説明

横形製袋充填機の脱気装置

【課題】袋内の残存空気を少なくした状態に脱気し得る横形製袋充填機の脱気装置を提供する。
【解決手段】上シール体12の下流側に、第1シリンダ48で昇降動される第1の押付部材42が配設される。搬出コンベヤ20の側方に、作動シリンダ52によって退避位置と脱気位置との間を水平回動する脱気部材44が配設される。一対のシール体12,14が筒状フィルムFを挟持して噛合する前に、第1の押付部材42が下降して、第1押面42aで物品Wの下流端縁から下流側に延出するフィルム延出部50が押さえ付けられると共に、第2押面42bが物品Wの上面に筒状フィルムFを押さえ付ける。フィルム延出部50が下流側に移動することで、第1押面42aで上側を押さえ付けたフィルム延出部50の下側を脱気部材44で下流側から上流側へ向けて撫で付けることで、内部空気は上流側押しやられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱気されたピロー包装品を得るための横形製袋充填機の脱気装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
横形製袋充填機において、製袋手段で成形された筒状フィルム内に所定間隔毎に供給された物品を挟む前後位置で、該筒状フィルムの搬送方向と交差する方向に横シールを施すに際し、筒状フィルム内の余分な空気を排除するための脱気装置として、例えば特許文献1や特許文献2に記載された技術がある。
【0003】
両特許文献に開示の装置は、一対のシール体により筒状フィルムを挟持して横シールするタイミングに合わせて、筒状フィルム内に収容された物品を、上側から押付部材で搬送コンベヤに対して押さえ付け、物品収容部付近の筒状フィルム内の空気をフィルムの搬送方向上流側に押し出し、その後にシール体でフィルムを挟持して横シールすることで、脱気されたピロー包装品を得るようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−142810号公報
【特許文献2】実用新案登録第3111669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、例えば複数のPTP包装品を積み重ねてアルミ蒸着フィルムで袋詰めしたピロー包装品等のように、比較的厚手で腰の強いフィルムで包装した包装品を1個または複数個単位で纏めてカートンに箱詰めするには、収容容積をコンパクトにするために、ピロー包装品の前後端部におけるフィルム延出部を収容物品の端部に沿って折り曲げることが行なわれる。このようなピロー包装品において、特に収容物品の高さが高いものでは、前記特許文献1,2に開示の装置では、押付部材で物品上方の筒状フィルムのみを物品上面に押さえ付けるようにしているため、物品収容部付近の空気が下流端側のフィルム延出部に逃げて袋内の脱気が不充分となり、袋内の残存空気によってフィルム延出部の折り曲げを良好に行なうことができなくなる問題がある。また、残存空気によってピロー包装品が膨れた状態となるため、その包装品を袋または箱に纏めて一括包装する場合等においても、比較的大きな容積の袋または箱を採用しなければならない難点が指摘される。
【0006】
すなわち本発明は、従来の技術に係る脱気装置に内在する前記課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、袋内の残存空気を少なくした状態に脱気し得る横形製袋充填機の脱気装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項1の発明に係る横形製袋充填機の脱気装置は、
筒状フィルム中に所定間隔毎に供給された物品を挟む前後に一対のシール体で横シールを施す横シール手段を備え、
前記一対のシール体で横シールして得た包装品を載置して搬送する搬出コンベヤと、
前記搬出コンベヤに接近・離間可能に配設され、その接近時に第1押面で搬出コンベヤに載置された物品の搬送方向下流側に延出する筒状フィルムのフィルム延出部を上側から支持すると共に第2押面で筒状フィルムを物品の上面に押さえ付ける押付部材と、
