説明

極性官能基を含む環状オレフィン重合体の重合方法および環状オレフィン重合体を用いる電子装置

【課題】本発明は、極性官能基を含む高分子量環状オレフィン重合体を高収率で製造する方法を提供することを目的とする。
【解決手段】極性官能基を含む環状オレフィン重合体の製造方法が開示される。本発明の製造方法は、触媒混合物の製造工程を含み、この触媒混合物にはi)金属と結合した酸素イオンを含有する配位子を有する10族遷移金属を含有する前置触媒;ii)15族元素を含有する有機化合物からなる第1共触媒;およびiii)前記前置触媒の金属に弱く配位すると共に陰イオン供与能力がある第2共触媒;が含まれ、また、単量体溶液の付加重合反応工程を含み、この単量体溶液には極性官能基含有ノルボルネン系化合物が含まれ、有機溶媒および前記触媒混合物の存在下、80〜200℃の温度で反応させ、前記有機溶媒の総量が前記単量体溶液中の前記単量体の総重量に対して50〜800重量%であり、前記重合体の製品収率は前記単量体の総重量に対して50重量%以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は環状オレフィン系重合体に関し、特に、極性官能基を含む環状オレフィン系重合体を高収率および高分子量で重合する方法およびこの環状オレフィン重合体を用いた電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在まで情報電子産業分野ではシリコン酸化物や窒化ケイ素のような無機物が主に用いられてきたが、大きさが小さくて効率の高い素子の必要性が増大することにより、高機能性新部品に対する必要性が増大している。このような高機能特性要件を満足させることができる部品として誘電定数と吸湿性が低く、金属付着性、強度、熱安定性および透明度が優れており、高いガラス転移温度(Tg>250℃)を有する重合体に対する関心が高まっている。
【0003】
このような重合体は半導体やTFT−LCDの絶縁膜、偏光板保護フィルム、多チップ型モジュール、集積回路(IC)、印刷回路基板、電子部品の封止剤や平板ディスプレイなどの電子材料として使用することができる。
【0004】
環状オレフィン重合体はノルボルネンのような環状単量体からなる重合体であって、既存オレフィン系重合体に比べて透明性、耐熱性、耐薬品性が優れており、複屈折率と水分吸収率が非常に低くて、CD、DVD、POFのような光学部品、キャパシタフィルム、低誘電体のような情報電子部品、低吸水性注射器、ブリスターパッケージングなどの医療用部品として多様に応用することができる。
【0005】
環状オレフィンの重合方法としては、以下の反応式1に示されているようにROMP(Ring Opening Metathesis Polymerization)、エチレンとの共重合および付加重合方法などがあり、このような重合反応にはメタロセン化合物、Ni、Pd−化合物のような遷移金属触媒が使用されている。このような触媒の中心金属、配位子、触媒組成によって、重合反応の特性と収得される高分子の特性が変わることがある。
[反応式1]
【0006】
【化1】

