構造物用高さ調整対応支承装置
【課題】構造が簡単であって、ジャッキを用いることなく不等沈下に対応する嵩上げ作業が容易に実施することが可能な建築物又は土木構造物の高さ調整対応支承装置を提供する。
【解決手段】構造物用高さ調整対応支承装置において、下部構造2に埋設されたアンカーボルト6と、前記下部構造に埋設され、アンカーボルト6の上端が螺着される雌ねじ部を有する継手部材5と、前記下部構造上に設置され高さ調整ボルト17が挿入する貫通孔を形成したベースプレート4と、前記継手部材に螺着する下部雄ねじ部17aと、前記下部雄ねじ部の上部に形成される係止部材係合用の切欠部と、上端に形成され下部部分より大径の回転工具係合部を有する高さ調整ボルト17と、前記切欠部に着脱自在に係合する2つ割にした係止部材20と、を備え、高さ調整ボルト17の回転により係止部材20がベースプレート4を上昇させ、高さ調整を可能とする。
【解決手段】構造物用高さ調整対応支承装置において、下部構造2に埋設されたアンカーボルト6と、前記下部構造に埋設され、アンカーボルト6の上端が螺着される雌ねじ部を有する継手部材5と、前記下部構造上に設置され高さ調整ボルト17が挿入する貫通孔を形成したベースプレート4と、前記継手部材に螺着する下部雄ねじ部17aと、前記下部雄ねじ部の上部に形成される係止部材係合用の切欠部と、上端に形成され下部部分より大径の回転工具係合部を有する高さ調整ボルト17と、前記切欠部に着脱自在に係合する2つ割にした係止部材20と、を備え、高さ調整ボルト17の回転により係止部材20がベースプレート4を上昇させ、高さ調整を可能とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築構造物や土木構造物の構造部間の高さ調整が可能な構造物用高さ調整対応支承装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、土木構造物や建築構造物は、基礎地盤に構築された橋脚や基礎等のコンクリート製の下部構造上に上部構造支持部材であるベースプレートや根太を介して橋桁や柱等の上部構造が支持される。このような土木構造物や建築構造物において、地盤の不等沈下等の発生により、上部構造と下部構造の間で高を調整する必要がある。
【0003】
特開平8−239862号公報には、高さ調整可能な支承装置が開示されている。従来の高さ調整対応支承装置は、コンクリート基礎中にアンカーボルトが埋設され、アンカーボルトの上端は基礎コンクリート中に埋設された雌ねじ穴を有する継手部材の下部側に螺着される。コンクリート基礎上に上部構造支持部材である根太が配置される。根太には貫通孔が形成される。根太の貫通孔から雄ねじ部を有する定着長ボルトが挿入され、定着長ボルトの下部が継手部材の上部に螺着される。根太の貫通孔から突き出した定着長ボルトにワッシャを介してナットを螺着し、根太をコンクリート基礎30に締め付け固定する。
【0004】
高さ調整が必要になった場合、ナットを回転させ、ナットの位置を定着長ボルトの上部に移動させ、根太をコンクリート基礎からジャッキ等の持ち上げ工具を用いて持ち上げ、コンクリート基礎と根太との間に高さ調整に必要な高さの嵩上げ部材を配置して、再びナットを下降させ根太をコンクリート基礎に締め付け固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−239862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の高さ調整対応支承装置は、高さ調整が必要になった場合、ナットを緩めた後、上部構造支持部材である根太とコンクリート基礎との間にジャッキ等の持ち上げ工具を配置して根太を持ち上げて嵩上げ部材を配置する必要があり、狭い空間内での持ち上げ工具の出し入れ及びジャッキアップ作業が必要であり、作業が困難であると共に、作業時間が長くなるという問題を有する。
【0007】
本発明は、従来の技術が持つ課題を解決する、構造が簡単であって安価に製造することができ、ジャッキ等の持ち上げ工具を用いることなく高さ調整に対応する嵩上げ部材の設置作業が容易に実施することが可能な建築物または土木構造物の高さ調整対応支承装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の構造物用高さ調整対応支承装置は、前記課題を解決するために、下部構造と上部構造との間に配置される構造物用支承装置であって、前記下部構造に埋設されたアンカーボルトと、前記下部構造に埋設され、前記アンカーボルトの上端が螺着される雌ねじ部を有する継手部材と、前記下部構造上に設置され高さ調整ボルトが挿入する貫通孔を形成したベースプレートと、前記継手部材に螺着する下部雄ねじ部と、前記下部雄ねじ部の上部に形成される係止部材係合用の切欠部と、上端に形成され下部部分より大径の回転工具係合部を有する前記高さ調整ボルトと、前記切欠部に着脱自在に係合する2つ割にした係止部材と、を備え、前記高さ調整ボルトの一方の回転方向の回転により下部雄ねじ部を前記継手部材に螺着して前記ベースプレートを下部構造に締め付け固定し、前記高さ調整ボルトの他方の回転方向の回転により前記係止部材が前記ベースプレートを上昇させ、高さ調整可能とすることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の構造物用高さ調整対応支承装置は、前記係止部材が前記ベースプレートの下面に当接した状態で前記回転工具係合部の下面と前記ベースプレート上面との間に一定の隙間が形成されるようにし、前記隙間に2つ割にしたワッシャ兼スペーサ部材を着脱自在に取り付けることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の構造物用高さ調整対応支承装置は、下部構造と上部構造との間に配置される構造物用支承装置であって、前記下部構造に埋設されたアンカーボルトと、前記下部構造に埋設され、前記アンカーボルトの上端が螺着される雌ねじ部を有する継手部材と、前記下部構造上に設置され高さ調整ボルトが挿入する貫通孔を形成したベースプレートと、前記継手部材に螺着する下部雄ねじ部と、前記下部雄ねじ部の上部に形成される係止部材係合用の切欠部と、前記係止部材の上部に形成されるナットを螺着する上部雄ねじ部と、前記上部雄ねじ部の上端に形成され前記上下雄ねじ部より小径の回転工具係合部を有する前記高さ調整ボルトと、前記切欠部に着脱自在に係合する2つ割にした係止部材と、を備え、前記高さ調整ボルトの一方の回転方向の回転により前記下部雄ねじ部を前記継手部材に螺着しナットで締め付けることで前記ベースプレートを前記下部構造に締め付け固定し、前記高さ調整ボルトの他方の回転方向の回転により前記係止部材が前記ベースプレートを上昇させ、高さ調整可能とすることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の構造物用高さ調整対応支承装置は、前記継手部材の上部外周に前記継手部材の外径より大きな外径を有する荷重支持部を配置し、前記荷重支持部上に前記高さ調整ボルトが挿通する孔と外周に嵩上げソケットを螺着する雄ねじ部を形成した嵩上げソケット連結部材を固定することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の構造物用高さ調整対応支承装置は、前記嵩上げソケットの内部に前記嵩上げソケット連結部材外周の雄ねじ部に螺着する下部雌ねじ部と前記高さ調整ボルトの下部雄ねじ部と螺着する上部雌ねじ部を連通して形成し、上部外周に積層される別の嵩上げソケットの下部雌ねじ部と螺着する積層用雄ねじ部を形成することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の構造物用高さ調整対応支承装置は、前記嵩上げソケットの下面に前記高さ調整ボルトとの噛み合わせを調整する弾性パッキンを配置することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の構造物用高さ調整対応支承装置は、前記ベースプレートの下面に前記係止部材を収容する係止部材収容凹部を形成することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の構造物用高さ調整対応支承装置は、前記高さ調整ボルトの下端に継ぎ足しボルト螺着用の雌ねじ部を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
