説明

検出方法および検出装置

【課題】流路内に含まれる検体を検出するさいにおける検出感度を調整する方法を提供する。
【解決手段】検体の光学的な検出を行う検出方法であって、いずれかの層に検体を含有する流体の多層流を形成する工程と、前記多層流のいずれかの層に光を導入する工程と、前記導入された光に応じて前記多層流から発せられる信号を検出することにより検体の検出を行う工程、を有する検出方法。前記検体が化学物質、分子、細胞、粒子またはそれらの混合物である。前記多層流を形成する流体のうち少なくとも1つの流体は他の流体と異なる屈折率を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路内に含まれる検体を検出するための検体検出方法および検体検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
化学および生化学反応の経過や結果を確かめるために濃度、成分などの所望の情報を得ることは分析化学の基礎的な事項であり、情報の取得を目的としたさまざまな装置およびセンサが開発されている。それらの装置は半導体製造方法などを利用してより小型化され、所望の情報を得るまでの全ての工程をマイクロデバイス上にて実現するという、マイクロ・トータル・アナリシス・システム(μ−TAS)またはラブオンチップと呼ばれるコンセプトも発展しつつある。これは、採取された未精製検体をマイクロデバイス中を通過させることにより検体精製や化学反応などの工程を経て、最終的な検体中に含まれる成分の濃度や化学合成物などを得ることを目標とするものである。また、最終工程に到るまでの精製方法や化学反応制御などの方法、および流体の制御方法のためのマイクロバルブ、マイクロポンプおよび表面処理などもμ−TASの研究分野に含まれる。
【0003】
従来技術のデスクトップサイズの分析機器と比較すると、マイクロデバイスを用いることによってデバイス内に含まれる流体は低容量化されるため、必要試薬量の低減および分析物量の微量化による反応時間の短縮が期待される。このようなマイクロデバイスの利点が認知されるにつれて、近年μ−TASに関わる技術が注目を集めている。また、デバイスを微細化することにより、比界面積の上昇や拡散による溶液の混合などの現象が生じるため、それらに対する研究も盛んに行われている。特に、マイクロデバイスによって従来型の装置と比較して検出感度が上昇するという報告があるため、検出方法に対する注目は特に集まっている(非特許文献1参照)。
【0004】
一方、マイクロ流路を用いたデバイスにおいて、一般的な流路幅は50から200μm程度で構成されることが多く、この大きさはおよそマルチモードの光ファイバの直径に相当する。このため、マイクロ流路を構成する部材より流体の屈折率が高くなるようにすると、マイクロ流路内に流体を満たして、そこに光を伝搬させるということが可能になり、マイクロ流体と光を融合したOptofluidicsという分野が立ち上がりつつある。マイクロ流路内に入射された光は、流路壁面において全反射を繰り返し、光が光ファイバ内を伝搬するのと同様の原理でマイクロ流体内に閉じ込められたまま伝搬する(非特許文献2参照)。
【0005】
流体内を伝搬する光を利用して、流路の流体内の検体を検出する方法は開示されており、屈折率が水より低いフルオロカーボンで構成された流路に光を伝搬させて検体を検出している(特許文献1参照)。また、流路部材の屈折率は水よりも高いものの、水の屈折率より低い屈折率を有するアモルファスフルオロポリマーを流路内壁に対してコーティングを施すことにより光を流路内に閉じ込める方法も開示されている(特許文献2参照)。
【0006】
また、流路内の検体を高感度に光検出する方法として、エバネッセント波を利用する方法が開示されている(特許文献3参照)。光ファイバや導波路を伝搬する光より生じるエバネッセント波とは、ファイバコアや導波路部材より外側に侵出しながら伝搬する光を指し、光の伝搬方向と垂直な方向に対して指数的に強度が減少してゆく光である。そのため、流路近傍または流路内壁を構成するように導波路を形成した場合には、流路内にエバネッセント波を侵入させると、流路表面近傍のみ光が照射されるため、流路表面に存在する検体の検出に適している。また、導波路中を伝搬する光が検出に反映されないように設定することにより、高いS/N比で検出することが可能になる。
【特許文献1】特開平7−218422号公報(第6項、図2)
【特許文献2】特許第3260431号明細書(第4項、図1)
【特許文献3】特開2006−177878号公報(第8項、図1)
【非特許文献1】Petra S. Dittrich, Kaoru Tachikawa, and Andreas Manz,“Micro Total Analysis Systems. Latest Advancements and Trends,” Analytical Chemistry, 2006, Vol.78, No.12, pp3887から3908
