説明

検体検査システム、検体検査方法およびコンピュータプログラム

【課題】より効率的に再検査を行うことが可能な検体検査システムを提供する。
【解決手段】この血液分析装置1(検体検査システム)は、複数の検体容器を保持するラック101を搬送可能な搬送部材を含む検体搬送装置4と、取込位置43aに搬送された検体容器中の検体の測定を行う測定ユニット3と、複数の検体容器が取込位置43aに順次搬送されるように、搬送下流方向(矢印X1方向)にラック101を搬送するよう搬送部材を制御するとともに、測定結果に基づき検体の再検査が必要か否かを判定する制御装置5とを備え、制御装置5は、検体の再検査が必要と判定された場合、搬送方向を搬送下流方向(矢印X1方向)から搬送上流方向(矢印X2方向)に変更し、再検査対象の検体容器が取込位置43aに再度搬送されるように、搬送部材を制御するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体検査システム、検体検査方法およびコンピュータプログラムに関し、特に、複数の検体を保持可能な検体ラックを搬送する搬送装置を備えた検体検査システム、複数の検体を保持可能な検体ラックを搬送する検体検査方法、および、複数の検体を保持可能な検体ラックを搬送するように搬送装置を制御するためのコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の検体を保持可能な検体ラックを搬送する搬送装置を備えた検体検査システムが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、複数の検体を保持するラックを横送りする横送り部(搬送装置)と、横送り部上の横送り開始位置(横送り部の上流側端部)にラックを送り込む係合爪と、横送り部により横送りされたラックの検体を検査する血液分析装置とを備えた検体検査システムが開示されている。この検体検査システムでは、横送り部は、横送り開始位置からラックを順方向に順次横送りすることにより、ラックに保持されている検体をラックに保持されている順に分析装置に供給する。分析装置は、横送り部の略中央の検体供給位置において、検体が供給される都度ラックから検体を取得して分析を実行する。横送り部は、分析装置から検体が取得されると、ラックを検体供給位置からさらに順方向に横送りし、次に保持されている検体を検体供給位置に配置して分析装置に供給する。このようにして分析が実行されていくと、分析の結果、分析装置が検体の再検査が必要であると判定することがある。このとき、再検査が必要であると判定された検体はすでに検体供給位置から順方向に横送りされているため、再検査が必要な検体が再び検体供給位置に位置するようにラックを逆方向に横送りする必要がある。上記特許文献1の検体検査システムでは、このような場合に、一旦横送り開始位置(横送り部の上流側端部)までラックを逆方向に横送りし、それから再びラックを順方向に横送りすることにより、再検査が必要と判定された検体を分析装置(検体供給位置)に供給するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−275567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の検体検査システムでは、再検査のためにラックを逆方向に横送りする際に、再検査が必要な検体が一旦は検体供給位置に位置するにもかかわらず、検体供給位置を通過して横送り開始位置に至るまでラックを搬送しなければならない。さらに、横送り開始位置から再び検体供給位置までラックを順方向に横送りする必要もある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、より効率的に再検査を行うことが可能な検体検査システム、検体検査方法およびコンピュータプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面における検体検査システムは、第1位置と第2位置との間で、第1位置から第2位置に向かう第1方向および第1方向とは逆の第2方向に、複数の検体容器を複数の検体保持位置にそれぞれ保持した検体ラックを搬送可能な搬送部材を含む搬送装置と、搬送部材によって第1位置と第2位置との間の第3位置に搬送された検体容器から検体を取得して検体の測定を行う検査装置と、検体ラックに保持された検体容器が第3位置に搬送されるように、第1位置から第1方向に検体ラックを搬送するように搬送部材を制御する制御装置と、検査装置から検体の測定結果を取得して、その検体の再検査が必要か否かを判定する判定手段とを備え、制御装置は、判定手段によって検体ラックに保持された検体容器の検体の再検査が必要と判定された場合、搬送部材の搬送方向を第1方向から第2方向に変更し、再検査が必要と判定された検体の検体容器が第3位置に再度搬送されるように、搬送部材を制御するように構成されている。
【0008】
この発明の第1の局面による検体検査システムでは、上記のように、判定手段によって検体ラックに保持された検体容器の検体の再検査が必要と判定された場合、搬送部材の搬送方向を第1方向から第2方向に変更し、再検査が必要と判定された検体の検体容器が第3位置に再度搬送されるように搬送部材を制御することによって、検体の再検査が必要な場合に検体ラックを第1位置(搬送開始位置(ラック送り込み位置))まで戻すことなく、再検査が必要な検体容器を第2方向に向かって第3位置(検体取込位置)まで直接搬送することができる。これにより、第3位置を通り過ぎて第1位置まで検体ラックを搬送してから再び検体ラックを第3位置まで第1方向に搬送する場合と比較して、再検査を行う場合の検体ラックの移動距離を第3位置と第1位置とを往復する分だけ短縮することができる。この結果、検体の再検査のための検体ラックの搬送に要する時間を短縮することができるので、効率的に再検査を行うことができる。
【0009】
上記第1の局面による検体検査システムにおいて、制御装置は、再検査が必要と判定された検体の検体容器が第3位置に再度搬送されたときに検体ラックの搬送を停止するよう搬送部材を制御するように構成してもよい。
【0010】
上記第1の局面による検体検査システムにおいて、好ましくは、制御装置は、第1位置から第3位置までの距離に関する情報を記憶する記憶部を含み、搬送装置は、第1位置から検体ラックが移動した距離に関する情報を取得する移動距離取得部をさらに含み、制御装置は、再検査が必要と判定された場合、記憶部に記憶されている第1位置から第3位置までの距離に関する情報と、移動距離取得部によって得られた情報と、再検査が必要と判定された検体の検体容器が保持されている検体保持位置に関する情報とに基づいて、再検査が必要と判定された検体の検体容器が第3位置に再度搬送されるように、搬送部材を制御するように構成されている。このように構成すれば、第1位置から検体ラックの現在位置と、第1位置から第3位置までの距離と、検体ラックにおける再検査が必要な検体の検体容器が保持されている位置とに基づいて、再検査が必要な検体を正確に第3位置に搬送することができる。
【0011】
上記第1の局面による検体検査システムにおいて、好ましくは、制御装置は、検査装置が検体容器から再検査のために検体を取得したのち、搬送部材の搬送方向を第2方向から第1方向に変更し、検査装置による検体の取得が行われていない検体容器が第3位置に搬送されるように、搬送部材を制御するように構成されている。このように構成すれば、検体ラックを第2方向に搬送して検体容器に収容された検体の再検査が行われた後、次に検体の取得が行われる検体容器を迅速に第3位置に搬送することができる。
【0012】
上記第1の局面による検体検査システムにおいて、好ましくは、搬送装置は、第1位置に検体ラックを供給するラック供給部をさらに含み、搬送部材は、第1位置において、ラック供給部によって供給された第1の検体ラックおよび第1の検体ラックに後続して供給される第2の検体ラックを受け入れて搬送可能なように構成されており、制御装置は、判定手段による、第1の検体ラックに保持されている検体容器に収容された検体の再検査が必要か否かの判定結果に基づいて、ラック供給部による第2の検体ラックの第1位置への供給を制御するように構成されている。このように構成すれば、検査の結果、第1の検体ラックを第2方向に送り戻す必要がある再検査の要否に基づいて、第2の検体ラックを第1位置に送り込むことができる。
【0013】
この場合において、好ましくは、制御装置は、第1の検体ラックの複数の検体保持位置のうち、所定の検体保持位置よりも第1方向側の検体保持位置に保持されているすべての検体について再検査が不要であると判定手段により判定されたとき、第2の検体ラックを第1位置に供給するようラック供給部を制御するように構成され、第1の検体ラックの所定の検体保持位置が第3位置にあるとき、第1の検体ラックがラック供給部によって第1位置に供給される第2の検体ラックと干渉しないように構成されている。このように構成すれば、第1の検体ラックについての再検査も含む全ての検査処理が完了する前でも、所定の検体保持位置よりも第1方向側の検体保持位置に保持されているすべての検体について再検査が不要であると判定手段により判定された時点で、後続する第2の検体ラックを第1位置(搬送開始位置(ラック送り込み位置))に供給することができるので、後続する第2の検体ラックの処理を迅速に開始することができる。
【0014】
上記所定の検体保持位置よりも第1方向側の検体保持位置に保持されているすべての検体について再検査が不要であると判定されたとき、第2の検体ラックを第1位置に供給する構成において、好ましくは、判定手段は、再検査による検体の測定が実行された場合、その再検査が実行された検体について再検査が不要であると判定するように構成されている。このように構成すれば、1度再検査を行った検体については、再び再検査を行うことがないので、繰り返し再検査を行う場合に検査処理が滞ってしまうのを防止することができる。その結果、システムの検査処理を効率的に行うことができる。また、再検査による検体の測定が実行された時点でその検体について再検査の要否判定を行うことができるので、所定の検体保持位置よりも第1方向側の検体保持位置に保持されている最後の検体の再検査が実行された場合、その検体の再検査の測定結果が出る前に再検査の要否を不要と判定して、より迅速に第2の検体ラックを第1位置に供給することができる。
【0015】
上記第1の検体ラックの所定の検体保持位置が第3位置にあるとき、第1の検体ラックがラック供給部によって第1位置に供給される第2の検体ラックと干渉しない構成において、好ましくは、ラック供給部は、複数の検体ラックを貯留するための貯留部と、貯留部に貯留されている検体ラックを貯留部から第1位置に向かう第3方向にのみ移動させる移動機構とを含む。このように構成すれば、後続の第2のラックを第1位置に供給した後に第1のラックの検体(所定の検体保持位置の検体または所定の検体保持位置よりも第2方向側の位置に保持された検体)の再検査を行う場合にも、第3位置(検体取込位置)まで第2方向に逆送りする第1のラックと第1位置(搬送開始位置(ラック送り込み位置))に供給された第2のラックとが干渉することがないので、第2のラックを第1位置から貯留部内に退避させる機構を設ける必要がなく、その結果、ラック供給部の移動機構を第3方向にのみ移動させるように構成するだけで済む。これにより、検体の再検査のために第1の検体ラックを直接第3位置(検体取込位置)まで搬送する構成においても、第2のラックを第1位置(搬送開始位置(ラック送り込み位置))から退避させる機能を移動機構に設ける必要がないので、システムの構成を複雑化させることなく迅速な検査処理を行うことができる。
【0016】
上記第1の局面による検体検査システムにおいて、好ましくは、検査装置により検査が行われた検体を収容する検体容器が保持されている検体ラックを回収する回収部と、第2位置に配置された検体ラックを回収部に移動させるラック移送部とをさらに備え、制御装置は、検体ラックに保持されたすべての検体容器中の検体が検査装置により取得されると、その検体ラックを第2位置に搬送するよう搬送装置を制御し、検体ラックに保持されたすべての検体容器中の検体について再検査が不要であると判定されると、第2位置にある検体ラックを回収部に移送するようラック移送部を制御するように構成されている。このように構成すれば、検体ラックに保持された検体について再検査を行う可能性がある場合に検体ラックを第2位置(ラック回収位置)に配置した状態を維持することによって、再検査が必要であれば検体ラックを第2方向に第3位置まで迅速に搬送することができるので、再検査を迅速に行うことができる。一方、検体ラックに保持された検体について再検査が不要であれば、検体ラックを第2位置(ラック回収位置)から速やかに回収することができる。