下部構造と上部構造との間に配置される構造物用支承装置であって、前記下部構造に埋設されたアンカーボルトと、前記下部構造に埋設され、前記アンカーボルトの上端が螺着される雌ねじ部を有する継手部材と、前記下部構造上に設置され高さ調整ボルトが挿入する貫通孔を形成したベースプレートと、前記継手部材に螺着する下部雄ねじ部と、前記下部雄ねじ部の上部に形成される係止部材係合用の切欠部と、前記係止部材の上部に形成されるナットを螺着する上部雄ねじ部と、前記上部雄ねじ部の上端に形成され前記上下雄ねじ部より小径の回転工具係合部を有する前記高さ調整ボルトと、前記切欠部に着脱自在に係合する2つ割にした係止部材と、を備え、前記高さ調整ボルトの一方の回転方向の回転により前記下部雄ねじ部を前記継手部材に螺着しナットで締め付けることで前記ベースプレートを前記下部構造に締め付け固定し、前記高さ調整ボルトの他方の回転方向の回転により前記係止部材が前記ベースプレートを上昇させ、高さ調整可能とする構成により、高さ調整が必要になった場合、嵩上げ作業でジャッキ等の持ち上げ工具を用いることなく容易に嵩上げ作業を実施することが可能になる。
係止部材がベースプレートの下面に当接した状態で回転工具係合部の下面と前記ベースプレート上面との間に一定の隙間が形成されるようにし、前記隙間に2つ割にしたワッシャ兼スペーサ部材を着脱自在に取り付ける構成により、係止部材の切欠部への着脱のためのスペースを確保することが可能となる。
下部構造と上部構造との間に配置される構造物用支承装置であって、前記下部構造に埋設されたアンカーボルトと、前記下部構造に埋設され、前記アンカーボルトの上端が螺着される雌ねじ部を有する継手部材と、前記下部構造上に設置され高さ調整ボルトが挿入する貫通孔を形成したベースプレートと、前記継手部材に螺着する下部雄ねじ部と、前記下部雄ねじ部の上部に形成される係止部材係合用の切欠部と、前記係止部材の上部に形成されるナットを螺着する上部雄ねじ部と、前記上部雄ねじ部の上端に形成され前記上下雄ねじ部より小径の回転工具係合部を有する前記高さ調整ボルトと、前記切欠部に着脱自在に係合する2つ割にした係止部材と、を備え、前記高さ調整ボルトの一方の回転方向の回転により前記下部雄ねじ部を前記継手部材に螺着しナットで締め付けることで前記ベースプレートを前記下部構造に締め付け固定し、前記高さ調整ボルトの他方の回転方向の回転により前記係止部材が前記ベースプレートを上昇させ、高さ調整可能とする構成により、高さ調整ボルトのベースプレートの上下から取付を可能とし、高さ調整が必要になった場合、嵩上げ作業でジャッキ等の持ち上げ工具を用いることなく容易に嵩上げ作業を実施することが可能になる。
継手部材の上部外周に前記継手部材の外径より大きな外径を有する荷重支持部を配置し、前記荷重支持部上に前記高さ調整ボルトが挿通する孔と外周に嵩上げソケットを螺着する雄ねじ部を形成した嵩上げソケット連結部材を固定する構成により、ベースプレートの下部構造への設置の工程で締め付け荷重を荷重支持部で分散し、締め付け荷重による下部構造のコンクリートの亀裂の発生を防止することが可能となり、高さ調整の際の嵩上げソケットの設置を容易に実施することが可能となる。
嵩上げソケットの内部に前記嵩上げソケット連結部材外周の雄ねじ部に螺着する下部雌ねじ部と前記高さ調整ボルトの下部雄ねじ部と螺着する上部雌ねじ部を連通して形成し、上部外周に積層される別の嵩上げソケットの下部雌ねじ部と螺着する積層用雄ねじ部を形成する構成により、高さ調整の量に応じて複数の嵩上げソケットを容易に積層することが可能となる。
嵩上げソケットの下面に前記高さ調整ボルトとの噛み合わせを調整する弾性パッキンを配置する構成により、間隔を置いて配置される継手部材の雌ねじ部と嵩上げソケットの雌ねじ部と高さ調整ボルトの下部雄ねじ部の噛み合わせを容易に調整することが可能となる。
ベースプレートの下面に前記係止部材を収容する係止部材収容凹部を形成する構成により、下部構造表面とベースプレート下面と間を平滑に維持することが可能となる。
高さ調整ボルトの下端に継ぎ足しボルト螺着用の雌ねじ部を形成する構成により、高さ調整ボルトの継手部材への定着力を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態を示す図である。
【図2】本発明の実施形態を示す図である。
【図3】本発明の実施形態を示す図である。
【図4】本発明の実施形態を示す図である。
【図5】本発明の実施形態を示す図である。
【図6】本発明の実施形態を示す図である。
【図7】本発明の実施形態を示す図である。
【図8】本発明の実施形態を示す図である。
【図9】本発明の実施形態を示す図である。
【図10】本発明の実施形態を示す図である。
【図11】本発明の実施形態を示す図である。
【図12】本発明の実施形態を示す図である。
【図13】本発明の実施形態を示す図である。
【図14】本発明の実施形態を示す図である。
【図15】本発明の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の構造物用高さ調整対応支承装置を橋梁に使用した実施形態を示す図である。
【0019】
高さ調整対応支承装置1は、橋脚や橋台等のコンクリート製の下部構造2と橋桁等の上部構造3との間に配置される。コンクリート製の下部構造2上には、ベースプレート4が配置される。下部構造2に埋設された雌ねじ穴を有する継手部材5にアンカーボルト6の上部が螺着される。
【0020】
ベースプレート4と上部構造3との間に設置される支承装置はどのような形式の支承装置でも良いが、この実施形態の支承装置は、ベースプレート4上に積層ゴム支承8が配置される。上部構造3に固定されたソールプレート9と上沓10がセットボルト11で固定される。ベースプレート4に一端を固定したせん断キー12が積層ゴム支承8と上沓10を貫通して、その上端部を上沓10に形成した段部を有する空所に位置させ、せん断キー12の上端に上楊力止め13を配置する。
【0021】
図2〜図4は、第1実施形態の高さ調整ボルト17を示す図である。
【0022】
下部構造2に埋設されたアンカーボルト6の上部雄ねじ部が、雌ねじ穴を有する継手部材5の下部に螺着される。継手部材5の上部外周には、継手部材5の外径より大きな外径を有する荷重支持部14を溶接等の手段により設置する。継手部材5は、その上端面が下部構造2の表面と一致するように埋設設置される。下部構造2の表面に均しモルタル層を形成する場合、継手部材5の上端面の位置は、均しモルタル層の表面と一致するように埋設設置する。荷重支持部14の表面位置を下部構造2の表面位置と一致させる。荷重支持部14には補強リブ15を設置しても良い。荷重支持部14上に、後述する嵩上げソケット22を螺着するための嵩上げソケット連結部材16が溶接等の手段により固定される。嵩上げソケット連結部材16は、高さ調整ボルト17を挿通する貫通孔16aと外周に嵩上げソケット22を螺着するための嵩上げソケット用雄ねじ部16bが形成される。
