説明

検出装置およびモータの軸受摩耗検出装置

【課題】回路構成を簡素化でき、検出コイルA,R1,R2,R3のインダクタンスの温度変化による影響を排除できるキャンドモータの軸受摩耗検出装置を提供する。
【解決手段】検出コイルA,R1,R2,R3に高周波信号を印加する。高周波信号を印加した検出コイルA,R1,R2,R3の出力信号から位相を検出する。検出した位相と検出コイルA,R1,R2,R3の出力信号とから、検出コイルA,R1,R2,R3のインダクタンスおよび抵抗値をそれぞれ検出する。検出したインダクタンスから、予め定められた温度変化によるインダクタンスと抵抗値との比例関係により検出された抵抗値から求められるインダクタンスの温度変化分を除き、温度補正したインダクタンスを求める。回路構成を簡素化し、検出コイルA,R1,R2,R3のインダクタンスの温度変化による影響を排除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出コイルのインダクタンスを検出する検出装置、およびモータの軸受摩耗を検出するモータの軸受摩耗検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キャンドモータは、主としてポンプ駆動用に採用されており、例えばキャンドモータポンプの場合には、キャンドモータとポンプとが一体構造の液漏れが無い構造となっているため、内部の状態は目視で監視することができない。ポンプの羽根車を回転駆動するキャンドモータの回転子はポンプ取扱液で潤滑される軸受で支承されていることが多いが、このキャンドモータを効率よく運転するには軸受の摩耗状態を外部から監視する必要がある。
【0003】
そこで、キャンドモータの固定子側に設けられた軸方向および半径方向の各検出コイルに対して正弦波にこの正弦波の実効値と同値の直流を直流重畳した高周波信号を印加し、この高周波信号が印加された各検出コイルの出力から正弦波信号および直流抵抗値をそれぞれ検出し、これら検出された正弦波信号から直流抵抗値分を除いた検出コイルのインダクタンスを検出し、この検出コイルのインダクタンスからキャンドモータの回転子の軸方向位置および半径方向位置を検出することにより、キャンドモータの運転状態または運転停止状態にかかわらず回転子の軸方向位置および半径方向位置が検出でき、しかも、検出コイルの温度変化による影響を除くことで回転子の軸方向位置および半径方向位置を正確に検出できる軸受摩耗検出装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特許第3571041号公報(第6−11頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、従来の軸受摩耗検出装置では、キャンドモータの運転状態または運転停止状態にかかわらず回転子の軸方向位置および半径方向位置が検出でき、しかも、検出コイルの温度変化による影響を除くことで回転子の軸方向位置および半径方向位置を正確に検出できるが、各検出コイルに対して正弦波に直流重畳した高周波信号を印加する回路や、各検出コイルの出力から正弦波信号および直流抵抗値をそれぞれ検出する回路が必要で、回路構成が複雑になり、また、各回路の電子部品の特性のばらつきによって検出精度に影響が生じやすい問題がある。
【0005】
また、キャンドモータの温度変化により、固定子および回転子の軸方向への伸びや検出コイルの軸方向や半径方向への膨張などが生じるため、検出コイルの抵抗値の変化とともにインダクタンスにも変化が生じ、検出コイルのインダクタンスの検出精度が低下する問題がある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、回路構成を簡素化できるとともに、電子部品の特性のばらつきによる影響を低減して検出精度を向上でき、しかも、検出コイルのインダクタンスの温度変化による影響を排除して検出コイルのインダクタンスの検出精度を向上できる検出装置およびモータの軸受摩耗検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の検出装置は、検出コイルのインダクタンスを検出する検出装置において、この検出コイルに高周波信号を印加する高周波信号印加手段と、前記高周波信号が印加された検出コイルの出力信号から位相を検出する位相検出手段と、前記高周波信号が印加された検出コイルの出力信号と前記位相検出手段で検出された位相とから検出コイルのインダクタンスを検出するインダクタンス検出手段と、前記高周波信号が印加された検出コイルの出力信号と前記位相検出手段で検出された位相とから検出コイルの抵抗値を検出する抵抗値検出手段と、前記インダクタンス検出手段で検出されたインダクタンスから、予め定められた温度変化によるインダクタンスと抵抗値との比例関係により前記抵抗値検出手段で検出された抵抗値から求められるインダクタンスの温度変化分を除くことにより、温度補正したインダクタンスを求めるインダクタンス補正手段とを具備しているものである。
