説明

検知装置および検知方法

【課題】所望の音を高精度に検知することのできる検知装置を提供する。
【解決手段】音を検知するセンサ400と、センサ400により検出された音の音響信号の信号パワーを算出する信号パワー算出部102と、信号パワーと第1閾値とを比較する第1比較部103と、第1閾値よりも大きい信号パワーを検出すると、第1閾値よりも大きい信号パワーを検出した第1時刻以降の時刻に検出された音響信号の信号パワーと第1閾値よりも小さい値である第2閾値とを比較する第2比較部104と、第1時刻から、第2比較部104が第2閾値よりも小さい信号パワーを検出する第2時刻までの間に得られた音響信号の信号パワーの総和である信号パワー面積を算出する信号パワー面積算出部105と、信号パワー面積が予め設定された第3閾値よりも大きい場合に異常が発生したと判断する異常判断部106とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検知装置および検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、警備対象となる建物の敷地内に人の歩行による衝撃音を検出するセンサを設置し、敷地内のセンサが物体に反応したときに、建物に侵入を企てる不法侵入者が存在すると判断して、威嚇ベルや非常灯などの機器を作動させるといった、不法侵入者を排除するような警報の出力を行う警備システムが知られている。
【0003】
また、音を検出する技術としては、例えば特許文献1には、車両において発生する音/振動を検査する車両検査装置が開示されている。この車両検査装置は、車両の走行時の速度を横軸、音を縦軸とする波形図を作成し、予め設定しておいた音圧レベルの閾値以上となる音が観測された範囲の面積を累計していき、累計面積値と許容面積値とを比較することにより音/振動の程度を評価するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−216604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、警備システムが警備対象とする領域においては、例えば降雨や、人間以外の小動物の足音など、人の歩行以外の音も発生する。このため、センサにより検知された音の中から、正確に不法侵入者の足音のみを検出する技術の提供が望まれている。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、人の歩行など所望の音を高精度に検出することのできる検知装置および検知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、検知装置であって、音を検知するセンサと、前記センサにより検出された音の音響信号の信号パワーを算出する信号パワー算出部と、前記信号パワー算出部により算出された前記信号パワーと所定の第1閾値とを比較する第1比較部と、前記第1比較部が前記第1閾値よりも大きい前記信号パワーを検出すると、前記第1閾値よりも大きい前記信号パワーを検出した第1時刻以降の時刻に検出された前記音響信号の前記信号パワーと、前記第1閾値よりも小さい値である第2閾値とを比較する第2比較部と、前記第1時刻から、前記第2比較部が前記第2閾値よりも小さい前記信号パワーを検出する第2時刻までの間に得られた前記音響信号の前記信号パワーの総和である信号パワー面積を算出する信号パワー面積算出部と、前記信号パワー面積算出部により算出された前記信号パワー面積と、予め設定された第3閾値とを比較し、前記信号パワー面積が前記第3閾値よりも大きい場合に異常が発生したと判断する異常判断部とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、検知装置において異常を検知する検知方法であって、センサが、音を検知する検知ステップと、信号パワー算出部が、前記検知ステップにおいて検出された音の音響信号の信号パワーを算出する信号パワー算出ステップと、第1比較部が、前記信号パワー算出ステップにおいて算出された前記信号パワーと所定の第1閾値とを比較する第1比較ステップと、第2比較部が、前記第1比較ステップにおいて前記第1閾値よりも大きい前記信号パワーを検出すると、前記第1閾値よりも大きい前記信号パワーを検出した第1時刻以降の時刻に検出された前記音響信号の前記信号パワーと、前記第1閾値よりも小さい値である第2閾値とを比較する第2比較ステップと、信号パワー面積算出部が、前記第1時刻から、前記第2比較ステップにおいて前記第2閾値よりも小さい前記信号パワーを検出する第2時刻までの間に得られた前記音響信号の前記信号パワーの総和である信号パワー面積を算出する信号パワー面積算出ステップと、異常判断部が、前記信号パワー面積算出ステップにおいて算出された前記信号パワー面積と、予め設定された第3閾値とを比較し、前記信号パワー面積が前記第3閾値よりも大きい場合に異常が発生したと判断する異常判断ステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、所望の音を高精度に検出することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本実施の形態の侵入検知システムの全体構成図である。
