説明

検針データ等の入出力装置、ガスメータ、およびガスメータの隔測表示器

【課題】共通のコネクタを用いて、電文通信および汎用シリアル通信の双方を行うことのできるガスメータ又は隔測表示器を提案すること。
【解決手段】ガスメータの隔測表示器1は、ガスメータの検針データを5ビット電文通信により受信するための電文通信ポートDTを備えた電文通信インターフェース7と、情報送信ポートTxおよび情報受信ポートRxを備え、外部との間で通信を行うためのRS−232C通信インターフェース8と、送信用端子93および情報受信ポートRxに接続されている受信用端子92を備えたジャック9、送信用端子93を選択的に電文通信ポートDTおよび情報送信ポートTxに接続する切り替え用スイッチ10と、切り替え用スイッチ9を切り替え制御するCPU2とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスメータあるいは、ガスメータの隔測表示器から、ガスメータの検針データ等を読み出すために、ガスメータあるいは隔測表示器に組み込まれる検針データ等の入出力装置に関するものである。さらに詳しくは、電文およびその他情報通信用のコネクタを用いて外部と汎用シリアル通信を行うことのできる検針データ等の入出力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガスメータは、図2(a)に示すように単体で設置され、その表示部に検針データが表示される。また、図2(b)に示すように、ガスメータに、5ビット電文通信により検針データを読み出して表示するための隔測表示器が接続されている場合もある。隔測表示器接続タイプでは、隔測表示器内に付加機能を持たせることにより、ガスメータを単独設置する場合に比べて、様々なデータを表示できる。例えば、日曜日の使用ガス量のみを別個にカウントして表示させることができ、これに基づき、様々なガス使用量の料金体系を構築できる。
【0003】
ここで、ガスメータ単体設置タイプあるいは隔測表示器接続タイプにおける検針方法としては、通常、それらの指針を目視により読み取る方法が採用されている。しかしながら、目視による検針は読み取りミスが発生しやすい。また、隔測表示器接続タイプでは、複数の付加価値データを読み取るには目視では大変である。
【0004】
目視によらずに各種の読み取り機器を接続して検針を行う方法としては、図3に示すような接続形態が知られている。ガスメータは、電話回線を使用した自動検針、保安などを行うことを前提としており、そのために、専用の通信インターフェースを内蔵しており、一般に、5ビット電文、8ビット電文と呼ばれる電文通信を行うようになっている。図3において、ガスメータと、NCU(伝送装置)、ハンディーターミナル、および隔測表示器との間は、この電文通信により接続されている。この電文通信の通信速度は200bps、あるいは300bpsと非常に低速である。
【0005】
今後は、更に高付加価値で大量のデータ収集が考えられ、例えば、図3に示すPDAなどが読み取り装置として用いられる。大量のデータを短時間で収集するにはRS−232C等のようなこれまでと違う汎用シリアル通信インターフェースが必要になる。
【0006】
検針システムの構成機器をこのような通信に対応できるようにすることは非常にコストが掛かる。そこで、付加価値データの必要なユーザのみPDAなどの読み取り装置を用いてデータ収集を行い、検針データはハンディーターミナルで電文通信により収集するという運用が考えられる。
【0007】
このようにするためには、例えば、隔測表示器に、電文通信インターフェースの他に、RS−232Cなどの汎用シリアル通信インターフェースを搭載し、電文通信用のコネクタおよび汎用通信用のコネクタを配置する必要がある。
【0008】
しかしながら、隔測表示器の筺体などに、検針データ読み出し用の電文通信インターフェースのコネクタに加えて、汎用シリアル通信インターフェースのコネクタを設置すると、そのためのスペースを確保する必要があるので、寸法増加を招いてしまう。また、場合によっては追加のコネクタを設置するスペースを確保できない場合もある。さらには、2つコネクタを配置した場合には、接続すべきコネクタを誤ることの無い様に、双方のコネクタを識別するための何らかの対策が必要になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、単一のコネクタを用いて、電文通信およびRS−232C通信などの汎用シリアル通信の双方を行うことのできるガスメータあるいは隔測表示器の検針データ等の入出力装置を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の検針データ等の入出力装置は、
検針データ等を電文通信により送信するための電文通信ポートDTを備えた電文通信インターフェースと、
情報送信ポートTxおよび情報受信ポートRxを備え、外部との間で通信を行うための汎用シリアル通信インターフェースと、
送信用端子、および、前記情報受信ポートRxに接続されている受信用端子を備えた共用コネクタと、