【0023】
ベースプレート4の貫通孔4aに挿入される高さ調整ボルト17は、上端に回転工具が係合する下部部材より径の大きい多角形の回転工具係合部17eが一体に形成される。高さ調整ボルト17の下部には、継手部材5の上部に螺着される下部雄ねじ部17aが形成される。高さ調整ボルトの上部棒状部17bと下部雄ねじ部17aとの間に、外径が上部棒状部17b及び下部雄ねじ部17aより径の小さい切欠部17cが形成される。また、高さ調整ボルト17の下端部には、嵩上げ高さが大きくなった場合、下部雄ねじ部17aと継手部材5との螺着長さを確保するための継ぎ足し雄ねじ部材(図示せず)を螺着するための継ぎ足し用雌ねじ部17dを形成する。
【0024】
高さ調整ボルト17の切欠部17cには、2つ割にした係止部材20が着脱自在に係合する。2つ割にした係止部材20は、切欠部17cに係合した状態の外径が上部棒状部17b、下部雄ねじ部17aの外径より大きく、ベースプレート4の貫通孔4aの内径より大きい。切欠部17cの形成位置は、切欠部17cに係止部材20を取付け、係止部材20がベースプレート4の下面に当接した状態で、回転工具係合部17eの下面とベースプレート4の上面との間に一定の隙間が形成される位置とする。この一定の隙間が係止部材20の切欠部17cへの着脱のためのスペースを確保する。締め付け固定時、隙間には、2つ割にしたワッシャ兼スペーサ部材18を着脱自在に取り付ける。
【0025】
ベースプレート4には、高さ調整ボルト17が挿通する貫通孔4aと、係止部材20を収容する係止部材収容凹部4bと、嵩上げ用ソケット連結部材16を収容する嵩上げソケット連結部材収容凹部4cが互いに連通するように形成される。
【0026】
図2は、第1実施形態の高さ調整ボルト17により下部構造2にベースプレート4が固定された状態を示す図である。高さ調整ボルト17の切欠部17cに係止部材20が係合され、下部雄ねじ部17aが所定長さ継手部材5の雌ねじに螺着される。ベースプレート4の嵩上げソケット連結部材収容凹部4cに嵩上げソケット連結部材16が収容され、係止部材収容凹部4bに係止部材20が収容され、ベースプレート4の下面と下部構造2の表面は平滑に接する状態にされる。この状態で高さ調整ボルト17の大径である回転工具係合部17eの下面とベースプレート4の上面との間の隙間に2つ割にしたワッシャ兼スペーサ部材18を係合させ、回転工具係合部17eに回転工具(図示せず)を係合させ回転し、ベースプレート4を下部構造2に締め付け固定する。継手部材5の上部外周に継手部材5の外径より大きな外径を有する荷重支持部14が配置されているため、締め付け荷重による下部構造のコンクリートの亀裂の発生を防止することが可能となる。
【0027】
図5、図6は、第2実施形態の高さ調整ボルト17を示す図である。
【0028】
ベースプレート4の貫通孔4aに挿入される高さ調整ボルト17は、上端に回転工具が係合する下部部材より径の小さい多角形の回転工具係合部17eが一体に形成される。高さ調整ボルト17の下部には、継手部材5の上部に螺着される下部雄ねじ部17aが形成される。下部雄ねじ部17aの上に切欠部17cが形成され、その上部に上部雄ねじ部17fが形成される。高さ調整ボルトの上部雄ねじ部17fと下部雄ねじ部17aとの間に、外径が上部棒状部17b及び下部雄ねじ部17aより小径の切欠部17cが形成される。また、高さ調整ボルト17の下端部には、嵩上げ高さが大きくなった場合、下部雄ねじ部17aと継手部材5との螺着長さを確保するための継ぎ足し雄ねじ部材(図示せず)を螺着するための継ぎ足し用雌ねじ部17dを形成する。
【0029】
高さ調整ボルト17の切欠部17cに、2つ割にした係止部材20が着脱自在に係合する。2つ割にした係止部材20は、切欠部17cに係合した状態の外径が上部棒状部17b、下部雄ねじ部17aの外径より大きく、ベースプレート4の貫通孔4aの内径より大きい。この実施形態の高さ調整ボルト17は、回転工具係合部17eが下部部分より小径であるためベースプレート4の上下いずれからも取付が可能である。
【0030】
図5は、第2実施形態の高さ調整ボルト17により下部構造2にベースプレート4が固定された状態を示す図である。高さ調整ボルト17の切欠部17cに2つ割にした係止部材20が係合され、下部雄ねじ部17aが所定長さ継手部材5の雌ねじに螺着される。ベースプレート4の嵩上げソケット連結部材収容凹部4cに嵩上げソケット連結部材16が収容され、係止部材収容凹部4bに係止部材20が収容され、ベースプレート4の下面と下部構造2の表面は平滑に接する状態にされる。この状態で高さ調整ボルト17の上部雄ねじ部17fの上部からワッシャ19とナット24を配置し、ナット24を螺着することでベースプレート4を下部構造2に締め付け固定する。継手部材5の上部外周に継手部材5の外径より大きな外径を有する荷重支持部14が配置されているため、締め付け荷重による下部構造のコンクリートの亀裂の発生を防止することが可能となる。
【0031】
図7〜図14により第1実施形態の高さ調整ボルト17を用いた高さ調整対応支承装置1の高さ調整の工程を説明する。
【0032】
図7に示される工程では、回転工具係合部17eに回転工具を係合して高さ調整ボルト17の下部雄ねじ部17aを継手部材5の雌ねじから上昇する方向回転する。高さ調整ボルト17の上昇力は、係止部材20とベースプレート4の係止部材収容部4cの上面との係合によりベースプレート4に伝達され、ベースプレート4が高さ調整ボルト17と一緒に上昇する。回転工具係合部17eの下部に係合していた2つ割にしたワッシャ兼スペーサ部材18を取り外す。
【0033】
図8に示される工程では、高さ調整ボルト17の上昇によりベースプレート4が下部構造2から所定高さの位置に達する。係止部材20とベースプレート4の下面との係合状態を維持し、ベースプレート4と下部構造2との間に複数のライナープレートを積層した仮
支持部材21を設置し、上部の荷重を仮支持部材21で支持する。仮支持部材21で上部の荷重が支持された状態で、取り外されたワッシャ兼スペーサ部材18の高さ分だけ高さ調整ボルト17を下降する方向に回転させ、高さ調整ボルト17の切欠部17cに係合していた2つ割にした係止部材20を取り外す。係止部材20を切欠部17cから取り外し、下部雄ねじ部17aと継手部材の雌ねじ部との螺着を解放し、高さ調整ボルト17をベースプレート4の貫通孔4aから離脱可能な状態にする。
【0034】
図9に示される工程では、高さ調整ボルト17をベースプレート4から取り外す。
【0035】
図10に示される工程では、高さ調整ボルト17をベースプレート4から取り外した状態で、嵩上げソケット連結部材16の外周に形成した嵩上げソケット用雄ねじ部16bに、嵩上げソケット22の下部雌ねじ部22aを螺着して嵩上げソケット22を固定する。
【0036】
嵩上げソケット22の詳細を図15により説明する。嵩上げソケット22は、内部に嵩上げソケット用雄ねじ部16bと、高さ調整ボルト17の下部雄ねじ部17aが螺着される上部雌ねじ部22bが互いに連通するように形成される。嵩上げソケット22の上部外周には、別の嵩上げソケット22を積層して設置するための積層用雄ねじ部22cが形成される。積層用雄ねじ部22cには、積層される嵩上げソケット22の下部雌ねじ部22aが螺着される。嵩上げソケット22の底面には、弾性パッキン22dが設置される。弾性パッキン22dは、高さ調整ボルト17の下部雄ねじ部17aが、間隔の開いた嵩上げソケット22の上部雌ねじ部22bと継手部材5の雌ねじ部とが螺着する際の噛み合わせを調整する機能を有する。
