説明

標識情報処理装置及びプログラム

【課題】場所に関する情報が存在することを示す床面標識を複数まとめて順序立てて扱うことにより、実空間と結びついた物語を作成し、提供する。
【解決手段】本発明は、クライアント端末から取得した、床面標識に対する、円環状に数字が配置された標識IDと、該標識IDに対応する文章や写真を含む記事からなる標識データと、該標識データの繋がり方を指定した経路データとを編集してデータベースに格納し、クライアント端末から、標識データの検索要求として、標識IDが入力されると、該標識IDに基づいてデータベースを検索して、対応する標識データを該クライアント端末に送信し、表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、標識情報処理装置及びプログラムに係り、特に、場所に関する情報が存在することを示す床面標識情報を提示するための標識情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
実空間に設置された「固有のIDを持つ床面標識」を用い、床面標識が設置された場所に関する情報を床面標識のIDと結びつけて保持し、床面標識のIDで場所情報を検索・提示する機能を備える情報案内システムが存在する(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2008−090811号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の方法では、床面標識はそれぞれ独立しており、床面標識を意味的に関係付ける手段は存在しなかった。そのため、複数の床面標識を特定の意味の下にまとめて構造化することはできなかった。
【0004】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、場所に関する情報が存在することを示す床面標識を複数まとめて順序立てて扱うことにより、実空間と結びついた物語を作成し、また、読むことのできる標識情報処理装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
図1は、本発明の原理構成図である。
【0006】
本発明(請求項1)は、実空間に配置された床面標識と情報を関連付けて管理する標識情報処理装置であって、
クライアント端末2から取得した、床面標識に対する、円環状に数字が配置された標識IDと、該標識IDに対応する文章や写真を含む記事からなる標識データと、該標識データの繋がり方を指定した経路データとを編集してデータベース10に格納する編集手段45と、
クライアント端末2から、標識データの検索要求として、標識IDが入力されると、該標識IDに基づいてデータベース10を検索して、対応する標識データを該クライアント端末に送信し、表示させる検索手段20と、を有する。
【0007】
また、本発明(請求項2)は、データベース10の経路データに、次の標識への方向を表す情報及び経路内の順序情報を含み、
検索手段20において、
標識IDに基づいて、データベース10の経路データを検索し、順序情報に基づいて次の標識への方向を表す情報を、標識データと共にクライアント端末に送信し、表示させる手段を含む。
【0008】
本発明(請求項3)は、請求項1または2記載の標識情報処理装置を構成する各手段としてコンピュータを機能させるための標識情報処理プログラムである。
【発明の効果】
【0009】
上記のように本発明によれば、実空間の場所に関する情報が存在することを示す床面標識の標識IDに対応させて文章や写真等の記事を格納し、さらに、複数の床面標識を繋げた経路を物語のように編集し格納することで、閲覧者は、標識IDに基づいて検索された記事を閲覧することができると共に、複数の床面標識の経路を辿ることにより、実空間と結びついた記事を、物語のように読むことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面と共に本発明の実施の形態を説明する。
【0011】
本実施の形態で用いる用語を以下に示す。
【0012】
・実空間に設置された床面標識の固有のID:「標識ID」
・標識に対応する文章や写真:「記事」
・2つ以上の床面標識の連なり:「経路」
まず、床面標識について説明する。
【0013】
図2は、円環数列によるIDを持つ床面標識の例である。
【0014】
円環状に4つの数字を配置する。この円環数列がIDとなる。
【0015】
図2の場合「2367」「3472」「6723」「7236」は同じ場所、同じ床面標識を表す1つのIDとして扱う。
【0016】
