説明

標的放射線療法

本発明は、治療学的に標識されたナフトジアントロン(napthodianthrone)またはフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン化合物に関する。これらの化合物は、化学元素または同位元素を含み、当該化学元素または当該同位元素は、不安定な核を有し、壊死を誘発する抗腫瘍療法を受けた温血動物の治療可能性を高めるための標的放射線療法において使用するのために、安定した形態に向かう核崩壊の間にわたって、隣接する細胞または組織を破壊するに十分な放射線を放出する。本発明の特別な利点は、治療学的に放射線標識された小分子の壊死親和性化学化合物治療の1回または繰り返しの投与によって、脈管標的剤(VTA)などの壊死誘発性抗腫瘍療法に対して耐性がある、生存能力のある辺縁が、治療可能性を高めるために補完され得ることである。壊死誘発性療法の例は、例えば、経皮的なエタノール注入または酢酸注入によって化学的に適用される低侵襲的腫瘍焼灼、または凍結療法、マイクロ波、集束超音波、間質性のレーザ療法およびラジオ波焼灼(RFA)によって物理学的に適用される低侵襲的腫瘍焼灼;細胞傷害性の薬剤または脈管標的剤(VTA)を用いる化学療法によって適用される低侵襲的腫瘍焼灼;および外部の放射または内部の放射によって適用される低侵襲的腫瘍焼灼である。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔発明の属する技術分野〕
本発明は、治療学的に標識されたナフトジアントロン(napthodianthrone)またはフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン化合物に関する。これらの化合物は、化学元素または同位元素を含み、当該化学元素または当該同位元素は、不安定な核を有し、壊死を誘発する抗腫瘍療法を受けた温血動物の治療可能性を高めるための標的放射線療法において使用するために、安定した形態に向かう核崩壊の間にわたって、隣接する細胞または組織を破壊するに十分な放射線を放出する。本発明の特別な利点は、ナフトジアントロンまたはフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン化合物のグループの、治療学的に放射標識された壊死親和性(necrosis-avid)小分子を1回以上静脈投与することによって、例えば脈管標的剤(VTA)等の壊死を誘発する抗腫瘍療法に耐性を示す、生存能力のある辺縁(rim)または腫瘍の残りが、補完的に治療され得ることである。上記ナフトジアントロンまたはフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン化合物は、根治治療の効果を達成するために、前もって形成された腫瘍内の壊死において選択的に蓄積し、隣接する生存能力のある腫瘍細胞に対して放射線を放出する。
【0002】
〔発明の背景〕
世界的に見て、がんは、依然として最も命に関わる疾患のままである。従来の放射線療法および化学療法は、通常、腫瘍成長の速度を落とし、患者生存を引き伸ばすためだけの苦痛緩和剤と考えられているが、全身性の副作用という代償を払う。最善の治療の選択肢は根治手術であるが、腫瘍の不利な局在、腫瘍の病期および腫瘍の大きさによって、限られた数の患者のみが適している。さらに、部分的な切除後の臓器の限られた機能の保存は、より高い術後リスクとも関連している。社会的共同体、健康管理機関および医学専門家は、がんと闘うための新しい治療の研究および開発において非常に努力している。新しく開発された抗がん治療の中で、脈管標的剤(VTA)は、新生血管の内皮細胞の細胞骨格を選択的に崩壊させ、腫瘍性の血液の供給の遮断並びにその後の腫瘍細胞の飢餓および腫瘍細胞の死をもたらす[Thorpe PE. Clin Cancer Res. 2004; 10: 415-27];ラジオ波焼灼療法(REA)は、低侵襲的な手段であり、特に、孤立した腫瘍を治療するために、RFエネルギーから変換された熱を用いて生物組織を破壊する[Ni Y, et al; Abdominal Imaging 2005; 30: 381-400];光線力学療法(PDT)は、ある波長の光照射と薬剤または光線感光物質の投与とを組み合わせて、生成された細胞毒性の種によってがん細胞を殺す[Pass H, JNatl Cancer Inst 1993; 85: 443-56]。これらの治療に共通な顕著な結果は、腫瘍の壊死を引き起こすことである。他方では、AZD7545、ジクロロ酢酸塩(DCA)、ジクロロ酢酸ナトリウム、トリクロロ酢酸塩、ジフルオロ酢酸塩、2−クロロプロピオン酸、2,2’−ジクロロプロピオン酸、クロロプロピオン酸、ハロゲン化アセトフェノン阻害剤、ラディシコールオキシムまたはラディシコールといったピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ阻害剤の使用は、がん腫瘍において解糖からグルコース酸化促進性アポトーシスへと代謝を切り替えるミトコンドリアのピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ(PDK)を阻害する[Alla Klyuyeva et al. FEBS Lett. 2007 June 26; 581(16): 2988-2992 and Biochem.J. 329 191. Bonnet et al (2007)*
【0003】
他の従来の非外科的な抗がん治療と同様に、治療学的な腫瘍の壊死を誘発するために、RFA、VTAおよびPDTを用いた前臨床成績および臨床成績を後押ししているにもかかわらず、辺縁性の腫瘍または散発性の腫瘍が残るのは、結果として起こる不完全な治療および腫瘍の再発のせいである[Ni Y, Miao Y, et al. Eur Radiol 2000; 10: 852-4 and Thoeny HC, et al. Radiology 2005; 237: 492-9]。
【0004】
本発明は、(例えば、1.0に近い、低い、非標的に対する標的の比(target-to-nontarget ratio)を有する他の化合物とは対照的に)例えば、10〜100の、高いインビトロの非標的に対する標的の比を有する、例えば、治療学上標識されたナフトジアントロンまたはフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン化合物等の、小さな、治療学的に標識された、壊死親和性の化合物(SRaLNACs、MW<1〜2Kダルトン)が、生存能力のある腫瘍細胞の辺縁の形成または腫瘍細胞の塊の形成を防ぐこと、および殺腫瘍効率およびがんの治療可能性を相乗的に高めるために、任意の壊死誘発性の抗がん療法と組み合わせて適用され得ることを明らかにしている。
【0005】
治療学上標識されたナフトジアントロンまたはフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン化合物は、腫瘍の損傷、腫瘍の焼灼または腫瘍の破壊に対する応答としての生存能力のある腫瘍細胞の増殖反応を阻害するために、不完全な抗腫瘍治療に対する応答としての腫瘍細胞の増殖を阻害するために、物理学的または化学的に誘発された腫瘍の破壊の後で固形腫瘍における腫瘍細胞の再増殖を防ぐために、化学療法によって誘発された腫瘍の収縮の後で腫瘍の再成長を防ぐために、あるいは初期もしくは転移性の固形腫瘍またはそのような腫瘍に隣接した局所領域の組織において残存している抗腫瘍剤耐性のがん細胞を取り除くために、用いられ得る。そのような放射性放射体を得るための、ナフトジアントロンまたはフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオンのための適切な治療学的な標識は、153サマリウム、156ホルミウム、165ジスプロシウム、203鉛、186レニウム(Rhnenium),188レニウム、211ビスマス、212ビスマス、213ビスマス、および214ビスマス、153Sm、159Gd、186Re、166Ho、90イットリウム、91イットリウム、88イットリウム、89イットリウム並びに131ヨウ素からなる群から選択される。
【0006】
〔発明の概要〕
