R4’、Ra、Rb、Rc及びRdは独立に、−H、−F、−Cl、−Br、−I、−NO2、−CN、−CO2H、−SO3H、−NHNH2、−SH、アリール、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、−OH、アルコキシ、−NH2、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルカノイ
ルアミノ、アリールカルボキサミド、ヒドラジノ、アルキルヒドラジノ、ヒドロキシルアミノ、アルコキシアミノ、アルキルチオ、アルケニル、アリールまたはアルキルであり、cは−1〜−5又は+1〜+5から選ばれる整数で、正電荷若しくは負電荷を示し、
Xは、少なくとも一つの対イオンを表し、
dは、1〜5の整数で、対イオンの数を表し、
1、L2、L3及びL4は配位子であり、L1はポリマー骨格と結合した複素環式化合物
から成り、
1とL2との組み合わせは、第1の二座配位子を形成する、請求項19に記載の検体センサ。
【請求項32】
前記遷移金属錯体が以下の化学式から成り、
【化6】

式中、R3、R4、R5、R6、Ra、Rb、Rc、Rd、R3’及びR4’は−Hであり、
1及びR2は、独立に炭素原子数1〜12の置換又は非置換のアルキルであり、
1、R2及びR1’は独立に−H又は置換若しくは非置換の炭素原子数1〜12のアル
コキシ、炭素原子数1〜12のアルキルチオ、炭素原子数1〜12のアルキルアミノ、炭素原子数2〜24のジアルキルアミノ又は炭素原子数1〜12のアルキルである、請求項31に記載の検体センサ。
【請求項33】
1、R2、及びR1’の少なくとも一つがカルボキシ、活性化エステル、スルホニルハ
ライド、スルホナートエステル、イソシアネート、イソチオシアネート、エポキサイド、アジリジン、ハロゲン化物、アルデヒド、ケトン、アミン、アクリルアミド、チオール、アシルアジ化物、ハロゲン化アシル、ヒドラジン、ヒドロキシアミン、ハロゲン化アルキル、イミダゾール、ピリジン、フェノール、アルキルスルホナート、ハロトリアジン、イミドエステル、マレイミド、ヒドラジド、ヒドロキシ及び光反応性アジドアリール基からなる群から選択される反応基から成る、請求項32に記載の検体センサ。
【請求項34】
前記陽イオンポリマーがポリアリルアミン(PAH)、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリ(L−リジン)(PLL)又はポリ(L−アルギニン)(PLA)である、請求項19に記載の検体センサ。
【請求項35】
前記レドックスメディエータが陽イオンポリマーと共有結合で結合している、請求項19に記載の検体センサ。
【請求項36】
前記レドックスメディエータが前記陽イオンポリマーと非共有結合で結合している、請求項19に記載の検体センサ。
【請求項37】
検体のレベルを監視する方法であって、
患者の肌に、検体反応酵素、陽イオンポリマー及びレドックスメディエータを有する検知層を備えた電気化学センサを挿入すること、
前記患者の肌に電気化学センサ制御ユニットを取り付けることと、
前記センサの複数の接点に複数のセンサ制御ユニット導電接点を結合すること、
前記センサ制御ユニットを用いて、前記センサから発生した信号から検体のレベルに関するデータを収集すること、
前記収集したデータを、前記センサ制御ユニットの高周波数送信器を使用して表示ユニットへ伝送すること、および
前記表示ユニットの前記表示上に前記検体の前記レベルの指標を表示すること、
を含む方法。
【請求項38】
前記検体がグルコースである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
データを収集することは、前記センサから信号を発生することと、前記信号をデータへと処理することから成る、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記データが前記センサからの信号から成る、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記データが警報条件を示す場合に、警報を起動することをさらに備える、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
前記データに応答して、薬剤を投与することをさらに含む、請求項37に記載の方法。
【請求項43】
前記薬剤がインシュリンである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記データを較正する為に較正器から較正値を得ることをさらに含むる、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記較正器が前記表示ユニットに接続されている、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
グルコース反応組成物であって、
グルコース反応酵素と、
陽イオンポリマーと、
前記酵素から電子を受け入れるレドックスメディエータと、
を含むグルコース反応組成物。
【請求項47】
前記グルコース反応酵素がグルコースオキシダーゼ(GOx)である、請求項46に記
載の組成物。
【請求項48】
前記グルコース反応酵素がグルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)である、請求項46に記載の組成物。
【請求項49】
前記グルコースデヒドロゲナーゼが補因子と結合されている、請求項48に記載の組成物。
【請求項50】
前記補因子がフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、またはピロロキノリンキノン(PQQ)である、請求項49に記載の組成物。
【請求項51】
前記グルコース反応酵素がグルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)とフラビンアデニン
ジヌクレオチド(FAD)との複合体から成る、請求項46に記載の組成物。
【請求項52】
前記レドックスメディエータがフェリシアニド、フェナントロリンキノン又はフェロセンから成る、請求項46に記載の組成物。
【請求項53】
前記レドックスメディエータが遷移金属錯体から成る、請求項46に記載の組成物。
【請求項54】
前記遷移金属錯体がオスミウムから成る、請求項53に記載の組成物。
【請求項55】
上記の遷移金属錯体が以下の化学式から成り、
【化7】