IDを構成する個々の数字は、方向を示すためにも利用可能である。図2の場合、「2の方向」「3の方向」「6の方向」「7の方向」を示すことができる。
【0017】
図3は、本発明の一実施の形態における標識情報処理装置の構成を示す。
【0018】
図3に示す標識情報処理装置1は、サーバ・クライアントシステムのサーバに相当し、クライアントとして利用される携帯端末等のクライアント端末2に接続される。
【0019】
標識情報処理装置1は、情報(記事)を保存するデータベース10と、データベース10に保存された記事を検索し表示する記事検索・表示部20、記事や経路の情報をデータベース10に登録する登録部30、記事を含む標識データを編集する標識データ編集部40、経路データを編集する経路データ編集部50、クライアント端末2と通信する通信部60、標識データと経路データを管理する標識・経路テーブル70を備える。
【0020】
クライアント端末2として、床面標識を設置した場所での作業が行えるように携帯型端末を用いる。本実施の形態では、携帯型端末の例として携帯電話を用いる。記事の登録や閲覧の操作には、携帯電話が備えるウェブブラウザを利用する。記事に写真も登録する場合は携帯電話にカメラ機能が必要である。
【0021】
次に、データベース10内のデータ構造を説明する。
【0022】
本発明では、標識データと経路データとを用いる。図4は、本発明の一実施の形態における標識データと経路データの例である。標識データは、図5に示すように、標識IDと記事情報を持つ。標識IDは円環数列であるが、最も小さい数字が左端になるように正規化した値をシステムの内部表現として用いる。例えば、「2367」「3672」「6723」「7236」の内部表現値は「2367」である。記事情報は、システム内における写真ファイル(図示せず)の場所を示す指示子と、文章から構成される。
【0023】
経路データは、図6に示すように、経路IDと標識データに対する参照情報と次の標識への方向を表す番号情報と経路内順序情報を保持する。経路データにおける参照情報には全順序関係がある。同一の標識データを複数の経路から参照することが可能である。
【0024】
以下に、上記の構成における動作を説明する。
【0025】
<記事登録>
次に、登録部30における処理を説明する。
図7は、本発明の一実施の形態における登録時のフローチャートである。
【0026】
ステップ101) クライアント端末2から、標識登録が選択された場合は、通信部60は、設置する床面標識の標識IDと記事情報が未登録の標識データを受信する。一方、経路編集が選択された場合はステップ104に移行する。
【0027】
ステップ102) クライアント端末2の登録者は、床面標識を設置する。
【0028】
ステップ103) 登録部30は、ステップ101で受信した標識IDをデータベース10に登録し、ステップ105に移行する。
【0029】
ステップ104) ステップ101において経路編集が選択された場合は、経路データ編集部50において、床面標識Aと床面標識Bの2つの繋がり方が指定された経路を編集する。
【0030】
ステップ105) 登録部30は、クライアント端末2から記事情報を取得した場合には、設置した床面標識に対応する文章や写真を含む記事を、データベース10の標識データのテーブルに登録する。また、ステップ104の処理で編集された経路情報を取得した場合は、当該経路データをデータベース10の経路データのテーブルに登録する。
【0031】
以下に、標識情報処理装置1とクライアント端末2における登録時の動作を説明する。
【0032】
図8は、本発明の一実施の形態における標識データ登録時のシーケンスチャートである。
【0033】
まず、クライアント端末2の利用者が、床面標識の標識情報を登録する場合には、図9に示す標識ID入力欄21に標識IDを入力して登録ボタン22を押下する。登録ボタン22を押下することにより、「標識ID情報を持ち、記事情報は未登録の標識データ」が1つ生成され(ステップ201)、当該データが標識情報処理装置1に送信される(ステップ202)。標識情報処理装置1は、登録部30において、標識ID情報をデータベース10の標識データのテーブルに登録する(ステッ203)。
【0034】
続いて、クライアント端末2では、図10に示す経路編集画面に遷移する。当該画面に遷移すると、文章入力欄33に記事の文章を入力する。カメラ機能を用いて写真を撮影する場合は、写真撮影ボタン32を押下する(ステップ204)。記事登録ボタン34を押下すると、標識ID情報(同図の場合は「2367」)を持つ標識データの記事情報が更新され、画面は上記の図7のような標識ID登録画面に遷移する。これにより、更新された記事情報が標識情報処理装置1に送信される(ステップ205)。