【0037】
図11に示される工程では、仮支持部材21で上部の荷重を支持した状態で、高さ調整ボルト17を切欠部17cに係止部材20を取付ない状態でベースプレート4の貫通孔4aから挿入し、下部雄ねじ部17aを、切欠部17cに2つ割にした係止部材20が取付け可能な位置まで継手部材5の雌ねじに螺着する。次いで、高さ調整ボルト17の切欠部21cに2つ割にした係止部材20を係合する。
【0038】
図12に示される工程では、高さ調整ボルト17を上昇する方向に回転し、係止部材20とベースプレート4の係止部材収容凹部4bの下面とを当接させ、上部荷重を係止部材20と係止部材収容凹部4bの下面との係合により支持する状態にし、複数のライナープレートを積層した仮支持部材21を順次取り外す。
【0039】
図13に示される工程では、上部荷重を係止部材20と係止部材収容凹部4bの下面との係合により支持した状態で、仮支持部材21を完全に撤去する。
【0040】
図14に示される工程では、高さ調整ボルト17を下降する方向に回転し、嵩上げソケット22の上部外周の積層用雄ねじ部22cが嵩上げソケット連結部材収容凹部4cに位置し、係止部材20が嵩上げソケット22の上面に当接し、ベースプレート4の係止部材収容凹部4bに位置するようにする。この状態で、高さ調整ボルト17の回転工具係合部17eの下面とベースプレート4の上面との間の隙間に2つ割にしたワッシャ兼スペーサ部材18を係合する。回転工具係合部17eを回転工具で回転し、ベースプレート4を下部構造2に締め付け固定する。嵩上げソケット22により嵩上げされた下部構造2とベースプレート4の下面との間の隙間に充填モルタル23を充填し固化させることにより、構造物用支承装置の高さが調整される。
【0041】
第2実施形態の高さ調整ボルト17による高さ調整の工程は、回転工具係合部17eが、下の部分より小径であるため、ベースプレート4の上下いずれからも取付が可能である点と、ベースプレート4の下部構造2への締め付け固定が、上部雄ねじ部17fへのナット24の螺着により実施する点を除き、ほぼ同様であるので説明を省略する。
【0042】
以上のように、本発明の構造物用高さ調整対応支承装置によれば、高さ調整が必要になった場合、嵩上げ作業でジャッキ等の持ち上げ工具を用いることなく容易に嵩上げ作業を実施することが可能になる。また、高さ調整の量に応じて複数の嵩上げソケットを容易に積層することが可能となる。
【符号の説明】
【0043】
1:高さ調整対応支承装置、2:下部構造、3:上部構造、4:ベースプレート、4a:貫通孔、4b:係止部材収容凹部、4c:嵩上げソケット連結部材収容凹部、5:継手部材、6:アンカーボルト、8:積層ゴム支承、9:ソールプレート、10:上沓、11:セットボルト、12:せん断キー、13:上楊力止め、14:荷重支持部、15:補強リブ、16:嵩上げソケット連結部材、16a:貫通孔、16b:嵩上げソケット用雄ねじ部、17:高さ調整ボルト、17a:下部雄ねじ部、17b:上部棒状部、17c:切欠部、17d:継ぎ足しボルト用雌ねじ部、17e:回転工具係合部、17f:上部雄ねじ部、18:2つ割ワッシャ兼スペーサ部材、19:ワッシャ、20:2つ割係止部材、21:仮支持部材、22:嵩上げソケット、22a:下部雌ねじ部、22b:上部雌ねじ部、22c:積層用雄ねじ部、22d:弾性パッキン、23:充填モルタル、24:ナット
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築構造物や土木構造物の構造部間の高さ調整が可能な構造物用高さ調整対応支承装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、土木構造物や建築構造物は、基礎地盤に構築された橋脚や基礎等のコンクリート製の下部構造上に上部構造支持部材であるベースプレートや根太を介して橋桁や柱等の上部構造が支持される。このような土木構造物や建築構造物において、地盤の不等沈下等の発生により、上部構造と下部構造の間で高を調整する必要がある。
【0003】
特開平8−239862号公報には、高さ調整可能な支承装置が開示されている。従来の高さ調整対応支承装置は、コンクリート基礎中にアンカーボルトが埋設され、アンカーボルトの上端は基礎コンクリート中に埋設された雌ねじ穴を有する継手部材の下部側に螺着される。コンクリート基礎上に上部構造支持部材である根太が配置される。根太には貫通孔が形成される。根太の貫通孔から雄ねじ部を有する定着長ボルトが挿入され、定着長ボルトの下部が継手部材の上部に螺着される。根太の貫通孔から突き出した定着長ボルトにワッシャを介してナットを螺着し、根太をコンクリート基礎30に締め付け固定する。
【0004】
高さ調整が必要になった場合、ナットを回転させ、ナットの位置を定着長ボルトの上部に移動させ、根太をコンクリート基礎からジャッキ等の持ち上げ工具を用いて持ち上げ、コンクリート基礎と根太との間に高さ調整に必要な高さの嵩上げ部材を配置して、再びナットを下降させ根太をコンクリート基礎に締め付け固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−239862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の高さ調整対応支承装置は、高さ調整が必要になった場合、ナットを緩めた後、上部構造支持部材である根太とコンクリート基礎との間にジャッキ等の持ち上げ工具を配置して根太を持ち上げて嵩上げ部材を配置する必要があり、狭い空間内での持ち上げ工具の出し入れ及びジャッキアップ作業が必要であり、作業が困難であると共に、作業時間が長くなるという問題を有する。
【0007】
本発明は、従来の技術が持つ課題を解決する、構造が簡単であって安価に製造することができ、ジャッキ等の持ち上げ工具を用いることなく高さ調整に対応する嵩上げ部材の設置作業が容易に実施することが可能な建築物または土木構造物の高さ調整対応支承装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の構造物用高さ調整対応支承装置は、前記課題を解決するために、下部構造と上部構造との間に配置される構造物用支承装置であって、前記下部構造に埋設されたアンカーボルトと、前記下部構造に埋設され、前記アンカーボルトの上端が螺着される雌ねじ部を有する継手部材と、前記下部構造上に設置され高さ調整ボルトが挿入する貫通孔を形成したベースプレートと、前記継手部材に螺着する下部雄ねじ部と、前記下部雄ねじ部の上部に形成される係止部材係合用の切欠部と、上端に形成され下部部分より大径の回転工具係合部を有する前記高さ調整ボルトと、前記切欠部に着脱自在に係合する2つ割にした係止部材と、を備え、前記高さ調整ボルトの一方の回転方向の回転により下部雄ねじ部を前記継手部材に螺着して前記ベースプレートを下部構造に締め付け固定し、前記高さ調整ボルトの他方の回転方向の回転により前記係止部材が前記ベースプレートを上昇させ、高さ調整可能とすることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の構造物用高さ調整対応支承装置は、前記係止部材が前記ベースプレートの下面に当接した状態で前記回転工具係合部の