【0007】
前記ROMP法によって製造される重合体はモノマー反復単位当り一個の二重結合を含んでいるため、熱安定性および酸化安定性が大きく低下し、主に熱硬化性樹脂として使用される。このように製造される熱硬化性樹脂は反応注入成形(Reaction injection molding)によって回路基板として使用されることがテニー(Tenny)などによって米国特許第5,011,730号明細書に開示されている。
【0008】
ROMP−樹脂の物性を改善するために、ROMP−重合体をPdあるいはRaney−Niのような触媒によって水素添加反応させ安定な主鎖を作ろうとする試みがあった。しかし、水素添加された重合体の場合、酸化安定性は改善されるが、熱安定性が落ちる問題点を示す。その他にも追加工程による費用の増加は商業的応用に障害となっている。
【0009】
前記エチレンとノルボルネンの共重合体は最初にルナ(Leuna)社によってチタニウム系のチーグラ−ナッタ触媒を使用して製造されたが、残留不純物によって生成された共重合体が透明でなく、Tgが140℃以下に制限された(Koinzer, P. et al.,ドイツ特許第109,224号明細書)。ジルコニウム系列のメタロセン触媒を使用する場合、分子量分布が小さいながらも高分子量の重合体が得られると報告された(Plastic News, Feb. 27, 1995, p.24)。しかし、環状オレフィン単量体の濃度が高くなることにより活性が減少し、この共重合体はガラス転移温度が低い短所(Tg<200℃)を示す。また、熱安定性が増大しても機械的強度が弱く、溶媒やハロゲン化炭化水素溶媒に対する耐化学性が低下するという短所がある。
【0010】
米国特許3,330,815号明細書はパラジウム系触媒の存在下で環状オレフィン系重合体を製造する方法を開示しているが、この方法によって得たポリマーの分子量は10,000未満と非常に低かった。前記環状オレフィン単量体の付加重合方法としてはガイロードなどが[Pd(C65CN)Cl22触媒を使用したノルボルネン重合方法を報告している(Gaylord, N.G.;Deshpande, A.B.;Mandal, B.M.;Martan, M. J. Macromol. Sci.-Chem. 1977, A11(5), 1053-1070)。ジルコニウム系のメタロセン触媒によって製造されたポリノルボルネンは結晶性が非常に高く、一般的な有機溶媒に溶けず、ガラス転移温度を示さずに熱分解される(Kaminsky, W.;Bark, A.;Drake, I. Stud. Surf. Catal. 1990,56,425)。
【0011】
一般に高分子が情報電子部品用途として使用されるためにはシリコン、シリコン酸化物、窒化ケイ素、アルミナ、銅、アルミニウム、金、銀、白金、チタニウム、ニッケル、タンタル、クロミウムなどの無機表面に対する接着性が要求される。米国特許第4,831,172号明細書は金属に対するポリマーの付着性を増加させる接着補助剤としてベンゾシクロブテン(BCB)系の有機シラン化合物を開示している。
【0012】
ノルボルネン単量体に官能基を導入することによってノルボルネン重合体の金属付着性および多様な電気的、光学的、化学的物理的特性を調節することができる。米国特許第3,330,815号明細書は極性官能基を含むノルボルネン単量体を重合する方法を開示している。しかし、極性官能基を含むノルボルネン単量体を重合する場合、触媒種が極性官能基によって不活性化されて重合反応の進行が困難になるため、分子量が10,000以上である重合体を得ることが難しかった。
【0013】
このような問題を克服するために極性官能基が導入されたノルボルネン単量体をシラン、アルキルアルミニウムまたはボランで前処理した後、重合する方法が提案されている(Fink, G. et al. Macromol. Chem. Phys. 1999, 200, 881)。しかし、この方法ではノルボルネン単量体を重合体主鎖に導入したり、重合活性を高めるのに制限がある。さらに導入されたシラン、アルミニウム、ボランを再び除去しなければらない後処理過程が必要である。
【0014】
他の方法として、米国特許第5,179,171号明細書はエチレンと環状オレフィンから共重合体を製造する方法を開示しているが、この方法で環状オレフィンはバナジウムおよび有機アルミニウム化合物からなる触媒の存在下で開環反応なくポリマー鎖に導入される。しかし、この方法で製造される重合体は熱的に不安定であり、物理化学的性質および金属付着性もそれほど改善されなかった。
【0015】
最近、このような極性官能基導入と関連してエステル基、アセチル基またはシリル基を含むノルボルネン単量体の重合方法に対して多くの研究が進められてきた(Risse et al., Macromolecules, 1996, Vol. 29, 2755-2763;Risse et al., Makromol. Chem. 1992, Vol. 193, 2915-2927; Sen et al., Organometallics 2001, Vol. 20, 2802-2812;Goodall et al., 米国特許第5,705,503号明細書;Lipian et al., 米国特許第6,455,650号明細書)。
【0016】
陽イオン型[Pd(CH3CN)4][BF42触媒によってノルボルネンまたはエステルノルボルネン単量体を重合する場合、重合収率が低くてエキソ異性体のみ選択的に重合される傾向を示した(Sen, A.;Lai, T.-W. J. Am. Chem. Soc. 1981, 103, 4627-4629)。
【0017】
リセ(Risse)とグッドオール(Goodall)などによる米国特許第5,705,503号明細書は極性官能基を有するノルボルネン単量体のほとんどがエンド異性体である原料で製造した重合体を開示している。しかし、エステル基などの極性ノルボルネン誘導体のみをホモ重合する場合には、単量体に対する触媒のモル比が約1/100と過剰に使用され、経済的に不利である。
【0018】
このように、エステル基またはアセチル基を含むノルボルネンを重合する場合、触媒を単量体に対して約1/100〜1/400と過剰に使用し、重合後触媒残渣を除去することが難しかった。リピアン(Lipian)などによる米国特許第6,455,650号明細書では単量体に対する触媒量を大幅に減少させて、ノルボルネン系単量体を重合する方法を開示しているが、アセチル基などの極性官能基を含むノルボルネン単量体を重合する場合にはその収率が5%に過ぎなかった。
【0019】
また、リピアンなどによる文献(Sen, et al., Organometallics 2001, Vol. 20, 2802-2812)では、[(1,5−シクロオクタジエン)(CH3)Pd(Cl)]、PPh3などのホスフィンおよびNa+[3,5−(CF3)2C6H3]4B-などの共触媒で活性化して、エステルノルボルネンを重合する反応で単量体に対して約1/400程度の過剰の触媒を使用して40%以下の重合収率で6500程度の分子量を有する重合体を得たことが報告されている。
【0020】
リセなどによる文献(Risse et al., Macromolecules, 1996, Vol. 29, 2755-2763)でも、[(η3−アリル)PdCl]2とAgBF4またはAgSbF6の触媒を使用してメチルエステルノルボルネンを重合し、60%程度の重合収率を得たことが報告されているが、得られた重合体の分子量が12,000程度に過ぎず、単量体に対して1/50程度の過剰の触媒量を使用している。触媒を過剰使用する理由としては、ノルボルネンのエステル基やアセチル基などの極性官能基が触媒の活性部位に配位してノルボルネンの二重結合が触媒活性部位に配位できないように立体障害を起こしたり、陽イオン型形態の活性部位が極性官能基によって電子的に中性化されてノルボルネンの二重結合と弱い相互作用を起こして触媒活性が低下するためであることが知られている(Risse et al., Macromolecules, 1996, Vol. 29, 2755-2763;Risse et al., Makromol. Chem. 1992, Vol. 193, 2915-2927)。このように、触媒活性の低下により単量体に対して少ない触媒量では分子量の大きい極性官能基を含有するノルボルネン重合体を得ることが難しかった。
【0021】
したがって、極性官能基を含む環状オレフィン重合に関する従来技術は、重合収率、収得される重合体の分子量および単量体に対する触媒モル比の側面で望ましい水準に達していなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】米国特許第5,011,730号明細書
【特許文献2】ドイツ特許第109,224号明細書
【特許文献3】米国特許第5,179,171号明細書
【特許文献4】米国特許第5,705,503号明細書
【特許文献5】米国特許第6,455,650号明細書
【非特許文献】
【0023】
【非特許文献1】Gaylord, N.G.;Deshpande, A.B.;Mandal, B.M.;Martan, M. J. Macromol. Sci.-Chem. 1977, A11(5), 1053-1070
【非特許文献2】Kaminsky, W.;Bark, A.;Drake, I. Stud. Surf. Catal. 1990,56,425
【非特許文献3】Fink, G. et al. Macromol. Chem. Phys. 1999, 200, 881
【非特許文献4】Risse et al., Macromolecules, 1996, Vol. 29, 2755-2763
【非特許文献5】Risse et al., Makromol. Chem. 1992, Vol. 193, 2915-2927
【非特許文献6】Sen et al., Organometallics 2001, Vol. 20, 2802-2812
【非特許文献7】Sen, A.;Lai, T.-W. J. Am. Chem. Soc. 1981, 103, 4627-4629
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
本発明は、極性官能基を含む高分子量環状オレフィン重合体を高収率で製造する方法を提供することを目的とする。
【0025】
本発明の他の目的は、極性環状オレフィンのホモ重合体または共重合体として単量体単位である同種または異種極性作用環状オレフィンを含むもの、または極性官能基共重合体として極性または非極性環状オレフィン単量体を含むものの製造方法を提供することにある。
【0026】
本発明の他の目的は、低い誘電定数、低い吸湿速度、高いガラス転移温度、望ましい熱安定性および酸化安定性、望ましい耐薬品性、堅牢性、金属接着性を有し、極性官能基を含む環状オレフィン重合体の製造方法を提供することにある。
【0027】
本発明の他の目的は、銅、銀または金などの金属基材に対して十分な接着性を有し、極性官能基を含む環状オレフィン重合体の製造方法を提供することにある。
【0028】
本発明の他の目的は、光学フィルムおよび偏光板の保護フィルムなどとして使用できるように、望ましい光学特性を有し、極性官能基を含む環状オレフィン重合体の製造方法を提供することにある。
【0029】
本発明の他の目的は、集積回路、回路印刷基板または多チップ型モジュールなどの電子部品に原料として使用できる、極性官能基を含む環状オレフィン重合体の製造方法を提供することにある。
【0030】
本発明の他の目的は、カップリング剤なく電子部品の基材に対して十分な接着性を有し、極性官能基を含む環状オレフィン重合体の製造方法を提供することにある。
【0031】
本発明の他の目的は、本方法によって製造された極性官能基を含む環状オレフィン重合体で製作された光学フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0032】
前記目的を達成するために本発明は、極性官能基を含む環状オレフィン系重合体の製造方法であって、
i)化学式1で示され、金属に結合された酸素イオンを含む配位子を有する10族遷移金属含有前置触媒(precatalyst);
ii)15族元素含有有機化合物である第1共触媒;および、
iii)陰イオンを提供し、前記前置触媒の前記金属と弱く配位結合する第2共触媒
を含む触媒混合物を製造する工程;ならびに