【0035】
クライアント端末2から上記のような操作が行われると、標識情報処理装置1は、通信部60においてクライアント端末2からの登録情報を受信し、そのうち、写真は、写真ファイル(図示せず)に格納し、その格納位置情報を登録部30に転送する(ステップ206)。登録部30においてデータベース10の標識データのテーブルに標識IDに対応付けて文章と写真の格納位置情報を追加書き込みを行う(ステップ207)。
【0036】
<経路編集>
次に、経路編集の動作について説明する。
【0037】
図11は、本発明の一実施の形態における経路編集時の動作のシーケンスチャートである。
【0038】
クライアント端末2において、図12に示す経路編集画面が表示されると、「次の標識への方向の指定」「標識データの参照情報の削除」「標識の順序の変更」のいずれかの処理を行う。「次の標識への方向指定」は、番号で指定される。図12の例では、標識ID「2367」から見て「6」の方向に標識「6541」があると指定している。削除チェックボックス43は、経路から削除される標識を指定するために用いる。これらの「次の標識への方向の指定」及び「標識データの参照情報の削除」に関する経路データの更新は、経路登録ボタン45の押下を契機として行う(ステップ301)。「標識の順序の変更」は、順序変更リンク44の選択によって行う。順序変更リンク44が選択された場合は、経路データにおける参照順序を更新し、該標識データの参照の順番を1つ上げる操作を行う。このような操作により、標識情報処理装置1に標識ID、経路ID及び更新指示を送信する(ステップ302)。
【0039】
標識情報処理装置1は、通信部60において、標識IDと経路データの更新の指示を取得すると、経路データ編集部50は、標識ID及び経路IDに基づいてデータベース10の経路データのテーブルを検索し(ステップ303)、更新指示に対応する方向または、順序を変更する(ステップ304)。標識情報処理装置1は、更新された内容を通信部60を介してクライアント端末2に送信する(ステップ305)。クライアント端末2は、更新された情報を画面上に表示する(ステップ306)。このようにして表示されたクライアント端末2の画面の例を図13に示す。図13の画面が表示されている場合の、経路データのテーブルの標識ID「3456」の方向は「3」であり、順序は「2」に更新されている。
【0040】
上記の記事登録及び経路データ編集の処理により、設置された標識の設置場所に即して物語の断片を記述し、その繋がり方を編集することにより、実空間の経路に沿って展開する物語を作成できる。
【0041】
<物語閲覧>
次に、既にデータベース10に格納されている床面標識の情報(記事)及び経路の情報によって構築された物語を閲覧する場合について説明する。
【0042】
図14は、本発明の一実施の形態における閲覧時の動作のフローチャートである。
【0043】
クライアント端末2において、図15に示す閲覧時の画面から標識ID入力欄51から標識IDを入力後、検索ボタン52が押下されると、標識情報処理装置1は、クライアント端末2から標識IDによる検索要求を受信する(ステップ401)。記事検索・表示部20は、当該標識IDに基づいてデータベース10の標識データのテーブルを検索し、当該標識IDに対応する記事を取得する。当該標識データのテーブルに写真ファイルの格納場所が示されている場合には、当該写真ファイル(図示せず)から写真も取得する。さらに、当該標識IDに基づいて経路データのテーブルも参照し、次の標識の方向を取得して、記事、写真、標識の方向を検索結果としてクライアント端末2に送信する。これにより、クライアント端末2は、取得したデータを記事表示画面に表示する(ステップ402)。
【0044】
具体的には、閲覧者が標識ID「2367」を入力すると、標識情報処理装置1では、当該標識ID「2367」に基づいて標識データのテーブルを検索し、文章「この通路を抜けると、その先には・・・・」と当該記事の写真を取得し、また、経路データのテーブルから次の標識の方向「6」を取得してクライアント端末2に送信する。これにより、クライアント端末2には、図16に示すような記事表示画面が表示される。
【0045】
上記のように、閲覧時には、閲覧者は、「標識を見つけては検索して記事を読む」という行動を繰り返して、場所と結びついた物語を楽しむことができる。
【0046】
また、上記の図2に示す標識情報処理装置の構成要素の動作をプログラムとして構築し、標識情報処理装置(サーバ)として利用されるコンピュータにインストールして実行させる、または、ネットワークを介して流通させることが可能となる。