下面と前記ベースプレート上面との間に一定の隙間が形成されるようにし、前記隙間に2つ割にしたワッシャ兼スペーサ部材を着脱自在に取り付けることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の構造物用高さ調整対応支承装置は、下部構造と上部構造との間に配置される構造物用支承装置であって、前記下部構造に埋設されたアンカーボルトと、前記下部構造に埋設され、前記アンカーボルトの上端が螺着される雌ねじ部を有する継手部材と、前記下部構造上に設置され高さ調整ボルトが挿入する貫通孔を形成したベースプレートと、前記継手部材に螺着する下部雄ねじ部と、前記下部雄ねじ部の上部に形成される係止部材係合用の切欠部と、前記係止部材の上部に形成されるナットを螺着する上部雄ねじ部と、前記上部雄ねじ部の上端に形成され前記上下雄ねじ部より小径の回転工具係合部を有する前記高さ調整ボルトと、前記切欠部に着脱自在に係合する2つ割にした係止部材と、を備え、前記高さ調整ボルトの一方の回転方向の回転により前記下部雄ねじ部を前記継手部材に螺着しナットで締め付けることで前記ベースプレートを前記下部構造に締め付け固定し、前記高さ調整ボルトの他方の回転方向の回転により前記係止部材が前記ベースプレートを上昇させ、高さ調整可能とすることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の構造物用高さ調整対応支承装置は、前記継手部材の上部外周に前記継手部材の外径より大きな外径を有する荷重支持部を配置し、前記荷重支持部上に前記高さ調整ボルトが挿通する孔と外周に嵩上げソケットを螺着する雄ねじ部を形成した嵩上げソケット連結部材を固定することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の構造物用高さ調整対応支承装置は、前記嵩上げソケットの内部に前記嵩上げソケット連結部材外周の雄ねじ部に螺着する下部雌ねじ部と前記高さ調整ボルトの下部雄ねじ部と螺着する上部雌ねじ部を連通して形成し、上部外周に積層される別の嵩上げソケットの下部雌ねじ部と螺着する積層用雄ねじ部を形成することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の構造物用高さ調整対応支承装置は、前記嵩上げソケットの下面に前記高さ調整ボルトとの噛み合わせを調整する弾性パッキンを配置することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の構造物用高さ調整対応支承装置は、前記ベースプレートの下面に前記係止部材を収容する係止部材収容凹部を形成することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の構造物用高さ調整対応支承装置は、前記高さ調整ボルトの下端に継ぎ足しボルト螺着用の雌ねじ部を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
下部構造と上部構造との間に配置される構造物用支承装置であって、前記下部構造に埋設されたアンカーボルトと、前記下部構造に埋設され、前記アンカーボルトの上端が螺着される雌ねじ部を有する継手部材と、前記下部構造上に設置され高さ調整ボルトが挿入する貫通孔を形成したベースプレートと、前記継手部材に螺着する下部雄ねじ部と、前記下部雄ねじ部の上部に形成される係止部材係合用の切欠部と、前記係止部材の上部に形成されるナットを螺着する上部雄ねじ部と、前記上部雄ねじ部の上端に形成され前記上下雄ねじ部より小径の回転工具係合部を有する前記高さ調整ボルトと、前記切欠部に着脱自在に係合する2つ割にした係止部材と、を備え、前記高さ調整ボルトの一方の回転方向の回転により前記下部雄ねじ部を前記継手部材に螺着しナットで締め付けることで前記ベースプレートを前記下部構造に締め付け固定し、前記高さ調整ボルトの他方の回転方向の回転により前記係止部材が前記ベースプレートを上昇させ、高さ調整可能とする構成により、高さ調整が必要になった場合、嵩上げ作業でジャッキ等の持ち上げ工具を用いることなく容易に嵩上げ作業を実施することが可能になる。
係止部材がベースプレートの下面に当接した状態で回転工具係合部の下面と前記ベースプレート上面との間に一定の隙間が形成されるようにし、前記隙間に2つ割にしたワッシャ兼スペーサ部材を着脱自在に取り付ける構成により、係止部材の切欠部への着脱のためのスペースを確保することが可能となる。
下部構造と上部構造との間に配置される構造物用支承装置であって、前記下部構造に埋設されたアンカーボルトと、前記下部構造に埋設され、前記アンカーボルトの上端が螺着される雌ねじ部を有する継手部材と、前記下部構造上に設置され高さ調整ボルトが挿入する貫通孔を形成したベースプレートと、前記継手部材に螺着する下部雄ねじ部と、前記下部雄ねじ部の上部に形成される係止部材係合用の切欠部と、前記係止部材の上部に形成されるナットを螺着する上部雄ねじ部と、前記上部雄ねじ部の上端に形成され前記上下雄ねじ部より小径の回転工具係合部を有する前記高さ調整ボルトと、前記切欠部に着脱自在に係合する2つ割にした係止部材と、を備え、前記高さ調整ボルトの一方の回転方向の回転により前記下部雄ねじ部を前記継手部材に螺着しナットで締め付けることで前記ベースプレートを前記下部構造に締め付け固定し、前記高さ調整ボルトの他方の回転方向の回転により前記係止部材が前記ベースプレートを上昇させ、高さ調整可能とする構成により、高さ調整ボルトのベースプレートの上下から取付を可能とし、高さ調整が必要になった場合、嵩上げ作業でジャッキ等の持ち上げ工具を用いることなく容易に嵩上げ作業を実施することが可能になる。
継手部材の上部外周に前記継手部材の外径より大きな外径を有する荷重支持部を配置し、前記荷重支持部上に前記高さ調整ボルトが挿通する孔と外周に嵩上げソケットを螺着する雄ねじ部を形成した嵩上げソケット連結部材を固定する構成により、ベースプレートの下部構造への設置の工程で締め付け荷重を荷重支持部で分散し、締め付け荷重による下部構造のコンクリートの亀裂の発生を防止することが可能となり、高さ調整の際の嵩上げソケットの設置を容易に実施することが可能となる。
嵩上げソケットの内部に前記嵩上げソケット連結部材外周の雄ねじ部に螺着する下部雌ねじ部と前記高さ調整ボルトの下部雄ねじ部と螺着する上部雌ねじ部を連通して形成し、上部外周に積層される別の嵩上げソケットの下部雌ねじ部と螺着する積層用雄ねじ部を形成する構成により、高さ調整の量に応じて複数の嵩上げソケットを容易に積層することが可能となる。
嵩上げソケットの下面に前記高さ調整ボルトとの噛み合わせを調整する弾性パッキンを配置する構成により、間隔を置いて配置される継手部材の雌ねじ部と嵩上げソケットの雌ねじ部と高さ調整ボルトの下部雄ねじ部の噛み合わせを容易に調整することが可能となる。
ベースプレートの下面に前記係止部材を収容する係止部材収容凹部を形成する構成により、下部構造表面とベースプレート下面と間を平滑に維持することが可能となる。
高さ調整ボルトの下端に継ぎ足しボルト螺着用の雌ねじ部を形成する構成により、高さ調整ボルトの継手部材への定着力を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態を示す図である。
【図2】本発明の実施形態を示す図である。
【図3】本発明の実施形態を示す図である。
【図4】本発明の実施形態を示す図である。
【図5】本発明の実施形態を示す図である。
【図6】本発明の実施形態を示す図である。
【図7】本発明の実施形態を示す図である。
