説明

極めて高い純度及び正摩擦電気調整効果を有している青色染料

HPLCによって測定した残留アミン含量が2000ppm未満である式(1)の染料基剤スルフェートは、フリーデル−クラフツアルキル化、置換及びアルカリ加水分解によって製造した染料基剤を染料基剤スルフェートとして沈殿させ、(a)水に入れ、一回目の水蒸気蒸留によって処理し、次に濾過し、適当な場合には50−180℃で乾燥し、(b)プレスケーキに水を加えるか、または、乾燥した場合には染料基剤スルフェートを水で湿潤させ、
(c)二回目の水蒸気蒸留によって処理し、濾過し、
(d)50−180℃で乾燥することによって製造される。
【化3】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトリフェニルメタン色素の分野に属する。トリフェニルメタン色素は青色印刷インキの製造に極めて重要な工業用色素である。
【背景技術】
【0002】
米国特許第3,671,553号は、極めて純粋なトリフェニルメタン染料の特別な製造方法を記載している。しかしながら、該方法で製造された製品は(HPLCによれば)1%までのアニリンを合成残基として含有している。
【0003】
米国特許第5,061,585号は、特定の置換基で置換されたトリアミノトリフェニルメタン色素を電子写真用トナー及び現像剤の正電荷調整剤として記載している。しかしながら、この化合物は環境に危険な不純物、特にアニリン及びクロロベンゼンを比較的高いレベルで含有している。アニリン及びクロロベンゼンは目的物質を合成するための反応体であり、反応が不完全であったりまたは過剰量で存在したりすると、その結果としてこれらは、製造工程を通過し最終製品中に不純物として取り込まれる。例えば、120℃の熱に1時間接触させた後でガスクロマトグラフィー−ヘッドスペース管法(GC−HS)によって測定したアニリン含量は約1000−2500ppmであり、またメタノールに完全に溶解したサンプルを高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定すると、約9000−10,000ppmのアニリンが測定される。記載された化合物の場合、明らかなクロロベンゼンピークも検出される。(HPLCによって測定した)アニリン含量が2000ppm未満であるトリフェニルメタン色素がこれまでに開示されたことはない。
【発明の開示】
【0004】
従って、本発明の1つの目的は、第一級芳香族アミン、特にアニリン及びm−トルイジンの含量が2000ppm未満であるトリアミノトリフェニルメタン色素を提供することである。
【0005】
別の目的は、例えばNa、K、Al3+、SO2−またはClのような無機のカチオン及びアニオンのレベルが有意に低下している色素を提供することである。このような無機イオンの減量は、例えば製品の水性懸濁液の導電率を利用して測定できる。
【0006】
この目的は以下に記載するような新しい種類の精製及び単離方法によって達成できることが知見された。
【0007】
本発明は、式(1)
【0008】
【化2】

の化合物の製造方法を提供する。該方法は、p−クロロベンゾトリクロリドをクロロベンゼンによってフリーデル−クラフツアルキル化し、芳香環に結合した塩素をアニリン及びm−トルイジンによって置換し、アルカリ加水分解によって染料基剤を製造し、式(1)の染料基剤スルフェートとして沈殿させる方法であり、
(a)染料基剤スルフェートを水に入れ、一回目の水蒸気蒸留によって処理し、次に濾過し、適当な場合には50−180℃で乾燥し、
(b)プレスケーキに水を加えるか、または、乾燥した場合には染料基剤スルフェートを水でペースト化し、
(c)二回目の水蒸気蒸留によって処理し、濾過し、
(d)50−180℃で乾燥する、
ステップを含む。
【0009】
本発明は更に、HPLCによって測定したときに第一級芳香族アミン、特にアニリン及びm−トルイジンの含量が2000ppm未満、好ましくは1000ppm未満、特に500ppm未満であることを特徴とする式(1)の化合物を提供する。この測定のためには、式(1)の化合物を120℃で約1時間乾燥し、メタノールに溶解し、HPLCによって分析する(溶出剤:メタノール/水;カラム:RP−select B)。
【0010】
更に、120℃で1時間熱暴露後にGC−HSによって測定した本発明の化合物中の上記アミンの含量は、800ppm以下、好ましくは500ppm以下、より好ましくは300ppm以下である。
ここでHPLCの方法は物質(アミン+アミンスルフェート)の全アミン含量を検出し、一方GC−HSの方法は物質の上方のガススペースに存在する化合物の揮発性画分だけを検出する。
【0011】
更に、120℃で1時間コンディショニング後にGC−HSによって測定したクロロベンゼン含量は、500ppm未満、好ましくは150ppm未満、より好ましくは70ppm未満である。
【0012】
更に、本発明の製品の5%水性分散液の導電率は0.001−1.5mS/cmの範囲、好ましくは0.01−1mS/cmの範囲である。
【0013】