前記搬出コンベヤにおいて筒状フィルムの下流端に形成されたフィルム延出部の下側に到り、フィルム延出部との相対的移動により前記押付部材の第1押面で上側が支持されたフィルム延出部の下側を下流側から上流側へ向けて撫で付ける脱気部材とを有することを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明では、前記脱気部材は、前記第1押面で上側が支持されたフィルム延出部の下側を下流側から上流側に向けて相対的に水平移動する構成としたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明では、前記脱気部材は回動可能に支持され、前記搬出コンベヤにおけるフィルム延出部の下側に臨む位置まで回動してフィルム延出部の下側を下流側から上流側に向けて撫で付ける構成としたことを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明では、前記第2押面で筒状フィルムが上面に押さえ付けられる物品の上流位置で前記一対のシール体の噛合位置より下流において、シール体の噛合前に筒状フィルムを上下から挟持する一対の第2の押付部材を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明では、前記第2の押付部材は、前記第2押面で筒状フィルムを物品に押さえ付けた後に筒状フィルムを挟持する構成としたことを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明では、前記一対のシール体の上流側には搬送コンベヤが配設され、前記シール体の対向移動を許容すべく搬送コンベヤと搬出コンベヤとの対向端部を相対的に接近・離間移動可能に構成すると共に、前記第2の押付部材で筒状フィルムを挟持する動作に先立ち前記対向端部を広げる構成としたことを特徴とする。
【0013】
請求項7に係る発明では、前記一対のシール体の上流側に第3の押付部材を配設し、該第3の押付部材を、前記第2押面で物品の上面に筒状フィルムを押さえ付けてから搬送コンベヤに載置された後続の物品の上面を押さえ付ける構成としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によれば、比較的長いフィルム延出部を有するピロー包装品においても袋内の空気を効果的に脱気したピロー包装品を得ることができ、フィルム延出部の折り曲げを良好に行ない得る。
請求項2に係る発明によれば、第1押面で支持されているフィルム延出部を脱気部材で平になるように撫で付けて、フィルム延出部内の空気を下流側に押しやることができる。
請求項3に係る発明によれば、脱気部材を移動するための構成を簡略化し得る。
請求項4に係る発明によれば、第2押面で押さえ付けられる物品より上流側の筒状フィルムのフィルム延出部を挟持するよう圧縮することで、物品より上流側の筒状フィルム内の空気を挟持位置より上流側に押しやることができ、袋内に残存する空気の量をより少なくすることができる。
請求項5に係る発明によれば、第2押面で物品の上面に筒状フィルムを押さえ付けてから第2の押付部材で筒状フィルムを絞り込むので、空気残存量の少ない包装品を得ることができる。
請求項6に係る発明によれば、第2の押付部材による脱気を確実に行ない得ると共に、筒状フィルムに供給されている物品の搬送コンベヤと搬出コンベヤとの対向端部間での受渡しを良好に行なうことができる。
請求項7に係る発明によれば、第3の押付部材で後続する物品の上面を押さえ付けることで、シール体により筒状フィルムが絞り込まれる際に、物品が位置ずれしたり姿勢が変化するのを防止することができ、しわの発生その他シール不良等、包装不良品の発生を未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例に係る脱気装置を備える横形製袋充填機の要部概略正面図である。
【図2】実施例に係る横形製袋充填機の要部概略側面図である。
【図3】実施例に係る脱気装置の要部平面図である。
【図4】実施例に係る搬送コンベヤと搬出コンベヤとの対向端部を開閉する機構部を示す要部概略正面図である。
【図5】実施例に係る脱気装置による脱気工程における作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明に係る横形製袋充填機の脱気装置につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。なお、実施例において、上流・下流とは、搬送コンベヤ18および搬出コンベヤ20で搬送される筒状フィルムFの搬送方向との関係で指称する。