本発明は、化学療法(例えば脈管標的剤またはVTAによる治療法)、あるいは物理学的にもしくは化学的に誘発された焼灼(例えばラジオ波焼灼またはRFAによって)または任意の他の既存の効果的な非外科的抗がん療法による、初期の固形腫瘍または転移性固形腫瘍の殺腫瘍治療の効率および有効性を改善するための薬剤において使用するための放射性薬剤の組成を、一部において対象としている。より具体的には、本発明は、不完全な抗腫瘍治療に対する応答としての腫瘍細胞増殖を防ぐために、または物理学的にもしくは化学的に誘発された腫瘍の破壊の後に固形腫瘍における腫瘍細胞が再増殖することを防ぐために、または化学療法誘発性の腫瘍の収縮の後で腫瘍が再成長することを防ぐために、または初期の固形腫瘍もしくは転移性の固形腫瘍またはそのような腫瘍に隣接する局所領域の組織において残存している抗腫瘍剤耐性のがん細胞を取り除くために、薬剤において使用するための壊死親和性の化学化合物を形成するための治療学的に放射性核種標識されたナフトジアントロンまたはフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン化合物を対象としている。
【0007】
明細書において用いられる場合に、用語「小分子」は、免疫性糖タンパク質またはこれらのタンパク質断片以外の、5000ダルトン未満、好ましくは2000ダルトン未満および最も好ましくは1000ダルトン未満の分子量を有する有機分子を指す。そのような化学化合物は合成することもできるし、自然界で見つけることもできる。本発明のためのそのような小分子は、治療学的な放射性同位体および/または診断的マーカー(例えば常磁性元素)と組み合わせてもよい。
【0008】
用語「殺腫瘍性の化合物」は、腫瘍細胞に対して破壊的な化合物の意味である。そのような化合物は、超抗原として知られるエンテロトキシンまたは同族化合物であってもよい。これらは、(アジュバント−賦形剤製剤において)脂質滴の表面に発現されるかまたはエンテロトキシン遺伝子−トランスフェクションの結果として生体の細胞表面に発現され、腫瘍を有している宿主において殺腫瘍性の反応を引き起こすために用いられたときに、特に殺腫瘍性を有する。超抗原の殺腫瘍性作用は、進行性乳がんを有し、ブドウ球菌プロテインAに関してかん流された血漿を用いる治療法を利用している5人の患者の内の4人において実証された(Terman, D. S., Young, J. B., Shearer, W. T., Ayus, C., Lehane, D., Mattioli, C., Espada, R., Howell, J. F., Yamamoto, T., Zaleski, H. E., Miller, L., Frommer, P., Feldman, L., Henry, J. F., Tiliquist, R., Cook, G., Daskal, Y., New Eng. J. Med., 305, 1195, 1981)。この詳細なシステムは、ブドウ球菌プロテインAが化学的に付着された固体表面に関してかん流された患者の血漿の投与を含んでいた。プロテインAは、ブドウ球菌のバッチ発酵によって調製された。プロテインAは、培地から単離され、親和性クロマトグラフィーによって部分的に精製された。US6692746は、エンテロトキシン、超抗原、および関連する化合物の腫瘍殺傷性の作用について開示している。
【0009】
「化学療法剤」は、がんの治療において有用な化学化合物である。化学療法剤の例は、チオテパおよびシクロホスファミド(CYTOXAN(登録商標))などのアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファンなどのスルホン酸アルキル;ベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)およびウレドーパ(uredopa)などのアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミドおよびトリメチロールメラミン(trimethylolomelamine)を含むエチレンイミンおよびメチルメラミン(methylamelamine);クロラムブシル、クロルナファジン、コロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、塩酸メクロレタミンオキシド、メルファラン、ノベンビキン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン(ranimnustine)などのニトロソ尿素;アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アウトラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリケアマイシン、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、クエラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシンなどの抗生物質;メトトレキサートおよび5−フルオロウラシル(5−FU)などの代謝拮抗物質;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサートなどの葉酸類似体;フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなどのプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロキシウリジン、5−FUなどのピリミジン類似体;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなどのアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなどの抗副腎剤(anti-adrenal);フロリニン酸(frolinic acid)などの葉酸補給剤;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート(edatraxate);デホファミン(defofamine);デメコルシン;ジアジクオン;エルホルニチン(elfornithine);酢酸エリプチニウム;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミニン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダノール(mopidamol);ニトラクリン(nitracrine);ペントスタチン;フェナメット(phenamet);ピラルビシン;ポドフィリン酸(podophyllinic acid);2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標);ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2”−トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン:ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(“アラ−C”);シクロホスファミド;チオテパ;タキサン、例えば、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol-Myers Squibb Oncology, Princeton, N.J.)およびドセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、Rhone-Poulenc Rorer, Antony, France);クロランブシル;ゲムシタビン;6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチンおよびカルボプラチンなどの白金類似体;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP−16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ノバルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;CPT−11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸;エスペラマイシン(esperamicins);カペシタビン;および上記のいずれかの薬学的に許容され得る塩、酸または誘導体を含む。この定義には、例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害4(5)−イミダゾール、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン(trioxifene)、ケオキシフェン(keoxifene)、LY117018、オナプリストン(onapristone)、およびトレミフェン(Fareston)を含む抗エストロゲンなどの、腫瘍におけるホルモンの活性を制御または阻害するために働く抗ホルモン剤;およびフルタミド(flutamide)、ニルタミド(nilutamide)、ビカルタミド(bicalutamide)、ロイプロリド、ジクロロ酢酸塩(DCA)およびゴセレリンなどの抗アンドロゲン;並びに上記のいずれかの薬学的に許容され得る塩、酸または誘導体も包含される。
