樹脂シートの製造方法及び製造装置
【課題】樹脂シートの最厚部の位置に基づいて、樹脂シートの裁断を高精度に行うことができる樹脂シートの製造方法及び製造装置を提供する。
【解決手段】ダイ16から押し出される溶融樹脂を、冷却成形ローラー部17において挟圧しながら冷却することで、偏肉形状を有する樹脂シートSを形成する。このとき、冷却成形ローラー部17の型ローラー20に、突起部又は溝部を設けておく。これにより、樹脂シート成形時に、マークが樹脂シートSに賦型される。マークが賦型された樹脂シートSを切断機32により個片化した後、マーク検出センサー70によるマークの検出結果に基づいて樹脂板B(個片化後の樹脂シートS)の位置および傾きを補正した状態で、裁断機72による裁断を行う。これにより、冷却成形ローラー部17において樹脂シートSが収縮や位置ずれを起こす場合でも、最厚部の位置に基づいて樹脂シートSの裁断を高精度に行うことができる。
【解決手段】ダイ16から押し出される溶融樹脂を、冷却成形ローラー部17において挟圧しながら冷却することで、偏肉形状を有する樹脂シートSを形成する。このとき、冷却成形ローラー部17の型ローラー20に、突起部又は溝部を設けておく。これにより、樹脂シート成形時に、マークが樹脂シートSに賦型される。マークが賦型された樹脂シートSを切断機32により個片化した後、マーク検出センサー70によるマークの検出結果に基づいて樹脂板B(個片化後の樹脂シートS)の位置および傾きを補正した状態で、裁断機72による裁断を行う。これにより、冷却成形ローラー部17において樹脂シートSが収縮や位置ずれを起こす場合でも、最厚部の位置に基づいて樹脂シートSの裁断を高精度に行うことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は膜厚に偏りがある偏肉形状の樹脂シートの製造方法に係り、例えば、液晶表示装置のバックライトの導光板や、装飾・表示・照明用ディスプレイの導光板などの光学シートとして使用される樹脂シートの製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置のバックライトや装飾・表示・照明用のディスプレイ装置には、光源からの光を導いて面発光する導光板が使用されており、例えば液晶表示装置には、液晶パネルの裏面側から導光板を介して光を照射するバックライトが設けられている。
【0003】
このような導光板のうち大画面液晶テレビなどの大型装置に用いられる導光板は、現行の設備や技術を背景に、押出成形法により製造されることが一般的である。押出成形法では、溶融状態の樹脂シートがダイ(Tダイ等)から押し出されて冷却ローラー(ポリシングローラー)により冷却される。樹脂シートは、その後、引取ローラーによる引っ張り搬送中に空冷され、保護フィルムが貼り付けられた後、幅方向に沿って所望の大きさに切断(個片化)される。個片化された樹脂シートは、幅方向端部が裁断され、端面仕上げが行われて、導光板として用いられる光学シートが得られる。
【0004】
上述の押出成形法により、幅方向に関して膜厚に偏りがある光学シートを製造する場合、最厚部の位置が光学シートの光学特性に影響することから、所望の位置に最厚部を有する光学シートが得られるように、樹脂シートの裁断を高精度に行う必要がある。例えば、最厚部を中心とする対称な偏肉形状の光学シートを製造する場合、光学シートの幅方向中心に最厚部が位置するように、樹脂シートの幅方向端部の裁断幅を調節する必要がある。
【0005】
このため、従来は、押出成形時のバンクすじの位置から見積もった最厚部のおおよその位置を基準に樹脂シートの裁断を行っていた。これにより、樹脂シートの最厚部と最薄部との膜厚差が小さく、目視では最厚部の位置を特定できない場合であっても、最厚部の位置に基づいて、樹脂シートの幅方向端部の裁断幅を調節することができる。
【0006】
しかし、押出し成形時の樹脂流動のばらつきがある場合には、樹脂シートの最厚部の位置をバンクすじの位置から正確に見積もることは難しく、樹脂シートの裁断を高精度に行うことができなかった。
【0007】
一方、押出成形機から押し出される樹脂シートを所定の製品長さに切断する方法として、エンコーダにより計測された搬送長さに基づいて、樹脂シートにマークを付した後、当該マークに基づいて樹脂シートの切断を行うことが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−86536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1には、樹脂(ウェザーストリップ)を所定長さに切断する方法が記載されているが、樹脂シートの幅方向における端部を裁断する方法は記載されていない。
【0010】
また、樹脂シートの最厚部の位置は、押出し成形時の樹脂流動のばらつきや、引っ張り搬送の張力のばらつき等に起因する樹脂シートの蛇行により、シート搬送方向に関して変動する。このため、単に、特許文献1に記載された方法を、樹脂シートの幅方向端部の裁断に適用するだけでは、樹脂シートの裁断を高精度に行うことが難しい。
【0011】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、樹脂シートの最厚部の位置に基づいて、樹脂シートの裁断を高精度に行うことができる樹脂シートの製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る樹脂シートの製造方法は、幅方向に関して膜厚に偏りがある偏肉形状を有する樹脂シートの製造方法であって、ダイから押し出される溶融樹脂を複数のローラーで挟圧しながら冷却することで、前記偏肉形状の最厚部の位置を示すマークが形成された前記樹脂シートを成形する工程と、前記樹脂シートに形成された前記マークを検出する工程と、検出された前記マークに基づいて、前記樹脂シートの前記幅方向における端部を裁断する工程とを含むことを特徴とする。
【0013】
上記樹脂シートの製造方法では、複数のローラーにより、最厚部の位置を示すマークが形成された樹脂シートが成形された後、当該マークに基づいて樹脂シートの裁断が行われる。このように、樹脂シートの最厚部の位置を示すマークが樹脂シート成形時に形成されるため、ローラーとの接触時に樹脂シートが収縮や位置ずれを起こす場合であっても、最厚部の位置に基づいて樹脂シートの裁断を高精度に行うことができる。
【0014】
ここで、「マーク」は、樹脂シートを成形するローラーによって賦型可能な形状のものであれば特に限定されず、例えば、V字形状、U字形状、矩形等の断面形状を有する突起又は溝であってもよい。
【0015】
また「最厚部の位置を示すマーク」とは、最厚部から所定距離の位置に付されるマークであり、当該マークに基づいて最厚部の位置を特定することができるものをいう。
【0016】
上記樹脂シートの製造方法において、前記複数のローラーのうち、前記樹脂シートに前記偏肉形状を付与する型ローラーに、前記マークを形成する突起部又は溝部が設けられていることが好ましい。
【0017】
一般的に、ダイから押し出された溶融樹脂が最初に接触するのは、樹脂シートに偏肉形状を付与する型ローラーである。したがって、突起部又は溝部が形成された型ローラーを用いることで、溶融樹脂(樹脂シート)の温度が高い状態で、最厚部の位置を示すマークを樹脂シートに確実に賦型することができる。
【0018】
上記樹脂シートの製造方法において、前記マークは、前記樹脂シートの前記幅方向における端部に形成されることが好ましい。
【0019】
このように、裁断時に切り落とされる樹脂シートの端部にマークを形成することで、樹脂シートの品質に影響を与えずに、樹脂シートの高精度な裁断を実現することができる。
【0020】
また本発明に係る別の樹脂シートの製造方法は、幅方向に関して膜厚に偏りがある偏肉形状を有する樹脂シートの製造方法であって、ダイから押し出される溶融樹脂を複数のローラーで挟圧しながら冷却することで、前記偏肉形状の最厚部の位置を示すマークが形成された前記樹脂シートを成形する工程と、前記樹脂シートに形成された前記マークを検出する工程と、前記マークを検出した後に、前記樹脂シートに保護フィルムを貼り付ける工程と、検出された前記マークに基づいて、前記保護フィルムに基準線を形成する工程と、前記保護フィルムに形成された前記基準線に基づいて、前記樹脂シートの前記幅方向における端部を裁断する工程とを含むことを特徴とする。
【0021】
上記樹脂シートの製造方法では、複数のローラーにより、最厚部の位置を示すマークが形成された樹脂シートが成形され、当該マークに従って保護フィルムに基準線が形成された後、当該基準線に基づいて樹脂シートの裁断が行われる。このように、樹脂シートの最厚部の位置を示すマークが樹脂シート成形時に形成されるため、ローラーとの接触時に樹脂シートが収縮や位置ずれを起こす場合であっても、最厚部の位置に基づいて樹脂シートの裁断を高精度に行うことができる。
【0022】
また、樹脂シートの最厚部の位置を示すマークが保護フィルムに覆われて、当該マークを識別することが難しい場合であっても、最厚部の位置を間接的に示す保護フィルム上の基準線に基づいて、樹脂シートの裁断を高精度に行うことができる。
【0023】
上記樹脂シートの製造方法において、前記複数のローラーのうち、前記樹脂シートに前記偏肉形状を付与する型ローラーに、前記マークを形成する突起部又は溝部が設けられていることが好ましい。
【0024】
このように、突起部又は溝部が形成された型ローラーを用いることで、溶融樹脂(樹脂シート)の温度が高い状態で、最厚部の位置を示すマークを樹脂シートに確実に賦型することができる。
【0025】
上記樹脂シートの製造方法において、前記マークは、前記樹脂シートの前記幅方向における端部に形成されることが好ましい。
【0026】
このように、裁断時に切り落とされる樹脂シートの端部にマークを形成することで、樹脂シートの品質に影響を与えずに、樹脂シートの高精度な裁断を実現することができる。
【0027】
上記樹脂シートの製造方法において、前記基準線は、レーザー加工機により形成されることが好ましい。
【0028】
レーザー加工機を用いることで、基準線を迅速かつ高精度に形成することができる。
【0029】
本発明に係る樹脂シートの製造装置は、幅方向に関して膜厚に偏りがある偏肉形状を有する樹脂シートの製造装置であって、溶融樹脂を押し出すダイと、前記ダイから押し出された前記溶融樹脂を挟圧しながら冷却することで、前記偏肉形状の最厚部の位置を示すマークが形成された前記樹脂シートを成形する複数のローラーと、前記複数のローラーにより成形された前記樹脂シートの前記マークを検出する検出手段と、前記検出手段により検出された前記マークに基づいて、前記樹脂シートの前記幅方向における端部を裁断する裁断手段とを含むことを特徴とする。
【0030】
上記樹脂シートの製造装置によれば、複数のローラーによる樹脂シート成形時に、樹脂シートの最厚部の位置を示すマークが形成されるため、ローラーとの接触時に樹脂シートが収縮や位置ずれを起こす場合であっても、最厚部の位置に基づいて樹脂シートの裁断を高精度に行うことができる。
【0031】
また本発明に係る別の樹脂シートの製造装置は、幅方向に関して膜厚に偏りがある偏肉形状を有する樹脂シートの製造装置であって、溶融樹脂を押し出すダイと、前記ダイから押し出された前記溶融樹脂を挟圧しながら冷却することで、前記偏肉形状の最厚部の位置を示すマークが形成された前記樹脂シートを成形する複数のローラーと、前記複数のローラーにより成形された前記樹脂シートの前記マークを検出する検出手段と、前記検出手段により前記マークが検出された前記樹脂シートに保護フィルムを貼り付ける貼付手段と、前記検出手段により検出された前記マークに基づいて、前記保護フィルムに基準線を形成する基準線形成手段と、前記基準線形成手段により形成された前記基準線に基づいて、前記樹脂シートの前記幅方向における端部を裁断する裁断手段とを含むことを特徴とする。
【0032】
上記樹脂シートの製造装置によれば、複数のローラーによる樹脂シート成形時に、樹脂シートの最厚部の位置を示すマークが形成されるため、ローラーとの接触時に樹脂シートが収縮や位置ずれを起こす場合であっても、最厚部の位置に基づいて樹脂シートの裁断を高精度に行うことができる。
【0033】