【図8】本発明の実施形態を示す図である。
【図9】本発明の実施形態を示す図である。
【図10】本発明の実施形態を示す図である。
【図11】本発明の実施形態を示す図である。
【図12】本発明の実施形態を示す図である。
【図13】本発明の実施形態を示す図である。
【図14】本発明の実施形態を示す図である。
【図15】本発明の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の構造物用高さ調整対応支承装置を橋梁に使用した実施形態を示す図である。
【0019】
高さ調整対応支承装置1は、橋脚や橋台等のコンクリート製の下部構造2と橋桁等の上部構造3との間に配置される。コンクリート製の下部構造2上には、ベースプレート4が配置される。下部構造2に埋設された雌ねじ穴を有する継手部材5にアンカーボルト6の上部が螺着される。
【0020】
ベースプレート4と上部構造3との間に設置される支承装置はどのような形式の支承装置でも良いが、この実施形態の支承装置は、ベースプレート4上に積層ゴム支承8が配置される。上部構造3に固定されたソールプレート9と上沓10がセットボルト11で固定される。ベースプレート4に一端を固定したせん断キー12が積層ゴム支承8と上沓10を貫通して、その上端部を上沓10に形成した段部を有する空所に位置させ、せん断キー12の上端に上楊力止め13を配置する。
【0021】
図2〜図4は、第1実施形態の高さ調整ボルト17を示す図である。
【0022】
下部構造2に埋設されたアンカーボルト6の上部雄ねじ部が、雌ねじ穴を有する継手部材5の下部に螺着される。継手部材5の上部外周には、継手部材5の外径より大きな外径を有する荷重支持部14を溶接等の手段により設置する。継手部材5は、その上端面が下部構造2の表面と一致するように埋設設置される。下部構造2の表面に均しモルタル層を形成する場合、継手部材5の上端面の位置は、均しモルタル層の表面と一致するように埋設設置する。荷重支持部14の表面位置を下部構造2の表面位置と一致させる。荷重支持部14には補強リブ15を設置しても良い。荷重支持部14上に、後述する嵩上げソケット22を螺着するための嵩上げソケット連結部材16が溶接等の手段により固定される。嵩上げソケット連結部材16は、高さ調整ボルト17を挿通する貫通孔16aと外周に嵩上げソケット22を螺着するための嵩上げソケット用雄ねじ部16bが形成される。
【0023】
ベースプレート4の貫通孔4aに挿入される高さ調整ボルト17は、上端に回転工具が係合する下部部材より径の大きい多角形の回転工具係合部17eが一体に形成される。高さ調整ボルト17の下部には、継手部材5の上部に螺着される下部雄ねじ部17aが形成される。高さ調整ボルトの上部棒状部17bと下部雄ねじ部17aとの間に、外径が上部棒状部17b及び下部雄ねじ部17aより径の小さい切欠部17cが形成される。また、高さ調整ボルト17の下端部には、嵩上げ高さが大きくなった場合、下部雄ねじ部17aと継手部材5との螺着長さを確保するための継ぎ足し雄ねじ部材(図示せず)を螺着するための継ぎ足し用雌ねじ部17dを形成する。
【0024】
高さ調整ボルト17の切欠部17cには、2つ割にした係止部材20が着脱自在に係合する。2つ割にした係止部材20は、切欠部17cに係合した状態の外径が上部棒状部17b、下部雄ねじ部17aの外径より大きく、ベースプレート4の貫通孔4aの内径より大きい。切欠部17cの形成位置は、切欠部17cに係止部材20を取付け、係止部材20がベースプレート4の下面に当接した状態で、回転工具係合部17eの下面とベースプレート4の上面との間に一定の隙間が形成される位置とする。この一定の隙間が係止部材20の切欠部17cへの着脱のためのスペースを確保する。締め付け固定時、隙間には、2つ割にしたワッシャ兼スペーサ部材18を着脱自在に取り付ける。
【0025】
ベースプレート4には、高さ調整ボルト17が挿通する貫通孔4aと、係止部材20を収容する係止部材収容凹部4bと、嵩上げ用ソケット連結部材16を収容する嵩上げソケット連結部材収容凹部4cが互いに連通するように形成される。
【0026】
図2は、第1実施形態の高さ調整ボルト17により下部構造2にベースプレート4が固定された状態を示す図である。高さ調整ボルト17の切欠部17cに係止部材20が係合され、下部雄ねじ部17aが所定長さ継手部材5の雌ねじに螺着される。ベースプレート4の嵩上げソケット連結部材収容凹部4cに嵩上げソケット連結部材16が収容され、係止部材収容凹部4bに係止部材20が収容され、ベースプレート4の下面と下部構造2の表面は平滑に接する状態にされる。この状態で高さ調整ボルト17の大径である回転工具係合部17eの下面とベースプレート4の上面との間の隙間に2つ割にしたワッシャ兼スペーサ部材18を係合させ、回転工具係合部17eに回転工具(図示せず)を係合させ回転し、ベースプレート4を下部構造2に締め付け固定する。継手部材5の上部外周に継手部材5の外径より大きな外径を有する荷重支持部14が配置されているため、締め付け荷重による下部構造のコンクリートの亀裂の発生を防止することが可能となる。
【0027】
図5、図6は、第2実施形態の高さ調整ボルト17を示す図である。
【0028】
ベースプレート4の貫通孔4aに挿入される高さ調整ボルト17は、上端に回転工具が係合する下部部材より径の小さい多角形の回転工具係合部17eが一体に形成される。高さ調整ボルト17の下部には、継手部材5の上部に螺着される下部雄ねじ部17aが形成される。下部雄ねじ部17aの上に切欠部17cが形成され、その上部に上部雄ねじ部17fが形成される。高さ調整ボルトの上部雄ねじ部17fと下部雄ねじ部17aとの間に、外径が上部棒状部17b及び下部雄ねじ部17aより小径の切欠部17cが形成される。また、高さ調整ボルト17の下端部には、嵩上げ高さが大きくなった場合、下部雄ねじ部17aと継手部材5との螺着長さを確保するための継ぎ足し雄ねじ部材(図示せず)を螺着するための継ぎ足し用雌ねじ部17dを形成する。
【0029】
高さ調整ボルト17の切欠部17cに、2つ割にした係止部材20が着脱自在に係合する。2つ割にした係止部材20は、切欠部17cに係合した状態の外径が上部棒状部17b、下部雄ねじ部17aの外径より大きく、ベースプレート4の貫通孔4aの内径より大きい。この実施形態の高さ調整ボルト17は、回転工具係合部17eが下部部分より小径であるためベースプレート4の上下いずれからも取付が可能である。
【0030】
図5は、第2実施形態の高さ調整ボルト17により下部構造2にベースプレート4が固定された状態を示す図である。高さ調整ボルト17の切欠部17cに2つ割にした係止部材20が係合され、下部雄ねじ部17aが所定長さ継手部材5の雌ねじに螺着される。ベースプレート4の嵩上げソケット連結部材収容凹部4cに嵩上げソケット連結部材16が収容され、係止部材収容凹部4bに係止部材20が収容され、ベースプレート4の下面と下部構造2の表面は平滑に接する状態にされる。この状態で高さ調整ボルト17の上部雄ねじ部17fの上部からワッシャ19とナット24を配置し、ナット24を螺着することでベースプレート4を下部構造2に締め付け固定する。継手部材5の上部外周に継手部材5の外径より大きな外径を有する荷重支持部14が配置されているため、締め付け荷重による下部構造のコンクリートの亀裂の発生を防止することが可能となる。
【0031】
図7〜図14により第1実施形態の高さ調整ボルト17を用いた高さ調整対応支承装置1の高さ調整の工程を説明する。
【0032】