【0010】
本発明のための用語「温血動物」は、ヒトの意味をも包含している。
【0011】
本明細書にて用いられる場合、用語「抗腫瘍剤」は、薬剤、化合物(例えば、細胞傷害性の化合物による化学療法)または物理変化を生じさせるもの(例えばラジオ波焼灼)に関し、これらは腫瘍を破壊するもしくは縮小するまたはそれらの成長を阻害する。例えば、US6506739B1は、ビス−(N,N’−ビス−(2−ハロエチル)アミノ)ホスホロアミダートのグループの化学的な抗腫瘍剤を開示している。これに対して、US6514251B「冷却された濡れ電極(Cooled-wet electrode)」は、腫瘍の焼灼手順を誘導するための高周波(RF)エネルギーを供給することによる物理学的な抗腫瘍療法について開示している。
【0012】
標的細胞の多くの割合がいつでも細胞分裂を行っているので、抗腫瘍性の化学療法は、化学療法に対して最も感受性のあるホジキン病を含む、急性骨髄性白血病および侵攻性リンパ腫などの高成長画分を有する腫瘍に対して効果的であり得る。しかし、緩慢性リンパ腫などの、低い成長率を有する悪性腫瘍は、化学療法に対してさらにいっそう穏やかに反応する傾向がある。薬剤は、「より若い」腫瘍に対してより効果的に作用する。なぜなら、細胞成長を制御している機構が、通常は、まだ温存されているからである。腫瘍細胞の内の、後に続く世代に関しては、通常は分化が失われ、成長はあまり制御されず、そして腫瘍はほとんどの化学療法剤に対してあまり反応性がない。いくつかの固形腫瘍の中心付近では、細胞分裂は、事実上中止しており、腫瘍を化学療法に対して非感受的にしている。固形腫瘍に関する他の問題は、化学療法剤は、しばしば腫瘍の中心に到達しないという事実である。それゆえ、中央の化学非感受性の腫瘍細胞が破壊されるような効果的な治療法のための技術において緊急の必要性がある。
【0013】
時間が経てば、がん細胞は、化学療法による治療に対してさらに抵抗性となる。可能な解決法は、脈管傷害剤または抗血管新生薬などの他の化学治療法と、例えば、従来の細胞毒性の種々の治療法とを組み合わせることである。組み合わせて用いられたときの有効性に関わらず、長期にわたる腫瘍の退行を達成するために、化学療法は、最初のVTA投与の後または抗血管新生剤の投与の後に、反復して1日用量を投与するべきである。ほとんどの化学療法的治療は高い細胞傷害性であり、そして長期投与の結果、ほとんどの患者は、長期にわたる副作用(嘔吐、脱毛、骨髄抑制等)に対処する。それゆえ化学療法の繰り返しを減少させ得る効果的な治療のための技術において緊急の必要性がある。
【0014】
用語「脈管標的剤」(「VTA」)は、脈管傷害剤または脈管破壊剤(VDA)として公知であり、既存の新血管系または血管新生によって新たに形成された血管系を選択的に標的とし破壊することによって固形腫瘍を攻撃する、新しい種類の抗腫瘍薬である。VTA作用の細胞傷害性機構は、抗血管新生剤の細胞傷害性機構とは全く別である。VTAの単回投与は、数分から数時間の期間内に、腫瘍の新生血管の急速かつ選択的な活動休止を引き起こし得、低酸素症および栄養の枯渇を引き起こすことによって、結果として腫瘍の壊死をもたらす。最も説明されたVTAはCA4DPであり、これは、CA−4のリン酸塩プロドラッグのナトリウム塩である。本発明は、この点において限定されないが、WO02/22626およびWO99/35150に開示された、他のCA−4のリン酸塩プロドラッグ塩は、CA4DPと同様にまたはCA4DPよりもよく作用するかもしれない。しかし、単離された他のコンブレタスタチンも、構造的に解明され、合成される。米国特許第5,409,953号明細書、第5,569,786号明細書、および第4,490,726号明細書は、A−1、A−2、A−3、B−1、B−2、B−3、B−4、D−1、およびD−2として設計されたコンブレタスタチンの単離および合成について開示している。これらの化合物のいくつかは、WO01/81355において開示されているようなリン酸塩プロドラッグとして改良されるか、またはBioorg. Med. Chem. Lett. 11(2001) 871-874, 30733076, J. Med. Chem. (2002), 45: 1697-1711、WO01/12579、WO00/35865、WO00/48590、WO01/12579、米国特許第5,430,062号明細書、米国特許第5,525,632号明細書、米国特許第5,674,906号明細書、および米国特許第5,731,353号明細書、において開示されているようなコンブレタスタチンの合成類似体として改良される。これらの文献の全ての開示は、参照することにより組み込まれる。さらに、VTAとして投与されてもよい他のチューブリン結合剤は、以下の薬剤またはそれらのプロドラッグを包含している:2,3−二置換ベンゾ[b]チオフェン(米国特許第5,886,025号明細書;第6,162,930号明細書、および第6,350,777号明細書)、2,3−二置換ベンゾ[b]フラン(WO98/39323)、2−3−二置換インドール(WO01/19794)、二置換ジヒドロナフタレン(WO01/68654)、コルヒチン類似体(WO99/02166、WO00/40529、WO02/04434、WO02/08213)、カルコン類似体(WO02/47604)、全ての開示は、参照することにより明細書に組み込まれる。最後に、内皮の酵素の作用によって実質的に細胞傷害性薬に変換されるチューブリン結合剤のさらなる非細胞傷害性プロドラッグは、WO00/48606に開示される。WO00/48606は、参照することにより明細書に組み込まれる。抗腫瘍効果は、初期の血流停止およびその後の壊死によるものであってもよい。他の薬剤は、腫瘍の脈管を破壊することが知られているが、これらの薬剤も、最大の耐量において、かなりの正常組織傷害性を表す点で相違する。一方、コンブレタスタチンなどの真のVTAは、その最大の耐量よりも少量で脈管遮断活性を保持する。コンブレタスタチンA−4リン酸ナトリウムプロドラッグ(「CA4DP」)は、VTAとしての臨床試験において、現在、VTAの群のうちで優位な薬剤である。この化合物は、当初は、コンブレタスタチンA−4(「CA−4」)として、アフリカン・ツリー・コンブレタム・カルファム(African tree Combretum caffrum)(シクシン科(Combretaceae))の幹基部から単離された。米国特許第4,996,237号明細書において記載されているように、CA−4は、合成され、そしてチューブリン結合活性を有することが見出された。米国特許第4,996,237号明細書の全ての開示は、参照することにより明細書に完全に組み込まれる。さらに、CA4DPは、腫瘍の内皮細胞における微小管重合の有力な阻害剤であることが見出された。しかし、ヒトの血漿におけるCA−4の不溶性の理由から、CA4DPは開発され、VTAとして優れた活性を有することが見出された(米国特許第5,561,122号明細書、この文献の全ての開示は、参照することにより組み込まれる)。患者の血流に対して投与されると、CA4DPは、内因性の非特異的なホスファターゼによって、活性型のチューブリン結合性CA−4に切り裂かれる。CA−4は、腫瘍の内皮細胞の微小管の細胞骨格を選択的に不安定にし、細胞の形に著しい変性を引き起こし、結果として、腫瘍の血管を閉塞させ、腫瘍への血流を遮断することをもたらすと考えられる(Kanthou and Tozer, Blood, 2002, 99(6): 2060-2069)。ZD6126またはN−アセチルコルヒノール(N-acetylcolchinol)は、同様の抗腫瘍性作用を有するチューブリン結合剤の水溶性リン酸塩プロドラッグである(Davis PD et al, Cancer Research 2002; 62: 7247-53)。in vivoにおける研究は、腫瘍組織におけるVTAの脈管傷害作用が、正常組織における作用をはるかに凌ぐことを明らかにしているが、これらの薬剤が単剤療法として単独で用いられるときに、わずかな場合において、腫瘍の退行または完全な腫瘍の反応が観察される。このような不完全な腫瘍の反応は、脈管標的剤の作用を切り抜けて生きている十分に組織化された腫瘍細胞中の生存能力のある縁を、急速に生体内原位置で(in situ)認識することが原因である(Chaplin, et al., Anticancer Research, 1999, 19(1A): 189-195)。
