説明

樹脂シート材の硬化度測定方法及び樹脂シート材の硬化度測定装置

【課題】連続的に搬送されるプリプレグ等の樹脂シート材に対して、複数回に亘って波長域の異なる赤外線を照射して測定される赤外線の強度に基づいて樹脂シート材の硬化度を測定することができ、且つシート状基材における部分的な樹脂量の変化に影響されることなく正確な硬化度の測定を行うことができる樹脂シート材の硬化度測定方法を提供する。
【解決手段】樹脂を含みシート状の形態を有する樹脂シート材1を移動させた状態で、この樹脂シート材1中の複数の官能基の各吸収波長の波長域の赤外線Lを順次照射する。前記赤外線Lの樹脂シート材1を透過した透過光又は樹脂シート材1から反射した反射光の強度を検出する。検出された各吸収波長における赤外線Lの強度に基づいて、樹脂シート材1の樹脂の硬化度を導出する。前記赤外線Lの照射位置を樹脂シート材1の移動に伴って移動させ、樹脂シート材1上の同一の領域9に赤外線Lが照射されるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリプレグ等の樹脂シート材の硬化度を測定する硬化度測定方法及びそのための測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板の製造等に使用されるプリプレグは、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含む組成物をシート状基材(無機又は有機の織布又は不織布)に含浸させ、加熱乾燥することにより樹脂成分を半硬化させることで作製されている。
【0003】
プリプレグの製造にあたっては、一般的には長尺のシート状基材を連続的に搬送しながら、熱硬化性樹脂組成物に連続的に浸漬するなどしてこの熱硬化性樹脂組成物を含浸させ、更に加熱炉に連続的に通過させることで加熱乾燥して半硬化させ、更に所定寸法に切断することが行われている。
【0004】
このようなプリプレグの製造過程においては、長尺のシート状基材を連続的に搬送している間にシート状基材への熱硬化性樹脂組成物の含浸量が変化した場合、原料の性質が変動した場合、シート状基材の品質に変動が生じた場合等には、製造されたプリプレグに樹脂の硬化度の不均一が生じるおそれがある。このような不均一が生じると、プリプレグを用いて製造されるプリント配線板等の製品の品質にも影響が及ぶおそれがある。
【0005】
このため、プリプレグを製造する際には、得られたプリプレグにおける樹脂の硬化度を測定することで、プリプレグ中の樹脂の硬化度が均一となっていることを確認する必要がある。
【0006】
このようなプリプレグの硬化度の測定方法としては、従来、特許文献1に開示されているようなものが提案されている。
【0007】
この従来技術では、プリプレグの製造工程において、加熱処理により得られた長尺のプリプレグを連続的に搬送しながら、このプリプレグに対して赤外線を照射し、特定の波長の赤外線吸収量を測定することにより、硬化度を測定している。
【0008】
すなわち、エポキシ樹脂組成物を用いてプリプレグを作製する場合、エポキシ樹脂を含浸した基材を加熱乾燥して半硬化させると、エポキシ樹脂組成物の硬化反応が進行してこの組成物中のエポキシ基の量が減少する。このため、エポキシ基の吸収波長における赤外線吸収量から、プリプレグ中のエポキシ基の量を導出することができ、これにより硬化度を測定することができる。また、併せてプリプレグ中における反応に関与しないメチル基等の吸収波長における赤外線吸収量を求めれば、このメチル基等の吸収波長の赤外線吸収量と、エポキシ基の吸収波長の赤外線吸収量とに基づき、プリプレグ中における硬化反応により消費されたエポキシ基の割合を求めることができ、これによりプリプレグの硬化度を更に正確に導出することができる。ここで、反応に関与するエポキシ樹脂の量のみから硬化度を測定する場合には、プリプレグに生じる厚みの変化や、基材を構成する繊維の粗密に起因して生じる部分的な樹脂量の変化等によって硬化度を正確に測定することは困難となるが、硬化反応に関与するエポキシ基と、硬化反応に関与しないメチル基の量とに基づいて硬化度を測定すれば、プリプレグを構成する樹脂中のエポキシ基の割合に基づいて硬化度を測定することが可能となる。
【0009】
このように特定の官能基に基づく赤外線吸収量を測定するにあたっては、FT−IRを用いることもできるが、FT−IRを用いると装置コストが高くなる。また、上記硬化度の測定では測定する吸収波長が特定されている。このため、プリプレグに赤外線を照射するにあたって、特定波長域を選択的に透過させる複数種のフィルタを用いることも行われている。この場合、測定対象の吸収波長に応じたフィルタを順次選択し、このフィルタを透過した赤外線の、プリプレグを透過等した後の強度を測定することにより、所望の吸収波長における赤外線の吸光を簡便な構成で測定することができる。