有機溶媒および前記触媒混合物の存在下で、80〜200℃の温度で、極性官能基を含有するノルボルネン系化合物を含む単量体溶液を付加重合反応させて極性官能基を含む環状オレフィン系付加重合体を得る工程を含み、
前記有機溶媒の全量は、前記単量体溶液中の全単量体重量に対して50〜800重量%であり、前記単量体全重量に対する前記重合体の収率は50%以上である、極性官能基を含む環状オレフィン系付加重合体の製造方法である。
(化学式1)
[−O−(A)−O−]nM(R12-n
(式中、
Mは10族遷移金属であり;
nは1または2であり;
Aは炭素数1〜20の直鎖または分枝アルキル、アリール、アラルキル、アルケニル基、またはSi、Ge、S、O、またはNからなるヘテロ原子を含む炭素数1〜20の直鎖または分枝アルキル、アリール、アラルキル、またはアルケニル基であり;
1は水素;炭素数1〜20の直鎖または分枝アルキル、アルケニル、またはビニル基;炭化水素で置換されたまたは置換されていない炭素数3〜12のシクロアルキル基;炭化水素で置換されたまたは置換されていない炭素数6〜40のアリール基;少なくとも一つ以上のヘテロ元素を含む炭素数6〜40のアリール基;炭化水素で置換されたまたは置換されていない炭素数7〜15のアラルキル基;または炭素数3〜20のアルキニル基である。
【0033】
また、本発明は前記製造方法で製造される、分子量が100,000以上である、極性官能基を含む環状オレフィン重合体を含む光学異方性フィルムを提供する。
【0034】
本発明はまた、前記製造方法で製造される、分子量が100,000以上である、極性官能基を含む環状オレフィン重合体を含む光学異方性フィルムを備えたディスプレイ装置を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0036】
本発明では、特定条件下で特定触媒システムを用いて、極性官能基含有ノルボルネン系化合物を含む単量体混合物から、高分子量の環状オレフィン系付加重合体を高収率で製造する。
【0037】
本発明では高い重合温度でも触媒の熱分解なく単量体に対して少ない触媒量で100,000以上の高分子量を有する極性官能基を含有した環状オレフィン系重合体を50%以上の高収率で製造することができる。
【0038】
本発明で使用される触媒システムは、80℃以上の温度で分解されない程度に熱的に安定であるというのが分光学的分析方法を通じて確認されており、このような熱的安定性によりノルボルネン単量体の極性官能基と陽イオン形触媒との相互作用が抑制されることによって触媒活性部位が形成され、このような触媒活性部位にノルボルネンの二重結合が挿入される。したがって、重合反応の早期終結が防止されて高分子量の重合体を形成することができる。
【0039】
本発明で使用される触媒システムは、i)化学式1で示される、金属と結合する酸素原子を含有する配位子を有する10族遷移金属含有前置触媒;ii)15族元素含有有機化合物である第1共触媒;およびiii)陰イオンを提供することができ、前記前置触媒の金属と弱く配位結合することができる第2共触媒を含む。
(化学式1)
[−O−(A)−O−]nM(R12-n
(式中、
Mは10族遷移金属であり;
nは1または2であり;
Aは炭素数1〜20の直鎖または分枝アルキル、アリール、アラルキル、アルケニル基またはSi、Ge、S、O、Nなどのヘテロ原子を含む直鎖または分枝アルキル、アリール、アラルキル、アルケニル基であり;
1は水素;炭素数1〜20の直鎖または分枝アルキル、アルケニルまたはビニル基;炭化水素で置換されたまたは置換されていない炭素数3〜12のシクロアルキル基;炭化水素で置換されたまたは置換されていない炭素数6〜40のアリール基;ヘテロ元素を含む炭素数6〜40のアリール基;炭化水素で置換されたまたは置換されていない炭素数7〜15のアラルキル基;または炭素数3〜20のアルキニル基である)
【0040】
前記第1共触媒は電子供与体として作用することができる非共有電子対を有する有機化合物で、以下の化学式2で示される化合物または化学式3で示される化合物である。
(化学式2)
D−(R23-c[X(R2dc
(化学式2中、
Dは15族群元素であり;
cは0〜3の整数であり;
Xは酸素、硫黄、窒素、またはシリコンであり;
dは、Xが酸素または硫黄の場合1であり、Xが窒素である場合2であり、Xがシリコンである場合3であり;
2は水素;炭素数1〜20の直鎖または分枝アルキル、アルコキシ、アリル、アルケニルまたはビニル基;炭化水素で置換されたまたは置換されていない炭素数3〜12のシクロアルキル基;炭化水素で置換されたまたは置換されていない炭素数6〜40のアリール基;炭化水素で置換されたまたは置換されていない炭素数7〜15のアラルキル基;または炭素数3〜20のアルキニル基;トリ(炭素数1〜10の直鎖または分枝アルキル)シリル基またはトリ(炭素数1〜10の直鎖または分枝アルコキシ)シリル基;トリ(炭化水素で置換されたまたは置換されていない炭素数3〜12のシクロアルキル)シリル基;トリ(炭化水素で置換されたまたは置換されていない炭素数6〜40のアリール)シリル基;トリ(炭化水素で置換されたまたは置換されていない炭素数6〜40のアリールオキシ)シリル基;トリ(炭素数1〜10の直鎖または分枝アルキル)シロキシ基;トリ(炭化水素で置換されたまたは置換されていない炭素数3〜12のシクロアルキル)シロキシ基;またはトリ(炭化水素で置換されたまたは置換されていない炭素数6〜40のアリール)シロキシ基であり;このとき、全てのこれら置換基は直鎖または分枝ハロアルキル基またはハロゲンで置換することができる)
【0041】
(化学式3)
(R32D−(R4)−D(R32
(式中、
Dは15族元素であり、
3は化学式2のR2で定義したとおりであり;
4は炭素数1〜5の直鎖または分枝アルキル、アルケニルまたはビニル基;炭化水素で置換されたまたは置換されていない炭素数3〜12のシクロアルキル基;炭化水素で置換されたまたは置換されていない炭素数6〜20のアリール基;または炭化水素で置換されたまたは置換されていない炭素数7〜15のアラルキル基である)
【0042】
前記第2共触媒は以下の化学式4で示される塩である。
(化学式4)
[陽イオン]a[陰イオン]b
(式中、
陽イオンはプロトン;1族金属または2族金属の陽イオン;およびこれら陽イオンを含有する有機団からなる群より選択され、この陽イオンには前記第1触媒である有機化合物の非共有電子対を結合することができ;
陰イオンは前記前置触媒の金属Mに弱く配位できる陰イオンであり、ボレート、アルミネート、[SbF6]、[PF6]、[AsF6]、ペルフルオロアセテート([CF3CO2])、ペルフルオロプロピオネート([C25CO2])、ペルフルオロブチレート([CF3CF2CF2CO2])、ペルクロレート([ClO4])、p−トルエンスルホネート([p−CH364SO3])、[SO3CF3]、ボラタベンゼンおよびハロゲン原子で置換されたまたは置換されていないカルボランからなる群より選択される陰イオンであり;
aとbは各々陽イオンと陰イオンの個数を示し、これらは陽イオンと陰イオンとが電気的に中和し電荷を平衡させるように定められる)
【0043】
化学式4の陽イオンを含む有機団は[NH(R53+、[NH2(R52+、[NH3(R51+または[N(R54+からなるアンモニウム;[PH(R53+、[PH2(R52+、[PH3(R51+または[P(R54+からなるホスホニウム;[C(R53+カルボニウム;[H(OEt22+;[Ag]+;[Cp2Fe]+からなる群から選択される。ここで、R5は炭素数1〜20の直鎖または分枝アルキル基、ハロゲンで置換されたアルキルまたはシリルアルキル基;炭化水素で置換されたまたは置換されていない炭素数3〜12のシクロアルキル基;ハロゲンで置換されたシクロアルキルまたはシリルシクロアルキル基;炭化水素で置換されたまたは置換されていない炭素数6〜40のアリール基;ハロゲンで置換されたアリールまたはシリルアリール基;炭化水素で置換されたまたは置換されていない炭素数7〜15のアラルキル基;またはハロゲンで置換されたアラルキルまたはシリルアラルキル基である。
【0044】
化学式4のボレートまたはアルミネートは化学式4aまたは4bで示される陰イオンである。
(化学式4a)
[M’(R64
(化学式4b)
[M’(OR64
(化学式4aおよび4b中、
M’はホウ素またはアルミニウムであり;
6はハロゲン;ハロゲン原子で置換されたまたは置換されていない炭素数1〜20の直鎖または分枝アルキルまたはアルケニル基;ハロゲンで置換されたまたは置換されていない炭素数3〜12のシクロアルキル基;炭化水素で置換されたまたは置換されていない炭素数6〜40のアリール基;炭素数3〜20の直鎖または分枝トリアルキルシロキシ基または炭素数18〜48の直鎖または分枝トリアリールシロキシ基で置換された炭素数6〜40のアリール基;またはハロゲンで置換されたまたは置換されていない炭素数7〜15のアラルキル基である)
【0045】
前記触媒混合物は、前記前置触媒と前記第1触媒からなる陽イオン複合体と第2共触媒からなる陰イオン複合体を含む金属触媒錯化合物を含む。
【0046】
本発明の一実施例によると、前記触媒混合物は10族遷移金属を含有する前置触媒1モルに対して、15族元素を含む第1共触媒1〜3モル;および前記前置触媒の金属と弱く配位結合することができ、陰イオンを提供する第2共触媒の1〜2モルを含む。
【0047】
本発明の方法によると、まず、化学式1の金属と結合する酸素イオンを含有する配位子を有する10族遷移金属含有前置触媒、15族元素含有有機化合物からなる第1共触媒および前記前置触媒の金属と弱く配位結合することができ、陰イオンを提供する第2共触媒を含む触媒混合物を製造する。その後、有機溶媒および前記触媒混合物存在の下で80−200℃の温度で、極性官能基を含有するノルボルネン系化合物を含む単量体溶液を付加重合反応させる。前記重合反応の温度Tが80−170℃であるのが好ましく、80−150℃であるのがさらに好ましい。
【0048】
好ましくは、前記有機溶媒は、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トルエン、クロロベンゼンおよびその混合物からなる群より選択される。反応系中の有機溶媒の全量は前記単量体溶液中の全単量体重量に対して50〜800重量%である。反応系中の有機溶媒の量は前記所定の範囲内で変更可能であるが、例えば、単量体溶液中の全単量体重量に対して50〜400%または50〜200%の量で使用することができる。
【0049】
前記触媒混合物は、前記前置触媒成分を基準として、前記単量体溶液中の全単量体モル量に対して1:2500〜1:100,000の量で重合反応系に投入される。このような量は従来極性官能基を有するノルボルネン単量体の重合反応時に使用した触媒量に比べて非常に少量であるが、本発明の方法で高分子量の極性環状オレフィン系重合体を製造するための重合反応で触媒活性を発揮するのに十分な量である。好ましくは、前記触媒混合物は前記前置触媒成分を基準として、前記単量体溶液中の全単量体モル量に対して1:5000〜1:20,000の量で重合反応系に投入される。
【0050】
前記触媒システムの各々の触媒成分は10族遷移金属化合物、15族元素を含む有機化合物および前記前置触媒の金属と弱く配位結合することができ、陰イオンを提供する塩化合物を組み合わせて得ることができる混合物またはこれらの錯塩形態で付加重合時に投入される。投入方法は溶媒上にこれらを混合して活性化された触媒溶液を製造し重合に投入することができ、または触媒システムの各々の触媒成分溶液を各々重合する時に投入することもできる。
【0051】
本発明の方法では、ノルボルネン系化合物が極性作用環状オレフィン重合体を製造するために用いられる。このノルボルネン系単量体またはその誘導体は、以下の化学式5で表される少なくとも1つのノルボルネン(ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン))単位を含む単量体を意味する。
【0052】
前記単量体溶液に含まれた前記極性官能基を含有するノルボルネン系化合物の極性官能基はエステル基またはアセチル基であるのが好ましい。
【0053】
極性基を含むノルボルネンはエンド、エキソ異性体混合物で構成されており、その混合比は特に制限されない。
【0054】
本発明の一実施例によると、前記極性官能基を含有するノルボルネン系化合物は以下の化学式5で示される。
(化学式5)
【0055】
【化2】