【図2】図2は、音響チューブセンサのチューブの施工例を示す模式図である。
【図3】図3は、土、砂利等に音響チューブセンサを埋設した状態を示す模式図である。
【図4】図4は、侵入検知装置100の機能的構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、警備領域内を実際に人が歩行した場合の信号パワーの時間変化のグラフを示す図である。
【図6】図6は、警備領域内を実際に人が歩行した場合の信号パワーの時間変化のグラフを示す図である。
【図7】図7は、警備領域内を実際に人が歩行した場合の信号パワーの時間変化のグラフを示す図である。
【図8】図8は、物音閾値算出処理を示すフローチャートである。
【図9】図9は、面積算出開始閾値および異常検出閾値算出処理を示すフローチャートである。
【図10】図10は、異常検出処理を示すフローチャートである。
【図11】図11は、信号パワー面積と異常検知閾値の関係を示すグラフを示す図である。
【図12】図12は、各要因に対する信号パワーのグラフを示す図である。
【図13】図13は、各要因に対する信号パワー面積のグラフを示す図である。
【図14】図14は、音響チューブセンサの変更例を示す図である。
【図15】図15は、音響チューブセンサの変更例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる検知装置および検知方法の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本実施の形態の侵入検知システムの全体構成図である。本実施の形態の侵入検知システムは、図1に示すように、監視領域に設置された音響チューブセンサ400と、音響チューブセンサ400と接続された侵入検知装置100とを備えている。
【0012】
音響チューブセンサ400は、図1に示すように、弾性を有する中空管としてのチューブ300と、チューブ300の一端の開口部を封鎖するように設けられた集音部としてのマイクロホン200とを有している。音響チューブセンサ400は、チューブ300が踏みつけられる等の衝撃が加えられた場合に、その衝撃の際の物音が中空管内を伝搬し、この物音をマイクロホン200で集音し、集音された音響信号を侵入検知装置100に送出する。
【0013】
侵入検知装置100は、音響チューブセンサ400のマイクロホン200から送出された音響信号により、監視領域内に侵入者が侵入したという異常判断を行うものである。
【0014】
音響チューブセンサ400は、監視対象となる監視領域の場所に施工される。音響チューブセンサ400は、土または砂利等に埋設することができる。図2は、音響チューブセンサ400のチューブ300を、戸建て住宅の外周の土、砂利、マット等に埋設して施工した例を示す模式図である。図3は、土、砂利等に音響チューブセンサ400を埋設した状態を示す模式図である。
【0015】
音響チューブセンサ400に音が伝達する物質に埋設すれば、音響チューブセンサ400をいずれの場所にも設置することができる。
【0016】
次に、侵入検知装置100の詳細について説明する。図4は、本実施の形態にかかる侵入検知装置100の機能構成を示すブロック図である。本実施の形態にかかる侵入検知装置100は、図4に示すように、AD変換部101と、信号パワー算出部102と、第1比較部103と、第2比較部104と、信号パワー面積算出部105と、異常判断部106と、警報出力部107と、物音閾値算出部108と、面積算出開始閾値算出部109と、面積算出終了閾値算出部110と、異常検出閾値算出部111と、記憶部120とを備えている。
【0017】
AD変換部101は、音響チューブセンサ400のマイクロホン200で集音され、伝搬されてきたアナログ信号を、デジタルの音響信号(以下、「音響信号」と称する)にA/D変換する。
【0018】
信号パワー算出部102は、A/D変換された音響信号から信号パワーを算出する。ここで、信号パワーとは、音響信号の強度である。信号パワー算出部102は、予め設定された演算式を用いて音響信号から信号パワーを算出する。演算式としては、一般的な二乗平均平方根(RMS(Root Mean Square))パワーや、対数パワーなどを用いることができる。本実施の形態においては、信号パワー算出部102は、二乗平均平方根を用いて、(式1)により音響信号から信号パワーを算出する。
【数1】

ここで、tは時刻、Pw(t)は時刻tにおける信号パワー、x(τ)は時刻τにおいて検出された音響信号、Sは信号パワーを算出する演算フレームに含まれる音響信号のサンプル数である。本実施の形態においては、音響信号のサンプリング周波数は、8KHzとし、信号パワー算出に用いる演算フレーム長を200ポイントとする。すなわち、25msの音響信号から1データの信号パワーが得られる。
【0019】
記憶部120は、各種情報を記憶している。記憶部120は、信号パワー算出部102により算出された信号パワーや、侵入検知装置100における異常判断に利用される複数の閾値などを記憶している。閾値としては、物音閾値、面積算出開始閾値、面積算出終了閾値、異常検出閾値がある。なお、各閾値については後述する。
【0020】
第1比較部103は、信号パワー算出部102により算出された信号パワーと、記憶部120に記憶されている面積算出開始閾値とを比較する。
【0021】