【0017】
この場合において、好ましくは、搬送装置は、第1位置に検体ラックを供給するラック供給部をさらに含み、搬送部材は、第1位置において、ラック供給部によって供給された第1の検体ラックおよび第1の検体ラックに後続して供給される第2の検体ラックを受け入れて搬送可能なように構成されており、制御装置は、第1の検体ラックを第2位置に搬送するよう搬送装置を制御しながら、並行して、第1の検体ラックに後続する第2の検体ラックに保持されている検体容器を第3位置に搬送するよう搬送装置を制御するように構成されている。このように構成すれば、第1の検体ラックの検体について再検査を行う可能性がある場合に第1の検体ラックを第2位置に搬送しながら、並行して、後続する第2の検体ラックに保持されている検体容器を第3位置に搬送して検体の検査処理を行うことができるので、第1の検体ラックの検体についての検査に引き続いてより迅速に第2の検体ラックの検体の検査を行うことができる。
【0018】
上記第1の局面による検体検査システムにおいて、好ましくは、第1位置と第3位置との間に設けられ、搬送装置によって搬送された検体ラックに保持される検体容器から識別情報を取得する第1の識別情報取得部をさらに備え、検査装置が、第3位置に搬送された検体容器から識別情報を取得する第2の識別情報取得部を含む。このように構成すれば、検体ラックを第3位置に搬送する過程で第1の識別情報取得部により検体容器から識別情報を取得するだけでなく、検体の検査および再検査のために検体容器が第3位置(検体取込位置)に搬送された際にも、第2の識別情報取得部により検体容器から識別情報を取得することができる。
【0019】
この場合において、好ましくは、制御装置は、第3位置に搬送された検体容器について、第1の識別情報取得部により得られた検体容器の識別情報と、第2の識別情報取得部により得られた検体容器の識別情報とが一致するか否かを判定し、識別情報が一致しない場合には、その旨を通知するように構成されている。このように構成すれば、検体ラックを第3位置に搬送する過程で第1の識別情報取得部により得られた識別情報と、検体の検査および再検査のために検体容器が第3位置に搬送された際に第2の識別情報取得部により得られた識別情報とに基づいて、第3位置に配置された検体容器が検査(再検査)対象の検体容器であるか否かを確認することができる。これにより、仮に検査(再検査)対象でない検体容器が誤って第3位置(検体取込位置)に配置されてしまったとしても、検査装置による検査処理を行う前に検査(再検査)対象でない検体容器を判別してその旨をユーザに通知することができる。
【0020】
上記第1の局面による検体検査システムにおいて、好ましくは、制御装置が判定手段を備える。このように構成すれば、制御装置と判定手段とをそれぞれ別個に設ける場合と異なり、制御装置が検査装置から検体の測定結果を取得して再検査の要否判定を行い、その要否判定に基づいて搬送装置の動作制御を行うことができるので、システムの構成を簡素化することができる。
【0021】
上記第1の局面による検体検査システムにおいて、好ましくは、制御装置と通信可能に構成されたホストコンピュータをさらに備え、ホストコンピュータが判定手段を備える。このように構成すれば、ホストコンピュータが検体の測定結果を取得して再検査の要否判定を行い、その要否判定結果を制御装置に送信して、制御装置が受信した要否判定結果に基づいて搬送装置の動作制御を行うことができるので、ホストコンピュータを用いて制御装置の処理負荷を軽減させることができる。
【0022】
この発明の第2の局面における検体検査方法は、複数の検体容器を保持した検体ラックを、検体ラックに保持された検体容器が第1位置と第2位置との間の第3位置に搬送されるように、第1位置から第2位置に向かう第1方向に検体ラックを搬送する工程と、第3位置に搬送された検体容器から検体を取得して検体の測定を行う工程と、検体の測定結果を取得して、その検体の再検査が必要か否かを判定する工程と、検体ラックに保持された検体容器の検体の再検査が必要と判定された場合、搬送方向を第1方向から第1方向とは逆の第2方向に変更し、再検査が必要と判定された検体の検体容器を第3位置に再度搬送する工程とを備える。
【0023】
この発明の第2の局面による検体検査方法では、上記のように、検体ラックに保持された検体容器の検体の再検査が必要と判定された場合、搬送方向を第1方向から第1方向とは逆の第2方向に変更し、再検査が必要と判定された検体の検体容器を第3位置に再度搬送することによって、検体の再検査が必要な場合に検体ラックを第1位置(搬送開始位置(ラック送り込み位置))まで戻すことなく、再検査が必要な検体容器を第2方向に向かって第3位置(検体取込位置)まで直接搬送することができる。これにより、第3位置を通り過ぎて第1位置まで検体ラックを搬送してから再び検体ラックを第3位置まで第1方向に搬送する場合と比較して、再検査を行う場合の検体ラックの移動距離を第3位置と第1位置とを往復する分だけ短縮することができる。この結果、検体の再検査のための検体ラックの搬送に要する時間を短縮することができるので、効率的に再検査を行うことができる。
【0024】
この発明の第3の局面におけるコンピュータプログラムは、コンピュータを、搬送装置によって、検体ラックに保持された検体容器が第1位置と第2位置との間の第3位置に搬送されるように、第1位置から第2位置に向かう第1方向に検体ラックを搬送する搬送手段と、検査装置によって、第3位置に搬送された検体容器から検体を取得して検体の測定を行う検査手段と、検体の測定結果を取得して、その検体の再検査が必要か否かを判定する判定手段と、検体ラックに保持された検体容器の検体の再検査が必要と判定された場合、搬送方向を第1方向から第1方向とは逆の第2方向に変更し、再検査が必要と判定された検体の検体容器を第3位置に再度搬送するように搬送装置を制御する制御手段として機能させる。
【0025】
この発明の第3の局面によるコンピュータプログラムでは、上記のように、検体ラックに保持された検体容器の検体の再検査が必要と判定された場合、搬送方向を第1方向から第1方向とは逆の第2方向に変更し、再検査が必要と判定された検体の検体容器を第3位置に再度搬送するように搬送装置を制御することによって、検体の再検査が必要な場合に検体ラックを第1位置(搬送開始位置(ラック送り込み位置))まで戻すことなく、再検査が必要な検体容器を第2方向に向かって第3位置(検体取込位置)まで直接搬送することができる。これにより、第3位置を通り過ぎて第1位置まで検体ラックを搬送してから再び検体ラックを第3位置まで第1方向に搬送する場合と比較して、再検査を行う場合の検体ラックの移動距離を第3位置と第1位置とを往復する分だけ短縮することができる。この結果、検体の再検査のための検体ラックの搬送に要する時間を短縮することができるので、効率的に再検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態による血液分析装置の全体構成を示した斜視図である。
【図2】図1に示した一実施形態による血液分析装置の測定ユニットおよび検体搬送装置を示す概略図である。
【図3】図1に示した一実施形態による血液分析装置の測定ユニットおよび検体搬送装置を示す斜視図である。
【図4】図1に示した一実施形態による血液分析装置のラックおよびサンプル容器を示す斜視図である。
【図5】図1に示した一実施形態による血液分析装置の検体搬送装置を説明するための概略図である。
【図6】図1に示した一実施形態による血液分析装置の検体搬送装置を説明するための平面図である。
【図7】図1に示した一実施形態による血液分析装置の検体搬送装置を説明するための側面図である。
【図8】図1に示した一実施形態による血液分析装置の検体搬送装置を説明するための側面図である。
【図9】図1に示した一実施形態による血液分析装置の制御装置を説明するためのブロック図である。
【図10】図1に示した一実施形態による血液分析装置の測定処理プログラムによる測定処理動作を説明するためのフロー図である。
【図11】図10に示した測定処理動作におけるバーコード二次読取処理(サブルーチン)を説明するためのフロー図である。
【図12】図1に示した一実施形態による血液分析装置のサンプラ動作処理プログラムに基づく先行ラックの搬送処理を説明するためのフロー図である。
【図13】図1に示した一実施形態による血液分析装置のサンプラ動作処理プログラムに基づく後行ラックの搬送処理を説明するためのフロー図である。
【図14】図13に示した後行ラックの搬送処理における割り込み再検査処理(サブルーチン)を説明するためのフロー図である。
【図15】図12に示した先行ラックの搬送処理および図13に示した後行ラックの搬送処理におけるバーコード一次読取に伴うオーダ問い合わせ処理を説明するためのフロー図である。
【図16】図1に示した一実施形態による血液分析装置のラックおよびサンプル容器と各部との位置関係を示す図である。
【図17】図1に示した一実施形態による血液分析装置のラックおよびサンプル容器と各部との位置関係を示す図である。
【図18】図1に示した一実施形態による血液分析装置のラックおよびサンプル容器と各部との位置関係を示す図である。
【図19】図1に示した一実施形態による血液分析装置のラックおよびサンプル容器と各部との位置関係を示す図である。
【図20】図1に示した一実施形態による血液分析装置のラックおよびサンプル容器と各部との位置関係を示す図である。
【図21】図1に示した一実施形態による血液分析装置のラックおよびサンプル容器と各部との位置関係を示す図である。
【図22】図1に示した一実施形態による血液分析装置のラックおよびサンプル容器と各部との位置関係を示す図である。
【図23】図1に示した一実施形態による血液分析装置のラックおよびサンプル容器と各部との位置関係を示す図である。
【図24】図1に示した一実施形態による血液分析装置のラックおよびサンプル容器と各部との位置関係を示す図である。
【図25】図1に示した一実施形態による血液分析装置のラックおよびサンプル容器と各部との位置関係を示す図である。
【図26】図1に示した一実施形態による血液分析装置の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
まず、図1〜図9を参照して、本発明の一実施形態による血液分析装置1の全体構成について説明する。なお、本実施形態では、検体検査システムの一例である血液分析装置に本発明を適用した場合について説明する。
【0029】
本実施形態による血液分析装置1は、ホストコンピュータ2(図2参照)に接続されるとともに、図1に示すように、測定ユニット3と、測定ユニット3の前面側(矢印Y1方向側)に配置された検体搬送装置(サンプラ)4と、測定ユニット3および検体搬送装置4に電気的に接続されたPC(パーソナルコンピュータ)からなる制御装置5とを備えている。
【0030】
また、測定ユニット3は、図2に示すように、検体である血液をサンプル容器(試験管)100から吸引する検体吸引部31と、検体吸引部31により吸引した血液から検出用試料を調製する試料調製部32と、試料調製部32により調製された検出用試料から血液の血球を検出する検出部33とを含んでいる。
【0031】
また、測定ユニット3は、検体吸引部31や試料調製部32などを内部に収容するユニットカバー34と、サンプル容器100をユニットカバー34の内部に取り込み、検体吸引部31による吸引位置700までサンプル容器100を搬送するサンプル容器搬送部35と、吸引位置700でサンプル容器100を固定保持する固定保持部36とをさらに含んでいる。
【0032】
検体吸引部31は、図2に示すように、ピアサ311を含んでいる。ピアサ311は、先端がサンプル容器100の後述する密閉蓋100a(図4参照)を貫通(穿刺)可能なように形成されている。また、ピアサ311は、図示しないピアサ駆動部により鉛直方向(矢印Z1およびZ2方向)に移動されるように構成されている。
【0033】