【特許文献1】特表平08−511105号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、既述のようにプリプレグの製造工程の後段においてプリプレグの硬化度を測定する場合には、プリプレグに赤外線を照射する過程においてプリプレグは連続的に搬送されることとなる。このため、例えばエポキシ基の吸収波長を測定した後、フィルタを交換してメチル基の吸収波長を測定する場合、その間にプリプレグが移動してプリプレグにおける赤外線の照射位置が変わってしまう。この場合、既述のようにプリプレグ中には樹脂量の部分的な変化が生じ得るため、例えば樹脂量の異なる位置でエポキシ基の量とメチル基の量を測定する事態が生じてしまい、硬化度の正確な測定ができなくなるおそれがあった。
【0011】
また、このような事態が発生しないように、プリプレグを所望の寸法に切断した後、静置した状態で上記測定を行うことも考えられるが、硬化度測定のための別工程が必要となって生産効率が低下してしまい、またプリプレグの製造後、硬化度の測定までの間にタイムラグが生じてしまい、硬化度に異常をきたした場合に即時に製造工程の点検、調整を行うことができないという問題がある。
【0012】
本発明は上記の点に鑑みて為されたものであり、連続的に搬送されるプリプレグ等の樹脂シート材に対して、複数回に亘って波長域の異なる赤外線を照射することで測定される赤外線の強度に基づいて樹脂シート材の硬化度を測定することができ、且つシート状基材における部分的な樹脂量の変化に影響されることなく正確な硬化度の測定を行うことができる樹脂シート材の硬化度測定方法及びそのための樹脂シート材の硬化度測定装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る樹脂シート材1の硬度測定方法は、樹脂を含みシート状の形態を有する樹脂シート材1を移動させた状態で、樹脂シート材中の複数の官能基の各吸収波長の波長域の赤外線Lを順次照射し、前記赤外線Lの樹脂シート材1を透過した透過光又は樹脂シート材1から反射した反射光の強度を検出し、検出された各吸収波長における赤外線Lの強度に基づいて、樹脂シート材1の樹脂の硬化度を導出する樹脂シート材1の硬化度測定方法であって、前記赤外線Lの照射位置を樹脂シート材1の移動に伴って移動させることにより、樹脂シート材1上の同一の領域9に赤外線Lが照射されるようにすることを特徴とする。
【0014】
請求項2に係る発明は、請求項1において、上記複数の官能基が、樹脂の硬化反応に関与する官能基と、樹脂の硬化反応に関与しない官能基であることを特徴とする。
【0015】
請求項3に係る樹脂シート材1の硬化度測定装置は、
樹脂を含みシート状の形態を有する樹脂シート材1を移動させる基材移動手段と、
赤外線Lを基材に照射させる赤外線照射手段2と、
透過波長域が異なる複数のフィルタ4を具備する赤外線波長選択手段3と、
前記赤外線照射手段2から照射され、前記赤外線波長選択手段2のいずれかのフィルタ4を透過した後、樹脂シート材1を透過した赤外線Lの透過光又は樹脂シート材1から反射した赤外線Lの反射光を受光して、電気信号に変換する赤外線受光手段5と、
前記電気信号を演算処理して樹脂シート材1の樹脂の硬化度を導出する硬化度導出手段6とを具備し、
上記赤外線照射手段2及び赤外線受光手段5とを、樹脂シート材1上で赤外線Lが同一の領域9に照射されるように、この樹脂シート材1の移動と同期して移動させる駆動手段を具備し、
上記赤外線波長選択手段3における複数のフィルタ4が、赤外線照射手段2の移動に伴って赤外線照射手段2から照射される赤外線Lの経路上に順次配置されるように配列されていることを特徴とする。
【0016】
請求項4に係る樹脂シート材1の硬化度測定装置は、
樹脂を含みシート状の形態を有する樹脂シート材1を移動させる基材移動手段と、
赤外線Lを基材に向けて照射する赤外線照射手段2と、
透過波長域が異なる複数のフィルタ4を具備すると共に前記赤外線照射手段2と基材との間の赤外線Lの照射経路上に配置されるフィルタ4の種類を変更する赤外線波長選択手段3と、
前記赤外線照射手段2から照射された赤外線Lの樹脂シート材1を透過した透過光又は樹脂シート材1から反射した反射光を受光して、電気信号に変換する赤外線受光手段5と、
前記電気信号を演算処理して樹脂シート材1の樹脂の硬化度を導出する硬化度導出手段6とを具備し、
上記赤外線照射手段2、赤外線波長選択手段3及び赤外線受光手段5を、前記樹脂シート材1上における赤外線Lが照射される領域9が同一位置となるように、この樹脂シート材1の移動と同期して移動させる駆動手段を具備することを特徴とする。
【0017】
請求項5に係る発明は、請求項3において、
上記駆動手段が、赤外線波長選択手段3及び赤外線受光手段5を基材の移動方向に移動させた後、逆方向に移動させてこの赤外線波長選択手段3及び赤外線受光手段5を初期位置に復帰させるものであることを特徴とする。