【0008】
請求項2記載のモータの軸受摩耗検出装置は、モータの固定子側に設けられた検出コイルと、この検出コイルに高周波信号を印加する高周波信号印加手段と、前記高周波信号が印加された検出コイルの出力信号から位相を検出する位相検出手段と、前記高周波信号が印加された検出コイルの出力信号と前記位相検出手段で検出された位相とから検出コイルのインダクタンスを検出するインダクタンス検出手段と、前記高周波信号が印加された検出コイルの出力信号と前記位相検出手段で検出された位相とから検出コイルの抵抗値を検出する抵抗値検出手段と、前記インダクタンス検出手段で検出されたインダクタンスから、予め定められた温度変化によるインダクタンスと抵抗値との比例関係により前記抵抗値検出手段で検出された抵抗値から求められるインダクタンスの温度変化分を除くことにより、温度補正したインダクタンスを求めるインダクタンス補正手段と、このインダクタンス補正手段で求められた検出コイルのインダクタンスから前記モータの回転子の軸方向位置を検出する軸方向位置検出手段とを具備しているものである。
【0009】
請求項3記載のモータの軸受摩耗検出装置は、モータの固定子側に設けられた検出コイルと、この検出コイルに高周波信号を印加する高周波信号印加手段と、前記高周波信号が印加された検出コイルの出力信号から位相を検出する位相検出手段と、前記高周波信号が印加された検出コイルの出力信号と前記位相検出手段で検出された位相とから検出コイルのインダクタンスを検出するインダクタンス検出手段と、前記高周波信号が印加された検出コイルの出力信号と前記位相検出手段で検出された位相とから検出コイルの抵抗値を検出する抵抗値検出手段と、前記インダクタンス検出手段で検出されたインダクタンスから、予め定められた温度変化によるインダクタンスと抵抗値との比例関係により前記抵抗値検出手段で検出された抵抗値から求められるインダクタンスの温度変化分を除くことにより、温度補正したインダクタンスを求めるインダクタンス補正手段と、このインダクタンス補正手段で求められた検出コイルのインダクタンスから前記モータの回転子の半径方向位置を検出する半径方向位置検出手段とを具備しているものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の検出装置によれば、検出コイルに高周波信号を印加し、この高周波信号が印加された検出コイルの出力信号から位相を検出し、この検出された位相と検出コイルの出力信号とから検出コイルのインダクタンスおよび抵抗値をそれぞれ検出し、この検出されたインダクタンスから、予め定められた温度変化によるインダクタンスと抵抗値との比例関係により検出された抵抗値から求められるインダクタンスの温度変化分を除くことにより、温度補正したインダクタンスを求めることができるため、検出コイルに対して正弦波に直流重畳した高周波信号を印加する回路や検出コイルの出力から正弦波信号および直流抵抗値をそれぞれ検出する回路などが必要なく、回路構成を簡素化できるとともに、電子部品の特性のばらつきによる影響を低減して検出精度を向上でき、しかも、検出コイルのインダクタンスの温度変化による影響を排除でき、検出コイルのインダクタンスの検出精度を向上できる。
【0011】
請求項2記載のモータの軸受摩耗検出装置によれば、モータの固定子側に設けられた検出コイルに高周波信号を印加し、この高周波信号が印加された検出コイルの出力信号から位相を検出し、この検出された位相と検出コイルの出力信号とから検出コイルのインダクタンスおよび抵抗値をそれぞれ検出し、この検出されたインダクタンスから、予め定められた温度変化によるインダクタンスと抵抗値との比例関係により検出された抵抗値から求められるインダクタンスの温度変化分を除くことにより、温度補正したインダクタンスを求め、この検出コイルのインダクタンスからモータの回転子の軸方向位置を検出できるため、検出コイルに対して正弦波に直流重畳した高周波信号を印加する回路や検出コイルの出力から正弦波信号および直流抵抗値をそれぞれ検出する回路などが必要なく、回路構成を簡素化できるとともに、電子部品の特性のばらつきによる影響を低減して検出精度を向上でき、しかも、検出コイルのインダクタンスの温度変化による影響を排除でき、検出コイルのインダクタンスの検出精度を向上できる。
【0012】
請求項3記載のモータの軸受摩耗検出装置によれば、モータの固定子側に設けられた検出コイルに高周波信号を印加し、この高周波信号が印加された検出コイルの出力信号から位相を検出し、この検出された位相と検出コイルの出力信号とから検出コイルのインダクタンスおよび抵抗値をそれぞれ検出し、この検出されたインダクタンスから、予め定められた温度変化によるインダクタンスと抵抗値との比例関係により検出された抵抗値から求められるインダクタンスの温度変化分を除くことにより、温度補正したインダクタンスを求め、この検出コイルのインダクタンスからモータの回転子の半径方向位置を検出できるため、検出コイルに対して正弦波に直流重畳した高周波信号を印加する回路や検出コイルの出力から正弦波信号および直流抵抗値をそれぞれ検出する回路などが必要なく、回路構成を簡素化できるとともに、電子部品の特性のばらつきによる影響を低減して検出精度を向上でき、しかも、検出コイルのインダクタンスの温度変化による影響を排除でき、検出コイルのインダクタンスの検出精度を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0014】