【実施例】
【0017】
横形製袋充填機は、製袋手段で筒状に成形された筒状フィルムFの長手方向の重合端縁部に縦シール機構で連続的に縦シールを施しつつ、給送手段により筒状フィルムFを下流側に向けて搬送する。また、製袋手段で成形された筒状フィルムF内へ供給手段によって物品Wが所定間隔毎に供給され、筒状フィルムFにおける物品Wの前後に、横シール機構(横シール手段)10の上下一対のシール体12,14で横シール・切断することでピロー包装品16が得られる。
【0018】
図1に示す如く、前記横シール機構10を挟んで上流側に搬送コンベヤ18が配設されると共に、下流側には搬送コンベヤ18と搬送レベルを一致させた搬出コンベヤ20が直列に配設される。横シール機構10は、搬送コンベヤ18と搬出コンベヤ20との間において、筒状フィルムFの搬送路を挟んで第1支持部材22と第2支持部材24とが上下に対向して配設され、両支持部材22,24は公知の作動機構によって相対的に接近・離間移動するよう構成される。上側の第1支持部材22に上シール体12が配設されると共に、下側の第2支持部材24に下シール体14が配設され、両支持部材22,24が相互に接近することで、上下で対をなすシール体12,14が筒状フィルムFを挟持するように噛合し、該フィルムFにフィルム搬送方向と交差する横シールを施すよう構成される。
【0019】
前記一対のシール体12,14は、筒状フィルムFから最も離間した位置から相互に接近して筒状フィルムFを絞り込むように挟持して噛合することで横シールを施すと共に、該筒状フィルムFを挟持した状態で下流側に向けて所要距離だけ水平移動した後に、相互に離間して再び上流側に向けて移動する、所謂ボックスモーション動作を行なうよう構成される。なお、シール体12,14で筒状フィルムFを挟持して噛合した際に、一方のシール体12に配設されたカッタによってシール部分で筒状フィルムFが切断されるようになっている。
【0020】
前記搬送コンベヤ18および搬出コンベヤ20は、固定フレームに対して可動フレームをフィルム搬送方向の前後に移動自在に配設したコンベヤフレーム21を備え、該コンベヤフレーム21に枢支した複数のプーリ間に夫々無端ベルト26が走行可能に巻掛けられている。搬出コンベヤ20の搬送速度は、搬送コンベヤ18の搬送速度よりも高速となるよう設定される。また、搬送コンベヤ18の終端と搬出コンベヤ20の始端とに巻掛けられた各無端ベルト26の転向部間には、小径ローラ28が対応する可動フレームに夫々回転自在に配設されている。
【0021】
前記搬送コンベヤ18および搬出コンベヤ20の対向端部は、開閉機構30を介して横シール機構10に連繋されて、該横シール機構10における下シール体14に同期してフィルム搬送方向の前後に向けて移動すると共に相互に離間・接近移動するよう構成される。すなわち、下シール体14が最下点に位置した状態では、図1および図5(a)に示す如く、両コンベヤ18,20の対向端部が近接し、下シール体14の上昇移動と共に前記対向端部が相互に離間して、下シール体14の上昇移動を許容する隙間を両コンベヤ18,20の対向端部間に形成するよう構成される。また、実施例の搬出コンベヤ20は、後述する下側の第2の押付部材46が昇降動する際に、上流端をフィルム搬送方向の前後に向けて移動するよう構成され、第2の押付部材46,46で筒状フィルムFを挟持する動作に先立って両コンベヤ18,20の対向端部間の隙間を更に広げて、第2の押付部材46の上昇移動を許容し得るよう構成される。
【0022】
前記開閉機構30は、図4に示す如く、両コンベヤ18,20の可動フレームに、カム溝32aを形成したカム板32が夫々配設され、また前記第2支持部材24と一体で移動する側板34に、搬送コンベヤ側のカム溝32aに転動可能に係合する第1ローラ36aを支持する第1ホルダ36が配設されると共に、搬出コンベヤ側のカム溝32aに転動可能に係合する第2ローラ40aを支持する第2ホルダ40が駆動シリンダ38を介して配設される。すなわち、第2支持部材24と共に両ローラ36a,40aが上下動することで、カム溝32a,32aとの係合作用下に可動フレームが相互に接近・離間移動して、両コンベヤ18,20の対向端部が開閉するよう構成される。また、駆動シリンダ38を正逆付勢することで、搬出コンベヤ20の可動フレームが独立してフィルム搬送方向の前後に向けて移動するようになっている。