また、樹脂シートの最厚部の位置を示すマークが保護フィルムに覆われて、当該マークを識別することが難しい場合であっても、最厚部の位置を間接的に示す保護フィルム上の基準線に基づいて、樹脂シートの裁断を高精度に行うことができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、樹脂シートの最厚部の位置を示すマークが樹脂シート成形時に形成されるため、ローラーとの接触時に樹脂シートが収縮や位置ずれを起こす場合であっても、最厚部の位置に基づいて樹脂シートの裁断を高精度に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】樹脂シート製造装置の一例を示す図である。
【図2】ダイおよび成形冷却ローラー部を側方から見た図である。
【図3】(a)は偏肉形状が付与された樹脂シートの一例を示す斜視断面図である。(b)は偏肉形状が付与された樹脂シートの他の例を示す斜視断面図である。
【図4】(a)は非連続的な破線状のマークが付与された樹脂シートの一例を示す斜視図である。(b)は非連続的な破線状のマークが付与された樹脂シートの他の例を示す斜視断面図である。
【図5】(a)は成形冷却ローラー部の一例を示す断面図(図2におけるI−I線に沿った断面図)である。(b)は成形冷却ローラー部の他の例を示す断面図(図2におけるI−I線に沿った断面図)である。
【図6】保護フィルムを樹脂シートに貼り付ける機構を示す図である。
【図7】吸着ハンドにより樹脂板をコンベアから裁断機に運ぶ機構を示す図である。
【図8】マーク検出結果に基づいて、吸着ハンドにより樹脂板の位置および傾きを補正する機構を示す斜視図である。
【図9】樹脂シート製造装置の他の例を示す図である。
【図10】マーク検出センサーの検出結果に基づいて、保護フィルムに基準線を形成する機構を示す斜視図である。
【図11】基準線検出結果に基づいて、吸着ハンドにより樹脂板の位置および傾きを補正する機構を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付図面に従って本発明の実施形態について説明する。
【0037】
図1は、本発明の一実施形態に係る樹脂シートの製造方法を実施するために用いられる樹脂シート製造装置の一例を示す図である。図1に示す樹脂シート製造装置10では、原料調製装置11、押出機12、ダイ16、成形冷却ローラー部17、熱処理ゾーン24、冷却ゾーン26、面状検査機28、ラミネート機30、切断機32、コンベア66、吸着ハンド68、裁断機72およびスタッカー34が、上流側から下流側へ順次設けられている。
【0038】
原料調製装置11は、樹脂シート製造装置10によって製造される樹脂シートSの原料の計量および混合を行って原料を調製し、当該原料を原料供給管13を介して押出機12に送る。例えば、この原料調製装置11では、原料タンクおよび添加物タンクから混合器に送られる原料樹脂および添加物が自動計量機によって自動計量され、所定比率の原料樹脂および添加物が混合器で混合される。原料樹脂に添加物として拡散粒子を添加する場合には、原料樹脂に拡散粒子を所定濃度よりも高濃度に添加したマスターペレットを造粒機で製造しておき、拡散粒子が添加されていないベースペレットと混合器で所定比率混合するマスターバッチ方式を好適に採用できる。なお、拡散粒子以外の添加物を添加する場合にも、同様にして混合を行うことができる。
【0039】
上記の原料樹脂としては熱可塑性樹脂を使用可能であり、例えばポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリスチレン樹脂(PS)、MS樹脂、AS樹脂、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、熱可塑性エラストマー、又はこれらの共重合体、シクロオレフィンポリマーなどを原料樹脂として使用することができる。
【0040】
押出機12は、原料調製装置11から送られてくる原料を混練しながら溶融し、溶融樹脂を作る。この押出機12は、単軸式押出機および多軸式押出機の何れでもよく、押出機12の内部を真空にするベント機能を有するものが好ましい。押出機12により作られた溶融樹脂は、スクリューポンプやギアポンプ等の定量ポンプにより溶融樹脂供給管14を介してダイ16に送られる。
【0041】
ダイ16では、押出機12から送られてくる溶融樹脂が成形冷却ローラー部17に向かってシート状に押し出される。本実施形態では、シート幅方向に関して膜厚が均一ではない樹脂シート(偏肉樹脂シート)が成形されるので、ダイ16から押し出されて吐出される溶融樹脂量は、シート幅方向に関して所定の分布を有する。ダイ16から吐出される溶融樹脂量に分布を持たせる手段として、例えばチョークバーを使用する方法や他の公知の方法を用いることができる。
【0042】
成形冷却ローラー部17は、ニップローラー18、型ローラー20および剥離ローラー22を含み、ダイ16から供給される溶融樹脂に対して蒲鉾形の偏肉形状を付与して樹脂シートSを成形する。
【0043】
図2は、ダイ16および成形冷却ローラー部17を側方から見た断面図である。同図に示すように、ダイ16は、ニップローラー18および型ローラー20の上方において、やや型ローラー20寄りに配置される。また、ニップローラー18、型ローラー20および剥離ローラー22は、図示しない駆動装置により所定の周速度で図2に示す矢印方向に回転駆動される。なお、ニップローラー18および剥離ローラー22に対して駆動手段を設けない構成も可能であるが、樹脂シートSの面状(特に裏面)を良好に成形する観点からは、駆動手段によってニップローラー18および剥離ローラー22も回転駆動する構成が好ましい。
【0044】
ニップローラー18には、図示しない加圧手段が設けられており、型ローラー20との間の樹脂シートSを所定の圧力で挟圧することができるようになっている。この加圧手段は、ニップローラー18と型ローラー20との接触点における法線方向に圧力を付与する構成のものであり、モータ駆動手段、エアシリンダ、油圧シリンダ等の公知の各種手段を採用することができる。また、ニップローラー18には、挟圧力の反力による撓みが生じにくくなるような構成を採用することもできる。このような構成としては、ニップローラー18の背面側(型ローラー20とは反対側)に図示しないバックアップローラーを設ける構成、中高状のクラウン形状を採用する構成、ローラーの軸方向中央部の剛性が大きくなるような強度分布を付けたローラーの構成、或いはこれらを組み合わせた構成等を採用することができる。
【0045】
ニップローラー18、型ローラー20および剥離ローラー22には、樹脂シートSの偏肉形状に対応するような冷却温度分布を樹脂シートSに付与するための温度調整手段(図示せず)を設けてもよい。温度調整手段として、例えば、温度調節された冷却液体を型ローラー20の内部の一端側から他端側に流す構成を採用することができる。
【0046】
また、ニップローラー18、型ローラー20および剥離ローラー22には、ローラー表面の温度をローラー幅方向に関してモニターできるように、複数の表面温度測定手段(図示せず)を設けることが好ましい。このような表面温度測定手段としては、赤外線温度計、放射式温度計等の公知の各種測定手段が採用できる。
【0047】
このような構成において、ダイ16のリップ口42から吐出される溶融樹脂は、ニップローラー18と型ローラー20との間でバンク44を形成するとともに、挟圧部46においてニップローラー18および型ローラー20により挟圧される。ニップローラー18および型ローラー20により偏肉形状が付与された溶融樹脂シートSは、型ローラー20に巻き掛けられた状態で送り出され、剥離ローラー22によって型ローラー20から剥がされて、図2に示すシート搬送方向に送られる。
【0048】
図3(a)及び(b)は、成形冷却ローラー部17により偏肉形状が付与された樹脂シートSの例を示す斜視断面図である。
【0049】
成形冷却ローラー部17で成形された樹脂シートSは、シート幅方向に関して膜厚に偏りのある偏肉形状を有し、例えば、図3(a)及び(b)に示すように、最も膜厚の大きな最厚部52がシート幅方向の中央部に設けられ、最も膜厚の薄い最薄部54がシート幅方向の両端部に設けられる。
【0050】
また成形冷却ローラー部17による樹脂シートSの成形時に、樹脂シートSには、最厚部52から所定距離の位置に、最厚部52の位置を示すマーク56が賦型される。このマーク56は、溝構造(窪み構造)であってもよいし(図3(a)参照)、突起構造であってもよく(図3(b)参照)、樹脂シートSの最厚部52から所定距離の位置に設けられる。
【0051】
マーク56の形状は、樹脂シートSを成形する成形冷却ローラー部17によって賦型可能な形状であれば特に限定されず、例えば、V字形状、U字形状、矩形等の断面形状を有する突起又は溝であってもよい。マーク56の本数は、1本であっても、複数本であってもよい。
【0052】
マーク56は、センサーで高精度に検出可能な形状であることが好ましい。
【0053】
樹脂シートSのマーク56の高さhは、樹脂シートSの強度やハンドリング性を維持する観点から、マーク56の位置における樹脂シートSの膜厚tの1/4以下であることが好ましい。
【0054】
また樹脂シートSのマーク56は、樹脂シートSの品質に悪影響を及ぼすことがないように、後工程の裁断時に切り落とされる樹脂シートSの端部に設けられることが好ましい。
【0055】
上述の例では、最厚部52の位置を示すマーク56が樹脂シートSの表側の面(湾曲面)に設けられる場合について説明したが、マーク56を樹脂シートSの裏側の面に設けてもよい。このようにマーク56を樹脂シートSの裏側の面に設ける場合には、マーク56は溝構造であることが好ましい。これは、樹脂シートSの裏側の面に突起構造のマーク56を設けると、樹脂シートSを搬送するローラー等にマーク56が接触して、マーク56の変形やローラー汚れが発生するおそれがあるためである。
【0056】
また上述の例では、樹脂シートSの幅方向における両側の端部にマーク56が設けられる場合について説明したが、樹脂シートSの一方の端部のみにマーク56を設けてもよい。
【0057】
さらに上述の例では、マーク56が連続的な直線状である例について説明したが、マーク56の態様はこれに限定されず、例えば、図4(a)及び(b)に示すように、非連続的な破線状のマーク56を設けてもよい。すなわち、マーク56は、非連続的な破線状の溝であってもよいし(図4(a)参照)、非連続的な破線状の突起であってもよい(図4(b)参照)。
【0058】
以上説明した構造の樹脂シートS及びマーク56の形状は、当該樹脂シートSを挟圧成形する成形冷却ローラー部17(特に、ニップローラー18および型ローラー20)の形状に応じて適宜変更することができる。
【0059】
図5(a)及び(b)は、成形冷却ローラー部17の形状例を示す断面図(図2におけるI−I線に沿った断面図)である。
【0060】
ニップローラー18および剥離ローラー22は太さが一様な円柱形状を有する一方で、型ローラー20は中央部が細く両端部が太い所謂コンケーブ形状を有する。この型ローラー20のコンケーブ形状は、樹脂シートSの偏肉形状の反転形状であり、型ローラー20およびニップローラー18により高温の樹脂シートSが挟圧されて偏肉形状に成形される。
【0061】
型ローラー20の中央部には、樹脂シートSの最厚部52に対応する最厚形成部20Aが設けられており、型ローラー20の幅方向における両端部には、樹脂シートSのマーク56に対応する突起部20B(図5(a)参照)又は溝部20C(図5(b)参照)が設けられている。
【0062】
型ローラー20の突起部20B又は溝部20Cは、型ローラー20の全周にわたって連続的な直線状に形成されてもよいし、非連続的な破線状に形成されてもよい。型ローラー20の突起部20B又は溝部20Cを、型ローラー20の全周にわたって連続的な直線状に形成する場合は、型ローラー20の加工を容易に行うことができる。
【0063】
上述の例では、樹脂シートSの温度が高い状態でマーク56を確実に賦型するために、ダイ16から押し出された溶融樹脂が最初に接触する型ローラー20に突起部20B又は溝部20Cを設ける場合について説明したが、ニップローラー18又は剥離ローラー22に突起部又は溝部を設けてもよい。この場合、型ローラー20と、突起部又は溝部が設けられたローラー(ニップローラー18又は剥離ローラー22)との位置関係を把握するためのマークを、これらのローラーに付しておくことが好ましい。