図2において、11はキャンドモータポンプで、このキャンドモータポンプ11は、モータとしてのキャンドモータ12とポンプ13とが液密に一体に結合されて構成されている。
【0015】
キャンドモータ12は、固定子鉄心14の固定子溝15に固定子巻線16が巻回されて構成される固定子17を有し、この固定子17が固定子枠18内に挿着されるとともに固定子17の内周面にステンレスなどの非磁性体で薄肉円筒状に形成された固定子キャン19が密着挿入され、この固定子キャン19の両端縁が固定子枠18に液密に溶着されている。固定子17と固定子枠18との間で固定子キャン19の周囲には固定子キャン19を補強する補強環20,21が装着されている。
【0016】
さらに、キャンドモータ12は、回転子鉄心22の回転子溝23に回転子導体24が装着されて構成される回転子25を有し、この回転子25が回転軸26に挿着され、回転子25の外周面にステンレスなどの非磁性体で薄肉円筒状に形成された回転子キャン27が被着されている。
【0017】
そして、固定子17の内側に回転子25が挿入され、これら固定子17の固定子キャン19と回転子25の回転子キャン27とがキャン隙間28を介して対向配設されている。
【0018】
また、固定子枠18にはポンプ13側である前側とその反対側である後側とに軸受箱31,32が取り付けられ、これら軸受箱31,32に回転軸26を回転可能に支承するすべり軸受である軸受33,34が装着されている。各軸受33,34には回転軸26を回転可能に支承するスリーブ35,36およびスラストカラー37,38が取り付けられている。すなわち、回転子25は、両スリーブ35,36を介して軸受33,34により回転可能に軸支され、軸方向には両スラストカラー37,38と軸受33,34とによって規制される。
【0019】
また、キャンドモータ12の固定子17の後側で、回転子25が内側に位置する容器41である補強環21の外周に沿って検出コイルとしての軸方向位置検出コイルAが巻回されている。この軸方向位置検出コイルAが巻回される位置は、回転子25の後側の端部の外周位置としている。
【0020】
固定子17の固定子鉄心14が有する複数の歯部のうち120°の角度位置で等間隔に位置する3つの各歯部には、1歯部毎に軸方向の全周に亘って検出コイルとしての半径方向位置検出コイルR1,R2,R3(図1参照)がそれぞれ巻回されている。
【0021】
また、ポンプ13は、キャンドモータ12の固定子枠18に液密に取り付けられたケーシング51、およびこのケーシング51内で回転軸26に取り付けられた羽根車52を有している。ポンプ13内の羽根車52はスリーブ35,36を介して軸受33,34に支持された回転子25によって回転駆動され、軸方向にはスラストカラー37,38と軸受33,34とによって動きが制限されている。
【0022】
次に、図1に軸受摩耗検出装置の回路図を示す。
【0023】
61は軸受摩耗検出装置の制御回路で、この制御回路61に、軸方向位置検出コイルAの一方の端部、および各半径方向位置検出コイルR1,R2,R3の一方の端部がそれぞれ接続されている。軸方向位置検出コイルAの他方の端部および半径方向位置検出コイルR1,R2,R3の他方の端部は共通端子に接地されている。
【0024】
制御回路61に接続された軸方向位置検出コイルAの一方の端部には、高周波信号印加手段としての高周波電源62から、キャンドモータ12を駆動する電源周波数より高くかつキャンドモータ12の駆動によって回転子25の回転数と回転子25の溝数とに関連して発生する高調波信号の周波数を避けた周波数の正弦波の交流信号である高周波信号が印加される。
【0025】
軸方向位置検出コイルAの一方の端部は、軸方向位置検出コイルAの出力信号から正弦波の高周波信号のみを通過させる例えばバンドパスフィルタなどの高周波フィルタ63に接続されている。この高周波フィルタ63には、この高周波フィルタ63を通過しかつ高周波電源62から得られる高周波信号に同期した高周波信号を取り出す同期検波器64に接続されている。これら高周波フィルタ63および同期検波器64によって軸方向位置検出コイルAの出力信号から正弦波の高周波信号を検出する高周波信号検出手段が構成されている。さらに、同期検波器64には、高周波電源62から得られる高周波信号と比較して同期検波器64で得られる高周波信号の位相を検知する位相検出手段としての位相比較器65が接続されている。同期検波器64で得られた高周波信号、および位相比較器65で得られた位相信号は、それぞれ制御装置66に入力される。同期検波器64で得られた高周波信号については、増幅器67で増幅した後に制御装置66に入力される。なお、同期検波器64および位相比較器65は、図には原理図を示すものであって、実際には制御装置66の有するソフトウエアで構成されている。