【非特許文献2】Demetri Psaltis, Stephen R. Quake, and Changhuei Yang, “Developing optofluidic technology through the fusion of microfluidics and optics,” Nature, 2006, Vol.442,pp381から386(第384項、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記フルオロカーボンを用いて光を流体内に伝搬させて流体内の検体を検出する方法において、光が流路内の全体を伝搬することになるので、エバネッセント波を利用する検出に代表される高感度な検出が困難であるという課題が生じる。
【0008】
また、生物試料を扱うのに都合の良い媒体である水を用いると、光を流路内に伝搬させるためにデバイスまたはコーティング材質は、水の屈折率より低い屈折率を有する材質に限られる。マイクロ流体デバイスの流路材質としては、ガラス、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン、ポリジメチルシロキサンなどが高い頻度で使われている。しかし、前記流路材質の屈折率はそれぞれ水の屈折率より高いため、流路内に光を伝搬させる検出方法を用いることができない。アモルファスフルオロポリマーコーティングを施す方法もあるが、コーティングを施すことが不可能なポリマー材質も存在する。よって前記アモルファスフルオロポリマーを用いた検出方法は、デバイス材質に制限があるという課題が存在する。
【0009】
更に、前記流路近傍にある導波路より生じるエバネッセント波による検出方法については、エバネッセント波と検体の接触量が増加することで検出光強度も上昇することが知られている。しかしながら、流路表面近傍のみがエバネッセント波により照射されて検出に寄与するため、表面近傍にない検体試料は検出時においてデッドボリュームとなる。このため、流路内にエバネッセント波の侵入距離を延長させて流路表面からより深い位置に存在する検体を検出するために導波路の屈折率または幅を変更する方法がある。しかしながら、従来の導波路を用いた光検出においては、導波路が固体で構成されているため一度作成されたデバイスにおいては屈折率や導波路幅の変更が不可能である。つまり、デバイス作成後における検出感度調整が不可能であるという課題が存在する。
【0010】
本発明は、このような背景技術を鑑みてなされたものであり、流路部材の制限を低減した、流体内の検体を高感度に検出する、デバイス作成後においても検出感度を調整する機能を有する検出方法および検出装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決する検出方法は、検体の光学的な検出を行う検出方法であって、いずれかの層に検体を含有する流体の多層流を形成する工程と、前記多層流のいずれかの層に光を導入する工程と、前記導入された光に応じて前記多層流から発せられる信号を検出することにより検体の検出を行う工程、を有することを特徴とする。
【0012】
上記の課題を解決する検出装置は、検体の光学的な検出を行うための検出装置であって、いずれかの層に検体を含有する流体の多層流を形成するための流路と、前記流体の多層流の状態を変更するための手段と、前記流体の多層流のいずれかの層に選択的に光を導入する手段と、前記多層流から発せられる信号を検出することにより検体の検出を行う手段、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、マイクロ流路内に存在する検体を導波路の幅または屈折率を変更することにより、検体の検出感度を調整することができる検出方法および検出装置を提供できる効果を有する。
【0014】
また、本発明は、マイクロ流路内における多層流のいずれかの一層を光導波路として使用し、液−液界面の位置を調整する、または異なる屈折率を有する流体導波路に変更する、ことにより検体の検出感度を調整することができるという効果を有する。
【0015】
また、本発明は、流体を光導波路部材としているために、流路部材の屈折率を検体を含む流体の屈折率より低くしなければならないという制限が緩和されるという効果を有する。
【0016】
また、本発明は、検体を含む流体内へ流体光導波路より侵出するエバネッセント波を用いた検出方法が可能なので、高感度に検出ができる方法が採用できるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に関わる検出方法は、検体の光学的な検出を行う検出方法であって、いずれかの層に検体を含有する流体の多層流を形成する工程と、前記多層流のいずれかの層に光を導入する工程と、前記導入された光に応じて前記多層流から発せられる信号を検出することにより検体の検出を行う工程、を有することを特徴とする。
【0018】
前記検体は化学物質、分子、細胞、粒子またはそれらの混合であることが好ましく、分子は核酸およびタンパク質などの生体分子であってもよい。
前記多層流を形成する流体のうち少なくとも1つの流体は他の流体と異なる屈折率を有することが好ましい。
【0019】
前記多層流の幅を調整することにより光が伝搬する層の断面積を変化させることが可能であることが好ましい。
前記多層流を構成する流体のうち少なくとも1つの流体を異なる屈折率を有する流体に変更することが可能であることが好ましい。
【0020】
前記多層流のうち少なくとも1つの層に存在するエバネッセント波を利用して検出することが好ましい。