【0023】
図1および図2に示す如く、脱気装置は、前記一対のシール体12,14より下流側において、前記搬出コンベヤ20の上方に位置して筒状フィルムFに対して接近・離間移動する第1の押付部材42と、該第1の押付部材42と搬出コンベヤ20の搬送面との間を水平回動して物品Wより下流側において下流側から上流側に向けて移動する脱気部材44と、一対のシール体12,14と第1の押付部材42との間において、筒状フィルムFを上下から挟持する一対の第2の押付部材46,46とを備える。
【0024】
前記第1の押付部材42は、前記第1支持部材22に配設した第1シリンダ48からなる駆動手段に連結されて、前記上シール体12の移動と一体的に昇降動すると共にフィルム搬送方向の前後に向けて移動するよう構成される。また第1の押付部材42は、第1シリンダ48によって上シール体12の昇降動とは独立して昇降動し得るものであって、下面が搬出コンベヤ20の搬送面に接近した作動位置および筒状フィルムFの搬送路の上方に離間した待機位置の間を昇降動するよう構成される。第1の押付部材42は、スポンジや軟質ゴム等の弾性変形可能な材料でブロック状に形成されたものであって、該第1の押付部材42の幅寸法は、前記横シール以上の寸法で、筒状フィルムFを押さえ得る左右幅寸法に設定されて、該筒状フィルムFの下流側において物品Wの下流へ延出するフィルム延出部50の全面を支持して当接し得るよう構成される。第1の押付部材42の下面は、下流側に形成され搬送面に平行な平面を有する第1押面42aと、第1押面42aより上流側で該第1押面42aより上側に形成された第2押面42bと、第2押面42bから第1押面42aに向けて下降するよう傾斜して接続される傾斜面42cとの夫々が設けられている。また第2押面42bは、作動位置において物品Wの前後方向の略半分より長い領域に亘って筒状フィルムFを物品上面に押さえ付け可能な寸法に設定される。更に、第2押面42bが物品Wの上面に筒状フィルムFを押さえ付けた状態で、第1押面42aは、物品Wの高さの略中間に位置するよう設定される(図5(c)参照)。
【0025】
前記搬出コンベヤ20の一側方に、丸棒状材から形成された脱気部材44が水平回動自在に枢支され、該脱気部材44は、その枢支部から離間する一端部に接続する駆動手段としてのエアシリンダ等の作動シリンダ52により、図3に示す如く、搬出コンベヤ20における筒状フィルムFの搬送路から外側方に退避した退避位置と、搬出コンベヤ20の搬送路を横切って延びた脱気位置との間を水平回動するよう構成される。また脱気部材44は、前記第1の押付部材42の第1押面42aで下側へ押さえつけられたフィルム延出部50の下側に臨み、該フィルム延出部50を撫で付け得るように位置決めされると共に、脱気位置においてその撫で付け縁部が第1押面42aと略平行な姿勢となるよう構成される。
【0026】
図1に示す如く、上側の前記第2の押付部材46は、第2シリンダ54からなる駆動手段に連結されると共に、下側の第2の押付部材46は、第2シリンダ54からなる駆動手段に連結されている。第2の押付部材46,46の夫々は、前記シール体12,14が配設された前記第1支持部材22と第2支持部材24とに配設されて、各シール体12,14と一体的に昇降動すると共にフィルム搬送方向の前後に向けて移動するよう構成される。また、一対の第2の押付部材46,46は、一対のシール体12,14の昇降動とは独立して、対応する第2シリンダ54,54の正逆付勢によって相互に接近・離間移動するよう構成される。第2の押付部材46,46は、第1の押付部材42と同等の材料でブロック状に形成されたものであって、一対のシール体12,14が噛合する前に、第2シリンダ54,54によって対応するシール体12,14のシール面から突出する位置まで移動して物品Wの上流側の筒状フィルムFを上下から挟持し得るよう構成される。また、第2の押付部材46,46は、図2に示す如く、筒状フィルムFを全幅に亘って挟持し得る幅寸法に設定されている。
【0027】