【0056】
(化学式5中、
mは0〜4の整数であり、
7、R8、R9およびR10のうちの少なくとも一つは極性官能基であり、残りは非極性官能基で、R7、R8、R9およびR10は互いに連結されて炭素数1〜20の飽和または不飽和環基、または炭素数6〜24の芳香族環を形成することができ、
前記非極性官能基は水素;ハロゲン;炭素数1〜20の直鎖または分枝アルキル基;炭素数1〜20の直鎖または分枝ハロアルキル基;炭素数1〜20の直鎖または分枝アルケニル基;炭素数1〜20の直鎖または分枝ハロアルケニル基;炭素数3〜20の直鎖または分枝アルキニル基;炭素数3〜20の直鎖または分枝ハロアルキニル基;アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニルまたはハロアルキニル基で置換されたまたは置換されていない炭素数3〜12のシクロアルキル基;アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニルまたはハロアルキニル基で置換されたまたは置換されていない炭素数6〜40のアリール基;およびアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニルまたはハロアルキニル基で置換されたまたは置換されていない炭素数7〜15のアラルキル基を含む;
前記極性官能基は少なくとも一種以上の酸素、窒素、リン、硫黄、シリコンまたはホウ素を含む非炭化水素型極性基であり、
−OR12、−OC(O)OR12、−R11OC(O)OR12、−C(O)R12、−R11C(O)R12、−OC(O)R12、−R11OC(O)R12、−(R11O)p−OR12、−(OR11)p−OR12、−C(O)−O−C(O)R12、−R11C(O)−O−C(O)R12、−SR12、−R11SR12、−SSR12、−R11SSR12、−S(=O)R12、−R11S(=O)R12、−R11C(=S)R12、−R11C(=S)SR12、−R11SO312、−SO312、−R11N=C=S、
【0057】
【化3】

【0058】
から選択される:
ここでR11は炭素数1〜20の直鎖または分枝アルキル基;炭素数1〜20の直鎖または分枝ハロアルキル基;炭素数1〜20の直鎖または分枝アルケニル基;炭素数1〜20の直鎖または分枝ハロアルケニル基;C−320の直鎖または分枝アルキニル基;炭素数3〜20の直鎖または分枝ハロアルキニル基;アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニルで置換されたまたは置換されていない炭素数3〜12のシクロアルキル基;アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニルまたはハロアルキニルで置換されたまたは置換されていない炭素数6〜40のアリール基;またはアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニルまたはハロアルキニルで置換されたまたは置換されていない炭素数7〜15のアラルキル基であり、
12、R13およびR14は各々独立に水素;ハロゲン;炭素数1〜20の直鎖または分枝アルキル基;炭素数1〜20の直鎖または分枝ハロアルキル基;炭素数1〜20の直鎖または分枝アルケニル基;炭素数1〜20の直鎖または分枝ハロアルケニル基;炭素数3〜20の直鎖または分枝アルキニル基;炭素数3〜20の直鎖または分枝ハロアルキニル基;アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニルまたはハロアルキニルで置換されたまたは置換されていない炭素数3〜12のシクロアルキル基;アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニルまたはハロアルキニルで置換されたまたは置換されていない炭素数6〜40のアリール基;アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニルまたはハロアルキニルで置換されたまたは置換されていない炭素数7〜15のアラルキル基;またはアルコキシ、ハロアルコキシ、カルボニルオキシ、ハロカルボニルオキシであり、
pは1〜10の整数である)
【0059】
前記単量体溶液は、さらに極性官能基を含まない環状オレフィン化合物を含む。前記極性官能基を含まない環状オレフィン化合物のモル比は単量体溶液中の全単量体を基準として30モル%である。
【0060】
したがって、本発明によると、少なくとも1つ以上の極性官能基を含むノルボルネン系単量体のみで製造されたホモ重合体、互いに異なる極性官能基を含むノルボルネン系単量体で製造された二元、三元または多元共重合体、および極性官能基を含むノルボルネン系単量体と極性官能基を含まない環状オレフィン系単量体で製造された二元、三元または多重共重合体を製造することができる。
【0061】
本発明の重合方法で極性官能基を含む環状オレフィン系付加重合体を製造すれば、少なくとも50重量%以上の高収率で製造することができ、製造される付加重合体の分子量(Mw)は少なくとも100,000以上の高分子量である。また、付加重合体を使用して光学フィルムで製作すれば、分子量は100,000〜1,000,000に調節するのが好ましい。
【0062】
したがって、従来は極性官能基を含む環状オレフィン系付加重合体を極めて低い収率で、低い分子量のみで製造することができたが、本発明の製造方法によると、高い収率で高い分子量の極性官能基が導入された環状オレフィン系付加重合体の製造が可能である。
【0063】
本発明の製造方法は極性官能基を含むエンド異性体による触媒活性低下を避けることができ、きわめて少量の触媒を使用しながら高い重合収率を得ることができる。また、本発明の製造方法で製造される極性官能基を含むノルボルネン系重合体は透明であるために金属や他の極性官能基を有する重合体に対する付着性が優れており、絶縁性電子材料などとして使用できる程度に誘電定数が低く、熱安定性および強度が優れている。また、この重合体はカップリング剤なしに電子部品の基板に付着することができ、銅、銀または金などの金属基板によく付着することができ、偏光板の保護フィルムなどとして使用する程度に光学的特性が優れており、集積回路、回路印刷基板または多チップ型モジュールなどの電子部品に使用することができる。
【0064】
本発明の方法によって製造される極性官能基を有する環状オレフィン重合体は当業界で公知の方法を使用して光学異方性フィルムに製造することができる。このように製作される光学異方性フィルムは、以下の数式1で示されるリタデーション値(Rth)が70〜1000nmであることを特徴とする。
(数式1)
th=△(ny−nz)×d
(式1中、
yは波長550nmで測定される面内高速軸の屈折率であり、
zは波長550nmで測定される厚さ方向の屈折率であり、
dはフィルムの厚さである)
【0065】
前記光学異方性フィルムの屈折率は下記の数式2を満足する。
(数式2)
【0066】
【数1】