検出部33は、RBC検出(赤血球の検出)およびPLT検出(血小板の検出)をシースフローDC検出法により行うとともに、HGB検出(血液中の血色素の検出)をSLS−ヘモグロビン法により行うように構成されている。また、検出部33は、WBC検出(白血球の検出)を半導体レーザを使用したフローサイトメトリー法により行うようにも構成されている。また、検出部33で得られた検出結果は、検体の測定データ(測定結果)として、制御装置5に送信される。なお、この測定データは、ユーザに提供される最終的な分析結果(赤血球数、血小板数、ヘモグロビン量、白血球数など)のもととなるデータである。
【0034】
サンプル容器搬送部35は、図3に示すように、サンプル容器100を把持することが可能なハンド部351と、ハンド部351を開閉させる開閉部352と、ハンド部351を鉛直方向(矢印Z1およびZ2方向)に直線移動させる鉛直移動部353と、ハンド部351を鉛直方向(矢印Z1およびZ2方向)に振り子状に移動させる攪拌部354とを有している。さらに、サンプル容器搬送部35は、図2に示すように、サンプル容器100を矢印Y1およびY2方向に水平移動させるサンプル容器移送部355と、バーコード読取部356とを有している。
【0035】
ハンド部351は、検体搬送装置4が搬送するラック101の搬送路の上方に配置されている。また、ハンド部351は、検体搬送装置4により後述する取込位置43a(図2参照)にサンプル容器100が搬送されると、下方(矢印Z2方向)に移動した後、開閉部352により開閉されてラック101に収容されたサンプル容器100を把持するように構成されている。
【0036】
また、ハンド部351は、把持したサンプル容器100を上方(矢印Z1方向)に移動することによりラック101からサンプル容器100を取り出し、その後、攪拌部354により振り子状に移動される(たとえば、10往復)ように構成されている。これにより、ハンド部351は、把持するサンプル容器100内の血液を攪拌することが可能である。また、攪拌終了後、ハンド部351は、下方(矢印Z2方向)に移動した後、開閉部352によりサンプル容器100の把持を開放するように構成されている。具体的には、ハンド部351は、サンプル容器移送部355により検体セット位置710(図2参照)に移動された第1検体セット部355aに、サンプル容器100をセットするように構成されている。なお、図2に示すように、平面的に見て、取込位置43aと検体セット位置710とは重なるように配置されている。
【0037】
開閉部352は、エアシリンダ352aによる動力により、サンプル容器100を把持するようにハンド部351を開閉するように構成されている。
【0038】
鉛直移動部353は、ステッピングモータ353aによる動力により、レール353bに沿ってハンド部351を鉛直方向(矢印Z1およびZ2方向)に移動するように構成されている。
【0039】
攪拌部354は、図示しないステッピングモータによる動力により、ハンド部351を鉛直方向(矢印Z1およびZ2方向)に振り子状に移動するように構成されている。
【0040】
サンプル容器移送部355は、図1に示すように、第1検体セット部355aを有し、第1検体セット部355aを測定処理の動作に応じた所定の位置に移動させることが可能である。具体的には、サンプル容器移送部355により、各検体セット部を、図2に示す吸引位置700と、検体セット位置710とに配置させることが可能である。
【0041】
バーコード読取部356は、各サンプル容器100に貼付された図4に示すバーコード100bを読み取るように構成されている。また、各サンプル容器100のバーコード100bは、各検体に固有に付されたものであり、各検体の分析結果の管理などに使用される。
【0042】
固定保持部36は、吸引位置700に移送されたサンプル容器100を固定保持するように構成されている。具体的には、固定保持部36は、図2に示すように、一対のチャック部361を有し、一対のチャック部361が互いに近接移動してサンプル容器100を挟持するように構成されている。
【0043】
また、図2および図3に示すように、検体搬送装置4は、分析が行われる前の検体を収容するサンプル容器100が収容された複数のラック101を保持することが可能な分析前ラック保持部41と、分析が行われた後の検体を収容するサンプル容器100が収容された複数のラック101を保持することが可能な分析後ラック保持部42と、ラック101を矢印X1およびX2方向に横送りするラック搬送部43と、バーコード読取部44と、サンプル容器100の有無を検知する有無検知センサ45(図2参照)と、分析後ラック保持部42内にラック101を移動するラック送出部46と、ラック101に保持されたサンプル容器100内に収容されている検体(血液)の検体量を検知する図示しない検体量検知部とを含んでいる。
【0044】
分析前ラック保持部41は、ラック送込部411を有し、ラック送込部411が矢印Y2方向に移動することによって、分析前ラック保持部41に保持されたラック101を1つずつラック搬送部43上のラック送込位置43b(図2参照)に押し出すように構成されている。また、ラック送込部411は、ラック搬送部43側(矢印Y2方向側)にのみラック101を移動可能に構成されている。すなわち、分析前ラック保持部41には、ラック搬送部43上のラック101を分析前ラック保持部41側に戻すためのラック戻し機構が設けられていない。また、ラック送込部411は、分析前ラック保持部41の下方に設けられたステッピングモータ413(図2参照)によって駆動するように構成されている。また、分析前ラック保持部41は、ラック搬送部43近傍に規制部412(図3参照)を有し、一度ラック搬送部43上に押し出されたラック101が分析前ラック保持部41内に戻されないようにラック101の移動を規制するように構成されている。
【0045】
分析後ラック保持部42は、ラック搬送部43の近傍に規制部421(図3参照)を有し、一度分析後ラック保持部42内に移動されたラック101がラック搬送部43側に戻されないようにラック101の移動を規制するように構成されている。
【0046】
ラック搬送部43は、図2に示すように、ラック送込位置43bに送り込まれたラック101を、後述するラック回収位置43dに向かって搬送する際の搬送下流方向(矢印X1方向)に横送りすることにより、ラック101に保持された所定のサンプル容器100を、測定ユニット3に検体を提供する取込位置43aと、検知位置43cとに順次配置するように構成されている。検知位置43cでは、有無検知センサ45によるサンプル容器100の有無検知と、バーコード読取部44によるサンプル容器100のバーコード100bの読み取りと、図示しない検体量検知部によるサンプル容器100内の検体(血液)の検体量検知とが順次行われる。また、ラック搬送部43は、ラック101を分析後ラック保持部42とラック送出部46とに挟まれたラック搬送部43上のラック回収位置43dまで横送り可能に構成されている。また、取込位置43aは、図5に示すように、ラック101をラック送込位置43bからラック回収位置43dに向かって搬送する際のラック101の搬送方向上流側(矢印X2方向側)の端部がラック送込位置43bの搬送方向下流側(矢印X1方向側)の端部に到達する送込可能限界位置(ラック送込位置43bまでは到達しない限界の位置)43eにラック101を配置させた場合に、搬送方向下流側(矢印X1方向側)から数えて7番目の容器収容部101bに保持されたサンプル容器100の位置に配置されている。すなわち、後行ラック101がラック送込位置43bに送り込まれている状態でも、先行ラック101の7番目以降のサンプル容器100を測定ユニット3に取り込むことが可能である。
【0047】
また、図6に示すように、ラック搬送部43は、互いに独立して動くことが可能な第1ベルト431および第2ベルト432の2つのベルトを有している。また、第1ベルト431および第2ベルト432の矢印Y1およびY2方向の幅b1およびb2は、それぞれラック101の矢印Y1およびY2方向の幅Bの半分以下の大きさである。これにより、ラック搬送部43がラック101を搬送する際に、第1ベルト431および第2ベルト432は、ともにラック101の幅Bからはみ出ないように並列に配置される。また、図7および図8に示すように、第1ベルト431および第2ベルト432は、環状に形成されており、それぞれローラ431a、431b、431c、および、ローラ432a、432b、432cを取り囲むように配置されている。また、第1ベルト431および第2ベルト432の外周部には、ラック101の矢印X1およびX2方向の幅Wよりも若干(たとえば、約1mm)大きい内幅w1(図7参照)およびw2(図8参照)を有するように突起片431dおよび432dがそれぞれ2つずつ形成されている。第1ベルト431は、突起片431dの内側にラック101を保持した状態において、ステッピングモータ431e(図3参照)によりローラ431a〜431cの外周を移動されることによって、ラック101を矢印X1およびX2方向に移動するように構成されている。ステッピングモータ431eはその内部にエンコーダ431f(図3参照)を備える。ステッピングモータ431eの駆動量はエンコーダ431fによってパルス数として制御部51に入力され、ROM51bまたはRAM51cに逐次記憶される。また、第2ベルト432は、突起片432dの内側にラック101を保持した状態において、ステッピングモータ432e(図3参照)によりローラ432a〜432cの外周を移動されることによって、ラック101を矢印X1およびX2方向に移動するように構成されている。ステッピングモータ432eはその内部にエンコーダ432f(図3参照)を備える。ステッピングモータ432eの駆動量はエンコーダ432fによってパルス数として制御部51に入力され、ROM51bまたはRAM51cに逐次記憶される。また、第1ベルト431および第2ベルト432は、それぞれ、互いに独立してラック101を移動することが可能なように構成されている。すなわち、2つのラック101がラック搬送部43上で互いに独立して移動可能である。
【0048】
バーコード読取部44は、検知位置43cに搬送されたサンプル容器100のバーコード100b(図4参照)を読み取るとともに、ラック101に貼付されたバーコード101aを読み取るように構成されている。また、バーコード読取部44は、図示しない回転装置によって対象のサンプル容器100をラック101に収容したまま水平方向に回転させながらバーコード100bを読み取るように構成されている。これにより、サンプル容器100のバーコード100bがバーコード読取部44に対して反対側に貼付されている場合にも、バーコード100bをバーコード読取部44側に向けることが可能である。また、ラック101のバーコード101aは、各ラックに固有に付されたものであり、検体の分析結果の管理などに使用される。
【0049】
有無検知センサ45は、接触型のセンサであり、のれん形状の接触片、光を出射する発光素子および受光素子を有している。有無検知センサ45は、接触片が検知対象の被検知物に当接されることにより屈曲され、その結果、発光素子から出射された光が接触片により反射されて受光素子に入射されるように構成されている。これにより、有無検知センサ45の下方(検知位置43c)をラック101に収容された検知対象のサンプル容器100が通過する際に、接触片がサンプル容器100により屈曲されて、サンプル容器100の有無を検知することが可能である。
【0050】
ラック送出部46は、ラック搬送部43のラック回収位置43dを挟んで分析後ラック保持部42に対向するように配置されており、矢印Y1方向に水平に移動するように構成されている。また、ラック送出部46は、矢印Y1方向に水平移動することによって、ラック回収位置43dに配置されたラック101を分析後ラック保持部42側に押し出すように構成されている。ラック送出部46の近傍にはステッピングモータ461(図2参照)が設けられており、ラック送出部46はステッピングモータ461が駆動することによりラック101を分析後ラック保持部42に移送する。
【0051】