前記多層流のうち少なくとも1つの層を伝搬する光の散乱を利用して検出することが好ましい。
【0021】
前記多層流のうち少なくとも1つの層を伝搬する光の吸収を利用して検出することが好ましい。
前記多層流のうち少なくとも2つの層の界面を越えて移動することができる検体を検出することが好ましい。
【0022】
本発明に関わる検出装置は、検体の光学的な検出を行うための検出装置であって、いずれかの層に検体を含有する流体の多層流を形成するための流路と、前記流体の多層流の状態を変更するための手段と、前記流体の多層流のいずれかの層に選択的に光を導入する手段と、前記多層流から発せられる信号を検出することにより検体の検出を行う手段、を有することを特徴とする。
【0023】
前記流路の断面寸法とは、前記流路の幅および高さ寸法であり、少なくとも1つが、0.1μm以上500μm以下であることが好ましい。
前記多層流を形成するための流路は、複数の流体のそれぞれを注入する複数の流体注入流路を有し、注入地点より下流にある一点において前記複数の流体注入流路が合流する流路であることが好ましい。
【0024】
前記多層流の状態を変更するための手段は、複数種類のそれぞれの流体に付与する圧力を調節することができる装置が好ましく、マイクロデバイス内に圧力調整装置が組みまれていても、もしくは圧力調整装置がマイクロデバイス外部に存在していてもよい。
【0025】
前記多層流の状態を変更する手段が、多層流を形成する少なくとも1つの層の幅、または多層流を形成する少なくとも1つの層の屈折率を変更する手段であることが好ましい。
前記信号を検出する手段は、光検出器または前記信号を回収する手段が前記流路にできる限り近い位置に配置されていることが好ましい。
【0026】
前記多層流を形成するための流路は、流路幅または深さが一定、狭まってゆくもの、または曲線部分を有することが好ましい。
前記検体を前記多層流のうち少なくとも2つの層の界面を越えて移動させることができる手段を有することが好ましい。
【0027】
前記多層流を形成するための流路において、多層流を安定化させる手段を有することが好ましい。
本発明は、マイクロ流路内に多層流を形成するが、ある特定の流路内における流体の流れが層流を形成するかまたは乱流を形成するかはレイノルズ数Reで見積もることが可能であり、以下の式、
【0028】
【数1】

【0029】
によって導かれる。ここで、Uは代表速度、Lは代表長さ、νは動粘度係数である。厳密な境界となる数値はないが、一般におよそレイノルズ数が2000より低ければ、当該系の流体は層流を形成すると考えられている。実際、マイクロ流路の場合レイノルズ数が低くなることが知られ、その値は通常100より低く、しばしば1以下にもなるため、マイクロ流路においては流体の流れは層流を形成するものと考えてよい。
【0030】
また、本発明は光を流体に伝搬させるが、その方法は光ファイバと同様の原理を用いている。光ファイバはコア部分の屈折率が周囲を取り囲むクラディング層の屈折率よりも高く設定されていて、そのために光がコア部分で全反射されながら伝搬される現象を利用している。同様な現象はコア部分とクラディング層の一方または双方が流体であるときにも成り立ち、光の伝搬のようすはマックスウェル方程式より導くことが可能である。
【0031】
本発明は上記の原理を利用して、多層流のいずれかに光を伝搬させて流体内に存在する検体を検出する。図1は本発明の検出装置の一実施態様を示す概念図である。以下、図1を用いて詳細に説明する。
【0032】
本発明の検出装置は、デバイス基板1にあるレザーバ2および3はそれぞれ検体16を含む流体11と高屈折率流体12を含んでいる。レザーバ2および3よりそれぞれ流体注入流路6および高屈折率流体注入流路7が延びており、流体注入流路6と高屈折率流体注入流路7は合流し、合流部8を形成する。合流部8へ達した流体は廃棄流路9、10を通って、廃棄レザーバ4および5へ達する。このとき、流体11と高屈折率流体12は合流部8において多層流を形成し、界面15近傍を除いて、低レイノルズ数である環境のために両流体は混合されることなく進行する。入射光13を高屈折率流体注入流路7より合流部8の方向へ入射すると、伝搬光14は高屈折率流体12内に閉じ込められながら伝搬する。
【0033】
デバイス基板1の材質は、ガラス、セラミック、プラスチック、半導体またはそれらのハイブリッドなどが用いられ、特に限定を設ける必要はないが、必要とされる入射光の波長における吸収ができる限り少ない材質が好ましい。また、検体16、流体11および高屈折率流体12に対する化学的耐性を有するものが好ましく、さらに高温度などの特殊な環境にて設置される場合には、それらへの耐性も考慮する必要がある。
【0034】
各流路6、7、9、10および合流部8は、合流部8において注入された流体どうしが多層流を形成することができる大きさであればよく、おおよその幅および深さは上記レイノルズ数より計算することができる。ただし、流路内の幅および高さ寸法である少なくとも1つの断面寸法が100nmから500μm程度であるマイクロ流路と一般に呼ばれる流路幅であることが好ましい。また、注入流路の数に応じた分の多層流を形成すればよいので、本発明は図1に示されるような2層流のみに限定されない。
【0035】