本発明の方法は以下の手順で行うのが好ましい。最初に、三塩化アルミニウムの触媒作用下でp−クロロベンゾトリクロリドとクロロベンゼンとをフリーデル−クラフツ反応させる。次に、フリーデル−クラフツ反応生成物中の芳香環に結合した塩素をクロロベンゼンに溶解したアニリン及びm−トルイジンによって置換する。次のステップでは、得られた中間体を水酸化ナトリウム水溶液で加水分解して、遊離“染料基剤”を得る。その後、下流の濾過を伴う沈殿カスケードを用い、硫酸水溶液によってクロロベンゼン溶液から所望の生成物を“染料基剤スルフェート”の形態で沈殿させる。引き続いて、沈殿した生成物を70−100℃、好ましくは90−100℃の水に入れ、その後に水蒸気蒸留し、更に下流で水性濾過して、水溶性アニリンスルフェートを除去する。次に乾燥工程で、例えば、ラックドライヤー、強制通風ドライヤーまたはパドルドライヤーまたはそれらを併用し、50−180℃、好ましくは80−160℃の温度で、適当な場合には10−4バールまでの減圧下、例えば50−100ミリバールの圧力下で生成物を乾燥する。濾過後に、生成物のプレスケーキを1:1−1:1000、好ましくは1:2−1:100、より好ましくは1:2−1:50の割合で水と混合する。あるいは、乾燥処理を行った場合には、得られた乾燥生成物を上記の割合でペースト化した後で、再び水蒸気蒸留及び濾過によって処理してもよい。次いで、上記と同じ条件下の乾燥を繰り返す。プレスケーキと水とを混合するかまたは乾燥材料を水でペースト化するステップ、次いで水蒸気蒸留及び濾過するステップを追加して1−10回、好ましくは2−4回反復することができ、どの場合にも最終反復の後に上述のようにしてプレスケーキを乾燥する。
【0014】
生成物からの不純物除去効率を改善するために、最初の水蒸気蒸留の前及び/または1回もしくは複数回の追加の水蒸気蒸留の前に水性生成物懸濁液の湿式磨砕を行うのが賢明であろう。この湿式磨砕処理は例えば、歯車型ディスクミル、ピン付きディスクミルまたはビーズミルを使用して、懸濁液中の粉砕粒子の粒度d50が5nm−1mm、好ましくは1μm−600μmの範囲になるように行うことができる。このステップは、包囲された粒子中の不純物と水の接触を増大させるので、水蒸気蒸留及び水性濾過による除去効率が向上する。
【0015】
乾燥した染料基剤スルフェートを引き続いて粉砕によって所望の粒度に調整できる。このために有利な装置の具体例は、エアジェットミル、切削ミル、ハンマーミル、ビーズミル及び衝撃ミルである。光学顕微鏡下の鑑定またはレーザー光回折によって測定され、d50値として表される目標粒度の適正範囲は、0.01μm−1000μm、好ましくは0.1−500μm、極めて好ましくは0.5−400μmである。粉砕処理の結果として狭い粒径が得られるならば特に有利である。Δ範囲(d95−d50)が500μm未満、特に400μm未満であるのが好ましい。
【0016】
本発明の化合物は主として結晶質の画分を含有しているが非晶質の画分も含む。
【0017】
本発明の生成物は天然または合成の起源の高分子量有機材料、例えば、プラスチック、樹脂、ペイント、または、電子写真用のトナー及び現像剤、並びに、印刷インキのようなインキの着色に使用できる。高分子量有機材料の具体例は、エチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロースもしくは酪酸セルロースのようなセルロースエーテル及びセルロースエステル、重合樹脂もしくは縮合樹脂などの天然樹脂もしくは合成樹脂、例えば、アミノ樹脂、特に尿素−ホルムアルデヒド樹脂及びメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート類、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリルのようなポリオレフィン類、ポリアクリレート類、ポリアミド類、ポリウレタンもしくはポリエステル、ゴム、カゼイン、シリコーン及びシリコーン樹脂であり、これらは単体または混合物の形態である。更に、本発明の生成物は、ゴム材料、事務用品、木材用塗料及び洗浄用品及び美術用絵の具にも色素として使用するために適当である。典型的な印刷インキの例は、オフセットインキ、図版グラビアインキ、及び、耐水性及び耐溶剤性のパッケージ印刷用及びフレキソ印刷用の印刷インキである。本発明の化合物は、例えば化合物をスルホン化形態に変換し、粉末またはペーストを形成するように生成物を後処理することによって、印刷インキ用色素として使用できる。これに該当する典型的な市販商品名の例は、Reflex Blue R54、Reflex Blue A5H−R、Reflex Blue A5H−R31、Reflex Blue A6H−R、Reflex Blue A6H−R31またはReflex Blue A6L−R31である。典型的なペイントは、自動車用OEM及び再仕上ペイント、工業用ペイント、建築用ペイント(例えば、ポリマー下塗りまたはエマルジョンペイント)である。典型的なプラスチックの着色は、例えば、可塑化及び非可塑化のPVC(ポリ塩化ビニル)、ポリオレフィンまたはポリスチレンの着色である。
【0018】
上述の高分子量有機化合物がプラスチック生地、融液または紡糸液のいずれの形態であるか、あるいは、ペイント、塗料材料または印刷インキであるかということは重要でない。所期の用途に応じて、本発明の生成物をブレンドとしてまたは調製物もしくは分散液の形態で使用するのが有利であることが知見された。本発明の生成物は、着色すべき高分子量有機材料を基準として、0.05−70重量%、好ましくは0.1−15重量%の量で使用される。
【0019】
本発明の生成物はまた、一成分型または二成分型の粉末トナー(一成分型または二成分型の現像剤とも呼ばれる)、磁気トナー、液体トナー、重合トナー及び特殊トナーのような電子写真用のトナー及び現像剤の色素及び電荷調整剤として適当である。典型的なトナー結合剤は、単独使用されるかまたは混用される付加重合樹脂、重付加樹脂及び重縮合樹脂、例えばスチレン、スチレン−アクリレート、スチレン−ブタジエン、アクリレート、ポリエステル及びフェノール−エポキシ樹脂、ポリスルホン、ポリウレタン、並びに、ポリエチレン及びポリプロピレンであり、これらは、電荷調整剤、ワックスまたは流動助剤のような他成分を含有してもよくまたは後でこれらの添加剤によって変性されてもよい。