【0018】
請求項6に係る発明は、請求項4において、上記駆動手段が、赤外線照射手段2、赤外線波長選択手段3及び赤外線受光手段5を基材の移動方向に移動させた後、逆方向に移動させてこの赤外線照射手段2、赤外線波長選択手段3及び赤外線受光手段5を初期位置に復帰させるものであることを特徴とする。
【0019】
請求項7に係る発明は、請求項3乃至6のいずれか一項において、上記硬化度導出手段6が、樹脂シート材1中の樹脂の硬化反応に関与する官能基の吸収波長の赤外線Lの強度と、樹脂の硬化反応に関与しない官能基の吸収波長の赤外線Lの強度との比に基づいて、樹脂シート材1における樹脂の硬化度を導出するものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に係る発明によれば、樹脂シート材1を移動させた状態で、樹脂シート材1中の複数の官能基の各吸収波長の波長域の赤外線Lを順次照射し、透過光又は反射光の強度を検出して、各吸収波長における赤外線Lの強度に基づいて、樹脂シート材1の樹脂の硬化度を導出するにあたり、赤外線Lの照射位置を樹脂シート材1の移動に伴って移動させることにより、樹脂シート材1上の同一の領域9に赤外線Lが照射されるようにすることで、樹脂シート材1が移動しているにもかかわらず樹脂シート材1上の同一位置における複数の官能基の吸収波長での赤外線Lの強度を検出することができ、樹脂シート材1の厚みの変化等による部分的な樹脂量の変化による影響を受けることなく、樹脂シート材1の硬化度を測定することができるものである。
【0021】
請求項2に係る発明によれば、樹脂シート材1における硬化反応に関与しない官能基の量は硬化の前後で変化せず、一方、硬化反応に関与する官能基の量は硬化反応の進行により減少することから、これら各官能基の吸収波長の赤外線Lの強度に基づけば、樹脂シート材1における樹脂量の部分的な変化による影響を更に排除して、更に正確に硬化度を測定することができるものである。
【0022】
請求項3に係る発明によれば、樹脂シート材1を移動させた状態で、樹脂シート材1中の複数の官能基の各吸収波長の波長域の赤外線Lを順次照射し、透過光又は反射光の強度を検出して、各吸収波長における赤外線Lの強度に基づいて、樹脂シート材1の樹脂の硬化度を導出するにあたり、赤外線照射手段2と赤外線受光手段5とを樹脂シート材1の移動と同期して移動させることで、樹脂シート材1上の同一の領域9に赤外線Lが照射されるようにすることができると共にこの移動に伴って同時に樹脂シート材1に照射される赤外線Lの波長域を順次変更することができ、樹脂シート材1が移動しているにもかかわらず樹脂シート材1上の同一位置における複数の官能基の吸収波長での赤外線Lの強度を検出することができ、樹脂シート材1の厚みの変化等による部分的な樹脂量の変化による影響を受けることなく、樹脂シート材1の硬化度を測定することができるものである。
【0023】
請求項4に係る発明によれば、樹脂シート材1を移動させた状態で、樹脂シート材中の複数の官能基の各吸収波長の波長域の赤外線Lを順次照射し、透過光又は反射光の強度を検出して、各吸収波長における赤外線Lの強度に基づいて、樹脂シート材1の樹脂の硬化度を導出するにあたり、赤外線照射手段2、赤外線波長選択手段3及び赤外線受光手段5を樹脂シート材1の移動と同期して移動させると共に、赤外線波長選択手段3によって赤外線照射手段2と基材との間の赤外線Lの照射経路上に配置されるフィルタ4の種類を順次変更することで、樹脂シート材1上の同一の領域9に赤外線Lが照射されるようにすることができると共にこの移動に伴って同時に樹脂シート材1に照射される赤外線Lの波長域を順次変更することができ、樹脂シート材1が移動しているにもかかわらず樹脂シート材1上の同一位置における複数の官能基の吸収波長での赤外線Lの強度を検出することができ、樹脂シート材1の厚みの変化等による部分的な樹脂量の変化による影響を受けることなく、樹脂シート材1の硬化度を測定することができるものである。
【0024】
請求項5に係る発明によれば、一旦硬化度の測定を終了した後、赤外線照射手段2及び赤外線受光手段5を初期位置に復帰させることで、再び測定を開始することができるようにすることができ、樹脂シート材1に対して連続的に硬化度の測定を行うことができるものである。
【0025】
請求項6に係る発明によれば、一旦硬化度の測定を終了した後、赤外線照射手段2、赤外線波長選択手段3及び赤外線受光手段5を初期位置に復帰させることで、再び測定を開始することができるようにすることができ、樹脂シート材1に対して連続的に硬化度の測定を行うことができるものである。
【0026】