ここで、本実施形態では、検体搬送装置4は、ラック101上のすべての検体(血液)について再検査が必要か否かの判定結果が出るまで、ラック101をラック搬送部43上に載置した状態を維持するように構成されている。具体的には、すべてのサンプル容器100がラック101の所定の位置に戻された後すべての検体について再検査の要否判定が終了するまで、ラック101は分析後ラック保持部42に移動されることなく、ラック搬送部43上のラック回収位置43dに配置されたままとなる。これにより、再検査が必要な場合に、ラック搬送部43によりラック101を搬送上流方向(矢印X2方向)に迅速に送り戻すことが可能であるので、ラック101上の所定のサンプル容器100を迅速に取込位置43aに配置させることが可能となる。
【0052】
また、検体搬送装置4は、後述するように、ラック(先行ラック)101上の搬送方向下流側(矢印X1方向側)から数えて6番目までのサンプル容器100の検体について再検査の必要がないと判定された後、次のラック(後行ラック)101を分析前ラック保持部41からラック搬送部43上のラック送込位置43bに送り込むように制御装置5により制御されるように構成されている。このように構成することにより、後行ラック101を分析前ラック保持部41に戻すことなく、先行ラック101上のすべてのサンプル容器100の検体について再検査を行うことができる。また、後行ラック101の検体について、先行ラック101の検体に引き続いて迅速に検体処理を行うことができるので、先行ラック101の検体の再検査の判定待ちにより検体処理が滞ることを抑制することが可能である。
【0053】
制御装置5は、図1、図2および図9に示すように、パーソナルコンピュータ(PC)などからなり、CPU、ROM、RAMなどからなる制御部51(図9参照)と、表示部52と、入力デバイス53とを含んでいる。また、表示部52は、測定ユニット3から送信されたデジタル信号のデータを分析して得られた分析結果などを表示するために設けられている。
【0054】
また、制御装置5は、図9に示すように、制御部51と、表示部52と、入力デバイス53とから主として構成されたコンピュータ500によって構成されている。制御部51は、CPU51aと、ROM51bと、RAM51cと、ハードディスク51dと、読出装置51eと、入出力インタフェース51fと、通信インタフェース51gと、画像出力インタフェース51hとから主として構成されている。CPU51a、ROM51b、RAM51c、ハードディスク51d、読出装置51e、入出力インタフェース51f、通信インタフェース51g、および画像出力インタフェース51hは、バス51iによって接続されている。
【0055】
CPU51aは、ROM51bに記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM51cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、後述するようなアプリケーションプログラム54aおよび54bをCPU51aが実行することにより、コンピュータ500が制御装置5として機能する。
【0056】
ROM51bは、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROMなどによって構成されており、CPU51aに実行されるコンピュータプログラムおよびこれに用いるデータなどが記録されている。
【0057】
RAM51cは、SRAMまたはDRAMなどによって構成されている。RAM51cは、ROM51bおよびハードディスク51dに記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU51aの作業領域として利用される。
【0058】
ハードディスク51dは、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムなど、CPU51aに実行させるための種々のコンピュータプログラムおよびそのコンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。測定ユニット3用の測定処理プログラム54a、および、検体搬送装置4用のサンプラ動作処理プログラム54bも、このハードディスク51dにインストールされている。CPU51aにより、これらのアプリケーションプログラム54aおよび54bを実行することによって、測定ユニット3および検体搬送装置4の各部の動作が制御される。また、ハードディスク51dには、測定結果データベース54cもインストールされている。
【0059】
読出装置51eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブなどによって構成されており、可搬型記録媒体54に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体54には、アプリケーションプログラム54aおよび54bが格納されており、コンピュータ500がその可搬型記録媒体54からアプリケーションプログラム54aおよび54bを読み出し、そのアプリケーションプログラム54aおよび54bをハードディスク51dにインストールすることが可能である。
【0060】
なお、上記アプリケーションプログラム54aおよび54bは、可搬型記録媒体54によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ500と通信可能に接続された外部の機器から上記電気通信回線を通じて提供することも可能である。たとえば、上記アプリケーションプログラム54aおよび54bがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ500がアクセスして、そのアプリケーションプログラム54aおよび54bをダウンロードし、これをハードディスク51dにインストールすることも可能である。
【0061】
また、ハードディスク51dには、たとえば、米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)などのグラフィカルユーザインタフェース環境を提供するオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、アプリケーションプログラム54aおよび54bは上記オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0062】
入出力インタフェース51fは、たとえば、USB、IEEE1394、RS−232Cなどのシリアルインタフェース、SCSI、IDE、IEEE1284などのパラレルインタフェース、およびD/A変換器、A/D変換器などからなるアナログインタフェースなどから構成されている。入出力インタフェース51fには、入力デバイス53が接続されており、ユーザがその入力デバイス53を使用することにより、コンピュータ500にデータを入力することが可能である。
【0063】
通信インタフェース51gは、たとえば、Ethernet(登録商標)インタフェースである。コンピュータ500は、その通信インタフェース51gにより、所定の通信プロトコルを使用して測定ユニット3、検体搬送装置4およびホストコンピュータ2との間でデータの送受信が可能である。
【0064】
画像出力インタフェース51hは、LCDまたはCRTなどで構成された表示部52に接続されており、CPU51aから与えられた画像データに応じた映像信号を表示部52に出力するようになっている。表示部52は、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示するように構成されている。
【0065】
制御部51は、上記した構成により、測定ユニット3から送信された測定結果を用いて分析対象の成分を解析するとともに、分析結果(赤血球数、血小板数、ヘモグロビン量、白血球数など)を取得するように構成されている。また、制御部51は、CPU51aにより、測定ユニット3による測定結果に基づいて検体(血液)の再検査が必要か否かを判定するように構成されている。また、本実施形態では、CPU51aによりラック101に保持されたサンプル容器100の検体の再検査が必要と判定された場合、CPU51aは、検体搬送装置4の各部を制御することにより割り込み的に再検査を実施するように構成されている。具体的には、図5に示すように、再検査を行う場合、CPU51aは、そのラック101を搬送する第1ベルト431(図6参照)または第2ベルト432(図6参照)の搬送方向を搬送下流方向(矢印X1方向)から搬送上流方向(矢印X2方向)に変更し、再検査対象のサンプル容器100が搬送上流方向(矢印X2方向)に向かって取込位置43aまで再度搬送されるように、検体搬送装置4を制御する。これにより、再検査対象のサンプル容器100が、搬送下流方向(矢印X1方向)側から取込位置43aまで直接搬送されるように構成されている。
【0066】
制御部51は、ラック101をラック搬送部43上の各位置(検知位置43c、取込位置43a、およびラック回収位置43d)に搬送するためにステッピングモータ431e(432e)を制御するための各位置に対応するパルス数を記憶している。より詳細には、ハードディスク51dに記憶されているサンプラ動作処理プログラム54bには、ラック101がラック送込位置43bにあるときにラック101の搬送方向下流側の端部(以下、ラック原点ともいう)が配置される位置(以下、初期位置ともいう)のパルス数を0としたときの、ラック搬送部43上の各位置(検知位置43c、取込位置43a、およびラック回収位置43d)までの距離がパルス数に換算されて組み込まれている。また、サンプラ動作処理プログラム54bには、ラック原点からラック101の各検体保持位置までの距離がパルス数に換算されて組み込まれている。また、上述のとおり、ラック101の初期位置からの移動距離に相当するステッピングモータ431e(432e)の駆動量は、パルス数としてエンコーダ431f(432f)によって制御部51に入力され、逐次制御部51(ROM51bまたはRAM51c)に記憶されるようになっている。制御部51は、このような構成により、パルス数に基づいてステッピングモータ431e(432e)を制御し、ラック101の搬送を制御する。以下、制御部51によるラック101の搬送について、再検査が必要と判定された場合を例に説明する。
【0067】
ここでは、図21の状態19を参照し、ラック101の8番目の検体容器が取込位置43aにあるときに、6番目の検体容器の検体について再検査が必要であると判定された場合を例に説明する。
【0068】
サンプラ動作処理プログラム54bには、初期位置から取込位置43aまでの距離に相当するパルス数Aと、検体ラックのラック原点から6番目の検体保持位置までの距離に相当するパルス数Bとが組み込まれている。図21の状態19において、6番目の検体容器を取込位置43aに搬送するためにステッピングモータ431e(432e)に供給すべきパルス数Xは、ラック101が初期位置から図21の状態19に示した位置まで移動した距離に相当するパルス数をCとしたとき、
X=A−(B+C)
によって求まる。
【0069】
そこで、CPU51aは、エンコーダ431f(432f)によって入力され記憶されているラック101の初期位置からの移動量に相当するパルス数(C)を読み出し、上記式に基づいてパルス数(X)を算出する。なお、初期位置から搬送方向下流側(X1方向側)に向かう距離に相当するパルス数を正とし、上流側(X2方向側)に向かう距離に相当するパルス数を負としたときには、上記式によって得られるパルス数Xは負になる。
【0070】
CPU51aは、得られたパルス数Xだけ駆動するようステッピングモータ431e(432e)を制御する。ここで、パルス数Xが負のときには、CPU51aは、ローラ431a〜431c(432a〜432c)を逆回転させるようにステッピングモータ431e(432e)を制御する。これにより第1ベルト431(第2ベルト432)によるラック101の搬送方向が上流側(X1方向)から下流側(X2方向)に切り替わり、図21の状態20に示すように、6番目の検体容器が取込位置43aに向かって搬送され、状態21に示すように、6番目の検体容器が取込位置43aに搬送されたときに、搬送が停止する。
【0071】
ラック101には、図4に示すように、10本のサンプル容器100を一列に収容可能なように10個の容器収容部101bが形成されている。また、各容器収容部101bには、それぞれ、収容したサンプル容器100のバーコード100bが視認可能なように開口部101cが設けられている。
【0072】