【0026】
また、制御回路61に接続された半径方向位置検出コイルR1,R2,R3の一方の端部には、これら半径方向位置検出コイルR1,R2,R3を順次切り換えて接続する切換スイッチ72に接続されている。この切換スイッチ72は、図には原理図を示すものであって、実際には回路内で電気的に切り換えるように構成されている。
【0027】
半径方向位置検出コイルR1,R2,R3を順次切り換えて接続する切換スイッチ72には、高周波電源62から、キャンドモータ12を駆動する電源周波数より高くかつキャンドモータ12の駆動によって回転子25の回転数と回転子25の溝数とに関連して発生する高調波信号の周波数を避けた周波数の正弦波の交流信号である高周波信号が印加される。
【0028】
この切換スイッチ72は、半径方向位置検出コイルR1,R2,R3の出力信号から正弦波の高周波信号のみを通過させる例えばバンドパスフィルタなどの高周波フィルタ73に接続されている。この高周波フィルタ73には、この高周波フィルタ73を通過しかつ高周波電源62から得られる高周波信号に同期した高周波信号を取り出す同期検波器74に接続されている。これら高周波フィルタ73および同期検波器74によって軸方向位置検出コイルAの出力信号から正弦波の高周波信号を検出する高周波信号検出手段が構成されている。さらに、同期検波器74には、高周波電源62から得られる高周波信号と比較して同期検波器74で得られる高周波信号の位相を検知する位相検出手段としての位相比較器75が接続されている。同期検波器74で得られた高周波信号、および位相比較器75で得られた位相信号は、それぞれ制御装置66に入力される。同期検波器74で得られた高周波信号については、増幅器77で増幅した後に制御装置66に入力される。なお、同期検波器74および位相比較器75は、図には原理図を示すものであって、実際には制御装置66の有するソフトウエアで構成されている。
【0029】
そして、制御装置66は、高周波信号が印加された軸方向位置検出コイルAおよび半径方向位置検出コイルR1,R2,R3のインダクタンスを検出するものであって、高周波信号が印加された軸方向位置検出コイルAおよび半径方向位置検出コイルR1,R2,R3の出力信号と位相比較器65,75で検出された位相とから軸方向位置検出コイルAおよび半径方向位置検出コイルR1,R2,R3のインダクタンスを検出するインダクタンス検出手段80の機能、周波信号が印加された軸方向位置検出コイルAおよび半径方向位置検出コイルR1,R2,R3の出力信号と位相比較器65,75で検出された位相とから軸方向位置検出コイルAおよび半径方向位置検出コイルR1,R2,R3の抵抗値を検出する抵抗値検出手段81の機能、インダクタンス検出手段80で検出されたインダクタンスから、予め定められた温度変化によるインダクタンスと抵抗値との比例関係により前記抵抗値検出手段81で検出された抵抗値から求められるインダクタンスの温度変化分を除くことにより、温度補正したインダクタンスを求めるインダクタンス補正手段82の機能、インダクタンス補正手段82で求められた軸方向位置検出コイルAのインダクタンスから回転子25の軸方向位置を検出する軸方向位置検出手段83の機能、インダクタンス補正手段82で求められた半径方向位置検出コイルR1,R2,R3のインダクタンスから回転子25の半径方向位置を検出する半径方向位置検出手段84の機能を有している。
【0030】
また、制御装置66には、回転子25の軸方向および径方向の位置を検出するとともに軸受33,34の摩耗状態を検出するためのプログラムおよびデータや零点調整によって設定された基準値などを記憶するメモリ85、軸受33,34の摩耗状態などを表示する表示装置86が接続されている。
【0031】
制御装置66には、初期時の軸方向位置検出コイルAの出力および半径方向位置検出コイルR1,R2,R3の出力と回転子25の位置とを合わせるための零点調整をする零点調整装置87と通信する通信回路88、および摩耗信号などのデータを外部の監視装置やコンピュータに出力する出力回路89が接続されている。
【0032】
次に、検出コイル(軸方向位置検出コイルAおよび半径方向位置検出コイルR1,R2,R3)の出力信号からインダクタンスおよび抵抗値を検出する方法、検出したインダクタンスおよび抵抗値を利用して温度補正した検出コイルのインダクタンスを計算する方法を、図3および図4を参照して説明する。
【0033】
図3に示すように、検出コイルの出力信号Vには、V=V+V、θ=tan-1(V/V)の関係がある。位相θは、抵抗値Vと検出コイルに印加する高周波信号Iの位相とが同じことにより、出力信号Vと高周波信号Iとの位相差から求められる。そして、検出コイルの出力信号Vと位相θとから、三角関数により、インダクタンスVおよび抵抗値Vを求めることができる。したがって、検出コイルの出力信号VをインダクタンスVと抵抗値Vとを分離することにより、抵抗値V分を除いたインダクタンスVを求めることができる。