【0067】
(式2中、nxは面内低速軸の屈折率であり、nyは面内高速軸方向の屈折率であり、nzは厚さ方向の屈折率である)
【0068】
このような光学異方性フィルムは特に液晶ディスプレイ用ネガティブC−プレート形光学補償フィルムとして用いるのに適している。
【実施例】
【0069】
以下の実施例を通じて本発明をより詳細に説明する。ただし、実施例は本発明を例示するためのものであって、これらに限定されるわけではない。
【0070】
また、以下の実施例で空気や水に敏感な化合物を扱う全ての作業は標準シュレンク技術(standard Schlenk technique)またはドライボックス技術を使用して実施した。核磁気共鳴スペクトルはブルカー400と600分光計を使用し、1H NMRは300MHzで、また13C NMRは75MHzで測定した。重合体の分子量と分子量分布はGPC(gel permeation chromatography)を使用し、ポリスチレンサンプルを標準として測定した。TGAおよびDSCのような熱分析はTA Instrument(TGA2050;heating rate 10K/min)を使用した。
【0071】
トルエンを、カリウム/ベンゾフェノンで蒸留および精製し、ジクロロメタンとクロロベンゼンをCaH2で蒸留および精製した。
【0072】
製造例1:5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルエステルの製造
2L高圧反応器にDCPD(ジクロロペンタジエン、Aldrich、256.5ml、1.9mol)、メチルアクリレート(Aldrich、405ml、4.5mol)、ヒドロキノン(3.2g、0.03mol)を入れた後、温度を220℃まで上げた。300rpmで撹拌しながら5時間反応させた後、終了後に反応物を冷却して蒸留装置に移した。真空ポンプを使用して1torrに減圧蒸留し、50℃で生成物を得た(収率:57.6%、エキソ/エンド=58/42)。
1H-NMR (600MHz, CDCl3), endo:δ 6.17(dd, 1H), 5.91(dd, 1H), 3.60(s, 3H), 3.17(b, 1H), 2.91(m, 1H), 2.88(b, 1H), 1.90(m, 1H), 1.42(m, 2H), 1.28(m, 1H) ; exo:δ 6.09(m, 2H), 3.67(s, 3H), 3.01(b, 1H), 2.88(b, 1H), 2.20(m, 1H), 1.88(m, 1H), 1.51(d, 1H), 1.34(m, 2H)。
【0073】
製造例2:エンド−リッチ5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルエステルの製造
2L高圧反応器にDCPD(ジクロロペンタジエン、Aldrich、256.5ml、1.9mol)、メチルアクリレート(Aldrich、405ml、4.5mol)、ヒドロキノン(3.2g、0.03mol)を入れた後、温度を180℃まで上げた。300rpmで撹拌しながら5時間反応させた後、終了後に反応物を冷却して蒸留装置に移した。真空ポンプを使用して1torrに減圧蒸留して50℃で生成物を得た(収率:85%、エキソ/エンド=41/59)。
1H-NMR (600MHz, CDCl3), endo:δ 6.17(dd, 1H), 5.91(dd, 1H), 3.60(s, 3H), 3.17(b, 1H), 2.91(m, 1H), 2.88(b, 1H), 1.90(m, 1H), 1.42(m, 2H), 1.28(m, 1H) ; exo:δ 6.09(m, 2H), 3.67(s, 3H), 3.01(b, 1H), 2.88 (b, 1H), 2.20(m, 1H), 1.88(m, 1H), 1.51(d, 1H), 1.34(m, 2H)。
【0074】
製造例3:5−ノルボルネン−2−カルボン酸ブチルエステルの製造
2L高圧反応器にDCPD(Aldrich、180ml、1.34mol)、ブチルアクリレート(JUNSEI、500ml、3.49mol)、ヒドロキノン(2.7g、0.025mol)を入れた後、温度を190℃まで上げた。300rpmで撹拌しながら5時間反応させた後、終了後に反応物を冷却して蒸留装置に移した。真空ポンプを使用して1torrに減圧蒸留して80℃で生成物を得た(収率:78%、エキソ/エンド=55/45)。
1H-NMR (300MHz in CDCl3) :δ6.12(m,2H), 4.09(t,2H), 3.17(s,1H), 3.04(s,1H), 2.92(m,1H), 2.20(m,1H), 1.90(m,1H), 1.60(m,2H), 1.40(m,4H), 0.94(t,3H)。
【0075】
製造例4:5−ノルボルネン−2−カルボン酸ベンジルエステルの製造
2L高圧反応器にDCPD(Aldrich、67.32ml、0.5mol)、ベンジルアクリレート(LANCASTER、163g、1.0mol)、ヒドロキノン(0.23g、2.1mmol)を入れた後、温度を200℃まで上げた。300rpmで撹拌しながら5時間反応させた後、終了後に反応物を冷却して蒸留装置に移した。真空ポンプを使用して1torrに減圧蒸留を2度実施して190℃で生成物を得た(収率:65%、エキソ/エンド=56/44)。
1H-NMR (300MHz, CDCl3) : δ7.32(m, 5H), 6.15〜6.07(m, 2H), 5.11〜5.04(m, 2H), 3.02〜2.88(m, 2H), 2.96 & 2.20(m, 1H), 1.92(m, 2H), 1.52〜1.22(m, 1H), 1.38(m, 1H)。
【0076】
製造例5:5−ノルボルネン−2−アリルアセテートの製造
2L高圧反応器にDCPD(Aldrich、248ml、1.852mol)、アリルアセテート(Aldrich、500ml、4.63mol)、ヒドロキノン(0.7g、0.006mol)を入れた後、温度を190℃まで上げた。300rpmで撹拌しながら5時間反応させた後、終了後に反応物を冷却して蒸留装置に移した。真空ポンプを使用して1torrに減圧蒸留を2度実施し、56℃で生成物を得た(収率:30%、エキソ/エンド=57/430)。
1H-NMR (300MHz, CDCl3) :δ6.17 〜5.91(m, 2H), 4.15〜3.63(m, 2H), 2.91〜2.88(m, 2H), 2.38(m, 1H), 2.05(s, 3H), 1.83(m, 1H), 1.60〜1.25(m, 2H), 0.57(m, 1H)。
【0077】
製造例6:(allyl)Pd(acac)の製造
(アリル)Pd(acac)化合物を、Imamura(Bull. Chem. Soc. Jpn., 1969, Vol. 42, 805)とJackson(Aust. J. Chem., 1978, Vol. 31, 1073)の文献にしたがって製造した。
【0078】
[(アリル)PdCl]2(1.83g、5.0mmol)とナトリウムアセチルアセトネート(1.22g、10mmol)を250mlのシュレンクフラスコに投入した。ベンゼン(50ml)を入れて溶かした後、常温で1時間程度反応させた。1時間後、溶媒を除去して昇華法(80℃/0.04mm)によって純粋な(アリル)Pd(acac)化合物(85%、1.04g)を得た。
【0079】
実施例1:ジクロロメタン溶媒における5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルエステルの重合(触媒:Pd(acac)2、触媒:ボレート共触媒(モル比)=1:2)
ドライボックス内で触媒であるPd(アセチルアセトネート)2(アセチルアセトネート=acac、3.5mg、11μmol)、ジメチルアニリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(17.6mg、22μmol)、トリシクロヘキシルホスフィン(3.0mg、11μmol)を250mlのシュレンクフラスコに投入した。このフラスコにジクロロメタン5mlを入れて溶かした後、前記製造例1で製造した5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルエステル(MENB、10ml、55.6mmol)を常温で入れて反応温度を90℃に上げた。90℃に温度を上げる間にジクロロメタン溶媒を部分真空下で除去し、90℃で18時間反応させた。時間が経過しながら反応溶液の粘性度が高まって10時間後には撹拌し難い程度に固くなった。18時間反応後に50mLのトルエンを入れて固くなった重合体を溶かした後、過剰のエタノールに投入して白い重合体沈殿物を得た。この沈殿物をガラス漏斗でろ過して回収した重合体を真空オーブンで80℃で24時間乾燥して5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルエステルの重合体7.06g(投入された単量体全量に対して67.5重量%)を得た。
【0080】
実施例2〜4:ジクロロメタン溶媒において重合温度を変化させた5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルエステルの重合(触媒:Pd(acac)2、触媒:ボレート共触媒(モル比)=1:2)
以下の表1の組成のとおりPd(acac)2触媒量を単量体に対して5,000:1モル比と10,000:1モル比にし、重合温度を100、110℃に変更したことを除いては、実施例1と同様の方法で重合反応を実施して5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルエステルの重合体を製造し、その結果を表1に示した。
【0081】
【表1】

【0082】
実施例5:ジクロロメタンにおける5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルエステル重合(触媒:Pd(acac)2、触媒:ボレート共触媒(モル比)=1:2)
ドライボックス内で触媒であるPd(acac)2(4mg)、ジメチルアニリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(21.1mg)、トリシクロヘキシルホスフィン(3.7mg)を100mlのフラスコに投入してジクロロメタン5mlを入れた。250mlシュレンクフラスコに前記製造例1で製造した5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルエステル(10mL)とトルエン20mLを常温で入れて反応温度を80℃に上げた。80℃で触媒溶液を単量体溶液に投入し、18時間反応させた。18時間反応後に、50mLのトルエンを入れて固くなった重合体を溶かした後、過剰のエタノールに投入して白い重合体沈殿物を得た。この沈殿物をガラス漏斗でろ過して回収した重合体を真空オーブンで80℃で24時間乾燥し、5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルエステルの重合体6.75g(投入された単量体全量に対して66.8重量%)を得た。分子量(Mw)は100,400であり、Mw/Mnは1.93であった。
【0083】
実施例6:ジクロロメタン溶媒における5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルエステルの重合(触媒:Pd(acac)2、触媒:ボレート共触媒(モル比)=1:1)
ジメチルアニリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを8.8mg(11μmol)使用したことを除いては、実施例1と同様の方法で重合反応を実施して5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルエステルの重合体7.43g(投入された単量体全量に対して71.0重量%)を得た。分子量(Mw)は184,500であり、Mw/Mnは2.08であった。
【0084】
実施例7:ジクロロメタン溶媒における5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルエステルの重合(触媒:Pd(acac)2、触媒:ボレート共触媒(モル比)=1:1)
重合温度を100℃に変更したことを除いては実施例6と同様の方法で重合反応を実施して5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルエステルの重合体7.95g(投入された単量体全量に対して76.0重量%)を得た。分子量(Mw)は181,800であり、Mw/Mnは2.13であった。
【0085】
実施例8:ジクロロメタン溶媒における5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルエステルの重合(触媒:Pd(アセテート)2、触媒:ボレート共触媒(モル比)=1:2)
Pd(acac)2の代りにPd(アセテート)2(2.5mg、11μmol)を使用したことを除いては実施例1と同様の方法で重合反応を実施して5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルエステルの重合体8.95g(投入された単量体全量に対して85.6重量%)を得た。分子量(Mw)は195,300であり、Mw/Mnは2.3であった。
【0086】
実施例9:ジクロロメタン溶媒における5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルエステルの重合(触媒:(allyl)Pd(acac)、触媒:ボレート共触媒(モル比)=1:2)
Pd(アセテート)2の代りに(アリル)Pd(acac)(2.7mg、11μmol)を使用したことを除いては、実施例1と同様の方法で重合反応を実施して5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルエステルの重合体8.5g(投入された単量体全量に対して81.3重量%)を得た。分子量(Mw)は185,000であり、Mw/Mnは2.2であった。
【0087】
実施例10:ジクロロメタン溶媒における重合温度90℃でのエンド−リッチ5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルエステルの重合(触媒:Pd(acac)2、触媒:ボレート共触媒(モル比)=1:2)
ドライボックス内でPd(acac)2(3.4mg、11μmol)、ジメチルアニリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(17.6mg、22μmol)、トリシクロヘキシルホスフィン(3.0mg、11μmol)を250mLシュレンクフラスコに投入した。このフラスコにジクロロメタン3mlを入れて溶かした後、前記製造例2で製造したエンドリッチ5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルエステル(10mL、55.6mmol)を常温で入れて反応温度を90℃に上げた。90℃で18時間反応後に、50mLトルエンを入れて固くなった重合体を溶かした後、過剰のエタノールに投入して白い重合体沈殿物を得た。この沈殿物をガラス漏斗でろ過して回収した重合体を80℃の真空オーブンで24時間乾燥して5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルエステルの重合体7.03g(投入された単量体全量に対して67.2重量%)を得た。分子量(Mw)は167,898であり、Mw/Mn=2.3であった。
【0088】
実施例11:ジクロロメタン溶媒における重合温度100℃でのエンドリッチ5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルエステルの重合(触媒:Pd(acac)2、触媒:ボレート共触媒(モル比)=1:2)
重合温度を100℃に変更したことを除いては実施例10と同様の方法で重合反応を実施して5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルエステルの重合体6.9g(投入された単量体全量に対して66重量%)を得た。分子量(Mw)は157,033であり、Mw/Mn=2.4であった。
【0089】
実施例12〜14:ジクロロメタン溶媒における重合温度変更での5−ノルボルネン−2−カルボン酸ブチルエステルの重合(触媒:Pd(acac)2)、触媒:ボレート共触媒(モル比)=1:2)
以下の表2に示されているように単量体として前記製造例3で製造した5−ノルボルネン−2−カルボン酸ブチルエステル(BENB、20mL、100mmol)を使用し、重合温度を90、100、120℃に変更したことを除いては、実施例1と同様の方法で重合反応を実施して5−ノルボルネン−2−カルボン酸ブチルエステルの重合体を製造し、その結果を表2に示した。
【0090】
【表2】