【0020】
本発明の生成物は更に、例えば、金属、木材、プラスチック、ガラス、セラミック、コンクリート、繊維材料、紙またはゴム製の加工品の表面を塗装するために使用される粉末及び粉末塗料材料、特に、摩擦電気的または動電的に噴霧可能な粉末塗料材料中の色素及び電荷調整剤として適当である。電荷調整剤としての場合、(本発明の)生成物は、粉末または粉末塗料材料の固有静電特性を向上させる。使用される典型的な粉末塗料樹脂は、エポキシ樹脂、カルボキシル−及びヒドロキシル−含有ポリエステル樹脂、ポリウレタン、及び、アクリル樹脂であり、慣用の硬化剤と共に使用される。樹脂の組合せも使用される。例えば、エポキシ樹脂はカルボキシル−及びヒドロキシル−含有ポリエステル樹脂と組合せて使用されることが多い。典型的な硬化剤成分(樹脂系に依存)は例えば、酸無水物、イミダゾール及びジシアンジアミド及びそれらの誘導体、ブロックイソシアナート、ビスアシルウレタン、フェノール樹脂及びメラミン樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、オキサゾリン及びジカルボン酸である。
【0021】
本発明に従って使用される青色色素はまた、高性能の荷電適性を得るために別の正または負の電荷調整剤と組合せて使用することもできる。電荷調整剤の適正な全濃度は、電子写真トナー、現像剤、粉末または粉末塗料材料の全重量を基準として約0.01−70重量%、好ましくは約0.05−20重量%、より好ましくは0.1−5重量%の範囲である。
【0022】
適当な別の電荷調整剤の例を以下に挙げる:別のトリフェニルメタン;アンモニウム及びインモニウム化合物、イミニウム化合物;フッ化アンモニウム化合物及びフッ化インモニウム化合物;ビスカチオン性酸アミド;高分子アンモニウム化合物;ジアリルアンモニウム化合物;アリールスルフィド誘導体;フェノール誘導体;ホスホニウム化合物及びフッ化ホスホニウム化合物;カリックス(n)アレーン、環結合オリゴ糖(シクロデキストリン)及びそれらの誘導体、特に、ホウ素エステル誘導体、高分子電解質中間複合物(interpolyelectrolyte complexs; IPECs);ポリエステル塩;金属錯体化合物、特に、サリチレート−金属錯体及びサリチレート−非金属錯体、イオン性構造ケイ酸塩、ヒドロキシカルボン酸−金属錯体及びヒドロキシカルボン酸−非金属錯体、ベンズイミダゾロン;カラーインデックスに顔料、溶剤染料、塩基性染料または酸性染料として挙げられているアジン、トリアジンまたはオキサジン。
【0023】
以下の電荷調整剤が特に好ましい。これらは個別に使用されてもよくまたは互いに組合せて使用されてもよく、本発明に従って使用される青色色素と組合せてもよい:
米国特許US−A−5,061,585に例示されたトリフェニルメタン;
米国特許US−A−5,015,676に例示されたアンモニウム化合物及びインモニウム化合物;
米国特許US−A−5,069,994に例示されたフッ化アンモニウム化合物及びフッ化インモニウム化合物;国際特許WO91/10172に例示されたビスカチオン酸アミド;ドイツ特許DE−A−4,142,541、DE−A−4,029,652またはDE−A−4,103,610に例示されたジアリルアンモニウム化合物;
ドイツ特許DE−A−4,031,705に例示されたアリールスルフィド誘導体;
欧州特許EP−A−0,258,651に例示されたフェノール誘導体;米国特許US−A−5,021,473及びUS−A−5,147,748に例示されたホスホニウム化合物及びフッ化ホスホニウム化合物;
欧州特許EP−A−0,385,580に例示されたカリックス(n)アレーン;
欧州特許EP−A−0,347,695に例示されたベンズイミダゾロン;
ドイツ特許DE−A−4,418,842に例示された環結合オリゴ糖;
ドイツ特許DE−A−4,332,170に例示されたポリエステル塩;
ドイツ特許DE−A−197 11 260に例示されたシクロオリゴ糖化合物;
ドイツ特許DE−A−197 32 995に例示された高分子電解質中間複合物(IPECs)、
PCT/EP00/11217に例示されたイオン性構造ケイ酸塩。更に、特に液体トナーには、イオン性の界面活性化合物及びいわゆる金属セッケンが適当である。
【0024】
バリウムペトロネート、カルシウムペトロネート、ジノニルナフタレンスルホン酸バリウム(塩基性及び中性)、ジノニルスルホン酸カルシウムまたはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムのようなアルキル化アリールスルホネート、及び、ポリイソブチレンスクシンイミド(Chevron’s Oloa 1200)が特に適当である。
【0025】
また、ダイズレシチン及びN−ビニルピロリドンポリマーも適当である。
また、飽和及び不飽和の置換基をもつリン酸化モノグリセリド及びジグリセリドのナトリウム塩、ABジブロックコポリマー(A:メチル−p−トルエンスルホネートで第四級化した2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートのポリマー、B:ポリ−2−エチルヘキシルメタクリレート)も適当である。
また、特に液体トナーには、二価及び三価のカルボキシレート、特に、三ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸クロム、オクチル酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、鉄ナフタライト及び亜鉛ナフタライトも適当である。