第2比較部104は、第1比較部103が面積算出開始閾値よりも大きい信号パワーを検出すると、面積算出開始閾値よりも大きい信号パワーを検出した時刻(以降、「開始時刻」と称する)以降に検出された音響信号の信号パワーと、記憶部120に記憶されている面積算出終了閾値とを比較する。
【0022】
信号パワー面積算出部105は、第1時刻から、第2比較部104が面積算出終了閾値よりも小さい信号パワーを検出した時刻(以下、「終了時刻」と称する)までに検出された音響信号の信号パワーの値の総和を信号パワー面積として算出する。具体的には、信号パワー面積算出部105は、第1比較部103が面積算出開始閾値よりも大きい信号パワーを検出すると、(式2)により、開始時刻以降に検出された音響信号の信号パワーの値を加算する加算処理を開始する。
【数2】

ここで、IPw(t)は、時刻tにおける信号パワーの総和である。そして、信号パワー面積算出部105は、第2比較部104が信号パワーが面積算出終了閾値よりも小さくなったことを検知すると、終了時刻に加算処理を終了し、終了時刻(t2)における信号パワーの総和(IPw(t2))を信号パワー面積として得る。信号パワー面積算出部105は、信号パワー面積を得ると、得られた信号パワー面積と、信号パワー面積算出の対象となった開始時刻から終了時刻までの面積算出区間を特定する面積算出区間情報とを対応付けて記憶部120に記憶する。
【0023】
ここで、図5を参照しつつ、信号パワー面積、面積算出開始閾値および面積算出終了閾値を説明する。図5は、警備領域内を実際に人が歩行した場合に検出される音響信号から算出された信号パワーの時間変化を示すグラフである。グラフの横軸は信号パワーのサンプル数、グラフの縦軸は信号パワーの値を示している。図5に示すように、人の歩行に対応し、1歩に相当する足音に対応する音響信号が検出される。
【0024】
本実施の形態にかかる侵入検知装置100は、この1歩に相当する時間長の区間である歩行区間に相当する区間である面積算出区間を特定し、面積算出区間において検出された音響信号の信号パワー面積に基づいて、異常検知を行うものである。第1比較部103が利用する面積算出開始閾値は、歩行区間の始点に相当する時刻である面積算出区間の開始時刻を特定するための値であり、第2比較部104が利用する面積算出終了閾値は、歩行区間の終点に相当する時刻である面積算出区間の終了時刻を特定するための値である。そして、信号パワー面積算出部105は、開始時刻から終了時刻までの区間である面積算出区間における信号パワー面積を算出する。
【0025】
なお、面積算出開始閾値および面積算出終了閾値は、実際に人が歩行したときに検出された音響信号に基づいて、それぞれ面積算出開始閾値算出部109および面積算出終了閾値算出部110により算出される。
【0026】
さらに、面積算出終了閾値は、面積算出開始閾値よりも小さい値である。図5に示すように、歩行区間においては、常に比較的大きな音響信号が検出されるのではなく、音響信号の強度は変化する。これは、人の歩行に相当する音響信号の特徴である。すなわち、人の歩行においては、はじめに地面に足が接触した瞬間比較的大きな音が発生し、その後一度音が小さくなり、足が地面から離れる際に再び大きい音が発生する。
【0027】
そこで、本実施の形態にかかる侵入検知装置100においては、1歩の歩行区間の開始点においては、比較的大きい音が発生することから、これに対応して比較的大きい信号パワーの値を面積算出開始閾値として設定することとする。さらに、歩行区間の終了点を正確に検出すべく、面積算出開始閾値よりも小さい値を面積算出終了閾値として設定することとする。面積算出開始閾値および面積算出終了閾値の具体的な算出方法については後述する。
【0028】
異常判断部106は、信号パワー面積算出部105により算出された信号パワー面積と、記憶部120に記憶されている異常検知閾値とを比較し、信号パワー面積が異常検知閾値よりも大きい場合に、異常音が発生した、すなわち監視領域に侵入者が侵入した可能性が高い異常状態であると判断する。このように、本実施の形態にかかる侵入検知装置100は、所定の時間長の区間(面積算出区間)において検出された音響信号から算出された信号パワー面積に基づいて、異常判断を行う。
【0029】
警報出力部107は、異常判断部106により異常状態であると判断された場合に、警報を出力し、またはネットワークを介して監視センタ(不図示)に異常の旨を送信する。
【0030】
物音閾値算出部108は、物音の発生していない状態、すなわち暗騒音状態において算出された信号パワー(以下、「暗騒音信号パワー」と称する)に基づいて、物音閾値を算出する。ここで、物音閾値とは、物音が発生しているか否か、すなわち暗騒音のみの状態であるか否かを判断する基準となる閾値である。物音閾値は、面積算出開始閾値を算出する際に利用される値である。
【0031】
物音閾値算出部108は、例えば、侵入検知システムの設定時など、警備が行われていない時間帯において、暗騒音状態であることがわかっている所定の時間長の区間において検出された音響信号の信号パワーの平均値(AvePw)を(式3)を用いて算出する。
【数3】

ここで、NzPw(p)は時刻pのときの暗騒音信号パワー、Pは暗騒音信号パワーのサンプル数である。
【0032】
さらに、物音閾値算出部108は、(式4)に示すように加算値(ベータ)を加算することにより、物音閾値(Th1)を算出する。