前記上シール体12の上流側には、該上シール体12が配設された前記第1支持部材22に昇降自在に支持され、上シール体12が下降した際に自重によって物品Wの上面に押さえ付けられる第3の押付部材56を備える。第3の押付部材56は、一対のシール体12,14が筒状フィルムFを挟持して噛合する直前に、搬送コンベヤ18に載置されたシール体12,14の直上流に位置する物品Wの上面を押さえ付けるよう位置決めされている。なお、第3の押付部材56は、物品Wの高さに適した押し付け位置となるよう位置合わせ可能に構成される。また第3の押付部材56は、前記第1の押付部材42と同等の材料で形成され、シール体12,14の直上流に位置する1個の物品Wの上面全体に当接し得る長さおよび幅寸法に設定される。
【0028】
前記一対のシール体12,14を挟むフィルム搬送方向の前後位置に、図3に示す如く、前記筒状フィルムFの搬送路を挟んで対向する一対の押し込み片58,58を夫々備えたガセット形成手段60が配設される。ガセット形成手段60は、一対のシール体12,14のフィルム搬送方向への移動と一体的に移動可能に配設されると共に、各押し込み片58,58は、シール体12,14の昇降動に同期して相互に接近・離間移動されて、前記搬送路から退避する退避位置とフィルム搬送中心に近接する折込み位置との間を水平移動するよう構成される。なお、各押し込み片58,58は、フィルム搬送方向に延在する平板状に形成されて、一対のシール体12,14で横シールされる筒状フィルムFの側面を高さ方向の中間においてフィルム搬送方向に所定長さに亘って内側に折込むようになっている。
【0029】
次に、前述した実施例に係る横形製袋充填機の脱気装置の作用につき説明する。
【0030】
所定間隔毎に物品Wが収容された筒状フィルムFは、図5(a)に示す如く、前記搬送コンベヤ18に載置されて横シール機構10に向けて搬送される。前記一対のシール体12,14が相互に離間する位置から接近する過程で、前記ガセット形成手段60の押し込み片58,58が退避位置から折込み位置に移動し、一対のシール体12,14を挟むフィルム搬送方向の前後で筒状フィルムFの両側面を内側に折込むことで、筒状フィルムFの物品Wを挟む前後側面にガセット折込みが施される。また、筒状フィルムFに収容された物品Wが搬送コンベヤ18と搬出コンベヤ20との渡り部を通過した後に、前記開閉機構30によって搬送コンベヤ18および搬出コンベヤ20の対向する対向端部が相互に離間し、前記下シール体14の上昇移動(シール体12,14の対向移動)を許容する隙間を画成する。
【0031】
また、前記一対のシール体12,14が筒状フィルムFを挟持して噛合する前のタイミングにおいて、図5(a),(b)に示す如く、前記作動シリンダ52によって脱気部材44が退避位置から脱気位置に向けて水平回動され、筒状フィルムFの下流端において物品Wから下流側に延出するフィルム延出部50の下側に臨む位置で、脱気部材44が搬送路を横切って延びる。更に、一対のシール体12,14が筒状フィルムFを挟持して噛合する直前に、前記第1シリンダ48によって第1の押付部材42が待機位置から作動位置に移動し、第1の押付部材42の第1押面42aでフィルム延出部50が押さえ付けられると共に、第2押面42bで物品Wの上面に筒状フィルムFが押さえ付けられる。
【0032】
筒状フィルムFの搬送に伴って前記第1押面42aによって押さえ付けられるように上側から支持されたフィルム延出部50の下側は、筒状フィルムFの搬送により前進することで脱気部材44でフィルム搬送方向下流側から上流側に向けて撫で付けられる。このように、第1押面42aと脱気部材44とでフィルム延出部50が平に押し広げられることで、フィルム延出部50内の空気は、物品Wの上流に向けて押しやられる。脱気位置において脱気部材44の撫で付け縁部は、第1押面42aと略平行な姿勢となっているので、フィルム延出部50を全幅に亘って第1押面42aとで平らに押し潰して延出部内の空気を効果的に上流側に押しやることができる。なお、脱気部材44は丸棒状に形成されているから、フィルム延出部50を撫で付ける際に該延出部50を傷付けることはない。また、第1押面42aと脱気部材44とによる脱気に際し、筒状フィルムFは第2押面42bによって物品Wの前後方向の略半分より長い領域に亘って物品上面に押さえ付けられているので、物品周りの空気残存量の少ない包装品を得ることができる。