【0026】
また、キレート化電荷調整剤(欧州特許EP 0 636 945 A1)、金属性(イオン性)化合物(欧州特許EP 0 778 501 A1)、JA9(1997)−106107に記載されたようなホスフェート金属塩も適当である。また、以下のカラーインデックス番号のアジンも適当である:C.I.ソルベントブラック5、5:1、5:2、7、31及び50;C.I.ピグメントブラック1、C.I.ベーシックレッド2、及び、C.I.ベーシックブラック1と2。
【0027】
単独でまたは同様の他の色素もしくは上記に特定したような別の電荷調整剤と組合せて本発明に従って使用される青色色素は、トナー、現像剤、ペイント、粉末塗料材料、エレクトレット材料、または、静電気隔離が必要なポリマーなどの結合剤に、全混合物を基準として、0.01−50重量%、好ましくは0.05−20重量%、より好ましくは0.1−5.0重量%の濃度で混和させる。混和は例えば、押出もしくは混練によって添加し、ビーズミルまたはUltraturrax(高速撹拌機)によって均質にする。
【0028】
本発明に従って使用される化合物は、乾燥し粉砕した粉末、分散液または溶液、プレスケーキ、マスターバッチ、調製物、調製ペーストの形態で添加されてもよく、水性もしくは非水性の溶液からシリカゲルのような適当な担体に塗布された化合物の形態でもよく、TiO、Al、カーボンブラックのような担体と混合された化合物の形態でもよく、または、その他の何らかの形態でもよい。本発明に従って使用される化合物はまた、それぞれのトナーのポリマーマトリックスの調製中に、例えば、その付加重合、重付加もしくは重縮合の進行中に添加することも可能であり、また、重合トナーの調製中、例えば懸濁重合もしくは乳濁重合の進行中またはポリマー系の凝集によるトナー粒子の形成中に添加することも可能である。
【0029】
本発明の青色色素及び電荷調整剤はまた、水性、水性−有機性または有機性の微細分散液の形態で使用することもできる。粒度(d50値)は1nm−1μmの範囲、好ましくは50−500nmの範囲である。電荷調整剤の適正濃度は、分散液の全重量を基準として、約0.01−50重量%、好ましくは約0.1−30重量%である。このような分散液の適正粘度は、約0.5−10mPa s、好ましくは約1−5000mPa sの範囲である。
【0030】
水性または水性−有機性の分散液の場合、使用される水は好ましくは蒸留水または脱イオン水の形態である。有機性または水性−有機性の分散液の場合、使用される有機媒体は1種または複数の有機溶媒を含み、これらは好ましくは、一価アルコールまたは多価アルコール、それらのエーテル及びエステル、例えばアルカノール、特に、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールまたはイソブタノールのような1−4個の炭素原子を有しているアルカノール;二価アルコールまたは三価アルコール、特に、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセロール、ジエレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールのような2−6個の炭素原子を有しているアルコール;多価アルコールの低級アルキルエーテル、例えば、エチレングリコールモノメチルまたはエチルまたはブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルまたはエチルエーテル;ケトン及びケトンアルコール、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルペンチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン及びジアセトンアルコール;並びに、アミド、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド及びN−メチルピロリドンのグループから選択される。
【0031】
安定な分散液を調製するためには更に、スルホン酸塩、リン酸塩、ポリリン酸塩、炭酸塩、ケイ酸塩、水酸化物、金属セッケン、ポリマー例えばアクリレート、脂肪酸誘導体、及び、グリコシド化合物のような慣用のイオン性または非イオン性の分散助剤を使用することも可能である。
分散剤はまた、例えばEDTAまたはNTAのような金属錯体形成剤を含有してもよい。
【0032】
分散液は更に、別の慣用の添加剤、例えば、保存剤、生物致死剤、酸化防止剤、カチオン性、アニオン性、両性または非イオノゲン性の界面活性物質(界面活性剤及び湿潤剤)、脱揮発性剤/脱泡剤を含むことができ、また、付着性及び耐摩耗性を強化するために、ポリビニルアルコール及びセルロース誘導体のような粘度調整剤、あるいは、膜形成剤もしくは結合剤として天然もしくは合成の水溶性樹脂及びポリマーを含み得る。使用されるpH調整剤には有機及び無機の酸及び塩基がある。好ましい有機塩基は、アミン類、例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、ジイソプロピルアミン、アミノメチルプロパノールまたはジメチルアミノメチルプロパノールである。好ましい無機塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム及びアンモニアである。その他の可能な構成成分は、ヒドロトロピック化合物、例えば、ホルムアミド、ウレア、テトラメチルウレア、ε−カプロラクタム、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ブチルグリコール、メチルセロソルブ、グリセロール、糖、N−メチルピロリドン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、チオジグリコール、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、キシレンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、クメンスルホン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウムまたはブチルモノグリコール硫酸ナトリウムである。