請求項7に係る発明によれば、樹脂シート材1における硬化反応に関与しない官能基の量は硬化の前後で変化せず、一方、硬化反応に関与する官能基の量は硬化反応の進行により減少することから、これら各官能基の吸収波長の赤外線Lの強度に基づけば、樹脂シート材1における樹脂量の部分的な変化による影響を更に排除して、更に正確に硬化度を測定することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0028】
本発明における硬化度の測定対象である樹脂シート材1は、樹脂を含むと共にシート状の形態を有するものであり、特に熱硬化性樹脂組成物のワニスをシート状基材に含浸させ、加熱乾燥することにより樹脂成分を半硬化させて得られるプリプレグを挙げることができる。前記シート状基材としては、無機又は有機の織布又は不織布を挙げることができる。その他、樹脂を含みシート状の形態を有するものであれば、本発明を適用し得る。樹脂シート材1がプリプレグである場合における熱硬化性樹脂組成物は、プリプレグの製造に用いられているエポキシ樹脂組成物等の適宜のものを用いることができる。
【0029】
樹脂シート材1は枚葉状のものであっても良く、長尺なものでも良い。プリプレグの製造工程においてプリプレグの硬化度を測定する場合には、このプリプレグの製造工程の後段において、枚葉状に切断される前の長尺のプリプレグの硬化度を測定することができる。以下、プリプレグの硬化度を測定する場合を例に挙げて本発明を説明する。
【0030】
樹脂シート材1の硬化度測定装置は、基材移動手段、赤外線照射手段2、赤外線波長選択手段3、赤外線受光手段5及び硬化度導出手段6を具備する。
【0031】
図1及び図2は、硬化度測定装置の第一の実施形態を示す。
【0032】
基材移動手段は樹脂シート材1を移動させるものであり、このとき樹脂シート材1はその面方向に沿って移動される。樹脂シート材1が長尺である場合には、基材移動手段はこの樹脂シート材1を長手方向に沿って連続的に搬送する。この基材移動手段は、図示はしないが、例えばプリプレグの製造工程におけるシート状基材やプリプレグを搬送する搬送ロール等にて形成することができる。
【0033】
赤外線照射手段2としては、赤外線Lをビーム状に照射する適宜の赤外線L発振器を挙げることができる。赤外線照射手段2は、樹脂シート材1の一面と間隔をあけて対向するように配置し、この樹脂シート材1の一面に向けて赤外線Lを照射するように配設することができる。
【0034】
赤外線波長選択手段3としては、透過波長域が異なる複数のフィルタ4を具備するものが設けられる。前記フィルタ4としては、特定の赤外線Lの特定の波長域を選択的に透過させるバンドパスフィルタ4を挙げることができる。赤外線波長選択手段3は、赤外線照射手段2と樹脂シート材1との間の赤外線Lの照射経路上に配設され、この赤外線波長選択手段3は、複数のフィルタ4が樹脂シート材1の移動方向に沿って配列するように支持している。
【0035】
上記フィルタ4としては、測定対象の樹脂シート材1における特定の官能基の吸収波長を選択的に透過するものが設けられる。このとき、樹脂シート材1中における樹脂の硬化反応に関与する官能基(以下、活性官能基という)の吸収波長を中心とした波長域を選択的に透過するフィルタ4と、樹脂の硬化反応に関与しない官能基(以下、不活性官能基という)の吸収波長を中心とした波長域を選択的に透過するフィルタ4を設ける。吸収波長は各官能基の吸光度のピーク値の波長を選択することができる。
【0036】
この複数のフィルタ4としては、熱硬化性樹脂の樹脂組成を変更した場合にも対応できるように、各種の官能基の吸収波長の波長域を選択的に透過するものを複数設けることができる。このとき同時に測定される官能基についてのフィルタ4は、一列に並んで設けられるようにする。また、同じ列に他の官能基の吸収波長を透過するフィルタ4を併せて設けても良い。また、図示の例ではフィルタ4を二列に亘って設けているが、このようにフィルタ4を複数列設ける場合には、熱硬化性樹脂組成物の組成の変更に応じ、各列には同時に測定される官能基の吸収波長の波長域を選択的に透過するフィルタ4を設けるようにする。
【0037】
活性官能基と、不活性官能基とは、樹脂シート材1を形成するために用いる熱硬化性樹脂組成物の組成に依存するが、例えばビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂等を含むエポキシ樹脂組成物の場合は前者の官能基としてエポキシ基を、後者の官能基としてベンゼン環を挙げることができる。
【0038】
赤外線受光手段5は、赤外線Lを受光して電気信号に変換する適宜の受光素子にて形成することができる。この赤外線受光手段5は、上記赤外線照射手段2から照射された赤外線Lが樹脂シート材1の一面に到達した後、この樹脂シート材1を透過した透過光や、樹脂シート材1で反射された反射光を受光するように設けられる。図1に示す例では赤外線受光手段5は樹脂シート材1の赤外線照射手段2が設けられている側とは反対側の面と対向して、透過光を受光する位置に配設されている。図2に示す例では赤外線受光手段5は樹脂シート材1の赤外線照射手段2が設けられている側と同じ側に、反射光を受光する位置に配設されており、このとき赤外線照射手段2は樹脂シート材1の一面に斜め方向に赤外線Lを照射し、この樹脂シート材1の一面側における反射光の軌跡上で赤外線受光手段5が反射光を受光するようになっている。