【数4】

なお、加算値(β)は、物音閾値(Th1)が、暗騒音信号パワーよりも大きい値となるように加算する値である。加算値(β)は、予め設定された固定値である。加算値(β)としては、例えば300を設定してもよい。
【0033】
また、他の例としては、物音閾値算出部108は、加算値(β)を暗騒音信号パワーの標準偏差に基づいて算出してもよい。具体的には、物音閾値算出部108は、(式5)により暗騒音信号パワーの標準偏差(σ)を算出する。
【数5】

ここで、nは標準偏差算出に用いる暗騒音信号パワーのデータ数である。物音閾値算出部108は、(式6)により、加算値(β)を得る。
【数6】

ここで、cは平均値からの距離を示す係数であり、cは例えば4〜6の値である。
【0034】
面積算出開始閾値算出部109は、警備が行われていない時間帯に歩行テストにより検出された音響信号の信号パワーに基づいて、面積算出開始閾値を算出する。歩行テストとは、警備中と同一条件の下で実際に人が歩き、この歩行を音響チューブセンサ400で検知するものであり、検知結果に基づいて、侵入検知システムによる警備中に侵入検知装置100において利用される閾値(面積算出開始閾値および異常検出閾値)が設定される。
【0035】
面積算出開始閾値算出部109は、歩行テスト時に検出された音響信号の信号パワーと、物音閾値算出部108により算出された物音閾値とを比較する。そして、面積算出開始閾値算出部109は、物音閾値よりも大きい信号パワーが検出された第1時刻から物音閾値よりも小さい信号パワーが検出された第2時刻までの歩行区間において検出された音響信号の信号パワーの最大値(信号パワー最大値)を特定する。ここで、歩行区間は、1歩の足音に相当する区間であり、特定される信号パワー最大値は、1歩における最大値である。
【0036】
なお、歩行テスト時に検出された暗騒音レベル以上の音響信号は歩行によるものであるとして、面積算出開始閾値算出部109は、上述のように暗騒音レベルの信号パワーに所定の加算値を加算した物音閾値以上である場合に歩行区間であると判断することとする。
面積算出開始閾値算出部108は、歩行テスト中に検出される複数の歩行区間それぞれにおいて信号パワー最大値を特定し、これを記憶部120に記憶する。そして、面積算出開始閾値算出部109は、特定した複数の信号パワー最大値に基づいて、(式7)により面積算出開始閾値(Th2)を算出する。
【数7】

ここで、MaxPw(n)は1つの歩行区間における信号パワー最大値、αは面積算出開始閾値の感度調整係数である。なお、αは予め設定された0以上1未満の値であり、αは例えば0.9に設定されている。また、Nは信号パワー最大値の個数である。
【0037】
このように、面積算出開始閾値算出部109は、物音閾値よりも大きい値であって、暗騒音信号パワーに比べて十分に大きい値を面積算出開始閾値として算出するので、雨が降り出したなど環境変化に起因した騒音レベルの変化を面積算出区間の開始と誤検知し、信号パワー面積算出部105が信号パワー面積の算出を開始するのを防ぐことができる。
【0038】
なお、警備中において、不法侵入者の忍び足による侵入を想定している場合には、歩行テストにおいても、忍び足の歩行を行わせ、不法侵入者の通常歩行による侵入を想定している場合には、歩行テストにおいても、通常歩行を行わせることとする。これにより、実際の不法侵入者の足音に沿った閾値を設定することができる。すなわち、こうして設定した閾値を利用することにより、より正確に不法侵入者を検知することができる。
【0039】
面積算出終了閾値算出部110は、実際の警備中において、第1比較部103が面積算出開始閾値よりも大きい信号パワーを検出すると、面積算出終了閾値を算出する。具体的には、面積算出終了閾値算出部110は、まず開始時刻に基づいて暗騒音区間を特定する。ここで、暗騒音区間とは、物音の発生していない時間帯の所定の時間長の区間である。暗騒音区間は、開始時刻よりも所定の時間だけ前の時刻を終点とし、終点から所定の時間長だけ前の時刻を始点とする区間である。例えば開始時刻から信号データの100データ分前の時刻を終点とする区間を暗騒音区間とする。
【0040】
そして、面積算出終了閾値算出部110は、暗騒音区間において検出された音響信号に基づいて、面積算出終了閾値を算出する。すなわち、面積算出終了閾値算出部110は、前述の(式3)により暗騒音区間において検出された音響信号に対する複数の信号パワーの平均値を算出し、これに所定の加算値を加算することにより、面積算出終了閾値を得る。
【0041】
ここで、図6および図7を参照しつつ、暗騒音区間について説明する。図6および図7は、警備領域内を実際に人が歩行した場合に検出される音響信号から算出された信号パワーの時間変化を示すグラフである。グラフの横軸は信号パワーのサンプル数、グラフの縦軸は信号パワーの値を示している。図6のグラフから、信号パワー面積の算出が開始される開始時刻の直前において、信号パワーは既に徐々に増加していることがわかる。そこで、この信号パワーの増加が始まる区間よりも前の区間を暗騒音区間とすべく、信号パワー面積算出の開始時刻よりも所定の時間だけ前の時刻を終点とする区間を暗騒音区間とすることとする。
【0042】