【0015】
壊死誘発性の治療の例は、例えば、経皮的なエタノール注入または酢酸注入によって化学的に適用される低侵襲的腫瘍焼灼、または凍結療法、マイクロ波、集束超音波、間質性のレーザ療法およびラジオ波焼灼(RFA)によって物理学的に適用される低侵襲的腫瘍焼灼;細胞傷害性の薬剤または脈管標的剤(VTA)を用いる化学療法;および腫瘍組織の外部の放射または内部の放射による放射線療法を包含している。
【0016】
本発明のための「壊死親和性(necrosis-avid)」に関する用語は、生存していない組織、特に、壊死組織において選択的に蓄積する化合物のために用いられる。壊死−親和力(necrosis-avidity)は、生物における自然なプロセスであると考えられ、内因性の化学物質および外因性の化学物質の多様性に関与している。本発明にとって、そのような壊死親和性小分子は、免疫を引き起こさず、放射線核種などの治療学的な成分(moiety)を用いて標識される。そして、この結果、「治療学的に標識された壊死親和性の小分子」と称される。これは、例えば、壊死親和力を有し、治療学的な放射性同位体または放射性元素によって標識される小分子である。フェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオンもしくはヒペリシンまたはその誘導体は、壊死親和性を見出される。ヒペリシンは、セントジョーンズワート(St.John's Wort)として一般に知られている薬草であるセイヨウオトギリソウから単離された物質である。ヒペリシンは、ナフトジアントロンとして公知の化合物のグループに属する(Southwell IA & Campbell MH: hypericin content variation in Hypericum perforatum in Australia. Phytochemistry 1991; 30: 475-478 and Kitanov, G.M., 2001. hypericin and pseudohypericine in some Hypericum species. Biochemical Systematics and Ecology 29, pp. 171-178)。
【0017】
「局所領域の」とは、局所の領域に限定することを意味し、本発明にとって「局所の」とは、そのような治療学的に標識された壊死親和性の小分子の部位もしくは近く、またはそれらの直接の周囲、例えばその放射線標識による放射線の区域において、治療学的に標識された壊死親和性の小分子によって形成される治療学的な作用を指している。そのような区域は、治療学的に標識された壊死親和性の小分子の放射性元素または放射性同位体によって、精密な方法で放射され、治療学的に標識された壊死親和性の小分子周辺に細胞を破壊する区域を形成する。
【0018】
腫瘍の再発は、腫瘍の再成長の周知の現象であり、治療後の腫瘍の再成長はむしろ促進される。初期の腫瘍は、初期の腫瘍の再発に対する種を与えてもよい。腫瘍の再発は、腫瘍の損傷、腫瘍の焼灼もしくは腫瘍の破壊に対する応答としての、または不完全な抗腫瘍治療に対する応答としての、生存能力のある腫瘍細胞の増殖反応に起因し得る。腫瘍の再発に関与するシグナルタンパク質として記載されているインターフェロンγなどのいくつかの機構は、腫瘍の再発に関与することが示唆されている(Kmieciak, M et al EUROPEAN JOURNAL OF IMMUNOLOGY, 37 (3): 675-685 MAR 2007)。
【0019】
核による治療学的標識は、その周囲における細胞を破壊するために十分な放射線を供給する放射線標識または放射性核種であり得る。
【0020】
本発明のために好適な放射線核種複合体は、>0.5MeV、より好ましくは>1MeVのβエネルギーを放出し、そして数日から数週間、もっとも好ましくは3〜8日間の放射線核種の半減期を有する複合体である。
【0021】
本発明のために好適な放射線核種複合体は、>0.5MeV、より好ましくは>1MeVのβエネルギーを放出し、そして10日未満、もっとも好ましくは3〜8日間の放射線核種の半減期を有する複合体である。
【0022】
フェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン誘導体、例えばヒペリシンまたはその誘導体は、ナフトジアントロン型分子(図1A)であり、本発明のための有用な壊死親和性化学化合物(NACC)小分子でもある。本発明において使用するために特に有用な化合物は、治療学的に標識されたフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン誘導体であり、ヒペリシン(図1B)、偽ヒペリシン(図1C)、ステントリン(図1D)、フリンゲリト(the fringelites)(図1E)、ギムノクローム類(ギムノクロームB(図1F)、ギムノクロームD(図1G)、イソギムノクロームD)およびブレファリスミン(blepharismin)からなる(P.S. Song, 1995, J Photoscience 2, 21-35)。好適な治療学的に標識されたフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン誘導体は、図1Hにおいて示されたような構造を有する化合物である。
【0023】
ヒペリシンはフェノール性の多環式キノンであるので、フェノールのオルト位における求電子置換によって、放射性ヨウ素を用いて効率的にそして非常に簡単に標識され得る。放射性ヨウ素化誘導体の構造解析は、この方法では、1つのヨウ素−131放射性核種が、最も酸性の性質を有するフェノール基のオルト位において、炭素原子2に対して再生可能に導入されることを示している。生じるモノ−[131I]ヨウ素ヒペリシン(MIH)は、逆相HPLCによって出発物質であるヒペリシンから効率的に分離され得、担体を添加していない形態において99%を越える純度で得られる。
【0024】
HPLCによって精製されたMIHは、部分的に再かん流された肝硬変を有するラットに注入された。放射性ヨウ素とも称されるヨウ素−131(131I)は、ヨウ素の放射性同位体であり、放射性医薬品のための放射標識として用いられ得る。131Iは、8.0197日の半減期を有し、β放射およびγ放射で崩壊する。ヨウ素原子のこの核種は、核において78個の中性子を有し、安定な核種127Iは、74個の中性子を有している。崩壊によって、131Iは、131Xに変わる。
【0025】
治療学的に標識されたナフトジアントロンまたはフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン化合物は、治療学的に標識された壊死親和性の小分子を標的とする錯化リガンドと複合化された153Sm、90Y、159Gd、186Re、および166Ho(半減期26.8時間)からなる群から選択される放射性核種を含む。好適な放射性同位体は、90イットリウム(90Y)である。天然のイットリウムは、一つの同位体(Y−89)のみからなる。最も安定な放射性同位体は、106.65日間の半減期を有するY−88および58.51日間の半減期を有するY−91である。79.8時間の半減期を有するY−87を除いて、全てのほかの同位体は、1日未満の半減期を有している。安定なY−89より下位の同位体における優位な崩壊様式は、電子捕獲であり、Y−89の後の同位体における優位な崩壊様式は、β放射である。26の安定な同位体が明らかにされている。
【0026】
また、そのような治療学的に標識された壊死親和性の小分子は、放射性同位体(例えばイットリウム−90)およびガドリニウムなどの放射線増感性金属を用いて標識され、放射線増感性ガドリニウムは、放射性核種成分によって置き換えられ得る。治療学的に標識された、同じ壊死親和性の小分子を共有するために、治療学的に標識された壊死親和性の小分子におけるキレート剤または他の親和性成分は、放射線標識、例えば、イットリウム−90および/またはガドリニウムなどの放射線増感性金属イオンに結合し得る。治療学的に標識された壊死親和性の小分子が放射線増感性ガドリニウムを含む場合は、適切な放射性核種は、治療学的な放射線および簡単な局在のために用いられる。治療学的に標識された壊死親和性の小分子は、腫瘍における壊死を標的にし、それゆえに、効果的な放射線療法および放射線増感の両方が可能となるように、腫瘍において、お互いに近接して存在する。ガドリニウムに加えて、そのような治療学的に標識された壊死親和性の小分子に接着されてもよい放射線増感性成分は、ヨウ素原子もしくはヨウ素を含む成分、例えばトリヨードベンゼン誘導体、またはホウ素原子またはボランもしくはカルボランのようなホウ素を含む成分を含む。しかし、この分野で公知のあらゆる他の放射線増感性成分、例えば白金を含む成分、イミダゾールもしくはその他が、同様に用いられてもよい。放射線増感性成分を放射線標識された薬剤に対して直接カップリングする代わりに、放射線増感剤、すなわち放射線標識された薬剤の類似体、を含む成分を交換するように、放射線標識された薬剤の類似体が合成されてもよい。この場合、放射線増感剤は放射標識の代わりとなる。