【0039】
ここで、樹脂シート材1と赤外線受光手段5との間の赤外線Lの経路上には、集光レンズ7を設けることにより、赤外線受光手段5が前記集光レンズ7にて集光された赤外線Lを受光して検知できるようにすることが望ましい。この場合、樹脂シート材1を透過又は反射することで赤外線Lが不均一に拡散した場合であっても、この拡散した赤外線Lを集光して受光することで赤外線Lの拡散の影響を低減し、測定結果を平均化して正確な測定を行うことができる。
【0040】
硬化度導出手段6は、赤外線受光手段5にて生成された電気信号が入力され、この電気信号を演算処理して樹脂シート材1の樹脂の硬化度を導出する。この硬化度導出手段6は、CPU、ROM、RAM等から構成される適宜のマイクロコンピュータで構成することができる。この硬化度導出手段6による硬化度を導出するための処理動作については後述する。
【0041】
本実施形態では、上記赤外線照射手段2及び赤外線受光手段5の配置位置を移動させる駆動手段が設けられている。駆動手段は適宜のアクチュエータで構成することができる。このとき赤外線照射手段2及び赤外線受光手段5は前記駆動手段により、樹脂シート材1の搬送方向に沿って移動し、且つ、樹脂シート材1の移動と同期して、すなわち樹脂シート材1の移動方向と同一方向に同一速度で、移動可能に形成する。
【0042】
このとき、樹脂シート材1に向けて赤外線Lを照射した状態で、樹脂シート材1を移動させると、樹脂シート材1の移動に伴って樹脂シート材1上の赤外線Lの到達位置も移動し、結果、赤外線照射手段2及び赤外線受光手段5が基材の移動方向と同一方向に移動している間は、樹脂シート材1上の同一領域9に赤外線Lが到達し、その透過光又は反射光が赤外線受光手段5により受光されるようになっている。また、赤外線照射手段2及び赤外線受光手段5が樹脂シート材1の移動方向に移動している間は、赤外線Lの軌跡が赤外線波長選択手段3の後端のフィルタ4から前端のフィルタ4まで順次通過するようになっている。ここで、図示のように赤外線波長選択手段3にフィルタ4が二列設けられている場合には、赤外線波長選択手段3は基材の搬送方向と直交する方向に移動可能に形成し、いずれか一方の列のフィルタ4において前記のように赤外線Lの軌跡が後端のフィルタ4から前端のフィルタ4まで順次通過するようになっている。また、赤外線照射手段2と赤外線受光手段5は、照射される赤外線Lの軌跡が前端のフィルタ4まで到達したら、駆動手段により樹脂シート材1の移動方向と反対方向に移動して初期状態に復帰し、再び駆動手段により樹脂シート材1の移動方向に移動可能となる。
【0043】
また、この硬化度測定装置における赤外線照射手段2、赤外線波長選択手段3、赤外線受光手段5、及びこれらの間の赤外線Lの経路で構成される光学系の周囲には、カバーを設けることが好ましい。この場合、外乱光の影響を低減して測定誤差の発生を抑制し、正確な測定を行うようにすることができる。
【0044】
このように構成される硬化度測定装置の動作を説明する。
【0045】
樹脂シート材1が基材移動手段にて移動している状態で、駆動手段により赤外線照射手段2と赤外線受光手段5とを樹脂シート材1の移動と同期するようにしてこの樹脂シート材1の移動方向へと移動させる。集光レンズ7を設けている場合には、駆動手段によりこの集光レンズ7も同様に移動させる。このとき、赤外線照射手段2は赤外線Lを連続的に照射していても良いが、赤外線Lの軌跡上に特定のフィルタ4が配置された状態となったときにのみ、赤外線Lをパルス状に照射しても良い。前記特定のフィルタ4とは、熱硬化性樹脂組成物中の、活性官能基の吸収波長を含む波長域を選択的に透過するフィルタ4と、不活性官能基の吸収波長を含む波長域を選択的に透過するフィルタ4とを意味する。
【0046】
このとき、赤外線受光手段5は、赤外線照射手段2と共に移動しながら、樹脂シート材1を反射した反射光、又は樹脂シート材1を透過した透過光を、受光する。
【0047】
赤外線受光手段5は、受光した光を電気信号に変換して、硬化度導出手段6に伝達する。硬化度導出手段6は、前記電気信号に基づき、上記各特定のフィルタ4を通過した赤外線Lの透過光又は反射光の強度を導出する。
【0048】
このとき、活性官能基の吸収波長を含む波長域を選択的に透過するフィルタ4を透過した赤外線Lを樹脂シート材1に照射した場合の、上記透過光又は反射光の強度(以下、活性官能基受光強度という)は、樹脂シート材1中の活性官能基の量に依存する。また、不活性官能基の吸収波長を含む波長域を選択的に透過するフィルタ4を透過した赤外線Lを樹脂シート材1に照射した場合の、上記透過光又は反射光の強度(以下、不活性官能基受光強度という)は、樹脂シート材1中の不活性官能基の量に依存する。