合流部8における流体注入流路6と高屈折率注入流路7、および廃棄流路9と10の接触角度は任意に設定でき、入射光や検出方向により決定されることが好ましい。
高屈折率流体12は、流体11と屈折率が異なる材質であればよく、流体11に他の物質を混合させて屈折率を変化させたり、または流体11と物理化学的性質が異なる材質でもよい。ただし、入射光13の波長における吸収ができる限り少ない材質で構成されるのが好ましい。なお、高屈折率流体12と流体11の位置関係は図1に示された限りではなく、初期状態においてレザーバ2に高屈折率流体12、およびレザーバ3に流体11が含まれていてもよい。また、高屈折率流体12はデバイス基板1および流体11より高い屈折率を有することを特徴とする。
【0036】
入射光13はデバイス基板1の吸収波長や高屈折率流体12の吸収波長は好ましくなく、検体16の励起波長などによって選択されることが好ましく、さらに好ましくはレーザ光などのコヒーレントな光が選択されるとよい。
【0037】
検体16は図1において流体11に含まれているが、検出される方法によって高屈折流体12内に含まれていてもよい。また、検体16は含まれる流体よって溶解されていても、溶解されていなくてもよい。検体16は、化学物質、分子、細胞、粒子およびそれらの混合物などが挙げられ、分子は核酸やタンパク質などの生体分子も含むが、これらに限定されるものではない。
【0038】
流体11と高屈折率流体12を流す手段は、それぞれの流体に圧力を付与することができる装置でよく、例えばレザーバを介してチューブで接続されたシリンジポンプ、あるいはデバイス基板1内に組み込まれたマイクロポンプなどを用いてもよい。流体11と高屈折率流体12に付与される圧力により、合流部8におけるそれぞれの流体の幅が決定されるが、その幅は任意に設定でき、あらかじめ計算によって求めることができる。
【0039】
検体16より発せられる信号は、例えば検体16に標識された蛍光、または伝搬光14の検体16による散乱、吸収などに代表される光強度変化の測定により検出されることが好ましいが、特に検出方法を限定しない。また、検出器においては、光学顕微鏡を介したCCDデバイスへの画像取り込み、フォトダイオードを用いた光強度検出などが挙げられる。半導体基板を利用してデバイス基板そのものに検出器を配置してもよく、目的とする検体16の測定方法によって適切に設定されることが好ましい。さらには、検体16から発せられる信号の一部が高屈折率流体12内を伝搬することも考えられ、光ファイバなどによりその伝搬信号を回収してもよい。
【0040】
図1に示されるデバイスは、プラスチック部材で射出成型などにより安価に作成することが可能で、従来の固体による導波路を形成する作成方法にくらべて半導体製造工程などの複雑な工程を不必要とする効果も期待される。
【実施例】
【0041】
以下、実施例を示し本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の実施例は本発明をより詳細に説明するための例であって、実施形態は以下の実施例のみに限定されない。
実施例1
実施例1において、流体幅を調整することによる本発明の応用について図2を用いて説明する。
【0042】
まず、レザーバ2および3にそれぞれ含まれる流体11と高屈折率流体12に圧力を付与して合流部8へ向けて流体を流す。このとき、流体11には検体16が含まれ、高屈折率流体12としては例えば屈折率整合オイルを用いることにより、およそ1.45らから2.3程度の範囲の屈折率を選択することができる。また、屈折率整合オイルはオイルによる光吸収が少ないものを選択すると、伝搬光の媒体として好ましい。また、流体11の主成分が水であれば、水とオイルの物性により混合が生じにくく、安定した2層流の形成が期待される。このように、水が主成分である検体を含む流体においても、水より低い屈折率を有するデバイス基板やコーティングを用いなくてもよい。
【0043】
合流部8へ達した流れは、2層流を形成しながら廃棄レザーバ4および5へ流れる。
次に入射光13を高屈折率流体注入流路7へ合流部8に向かって照射し、高屈折率流体12内を伝搬させる。入射光13はコヒーレントな光であることが好ましく、レーザ光などがこれに相当する。また、入射光13と高屈折率流体12へのカップリングロスを低減するために、光ファイバを高屈折率流体注入流路7近傍に配置し、高屈折率流体注入流路幅を前記光ファイバと同じような幅にしてもよい。
【0044】
合流部8部分へ達した入射光13は、伝搬光14となり引き続き高屈折率流体12内を伝搬するが、このとき流体11と高屈折率流体12に付与する圧力を調整することにより、合流部8内におけるそれぞれの流体の幅を調整することができる。同時に、伝搬光14も高屈折率流体12の幅の変化に対応して電界分布を形成しなおして伝搬することになる。
【0045】
それぞれの流体の幅の決定には、検出方法、目的などにより決定されることが好ましい。例えば、図2Aにおいては、高屈折率流体12の幅を狭めることにより、高屈折率流体12の実効屈折率が低くなる。そのため、伝搬光14は電界分布を再編成し流体11内へのエバネッセント領域を増大させる。これにより、より多くのエバネッセント波が流体11内へ侵入するため、検体16との接触量が増大し、検出感度が上昇する。高屈折率流体12の幅を狭める検出方法としての検体16は、サンプルとしての濃度が高いことが始めから期待される検体に適している。一例として、増幅され、かつ蛍光標識された核酸分子のエバネッセント波による検出が挙げられる。