【0027】
このような治療学的に標識された壊死親和性の小分子が、放射線不透過性物質を用いて標識される場合は、X−線検査における造影剤としても同時に局在し得る。好適な放射線不透過性物質は周知であり、ヨウ素化合物、バリウム化合物、ガリウム化合物、タリウム化合物等を含む。放射線不透過性物質の具体的な例は、ジアトリソ酸バリウム、ヨード化ケシ油エチルエステル(ethiodized oil)、クエン酸ガリウム、ヨーカルム酸、ヨーセタム酸、イオダミド(iodamide)、ヨージパミド、ヨードキサム酸、イオグラミド(iogulamide)、イオヘキソール、イオパミドール(iopamidol)、イオパノ酸、ヨープラセム酸、ヨーセファム酸、イオセル酸、イオスルアミドメグルミン(iosulamide meglumine)、ヨースメト酸、ヨータスル(iotasul)、ヨーテトル酸、イオタラム酸、イオトロクス酸、イオキサグル酸、イソキソトリゾ酸、イポダート(ipodate)、メグルミン、メトリザミド、メトリゾ酸(metrizoate)、プロピリオドン(propyliodone)および塩化第一タリウムを包含する。
【0028】
本発明によれば、放射線療法に加えて、治療学的に標識された壊死親和性の小分子の金属複合体がNMR診断のためにも用いられる場合は、磁気共鳴映像法(MRI)によって検出されるために、またはMRIの効果を高めるために、金属は、常磁性または超常磁性でなければならない。これは、一連の遷移金属またはランタニドからの元素で有り得る。好適なイオンは、銅元素、クロム元素、鉄元素、マンガン元素、ガドリニウム元素、およびジスプロシウム元素のイオンを含む。これらの金属原子は、従来の有機金属キレートの形態において調製され、その後NACCに対して結合されることが好ましい。本発明に係る金属複合体が放射線診断および/または放射線療法のために用いられる場合は、金属は放射性であり得る。これは、一連のTc元素、In元素、Rh元素、Ga元素、Sc元素、Bi元素、Y元素、Fe元素、Sm元素、Ho元素、Co元素、Cu元素、Gd元素、およびEu元素からの同位体であり得る。好適なキレート剤として、以下のキレート剤が実施例の方法によって言及され得る:2−(4−エトキシベンジル)−3,6,9−トリス(カルボキシメチル)−3,6,9−トリアザウンデカン−1,11−ジカルボン酸(Eovist(登録商標)のリガンド、EP405704);2−(4−ベンジルオキシベンジル)−3,6,9−トリス(カルボキシメチル)−3,6,9−トリアザウンデカン−1,11−ジカルボン酸、EP405704;2−(4−ブチルベンジル)−3,6,9−トリス(カルボキシメチル)−3,6,9−トリアザウンデカン−1,11−ジカルボン酸、WO95/28179;2,5,8,11−テトラキス(カルボキシメチル)−2,5,8,11−テトラアザビシクロ[10,4,0]−ヘキサデカン、米国特許第5,358,704号明細書;2,5,12,15−テトラキス(カルボキシメチル)−2,5,12,15−テトラアザトリシクロ[10,4,0,06,11]−イコサン、米国特許第5,358,704号明細書;10−[1−メチル−2−オキソ−3−アザ−5−オキソ−5−{4−ペルフルオロオクチルスルホニル−ピペラジン−1−イル}−ペンチル]−1,4,7−トリス(カルボキシメチル)−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン、WO97/26017;10−[2−ヒドロキシ−4−アザ−5−オキソ−7−オキサ−10,10,11,11,12,12,13,13,14,14,15,15,16,16,17,17,17,−ヘプタデカフルオロヘプタデシル]−1,4,7−トリス(カルボキシメチル)−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン、WO97/26017;2−[1,4,7,10−テトラアザ−4,7,10−トリス(カルボキシメチル)シクロドデカン−1−イル]−3−ベンジルオキシプロピオン酸、WO89/05802;2−ベンジルオキシメチル−3,6,9−トリス(カルボキシメチル)−3,6,9−トリアザウンデカン−1,11−ジカルボン酸、EP230893;DTPA−Lys−Asp−Asp−4−ペンチルビシクロ[2,2,2]−オクタン−1−カルボン酸、マリンクロッドMP−2269(Mallinckrodt MP-2269),バンクーバーSMRM,1997年4月;4−[ヒドロキシメチル−(4,4−ジフェニル)シクロへキシロキシ−リン酸ジエステル]−3,6,9−カルボキシメチル−3,6,9−トリアザウンデカン−1,11−ジカルボン酸(MS−325)、WO96/23526;4−[ヒドロキシメチル−(10−フェニル)−デシルオキシ−リン酸ジエステル]−3,6,9−カルボキシメチル−3,6,9−トリアザウンデカン−1,11−ジカルボン酸(MS−323、WO96/23526);N−(4−デシルフェニルカルバモイルメチル)−ジエチレントリアミン−N,N’,N”,N”−テトラ酢酸、EP603403;4,5−ジエチル−10,23−ジメチル−9,24−ビス(3−ヒドロキシプロピル)−16,17−ビス[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−13,20,25,26,27−ペンタアザペンタシクロ[20.2.1.]3,6.18,11.0 14,19]ペンタコサ−3,5,8,10,12,14,16,18,20,22,24−ウンデカン、米国特許第5,583,220号公報、153サマリウム、156ホルミウム、165ジスプロシウム、203鉛、186レニウム(Rhnenium)、188レニウム、88イットリウム、90イットリウム、211ビスマス、212ビスマス、213ビスマスおよび214ビスマスからなる群より選択された放射性同位体に対してキレートされる金属−キレートリガンド。
【0029】
治療学的な腫瘍の壊死を誘発するために、RFA、PDTおよびVTAを用いた前臨床成績および臨床成績を後押ししているにもかかわらず、生存能力のある腫瘍が残るのは、結果として起こる不完全な治療法および腫瘍の再発にたびたび原因がある[Pass H, JNatl Cancer Inst 1993; 85: 443-56; Thorpe PE. Clin Cancer Res. 2004; 10: 415-27., Skliarenko JV, et al. Cancer Res. 2006; 66: 2074-80]。
【0030】
VTAを用いる例として、治療法に対して局所的に反応しないのは、VTAによって標的とされない周囲の正常な血管からの血液によって末梢の腫瘍組織が栄養分を与えられていることが主たる原因であり、自社のVTA製品を商業化するためには、多くの製薬会社にとっての主なハードルであることを意味する。攻撃されることからの腫瘍の辺縁逃避(tumor marginal escape)の代表的な例は、図11において説明される。オートラジオグラフィーによって定量された、60〜80の高さの、非標的に対する標的の比を取ることを考慮して、治療学的に放射性核種標識されたNACCsは、免疫を引き起こさず、5kDaより小さい分子量を有し、ナフトジアントロンまたはフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン化合物を含有し、RFA、PDTおよびVTAなどの壊死誘発性がん療法の効率を改善するための治療法として考案された。これは、残存して生存能力のあるあらゆる腫瘍細胞を除くための治療学的に放射性核種標識された小さいNACC分子の投与を介して、巨大な腫瘍の壊死および二次的な標的化放射性核種の放射を引き起こすための一次的な攻撃の組み合わせによって、改善された腫瘍の制御およびより高い治療可能性をもたらす。
【0031】