【0033】
なお、前記第1の押付部材42は作動位置において、図5(c)に示す如く、フィルム延出部50の上側を前記傾斜面42cで押さえ付けて物品Wとフィルム延出部50との間の空間を規制して、該空間に残留する空気の量を抑制し得る。
【0034】
前記物品Wが搬送コンベヤ18から搬出コンベヤ20への渡り部を通過した直後に、前記搬出コンベヤ20の搬送上流端が更に下流側に移動し、搬送コンベヤ18と搬出コンベヤ20との対向端部間の隙間を広げて、一対の第2の押付部材46,46が第2シリンダ54,54によって相互に近接するように移動される。これにより、両第2の押付部材46,46が対応するシール体12,14のシール面より突出し、物品Wの上流側の筒状フィルムFを上下から挟持することで、筒状フィルムF内において物品Wの上流側の空気が、その挟持位置より上流側に押しやられる。その後に、両シール体12,14が噛合して筒状フィルムFに横シール・切断が施されてピロー包装品16が得られる。
【0035】
前記第2の押付部材46,46は、第1の押付部材42における第2押面42bで物品Wの上面に筒状フィルムFを押さえ付けてから筒状フィルムFを絞り込むので、空気残存量の少ない包装品を得ることができる。また、第1の押付部材42における第2押面42bで物品Wの上面に筒状フィルムFが押さえ付けられた後であって、前記シール体12,14が筒状フィルムFを挟持して噛合する直前に、シール体12,14の直上流の後続する物品Wが第3の押付部材56で上側から押さえ付けられて、筒状フィルムFと共に当該物品Wが搬送コンベヤ18上で保持される。この第3の押付部材56を設けることで、第1の押付部材42、第2の押付部材46,46とにより物品Wの位置移動を規制し、またフィルムを張った状態としたもとで、シール体12,14で筒状フィルムFを挟持してシールするので、物品Wが位置ずれしたり姿勢が変化するのを防止することができ、しわの発生その他シール不良等、包装不良品の発生を未然に防ぐことができる。
【0036】
前記一対のシール体12,14が筒状フィルムFを挟持して噛合した直後に、前記脱気部材44は、作動シリンダ52によって退避位置に移動されると共に、第1の押付部材42は、第1シリンダ48によって待機位置まで移動し、更に第2の押付部材46,46は、第2シリンダ54,54によって相互に離間移動することで、物品Wおよびフィルムの押さえ付けが解除され、搬出コンベヤ20によるピロー包装品16の搬送が許容される。搬出コンベヤ20の無端ベルト26は、搬送コンベヤ18の無端ベルト26より高速で走行しているので、横シール機構10により横シール・切断された先行のピロー包装品16は、後続の未包装品から確実に切離される。また、シール体12,14が筒状フィルムFを解放するまでの所要のタイミングで、前記ガセット形成手段60の押し込み片58,58が退避位置に向けて後退すると共に、前記開閉機構30によって前記搬送コンベヤ18および搬出コンベヤ20の対向端部が相互に近接し、両コンベヤ18,20の対向端部における隙間は小さくなり、筒状フィルムFに供給されている物品Wのコンベヤ間の受渡しは支障なく行なわれる。
【0037】
実施例の脱気装置は、筒状フィルムFの下流端において物品Wの下流端縁から下流側に延出するフィルム延出部50を、第1の押付部材42と脱気部材44とで平らに押し潰して延出部内の空気を効果的に上流側に押しやるので、収容物品の前後に余裕をもった折り曲げ代を有している場合等、比較的長いフィルム延出部50を設けるようにしたピロー包装品16を得るに際して、袋内の残存空気を少なくした状態に脱気することができる。従って、得られたピロー包装品16における前後のフィルム延出部50の折り曲げを良好に行なうことができる。
【0038】
前記第1の押付部材42の第2押面42bで押さえ付けられている物品Wの上流側の筒状フィルムFを、前記第2の押付部材46,46で挟持するので、筒状フィルムF内の空気が下流側に戻ることなく上流側に押しやられ、得られたピロー包装品16の前後のフィルム延出部50内の残存空気をより少なくすることができる。また実施例では、筒状フィルムFにおける物品Wを挟む前後にガセットを形成することで、フィルム延出部50を折り曲げた際に袋が横膨れすることなく見栄えを損ねることはない。更に、前記脱気部材44は、作動シリンダ52によって水平回動して退避位置と脱気位置との間を移動するよう構成したので、脱気部材44の作動機構を簡略化することができる。