【0034】
図4に示すように、温度変化によって検出コイルのインダクタンスVと抵抗値Vとがそれぞれ変化するが、これらの変化には比例関係がある。そのため、予め試験によって求められる比例関係から、比例係数K=ΔL/ΔRを求めることができる。なお、図4には軸方向位置検出コイルAについての温度変化によるインダクタンスおよび抵抗値の変化を示すが、半径方向位置検出コイルR1,R2,R3についても同様の温度変化によるインダクタンスおよび抵抗値の変化がある。
【0035】
そして、基準となる温度T時の検出コイルのインダクタンスVL0および抵抗値VR0を基準値とした場合、温度Tとは異なる温度T時での摩耗検出時において、検出コイルのインダクタンスVL1および抵抗値VR1、比例係数Kを利用し、次式により温度Tに相当するインダクタンスV´L0、つまり温度補正した検出コイルのインダクタンスV´L0を求めることができる。
【0036】
V´L0=VL1−K(VR1−VR0
【0037】
そして、基準のインダクタンスVL0と摩耗検出時に検出したインダクタンスV´L0とを比較することにより、回転子25の位置を検出できる。
【0038】
次に、軸受摩耗検出装置における軸方向軸受摩耗検出の零点調整について説明する。
【0039】
キャンドモータ12の運転停止状態において、軸方向位置検出コイルAに高周波電源62から高周波信号を印加し、軸方向位置検出コイルAを励磁して回転子25の位置に応じた出力信号を出力させる。軸方向位置検出コイルAの出力からは、高周波フィルタ63および同期検波器64によって高周波電源62から得られる高周波信号に同期した出力信号を検出し、位相比較器65によって高周波電源62から得られる高周波信号と比較した位相を検出し、これら検出した出力信号および位相を制御装置66に入力する。
【0040】
この状態で、軸方向軸受摩耗の零点調整をするために、回転子25を軸方向の例えば後側へ向けてスラストカラー38と軸受34とによって動きが制限されるまで移動させ、零点調整装置87の操作部を操作する。これにより、制御装置66は、軸方向位置検出コイルAの出力信号と位相とからインダクタンスおよび抵抗値を求め、後側の基準値としてメモリ85に記憶させる。
【0041】
回転子25を軸方向の前側へ向けてスラストカラー37と軸受33とによって動きが制限されるまで移動させ、零点調整装置87の操作部を操作する。これにより、制御装置66は、軸方向位置検出コイルAの出力信号と位相とからインダクタンスおよび抵抗値を求め、前側の基準値としてメモリ85に記憶させる。
【0042】
零点調整装置87の操作部で回転子25の軸方向における遊びの値を入力し、メモリ85に記憶させる。
【0043】
温度計で軸方向位置検出コイルAの温度を測定して、零点調整装置87の操作部で初期温度値を基準値として入力し、メモリ85に記憶する。なお、このような初期調整をし、温度を表示・出力する機能を追加すれば、検出コイル温度・表示出力が可能となる。
【0044】
そして、制御装置66は、後側の基準値、前側の基準値、軸方向における遊び、温度などから、その温度T時における軸方向位置検出コイルAのインダクタンスVL0および抵抗値VR0を求め、これらを基準値としてメモリ85に記憶する。
【0045】
次に、軸受摩耗検出装置における半径方向軸受摩耗検出の零点調整について説明する。
【0046】
キャンドモータ12の運転停止状態において、各半径方向位置検出コイルR1,R2,R3に切換スイッチ72で順次切り換えて高周波電源62から高周波信号を印加し、各半径方向位置検出コイルR1,R2,R3を励磁して回転子25の位置に応じた出力信号を順に出力させる。各半径方向位置検出コイルR1,R2,R3の出力からは、高周波フィルタ73および同期検波器74によって高周波電源62から得られる高周波信号に同期した出力信号を検出し、位相比較器75によって高周波電源62から得られる高周波信号と比較した位相を検出し、これら検出した出力信号および位相を制御装置66に入力する。
【0047】
この状態で、半径方向軸受摩耗の零点調整をするために、回転子25を半径方向の例えば上側などの所定方向へ向けて軸受33,34とスリーブ35,36とによって動きが制限されるまで移動させ、零点調整装置87の操作部を操作する。これにより、制御装置66は、順に入力される各半径方向位置検出コイルR1,R2,R3の出力信号と位相とからインダクタンスおよび抵抗値を求め、基準値としてメモリ85に記憶させる。このような処理を半径方向の複数方向について同様に行う。
【0048】
零点調整装置87の操作部で回転子25の半径方向における遊びの値を入力し、メモリ85に記憶させる。
【0049】
そして、制御装置66は、複数の半径方向の基準値、半径方向における遊び、温度などから、その温度T時における各半径方向位置検出コイルR1,R2,R3のインダクタンスVL0および抵抗値VR0を求め、これらを基準値としてメモリ85に記憶する。
【0050】