【0046】
同様な導波路の幅または深さを小さくすることによりエバネッセント領域を増大させて検出感度を向上させる方法は他の表面プラズモンセンサや導波路センサで採用されている方法である。しかしながら、従来の固体導波路で構成されたデバイスに関してはデバイスの作成段階で仕様が決定してしまい、製造段階での誤差や、製造後の感度変更は不可能であった。これに対し、本実施例において、流体導波路を用いることによる感度調整機構を有することが可能になることが示された。
【0047】
一方、高屈折率流体12の幅を広げることも可能である。図2Bにおいて、高屈折率流体12の幅を広げることにより、伝搬光14はそのエネルギーのほとんどが高屈折率流体12内に閉じ込められ、一部分のみがエバネッセント波となって存在するものの、検体16は流体11の狭い範囲に押し込められるため、検体16のデッドボリュームを低減させながら検出することが可能になる。このような検出方法は、流体11内における検体16の含有量が少ない場合、検体16の全量をスキャンする必要のある場合などが挙げられる。一例として、細胞カウンターなどへの応用が可能である。また、高屈折率流体12幅を狭めたときに、検体からの信号によりフォトダイオードにおける受光強度が飽和点を超えることも考えられる。このようなときには、高屈折率流体12幅を広げるとエバネッセント波の侵入距離が低くなることにより、フォトダイオードの飽和点内で検出を行うという方法が挙げられる。
【0048】
さらに、高屈折率流体12の幅を広げるとデバイス基板1の流体11側の流路表面における物質や検体分子の吸着または化学結合を検出するのにも適する。一例として、流路表面における抗原抗体反応が挙げられ、流体11に含まれる抗原は狭い範囲に閉じ込められることにより、流路表面に固定された抗体と反応し易くなり、その結合は高屈折率流体12より侵出したエバネッセント波によって検出できる。また、流路表面におけるDNAのハイブリダイゼーションを検出することが可能であるが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0049】
このように、本発明の検出装置では、従来の流体導波路では実現し得なかった、流体内においてのエバネッセント波を用いた検出を行うことが可能である。また、デバイスの検出感度をデバイス作成後に調整することが可能であるという特徴を有する。
【0050】
実施例2
実施例2おいて流路幅を調整することに対する本発明の応用を図3を用いて説明する。
デバイス基板21上に構成されるレザーバ22および23にはそれぞれ流体31と高屈折率流体32が含まれる。各流体に圧力を付与し、流体31と高屈折率流体32を移送し、合流部28へと至る。合流部28はテーパー部37を有し、廃棄流路29を通じて両流体は廃棄レザーバ24へ格納される。テーパー部37の狭まる割合は、計算によって設定でき、伝搬光34がテーパーによるロスを生じない程度の割合であることが好ましい。
【0051】
上記のような定常的な2層流を形成したあとに入射光33を照射し、高屈折率流体32内を伝搬させると、伝搬光34に示されるように、伝搬光34の電界分布が再編成されながらテーパー部37を伝搬する。このとき、高屈折率流体32の幅が狭まることにより、エバネッセント波の流体31への侵入距離が増加し、検出感度の向上に寄与する。また、流体31および検体36は実施例1の図2Bに見られるように、狭い範囲に閉じ込められることになるので、本実施例においては厳密な圧力制御を用いることなく図2Bと同様な状態を構築することができる特徴を有する。
【0052】
実施例3
実施例3として、曲線部を有する流路構成による本発明の応用として図4を用いて説明する。
【0053】
デバイス基板41上に構成されるレザーバ42および43にはそれぞれ流体51と高屈折率流体52が含まれる。各流体に圧力を付与し、流体51と高屈折率流体52は合流部48へと至る。合流部48は高屈折率流体52が内側となるような曲線部57を有し、廃棄流路49および50を通じて両流体は廃棄レザーバ44および45へ格納される。曲線部57の曲率は、計算によって設定でき、伝搬光54が曲線による伝搬ロスを生じない程度の曲率であることが好ましい。
【0054】
高屈折率流体52に入射された入射光53は、始めに高屈折率流体52が直線である部分を伝搬する。合流部48は曲線部57で構成されており、伝搬光54は曲線による実効屈折率の傾斜の影響を受けることにより曲線部の中心線58より外側、すなわち流体51側にシフトされたように伝搬する。このため、伝搬光54より生じるエバネッセント波も流体51側にシフトされることになり、より多くの検体56とエバネッセント波との接触が形成され、感度向上に寄与する。
【0055】
また、この曲線による感度向上と流路を狭める実施例2の感度向上を組み合わせることも可能であり、それらのテーパーの割合、曲率は計算によって求めることができる。
【0056】
実施例4
実施例4として、高屈折率流体を変更することによる本発明の応用として、図5を用いて説明する。
【0057】