【0033】
分散液中のこれらの分散助剤及び/または慣用の添加剤の適正濃度は、分散液の全重量を基準として、約0.001−80重量%、好ましくは約0.01−50重量%の範囲である。
【0034】
電子写真用カラートナーを調製するためには、有機有彩顔料、無機顔料または染料のような別の色素を、通常は粉末、分散液、プレスケーキ、溶液またはマスターバッチの形態で添加することが可能である。
【0035】
有機有彩顔料は、アゾ顔料または多環式顔料のグループから選択してもよく、またはこのような顔料の混晶(固溶体)でもよい。
【0036】
好ましい青色顔料及び/または緑色顔料は、銅フタロシアニン、例えば、カラーインデックスのC.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、ピグメントブルー16(金属非含有フタロシアニン)、または、アルミニウム、ニッケル、鉄またはバナジウムを中心原子とするフタロシアニンであり、また、トリアリールカルボニウム顔料、例えば、ピグメントブルー1、2、9、10、14、16、56、60、61、62、68、80;ピグメントグリーン1、4、7、17、36、50、45;オレンジピグメント、例えばP.O.5、13、34、36、38、43、62、68、70、72、71、74;イェローピグメント、例えばP.Y.12、13、14、17、74、83、93、97、111、120、122、139、151、154、155、174、175、176、180、174、185、194、213、214;レッドピグメント、例えばP.R.2、3、4、5、9、38、48、53、57、112、122、144、146、147、149、168、170、175、176、177、179、181、184、185、186、188、189、202、207、208、209、210、214、219、238、253、254、255、256、257、266、269、270、272、279;バイオレットピグメント、例えばP.V.1、19、23、32;カーボンブラック、例えばP.Black 7、11、33または米国特許US5,554,739に記載されているようなそれらの表面改質形態、鉄/マンガンオキシド;また、その混晶、例えば上述のカラーインデックスC.I.ピグメントバイオレット19とC.I.のピグメントレッド122との混晶、及び、国際特許WO01/30919に記載されているようなアゾ表面改質顔料である。
【0037】
混合物は、プレスケーキ、噴霧乾燥プレスケーキまたはマスターバッチを混合することによって、また、固体もしくは液体の形態(水性及び非水性のインキ)の担体材料の存在下で分散(押出、混練、ロールミル加工、ビーズミル、Ultraturrax、超音波)させることによって、また、担体材料の存在下でフラッシングすることによって、粉末、顆粒、の形態に調製できる。水または溶媒の割合が大きい(>5%)状態で色素を使用する場合は、高温で混合し、その後に真空を援用して混合生地を冷却する。フラッシング処理は有機溶媒またはワックスの存在下または非存在下で行うことができる。
【0038】
明度を高めると共に色相に陰影を持たせるためには有機染料との混合物が特に適当である。このような染料の好適例は、直接染料、反応染料及び酸性染料のような水溶性染料、溶剤染料、分散染料及びバット染料のような溶剤可溶性染料である。次のような例がある:C.I.リアクテイブイェロー37、アシッドイェロー23、リアクティブレッド23、180、アシッドレッド52、リアクティブブルー19、21、アシッドブルー9、ダイレクトブルー199、ソルベントイェロー14、16、25、56、62、64、79、81、82、83、83:1、93、98、133、162、174、ソルベントレッド8、19、24、49、89、90、91、92、109、118、119、122、124、127、135、160、195、212、215、ソルベントブルー44、45、ソルベントオレンジ41、60、63、ディスパースイェロー64、バットレッド41、ソルベントブラック45、27。
【0039】
また、例えば、偽造防止トナーを製造するためにLuminols(登録商標)(Riedel−de Haen)のような蛍光特性を有している染料及び顔料を使用することも可能である。更に、色素は欧州特許公開EP−A−1 204 005に記載されているような特別なワックスで被覆された形態で本発明の電荷調整剤と組合せて使用してもよい。
【0040】
例えばTiOまたはBaSOのような無機顔料はライトニング用混合物に使用される。また、真珠光沢顔料、Fe顔料(Paliochroms(登録商標))、及び、コレステリックポリマーを基剤とする顔料のような、観察角度次第で異なる色に見える効果顔料との混合物も適当である。
【0041】