次に、キャンドモータポンプ11の運転時における軸受摩耗検出装置の軸方向軸受摩耗検出動作を説明する。
【0051】
キャンドモータ12の運転状態において、軸方向位置検出コイルAに高周波電源62から高周波信号を印加し、軸方向位置検出コイルAを励磁して回転子25の位置に応じた出力信号を出力させる。軸方向位置検出コイルAの出力からは、高周波フィルタ63および同期検波器64によって軸方向位置検出コイルAに印加した高周波信号以外の周波数をカットして高周波電源62から得られる高周波信号に同期した出力信号のみを検出し、位相比較器65によって高周波電源62から得られる高周波信号と比較した位相を検出し、これら検出した出力信号および位相を制御装置66に入力する。
【0052】
そして、制御装置66は、軸方向位置検出コイルAの出力信号および位相から演算処理して軸受33,34の軸方向軸受摩耗状態を検出する。この制御装置66の演算処理を図5のフローチャートを参照して説明する。
【0053】
制御装置66は、メモリ85から予め零点調整によって記憶されている各基準値である比例係数K、インダクタンスVL0および抵抗値VR0を読み込み(ステップ1)、制御装置66に入力される軸方向位置検出コイルAの出力信号VZおよび位相、軸方向位置検出コイルAに印加する高周波信号の位相を取得する(ステップ2)。
【0054】
軸方向位置検出コイルAの出力信号VZからインダクタンスVL1および抵抗値VR1を分離する。すなわち、出力信号VZから抵抗値VR1分を除いたインダクタンスVL1を算出する(ステップ3)。
【0055】
比例係数K、基準のインダクタンスVL0および抵抗値VR0、算出したインダクタンスVL1および抵抗値VR1を用いて、V´L0=VL1−K(VR1−VR0)の式により、温度Tに相当するインダクタンスV´L0を求める。すなわち、温度変化によるインダクタンスの変化分を補正し、温度変化とは無関係のインダクタンスV´L0を求める(ステップ4)。
【0056】
基準のインダクタンスVL0と求めたインダクタンスV´L0とを比較することにより、回転子25の軸方向の位置を検出する(ステップ5)。
【0057】
そして、制御装置66は、回転子25の位置を予め零点調整で定められた基準値と比較し、軸受33,34の軸方向摩耗状態を求める(ステップ6)。
【0058】
軸受33,34の摩耗状態に応じた摩耗表示信号を表示装置86に転送してこの表示装置86で摩耗状態を表示させ(ステップ7)、出力回路89に基準化した摩耗信号を出力する(ステップ8)。
【0059】
次に、キャンドモータポンプ11の運転時における軸受摩耗検出装置の半径方向軸受摩耗検出動作を説明する。
【0060】
キャンドモータ12の運転状態において、各半径方向位置検出コイルR1,R2,R3に対して切換スイッチ72で順次切り換えて高周波電源62から高周波信号を印加し、各半径方向位置検出コイルR1,R2,R3を励磁して回転子25の位置に応じた出力信号を順に出力させる。半径方向位置検出コイルR1,R2,R3の出力からは、高周波フィルタ73および同期検波器74によって半径方向位置検出コイルR1,R2,R3に印加した高周波信号以外の周波数をカットして高周波電源62から得られる高周波信号に同期した出力信号のみを検出し、位相比較器75によって高周波電源62から得られる高周波信号と比較した位相を検出し、これら検出した出力信号および位相を制御装置66に入力する。
【0061】
そして、制御装置66は、半径方向位置検出コイルR1,R2,R3の出力信号および位相から演算処理して軸受33,34の半径方向軸受摩耗状態を検出する。この制御装置66の演算処理を図5のフローチャートを参照して説明する。
【0062】
制御装置66は、メモリ85から予め零点調整によって記憶されている各基準値である比例係数K、インダクタンスVL0および抵抗値VR0を読み込み(ステップ1)、制御装置66に入力される半径方向位置検出コイルR1,R2,R3の出力信号VZおよび位相、半径方向位置検出コイルR1,R2,R3に引火する高周波信号の位相を取得する(ステップ2)。
【0063】
半径方向位置検出コイルR1,R2,R3の出力信号VZからインダクタンスVL1および抵抗値VR1を分離する。すなわち、出力信号VZから抵抗値VR1分を除いたインダクタンスVL1を求める(ステップ3)。
【0064】
比例係数K、基準のインダクタンスVL0および抵抗値VR0、算出したインダクタンスVL1および抵抗値VR1を用いて、V´L0=VL1−K(VR1−VR0)の式により、温度Tに相当するインダクタンスV´L0を求める。すなわち、温度変化によるインダクタンスの変化分を補正し、温度変化とは無関係のインダクタンスV´L0を求める(ステップ4)。
【0065】
基準のインダクタンスVL0と求めたインダクタンスV´L0とを比較することにより、回転子25の半径方向の位置を検出する(ステップ5)。
【0066】
そして、制御装置66は、回転子25の位置を予め零点調整で定められた基準値と比較し、軸受33,34の半径方向摩耗状態を求める(ステップ6)。