前記送信用端子を選択的に前記電文通信ポートDTおよび前記情報送信ポートTxに接続する切り替え用スイッチと、
前記切り替え用スイッチを切り替え制御する制御手段とを有していることを特徴としている。
【0011】
ここで、前記共用コネクタの前記送信用端子を、通常は、前記電文通信インターフェースの前記電文通信ポートDTに接続した状態にして、5ビット電文通信などをそのまま行えるようにすることができる。この場合には、前記制御手段は、前記汎用シリアル通信インターフェースの前記情報送信ポートTxから信号を出力する場合、前記切り替え用スイッチを切り替えて、前記送信用端子の接続を当該情報送信ポートTxの側に切り替えるようにすればよい。
【0012】
また、前記汎用シリアル通信インターフェースとしては例えばRS−232C通信インターフェースなどの汎用シリアル通信を用いることができる。
【0013】
次に、本発明のガスメータは、上記構成の検針データ等の入出力装置を有していることを特徴としている。
【0014】
一方、本発明は、ガスメータから供給される検針データを表示すると共に、当該検針データに基づき作成したガス使用に関するデータを作成して表示するガスメータの隔測表示器において、上記構成の検針データ等の入出力装置を有していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明のガスメータの隔測表示器では、切り替え用スイッチを切り替えることにより、電文通信用のコネクタにおける送信用端子を、RS−232Cなどの汎用シリアル通信インターフェースの情報送信用の端子に兼用できるようにしている。この結果、電文通信用のコネクタを、汎用シリアル通信用のコネクタとして用いることができる。
【0016】
したがって、本発明によれば、コネクタの数を増やすことに起因する寸法増加、コネクタの接続誤りなどの弊害を招くことなく、ガスメータあるいは隔測表示器に、外部との間で双方向通信を行う機能を追加できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、図面を参照して、本発明を適用したガスメータの隔測表示器を説明する。
【0018】
図1はガスメータの隔測表示器を示す概略ブロック図であり、この図においては、その共用コネクタの各端子と電文通信インターフェースおよびRS−232C通信インターフェースの各ポートとの接続関係を模式的に示してある。
【0019】
ガスメータの隔測表示器1は、各部の駆動制御を司る制御手段を構成しているCPU2と、ガスメータ20から5ビット電文通信により供給されるガス検針データを記憶保持するためのメモリ3と、ガス検針データを表示するための表示器4と、表示器4を駆動するための表示ドライバ5を有している。また、操作ボタンが配列された入力部6を備えており、入力部6を介して入力される指令に基づき、ガス検針データなどの表示が行われる。
【0020】
CPU2には、5ビット電文通信インターフェース7およびRS−232C通信インターフェース8を備えた入出力部Aが配置されている。これらの通信インターフェース7、8は、共用のコネクタであるジャック9を介して、外部機器(図示せず)に通信接続可能となっている。また、ジャック9と、通信インターフェース7、8の間には切り替え用スイッチ10が配置されており、CPU2は切り替え用スイッチ10を切り替えることにより、共用のジャック9を介して、通信インターフェース7、8を選択的に外部機器と接続できるようになっている。
【0021】
電文通信インターフェース7は電文通信ポートDTと信号接地SGを備えている。RS−232C通信インターフェース8は情報送信ポートTx、情報受信ポートRx、および、信号接地SGを備えている。ジャック9は接地端子91、受信用端子92、および、送信用端子93の3本の端子を備えている。接地端子91は例えば、RS−232C通信インターフェース7の信号接地SGを介して接地されている。受信用端子92は、ジャック9に接続された外部機器の送信ポートと接続される端子であり、RS−232C通信インターフェース8の情報受信ポートRxに接続されている。ジャック9の送信用端子93は、ジャック9に接続された外部機器の受信ポートと接続される端子である。
【0022】
ジャック9の送信用端子93は、切り替え用スイッチ10を介して、電文通信インターフェース7の電文通信ポートDT、および、RS−232Cインターフェース8の情報送信ポートTxに選択的に接続可能となっている。本例の切り替え用スイッチ10は、常態では、電文通信ポートDTの側に接続されている。したがって、ジャック9は電文通信用のコネクタとして機能する。切り替え用スイッチ10を切り替えると、送信用端子93が電文通信ポートDTから切り離されて、RS−232Cインターフェース8の情報送信ポートTxの側に接続される。この結果、ジャック9はRS−232C通信用のジャックとして機能する。
【0023】
この構成のガスメータの隔測表示器1では、例えば、次のようにしてジャック9の切り替えが行われる。CPU2は、情報受信ポートRxが受信する信号を監視しており、情報受信ポートRxが外部機器から送信された双方向通信の開始信号を受け取ったことを検出すると、切り替え用スイッチ10を切り替え、送信用端子93を情報送信ポートTxの側に接続し、ジャック9をRS−232C通信インターフェース8用のジャックとして機能させる。