【0039】
(変更例)
本発明は実施例の構成に限定されず、例えば以下のようにも変更可能である。
(1) 実施例では、脱気部材44を、搬出コンベヤ20の外側方で物品Wの搬送を阻害しない退避位置と搬出コンベヤ20の搬送路を横切って延在する脱気位置との間で水平回動するよう構成したが、退避位置から移動して搬出コンベヤ20の搬送路上に横切るように延在する姿勢とした脱気部材44を、フィルム搬送方向上流側に向けて直線的に水平移動ささせてフィルム延出部50の下側に臨ませる形態、搬送面の下側から搬送面より上側の脱気位置に突出する形態等、脱気部材44を搬出コンベヤ20による物品Wの搬送を阻害しない位置から搬出コンベヤ20の搬送路を横切って延在する位置に移動する形態としては、種々の形態を採用し得る。
(2) 実施例では、脱気位置に到って静止状態の脱気部材44に対してフィルム延出部50が下流側に移動することで、第1の押付部材42の第1押面42aで押さえ付られるように上側が支持されたフィルム延出部50の下側を撫で付ける形態としたが、脱気部材44をフィルム搬送方向下流側から上流側に移動させつつフィルム延出部50を撫で付ける形態等、フィルム延出部50の撫で付けは該延出部50と脱気部材44との相対的移動によって行なわれるものであればよい。
(3) 実施例では、単一の第1の押付部材42に第1押面42aおよび第2押面42bを形成した形態としたが、第1押面42aと第2押面42bとを別々に形成した2つの押付部材で第1の押付部材を構成したり、各押付部材を夫々別のシリンダ等の駆動手段によって搬出コンベヤ20に対して接近・離間移動する形態を採用し得る。また実施例では、第1押面42aおよび第2押面42bが上下方向に垂直に移動する形態としたが、搬出コンベヤ20の側方の待機位置から回動して作動位置に到る動作形態としてもよい。
(4) 実施例では、第1、第2の押付部材42,46および脱気部材44をシリンダ48,54,52で駆動するよう構成したが、各部材42,46,44の駆動手段としては、モータ等の他の駆動手段を採用し得る。
(5) 実施例では、上シール体12と共に下降する第3の押付部材56の自重で物品Wを押さえ付けるよう構成したが、他の押付部材42,46と同様にエアシリンダ等の駆動手段によって物品Wを押さえ付ける構成を採用し得る。また、第3の押付部材56は、実施例のようにシール体12,14の直上流の1個の物品Wを押さえ付け可能なサイズに限らず、複数の物品Wを押さえ付け可能なサイズのものを採用したり、または搬送コンベヤ18と共に走行する押さえ面をスポンジ等の弾性材で構成した無端ベルトで複数の物品Wを押さえ付ける構成等、種々の形態の押付部材を採用し得る。なお、第3の押付部材56は、必要に応じて採用するものであればよい。
(6) 実施例では、一対の第2の押付部材46,46の接近移動に先立ち、第2の押付部材46の上昇移動を許容する隙間を確保するために搬出コンベヤ20の搬送上流端を下流側へ移動するようにしたが、物品長が長い場合等では搬送コンベヤ18と搬出コンベヤ20との対向端部間に形成される下シール体14の上昇移動を許容する隙間を、予め余裕を持たせた大きさに設定しておく等によって、第2の押付部材46の上昇移動を許容する隙間を確保するための搬出コンベヤ20の移動の有無を適宜選択するようにすればよい。また、搬出コンベヤ20の搬送上流端をフィルム搬送方向の前後に移動する手段は、実施例の駆動シリンダ38に代えて、モータ等各種の駆動手段を採用し得る。
(7) 実施例では、第2の押付部材46,46を第2シリンダ54,54で相互に接近・離間移動するよう構成したが、対応するシール体12,14のシール面より突出して、一対のシール体12,14が噛合する前に筒状フィルムFを挟持し得る位置関係で位置決めされるようにバネ等の弾性部材により付勢され、筒状フィルムFを挟持した状態で弾性部材が縮むことでシール体12,14の噛合を許容する構成であってもよい。また、第2の押付部材46,46を省略することができる。
上記した変更例に限らず、実施形態に記載した構成については、本発明の主旨を逸脱しない範囲でその他の各種構成を採用し得る。