好ましい治療は、単回投与VTA(例えば、5〜10mg/kgでのCA−4P)または131I−MIHを用いて標識されたヒペリシン、またはイットリウム−90、レニウム−186およびレニウム−188などの他の放射性核種を用いて標識されたパモ酸を使用し、1週間の間隔で、MONO−[131I]IODOまたは131I−MIHを単回投与するか、または連続投与、例えば2回投与およびまたは3回投与と組み合わせた、RFAを用いた1回の治療である。肝臓腫瘍のマウスモデルは、実験的な治療法のための対象として、肝転移を模倣するために、放射線誘発された線維肉腫(RIF−1)を肝臓内に移植することによって開発された。このモデルは、VTAの利点、大規模な腫瘍壊死をもたらすRFA殺腫瘍性活性の利点、および誘発された壊死を有する腫瘍において、131I−MIHを用いた成功した抗殺腫瘍治療の利点を実証するために適用された。この組み合わせられた治療方法は、腫瘍の再発を防ぎ、そして腫瘍組織の損傷または焼灼の応答として残存する生存能力のある腫瘍細胞の増殖が誘発されることを阻止するために、特に好適である。
【0032】
本発明の利点は、前もって誘発された治療学的な腫瘍の壊死に対する治療学的に標識されたNACC小分子の高い親和性を利用することによって、治療学的に標識されたNACC小分子によって運ばれた放射線の治療学的な線量で、残存する腫瘍組織が近接して照射され得ることである。図1Hにおいて、131I−モノヨードヒペリシン(131I−MIH)によって例示されるように、NACC治療学的に放射線標識されたNACC小分子を製造するために、ヒペリシンなどのNACCは、合成され、ヨウ素−131などの放射線治療学的な核種を用いて標識される。腫瘍の壊死は、3.5MBq/マウスより高い放射線量で、ヨウ素−131、例えば131I−MIHまたは90Y−パモ酸を用いて標識され、静脈内に投与されたフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン誘導体によって標的とされる。ヒト患者のための好ましい治療は、5000MBq〜60000MBqの放射線量であり、好ましくは5000MBq〜60000MBqの放射線量であり、体重および治療学的な有効性によって決まる。要求される放射線量は、123I−MIHおよび99mTc−パモ酸などの診断学上標識されたNACC小分子を用いる既存の診断的測定によっても見積もられ得る(他のNACC)。好ましくは、そのような診断学的なNACCは、壊死に対して同じ強い親和性を有するおよび/またはそのような診断学的なNACCは、要求される治療学的な投与量の正確な計算のための化学的な類似性を有する。例えば、123I−MIHは、131I−モノヨードヒペリシンによる治療学的な治療のための要求される治療学的な放射線量を見積もるために、診断学的な測定においてまず用いられ、99mTc−パモ酸は、90Y−パモ酸を用いる治療学的な治療において要求される治療学的な放射線量を見積もるために、診断学的な測定においてまず用いられる。フォトフリンII(Photofrin II)およびECIV−7などの他のNACC分子、並びにレニウム−186およびレニウム−188などのヨウ素−131やイットリウム−90以外の射性核種は、治療学的に標識されたNACC小分子と一緒にまたは順番に、殺腫瘍性の壊死誘発性治療の組み合わせられた治療のために用いられ得る。腫瘍の再発を防ぎ、腫瘍の損傷、腫瘍の焼灼または腫瘍の破壊に対する応答としての生存能力のある腫瘍細胞の増殖反応を阻止するための殺腫瘍性の化合物と(一緒にまたは順番に)組み合わせた治療において、要求される治療学的な放射線量を初めに計算し、その結果として、治療学的に標識されたフォトフリンIIまたはECIV−7を用いるために、そのようなフォトフリンIIまたはECIV−7は、診断学的な放射性核種を用いて標識され得る。例えば、腫瘍組織、例えば肝臓腫瘍および他の正常な臓器にわたる線量測定は、正常な臓器および組織に対する腫瘍におけるcGyとして放射線吸収を比較するために、逐次的なγカメラ、またはヨウ素−123で標識されたNACC小分子のμ−SPECT測定を利用して計算され得る。
【0033】
腫瘍の壊死を誘発するために可能な治療は、単回投与VTA(5〜10mg/kgでのCA−4P)のみであり、腫瘍の再成長を防ぐために24時間の間隔で、131I−MIHの単回投与と組み合わせられ得る;または、それぞれの状態における腫瘍の成長、動物の生存または有力な腫瘍治療法を比較するために、131I−MIHの1回または2回の繰り返し投与を1週間にわたって続けられ得る。他の可能な治療は、腫瘍の再発を防ぐために、24hの間隔において131I−MIHを単回投与または繰り返し投与することによってRFAを補完することである。131I−MIHは、他の治療学的に標識されたNACCによって置き換えられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、フェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン誘導体、例えば、ヒペリシンまたはその誘導体の構造を表している。ナフトジアントロン型分子は、本発明のための有用なNACC小分子でもある。本発明において使用するための特に有用な化合物は、治療学的に標識されたフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン誘導体であり、ヒペリシン(図1B)、偽ヒペリシン(図1C)、ステントリン(図1D)、フリンゲリト(図1E)、ギムノクローム類(ギムノクロームB(図1F)、ギムノクロームD(図1G)、イソギムノクロームD)およびブレファリスミンからなる(P.S. Song, 1995, J Photoscience 2, 21-35)。好ましい治療学的に標識されたフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン誘導体は、図1Hに示されたような構造を有する化合物である。
【図2】5mg/kgの投与量で、VTAコンブレタスタチンまたはCA−4Pの静脈注射を用いた、ラットにおける肝臓の横門筋肉種(R1)の治療。VTA療法の前に、コントラスト促進MRI(contrast enhanced MRI)は、肝臓において過剰血管で過剰に増えたR1腫瘍(矢印)を明らかにする(A)。治療法後2〜3時間の、R1腫瘍における劇的な血管の閉塞が、コントラスト促進MRIにおいて、低強度および非造影の腫瘤(矢印)として実証される、これは、VTAの殺傷性の作用を示している(B)。VTA治療法後2日間で、処置されたR1腫瘍は、低強度および非造影(矢印)のままである。これは、大規模な中心壊死を示している。しかし、強い辺縁造影(rim enhancement)が周辺に現れる(C)。肉眼検査は、辺縁のみを有するこの大きな壊死性腫瘍(矢印)を証明する。これは、魚肉様(fish-flesh like)の生存能力のある腫瘍組織を示している(D)。CおよびDにおいて、移行帯(transition zone)の上の長方形のフレームは、肉眼検査が焦点をあわせている場所を示している。顕微鏡(E)は結果として生じる中心の大きな壊死(N)、不完全な治療法が原因である末梢腫瘍再成長(T)、および正常な肝臓(L)に由来する新血管形成であり、緑がかった硫酸バリウム粒子によって標識された新血管形成を確かにする。それゆえ、壊死のすぐ近くにおけるサブミリメーター域の生存能力のある腫瘍は、小分子の治療学的に標識されたNACCの組み合わせた使用による現在のアジュバント抗がん療法のための理想的な条件を提示する。
【図3】図3は、犠牲にする4日前に、NACC、すなわち(蛍光の性質の)ヒペリシンを、5mg/kgで静脈注射し、24時間後に、ラジオ波焼灼(RFA)を用いて、マウスにおける肝臓の放射線で誘発された線維肉腫(RIF−1)の治療を実証している。A:タングステン光肉眼検査は、壊死性のRIF−1腫瘍(NT)および壊死性の肝臓(NL)を含む血の気がないRFA病変(矢印)、注射によってRFAから分離された魚肉様の生存能力のある腫瘍(VT)、および隣接する未処置の生存能力のある肝臓(VL)を示す。B:対応するUV光蛍光肉眼検査は、注射3日後に、ヒペリシンは、生存能力のある肝臓(VL)および生存能力のある腫瘍(VT)から殆ど完全に除去されているが、壊死性の腫瘍(NT)および壊死性の肝臓(NL)においてのみ維持されていることを実証している。これは、この化合物(矢印)の死体栄養性の特性(necrotropic property)を示唆している。AおよびBにおける長方形のフレームは、肉眼検査(CおよびD)がおおよそ焦点をあわせている場所を示している。C:共局在性のH&E染色された病理組織学的視野Dによって証明されているように、注射3日後に、RFA誘発性壊死性腫瘍領域(NT)、特に、生存能力のある腫瘍(VT)の近くで、蛍光性ヒペリシンは、まだ検出され得る。それゆえ、壊死においてヒペリシンの保持が延長されることは、ヨウ素−131の半減期(8日間)またはイットリウム−90の半減期(64時間)とよく一致する。これは、数ミリメーターの放射貫通(組織におけるβ粒子の最大範囲は、ヨウ素−131に関しては2.4mmであり、イットリウム−90に関しては12mmである)を特徴とする、小分子の治療学的に標識されたNACCの組み合わせられた使用を用いる既存のアジュバント抗がん放射線療法のための理想的な条件を提供する。