【0067】
軸受33,34の摩耗状態に応じた摩耗表示信号を表示装置86に転送してこの表示装置86で摩耗状態を表示させ(ステップ7)、出力回路89に基準化した摩耗信号を出力する(ステップ8)。
【0068】
また、キャンドモータ12の電源オンによって運転を開始することにより、ポンプ13の羽根車52の回転によるポンプ取扱液の送液によって回転子25の位置が変化し、軸方向摩耗信号および半径方向摩耗信号の出力が変化する。電源オン後には、キャンドモータ12が発生する熱によってキャンドモータ12内の液温が徐々に上昇し、キャンドモータ12内の温度上昇によって軸方向位置検出コイルAおよび半径方向位置検出コイルR1,R2,R3も温度上昇して抵抗値が変化するが、上述した温度補正によって軸方向摩耗信号および半径方向摩耗信号の出力に影響は受けない。
【0069】
ポンプ取扱液の流量を変更し、キャンドモータ12内を通過するポンプ取扱液の流量が増加した場合には、液温が徐々に低下し、その後徐々に上昇する変化が生じるが、上述した温度補正により軸方向摩耗信号および半径方向摩耗信号の出力に影響は受けない。
【0070】
このように、軸方向位置検出コイルAおよび半径方向位置検出コイルR1,R2,R3に高周波信号を印加し、この高周波信号が印加された軸方向位置検出コイルAおよび半径方向位置検出コイルR1,R2,R3の出力信号から位相を検出し、この検出された位相と軸方向位置検出コイルAおよび半径方向位置検出コイルR1,R2,R3の出力信号とから軸方向位置検出コイルAおよび半径方向位置検出コイルR1,R2,R3のインダクタンスおよび抵抗値をそれぞれ検出し、この検出されたインダクタンスから、予め定められた温度変化によるインダクタンスと抵抗値との比例関係により検出された抵抗値から求められるインダクタンスの温度変化分を除くことにより、温度補正したインダクタンスを求め、このインダクタンスから回転子25の軸方向位置および半径方向位置を検出できる。
【0071】
そのため、軸方向位置検出コイルAおよび半径方向位置検出コイルR1,R2,R3に対して正弦波に直流重畳した高周波信号を印加する回路や軸方向位置検出コイルAおよび半径方向位置検出コイルR1,R2,R3の出力から正弦波信号および直流抵抗値をそれぞれ検出する回路などが必要なく、回路構成を簡素化できるとともに、電子部品の特性のばらつきによる影響を低減して検出精度を向上でき、しかも、軸方向位置検出コイルAおよび半径方向位置検出コイルR1,R2,R3のインダクタンスの温度変化による影響を排除でき、軸方向位置検出コイルAおよび半径方向位置検出コイルR1,R2,R3のインダクタンスの検出精度を向上できる。
【0072】
また、軸方向位置検出コイルAおよび半径方向位置検出コイルR1,R2,R3に高周波信号を印加し、高周波信号が印加された軸方向位置検出コイルAおよび半径方向位置検出コイルR1,R2,R3のインダクタンスを検出し、軸方向位置検出コイルAおよび半径方向位置検出コイルR1,R2,R3のインダクタンスから回転子25の軸方向位置および半径方向位置を検出するため、キャンドモータ12の運転状態または運転停止状態にかかわらず回転子25の軸方向位置および半径方向位置が検出でき、したがって、運転停止状態のときに回転子25の軸方向位置および半径方向位置を検出できて零点調整ができる。
【0073】
そのため、キャンドモータ12の製造工程で零点調整を容易にでき、生産性を向上できるとともに、キャンドモータ12の使用場所において軸受や回転子を交換したりガスケットの締め増しを伴う整備をした場合でもその場所で容易に零点調整できる。
【0074】
なお、軸方向位置検出コイルAは、固定子17の前側の補強環20の外周に沿って巻回することもでき、固定子17の前後の両補強環20,21の外周に沿って巻回することもでき、補強環20,21を使用しないときには固定子キャン19の外周に沿って直接巻回することもできる。また、固定子17の固定子鉄心14の両端部に一対の軸方向位置検出コイルを設置し、これら軸方向位置検出コイルのインダクタンスの差から回転子25の軸方向位置を検出することもできる。
【0075】
また、半径方向位置検出コイルは、固定子17の固定子鉄心14が有する複数の歯部のうち120°の角度位置で等間隔に位置する3つの各歯部に設置する場合に限らず、固定子17の固定子鉄心14が有する複数の歯部のうち、90°の角度位置で等間隔に位置する4つの各歯部に設置することも、180°の角度位置で等間隔に位置する2つの各歯部に設置することもできる。
【0076】
また、零点調整装置87は制御回路61の外部に設けるほか、制御回路61の内部に設けてもよい。
【0077】
また、前記実施の形態では、キャンドモータ12をキャンドモータポンプ11に適用した例を示したが、例えばキャンドモータ攪拌機やキャンドモータブロアなどにも適用できる。
【0078】
また、軸受摩耗検出装置は、キャンドモータ12に限らず、ウェットモータなど、すべり軸受を使用した他のモータにも適用できる。
【0079】