【0064】
型ローラー20の形状は、公知の加工方法により形成することが可能であり、例えば、研削加工、超音波加工、放電加工、NC旋盤による切削加工、仕上げバフ加工、等を適宜組み合わせて形成することが可能である。
【0065】
また、ニップローラー18、型ローラー20および剥離ローラー22は、表面粗さ(中心線平均粗さRa)が好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.2μm以下となるように鏡面加工が施されていてもよい。このような平滑な表面にすることにより、成形後の樹脂シートSの表面を良好な状態に仕上げることができる。
【0066】
ニップローラー18、型ローラー20および剥離ローラー22の材質としては、各種鉄鋼部材、ステンレス鋼、銅、亜鉛、真鍮、これらの金属材料を芯金として表面にゴムライニングしたもの、これらの金属材料にHCrメッキ、Cuメッキ、Niメッキ等のメッキを施したもの、セラミックス、および各種の複合材料が挙げられる。
【0067】
また、ニップローラー18、型ローラー20および剥離ローラー22の当接部は、磨耗防止の観点から、タングステンカーバイト等の超硬材料による超硬処理が施されたり、焼き入れ処理が施されたりすることが好ましい。
【0068】
成形冷却ローラー部17において偏肉形状が付与された樹脂シートSは、図1に示すように、剥離ローラー22から熱処理ゾーン24に送られる。
【0069】
熱処理ゾーン24は、偏肉構造を有する樹脂シートSに対して熱処理を施すゾーンであり、複数の加熱装置23が樹脂シートSの搬送路に沿って設けられている。加熱装置23は非接触式加熱手段であり、加熱効率等の観点から、例えば遠赤外線ヒーターを加熱装置23として好適に用いることができる。加熱装置23の加熱条件は、搬送される樹脂シートSの表面温度がほぼ均一に保たれるようにコントロールされる。具体的には、樹脂シートSの表面温度がガラス転移温度Tg以下になった後に、樹脂シートSのうち加熱される側の表面の温度差が、幅方向に関して40℃以内となるように、好ましくは30℃以内となるように、より好ましくは10℃以内となるように、加熱装置23の加熱条件がコントロールされる。このとき、放射温度計等の温度センサー(図示せず)により樹脂シートSの温度が測定され、この測定温度に基づいて加熱装置23の加熱条件を適宜変更することで、樹脂シートSの表面温度が調整される。なお図1に示すように、型ローラー20および剥離ローラー22の各々に対向する位置にも、加熱装置23を設けてもよい。
【0070】
加熱装置23の加熱温度、加熱時間、およびその他の加熱条件は、樹脂シートSの搬送速度や加熱装置23の設置位置に基づいて適宜調整される。例えば、型ローラー20の近傍、剥離ローラー22の近傍、および剥離ローラー22〜熱処理ゾーン24にかけて、樹脂シートSのうち膜厚tが「t≦Dmin+(Dmax−Dmin)/2」(ただし、Dminは樹脂シートSのうち膜厚が最も小さい最薄部54の膜厚を意味し、Dmaxは樹脂シートSのうち膜厚が最も大きい最厚部52の膜厚を意味する)を満たす部分、より好ましくは「t≦Dmin+(Dmax−Dmin)/3」を満たす部分を加熱することが好ましい。これは、冷却されやすい最薄部分を重点的に加熱することで、樹脂シートS全体の温度差を抑えるためである。例えば、図3(a)及び(b)の断面形状を有する樹脂シートSの場合、両端の最薄部54を重点的に加熱することが好ましい。なお、上記式で表される範囲以外の膜厚tを有する部分については、ライン速度等に応じて、加熱の有無や加熱の程度を調整することが好ましい。特に樹脂シートSの表面温度を昇温し過ぎると搬送中に反り等の不具合が発生してしまうことがあるので、加熱装置23の加熱温度や加熱時間を含む加熱条件は、ライン速度や加熱装置23の設置位置に基づいて最適化されることが好ましい。
【0071】
熱処理ゾーン24において熱処理が施された樹脂シートSは、冷却ゾーン26に送られる。冷却ゾーン26は、熱処理ゾーン24から送られてくる樹脂シートSに対して徐冷処理を施すゾーンであり、樹脂シートSの急激な温度変化を防止する。樹脂シートSは、急激に冷却されると表面近傍と内部の収縮量の違いや温度差等に起因する表面形状の悪化や反りが生じ易い。特に膜厚に分布がある樹脂シートの場合には、急冷等により比較的大きな内部応力が生じやすいので、反りが生じ易い。そのため、冷却ゾーン26における徐冷方法の一例として、前半部では樹脂シートSの最厚部と最薄部との間で大きな温度差が生じないように非接触式加熱手段で最薄部を重点的に加熱して樹脂シートS全体を徐々に自然冷却し、後半部では樹脂シートSに冷風を当てて常温程度まで強制冷却を行う方法がある。
【0072】
なお、上述の熱処理ゾーン24および冷却ゾーン26では、熱処理や冷却に伴う反り等の変形を防いで所望の偏肉形状が保持されるように、樹脂シートSが搬送される。
【0073】
面状検査機28は、冷却ゾーン26から送られてくる樹脂シートSの表面形状や反りを評価する。面状検査機28による評価はセンサー類を用いた任意の手法で行われ、この評価結果は、前段に設けられたダイ16からの溶融樹脂シートSの吐出制御、熱処理ゾーン24および冷却ゾーン26における熱処理・冷却制御、および樹脂シートSの搬送制御(成形冷却ローラー部17の回転制御)にフィードバックされる。
【0074】
ラミネート機30は、樹脂シートSの両面にポリエチレン等の保護フィルムを貼り付けるための一対の引取ローラー36を含んで構成される。
【0075】
図6は、ラミネート機30において保護フィルムFを樹脂シートSに貼り付ける機構を示す図である。保護フィルムFは、繰り出しローラー38から順次繰り出された後に、複数の転送ローラー37を経て、引取ローラー36に送られる。この引取ローラー36は、樹脂シートSの搬送および保護フィルムFの貼付を同時に行う。すなわち引取ローラー36は、軸回転することによって、前段部の樹脂シートSを引っ張るとともに、後段部の樹脂シートSを押し出すようにして搬送する。また同時に、引取ローラー36は、軸回転することによって、転送ローラー37を介して送られてくる保護フィルムFを樹脂シートSの面に圧着する。引取ローラー36、転送ローラー37および繰り出しローラー38は、樹脂シートSの表面側および裏面側の両方に設けられており、保護フィルムFは樹脂シートSの両面に圧着される。
【0076】
ラミネート機30において保護フィルムFが貼り付けられた樹脂シートSは、図1に示すように、切断機32に送られて、切断機32において所定長さに切り揃えられ、個片化される。以降、切断機32による切断前の樹脂シートSと区別するため、個片化後の樹脂シートSを樹脂板Bと呼ぶ。
【0077】
切断機32の態様としては、例えば、樹脂シートSの幅方向に丸鋸刃を移動させて切断を行う態様や、受け刃および押し当て刃を樹脂シートに押し付けて切断を行う態様が挙げられる。丸鋸刃を用いる態様では、樹脂シートSの搬送速度と同じ速度で、切断機32(丸鋸刃)をシート搬送方向に沿って移動させながら切断を行う。
【0078】
切断機32により個片化された樹脂板Bは、切断機32の後段に設けられたコンベア66により吸着ハンド68の待機位置まで送られて、吸着ハンド68によりNCルータ等の裁断機72まで運ばれる。そして、裁断機72により、樹脂板Bの幅方向端部を含む端部(耳部)が切り落とされる(くり抜き加工)。
【0079】
図7は、吸着ハンド68により樹脂板Bをコンベア66から裁断機72に運ぶ機構を示す図である。図8は、マーク検出センサー70の検出結果に基づいて、吸着ハンド68により樹脂板Bの位置および傾きを補正する機構を示す斜視図である。
【0080】
図7に示すように、コンベア66上の樹脂板Bは吸着ハンド68により持ち上げられ、位置および傾きが補正された後、裁断機72の裁断テーブル72Aに載置され、裁断テーブル72A上に吸着保持される。この後、裁断テーブル72A上に吸着保持された樹脂板Bに対して、裁断機72の裁断刃72Bによるくり抜き加工が行われる。
【0081】
吸着ハンド68は、吸着パッド等により樹脂板Bを吸着保持可能な構成を有するとともに、不図示の駆動機構を備えることにより、XY方向に移動可能かつθ方向に回転可能である。
【0082】
吸着ハンド68による樹脂板Bの位置および傾きの補正は、吸着ハンド68に取り付けられたマーク検出センサー70(70A、70B)を用いて以下のように行う。
【0083】
マーク検出センサー70は、レーザ変位計や膜厚計、CCDカメラ等の公知のセンサーを含んで構成されており、樹脂板Bのマーク56を検出することができる。図8に示すように、マーク検出センサー70(70A、70B)は、樹脂板Bのマーク56上の少なくとも2点(検出位置M1およびM2)において、マーク56の検出を行う。このとき、マーク検出センサー70の検出位置の一つ(図11の例では、検出位置M2)は、樹脂板Bの長さ方向における端部(エッジ)上に設定されることが好ましい。これにより、マーク検出センサー70によるマーク56の検出を2箇所(M1およびM2)において行うことで、コンベア66上における補正前の樹脂板Bの位置(XY座標)および傾き(回転角θ)を特定することができる。吸着ハンド68は、コンベア66上の樹脂板Bを持ち上げた後、上述のマーク検出センサー70の検出結果に基づいて、樹脂板Bの位置(XY座標)および傾き(回転角θ)を補正する。
【0084】
なお本実施形態では、吸着ハンド68により樹脂板Bの位置および傾きを補正する例について説明したが、樹脂板Bの位置および傾きの補正は、XYθ方向に移動可能な裁断テーブル72Aを用いて行ってもよい。また、樹脂板Bの位置および傾きの補正は、マーク検出センサー70の検出結果に基づいて自動的に補正する自動方式に限定されず、目視によるマーク56の観察結果に基づいてマニュアルで補正するマニュアル方式であってもよい。
【0085】
裁断機72においてくり抜き加工が施された樹脂板Bは、図1に示すように、スタッカー34に順次積み上げられる。スタッカー34に保管された樹脂板Bは、この後、導光板等の光学シートとして液晶表示装置等に組み込まれる。
【0086】
以上説明したように本実施形態に係る樹脂シートの製造方法では、ダイ16から押し出される溶融樹脂を、成形冷却ローラー部17において挟圧しながら冷却することで、幅方向に関して膜厚に偏りがある偏肉形状を有する樹脂シートSが成形される。このとき、成形冷却ローラー部17のうち、型ローラー20には突起部20B又は溝部20Cが設けられているため、成形された樹脂シートSにはマーク56が賦型されている。この樹脂シートSを切断機32により個片化した後、マーク検出センサー70によるマーク56の検出結果に基づいて樹脂板B(個片化後の樹脂シートS)の位置および傾きを補正した状態で、裁断機72による裁断が行われる。
【0087】
このように、樹脂シートSの最厚部52の位置を示すマーク56が樹脂シート成形時に形成されるため、成形冷却ローラー部17のローラー等との接触時に樹脂シートSが収縮や位置ずれを起こす場合であっても、最厚部52の位置に基づいて樹脂シートSの裁断を高精度に行うことができる。
【0088】
以上、本発明の一例について詳細に説明したが、本発明は、これに限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
【0089】
例えば、上述の例では、樹脂シート成形時に樹脂シートSに形成されるマーク56に基づいて、樹脂シートSの裁断を行う場合について説明したが、最厚部52の位置を間接的に示す保護フィルムF上の基準線に基づいて、当該基準線に基づいて樹脂シートSの裁断を行ってもよい。
【0090】
例えば、以下で説明するように、冷却形成ローラー部17において、最厚部52の位置を示すマーク56が賦型された樹脂シートSを成形して、当該マーク56の検出結果に従って保護フィルムFに基準線を形成した後で、当該基準線に基づいて裁断機72による裁断を行ってもよい。
【0091】