【0049】
ここで、樹脂中の不活性官能基の量は樹脂の硬化反応が進行しても反応の前後で変化はしないが、活性反応基の量は樹脂の硬化反応が進行するのに伴って減少する。このため、樹脂の硬化が進むと不活性官能基の量に対する活性反応基の量の割合が小さくなる。そのため、硬化度導出手段6は、上記活性官能基受光強度と、不活性官能基受光強度に基づいて、硬化度を導出することができる。具体的な硬化度の導出方法は適宜のものとすることができるが、例えば、硬化度導出手段6は、不活性官能基受光強度に対する活性官能基受光強度の比を導出し、この比の値から、予め設定されている不活性官能基受光強度に対する活性官能基受光強度の比と硬化度との間の相関関係を参照して、硬化度を導出することができる。
【0050】
不活性官能基受光強度に対する活性官能基受光強度の比と硬化度との間の相関関係は適宜の手法で導出したものを予め硬化度導出手段6に記憶させることができる。例えば予め硬化度をそれぞれ異ならせた複数の樹脂シート材1について、上記と同様にして活性官能基受光強度と不活性官能基受光強度とを測定し、その結果に基づいて、不活性官能基受光強度に対する活性官能基受光強度の比と硬化度との相関関係を表す相関表や関係式を導出しておく。そして、この相関表や関係式を硬化度導出手段6に記憶させておき、これに基づいて樹脂シート材1の硬化度を導出するようにする。
【0051】
図3,4は、硬化度測定装置の第二の実施形態を示す。
【0052】
図示の実施形態では、基材移動手段、赤外線照射手段2、赤外線受光手段5及び硬化度導出手段6としては、第一の実施形態と同様のものが設けられている。
【0053】
また、赤外線波長選択手段3は、樹脂シート材1の一面に対して直交する方向の回転駆動軸8を有する円盤状に形成され、前記回転駆動軸8を中心とする円周に沿って複数のフィルタ4が支持されている。このフィルタ4は図示の例では回転駆動軸8を中心とする二つの同心円の円周に沿ってそれぞれ列設されている。
【0054】
このフィルタ4としては第一の実施形態と同様のものが設けられる。このとき、図示の例では一方の同心円の円周に沿って列設されたフィルタ4と他方の同心円の円周に沿って列設されたフィルタ4とは、それぞれ同時に測定される官能基の吸収波長の波長域を選択的に透過するフィルタ4を設けるようにする。
【0055】
この赤外線波長選択手段3は、赤外線照射手段2と樹脂シート材1との間の赤外線Lの照射経路に、いずれかのフィルタ4が配置されるように配設される。また、赤外線照射手段2に対する赤外線波長選択手段3の配置位置を変更することで、二つの同心円の円周に沿って列設された各フィルタ4のうち、一方の同心円の円周に沿って配置されたフィルタ4が赤外線Lの照射経路に配置された状態と、他方の同心円の円周に沿って配置されたフィルタ4が赤外線Lの照射経路に配置された状態とに切り替えることができる。
【0056】
本実施形態では、上記赤外線照射手段2、赤外線波長選択手段3及び赤外線受光手段5の配置位置を移動させる駆動手段が設けられている。駆動手段は適宜のアクチュエータで構成することができる。このとき赤外線照射手段2、赤外線波長選択手段3及び赤外線受光手段5は前記駆動手段により、樹脂シート材1の搬送方向に沿って移動し、且つ、樹脂シート材1の移動と同期して、すなわち樹脂シート材1の移動方向と同一方向に同一速度で、移動可能に形成する。また、この赤外線波長選択手段3は、前記のように赤外線照射手段2及び赤外線受光手段5と共に移動しながら、回転駆動軸8を中心に一定の角速度で回転駆動するように形成されている。
【0057】
このとき、樹脂シート材1に向けて赤外線Lを照射した状態で、樹脂シート材1を移動させると、樹脂シート材1の移動に伴って樹脂シート材1上の赤外線Lの到達位置も移動し、結果、赤外線照射手段2及び赤外線受光手段5が基材の移動方向と同一方向に移動している間は、樹脂シート材1上の同一領域9に赤外線Lが到達し、その透過光又は反射光が赤外線受光手段5により受光されるようになっている。また、この間、赤外線波長選択手段3が回転駆動軸8を中心に一定の角速度で回転駆動することにより、赤外線Lの軌跡が赤外線波長選択手段3の一つの円周上にある複数のフィルタ4を順次通過するようになっている。ここで、図示のように赤外線波長選択手段3にフィルタ4が二つの同心円の円周にそれぞれ設けられている場合には、赤外線波長選択手段3の配置位置を既述のように赤外線照射手段2に対して移動させることで、いずれか一方の同心円の円周のフィルタ4において前記のように赤外線Lの軌跡がこの同心円の円周上のフィルタ4を順次通過するようになっている。また、赤外線照射手段2、赤外線波長選択手段3及び赤外線受光手段5は、赤外線Lの軌跡が一方の同心円の円周上のフィルタ4を全て通過したら、駆動手段により樹脂シート材1の移動方向と反対方向に移動して初期状態に復帰し、再び駆動手段により樹脂シート材1の移動方向に移動可能となる。