【0091】
実施例15〜17:クロロベンゼンにおける重合温度変更での5−ノルボルネン−2−カルボン酸ブチルエステルの重合(触媒:Pd(acac)2、触媒:ボレート共触媒(モル比)=1:2)
以下の表3に示されているように重合溶媒としてクロロベンゼン(10ml)を使用し、重合温度を90、100、110℃に変更したことを除いては、実施例12と同様の方法で重合反応を実施して5−ノルボルネン−2−カルボン酸ブチルエステルの重合体を製造し、その結果を表3に示した。
【0092】
【表3】

【0093】
実施例18および19:トルエン溶媒における重合温度変更での5−ノルボルネン−2−カルボン酸ブチルエステルの重合(触媒:Pd(acac)2、触媒:ボレート共触媒(モル比)=1:2)
以下の表4に示されているように重合溶媒としてトルエンを単量体に対してトルエン重量比を2:1とし、重合温度を90、100℃に変更したことを除いては、実施例12と同様の方法で重合反応を実施して5−ノルボルネン−2−カルボン酸ブチルエステルの重合体を製造し、その結果を表4に示した。
【0094】
【表4】

【0095】
実施例20:ジクロロメタン溶媒における重合温度90℃での5−ノルボルネン−2−カルボン酸ブチルエステルの重合(触媒:Pd(アセテート)2、触媒:ボレート共触媒(モル比)=1:2)
ドライボックス内でPd(アセテート)2(4.5mg、20μmol)、ジメチルアニリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(32.0mg、40μmol)、トリシクロヘキシルホスフィン(5.6mg、20μmol)を250mLシュレンクフラスコに投入した。このフラスコにジクロロメタン(5ml)を入れて溶かした後、前記製造例3で製造した5−ノルボルネン−2−カルボン酸ブチルエステル(20mL、100mmol)を常温で入れて反応温度を90℃に上げた。90℃に上げる間にジクロロメタンを部分真空下で除去し、90℃で18時間反応させた。時間が経過しながら反応溶液の粘性度が高まり、10時間後には撹拌し難い程度に固くなった。18時間後に50mLトルエンを入れて固くなった重合体を溶かした後、過剰のエタノールに投入して白い重合体沈殿物を得た。この沈殿物をガラス漏斗でろ過して回収した重合体を80℃の真空オーブンで24時間乾燥して5−ノルボルネン−2−カルボン酸ブチルエステルの重合体10.02g(投入された単量体全量に対して51.5重量%)を得た。分子量(Mw)は153,033であり、Mw/Mn=2.4であった。
【0096】
実施例21:ジクロロメタン溶媒における重合温度100℃での5−ノルボルネン−2−カルボン酸ブチルエステルの重合(触媒:Pd(アセテート)2、触媒:ボレート共触媒(モル比)=1:2)
重合温度を100℃に変更したことを除いては、実施例20と同様の方法で重合反応を実施して5−ノルボルネン−2−カルボン酸ブチルエステルの重合体18.04g(投入された単量体全量に対して92.8重量%)を得た。分子量(Mw)は148,200であり、Mw/Mnは2.2であった。
【0097】
実施例22:ジクロロメタン溶媒における重合温度90℃での5−ノルボルネン−2−カルボン酸ブチルエステルの重合(触媒:(アリル)Pd(acac)、触媒:ボレート共触媒(モル比)=1:2)
Pd(アセテート)2の代りに(アリル)Pd(acac)(4.9mg、20μmol)を使用したことを除いては、実施例20と同様の方法で重合反応を実施して5−ノルボルネン−2−カルボン酸ブチルエステルの重合体12.06g(投入された単量体全量に対して62.0重量%)を得た。分子量(Mw)は142,000であり、Mw/Mnは2.5であった。
【0098】
実施例23:ジクロロメタン溶媒における5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルエステルと5−ノルボルネン−2−カルボン酸ブチルエステルの共重合(触媒:Pd(acac)2、大量重合)
ドライボックス内でPd(acac)2(1.39g)、ジメチルアニリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(1.28g)、トリシクロヘキシルホスフィン1.28g)を500mLシュレンクフラスコに投入し、ジクロロメタン300mlを加えた。大量重合反応器に前記製造例1で製造した5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルエステル(1046g)、製造例3で製造した5−ノルボルネン−2−カルボン酸ブチルエステル(3082g)、トルエン(8300g)を常温で入れて撹拌しながら温度を80℃に上げた。80℃で触媒溶液を大量反応器に投入し、90時間程重合反応させた。反応が進められる間に反応溶液の粘性度が高くなった。90時間後に、反応を止めて10kgのトルエンを入れて溶液を希釈した後、過剰のエタノールに投入して白い共重合体沈殿物を得た。この沈殿物をガラス漏斗でろ過して回収した共重合体を80℃の真空オーブンで24時間乾燥して5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルエステルと5−ノルボルネン−2−カルボン酸ブチルエステルの共重合体2.2kg(投入された単量体全量に対して53.8重量%)を得た。分子量(Mw)は115,000であり、Mw/Mnは1.6であった。
【0099】
実施例24:ジクロロメタン溶媒における5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルエステルと5−ノルボルネン−2−カルボン酸ブチルエステルの共重合(触媒:Pd(acac)2、触媒:ボレート共触媒(モル比)=1:2)
ドライボックス内でPd(acac)2(6.0mg、20μmol)、ジメチルアニリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(32.0mg、40μmol)、トリシクロヘキシルホスフィン(5.6mg、20μmol)を250mlシュレンクフラスコに投入した。このフラスコにジクロロメタン5mlを入れて溶かした後、前記製造例1で製造した5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルエステル(9mL、50mmol)と製造例3で製造した5−ノルボルネン−2−カルボン酸ブチルエステル(10mL、50mmol)を常温で入れて反応温度を100℃に上げた。100℃に上げる間にジクロロメタン溶媒を部分真空下で除去した。100℃で反応が進められる間に反応溶液の粘性度が高くなった。18時間後に反応を止めて50mLのトルエンを入れて溶液を希釈した後、過剰のエタノールに投入して白い共重合体沈殿物を得た。この沈殿物をガラス漏斗でろ過して回収した共重合体を80℃の真空オーブンで24時間乾燥して5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルエステルと5−ノルボルネン−2−カルボン酸ブチルエステルの共重合体16.02g(投入された単量体全量に対して83.7重量%)を得た。分子量(Mw)は182,300であり、Mw/Mnは2.13であった。
【0100】
実施例25:ジクロロメタン溶媒における重合温度110℃での5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルエステルと5−ノルボルネン−2−カルボン酸ブチルエステルの共重合(触媒:Pd(acac)2、触媒:ボレート共触媒(モル比)=1:2)
重合温度を110℃に変更したことを除いては実施例24と同様の方法で5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルエステルと5−ノルボルネン−2−カルボン酸ブチルエステルの共重合体を製造した。得られた共重合体は17.8g(投入された単量体全量に対して93.1重量%)であり、分子量(Mw)およびMw/Mnはそれぞれ164,600および2.43であった。
【0101】
実施例26:トルエン溶媒における5−ノルボルネン−2−アリルアセテートの重合(触媒:Pd(acac)2
250mlシュレンクフラスコに前記製造例5の5−ノルボルネン−2−アリルアセテート(5.0g、30.1mmol)とトルエン(10ml)を投入した。このフラスコにジクロロメタン(3ml)に溶かした触媒としてPd(acac)2(1.83mg、6.0μmol)、トリシクロヘキシルホスフィン(1.69mg、6.0μmol)、およびジメチルアニリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(9.64mg、12.0μmol)を投入し、18時間程90℃で撹拌しながら反応させた。反応18時間後に前記反応物を過剰のエタノールに投入して白い重合体沈殿物を得た。この沈殿物をガラス漏斗でろ過して回収した重合体を65℃の真空オーブンで24時間乾燥して5−ノルボルネン−2−アリルアセテート重合体4.79gを得た(収率:投入された単量体全量に対して95.8重量%)。この重合体の分子量(Mw)は203,000であり、Mw/Mnは2.6であった。
【0102】
実施例27:トルエン溶媒における5−ノルボルネン−2−アリルアセテートの重合(触媒:Pd(アセテート)2
250mlシュレンクフラスコに前記製造例5の5−ノルボルネン−2−アリルアセテート(5mL、30.9mmol)とトルエン(10ml)を投入した。このフラスコにジクロロメタン(1ml)に溶かした触媒としてPd(アセテート)2(1.4mg、6.2μmol)、トリシクロヘキシルホスフィン(1.9mg、6.8μmol)、およびジメチルアニリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(10.9mg、13.6μmol)を投入し、4時間程度90℃で撹拌しながら反応させた。反応4時間後に、前記反応物を過剰のエタノールに投入して白い重合体沈殿物を得た。この沈殿物をガラス漏斗でろ過して回収した重合体を真空オーブンで65℃で24時間乾燥して5−ノルボルネン−2−アリルアセテート重合体4.45gを得た(収率:投入された単量体全量に対して86.7重量%)。この重合体の分子量(Mw)は279,618であり、Mw/Mnは3.23であった。
【0103】
実施例28:トルエン溶媒における5−ノルボルネン−2−アリルアセテートの重合(触媒:Pd(アセテート)2
250mlシュレンクフラスコに前記製造例5の5−ノルボルネン−2−アリルアセテート(5mL、30.9mmol)とトルエン(15ml)を投入した。このフラスコにジクロロメタン(1ml)に溶かした触媒としてPd(アセテート)2(0.7mg、3.1μmol)、トリシクロヘキシルホスフィン(1.0mg、3.4μmol)およびジメチルアニリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(5.4mg、6.8μmol)を投入し、6時間90℃で撹拌しながら反応させた。反応6時間後に、前記反応物を過剰のエタノールに投入して白い重合体沈殿物を得た。この沈殿物をガラス漏斗でろ過して回収した重合体を65℃の真空オーブンで24時間乾燥し、5−ノルボルネン−2−アリルアセテート重合体4.70gを得た(収率:投入された単量体全量に対して91.6重量%)。この重合体の分子量(Mw)は484,033であり、Mw/Mnは3.11であった。
【0104】
実施例29:トルエン溶媒における5−ノルボルネン−2−アリルアセテートの重合(触媒:Pd(アセテート)2
250mlシュレンクフラスコに前記製造例5の5−ノルボルネン−2−アリルアセテート(5mL、30.9mmol)とトルエン(15ml)を投入した。このフラスコにジクロロメタン(1ml)に溶かした触媒としてPd(アセテート)2(0.46mg、2.1μmol)、トリシクロヘキシルホスフィン(0.64mg、2.3μmol)、およびジメチルアニリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(3.6mg、4.5μmol)を投入し、8時間80℃で撹拌しながら反応させた。反応8時間後に、前記反応物を過剰のエタノールに投入して白い重合体沈殿物を得た。この沈殿物をガラス漏斗でろ過して回収した重合体を65℃の真空オーブンで24時間乾燥して5−ノルボルネン−2−アリルアセテートの重合体4.44gを得た(収率:投入された単量体全量に対して86.5重量%)。この重合体の分子量(Mw)は472,666であり、Mw/Mnは3.03であった。
【0105】
実施例30:高圧反応器内での5−ノルボルネン−2−アリルアセテートの重合(触媒:Pd(アセテート)2
撹拌機が装着された高圧反応器に前記製造例5の5−ノルボルネン−2−アリルアセテート(5mL、30.9mmol)とトルエン(15ml)を投入した。この反応器にジクロロメタン(1ml)に溶かした触媒としてPd(アセテート)2(0.7mg、3.1μmol)、トリシクロヘキシルホスフィン(1.0mg、3.4μmol)およびジメチルアニリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(5.4mg、6.8μmol)を投入して6時間130℃で撹拌しながら反応させた。反応6時間後に、前記反応物を過剰のエタノールに投入して白い重合体沈殿物を得た。この沈殿物をガラス漏斗でろ過して回収した重合体を65℃の真空オーブンで24時間乾燥し、5−ノルボルネン−2−アリルアセテート重合体4.51gを得た(収率:投入された単量体全量に対して87.9重量%)。この重合体の分子量(Mw)は368、200であり、Mw/Mnは3.11であった。
【0106】
実施例31:高圧反応器内での5−ノルボルネン−2−アリルアセテートの重合(触媒:Pd(アセテート)2
撹拌機が装着された高圧反応器に前記製造例5の5−ノルボルネン−2−アリルアセテート(5mL、30.9mmol)とトルエン(15ml)を投入した。この反応器にジクロロメタン(1ml)に溶かした触媒としてPd(アセテート)2(0.7mg、3.1μmol)、トリシクロヘキシルホスフィン(1.0mg、3.4μmol)およびジメチルアニリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(5.4mg、6.8μmol)を投入し、6時間150℃で撹拌しながら反応させた。反応6時間後に、前記反応物を過剰のエタノールに投入して白い重合体沈殿物を得た。この沈殿物をガラス漏斗でろ過して回収した重合体を65℃の真空オーブンで24時間乾燥して5−ノルボルネン−2−アリルアセテート重合体4.17gを得た(収率:投入された単量体全量に対して81.2重量%)。この重合体の分子量(Mw)は273,500であり、Mw/Mnは3.42であった。
【0107】
実施例32:高圧反応器内での5−ノルボルネン−2−アリルアセテートの重合(触媒:Pd(アセテート)2
撹拌機が装着された高圧反応器に前記製造例5の5−ノルボルネン−2−アリルアセテート(5mL、30.9mmol)とトルエン15ml)を投入した。この反応器にジクロロメタン(1ml)に溶かした触媒としてPd(アセテート)2(0.7mg、3.1μmol)、トリシクロヘキシルホスフィン(1.0mg、3.4μmol)およびジメチルアニリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(5.4mg、6.8μmol)を投入し、6時間170℃で撹拌しながら反応させた。反応6時間後に、前記反応物を過剰のエタノールに投入して白い重合体沈殿物を得た。この沈殿物をガラス漏斗でろ過して回収した重合体を65℃の真空オーブンで24時間乾燥して5−ノルボルネン−2−アリルアセテート重合体3.82gを得た(収率:投入された単量体全量に対して74.4重量%)。この重合体の分子量(Mw)は175,400であり、Mw/Mnは3.52であった。
【0108】
実施例33:ジクロロメタン溶媒における重合温度90℃での5−ノルボルネン−2−アリルアセテートの重合(触媒:(アリル)Pd(acac))
Pd(アセテート)2の代りに(アリル)Pd(acac)(1.48mg、6.0μmol)を使用したことを除いては、実施例28と同様の方法で重合反応を実施して5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルエステルの重合体5.60g(投入された単量体全量に対して56.0重量%)を得た。分子量(Mw)は141,000であり、Mw/Mnは2.3であった。
【0109】
実施例34:トルエン溶媒における5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルエステルと5−ノルボルネン−2−アリルアセテートの共重合(触媒:Pd(アセテート)2、5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルエステル/5−ノルボルネン−2−アリルアセテート=1/2)
250mlシュレンクフラスコに単量体として前記製造例1の5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルエステル(5.89g、38.7mmol)と、前記製造例5の5−ノルボルネン−2−アリルアセテート(15.0g、90.2mmol)とトルエン41mlを投入した。このフラスコにジクロロメタン5mlに溶かした触媒としてPd(アセテート)2(2.89mg、13.0μmol)、トリシクロヘキシルホスフィン(3.62mg、13.0μmol)およびジメチルアニリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(20.66mg、26.0μmol)を投入し、18時間程度90℃で撹拌しながら反応させた。反応18時間後に、前記反応物を過剰のエタノールに投入して白い共重合体沈殿物を得た。この沈殿物をガラス漏斗でろ過して回収した共重合体を65℃の真空オーブンで24時間乾燥し、ノルボルネンカルボン酸メチルエステルとノルボルネンアリルアセテートの共重合体10.48gを得た(収率:投入された単量体全量に対して50.2重量%)。この重合体の重量平均分子量(Mw)は144,000であり、Mw/Mnは2.4であった。
【0110】
実施例35:ノルボルネンカルボン酸メチルエステル/ノルボルネン付加共重合体の製造(触媒:Pd(acac)2
250mlシュレンクフラスコに単量体としてノルボルネンカルボン酸メチルエステル(16.74g)とノルボルネン(4.44g)と溶媒として精製されたトルエン37mlを投入した。このフラスコにトルエン(5ml)に溶かしたPd(acac)2(4.79mg)とトリシクロヘキシルホスフィン(4.41mg)とジクロロメタン(2ml)に溶かしたジメチルアニリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(25.2mg)を投入し、18時間程度90℃で撹拌しながら反応させた。反応18時間後に、前記反応物を過剰のエタノールに投入して白い共重合体沈殿物を得た。この沈殿物をガラス漏斗でろ過して回収した共重合体を65℃の真空オーブンで24時間乾燥してノルボルネンとノルボルネンカルボン酸メチルエステル共重合体12.96gを得た(収率:投入されたモノマー全量基準61.2重量%)。この重合体の重量平均分子量(Mw)は164,000であり、Mw/Mnは2.02であった。
【0111】
実施例36:ノルボルネンカルボン酸メチルエステル/ブチルノルボルネン付加共重合体の製造(触媒:Pd(acac)2
250mlシュレンクフラスコに単量体としてノルボルネンカルボン酸メチルエステル(14.64g)とブチルノルボルネン(6.14g)とトルエン(37ml)を投入した。このフラスコにトルエン(5ml)に溶かした触媒としてPd(acac)2(4.19mg)とトリシクロヘキシルホスフィン(3.86mg)とジクロロメタン(2ml)に溶かしたジメチルアニリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(22.1mg)を投入し、18時間程度90℃で撹拌しながら反応させた。反応18時間後に、前記反応物を過剰のエタノールに投入して白い共重合体沈殿物を得た。この沈殿物をガラス漏斗でろ過して回収した共重合体を65℃の真空オーブンで24時間乾燥し、ブチルノルボルネンとノルボルネンカルボン酸メチルエステル共重合体12.08gを得た(収率:投入されたモノマー全量基準58.1重量%)。この重合体の重量平均分子量(Mw)は116,000であり、Mw/Mnは1.97であった。
【0112】
実施例37:ノルボルネンカルボン酸ブチルエステル/ブチルノルボルネン付加共重合体の製造(触媒:Pd(acac)2
250mlシュレンクフラスコに5−ノルボルネン−2−アセテート(13.57g)とヘキシルノルボルネン(6.82g)およびトルエン(42ml)を投入した。このフラスコにトルエン(5ml)に溶かした触媒としてPd(acac)2(3.9mg)、トリシクロヘキシルホスフィン(3.6mg)およびジクロロメタン(2ml)に溶かしたジメチルアニリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(20.4mg)を投入し、18時間程度90℃で撹拌しながら反応させた。反応18時間後に、前記反応物を過剰のエタノールに投入して白い共重合体沈殿物を得た。この沈殿物をガラス漏斗でろ過して回収した共重合体を65℃で真空オーブンで24時間乾燥し、ヘキシルノルボルネンと5−ノルボルネン−2−アセテートの共重合体10.4gを得た(収率:投入されたモノマー全量基準51.0重量%)。この重合体の重量平均分子量(Mw)は231,000であり、Mw/Mnは2.11であった。
【0113】
実施例38:5−ノルボルネン−2−アリルアセテート/ブチルノルボルネン付加共重合体の製造(触媒:Pd(acac)2
250mlシュレンクフラスコに5−ノルボルネン−2−アリルアセテート(8.2g)とブチルノルボルネン(3.2g)およびトルエン(47ml)を投入した。このフラスコにジクロロメタン(5ml)に溶かした触媒としてPd(アセテート)2(3.2mg)、トリシクロヘキシルホスフィン(4.0mg)およびジメチルアニリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(40.0mg)を投入して18時間程度90℃で撹拌しながら反応させた。反応18時間後に、前記反応物を過剰のエタノールに投入して白い共重合体沈殿物を得た。この沈殿物をガラス漏斗でろ過して回収した共重合体を65℃の真空オーブンで24時間乾燥し、ブチルノルボルネンとノルボルネンカルボン酸ブチルエステルの共重合体8.85gを得た(収率:投入されたモノマー全量基準77.8重量%)。この重合体の重量平均分子量(Mw)は198,300であり、Mw/Mnは3.44であった。
【0114】
実施例39:ノルボルネンカルボン酸ブチルエステル/フェニルノルボルネン付加共重合体の製造(触媒:Pd(アセテート)2
250mlシュレンクフラスコにフェニルノルボルネン(4.5g)とノルボルネンカルボン酸ブチルエステル(9.19g)とトルエン(30ml)を投入した。このフラスコにジクロロメタン(3ml)に溶かした触媒としてPd(アセテート)2(1.98mg)、トリシクロヘキシルホスフィン(2.47mg)およびジメチルアニリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(14.1mg)を投入し、18時間90℃で撹拌しながら反応させた。反応18時間後に、前記反応物を過剰のエタノールに投入して白い共重合体沈殿物を得た。この沈殿物をガラス漏斗でろ過して回収した共重合体を65℃の真空オーブンで24時間乾燥し、フェニルノルボルネンとノルボルネンカルボン酸ブチルエステルの共重合体8.28gを得た(収率:投入されたモノマー全量基準60.5重量%)。この重合体の重量平均分子量(Mw)は132,000であり、Mw/Mnは2.69であった。
【0115】
比較例1:ジクロロメタン溶媒における5−ノルボルネン−2−カルボン酸ブチルエステル重合(触媒:Pd(acac)2
重合温度を60℃に変更したことを除いては、実施例11と同様の方法で重合反応を実施して5−ノルボルネン−2−カルボン酸ブチルエステルの重合体1.23g(投入された単量体全量に対して6.4重量%)を得た。
【0116】
比較例2〜4:ジクロロメタン溶媒における重合温度80℃未満での5−ノルボルネン−2−カルボン酸ブチルエステルの重合(触媒:Pd(acac)2
以下の表5に示されているように重合温度を65、70、75℃に変更したことを除いては、実施例11と同様の方法で重合反応を実施して5−ノルボルネン−2−カルボン酸ブチルエステルを製造し、その結果を表5に示した。
【0117】
【表5】