図9は本変形例に係る樹脂シートの製造方法を実施するために用いられる樹脂シート製造装置を示す図である。同図に示す樹脂シート製造装置100では、原料調製装置11、押出機12、ダイ16、成形冷却ローラー部17、熱処理ゾーン24、冷却ゾーン26、面状検査機28、マーク検出センサー70、ラミネート機30、基準線マーカー62、切断機32、コンベア66、吸着ハンド68、裁断機72およびスタッカー34が、上流側から下流側へ順次設けられている。以下、樹脂シート製造装置100について、樹脂シート製造装置10(図1参照)と異なる点に焦点を当てて説明する。
【0092】
樹脂シート製造装置100では、樹脂シートSに形成されたマーク56を検出するマーク検出センサー70は、吸着ハンド68に取り付けられるのではなく、ラミネート機30の上流側に配置されている。また、ラミネート機30の下流側には、マーク検出センサー70の検出結果に基づいて、樹脂シートSの表面を覆う保護フィルムFに基準線を形成する基準線マーカー62が設けられている。
【0093】
図10は、マーク検出センサー70の検出結果に基づいて、保護フィルムFに基準線を形成する機構を示す斜視図である。同図に示すように、矢印方向に搬送される樹脂シートSには、成形冷却ローラー部17(図9参照)においてシート幅方向における両端にマーク56が形成されており、当該マーク56はマーク検出センサー70により検出される。マーク検出センサー70(70A、70B)は、樹脂シートSのマーク56に対応する位置に配置されている。マーク56が検出された樹脂シートSは、ラミネート機30により保護フィルムFが貼り付けられた後、基準線マーカー62によって保護フィルムF上に基準線58が形成される。基準線マーカー62は、単軸ロボット64に取り付けられており、当該単軸ロボット64により、樹脂シートSの幅方向に移動して、保護フィルムF上の任意の位置に基準線58を形成することができる。
【0094】
ここで、基準線58は、公知のセンサーにより読み取り可能なものであれば特に限定されない。例えば、インクや顔料等による描画線からなる基準線58を形成してもよいし、溝状の凹部からなる基準線58を形成してもよいし、屈折率等の物性が改質された改質領域からなる基準線58を形成してもよい。
【0095】
また、膜厚測定センサー60のサンプリング回数は、各偏肉樹脂板(製品としての個片化後の偏肉樹脂シート)に対して少なくとも一回、膜厚測定センサー60による測定が行われるように、設定されることが好ましい。これにより、各偏肉樹脂板ごとに裁断量を調節することができる。
【0096】
また、基準線マーカー62により形成される基準線58の位置は、マーク検出センサー70により検出されたマーク56の位置に基づいて決定される。例えば、樹脂シートS上のマーク56の位置と、保護フィルムF上の基準線58の位置とが一致する(すなわち、マーク56と基準線58とが重複する)ように基準線58を形成してもよいし、マーク56から所定の距離だけ離れた保護フィルムF上の位置に基準線58を形成してもよい。また、マーク検出センサー70のサンプリング回数Nが多い場合には、検出されたマーク58の位置の平均値に基づいて基準線58の形成位置を決定してもよい。
【0097】
なお、基準線マーカー62は、樹脂シートSがマーク検出センサー70を通過してから、基準線マーカー62の直下に到達するまでのタイムラグを考慮して、基準線58を形成する。
【0098】
基準線マーカー62による基準線58の形成は、任意の手法により行うことができる。例えば、レーザー加工機やインクジェット印刷機により基準線58を形成してもよい。このうち、レーザー加工機は、基準線58を迅速かつ高精度に形成できる点で好ましい。
【0099】
基準線マーカー62として使用可能なレーザー加工機として、例えば、エキシマレーザー、YAGレーザー、炭酸ガスレーザーなどを挙げることができる。レーザー加工機を用いる場合、レーザー加工機の出力を調節することで、樹脂シートSまたは保護フィルムFに溝状の基準線58を形成したり、樹脂シートSまたは保護フィルムFの屈折率が変化した改質領域からなる基準線58を形成することができる。
【0100】
なお、図10には、単軸ロボット64により基準線マーカー62を樹脂シートSの幅方向に移動させることで基準線58の形成位置を調節する例を示したが、基準線58の形成位置の調節方法はこの例に限定されない。例えば、基準線マーカー62としてレーザー加工機を用いて、当該レーザー加工機から出力されるレーザー光を音響光学素子(AOD)により偏向させることで、基準線58の形成位置を調節してもよい。
【0101】
また図10には、保護フィルムFの貼り付け後に基準線58を形成する例を示したが、保護フィルムFの貼り付け前に基準線58を形成してもよい。例えば、ラミネート機30の繰り出しローラー38〜引取ローラー36間を搬送されている保護フィルムF上に基準線58を形成してもよい。
【0102】
基準線マーカー62により基準線58が形成された後、図9に示すように、樹脂シートSは、切断機32において、所定長さに切り揃えられ、個片化される。切断機32により個片化された樹脂板Bは、吸着ハンド68により位置および傾きが補正された後、裁断機72によるくり抜き加工が施される。このとき、吸着ハンド68による樹脂板Bの位置および傾きの補正は、吸着ハンド68に取り付けられた基準線検出センサー74(74A、74B)により行われる。
【0103】
図11は、基準線検出センサー74の検出結果に基づいて、吸着ハンド68により樹脂板Bの位置および傾きを補正する機構を示す斜視図である。同図に示すように、基準線検出センサー74(74A、74B)は、樹脂板Bの基準線58上の少なくとも2点(検出位置M3およびM4)において、基準線58の検出を行う。このとき、基準線検出センサー74の検出位置の一つ(図11の例では、検出位置M4)は、樹脂板Bの長さ方向における端部(エッジ)上に設定されることが好ましい。これにより、基準線検出センサー74による基準線58の検出を2箇所(M3およびM4)において行うことにより、コンベア66上における補正前の樹脂板Bの位置(XY座標)および傾き(回転角θ)を特定することができる。吸着ハンド68は、コンベア66上の樹脂板Bを持ち上げた後、上述の基準線検出センサー74の検出結果に基づいて、樹脂板Bの位置(XY座標)および傾き(回転角θ)を補正する。
【0104】
上記変形例に係る樹脂シートの製造方法によれば、樹脂シートSの最厚部52の位置を示すマーク56が樹脂シート成形時に形成されるため、成形冷却ローラー部17のローラー等との接触時に樹脂シートSが収縮や位置ずれを起こす場合であっても、最厚部52の位置に基づいて樹脂シートSの裁断を高精度に行うことができる。
【0105】
また、樹脂シートSの最厚部52の位置を示すマーク56が保護フィルムFに覆われて、当該マーク56を識別することが難しい場合であっても、保護フィルムF上に形成された、最厚部52の位置を間接的に示す基準線58に基づいて、樹脂シートSの裁断を高精度に行うことができる。
【実施例】
【0106】
PMMA(旭化成株式会社製80NH、ガラス転移温度110℃)を原料樹脂として使用し、温度255℃に設定したダイ(Tダイ)16より100kg/hrで溶融樹脂をシート状に押し出した。この溶融樹脂を、両端部にV字形状の溝(幅0.5mm、深さ0.5mm)が形成された型ローラー20を含む成形冷却ローラー部17で挟圧することにより成形した後、熱処理ゾーン24および冷却ゾーン26により冷却することで、図3(b)に示すV字型突起状のマーク56を有する偏肉形状の樹脂シートSを得た。得られた樹脂シートSの形状を測定したところ、最厚部52の膜厚は3.8mm、最薄部54の膜厚は2.0mm、マーク56の幅は0.5mm、マーク56の高さは0.5mmであった。
【0107】
このような形状の樹脂シートSに保護フィルムFをラミネートした後、切断機32により当該樹脂シートSを所定長さに個片化して、樹脂板Bを得た。そして、マーク検出センサー70により樹脂板Bのマーク56を検出した後、当該検出結果に基づいて、吸着ハンド68により樹脂板Bを位置合わせした状態で、裁断機72によるくり抜き加工を行った。これにより、最厚部を中心として、左右対称な断面形状を有する光学シートを得ることができた。
【符号の説明】
【0108】
10…樹脂シート製造装置、11…原料調製装置、12…押出機、13…原料供給管、14…溶融樹脂供給管、16…ダイ、17…成形冷却ローラー部、18…ニップローラー、20…型ローラー、20A…最厚形成部、20B…突起部、20C…溝部、22…剥離ローラー、23…加熱装置、24…熱処理ゾーン、26…冷却ゾーン、28…面状検査機、30…ラミネート機、32…切断機、34…スタッカー、36…引取ローラー、37…転送ローラー、38…繰り出しローラー、42…リップ口、44…バンク、46…挟圧部、52…最厚部、54…最薄部、56…マーク、58…基準線、62…基準線マーカー、64…単軸ロボット、66…コンベア、68…吸着ハンド、70…マーク検出センサー、72…裁断機、74…基準線検出センサー、S…樹脂シート、F…保護フィルム、B…樹脂板
【技術分野】
【0001】
本発明は膜厚に偏りがある偏肉形状の樹脂シートの製造方法に係り、例えば、液晶表示装置のバックライトの導光板や、装飾・表示・照明用ディスプレイの導光板などの光学シートとして使用される樹脂シートの製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置のバックライトや装飾・表示・照明用のディスプレイ装置には、光源からの光を導いて面発光する導光板が使用されており、例えば液晶表示装置には、液晶パネルの裏面側から導光板を介して光を照射するバックライトが設けられている。
【0003】
このような導光板のうち大画面液晶テレビなどの大型装置に用いられる導光板は、現行の設備や技術を背景に、押出成形法により製造されることが一般的である。押出成形法では、溶融状態の樹脂シートがダイ(Tダイ等)から押し出されて冷却ローラー(ポリシングローラー)により冷却される。樹脂シートは、その後、引取ローラーによる引っ張り搬送中に空冷され、保護フィルムが貼り付けられた後、幅方向に沿って所望の大きさに切断(個片化)される。個片化された樹脂シートは、幅方向端部が裁断され、端面仕上げが行われて、導光板として用いられる光学シートが得られる。
【0004】
上述の押出成形法により、幅方向に関して膜厚に偏りがある光学シートを製造する場合、最厚部の位置が光学シートの光学特性に影響することから、所望の位置に最厚部を有する光学シートが得られるように、樹脂シートの裁断を高精度に行う必要がある。例えば、最厚部を中心とする対称な偏肉形状の光学シートを製造する場合、光学シートの幅方向中心に最厚部が位置するように、樹脂シートの幅方向端部の裁断幅を調節する必要がある。
【0005】
このため、従来は、押出成形時のバンクすじの位置から見積もった最厚部のおおよその位置を基準に樹脂シートの裁断を行っていた。これにより、樹脂シートの最厚部と最薄部との膜厚差が小さく、目視では最厚部の位置を特定できない場合であっても、最厚部の位置に基づいて、樹脂シートの幅方向端部の裁断幅を調節することができる。
【0006】
しかし、押出し成形時の樹脂流動のばらつきがある場合には、樹脂シートの最厚部の位置をバンクすじの位置から正確に見積もることは難しく、樹脂シートの裁断を高精度に行うことができなかった。
【0007】
一方、押出成形機から押し出される樹脂シートを所定の製品長さに切断する方法として、エンコーダにより計測された搬送長さに基づいて、樹脂シートにマークを付した後、当該マークに基づいて樹脂シートの切断を行うことが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−86536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1には、樹脂(ウェザーストリップ)を所定長さに切断する方法が記載されているが、樹脂シートの幅方向における端部を裁断する方法は記載されていない。
【0010】
また、樹脂シートの最厚部の位置は、押出し成形時の樹脂流動のばらつきや、引っ張り搬送の張力のばらつき等に起因する樹脂シートの蛇行により、シート搬送方向に関して変動する。このため、単に、特許文献1に記載された方法を、樹脂シートの幅方向端部の裁断に適用するだけでは、樹脂シートの裁断を高精度に行うことが難しい。