【0047】
また、構築されたプログラムをハードディスクや、フレキシブルディスク・CD−ROM等の可搬記憶媒体に格納し、コンピュータにインストールする、または、配布することが可能である。
【0048】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲内において種々変更・応用が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、指定された経路上の標識に関する情報を提供する技術に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の原理構成図である。
【図2】円環数列によるIDを持つ床面標識の例である。
【図3】本発明の一実施の形態における標識情報処理装置の構成図である。
【図4】本発明の一実施の形態における標識データと経路データの例である。
【図5】本発明の一実施の形態における標識データのテーブル構造である。
【図6】本発明の一実施の形態における経路データのテーブル構造である。
【図7】本発明の一実施の形態における登録時のフローチャートである。
【図8】本発明の一実施の形態における標識データ登録時のシーケンスチャートである。
【図9】本発明の一実施の形態におけるクライアント端末の標識ID登録画面の例である。
【図10】本発明の一実施の形態におけるクライアント端末の記事登録画面の例である。
【図11】本発明の一実施の形態における経路編集時の動作のシーケンスチャートである。
【図12】本発明の一実施の形態におけるクライアント端末の経路編集画面の例である。
【図13】本発明の一実施の形態におけるクライアント端末の経路データ変更後の画面例である。
【図14】本発明の一実施の形態における検索時の動作のフローチャートである。
【図15】本発明の一実施の形態におけるクライアント端末の閲覧時の画面例である。
【図16】本発明の一実施の形態における記事表示画面の例である。
【符号の説明】
【0051】
1 標識情報処理装置
2 クライアント端末
10 データベース
20 記事検索・表示部
21 標識ID入力欄
22 登録ボタン
23 経路編集ボタン
30 登録部
31 標識ID
32 写真撮影ボタン
33 文章入力欄
34 登録ボタン
40 標識データ編集部
41 標識ID
42 次の方向の番号を指定する入力欄
43 削除チェックボックス
44 順序変更リンク
45 経路登録ボタン
50 経路データ編集部
51 標識ID入力欄
52 検索ボタン
60 通信部
61 標識ID
62 記事の写真
63 記事の文章
64 次の標識の方向を表示
65 標識ID入力欄
66 検索ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実空間に配置された床面標識と情報を関連付けて管理する標識情報処理装置であって、
クライアント端末から取得した、前記床面標識に対する、円環状に数字が配置された標識IDと、該標識IDに対応する文章や写真を含む記事からなる標識データと、該標識データの繋がり方を指定した経路データとを編集してデータベースに格納する編集手段と、
前記クライアント端末から、標識データの検索要求として、前記標識IDが入力されると、該標識IDに基づいて前記データベースを検索して、対応する標識データを該クライアント端末に送信し、表示させる検索手段と、
を有することを特徴とする標識情報処理装置。
【請求項2】
前記データベースの前記経路データは、
次の標識への方向を表す情報及び経路内の順序情報を有し、
前記検索手段は、
前記標識IDに基づいて、前記データベースの前記経路データを検索し、前記順序情報に基づいて次の標識への方向を表す情報を、前記標識データと共に前記クライアント端末に送信し、表示させる手段を含む
請求項1記載の標識情報処理装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の標識情報処理装置を構成する各手段としてコンピュータを機能させるための標識情報処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−8969(P2010−8969A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−171641(P2008−171641)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】