図7に示される工程では、回転工具係合部17eに回転工具を係合して高さ調整ボルト17の下部雄ねじ部17aを継手部材5の雌ねじから上昇する方向回転する。高さ調整ボルト17の上昇力は、係止部材20とベースプレート4の係止部材収容部4cの上面との係合によりベースプレート4に伝達され、ベースプレート4が高さ調整ボルト17と一緒に上昇する。回転工具係合部17eの下部に係合していた2つ割にしたワッシャ兼スペーサ部材18を取り外す。
【0033】
図8に示される工程では、高さ調整ボルト17の上昇によりベースプレート4が下部構造2から所定高さの位置に達する。係止部材20とベースプレート4の下面との係合状態を維持し、ベースプレート4と下部構造2との間に複数のライナープレートを積層した仮
支持部材21を設置し、上部の荷重を仮支持部材21で支持する。仮支持部材21で上部の荷重が支持された状態で、取り外されたワッシャ兼スペーサ部材18の高さ分だけ高さ調整ボルト17を下降する方向に回転させ、高さ調整ボルト17の切欠部17cに係合していた2つ割にした係止部材20を取り外す。係止部材20を切欠部17cから取り外し、下部雄ねじ部17aと継手部材の雌ねじ部との螺着を解放し、高さ調整ボルト17をベースプレート4の貫通孔4aから離脱可能な状態にする。
【0034】
図9に示される工程では、高さ調整ボルト17をベースプレート4から取り外す。
【0035】
図10に示される工程では、高さ調整ボルト17をベースプレート4から取り外した状態で、嵩上げソケット連結部材16の外周に形成した嵩上げソケット用雄ねじ部16bに、嵩上げソケット22の下部雌ねじ部22aを螺着して嵩上げソケット22を固定する。
【0036】
嵩上げソケット22の詳細を図15により説明する。嵩上げソケット22は、内部に嵩上げソケット用雄ねじ部16bと、高さ調整ボルト17の下部雄ねじ部17aが螺着される上部雌ねじ部22bが互いに連通するように形成される。嵩上げソケット22の上部外周には、別の嵩上げソケット22を積層して設置するための積層用雄ねじ部22cが形成される。積層用雄ねじ部22cには、積層される嵩上げソケット22の下部雌ねじ部22aが螺着される。嵩上げソケット22の底面には、弾性パッキン22dが設置される。弾性パッキン22dは、高さ調整ボルト17の下部雄ねじ部17aが、間隔の開いた嵩上げソケット22の上部雌ねじ部22bと継手部材5の雌ねじ部とが螺着する際の噛み合わせを調整する機能を有する。
【0037】
図11に示される工程では、仮支持部材21で上部の荷重を支持した状態で、高さ調整ボルト17を切欠部17cに係止部材20を取付ない状態でベースプレート4の貫通孔4aから挿入し、下部雄ねじ部17aを、切欠部17cに2つ割にした係止部材20が取付け可能な位置まで継手部材5の雌ねじに螺着する。次いで、高さ調整ボルト17の切欠部21cに2つ割にした係止部材20を係合する。
【0038】
図12に示される工程では、高さ調整ボルト17を上昇する方向に回転し、係止部材20とベースプレート4の係止部材収容凹部4bの下面とを当接させ、上部荷重を係止部材20と係止部材収容凹部4bの下面との係合により支持する状態にし、複数のライナープレートを積層した仮支持部材21を順次取り外す。
【0039】
図13に示される工程では、上部荷重を係止部材20と係止部材収容凹部4bの下面との係合により支持した状態で、仮支持部材21を完全に撤去する。
【0040】
図14に示される工程では、高さ調整ボルト17を下降する方向に回転し、嵩上げソケット22の上部外周の積層用雄ねじ部22cが嵩上げソケット連結部材収容凹部4cに位置し、係止部材20が嵩上げソケット22の上面に当接し、ベースプレート4の係止部材収容凹部4bに位置するようにする。この状態で、高さ調整ボルト17の回転工具係合部17eの下面とベースプレート4の上面との間の隙間に2つ割にしたワッシャ兼スペーサ部材18を係合する。回転工具係合部17eを回転工具で回転し、ベースプレート4を下部構造2に締め付け固定する。嵩上げソケット22により嵩上げされた下部構造2とベースプレート4の下面との間の隙間に充填モルタル23を充填し固化させることにより、構造物用支承装置の高さが調整される。
【0041】
第2実施形態の高さ調整ボルト17による高さ調整の工程は、回転工具係合部17eが、下の部分より小径であるため、ベースプレート4の上下いずれからも取付が可能である点と、ベースプレート4の下部構造2への締め付け固定が、上部雄ねじ部17fへのナット24の螺着により実施する点を除き、ほぼ同様であるので説明を省略する。
【0042】
以上のように、本発明の構造物用高さ調整対応支承装置によれば、高さ調整が必要になった場合、嵩上げ作業でジャッキ等の持ち上げ工具を用いることなく容易に嵩上げ作業を実施することが可能になる。また、高さ調整の量に応じて複数の嵩上げソケットを容易に積層することが可能となる。
【符号の説明】
【0043】
1:高さ調整対応支承装置、2:下部構造、3:上部構造、4:ベースプレート、4a:貫通孔、4b:係止部材収容凹部、4c:嵩上げソケット連結部材収容凹部、5:継手部材、6:アンカーボルト、8:積層ゴム支承、9:ソールプレート、10:上沓、11:セットボルト、12:せん断キー、13:上楊力止め、14:荷重支持部、15:補強リブ、16:嵩上げソケット連結部材、16a:貫通孔、16b:嵩上げソケット用雄ねじ部、17:高さ調整ボルト、17a:下部雄ねじ部、17b:上部棒状部、17c:切欠部、17d:継ぎ足しボルト用雌ねじ部、17e:回転工具係合部、17f:上部雄ねじ部、18:2つ割ワッシャ兼スペーサ部材、19:ワッシャ、20:2つ割係止部材、21:仮支持部材、22:嵩上げソケット、22a:下部雌ねじ部、22b:上部雌ねじ部、22c:積層用雄ねじ部、22d:弾性パッキン、23:充填モルタル、24:ナット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部構造と上部構造との間に配置される構造物用支承装置であって、
前記下部構造に埋設されたアンカーボルトと、
前記下部構造に埋設され、前記アンカーボルトの上端が螺着される雌ねじ部を有する継手部材と、
前記下部構造上に設置され高さ調整ボルトが挿入する貫通孔を形成したベースプレートと、
前記継手部材に螺着する下部雄ねじ部と、前記下部雄ねじ部の上部に形成される係止部材係合用の切欠部と、上端に形成され下部部分より大径の回転工具係合部を有する前記高さ調整ボルトと、
前記切欠部に着脱自在に係合する2つ割にした係止部材と、
を備え、
前記高さ調整ボルトの一方の回転方向の回転により下部雄ねじ部を前記継手部材に螺着して前記ベースプレートを下部構造に締め付け固定し、前記高さ調整ボルトの他方の回転方向の回転により前記係止部材が前記ベースプレートを上昇させ、高さ調整可能とすることを特徴とする構造物用高さ調整対応支承装置。
【請求項2】
前記係止部材が前記ベースプレートの下面に当接した状態で前記回転工具係合部の下面と前記ベースプレート上面との間に一定の隙間が形成されるようにし、前記隙間に2つ割にしたワッシャ兼スペーサ部材を着脱自在に取り付けることを特徴とする請求項1に記載の構造物用高さ調整対応支承装置。
【請求項3】
下部構造と上部構造との間に配置される構造物用支承装置であって、
前記下部構造に埋設されたアンカーボルトと、
前記下部構造に埋設され、前記アンカーボルトの上端が螺着される雌ねじ部を有する継手部材と、
前記下部構造上に設置され高さ調整ボルトが挿入する貫通孔を形成したベースプレートと、