また、特に図示していないが、本発明の適用は、キャンドモータ12の軸受摩耗を検出する軸受磨耗検出装置に限らず、磁気軸受制御用の回転子位置センサなどのインダクタンスを検出する検出装置に対しても適用することができ、同様の作用効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の一実施の形態を示すモータの軸受摩耗検出装置の回路図である。
【図2】同上軸受摩耗検出装置を適用したキャンドモータポンプの断面図である。
【図3】同上軸受摩耗検出装置の検出コイルの出力信号のベクトル図である。
【図4】同上軸受摩耗検出装置の検出コイルの温度変化によるインダクタンスおよび抵抗の変化を示すグラフである。
【図5】同上軸受摩耗検出装置の軸受摩耗検出動作のフローチャートである。
【符号の説明】
【0081】
12 モータとしてのキャンドモータ
17 固定子
25 回転子
62 高周波信号印加手段としての高周波電源
65,75 位相検出手段としての位相比較器
80 インダクタンス検出手段
81 抵抗値検出手段
82 インダクタンス補正手段
83 軸方向位置検出手段
84 半径方向位置検出手段
A 検出コイルとしての軸方向位置検出コイル
R1,R2,R3 検出コイルとしての半径方向位置検出コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出コイルのインダクタンスを検出する検出装置において、
この検出コイルに高周波信号を印加する高周波信号印加手段と、
前記高周波信号が印加された検出コイルの出力信号から位相を検出する位相検出手段と、
前記高周波信号が印加された検出コイルの出力信号と前記位相検出手段で検出された位相とから検出コイルのインダクタンスを検出するインダクタンス検出手段と、
前記高周波信号が印加された検出コイルの出力信号と前記位相検出手段で検出された位相とから検出コイルの抵抗値を検出する抵抗値検出手段と、
前記インダクタンス検出手段で検出されたインダクタンスから、予め定められた温度変化によるインダクタンスと抵抗値との比例関係により前記抵抗値検出手段で検出された抵抗値から求められるインダクタンスの温度変化分を除くことにより、温度補正したインダクタンスを求めるインダクタンス補正手段と
を具備していることを特徴とする検出装置。
【請求項2】
モータの固定子側に設けられた検出コイルと、
この検出コイルに高周波信号を印加する高周波信号印加手段と、
前記高周波信号が印加された検出コイルの出力信号から位相を検出する位相検出手段と、
前記高周波信号が印加された検出コイルの出力信号と前記位相検出手段で検出された位相とから検出コイルのインダクタンスを検出するインダクタンス検出手段と、
前記高周波信号が印加された検出コイルの出力信号と前記位相検出手段で検出された位相とから検出コイルの抵抗値を検出する抵抗値検出手段と、
前記インダクタンス検出手段で検出されたインダクタンスから、予め定められた温度変化によるインダクタンスと抵抗値との比例関係により前記抵抗値検出手段で検出された抵抗値から求められるインダクタンスの温度変化分を除くことにより、温度補正したインダクタンスを求めるインダクタンス補正手段と、
このインダクタンス補正手段で求められた検出コイルのインダクタンスから前記モータの回転子の軸方向位置を検出する軸方向位置検出手段と
を具備していることを特徴とするモータの軸受摩耗検出装置。
【請求項3】
モータの固定子側に設けられた検出コイルと、
この検出コイルに高周波信号を印加する高周波信号印加手段と、
前記高周波信号が印加された検出コイルの出力信号から位相を検出する位相検出手段と、
前記高周波信号が印加された検出コイルの出力信号と前記位相検出手段で検出された位相とから検出コイルのインダクタンスを検出するインダクタンス検出手段と、
前記高周波信号が印加された検出コイルの出力信号と前記位相検出手段で検出された位相とから検出コイルの抵抗値を検出する抵抗値検出手段と、
前記インダクタンス検出手段で検出されたインダクタンスから、予め定められた温度変化によるインダクタンスと抵抗値との比例関係により前記抵抗値検出手段で検出された抵抗値から求められるインダクタンスの温度変化分を除くことにより、温度補正したインダクタンスを求めるインダクタンス補正手段と、
このインダクタンス補正手段で求められた検出コイルのインダクタンスから前記モータの回転子の半径方向位置を検出する半径方向位置検出手段と
を具備していることを特徴とするモータの軸受摩耗検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−340520(P2006−340520A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−163126(P2005−163126)
【出願日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(000150877)株式会社帝国電機製作所 (24)
【Fターム(参考)】