次に、図2、図4、図10、図11および図15を参照して、本実施形態による血液分析装置1の測定処理プログラム54aによる測定処理動作を説明する。この図10に示した測定処理動作は、血液分析装置1の制御装置5(CPU51a)が、測定処理プログラム54aに基づき、測定ユニット3の各部(検体吸引部31、試料調製部32、検出部33、サンプル容器搬送部35および固定保持部36)の動作制御を行うことにより実行される。
【0073】
まず、ステップS1において、検体搬送装置4により取込位置43aに搬送されたサンプル容器100が測定ユニット3のサンプル容器搬送部35によりラック101から取得され、取得されたサンプル容器100が測定ユニット3の内部へ取り込まれる。そして、ステップS2において、取り込まれたサンプル容器100がサンプル容器搬送部35のサンプル容器移送部355により検体セット位置710(図2参照)から吸引位置700(図2参照)に移動される間に、バーコード読取部356によるバーコード二次読取が行われる。ここで、図11を参照して、バーコード二次読取処理について詳細に説明する。
【0074】
バーコード二次読取処理では、まず、ステップS11において、バーコード読取部356によりサンプル容器100に貼付されたバーコード100b(図4参照)が読み取られることにより、読み取られたサンプル容器100に収容された検体の識別情報(検体ID)が取得される。次に、ステップS12において、制御装置5のCPU51aにより、検体搬送装置4の検知位置43c(図2参照)においてバーコード読取部44がサンプル容器100のバーコード100b(図4参照)を読み取ること(バーコード一次読取)により取得された識別情報(検体ID)と、ステップS11においてバーコード読取部356により取得された識別情報(検体ID)とが一致するか否かが判定される。これにより、検体搬送装置4のバーコード読取部44により取得された識別情報(検体ID)に基づいて確認された測定対象の検体が、正しく測定ユニット3に取り込まれたか否かを判定することが可能である。バーコード読取部356により取得された識別情報(検体ID)が測定対象とされた検体の識別情報(検体ID)と一致する場合には、ステップS13に進み、その識別情報(検体ID)に基づいて、後述するオーダ問い合わせ処理(図15参照)において取得された測定オーダ(測定項目などの分析処理の内容)が確認される。そして、図10のステップS3以降の処理に進む。
【0075】
また、ステップS12においてバーコード読取部356により取得された識別情報(検体ID)が測定対象とされた検体の識別情報(検体ID)と一致しない場合には、ステップS14に進み、制御装置5のCPU51aによりエラー処理が実行される。具体的には、サンプル容器搬送部35により測定ユニット3の内部に取り込まれたサンプル容器100が元のラック101に返却される。そして、バーコード読取部356により取得された識別情報(検体ID)が測定対象とされた検体の識別情報(検体ID)と一致しない旨が、制御装置5の表示部52に表示されることにより使用者に対して通知される。その後、血液分析装置1の処理動作が停止される。以上によりバーコード二次読取処理が終了する。
【0076】
バーコード二次読取が終了すると、図10のステップS3において、吸引位置700(図2参照)まで搬送されたサンプル容器100から検体吸引部31により検体の吸引が行われる。そして、ステップS4において、サンプル容器搬送部35により、検体吸引後のサンプル容器100が測定ユニット3の外部へ移動されるとともに、ラック101の元の容器収容部101bに返却される。ステップS5では、吸引した検体から試料調製部32により検出用試料が調製され、ステップS6で、検出用試料から分析対象の成分が検出部33により検出される。そして、ステップS7で、測定データが、測定ユニット3から制御装置5に送信される。その後、ステップS8において、測定ユニット3から送信される測定結果に基づいて、制御部51により分析対象の成分が解析される。このステップS8の測定データ解析処理では、制御装置5のCPU51aにより、測定ユニット3から取得された検体の測定結果に基づいて、その検体について再検査が必要か否かの再検査要否判定が行われる。ここで、再検査が必要と判定された検体は、CPU51aにより再検査フラグを含む分析結果が生成され、後述する割り込み再検査の対象となる。再検査が不要と判定された検体は、CPU51aにより再検査フラグを含まない分析結果が生成され、その検体についての検査処理が終了する。なお、本実施形態では、再検査が行われた検体について、再度再検査(2回目の再検査)が行われることはない。すなわち、分析装置5(CPU51a)による再検査要否判定では、再検査が実行された検体に対しては再検査が不要であると判定される。このステップS8により、検体の分析が完了され、その検体についての1回の測定処理動作が終了される。なお、ここでは再検査の場合を例にとって説明したが、上記の処理は検体ラック101の搬送を実行する全ての場合に適用される。
【0077】
次に、図2、図10〜図12および図15〜図25を参照して、本実施形態による血液分析装置1の制御装置5(CPU51a)によって実行されるサンプラ動作処理プログラム54bに基づく先行ラック101の搬送処理について説明する。この図12に示した先行ラック101の搬送処理は、血液分析装置1の制御装置5(CPU51a)が、サンプラ動作処理プログラムに基づき、検体搬送装置4の各部(分析前ラック保持部41のステッピングモータ413、ラック搬送部43のステッピングモータ431eおよびステッピングモータ432e、ラック送出部46を駆動するステッピングモータ461など)の動作制御を行うことにより実行される。ここで、先行ラック101とは、ラック搬送部43上のラック送込位置43bに分析前ラック保持部41から先に送り込まれたラック101のことであり、後行ラック101とは、ラック搬送部43に先行ラック101がある状態で、後から送り込まれたラック101のことである。なお、血液分析装置1のサンプラ動作処理プログラム54bは、上記した測定処理プログラム54aと並行して実行される。
【0078】
まず、図12のステップS21において、検体搬送装置4の初期化が行われる。この際、第1ベルト431の突起片431dが所定の位置に移動され、第1ベルト431の原点位置としてセットされる。そして、2つの突起片431dがラック送込位置43bに対応する位置まで移動され、先行ラック101が第1ベルト431の2つの突起片431dの間に送り込まれる。これにより、図16の状態1に示すように、先行ラック101がラック送込位置43bに配置される。
【0079】
次に、ステップS22において、先行ラック101が搬送下流方向(矢印X1方向)に横送りされることによって、先行ラック101の1番目のサンプル容器100から順に、検知位置43cでサンプル容器100の有無検知、バーコード100bの読み取り(バーコード一次読取)、および、サンプル容器100内の検体の検体量検知が行われ、取込位置43aでハンド部351により測定ユニット3内に検体が取り込まれる。具体的には、図16の状態2および3に示すように、先行ラック101が搬送下流方向(矢印X1方向)に横送りされることによって、1番目のサンプル容器100が検知位置43cに搬送され、所定の処理が実行される。その後、さらに先行ラック101が搬送下流方向(矢印X1方向)に横送りされ、図16の状態4に示すように、2番目のサンプル容器100が検知位置43cに搬送され、所定の処理が実行される。具体的には、検知位置43cにおいて、バーコード読取部44(図2参照)による各サンプル容器100のバーコード100bの読み取り(バーコード一次読取)が順次行われることにより、ラック101の搬送処理と並行して制御装置5(CPU51a)によるオーダ問い合わせ処理が実行される。ここで、図15を参照して、制御装置5(CPU51a)によるオーダ問い合わせ処理を説明する。
【0080】
図15に示すように、オーダ問い合わせ処理では、ステップS71において、検知位置43cに配置されたサンプル容器100のバーコード100bがバーコード読取部44により読み取られる(バーコード一次読取)。次に、ステップS72において、読み取られたデータがバーコード読取部44から制御装置5に送信され、制御装置5のCPU51aにより、読み取られたサンプル容器100に収容された検体の識別情報(検体ID)が取得される。そして、ステップS73において、CPU51aにより、ホストコンピュータ2に対して、取得された検体の識別情報(検体ID)に対応する測定オーダ(測定項目などの分析ユニット3による分析処理の内容)の問い合わせが行われる。そして、ステップS74において、CPU51aにより、取得された検体の識別情報(検体ID)に対応する測定オーダがホストコンピュータ2から取得され、識別情報(検体ID)とその識別情報(検体ID)に対応する測定オーダとが制御装置5のRAM51cに記憶される。なお、図10のステップS2に示したバーコード二次読取処理(図11参照)では、このオーダ問い合わせ処理においてRAM51cに記憶された識別情報(検体ID)とその検体IDに対応する測定オーダとが用いられる。以上により、オーダ問い合わせ処理が終了し、バーコード一次読取が行われる度にそのサンプル容器100の識別情報(検体ID)と測定オーダとが制御装置5により取得される。
【0081】
その後、図12のステップS22では、図17の状態5に示すように、1番目のサンプル容器100が取込位置43aに搬送されて測定ユニット3内に取り込まれる(図10のステップS1参照)。この際、3番目のサンプル容器100は、検知位置43cに搬送されており、3番目のサンプル容器100に対して所定の処理が実行される。その後、図17の状態6に示すように、測定ユニット3内での処理が終了した1番目のサンプル容器100が、先行ラック101の元の容器収容部101bに戻される(図10のステップS4参照)。続いて、2番目のサンプル容器100が取込位置43aに搬送され、1番目のサンプル容器100と同様に処理が行われる。この際、分析ユニット3側では図10のステップS5およびS6の処理が行われるため、2番目のサンプル容器100は、1番目のサンプル容器100が測定ユニット3に取り込まれてから一定時間後(約36秒後)に取り込まれる。以降、上記と同様に、一定時間(約36秒)の間隔で順次サンプル容器100が測定ユニット3に取り込まれ、所定の処理が行われる。
【0082】
また、ステップS23において、CPU51aにより、各検体について順次再検査が必要と判定された検体の有無が判断される(図10のステップS8参照)。具体的には、サンプル容器100が測定ユニット3に取り込まれてから所定時間後(75秒後)に、制御装置5(CPU51a)により、サンプル容器100内の検体について再検査が必要か否かの判定(図10のステップS8参照)が行われる。このため、所定のサンプル容器100の検体についての再検査の要否は、2つ後ろのサンプル容器100が測定ユニット3に取り込まれている間に判明する。たとえば、1番目のサンプル容器100の検体については、3番目のサンプル容器100が測定ユニット3に取り込まれている間に再検査の要否が判明し、2番目のサンプル容器100の検体については、4番目のサンプル容器100が測定ユニット3に取り込まれている間に再検査の要否が判明する。そして、再検査が必要な検体がない場合(再検査フラグを含む分析結果がない場合)には、ステップS24において、先行ラック101のすべての検体について測定ユニット3への取り込みが行われた否かが判断される。すべての検体の取り込みが終了していない場合には、ステップS22に移行され、サンプル容器100の取込位置43aへの搬送(測定ユニット3による取り込み)が継続される。すべての検体について取り込みが終了している場合には、ステップS25において、図18の状態10〜12および図19の状態13に示すように、10番目(最後)のサンプル容器100が先行ラック101に戻された後、先行ラック101がラック回収位置43d(回収可能位置)に横送りされる。
【0083】