さらに、図7に示すように、対象となる面積算出区間の直前に、前回の信号パワー面積の算出に利用された面積算出区間が存在し、前回の面積算出区間が面積算出終了閾値算出部110が利用すべき暗騒音区間と重なる場合がある。
【0043】
このように、暗騒音区間が前回の面積算出区間と重なる場合には、面積算出終了閾値算出部110は、前回の面積算出区間よりも前の区間であって、いずれの面積算出区間とも重ならない区間を暗騒音区間として設定する。なお、面積算出終了閾値算出部110は、記憶部120に記憶されている面積算出区間情報を参照することにより、いずれの面積算出区間とも重ならない暗騒音区間を設定する。
【0044】
再び図4に戻り、異常検出閾値算出部111は、歩行テストにより検出された音響信号の信号パワーに基づいて、異常検出閾値を算出する。具体的には、異常検出閾値算出部111は、歩行テスト時に検出された音響信号の信号パワーが物音閾値以上となった第1時刻から信号パワーが物音閾値以下となった第2時刻までの歩行区間において検出された音響信号の信号パワーに基づいて、歩行区間における信号パワー面積を算出する。なお、信号パワー面積の算出方法は、信号パワー面積算出部105による信号パワー面積の算出方法と同様である。
【0045】
異常検出閾値算出部111はさらに、歩行テストにおいて得られるN個の歩行区間それぞれにおける信号パワー面積(IPw(n))を算出し、(式8)により、N個の信号パワー面積(IPw(n))の最小値に、異常検出閾値の感度調整係数(γ)を乗じることにより、異常検知閾値(Th3)を算出する。
【数8】

γは予め設定された0以上1未満の値であり、γは例えば0.9に設定されている。また、Nは信号パワー面積の個数である。
【0046】
図8は、物音閾値算出処理を示すフローチャートである。物音閾値算出処理は、面積算出開始閾値や異常検出閾値を算出するための歩行テストに先立ち、物音が発生していない暗騒音状態において行われる。
【0047】
物音閾値算出処理においては、まず侵入検知システムは、音響チューブセンサ400による音響信号の検出を開始する(ステップS100)。さらに、侵入検知装置100のAD変換部101は、音響信号をA/D変換し(ステップS101)、信号パワー算出部102は音響信号から信号パワーを算出する(ステップS102)。なお、物音閾値算出処理の継続中、音響チューブセンサ400は常に音響信号の検出を継続し、AD変換部101および信号パワー算出部102は、音響信号が検出される度に、A/D変換および信号パワー算出処理を行う。
【0048】
信号パワー算出部102により算出された信号パワー、すなわち暗騒音信号パワーは、記憶部120に蓄積される(ステップS103)。そして、記憶部120に所定数の暗騒音信号パワーが蓄積されると(ステップS104,Yes)、物音閾値算出部108は、記憶部120に蓄積された暗騒音信号パワーの平均値を算出し(ステップS105)、平均値に基づいて、物音閾値を算出する(ステップS106)。以上で、物音閾値算出処理が完了する。なお、ステップS104において、記憶部120に所定数の暗騒音信号パワーが蓄積されていない場合には(ステップS104,No)、再びステップS100に戻り、所定数の暗騒音信号パワーが蓄積されるまで待つ。
【0049】
図9は、面積算出開始閾値および異常検出閾値算出処理を示すフローチャートである。面積算出開始閾値および異常検出閾値算出処理は、歩行テスト中に実行される。面積算出開始閾値および異常検出閾値算出処理においては、侵入検知システムは、物音閾値算出処理と同様、音響チューブセンサ400による音響信号の検出を開始する(ステップS110)。さらに、侵入検知装置100のAD変換部101は、音響信号をA/D変換し(ステップS111)、信号パワー算出部102は音響信号から信号パワーを算出する(ステップS112)。なお、物音閾値算出処理の継続中、音響チューブセンサ400は常に音響信号の検出を継続し、AD変換部101および信号パワー算出部102は、音響信号が検出される度に、A/D変換および信号パワー算出処理を行う。また、算出された信号パワーは、記憶部120に蓄積される。
【0050】
次に、信号パワーが物音閾値よりも大きい場合には(ステップS113,Yes)、歩行区間の信号パワーであるとして、ステップS114に進み、今回算出された信号パワーと記憶部120に記憶されている信号パワー最大値を比較する。信号パワーの値が信号パワー最大値よりも大きい場合には(ステップS114,Yes)、面積算出開始閾値算出部108は、今回得られた信号パワーを信号パワー最大値として記憶部120に記憶する。すなわち、信号パワー最大値を更新する(ステップS115)。なお、面積算出開始閾値算出部108は、記憶部120に信号パワー最大値が記憶されていない場合には、得られた信号パワーの値を信号パワー最大値として記憶部120に格納する。
【0051】
次に、信号パワー面積算出部105は、これまでに得られた信号パワーの総和に今回得られた信号パワーの値を加算し、加算後の信号パワーの総和を記憶部120に格納する(ステップS116)。なお、これまでに得られた信号パワーの総和が記憶部120に記憶されていない場合には、信号パワー面積算出部105は、今回得られた信号パワーを信号パワーの総和として記憶部120に格納する。さらに、歩行テストを継続する場合には(ステップS117,No)、再びステップS110に戻る。なお、ステップS114において、信号パワーが信号パワー最大値以下である場合には(ステップS114,No)、信号パワー最大値の更新を行わずに、ステップS116へ進む。