【図4】図4は、コントロールマウス(A’〜C’)と比較して、あらかじめ脈管標的剤の24時間後に、ヨウ素−131−ヒペリシンの標的化放射線療法を用いて処置されたマウスH22腫瘍の肩の移植モデル(A〜C)おける予備的な結果を実証している。 処置されたマウス(ZD2661 50mg/kg 静脈内投与およびヨウ素−131−ヒペリシン 1.0mCi 静脈内投与):A:治療前、腫瘍は19×11×7mm3のサイズである;B:組み合わせた治療の12日後、腫瘍は17×10×5mm3のサイズである;C:切除された腫瘍の標本。 コントロールマウス(生理食塩水 静脈内投与およびヨウ素−131−ヒペリシン 1.0mCi 静脈内投与):A’:治療前、腫瘍は16×9×5mm3のサイズである;B’:ヨウ素−131−ヒペリシンのみの治療の12日後、腫瘍は20×10×8mm3のサイズである;C’:切除された腫瘍の標本。 なお、治療前に、腫瘍は大きかった。しかし、治療後に、コンロトロールのマウスにおける腫瘍よりも、複数の治療を用いたマウスにおいて、それぞれ、小さくなっていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壊死誘発性の抗腫瘍療法を受けている温血動物の治療可能性を高めるための壊死標的療法において用いるための、治療学的に標識されたナフトジアントロンまたはフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン化合物。
【請求項2】
上記ナフトジアントロンまたはフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン化合物は、ヒペリシン、偽ヒペリシン、ステントリン、フリンゲリト、ギムノクロームB、ギムノクロームD、イソギムノクロームDおよびブレファリスミンからなる群の化合物である、請求項1に記載の治療学的に標識されたナフトジアントロンまたはフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン化合物。
【請求項3】
上記治療学的な標識は、153サマリウム、156ホルミウム、165ジスプロシウム、203鉛、186レニウム、188レニウム、211ビスマス、212ビスマス、213ビスマス、および214ビスマス、153Sm、159Gd、186Re、166Ho、88イットリウム、90イットリウム、91イットリウム、89イットリウム並びに131ヨウ素からなる群からの放射性放射体である、前請求項のいずれかに記載の治療学的に標識されたナフトジアントロンまたはフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン化合物。
【請求項4】
上記治療学的に標識されたナフトジアントロンまたはフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン化合物は、ヨウ素−131−ヒペリシンである、前請求項のいずれか。
【請求項5】
上記治療学的な標識は、不安定な核を有し、かつ、安定した形態に向かう核崩壊の間にわたって、隣接している細胞または組織を局所領域的に破壊するに十分な放射線を放出する放射性核種である、請求項1に記載の治療学的に標識されたナフトジアントロンまたはフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン化合物。
【請求項6】
腫瘍の再発を防ぐための、前請求項のいずれかに記載の治療学的に標識されたナフトジアントロンまたはフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン化合物。
【請求項7】
壊死誘発性抗腫瘍療法に対して耐性である、残存している生存能力のある腫瘍細胞の、腫瘍の損傷、腫瘍の焼灼または腫瘍の破壊に対する応答としての上記増殖反応を阻止するための、前請求項のいずれかに記載の治療学的に標識されたナフトジアントロンまたはフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン化合物。
【請求項8】
上記治療学的な標識は、25〜350MBq/kgの放射線量を得るための量である、前請求項のいずれかに記載の治療学的に標識されたナフトジアントロンまたはフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン化合物。
【請求項9】
脈管標的剤と(一緒にまたは順に)組み合わせた治療における使用のための、前請求項のいずれかに記載の治療学的に標識されたナフトジアントロンまたはフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン化合物。
【請求項10】
腫瘍の再発を防ぐために、上記治療学的な標識は、25〜350MBq/kgの放射線量を得るための量であり、5〜100mg/kgの投与量を得るための量における脈管標的剤である、請求項7および8に記載の治療学的に標識されたナフトジアントロンまたはフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン化合物。
【請求項11】
AZD7545、ジクロロ酢酸塩(DCA)、ジクロロ酢酸ナトリウム、ハロゲン化アセトフェノン阻害剤、ラディシコールオキシムまたはラディシコールのような、ピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ阻害剤を用いる治療と(一緒にまたは順番に)組み合わせて使用するための、請求項1〜7のいずれかに記載の治療学的に標識されたナフトジアントロンまたはフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン化合物。
【請求項12】
上記放射性放射体は、放射性ランタニドの群から選択される放射性同位体または放射性元素から成る群から選択される、前請求項のいずれかに記載の治療学的に標識されたナフトジアントロンまたはフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン化合物。
【請求項13】
上記治療学的な標識は、放射性イットリウムまたは放射性レニウムである、前請求項のいずれかに記載の治療学的に標識されたナフトジアントロンまたはフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン化合物。
【請求項14】
上記治療学的な標識は、放射性ハロゲンである、前請求項のいずれかに記載の治療学的に標識されたナフトジアントロンまたはフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン化合物。
【請求項15】
上記治療学的な標識は、α放射体、β放射体およびγ放射体からなる群の放射性放射体である、前請求項のいずれかに記載の治療学的に標識されたナフトジアントロンまたはフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン化合物。
【請求項16】
治療学的な標識は、β放射体であり、当該β放射体のβエネルギーは、>0.1MeVであり、上記β放射体は1日を越える放射性核種の半減期を有する、前請求項のいずれかに記載の治療学的に標識されたナフトジアントロンまたはフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン化合物。
【請求項17】
上記治療学的な標識は、β放射体であり、当該β放射体のβエネルギーは、>0.1MeVであり、上記β放射体は、1週間を越える放射性核種の半減期を有している、前請求項のいずれかに記載の治療学的に標識されたナフトジアントロンまたはフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン化合物。
【請求項18】
上記治療学的に標識されたナフトジアントロンまたはフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン化合物は、放射線増感剤をさらに含有している、前請求項のいずれかに記載の治療学的に標識されたナフトジアントロンまたはフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン化合物。
【請求項19】
上記放射線増感剤は、トリヨードベンゼン成分、ボラン成分またはカルボラン成分である、請求項14に記載の治療学的に標識された小分子壊死親和性化学化合物。
【請求項20】