【0024】
すなわち、ジャック9の受信用端子92と情報受信ポートRxは常に接続状態にあるので、ジャック9に接続された外部機器がRS−232C通信インターフェース8を介した双方向通信の開始信号を送信した場合には、この開始信号を情報受信ポートRxが受信できる。この信号に基づいて切り替え用スイッチ10が切り替わり、ジャック9がRS−232C通信インターフェース8用のジャックとして機能するので、RS−232C通信インターフェース8を介した通信を要求する外部機器との間で、双方向通信を行なうことができる。
【0025】
また、情報受信ポートRxが外部機器から送信された双方向通信の終了信号を受信した場合には、CPU2は切り替え用スイッチ10を切り替えて、送信用端子93に接続するポートを電文通信ポートDTに戻す。この結果、ジャック9は電文通信インターフェース7用のジャックに戻り、検針用の通信端末による検針データの読み出しのための電文通信が可能になる。
【0026】
なお、本例は、本発明をガスメータの隔測表示器に適用したものである。ガスメータに本発明を適用することも可能であり、例えば、上記の入出力部Aをガスメータに組み込めばよい。
【0027】
また、5ビット電文は専用電文の一例であり、RS−232C通信も汎用シリアル通信の一例であり、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、シリアル通信インターフェースとしては、IrDA、USB、IEEE 1394などを用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明を適用したガスメータの隔測表示器を示す概略ブロック図である。
【図2】ガスメータ単体設置タイプおよび隔測表示器接続タイプを示す説明図である。
【図3】検針システムの構成例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0029】
1 隔測表示器
2 CPU
7 電文通信インターフェース
8 RS−232C通信インターフェース
9 ジャック
10 切り替え用スイッチ
20 ガスメータ
91 接地端子
92 受信用端子
93 送信用端子
A 入出力部
DT 電文通信ポート
Rx 情報受信ポート
SG 信号接地
Tx 情報送信ポート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検針データ等を電文通信により送信するための電文通信ポートDTを備えた電文通信インターフェースと、
情報送信ポートTxおよび情報受信ポートRxを備え、外部との間で通信を行うための汎用シリアル通信インターフェースと、
送信用端子、および、前記情報受信ポートRxに接続されている受信用端子を備えた共用コネクタと、
前記送信用端子を選択的に前記電文通信ポートDTおよび前記情報送信ポートTxに接続する切り替え用スイッチと、
前記切り替え用スイッチを切り替え制御する制御手段とを有していることを特徴とする検針データ等の入出力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検針データ等の入出力装置において、
前記共用コネクタの前記送信用端子は、通常は、前記電文通信インターフェースの前記電文通信ポートDTに接続されており、
前記制御手段は、前記汎用シリアル通信インターフェースの前記情報送信ポートTxから信号を出力する場合に、前記切り替え用スイッチを切り替えて、前記送信用端子の接続を前記情報送信ポートTxの側に切り替えることを特徴とする検針データ等の入出力装置。
【請求項3】
請求項2に記載の検針データ等の入出力装置において、
前記汎用シリアル通信インターフェースはRS−232C通信インターフェースであることを特徴とする検針データ等の入出力装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のうちのいずれかの項に記載の検針データ等の入出力装置を有していることを特徴とするガスメータ。
【請求項5】
ガスメータから供給される検針データを表示すると共に、当該検針データに基づき作成したガス使用に関するデータを作成して表示するガスメータの隔測表示器において、
請求項1ないし3のうちのいずれかの項に記載の検針データ等の入出力装置を有していることを特徴とするガスメータの隔測表示器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−199897(P2007−199897A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−15951(P2006−15951)
【出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【出願人】(000222657)東洋計器株式会社 (39)
【Fターム(参考)】