【0052】
信号パワーが物音閾値よりも大きい間は、ステップS114からステップS116の処理により、信号パワーの最大値の更新および信号パワー面積の加算を継続する。
【0053】
信号パワーが物音閾値以下であって(ステップS113,No)、かつ現在信号パワー面積の算出中である場合には(ステップS120,Yes)、信号パワー面積の算出を終了し(ステップS121)、信号パワーが物音閾値を越えた第1時刻から、物音閾値以下となる直前の第2時刻までの歩行区間における信号パワー最大値と、信号パワー面積を確定し、これを記憶部120に記憶する(ステップS122)。
【0054】
信号パワーが物音閾値以下であって(ステップS113,No)、かつ現在信号パワー面積の算出中でない場合には(ステップS120,No)、暗騒音状態であるとして、ステップS117に進み、歩行区間になるまで待機する。
【0055】
ステップS117において、歩行テストが終了する場合には(ステップS117,Yes)、面積算出開始閾値算出部109は、記憶部120に記憶されている複数の信号パワー最大値に基づいて、面積算出開始閾値を算出する(ステップS130)。さらに、異常検出閾値算出部111は、記憶部120に記憶されている複数の信号パワー面積に基づいて、異常検出閾値を算出する(ステップS131)。以上で、面積算出開始閾値および異常検出閾値算出処理が完了する。
【0056】
図10は、異常検出処理を示すフローチャートである。異常検出処理は、実際の警備中に実行される処理である。異常検出処理においては、他の処理と同様、侵入検知システムは、まず音響チューブセンサ400による音響信号の検出を開始する(ステップS200)。次に、侵入検知装置100のAD変換部101は、音響信号をA/D変換し(ステップS201)、信号パワー算出部102は、音響信号から信号パワーを算出する(ステップS202)。なお、異常検出処理の継続中、音響チューブセンサ400は常に、音響信号の検出を継続し、AD変換部101および信号パワー算出部102は、音響信号が検出される度に、A/D変換および信号パワー算出処理を行う。さらに、信号パワー算出部102により算出された信号パワーは、記憶部120に蓄積される。
【0057】
次に、信号パワー面積算出部105による信号パワー面積算出中でない場合には(ステップS203,No)、第1比較部103は、得られた信号パワーと、面積算出開始閾値とを比較する。面積算出開始閾値よりも大きい信号パワーが検出された場合には(ステップS204,Yes)、面積算出終了閾値算出部110は、面積算出開始閾値よりも大きい信号パワーが検出された時刻、すなわち面積算出区間の開始時刻から所定の時間だけ前の区間である暗騒音区間を定め、暗騒音区間において検出された信号パワーに基づいて、面積算出終了閾値を算出し(ステップS205)、さらに、信号パワー面積算出部105は、得られた信号パワーを加算することにより、信号パワー面積を算出する(ステップS206)。なお、信号パワー面積の算出中には、面積算出終了閾値の更新は行われない。
【0058】
このように、本実施の形態においては、面積算出終了閾値算出部110は、面積算出区間に近い時間帯の暗騒音区間において検出された音響信号から面積算出終了閾値を算出するので、面積算出終了閾値を用いることにより、実際に1歩の足音が終了するタイミングを精度よく検出することができる。
【0059】
次に、異常判断部106は、信号パワー面積算出部105により算出された信号パワー面積と異常検出閾値とを比較する。信号パワー面積が異常検出閾値よりも大きい場合には(ステップS207,Yes)、異常判断部106は、異常が発生したと判断し、警報出力部107は、警報出力やネットワーク配信等により異常が発生したことを通知する(ステップS208)。さらに、警備を継続させる場合には(ステップS209,No)、ステップS200に戻る。警備を終了する場合には(ステップS209,Yes)、異常検出処理が完了する。
【0060】
ステップS204において、信号パワーが面積算出開始閾値以下である場合には(ステップS204,No)、ステップS200に戻る。また、ステップS207において、信号パワー面積が異常検出閾値以下である場合も(ステップS207,No)、ステップS200に戻る。
【0061】
ステップS203において、現在信号パワー面積の算出中である場合には(ステップS203,Yes)、続いて、第2比較部104は、信号パワーと、面積算出終了閾値とを比較する。信号パワーが面積算出終了閾値以上である場合には(ステップS220,No)、面積算出区間が継続しているとして、今回得られた信号パワーを加算して信号パワー面積を更新し(ステップS221)、ステップS207へ進む。
【0062】
また、ステップS203において、現在信号パワー面積の算出中であって(ステップS203,Yes)、かつ信号パワーが面積算出終了閾値よりも小さい場合には(ステップS220,Yes)、面積算出区間が終了したとして、信号パワー面積算出処理を終了し(ステップS222)、信号パワー面積を面積算出区間情報に対応付けて記憶部120に記憶し(ステップS223)、ステップS207に進む。
【0063】