【0118】
比較例5:[(アリル)PdCl]2触媒による5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルエステルの重合(単量体:触媒(モル比)=4000:1)
ドライボックス内で触媒である[(アリル)PdCl]2(6.0mg)、リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(22.5mg)、トリシクロヘキシルホスフィン(12.0mg)を100mLシュレンクフラスコに投入し、このフラスコにトルエン5mlを入れた。他の250mLシュレンクフラスコに5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルエステル(10ml)とトルエン20mlを投入した。常温で触媒溶液を単量体溶液に投入し、反応温度を90℃に上げた。90℃で18時間程度反応させた後、反応物を過剰のエタノールに投入したが、重合体沈殿物は得られなかった。
【0119】
比較例6:[(アリル)PdCl]2触媒による5−ノルボルネン−2−カルボン酸ブチルエステルの重合(単量体:触媒モル比=500:1)
ドライボックス内で触媒である[(アリル)PdCl]2(18.8mg)、リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(70.6mg)、トリシクロヘキシルホスフィン(36.1mg)を100mLシュレンクフラスコに投入し、このフラスコにトルエン5mLを入れた。他の250mlシュレンクフラスコに5−ノルボルネン−2−カルボン酸ブチルエステル(5mL)とトルエン20mLを投入した。常温で触媒溶液を単量体溶液に投入し、反応温度を90℃に上げた。90℃で18時間程度反応させた後、反応物を過剰のエタノールに投入したが、重合体沈殿物は得られなかった。
【0120】
比較例7:[(アリル)PdCl]2触媒による5−ノルボルネン−2−カルボン酸ブチルエステルの重合(単量体:触媒モル比=100:1)
ドライボックス内で触媒である[(アリル)PdCl]2(188mg)、リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(1.06g)、トリシクロヘキシルホスフィン(361mg)を100mlシュレンクフラスコに投入し、このフラスコにトルエン10mlを入れた。他の250mlシュレンクフラスコに5−ノルボルネン−2−カルボン酸ブチルエステル(10mL)とトルエン20mlを投入した。常温で触媒溶液を単量体溶液に投入し、反応温度を90℃に上げた。90℃で18時間程度反応させた後、反応物を過剰のエタノールに投入したが、重合体沈殿物は得られなかった。
【0121】
比較例1〜4から分かるように、重合温度が80℃未満である場合には分子量が100,000以上であるが、重合収率が40%未満であった。比較例5〜7の場合、ヒドロカルビル系列の配位子が配位された触媒を使用してエステルノルボルネン重合反応を実施した場合、重合体は得られなかった。このような触媒構造は前記実施例で使用された酸素原子が結合された配位子を有する触媒に比べて熱安定性が低下して単量体の極性官能基によって不活性化され、高温重合下で触媒活性を示さないと予想される。つまり、本発明によると、酸素原子価結合された配位子構造を有する触媒が重合温度80℃以上である場合にも熱安定性を示し、環状オレフィンに結合された極性官能基によっても触媒の不活性化が起こらなくて分子量が100,000以上の重合体を得ることができた。
【0122】
実施例40〜42:極性官能基を含む環状オレフィン系重合体を使用したフィルムの製作
実施例4、実施例19および実施例25で得た重合体を溶媒に混合して以下の表に記載したとおりの組成のコーティング溶液を製造した。コーティング溶液をナイフコーターまたはバーコーターを使用してガラス基板上にキャスティングした後、常温で1時間乾燥させて、再び窒素雰囲気と100℃の温度で18時間乾燥させた。乾燥後、−10℃で10秒間保持した後、ナイフでガラス基板上のフィルムを剥離して厚さ偏差が2%未満である均一な厚さの透明フィルムを得た。400〜800nmでのフィルムの光透過度および厚さを表6に示した。
【0123】
光学異方性測定:
アベ(Abbe)屈折計を使用して各々の透明フィルムに対する屈折率(n)を測定し、自動複屈折系(王子計測機器製造、KOBRA−21 ADH)を使用して面内の位相差値(Rθ)を測定し、入射光とフィルム面との角度が50度(Rθ)であるときの位相差値を測定した後、以下の数式2によってフィルム厚さ方向と面内のx軸との位相差値(Rth)を計算した。
(数式2)
【0124】
【数2】

【0125】
また、RθおよびRth値をフィルムの厚さで割って、屈折率差(nx−ny)と(ny−nzを計算した。
【0126】
【表6】

【0127】
表6で、THFはテトラヒドロフラン、MCはメチレンクロライド、TLはトルエン。
【0128】
また、トリアセテートセルロースフィルムに重ねてRθを測定した場合、フィルムのRθ値が増加する。これはフィルムが厚さ方向にネガティブ複屈折率(ny>nz)を持つことを示す。
【0129】
前記光学異方性フィルムは、屈折率が以下の数式3を満足する。
(数式3)
【0130】
【数3】

【0131】
(式3において、nxは面内低速軸の屈折率であり、nyは面内高速軸の屈折率であり、nzは厚さ方向の屈折率である)
【0132】
本発明の極性官能基を含む環状オレフィン系重合体を使用した光学異方性フィルムは環状オレフィン系重合体に導入される官能基の種類と含量によって厚さ方向の屈折率を変化させることができ、これにより液晶ディスプレイを含む種々のディスプレイ装置用の光学補償フィルムとして使用することができる。
【0133】
実施例43:ブチルエステルノルボルネン重合体フィルムとPVA偏光フィルムとの接着性実験
実施例19の5−ノルボルネン−2−カルボン酸ブチルエステルの重合体を使用して製造したフィルムを80mAの電流で6m/分のラインスピードで3回コロナ処理した後、接触角を測定した。水を使用した場合、接触角は20.7度であり、ダイオードメタンを使用した場合、接触角は22度であり、算出された表面張力は76.9Mn/mであった。
【0134】
コロナ処理後、30分以内に十分に乾燥されたPVA偏光フィルム(ヨウ素型で透過度が44%)を10重量%PVA水溶液でロール圧搾した後、80℃で10分間乾燥した。乾燥後、ブチルエステルノルボルネン重合体フィルムが圧搾されたPVA偏光板は接着性が非常に優れていた。
【産業上の利用可能性】
【0135】
本発明によると、エキソノーボーネン−エステルモノマー50モル%以上を含むエキソ−リッチノーボーネン−エステル系モノマーのディールス−アルダー反応の反応温度および反応時間を調節することによって高収率を得ることができる。エキソ−リッチノーボーネン−エステルモノマーが特定配位子を有するX族遷移金属触媒システムの存在下で重合される時、大きな分子量を有するノーボーネン−エステル系付加重合体を高収率で得ることができる。製造したノルボルネン−エステル系付加重合体は偏光板、リタデーションフィルムまたはガラス基板の保護フィルムとして利用することができるなど優れた光学特性を示し、多様な基板に対して高接着性を示す。
【0136】
また、本発明の製造方法は、極性官能基を含むエンド異性体による触媒活性の低下を避けることができる極性官能基を含む環状オレフィン重合方法できわめて少量の触媒を使用しながら優れた重合結果を得ることができ、また、本発明の製造方法で製造される極性官能基を含むノルボルネン系重合体は透明で金属や他の極性官能基を有する重合体に対する付着性が良好であり、誘電定数が低く、熱安定性および強度の大きく改善された絶縁性電子材料などとして使用することができる。また、本発明の製造方法で製造される極性官能基を含む環状オレフィン系付加重合体からなる光学異方性フィルムは環状オレフィン系付加重合体に導入される官能基の種類と含量によって厚さ方向の屈折率の調節が可能であるので、多様な用途の表示素子用光学補償フィルムとして使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)化学式1で表され、金属に結合した酸素イオンを含有する配位子を有する10族遷移金属を含有する前置触媒;
ii)15族元素を含有する有機化合物である第1共触媒;および
iii)前記前置触媒の金属に弱く配位結合していると共に陰イオンを供与することができる第2共触媒
を含む触媒混合物を製造する工程;ならびに
有機溶媒および前記触媒混合物存在下、80〜200℃の温度で、極性官能基を含有するノルボルネン系化合物を含む単量体溶液を付加重合反応させて、極性官能基を含む環状オレフィン系付加重合体を得る工程を含み、
前記有機溶媒の全量が前記単量体溶液中の全単量体重量に対して50〜800重量%であり、前記単量体全重量に対する前記重合体の収率が50%以上である、極性官能基を含む環状オレフィン系付加重合体の製造方法。
(化学式1)
[−O−(A)−O−]nM(R12-n
(式中、
Mは10族遷移金属であり;
nは1または2であり;
Aは炭素数1〜20の直鎖もしくは分枝アルキル、アリール、アラルキル、アルケニル基またはSi、Ge、S、OもしくはNを含むヘテロ原子を含む炭素数1〜20の直鎖もしくは分枝アルキル、アリール、アラルキルもしくはアルケニル基であり;
R1は水素;炭素数1〜20の直鎖もしくは分枝アルキル、アルケニルもしくはビニル基;炭化水素で置換されたもしくは置換されていない炭素数3〜12のシクロアルキル基;炭化水素で置換されたもしくは置換されていない炭素数6〜40のアリール基;少なくとも1個のヘテロ原子を含む炭素数6〜40のアリール基;炭化水素で置換されたもしくは置換されていない炭素数7〜15のアラルキル基;または炭素数3〜20のアルキニル基である)
【請求項2】
前記第1共触媒の有機化合物が非共有電子対を有すると共に電子供与体として作用し、化学式2で表されることを特徴とする請求項1記載の極性官能基を含む環状オレフィン重合体の製造方法。
(化学式2)
D−(R23-c[X(R2dc
(式中、
Dは15族元素であり;
cは0〜3の整数であり;
Xは酸素、硫黄、窒素またはシリコンであり;
dは、Xが酸素または硫黄である場合に1であり、Xが窒素原子である場合に2であり、Xがシリコンである場合に3であり;
2は水素;炭素数1〜20の直鎖または分枝アルキル、アルコキシ、アリル、アルケニルまたはビニル基;炭化水素で置換されたまたは置換されていない炭素数3〜12のシクロアルキル基;炭化水素で置換されたまたは置換されていない炭素数6〜40のアリール基;炭化水素で置換されたまたは置換されていない炭素数7〜15のアラルキル基;炭素数3〜20のアルキニル基;トリ(炭素数1〜10の直鎖または分枝アルキル)シリル、トリ(炭素数1〜10の直鎖または分枝アルコキシ)シリル基;トリ(炭化水素で置換されたまたは置換されていない炭素数3〜12のシクロアルキル)シリル基;トリ(炭化水素で置換されたまたは置換されていない炭素数6〜40のアリール)シリル基;トリ(炭化水素で置換されたまたは置換されていない炭素数6〜40のアリールオキシ)シリル基;トリ(炭素数1〜10の直鎖または分枝アルキル)シロキシ基;トリ(炭化水素で置換されたまたは置換されていない炭素数3〜12のシクロアルキル)シロキシ基;またはトリ(炭化水素で置換されたまたは置換されていない炭素数6〜40のアリール)シロキシ基であり;ここで、これら全ての置換基は直鎖または分枝ハロアルキル基またはハロゲンで置換することができる)
(化学式3)
(R32D−(R4)−D(R32
(式中、
Dは15族元素、
3は化学式2のR2で定義したとおりであり;
4は炭素数1〜5の直鎖もしくは分枝アルキル、アルケニルもしくはビニル基;炭化水素で置換されたもしくは置換されていない炭素数3〜12のシクロアルキル基;炭化水素で置換されたもしくは置換されていない炭素数6〜20のアリール基;または炭化水素で置換されたもしくは置換されていない炭素数7〜15のアラルキル基である)
【請求項3】
前記第2共触媒が以下の化学式4で示される塩であることを特徴とする請求項1記載の極性官能基を含む環状オレフィン系付加重合体の製造方法。
(化学式4)
[陽イオン]a[陰イオン]b
(式中、
陽イオンはプロトン;1族および2族の金属陽イオン;およびこれら陽イオンを含有する有機団からなる群より選択され、この陽イオンには前記第1触媒の有機化合物の非共有電子対が結合でき;
陰イオンは前記前置触媒の金属Mに弱く配位できる陰イオンであり、ボレート、アルミネート、[SbF6]、[PF6]、[AsF6]、ペルフルオロアセテート([CF3CO2])、ペルフルオロプロピオネート([C25CO2])、ペルフルオロブチレート([CF3CF2CF2CO2])、ペルクロレート(ClO4))、p−トルエンスルホネート([p−CH364SO3])、[SO3CF3]、ボラタベンゼンおよびハロゲン原子で置換されたまたは置換されていないカルボランからなる群より選択される;
aとbは各々陽イオンと陰イオンの個数であり、これらは陽イオンと陰イオンが電気的に中和され電荷が平衡するように定められる)
【請求項4】
前記化学式4の陽イオンを含む有機団が、[NH(R53+、[NH2(R52+、[NH3(R51+および[N(R54+からなるアンモニウム;[PH(R53+、[PH2(R52+、[PH3(R51+および[P(R54+からなるホスホニウム;[C(R53+であるカルボニウム;[H(OEt22+;[Ag]+;[Cp2Fe]+(ここで、前記各々のR5は炭素数1〜20の直鎖または分枝アルキル基、ハロゲンで置換されたアルキルまたはシリルアルキル基;炭化水素で置換されたまたは置換されていない炭素数3〜12のシクロアルキル基;ハロゲンで置換されたシクロアルキルまたはシリルシクロアルキル基;炭化水素で置換されたまたは置換されていない炭素数6〜40のアリール基;ハロゲンで置換されたアリールまたはシリルアリール基;炭化水素で置換されたまたは置換されていない炭素数7〜15のアラルキル基;またはハロゲンで置換されたアラルキルまたはシリルアラルキル基である)からなる群から選択されることを特徴とする請求項3記載の極性官能基を含む環状オレフィン系付加重合体の製造方法。
【請求項5】
前記化学式4のボレートまたはアルミネートが以下の化学式4aまたは4bで示される陰イオンであることを特徴とする請求項3記載の極性官能基を含む環状オレフィン系付加重合体の製造方法。
(化学式4a)
[M’(R64
(化学式4b)
[M’(OR64
(式中、
M’はホウ素やアルミニウムであり;
6はハロゲン;ハロゲン原子で置換されたまたは置換されていない炭素数1〜20の直鎖または分枝アルキルまたはアルケニル基;ハロゲンで置換されたまたは置換されていない炭素数3〜12のシクロアルキル基;炭化水素で置換されたまたは置換されていない炭素数6〜40のアリール基;炭素数3〜20の直鎖または分枝トリアルキルシロキシ基あるいは炭素数18〜48の直鎖または分枝トリアリールシロキシ基で置換された炭素数6〜40のアリール基;ハロゲンで置換されたまたは置換されていない炭素数7〜15のアラルキル基である)
【請求項6】
前記有機溶媒がジクロロメタン、ジクロロエタン、トルエン、クロロベンゼンおよびその混合物からなる群より選択されることを特徴とする請求項1記載の極性官能基を含む環状オレフィン系付加重合体の製造方法。
【請求項7】
前記有機溶媒の全量が前記単量体溶液中の全単量体重量に対して50〜400重量%であることを特徴とする請求項1記載の極性官能基を含む環状オレフィン系付加重合体の製造方法。
【請求項8】
前記有機溶媒の全量が前記単量体溶液中の全単量体重量に対して50〜200重量%であることを特徴とする請求項1記載の極性官能基を含む環状オレフィン系付加重合体の製造方法。
【請求項9】
前記重合反応が、80〜170℃の温度で実施されることを特徴とする請求項1記載の極性官能基を含む環状オレフィン系付加重合体の製造方法。
【請求項10】
前記重合反応が、80〜150℃の温度で実施されることを特徴とする請求項1記載の極性官能基を含む環状オレフィン系付加重合体の製造方法。
【請求項11】
前記触媒混合物が、前置触媒と第1共触媒からなる陽イオン複合体と第2共触媒からなる陰イオン複合体で構成された金属触媒錯化合物を含むことを特徴とする請求項1記載の極性官能基を含む環状オレフィン系付加重合体の製造方法。
【請求項12】
前記触媒混合物が、10族の遷移金属を含有する前置触媒1モルに対して、15族元素を含む有機化合物を含む第1共触媒1〜3モル;および前記前置触媒の金属と弱く配位結合することができ、陰イオンを提供する第2共触媒1〜2モルを含むことを特徴とする請求項1記載の極性官能基を含む環状オレフィン系付加重合体の製造方法。
【請求項13】
前記触媒混合物のモル比は、前記単量体溶液中の単量体に対する前記10族遷移金属化合物に基づき、1:2500〜1:100000の範囲にあることを特徴とする請求項1記載の極性官能基を含む環状オレフィン系付加重合体の製造方法。
【請求項14】
前記極性官能基を含有するノルボルネン系化合物の極性官能基がエステル基およびアセチル基を含むことを特徴とする請求項1記載の環状オレフィン系付加重合体の製造方法。
【請求項15】
前記極性官能基を含有するノルボルネン系化合物が、以下の化学式5で示されることを特徴とする請求項1記載の極性官能基を含む環状オレフィン系付加重合体の製造方法。
(化学式5)
【化1】