電子写真用トナー及び粉末塗料材料もまたワックスを含み得る。“ワックス”という用語は、一般に以下の特性、即ち:20℃で混練でき、強固な硬さから砕け易い硬さ、粗大から微小な結晶質、半透明から不透明までの状態を有することができるが、ガラス様にはならない;40℃で分解しないで溶融する、比較的低粘度である、融点をやや上回る温度で糸を曳かない、極めて温度依存性の粘稠度及び溶解度を有している、適度の圧力で研磨できる:などの特性を有している天然または合成によって得られた一連の物質を意味する。
【0042】
以下のワックスが好ましい:カルナバ蝋、カンデリラ蝋などの植物ワックス、蜜蝋などの動物ワックスのような天然ワックス、パラフィンワックス、マイクロワックスのような改質天然ワックス、モンタンエステルワックスのような半合成ワックス、または、合成ワックス、例えば、ポリエチレンワックス及びポリプロピレンワックスのようなポリオレフィンワックス、ポリエチレングリコールワックス、シクロオレフィンコポリマーワックス、N,N′−ジステアリルエチレンジアミンのようなアミドワックス、ジルコノセンワックス、塩素化もしくはフッ素化ポリオレフィンワックスまたはポリエチレン−ポリテトラフルオロエチレンワックス混合物。
【0043】
また、30−99.99重量%、好ましくは40−99.5重量%の慣用の結合剤、例えば、スチレン、スチレン−アクリレート、スチレン−ブタジエン、アクリレート、ウレタン、アクリル、ポリエステルまたはエポキシ樹脂または最後の2つの組合せと、0.01−50重量%、好ましくは0.05−20重量%、より好ましくは0.1−5重量%の本発明の生成物と、所望の場合には0.001−50重量%、好ましくは0.05−20重量%の別の色素及び/または電荷調整剤とを含有する電子写真用トナー、粉末または粉末塗料材料も重要である。上記の割合はいずれも電子写真用トナー、粉末または粉末塗料材料の全重量を基準とした値である。
【0044】
本発明に記載された化合物は更に、懸濁形態またはドライブレンド形態において追加の電荷調整要素として易流動性物質に使用し得る。本発明に記載された化合物はまたキャリヤーコーティングにも使用できる。
【0045】
本発明の生成物はまた水性及び非水性のインクジェットインキ、及び、ホットメルト法で使用されるインキの色素として適当である。この用途では、例えば、マゼンタ、シアン、イェローまたはブラックのインキを調製するために別のインキと組合せて使用することもできる。
【0046】
インクジェットインキは一般に、合計で0.5−15重量%、好ましくは1.5−8重量%の本発明の生成物(乾燥重量に準拠)を含有する。
【0047】
マイクロエマルジョンインキは有機溶媒と水とを基剤とし、所望の場合にはヒドロトロピック物質(界面媒介剤)も含有する。マイクロエマルジョンインキは一般に、0.5−15重量%、好ましくは1.5−8重量%の本発明の生成物と、5−99重量%の水と、0.5−94.5重量%の有機溶媒及び/またはヒドロトロピック化合物とを含有している。
【0048】
“溶媒ベースの”インクジェットインキは好ましくは、0.5−15重量%の本発明の生成物と、85−99.5重量%の有機溶媒及び/またはヒドロトロピック化合物とを含有している。
【0049】
ホットメルトインキは通常は、室温で固体であり加熱すると液化するワックス、脂肪酸、脂肪アルコールまたはスルホンアミドを基剤とし、好ましい溶融範囲は約60℃−約140℃である。ホットメルトインクジェットインキは本質的に、例えば20−90重量%のワックスと1−10重量%の本発明の生成物とから構成されている。更に、0−20重量%の追加のポリマー(“染料溶解剤”として作用)、0−5重量%の分散助剤、0−20重量%の粘度調整剤、0−20重量%の可塑剤、0−10重量%の粘着付与剤、0−10重量%の透明性安定剤(例えば、ワックスの結晶化を阻止する)、及び、0−2重量%の酸化防止剤も存在し得る。典型的な添加剤及び補助剤は例えば米国特許第5,560,760号に記載されている。
【0050】
本発明の化合物は更に、トナー、現像剤、印刷インキ、ワニス、プラスチック、ゴム材料、ペイント、事務用品、美術用絵の具またはインクジェットインキの黒、赤、黄または茶の色相改善剤としても適当である。
【0051】
本発明の生成物は更に、カラーフィルターの色素として適当であり、また、加色及び減色の双方によって色を生じさせるために適当であり、更に、電子インキまたは電子ペーパー(“e−ペーパー”)の色素及び電荷調整剤として適当である。これらは例えば、Shuichi Maeda,Kohei Gocho and Makoto Omodani,“Electrical Twisting Sticks in a Transparent Tube”,Proceedings of the International Congress of Imaging Science 2002,Tokyo,pp.507−508のような文献から公知である。
【0052】
本発明に記載の化合物は更に、例えば国際特許WO01/30919A1、米国特許US5,922,118またはUS5,554,739に記載されているように顔料粒子の表面改質にも適している。
【0053】