デバイス基板61上に構成されるレザーバ62および63にはそれぞれ流体71と高屈折率流体72が含まれる。各流体に圧力を付与し、流体71と高屈折率流体72は合流部68へと至る。合流部68において2層流が形成され、廃棄流路69および70を通じて両流体は廃棄レザーバ64および65へ格納される。
【0058】
図5Aにおける合流部68において、伝搬光74により生じるエバネッセント波によって検体76が検出されるが、このさいに、エバネッセント波の流体71側への侵入距離が十分でないために検出感度が低いことが考えられる。これに対して、図5Bに図示されているように、図5Aの高屈折率流体72を異なる屈折率を有する高屈折率流体77に変更して感度を調整する方法がある。これは、高屈折率流体の屈折率が流体71と近い値であるほどエバネッセント波の侵入距離が増加するという、図5Aにおける伝搬光74と図5Bにおける伝搬光78の電界分布の変化によるためである。ただし、高屈折率流体77の屈折率はデバイス基板61の屈折率より高く、かつ流体71の屈折率より高い必要がある。
【0059】
また、高屈折率流体72および77は、入射光73の吸収ができる限り少ない物質で構成されていることが好ましい。
さらに、実施例4のような高屈折率流体を変更する感度の調整方法は、実施例1、2および3までの圧力による流路幅の調整、テーパー流路の構築、曲線部を有する流路の構築のいずれかとも組み合わせてもよい。組み合わせは2つの方法のみに限らず、例えば、曲線部を有するテーパー流路において高屈折率流体を変更する、というような複数の方法を組み合わせてもよい。また、本発明に示した流路構成や高屈折率流体の変更による感度調節方法に限らず、入射光波長を変更するというような方法など他の方法によりエバネッセント波の検体を含む流体側への侵入距離を増大させる方法であればよい。
【0060】
このように、多層流による検出方法は種々の方法でデバイスが作成された後にも感度調整する方法を有していて、従来の固体導波路における伝搬光から流路内へ侵入させたエバネッセント波による検出方法に対して、デバイスが初期状態で所望の作動を示さなくても、デバイスそのものを作成し直す必要がなくなる可能性があるという効果も有する。
【0061】
実施例5
実施例1から4においては、エバネッセント波を用いた検出方法について記載したが、本発明における検出方法はエバネッセント波を利用した方法に限定されず、その一例として実施例5を図6を用いて説明する。
【0062】
デバイス基板81上に構成されるレザーバ82および83にはそれぞれ流体91と高屈折率流体92が含まれる。各流体に圧力を付与し、流体91と高屈折率流体92は合流部88へと至る。合流部88において2層流が形成され、廃棄流路89および90を通じて両流体は廃棄レザーバ84および85へ格納される。
【0063】
検体96は初期状態においてレザーバ82に含まれ、流体91の流れとともに合流部88へと移送される。このとき、検体96が高屈折率流体92と親和性を有していれば、検体96は界面95を越えて高屈折率流体92側へと移動する。入射光93は高屈折率流体92内を伝搬する伝搬光94となり、高屈折率流体92内に液−液抽出された検体96を、検体96による散乱や吸収により検出することが可能である。このとき、入射光93および伝搬光94の波長は検体96が吸収する波長に設定してもよい。散乱光や吸収光をより効率的に回収するために、廃棄流路90近傍に光ファイバ97を配置してもよい。好ましくは、光ファイバ97の直径は、廃棄流路90の幅と同じかそれ以上の大きさを有する。このような検体の例として、水中に存在している揮発性の炭化水素などが挙げられるが、本実施例はこれに限定されるものではない。
【0064】
また、液−液抽出を選択的に行うことにより、流体91中に含まれる検体96などの特定の標的物質のみを高屈折率流体92側へ移動させるように設定できるため、特異的な光学検出を行うことが可能である。このため、標識化が困難な物質の検出についても可能である。
【0065】
本実施例が示すように、流体を導波路として用いているため、本検出装置は液−液抽出を行うことができ、かつ抽出される物質をリアルタイムに測定できるという固体導波路では達成できない効果を有する。
【0066】
実施例6
実施例6において、検体と高屈折率流体の親和性ではなく、荷電した分子や粒子の測定を行う本発明の応用として図7を用いて説明する。
【0067】
デバイス基板101上に構成されるレザーバ102および103にはそれぞれ流体111と高屈折率流体112が含まれる。各流体に圧力を付与し、流体111と高屈折率流体112は合流部108へと至る。合流部108において2層流が形成され、廃棄流路109および110を通じて両流体は廃棄レザーバ104および105へ格納される。合流部108近傍には電極118が配置され、デバイス外部からの制御により任意の極性を付与することができる。
【0068】
電極118は合流部108の側壁を構成してもよい。また、流体111、検体116または高屈折率流体122による腐食または酸化などの化学変化を受けにくい材質で構成されているのが好ましい。
【0069】