ステップS23において、先行ラック101に再検査が必要と判定された検体がある場合(再検査フラグを含む分析結果が生成された場合)には、ステップS28において、CPU51aにより、先行ラック101の搬送方向が搬送下流方向(矢印X1方向)から搬送上流方向(矢印X2方向)に変更され、再検査が必要な検体(サンプル容器100)が搬送上流方向(矢印X2方向)に取込位置43aまで再度搬送されるように、検体搬送装置4が制御される。そして、図10のステップS1に示す容器取込処理によって再検査対象の検体が測定ユニット3に取り込まれることにより、割り込み再検査が行われる。具体的には、図17に示す状態7において、6番目の検体の再検査が必要と判定された場合には、図21の状態19および20に示すように、8番目のサンプル容器100が先行ラック101に戻された後、6番目のサンプル容器100が取込位置43aまで搬送上流方向(矢印X2方向)に直接搬送される。そして、図21の状態21および22に示すように、6番目のサンプル容器100が測定ユニット3に取り込まれて再検査が行われ、先行ラック101の元の容器収容部101bに戻される。すなわち、8番目の検体の後、9番目の検体を検査する前に6番目の検体の再検査が行われる。
【0084】
ステップS28において割り込み再検査が終了すると、ステップS23に戻り、CPU51aにより、各検体について再検査が必要と判定された検体の有無が判断される。割り込み再検査の実行中に判明した要否判定結果において、再検査が必要と判定された検体が存在した場合(たとえば6番目の検体の再検査中に7番目の検体の再検査が必要と判定された場合)には、ステップS28に進み、新たに再検査が必要と判定された検体(7番目の検体)の割り込み再検査が実行される。再検査が必要と判定された検体がなければ、図22の状態23〜26および図23の状態27に示すように、搬送方向が搬送上流方向(矢印X2方向)から搬送下流方向(矢印X1方向)に変更され、取り込みが行われていない9番目および10番目のサンプル容器100が順に取込位置43aまで搬送され、測定ユニット3に取り込まれる。実際には、上記したステップS22〜S24およびステップS28は、互いに並行して実行される。
【0085】
ステップS26では、図19の状態13〜15に示すように、先行ラック101がラック回収位置43d(回収可能位置)に配置された状態で、先行ラック101の検体について再検査が必要と判定された検体があるか否かが判断される。具体的には、先行ラック101がラック回収位置43dに配置されている場合には、8番目までの検体について既に再検査の要否の判定が終了しているため、9番目および10番目の検体についての再検査の要否判定待ちとなる。そして、9番目または10番目の検体について再検査の必要があれば、ステップS27において、CPU51aにより、再検査が必要な検体(サンプル容器100)が搬送上流方向(矢印X2方向)に取込位置43aまで再度搬送されるように、検体搬送装置4が制御される。そして、図10のステップS1に示す容器取込処理によって再検査対象の検体が測定ユニット3に取り込まれることにより、割り込み再検査が行われる。具体的には、先行ラック101の10番目の検体について再検査の必要があると判定された場合には、図24の状態28〜30に示すように、後行ラック101の2番目(先行ラックの検体から数えて12番目)のサンプル容器100が測定ユニット3から後行ラック101に戻された後、後行ラック101とともに先行ラック101が搬送上流方向(矢印X2方向)に取込位置43aまで搬送され、先行ラック101の10番目のサンプル容器100が取込位置43aに配置される。そして、図25の状態31〜33に示すように、先行ラック101の10番目のサンプル容器100が、測定ユニット3に取り込まれて再検査が行われ、先行ラック101に戻された後、先行ラック101がラック回収位置43dに横送りされる。
【0086】
一方、先行ラック101に再検査が必要な検体がない場合には、ステップS29において、先行ラック101のすべての検体についての再検査の要否判定が終了したか否かが判断される。すべての検体について終了している場合には、ステップS30において、図19の状態16および図20の状態17に示すように、ラック送出部46によりラック回収位置43dの先行ラック101が分析後ラック保持部42に回収され、先行ラック101の搬送処理が終了される。先行ラック101のすべての検体についての再検査の要否判定が終了していない場合には、ステップS31において、ラック回収位置43d(回収可能位置)での待機状態が維持される。実際には、上記したステップS25〜S27、ステップS29およびステップS31は、互いに並行して実行される。
【0087】
次に、図2、図10〜図15、図17〜図20および図24を参照して、本実施形態による血液分析装置1の制御装置5(CPU51a)によって実行されるサンプラ動作処理プログラム54bに基づく後行ラック101の搬送処理について説明する。この図13および14に示した後行ラック101の搬送処理は、血液分析装置1の制御装置5(CPU51a)が、サンプラ動作処理プログラムに基づき、検体搬送装置4の各部(分析前ラック保持部41のステッピングモータ413、ラック搬送部43のステッピングモータ431eおよびステッピングモータ432e、ラック送出部46を駆動するステッピングモータ461など)の動作制御を行うことにより実行される。
【0088】
まず、図13のステップS41において、CPU51aにより、先行ラック101の6番目の検体(7番目の検体よりも搬送下流方向(矢印X1方向)側の容器収容部101bに保持されている全ての検体)まで再検査が不要と判定されたか否かが判断され、6番目の検体まで再検査不要と判定されるまでこの判断が繰り返される。なお、上記のように、一度再検査の必要があると判定されて再検査が行われた(再び測定ユニット3への取り込みが行われた)検体については、再検査が不要と判定される。すなわち、再検査に対して再々検査は行われない。先行ラック101の6番目の検体まで再検査が不要と判定されると、ステップS42において、ラック送込部411(図2参照)により後行ラック101が分析前ラック保持部41からラック送込位置43bに送り込まれる。具体的には、図17の状態7に示すように、先行ラック101の8番目のサンプル容器100が測定ユニット3に取り込まれている間に、6番目の検体の再検査の要否判定(図10のステップS8参照)が行われる。そして、6番目の検体の再検査が不要と判定されると、図17の状態8に示すように、後行ラック101がラック送込位置43bに送り込まれる。その後、ステップS43において、先行ラック101の移動に伴って、後行ラック101が搬送下流方向(矢印X1方向)に横送りされることによって、後行ラック101の1番目のサンプル容器100から順に、検知位置43cおよび取込位置43aに搬送される。なお、先行ラック101の検体と同様に、検知位置43cではバーコード一次読取に伴うオーダ問い合わせ処理(図15参照)が行われるとともに、取込位置43aでは測定ユニット3による測定処理(図10および図11参照)が行われる。具体的には、図18の状態9〜12に示すように、先行ラック101の9番目および10番目の検体の処理が行われるのと並行して、後行ラック101の検体が順に検知位置43cおよび取込位置43aに搬送される。そして、図19の状態13〜15に示すように、先行ラック101がラック回収位置43dで待機している状態で、後行ラック101の1番目および2番目の検体が順に測定ユニット3に取り込まれる。
【0089】
上記したステップS43の処理に並行して、ステップS44において、先行ラック101および後行ラック101のいずれかに再検査が必要な検体があるか否かが判断され、いずれの検体についても再検査が不要である場合には、ステップS45において、後行ラック101のすべての検体の測定ユニット3への取り込みが終了したか否かが判断される。後行ラック101のすべての検体の取り込みが終了していなければ、ステップS43に移行され、終了している場合には、ステップS46に移行される。なお、ステップS44における先行ラック101の検体の再検査の要否の判定については、図12のステップS26における処理と同じ処理である。すなわち、先行ラック101の検体について再検査が必要な場合には、図12のステップS27において、割り込み再検査が行われる。また、先行ラック101のいずれの検体も再検査の必要がない場合には、図12のステップS29において、ステップS30に移行され、図20の状態17に示すように、分析後ラック保持部42に回収される。先行ラック101が分析後ラック保持部42に回収された後も、図20の状態18に示すように、後行ラック101の検体の処理は継続して実行される。
【0090】
ステップS44でいずれかの検体について再検査の必要があると判断された場合(再検査フラグを含む分析結果が生成された場合)には、ステップS49において、割り込み再検査の処理が行われる。ここで、図14を参照して、後行ラック101側の割り込み再検査について説明する。後行ラック101側の割り込み再検査では、まず、ステップS61において、制御装置5のCPU51aにより、先行ラック101に再検査が必要とされた検体があるか否かが判断される。先行ラック101の検体についての再検査が行われる場合(図12のステップS27またはステップS28の割り込み再検査の場合)には、ステップS62に進み、先行ラック101と干渉しない位置まで後行ラック101が退避される。たとえば、図24の状態30に示すように、先行ラック101の10番目の検体の再検査が行われる場合には、取込位置43aよりもサンプル容器100の1本分だけ搬送上流方向(矢印X2方向)側の位置に後行ラック101の先頭の検体(11番目の検体)が配置されるように、後行ラック101が退避される。そして、ステップS63において先行ラック101の検体の割り込み再検査が終了したか否かが判断され、図25の状態32に示すように、再検査対象の検体(サンプル容器100)が測定ユニット3から先行ラック101に返却されるまで判断が繰り返される(退避状態が維持される)。再検査対象の検体(サンプル容器100)が測定ユニット3から先行ラック101に返却されると、ステップS64に進み、先行ラック101の移動に伴って後行ラック101が元の位置に戻される。
【0091】
また、ステップS61で先行ラック101に再検査が必要とされた検体がないと判断された場合(後行ラック101に再検査が必要とされた検体がある場合)には、ステップS65に移行して、CPU51aにより、再検査が必要な検体(サンプル容器100)が搬送上流方向(矢印X2方向)に取込位置43aまで再度搬送されるように、検体搬送装置4が制御される。そして、図10のステップS1に示す容器取込処理によって再検査対象の検体が測定ユニット3に取り込まれることにより、割り込み再検査が行われる。ステップS49における後行ラック101側の割り込み再検査は、以上のようにして行われる。なお、後行ラック101の検体について再検査が行われるのは、先行ラック101の全ての検体について再検査の要否判定が終了した後になるため、ステップS65の処理は、先行ラック101が回収された後の処理となる。
【0092】
ステップS49の割り込み再検査が終了すると、ステップS44に戻り、先行ラック101および後行ラック101のいずれかに再検査が必要な検体があるか否かが判断される。なお、割り込み再検査の実行中に判明した要否判定結果において、再検査が必要と判定された検体が存在した場合には、ステップS49に進み、新たに再検査が必要と判定された検体の割り込み再検査が実行される。また、実際には、上記したステップS43〜S45およびステップS49は、互いに並行して実行される。
【0093】
そして、ステップS46において、後行ラック101の10番目(最後)のサンプル容器100が後行ラック101に戻された後、後行ラック101がラック回収位置43dに横送りされる。ステップS47では、後行ラック101がラック回収位置43dに配置された状態で、後行ラック101の検体について再検査が必要と判定された検体があるか否かが判断される。具体的には、後行ラック101がラック回収位置43dに配置されている場合には、8番目までの検体について既に再検査の要否の判定が終了しているため、9番目および10番目の検体についての再検査の要否判定待ちとなる。そして、9番目または10番目の検体について再検査の必要があれば、ステップS48において割り込み再検査が行われる。このステップS48における割り込み再検査処理は、上記ステップS49における割り込み再検査と同様である。
【0094】