上記治療学的に標識されたナフトジアントロンまたはフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオンは、1以上のジクロロ酢酸塩成分を有している、前請求項のいずれかに記載の治療学的に標識されたナフトジアントロンまたはフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン化合物。
【請求項21】
前請求項に記載の治療において使用するための、上記治療学的に標識されたナフトジアントロンまたはフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン化合物および薬学的に許容され得る担体を含有している、薬学的組成物。
【請求項22】
(a)殺腫瘍性の化合物、化学療法剤、抗腫瘍剤および脈管標的剤からなる群の第1の薬剤と、
(b)腫瘍の壊死を誘発し、その結果として、壊死誘発性抗腫瘍療法に耐性のある、生存能力のある腫瘍細胞の腫瘍の損傷、腫瘍の焼灼または腫瘍の破壊への応答としての増殖反応を防ぐための治療において使用するための、不安定な核を有し、かつ、安定した形態に向かう核崩壊の間にわたって、隣接している細胞または組織を局所領域的に破壊するに十分な放射線を放出する化学元素または同位体を含有している、第2の治療学的に標識されたナフトジアントロンまたはフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン化合物と、
を含有している、キット。
【請求項23】
上記第1の薬剤は、脈管標的剤、コンブレタスタチンもしくはその類似体、またはその薬学的に許容され得る塩である、請求項22のキット。
【請求項24】
上記第1の薬剤は、チューブリン結合剤の水溶性リン酸塩プロドラッグであるZD6126(N−アセチルコルヒノール)である、請求項22のキット。
【請求項25】
上記第1の薬剤は、コンブレタスタチンA−4のリン酸塩プロドラッグの塩である、請求項22のキット。
【請求項26】
上記治療学的に標識されたナフトジアントロンまたはフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン化合物は、ヒペリシン、偽ヒペリシン、ステントリン、フリンゲリト、ギムノクロームB、ギムノクロームD、イソギムノクロームDおよびブレファリスミンからなる群の化合物である、請求項22のキット。
【請求項27】
上記治療学的に標識されたナフトジアントロンまたはフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン化合物は、治療において25〜350MBq/kgを供給するために、放射性標識を含有していた、請求項22から26のキット。
【請求項28】
上記治療学的に標識されたナフトジアントロンまたはフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン化合物は、治療において35〜250MBq/kgを供給するために、放射性標識を含有している、請求項22から27のキット。
【請求項29】
上記治療学的に標識されたナフトジアントロンまたはフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン化合物は、治療において50〜200MBq/kgを供給するために、放射性標識を含有している、請求項22から28のキット。
【請求項30】
上記治療学的に標識されたナフトジアントロンまたはフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン化合物は、5000MBq〜60000MBqの放射線量を有している、請求項22から29のキット。
【請求項31】
上記治療学的に標識されたナフトジアントロンまたはフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン化合物は、5000MBq〜20000MBqの放射線量を有している、請求項22から30のキット。
【請求項32】
上記治療学的に標識されたナフトジアントロンまたはフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン化合物は、25〜350MBq/kgの治療放射線量を得るための量における放射線標識されたヒペリシンおよび5〜200mg/kgの治療投与量、好ましくは5〜50mg/kgの治療投与量を得るための量における上記脈管標的剤である、請求項22から31のキット。
【請求項33】
上記治療学的に標識されたナフトジアントロンまたはフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン化合物および上記脈管標的剤は、腫瘍壊死の誘発と腫瘍の再発の予防とを(一緒にまたは順番に)組み合わせた治療において用いるためのものである、請求項22から32のキット。
【請求項34】
必要とする患者において腫瘍の壊死を誘発し、腫瘍の再発を防ぐ治療の方法であり、
上記方法は、上記患者に、
(a)殺腫瘍性の化合物、化学療法剤、抗腫瘍剤および脈管標的剤からなる群の第1の薬剤と、
(b)不安定な核を有し、かつ、安定した形態に向かう核崩壊の間にわたって、隣接している細胞または組織を局所領域的に破壊するに十分な放射線を放出する化学元素または同位体を含有している、治療学的に標識されたナフトジアントロンまたはフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン化合物である、第2の薬剤と、
を投与することを包含し、
上記第1および上記第2の化合物は、ともに上記疾患を処置するに十分な量において、同時に投与されるか、またはお互いの投与の1日から3日間以内に投与される。
【請求項35】
必要とする患者において腫瘍の壊死を誘発し、局所の腫瘍の再成長または遠位の転移腫瘍の再成長を防ぐ治療の方法であり、
上記方法は、上記患者に、
(a)殺腫瘍性の化合物、化学療法剤、抗腫瘍剤および脈管標的剤からなる群の第1の薬剤と、
(b)不安定な核を有し、かつ、安定した形態に向かう核崩壊の間にわたって、隣接している細胞または組織を局所領域的に破壊するに十分な放射線を放出する化学元素または同位体を含有している、治療学的に標識されたナフトジアントロンまたはフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン化合物である、第2の薬剤と、
を投与することを包含し、
上記第1および上記第2の化合物は、ともに上記疾患を処置するに十分な量において、同時に投与されるか、またはお互いの投与の1日から3日間以内に投与される。
【請求項36】
必要とする患者において腫瘍の壊死を誘発し、腫瘍の損傷、腫瘍の焼灼または腫瘍の破壊に対する応答としての、壊死誘発性抗腫瘍療法に対して耐性のある生存能力のある腫瘍細胞の続く増殖反応を阻害する治療の方法であり、
上記方法は、上記患者に、
(a)殺腫瘍性の化合物、化学療法剤、抗腫瘍剤および脈管標的剤からなる群の第1の薬剤と、
(b)不安定な核を有し、かつ、安定した形態に向かう核崩壊の間にわたって、隣接している細胞または組織を局所領域的に破壊するに十分な放射線を放出する化学元素または同位体を含有している、治療学的に標識されたナフトジアントロンまたはフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン化合物である、第2の薬剤と、
を投与することを包含し、
上記第1および上記第2の化合物は、ともに上記疾患を処置するに十分な量において、同時に投与されるか、またはお互いの投与の1日から3日間以内に投与される。
【請求項37】
上記第2の薬剤を用いた少なくとも1以上の治療工程が続く、上記の請求項のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−504511(P2011−504511A)
【公表日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−535181(P2010−535181)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【国際出願番号】PCT/BE2008/000099
【国際公開番号】WO2009/067767
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(510146045)カトリーケ ウニヴェルジテート ルーヴェン (1)
【氏名又は名称原語表記】KATHOLIEKE UNIVERSITEIT LEUVEN
【住所又は居所原語表記】K.U.Leuven R & D,Minderbroedersstraat 8A−bus 5105,B−3000 Leuven,Belgium
【Fターム(参考)】