【符号の説明】
【0040】
10 横シール機構(横シール手段),12 上シール体(シール体)
14 下シール体(シール体),16 ピロー包装品(包装品),18 搬送コンベヤ
20 搬出コンベヤ,42 第1の押付部材(押付部材),42a 第1押面
42b 第2押面,44 脱気部材,46 第2の押付部材,50 フィルム延出部
56 第3の押付部材,F 筒状フィルム,W 物品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状フィルム(F)中に所定間隔毎に供給された物品(W)を挟む前後に一対のシール体(12,14)で横シールを施す横シール手段(10)を備え、
前記一対のシール体(12,14)で横シールして得た包装品(16)を載置して搬送する搬出コンベヤ(20)と、
前記搬出コンベヤ(20)に接近・離間可能に配設され、その接近時に第1押面(42a)で搬出コンベヤ(20)に載置された物品(W)の搬送方向下流側に延出する筒状フィルム(F)のフィルム延出部(50)を上側から支持すると共に第2押面(42b)で筒状フィルム(F)を物品(W)の上面に押さえ付ける押付部材(42)と、
前記搬出コンベヤ(20)において筒状フィルム(F)の下流端に形成されたフィルム延出部(50)の下側に到り、フィルム延出部(50)との相対的移動により前記押付部材(42)の第1押面(42a)で上側が支持されたフィルム延出部(50)の下側を下流側から上流側へ向けて撫で付ける脱気部材(44)とを有する
ことを特徴とする横形製袋充填機の脱気装置。
【請求項2】
前記脱気部材(44)は、前記第1押面(42a)で上側が支持されたフィルム延出部(50)の下側を下流側から上流側に向けて相対的に水平移動する構成としたことを特徴とする請求項1記載の横形製袋充填機の脱気装置。
【請求項3】
前記脱気部材(44)は回動可能に支持され、前記搬出コンベヤ(20)におけるフィルム延出部(50)の下側に臨む位置まで回動してフィルム延出部(50)の下側を下流側から上流側に向けて撫で付ける構成としたことを特徴とする請求項1または2記載の横形製袋充填機の脱気装置。
【請求項4】
前記第2押面(42b)で筒状フィルム(F)が上面に押さえ付けられる物品(W)の上流位置で前記一対のシール体(12,14)の噛合位置より下流において、シール体(12,14)の噛合前に筒状フィルム(F)を上下から挟持する一対の第2の押付部材(46,46)を備えることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の横形製袋充填機の脱気装置。
【請求項5】
前記第2の押付部材(46,46)は、前記第2押面(42b)で筒状フィルム(F)を物品(W)に押さえ付けた後に筒状フィルム(F)を挟持する構成としたことを特徴とする請求項4記載の横形製袋充填機の脱気装置。
【請求項6】
前記一対のシール体(12,14)の上流側には搬送コンベヤ(18)が配設され、前記シール体(12,14)の対向移動を許容すべく搬送コンベヤ(18)と搬出コンベヤ(20)との対向端部を相対的に接近・離間移動可能に構成すると共に、前記第2の押付部材(46,46)で筒状フィルム(F)を挟持する動作に先立ち前記対向端部を広げる構成としたことを特徴とする請求項4または5記載の横形製袋充填機の脱気装置。
【請求項7】
前記一対のシール体(12,14)の上流側に第3の押付部材(56)を配設し、該第3の押付部材(56)を、前記第2押面(42b)で物品(W)の上面に筒状フィルム(F)を押さえ付けてから搬送コンベヤ(18)に載置された後続の物品(W)の上面を押さえ付ける構成としたことを特徴とする請求項6記載の横形製袋充填機の脱気装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−240700(P2012−240700A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−111821(P2011−111821)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(000136387)株式会社フジキカイ (129)
【Fターム(参考)】