式中、(i) Mは、ルテニウム、オスミウム又はバナジウムであり、
(ii)Lは以下からなる群から選択され、
【化8】

及び
式中、R1、R2及びR1’は独立に、置換又は非置換のアルキル、アルケニル又はアリ
ール基であり;
3、R4、R5、R6、R3’、R4’、Ra、Rb、Rc及びRdは独立に、−H、−F、−Cl、−Br、−I、−NO2、−CN、−CO2H、−SO3H、−NHNH2、−SH、アリール、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、−OH、アルコキシ、−NH2、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルカノイ
ルアミノ、アリールカルボキサミド、ヒドラジノ、アルキルヒドラジノ、ヒドロキシルアミノ、アルコキシアミノ、アルキルチオ、アルケニル、アリールまたはアルキルであり、
cは−1〜−5又は+1〜+5から選ばれる整数で、正電荷若しくは負電荷を示し、
Xは、少なくとも1つの対イオンを表し、
dは、1〜5の整数で、対イオンの数を表し、
1、L2、L3及びL4は配位子であり、L1はポリマー骨格と結合した複素環式化合物
から成り、
1とL2との組み合わせは、第1の二座配位子を形成する、請求項53に記載の組成物。
【請求項56】
前記遷移金属錯体が以下の化学式から成り、
【化9】

式中、R3、R4、R5、R6、Ra、Rb、Rc、Rd、R3’及びR4’は−Hであり、
1及びR2は独立に、炭素原子数1〜12の置換又は非置換のアルキルであり、
1、R2及びR1’は独立に−H又は置換若しくは非置換の炭素原子数1〜12のアル
コキシ、炭素原子数1〜12のアルキルチオ、炭素原子数1〜12のアルキルアミノ、炭素原子数2〜24のジアルキルアミノ又は炭素原子数1〜12のアルキルである請求項55に記載の組成物。
【請求項57】
1、R2、及びR1’のうちの少なくとも一つがカルボキシ、活性化エステル、スルホ
ニルハライド、スルホナートエステル、イソシアネート、イソチオシアネート、エポキサイド、アジリジン、ハロゲン化物、アルデヒド、ケトン、アミン、アクリルアミド、チオール、アシルアジ化物、ハロゲン化アシル、ヒドラジン、ヒドロキシアミン、ハロゲン化アルキル、イミダゾール、ピリジン、フェノール、アルキルスルホナート、ハロトリアジン、イミドエステル、マレイミド、ヒドラジド、ヒドロキシ及び光反応性アジドアリール基からなる群から選択される反応基から成る、請求項56に記載の組成物。
【請求項58】
前記陽イオンポリマーがポリアリルアミン(PAH)、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリ(L−リジン)(PLL)又はポリ(L−アルギニン)(PLA)である、請求項46に記載の組成物。
【請求項59】
前記レドックスメディエータが陽イオンポリマーと共有結合で結合している、請求項46に記載の組成物。
【請求項60】
前記レドックスメディエータが前記陽イオンポリマーと非共有結合で結合している、請求項46に記載の組成物。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図1】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2012−502689(P2012−502689A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−527002(P2011−527002)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【国際出願番号】PCT/US2009/056702
【国際公開番号】WO2010/030912
【国際公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(500211047)アボット ダイアベティス ケア インコーポレイテッド (43)
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT DIABETES CARE INC.
【Fターム(参考)】