図11は、信号パワー面積と異常検知閾値の関係を示すグラフである。グラフの横軸は信号パワーのサンプル数、縦軸は信号パワー面積を示している。異常検出処理において、信号パワー面積算出中においてステップS221において信号パワー面積が加算されていくと、図11に示すように、信号パワー面積は時間の経過とともに増加していき、ある時点で異常検知閾値を越える。したがって、ステップS206、ステップS221において信号パワー面積を加算する度に、信号パワー面積と、異常検知閾値とを比較することにより、信号パワー面積が異常検知閾値よりも大きくなった時点でリアルタイムに異常発生を検知することができる。
【0064】
図12および図13は、それぞれ本実施の形態にかかる侵入検知システムが検知対象とする人の通常歩行および忍び足、さらに誤検知要因となる警備領域内への猫の飛び込みおよび屋根からの落雪に対応する音響信号から得られる信号パワーおよび信号パワー面積を示すグラフを示している。図12のグラフの横軸は信号パワーのサンプル数、縦軸は信号パワーを示している。図13のグラフの横軸は信号パワーのサンプル数、縦軸は信号パワー面積を示している。
【0065】
図12のグラフに示されるように、落雪や猫の飛び込みからは、忍び足よりも大きな信号パワーが算出される。このため、信号パワーの値の大小に基づいて、誤検知要因と検知対象の音を識別するのは難しい。
【0066】
これに対し、図13のグラフに示されるように、検知対象とする人の通常歩行および忍び足に対応する信号パワー面積は、誤検知要因となる猫の飛び込みや落雪に対応する信号パワー面積に比べて大きい。そこで、本実施の形態にかかる侵入検知装置100においては、検知対象の信号パワー面積の値と、誤検知要因の信号パワー面積値の間の値を異常検知閾値として設定し、この異常検知閾値を利用することとした。これにより、本実施の形態にかかる侵入検知システムにおいては、精度よく検知対象となる通常歩行および忍び足のみを検知することができる。
【0067】
本実施の形態において、異常検知の判断に用いた信号パワー面積は、信号パワーの大きさと、継続時間の積であり、信号パワー面積から、衝撃の大きさと継続時間を評価することができる。本実施の形態の侵入検知システムが検知対象とする人の歩行は、通常歩行であればある程度の強さの衝撃があり、かつその音は、ある程度の継続性を有している。また、忍び足は、通常歩行に比べて衝撃の強さは小さくなるものの、その音の継続時間は長くなる。すなわち、通常歩行および忍び足のいずれにおいてもある程度の大きさの信号パワー面積が得られる。これに対し、誤検知要因として想定される落下物は、衝撃は大きいが継続時間は短く、また、小動物の歩行は、衝撃、継続時間ともに短いという特徴があり、いずれにおいても、信号パワー面積は比較的小さいものとなる。
【0068】
本実施の形態にかかる侵入検知システムにおいては、信号パワー面積を用いた評価を行うことにより、誤検知要因から発生する音と検知対象から発生する音の特徴の違いを識別することにより、精度よく検知対象のみを検知することができる。
【0069】
本実施の形態の侵入検知装置は、CPUなどの制御装置と、ROM(Read Only Memory)やRAMなどの記憶装置と、HDD、CDドライブ装置などの外部記憶装置と、入出力装置を備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0070】
本実施形態の侵入検知装置で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。また、本実施形態の侵入検知装置で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の侵入検知装置で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。また、本実施形態の侵入検知装置で実行されるプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0071】
本実施の形態の侵入検知装置で実行されるプログラムは、上述した各部(AD変換部、信号パワー算出部、第1比較部、第2比較部、信号パワー面積算出部、異常判断部、警報出力部、物音閾値算出部、面積算出開始閾値算出部、面積算出終了閾値算出部、異常検出閾値算出部)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、各部が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0072】
また、他の例としては、上述した各部(AD変換部、信号パワー算出部、第1比較部、第2比較部、信号パワー面積算出部、異常判断部、警報出力部、物音閾値算出部、面積算出開始閾値算出部、面積算出終了閾値算出部、異常検出閾値算出部)は、ハードウェアにより実現されてもよい。
【0073】
なお、本発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。また、以下に例示するような種々の変形が可能である。
【0074】