検体116として電荷を帯びた粒子または分子とする。合流部108まで流れてきた検体116は、電極118の極性により分離され、検体116の極性と高屈折率流体112に近い位置にある電極118の極性が反対であれば、検体116は高屈折率流体112内に侵入して、伝搬光114によって検出される。一例として、特異的に増幅されたDNAが挙げられ、DNAは通常負電荷を帯びていることにより、高屈折率流体112に近い電極118の極性を正にすることにより、増幅反応液内に含まれるDNAのみを選択的に高屈折率流体112内に抽出させることができる。高屈折率流体112内へ移送されたDNA検体は散乱光や光吸収、あるいはDNA検体にインターカレーター蛍光色素が備わっていれば、高屈折率流体112内における蛍光強度により増幅を確認することが可能である。また、検体116より発光した蛍光の一部は高屈折率流体112内を伝搬するので、光ファイバ117により蛍光を回収し、フィルタや分光器などを用いて励起光を除去してから検出してもよい。
【0070】
さらに、前記の蛍光色素が備わっているDNA検体に関して、高屈折率流体112内の任意の位置において局所的に加熱し、DNAの融解温度以上の熱を検体DNAに与えることにより、インターカレーター蛍光色素の消光を測定することも可能である。ここで、局所的な加熱方法としては赤外光が挙げられ、デバイス基板101も赤外光を透過する部材が必要であるが、加熱方法およびデバイス基板101の組み合わせはこれらに限定されない。
【0071】
実施例7
実施例7において、本発明に応用できるより安定的な多層流を形成する方法を図8を用いて説明する。
【0072】
本発明において、多層流が形成されるが、流体131と高屈折率流体132の物性の違いを利用した多層流の安定化を促進させることができるが、流路の構造によって安定化させる方法について図8を用いて記載する。
【0073】
図8Aにおいて、デバイス基板121上に構成されるレザーバ122および123にはそれぞれ流体131と高屈折率流体132が含まれる。各流体に圧力を付与し、流体131と高屈折率流体132は合流部128へと至る。合流部128において2層流が形成され、廃棄流路129および130を通じて両流体は廃棄レザーバ124および125へ格納される。合流部128の流路底面にはガイド137が配置されている。
【0074】
前記ガイドは、合流部128底面にある、流体の流れ方向に平行で、合流部128底面があたかも少なくとも2つの凹部を有するような加工を施したものであり、図8Bにおいて図8AのA−A’断面を図示している。合流部128において2層流を形成している流体131と高屈折率流体132は、ガイド凸部においては凹部における位置より流路深さが浅くなることにより、2層流を形成するための界面張力が低くて済むために2層流の界面115はガイド137凸部にて安定化され易い。このため、流体の圧力付与手段の摂動などによる影響を低減することができる。
【0075】
図8Bに示されるように、複数のガイドを有する場合は、それぞれのガイド凸部にて界面を形成するように流体の圧力を調整できる。流体131に対する圧力を高めることにより、合流部128の中央に位置する界面115はA’側のガイド凸部へ異動し、高屈折率流体132に対する圧力を高めると界面はA側へ移動する。よって、任意の位置へガイドを設けることにより界面115をより安定的に位置制御することが可能で、検出の安定性にも影響を及ぼす。
【0076】
本実施例はガイドを用いた多層流の安定方法について記載したが、流路表面への親水性・撥水性処理などの方法を用いたものも考えられ、本発明はそれらに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、流体内の検体を多層流の少なくとも1層に光を導入して高感度に検出することができるので、化学合成、環境分析、臨床検体分析を実施するためのマイクロ流体デバイスやキャピラリ内にある化学物質、分子、細胞などの検出に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の検出装置の原理を示す概念図である。
【図2】本発明の検出装置の一実施態様を示す概念図である。
【図3】本発明の検出装置でテーパーを用いた一実施態様を示す概念図である。
【図4】本発明の検出装置で曲線部を用いた一実施態様を示す概念図である。
【図5】本発明の検出装置で高屈折率流体を変更する一実施態様を示す概念図である。
【図6】本発明の検出装置で液−液抽出を用いた一実施態様を示す概念図である。
【図7】本発明の検出装置で液−液抽出を用いた他の実施態様を示す概念図である。
【図8】本発明の検出装置でガイドを用いた一実施態様を示す概念図である。
【符号の説明】
【0079】
1 デバイス基板
2、3 レザーバ
4、5 廃棄レザーバ
6 流体注入流路
7 高屈折率流体注入流路
8 合流部
9、10 廃棄流路
11 流体
12 高屈折率流体
13 入射光
14 伝搬光
15 界面
16 検体
21 デバイス基板
22、23 レザーバ
24 廃棄レザーバ
26 流体注入流路
27 高屈折率流体注入流路
28 合流部
29 廃棄流路
31 流体
32 高屈折率流体
33 入射光
34 伝搬光
35 界面
36 検体
37 テーパー部
41 デバイス基板
42、43 レザーバ
44、45 廃棄レザーバ
46 流体注入流路
47 高屈折率流体注入流路
48 合流部
49、50 廃棄流路
51 流体
52 高屈折率流体