【0011】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、樹脂シートの最厚部の位置に基づいて、樹脂シートの裁断を高精度に行うことができる樹脂シートの製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る樹脂シートの製造方法は、幅方向に関して膜厚に偏りがある偏肉形状を有する樹脂シートの製造方法であって、ダイから押し出される溶融樹脂を複数のローラーで挟圧しながら冷却することで、前記偏肉形状の最厚部の位置を示すマークが形成された前記樹脂シートを成形する工程と、前記樹脂シートに形成された前記マークを検出する工程と、検出された前記マークに基づいて、前記樹脂シートの前記幅方向における端部を裁断する工程とを含むことを特徴とする。
【0013】
上記樹脂シートの製造方法では、複数のローラーにより、最厚部の位置を示すマークが形成された樹脂シートが成形された後、当該マークに基づいて樹脂シートの裁断が行われる。このように、樹脂シートの最厚部の位置を示すマークが樹脂シート成形時に形成されるため、ローラーとの接触時に樹脂シートが収縮や位置ずれを起こす場合であっても、最厚部の位置に基づいて樹脂シートの裁断を高精度に行うことができる。
【0014】
ここで、「マーク」は、樹脂シートを成形するローラーによって賦型可能な形状のものであれば特に限定されず、例えば、V字形状、U字形状、矩形等の断面形状を有する突起又は溝であってもよい。
【0015】
また「最厚部の位置を示すマーク」とは、最厚部から所定距離の位置に付されるマークであり、当該マークに基づいて最厚部の位置を特定することができるものをいう。
【0016】
上記樹脂シートの製造方法において、前記複数のローラーのうち、前記樹脂シートに前記偏肉形状を付与する型ローラーに、前記マークを形成する突起部又は溝部が設けられていることが好ましい。
【0017】
一般的に、ダイから押し出された溶融樹脂が最初に接触するのは、樹脂シートに偏肉形状を付与する型ローラーである。したがって、突起部又は溝部が形成された型ローラーを用いることで、溶融樹脂(樹脂シート)の温度が高い状態で、最厚部の位置を示すマークを樹脂シートに確実に賦型することができる。
【0018】
上記樹脂シートの製造方法において、前記マークは、前記樹脂シートの前記幅方向における端部に形成されることが好ましい。
【0019】
このように、裁断時に切り落とされる樹脂シートの端部にマークを形成することで、樹脂シートの品質に影響を与えずに、樹脂シートの高精度な裁断を実現することができる。
【0020】
また本発明に係る別の樹脂シートの製造方法は、幅方向に関して膜厚に偏りがある偏肉形状を有する樹脂シートの製造方法であって、ダイから押し出される溶融樹脂を複数のローラーで挟圧しながら冷却することで、前記偏肉形状の最厚部の位置を示すマークが形成された前記樹脂シートを成形する工程と、前記樹脂シートに形成された前記マークを検出する工程と、前記マークを検出した後に、前記樹脂シートに保護フィルムを貼り付ける工程と、検出された前記マークに基づいて、前記保護フィルムに基準線を形成する工程と、前記保護フィルムに形成された前記基準線に基づいて、前記樹脂シートの前記幅方向における端部を裁断する工程とを含むことを特徴とする。
【0021】
上記樹脂シートの製造方法では、複数のローラーにより、最厚部の位置を示すマークが形成された樹脂シートが成形され、当該マークに従って保護フィルムに基準線が形成された後、当該基準線に基づいて樹脂シートの裁断が行われる。このように、樹脂シートの最厚部の位置を示すマークが樹脂シート成形時に形成されるため、ローラーとの接触時に樹脂シートが収縮や位置ずれを起こす場合であっても、最厚部の位置に基づいて樹脂シートの裁断を高精度に行うことができる。
【0022】
また、樹脂シートの最厚部の位置を示すマークが保護フィルムに覆われて、当該マークを識別することが難しい場合であっても、最厚部の位置を間接的に示す保護フィルム上の基準線に基づいて、樹脂シートの裁断を高精度に行うことができる。
【0023】
上記樹脂シートの製造方法において、前記複数のローラーのうち、前記樹脂シートに前記偏肉形状を付与する型ローラーに、前記マークを形成する突起部又は溝部が設けられていることが好ましい。
【0024】
このように、突起部又は溝部が形成された型ローラーを用いることで、溶融樹脂(樹脂シート)の温度が高い状態で、最厚部の位置を示すマークを樹脂シートに確実に賦型することができる。
【0025】
上記樹脂シートの製造方法において、前記マークは、前記樹脂シートの前記幅方向における端部に形成されることが好ましい。
【0026】
このように、裁断時に切り落とされる樹脂シートの端部にマークを形成することで、樹脂シートの品質に影響を与えずに、樹脂シートの高精度な裁断を実現することができる。
【0027】
上記樹脂シートの製造方法において、前記基準線は、レーザー加工機により形成されることが好ましい。
【0028】
レーザー加工機を用いることで、基準線を迅速かつ高精度に形成することができる。
【0029】
本発明に係る樹脂シートの製造装置は、幅方向に関して膜厚に偏りがある偏肉形状を有する樹脂シートの製造装置であって、溶融樹脂を押し出すダイと、前記ダイから押し出された前記溶融樹脂を挟圧しながら冷却することで、前記偏肉形状の最厚部の位置を示すマークが形成された前記樹脂シートを成形する複数のローラーと、前記複数のローラーにより成形された前記樹脂シートの前記マークを検出する検出手段と、前記検出手段により検出された前記マークに基づいて、前記樹脂シートの前記幅方向における端部を裁断する裁断手段とを含むことを特徴とする。
【0030】
上記樹脂シートの製造装置によれば、複数のローラーによる樹脂シート成形時に、樹脂シートの最厚部の位置を示すマークが形成されるため、ローラーとの接触時に樹脂シートが収縮や位置ずれを起こす場合であっても、最厚部の位置に基づいて樹脂シートの裁断を高精度に行うことができる。
【0031】
また本発明に係る別の樹脂シートの製造装置は、幅方向に関して膜厚に偏りがある偏肉形状を有する樹脂シートの製造装置であって、溶融樹脂を押し出すダイと、前記ダイから押し出された前記溶融樹脂を挟圧しながら冷却することで、前記偏肉形状の最厚部の位置を示すマークが形成された前記樹脂シートを成形する複数のローラーと、前記複数のローラーにより成形された前記樹脂シートの前記マークを検出する検出手段と、前記検出手段により前記マークが検出された前記樹脂シートに保護フィルムを貼り付ける貼付手段と、前記検出手段により検出された前記マークに基づいて、前記保護フィルムに基準線を形成する基準線形成手段と、前記基準線形成手段により形成された前記基準線に基づいて、前記樹脂シートの前記幅方向における端部を裁断する裁断手段とを含むことを特徴とする。
【0032】
上記樹脂シートの製造装置によれば、複数のローラーによる樹脂シート成形時に、樹脂シートの最厚部の位置を示すマークが形成されるため、ローラーとの接触時に樹脂シートが収縮や位置ずれを起こす場合であっても、最厚部の位置に基づいて樹脂シートの裁断を高精度に行うことができる。
【0033】
また、樹脂シートの最厚部の位置を示すマークが保護フィルムに覆われて、当該マークを識別することが難しい場合であっても、最厚部の位置を間接的に示す保護フィルム上の基準線に基づいて、樹脂シートの裁断を高精度に行うことができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、樹脂シートの最厚部の位置を示すマークが樹脂シート成形時に形成されるため、ローラーとの接触時に樹脂シートが収縮や位置ずれを起こす場合であっても、最厚部の位置に基づいて樹脂シートの裁断を高精度に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】樹脂シート製造装置の一例を示す図である。
【図2】ダイおよび成形冷却ローラー部を側方から見た図である。
【図3】(a)は偏肉形状が付与された樹脂シートの一例を示す斜視断面図である。(b)は偏肉形状が付与された樹脂シートの他の例を示す斜視断面図である。
【図4】(a)は非連続的な破線状のマークが付与された樹脂シートの一例を示す斜視図である。(b)は非連続的な破線状のマークが付与された樹脂シートの他の例を示す斜視断面図である。
【図5】(a)は成形冷却ローラー部の一例を示す断面図(図2におけるI−I線に沿った断面図)である。(b)は成形冷却ローラー部の他の例を示す断面図(図2におけるI−I線に沿った断面図)である。
【図6】保護フィルムを樹脂シートに貼り付ける機構を示す図である。
【図7】吸着ハンドにより樹脂板をコンベアから裁断機に運ぶ機構を示す図である。
【図8】マーク検出結果に基づいて、吸着ハンドにより樹脂板の位置および傾きを補正する機構を示す斜視図である。
【図9】樹脂シート製造装置の他の例を示す図である。
【図10】マーク検出センサーの検出結果に基づいて、保護フィルムに基準線を形成する機構を示す斜視図である。
【図11】基準線検出結果に基づいて、吸着ハンドにより樹脂板の位置および傾きを補正する機構を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付図面に従って本発明の実施形態について説明する。
【0037】
図1は、本発明の一実施形態に係る樹脂シートの製造方法を実施するために用いられる樹脂シート製造装置の一例を示す図である。図1に示す樹脂シート製造装置10では、原料調製装置11、押出機12、ダイ16、成形冷却ローラー部17、熱処理ゾーン24、冷却ゾーン26、面状検査機28、ラミネート機30、切断機32、コンベア66、吸着ハンド68、裁断機72およびスタッカー34が、上流側から下流側へ順次設けられている。
【0038】
原料調製装置11は、樹脂シート製造装置10によって製造される樹脂シートSの原料の計量および混合を行って原料を調製し、当該原料を原料供給管13を介して押出機12に送る。例えば、この原料調製装置11では、原料タンクおよび添加物タンクから混合器に送られる原料樹脂および添加物が自動計量機によって自動計量され、所定比率の原料樹脂および添加物が混合器で混合される。原料樹脂に添加物として拡散粒子を添加する場合には、原料樹脂に拡散粒子を所定濃度よりも高濃度に添加したマスターペレットを造粒機で製造しておき、拡散粒子が添加されていないベースペレットと混合器で所定比率混合するマスターバッチ方式を好適に採用できる。なお、拡散粒子以外の添加物を添加する場合にも、同様にして混合を行うことができる。
【0039】
上記の原料樹脂としては熱可塑性樹脂を使用可能であり、例えばポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリスチレン樹脂(PS)、MS樹脂、AS樹脂、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、熱可塑性エラストマー、又はこれらの共重合体、シクロオレフィンポリマーなどを原料樹脂として使用することができる。
【0040】
押出機12は、原料調製装置11から送られてくる原料を混練しながら溶融し、溶融樹脂を作る。この押出機12は、単軸式押出機および多軸式押出機の何れでもよく、押出機12の内部を真空にするベント機能を有するものが好ましい。押出機12により作られた溶融樹脂は、スクリューポンプやギアポンプ等の定量ポンプにより溶融樹脂供給管14を介してダイ16に送られる。
【0041】
ダイ16では、押出機12から送られてくる溶融樹脂が成形冷却ローラー部17に向かってシート状に押し出される。本実施形態では、シート幅方向に関して膜厚が均一ではない樹脂シート(偏肉樹脂シート)が成形されるので、ダイ16から押し出されて吐出される溶融樹脂量は、シート幅方向に関して所定の分布を有する。ダイ16から吐出される溶融樹脂量に分布を持たせる手段として、例えばチョークバーを使用する方法や他の公知の方法を用いることができる。
【0042】
成形冷却ローラー部17は、ニップローラー18、型ローラー20および剥離ローラー22を含み、ダイ16から供給される溶融樹脂に対して蒲鉾形の偏肉形状を付与して樹脂シートSを成形する。
【0043】