本発明に電荷調整剤として記載された化合物は更に、エレクトレット材料、特にエレクトレット繊維の帯電挙動及び電荷安定性を著しく強化し得る。典型的なエレクトレット材料は、ポリオレフィン類、ハロゲン化ポリオレフィン類、ポリアクリレート類、ポリアクリロニトリル類、ポリスチレン類、または、フルオロポリマー類、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレンや過フッ素化のエチレン及びプロピレンを基剤としているか、または、ポリエステル類、ポリカーボネート類、ポリアミド類、ポリイミド類、ポリエーテルケトン類を基剤としているか、ポリアリーレンスルフィド類特にポリフェニレンスルフィド類を基剤としているか、ポリアセタール類、セルロースエステル類、ポリアルキレンテレフタレート類、並びに、それらの混合物を基剤としている。エレクトレット材料、特にエレクトレット繊維は例えば、(超微細な)塵埃を濾過するために使用できる。エレクトレット材料は、コロナ放電または摩擦荷電によって電荷を得ることができる。
【0054】
本発明に記載された化合物はまた、静電気分離処理、特にポリマー分離処理で電荷調整剤として使用できる。電荷調整剤が存在しないとき、低密度ポリエチレン(LDPE)及び高密度ポリエチレン(HDPE)の摩擦電気的帯電挙動は極めて類似している。電荷調整剤の添加後には、LDPEは強い正電荷を獲得し、HDPEは強い負電荷を獲得する。従って、2種類の材料を効果的に分離できる。また、ポリマーの外部に電荷調整剤を塗布するだけでなく、例えば、摩擦電気電圧系列におけるポリマーの位置をシフトさせ対応する分離効果を得るために、電荷調整剤をポリマーの内部に組み込むことも可能である。このようにしてその他のポリマー、例えばポリプロピレン(PP)及び/またはポリエチレンテレフタレート(PET)及び/またはポリ塩化ビニル(PVC)も同様に互いから分離できる。
【0055】
本発明に記載の化合物は更に、その添加によって基層特異的静電気帯電を改善する(表面コンディショニング)ことによって鉱物塩を分離するために使用できる。
【0056】
更に、本発明に記載の化合物はその電荷調整特性を利用して、インクジェットプリンター用インキに“導電性付与剤(electroconductivity providing agent)”(ECPA)として使用できる。
【0057】
上述の分析方法は以下の仕様で行う:
HPLC:
−カラム:RP−selectB;
−溶出剤:メタノール/水
30%メタノール/70%水で開始し、20分間で50%メタノール、次いで10分間で100%メタノールへと勾配変化させ、残りの10分間は100%メタノールを維持する;
−温度:40℃;
−流速:0.2ml/分。
(2)ヘッドスペース+GC/MS:
(a)ヘッドスペース:120℃、60分
(b)GC/MS
−カラム:HP−624(VOC)、(0.25mm,60m);
−キャリアーガス:ヘリウム;
−オーブン:40℃(2分)、250℃(20K/分)、250℃(30分);
−スプリット比:30:1。
【0058】
以下の実施例の部及びパーセンテージは重量基準の値である。
【実施例】
【0059】
調製実施例:
2.6リットルのクロロベンゼンと600gの塩化アルミニウムとを同じフラスコに入れて25℃で撹拌した後、986gのp−クロロベンゼントリクロリドを最高温度35℃で少しずつ添加し、混合物を60℃に加熱し、6時間撹拌し、次いで室温に冷却した。その後、30−40℃で、520mlのm−トルイジンを混合物に添加し、混合物を130℃までゆっくりと加熱し、次いでこの温度で2時間撹拌した。次に、2.1リットルのアニリンを3時間で添加し、反応温度を160−165℃に上げた。この処理でクロロベンゼンが留去した。残留クロロベンゼンを除去するために、160−165℃で弱から中程度の真空をかけた。最後に、混合物を再度冷却し、真空を除去した。次いで、第二のフラスコに3.3リットルの33%濃度の水酸化ナトリウム溶液を充填し、第一フラスコで得られた反応混合物を約95℃で撹拌しながら加え、この混合物を95℃で3時間撹拌した。反応混合物に2リットルの水を添加し、撹拌した後、下方のアルミネート相を分離して除去した。その後、9.2リットルのクロロベンゼンと4リットルの水とを混合物に加え、混合物を撹拌しながら50℃に加熱し、再度1時間静置した。“青色基剤”を含有していた下方のクロロベンゼン相を分離して除去し、約50℃から70℃において沈殿カスケードで40%濃度の硫酸溶液から沈殿させた後、得られた“染料基剤スルフェート”を濾別した。沈殿させ濾別した染料基剤スルフェートを90−100℃の水で洗浄し、100℃で水蒸気蒸留させ、引き続いて濾過し、ラックドライヤーによって約110℃で乾燥し、乾燥した生成物を10倍重量の水でペースト化し、2回目の水蒸気蒸留で処理し、引き続いて濾過し、110℃で乾燥した。
【0060】
キャラクタリゼーション:
−外観:暗青色粉末
−アニリン含量:180ppm(GC−HS、1時間/120℃後)
−アニリン含量:290ppm(メタノール/水中のHPLC、1時間/120℃後)
−m−トルイジン含量:<50ppm(メタノール/水中のHPLC、1時間/120℃後)
−クロロベンゼン含量:30ppm(GC−HS、1時間/120℃後)
−tanδ(1kHz):0.03
−比抵抗:5×1013Ωcm
−結晶化度:X線回折図で以下の角度2θ(CuKα線)にピーク:6.93°(moderate);12.03°(moderate);13.90°(moderate);18.44°(strong);21.13°(weak);21.64°(weak);22.45°(weak);24.57°(weak);28.14°(weak);30.53°(weak);32.42°(weak);本発明の青色色素は、例えばアニリンまたはクロロベンゼンのような不純物の含量が極めて高い今日まで公知のトリフェニルメタン染料と違って、2θ=6°に(弱い)ピークを示さない。