53 入射光
54 伝搬光
55 界面
56 検体
57 曲線部
58 曲線部の中心線
61 デバイス基板
62、63 レザーバ
64、65 廃棄レザーバ
66 流体注入流路
67 高屈折率流体注入流路
68 合流部
69、70 廃棄流路
71 流体
72 高屈折率流体
73 入射光
74 伝搬光
75 界面
76 検体
77 高屈折率流体
81 デバイス基板
82、83 レザーバ
84、85 廃棄レザーバ
86 流体注入流路
87 高屈折率流体注入流路
88 合流部
89、90 廃棄流路
91 流体
92 高屈折率流体
93 入射光
94 伝搬光
95 界面
96 検体
97 光ファイバ
101 デバイス基板
102、103 レザーバ
104、105 廃棄レザーバ
106 流体注入流路
107 高屈折率流体注入流路
108 合流部
109、110 廃棄流路
111 流体
112 高屈折率流体
113 入射光
114 伝搬光
115 界面
116 検体
117 光ファイバ
118 電極
121 デバイス基板
122、123 レザーバ
124、125 廃棄レザーバ
126 流体注入流路
127 高屈折率流体注入流路
128 合流部
129、130 廃棄流路
131 流体
132 高屈折率流体
133 入射光
134 伝搬光
135 界面
136 検体
137 ガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体の光学的な検出を行う検出方法であって、いずれかの層に検体を含有する流体の多層流を形成する工程と、前記多層流のいずれかの層に光を導入する工程と、前記導入された光に応じて前記多層流から発せられる信号を検出することにより検体の検出を行う工程、を有することを特徴とする検出方法。
【請求項2】
前記検体が化学物質、分子、細胞、粒子またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1に記載の検出方法。
【請求項3】
前記多層流を形成する流体のうち少なくとも1つの流体は他の流体と異なる屈折率を有することを特徴とする請求項1に記載の検出方法。
【請求項4】
前記多層流の幅を調整することにより光が伝搬する層の断面積を変化させることを特徴とする請求項1に記載の検出方法。
【請求項5】
前記多層流を構成する流体のうち少なくとも1つの流体を異なる屈折率を有する流体に変更することを特徴とする請求項1に記載の検出方法。
【請求項6】
前記多層流のうち少なくとも1つの層に存在するエバネッセント波を利用して検出することを特徴とする請求項1に記載の検出方法。
【請求項7】
前記多層流のうち少なくとも1つの層を伝搬する光の散乱を利用して検出することを特徴とする請求項1に記載の検出方法。
【請求項8】
前記多層流のうち少なくとも1つの層を伝搬する光の吸収を利用して検出することを特徴とする請求項1に記載の検出方法。
【請求項9】
前記多層流のうち少なくとも2つの層の界面を越えて移動することができる検体を検出することを特徴とする請求項1に記載の検出方法。
【請求項10】
検体の光学的な検出を行うための検出装置であって、いずれかの層に検体を含有する流体の多層流を形成するための流路と、前記流体の多層流の状態を変更するための手段と、前記流体の多層流のいずれかの層に選択的に光を導入する手段と、前記多層流から発せられる信号を検出することにより検体の検出を行う手段、を有することを特徴とする検出装置。
【請求項11】
前記流路の幅および高さ寸法の少なくとも1つが、0.1μm以上500μm以下であることを特徴とする請求項10に記載の検出装置。
【請求項12】
前記多層流を形成するための流路は、複数の流体のそれぞれを注入する複数の流体注入流路を有し、注入地点より下流にある一点において前記複数の流体注入流路が合流する流路であることを特徴とする請求項10に記載の検出装置。
【請求項13】
前記多層流の状態を変更する手段が、多層流を形成する少なくとも1つの層の幅、または多層流を形成する少なくとも1つの層の屈折率を変更する手段であることを特徴とする請求項10に記載の検出装置。
【請求項14】
前記多層流の状態を変更するための手段は、複数種類のそれぞれの流体に付与する圧力を調節する手段であることを特徴とする請求項10に記載の検出装置。
【請求項15】
前記信号を検出する手段は、光検出器または前記信号を回収する手段からなり、前記流路に近い位置に配置されていることを特徴とする請求項10に記載の検出装置。
【請求項16】
前記多層流を形成するための流路は、流路の幅または深さが一定、流路の長さ方向に狭まってゆくもの、または流路の長さ方向に曲線部分を有することを特徴とする請求項10に記載の検出装置。
【請求項17】
前記多層流を形成するための流路において、多層流を安定化させる手段を有することを特徴とする請求項10に記載の検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−109245(P2009−109245A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−279553(P2007−279553)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】