【0058】
他の構成は、第一の実施形態と同様とすることができる。
【0059】
このように構成される硬化度測定装置の動作を説明する。
【0060】
樹脂シート材1が基材移動手段にて移動している状態で、駆動手段により赤外線照射手段2、赤外線波長選択手段3及び赤外線受光手段5を樹脂シート材1の移動と同期するようにしてこの樹脂シート材1の移動方向へと移動させると共に、赤外線波長選択手段3を回転駆動させる。このとき、赤外線受光手段5は赤外線Lを連続的に照射していても良いが、赤外線Lの軌跡上に特定のフィルタ4が配置された状態となったときにのみ、赤外線Lをパルス状に照射しても良い。前記特定のフィルタ4とは、熱硬化性樹脂組成物中の、活性官能基の吸収波長を含む波長域を選択的に透過するフィルタ4と、不活性官能基の吸収波長を含む波長域を選択的に透過するフィルタ4とを意味する。
【0061】
このとき、赤外線受光手段5は、赤外線照射手段2と共に移動しながら、樹脂シート材1を反射した反射光、又は樹脂シート材1を透過した透過光を、受光する。
【0062】
赤外線受光手段5は、受光した光を電気信号に変換して、硬化度導出手段6に伝達する。硬化度導出手段6は、前記電気信号に基づき、第一の実施形態の場合と同様にして樹脂シート材1の硬化度を測定する。
【0063】
上記各実施形態のようにして樹脂シート材1の硬化度を測定すると、樹脂シート材1に生じる厚みの変化等による部分的な樹脂量の変化などに影響されることなく、樹脂シート材1の硬化度を正確に測定することができる。殊に、樹脂シート材1を移動させながら硬化度を測定するにあたって、樹脂シート材1における赤外線Lが照射される領域9を同一の領域9とすることができるため、樹脂シート材1における同一の領域9における活性官能基と不活性官能基の量に基づく硬化度の測定を行うことができ、樹脂シート材1における樹脂量の部分的な変化の影響を著しく排除することができる。
【0064】
このように硬化度を測定するにあたっては、赤外線照射手段2と赤外線受光手段5(第二の実施形態の場合は更に赤外線波長選択手段3)を樹脂シート材1の移動方向に沿って移動させながら測定を行った後、これらを逆方向に移動させて初期の状態に復帰させ、再び同様に硬化度の測定を行うことができる。このように硬化度の測定を繰り返し行うことにより、樹脂シート材1の硬化度を連続的にモニターすることができ、この硬化度に異常が生じた場合に速やかに樹脂シートの製造工程の点検、調整等を行うことができる。
【0065】
また、このような硬化度測定装置は、定期的に動作検査を行い、必要に応じてメンテナンスを行うことが好ましい。
【0066】
例えば、赤外線照射手段2の光源が劣化した場合には、赤外線受光手段5にて検出される信号のS/N比が悪化するため、この光源の劣化の有無を定期的に検査することが好ましい。この場合、例えば樹脂シート材1が存在しない状態で、赤外線照射手段2から照射される赤外線Lを赤外線受光手段5にて受光した場合に検出される受光強度が、基準値(例えば、最低限必要なS/N比を得るために必要とされる受光強度)に満たない場合には、赤外線照射手段2の光源が劣化したものとして、光源の交換等のメンテナンスを行うようにする。
【0067】
このとき、例えば赤外線照射手段2から照射される赤外線Lを、赤外線波長選択手段3における全てのフィルタ4を順次通過させ、この各フィルタ4を通過した赤外線Lを赤外線受光手段5により受光するようにしても良い。この場合、各フィルタ4を通過した赤外線Lの受光強度の平均値を導出し、この平均値が、基準値(例えば、最低限必要なS/N比を得るために必要とされる受光強度の平均値)に満たない場合には、赤外線照射手段2の光源が劣化したものとして、光源の交換等のメンテナンスを行うようにしても良い。
【0068】
また、赤外線波長選択手段3のフィルタ4に汚れが付着した場合には、フィルタ4における赤外線Lの透過率が変化し、正確な測定は困難となる。このため、前記フィルタ4の汚れの有無も定期的に検査することが好ましい。この場合、例えば樹脂シートが存在しない状態で、赤外線照射手段2から照射される赤外線Lを、赤外線波長選択手段3における全てのフィルタ4を順次通過させ、この各フィルタ4を通過した赤外線Lを赤外線受光手段5により受光する。そして、各フィルタ4を通過した赤外線Lの受光強度の強度比を導出し、この強度比が、基準値(例えば予め赤外線照射手段2の光源に劣化が生じていない状態で測定された前記強度比)と一致しない場合には、フィルタ4に汚れが付着しているものと判定する。この場合、フィルタ4の清掃や交換等のメンテナンスを行う。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の第一の実施形態の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の第一の実施形態の他例を示す概略図である。