−IRスペクトル:以下の波数ν[1/cm]に特性バンド:3600−3300(複数バンド、weak);3300−2600(複数バンド、weak);2600−1700(複数バンド、weak);1650−1600(単一バンド、moderate);1600−1550(単一バンド、strong);1550−1450(複数バンド、moderate);1400−1300(2バンド、strong);1300−1200(複数バンド、moderate);1200−1150(単一バンド、strong);1150−1000(複数バンド、moderate);1000−400(複数バンド、weak);
−DSC;250℃まで分解なし(大気下);分解ピーク262℃(weak),295℃(moderate),315℃以上(strong);
−pH:2.8
−導電率:450μS/cm
−残留水分:1.6%(カールフィッシャー法)
−粒度分布:d50=7.4μm,d95=17.2μm(コールターカウンタ)。
【0061】
使用実施例1
調製実施例で得られた化合物1部を99部のトナー結合剤(60:40スチレン−アクリレートコポリマーAlmacryl B−1501(登録商標))に入れ、コンパウンド機を使用して30分間均質混合する。得られた組成物を次に汎用実験ミルで粉砕し、次いで遠心分級機で分級する。90:10スチレン−メタクリレートコポリマーをコーティングした50−200μmの大きさの磁鉄鉱粒子から成る担体で所望の粒子画分(4−25μm)を活性化する。
【0062】
慣用のq/m試験設備で測定する。トナーが飛散するときに担体が同伴されないようにメッシュサイズ45μmのスクリーンを使用する。測定は相対湿度約50%で行う。以下の表はq/m[μC/g]の測定値を活性化時間の関数として示す。
【0063】
【表1】

【0064】
使用実施例2
5部の有機顔料(カーボンブラックMogul L(登録商標),Cabot)を更に加えて使用実施例1の手順を繰り返す。
【0065】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
高性能液体クロマトグラフィーによって測定した第一級芳香族アミン含量が2000ppm未満であることを特徴とする式(1)
【化1】

の化合物。
【請求項2】
第一級芳香族アミン、特にアニリン及びm−トルイジンの含量が1000ppm未満であることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
5重量%の水性分散液中の導電率が0.001−1.5mS/cm、好ましくは0.01−1mS/cmの範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
p−クロロベンゾトリクロリドをクロロベンゼンによってフリーデル−クラフツアルキル化し、芳香環に結合した塩素をアニリン及びm−トルイジンによって置換し、アルカリ加水分解によって染料基剤を製造し、式(1)の染料基剤スルフェートとして沈殿させる方法であり、
(a)染料基剤スルフェートを水に入れ、一回目の水蒸気蒸留によって処理し、次に濾過し、適当な場合には50−180℃で乾燥し、
(b)プレスケーキに水を加えるか、または、乾燥した場合には染料基剤スルフェートを水でペースト化し、
(c)二回目の水蒸気蒸留によって処理し、濾過し、
(d)50−180℃で乾燥する、
ステップを含む請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物の製造方法。
【請求項5】
ステップ(b)と(c)及び必要な場合にはステップ(d)を1−10回、好ましくは2−4回反復し、どの場合にも最終回の反復後にステップ(d)を行う請求項4に記載の方法。
【請求項6】
80−160℃の範囲の温度で乾燥処理を行う請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
染料基剤スルフェートを1:1−1:1000の比の水でペースト化または混和する請求項4から6のいずれか一項または複数の項に記載の方法。
【請求項8】
初回の水蒸気蒸留の前及び/または1回もしくは複数回の以後の水蒸気蒸留の前に染料基剤スルフェートを湿式磨砕する請求項4から7のいずれか一項または複数の項に記載の方法。
【請求項9】
高分子量有機材料、事務用品及び清掃用品を着色する色素として使用される請求項1から3の少なくとも一項に記載の式(1)の化合物の使用。
【請求項10】
プラスチック、樹脂、ワニス、エマルジョンペイント、ウッドペイント、印刷インキ、美術用絵の具、ゴム材料、その他のインキ、好ましくはインクジェットインキ、粉末塗料材料、及び、電子写真用トナー及び現像剤を着色するための請求項9に記載の使用。
【請求項11】
電子写真用トナー及び現像剤の色素及び電荷調整剤としての請求項10に記載の使用。
【請求項12】
トナー、現像剤、印刷インキ、ワニス、プラスチック、ゴム材料、ペイント、事務用品、美術用絵の具またはインクジェットインキの黒、赤、黄または茶の色相の改善剤としての請求項9から11のいずれか一項に記載の使用。

【公表番号】特表2006−504830(P2006−504830A)
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−548756(P2004−548756)
【出願日】平成15年10月21日(2003.10.21)
【国際出願番号】PCT/EP2003/011620
【国際公開番号】WO2004/041944
【国際公開日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【出願人】(598109501)クラリアント・ゲーエムベーハー (45)
【Fターム(参考)】