一方、後行ラック101に再検査が必要な検体がない場合には、ステップS50において、後行ラック101のすべての検体についての再検査の要否判定が終了したか否かが判断される。すべての検体について終了している場合には、ステップS51において、ラック送出部46によりラック回収位置43dの後行ラック101が分析後ラック保持部42に回収され、後行ラック101の搬送処理が終了される。後行ラック101のすべての検体についての再検査の要否判定が終了していない場合には、ステップS52において、ラック回収位置43dでの待機状態が維持される。なお、後行ラック101のステップS46〜S48およびステップS50〜S52の処理は、それぞれ、図12に示す先行ラック101のステップS25〜S27およびステップS29〜S31の処理と同様である。
【0095】
なお、本実施形態では、説明の便宜上、後行ラック101(11〜20番目の検体を保持したラック101)の搬送処理においては、1〜10番目の検体を保持した先行ラック101が回収された後も「後行ラック」として一貫して説明しているが、実際には1〜10番目の検体を保持した先行ラック101が回収された後には後行ラック101(11〜20番目の検体を保持したラック101)が「先行ラック」として処理されるようになる。
【0096】
本実施形態では、上記のように、制御装置5(CPU51a)によってラック101に保持された所定のサンプル容器100の検体の再検査が必要と判定された場合、そのラック101を搬送する第1ベルト431(図6参照)または第2ベルト432(図6参照)の搬送方向を搬送下流方向(矢印X1方向)から搬送上流方向(矢印X2方向)に変更し、再検査対象のサンプル容器100が取込位置43a(図2参照)に再度搬送されるように検体搬送装置4を制御することによって、検体の再検査が必要な場合にラック101をラック送込位置43b(図2参照)まで戻すことなく、再検査対象のサンプル容器100を搬送上流方向(矢印X2方向)に向かって取込位置43aまで直接搬送することができる。これにより、一旦取込位置43aを通り過ぎてラック送込位置43bまで検体ラックを搬送してから再び検体ラックを取込位置43aまで搬送下流方向(矢印X1方向)に搬送し直す場合と比較して、再検査を行う場合のラック101の移動距離を取込位置43aとラック送込位置43bとを往復する分だけ短縮することができる。この結果、検体の再検査のためのラック101の搬送に要する時間を短縮することができるので、効率的に再検査を行うことができる。
【0097】
また、本実施形態では、制御装置5(CPU51a)を、測定ユニット3が再検査対象のサンプル容器100から再検査のために検体を取得した後、ラック101を搬送する第1ベルト431(図6参照)または第2ベルト432(図6参照)の搬送方向を搬送上流方向(矢印X2方向)から搬送下流方向(矢印X1方向)に変更し、測定ユニット3による検体の取り込みが行われていないサンプル容器100が取込位置43aに搬送されるように、検体搬送装置4を制御することによって、ラック101を搬送上流方向(矢印X2方向)に搬送して再検査対象のサンプル容器100に収容された検体の再検査が行われた後、次に検体の取り込みが行われるサンプル容器100を迅速に取込位置43aに搬送することができる。
【0098】
また、本実施形態では、制御装置5(CPU51a)を、先行ラック101の10個の容器収容部101bのうち、7番目の容器収容部101bよりも搬送下流方向(矢印X1方向)側の容器収容部101bに保持されている全ての検体について再検査が不要であると判定されたとき、後行ラック101をラック送込位置43b(図2参照)に供給するようラック送込部411を制御するように構成することによって、先行ラック101についての再検査も含む全ての検査処理が完了する前でも、7番目の容器収容部101bよりも搬送下流方向(矢印X1方向)側の容器収容部101bに保持されている全ての検体について再検査が不要であると判定された時点で、後続する後行ラック101をラック送込位置43bに供給することができるので、後続する後行ラック101の処理を迅速に開始することができる。
【0099】
また、本実施形態では、制御装置5(CPU51a)を、検体の再検査が実行された場合、その検体について再検査が不要であると判定するように構成することによって、1度再検査を行った検体については、再び再検査を行うことがないので、繰り返し再検査を行う場合に検査処理が滞ってしまうのを防止することができる。その結果、システムの検査処理を効率的に行うことができる。また、検体の再検査が実行された時点でその検体について再検査の要否判定を行うことができるので、6番目の検体の再検査が実行された場合、その6番目の検体の再検査の測定結果が出る前(6番目の検体が測定ユニット3に取り込まれてから所定時間(75秒)が経過する前)に再検査の要否を不要と判定して、より迅速に後行ラック101をラック送込位置43bに供給することができる。
【0100】
また、本実施形態では、複数のラック101を貯留するための分析前ラック保持部41と、分析前ラック保持部41に貯留されているラック101を分析前ラック保持部41からラック送込位置43bに向かう矢印Y2方向(図2参照)にのみ移動させるラック送込部411とを設けることにより、後行ラック101をラック送込位置43bに供給した後に先行ラック101の検体(7番目以降の検体)の再検査を行う場合にも、取込位置43aまで搬送上流方向(矢印X2方向)に逆送りされる先行ラック101とラック送込位置43bに供給された後行ラック101とが干渉することがないので、後行ラック101をラック送込位置43bから分析前ラック保持部41内に退避させる機構を設ける必要がなく、その結果、ラック送込部411を矢印Y2方向(図2参照)にのみ移動させるように構成するだけで済む。これにより、検体の再検査のために先行ラック101を直接取込位置43aまで戻す構成においても、後行ラック101をラック送込位置43bから退避させる機能をラック送込部411に設ける必要がないので、システムの構成を複雑化させることなく迅速な検査処理を行うことができる。
【0101】
また、本実施形態では、制御装置5(CPU51a)を、ラック101に保持された全てのサンプル容器100の検体が測定ユニット3により取り込まれると、そのラック101をラック回収位置43d(回収可能位置、図2参照)に搬送するよう検体搬送装置4を制御し、ラック101に保持された全てのサンプル容器100の検体について再検査が不要であると判定されると、ラック回収位置43dにあるラック101を分析後ラック保持部42に移送するようラック送出部46を制御するように構成することによって、先行ラック101の検体について再検査を行う可能性がある場合に先行ラック101をラック回収位置43d(回収可能位置)に配置した状態を維持することによって、再検査が必要であれば先行ラック101を搬送上流方向(矢印X2方向)に取込位置43aまで迅速に搬送することができるので、再検査を迅速に行うことができる。一方、先行ラック101の検体について再検査が不要であれば、先行ラック101をラック回収位置43d(回収可能位置)から速やかに回収することができる。
【0102】
また、本実施形態では、制御装置5(CPU51a)を、取込位置43aに搬送されたサンプル容器100について、バーコード読取部44により得られた検体の識別情報(検体ID)と、測定ユニット3のバーコード読取部356により得られた検体の識別情報(検体ID)とが一致するか否かを判定し、識別情報(検体ID)が一致しない場合には、エラー処理を行いその旨を表示部52に表示するように構成することによって、ラック101を取込位置43aに搬送する過程でバーコード読取部44により得られた検体の識別情報(検体ID)と、検体の検査および再検査のためにサンプル容器100が取込位置43aに搬送された際にバーコード読取部356により得られた検体の識別情報(検体ID)とに基づいて、取込位置43aに配置されたサンプル容器100が検査(再検査)対象のサンプル容器100(検体)であるか否かを確認することができる。これにより、仮に検査(再検査)対象でないサンプル容器100が誤って取込位置43aに配置されてしまったとしても、測定ユニット3による測定処理を行う前に検査(再検査)対象でないサンプル容器100を判別してその旨をユーザに通知することができる。
【0103】
また、本実施形態では、制御装置5(CPU51a)が再検査の要否判定を行う判定手段として機能するように構成することによって、制御装置5(CPU51a)と判定手段とをそれぞれ別個に設ける場合と異なり、制御装置5(CPU51a)が測定ユニット3から検体の測定結果を取得して再検査の要否判定を行い、その要否判定に基づいて検体搬送装置4の動作制御を行うことができるので、血液分析装置1の構成を簡素化することができる。
【0104】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0105】
たとえば、本実施形態では、検体検査システムの一例として血液分析装置を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、複数の検体を保持可能な検体ラックを搬送する搬送装置を備えた検体検査システムであれば、血液分析装置以外の他の検体検査システムに本発明を適用してもよい。
【0106】
また、本実施形態では、検体検査システムの一例として、1つの測定ユニットを備える血液分析装置を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図26に示すように、2つの測定ユニット20および30を備える血液分析装置200であってもよいし、3つ以上の測定ユニットを備える血液分析装置であってもよい。
【0107】
また、本実施形態では、制御装置によって再検査の要否を判定する構成を示したが、本発明はこれに限らず、制御装置とデータの送受信が可能に接続されたホストコンピュータによって再検査の要否を判定する構成であってもよい。具体的には、制御装置は、測定ユニットから受信した測定データを通信インタフェースを介してホストコンピュータに送信し、ホストコンピュータが測定データに基づいて再検査の要否を判定し、制御装置が通信インタフェースを介してホストコンピュータから再検査の要否の判定結果を受信する構成であってもよい。
【0108】
また、本実施形態では、コンピュータプログラムの一例として、測定処理プログラムおよびサンプラ動作処理プログラムの2つのコンピュータプログラムを示したが、本発明はこれに限られない。本発明によるコンピュータプログラムは、測定処理プログラムおよびサンプラ動作処理プログラムの2つのプログラムの内容を含む1つのコンピュータプログラムであってもよい。
【0109】
また、本実施形態では、制御装置の一例として、測定処理プログラムおよびサンプラ動作処理プログラムのそれぞれを実行して測定ユニットおよび検体搬送装置(サンプラ)の両方を制御する制御装置のCPUを示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、測定ユニットを制御する制御装置とは別個に検体搬送装置専用の制御装置を設けてもよい。この際、検体搬送装置専用の制御装置を、独立した制御装置ではなく検体搬送装置の一部として設けてもよい。
【0110】
また、本実施形態では、先行ラックの6番目の検体(7番目の検体よりも搬送下流方向(矢印X1方向)側の容器収容部101bに保持されている全ての検体)の再検査が不要と判定されると、図17の状態8に示すように、後行ラックをすぐにラック送込位置に送り込む構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、先行ラックの6番目の検体の再検査が不要と判定されると、後行ラックの送り込みが可能となるだけであって、すぐに後行ラックを送り込む必要はない。たとえば、先行ラックの7番目の検体について再検査の要否判定がされた後に後行ラックをラック送込位置に送り込む構成であってもよい。
【0111】
また、本実施形態では、一度再検査が行われた検体について、再検査不要と判定する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御装置が、一度再検査が行われた検体についても再度再検査の要否判定を行う構成であってもよい。この場合、2度再検査が行われた検体について、再検査不要と判定する構成であってもよいし、再検査が不要と判定されるまで何度でも再検査の要否判定を行う構成であってもよい。
【0112】