【図3】本発明の第二の実施形態の一例を示す概略図である。
【図4】本発明の第二の実施形態の他例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0070】
1 樹脂シート材
2 赤外線照射手段
3 赤外線波長選択手段
4 フィルタ
5 赤外線受光手段
6 硬化度導出手段
9 領域
L 赤外線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂を含みシート状の形態を有する樹脂シート材を移動させた状態で、この樹脂シート材中の複数の官能基の各吸収波長の波長域の赤外線を順次照射し、前記赤外線の樹脂シート材を透過した透過光又は樹脂シート材から反射した反射光の強度を検出し、検出された各吸収波長における赤外線の強度に基づいて、樹脂シート材の樹脂の硬化度を導出する樹脂シート材の硬化度測定方法であって、
前記赤外線の照射位置を樹脂シート材の移動に伴って移動させることにより、樹脂シート材上の同一の領域に赤外線が照射されるようにすることを特徴とする樹脂シート材の硬化度測定方法。
【請求項2】
上記複数の官能基が、樹脂の硬化反応に関与する官能基と、樹脂の硬化反応に関与しない官能基であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂シート材の硬化度測定方法。
【請求項3】
樹脂を含みシート状の形態を有する樹脂シート材を移動させる基材移動手段と、
赤外線を基材に照射させる赤外線照射手段と、
透過波長域が異なる複数のフィルタを具備する赤外線波長選択手段と、
前記赤外線照射手段から照射され、前記赤外線波長選択手段のいずれかのフィルタを透過した後、樹脂シート材を透過した赤外線の透過光又は樹脂シート材から反射した赤外線の反射光を受光して、電気信号に変換する赤外線受光手段と、
前記電気信号を演算処理して樹脂シート材の樹脂の硬化度を導出する硬化度導出手段とを具備し、
上記赤外線照射手段及び赤外線受光手段を、樹脂シート材上で赤外線が同一の領域に照射されるように、この樹脂シート材の移動と同期して移動させる駆動手段を具備し、
上記赤外線波長選択手段における複数のフィルタが、赤外線照射手段の移動に伴って赤外線照射手段から照射される赤外線の経路上に順次配置されるように配列されていることを特徴とする樹脂シート材の硬化度測定装置。
【請求項4】
樹脂を含みシート状の形態を有する樹脂シート材を移動させる基材移動手段と、
赤外線を基材に向けて照射する赤外線照射手段と、
透過波長域が異なる複数のフィルタを具備すると共に前記赤外線照射手段と基材との間の赤外線の照射経路上に配置されるフィルタの種類を変更する赤外線波長選択手段と、
前記赤外線照射手段から照射された赤外線の樹脂シート材を透過した透過光又は樹脂シート材から反射した反射光を受光して、電気信号に変換する赤外線受光手段と、
前記電気信号を演算処理して樹脂シート材の樹脂の硬化度を導出する硬化度導出手段とを具備し、
上記赤外線照射手段、赤外線波長選択手段及び赤外線受光手段を、前記樹脂シート材上における赤外線が照射される領域が同一位置となるように、この樹脂シート材の移動と同期して移動させる駆動手段を具備することを特徴とする樹脂シート材の硬化度測定装置。
【請求項5】
上記駆動手段が、赤外線波長選択手段及び赤外線受光手段を基材の移動方向に移動させた後、逆方向に移動させてこの赤外線波長選択手段及び赤外線受光手段を初期位置に復帰させるものであることを特徴とする請求項3に記載の樹脂シート材の硬化度測定装置。
【請求項6】
上記駆動手段が、赤外線照射手段、赤外線波長選択手段及び赤外線受光手段を基材の移動方向に移動させた後、逆方向に移動させてこの赤外線照射手段、赤外線波長選択手段及び赤外線受光手段を初期位置に復帰させるものであることを特徴とする請求項4に記載の樹脂シート材の硬化度測定装置。
【請求項7】
上記硬化度導出手段が、樹脂シート材中の樹脂の硬化反応に関与する官能基の吸収波長の赤外線の強度と、樹脂の硬化反応に関与しない官能基の吸収波長の赤外線の強度との比に基づいて、樹脂シート材における樹脂の硬化度を導出するものであることを特徴とする請求項3乃至6のいずれか一項に記載の樹脂シート材の硬化度測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−157634(P2008−157634A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−343321(P2006−343321)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】