図2は、ダイ16および成形冷却ローラー部17を側方から見た断面図である。同図に示すように、ダイ16は、ニップローラー18および型ローラー20の上方において、やや型ローラー20寄りに配置される。また、ニップローラー18、型ローラー20および剥離ローラー22は、図示しない駆動装置により所定の周速度で図2に示す矢印方向に回転駆動される。なお、ニップローラー18および剥離ローラー22に対して駆動手段を設けない構成も可能であるが、樹脂シートSの面状(特に裏面)を良好に成形する観点からは、駆動手段によってニップローラー18および剥離ローラー22も回転駆動する構成が好ましい。
【0044】
ニップローラー18には、図示しない加圧手段が設けられており、型ローラー20との間の樹脂シートSを所定の圧力で挟圧することができるようになっている。この加圧手段は、ニップローラー18と型ローラー20との接触点における法線方向に圧力を付与する構成のものであり、モータ駆動手段、エアシリンダ、油圧シリンダ等の公知の各種手段を採用することができる。また、ニップローラー18には、挟圧力の反力による撓みが生じにくくなるような構成を採用することもできる。このような構成としては、ニップローラー18の背面側(型ローラー20とは反対側)に図示しないバックアップローラーを設ける構成、中高状のクラウン形状を採用する構成、ローラーの軸方向中央部の剛性が大きくなるような強度分布を付けたローラーの構成、或いはこれらを組み合わせた構成等を採用することができる。
【0045】
ニップローラー18、型ローラー20および剥離ローラー22には、樹脂シートSの偏肉形状に対応するような冷却温度分布を樹脂シートSに付与するための温度調整手段(図示せず)を設けてもよい。温度調整手段として、例えば、温度調節された冷却液体を型ローラー20の内部の一端側から他端側に流す構成を採用することができる。
【0046】
また、ニップローラー18、型ローラー20および剥離ローラー22には、ローラー表面の温度をローラー幅方向に関してモニターできるように、複数の表面温度測定手段(図示せず)を設けることが好ましい。このような表面温度測定手段としては、赤外線温度計、放射式温度計等の公知の各種測定手段が採用できる。
【0047】
このような構成において、ダイ16のリップ口42から吐出される溶融樹脂は、ニップローラー18と型ローラー20との間でバンク44を形成するとともに、挟圧部46においてニップローラー18および型ローラー20により挟圧される。ニップローラー18および型ローラー20により偏肉形状が付与された溶融樹脂シートSは、型ローラー20に巻き掛けられた状態で送り出され、剥離ローラー22によって型ローラー20から剥がされて、図2に示すシート搬送方向に送られる。
【0048】
図3(a)及び(b)は、成形冷却ローラー部17により偏肉形状が付与された樹脂シートSの例を示す斜視断面図である。
【0049】
成形冷却ローラー部17で成形された樹脂シートSは、シート幅方向に関して膜厚に偏りのある偏肉形状を有し、例えば、図3(a)及び(b)に示すように、最も膜厚の大きな最厚部52がシート幅方向の中央部に設けられ、最も膜厚の薄い最薄部54がシート幅方向の両端部に設けられる。
【0050】
また成形冷却ローラー部17による樹脂シートSの成形時に、樹脂シートSには、最厚部52から所定距離の位置に、最厚部52の位置を示すマーク56が賦型される。このマーク56は、溝構造(窪み構造)であってもよいし(図3(a)参照)、突起構造であってもよく(図3(b)参照)、樹脂シートSの最厚部52から所定距離の位置に設けられる。
【0051】
マーク56の形状は、樹脂シートSを成形する成形冷却ローラー部17によって賦型可能な形状であれば特に限定されず、例えば、V字形状、U字形状、矩形等の断面形状を有する突起又は溝であってもよい。マーク56の本数は、1本であっても、複数本であってもよい。
【0052】
マーク56は、センサーで高精度に検出可能な形状であることが好ましい。
【0053】
樹脂シートSのマーク56の高さhは、樹脂シートSの強度やハンドリング性を維持する観点から、マーク56の位置における樹脂シートSの膜厚tの1/4以下であることが好ましい。
【0054】
また樹脂シートSのマーク56は、樹脂シートSの品質に悪影響を及ぼすことがないように、後工程の裁断時に切り落とされる樹脂シートSの端部に設けられることが好ましい。
【0055】
上述の例では、最厚部52の位置を示すマーク56が樹脂シートSの表側の面(湾曲面)に設けられる場合について説明したが、マーク56を樹脂シートSの裏側の面に設けてもよい。このようにマーク56を樹脂シートSの裏側の面に設ける場合には、マーク56は溝構造であることが好ましい。これは、樹脂シートSの裏側の面に突起構造のマーク56を設けると、樹脂シートSを搬送するローラー等にマーク56が接触して、マーク56の変形やローラー汚れが発生するおそれがあるためである。
【0056】
また上述の例では、樹脂シートSの幅方向における両側の端部にマーク56が設けられる場合について説明したが、樹脂シートSの一方の端部のみにマーク56を設けてもよい。
【0057】
さらに上述の例では、マーク56が連続的な直線状である例について説明したが、マーク56の態様はこれに限定されず、例えば、図4(a)及び(b)に示すように、非連続的な破線状のマーク56を設けてもよい。すなわち、マーク56は、非連続的な破線状の溝であってもよいし(図4(a)参照)、非連続的な破線状の突起であってもよい(図4(b)参照)。
【0058】
以上説明した構造の樹脂シートS及びマーク56の形状は、当該樹脂シートSを挟圧成形する成形冷却ローラー部17(特に、ニップローラー18および型ローラー20)の形状に応じて適宜変更することができる。
【0059】
図5(a)及び(b)は、成形冷却ローラー部17の形状例を示す断面図(図2におけるI−I線に沿った断面図)である。
【0060】
ニップローラー18および剥離ローラー22は太さが一様な円柱形状を有する一方で、型ローラー20は中央部が細く両端部が太い所謂コンケーブ形状を有する。この型ローラー20のコンケーブ形状は、樹脂シートSの偏肉形状の反転形状であり、型ローラー20およびニップローラー18により高温の樹脂シートSが挟圧されて偏肉形状に成形される。
【0061】
型ローラー20の中央部には、樹脂シートSの最厚部52に対応する最厚形成部20Aが設けられており、型ローラー20の幅方向における両端部には、樹脂シートSのマーク56に対応する突起部20B(図5(a)参照)又は溝部20C(図5(b)参照)が設けられている。
【0062】
型ローラー20の突起部20B又は溝部20Cは、型ローラー20の全周にわたって連続的な直線状に形成されてもよいし、非連続的な破線状に形成されてもよい。型ローラー20の突起部20B又は溝部20Cを、型ローラー20の全周にわたって連続的な直線状に形成する場合は、型ローラー20の加工を容易に行うことができる。
【0063】
上述の例では、樹脂シートSの温度が高い状態でマーク56を確実に賦型するために、ダイ16から押し出された溶融樹脂が最初に接触する型ローラー20に突起部20B又は溝部20Cを設ける場合について説明したが、ニップローラー18又は剥離ローラー22に突起部又は溝部を設けてもよい。この場合、型ローラー20と、突起部又は溝部が設けられたローラー(ニップローラー18又は剥離ローラー22)との位置関係を把握するためのマークを、これらのローラーに付しておくことが好ましい。
【0064】
型ローラー20の形状は、公知の加工方法により形成することが可能であり、例えば、研削加工、超音波加工、放電加工、NC旋盤による切削加工、仕上げバフ加工、等を適宜組み合わせて形成することが可能である。
【0065】
また、ニップローラー18、型ローラー20および剥離ローラー22は、表面粗さ(中心線平均粗さRa)が好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.2μm以下となるように鏡面加工が施されていてもよい。このような平滑な表面にすることにより、成形後の樹脂シートSの表面を良好な状態に仕上げることができる。
【0066】
ニップローラー18、型ローラー20および剥離ローラー22の材質としては、各種鉄鋼部材、ステンレス鋼、銅、亜鉛、真鍮、これらの金属材料を芯金として表面にゴムライニングしたもの、これらの金属材料にHCrメッキ、Cuメッキ、Niメッキ等のメッキを施したもの、セラミックス、および各種の複合材料が挙げられる。
【0067】
また、ニップローラー18、型ローラー20および剥離ローラー22の当接部は、磨耗防止の観点から、タングステンカーバイト等の超硬材料による超硬処理が施されたり、焼き入れ処理が施されたりすることが好ましい。
【0068】
成形冷却ローラー部17において偏肉形状が付与された樹脂シートSは、図1に示すように、剥離ローラー22から熱処理ゾーン24に送られる。
【0069】
熱処理ゾーン24は、偏肉構造を有する樹脂シートSに対して熱処理を施すゾーンであり、複数の加熱装置23が樹脂シートSの搬送路に沿って設けられている。加熱装置23は非接触式加熱手段であり、加熱効率等の観点から、例えば遠赤外線ヒーターを加熱装置23として好適に用いることができる。加熱装置23の加熱条件は、搬送される樹脂シートSの表面温度がほぼ均一に保たれるようにコントロールされる。具体的には、樹脂シートSの表面温度がガラス転移温度Tg以下になった後に、樹脂シートSのうち加熱される側の表面の温度差が、幅方向に関して40℃以内となるように、好ましくは30℃以内となるように、より好ましくは10℃以内となるように、加熱装置23の加熱条件がコントロールされる。このとき、放射温度計等の温度センサー(図示せず)により樹脂シートSの温度が測定され、この測定温度に基づいて加熱装置23の加熱条件を適宜変更することで、樹脂シートSの表面温度が調整される。なお図1に示すように、型ローラー20および剥離ローラー22の各々に対向する位置にも、加熱装置23を設けてもよい。
【0070】
加熱装置23の加熱温度、加熱時間、およびその他の加熱条件は、樹脂シートSの搬送速度や加熱装置23の設置位置に基づいて適宜調整される。例えば、型ローラー20の近傍、剥離ローラー22の近傍、および剥離ローラー22〜熱処理ゾーン24にかけて、樹脂シートSのうち膜厚tが「t≦Dmin+(Dmax−Dmin)/2」(ただし、Dminは樹脂シートSのうち膜厚が最も小さい最薄部54の膜厚を意味し、Dmaxは樹脂シートSのうち膜厚が最も大きい最厚部52の膜厚を意味する)を満たす部分、より好ましくは「t≦Dmin+(Dmax−Dmin)/3」を満たす部分を加熱することが好ましい。これは、冷却されやすい最薄部分を重点的に加熱することで、樹脂シートS全体の温度差を抑えるためである。例えば、図3(a)及び(b)の断面形状を有する樹脂シートSの場合、両端の最薄部54を重点的に加熱することが好ましい。なお、上記式で表される範囲以外の膜厚tを有する部分については、ライン速度等に応じて、加熱の有無や加熱の程度を調整することが好ましい。特に樹脂シートSの表面温度を昇温し過ぎると搬送中に反り等の不具合が発生してしまうことがあるので、加熱装置23の加熱温度や加熱時間を含む加熱条件は、ライン速度や加熱装置23の設置位置に基づいて最適化されることが好ましい。
【0071】
熱処理ゾーン24において熱処理が施された樹脂シートSは、冷却ゾーン26に送られる。冷却ゾーン26は、熱処理ゾーン24から送られてくる樹脂シートSに対して徐冷処理を施すゾーンであり、樹脂シートSの急激な温度変化を防止する。樹脂シートSは、急激に冷却されると表面近傍と内部の収縮量の違いや温度差等に起因する表面形状の悪化や反りが生じ易い。特に膜厚に分布がある樹脂シートの場合には、急冷等により比較的大きな内部応力が生じやすいので、反りが生じ易い。そのため、冷却ゾーン26における徐冷方法の一例として、前半部では樹脂シートSの最厚部と最薄部との間で大きな温度差が生じないように非接触式加熱手段で最薄部を重点的に加熱して樹脂シートS全体を徐々に自然冷却し、後半部では樹脂シートSに冷風を当てて常温程度まで強制冷却を行う方法がある。
【0072】
なお、上述の熱処理ゾーン24および冷却ゾーン26では、熱処理や冷却に伴う反り等の変形を防いで所望の偏肉形状が保持されるように、樹脂シートSが搬送される。