(式中、
mは0〜4の整数であり、
7、R8、R9およびR10のうちの少なくとも一種は極性官能基を示し、残りは非極性官能基であり、R7、R8、R9およびR10は互いに連結されて炭素数1〜20の飽和または不飽和環状基または炭素数6〜24の芳香環を形成することができ、
前記非極性官能基は水素;ハロゲン;炭素数1〜20の直鎖または分枝アルキル基;炭素数1〜20の直鎖または分枝ハロアルキル基;炭素数1〜20の直鎖または分枝アルケニル基;炭素数1〜20の直鎖または分枝ハロアルケニル基;炭素数3〜20の直鎖または分枝アルキニル基;炭素数3〜20の直鎖または分枝ハロアルキニル基;アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニルまたはハロアルキニルで置換されたまたは置換されていない炭素数3〜12のシクロアルキル基;アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニルまたはハロアルキニルで置換されたまたは置換されていない炭素数6〜40のアリール基;およびアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニルまたはハロアルキニルで置換されたまたは置換されていない炭素数7〜15のアラルキル基を含み、
前記極性官能基は少なくとも一種以上の酸素、窒素、リン、硫黄、ケイ素またはホウ素を含む非炭化水素型極性基であり、OR12、OC(O)OR12、R11OC(O)OR12、C(O)R12、R11C(O)R12、OC(O)R12、R11OC(O)R12、(R11O)pOR12、(OR11)pOR12、C(O)OC(O)R12、R11C(O)OC(O)R12、SR12、R11SR12、SSR12、R11SSR12、S(=O)R12、R11S(=O)R12、R11C(=S)R12、R11C(=S)SR12、R11SO3R12、SO3R12、R11N=C=S、
【化2】

からなる群から選択され、
前記官能基各々のR11は炭素数1〜20の直鎖または分枝アルキル基;炭素数1〜20の直鎖または分枝ハロアルキル基;炭素数1〜20の直鎖または分枝アルケニル基;炭素数1〜20の直鎖または分枝ハロアルケニル基;炭素数3〜20の直鎖または分枝アルキニル基;炭素数3〜20の直鎖または分枝ハロアルキニル;アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニルまたはハロアルキニルで置換されたまたは置換されていない炭素数3〜12のシクロアルキル基;アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニルまたはハロアルキニルで置換されたまたは置換されていない炭素数6〜40のアリール基;あるいはアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニルまたはハロアルキニルで置換されたまたは置換されていない炭素数7〜15のアラルキル基であり、
12、R13およびR14は、それぞれ独立して、水素;ハロゲン;炭素数1〜20の直鎖または分枝アルキル基;炭素数1〜20の直鎖または分枝ハロアルキル基;炭素数1〜20の直鎖または分枝アルケニル基;炭素数1〜20の直鎖または分枝ハロアルケニル基;炭素数3〜20の直鎖または分枝アルキニル基;炭素数3〜20の直鎖または分枝ハロアルキニル;アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニルまたはハロアルキニルで置換されたまたは置換されていない炭素数3〜12のシクロアルキル基;アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニルまたはハロアルキニルで置換されたまたは置換されていない炭素数6〜40のアリール基;アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニルまたはハロアルキニルで置換されたまたは置換されていない炭素数7〜15のアラルキル基;あるいはアルコキシ、ハロアルコキシ、カルボニルオキシ、ハロカルボニルオキシであり、
pは1〜10の整数である)
【請求項16】
前記単量体溶液が極性官能基を含まない環状オレフィン系化合物をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の極性官能基を含む環状オレフィン系付加重合体の製造方法。
【請求項17】
前記単量体溶液中の前記極性官能基を含まない環状オレフィン系化合物のモル比が、単量体溶液中の全単量体を基準として30モル%であることを特徴とする請求項16記載の極性官能基を含む環状オレフィン系付加重合体の製造方法。
【請求項18】
前記極性官能基を含む環状オレフィン系付加重合体が、極性官能基を含む環状オレフィン系ホモ重合体;互いに異なる極性官能基を含む環状オレフィン系単量体の共重合体;極性官能基を含む環状オレフィン系単量体と極性官能基を含まない環状オレフィン系単量体の共重合体;を含むことを特徴とする請求項1記載の極性官能基を含む環状オレフィン系付加重合体の製造方法。
【請求項19】
前記極性官能基を含む環状オレフィン系付加重合体の分子量(Mw)が、100,000〜1,000,000であることを特徴とする請求項1記載の極性官能基を含む環状オレフィン系付加重合体の製造方法。
【請求項20】
請求項1記載の方法で製造され、分子量(Mw)が少なくとも100,000である極性官能基を含む環状オレフィン系付加重合体を含む光学異方性フィルム。
【請求項21】
前記光学異方性フィルムは、以下の数式1で示されるリタデーション値(Rth)が70〜1000nmであることを特徴とする請求項20記載の光学異方性フィルム。
(数式1)
th=△(ny−nz)×d
(式中、
yは波長550nmで測定される面内高速軸の屈折率であり、
zは波長550nmで測定される厚さ方向の屈折率であり、
dはフィルムの厚さである)
【請求項22】
前記光学異方性フィルムは、屈折率が以下の数式3を満足することを特徴とする請求項20記載の光学異方性フィルム。
(数式3)
【数1】

(式中、nxは面内低速軸の屈折率であり、nyは面内高速軸の屈折率であり、nzは厚さ方向の屈折率である)
【請求項23】
前記光学異方性フィルムが、液晶ディスプレイ用ネガティブC−プレート形光学補償フィルムとして用いられることを特徴とする請求項22記載の光学異方性フィルム。
【請求項24】
請求項20記載の光学異方性フィルムを含むディスプレイ装置。

【公開番号】特開2010−59428(P2010−59428A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−244740(P2009−244740)
【出願日】平成21年10月23日(2009.10.23)
【分割の表示】特願2004−556965(P2004−556965)の分割
【原出願日】平成15年12月3日(2003.12.3)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】