また、本実施形態では、検体の再検査の要否判定に基づいて、後行ラックを送り込むようにラック送込部を制御する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御装置が検体搬送装置や測定ユニットの状態に基づいて、後行ラックを送り込むようにラック送込部を制御するように構成してもよい。たとえば、検体搬送装置において、制御装置との間で同期障害が発生してラックの位置を監視することができなくなった場合や、測定ユニットにおいて、サンプル容器の取り込み動作に失敗した場合などに、送込可能限界位置を超えてラック送込位置内の位置に先行ラックを搬送上流方向(矢印X2方向)に送り戻す必要があるので、検体搬送装置および測定ユニットにおいて上記のような状態が解消されたときに、後行ラックを送り込むようにラック送込部を制御する構成であってもよい。
【0113】
また、本実施形態では、ラック送込位置内の位置までは到達しない限界の位置である送込可能限界位置にラックを配置させた場合にラックの7番目のサンプル容器の位置に測定ユニットへの取込位置を配置する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ラックの6番目以前または8番目以降のサンプル容器の位置に取込位置を配置するように構成してもよい。この場合、図13のステップS41に示す後行ラックをラック送込位置に送り込む際の判断において、再検査不要と判定された先行ラックの検体の個数が取込位置の配置に応じて変動される。
【0114】
また、本実施形態では、測定ユニットによる検体の取得の一例として、測定ユニットが第3位置(検体取込位置)に配置されたサンプル容器を検体ラックから取り出して測定ユニット内に取り込み、測定ユニット内でサンプル容器に収容された検体を吸引する形態を示したが、これに限られるものではない。たとえば、測定ユニットが、第3位置に配置されたサンプル容器中の検体を、サンプル容器が検体ラックに保持された状態で吸引する形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0115】
1 血液分析装置(検体検査システム)
2 ホストコンピュータ
3 測定ユニット(検査装置)
4 検体搬送装置(搬送装置)
41 分析前ラック保持部(ラック供給部、貯留部)
42 分析後ラック保持部(回収部)
43a 取込位置(第3位置)
43b ラック送込位置(第1位置)
43d ラック回収位置(第2位置)
44 バーコード読取部(第1の識別情報取得部)
46 ラック送出部(ラック移送部)
5 制御装置(判定手段)
51b ROM(記憶部)
51c RAM(記憶部)
54a 測定処理プログラム(コンピュータプログラム)
54b サンプラ動作処理プログラム(コンピュータプログラム)
100 サンプル容器(検体容器)
101 ラック(検体ラック)
101b 容器収容部(検体保持位置)
356 バーコード読取部(第2の識別情報取得部)
411 ラック送込部(移動機構)
431 第1ベルト(搬送部材)
431e、432e ステッピングモータ
431f、432f エンコーダ(移動距離取得部)
432 第2ベルト(搬送部材)
矢印X1方向 第1方向
矢印X2方向 第2方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1位置と第2位置との間で、前記第1位置から前記第2位置に向かう第1方向および前記第1方向とは逆の第2方向に、複数の検体容器を複数の検体保持位置にそれぞれ保持した検体ラックを搬送可能な搬送部材を含む搬送装置と、
前記搬送部材によって前記第1位置と前記第2位置との間の第3位置に搬送された検体容器から検体を取得して検体の測定を行う検査装置と、
検体ラックに保持された検体容器が前記第3位置に搬送されるように、前記第1位置から前記第1方向に検体ラックを搬送するように前記搬送部材を制御する制御装置と、
前記検査装置から検体の測定結果を取得して、その検体の再検査が必要か否かを判定する判定手段とを備え、
前記制御装置は、前記判定手段によって検体ラックに保持された検体容器の検体の再検査が必要と判定された場合、前記搬送部材の搬送方向を前記第1方向から前記第2方向に変更し、前記再検査が必要と判定された検体の検体容器が前記第3位置に再度搬送されるように、前記搬送部材を制御するように構成されている、検体検査システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記再検査が必要と判定された検体の検体容器が前記第3位置に再度搬送されたときに検体ラックの搬送を停止するよう前記搬送部材を制御するように構成されている、請求項1に記載の検体検査システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記第1位置から前記第3位置までの距離に関する情報を記憶する記憶部を含み、
前記搬送装置は、前記第1位置から検体ラックが移動した距離に関する情報を取得する移動距離取得部をさらに含み、
前記制御装置は、
再検査が必要と判定された場合、前記記憶部に記憶されている前記第1位置から第3位置までの距離に関する情報と、前記移動距離取得部によって得られた情報と、再検査が必要と判定された検体の検体容器が保持されている検体保持位置に関する情報と、に基づいて、前記再検査が必要と判定された検体の検体容器が前記第3位置に再度搬送されるように、前記搬送部材を制御するように構成されている、請求項1または2に記載の検体検査システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記検査装置が検体容器から再検査のために検体を取得したのち、前記搬送部材の搬送方向を前記第2方向から前記第1方向に変更し、前記検査装置による検体の取得が行われていない検体容器が前記第3位置に搬送されるように、前記搬送部材を制御するように構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の検体検査システム。
【請求項5】
前記搬送装置は、前記第1位置に検体ラックを供給するラック供給部をさらに含み、
前記搬送部材は、前記第1位置において、前記ラック供給部によって供給された第1の検体ラックおよび前記第1の検体ラックに後続して供給される第2の検体ラックを受け入れて搬送可能なように構成されており、
前記制御装置は、前記判定手段による、前記第1の検体ラックに保持されている検体容器に収容された検体の再検査が必要か否かの判定結果に基づいて、前記ラック供給部による前記第2の検体ラックの前記第1位置への供給を制御するように構成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の検体検査システム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記第1の検体ラックの複数の検体保持位置のうち、所定の検体保持位置よりも前記第1方向側の検体保持位置に保持されているすべての検体について再検査が不要であると前記判定手段により判定されたとき、前記第2の検体ラックを前記第1位置に供給するよう前記ラック供給部を制御するように構成され、
前記第1の検体ラックの前記所定の検体保持位置が前記第3位置にあるとき、前記第1の検体ラックが前記ラック供給部によって前記第1位置に供給される前記第2の検体ラックと干渉しないように構成されている、請求項5に記載の検体検査システム。
【請求項7】
前記判定手段は、再検査による検体の測定が実行された場合、その再検査が実行された検体について再検査が不要であると判定するように構成されている、請求項6に記載の検体検査システム。
【請求項8】
前記ラック供給部は、複数の検体ラックを貯留するための貯留部と、前記貯留部に貯留されている検体ラックを前記貯留部から前記第1位置に向かう第3方向にのみ移動させる移動機構とを含む、請求項5〜7のいずれか1項に記載の検体検査システム。
【請求項9】
前記検査装置により検査が行われた検体を収容する検体容器が保持されている検体ラックを回収する回収部と、前記第2位置に配置された検体ラックを前記回収部に移動させるラック移送部とをさらに備え、
前記制御装置は、
検体ラックに保持されたすべての検体容器中の検体が前記検査装置により取得されると、その検体ラックを前記第2位置に搬送するよう前記搬送装置を制御し、
検体ラックに保持されたすべての検体容器中の検体について再検査が不要であると判定されると、前記第2位置にある検体ラックを前記回収部に移送するよう前記ラック移送部を制御するように構成されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の検体検査システム。
【請求項10】
前記搬送装置は、前記第1位置に検体ラックを供給するラック供給部をさらに含み、
前記搬送部材は、前記第1位置において、前記ラック供給部によって供給された第1の検体ラックおよび前記第1の検体ラックに後続して供給される第2の検体ラックを受け入れて搬送可能なように構成されており、
前記制御装置は、前記第1の検体ラックを前記第2位置に搬送するよう前記搬送装置を制御しながら、並行して、前記第1の検体ラックに後続する前記第2の検体ラックに保持されている検体容器を前記第3位置に搬送するよう前記搬送装置を制御するように構成されている、請求項9に記載の検体検査システム。
【請求項11】
前記第1位置と前記第3位置との間に設けられ、前記搬送装置によって搬送された検体ラックに保持される検体容器から識別情報を取得する第1の識別情報取得部をさらに備え、
前記検査装置が、前記第3位置に搬送された検体容器から識別情報を取得する第2の識別情報取得部を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の検体検査システム。
【請求項12】
前記制御装置は、前記第3位置に搬送された検体容器について、前記第1の識別情報取得部により得られた検体容器の識別情報と、前記第2の識別情報取得部により得られた検体容器の識別情報とが一致するか否かを判定し、識別情報が一致しない場合には、その旨を通知するように構成されている、請求項11に記載の検体検査システム。
【請求項13】
前記制御装置が前記判定手段を備える、請求項1〜12のいずれか1項に記載の検体検査システム。
【請求項14】
前記制御装置と通信可能に構成されたホストコンピュータをさらに備え、
前記ホストコンピュータが前記判定手段を備える、請求項1〜12のいずれか1項に記載の検体検査システム。
【請求項15】
複数の検体容器を保持した検体ラックを、検体ラックに保持された検体容器が第1位置と第2位置との間の第3位置に搬送されるように、前記第1位置から前記第2位置に向かう第1方向に検体ラックを搬送する工程と、
前記第3位置に搬送された検体容器から検体を取得して検体の測定を行う工程と、
検体の測定結果を取得して、その検体の再検査が必要か否かを判定する工程と、
検体ラックに保持された検体容器の検体の再検査が必要と判定された場合、搬送方向を前記第1方向から前記第1方向とは逆の第2方向に変更し、再検査が必要と判定された検体の検体容器を前記第3位置に再度搬送する工程とを備える、検体検査方法。
【請求項16】
コンピュータを、
搬送装置によって、検体ラックに保持された検体容器が第1位置と第2位置との間の第3位置に搬送されるように、前記第1位置から前記第2位置に向かう第1方向に検体ラックを搬送する搬送手段と、
検査装置によって、前記第3位置に搬送された検体容器から検体を取得して検体の測定を行う検査手段と、
検体の測定結果を取得して、その検体の再検査が必要か否かを判定する判定手段と、
検体ラックに保持された検体容器の検体の再検査が必要と判定された場合、搬送方向を前記第1方向から前記第1方向とは逆の第2方向に変更し、再検査が必要と判定された検体の検体容器を前記第3位置に再度搬送するように前記搬送装置を制御する制御手段として機能させる、コンピュータプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate


【公開番号】特開2010−169663(P2010−169663A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−270464(P2009−270464)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】