図14および図15は、音響チューブセンサの変更例を示す図である。音響チューブセンサ400においては、マイクロホン200がチューブ300の両端の開口部またはその近傍に物音を集音可能に設けられていればよく、音響チューブセンサ400の構成は、図1に示す構成に限定されるものではない。例えば、図14に示すように、音響チューブセンサ400は、チューブ300の両端の開口部を封鎖するように設けられた2つのマイクロホン200を有してもよい。この場合には、侵入検知装置100は、さらにチューブ300における物音の位置を推定し、推定した位置から減衰する音響信号を補正して、補正後の音響信号により、異常判断を行うことができる。また、図15に示すように、チューブ300を分岐させる構成とし、その両端の開口部を封鎖するように2つのマイクロホン200が設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0075】
100 侵入検知装置
101 AD変換部
102 信号パワー算出部
103 第1比較部
104 第2比較部
105 信号パワー面積算出部
106 異常判断部
107 警報出力部
108 物音閾値算出部
109 面積算出開始閾値算出部
110 面積算出終了閾値算出部
111 異常検出閾値算出部
120 記憶部
200 マイクロホン
300 チューブ
400 音響チューブセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音を検知するセンサと、
前記センサにより検出された音の音響信号の信号パワーを算出する信号パワー算出部と、
前記信号パワー算出部により算出された前記信号パワーと所定の第1閾値とを比較する第1比較部と、
前記第1比較部が前記第1閾値よりも大きい前記信号パワーを検出すると、前記第1閾値よりも大きい前記信号パワーを検出した第1時刻以降の時刻に検出された前記音響信号の前記信号パワーと、前記第1閾値よりも小さい値である第2閾値とを比較する第2比較部と、
前記第1時刻から、前記第2比較部が前記第2閾値よりも小さい前記信号パワーを検出する第2時刻までの間に得られた前記音響信号の前記信号パワーの総和である信号パワー面積を算出する信号パワー面積算出部と、
前記信号パワー面積算出部により算出された前記信号パワー面積と、予め設定された第3閾値とを比較し、前記信号パワー面積が前記第3閾値よりも大きい場合に異常が発生したと判断する異常判断部と
を備えることを特徴とする検知装置。
【請求項2】
前記第1時刻より前の所定の時間長の暗騒音区間において検知された前記音響信号の前記信号パワーに基づいて、前記第2閾値を算出する第2閾値算出部をさらに備え、
前記第2比較部は、前記信号パワーと前記第2閾値算出部により算出された前記第2閾値とを比較することを特徴とする請求項1に記載の検知装置。
【請求項3】
前記暗騒音区間は、前記第1時刻より所定の時間だけ前の時刻を終点とし、当該終点から前記時間長だけ前の時刻を始点とする区間であることを特徴とする請求項2に記載の検知装置。
【請求項4】
前記第2閾値算出部は、前記暗騒音区間が、前記信号パワー面積算出部により前記第1時刻においてすでに前記信号パワー面積の算出に利用された面積算出区間と重なる場合には、当該面積算出区間より前の区間を前記暗騒音区間とし、当該暗騒音区間の前記信号パワーに基づいて、前記第2閾値を算出することを特徴とする請求項2または3に記載の検知装置。
【請求項5】
前記センサは、開口された一端を有する中空管と、前記開口された一端に配設され、前記中空管を伝わる音を集音する集音部とを有する音響チューブセンサであることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の検知装置。
【請求項6】
検知装置において異常を検知する検知方法であって、
センサが、音を検知する検知ステップと、
信号パワー算出部が、前記検知ステップにおいて検出された音の音響信号の信号パワーを算出する信号パワー算出ステップと、
第1比較部が、前記信号パワー算出ステップにおいて算出された前記信号パワーと所定の第1閾値とを比較する第1比較ステップと、
第2比較部が、前記第1比較ステップにおいて前記第1閾値よりも大きい前記信号パワーを検出すると、前記第1閾値よりも大きい前記信号パワーを検出した第1時刻以降の時刻に検出された前記音響信号の前記信号パワーと、前記第1閾値よりも小さい値である第2閾値とを比較する第2比較ステップと、
信号パワー面積算出部が、前記第1時刻から、前記第2比較ステップにおいて前記第2閾値よりも小さい前記信号パワーを検出する第2時刻までの間に得られた前記音響信号の前記信号パワーの総和である信号パワー面積を算出する信号パワー面積算出ステップと、
異常判断部が、前記信号パワー面積算出ステップにおいて算出された前記信号パワー面積と、予め設定された第3閾値とを比較し、前記信号パワー面積が前記第3閾値よりも大きい場合に異常が発生したと判断する異常判断ステップと
を含むことを特徴とする検知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−84105(P2013−84105A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223271(P2011−223271)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000202361)綜合警備保障株式会社 (266)
【Fターム(参考)】