前記継手部材に螺着する下部雄ねじ部と、前記下部雄ねじ部の上部に形成される係止部材係合用の切欠部と、前記係止部材の上部に形成されるナットを螺着する上部雄ねじ部と、前記上部雄ねじ部の上端に形成され前記上下雄ねじ部より小径の回転工具係合部を有する前記高さ調整ボルトと、
前記切欠部に着脱自在に係合する2つ割にした係止部材と、
を備え、
前記高さ調整ボルトの一方の回転方向の回転により前記下部雄ねじ部を前記継手部材に螺着しナットで締め付けることで前記ベースプレートを前記下部構造に締め付け固定し、前記高さ調整ボルトの他方の回転方向の回転により前記係止部材が前記ベースプレートを上昇させ、高さ調整可能とすることを特徴とする構造物用高さ調整対応支承装置。
【請求項4】
前記継手部材の上部外周に前記継手部材の外径より大きな外径を有する荷重支持部を配置し、前記荷重支持部上に前記高さ調整ボルトが挿通する孔と外周に嵩上げソケットを螺着する雄ねじ部を形成した嵩上げソケット連結部材を固定することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の構造物用高さ調整対応支承装置。
【請求項5】
前記嵩上げソケットの内部に前記嵩上げソケット連結部材外周の雄ねじ部に螺着する下部雌ねじ部と前記高さ調整ボルトの下部雄ねじ部と螺着する上部雌ねじ部を連通して形成し、上部外周に積層される別の嵩上げソケットの下部雌ねじ部と螺着する積層用雄ねじ部を形成することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の構造物用高さ調整対応支承装置。
【請求項6】
前記嵩上げソケットの下面に前記高さ調整ボルトとの噛み合わせを調整する弾性パッキンを配置することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の構造物用高さ調整対応支承装置。
【請求項7】
前記ベースプレートの下面に前記係止部材を収容する係止部材収容凹部を形成することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の構造物用高さ調整対応支承装置。
【請求項8】
前記高さ調整ボルトの下端に継ぎ足しボルト螺着用の雌ねじ部を形成することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の構造物用高さ調整対応支承装置。
【請求項1】
下部構造と上部構造との間に配置される構造物用支承装置であって、
前記下部構造に埋設されたアンカーボルトと、
前記下部構造に埋設され、前記アンカーボルトの上端が螺着される雌ねじ部を有する継手部材と、
前記下部構造上に設置され高さ調整ボルトが挿入する貫通孔を形成したベースプレートと、
前記継手部材に螺着する下部雄ねじ部と、前記下部雄ねじ部の上部に形成される係止部材係合用の切欠部と、上端に形成され下部部分より大径の回転工具係合部を有する前記高さ調整ボルトと、
前記切欠部に着脱自在に係合する2つ割にした係止部材と、
を備え、
前記高さ調整ボルトの一方の回転方向の回転により下部雄ねじ部を前記継手部材に螺着して前記ベースプレートを下部構造に締め付け固定し、前記高さ調整ボルトの他方の回転方向の回転により前記係止部材が前記ベースプレートを上昇させ、高さ調整可能とすることを特徴とする構造物用高さ調整対応支承装置。
【請求項2】
前記係止部材が前記ベースプレートの下面に当接した状態で前記回転工具係合部の下面と前記ベースプレート上面との間に一定の隙間が形成されるようにし、前記隙間に2つ割にしたワッシャ兼スペーサ部材を着脱自在に取り付けることを特徴とする請求項1に記載の構造物用高さ調整対応支承装置。
【請求項3】
下部構造と上部構造との間に配置される構造物用支承装置であって、
前記下部構造に埋設されたアンカーボルトと、
前記下部構造に埋設され、前記アンカーボルトの上端が螺着される雌ねじ部を有する継手部材と、
前記下部構造上に設置され高さ調整ボルトが挿入する貫通孔を形成したベースプレートと、
前記継手部材に螺着する下部雄ねじ部と、前記下部雄ねじ部の上部に形成される係止部材係合用の切欠部と、前記係止部材の上部に形成されるナットを螺着する上部雄ねじ部と、前記上部雄ねじ部の上端に形成され前記上下雄ねじ部より小径の回転工具係合部を有する前記高さ調整ボルトと、
前記切欠部に着脱自在に係合する2つ割にした係止部材と、
を備え、
前記高さ調整ボルトの一方の回転方向の回転により前記下部雄ねじ部を前記継手部材に螺着しナットで締め付けることで前記ベースプレートを前記下部構造に締め付け固定し、前記高さ調整ボルトの他方の回転方向の回転により前記係止部材が前記ベースプレートを上昇させ、高さ調整可能とすることを特徴とする構造物用高さ調整対応支承装置。
【請求項4】
前記継手部材の上部外周に前記継手部材の外径より大きな外径を有する荷重支持部を配置し、前記荷重支持部上に前記高さ調整ボルトが挿通する孔と外周に嵩上げソケットを螺着する雄ねじ部を形成した嵩上げソケット連結部材を固定することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の構造物用高さ調整対応支承装置。
【請求項5】
前記嵩上げソケットの内部に前記嵩上げソケット連結部材外周の雄ねじ部に螺着する下部雌ねじ部と前記高さ調整ボルトの下部雄ねじ部と螺着する上部雌ねじ部を連通して形成し、上部外周に積層される別の嵩上げソケットの下部雌ねじ部と螺着する積層用雄ねじ部を形成することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の構造物用高さ調整対応支承装置。
【請求項6】
前記嵩上げソケットの下面に前記高さ調整ボルトとの噛み合わせを調整する弾性パッキンを配置することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の構造物用高さ調整対応支承装置。
【請求項7】
前記ベースプレートの下面に前記係止部材を収容する係止部材収容凹部を形成することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の構造物用高さ調整対応支承装置。
【請求項8】
前記高さ調整ボルトの下端に継ぎ足しボルト螺着用の雌ねじ部を形成することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の構造物用高さ調整対応支承装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−46913(P2012−46913A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−188139(P2010−188139)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【特許番号】特許第4726093号(P4726093)
【特許公報発行日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(391051256)株式会社美和テック (29)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【特許番号】特許第4726093号(P4726093)
【特許公報発行日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(391051256)株式会社美和テック (29)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]