【0073】
面状検査機28は、冷却ゾーン26から送られてくる樹脂シートSの表面形状や反りを評価する。面状検査機28による評価はセンサー類を用いた任意の手法で行われ、この評価結果は、前段に設けられたダイ16からの溶融樹脂シートSの吐出制御、熱処理ゾーン24および冷却ゾーン26における熱処理・冷却制御、および樹脂シートSの搬送制御(成形冷却ローラー部17の回転制御)にフィードバックされる。
【0074】
ラミネート機30は、樹脂シートSの両面にポリエチレン等の保護フィルムを貼り付けるための一対の引取ローラー36を含んで構成される。
【0075】
図6は、ラミネート機30において保護フィルムFを樹脂シートSに貼り付ける機構を示す図である。保護フィルムFは、繰り出しローラー38から順次繰り出された後に、複数の転送ローラー37を経て、引取ローラー36に送られる。この引取ローラー36は、樹脂シートSの搬送および保護フィルムFの貼付を同時に行う。すなわち引取ローラー36は、軸回転することによって、前段部の樹脂シートSを引っ張るとともに、後段部の樹脂シートSを押し出すようにして搬送する。また同時に、引取ローラー36は、軸回転することによって、転送ローラー37を介して送られてくる保護フィルムFを樹脂シートSの面に圧着する。引取ローラー36、転送ローラー37および繰り出しローラー38は、樹脂シートSの表面側および裏面側の両方に設けられており、保護フィルムFは樹脂シートSの両面に圧着される。
【0076】
ラミネート機30において保護フィルムFが貼り付けられた樹脂シートSは、図1に示すように、切断機32に送られて、切断機32において所定長さに切り揃えられ、個片化される。以降、切断機32による切断前の樹脂シートSと区別するため、個片化後の樹脂シートSを樹脂板Bと呼ぶ。
【0077】
切断機32の態様としては、例えば、樹脂シートSの幅方向に丸鋸刃を移動させて切断を行う態様や、受け刃および押し当て刃を樹脂シートに押し付けて切断を行う態様が挙げられる。丸鋸刃を用いる態様では、樹脂シートSの搬送速度と同じ速度で、切断機32(丸鋸刃)をシート搬送方向に沿って移動させながら切断を行う。
【0078】
切断機32により個片化された樹脂板Bは、切断機32の後段に設けられたコンベア66により吸着ハンド68の待機位置まで送られて、吸着ハンド68によりNCルータ等の裁断機72まで運ばれる。そして、裁断機72により、樹脂板Bの幅方向端部を含む端部(耳部)が切り落とされる(くり抜き加工)。
【0079】
図7は、吸着ハンド68により樹脂板Bをコンベア66から裁断機72に運ぶ機構を示す図である。図8は、マーク検出センサー70の検出結果に基づいて、吸着ハンド68により樹脂板Bの位置および傾きを補正する機構を示す斜視図である。
【0080】
図7に示すように、コンベア66上の樹脂板Bは吸着ハンド68により持ち上げられ、位置および傾きが補正された後、裁断機72の裁断テーブル72Aに載置され、裁断テーブル72A上に吸着保持される。この後、裁断テーブル72A上に吸着保持された樹脂板Bに対して、裁断機72の裁断刃72Bによるくり抜き加工が行われる。
【0081】
吸着ハンド68は、吸着パッド等により樹脂板Bを吸着保持可能な構成を有するとともに、不図示の駆動機構を備えることにより、XY方向に移動可能かつθ方向に回転可能である。
【0082】
吸着ハンド68による樹脂板Bの位置および傾きの補正は、吸着ハンド68に取り付けられたマーク検出センサー70(70A、70B)を用いて以下のように行う。
【0083】
マーク検出センサー70は、レーザ変位計や膜厚計、CCDカメラ等の公知のセンサーを含んで構成されており、樹脂板Bのマーク56を検出することができる。図8に示すように、マーク検出センサー70(70A、70B)は、樹脂板Bのマーク56上の少なくとも2点(検出位置M1およびM2)において、マーク56の検出を行う。このとき、マーク検出センサー70の検出位置の一つ(図11の例では、検出位置M2)は、樹脂板Bの長さ方向における端部(エッジ)上に設定されることが好ましい。これにより、マーク検出センサー70によるマーク56の検出を2箇所(M1およびM2)において行うことで、コンベア66上における補正前の樹脂板Bの位置(XY座標)および傾き(回転角θ)を特定することができる。吸着ハンド68は、コンベア66上の樹脂板Bを持ち上げた後、上述のマーク検出センサー70の検出結果に基づいて、樹脂板Bの位置(XY座標)および傾き(回転角θ)を補正する。
【0084】
なお本実施形態では、吸着ハンド68により樹脂板Bの位置および傾きを補正する例について説明したが、樹脂板Bの位置および傾きの補正は、XYθ方向に移動可能な裁断テーブル72Aを用いて行ってもよい。また、樹脂板Bの位置および傾きの補正は、マーク検出センサー70の検出結果に基づいて自動的に補正する自動方式に限定されず、目視によるマーク56の観察結果に基づいてマニュアルで補正するマニュアル方式であってもよい。
【0085】
裁断機72においてくり抜き加工が施された樹脂板Bは、図1に示すように、スタッカー34に順次積み上げられる。スタッカー34に保管された樹脂板Bは、この後、導光板等の光学シートとして液晶表示装置等に組み込まれる。
【0086】
以上説明したように本実施形態に係る樹脂シートの製造方法では、ダイ16から押し出される溶融樹脂を、成形冷却ローラー部17において挟圧しながら冷却することで、幅方向に関して膜厚に偏りがある偏肉形状を有する樹脂シートSが成形される。このとき、成形冷却ローラー部17のうち、型ローラー20には突起部20B又は溝部20Cが設けられているため、成形された樹脂シートSにはマーク56が賦型されている。この樹脂シートSを切断機32により個片化した後、マーク検出センサー70によるマーク56の検出結果に基づいて樹脂板B(個片化後の樹脂シートS)の位置および傾きを補正した状態で、裁断機72による裁断が行われる。
【0087】
このように、樹脂シートSの最厚部52の位置を示すマーク56が樹脂シート成形時に形成されるため、成形冷却ローラー部17のローラー等との接触時に樹脂シートSが収縮や位置ずれを起こす場合であっても、最厚部52の位置に基づいて樹脂シートSの裁断を高精度に行うことができる。
【0088】
以上、本発明の一例について詳細に説明したが、本発明は、これに限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
【0089】
例えば、上述の例では、樹脂シート成形時に樹脂シートSに形成されるマーク56に基づいて、樹脂シートSの裁断を行う場合について説明したが、最厚部52の位置を間接的に示す保護フィルムF上の基準線に基づいて、当該基準線に基づいて樹脂シートSの裁断を行ってもよい。
【0090】
例えば、以下で説明するように、冷却形成ローラー部17において、最厚部52の位置を示すマーク56が賦型された樹脂シートSを成形して、当該マーク56の検出結果に従って保護フィルムFに基準線を形成した後で、当該基準線に基づいて裁断機72による裁断を行ってもよい。
【0091】
図9は本変形例に係る樹脂シートの製造方法を実施するために用いられる樹脂シート製造装置を示す図である。同図に示す樹脂シート製造装置100では、原料調製装置11、押出機12、ダイ16、成形冷却ローラー部17、熱処理ゾーン24、冷却ゾーン26、面状検査機28、マーク検出センサー70、ラミネート機30、基準線マーカー62、切断機32、コンベア66、吸着ハンド68、裁断機72およびスタッカー34が、上流側から下流側へ順次設けられている。以下、樹脂シート製造装置100について、樹脂シート製造装置10(図1参照)と異なる点に焦点を当てて説明する。
【0092】
樹脂シート製造装置100では、樹脂シートSに形成されたマーク56を検出するマーク検出センサー70は、吸着ハンド68に取り付けられるのではなく、ラミネート機30の上流側に配置されている。また、ラミネート機30の下流側には、マーク検出センサー70の検出結果に基づいて、樹脂シートSの表面を覆う保護フィルムFに基準線を形成する基準線マーカー62が設けられている。
【0093】
図10は、マーク検出センサー70の検出結果に基づいて、保護フィルムFに基準線を形成する機構を示す斜視図である。同図に示すように、矢印方向に搬送される樹脂シートSには、成形冷却ローラー部17(図9参照)においてシート幅方向における両端にマーク56が形成されており、当該マーク56はマーク検出センサー70により検出される。マーク検出センサー70(70A、70B)は、樹脂シートSのマーク56に対応する位置に配置されている。マーク56が検出された樹脂シートSは、ラミネート機30により保護フィルムFが貼り付けられた後、基準線マーカー62によって保護フィルムF上に基準線58が形成される。基準線マーカー62は、単軸ロボット64に取り付けられており、当該単軸ロボット64により、樹脂シートSの幅方向に移動して、保護フィルムF上の任意の位置に基準線58を形成することができる。
【0094】
ここで、基準線58は、公知のセンサーにより読み取り可能なものであれば特に限定されない。例えば、インクや顔料等による描画線からなる基準線58を形成してもよいし、溝状の凹部からなる基準線58を形成してもよいし、屈折率等の物性が改質された改質領域からなる基準線58を形成してもよい。
【0095】
また、膜厚測定センサー60のサンプリング回数は、各偏肉樹脂板(製品としての個片化後の偏肉樹脂シート)に対して少なくとも一回、膜厚測定センサー60による測定が行われるように、設定されることが好ましい。これにより、各偏肉樹脂板ごとに裁断量を調節することができる。
【0096】
また、基準線マーカー62により形成される基準線58の位置は、マーク検出センサー70により検出されたマーク56の位置に基づいて決定される。例えば、樹脂シートS上のマーク56の位置と、保護フィルムF上の基準線58の位置とが一致する(すなわち、マーク56と基準線58とが重複する)ように基準線58を形成してもよいし、マーク56から所定の距離だけ離れた保護フィルムF上の位置に基準線58を形成してもよい。また、マーク検出センサー70のサンプリング回数Nが多い場合には、検出されたマーク58の位置の平均値に基づいて基準線58の形成位置を決定してもよい。
【0097】
なお、基準線マーカー62は、樹脂シートSがマーク検出センサー70を通過してから、基準線マーカー62の直下に到達するまでのタイムラグを考慮して、基準線58を形成する。
【0098】
基準線マーカー62による基準線58の形成は、任意の手法により行うことができる。例えば、レーザー加工機やインクジェット印刷機により基準線58を形成してもよい。このうち、レーザー加工機は、基準線58を迅速かつ高精度に形成できる点で好ましい。
【0099】
基準線マーカー62として使用可能なレーザー加工機として、例えば、エキシマレーザー、YAGレーザー、炭酸ガスレーザーなどを挙げることができる。レーザー加工機を用いる場合、レーザー加工機の出力を調節することで、樹脂シートSまたは保護フィルムFに溝状の基準線58を形成したり、樹脂シートSまたは保護フィルムFの屈折率が変化した改質領域からなる基準線58を形成することができる。
【0100】
なお、図10には、単軸ロボット64により基準線マーカー62を樹脂シートSの幅方向に移動させることで基準線58の形成位置を調節する例を示したが、基準線58の形成位置の調節方法はこの例に限定されない。例えば、基準線マーカー62としてレーザー加工機を用いて、当該レーザー加工機から出力されるレーザー光を音響光学素子(AOD)により偏向させることで、基準線58の形成位置を調節してもよい。
【0101】
また図10には、保護フィルムFの貼り付け後に基準線58を形成する例を示したが、保護フィルムFの貼り付け前に基準線58を形成してもよい。例えば、ラミネート機30の繰り出しローラー38〜引取ローラー36間を搬送されている保護フィルムF上に基準線58を形成してもよい。
【0102】
基準線マーカー62により基準線58が形成された後、図9に示すように、樹脂シートSは、切断機32において、所定長さに切り揃えられ、個片化される。切断機32により個片化された樹脂板Bは、吸着ハンド68により位置および傾きが補正された後、裁断機72によるくり抜き加工が施される。このとき、吸着ハンド68による樹脂板Bの位置および傾きの補正は、吸着ハンド68に取り付けられた基準線検出センサー74(74A、74B)により行われる。
【0103】
図11は、基準線検出センサー74の検出結果に基づいて、吸着ハンド68により樹脂板Bの位置および傾きを補正する機構を示す斜視図である。同図に示すように、基準線検出センサー74(74A、74B)は、樹脂板Bの基準線58上の少なくとも2点(検出位置M3およびM4)において、基準線58の検出を行う。このとき、基準線検出センサー74の検出位置の一つ(図11の例では、検出位置M4)は、樹脂板Bの長さ方向における端部(エッジ)上に設定されることが好ましい。これにより、基準線検出センサー74による基準線58の検出を2箇所(M3およびM4)において行うことにより、コンベア66上における補正前の樹脂板Bの位置(XY座標)および傾き(回転角θ)を特定することができる。吸着ハンド68は、コンベア66上の樹脂板Bを持ち上げた後、上述の基準線検出センサー74の検出結果に基づいて、樹脂板Bの位置(XY座標)および傾き(回転角θ)を補正する。
【0104】
上記変形例に係る樹脂シートの製造方法によれば、樹脂シートSの最厚部52の位置を示すマーク56が樹脂シート成形時に形成されるため、成形冷却ローラー部17のローラー等との接触時に樹脂シートSが収縮や位置ずれを起こす場合であっても、最厚部52の位置に基づいて樹脂シートSの裁断を高精度に行うことができる。
【0105】
また、樹脂シートSの最厚部52の位置を示すマーク56が保護フィルムFに覆われて、当該マーク56を識別することが難しい場合であっても、保護フィルムF上に形成された、最厚部52の位置を間接的に示す基準線58に基づいて、樹脂シートSの裁断を高精度に行うことができる。
【実施例】
【0106】
PMMA(旭化成株式会社製80NH、ガラス転移温度110℃)を原料樹脂として使用し、温度255℃に設定したダイ(Tダイ)16より100kg/hrで溶融樹脂をシート状に押し出した。この溶融樹脂を、両端部にV字形状の溝(幅0.5mm、深さ0.5mm)が形成された型ローラー20を含む成形冷却ローラー部17で挟圧することにより成形した後、熱処理ゾーン24および冷却ゾーン26により冷却することで、図3(b)に示すV字型突起状のマーク56を有する偏肉形状の樹脂シートSを得た。得られた樹脂シートSの形状を測定したところ、最厚部52の膜厚は3.8mm、最薄部54の膜厚は2.0mm、マーク56の幅は0.5mm、マーク56の高さは0.5mmであった。
【0107】
このような形状の樹脂シートSに保護フィルムFをラミネートした後、切断機32により当該樹脂シートSを所定長さに個片化して、樹脂板Bを得た。そして、マーク検出センサー70により樹脂板Bのマーク56を検出した後、当該検出結果に基づいて、吸着ハンド68により樹脂板Bを位置合わせした状態で、裁断機72によるくり抜き加工を行った。これにより、最厚部を中心として、左右対称な断面形状を有する光学シートを得ることができた。
【符号の説明】
【0108】
10…樹脂シート製造装置、11…原料調製装置、12…押出機、13…原料供給管、14…溶融樹脂供給管、16…ダイ、17…成形冷却ローラー部、18…ニップローラー、20…型ローラー、20A…最厚形成部、20B…突起部、20C…溝部、22…剥離ローラー、23…加熱装置、24…熱処理ゾーン、26…冷却ゾーン、28…面状検査機、30…ラミネート機、32…切断機、34…スタッカー、36…引取ローラー、37…転送ローラー、38…繰り出しローラー、42…リップ口、44…バンク、46…挟圧部、52…最厚部、54…最薄部、56…マーク、58…基準線、62…基準線マーカー、64…単軸ロボット、66…コンベア、68…吸着ハンド、70…マーク検出センサー、72…裁断機、74…基準線検出センサー、S…樹脂シート、F…保護フィルム、B…樹脂板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向に関して膜厚に偏りがある偏肉形状を有する樹脂シートの製造方法であって、
ダイから押し出される溶融樹脂を複数のローラーで挟圧しながら冷却することで、前記偏肉形状の最厚部の位置を示すマークが形成された前記樹脂シートを成形する工程と、
前記樹脂シートに形成された前記マークを検出する工程と、
検出された前記マークに基づいて、前記樹脂シートの前記幅方向における端部を裁断する工程とを含むことを特徴とする樹脂シートの製造方法。
【請求項2】
前記複数のローラーのうち、前記樹脂シートに前記偏肉形状を付与する型ローラーに、前記マークを形成する突起部又は溝部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の樹脂シートの製造方法。
【請求項3】
前記マークは、前記樹脂シートの前記幅方向における端部に形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂シートの製造方法。
【請求項4】
幅方向に関して膜厚に偏りがある偏肉形状を有する樹脂シートの製造方法であって、
ダイから押し出される溶融樹脂を複数のローラーで挟圧しながら冷却することで、前記偏肉形状の最厚部の位置を示すマークが形成された前記樹脂シートを成形する工程と、
前記樹脂シートに形成された前記マークを検出する工程と、
前記マークを検出した後に、前記樹脂シートに保護フィルムを貼り付ける工程と、
検出された前記マークに基づいて、前記保護フィルムに基準線を形成する工程と、
前記保護フィルムに形成された前記基準線に基づいて、前記樹脂シートの前記幅方向における端部を裁断する工程とを含むことを特徴とする樹脂シートの製造方法。
【請求項5】
前記複数のローラーのうち、前記樹脂シートに前記偏肉形状を付与する型ローラーに、前記マークを形成する突起部又は溝部が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の樹脂シートの製造方法。
【請求項6】
前記マークは、前記樹脂シートの前記幅方向における端部に形成されることを特徴とする請求項4又は5に記載の樹脂シートの製造方法。
【請求項7】
前記基準線は、レーザー加工機により形成されることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載の樹脂シートの製造方法。
【請求項8】
幅方向に関して膜厚に偏りがある偏肉形状を有する樹脂シートの製造装置であって、
溶融樹脂を押し出すダイと、
前記ダイから押し出された前記溶融樹脂を挟圧しながら冷却することで、前記偏肉形状の最厚部の位置を示すマークが形成された前記樹脂シートを成形する複数のローラーと、
前記複数のローラーにより成形された前記樹脂シートの前記マークを検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された前記マークに基づいて、前記樹脂シートの前記幅方向における端部を裁断する裁断手段とを含むことを特徴とする樹脂シートの製造装置。
【請求項9】
幅方向に関して膜厚に偏りがある偏肉形状を有する樹脂シートの製造装置であって、
溶融樹脂を押し出すダイと、
前記ダイから押し出された前記溶融樹脂を挟圧しながら冷却することで、前記偏肉形状の最厚部の位置を示すマークが形成された前記樹脂シートを成形する複数のローラーと、
前記複数のローラーにより成形された前記樹脂シートの前記マークを検出する検出手段と、
前記検出手段により前記マークが検出された前記樹脂シートに保護フィルムを貼り付ける貼付手段と、
前記検出手段により検出された前記マークに基づいて、前記保護フィルムに基準線を形成する基準線形成手段と、
前記基準線形成手段により形成された前記基準線に基づいて、前記樹脂シートの前記幅方向における端部を裁断する裁断手段とを含むことを特徴とする樹脂シートの製造装置。
【請求項1】
幅方向に関して膜厚に偏りがある偏肉形状を有する樹脂シートの製造方法であって、
ダイから押し出される溶融樹脂を複数のローラーで挟圧しながら冷却することで、前記偏肉形状の最厚部の位置を示すマークが形成された前記樹脂シートを成形する工程と、
前記樹脂シートに形成された前記マークを検出する工程と、
検出された前記マークに基づいて、前記樹脂シートの前記幅方向における端部を裁断する工程とを含むことを特徴とする樹脂シートの製造方法。
【請求項2】
前記複数のローラーのうち、前記樹脂シートに前記偏肉形状を付与する型ローラーに、前記マークを形成する突起部又は溝部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の樹脂シートの製造方法。
【請求項3】
前記マークは、前記樹脂シートの前記幅方向における端部に形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂シートの製造方法。
【請求項4】
幅方向に関して膜厚に偏りがある偏肉形状を有する樹脂シートの製造方法であって、
ダイから押し出される溶融樹脂を複数のローラーで挟圧しながら冷却することで、前記偏肉形状の最厚部の位置を示すマークが形成された前記樹脂シートを成形する工程と、
前記樹脂シートに形成された前記マークを検出する工程と、
前記マークを検出した後に、前記樹脂シートに保護フィルムを貼り付ける工程と、
検出された前記マークに基づいて、前記保護フィルムに基準線を形成する工程と、
前記保護フィルムに形成された前記基準線に基づいて、前記樹脂シートの前記幅方向における端部を裁断する工程とを含むことを特徴とする樹脂シートの製造方法。
【請求項5】
前記複数のローラーのうち、前記樹脂シートに前記偏肉形状を付与する型ローラーに、前記マークを形成する突起部又は溝部が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の樹脂シートの製造方法。
【請求項6】
前記マークは、前記樹脂シートの前記幅方向における端部に形成されることを特徴とする請求項4又は5に記載の樹脂シートの製造方法。
【請求項7】
前記基準線は、レーザー加工機により形成されることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載の樹脂シートの製造方法。
【請求項8】
幅方向に関して膜厚に偏りがある偏肉形状を有する樹脂シートの製造装置であって、
溶融樹脂を押し出すダイと、
前記ダイから押し出された前記溶融樹脂を挟圧しながら冷却することで、前記偏肉形状の最厚部の位置を示すマークが形成された前記樹脂シートを成形する複数のローラーと、
前記複数のローラーにより成形された前記樹脂シートの前記マークを検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された前記マークに基づいて、前記樹脂シートの前記幅方向における端部を裁断する裁断手段とを含むことを特徴とする樹脂シートの製造装置。
【請求項9】
幅方向に関して膜厚に偏りがある偏肉形状を有する樹脂シートの製造装置であって、
溶融樹脂を押し出すダイと、
前記ダイから押し出された前記溶融樹脂を挟圧しながら冷却することで、前記偏肉形状の最厚部の位置を示すマークが形成された前記樹脂シートを成形する複数のローラーと、
前記複数のローラーにより成形された前記樹脂シートの前記マークを検出する検出手段と、
前記検出手段により前記マークが検出された前記樹脂シートに保護フィルムを貼り付ける貼付手段と、
前記検出手段により検出された前記マークに基づいて、前記保護フィルムに基準線を形成する基準線形成手段と、
前記基準線形成手段により形成された前記基準線に基づいて、前記樹脂シートの前記幅方向における端部を裁断する裁断手段とを含むことを特徴とする樹脂シートの製造装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−201712(P2010−201712A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−48280(P2009−48280)
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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